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特表2023-553771BOLD CMR画像を利用して血管機能のバイオマーカーを決定するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】BOLD CMR画像を利用して血管機能のバイオマーカーを決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231219BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231219BHJP
   G06T 7/38 20170101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 382
G06T7/00 612
G06T7/38
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501256
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CA2020051776
(87)【国際公開番号】W WO2022133568
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523006169
【氏名又は名称】エリア・19・メディカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル・ベノヴォイ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・グレース・ヒリアー
【テーマコード(参考)】
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C096AA09
4C096AC04
4C096AD14
4C096DC05
4C096DC14
4C096DC32
4C096DC33
4C096DE08
5L096AA06
5L096BA06
5L096CA02
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA05
5L096EA14
5L096FA02
5L096HA02
5L096HA11
5L096JA03
5L096KA04
(57)【要約】
個人における微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための方法および装置は、複数の心周期および呼吸状態に及ぶ連続した血中酸素濃度依存(BOLD)心臓磁気共鳴(CMR)画像シリーズを受信することと、位相ベクトルを形成する複数の位相で時間的に位置合わせされた複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成することと、各位相ベクトルの画像に窓付き行列分解(WMD)演算を行って、低ランクの画像成分を生成することと、低ランクの画像成分を利用して合成単一周期画像シリーズを構築することと、合成画像シリーズを利用して1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人における微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための方法であって、
複数の心周期に及ぶ連続した血中酸素濃度依存(BOLD)心臓磁気共鳴(CMR)画像シリーズを受信するステップと、
受信した前記BOLD CMR画像シリーズを複数の単一周期画像シリーズに切り取るステップであって、各単一周期画像シリーズが単一心周期に及ぶ、ステップと、
前記複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相で時間的に位置合わせされた複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するステップであって、特定の位相の前記位相整合された単一周期画像シリーズの各々の画像が位相ベクトルを形成する、ステップと、
各位相ベクトルについて、前記位相ベクトルの画像にオーバーラッピングスライディングウィンドウ法で窓付き行列分解(WMD)演算を行って、各窓について、前記窓に顕著な生理学的情報を含む低ランクの画像成分およびスパース情報を含む高ランクの画像成分を生成するステップと、
各位相ベクトルの前記低ランクの画像成分を利用して、複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するステップと、
各ノイズ低減位相ベクトルについて、前記ノイズ低減位相ベクトルの画像に基づいて合成位相画像を生成するステップと、
前記位相ベクトルの生成された前記合成位相画像から成る合成単一周期画像シリーズを構築するステップと、
前記合成画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記WMD演算が、窓付き特異値分解(WSVD)演算である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BOLD CMR画像シリーズが、タイミングタグを含むDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)を含み、
受信した前記BOLD CMR画像シリーズを切り取るステップが、前記タイミングタグを利用して、前記BOLD CMR画像シリーズを前記複数の単一周期画像シリーズに切り取るステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
受信した前記BOLD CMR画像シリーズを切り取るステップが、前記複数の心周期を決定するために画像ベースの技法を利用して、前記BOLD CMR画像シリーズを切り取るステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像ベースの技法が、
前記BOLD CMR画像シリーズの画像中の左心室の相対サイズと連続画像類似度メトリックとを比較することによって、前記BOLD CMR画像シリーズの心臓拡張期画像を識別するステップと、
2つの連続した識別された心臓拡張期画像間で前記BOLD CMR画像シリーズの画像として各単一周期画像シリーズを決定するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各位相ベクトルについて、前記WMD演算によって生成された低ランクの画像成分に行列分解(MD)演算を行って、各低ランクの画像成分について、複数のランク付き固有モードを生成するステップをさらに含み、
複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するステップが、生成された前記ランク付き固有モードのうちの所定数の最低ランクのモードを利用して、前記ノイズ低減位相ベクトルの前記画像を再構築するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記MD演算が、特異値分解(SVD)演算である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各位相ベクトルについて、前記WMD演算を行う前に、前記位相ベクトルの前記画像を空間的に位置合わせするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記位相ベクトルの前記画像を空間的に位置合わせするステップが、非剛体レジストレーション演算を利用して行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ノイズ低減位相ベクトルの画像に基づいて合成位相画像を生成するステップが、前記ノイズ低減位相ベクトルの前記画像に、
・2次元(2D)中央値演算、
・2D平均演算、
・主成分分析演算、
・スペクトルベースの演算、または
・機械学習ベースの演算
