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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車両接続部
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/20 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B61D17/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023528099
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 GB2021052843
(87)【国際公開番号】W WO2022101609
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2017855.4
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523157689
【氏名又は名称】キングホーン,ジョン リッチ
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン キングホーン
(57)【要約】
鉄道車両を互いに接続するための車両接続部であって、一対の壁部と、床部と、屋根部と、を備え、前記壁部、床部及び屋根部は、開口を有して鉄道車両に前記車両接続部を取り付けるための取付可能インターフェースを形成する第1端部と、接続可能インターフェースを形成する反対側の端部と、を有する通路を形成し、前記壁部は、それらの長手方向長さが変化し得るように構成され、前記壁部、床部及び屋根部は、前記壁部が前記開口を塞ぐように前記取付可能インターフェースに格納されて前記車両接続部の閉位置を規定し、前記取付可能インターフェースから伸長されて前記通路を形成して前記車両接続部の開位置を規定するように配置されている。前記壁部は、第1位置では車両の軸方向に概ね平行で前記通路を形成し、第2位置では車両の軸方向に概ね直交して前記開口を閉じる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両を互いに接続するための車両接続部であって、
一対の壁部と、
床部と、
屋根部と、を備え、
前記壁部、床部及び屋根部は、開口を有して鉄道車両に前記車両接続部を取り付けるための取付可能インターフェースを形成する第1端部と、接続可能インターフェースを形成する反対側の端部と、を有する通路を形成し、
前記壁部は、それらの長手方向長さが変化し得るように構成され、
前記壁部、床部及び屋根部は、前記壁部が前記開口を塞ぐように前記取付可能インターフェースに格納されて前記車両接続部の閉位置を規定し、前記取付可能インターフェースから伸長されて前記通路を形成して前記車両接続部の開位置を規定するように配置され、
前記車両接続部は、前記開位置と閉位置の間で移動可能となっていることを特徴とする車両接続部。
【請求項2】
前記屋根部は、前記閉位置では鉄道車両内に格納され、前記開位置では前記通路を形成するために鉄道車両内から伸長されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両接続部。
【請求項3】
前記床部及び屋根部は、それらの長手方向長さが前記壁部の長手方向長さに従って変化し得るように構成されることで、前記通路の長手方向長さが可変となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両接続部。
【請求項4】
前記壁部の各々は、第2セクションに対してスライド可能に取り付けられた第1セクションを少なくとも有し、一の前記セクションが他の前記セクションに対してスライドすることで前記壁部の長手方向長さが可変となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項5】
前記セクションは、そのスライド移動が前記壁部の長手方向に拘束されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両接続部。
【請求項6】
前記開位置と閉位置との間の前記車両接続部の移動は、作動手段により制御されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項7】
前記取付可能インターフェースはピボットであり、前記開位置において前記壁部、床部及び屋根部、すなわち、前記通路は、前記床部と平行な面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の車両接続部。
【請求項8】
前記壁部、床部及び屋根部は、前記取付可能インターフェースの一部を形成する取付可能端部と、前記接続可能インターフェースの一部を形成する遠位端部と、を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両接続部。
【請求項9】
前記壁部は、鉄道車両の軸方向に概ね平行な第1位置から鉄道車両の軸方向に概ね直交した第2位置まで旋回可能で、前記壁部の遠位端部は、前記第2位置では前記取付可能インターフェースで概ね面一となって前記開口を閉じ、前記第1位置では前記通路の一部を形成し、前記壁部は、前記第1位置と第2位置との間で移動可能となっていることを特徴とする請求項8に記載の車両接続部。
【請求項10】
前記床部及び屋根部は、前記第1位置と第2位置との間の移動中に前記壁部を妨げないように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の車両接続部。
【請求項11】
前記作動手段は、前記第1位置と第2位置との間の前記壁部の移動を制御及び/又は同期することで、前記開位置と閉位置との間の前記車両接続部の移動を制御するように配置されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の車両接続部。
【請求項12】
前記壁部の各々は、前記通路に面する内面及びその反対側の外面を有し、前記取付可能インターフェースの一部を形成する取付可能端部及びヒンジ部を介して前記壁部の外面に接続された遠位端部を有する平板状外側部材を更に含み、第1空隙は、前記壁部、外側部材及びヒンジ部の間の空間により規定され、
前記外側部材は、前記壁部と同じ面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように配置されていることを特徴とする請求項11に記載の車両接続部。
【請求項13】
前記外側部材とヒンジ部との間で規定される第1角度及び前記壁部とヒンジ部との間で規定される第2角度は、連結手段を介して連動して制御されるように配置されていることを特徴とする請求項12に記載の車両接続部。
【請求項14】
前記連結手段は、前記第1角度と第2角度が連動して制御され得るように前記壁部及び外側部材の移動を連結することを特徴とする請求項13に記載の車両接続部。
【請求項15】
前記第1空隙の空気圧は、前記壁部、外側部材及びヒンジ部の剛性が変化するように可変となっていることを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項16】
前記壁部の遠位端部は、前記接続可能インターフェースの一部を形成して第2空隙を有する接続可能構造を前記外面に有し、前記第2空隙の空気圧は、前記接続可能構造の剛性が変化するように可変となっていることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項17】
前記第1空隙と第2空隙との間に第3空隙が規定され、前記第3空隙の空気圧は変化せずに周囲空気圧に曝される又は前記第3空隙の空気圧は変化するように構成されていることを特徴とする請求項16に記載の車両接続部。
【請求項18】
使用中に前記閉位置において、前記連結手段は、前記車両接続部の空力抵抗の低減を容易にするために該車両接続部が実質的に三角形の断面を有するように前記第1及び第2角度を維持することを特徴とする請求項14乃至請求項17のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項19】
前記床部は、鉄道車両の連結器と機械的に連結されるように配置され、前記車両接続部が前記閉位置にあるときに前記床部が前記連結器の移動に追従することを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項20】
各々の前記車両接続部の接続可能インターフェースは、互いに接続して前記通路ひいては前記車両接続部を接続することで、伸長した通路ひいては伸長した車両接続部を形成するように配置されていることを特徴とする請求項7乃至請求項19のいずれか一項に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項21】
各々の前記車両接続部の壁部、屋根部及び床部は、互いに接続して相互接続された屋根及び床並びに第1及び第2相互接続壁を形成することを特徴とする請求項20に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項22】
前記床部及び屋根部が相互接続されると、前記屋根部及び床部の格納及び伸長は制約されることを特徴とする請求項21に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項23】
使用時に、前記伸長した車両接続部は、第1及び第2鉄道車両の端部を互いに接続し、鉄道車両の端部が互いに平行な場合には中立配置にあり、鉄道車両の端部が互いに非平行な場合には旋回配置にあり、
前記中立配置の間、前記相互接続壁における各々の前記壁部の長手方向長さは同一で、
前記旋回配置の間、前記相互接続壁における各々の前記壁部の長手方向長さは、互いに逆向きに変化されるように配置され、前記伸長した通路の長手方向長さは一定のままであることを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項24】
前記壁部、床部及び屋根部は、前記伸長した車両接続部を形成する際に第1及び第2鉄道車両の高さ変化に対応できるように、前記床部に直交した面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように更に配置されていることを特徴とする請求項23に記載の第1及び第2車両接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
