(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】呼吸器と空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
A62B 7/10 20060101AFI20231219BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20231219BHJP
A62B 23/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A62B7/10
A62B18/02 Z
A62B23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527252
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021126598
(87)【国際公開番号】W WO2022089465
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523160298
【氏名又は名称】アールエイチティー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RHT LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 208-209, 2/F., Wireless Center, No. 3 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Pak Shek Kok, Shatin, N.T., Hong Kong (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ルディ チ ケウン
(72)【発明者】
【氏名】ジン, カ ウアイ
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA02
2E185CA03
2E185CB09
2E185CB18
(57)【要約】
呼吸器(100)であって、マスク(130)と、濾過材料を含む多孔質フィルタ(230)と、多孔質フィルタ(230)及びマスク(130)と流体的に連通している気流システム(120)と、少なくとも一つの酸化剤を生成する酸化剤発生器(850)とを含む。気流システム(120)は、密閉コンテナ(121)と、密閉コンテナ(121)内に収容される送風機(310)とを含む。気流システム(120)は、周囲空気が多孔質フィルタ(230)を通過して前記マスク(130)に到達するように空気流を生成する。空気流における少なくとも一つの汚染物は多孔質フィルタ(230)により吸着され、濾過材料は酸化剤と汚染物との酸化反応を触媒して、多孔質フィルタ(230)上での汚染物の分解を促進する。別の態様によれば、空気浄化システムを提供し、この空気浄化システムは、少なくとも一つの呼吸器(100)と浄化装置(800)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器であって、
i)マスクと、
ii)濾過材料を含む多孔質フィルタと、
iii)気流システムであって、前記気流システムは、前記多孔質フィルタ及び前記マスクと流体的に連通しており、前記気流システムは、
(a)密閉コンテナと、
(b)前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含み、
ここで、前記気流システムは、周囲空気が前記多孔質フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される気流システムと、
iv)少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器とを含み、
ここで、前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着されるとともに、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での前記汚染物の分解を促進する、呼吸器。
【請求項2】
前記酸化剤発生器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項3】
前記濾過材料は、前記汚染物と前記酸化剤の吸着を許容する穴径を有する、請求項1又は2に記載の呼吸器。
【請求項4】
前記濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項5】
前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる機械式フィルタをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項6】
前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである、請求項5に記載の呼吸器。
【請求項7】
前記酸化剤発生器は、オゾン発生器であるとともに、前記酸化剤は、オゾンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項8】
前記気流システムは、前記密閉コンテナを前記マスクに接続するパイプをさらに含み、前記空気流が前記パイプを通過するようにする、請求項1から7のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項9】
前記マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含み、ここで、前記パイプは、前記マスク吸気弁を介して前記密閉コンテナを前記マスクに接続するとともに、前記マスク吸気弁は、空気を一方向に前記マスク内に流入させるためのものとして構成される、請求項8に記載の呼吸器。
【請求項10】
前記気流システムは、前記マスクを前記密閉コンテナに接続する第2のパイプをさらに含むとともに、前記マスクのマスク排気弁は、前記第2のパイプに接続されるとともに、空気を前記マスクから一方向に流出させるためのものとして構成される、請求項9に記載の呼吸器。
【請求項11】
電力を提供して前記気流システムと前記酸化剤発生器を操作する電池をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項12】
前記多孔質フィルタと前記電池は、取り外し可能なフィルタボックス内に収容されるとともに、前記密閉コンテナは、前記取り外し可能なフィルタボックスを受けるためのチャンバをさらに含む、請求項11に記載の呼吸器。
【請求項13】
前記気流システムは、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、
a)前記気流システムをオン又はオフにすることと、
b)前記空気流の速度を調整することと、
c)前記気流システムにおける背圧を検出することと、
d)前記酸化剤発生器の酸化剤生成速度を制御することと、
e)前記呼吸器の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項14】
空気浄化システムであって、
a)少なくとも一つの呼吸器であって、前記呼吸器は、
i)マスクと、
ii)濾過材料を含む多孔質フィルタと、
iii)気流システムであって、前記気流システムは、前記多孔質フィルタ及び前記マスクと流体的に連通しており、前記気流システムは、
(a)密閉コンテナと、
(b)前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含み、
ここで、前記気流システムは、周囲空気が前記多孔質フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される気流システムとを含む少なくとも一つの呼吸器と、
b)汚れ除去装置であって、前記汚れ除去装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の多孔質フィルタを取り外し可能に受けるように構成され、前記汚れ除去装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む汚れ除去装置とを含み、
ここで、前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着されるとともに、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での前記汚染物の分解を促進する、空気浄化システム。
【請求項15】
前記濾過材料は、前記汚染物と前記酸化剤の両方の吸着を許容する穴径を有する、請求項14に記載の空気浄化システム。
【請求項16】
前記濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む、請求項14に記載の空気浄化システム。
【請求項17】
前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる機械式フィルタをさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項18】
前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである、請求項17に記載の空気浄化システム。
【請求項19】
前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる内蔵式酸化剤発生器をさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項20】
前記呼吸器は、電力を提供して前記気流システムを操作する電池をさらに含む、請求項14から19のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項21】
前記呼吸器は、前記多孔質フィルタと前記電池を収容する取り外し可能なフィルタボックスをさらに含むとともに、前記密閉コンテナは、前記取り外し可能なフィルタボックスを収容するチャンバを含む、請求項20に記載の空気浄化システム。
【請求項22】
前記汚れ除去装置はさらに、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される、請求項20又は21に記載の空気浄化システム。
【請求項23】
前記汚れ除去装置は、気流を前記多孔質フィルタに案内するように構成される送風機をさらに含む、請求項14から22のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項24】
空気浄化システムであって、
a)少なくとも一つの呼吸器であって、前記呼吸器は、
i)マスクと、
ii)機械式フィルタと、
iii)気流システムであって、前記気流システムは、前記機械式フィルタ及び前記マスクと流体的に連通しており、前記気流システムは、
(a)密閉コンテナと、
(b)前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含み、
ここで、前記気流システムは、周囲空気が前記機械式フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される気流システムとを含む少なくとも一つの呼吸器と、
b)汚れ除去装置であって、前記汚れ除去装置は、前記少なくとも一つの呼吸器からの機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成され、前記汚れ除去装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む汚れ除去装置とを含み、
ここで、前記空気流における少なくとも一つの病原体は前記機械式フィルタにより捕獲されるとともに、前記酸化剤は、前記機械式フィルタ上での前記病原体の消毒を促進する、空気浄化システム。
【請求項25】
前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである、請求項24に記載の空気浄化システム。
【請求項26】
前記呼吸器は、電力を提供して前記気流システムを操作する電池をさらに含む、請求項24又は25に記載の空気浄化システム。
【請求項27】
前記呼吸器は、前記機械式フィルタと前記電池を収容するための取り外し可能なフィルタボックスをさらに含むとともに、前記密閉コンテナは、前記取り外し可能なフィルタボックスを受けるためのケーシングチャンバをさらに含む、請求項25に記載の空気浄化システム。
【請求項28】
前記汚れ除去装置はさらに、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される、請求項26又は27に記載の空気浄化システム。
【請求項29】
前記酸化剤発生器は、オゾン発生器であるとともに、前記酸化剤は、オゾンである、請求項24から28のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項30】
前記気流システムは、前記密閉コンテナを前記マスクに接続するパイプをさらに含み、前記空気流が前記パイプを通過するようにする、請求項24から29のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項31】
前記マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含み、ここで、前記パイプは、前記マスク吸気弁を介して前記密閉コンテナを前記マスクに接続するとともに、前記マスク吸気弁は、空気を一方向に前記マスク内に流入させるためのものとして構成される、請求項30に記載の空気浄化システム。
【請求項32】
前記気流システムは、前記マスクを前記密閉コンテナに接続する第2のパイプをさらに含むとともに、前記マスクのマスク排気弁は、前記第2のパイプに接続されるとともに、空気を前記マスクから一方向に流出させるためのものとして構成される、請求項31に記載の空気浄化システム。
【請求項33】
空気浄化システムであって、
a)少なくとも一つの呼吸器であって、前記呼吸器は、
i)マスクと、
ii)少なくとも一つのフィルタと再充電可能な電池とを含む取り外し可能なフィルタボックスであって、前記少なくとも一つのフィルタは、機械式フィルタ又は濾過材料を含む多孔質フィルタである取り外し可能なフィルタボックスと、
iii)気流システムであって、前記気流システムは、前記取り外し可能なフィルタボックス及び前記マスクと流体的に連通しており、前記気流システムは、
a.密閉コンテナと、
b.前記密閉コンテナ上に設置される吸気口と排気口と、
c.前記取り外し可能なフィルタボックスを収容するための、前記密閉コンテナにおけるチャンバと、
d.前記密閉コンテナ内に収容される送風機であって、前記送風機は、周囲空気が前記取り外し可能なフィルタボックスを通過し、前記フィルタを通過して、前記排気口に到達し、前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される送風機と、
e.前記密閉コンテナの排気口と前記マスクを接続するパイプとを含む気流システムとを含む少なくとも一つの呼吸器と、
b)汚れ除去装置であって、前記汚れ除去装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成され、前記汚れ除去装置は、
i)前記少なくとも一つの呼吸器の取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成される少なくとも一つのフィルタケージと、
ii)気流を前記取り外し可能なフィルタボックスに案内するように構成される送風機と、
iii)少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器と、
iv)電流を提供して前記電池を再充電するように構成される充電ユニットとを含む汚れ除去装置とを含み、
ここで、前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着され、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での前記汚染物の分解を促進する、空気浄化システム。
【請求項34】