のうちの1つを行うステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するステップが、位相整合された行列を生成するステップであって、所与の位相整合された単一周期画像シリーズの画像が、前記位相整合された行列のそれぞれの行に含まれ、前記位相整合された行列の列が、それぞれの位相に対応し、所与の画像が、前記列に対応する位相の位相ベクトルであるようにする、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記合成画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するステップが、
心筋組織を分離するように前記合成画像シリーズの各位相をセグメント化して、セグメント化された画像シリーズを生成するステップと、
前記セグメント化された画像シリーズを利用して、前記1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
セグメント化するステップが、心筋組織を分離するように訓練された機械学習システムによって、または手作業の心筋組織画定によって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーが、
・経時的全信号強度、
・酸素化、
・脱酸素化、
・酸素化の脱酸素化に対する比、
・酸素化の脱酸素化に対する差、
・酸素化反応速度、
・脱酸素化反応速度、
・酸素化反応速度の脱酸素化反応速度に対する比、
・酸素化反応測度の脱酸素化反応測度に対する差、
・拡張終期(ED)の収縮終期(ES)に対する信号強度比、
・EDとESの差、
・酸素総分散量、
・血管機能変化、または
・呼吸に関係する血管機能変化
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するステップが、少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムを利用して取得される連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムが、正常な呼吸、過呼吸、または息止めのうちの少なくとも2つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記合成画像シリーズを利用して、少なくとも1つの機能的バイオマーカーを計算するステップであって、前記少なくとも1つの機能的バイオマーカーが、
・半径方向のストレイン、
・円周方向のストレイン、
・駆出率、または
・収縮期壁肥厚
のうちの少なくとも1つである、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
個人における微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための装置であって、
複数の心周期に及ぶ連続した血中酸素濃度依存(BOLD)心臓磁気共鳴(CMR)画像シリーズを受信することと、
受信した前記BOLD CMR画像シリーズを複数の単一周期画像シリーズに切り取ることであって、各単一周期画像シリーズが単一心周期に及ぶ、ことと、
前記複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相で時間的に位置合わせされた複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成することであって、特定の位相の前記位相整合された単一周期画像シリーズの各々の画像が位相ベクトルを形成する、ことと、
各位相ベクトルについて、前記位相ベクトルの画像にオーバーラッピングスライディングウィンドウ法で窓付き行列分解(WMD)演算を行って、各窓について、前記窓に顕著な生理学的情報を含む低ランクの画像成分およびスパース情報を含む高ランクの画像成分を生成することと、
各位相ベクトルの前記低ランクの画像成分を利用して、複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築することと、
各ノイズ低減位相ベクトルについて、前記ノイズ低減位相ベクトルの画像に基づいて合成位相画像を生成することと、
前記位相ベクトルの生成された前記合成位相画像から成る合成単一周期画像シリーズを構築することと、
前記合成画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算することと
を行うように構成されたプロセッサを備える、装置。
【請求項19】
前記WMD演算が、窓付き特異値分解(WSVD)演算である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記BOLD CMR画像シリーズが、タイミングタグを含むDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)を含み、
受信した前記BOLD CMR画像シリーズを切り取るように構成された前記プロセッサが、前記タイミングタグを利用して、前記BOLD CMR画像シリーズを前記複数の単一周期画像シリーズに切り取るように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
受信した前記BOLD CMR画像シリーズを切り取るように構成された前記プロセッサが、前記複数の心周期を決定するために画像ベースの技法を利用して、前記BOLD CMR画像シリーズを切り取るように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記画像ベースの技法を利用するように構成された前記プロセッサが、
前記BOLD CMR画像シリーズの画像中の左心室の相対サイズと連続画像類似度メトリックとを比較することによって、前記BOLD CMR画像シリーズの心臓拡張期画像を識別することと、
2つの連続した識別された心臓拡張期画像間で前記BOLD CMR画像シリーズの画像として各単一周期画像シリーズを決定することと
を行うように構成された前記プロセッサを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサが、各位相ベクトルについて、前記WMD演算によって生成された低ランクの画像成分に行列分解(MD)演算を行って、各低ランクの画像成分について、複数のランク付き固有モードを生成するようにさらに構成され、
複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するように構成された前記プロセッサが、生成された前記ランク付き固有モードのうちの所定数の最低ランクのモードを利用して、前記ノイズ低減位相ベクトルの前記画像を再構築するように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記MD演算が、特異値分解(SVD)演算である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記プロセッサが、各位相ベクトルについて、前記WMD演算を行う前に、前記位相ベクトルの前記画像を空間的に位置合わせするようにさらに構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
前記位相ベクトルの前記画像を空間的に位置合わせするように構成された前記プロセッサが、非剛体レジストレーション演算を行うように構成された前記プロセッサを含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ノイズ低減位相ベクトルの画像に基づいて合成位相画像を生成するように構成された前記プロセッサが、前記ノイズ低減位相ベクトルの前記画像に、
・2次元(2D)中央値演算、
・2D平均演算、
・主成分分析演算、
・スペクトルベースの演算、または
・機械学習ベースの演算
のうちの1つを行うように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項28】
前記複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するように構成された前記プロセッサが、位相整合された行列を生成することであって、所与の位相整合された単一周期画像シリーズの画像が、前記位相整合された行列のそれぞれの行に含まれ、前記位相整合された行列の列が、それぞれの位相に対応し、所与の画像が、前記列に対応する位相の位相ベクトルであるようにする、ことを行うように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項29】