移動中に列車の隣接する鉄道車両間で人や物の移動を可能とする通廊(又は貫通路)接続は、長年に亘って設計に大きな変化が無い。典型的には、伸縮可能な布製カバーの「蛇腹」配置が、車両間の相対移動を可能とする機械配置により支持されるか、一連の剛体セクションが、同様の効果を与えるために互いにスライド可能となっている。一例では、広い条件下で位置安定性を部分的に保持することができる高度に伸縮可能な材料を導入したり、別の例では、一方のカバーが他方のカバー内に取り付けられた2つのカバーを使用する等、長年に亘って改良はされているものの、一般的にはこれらの配置は、19世紀最後の四半期に使用されていたものとほぼ同じである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような通廊接続部の設計の問題点として、互いに移動している接続部の一体化した部品のガタつき及びこすれから生じる騒音、通廊の外側から発生する騒音からの低遮音性、接続部の低断熱性及び隙間風による快適水準の低下、加熱・空調システムの非効率使用によるエネルギー浪費が挙げられる。
【0004】
これらの接続部を使用した高速列車の更なる困難は、典型的には車両外形よりもずっと狭い接続によってもたらされる空力抵抗である。これは、列車の全体的な断面に大きな不連続性を生み出して乱気流を発生させ、列車の推進をより難しくする。比較的中程度の速度では、1つの通廊接続の影響はそれほど重要ではないが、典型的には列車には多くの通廊接続がある。そのため、加速後に列車の速度が安定すると、空力抵抗に打ち勝つことがエネルギーの主な損失となり、接続部により誘発される抗力効果が組み合わさって、牽引のための列車の全体的なエネルギー消費の増加及び/又は達成可能速度の低下へと繋がる。
【0005】
更に、後に切り離される列車の一部を形成し、そのまま他の列車との接続に用いられる通廊接続は、問題となる可能性がある。これは、セクションが混雑する路線では組み合わされ、一部が異なるエリアに乗り入れられるように切り離される又は低容量で十分な場合には運行休止とされる複数ユニットの列車でしばしば見られる。通廊接続の最適要件は、接続が連結されているか否かによって異なる。接続部が使用されていない、すなわち、別の鉄道車両から切り離されているときには、より尖った外形が空力抵抗を減らすために列車の前後で好まれる。また、列車の端にある場合には通廊接続の幅を小さくすることが、接続部によって妨げられる運転手の視界の割合を減らすのに有益である。更に、接続部は、衝突安全性の理由から適度に堅牢で、内部の乗客の安全のために確実に閉じられる必要がある。
【0006】
本発明は、上記問題のうちの1つ又は複数を克服又は少なくとも緩和することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様では、鉄道車両を互いに接続するための車両接続部であって、一対の壁部と、床部と、屋根部と、を備え、前記壁部、床部及び屋根部は、開口を有して鉄道車両に前記車両接続部を取り付けるための取付可能インターフェースを形成する第1端部と、接続可能インターフェースを形成する反対側の端部と、を有する通路を形成し、前記壁部は、それらの長手方向長さが変化し得るように構成され、前記壁部、床部及び屋根部は、前記壁部が前記開口を塞ぐように前記取付可能インターフェースに格納されて前記車両接続部の閉位置を規定し、前記取付可能インターフェースから伸長されて前記通路を形成して前記車両接続部の開位置を規定するように配置され、前記車両接続部は、前記開位置と閉位置の間で移動可能となった車両接続部が与えられる。
【0008】
本発明の車両接続部は、従来の車両接続部に対していくつかの利点を有する。車両接続部は、直線的な本線を走る高速旅客列車から狭い駅や待避線できついカーブを曲がる必要のある小包バンまで、従来の車両接続を必要とする鉄道網の車両に後付け且つ取り外し可能に取り付けられ得る。そのため、車両接続部は、鉄道車両を互いに接続するために従来の車両接続部を置換することができる。
【0009】
車両接続部の形状は、列車に連結されたとき若しくは列車の前端又は後端で、すなわち、それぞれ開位置及び閉位置の両方で、比較的低いエネルギー消費のために比較的優れた空気力学を有し、また、車両接続部が閉じられて運転台の端部に取り付けられた場合には、列車の運転手にそれほど遮られていない視野を与える。
【0010】
本発明の車両接続部は、比較的改善された熱及び音の遮断性を与えると共に、必要に応じて乗客及び貨物車両の両方で、すべての鉄道ルートをカバーする普遍的なアプリケーションのために、急カーブに対応する能力を完全な車両接続部、すなわち、互いに接続された第1及び第2車両接続部に与える。更に、部材の長手方向長さの伸縮可能な変化といった車両接続部の構成配置は、広範囲の車両間連結距離を許容し、異なる車両配置方法を有する従来連結器及び格納式連結器両方の使用を可能とする。
【0011】
床部のような車載接続部の下面は、鉄道車両の下面に一般的に取り付けられる格納式連結器を収容できるような形状になっている。このようにして、格納式連結器及び(本発明による)車両接続部の両方を有する一対の鉄道車両は、車両接続部及び格納式連結器の両方を介して互いに連結され得る。言い換えれば、車両接続部は、格納式連結器の動作を妨げないように配置されている。場合によっては、車両接続部は、最初に格納式連結器を介して次に車両接続部を介して一対の鉄道車両が連結し、鉄道車両が互いに連結解除する場合にはこの順序の逆が起こるように、格納式連結器と連動して動作するように配置され得る。
【0012】
好ましくは、前記屋根部は、前記閉位置では鉄道車両内に格納され、前記開位置では前記通路を形成するために鉄道車両内から伸長されるように構成されている。このようにして、車両接続部は、使用しないときには収容され、すなわち、第1及び第2鉄道車両を互いに接続するために完全な車両接続部を形成せず、その結果、比較的低いエネルギー消費のために比較的優れた空気力学をもたらし、列車の運転手にそれほど遮られていない視野を与える。
【0013】
好ましくは、前記床部及び屋根部は、それらの長手方向長さが前記壁部の長手方向長さに従って変化し得るように構成されることで、前記通路の長手方向長さが可変となっている。このようにして、2つの車両接続部の間の可変連結距離が達成され、完全な車両接続部は、線路のカーブに対応するために旋回することができる。
【0014】
好ましくは、前記壁部の各々は、第2セクションに対してスライド可能に取り付けられた第1セクションを少なくとも有し、一の前記セクションが他の前記セクションに対してスライドすることで前記壁部の長手方向長さが可変となっている。このようにして、壁部が伸縮的に格納されると壁部のセクションが比較的小さな空間を占め、全体として比較的効率的な設計が可能となる。
【0015】
好ましくは、前記セクションは、そのスライド移動が前記壁部の長手方向に拘束されるように構成されている。このようにして、壁部は、望ましい長手方向の形状を維持する。
【0016】
好ましくは、前記開位置と閉位置との間の前記車両接続部の移動は、作動手段により制御される。
【0017】
好ましくは、前記取付可能インターフェースはピボットであり、前記開位置において前記壁部、床部及び屋根部、すなわち、前記通路は、前記床部と平行な面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように配置されている。このようにして、壁部、床部及び屋根部は、取付可能インターフェースに対して旋回可能となり、完全な車両接続部が鉄道線路上で旋回してカーブに対応することができる。
【0018】
好ましくは、前記壁部、床部及び屋根部は、前記取付可能インターフェースの一部を形成する取付可能端部と、前記接続可能インターフェースの一部を形成する遠位端部と、を有する。
【0019】
好ましくは、前記壁部は、鉄道車両の軸方向に概ね平行な第1位置から鉄道車両の軸方向に概ね直交した第2位置まで旋回可能で、前記壁部の遠位端部は、前記第2位置では前記取付可能インターフェースで概ね面一となって前記開口を閉じ、前記第1位置では前記通路の一部を形成し、前記壁部は、前記第1位置と第2位置との間で移動可能となっている。このようにして、壁部は、閉位置では接続された鉄道車両を閉鎖して、開位置では車両接続部内の乗客が車両接続部の外に落下するのを防ぐ壁として機能することができる。
【0020】
好ましくは、前記床部及び屋根部は、前記第1位置と第2位置との間の移動中に前記壁部を妨げないように構成されている。このようにして、壁部は、開位置と閉位置との間で自由に移動することができる。
【0021】
好ましくは、前記作動手段は、前記第1位置と第2位置との間の前記壁部の移動を制御及び/又は同期することで、前記開位置と閉位置との間の前記車両接続部の移動を制御するように配置されている。このようにして、車両接続部の開閉、ひいては完全な車両接続部を接続及び接続解除する間の期間を最適化され、すなわち、これらの動作を行うのに必要な時間が短くなる。
【0022】
好ましくは、前記壁部の各々は、前記通路に面する内面及びその反対側の外面を有し、前記取付可能インターフェースの一部を形成する取付可能端部及びヒンジ部を介して前記壁部の外面に接続された遠位端部を有する平板状外側部材を更に含み、第1空隙は、前記壁部、外側部材及びヒンジ部の間の空間により規定され、前記外側部材は、前記壁部と同じ面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように配置されている。このようにして、壁部は、開位置で接続されたときにはより確実に旋回され、閉位置では鉄道車両の端部を封止してより安全な「ドア」を与える。
【0023】
好ましくは、前記外側部材とヒンジ部との間で規定される第1角度及び前記壁部とヒンジ部との間で規定される第2角度は、連結手段を介して連動して制御されるように配置されている。このようにして、壁部の移動パターン、すなわち、開位置と閉位置との間での旋回移動がより良好に制御され得る。
【0024】
好ましくは、前記連結手段は、前記第1角度と第2角度が連動して制御され得るように前記壁部及び外側部材の移動を連結する。
【0025】
好ましくは、前記第1空隙の空気圧は、前記壁部、外側部材及びヒンジ部の剛性が変化するように可変となっている。
【0026】
好ましくは、前記壁部の遠位端部は、前記接続可能インターフェースの一部を形成して第2空隙を有する接続可能構造を前記外面に有し、前記第2空隙の空気圧は、前記接続可能構造の剛性が変化するように可変となっている。このようにして、第1及び第2空隙は、様々な車両移動に対応するのに十分な柔軟性を維持しつつ、車両接続部の所望の安定性及び剛性を与えるように加圧される。
【0027】
好ましくは、前記第1空隙と第2空隙との間に第3空隙が規定され、前記第3空隙の空気圧は変化せずに周囲空気圧に曝される又は前記第3空隙の空気圧は変化するように構成されている。このようにして、車両接続部の形状の急激な変化に対応することができる。
【0028】
好ましくは、使用中に前記閉位置において、前記連結手段は、前記車両接続部の空力抵抗の低減を容易にするために該車両接続部が実質的に三角形の断面を有するように前記第1及び第2角度を維持する。
【0029】