前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記取り外し可能なフィルタボックスの前に位置決めされる内蔵式酸化剤発生器をさらに含む、請求項33に記載の空気浄化システム。
【請求項35】
前記マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含み、ここで、前記マスク吸気弁は、前記パイプに接続されるとともに、空気を一方向に前記マスク内に流入させるためのものとして構成される、請求項33又は34に記載の空気浄化システム。
【請求項36】
前記気流システムは、前記マスクから前記密閉コンテナへの空気の流れを可能にするために前記マスクを前記密閉コンテナに接続する第2のパイプをさらに含むとともに、前記マスクのマスク排気弁は、前記第2のパイプと接続されるとともに、空気を一方向に前記密閉コンテナ内に流入させるためのものとして構成される、請求項35に記載の空気浄化システム。
【請求項37】
前記少なくとも一つのフィルタケージは、複数のモジュール化フィルタカートリッジとして構成され、前記フィルタカートリッジは、互いに取り外し可能に接続されるとともに互いに流体的に連通しており、ここで、各モジュール化フィルタカートリッジは、一つのフィルタケージを受けるように構成される、請求項33から36のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項38】
前記気流システムは、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、
a)前記気流システムをオン又はオフにすることと、
b)前記空気流の速度を調整することと、
c)前記気流システムにおける背圧を検出することと、
d)前記酸化剤発生器の酸化剤生成速度を制御することと、
e)前記呼吸器の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される、請求項33から37のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項39】
濾過材料を含む多孔質フィルタ及びマスクと流体的に連通している気流システムによって使用者に浄化空気を提供する方法であって、
i)前記気流システムによって、前記多孔質フィルタを通過して前記マスクへ流れる空気流を生成するステップであって、前記多孔質フィルタは、前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着して前記浄化空気を生成するステップと、
ii)酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成するステップとを含み、
ここで、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での前記汚染物の分解を促進することができる、方法。
【請求項40】
請求項14又は33に記載の空気浄化システムを使用して濾過材料を含む多孔質フィルタを再生させる方法であって、
i)前記呼吸器の気流システムにより空気流を生成し、前記空気流が前記多孔質フィルタを通過することで、前記濾過材料が前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着するようにするステップと、
ii)酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成することで、前記少なくとも一つの汚染物を前記多孔質フィルタ上で分解させるステップと、
iii)前記濾過材料によって前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での前記汚染物の分解を促進することによって、前記多孔質フィルタを再生させるステップとを含む、方法。
【請求項41】
請求項24に記載の空気浄化システムを使用して機械式フィルタを消毒する方法であって、
i)前記機械式フィルタを、酸化剤発生器を含む汚れ除去装置内に挿入するステップと、
ii)前記汚れ除去装置の酸化剤発生器により少なくとも一つの酸化剤を生成して、少なくとも一つの病原体を前記機械式フィルタ上で消毒することによって、前記機械式フィルタに対する安全な処置を確保するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月1日に提出された米国仮特許出願第63/198,651号の優先権と利益を主張する。前述した出願の内容の全ては、ここで全ての目的で参照により全文として本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、呼吸器に関し、具体的には一つ又は複数のフィルタを利用して汚染された空気を浄化する呼吸器に関する。
【背景技術】
【0003】
個人用防護設備、例えば防毒マスクと防護服は、様々な有害な化学的又は生物学的汚染物の影響から使用者を保護するのに非常に有用である。しかしながら、これらの個人用防護設備は一般的には、限られた期間内に単回使用のために設計される。なお、これらの個人用防護設備は汚染されやすく、清浄と処置が特に煩わしく、且つ費用が高い。
【発明の概要】
【0004】
上記背景に鑑み、本発明の目的は、汚染された空気の影響から使用者を保護することができる改良した個人用防護設備を提供することである。
【0005】
そのため、例示的な実施例は、呼吸器であり、前記呼吸器は、マスクと、濾過材料を含む多孔質フィルタと、前記多孔質フィルタ及び前記マスクと流体的に連通している気流システムと、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器とを含む。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含む。前記気流システムは、周囲空気が前記多孔質フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着されるとともに、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。
【0006】
別の態様によれば、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、少なくとも一つの呼吸器と浄化装置とを含む。前記少なくとも一つの呼吸器は、マスクと、濾過材料を含む多孔質フィルタと、前記多孔質フィルタ及び前記マスクと流体的に連通している気流システムとを含む。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含む。前記気流システムは、周囲空気が前記多孔質フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の多孔質フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む。前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着されるとともに、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。
【0007】
別の態様によれば、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、少なくとも一つの呼吸器と浄化装置とを含む。前記少なくとも一つの呼吸器は、マスクと、機械式フィルタと、前記機械式フィルタ及び前記マスクと流体的に連通している気流システムとを含む。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含む。前記気流システムは、周囲空気が前記機械式フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む。前記空気流における少なくとも一つの病原体は前記機械式フィルタにより捕獲されるとともに、前記酸化剤は、前記機械式フィルタ上での前記病原体の消毒を促進する。
【0008】
別の態様によれば、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、少なくとも一つの呼吸器と浄化装置とを含む。前記少なくとも一つの呼吸器は、マスクと、取り外し可能なフィルタボックスと、前記取り外し可能なフィルタボックス及び前記マスクと流体的に連通している気流システムとを含む。前記マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含む。取り外し可能なフィルタボックスは、少なくとも一つのフィルタと再充電可能な電池とを含む。前記少なくとも一つのフィルタは、機械式フィルタ又は濾過材料を含む多孔質フィルタである。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ上に設置される吸気口と排気口と、前記密閉コンテナにおける、前記取り外し可能なフィルタボックスを収容するためのチャンバと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機と、パイプとを含む。前記送風機は、周囲空気が前記取り外し可能なフィルタボックスを通過し、前記フィルタを通過して、前記排気口に到達し、前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記パイプは、前記密閉コンテナの排気口と前記マスクを接続する。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成される少なくとも一つのフィルタケージと、気流を前記取り外し可能なフィルタボックスに案内するように構成される送風機と、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器と、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される充電ユニットとを含む。前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着される。前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。前記酸化剤は、前記汚染物を酸化して、前記汚染物の前記取り外し可能なフィルタボックスにおける分解を促進する。
【0009】
いくつかの実施例では、前記濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる機械式フィルタをさらに含む。いくつかの実施例では、前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである。
【0011】
いくつかの実施例では、前記酸化剤発生器は、オゾン発生器であるとともに、前記酸化剤は、オゾンである。
【0012】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、電力を提供して前記気流システムと前記酸化剤発生器を操作する電池をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記多孔質フィルタと前記電池は、取り外し可能なフィルタボックス内に収容されるとともに、前記密閉コンテナは、前記取り外し可能なフィルタボックスを受けるためのチャンバをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記浄化装置はさらに、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記浄化装置は、気流を前記多孔質フィルタに案内するように構成される送風機をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記気流システムは、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、(a)前記気流システムをオン又はオフにすることと、(b)前記空気流の速度を調整することと、(c)前記気流システムにおける背圧を検出することと、(d)前記酸化剤発生器の酸化剤生成速度を制御すること、(e)前記呼吸器の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される。
【0017】
別の態様によれば、濾過材料を含む多孔質フィルタ及びマスクと流体的に連通している気流システムによって使用者に純化空気を提供する方法を提供する。前記方法は、(i)前記気流システムによって、前記多孔質フィルタを通過して前記マスクへ流れる空気流を生成するステップであって、前記多孔質フィルタは、前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着して前記純化空気を生成するステップと、(ii)酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成するステップとを含む。前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することができる。
【0018】
別の態様によれば、前記空気純化システムを使用して濾過材料を含む多孔質フィルタを再生させる方法を提供し、前記方法は、(i)前記呼吸器の気流システムにより空気流を生成し、前記空気流が前記多孔質フィルタを通過することで、前記濾過材料が前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着するようにするステップと、(ii)酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成することで、前記少なくとも一つの汚染物を前記多孔質フィルタ上で分解させるステップと、(iii)前記濾過材料によって前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することによって、前記多孔質フィルタを再生させるステップとを含む。
【0019】
いくつかの実施例では、前記酸化反応は、単独した浄化装置において完了される。それに応じていくつかの実施例では、前記方法は、前記呼吸器から前記濾過材料を含む前記多孔質フィルタを取り外し、それを前記浄化装置に挿入するステップをさらに含む。
【0020】
別の態様によれば、前記空気純化システムを使用して機械式フィルタを消毒する方法を提供し、前記方法は、(i)前記機械式フィルタを、酸化剤発生器を含む浄化装置内に挿入するステップと、(ii)前記浄化装置の酸化剤発生器により少なくとも一つの酸化剤を生成して、少なくとも一つの病原体を前記機械式フィルタ上で消毒することによって、前記機械式フィルタに対する安全な処置を確保するステップとを含む。
【0021】
本開示の種々の実施例は多くの利点を有する。例えば、いくつかの実施例では、内蔵式酸化剤発生器を有する呼吸器を提供し、前記内蔵式酸化剤発生器は、前記多孔質フィルタに対して浄化と再生を行うことができ、前記呼吸器が、フィルタ交換を行うことなく、より長い期間で使用できるようにする。これにより、有害な汚染物が存在する環境又は室内空間で長時間作業をする場合に呼吸器の使用者を保護することが可能になる。
【0022】
いくつかの実施例では、フィルタは、呼吸器から取り外し可能であるとともに浄化装置を使用して再生された後に繰り返して使用可能である。いくつかの実施例では、フィルタと電池は、単一の取り外し可能なフィルタボックス内に収容されるとともに、浄化装置は、同一の時間でフィルタを再生させ、電池を再充電することができる。そのため、使用者は、最も少ないステップにより必要な交換を容易かつ便利に行うことができ、即ち、呼吸器から使用されたフィルタを取り外し、再充電と再生が行われたフィルタボックスを呼吸器に挿入する。それは、より安価で、より安全で、且つ環境により優しいメンテナンスと操作手順をさらに提供する。
【0023】
いくつかの実施例では、浄化装置は、機械式フィルタにより捕獲される病原体を消毒することができ、それによって使用されたフィルタに対する安全な処置のために低コストの解決案を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】例示的な実施例による呼吸器の斜視図である。
【
図2A】例示的な実施例による取り外し可能なフィルタボックスの斜視図である。
【
図2B】
図2Aに示す同一の例示的な実施例による取り外し可能なフィルタボックスの概略的分解図である。
【
図3】例示的な実施例による気流システムの概略的分解図である。
【
図4A】例示的な実施例によるマスクの概略的上面図である。