前記合成画像シリーズが、前記合成画像シリーズの各位相が心筋組織を分離するようにセグメント化される、セグメント化された画像シリーズであり、
前記1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するように構成された前記プロセッサが、前記セグメント化された画像シリーズを利用して、前記1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項30】
前記セグメント化された画像シリーズが、心筋組織を分離するように訓練された機械学習システムによって、または手作業の心筋組織画定によって生成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーが、
・経時的全信号強度、
・酸素化、
・脱酸素化、
・酸素化の脱酸素化に対する比、
・酸素化の脱酸素化に対する差、
・酸素化反応速度、
・脱酸素化反応速度、
・酸素化反応速度の脱酸素化反応速度に対する比、
・酸素化反応測度の脱酸素化反応測度に対する差、
・拡張終期(ED)の収縮終期(ES)に対する信号強度比、
・EDとESの差、
・酸素総分散量、
・血管機能変化、または
・呼吸に関係する血管機能変化
のうちの1つまたは複数を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項32】
連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するように構成された前記プロセッサが、少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムを利用して取得される連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するように構成された前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項33】
前記少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムが、正常な呼吸、過呼吸、または息止めのうちの少なくとも2つである、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記プロセッサが、前記合成画像シリーズを利用して、少なくとも1つの機能的バイオマーカーを計算することであって、前記少なくとも1つの機能的バイオマーカーが、
・半径方向のストレイン、
・円周方向のストレイン、
・駆出率、または
・収縮期壁肥厚
のうちの少なくとも1つである、ことを行うようにさらに構成される、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、BOLD CMR画像を利用して血管機能のバイオマーカーを決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
大血管および微小血管の機能障害は、冠動脈疾患(CADまたは冠状動脈アテローム性硬化症)を含む、いくつかの疾患の顕著な特徴であり、それらの大部分が、高い罹患率および死亡率を有する。一般に、心臓への血液供給および酸素は、寿命および生活の質に対する結果を伴う影響を受ける。さらに、発症中のアテローム性動脈硬化症のカスケードでは、微小血管機能の悪化は、検出可能な形態学的異常の前に発生する、最初の病態生理学的変化の1つと見なされる。したがって、微小血管機能は、アテローム性動脈硬化症、および糖尿病、肥満、高血圧、高コレステロール血症などの心臓に影響を及ぼす他の疾患を早期に検出するための選択のターゲットである。
【0003】
血中酸素濃度依存(Blood Oxygen-Level-Dependent:BOLD)効果を使用する酸素化感知(oxygenation-sensitive)心臓磁気共鳴(Cardiac Magnetic Resonance:CMR)は、心筋組織酸素化における変化の非侵襲的モニタリングを可能にする。酸素化感知CMRは、ヘモグロビン酸素化における変化を、酸素化状態から脱酸素化状態へ遷移するとき、それの磁気的性質が変化することを利用することによって検出する。酸素化ヘモグロビン(oxyHb)は反磁性であり、分子を囲む磁場の弱い安定性を示すが、脱酸素化ヘモグロビン(de-oxyHb)は常磁性であり、周囲の磁場を不安定化し、それによって、BOLD効果として知られる、磁場均一性の損失につながる。BOLD効果に反応するCMRプロトコルは、心筋虚血に見られるように、de-oxyHbの相対的増加を有する組織に、局部的な酸素化感知信号強度(OS-SIまたはBOLD-SI)の低下を示す。
【0004】
いくつかの酸素化感知手法は、心筋虚血のマーカーとしての、アデノシンまたはジピリダモールなどの薬剤による血管拡張に反応した心筋酸素化変化を使用して、冠動脈疾患を検出するために使用されてきた。健康な血管は拡張し、心筋の信号強度(SI)の増加につながるが、狭窄血管によって包まれた心筋は、血管拡張のトリガに反応して心筋のBOLD-SIに鈍い増加または減少を示す。しかしながら、これらの薬剤は、徐脈、不整脈、胸痛、気管支痙攣、頭痛、吐き気、および熱波などの望ましくない副作用を有する。さらに、そのような血管作動物質の注入は、静脈アクセスおよび医師を利用できることを必要とし、血管拡張剤の追加コスト、追加の準備時間、および注入薬剤に関係する有害事象のリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血管機能に関係するバイオマーカーの決定における改善が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に本開示の実施形態について、単に例として、添付の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態による、個人の微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための方法を示すフローチャートである。
図2】本開示の一実施形態による、連続して取得されたBOLD CMR画像シリーズの、周期アグリゲーション、位相に関するレジストレーション、ならびにアーチファクト抑制およびSNRブーストを行う一例を示す概略図である。
図3A】本開示の一実施形態による、窓付き特異値分解(windowed singular value decomposition)演算を行う一例を示す概略図である。
図3B】本開示の一実施形態による、窓付き特異値分解演算を行う一例を示す概略図である。
図3C】本開示の一実施形態による、窓付き特異値分解演算を行う一例を示す概略図である。
図4】本開示の一実施形態による、窓付き特異値演算の低ランクの成分に特異値分解を行い、合成画像シリーズを生成する一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態は、本明細書ではCINE BOLD CMR画像シリーズと呼ばれる場合がある、連続して取得されるBOLD CMR画像シリーズを処理するための方法に関する。CINE BOLD CMR画像シリーズは、たとえば、正常な呼吸、抑制した呼吸もしくは加速した呼吸などの制御された呼吸、および息止めなどの様々な周期的または非周期的呼吸状態の下で取得され得る。CINE BOLD CMR画像シリーズを処理するための方法は、本明細書では周期アグリゲーションと呼ばれる、異なる心周期または呼吸周期のCINE BOLD CMR画像シリーズのCINE BOLD CMR画像を時間的に位置合わせするステップを含んでもよく、各位相について、周期からの画像が空間的に位置合わせされ、本明細書では位相に関するレジストレーションと呼ばれる。
【0009】