好ましくは、前記床部は、鉄道車両の連結器と機械的に連結されるように配置され、前記車両接続部が前記閉位置にあるときに前記床部が前記連結器の移動に追従する。このようにして、2つの隣接する鉄道車両(車両接続部が閉じられているときには互いに分離されている)の床部は、対応する連結された鉄道車両の曲線移動を追随することができ、互いに衝突しないようになる。
【0030】
好ましくは、前記床部は、前記車両接続部が開いているときに、鉄道車両の連結器から機械的に連結解除されるように配置されている。このようにして、完全に連結された2つの鉄道車両の床部及び完全な車両接続部は、車両の設計及び力学により要求される連結器の移動とは独立して移動することができ、互いに干渉しない。
【0031】
好ましくは、各々の前記車両接続部の接続可能インターフェースは、互いに接続して前記通路ひいては前記車両接続部を接続することで、伸長した通路ひいては伸長した車両接続部を形成するように配置されている。このようにして、第1及び第2車両接続部は、互いに接続され、第1及び第2鉄道車両を互いに接続してそれらの間に通路を形成することができる。
【0032】
好ましくは、各々の前記車両接続部の壁部、屋根部及び床部は、互いに接続して相互接続された屋根及び床並びに第1及び第2相互接続壁を形成する。このようにして、第1及び第2車両接続部は、互いに接続され、第1及び第2鉄道車両を互いに接続してそれらの間に通路を形成することができる。
【0033】
好ましくは、前記床部及び屋根部が相互接続されると、前記屋根部及び床部の格納及び伸長は制約される。このようにして、相互接続された床部及び屋根部は、使用中に維持される。
【0034】
好ましくは、使用時に、前記伸長した車両接続部は、第1及び第2鉄道車両の端部を互いに接続し、鉄道車両の端部が互いに平行な場合には中立配置にあり、鉄道車両の端部が互いに非平行な場合には旋回配置にあり、前記中立配置の間、前記相互接続壁における各々の前記壁部の長手方向長さは同一で、前記旋回配置の間、前記相互接続壁における各々の前記壁部の長手方向長さは、互いに逆向きに変化されるように配置され、前記伸長した通路の長手方向長さは一定のままである。このようにして、完全な車両接続部は、完全な車両接続部が使用されているときに、鉄道線路上のカーブに対応するように旋回することができる。
【0035】
好ましくは、前記壁部、床部及び屋根部は、前記伸長した車両接続部を形成する際に第1及び第2鉄道車両の高さ変化に対応できるように、前記床部に直交した面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように更に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の実施形態は、図面を参照しながら例示的に説明される。
図1】車両接続部の概念を示す斜視図。
図2】車両接続部の一部を示す概略平面図。
図3】a-fは、開位置から閉位置への壁部の移動を示す概略平面図。
図4】壁部の移動及び旋回手段制御機構の対応する移動及び角度を示す概略図。
図5】壁部の伸縮可能配置を示す側面図。
図6】A、Bは、壁部の伸長を示す斜視図。
図7】壁部セクションの概略断面図。
図8】開位置から閉位置への壁部の移動及び車両接続部の旋回を示す概略平面図。
図9】壁部作動手段の概略平面図。
図10】上部天井パネルの概略平面図。
図11】下部天井パネルの概略平面図。
図12】屋根カバー及びタレットの概略平面図。
図13】屋根部側部の概略断面図。
図14】屋根部前部の概略断面図。
図15】床部の概略平面図。
図16】床部の中央を通る概略断面図。
図17】a、bは、ローラ配置を示す床部側部の概略断面図。
図18】床部の断面を示す斜視図。
図19】壁部の断面を示す斜視図。
図20】閉じた車両接続部の前部を示す斜視図。
図21】格納された状態での開いた車両接続部の前部を示す斜視図。
図22】伸長された状態での開いた車両接続部の前部を示す斜視図。
図23】第1及び第2車両接続部が連結解除又は連結された第1及び第2鉄道車両を示す概略平面図。
図24】布地ローラ配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下で説明される本発明の一実施形態は、典型的には、特に信頼性が高く安全な車両間の通路を与えながら、鉄道車両の係合及び接続のためのインターフェースを与えるのに使用される。従来の車両接続部は、典型的には、鉄道車両を互いに接続するために鉄道車両の端部に取り付けられている。これらは、2つの鉄道車両を互いに接続する単一の車両接続部又は2つの車両接続部間での接続を介して2つの鉄道車両を互いに接続する2つの別々の車両接続部の形態である。後者の場合、これらは、鉄道車両の一部として一体的に取り付けられ得る。各鉄道車両の端部は、典型的には、車両接続部を介して接続された2つの鉄道車両において乗客が車両接続部に入って鉄道車両間を通れるように、鉄道車両内の乗客が鉄道車両間を行き来可能とするように寸法決めされた開口、すなわち、「ドア」を有する。車両接続部2は、第1及び第2鉄道車両に接続された第1及び第2車両接続部2が第1及び第2車両接続部2間の接続を介して鉄道車両を互いに接続するようにして、これらの従来の車両接続部を置換することを目的としている。
【0038】
図1は、一対の壁部4a、4b、床部6、屋根部8及び旋回手段9を備えた車両接続部2の基本構造を示している。一般に、部材4a、4b、6、8は、鉄道車両3の端部に取り付けられるチャンバ12を形成するように配置される。チャンバ12は、鉄道車両3の乗客が車両接続部2に出入りできるように開口10を有する。チャンバ12は、鉄道車両3に対して旋回するように配置され、旋回手段9がこの移動を容易にする。チャンバ12は、開口10が閉塞されて乗客が車両接続部2を介して鉄道車両3に出入りするのを防ぐように折り畳み可能となっている。車両接続部2は、チャンバ12が形成されているときには「開」位置にあり、開口10が閉塞されるようにチャンバ12が折り畳まれているときには「閉」位置にあって、閉位置と開位置との間で可動となっている。次に、これら特徴の具体的な構造及び実施態様について説明する。
【0039】
壁部4a、4bは、実質的に平面であり、それぞれ取付可能端部14a及び反対側の遠位端部16a(共に垂直軸平面Aに対して平行)を有する。床部6及び屋根部8も、実質的に平面であり、それぞれ取付可能端部14b及び反対側の遠位端部16b(共に垂直軸平面Aに対して直交)を有する。好ましくは、部材4a、4b、6、8の取付可能端部14a、14bは、後でより詳細に説明する鉄道車両3の端部に対して部材4a、4b、6、8を取り外し可能に取り付けるように配置される。他の実施形態では、部材4a、4b、6、8は、鉄道車両3に対して取り外し可能に取り付けられるのではなく、鉄道車両3と一体であってもよい。
【0040】
部材4a、4b、6、8は、部材4a、4b、6、8の軸方向長さに応じて実質的に長方形又は正方形の形状を有する細長いチャンバ12を形成するように互いに接続される。チャンバ12の形状は、部材4a、4b、6、8の長さ及び形状を反映する。場合によっては、各部材4a、4b、6、8は、チャンバ12が非対称となるように互いに異なって形成され得る。
【0041】
特に、壁部4a、4bは、互いに且つ平面Aに対して平行で、床部6及び屋根部8は、互いに平行で且つ平面Aに対して直交している。各部材4a、4b、6、8の2つの縁、すなわち、取付可能端部及び遠位端部以外の対向する側部は、通常直角で2つの他の部材の縁と接触する。このようにして、床部6及び屋根部8の縁は、チャンバ12が形成されるように壁部4a、4bの縁と接触する。ある場合には、部材の縁は、直角以外の角度で接触してもよい。
【0042】
チャンバ12は、取付可能端部14a、14bを含む第1端部と遠位端部16a、16bを含む第2端部とを有し、これら端部は、共にチャンバ12の形状によって決定される開口を有する。チャンバ12の第1端部における開口10は、鉄道車両3の端部に与えられるドアに対応する。乗客が車両接続部2を介して鉄道車両に出入りするのを防ぐためにチャンバ12の第1端部にある開口10及び鉄道車両3のドアを閉塞するように、実質的にはチャンバ12を潰すように、部材4a、4bは、一般に鉄道車両3に向かって格納又は「内側に旋回」されるように配置されている。また、上述した格納又は「閉」位置にある部材4a、4bは、チャンバ12が形成されて開口10がもはや閉塞されないように、鉄道車両3から離れて伸長又は「外側に旋回」されるように配置され、ドアの「開口」は、乗客が車両接続部2に出入りし、そして最終的には車両接続部2を介して鉄道車両3に出入りできるようにする。上記で定義したように、車両接続部2は、チャンバ12が形成されて開口10が閉塞されていないときには開位置にあり、チャンバ12が潰れて開口10が閉塞されているときには閉位置にある。開位置と閉位置との間の車両接続部2の移動は、以下で詳細に説明される。
【0043】
壁部4a、4bの伸長及び格納移動について説明する。図2は、図1の断面Bと同様の断面における壁部4a、4bを示す。各々の壁部4a、4bは、対応する旋回手段9a、9bと共に同じ様式で動作するので、壁部及び対応する旋回手段のうち1つの移動についてのみ説明する。壁部4aは、チャンバ12に面する内側面、外側面及び壁部4aが取付可能端部14aを中心に旋回できるように鉄道車両3に壁部4aを旋回可能に取付ける取付可能端部14aを有する。この場合、壁部4aは、その動作長さを増加させ、且つ車両が急カーブを通るときに旋回しなければならない角度を減少させるために、鉄道車両3に幾分窪むように取り付けられる。他の実施形態では、そうでない場合もある。
【0044】
旋回手段9aは、取付可能端部14c及び遠位端部16cを有する固定パネル22を含む。取付可能端部14cは、鉄道車両3に対して固定パネル22を旋回可能に取り付け、遠位端部16cは、ヒンジ部24を介して遠位端部16aに近い壁部4aに固定パネル22を旋回可能に取り付ける。ヒンジ部24は、固定パネル22に旋回可能に接続された外側パネル26と壁部4aに旋回可能に接続された内側パネル20とを有し、外側及び内側パネル26、20も互いに旋回可能に接続されている。このようにして、壁部4a、ヒンジ部24及び固定パネル22は、実質的に一緒に動作することができ、壁部4a及び固定パネル22は、それぞれの取付可能端部14a、14cについて旋回することができ、外側パネル26及び内側パネル20は、それぞれ固定パネル22及び壁部4a及び互いについて旋回することができる。
【0045】
図3は、壁部4a、4bの伸長及び格納又は「旋回」の概念を示し、特に、開位置から鉄道車両3に向かう壁部4a、4bの格納又は「漸進的な閉動作」を示す。図3a乃至3fは、壁部4a、4bの遠位端部が鉄道車両3に達するときの壁部4a、4b及び旋回手段9a、9bの移動を連続的に示している。壁部4a、4bが、鉄道車両の軸方向(図1の面A)に概ね平行な第1位置から鉄道車両の軸方向に概ね直交した第2位置まで旋回可能で、第2位置にある壁部4a、4bの遠位端部16a、16aが概ね面一となって開口10を閉じることが見て取れる。このようにして、鉄道車両3の開口10又はドアは、車両接続部2が使用されていないとき、すなわち、2つの鉄道車両間の通路を提供する別の鉄道車両と連結されていないときに閉じられ得る。