【
図4B】
図4Aに示す同一の例示的な実施例によるマスクの概略的分解図である。
【
図5】例示的な実施例による呼吸器の斜視図である。
【
図6】例示的な実施例による気流システムの斜視図である。
【
図7A】例示的な実施例によるマスクの斜視図である。
【
図7B】
図7Aに示す同一の例示的な実施例によるマスクの概略的分解図である。
【
図8A】例示的な実施例による浄化装置の斜視図である。
【
図8B】
図8Aに示す同一の例示的な実施例による浄化装置の概略的分解図である。
【
図9A】例示的な実施例による浄化装置の斜視図である。
【
図9B】
図9Aに示す同一の例示的な実施例による浄化装置の概略的分解図である。
【
図10】例示的な実施例による気流システムによって使用者に純化空気を提供する方法を示す。
【
図11】例示的な実施例による上述した空気純化システムを使用して多孔質フィルタを再生させる方法を示す。
【
図12】例示的な実施例による上述した空気純化システムを使用して機械式フィルタを消毒する方法を示す。
【
図13A】例示的な実施例による呼吸器1を用いて行われたテストにおけるPM10とPM2.5濃度の百分率(%)のそれぞれの経時変化を示すグラフである。
【
図13B】
図13Aにつづき、例示的な実施例による呼吸器1を用いて行われたテストにおけるPM10とPM2.5濃度の百分率(%)のそれぞれの経時変化を示すグラフである。
【
図14A】例示的な実施例による呼吸器2を用いて行われたテストにおけるPM10とPM2.5濃度の百分率(%)のそれぞれの経時変化を示すグラフである。
【
図14B】
図14Aにつづき、例示的な実施例による呼吸器2を用いて行われたテストにおけるPM10とPM2.5濃度の百分率(%)のそれぞれの経時変化を示すグラフである。
【
図15】
図13Aと
図13Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器1を用いて行われたテストにおけるアセトン濃度の百分率(%)の経時変化を示すグラフである。
【
図16】
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器2を用いて行われたテストにおけるアセトン濃度の百分率(%)の経時変化を示すグラフである。
【
図18A】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的実施例による呼吸器2の臭気除去能力の方面での得点分布を示す円グラフである。
【
図18B】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器2のマスクの快適性と柔軟性の方面での得点分布を示す円グラフである。
【
図18C】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器の電池の耐用年数の方面での得点分布を示す円グラフである。
【
図18D】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器2の大きさと重量の方面での得点分布を示す円グラフである。
【
図18E】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器2の正圧気流設計の方面での得点分布を示す円グラフである。
【
図18F】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的実施例による呼吸器2の制御インタフェースの使いやすさと使用者友好度の方面での得点分布を示す円グラフである。
【
図18G】使用者による、
図14Aと
図14Bに示す同一の例示的な実施例による呼吸器2のフィルタを清浄又は交換するための手順の方面での得点分布を示す円グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書と請求項で使用されるように、「含む(comprising)」は、以下の要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味する。
【0026】
本明細書と特許請求の範囲で使用されるように、「流体的に連通される」は、二つ又は複数の部材の配置により、流体(例えばガス)が一つの部材から別の部材へ移動することができ、これらの部材が直接又は間接に互いに接続されることを指す。いくつかの実施例では、流体的に連通されることは、一つの部材に接続された別の部材から圧力差によって流体が移動できる能力を指す。
【0027】
本明細書と請求項で使用されるように、「密閉」は、空気の出入りを許容する一つ又は複数の開口を除いて少なくとも部分的に気密になっている構造状態を指す。
【0028】
本明細書と請求項で使用されるように、「汚染物」は、空気のいくつかの潜在的な有害又は刺激性元素を指す。汚染物の例は、CO、煙、エアゾール、TVOC(総揮発性有機化合物)、興味のある特定のVOC、ホルムアルデヒド、アルカノール、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、脂肪族炭化水素化合物、NO、NOX、SOX、SO2、硫化水素、塩素、亜酸化窒素、メタン、炭化水素化合物、アンモニア、冷媒ガス及び他の有毒ガスを含むが、それらに限らない。
【0029】
本明細書と特許請求の範囲で使用されるように、「病原体」は、被験者に関連したり、疾患又は状況を引き起こしたりするいかなる生体又は分子を指す。病原体の例は、ウイルス、真菌、細菌、寄生虫、古細菌、マイコプラズマ、寄生生物及び他の感染性生体又はその分子を含むが、それらに限らない。いくつかの実施例では、病原体は、人間の健康に悪影響を及ぼすいかなる生体又は分子、例えばアレルギー反応、体の痛み、かゆみ、肥満、代謝率の低下、メタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、神経退行性疾患、認知障害、気分障害、ストレスと不安障害を引き起こす薬剤を含む。
【0030】
本明細書と特許請求の範囲で使用されるように、「多孔質フィルタ」は、濾過材料を含むフィルタを指す。総空隙率と穴径は、濾過材料によって変わってもよい。いくつかの実施例では、濾過材料は酸化剤と汚染物との酸化反応を触媒して、多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することもできる。
【0031】
本明細書と請求項で使用されるように、「機械式フィルタ」は、フィルタにおける微粒子よりも小さい穴を持つことで微粒子の通過を防ぐフィルタを指す。機械式フィルタの例は、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタと超低透過率エア(ULPA)フィルタを含む。いくつかの実施例では、機械式フィルタは、微粒子と病原体の通過を防ぐことができる。
【0032】
理解すべきこととして、用語である「第1の」、「第2の」、「第3の」などは、本明細書では様々な制限、素子、部材、領域、層及び/又はセグメントを記述するために用いられてもよいが、これらの制限、素子、部材、領域、層及び/又はセグメントはこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、一つの制限、素子、部材、領域又はセグメントと、別の制限、素子、部材、領域、層又はセグメントとを区別するためにのみ用いられる。そのため、本出願の教示を逸脱することなく、以下に検討される第1の制限、素子、部材、領域、層又はセグメントは、第2の制限、素子、部材、領域、層又はセグメントと呼ばれてもよい。
【0033】
さらに理解できるように、素子が「前」、「後ろ」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」などと呼ばれるとき、これらの用語は説明を容易にするために素子の間の相対的位置を記述するために用いられるので、例示的な実施形態を制限しない。
【0034】
いくつかの実施例では、呼吸器を提供し、前記呼吸器は、マスクと、濾過材料を含む多孔質フィルタと、前記多孔質フィルタ及び前記マスクと流体的に連通している気流システムと、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器とを含む。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含む。前記気流システムは、周囲空気が前記多孔質フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着されるとともに、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。
【0035】
いくつかの実施例では、酸化剤発生器は、空気流の方向に沿って多孔質フィルタの前に位置決めされる。
【0036】
いくつかの実施例では、濾過材料は、汚染物と酸化剤の吸着を許容する穴径を有する。
【0037】
いくつかの実施例では、前記濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む。
【0038】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる機械式フィルタをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施例では、前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである。
【0040】
いくつかの実施例では、前記酸化剤発生器は、オゾン発生器であるとともに、前記酸化剤は、オゾンである。
【0041】
いくつかの実施例では、前記気流システムは、密閉コンテナをマスクに接続するパイプをさらに含み、前記空気流が前記パイプを通過するようにする。
【0042】
いくつかの実施例では、マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含み、ここで、パイプは、マスク吸気弁を介して密閉コンテナをマスクに接続するとともに、マスク吸気弁は、空気を一方向にマスク内に流入させるためのものとして構成される。
【0043】
いくつかの実施例では、気流システムは、マスクを密閉コンテナに接続する第2のパイプをさらに含むとともに、マスクのマスク排気弁は、第2のパイプに接続されるとともに、空気をマスクから一方向に流出させるためのものとして構成される。
【0044】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、電力を提供して前記気流システムと前記酸化剤発生器を操作する電池をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施例では、前記多孔質フィルタと前記電池は、取り外し可能なフィルタボックス内に収容されるとともに、前記密閉コンテナは、前記取り外し可能なフィルタボックスを受けるためのチャンバをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施例では、前記気流システムは、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、
a)前記気流システムをオン又はオフにすることと、
b)前記空気流の速度を調整することと、
c)前記気流システムにおける背圧を検出することと、
d)前記酸化剤発生器の酸化剤生成速度を制御することと、
e)前記呼吸器の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される。
【0047】
いくつかの実施例では、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、少なくとも一つの呼吸器と浄化装置とを含む。前記少なくとも一つの呼吸器は、マスクと、濾過材料を含む多孔質フィルタと、前記多孔質フィルタ及び前記マスクと流体的に連通している気流システムとを含む。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含む。前記気流システムは、周囲空気が前記多孔質フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の多孔質フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む。前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着されるとともに、前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。
【0048】
いくつかの実施例では、濾過材料は、汚染物と酸化剤の両方の吸着を許容する穴径を有する。
【0049】
いくつかの実施例では、前記濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む。
【0050】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる機械式フィルタをさらに含む。
【0051】
いくつかの実施例では、前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである。
【0052】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記多孔質フィルタの前に位置決めされる内蔵式酸化剤発生器をさらに含む。
【0053】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、電力を提供して前記気流システムを操作する電池をさらに含む。
【0054】
いくつかの実施例では、呼吸器は、多孔質フィルタと電池を収容する取り外し可能なフィルタボックスをさらに含むとともに、密閉コンテナは、取り外し可能なフィルタボックスを収容するチャンバ を含む。
【0055】
いくつかの実施例では、前記浄化装置はさらに、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される。
【0056】
いくつかの実施例では、前記浄化装置は、気流を前記多孔質フィルタに案内するように構成される送風機をさらに含む。
【0057】
いくつかの実施例では、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、少なくとも一つの呼吸器と浄化装置とを含む。前記少なくとも一つの呼吸器は、マスクと、機械式フィルタと、前記機械式フィルタ及び前記マスクと流体的に連通している気流システムとを含む。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機とを含む。前記気流システムは、周囲空気が前記機械式フィルタを通過して前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む。前記空気流における少なくとも一つの病原体は前記機械式フィルタにより捕獲されるとともに、前記酸化剤は、前記機械式フィルタ上での前記病原体の消毒を促進する。
【0058】
いくつかの実施例では、前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである。
【0059】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、電力を提供して前記気流システムを操作する電池をさらに含む。
【0060】
いくつかの実施例では、呼吸器は、機械式フィルタと電池を収容するための取り外し可能なフィルタボックスをさらに含むとともに、密閉コンテナは、取り外し可能なフィルタボックスを受けるためのケーシングチャンバ をさらに含む。
【0061】
いくつかの実施例では、前記浄化装置はさらに、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される。
【0062】
いくつかの実施例では、前記酸化剤発生器は、オゾン発生器であるとともに、前記酸化剤は、オゾンである。
【0063】
いくつかの実施例では、前記気流システムは、密閉コンテナをマスクに接続するパイプをさらに含み、前記空気流が前記パイプを通過するようにする。
【0064】
いくつかの実施例では、マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含み、ここで、パイプは、マスク吸気弁を介して密閉コンテナをマスクに接続するとともに、マスク吸気弁は、空気を一方向にマスク内に流入させるためのものとして構成される。