方法は、いくつかの実施形態では、位相に関するマルチアーチファクト除去のための行列分解(MD)演算が後に続く窓付き行列分解(WMD)演算を利用するステップと、機能、組織、または灌流情報を与える可能性がある1つまたは複数のバイオマーカーが抽出される、WMD演算から生成された低ランクの成分を利用して合成画像シリーズを生成するステップとを含む。
【0010】
WMD演算において利用されるMD演算および後続の任意選択のMD演算は、各々動的モード分解(DMD)演算、または特異値分解(SVD)演算のうちの一方であってもよい。いくつかの例では、WMD演算は、DMDまたはSVD演算のうちの一方を利用してもよく、その後に行われるMD演算は、DMDまたはSVD演算のうちの他方を利用してもよい。いくつかの例では、本開示に従ってCINE BOLD CMR画像上でSVD演算を行うと、DMD演算と比較してよりロバストなノイズ低減が実現される可能性があり、したがってSVD演算を利用することが、DMD演算と比較してより望ましい可能性がある。
【0011】
MD技法を利用することによって、本方法は、画像取得中の個人の動きによるモーションアーチファクトなどの顕著なアーチファクトが減少したまたはないCINE BOLD CMR画像シリーズを生成することができ、どんな呼吸状態または呼吸状態の組み合わせの下で取得されたCINE BOLD CMR画像シリーズも、各ピクセルおよび心臓または呼吸周期の各時間位相での酸素関連のCMR信号強度ならびにそれの機能および組織特性による心筋の灌流の分析に利用されることを容易にする。
【0012】
SVDおよびDMD演算を含むMD演算は従来、たとえば、天候パターンのベクトル場を、より大きい全体的モーションを示す低ランクの成分、およびより小さい渦電流を示す高ランクの成分に分解することなど、ビデオシーケンス中の画像分解に使用されてきた。従来、SVDおよびDMDなどのMD演算は、医用画像分析に適用される技法ではない。
【0013】
従来、息止め以外のいずれかの種類の患者呼吸パラダイムの間に取得されたCINE BOLD CMR画像を利用した心臓の分析は、取得した画像が一般に互いに対して位置ずれを起こしており、患者の呼吸によって引き起こされるモーションによる激しいモーションアーチファクトで汚染されているので妨げられた。そのようなCINE BOLD CRM画像から臨床情報を引き出すためには、そのような位置ずれおよびモーションアーチファクトは問題を生じる。
【0014】
本開示は、呼吸および心周期に分解された、複数の臨床的に関連するバイオマーカーを測定し、導き出し、視覚化するために、いずれかの呼吸状態の間に取得された、かつ/または造影剤もしくはストレス剤を用いてもしくは用いずに取得された、CINE BOLD CMR画像を後処理するための方法を提供する。
【0015】
一実施形態では、本開示は、個人における微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための方法を提供し、この方法は、複数の心周期に及ぶ連続した血中酸素濃度依存(BOLD)心臓磁気共鳴(CMR)画像シリーズを受信するステップと、受信したBOLD CMR画像シリーズを複数の単一周期画像シリーズに切り取る(cropping)ステップであって、各単一周期画像シリーズが単一の心周期に及ぶ、ステップと、複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相で時間的に位置合わせされた複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するステップであって、特定の位相での位相整合された単一周期画像シリーズの各々の画像が位相ベクトルを形成する、ステップと、各位相ベクトルについて、位相ベクトルの画像にオーバーラッピングスライディングウィンドウ法(overlapping, sliding window manner)で窓付き行列分解(WMD)演算を行って、各窓について、窓に顕著な生理学的情報を含む低ランクの画像成分、およびスパース情報を含む高ランクの画像成分を生成するステップと、各位相ベクトルの低ランクの画像成分を利用して複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するステップと、各ノイズ低減位相ベクトルについて、ノイズ低減位相ベクトルの画像に基づいて合成位相画像を生成するステップと、位相ベクトルの生成された合成位相画像から成る合成単一周期画像シリーズを構築するステップと、合成画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するステップとを含む。
【0016】
例示的な一実施形態では、WMD演算は、窓付き特異値分解(WSVD)演算である。
【0017】
例示的な一実施形態では、BOLD CMR画像シリーズは、タイミングタグを含むDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)を含み、受信したBOLD CMR画像シリーズを切り取るステップは、タイミングタグを利用して、BOLD CMR画像シリーズを複数の単一周期画像シリーズに切り取るステップを含む。
【0018】
例示的な一実施形態では、受信したBOLD CMR画像シリーズを切り取るステップは、複数の心周期を決定するために画像ベースの技法を利用して、BOLD CMR画像シリーズを切り取るステップを含む。
【0019】
例示的な一実施形態では、画像ベースの技法は、BOLD CMR画像シリーズの画像において左心室の相対サイズと連続画像類似度メトリック(sequential image similarity metrics)とを比較することによってBOLD CMR画像シリーズの心臓拡張期画像を識別するステップと、2つの連続した識別された心臓拡張期画像の間でBOLD CMR画像シリーズの画像として各単一周期画像シリーズを決定するステップとを含む。
【0020】
例示的な一実施形態では、方法は、各位相ベクトルについて、WMD演算によって生成された低ランクの画像成分に行列分解(MD)演算を行って、各低ランクの画像成分について、複数のランク付き固有モード(ranked eigen mode)を生成するステップをさらに含み、複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するステップは、生成されたランク付き固有モード、最上位固有モードのうちの所定数の最低ランクのモードを利用して、ノイズ低減位相ベクトルの画像を再構築するステップを含む。
【0021】
例示的な一実施形態では、MD演算は、特異値分解(SVD)演算である。
【0022】
例示的な一実施形態では、方法は、各位相ベクトルについて、WMD演算を行う前に、位相ベクトルの画像を空間的に位置合わせするステップをさらに含む。
【0023】
例示的な一実施形態では、位相ベクトルの画像を空間的に位置合わせするステップは、非剛体レジストレーション演算を利用して行われる。
【0024】
例示的な一実施形態では、ノイズ低減位相ベクトルの画像を利用して合成位相画像を構築するステップは、ノイズ低減位相ベクトルの画像に、2次元(2D)中央値演算、2D平均演算、主成分分析(principle component analysis)演算、スペクトルベースの演算(spectral-based operation)、または機械学習ベースの演算のうちの1つを行うステップを含む。
【0025】
例示的な一実施形態では、複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するステップは、位相整合された行列を生成するステップを含み、所与の位相整合された単一周期画像シリーズが、位相整合された行列のそれぞれの行に含まれ、列が、それぞれの位相に対応し、所与の画像が、その列に対応する位相の位相ベクトルであるようにする。
【0026】
例示的な一実施形態では、合成画像シリーズを利用して1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するステップが、心筋組織を分離するように合成画像シリーズの各位相をセグメント化して、セグメント化された画像シリーズを生成するステップと、セグメント化された画像シリーズを利用して1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するステップとを含む。