【0046】
従って、車両接続部2は、壁部4a、4bが第1位置(図3a)にあるときには開位置にあり、壁部4a、4bが第2位置(図3f)にあるときには閉位置にある。壁部4a、4bは、後に説明する作動手段を用いて第1位置と第2位置との間で移動可能となっている。
【0047】
壁部4a、4bは、開位置では乗客が車両接続部2の外側に不注意に落ちるのを防ぐ「壁」をチャンバ12に与え、閉位置では開口10を閉じて乗客が鉄道車両3の外側に不注意に落ちるのを防ぐ「閉扉」を鉄道車両3に与えることで物理障壁として作用する。閉位置において壁部4a、4bの内側面は、鉄道車両2内で乗客に提示され、閉扉を形成して鉄道車両3内からの熱損失や鉄道車両3内に侵入する騒音及び/又は天候に対する封止を形成する。この封止は、車両接続部2の良好な衝突安全性にも寄与する。
【0048】
壁部4aに対する旋回手段9aの移動は、制御機構を用いて壁部4a及び固定パネル22の旋回角度を連動して制御することにより達成される。図4は、接続ロッドを介して互いに接続された第1及び第2クランクを有する制御機構を示している。壁部4a及び固定パネル22の移動が互いに連動するように、第1クランクは壁部4aに接続し、第2クランクは固定パネル22に接続している。この制御機構は、部材22、4a各々の底部に取り付けられたクランクを用いて床部6の下で行われる。
【0049】
開位置において車両接続部2は、図1の平面Bに沿って鉄道車両3の端部を中心に旋回するように配置されている。特に、車両接続部2は、その中央長手軸を中心に旋回可能で、その軸の左又は右のいずれかに旋回する。開位置において角度Aは、接続ロッドが第2クランク旋回点を直接ポイントするように壁部4aからオフセットされる。この配置は、第2クランクが車両接続部2の開位置において殆ど移動しないことを保証する。車両接続部2が閉位置にあるときには、角度Bは、接続ロッドによって壁部4aが堅牢に保持されるようになっている。
【0050】
接続ロッドは、開位置と閉位置との間で旋回するときに、両方の場合において空力抵抗の低減を容易にするために車両接続部2の断面形状を変化させるように配置され、開位置では、隣接する車両の車両接続部2への滑らかな取り付けのために広い外形が提示され、閉位置では、車両が列車の端部にあって別の車両に連結されていない場合に狭くてより尖った外形が提示される。特に閉位置において、接続ロッドは、使用時に車両接続部2の空力抵抗の低減を容易にするために、車両接続部2が実質的に三角形又は凸形の断面を有するように角度A及びBを維持する。他の実施形態では、使用時に閉じた車両接続部2によって比較的低い空力抵抗が列車に起こるように、三角形断面以外の形状が使用され得る。
【0051】
図4は、左側で壁部4aの位置、右側でクランクの対応する位置及び角度A、Bを示している。第1角度Aは、壁部4aと線A1との間の角度に対応し、第2角度Bは、固定パネル22と線B1との間の角度に対応している。
【0052】
単純化のために図4は、個々の旋回点に直接に取り付けられたクランクを直線アームとして示している。実際にはクランクは、接続ロッドの取り付け点が角度A、Bに対応する正しい角度位置にある限り、異なる形状を有していてもよいし、異なる場所でパネルに取り付けられてもよい。
【0053】
図5で見られるように、各壁部4a、4bは、各壁部4a、4bの長手方向長さLが可変となるように、伸縮可能に配置された3つのセクション28、30、32を含む。内側セクション28は、鉄道車両3に取り付けられる取付可能端部14bを有し、中間セクション30を介して遠位端部16bを有する外側セクション32に接続されている。中間セクション30及び外側セクション32は、内側セクション28から伸長すると共に内側セクション28内に格納されるように配置されている。言い換えれば、中間セクション30は、内側セクション28にスライド可能に取り付けられ、外側セクション32は、セクションが互いにスライドして壁部の長手方向長さが可変となるように中間セクション30にスライド可能に取り付けられている。
【0054】
このようにして、壁部4a、4b及びチャンバ12の長手方向長さは、中間セクション及び外側セクションがそれぞれ内側セクション内に完全に格納された最小長さから、中間セクション及び外側セクションがそれぞれ内側セクション内から完全に伸長された最大長さまで可変となる。図5は、完全に格納された中間セクション30及び外側セクション32(図5の左側)から完全に伸長された位置(図5の右側)への伸長を示す。
【0055】
壁部4a、4bの伸縮移動を可能とする機構を、図6を参照して説明する。セクション28、30、32は、図6の左側で示すように実質的に長方形で、互いに同様の大きさである。内側セクション28は、中間セクション30及び外側セクション32を受け入れるための空洞を有する。中間セクション30は、内側セクション28の空洞内を自由にスライドできるように、ガイドレール及びローラ配置を介して内側セクション28に対してスライド可能に取り付けられている。外側セクション32も、同様の配置により中間セクション30に対してスライド可能に取り付けられている。ガイドレール及びローラ配置は、中間セクション30及び外側セクション32の軸方向移動が制限されるようにして、セクション30、32が所望の方向にだけ移動するよう確実に拘束されることを保証する。この場合、ローラは、ガイドレールの上下に取り付けられ、ローラを所望位置に保持すると共にガイドレールからローラが滑り落ちることを防止するばね取り付けによって定められた圧力でガイドレールを「挟み込む」。他の実施形態では、他の適切なスライド可能な取り付け配置が、中間セクション30に対して外側セクション32を、そして、内側セクション32に対して中間セクション30をスライド可能に取り付けために使用され得る。
【0056】
中間セクション30が伸長位置でかなりの重量に耐えられるように、垂直方向に取り付けられた軸(図6の右側に示す)と該軸にしっかりと固定された頂部及び底部のピニオンが、内側セクション28に近い端部付近で中間セクション30の内部に取り付けられている。これらのピニオンは、内側セクション28の対応する位置に取り付けられたラックと係合する。この配置は、中間セクション30がスライドしたときに軸方向に傾かない、すなわち、中間セクション30の頂部及び底部がピニオンにより同じ距離だけ移動して、ガイドレールに詰まるのを防止することを保証する。言い換えれば、セクションの互いに対するスライド移動は、壁部の長手方向において中間セクション30の頂部及び底部が等しい距離だけ移動できるように、共通軸上のピニオンと係合して内側セクション28の頂部及び底部付近に取り付けられたラックを用いて拘束される。ローラは、内側セクション28及び中間セクション30の端部近傍に配置され、そこで中間セクション30及び外側セクション32の端部とそれぞれ接続され、セクション28、30、32間で比較的小さな重なりしか生じないようになっている。
【0057】
中間セクション30から最も離れた外側セクション32の端部は、チャンバ12に対して外側に曲がり、接続可能端部34(図8で見られる)を形成する。接続可能端部34は、対向する第2車両接続部上の対応する領域と対合できるように、非対称な溝を持つように形成されている。
【0058】
同様のラック・アンド・ピニオン配置は、中間セクション30の反対側(裏側)で外側セクション32に近い箇所にも取り付けられ、外側セクション32がかなりの重量に耐えるようにすると共に、外側セクション32がスライドしたときに傾くのを防ぐ。中間セクション30に取り付けられた2つの軸は、図6の右側に示すように、プーリ及び歯付きベルトを用いて又はシャフト及びベベルギアによって機械的に連結されている。機械的連結は、中間セクション30のスペース内に取り付けられている。この機械的連結は、内側セクション28及び外側セクション32のラックが反対側で各々のピニオンと係合して中間セクション30に対して反対方向に同じ量だけ動くように制約されているので、両方の軸が同じ方向に同じ量だけ回転することを保証する。全体的な結果として、セクション28、30、32は、最大伸長までの所望量自由に移動することができ、衝撃に対抗すると共に取り付けられた物品の重量に耐えるのに必要な位置剛性及び堅牢性を有することになる。更に、中間セクション30は、外側セクション32の半分の距離を移動するように制約され、内側セクション28と外側セクション32との間で対称に保たれる。このようにして、壁部4aの伸縮運動を達成可能とするために、セクション28、30、32は、中間セクション30及び外側セクション32が内側セクション28に対して同期して伸長又は格納できるように機械的に連結されている。これは、各壁部4a、4bの長手方向長さLを可変とする。言い換えれば、中間及び外側セクションの機械的に連結されたスライドは、壁部の伸縮移動を達成可能とする。なお、図6の右側の図は、明確性のために機械的連結配置の一般原理のみを示しており、縮尺通りではない。また、軸は、実際には図示のように中心付近ではなく、所望の構造剛性を得るためにピニオンのすぐ近くで支持される。
【0059】
いくつかの実施形態では、壁部4a、4bは、伸縮配置された3つ以上のセクションを含み得る。特に、各壁部は、壁部4a、4bの最大伸長の増加及び壁部4a、4bの最大可変長Lの増加を可能とする2つ以上のスライド可能に取り付けられたセクション30、32を有してもよい。2つ以上のスライド可能に取り付けられたセクションを有することは、壁部の全体的な安定性を増すことができるが、車両接続部2の設計複雑性及び重量を増加させ得る。
【0060】
内側セクション内からの中間及び外側セクションの伸長及び格納は、壁部4a、4bの長手方向長さの外部制御を可能とするために伸縮制御手段を介して制御され得る。セクション30、32は、車両接続部2の閉位置では完全に格納され、開位置へと車両接続部が移行する間もそのままである。車両接続部2が開位置になると、伸縮制御手段は、第1及び第2車両接続部2を互いに連結するのに必要な量までチャンバ12の長さを伸長するように操作され得る。これは、後で詳述するように、2つの車両接続部間の連結距離を可変とする。
【0061】
図7は、セクション28、30、32、ガイドレール及びラック・アンド・ピニオン配置の断面配置を示す。コンパクトにするため、ラック歯は深いガイドレール内に凹設され、内側及び外側のガイドレールは、全体のパネル幅をより薄くするために互いに対向せず垂直方向にオフセットされている。また、このオフセット配置は、点線の輪郭で示すように、ベベルギアのために特定位置でスペースを確保する。中間セクション30に取り付けられた軸は、中間セクション30の垂直方向の全高に対応し、1つの機械的連結シャフトだけが必要であることを意味する。
【0062】