【0065】
いくつかの実施例では、気流システムは、マスクを密閉コンテナに接続する第2のパイプをさらに含むとともに、マスクのマスク排気弁は、第2のパイプに接続されるとともに、空気をマスクから一方向に流出させるためのものとして構成される。
【0066】
いくつかの実施例では、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、少なくとも一つの呼吸器と浄化装置とを含む。前記少なくとも一つの呼吸器は、マスクと、取り外し可能なフィルタボックスと、前記取り外し可能なフィルタボックス及び前記マスクと流体的に連通している気流システムとを含む。前記マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含む。取り外し可能なフィルタボックスは、少なくとも一つのフィルタと再充電可能な電池とを含む。前記少なくとも一つのフィルタは、機械式フィルタ又は濾過材料を含む多孔質フィルタである。前記気流システムは、密閉コンテナと、前記密閉コンテナ上に設置される吸気口と排気口と、前記密閉コンテナにおける、前記取り外し可能なフィルタボックスを収容するためのチャンバと、前記密閉コンテナ内に収容される送風機と、パイプとを含む。前記送風機は、周囲空気が前記取り外し可能なフィルタボックスを通過し、前記フィルタを通過して、前記排気口に到達し、前記マスクに到達するように空気流を生成するように構成される。前記パイプは、前記密閉コンテナの排気口と前記マスクを接続する。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、前記少なくとも一つの呼吸器の取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成される少なくとも一つのフィルタケージと、気流を前記取り外し可能なフィルタボックスに案内するように構成される送風機と、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器と、電流を提供して前記電池を再充電するように構成される充電ユニットとを含む。前記空気流における少なくとも一つの汚染物は前記多孔質フィルタにより吸着される。前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。前記酸化剤は、前記汚染物を酸化して、前記汚染物の前記取り外し可能なフィルタボックスにおける分解を促進する。
【0067】
いくつかの実施例では、前記呼吸器は、前記空気流の方向に沿って前記取り外し可能なフィルタボックスの前に位置決めされる内蔵式酸化剤発生器をさらに含む。
【0068】
いくつかの実施例では、マスクは、マスク吸気弁とマスク排気弁とを含み、ここで、マスク吸気弁は、パイプに接続されるとともに、空気を一方向にマスク内に流入させるためのものとして構成される。
【0069】
いくつかの実施例では、気流システムは、マスクから密閉コンテナへの空気の流れを可能にするためにマスクと密閉コンテナを接続する第2のパイプをさらに含むとともに、マスクのマスク排気弁は、第2のパイプに接続されるとともに、空気を一方向に密閉コンテナ内に流入させるためのものとして構成される。
【0070】
いくつかの実施例では、少なくとも一つのフィルタケージは、複数のモジュール化フィルタカートリッジとして構成され、前記フィルタカートリッジは、互いに取り外し可能に接続されるとともに互いに流体的に連通しており、ここで、各モジュール化フィルタカートリッジは、一つのフィルタケージを受けるように構成される。
【0071】
いくつかの実施例では、前記気流システムは、制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは、(a)前記気流システムをオン又はオフにすることと、(b)前記空気流の速度を調整することと、(c)前記気流システムにおける背圧を検出することと、(d)前記酸化剤発生器の酸化剤生成速度を制御すること、(e)前記呼吸器の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される。
【0072】
いくつかの実施例では、濾過材料を含む多孔質フィルタ及びマスクと流体的に連通している気流システムによって使用者に純化空気を提供する方法を提供する。前記方法は、(i)前記気流システムによって、前記多孔質フィルタを通過して前記マスクへ流れる空気流を生成するステップであって、前記多孔質フィルタは、前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着して前記純化空気を生成するステップと、(ii)酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成するステップとを含む。前記濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することができる。
【0073】
いくつかの実施例では、前記空気純化システムを使用して濾過材料を含む多孔質フィルタを再生する方法を提供し、前記方法は、(i)前記呼吸器の気流システムにより空気流を生成し、前記空気流が前記多孔質フィルタを通過することで、前記濾過材料が前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着するようにするステップと、(ii)酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成することで、前記少なくとも一つの汚染物を前記多孔質フィルタ上で分解させるステップと、(iii)前記濾過材料によって前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することによって、前記多孔質フィルタを再生させるステップとを含む。
【0074】
いくつかの実施例では、前記空気純化システムを使用して機械式フィルタを消毒する方法を提供し、前記方法は、(i)前記機械式フィルタを、酸化剤発生器を含む浄化装置内に挿入するステップと、(ii)前記浄化装置の酸化剤発生器により少なくとも一つの酸化剤を生成して、少なくとも一つの病原体を前記機械式フィルタ上で消毒することによって、前記機械式フィルタに対する安全な処置を確保するステップとを含む。
【0075】
以下の記述では、同じ符号を使用して異なる図面の同じ部材を説明する。
【0076】
本明細書では、本開示の内容をより詳細に記述するいくつかの実施例の例を提供する。本明細書による例は、説明のためのものだけであり、いかなる方式で本発明の範囲を制限することを意味するものではない。以下と本出願の他の場所で提供されるすべての参考文献は、ここで参照により本明細書に含まれる。
【0077】
例1
呼吸器
ここで
図1を参照すると、呼吸器100の例示的な実施例が示されている。呼吸器100は、マスク130と、気流システム120と、取り外し可能なフィルタボックス110(一部が示される)とを含む。気流システム120は、取り外し可能なフィルタボックス110及びマスク130と流体的に連通している。気流システム120は、密閉コンテナを含む。本実施例では、密閉コンテナは、ほぼ丸み付け矩形形状を有するコンテナ121である。コンテナ121は、コンテナ121の側表面上で切り出された受け穴123を有するとともに開口端121aが形成される。反対の側表面は、密閉端121bである。記述を容易にするために、密閉端121bは、左側と呼ばれるとともに、開口端121aは、右側と呼ばれる。コンテナ121は、チャンバ122を画定しており、前記チャンバは、受け穴123によって取り外し可能なフィルタボックス110を受けるように構成され、取り外し可能なフィルタボックス110がチャンバ122内に挿入されるときに気流システム120に操作可能に連結される。キャビティ122の形状と大きさは、取り外し可能なフィルタボックス110と合致するように設置されることで、それが挿入されるときにそれらの間のほぼ気密な接続を確保する。気流システム120は、コンテナ121を流体的に連通するようにマスク130に接続するパイプ140をさらに含むことで、コンテナ121からマスク130への空気の流れを実現する。パイプ140は、コンテナ121との接続に適用される第1の端142と、マスク130との接続に適用される第2の端144とを有する。第1の端142と第2の端144の各々に接続リングが組み立てられることで、その該当する部分との接続を確保する。これらの部材の各々は、以下ではより詳細に記述される。
【0078】
いくつかの他の実施例では、呼吸器100は、取り外し可能なフィルタボックス110を有することなく、多孔質フィルタ及び/又は機械式フィルタのみを含んでもよい。多孔質フィルタと機械式フィルタは、以下ではより詳細に記述される。いくつかの実施例では、呼吸器100は、使用者により、コンテナ121に繋がるベルト(図示せず)を介して、又は任意の他の適切な方法でその腰の周りに運ばれてもよい。
【0079】
ここで
図2Aと
図2Bを参照すると、これら二つの図は、
図1の取り外し可能なフィルタボックス110を示す。取り外し可能なフィルタボックス110は、角丸を持つ水平矩形形状を有するとともに、フロントボックス210とリアボックス250とを含み、それらが接合されて取り外し可能なフィルタボックス110を形成する。記述を容易にするために、フロントボックス210に近い側は、前側と呼ばれるとともに、リアボックス250に近い側は、後側と呼ばれる。本実施例では、フロントボックス210は、取り外し可能なフィルタボックス110の前表面210a、後表面(図示せず)、頂表面210b、底表面210c、左側表面210dと反対の右側表面210eを形成する。スプリングロック260は、リアボックス250の右側に設置されて、取り外し可能なフィルタボックス110が
図1に示すコンテナ121のチャンバ122内に挿入されるときにその位置を固定する。
【0080】
本実施例では、取り外し可能なフィルタボックス110は、水平矩形形状のキャビティ212を有する。フロントボックス開口211は、フロントボックス210上に設置されるとともに、リアボックス開口251は、リアボックス250上に設置されることで、空気がキャビティ212を通過することを許容する。取り外し可能なフィルタボックス110は、キャビティ212内に組み立てられる二つのフィルタ220と230を含む。八つの穴を持つセパレータ213は、フロントボックス210上に設置され、キャビティ212を前半部分と後半部分に分けることで、フィルタ220と230をそれぞれ収容する。本実施例では、フィルタ220と230の形状と大きさは、キャビティ212の前半部分と後半部分とそれぞれ合致するように設置されることで、いかなる空気漏れが発生することなく、フィルタがキャビティ212内に緊密に組み立てられることを確保する。フィルタ220は、フロントボックス開口211を介してキャビティ212の前半部分内に組み立てられるとともに、フィルタ230は、リアボックス開口251を介してキャビティ212の後半部分内に組み立てられる。キャビティ212内に組み立てられるとき、フィルタ220と230は互いに並列して配置され、ここで、フィルタ220は前にあるが、フィルタ230は後ろにある。フレーム開口を有するフレーム221は、フィルタ220の前部内に設置されることで、フィルタ220がキャビティ212内に組み立てられるときにフィルタの位置を固定する。いくつかの実施例では、フィルタ220と230は、取り外し可能なフィルタボックス110から取り外され、交換されてもよい。
【0081】
本実施例では、取り外し可能なフィルタボックス110は、電池240をさらに含み、前記電池は、取り外し可能なフィルタボックス110の頂部部分内に収容される。電池240は、棒状形状を有するとともにフィルタ220と230の頂部に水平に位置決めされる。取り外し可能なフィルタボックス110は、取り外し可能なフィルタボックス110の側表面210dに繋がる電気的コネクタ270を含む。電気的コネクタ270は、電池240と電気的に接続される。電池240は、電力を提供して気流システム120(この図に示されていないが、
図3に示される)を操作するように構成される。いくつかの実施例では、電池240は、充電可能及び/又は交換可能なものである。いくつかの実施例では、電池240は、リチウムイオン、リチウムポリマー又は他の高容量電池により製造されてもよい。いくつかの実施例では、電池240の容量は、3200mAhである。いくつかの実施例では、電池240は、完全充電時に少なくとも約4時間の操作をサポートする。
【0082】
本実施例では、フィルタ220は、機械式フィルタであるとともに、フィルタ230は、多孔質フィルタである。いくつかの実施例では、フィルタ220と230はいずれも機械式フィルタである。いくつかの実施例では、フィルタ220と230はいずれも多孔質フィルタである。いくつかの実施例では、取り外し可能なフィルタボックス110は、一つのフィルタ220又は230のみを含む。
【0083】
いくつかの実施例では、前記機械式フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである。前記機械式フィルタは、空気における微粒子と病原体を捕獲することができる。
【0084】
いくつかの実施例では、多孔質フィルタは、少なくとも一つの濾過材料を含む。前記濾過材料は、空気における少なくとも一つの汚染物を吸着することができる。前記濾過材料は少なくとも一つの酸化剤と汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することもできる。濾過材料は、吸着された汚染物と酸化剤を限られた空間内に固定し、活性部位を提供し、活性部位における酸化剤が汚染物とより効果的に反応できる。いくつかの実施例では、濾過材料は、汚染物と酸化剤の両方の吸着を許容する穴径を有し、酸化反応の実行を可能にする。いくつかの実施例では、評価テストを行って特定の空間にどのような汚染物が存在するかを確定した後に、使用される濾過材料のタイプと穴径を確定してもよい。
【0085】
いくつかの実施例では、濾過材料は、少なくとも一つの分子篩を含む。いくつかの実施例では、前記濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む。いくつかの実施例では、ゼオライトは、親水性ゼオライトであり、それは、例えばホルムアルデヒド、アルカノール、ジクロロメタンのような極性汚染物が優位を占める環境で使用される。いくつかの実施例では、ゼオライトは、疎水性ゼオライトであり、それは、例えばトルエン、ベンゼン、脂肪族炭化水素化合物のような非極性汚染物が主導的な地位を占める環境で使用される。
【0086】
いくつかの実施例では、濾過材料は、ゼオライトと相補する穴径を有する結晶多孔質材料を含み、前記材料は、汚染ガス分子を効果的に捕獲する。前記結晶多孔質材料は、遷移金属からなる金属酸化物フレームであってもよい。金属酸化物フレーム内に組み込まれた遷移金属は汚染物の酸化の触媒として働く。
【0087】
ここで
図3を参照すると、それは、
図1に示す気流システム120のコンテナ121とパイプ140の一部の分解図を示す。コンテナ121は、フロントカバー320とリアカバー340とを含み、それらは一体に組み立てられてコンテナ121内にケーシングを形成する。本例示的な実施例では、コンテナ121は、フロントカバー320とリアカバー340との間に位置決めされる中間パネル330をさらに含む。
【0088】
ここで
図1、
図2Aと
図3を参照すると、フロントカバー320と中間パネル330は一体に組み立てられるとき、チャンバ122を画定し、前記チャンバは、取り外し可能なフィルタボックス110を収容するように構成される。
【0089】
気流システム120は、コンテナ121上に設置される少なくとも一つの吸気口と少なくとも一つの排気口を含んでもよい。本実施例では、コンテナ121のフロントカバー320は、八つの穴を吸気口321aから321hとして画定した。ここで
図1、
図2Aと
図3を参照すると、取り外し可能なフィルタボックス110がコンテナ121のチャンバ122内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の前表面210aは、フロントカバー320の吸気口321aから321hに向かい、吸気口からの空気がフィルタボックスを通過することができる。吸気口321aから321hは、周囲空気のコンテナ121への進入、取り外し可能なフィルタボックス110の位置するチャンバ122への進入を許容する。排気口322は、フロントカバー320の頂部に設置される。パイプ140の第1の端142は、排気口322を介してコンテナ121と接続されて、コンテナ121からの空気の流出を許容する。いくつかの実施例では、気流システム120は、四つのコネクタ部分141a、141b、141cと141d(