【0027】
例示的な一実施形態では、セグメント化するステップは、心筋組織を分離するように訓練された機械学習システムによって、または手作業の心筋組織画定によって行われる。
【0028】
例示的な一実施形態では、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーは、経時的全信号強度、酸素化、脱酸素化、酸素化の脱酸素化に対する比、酸素化の脱酸素化に対する差(differential)、酸素化反応速度、脱酸素化反応速度、酸素化反応速度の脱酸素化反応速度に対する比、酸素化反応測度の脱酸素化反応測度に対する差、拡張終期(End-Diastolic:ED)の収縮終期(End-Systolic:ES)に対する信号強度比、EDとESの差、酸素総分散量(total variance)、血管機能変化、または呼吸に関係する血管機能変化のうちの1つまたは複数を含む。
【0029】
例示的な一実施形態では、連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するステップは、少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムを利用して取得される連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するステップを含む。
【0030】
例示的な一実施形態では、少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムは、正常な呼吸、過呼吸、または息止めのうちの少なくとも2つである。
【0031】
例示的な一実施形態では、合成画像シリーズを利用して、少なくとも1つの機能的バイオマーカーを計算するステップを含み、少なくとも1つの機能的バイオマーカーは、半径方向のストレイン、円周方向のストレイン、駆出率、または収縮期壁肥厚のうちの少なくとも1つである。
【0032】
別の実施形態では、本開示は、個人における微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための装置を提供し、この装置は、複数の心周期に及ぶ連続した血中酸素濃度依存(BOLD)心臓磁気共鳴(CMR)画像シリーズを受信することと、受信したBOLD CMR画像シリーズを複数の単一周期画像シリーズに切り取ることであって、各単一周期画像シリーズが単一の心周期に及ぶ、ことと、複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相で時間的に位置合わせされた複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成することであって、特定の位相の位相整合された単一周期画像シリーズの各々の画像が位相ベクトルを形成する、ことと、各位相ベクトルについて、位相ベクトルの画像にオーバーラッピングスライディングウィンドウ法で窓付き行列分解(WMD)演算を行って、各窓について、窓に顕著な生理学的情報を含む低ランクの画像成分、およびスパース情報を含む高ランクの画像成分を生成することと、各位相ベクトルの低ランクの画像成分を利用して複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築することと、各ノイズ低減位相ベクトルについて、ノイズ低減位相ベクトルの画像に基づいて合成位相画像を生成することと、位相ベクトルの生成された合成位相画像から成る合成単一周期画像シリーズを構築することと、合成画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算することとを行うように構成されたプロセッサを含む。
【0033】
例示的な一実施形態では、WMD演算は、窓付き特異値分解(WSVD)演算である。
【0034】
例示的な一実施形態では、BOLD CMR画像シリーズは、タイミングタグを含むDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)を含み、受信したBOLD CMR画像シリーズを切り取るように構成されたプロセッサは、タイミングタグを利用して、BOLD CMR画像シリーズを複数の単一周期画像シリーズに切り取るように構成されたプロセッサを含む。
【0035】
例示的な一実施形態では、受信したBOLD CMR画像シリーズを切り取るように構成されたプロセッサは、複数の心周期を決定するために画像ベースの技法を利用して、BOLD CMR画像シリーズを切り取るように構成されたプロセッサを含む。
【0036】
例示的な一実施形態では、画像ベースの技法を利用するように構成されたプロセッサは、BOLD CMR画像シリーズの画像において左心室の相対サイズと連続画像類似度メトリックとを比較することによってBOLD CMR画像シリーズの心臓拡張期画像を識別することと、2つの連続した識別された心臓拡張期画像間でBOLD CMR画像シリーズの画像として各単一周期画像シリーズを決定することとを行うように構成されたプロセッサを含む。
【0037】
例示的な一実施形態では、プロセッサは、各位相ベクトルについて、WMD演算によって生成された低ランクの画像成分に行列分解(MD)演算を行って、各低ランクの画像成分について、複数のランク付き固有モードを生成するようにさらに構成され、複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するように構成されたプロセッサは、生成されたランク付きSVDモード、最上位固有モードのうちの所定数の最低ランクのモードを利用して、ノイズ低減位相ベクトルの画像を再構築するように構成されたプロセッサを含む。
【0038】
例示的な一実施形態では、MD演算は、特異値分解(SVD)演算である。
【0039】
例示的な一実施形態では、プロセッサは、各位相ベクトルについて、WMD演算を行う前に、位相ベクトルの画像を空間的に位置合わせするようにさらに構成される。
【0040】
例示的な一実施形態では、位相ベクトルの画像を空間的に位置合わせするように構成されたプロセッサは、非剛体レジストレーション演算を行うように構成されたプロセッサを含む。
【0041】
例示的な一実施形態では、ノイズ低減位相ベクトルの画像を利用して合成位相画像を構築するように構成されたプロセッサは、ノイズ低減位相ベクトルの画像に、2次元(2D)中央値演算、2D平均演算、主成分分析演算、スペクトルベースの演算、または機械学習ベースの演算のうちの1つを行うように構成されたプロセッサを含む。
【0042】
例示的な一実施形態では、複数の単一周期画像シリーズを位相整合して、複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するように構成されたプロセッサは、位相整合された行列を生成するように構成されたプロセッサを含み、所与の位相整合された単一周期画像シリーズの画像が、位相整合された行列のそれぞれの行に含まれ、列が、それぞれの位相に対応し、所与の画像が、その列に対応する位相の位相ベクトルであるようにする。
【0043】
例示的な一実施形態では、合成画像シリーズは、合成画像シリーズの各位相が、心筋組織を分離するようにセグメント化される、セグメント化された画像シリーズであり、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するように構成されたプロセッサは、セグメント化された画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算するように構成されたプロセッサを含む。
【0044】
例示的な一実施形態では、セグメント化された画像シリーズは、心筋組織を分離するように訓練された機械学習システムによって、または手作業の心筋組織画定によって生成される。
【0045】