図2に戻って、壁部4a(内側セクション28)、旋回手段9a(部材20、26、22)及び鉄道車両3の間の中央スペースは、使用中の鉄道車両3、すなわち、車両接続部を介して互いに連結され鉄道線路上を移動する第1及び第2鉄道車両の種々の移動に対応するために、部材28、20、26、22が部材16a、24、16c、14aと接続する点で自由に旋回し得るように十分な柔軟性を維持しながら、部材28、20、26、22の各々に安定性及び剛性を与えるように加圧された第1空隙36を規定する。
【0063】
ここで、部材28、20、26、22は、僅かに柔軟な材料を用いて構成され、空隙36が所望の圧力まで加圧されたときに所望の「平坦な」外形をとるように、それらの形状は「予め変形されている」。材料、形状、厚み及び膨張圧の適切な選択は、必要程度の柔軟性及び堅牢性を有する軽量な構造体を与え得る。
【0064】
図4に戻って、第1空隙36内の加圧空気の体積は、囲まれた領域が実質的に矩形となった開位置と囲まれた領域が実質的に三角形となった閉位置との間で、車両接続部2が移動したときに実質的に一定のままである。好ましくは、第1空隙36内の加圧空気は、第1空隙36内に取り付けられた封止膜(不図示)により封止される。膜は、膨張可能で、所望の空気圧に加圧され得る。この膜は、膜を含む比較的剛性の高いパネルによって膜に課される位置変化に対応するために膜がその形状を変えることができるように、好ましくはゴムのような柔軟な材料である。この形状変化は、側部及びパネル間の接続部でのヒンジ様の曲げ動作や、空隙の位置に従って変化するであろう頂部及び底部での異なる上向き及び下向きの風船のような膨らみを含み得る。膜は、第1空隙36の全高まで伸長する必要はなく、膜が他の部材と接触しないように空隙高さの大部分を占め、頂部及び底部にクリアランスが残される。
【0065】
その結果、第1空隙36は所望の圧力に加圧され、この圧力は、車両接続部が開位置であっても閉位置であっても大きく変化しない。これは、断面積が両方の場合で同様で、その結果、膜で囲まれた空気の体積も両方の場合で同様であるためである。従って、操作中に第1空隙36を加圧又は減圧する必要はない。第1空隙36への圧縮空気接続は、制御目的及び空気システムからの漏れを補償するためだけに必要とされる。
【0066】
第1空隙36に加えて、第2空隙38及び第3空隙40がそれぞれ中間セクション30及び外側セクション32に関連して規定され、セクション28、30、32の各々が対応する空隙36、38、40を有する。この配置は、一対の壁部4a、4b並びにそれらの3つの対応するセクション及び空隙が閉位置(図8の上部)と開位置(図8の下部)との間で移動する様子を示す図8で示されている。
【0067】
第3空隙40は、矩形構造39内のスペースにより規定され、チャンバ12とは反対側の外側セクション32の側方に設けられている。矩形構造39の形状は、外側セクション32が格納されたときに矩形構造39が実質的に中間セクション30内に格納されるように、中間セクション30の空洞に実質的に対応する。前と同様に、好ましくは第1空隙36と同様の膜を介した第3空隙40内の空気の加圧は、使用時に接続可能端部34が隣接する第2車両接続部の対応する接続可能端部に対して耐候性の密閉を形成するように、外側セクション32及び対応する接続可能端部34に安定性及び剛性を与える。
【0068】
矩形構造39は剛性パネルにより形成されているが、鉄道車両3に面する矩形構造39の側面は、矩形構造39及び第3空隙40が使用中の鉄道車両の移動、鉄道線路の通過及び/又は天候により矩形構造39に誘発される力といった外部から加えられる力に応じて形状変化し得るようにゴム膜を含む。
【0069】
第2空隙38は、大気圧に開放され、第1空隙36と第3空隙40との間のスペースにより規定される。第2空隙38の形状及び容積は、鉄道車両が急カーブに遭遇すると急激且つ大きく変化し得る。第2空隙38は、第1空隙36及び第3空隙40により殆ど囲まれているが、第2空隙38内から大量の空気が急激に流入又は排出され得るように大気に対して十分なアクセスを依然として有している。
【0070】
車両接続部2の熱的及び音響的絶縁を改善すると共に空力抵抗を低減することが望まれるので、車両接続部2は、従来の設計よりも大きな嵩を占める。しかしながら、車両のエネルギー効率を維持するために、車両接続部2の重量を適度に低く抑えることも望まれる。これらの相反する要求は、空気で満たされた空隙36、38、40が車両接続部2の容積の大部分を占めるようにする一方で、壁部及び空隙を囲む構造に軽量な材料を使用することにより調整される。
【0071】
壁部4a、4bからの第3空隙は、可撓性チューブ配置を用いて連結される。このようにして、鉄道車両が急カーブを通過する際に、一側の空隙における空気圧の上昇は他側の空隙の膨張を引き起こし、封入された空気の全体容量は殆ど変化しない。可撓性チューブは、車両接続部2が閉位置にあるときに幾分「折り畳まれる」。
【0072】
いくつかの実施形態では、3つ以上の空隙が存在し得る。空隙の数は、壁部のセクションの数に対応してもよい。他の実施形態では、空隙の一部又はすべてが、加圧されていなくてもよい。
【0073】
車両接続部2の開閉、すなわち、開位置と閉位置との間での車両接続部の移動は、壁部4a、4b、床部6及び屋根部8を作動させるための低電力電気機能と共に空気圧シリンダを用いて達成される。この場合、圧縮空気がシリンダを駆動するために使用され、これにより壁部4a、4b、床部6及び屋根部8が作動される。他の実施形態では、他の適切な作動手段が、車両接続部2を開閉するために壁部4a、4b、床部6及び屋根部8を作動させるのに使用され得る。
【0074】
多数の空気圧シリンダが、壁部4a、4b、床部6及び屋根部8を作動させるために配置される。一般に、圧縮空気がシリンダ内に導入されると、まず、壁部4a、4bが閉位置から全開位置まで開いて屋根部8に取り付けられる。その後、床部6が、隣接する鉄道車両の対応する車両接続部からいくらかのクリアランスを有する完全に格納された位置から「開いた」壁部4a、4bの間に持ち上げられて適合するように配置され、チャンバ12が形成されるように壁部4a、4bを接続する。
【0075】
第2段階として、連結しようとする両方の鉄道車両の車両接続部が共に完全に開くと、別セットの空気圧シリンダが、連結するまで車両接続部を伸長するように完成した壁部、床部及び屋根部アセンブリを作動させるように配置されている。
【0076】
第1及び第2鉄道車両の連結器が係合するときに、車両接続部は開かれて互いに連結される必要のあることが標準的な操作慣行である従来の設計とは異なり、本実施形態では、第1及び第2鉄道車両の連結器が係合する間、車両接続部2は閉じたままである。鉄道車両の連結が成功して連結器からの信号により確認されると、望まれたときに車両接続部2を開くための認証が与えられる(認証は、鉄道車両のスタッフにより又は自動で与えられる)。認証が与えられると、連結した第1及び第2鉄道車両からの同期した制御信号が、対応する第1及び第2車両接続部が同時に開いた後、互いに連結されることを保証する。
【0077】
壁部4a、4b、床部6及び屋根部8の伸長シーケンスの開始は両方の車両間で同期されるが、摩擦の違いや連結器を介してまだ完全に等分化されていない空気圧の違いにより僅かに異なる速度で伸長し得る。この場合、車両接続部間の連結は、2つの車両間の中間で完全に対称ではなく片側にオフセットされ得るが、これは重要ではない。車両接続部の最初の開放シークエンスのずれ、すなわち、第2車両接続部が完全に開かれるまで第1車両接続部が開かないと、車両接続部により必要とされる「スイングアウト」クリアランスが両方同時にではなく1度に1つしか必要とされないので、必要な最小連結距離を短くするであろう。このオプションは、開いている車両接続部が互いにぶつかるのを避けるために、連結距離が短い場合に選択され得る。両車両の車両接続部が共に格納位置で完全に開かれると、両方の伸長が同時に開始される。
【0078】
2つの鉄道車両が連結器を介して連結される場合、通廊接続部を開くことは義務ではない。例えば、安全性の理由から、客車と貨車との間のアクセスを禁止することが望ましい。また、この車両接続部2を装備した車両は、必要であれば、対応する車両接続部を持たない任意の車両と連結され得る。2つの鉄道車両を分離する場合、乗客又は障害物がすぐ近くにないことを確認した後、まず、車両接続部が接続解除されて格納及び閉ざされ、完全な閉じが確認されると連結器が第2ステップとして係合解除される。
【0079】
屋根部8は、後述するように、屋根部8を形成するために互いに接続される上部天井パネル49、下部天井パネル50及び屋根カバー55を含む。
【0080】
図9に示すように、鉄道車両3の端部に対して壁部4a、4bを伸長及び格納するための作動機構41は、屋根カバー55の下方で鉄道車両3内に取り付けられている。第1空気圧シリンダ42は、短レバー48に接続されたレバー46a、46bを介して壁部4a、4bに接続されたピストン44を駆動し、ピストン44が鉄道車両3から離れる方向に駆動されると、壁部4a、4bがレバー46a、46bにより開位置(図9の下)となり、ピストン44が鉄道車両に向かって駆動されると、壁部4a、4bがレバー46a、46bにより閉位置(図9の上)となる。レバー46a、46bは、堅牢に構築され、壁部4a、4bの内側セクションの頂部に取り付けられている。特に、一方のレバー46aは壁部4aに接続し、他方のレバー46bは壁部46bに接続している。
【0081】
推察されるように、車両接続部2の上部で他の物品を移動させるには十分な力が必要であり、これは車両接続部2の開放の最終段階におけるレバー配置の「切り離し」の性質によって促進される。車両接続部2の底部は、この段階では自由に移動することができるが、床面の下に別のものを設ける必要もなく、頂部での作動機構のみで十分である。ここで、「頂部」とは、使用時において地面から遠い端部を意味し、「底部」とは、使用時において地面に近い端部を意味する。
【0082】
開位置においてシリンダ42は、ピストン44及び短レバー48を用いて、壁部4a、4bの内側セクション間の中点までレバー46a、46bを押し込む。図10に示すように、開位置において短レバー48が旋回することができる点Pは、実質的に、カーブを通る2つの連結された鉄道車両の角度相対移動を収容するために、車両接続部2の全体が旋回するように配置された点である。閉位置においてシリンダは、鉄道車両3の端部の実質的内側にレバー46a、46bを「引っ張る」。
【0083】
壁部4a、4bの開閉に加えて、同じ空気圧シリンダ42は、上部天井パネル49も移動させる。上部天井パネル49は、チャンバ12に面する側で短レバー48にしっかりと取り付けられ、実質的に平坦な面がチャンバ12の通路上に提示され、且つ作動機構41がチャンバ12を通る乗客から隠されるように、下部天井パネル48(図11で見られる)上を自由にスライド可能に設計されている。上部天井パネル49は、縁で作用するナイロンのような低摩擦材料で表面化されたレールによりガイドされる。