図3)により形成されるコネクタアセンブリ141を含む。コネクタアセンブリ141は、パイプ140の第1の端142とコンテナ121上の排気口322との間で気密な接続を提供するのに適用される。
【0090】
気流システム120は、コンテナ121内に収容される送風機アセンブリ310を含む。本実施例では、リアカバー340に向けて後ろへ延び且つ形状が送風機アセンブリ310と合致するように設定されるコンセント331は、中間パネル330内に設置されて送風機アセンブリ310をその中に収容する。中間パネル330とリアカバー340が一体に組み立てられるとき、十分な厚さを有する空間を形成して送風機アセンブリ310の少なくとも一部を収容する。
【0091】
送風機アセンブリ310は、円形周辺を有する送風機311と、形状が送風機311の円形周辺を取り囲むように設定される送風機フレーム312とを含むとともに、排気口322に接続される開口313を有する。送風機311は、周囲空気が排気口を通過してコンテナ121に進入し、送風機311に流入し、排気口322に接続される開口313を通過してコンテナ121から離れるとともに、パイプ140を通過してマスク(図示せず)に進入するように空気流を生成するように構成される。
【0092】
ここで
図1、
図2A、
図2Bと
図3を参照すると、取り外し可能なフィルタボックス110がコンテナ121のチャンバ122内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110は、送風機アセンブリ310の直前に位置決めされ、ここでリアボックス開口251は、送風機アセンブリ310の前部に向かう。そのため、送風機311により生成される空気流は、送風機311と排気口322に接続される開口313を流れる前に、取り外し可能なフィルタボックス110内に収容されるフィルタを通過する。
【0093】
いくつかの実施例では、送風機311は、チャンバ122の前部に組み立てられてもよく、取り外し可能なフィルタボックス110がチャンバ122内に挿入されるとき、送風機311を空気流の方向に沿って取り外し可能なフィルタボックス110の前に位置決めさせる。そのため、空気流は、まず送風機311を流れ、そして取り外し可能なフィルタボックス110内に収容されるフィルタを通過し、排気口322に到達する。
【0094】
本実施例では、中間パネル330は、中間パネル330の左端に位置決めされ且つ中間パネル330にほぼ垂直に前部へ延びるサイドパネル332を有することによって、中間パネル330とL字状構造(
図3)を形成する。四つのピン穴334は、サイドパネル332上に設置される。四つの電気的接触ピン372を持つ電気的接続ポート370は、サイドパネル332の左側に繋がり、二つのネジにより固定される。四つの電気的接触ピン372は、四つのピン穴334を貫通し、サイドパネル332の右側から突出する。ここで
図2Bと
図3を参照すると、取り外し可能なフィルタボックス110がコンテナ121内に挿入されるとき、電気的接続ポート370と電気的コネクタ270は並列して位置決めされる。このような配置は、電気的接触ピン372が電気的コネクタ270を介して電池240と電気的に接続されることを許容することで、電力を提供して気流システム120を操作する。
【0095】
いくつかの実施例では、気流システム120は、酸化剤発生器(この図面では示されていない)を含み、前記酸化剤発生器は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される。いくつかの実施例では、酸化剤発生器は、空気流の方向に沿って取り外し可能なフィルタボックス110(図示せず)の前に位置決めされる。いくつかの実施例では、酸化剤発生器は、フロントカバー320の内表面上に取り付けられる。いくつかの実施例では、前記酸化剤発生器は、オゾン発生器であるとともに、前記酸化剤は、オゾンである。いくつかの他の実施例では、酸化剤発生器は、ヒドロキシルラジカル発生器であるとともに、酸化剤は、一つ又は複数のヒドロキシルラジカルである。いくつかの他の実施例では、酸化剤発生器は、イオン発生器であるとともに、酸化剤は、一つ又は複数のイオンである。いくつかの他の実施例では、酸化剤は、オゾン、一つ又は複数のヒドロキシルラジカル、イオン又はそれらの組み合わせである。
【0096】
本実施例では、気流システム120は、フロントカバー320の頂部に設置される制御ユニット351をさらに含む。制御ユニット351は、気流システム120の送風機311と電池240(図示せず)と電気的に接続される。いくつかの実施例では、制御ユニット351は、酸化剤発生器と電気的に接続される。制御ユニット351は、a.気流システム120をオン又はオフにすることと、b.空気流の速度を調整することと、c.気流システム120における背圧を検出し、空気流の速度を該当して調整することと、d.前記酸化剤発生器の酸化剤生成速度を制御することと、e.気流システム120の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される。いくつかの実施例では、送風機311は、空気流の少なくとも一つの所定速度を発生するように構成されるとともに、所定速度は、制御ユニット351によって使用者が選択/調整してもよい。いくつかの実施例では、制御ユニット351は、気流システム120における背圧を検出するために一つ又は複数のセンサを含んでもよい。制御ユニット351は、背圧に基づいて空気流の速度を自動的に調整することができ、それによって気流システム120の安定性を維持する。いくつかの実施例では、制御ユニット351は、特に空気流がフィルタを通過した後に気流システム120における酸化剤レベルをモニタリングするために、一つ又は複数の酸化剤センサを含んでもよい。酸化剤レベルが一定量を超える場合、制御ユニット351は、酸化剤の生成を停止するよう酸化剤発生器に指示することによって、空気流がフィルタを通過した後に酸化剤がないか又は最低レベルしか残っていないことを確保する。これは、マスクに到達する空気流に人間の健康を害する過剰なレベルの酸化剤が含まれないことを確保する。
【0097】
本実施例では、気流システム120は、コンテナ121のフロントカバー320の頂部に設置されるスイッチ353をさらに含む。スイッチ353は、制御ユニット351と電気的に接続されるとともに、気流システム120をオン又はオフするように構成される。いくつかの実施例では、スイッチ353はさらに、空気流の所定速度を選択するように構成される。
【0098】
本実施例では、気流システム120は、コンテナ121のフロントカバー320の頂部に設置され且つ制御ユニット351の頂部に繋がる表示ユニット352をさらに含む。表示ユニット352は、制御ユニット351と電気的に接続されるとともに呼吸器100の状態情報、例えば電池240の残量、送風機311の速度、空気流の速度などを表示するように構成される。いくつかの実施例では、表示ユニット450は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)又は他の種類のディスプレイであってもよい。
【0099】
図4Aと
図4Bは、マスク130及び
図1に示すマスク130と接続されるパイプ140の一部を示す。マスク130は、マスクケース410とマスク本体420とを含む。マスク本体420は、使用者の顔部との接合に適用されるとともに、マスクケース410は、マスク本体420に繋がってマスク本体420に対する支持を提供する。
【0100】
図4Bを参照すると、マスク本体420は、鼻部分424と顔部接触部分422とを含む。顔部接触部分422の形状は、ほぼシールした構造を提供するように設置されることで、使用者の鼻を少なくとも覆い、好ましくは使用者の口も覆う。いくつかの実施例では、鼻部分424と顔部接触部分422は、一体に全体として形成される。いくつかの他の実施例では、鼻部分424と顔部接触部分422は、互いに固定接続される。いくつかの他の実施例では、鼻部分424と顔部接触部分422は、独立した部分であり、それらは互いに離れてもよく、互いに接続されてもよい。いくつかの実施例では、マスク本体420は、シリコン樹脂により製造される。本例示的な実施例では、マスク130は、マスク本体420の鼻部分424の中心に設置される吸入穴428を含む。吸入穴428は、コネクタアセンブリ442を介してパイプ140の第2の端144と取り外し可能に接合される。本例示的な実施例では、コネクタアセンブリ442は、複数のコネクタ部分442a、442bと442cにより形成される。コネクタアセンブリ442は、パイプ140の第2の端144とマスク本体420の吸入穴428との間で気密な接続を提供するのに適用される。本実施例では、マスク本体420は、鼻部分424の各側面上に設置される二つの呼気穴を含む。ここで一つの呼気穴426のみを示すが、理解すべきこととして、鼻部分424の反対側面上に別の呼気穴が存在する。呼気穴426は、マスク排気弁414aに操作可能に連結され、前記マスク排気弁は、空気をマスク130から一方向に流出させるためのものとして構成される。別の呼気穴は、マスク排気弁414bと操作可能に連結され、前記マスク排気弁は、マスク排気弁414aと同じ配置を有する。
【0101】
いくつかの他の実施例では、マスク本体420は、吸入穴428に操作可能に連結されるマスク吸気弁を含む。マスク吸気弁は、空気を一方向にマスク130内に流入させるためのものとして構成される。気流システムにより生成される気流が使用者により吸入される空気よりも大きい空気量を有する可能性があるため、マスク吸気弁は、過剰な空気がマスク本体420から離れるのに経路を提供することができ、それによってその内部の空気圧のバランスを取ることによって、使用者の快適さを増加する。一方向マスク吸気弁は、周囲空気がマスク本体420に進入することを防ぐこともできる。いくつかの実施例では、マスク本体420は、マスク吸気弁を含まないとともに、気流システム120により生成される正圧は、空気がパイプ140を通過して密閉コンテナからマスク130内に流入することを確保する。いくつかの実施例では、マスク本体420は、一つの呼気穴のみを含む。いくつかの実施例では、マスク本体420は、二つより多い呼気穴を有してもよい。
【0102】
本実施例では、マスクケース410は、吸入開口416を有することで、パイプ140がコネクタアセンブリ442を介してマスク本体420の吸入穴428と接合することを許容する。マスクケース410は、二つの呼気開口412aと412bをさらに含み、それらは、マスク本体420の呼気穴426の位置に対応する位置に配置されることで、使用者により排出される空気が外部環境にリリースされる。いくつかの実施例では、マスクケース410は、マスク拘束ベルト(図示せず)を接続するための二つのスロット415をさらに含み、前記マスク拘束ベルトは、使用者の頭部の周りに延びており且つマスク130を使用者の顔部に密着させたままにする。他の実施例では、マスク130は、マスクケース410を含まず、マスク本体420のみを含んでもよい。
【0103】
ここで上記呼吸器100の操作へ移行する。取り外し可能なフィルタボックス110が密閉コンテナ120のチャンバ122内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の電池240と電気的接続ポート370との間で電気的接続が確立しており、電力を提供して気流システム120を操作する。気流システム120がオンにされるとき、送風機311により空気流を生成する。そのため、周囲空気は、吸気口321a-hを介してチャンバ122に進入し、取り外し可能なフィルタボックス110内に収容されるフィルタ220と230を通過し、送風機アセンブリ310を流れ、排気口322を介してコンテナ121から離れ且つパイプ140に伝達されるとともに、その後に吸入穴428を介してマスク130に進入して使用者に濾過された空気を供給する。使用者により排出される空気は、マスク130の呼気穴426を介して外部環境にリリースされる。
【0104】
いくつかの実施例では、フィルタ220と230のうちの少なくとも一つは、濾過材料を含む多孔質フィルタである。空気流が多孔質フィルタを通過するとき、空気流における少なくとも一つの汚染物は多孔質フィルタにより吸着される。いくつかの実施例では、フィルタ220と230のうちの少なくとも一つは、機械式フィルタである。空気流が機械式フィルタを通過するとき、空気流における微粒子と少なくとも一つの病原体は、機械式フィルタにより捕獲される。
【0105】
前述したようないくつかの実施例では、気流システム100は、酸化剤発生器を含んでもよく、前記酸化剤発生器は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される。酸化剤発生器は、空気流の方向に沿ってフィルタ220と230の前に位置決めされ、空気流が酸化剤を通過した後に、生成される少なくとも一つの酸化剤と空気流における少なくとも一つの汚染物が同時に多孔質フィルタの濾過材料により吸着される。多孔質フィルタの濾過材料は、吸着された汚染物と酸化剤を限られた空間内に固定し、活性部位を提供し、活性部位における酸化剤が汚染物とより効果的に反応できる。これは、前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。前記酸化反応は、多孔質フィルタの連続した再生に有利であり、それによってフィルタの耐用年数を大幅に延長し、又はひいては多孔質フィルタを永久に使用することができる。本明細書と請求項で使用されるように、「再生」、「再生される」又は「再生させる」は、多孔質フィルタを、汚染物を含まないか又は以前よりも低い汚染物レベルを持つ状態に戻すことを指す。
【0106】
いくつかの実施例では、酸化剤は、病原体の空気流と機械式フィルタ上での消毒を促進することによって、機械式フィルタに対する安全な処置を確保する。
【0107】
例2
サイクル空気流を有する呼吸器
ここで
図5を参照すると、これは、呼吸器100の別の例示的な実施例を示す。
図1に記載の例示的な実施例と類似しているように、呼吸器100は、マスク130と、コンテナ121とコンテナ121をマスク130と接続するパイプ140を含む気流システム120と、コンテナ121内に収容される少なくとも一つのフィルタ及び/又は取り外し可能なフィルタボックス(図示せず)とを含む。本例示的な実施例では、気流システム120は、マスク130とコンテナ121を接続する第2のパイプ160をさらに含む。第2のパイプ160は、マスク130との接続に適用される第1の端162と、コンテナ121との接続に適用される第2の端144とを有する。第2のパイプ160は提供されて、吐き出された空気がマスク130からコンテナ121に送達されることを許容する。
【0108】
図6は、
図5に示す例示的な実施例によるコンテナ121とパイプ140の一部及び気流システム120の第2のパイプ160の斜視図を示す。本例示的な実施例では、コンテナ121は、
図3の例示的な実施例に記載のような全ての部材を含み、取り外し可能なフィルタボックス110を収容するように構成されるチャンバ122と、パイプ140の第1の端142と接続される排気口322とを含む。記述を容易にするために、パイプ140は、第1のパイプと呼ばれる。本例示的な実施例では、コンテナ121は、フロントカバー320の密閉端121bの底部に設置される吐き出し吸気口164をさらに含む。第2のパイプ160の第2の端164は、吐き出し吸気口164を介してコンテナ121と接続されて、吐き出された空気がコンテナ121のチャンバ122に流入することを許容する。このような配置によれば、吐き出された空気が取り外し可能なフィルタボックス110におけるフィルタ220と230を通過するときに濾過されることが可能になる。そして、濾過された吐き出し空気は周囲空気と一緒に気流システム120にリサイクルされる。いくつかの実施例では、気流システム110の制御ユニットは、気流システム110に進入する周囲空気の百分率を制御するように構成される。
【0109】
図7Aと
図7Bは、
図5に示すマスク130とパイプ140の一部及びマスク130と接続される第2のパイプ160を示す。