例示的な一実施形態では、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーは、経時的全信号強度、酸素化、脱酸素化、酸素化の脱酸素化に対する比、酸素化の脱酸素化に対する差、酸素化反応速度、脱酸素化反応速度、酸素化反応速度の脱酸素化反応速度に対する比、酸素化反応測度の脱酸素化反応測度に対する差、拡張終期(ED)の収縮終期(ES)に対する信号強度比、EDとESの差、酸素総分散量、血管機能変化、または呼吸に関係する血管機能変化のうちの1つまたは複数を含む。
【0046】
例示的な一実施形態では、連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するように構成されたプロセッサは、少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムを利用して取得される連続したBOLD CMR画像シリーズを受信するように構成されたプロセッサを含む。
【0047】
例示的な一実施形態では、ここにおいて少なくとも2つの異なる呼吸パラダイムは、正常な呼吸、過呼吸、または息止めのうちの少なくとも2つである。
【0048】
例示的な一実施形態では、プロセッサは、合成画像シリーズを利用して、少なくとも1つの機能的バイオマーカーを計算するようにさらに構成され、少なくとも1つの機能的バイオマーカーは、半径方向のストレイン、円周方向のストレイン、駆出率、または収縮期壁肥厚のうちの少なくとも1つである。
【0049】
説明を簡潔および明快にするために、参照番号は、対応する、または類似する要素を示すために、図の間で繰り返される場合がある。多数の詳細は、本明細書で説明する実施形態の理解を与えるために示される。実施形態は、これらの詳細なしで実施され得る。他の事例では、説明する実施形態を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている方法、手順、および構成要素については、詳細に説明していない。
【0050】
図1を参照すると、個人における微小血管または大血管機能のバイオマーカーを取得するための方法を示すフローチャートが示されている。図示した方法は、たとえば1つまたは複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアによって実施され得る。1つまたは複数のプロセッサは、CMR画像を含む医用画像を処理するように構成されたコンピュータ、または2つ以上のコンピュータを備えるコンピューティングシステム内に含まれる場合がある。開示する方法を実施するためのソフトウェアのコーディングは、本明細書を与えられる当業者の範囲内である。方法は、追加のプロセス、または図示および/または説明したよりも少ないプロセスを含む場合があり、異なる順序で行われる場合がある。プロセスを行うために少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読コードは、非一時的コンピュータ可読媒体などのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0051】
102において、CINE BOLD CMR画像シリーズが受信される。受信CINE BOLD CMRは、複数の心周期にわたり、正常呼吸、息止め、および過呼吸を含む、個人によって行われるいずれかの呼吸パラダイム中に取得され得る。いくつかの例では、受信CINE BOLD CMR画像シリーズの一部分は、1つの呼吸パラダイムが個人によって行われている間に取得される場合があり、受信CINE BOLD CMR画像シリーズの別の部分は、異なる呼吸パラダイムが行われる間に取得される。
【0052】
いくつかの例では、個人が1つまたは複数の呼吸パラダイムを行っている間に取得されることに加えて、CINE BOLD CMR画像シリーズは、1つまたは複数のさらなる外部刺激が個人に施されている間に取得される場合がある。たとえば、外部刺激は、CINE BOLD CMR画像シリーズを取得する前に、造影増強剤または血管作動もしくは薬剤負荷剤(vasoactive or pharmacological stress agent)の1つまたは複数が個人に投与されていることを含む場合がある。代替または追加として、さらなる外部刺激は、誘導された身体活動である場合がある。
【0053】
いくつかの例では、受信CINE BOLD CMR画像シリーズは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)ファイルフォーマットであってもよい。DICOMフォーマットのCINE BOLD CMR画像シリーズは、受信CINE BOLD CMR画像シリーズに関係するメタデータを含んでもよい。一例では、メタデータは、CINE BOLD CMR画像シリーズの各画像がどの心周期に関係するかを識別するために利用され得るタイミングタグを含む。代替または追加として、メタデータは、受信CINE BOLD CMR画像シリーズの取得中に、個人が行うように指示された1つまたは複数の呼吸パラダイム、またはある場合はどんな外部刺激が個人に与えられかに関する情報を含んでもよい。
【0054】
104において、受信CINE BOLD CMR画像シリーズは、複数の単一周期画像シリーズに切り取られ、各単一周期画像シリーズは、個人において単一心周期にわたる。いくつかの例では、受信CINE BOLD CMR画像シリーズは、各単一周期画像シリーズが、単一の「RR周期」と呼ばれることがある、心電図における2つの連続したR波間の間隔にわたるように切り取られる場合がある。いくつかの例では、104で行われる切取りは、DICOMフォーマットのCINE BOLD CMR画像シリーズの画像の各々について、そのようなタイミングタグが存在する場合、タイミングタグメタデータに含まれる周期ID番号を利用して行われる。
【0055】
タイミングタグメタデータが受信CINE BOLD CMR画像シリーズに含まれない例では、104において切り取るステップは、画像ベースの技法を利用して行われてもよい。一例では、画像ベースの技法は、たとえば、連続画像類似度メトリックを使用して左心室の相対サイズを比較することによって、受信CINE BOLD CMR画像シリーズ中の心臓拡張期画像を識別するステップを含んでもよい。この例では、1つの識別された心臓拡張期画像から次に続く識別された心臓拡張期画像までの画像は、単一周期画像シリーズとして切り取られる。
【0056】
106において、104からの単一周期画像シリーズは、位相整合される。位相整合は、たとえば、時間的に位置合わせされた複数の位相整合された単一周期画像シリーズを生成するために、単一周期画像シリーズの各々の画像を時間的に位置合わせすることによって行われてもよい。
【0057】
一例では、複数の位相整合された単一周期画像シリーズは、行列配列に配列され、単一周期画像シリーズは、行列の行を形成し、行列の各列が、単一の心周期内の特定の位相である。特定の位相における単一周期画像シリーズの時間的に位置合わせされた画像は、本明細書で「位相ベクトル」と呼ぶものを形成する。
【0058】
そのような行列配列の一例が図2に示されている。図2に示す例に示す行列200は、4つの単一周期画像シリーズ202~208で構成される。各単一周期画像シリーズ202~208は、他の単一周期画像シリーズ202~208の画像と時間的に位置合わせされた7つの画像を含み、7つの位相ベクトル210~222を形成する。図2に示す例示的な行列200は、7つの位相を各々含む4つの単一周期画像シリーズを含むが、一般に、任意の数の単一心周期画像シリーズおよび任意の数の位相が利用され得る。
【0059】
再び図1を参照すると、場合によっては、各位相ベクトルを形成する画像は、108においてその位相ベクトルの他の画像と空間的に位置合わせされる。一例では、各位相ベクトルの画像を空間的に位置合わせすることは、非剛体レジストレーションを利用し、1つの画像中の各ポイントを、別の画像中の関係するポイントに整合させるために動かす幾何学的レジストレーションが決定される。他の例では、各位相ベクトルの画像の任意選択の空間的位置合わせを実施するための他の好適な方法。
【0060】
再び図2に示す例を参照すると、位相ベクトル210~222の各々の画像の空間的位置合わせを行うことが、224によって表されている。空間的位置合わせは、226によって表されている、アーチファクト抑制および信号対雑音比(SNR)ブースティングを行う前に行われる。アーチファクト抑制およびSNRブースティング226は、窓付き行列分解(WMD)演算を行うことを含み、場合によっては、以下でより詳細に説明するように、後続の行列分解(MD)演算を含むことがある。