【0084】
上記配置は、車両接続部2が開くときに上部天井パネル49が旋回するのを防止して軸方向に移動するようにし、壁部4a、4bが均等に外側に開くのを保証する。しかしながら、開位置において旋回点Pは、上部天井パネル49及び車両接続部2の壁部が鉄道車両3の端部を中心として自由に旋回することができ、レバー46a、46b、48及び個々の旋回位置の「平行四辺形」作用によって制御されるのと同じ角度に対応するような位置にある。
【0085】
図10に示すように、上部天井パネル49の形状は、全ての操作条件下でチャンバ12を覆いつつ空気圧シリンダ42を避け、上部天井パネル49の旋回に対応する必要がある。閉じる過程、すなわち、ピストン44が鉄道車両3に向かって駆動される間、上部天井パネル49は、鉄道車両3の天井の上で鉄道車両3内に格納される。閉位置において上部天井パネル49は、壁部4a、4bの背後に保管されている。
【0086】
上部天井パネル49は動作時に旋回位置を変えず、その唯一の移動は、必要時の角度をつけた旋回である。上部天井パネル49は、下部天井パネル50が下方を自由にスライドできるように、鉄道車両3の端部ドア開口の頂部から垂直方向に少し離れて取り付けられている。この下部天井パネル50は、第1及び第2鉄道車両間の可変スペースに対応するために、長手方向にかなりの距離を移動可能となっている。下部天井パネル50が許容される最も遠くまで伸長した場合でも、2つの接続している車両接続部の両方において上部天井パネルと下部天井パネルとの間にまだ重なりがあり、両方の対応する機構は、すべてのアクティブな動作条件下で隠されたままである。下部天井パネルは、鉄道車両3内に取り付けられた別の第2空気圧シリンダ58(図13で見られる)により作動されるように配置されている。
【0087】
チャンバ12は、中心から外れて旋回するときに僅かに狭くなり、上部天井パネル49の縁と壁部4a、4bとの間には小さな隙間が有り得ることに留意されたい。この隙間は、必要な距離だけ内側に突出するように配置され壁部4a、4bの頂部に固定された柔軟な防風材により埋められ得る。車両接続部2が閉じられると、これらの材料は、ドア高さよりも僅かに低くなるように配置された鉄道車両の端部ドア開口「リンテル」の頂部に亘って伸長する。
【0088】
図11は、下部天井パネル50を示す。下部天井パネル50は、壁部が完全に伸長されたときに、壁部の外側セクションに取り付けられるように配置される。動作中、下部天井パネル50は、屋根カバー55(図12に示す)と共に屋根部8の構造を形成し、その外端は、車両接続部2が対向する第2車両接続部と接続するように車両接続部2を展開する次の段階において、隣接する接続した車両接続部に押し当てられる。このようにして、第2空気圧シリンダ58(図12に示す)は、下部天井パネル50が伸長又は格納されると壁部のセクションも伸長又は格納されるように、下部天井パネル50を介して壁部のセクションのための伸縮制御手段として機能する。言い換えれば、第2空圧シリンダ58は、壁部4a、4bの長さの伸縮変化を制御する。下部天井パネル50及び屋根カバー55は、連結された鉄道車両の相対移動に対応するために必要に応じて旋回可能で、その際、この移動は、壁部4a、4bの対応する必要な伸長又は格納も制御する。
【0089】
閉位置において車両接続部2の端部は、より良い空力性能のためにやや尖った端部を与えるためにチャンバ12の通路よりも僅かに狭くなっており、ばね配置により伸長可能となるように配置されている。閉じると下部天井パネル50の外側部材52(図12で見られる屋根カバー55の外側部材53も形成する)は、最もコンパクトな配置を与えるためにばね圧力により内方に移動される。開くときに壁部の外側セクション32から上方に突出した短いブラケットは、下部天井パネルにおいて可動ばね付きの外側部材52から下方に突出した対応ブラケットと係合し、これらを外側に伸ばしてチャンバ12の全通路を覆うのに十分なように端部を広げる。下部天井パネル50の可動セクション52と固定セクション54は、図11に示されている。
【0090】
可動セクション52は、下部天井パネル50から壁部4a、4bの上部に圧縮ばね力を伝達する必要があり、また、壁部4a、4bの外端と屋根部8の外端との正しい整列を保証する必要があるので、スライド配置及びブラケットは堅牢に構築されている。スライド移動のために角管内で動く実質的に角ロッドが使用され、ブラケットにはボール状突出部を対応するソケットに保持するためのばね圧力に頼るのではなく、食器棚のキャッチに似た「クリックイン」タイプのフラットスナップファスナ配置が好ましい。
【0091】
チャンバ12を広げることに加えて、これらの部材は、下部天井パネル50の端部の下で薄いスライド式天井部材まで伸長する。その効果は、図11で見られるように、車両接続部が完全に開いたときに、作動機構41のブラケット及び旋回ピンにより空いたスロット及び穴を覆うことである。これらの部材が下部天井パネル50に対して平らで面一となることを保証するために、管内を走る第2ロッドが、車両接続部2の端部から少し離れた箇所に設けられている。
【0092】
中間セクション及び外側セクションが対応する内側セクション内に依然として格納されている開位置では、車両接続部2は、閉位置にある車両接続部2よりも僅かに伸長している。これは、がたつき及び摩耗を防ぐために、車両接続部2が非使用時に弾性材料で鉄道車両3の端部にしっかりとクランプされることを可能とする。
【0093】
図12は、屋根部8の上部を示す。屋根カバー55は、逆U字形の断面を有し、その端部は、伸縮可能な壁部4a、4bの外側にある。屋根カバー55は、鉄道車両3から最も遠い外端において下部天井パネル50に取り付けられている。下部天井パネル50と同様に、屋根カバー55の外端は、壁部4a、4bが開いているときに僅かに伸長している。屋根カバー55のこれら外側への移動端部53は、下部天井パネル50の移動端部52に取り付けられ、屋根カバー55の本体部51は、下部天井パネル50の本体部54に取り付けられている。同じばね式伸長機構は、車両が運転中にカーブを通るときに壁部の間のスペースを効果的に狭めることを可能とすることで、壁部4a、4bが屋根カバー55と同じ旋回点を共有していなくても、壁部4a、4bは屋根カバー55に対して直角を維持することができる。
【0094】
図12に示すように、「タレット」56は、鉄道車両3の端部で屋根カバー55にかかる橋状に形成されている。これは、鉄道車両がカーブを通るときに、車両接続部2の旋回に対応するために旋回点を中心に回転することができる。タレット56の上方では、固定トップカバー60が鉄道車両3に取り付けられている。図13は、上記特徴を示す鉄道車両3の上端断面を示す。
【0095】
上述のように、第1空気圧シリンダ42は、壁部4a、4bの内側セクションを作動させる。第2空気圧シリンダ58は、隣接する第2車両接続部と接触するまで、下部天井パネル50及び屋根カバー55を所望の範囲まで外側に作動させる。第2空気圧シリンダ58は、車両接続部の屋根部と床部との間で均一な作動圧を与えるために、鉄道車両3の床レベルで更なる空気圧シリンダと連動して動作する。第2空気圧シリンダ58は、鉄道車両3の屋根から垂下されたベアリングから旋回され、タレット56と共に回転する。屋根カバー55が完全に格納されるように、第2空気圧シリンダ58は、実質的なブラケット59(図13に示す)により旋回点に取り付けられている。
【0096】
図14は、図13とは直交した断面図であり、上記特徴を有する配置を示す。屋根カバー55の外側への移動端部53は、鉄道車両が互いに連結されたときに、隣接する鉄道車両の対応する移動端部と接続するためのねじ装置を備えている。屋根カバーの移動端部53は、上述したようにブラケットにより壁部4a、4bと既に接続されているので、この配置は、2つの車両接続部2の屋根部8が互いにしっかりと固定されると、壁部4a、4bの端部も屋根部の近くで互いにしっかりと押し付けられる。上記と同様の配置は、2つの車両接続部を接続する完全な動作が完了したときに、壁部4a、4bが床部の近くで互いにしっかりと押し付けられることも保証する。
【0097】
屋根カバーの移動端部53のねじ装置は、一側に設けられ固定された円錐の頂部から伸長したねじ付き短ロッドを有し、この短ロッドは、他側に設けられ底部に内部ねじ付き円筒を持つ円錐空洞と係合する。円錐空洞は、屋根部に僅かなずれがあったとしても、ねじ付きロッドが接続時に正しい位置を見つけることを可能とする。接続の正しい位置に達したことをセンサが検知すると、小さな電気又は空気圧モータが2つの部材を互いにねじ止めするためにねじ付きロッドを回転させる。これにより水平方向には確実に接続されたが、円錐空洞は、連結された2つの鉄道車両の相対高さの動的変化による屋根部8間の垂直移動が可能となるように屋根カバーの移動端部53に取り付けられている。同様に、壁部4a、4b端部に設けられた接続溝及び突起も、車両接続部においてこれらの部材の相対垂直移動を可能とする。
【0098】
車両接続部2の床部6は、壁部4a、4bと同様の様式で旋回及び伸縮可能となっているが、大きな違いがある。車両接続部2が閉じているとき、床部6は、壁部4a、4bが閉位置から開位置に伸長する際に床部6によって妨害されないように、壁部4a、4bの下に存在する。壁部4a、4bが開位置にあるとき、床部6は、まず、チャンバ12に面するその上面が鉄道車両3の床と実質的に面一となるように持ち上げられる。次に、床部6は、屋根部8及び壁部4a、4bの伸長と合わせて圧縮空気を用い、鉄道車両3から伸長され得る。
【0099】
床部6は、壁部4a、4bに対して直接接続されておらず壁部4a、4bの間に位置して、鉄道車両がサスペンション上で移動する際の鉄道車両高さの変動に対応するために、水平方向(すなわち、床部と平行な平面)と同様にある程度垂直方向にも旋回可能となっている。
【0100】
第1及び第2鉄道車両が第1及び第2車両接続部を介して接続された状態で、2つの隣接する床部の遠位端部は、使用時に互いにロックされ、車両接続部全体に亘って比較的平坦な床を維持して鉄道車両間の高さ変化に適応するように傾くことが可能で、車両接続部全体に亘って乗客、ケータリング台車、小包トラック等の通過を容易にする。
【0101】
図15に示すように、床部6は、複数のセクション62、64、66、68を含む。鉄道車両3の端部に最も近い第1セクション62は、鉄道車両3に取り付けられ、チャンバ12を形成するために上昇するときに、壁部4a、4bに接触するために床部6の平行面に対して垂直方向に移動可能となっている。第1セクション62は、実質的に半円形状を有し、鉄道車両3から最も遠い凸状の外縁が、第1セクション62に隣接して取り付けられる第2セクション64の凹状の内縁部分に対応している。第2セクション64は、第1セクション62に対して水平方向に旋回可能で、且つ第1セクション62の垂直移動に追従可能となるように第1セクション62に取り付けられている。
【0102】