図4Aと
図4Bに示す例示的な実施例と類似しているように、マスク130は、マスクケース410とマスク本体420とを含む。マスク本体420は、鼻部分424と顔部接触部分422とを含む。本例示的な実施例では、マスク130は、マスク本体420の鼻部分424の各側面上設置される吸入穴(図示せず)と呼気穴426を含む。吸入穴は、コネクタアセンブリ742を介してパイプ140の第2の端144と取り外し可能に接合される。マスク本体420は、吸入穴と操作可能に連結されるマスク吸気弁418を含み、前記マスク吸気弁は、空気を一方向にマスク130に流入させるためのものとして構成される。呼気穴426は、コネクタアセンブリ744を介してパイプ160の第1の端162と取り外し可能に接合される。呼気穴426は、マスク排気弁414に操作可能に連結され、前記マスク排気弁は、空気をマスク130から一方向に流出させるためのものとして構成される。
【0110】
本実施例では、マスクケース410は、パイプ140がコネクタアセンブリ742を介して吸入穴(図示せず)と接合されることを許容するための吸入開口(図示せず)と、第2のパイプ160がコネクタアセンブリ744を介して呼気穴426と接合されることを許容するための呼気開口412cとを有する。
【0111】
空気が流れる方向は、
図7Aに示される。矢印710は、空気が吸入穴(図示せず)を介して第1のパイプ140からマスク130に流入する方向を表すとともに、矢印720は、空気が呼気穴426を介してマスク130から流出する方向を表す。
【0112】
ここで上記呼吸器100の操作へ移行する。取り外し可能なフィルタボックス110がコンテナ121のチャンバ122内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の電池240と電気的接続ポート370との間で電気的接続が確立しており、電力を提供して気流システム120を操作する。気流システム120がオンにされるとき、空気流を生成する。そのため、一定の割合の周囲空気は、吸気口321を介してキャビティ122に進入し、取り外し可能なフィルタボックス110内に収容されるフィルタ220と230を通過し、排気口322を介してコンテナ121から離れ且つ第1のパイプ140に伝達されるとともに、吸入穴を介してマスク130に進入して使用者に濾過された空気を供給する。使用者により排出された空気は、呼気穴426を介してマスク130から流出し、第2のパイプ160に伝達され、吐き出し吸気口164を介してコンテナ121に進入するとともに、取り外し可能なフィルタボックス110におけるフィルタ220と230を通過する。そして、濾過された吐き出し空気は気流システム120にリサイクルされる。そのため、気流システム120により生成される空気流は、濾過された吐き出し空気を含むとともに、気流システム120に継続的に流入する一定の割合の周囲空気も含む。
【0113】
いくつかの実施例では、マスク130は、第2の排気弁(図示せず)を含み、前記第2の排気弁は、空気をマスクから一方向に外部環境へ流れるためのものとして構成され、使用者により排出されるいくつかの空気が気流システム120にリサイクルされることなく、外部環境にリリースされる。
【0114】
いくつかの実施例では、フィルタ220と230のうちの少なくとも一つは、濾過材料を含む多孔質フィルタである。空気流が多孔質フィルタを通過するとき、空気流における少なくとも一つの汚染物は多孔質フィルタにより吸着される。いくつかの実施例では、フィルタ220と230のうちの少なくとも一つは、機械式フィルタである。空気流が機械式フィルタを通過するとき、空気流における微粒子と少なくとも一つの病原体は、機械式フィルタにより捕獲される。
【0115】
例3
浄化装置
図8Aと
図8Bは、浄化装置800の斜視図と分解図をそれぞれ示す。浄化装置800は、取り外し可能なフィルタボックスを取り外し可能に受けるように構成される。
図8Aは、取り外し可能なフィルタボックス110が挿入される浄化装置800を示す。
【0116】
浄化装置800は、ほぼ鉛直な矩形形状に形成されるハウジング801を有する。ハウジング801は、密閉した内部空間を画定するために、互いに連結されるフロントケース820とリアケース810を有する。
図8Aと
図8Bに示すように、フロントケース820は、ハウジング801の前壁801aを形成するが、リアケース810は、ハウジング801の後壁801f、頂壁801b、底壁801c、側壁801dと反対の側壁801eを形成する。記述を容易にするために、側壁801dに向かう方向は、左と呼ばれるが、側壁801dから離れる方向は、右と呼ばれる。フロントケース820はほぼ平坦であるとともに、フロントケース820に沿って鉛直に下へ延びる複数のスロット822が開設されることで、空気がフロントケース820を通過してハウジング801に進入することを許容する。開口812は、リアケース810の頂表面801b上に設置されることで、取り外し可能なフィルタボックス110の浄化装置800への挿入を許容する。排気穴813は、ハウジング801の後表面801f上に設置されることで、空気がハウジング801から離れることを許容する。
【0117】
浄化装置800は、フィルタケージ830と、送風機840と、酸化剤発生器850と、充電ユニット862とをさらに含み、これらの装置は、ハウジング801における密閉した内部空間内に収容される。フィルタケージ830は、ほぼ鉛直な矩形形状を有し、その中に、取り外し可能なフィルタボックス110を受けるためのキャビティが定義されている。フィルタボックスの頂部は、開口端であり、それにスロット832が設置されることで、取り外し可能なフィルタボックス110をフィルタケージ830に鉛直に挿入することを可能にする。フィルタケージ830の前部に複数の吸気口開口834が設置されることで、空気がキャビティに進入することを許容し、そしてフィルタケージの背部に排気口開口(図示せず)が設置されることで、空気がキャビティから離れることを許容する。
図2Aと
図8Aの両方を参照すると、取り外し可能なフィルタボックス110がフィルタケージ110内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の左側表面210dは、フィルタケージ830の底部に向かうとともに、取り外し可能なフィルタボックス110の前表面210aは、フィルタケージ830の吸気口開口834に向かう。
【0118】
本実施例では、送風機840は、フィルタケージ830の後部に位置決めされるとともに、フィルタケージ830の排気口開口(図示せず)と流体的に接続されている。送風機840は、送風機フレーム内に収容され、前記送風機フレームは、円形周辺と、空気導管844と接続される開口842とを有する。空気導管844の一端843は、開口842と接続されるとともに、他端845は、リアケース810の排気穴813と接続される。送風機840は、周囲空気がスロット822を通過してハウジング801に侵入し、フィルタケージ830を通過し、送風機840を流れるとともに、排気穴813と接続される空気導管844を通過してハウジング801から離れるように気流を生成するように構成される。
【0119】
フィルタを含む取り外し可能なフィルタボックス110がフィルタケージ830内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110は、気流方向に沿って送風機840の前に直接に位置する。そのため、送風機840により生成される気流は、送風機840を流れる前に、取り外し可能なフィルタボックス110内に収容されるフィルタを通過する。
【0120】
酸化剤発生器850は、フィルタケージ830の吸気口開口834の前に位置決めされることで、取り外し可能なフィルタボックス110がフィルタケージ830内に挿入されるとき、酸化剤発生器850が気流方向に沿って取り外し可能なフィルタボックス110の前に位置する。酸化剤発生器850は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される。いくつかの実施例では、酸化剤発生器850により少なくとも一つの酸化剤をリリースするとき、ハウジング801の密閉した内部空間全体には、このような酸化剤が満たされる。いくつかの実施例では、酸化剤発生器850は、オゾン発生器であるとともに、酸化剤は、オゾンである。いくつかの他の実施例では、酸化剤発生器850は、ヒドロキシルラジカル発生器であるとともに、酸化剤は、一つ又は複数のヒドロキシルラジカルである。いくつかの他の実施例では、酸化剤発生器850は、イオン発生器であるとともに、酸化剤は、一つ又は複数のイオンである。いくつかの他の実施例では、酸化剤は、オゾン、一つ又は複数のヒドロキシルラジカル、一つ又は複数のイオン又はそれらの組み合わせである。
【0121】
いくつかの他の実施例では、送風機840は、フィルタケージ830と酸化剤発生器850の前部に組み立てられてもよく、取り外し可能なフィルタボックス110がフィルタケージ830内に挿入されるとき、送風機840を気流方向に沿って取り外し可能なフィルタボックス110と酸化剤発生器850の前に位置決めさせる。そのため、送風機840により生成される気流は、まず送風機840を流れ、酸化剤発生器850を通過し、取り外し可能なフィルタボックス110内に収容されるフィルタに吹き込まれる。
【0122】
本実施例では、浄化装置800は、ハウジング801内に収容される制御ユニット870をさらに含む。制御ユニット870は、送風機840、充電ユニット862及び酸化剤発生器850と電気的に接続される。電気的コネクタ852を選択的に提供することで、酸化剤発生器850と制御ユニット870との電気的接続を容易にする。制御ユニット870はさらに、電源ユニットと電気的に接続され、前記電源ユニットは、電力を提供して浄化装置を操作するように構成される。本実施例では、電源ユニットは、外部電源(図示せず)と電気的に接続される電力ケーブル816である。制御ユニット351は、a.浄化装置をオン、オフにすることと、b.電池240の電力を検出することと、c.気流の速度を調整することと、d.酸化剤発生器850の酸化剤生成速度を制御することと、e.浄化装置800の操作を制御、モニタリングすることとのうちの一つ又は複数を実行するように構成される。いくつかの実施例では、制御ユニット870は、酸化剤のレベルをモニタリングするために、一つ又は複数の酸化剤センサを含んでもよい。酸化剤レベルが一定量を超えると、制御ユニット870は、酸化剤の生成を停止するよう酸化剤発生器に指示する。
【0123】
本実施例では、充電ユニット862は、フィルタケージ830の底部に繋がる。充電ユニット862は、制御ユニット351と電気的に接続されるか又は電力ケーブル816と直接に電気的に接続される。
図2Bと
図8Bの両方を参照すると、取り外し可能なフィルタボックス110がフィルタケージ830のキャビティ内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の電気的コネクタ270を介して充電ユニット862と電池240との間で電気的接続を確立する。充電ユニット862は、電気的接続により電力を提供して電池240を再充電するように構成される。
【0124】
本実施例では、浄化装置800は、ハウジング801の後表面801f上に設置されるスイッチ814をさらに含む。スイッチ814は、電池240(図示せず)及び/又は制御ユニット351と電気的に接続されるとともに、浄化装置800をオン又はオフにするように構成される。
【0125】
本実施例では、浄化装置800は、電池240のパワーを検出するように構成される電源検出回路862と、浄化装置800の状態情報、例えば電池240の電力、送風機850の速度、気流の速度などを表示するように構成される表示ユニット860とをさらに含む。表示ユニット352は、ハウジング801の頂表面801b上に設置される。表示ユニット860は、電源検出回路862及び/又は制御ユニット870と電気的に接続される。いくつかの実施例では、表示ユニット450は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)又は他の種類のディスプレイであってもよい。
【0126】
いくつかの他の実施例では、浄化装置800は、互いに流体的に接続される二つの独立した区画室を含んでもよい。取り外し可能なフィルタケージ830と酸化剤発生器850は、第1の区画室内に収容されてもよいが、送風機840と空気導管844は、第2の隔室内に収容されてもよい。いくつかの実施例では、第1の区画室は、第2の区画室の前に位置決めされてもよい。そのため、送風機840により生成される気流は、まず第1の区画室を流れ、第2の区画室に伝達される。いくつかの他の実施例では、第1の区画室は、第2の区画室の後ろに位置決めされてもよい。そのため、送風機840により生成される気流は、まず第2の区画室を流れ、第1の区画室に伝達される。いくつかの実施例では、第1の区画室と第2の区画室は、互いに分離した独立部分であってもよく、そして第1の区画室と第2の区画室の位置は、互換可能である。選択的に、第1の区画室及び/又は第2の区画室は、フロントケースを有してもよく、前記フロントケースに複数のスロットが開設されており、空気がフロントケースを通過して第1の区画室及び/又は第2の区画室に進入することを許容する。
【0127】
ここで上記浄化装置800の操作へ移行する。本例示的な実施例における取り外し可能なフィルタボックス110は、
図2Aと
図2Bに記述された機械式フィルタ220と多孔質フィルタ230を有するものと同じである取り外し可能なフィルタボックス110である。取り外し可能なフィルタボックス110は、一定期間使用された後に呼吸器から取り外される。少なくとも一つの汚染物は、多孔質フィルタ230により吸着されるとともに、空気流における少なくとも一つの病原体は、機械式フィルタにより捕獲される。
【0128】
取り外し可能なフィルタボックス110が浄化装置800のフィルタケージ830内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の電池240と充電ユニット870との間で確立した電気的接続は、電力を提供して電池240を再充電する。それとともに、送風機850は気流を生成し、空気をハウジング801の密閉内部空間に進入させる。気流は、フィルタケージ830の前に位置決めされる酸化剤発生器850を通過し、取り外し可能なフィルタボックス110を含むフィルタケージ830に進入する前に、それは、酸化剤発生器850により生成された少なくとも一つの酸化剤を運んでいる。多孔質フィルタの濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。前記酸化反応は、多孔質フィルタの再生に有利であり、それによって多孔質フィルタは、汚染物の影響を受けず、連続的に繰り返して使用することができる。酸化剤はさらに病原体の機械式フィルタ上での消毒を促進することによって、機械式フィルタに対する安全な処置を確保する。取り外し可能なフィルタボックスを通過する気流は、次に送風機840に流入し、排気穴813と接続される空気導管844を通過してハウジング801から離れる。
【0129】
いくつかの実施例では、浄化装置800は、呼吸器100と接続されない独立した装置である。いくつかの実施例では、呼吸器800は、取り外し可能なフィルタボックス110を有することなく、多孔質フィルタ及び/又は機械式フィルタを受けるように構成される。
【0130】
例4
複数のフィルタケージを有する浄化装置
ここで
図9Aと
図9Bを参照すると、それは、浄化装置800の別の例示的な実施例を示す。前記実施例では、浄化装置800は、四つの取り外し可能なフィルタボックスを取り外し可能に受けるように構成される。浄化装置800は、ほぼ鉛直な矩形形状に形成されるハウジング901を有する。ハウジング901は、フロントケース920とリアケース910を有する。記述を容易にするために、フロントケース820に向かう方向は、前と呼ばれるが、フロントケース820から離れる方向は、後ろと呼ばれる。フロントケース920は、ハウジング901の前壁を形成するが、リアケース910は、ハウジング801の後壁、底壁と二つの側壁を形成する。開口は、リアケース910の頂部に設置される。
【0131】