【0061】
110において、WMD演算が、位相ベクトルの画像にオーバーラッピングスライディングウィンドウ法で行われる。WMD演算は、「窓(window)」と呼ばれる、位相ベクトルの所定数の画像にMD演算を行って、窓に画像の顕著な生理学的情報を含む低ランクの画像成分、および窓に画像のスパース情報を含む高ランクの画像成分を生成することを含む。次いでMD演算は、位相ベクトルの所定数の画像を含む別の窓に行われ、新しい窓内の画像の少なくとも一部は、前の窓に含まれ、新しい窓に、低ランクの画像成分および高ランクの画像成分を生成する。このプロセスは、窓が位相ベクトルの終わりに達するまで繰り返される。利用される窓のサイズは、経験的に決定されてもよく、たとえばWMD演算が行われているデータによって決まってもよい。
【0062】
110において行われるWMD演算は、窓付き動的モード分解(WDMD)演算または窓付き特異値分解(WSVD)演算のうちの一方である。いくつかの例では、本開示に従ってCINE BOLD CMR画像上でWSVD演算を行うと、WDMD演算と比較してよりロバストなノイズ低減が実現される可能性があり、したがってWSVD演算を利用することが、WDMD演算と比較してより望ましい可能性がある。
【0063】
図3Aから図3Cを参照すると、位相ベクトル302にWMD演算を行う例が示されている。図示の例では、位相ベクトル302は、4つの画像304aから304dを含み、たとえば、図2に示す例示的な行列202の位相ベクトル210~222の1つであってもよい。さらに、図示の例では、WMD演算は、画像304a~304dの2つを含む窓306を利用するWSVD演算であるが、他のサイズの窓が利用されてもよい。他の例では、図3A図3Cに示す例において、図示されているWSVD演算の代わりに、WDMD演算が利用されてもよい。
【0064】
図3Aでは、SVD演算308が、窓306aに含まれている画像304aおよび304bに行われて、第1の低ランクの画像成分C11、および第1の高ランクの画像成分C21を生成する。次に、SVD演算308は、窓306bに含まれている画像304bおよび304cに行われて、第2の低ランクの画像成分、C12、および第2の高ランクの画像成分C22を生成する。さらに、SVD演算308は、窓306cに含まれている画像304cおよび304dに行われて、第3の低ランクの画像成分、C13、および第3の高ランクの画像成分C23を生成する。図3Aから図3Cに示す例では、3つのSVD演算が行われて、3つの低ランクの画像成分C11からC13を生成するが、一般に、行われるSVD演算の数は、窓306のサイズおよび位相ベクトル302に含まれる画像の数によって決まる。
【0065】
再び図1を参照すると、112において位相ベクトルの各々についてWMD演算で生成された低ランクの画像成分に、場合によってはMD演算が行われる。任意選択のMD演算は、位相ベクトルの低ランクの画像成分の各々について、複数のランク付き固有モードを生成する。低ランクの画像成分に行われるMD演算は、位相ベクトルの画像の窓で行われるものと同じMD演算であってもよい。たとえば、112で行われるMDは、図3Aから図3Cに関して上記で説明したSVD演算308であってもよく、またはDMD演算であってもよい。
【0066】
いくつかの例では、110で行われるWMD演算は、DMDまたはSVD演算のうちの一方を利用してもよく、112でその後に行われるMD演算は、DMDまたはSVD演算のうちの他方を利用してもよい。しかしながら、いくつかの例では、110で行われるWMD演算と112で行われるMD演算の両方に対してCINE BOLD CMR画像にSVD演算を利用すると、110のWMD演算および112のMD演算の一方または両方に対してDMD演算を利用することと比較して、よりロバストなノイズ低減を実現し得る。
【0067】
114において、低ランクの画像成分は、複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するために利用される。112において任意選択のMD演算が行われる場合、複数のノイズ低減位相ベクトルを再構築するために利用される低ランクの画像成分は、図4に示す例に関して以下でより詳細に説明するように、MD演算によって生成されるランク付き固有モードの最低ランクの成分のサブセットであってもよい。110において行われるWMD演算によって生成される低ランクおよび高ランクの画像成分と同様に、112において行われるMD演算によって生成されるランク付き固有モードの最低ランクのモードは、生理学的関連情報の大部分を含むことになり、より高いランク付きモードは、ノイズおよびアーチファクト情報を含むことになる。
【0068】
任意選択のMD演算が行われない例では、114においてノイズ低減位相ベクトルを再構築することは、110において行われるWMD演算によって生成される低ランクの画像成分を利用して行われ得る。
【0069】
一例では、複数のノイズ低減位相ベクトルの再構築は、以下の再合成式を利用して行われてもよい。
【0070】
【数1】
【0071】
ただしΨは固有モードであり、ωは固有ベクトルであり、Σは特異値であり、Λは右特異ベクトルであり、1...rは、トップrの固有モードに対してこれらの値が取られることを表す。これらのパラメータはすべて、低ランク分解を行うとき、導出される。
【0072】
図4を参照すると、ランク付き固有モードを生成するために112において任意選択のMD演算を行い、114においてランク付き固有モードからノイズ低減位相ベクトルを再構築するための一例が示されている。図4に示す例では、MD演算は、SVD演算である。しかしながら、他の例では、DMD演算がSVD演算の代わりに使用されてもよい。
【0073】
WSVD演算を利用して特定の位相ベクトルに対して生成された低ランクの画像成分400が、入力としてSVD演算402に提供される。低ランクの成分は、図3Aから図3Cに関して前述した例と同様に生成されてもよい。図4に示す例では、各位相ベクトルで行われるWSVD演算によって生成されたn個の低ランクの画像成分、C11からC1nがある。
【0074】
利用されるランクの数は、SVD演算が行われるデータに基づいて経験的に決定され得る。利用されるランクの数はまた、108において空間的位置合わせが行われるか否かによって決まってもよい。たとえば、108において空間的位置合わせが行われない場合、より多くの空間的変形モードがSVD演算によって排除されるようにより多くの動的モードを除去するために、空間的位置合わせが行われた場合に比較してより少ないランクが望ましい可能性がある。
【0075】
SVD演算402は、低成分400の各々に行われ、結果として低ランクの成分400の各々に、K個のランク付きSVDモードが生成される。低ランクの成分400のすべてに対する生成されたランク付きSVDモードは、図4に示す行列404によって示され、行列404の各列が、低ランクの画像成分、C11からC1nのそれぞれの1つに生成されたランク付きSVDモードに対応する。たとえば、E11からEK1は、低ランクの画像成分C11に生成されたランク付き固有成分であり、E12からEK2は、低ランクの画像成分C12に生成されたランク付きSVD成分であるなどである。
【0076】
低ランクの画像成分400のすべてに対するランク付き固有モードが生成されると、K個のランク付き固有モードのうちの所定数、rの最低ランク付き固有モードが、ノイズ低減位相ベクトル408を再構築する406ために利用され、他のより高いランク付き固有モードは廃棄される。
【0077】
最低ランク付き固有モードの数、rは、BOLD CMR画像シリーズ内の少なくとも最小量の動的情報が保持されるように、経験的に決定されてもよい。保持されるその最小量の動的情報内に、根源的な生理学的プロセスによって生じる信号の変化である、BOLD CMR画像からの実際のBOLD信号を含む。最低ランク付き固有モードの数、rを決定するために利用される経験的方法は、たとえば、パレート分析を利用してもよい。