床部6の中心を通る断面を示す図16を見ると、第3及び第4セクション66、68は、壁部4a、4bと同様の伸縮性を床部6に与えるために、第1セクション62及び第2セクション64の下に取り付けられている。しかしながら、この場合には床部6は、かなりの重量に耐え、且つ堅牢性を有する上部歩行面に可能な限り不連続性を与えないようにする必要がある。そのため、セクション62、64、66、68は、やや楕円形の断面を用いて、鉄道車両の端部に向かって十分な深さを保持しながら垂直方向においてテーパ状となっている。他の実施形態では、床部6を形成するセクションは、4つ以下又は4つ以上であってもよい。
【0103】
第2セクション64、第3セクション66及び第4セクション68は、壁部4a、4bと同様の概念で伸縮ユニットを形成している。しかしながら、直線移動パターンの代わりに、セクション64、66、68は、各セクションの上部が隣接する重なり合うセクションの下方に密着維持されるようにして、鉄道車両3から伸長又は鉄道車両3に格納されるときにカーブした相対移動に拘束される。しかしながら、セクション64、66、68は、より軽量な材料の使用及び堅牢性のためにかなりの深さを有する幾分アーチ状に形成されながらも、同じ水平配向のままで、伸長したときに最小限の「段差」を有する実質的に平坦な表面を与える。
【0104】
セクション64、66、68の伸縮移動は、図17で示されている。第3セクション66に取り付けられた支持ホイールは、第2セクション64及び第4セクション68上の湾曲したレールを把持する。レール及び支持ホイールは、セクション62、64、66、68が完全に格納されたときに、互いにコンパクトにまとまる橋状に形成され床の踏面下で伸長するセクション62、64、66、68の側面に取り付けられている。鉄道車両3内に格納されると、床部6の下には鉄道車両の連結器のための十分なスペースが残る。
【0105】
両側で各々のレールを把持するホイールは、上方又は下方に傾くことで床部6の各セクションにかかる変動負荷に対して最適な支持を与えるために、図示のように取り付けられている。ホイールの間を通る支持レールの角度は伸長の程度に従って変化するので、支持レールの幅は、その長さを通じて対応して変化し、ホイール旋回点間の固定距離が維持されると共に堅牢な支持が床部6のどの位置でも与えられるように、より湾曲した位置では狭くなっている。
【0106】
壁部のセクションで使用されたものと同様のラック・アンド・ピニオン配置が、床部6両縁の等しい移動及び隣接するセクション間での第3セクション66の対称配置を保証するために、床部6のセクションでも使用される。中間セクション64、66において軸に取り付けられたピニオンは、上記と同様に互いに連結され、第2セクション64の下側及び第4セクション68の上側のラックに係合する。
【0107】
床部6の各セクションが格納されると、セクション62、64、66、68は互いに密に重なり合うが、伸長すると僅かな床面だけが近接している。床部6が伸長する際にセクションは、側面の平坦な下縁が水平のまま、上部の湾曲した表面により分離し始める。移動パターンは、第4セクション68の場合には床面と同様で、第2セクション64の場合には反転して、支持レールの形状によって与えられる。
【0108】
第3セクション66における2つのピニオン軸は、壁部におけるセクションのラック・アンド・ピニオン配置のように、歯付きプーリ及び歯付きベルトを用いて又はベベルギア及び連結シャフトを用いて互いに連結される。この連結は、床踏面の真ん中のケース内で行われる。外側ピニオンは中間セクションの薄い縁から離れて凹設されているので、外側セクションの上面にあるラックは、第4セクション68の縁から離れて始まり、床踏面自体よりも更に内方に続く。これらのラックの外側部分は、踏面レベルより実質的に下にあってラック歯は徐々に内方へと上っているので、移動形状に適した位置に維持され、また、摩耗に対する脆弱性が少なくなる。
【0109】
第1セクション62のための他のラックは、正しい移動パターンを与えるために支持レールに対して同様の「反転」形状で床踏面より下の側面に取り付けられる。ラックの歯は、内側及び外側のピニオン軸が反対方向に回転するように上を向いている。この配置は、連結シャフトを有するコンパクトなベベルギアが中間セクションの床踏面に収まることを可能とする。他の実施形態では、連結法として歯付きベルトが実装され、ラック歯が下向きに配置されることで2つの軸が同じ方向に回転することが可能となる。
【0110】
床部6のセクションの伸長又は格納は、第2セクション64と第4セクション68との間に取り付けられた2つの空気圧シリンダを用いて達成される。これらの空気圧シリンダのピストン及び外側ケースは、図18で見られる。第1及び第2車両接続部を連結するときに床部6のセクションは、床部6の遠位端部、特に、鉄道車両3から最も遠い第4セクションの端部が隣接する第2車両接続部の床部の対応する遠位端部に接触するまで、空気圧シリンダを介した作動により伸長する。その後、床部が整列して互いにねじ止めされ、屋根部8を接続するのと同様の様式で床部6を互いに堅牢に接続するように、床部の一つに設けられた取り付けねじ装置が、他の床部に設けられた対応する円錐窪みに接触する。
【0111】
床部6は、2本の支持ロッド上を垂直にスライド可能で、互いに連動され電気モータにより駆動されるねじ付きロッドによって又は代替的に2つのリニアアクチュエータによって上下に移動される。第1及び第2鉄道車両の連結器が係合された後、車両接続部2の壁部4a、4bが、まず、床部6の上で伸長される。その後、床部6が、壁部4a、4bの間に適合するように高い位置まで持ち上げられ、伸長された屋根部8と共にチャンバ12を形成する。
【0112】
第3セクション66及び第4セクション68の底面に設けられたフランジは、これらのセクションに更なる剛性を与え、セクションが隣接するセクションに対して滑らかにスライドするように促す。更に、第4セクション68の外面上の底縁は、車両及び/又は車両接続部2の振動が大きい条件下で、床部6と連結器(床部6の下で車両に取り付けられ得る)との間の小さな相対移動を可能とする長手方向突出部を含む。
【0113】
図1に戻って、先に概説したように、部材4a、4b、6、8の各々は、これら部材を鉄道車両3に取り外し可能に取り付けるように配置された取付可能端部と遠位端部とを有する。車両接続部2が開位置にあり、伸縮式で互いに動くように配置された壁部、床部、及び屋根部でチャンバ12を形成するとき、部材4a、4b、6、8の遠位端部は、反対側の接続する車両接続部の対応する遠位端部に接触するまで伸長され、それらは互いに接続されて車両接続部を接続するように配置されている。
【0114】
取付可能端部を含むチャンバ12の第1端部は、鉄道車両3に車両接続部2を取り外し可能に接続するための取付可能インターフェース70として考えることができ、部材4a、4b、6、8の遠位端部を含むチャンバ12の第2端部は、第2車両接続部2に車両接続部2を取り外し可能に接続するための接続可能インターフェース72として考えることができる。ここで、車両接続部2の接続可能インターフェース72は、上述したように壁部4a、4b、屋根部8及び床部6の各接続部材を含むと考えることができる。例えば、屋根部8の接続ねじ装置は、これらの部材等の一つであろう。
【0115】
完全に伸長した位置、すなわち、第1及び第2鉄道車両間に大きな連結距離があるときには、組み合わされた床部6は、不連続性が殆ど無く中央で僅かに盛り上がった実質的に平坦な床面を与え、人々、ケータリング台車、小包トラック等の容易な通過を可能とする。第1及び第2車両接続部間の比較的短い連結距離では、組み合わされた床部6は、人々等の容易な通過を維持するように、中央で僅かに窪んだ実質的に平らな床面を与える。2つの鉄道車両間の典型的な平均連結距離の場合には、組み合わされた床部6は、容易にアクセス可能な実質的に水平な表面を与える。
【0116】
車両接続部2が使用されておらず、車両端部に対してかなり三角形の外形を与える閉位置では、床部6は、低位置又は高位置のいずれかになるように配置される。低位置では床部6は中央で拘束され、鉄道車両3の連結器は床部6に完全に格納されて両者を安全に保ち、不要な移動を防止して、非活動時における装置のがたつき及び摩耗を回避する。床部6が高位置に持ち上げられると連結器が解放され、車両接続部を開くことなく他の車両の連結器と係合するために配備され、床部6を自由に横方向に回転させることが可能になる。この場合、機械的な配置は、連結器の横方向への移動が床部6により追跡され、連結器及び床部6が線路の湾曲により必要に応じて共に回転することを保証する。
【0117】
連結器と床部との間の水平旋回移動の追跡は、連結器ジンバルフレームの外側垂直縁を圧迫する第2セクション64(図18では見えない)に取り付けられたローラを用いて達成される。このジンバルフレームは、線路の湾曲による連結器の角度のある水平旋回移動に追従し、連結器は、垂直移動できるようにフレーム内で旋回される。その結果、床部全体は、連結器が線路の湾曲により旋回するのと同じように左右に旋回するように拘束される。連結された2つの鉄道車両の床部は、車両接続部が閉じられている(しかしながら、場合によっては近接していることもある)ときには互いに連結されていないので、この追跡配置は、床部がそれらの外縁を実質的に平行に保ち、且つ急カーブを通るときでも衝突し得ないことを保証する。
【0118】
高位置では、床部6は水平のままであるが、連結器は必要に応じて上下移動のためのある程度のクリアランスを有する。他の実施形態では、連結器取り付け配置はジンバルフレームを含まず、この場合には代わりに追跡機能を実施するために同等の機械的連結配置が設けられ得る。場合によっては、2つの連結された鉄道車両が十分に離れていて、線路の曲率が十分に低く、床部がいかなる場合でも衝突し得ない。そのような状況では追跡機能は省略され、車両接続部が閉じられたときに床部は中立の「直線線路」位置に固定されてもよい。
【0119】
車両接続部2の使用時には、床部6は最も高い位置、すなわち、鉄道車両3の床と実質的に同じ高さにあり、連結器から幾分離れている。この場合、第2セクション64に取り付けられたローラは、連結器ジンバルフレームの上方を連結器ジンバルフレーム移動から離れて移動するので、連結器の移動と床部の移動との間にはもはや何の追跡もない。その結果、車両接続部が開いているときには、車両接続部及び連結器の両方は、様々な構成要素の設計及び車両力学により決定されるように独立して必要なあらゆる移動に追従することができる。また、上記配置は、連結器を収容するために床部6の下に比較的小さな空間しか必要としないことを保証し、連結器が使用されていないときに落ち葉等の飛散物の受け皿となり得る従来の固定鉄道車両端部の大きくて見苦しい空隙を回避することができる。図18は、床部6の構成要素を示している。
【0120】
図19は、壁部4aの部材28、30、32を示している。使用時、すなわち、車両接続部2が開位置にあるとき、内側セクション28は、チャンバ12の外面の一部を形成するパネルを与える。このパネルは、旋回手段9の外側パネル26及び矩形構造39の外側面と共に、チャンバ12とは反対側で周囲環境に面した車両接続部2の細長い外側面を与える。