本実施例では、浄化装置800は、ハウジング901内に収容されるフィルタケージブラケット930を有する。フィルタケージブラケット930は、前から後ろまで互いに平行に配置され且つ天板935を介して接続される四つのフィルタケージ921、922、923と924を有する。フィルタケージブラケット930がフロントケース920及びリアケース910と一体に組み立てられるとき、天板935は、ハウジング901の頂壁を形成することで、ハウジング901の密閉した内部空間を画定することができる。
【0132】
各フィルタケージは、ほぼ鉛直な矩形形状を有し、その中に、取り外し可能なフィルタボックス110を受けるためのキャビティが画定されている。天板935は、それにより提供される四つのスロット931、932、933と934を有することで、取り外し可能なフィルタボックスがそれぞれフィルタケージ921、922、923と924内に鉛直に挿入できる。
図8Bにおけるフィルタケージ830と類似しているように、各フィルタケージの前部に複数の吸気口開口が設置されることで、空気がキャビティに進入することを許容し、そして各フィルタケージの後部に排気口開口が設置されることで、空気がキャビティから離れることを許容する。
【0133】
本実施例では、浄化装置800は、四つの充電ユニット941、942、943と944を有し、それらはそれぞれフィルタケージ921、922、923と924の底部に繋がる。浄化装置800は、四つの制御ユニット951、952、953と954をさらに有し、それらは、前後方向に互いに繋がる。充電ユニット941、942、943と944はそれぞれ制御ユニット951、952、953と954と電気的に接続される。充電ユニット941、942、943と944は、取り外し可能なフィルタボックスがフィルタケージ921、922、923と924内にそれぞれ挿入されるとき、それぞれの電気的接続により電力を提供して前記取り外し可能なフィルタボックスの電池の再充電を容易にするように構成される。
【0134】
本実施例では、浄化装置800は、最大四つの取り外し可能なフィルタボックスを同時に受けるように構成される。四つの取り外し可能なフィルタボックスに含まれるフィルタが浄化装置800内に挿入されるとき、それらは、同時に浄化と再生を行うとともに、四つの取り外し可能なフィルタボックスの電池を同時に再充電することができる。このような配置は、浄化装置800の効率を大幅に向上させる。その利点は、各取り外し可能なフィルタボックスが浄化装置800から単独で取り出されるか又は挿入されることができ、それによって使用者が前記装置を使用する際の柔軟性を提供することである。
【0135】
いくつかの他の実施例では、浄化装置800は、二つの取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成されるとともに、フィルタブラケット930は、二つのフィルタケージを含む。いくつかの他の実施例では、浄化装置800は、三つの取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成されるとともに、フィルタブラケット930は、三つのフィルタケージを含む。いくつかの他の実施例では、浄化装置800は、四つよりも多い取り外し可能なフィルタボックスを受けるように構成されるとともに、フィルタブラケット930は、四つよりも多いフィルタケージを含む。いくつかの実施例では、浄化装置800は、取り外し可能なフィルタボックス110を有することなく、一つよりも多い多孔質フィルタ及び/又は機械式フィルタを受けるように構成される。
【0136】
いくつかの他の実施例では、浄化装置の複数のフィルタケージは、単独した区画室又はモジュール化フィルタカートリッジ内に収容されてもよく、前記フィルタカートリッジは、フィルタカートリッジを必要な配置で相互接続することで種々の配置のフィルタカートリッジアセンブリに配置されてもよい。モジュール化フィルタカートリッジは、互いに流体的に連通してもよい。各カートリッジは、一つ又は少なくとも一つのフィルタケージを収容できるとともに、その大きさと形状は、単独したモジュール化部材として設置されてもよく、前記部材は、他の部材と取り外し可能に接続されてもよい。そのため、各フィルタカートリッジの相対的位置は互換可能であるとともに、浄化装置は、必要に応じて一つ又は複数のモジュール化フィルタカートリッジを収容してもよい。選択的に、各区画室は、フロントケースであって、前記フロントケースに複数のスロットが開設されており、空気がフロントケースを通過して区画室に進入することを許容するフロントケースと、排気穴であって、前記排気穴が区画室の後ろに設置されて空気が区画室から離れ且つ後ろに位置決めされる隣接区画室を通過することを許容する排気穴とを有してもよい。いくつかの実施例では、送風機と空気導管は、浄化装置における単独した区画室内に収容されてもよい。そのため、使用者は、浄化装置から任意の数の区画室を追加又は削除することができ、又は使用者の好みに応じて浄化装置における各区画室の相対的位置を再配置することができる。
【0137】
例5
空気純化システム
一態様では、空気純化システムを提供し、前記空気純化システムは、呼吸器100と、前述した浄化装置800とを有する。
【0138】
一実施例では、呼吸器100は、濾過材料を含む多孔質フィルタを含む。呼吸器100の気流システムがオンにされるとき、周囲空気が多孔質フィルタを通過してマスクに到達するように送風機により空気流を生成する。空気流が多孔質フィルタを通過するとき、空気流における少なくとも一つの汚染物は多孔質フィルタにより吸着され、マスクに進入した空気に汚染物を含ませない。
【0139】
多孔質フィルタは、一定期間使用された後に、呼吸器から取り出され、浄化装置800内に挿入され、前記浄化装置は、多孔質フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。前記浄化装置は、少なくとも一つの酸化剤を生成するように構成される酸化剤発生器を含む。いくつかの実施例では、前記浄化装置は、気流を前記多孔質フィルタに案内するように構成される送風機を含む。前記気流は、多孔質フィルタの前に位置決めされる酸化剤発生器を通過し、多孔質フィルタを通過する前に、それは、酸化剤発生器により生成された少なくとも一つの酸化剤を運んでいる。多孔質フィルタの濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。前記酸化反応は、多孔質フィルタの再生に有利であり、それによって多孔質フィルタは、汚染物の影響を受けず、連続的に繰り返して使用することができる。
【0140】
いくつかの実施例では、濾過材料は、汚染物と酸化剤の両方の吸着を許容する穴径を有する。いくつかの実施例では、多孔質フィルタの濾過材料は、2オングストロームから20オングストロームの範囲内にある穴径を有するゼオライトを含む。
【0141】
いくつかの実施例では、空気純化システムは、一つよりも多い呼吸器100を含む。いくつかの実施例では、空気純化システムは、二つ、三つ又は四つの呼吸器100を有してもよい。いくつかの実施例では、浄化装置800は、一つよりも多い多孔質フィルタに対する浄化と再生を同時に行うことを容易にするために、一つよりも多い呼吸器からの一つよりも多い多孔質フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。
【0142】
別の実施例では、空気純化システムの呼吸器100は、機械式フィルタを含む。呼吸器100の気流システムがオンにされるとき、周囲空気が機械式フィルタを通過してマスクに到達するように送風機により空気流を生成する。空気流が機械式フィルタを通過するとき、空気流における少なくとも一つの病原体は多孔質フィルタにより吸着され、マスクに進入した空気に病原体を含ませない。
【0143】
機械式フィルタは、一定期間使用された後に、呼吸器から取り出され、浄化装置800内に挿入され、前記浄化装置は、機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。いくつかの実施例では、前記浄化装置は、気流を前記機械式フィルタに案内するように構成される送風機を含む。前記気流は、機械式フィルタの前に位置決めされる酸化剤発生器を通過し、機械式フィルタを通過する前に、それは、酸化剤発生器により生成された少なくとも一つの酸化剤を運んでいる。酸化剤は病原体の機械式フィルタ上での消毒を促進することによって、機械式フィルタに対する安全な処置を確保する。
【0144】
いくつかの実施例では、浄化装置は、一つよりも多い機械式フィルタを同時に消毒することを促進するために、一つよりも多い呼吸器からの一つよりも多い機械式フィルタを取り外し可能に受けるように構成される。
【0145】
別の実施例では、空気純化システムの呼吸器100は、取り外し可能なフィルタボックス110を含む。前記取り外し可能なフィルタボックスは、二つのフィルタと、再充電可能な電池240とを含む。これら二つのフィルタは、機械式フィルタと、濾過材料を含む多孔質フィルタとを含む。
【0146】
取り外し可能なフィルタボックス110が気流システム120のコンテナ121内に挿入されるとき、取り外し可能なフィルタボックス110の電池240と電気的接続ポート370との間で電気的接続が確立しており、電力を提供して気流システム120を操作する。気流システム120がオンにされるとき、周囲空気が取り外し可能なフィルタボックス110を通過し、二つのフィルタを通過してマスクに到達するように送風機により空気流を生成する。空気流が機械式フィルタを通過するとき、空気流における少なくとも一つの病原体は多孔質フィルタにより吸着され、マスクに進入した空気に病原体を含ませない。空気流が多孔質フィルタを通過するとき、空気流における少なくとも一つの汚染物は多孔質フィルタにより吸着され、マスクに進入した空気に汚染物を含ませない。
【0147】
取り外し可能なフィルタボックスは、一定期間使用された後に、呼吸器から取り出され、浄化装置800内に挿入され、前記浄化装置は、取り外し可能なフィルタボックスを取り外し可能に受けるように構成される。いくつかの実施例では、前記浄化装置は、気流を前記取り外し可能なフィルタボックスに案内するように構成される送風機を含む。前記気流は、取り外し可能なフィルタボックスの前に位置決めされる酸化剤発生器を通過し、取り外し可能なフィルタボックスにおける二つのフィルタを通過する前に、それは、酸化剤発生器により生成された少なくとも一つの酸化剤を運んでいる。多孔質フィルタの濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進する。前記酸化反応は、多孔質フィルタの再生に有利であり、それによって多孔質フィルタは、汚染物を含まず、連続的に繰り返して使用することができる。酸化剤はさらに病原体の機械式フィルタ上での消毒を促進することによって、機械式フィルタに対する安全な処置を確保する。それとともに、浄化装置の充電ユニットは電力を提供して取り外し可能なフィルタボックスの電池を再充電する。
【0148】
図10は、例示的な実施例による気流システムによって使用者に純化空気を提供する方法を示し、前記気流システムは、濾過材料を含む多孔質フィルタ及びマスクと流体的に連通している。
【0149】
ブロック1010は、前記気流システムによって、前記多孔質フィルタを通過して前記マスクへ流れる空気流を生成し、ここで、前記多孔質フィルタが、前記空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着して前記純化空気を生成することを説明する。
【0150】
ブロック1020は、酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成することを説明する。多孔質フィルタの濾過材料は前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することができる。
【0151】
図11は、例示的な実施例による上述した空気純化システムを使用して多孔質フィルタを再生させる方法を示す。
【0152】
ブロック1110は、呼吸器の気流システムにより空気流を生成し、前記空気流が多孔質フィルタを通過することで、濾過材料が空気流における少なくとも一つの汚染物を吸着するようにすることを説明する。
【0153】
ブロック1120は、酸化剤発生器によって少なくとも一つの酸化剤を生成することで、前記少なくとも一つの汚染物を前記多孔質フィルタ上で分解させることを説明する。
【0154】
ブロック1130は、前記濾過材料によって前記酸化剤と前記汚染物との酸化反応を触媒して、前記多孔質フィルタ上での汚染物の分解を促進することによって、前記多孔質フィルタを再生させることを説明する。再生される多孔質フィルタは汚染物を含まず、再利用されることができる。
【0155】
いくつかの実施例では、前記酸化反応は、単独した浄化装置において完了される。いくつかの実施例では、上記方法は、前記呼吸器から前記濾過材料を含む前記多孔質フィルタを取り外し、それを前記浄化装置に挿入するステップをさらに含む。
【0156】
図12は、例示的な実施例による上述した空気純化システムを使用して機械式フィルタを消毒する方法を示す。
【0157】
ブロック1210は、機械式フィルタを、酸化剤発生器を含む浄化装置内に挿入することを説明する。
【0158】
ブロック1220は、前記浄化装置の前記酸化剤発生器により少なくとも一つの酸化剤を生成して、少なくとも一つの病原体を前記機械式フィルタ上で消毒することによって、前記機械式フィルタに対する安全な処置を確保することを説明する。
【0159】
例6-二つの例示的な呼吸器のサンプルのテスト
以下の例(例7-11)で記述される種々のテストは、二つの例示的な呼吸器、即ち呼吸器1と呼吸器2のテストサンプル上で行われる。
【0160】
呼吸器1
呼吸器1は、マスクと気流システムとを含み、前記気流システムは、マスクと流体的に連通する密閉コンテナを含む。以下に記述される呼吸器2に比べて、呼吸器1は、それに提供される取り外し可能なフィルタボックスを含むことなく、多孔質フィルタと機械式フィルタを含み、それらは、密閉コンテナ内に直接に収容され、空気流の方向に沿って送風機の前に位置決めされる。呼吸器1におけるマスクとパイプの構造と配置は、呼吸器2とほぼ似ている。用いられるパイプの断面積は、0.0007m2である。
【0161】
呼吸器2
呼吸器2は、マスクと気流システムとを含み、前記気流システムは、マスクと流体的に連通する密閉コンテナを含む。以上に記載の呼吸器1に比べて、呼吸器2は、取り外し可能なフィルタボックスを含み、前記フィルタボックスは、多孔質フィルタ、機械式フィルタと電池を収容するとともに、密閉コンテナは、取り外し可能なフィルタボックスを受けるためのチャンバをさらに含む。呼吸器2におけるこれらの部材の構造と配置は、上記例1と
図1に記述された呼吸器100とほぼ同じである。用いられるパイプの断面積は、0.0007m
2である。
【0162】
表1は呼吸器1と呼吸器2の詳細な配置をそれぞれまとめた。
【0163】
【0164】
例7-呼吸器の気流速度の測定
上記例6に記載の異なる構造配置を有するテストサンプル(呼吸器1と2)の気流速度を評価、比較するために、測定を行って二つの呼吸器の空気流入速度と空気流出速度を確定した。
方法と材料:
計器:Tenmars TM-4001
環境条件:25℃、約50%の相対湿度(RH)
方法:
テストサンプル(呼吸器1と2)の送風機速度は、グレード1(低速)とグレード2(高速)に調整される。各グレードについて、メーカーの説明に従い、Tenmars TM-4001によりテストサンプルの密閉コンテナの吸気口近傍の異なるサンプリング点で複数回のサンプリングを行うことで空気流入速度の測定を行った。呼吸器1に対して8つの異なるサンプリング点(表2におけるサンプリング点1-8)を採取したが、呼吸器2に対して11個の異なるサンプリング点(表4におけるサンプリング点1-11)を採取した。マスク内及び/又はテストサンプルの密閉コンテナ近傍の異なるサンプリング点で複数回のサンプリングを行うことで空気流出速度の測定を行った。呼吸器1に対して11個の異なるサンプリング点(表3におけるサンプリング点9-17(マスク内に採取した)とサンプリング点18-19(密閉コンテナ近傍に採取した))を採取したが、呼吸器2に対して9つの異なるサンプリング点(表5におけるサンプリング点12-20(マスク内に採取した))を採取した。
【0165】
結果:
表2と表3は、呼吸器1の空気流入速度と空気流出速度をそれぞれまとめた。表4と表5は、呼吸器2の空気流入速度と空気流出速度をそれぞれまとめた。グレード1(低速)とグレード2(高速)の送風機速度で、呼吸器1の平均空気流入速度はそれぞれ0.56m/sと0.74m/sであったが、グレード1(低速)とグレード2(高速)の送風機速度で、呼吸器1の平均空気流出速度はそれぞれ2.34m/sと2.84m/sであった。グレード1(低速)とグレード2(高速)の送風機速度で、呼吸器2の平均空気流入速度はそれぞれ0.65m/sと0.98m/sであったが、グレード1(低速)とグレード2(高速)の送風機速度で、呼吸器1の平均空気流出速度はそれぞれ4.29m/sと6.67m/sであった。結果によれば、二つの送風機速度で、呼吸器2の空気流入速度と空気流出速度がいずれも呼吸器1よりも著しく高いことが明らかになる。
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
呼吸器の達する最大空気量の計算
各テストサンプルについて、達する最大空気量は下記式に応じて計算された。
【0171】
(最大空気流出速度)x(パイプの断面積)
達する最大空気量の計算結果は、以下のとおりである。
【0172】
呼吸器1:2.84m/sx0.0007m2=0.001988m3/s=119L/min
呼吸器2:6.67m/sx0.0007m2=0.004669m3/s=280L/min
【0173】
要約すれば、上記結果によれば、二つの例示的な呼吸器の空気流速レベルがいずれも満足のいくものであるが、呼吸器1に比べて、呼吸器2の平均空気流入速度、平均空気流出速度及び達する最大空気量が著しくより高いことが明らかになる。
【0174】
例8:微粒子物質(PM)除去効率
上記例6に記載の異なる構造配置を有するテストサンプル(呼吸器1と2)の微粒子物質(PM)除去効率を評価、比較するために、PM除去効率のテストを行った。
材料と方法:
計器:塵埃粒子カウンタ(Met One)計器、Aerocet 831
環境条件:25℃、約50%の相対湿度(RH)
テスト標準と方法:
呼吸器1のテスト標準と方法:GB/T 18801-2015
テストは、標準容積が3m3である密閉テスト室内で行われた。タバコの煙を空気汚染物の代替源として利用し、タバコの煙はよく知られている健康に悪影響を及ぼす室内空気汚染物であるため、空気純化器のテスト標準、例えばGB/T 18801-2015によく用いられる。原則的に、このような煙にはエアゾール微粒子が含まれているため、それは、固相汚染物に対する空気純化器の性能のテストに適用される。
【0175】
前記テスト方法は、テスト標準GB/T 18801-2015に列挙されたテスト手順で行われた。前記テスト方法は、テストサンプルの性能と自然空気清浄との分離に関し、前記自然空気清浄は、室内空気中で発生し、「自然崩壊」と呼ばれる。そのために、まず、適量の微粒子汚染物(タバコの燃焼により生成された)をテスト室内にリリースするとともに、テストサンプルをオフにし、空気汚染物が経時的に(20分間)徐々に沈降する状況を測定した。そして、汚染物が同じレベルにあり、テストサンプルがオンにされる場合に、繰り返してテストして、トータルな空気清浄率を測定した。トータルな空気清浄測定値から自然空気清浄測定値を減算して、テストサンプルのみにより清浄を行ったPM除去結果を提供した。換言すれば、報告されたPM除去効率は、テストにおける、チャンバ内に存在する汚染物総量に対する除去量の比に関するテストサンプルの独立性能のみを示している。結果はその後に百分率値(PM10とPM2.5濃度の初期濃度に対する経時変化百分率として示され、それぞれ
図13Aと
図13Bに示される)に変換された。
【0176】
空気汚染物微粒子は、その直径に応じて二つのグループに分けられる。直径が2.5から10ミクロンの間にあるものは、PM10と呼ばれるが、直径が2.5ミクロンよりも小さいものは、PM2.5と呼ばれる。
【0177】
呼吸器2のテスト標準と方法:
テストは、容積が1m3である密閉テスト室内で行われた。上記呼吸器1のテスト方法と類似しているように、タバコの煙を空気汚染物の代替源として利用する。
【0178】
前記テスト方法は、テスト標準GB/T 18801-2015に応じて修正されるとともに、GB/T 18801-2015に概述されたテスト手順と非常に似ており、相違点は、テストに1m3の密閉室とより長いテスト持続時間を使用したことである。このような修正した方法で、同じ手順を実行して「自然崩壊」と「トータルな空気清浄」性能を確定するが、テスト時間は、40分間まで延長した。結果は、「トータルな空気清浄」測定値から「自然崩壊」測定値を減算することで得られ、そして結果は、その後に百分率値(PM10とPM2.5濃度の初期濃度に対する経時変化百分率として示され、それぞれ
図14Aと
図14Bに示される)に変換された。
【0179】
結果:
図13Aと
図13Bは、呼吸器1を用いて行われたテストにおけるPM10とPM2.5濃度の百分率(%)のそれぞれの経時変化を示す。結果は、テスト終了時に呼吸器1のPM10に対するPM除去効率が93.46%に達し、PM2.5に対するPM除去効率が93.38%に到達しことを示す。
【0180】
図14Aと
図14Bは、呼吸器2を用いて行われたテストにおけるPM10とPM2.5濃度の百分率(%)のそれぞれの経時変化を示す。結果は、テスト終了時に呼吸器2のPM10に対するPM除去効率が97.60%に達し、PM2.5に対するPM除去効率が99.25%に達することを示す。
【0181】
上記結果によれば、二つの例示的な呼吸器がいずれも満足のいくPM除去効率を有するが、呼吸器1に比べて、呼吸器2がPM10とPM2.5の両方に対して著しくより高いPM除去効率を実現できることが明らかになる。
【0182】
例9:揮発性有機化合物(VOC)除去効率
上記例6に記載の異なる構造配置を有するテストサンプル(呼吸器1と2)の揮発性有機化合物(VOC)除去効率を評価、比較するために、VOC除去効率のテストを行った。
【0183】
材料と方法
計器:Honeywell ppbRAE 3000
環境条件:25℃、約50%の相対湿度(RH)
テスト標準と方法:
テストは、容積が1m3である密閉テスト室内で行われた。アセトンを空気汚染物の代替源として利用した。アセトンは、非常に揮発しやすい有機化学物質であり、それによって空気清浄器の気相汚染物質に対する性能を試験するための良好な材料となる。
【0184】
前記テスト方法は、テスト標準GB/T 18801-2015に応じて修正され、主にGB/T 18801-2015に概述されたテスト手順を援用しており、相違点は、テストに1m3の密閉室を使用しており、ターゲット汚染物の濃度/タイプが異なるとともに、テスト時間がより長いことである。修正した方法で、アセトン蒸気の初期濃度は、約5ppmに維持される。そして類似した手順を実行して「自然崩壊」と「トータルな空気清浄」性能をそれぞれ確定するとともに、このような場合には、測定は1時間内で行われた。最後に、「自然崩壊」測定値を得られた「トータルな空気清浄」測定値を適当に減算することで、報告される除去効率を明らかにし、前記除去効率は、テストサンプルの清浄操作の独立した動作により生じたものである。
【0185】
結果:
図15は、呼吸器1を用いて行われたテストにおけるアセトン濃度の百分率(%)の経時変化を示す。結果は、呼吸器1が72.76%の最大アセトン除去効率を実現したことを示す。
【0186】
図16は、呼吸器2を用いて行われたテストにおけるアセトン濃度の百分率(%)の経時変化を示す。結果は、呼吸器2が96.77%の最大アセトン除去効率を実現したことを示す。
【0187】
上記結果によれば、二つの例示的な呼吸器がいずれも満足のいくVOC除去効率を有するが、呼吸器1に比べて、呼吸器2が著しくより高いVOC(例えばアセトン)除去効率を実現できることが明らかになる。
【0188】
例10:病原菌除去効率
上記例6に記載の一つのテストサンプル(呼吸器2)の病原菌除去能力と効率を評価するために、病原菌除去効率のテストを行った。
【0189】
材料と方法
テスト標準と方法:GB 21551.3-2010付録A
テストは、標準容積が3m3である二つの同じテスト室(即ちテスト室と対照室)を利用して行われた。白色ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌と大腸菌をテスト菌として利用し、それぞれ適当な発酵液用いて懸濁液の形態に製造した。
【0190】
テストは、テストサンプルが空気からターゲット細菌を除去する独立能力を測定することを目的とする。簡単に言えば、テスト方法は、スプレーでテスト室と対照室の両方に一定量の純粋なテスト菌株を投与し、テスト室で空気純化器を120分間運行する(対照室を静置させる)とともに、テスト前後の二つの室の細胞のコロニ形成単位(CFU)を定量化するステップを含む。特に規定がない限り、テストは合計で3回繰り返された。「自然崩壊」率を減算した後に、得られた三つの結果の算術平均値を取って最終結果を得た。
【0191】
結果:
表6は、呼吸器2の三つのテスト細菌(白色ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌と大腸菌)に対する除去効果(除去率(%)で表す)をまとめた。
【0192】
【0193】
上記結果によれば、呼吸器2のテスト細菌に対する除去率が約99.90%から99.93%の素晴らしいレベルに達することによって、呼吸器2の例えば細菌などの種々の病原菌に対する除去効果が非常に高いことを示していることが明らかになる。
【0194】
例11:ユーザ体験検討
使用者の上記例6に記載のテストサンプル(呼吸器1と2)に対する体験を検討し、呼吸器の設計を最適化するために、テストサンプルを使用した使用者体験を検討した。
【0195】
材料と方法
被験者:
15名の排水作業者は、テストサンプル(呼吸器1と2)について二回の独立した試験を実施するように招待された。彼らは、呼吸器を着用して、その機能と設計を体験するとともに、室内環境においてその仕事の職責を正常に実行するように要求された。試験のために二つのバッチに分けて30個のサンプル(15台の呼吸器1と15台の呼吸器2)を共に配置した。
【0196】
方法:
試験後に、使用者体験アンケートを配布して、被験者(「使用者」とも呼ばれる)のデータとフィードバックを収集した。本例では、使用者体験アンケートは、以下に挙げられた質問を含む。
【0197】
質問1:呼吸器を着用していない場合に、臭いが非常に強いことに気付いた。
【0198】
質問2:呼吸器を着用した後に、臭いが弱くなったことに気付いた。その臭気除去能力に満足している。
【0199】
質問3:マスクの快適さと柔軟性に満足している。
【0200】
質問4:前記製品は、望ましい良好な電池耐用年数を有する。
【0201】
質問5:製品が運ばれるときの大きさと重量に満足している。
【0202】
質問6:呼吸器における正圧気流設計に満足している。
【0203】
質問7:製品が使いやすく、且つ制御インタフェースが使用者に優しいことに気付いた。
【0204】
質問8:フィルタの清浄/交換手順が簡単かつ便利であることに気付いた。
【0205】
各試験について、使用者は、1(非常に不賛成)から5(非常に賛成)のレベルの得点を提供することで上記各質問に対してそのフィードバックを提供するように要求された。3点以上は、使用者に「賛成」と認められた。全ての15名の受験者の各質問に対する得点を収集して、平均得点を該当して算出した。
【0206】
結果:
図17に示す呼吸器1と呼吸器2の使用者体験の異なる方面での平均得点の比較は、「臭味除去」(質問2に対応する)と、「電池耐用年数」(質問4に対応する)と、「重量と大きさ」(質問5に対応する)と、「正圧気流」(質問6に対応する)と、「使用者友好度」(質問7に対応する)と、「清浄/交換の利便性」(質問8に対応する)とを含む。
【0207】
要するに、多くの使用者は、呼吸器1であっても呼吸器2であっても、試験に使用した二つの呼吸器がいずれも有用であることに気付いており、且つその性能に満足している。呼吸器1に比べて、呼吸器の重量と大きさの方面を除いて、使用者は、呼吸器2の性能に対してほぼすべての方面でより満足している。
【0208】
「臭味除去」能力の方面では、呼吸器1(平均得点が3.625点である)に比べて、呼吸器2の平均得点(平均得点が4点である)はより高く、それによって呼吸器2のVOC除去能力及び空気流入と流出速度の方面での改良がより良い性能と使用者体験をもたらすことができることが明らかになる。
【0209】
「正圧気流」設計に対する満足度の方面では、呼吸器1(平均得点が3.11点である)に比べて、呼吸器2の平均得点(平均得点が4点である)はより高い。これは少なくとも、呼吸器2における空気流入と流出速度の改良に起因してもよく、これは、より良い使用者体験をもたらす。
【0210】
「電池耐用年数」の方面では、多くの使用者のテストサンプルの電池耐用年数は、その作動時間を維持するために十分である。呼吸器1(平均得点が3点である)に比べて、呼吸器2(平均得点が4点である)の平均得点はより高い。これは少なくとも、呼吸器2の電池効用の改善に起因してもよい。
【0211】
「清浄/交換の容易さ」の方面では、呼吸器1(平均得点が3.45点である)に比べて、呼吸器2の平均得点(平均得点が4点である)はより高く、これは、呼吸器2における取り外し可能なフィルタボックスの配置は使用者により容易に受け入れられることを示している。
【0212】
ここで
図18Aから
図18Gへ移行すると、これは、使用者による、試験中の呼吸器2の異なる方面の性能の得点の分布を示す。
【0213】
図18Aは、使用者による、呼吸器2の臭気除去能力方面(質問2に対応する)での得点の分布を示す。マイナスのフィードバック(2点以下)を受け取っていないため、すべての使用者は呼吸器2の臭味除去能力を普遍的に認めている。50%を超える使用者は、ひいては呼吸器2の臭味除去能力に高い満足度(4点又は5点)を示した。
【0214】
図18Bは、使用者による、呼吸器2のマスクの快適さと柔軟性方面(質問3に対応する)での得点の分布を示す。ほとんど(73%)の使用者は、この方面を認めたが、ここで約20%の使用者は、高い満足度(4又は5点)を示し、且つ約7%の使用者のみは、少し違和感があると考えた。
【0215】
図18Cは、使用者による、呼吸器2の電池耐用年数の満足度方面(質問4に対応する)での得点の分布を示す。ほとんど(約90%)の使用者は、この方面を認めたが、ここで約40%の使用者は、高い満足度(4点又は5点)を示し、且つ約11%の使用者のみは、電池耐用年数に満足していないと考えた。これは、電池の性能/容量が使用者の作動時間の持続時間を維持するのに十分であることを示している。
【0216】
図18Eは、使用者による、呼吸器2の正圧気流設計の満足度方面(質問6に対応する)での得点の分布を示す。ほとんど(93%)の使用者は、この方面を認めたが、ここで約20%の使用者は、高い満足度(4点又は5点)を示し、これは、多くの使用者が呼吸器の正圧気流に困っておらず、且つ使用者に受け入れられるように設計されていることを示している。
【0217】
図18Fは、使用者による、呼吸器2の制御インタフェースの使いやすさと使用者友好度の方面(質問7に対応する)での得点の分布を示す。ほとんど(約70%)の使用者は、この方面を認めたが、ここで約20%の使用者は、高い満足度(4点又は5点)を示し、これは、多くの使用者が呼吸器の操作が容易であることに気付いたことを示している。
【0218】
図18Gは、使用者による、呼吸器2のフィルタの清浄と交換の利便性方面(質問8に対応する)での得点の分布を示す。圧倒的多数(96%)の使用者は、この方面を認めたが、ここで約40%の使用者は、高い満足度(4点又は5点)を示した。これは、呼吸器2の取り外し式フィルタボックスの設計に起因する可能性があり、これは、使用されたフィルタボックスの取り外しと新たなフィルタボックスの交換を簡単かつ効率的にする。
【0219】
例示的な実施例による方法と機器は、例として提供されたものであり、且つ一つの方法又は機器からの例は、別の方法又は機器からの例を制限するものと解釈されてはならない。さらに、異なる図面で検討された方法と機器は、他の図面における方法と機器に追加されるか又は他の図面における方向及び装置と互換されることができる。
【0220】
本発明の例示的な実施例は、これにより完全に説明された。記述が特定の実施例を参照したが、本発明はこれらの具体的な詳細の変形によって実施され得ることが当業者には明らかであろう。そのため、本発明は、本明細書に記載される実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】