【0078】
最小量の動的情報は、たとえば、位相ベクトルの画像が適切に空間的に位置合わせされているか否かによって決まってもよい。たとえば、位相ベクトルの画像が108において空間的に位置合わせされる場合、数、rは、たとえば動的情報の30%が保持されるように決定されてもよい。この場合、CINE BOLD CMR画像の取得中の個人の物理的モーションが、空間的位置合わせプロセスを通して除去されたと仮定される。
【0079】
しかしながら、位相ベクトルの画像の空間的位置合わせが行われない場合、実際のBOLD信号は、CINE BOLD CMR画像の取得中の個人の物理的モーションの効果と混じり合い、空間的位置合わせが行われないとき、より大量の動的情報が保持されなければならないので、数、rは、動的情報の80%が保持されるように決定され得る。
【0080】
ノイズ低減位相ベクトルが再構築された後、116において合成位相画像が生成される。合成位相画像は、SNRが増加するように生成され得る。一例では、SNRは、ノイズ低減位相ベクトルの画像の2次元(2D)中央値として合成位相画像を生成することによって増加され得る。他の例では、たとえば、2D平均値、主成分分析、スペクトルベース法、および機械学習ベースの演算を含む、合成位相画像を生成するために異なる技法が利用されてもよい。
【0081】
各位相ベクトルに関連する合成位相画像は、次いで一緒に組み合わせられて、116において合成単一周期画像シリーズを生成する。
118において、合成単一周期画像シリーズを利用して、1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーが計算される。酸素灌流バイオマーカーを計算することは、たとえば、心筋組織を分離し、これがセグメント化された画像シリーズを生成するように、合成単一周期画像シリーズの各位相をセグメント化すること、およびセグメント化された画像シリーズを利用して1つまたは複数の酸素灌流バイオマーカーを計算することによって行われ得る。合成単一周期画像シリーズの画像をセグメント化することは、心筋組織を分離するように訓練された機械学習システムによって、または手作業の心筋組織画定によって行われ得る。
【0082】
118において計算されるバイオマーカー酸素灌流は、時間の経過によるすべての信号強度値の合計である経時的全信号強度、時間の経過による増加信号強度値の合計である酸素化、時間の経過による減少信号強度値の合計である脱酸素化、酸素負荷累積割る酸素フラッシュ消失(oxygen flush dissipation)の除算である、酸素化の脱酸素化に対する比、酸素負荷累積と酸素フラッシュ消失との差である、酸素化の脱酸素化に対する差、時間の経過による増加信号強度値の一次導関数、すなわち速度、および/または2次導関数(すなわち、加速度)であることがある酸素化反応速度、時間の経過による減少信号強度値の1次導関数、すなわち速度、および/または2次導関数(すなわち、加速度)であることがある脱酸素化反応測度、酸素化反応測度の脱酸素化反応測度に対する比、酸素化反応測度の脱酸素化反応測度に対する差、EDにおける信号強度のESにおける信号強度に対する比である、拡張終期(ED)の収縮終期(ES)に対する信号強度比、EDにおける信号強度とESにおける信号強度の差である、EDとESの差、時間の経過による信号強度の統計的分散である、酸素総分散量、血管機能変化、または呼吸に関係する血管機能変化のうちの1つまたは複数を含んでもよい。これらのバイオマーカーは、能動的呼吸の間に取得される画像からのみ決定できる。これらのバイオマーカーは、能動的呼吸の間に取得される画像データにおける内因ノイズ(intrinsic noise)のために、以前の画像処理技法を利用して取得することができない。
【0083】
118において計算される酸素灌流バイオマーカーに加えて、1つまたは複数の機能的バイオマーカーが、合成単一周期画像シリーズを利用して計算され得る。合成単一周期画像シリーズから計算される機能的バイオマーカーは、たとえば、心室腔重心に対する心筋組織変位である、半径方向のストレイン、動径ベクトル心室腔重心の法線に対する心筋組織変位である、円周方向のストレイン、最小心室腔面積割る最大心室腔面積の比である駆出率、または、ED壁厚とES壁厚との差である収縮期壁肥厚のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0084】
本開示の実施形態は、いずれかの呼吸状態、または呼吸状態の組み合わせの下で取得されたCINE BOLD CMR画像が、心筋の灌流の分析に利用されるように、アーチファクトおよびノイズを除去するための、ならびにSNRを高めるための、CINE BOLD CMR画像の処理を提供する。WMD演算、およびいくつかの実施形態ではWMD演算に続くMD演算が、たとえば、画像取得中の個人の物理的な動きによって引き起こされるアーチファクトを、CINE BOLD CMR画像から除去するために利用される。さらに、合成単一周期画像シリーズが、WMD演算、およびいくつかの実施形態ではさらにMD演算から生成された低ランクの画像成分から構築され、SNRを高める。いくつかの実施形態では、アーチファクト抑制およびSNRの向上は、WMD演算の前に各位相ベクトルの画像を空間的に位置合わせすることによって高められる。たとえば、画像取得中の呼吸による患者の物理的な動きによって引き起こされるノイズを除去することによって、以前の技法を利用して取得することができない上記のバイオマーカーを取得することができる。
【0085】
前述の説明では、説明の目的で、実施形態の完全な理解を実現するために、多数の詳細が示されている。しかしながら、これらの特定の詳細は必要とされないことは、当業者には明らかであろう。他の例では、よく知られている電気的構造および回路が、理解を不明瞭にしないようにブロック図の形態で示されている。たとえば、本明細書で説明する実施形態がソフトウェアルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして実装されるかどうかに関して、特定の詳細は提供されない。
【0086】
本開示の実施形態は、機械可読媒体(コンピュータ可読プログラムコードをその中に組み入れたコンピュータ可読媒体、プロセッサ可読媒体、またはコンピュータ使用可能媒体とも呼ばれる)に記憶されたコンピュータプログラム製品として表すことができる。機械可読媒体は、ディスケット、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、メモリデバイス(揮発性もしくは不揮発性)、または同様の記憶機構を含む、磁気的、光学的、または電気的記憶媒体を含む、何らかの好適な有形の、非一時的媒体とすることができる。機械可読媒体は、実行されると、プロセッサに本開示の実施形態による方法のステップを行わせる、命令、コードシーケンス、構成情報、または他のデータの様々なセットを含むことができる。説明した実装形態を実装するために必要な他の命令および動作が機械可読媒体に記憶される可能性もあることは、当業者には理解されよう。機械可読媒体に記憶された命令は、プロセッサまたは他の好適な処理デバイスによって実行可能であり、記述されたタスクを行うために回路とインターフェースすることができる。
【0087】
上記で説明した実施形態は、例にすぎないものとする。本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ定義される範囲から逸脱することなく、当業者によって特定の実施形態に変更、修正、および変形がもたらされることがある。
【符号の説明】
【0088】
200 行列
202,204,206,208 画像シリーズ
210,212,214,216,218,220,222 位相ベクトル
224 非剛体レジストレーション
226 アーチファクト抑制およびSNRブースト
302 位相ベクトル
304 画像
306 窓
308 SVD演算
400 低ランクの画像成分
402 SVD演算
404 行列
406 再構築
408 ノイズ低減位相ベクトル
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】