【0121】
セクション28、32は、車両接続部が開位置にあるとき一般に重なり合わない。しかしながら、接続された鉄道車両が急カーブを通るとき及び/又は鉄道車両間の連結距離が短いときには、軽微な重なり合いが起こり得る。これらの状況では、第3空隙40は、実質的に三角形断面に圧縮され得る。上記のように壁部4a、4bの第3空隙は、一方の空隙が圧縮されると他方の空隙が膨張するように、可撓性チューブ配置により接続されている。
【0122】
最後に、中間(第2)セクションの「管」は、第3セクションの外側に適合する。中間セクション30は、実質的に長方形であるが、鉄道車両3に最も近い側では内側に湾曲している。これは、使用時には第1セクション28への近接フィットを与え、また、車両接続部2が閉位置にあって使用されていないときには端部に滑らかな形状を与える。中間セクション30は、その中の第2空隙38が大気に開放されて加圧されていないため、他のセクション28、32よりも堅牢で剛性の高い材料から構築される。また、中間セクション30は、車両接続部2が閉じられているときに鉄道車両3の端部の目につく外面を形成するので、高速で鉄道車両3の端部に衝突する小枝や鳥等からの小さな衝撃に対抗するために十分に堅牢である必要がある。
【0123】
加圧された第1空隙36及び第3空隙40は、それぞれ内側セクション28及び外側セクション32の全高まで伸長する必要はない。十分な安定性と剛性を与えつつ、頂部と底部にスペースが確保され得る。外側セクション32内の第3(外側)空隙40は、床部6からのローラを収容するために確保された底部スペースを有し、床部6は、隣接する車両との接続を行うために使用時に挿入され、壁部4a、4bの頂部における屋根部8からの同様の圧力と一致するように壁部4a、4bの底部を外側に押す。床部6のローラは、個々のサスペンション上で移動する車両高さの動的変動に対応するために上下に移動可能で、上述したばね負荷された伸長屋根端部と同様の様式で急カーブでのチャンバ12の狭窄に対応するために横方向に移動可能となっている。
【0124】
連結された鉄道車両は、線路の窪み又は勾配の変化に遭遇することがあるので、鉄道車両の端部は、必ずしも正確に平行ではない。鉄道車両間のスペースは連結器により決定され、車両接続部の床部及び屋根部は、対応する車両の移動に対応するためにそれらの長さを自由に伸縮調整することができる。
【0125】
凹凸のある線路上ではある程度の横揺れ、すなわち、各鉄道車両が異なる移動をすることがあり、それにより、時として旋回点間における屋根部8及び床部6の角度が同じでないことがある。床部6及び屋根部8は、この変位を許容するために独立して旋回可能となっている。床部6と屋根部8との間では、変動は壁部のある程度の柔軟性によって対応される。壁部の外側セクション32は、その中の第3空隙で必要とされる移動を許容するように柔軟に構成されている。その結果、2つの車両における壁部の端部は、実質的に同じ角度のままである。一対の接続している壁部の外側セクションは、一対の外側セクションの表面端部、すなわち、一対の接続している壁部の遠位端部上で、対応する垂直な隆起部74及び溝76(図21に見られる)により互いに接続される。そして壁部は、屋根部及び床部からの圧力によって互いに保持され、次いで屋根部及び床部は、上述したように互いに確実に連結される。
【0126】
大きな垂直移動の場合、接続している一対の壁部の外側セクションは、上述のように必要に応じて対応する隆起部74及び溝76を介して互いに上下に「スライド」可能となっている。床部6は、第1セクション62と第2セクション64とを連結する旋回点上で垂直に傾くことができ、屋根部の端部を互いに連結するラッチ配置は、上述のように垂直移動を可能とする。このようにして、鉄道車両高さの動的変動が対応され得る。
【0127】
第1及び第2鉄道車両3a、3bに取り付けられた第1及び第2車両接続部2a、2b(図23に示す)の連結は、第2車両接続部2bが第1車両接続部2aと同じ動作を協力して実行するように配置されているので、第1車両接続部2aの動作観点から説明される。
【0128】
図20に示すように閉位置では、第1車両接続部2aは使用されておらず、列車の前端又は後端を形成する場合、鉄道車両の端部3aにおいて既知形態の従来の車両接続部を有する鉄道車両の端部における空力抵抗と比べて比較的低い空力抵抗を可能とする実質的に尖った外形を与える。床部6は、低位置にある。
【0129】
次に、床部6は、第1鉄道車両3aの連結器を解放する高位置に持ち上げられ、連結器は、その後、第2鉄道車両3bの連結器と係合するために伸長され得る。床部6は、実質的に水平で、連結器のあらゆる横方向移動に追従する。床部6は、連結器に水平移動自由度を与える鉄道車両3aのジンバルフレームの外縁に接触する床部6の内側のローラを用いて、連結器の移動に追従することができる。ジンバルフレームは、ジンバルフレームの中心の頂部及び底部にある旋回点を用いて鉄道車両端部の下部に取り付けられ、その旋回点は、上述した旋回点Pと整列した垂直軸にあり、その点に関して車両接続部全体が旋回可能となっている。ジンバルフレームは、その側面中央にも連結器機構を取り付けるために用いられ連結器に垂直移動自由度を与える旋回点を持つ。
【0130】
そのため、この配置は、連結器は連結されているが車両接続部はまだ閉ざされている場合に、線路の湾曲要件に従って旋回するときの連結器の水平方向への移動に床部6の水平方向への移動を一致させる。ジンバルフレームの縁が垂直で、床部6が垂直上方に移動するように配置されているので、床部6は、この位置で水平を保つ。この配置は、連結器の移動に対応するために床部の下に仮に床部が位置固定されている場合には必要となるであろう大きなスペースを必要とすることなく、急カーブ及び軸方向変位の両方において動作するのに十分なクリアランスを連結器に与える。第1及び第2車両接続部2a、2bが閉位置にあることで、第1及び第2鉄道車両3a、3b間のアクセスは阻止される。
【0131】
第1車両接続部2aを開くことが望まれる場合には、まず、壁部4a、4bが伸長され、床部6の端部に取り付けられた支柱にマウントされたローラをクリアする。壁部4a、4bの外側セクション32a、32b上の隆起部及び溝は、壁部が「ドア」として作用する、すなわち、車両接続部が閉位置にあるときに、壁部4a、4bを互いにロック及び封止することを容易にする。開位置で車両接続部が使用中の場合には、隆起部及び溝は、他方の開いた車両接続部上の対応する溝及び隆起部と係合し、2つの車両接続部間の位置整列を助け、2つの車両接続部間の垂直相対運動を可能としながらより耐候性の有る封止を与える。
【0132】
一旦、壁部4a、4bが「完全に開く」、すなわち、面一位置から平行位置へと鉄道車両3aから回転されると、床部6は、床部6上の内側ローラがジンバルフレームの頂部の突起に遭遇し、ローラを外側に強いて床部6がその外側端部、すなわち、第4セクション68で上方に傾くように更に持ち上げられる。床部6が更に持ち上げられると、支柱にマウントされた外側ローラは、完全ユニットとしての車両接続部2aの組み立て、すなわち、チャンバ12の形成を開始するために、上方及び後方に傾いて壁部の下側の穴を通って挿入される。
【0133】
床部6は、ジンバルフレームをクリアして、外側ローラが壁部4a、4b内に残ることを保証する床部6の軸方向変位に対する小さな自由度を与えるために、継続的に持ち上げられる。床部6の持ち上げは、車両接続部2aが伸縮可能に格納された位置、すなわち、部材4a、4b、6、8が伸縮可能に伸長されていない状態で、床部6が鉄道車両3aの床レベルに達したときに停止する。この状況は、図21に示されている。
【0134】
次の段階では、車両接続部2aは、接続可能インターフェース72が第2車両接続部2bと接触するように、床部6及び屋根部8を作動させる空気圧シリンダを介して伸縮可能に伸長する。上述のように、屋根部及び床部の作動は、車両接続部の全ての外側部材が連動して伸縮可能に伸長するように、壁部、特に、外側セクションの作動を同時に引き起こす。僅かな非整列は、第1床部の円錐形の突起が他の床部の円錐形のレセプタクルに入り込むことで修正される。ここで、センサは、この整列が達成されたことを検出すると2つの床部を互いにしっかりとねじ止めすることを促し、適度に平坦な上面を有し、各鉄道車両3a、3bの端部で旋回して必要に応じて傾斜し、すなわち、鉄道車両の相対移動に対応するために軸方向に移動することができる堅牢で連続的な歩道を与える。この間、同様の配置が2つの屋根部、特に、2つの上部屋根カバーを整列させ、それらを互いにねじ止めするが、この場合、垂直方向の移動を可能にするスライド式内側部材に、鉄道車両の相対的な移動に対応するために各鉄道車両3a、3bの端部で旋回される連続した屋根を与える。また、この間、壁部の対応する隆起部及び溝配置が接続する。車両接続部2aのこの伸長された状態は図22に示され、車両接続部2b(不図示)も反対方向で同様の構造を与える。
【0135】
このようにして、図23に示すように、第1車両接続部2aの接続可能インターフェースは、完全な車両接続部78を形成するために第2車両接続部2bの接続可能インターフェースに接続され、第1及び第2鉄道車両3a、3bを互いに接続し、乗客が完全な車両接続部78を介して第1及び第2鉄道車両3a、3bにアクセス可能となる。完全な車両接続部78の細長いチャンバ80は、取付可能インターフェースに関して各鉄道車両3a、3bの端部で旋回される。言い換えれば、第1及び第2鉄道車両3a、3bが鉄道線路上のカーブを通って互いに相対移動するときに、完全な車両接続部78は、これらの相対移動に対応するように旋回することができる。
【0136】
第1及び第2鉄道車両3a、3b間の最短許容連結距離は、第1及び第2車両接続部2a、2bにおいて伸縮可能に格納された位置にある壁部が互いに妨害することなく開く(又は閉じる)のに十分なクリアランスを持つことにより決定される。車両接続部が閉じられると、クリアで妨げられない視界が鉄道車両の端にいる運転手に与えられるように、車両接続部は十分に折り畳まれる。
【0137】
接続された第1及び第2車両接続部2a、2bから成る完全な車両接続部78を形成する上記機構は、完全な車両接続部78が常に直線状で、線路湾曲による角度運動が、典型的な従来設計のように第1及び第2車両接続部2a、2bの連結部の近く、すなわち、接続可能インターフェースではなく、第1及び第2鉄道車両3a、3bの端部で許容されることを保証する。
【0138】
いくつかの実施形態では、車両接続部の接続端部は、車両が線路における丘の頂部又は窪みの底部を通るときに車両接続部に柔軟性を与えるために、柔軟なゴム取り付けを有し得る。
【0139】
完全な車両接続部78の旋回について説明する。上で説明したように、壁部4a、4bの長さは、伸縮可能な伸長/格納を介して互いに独立して可変となっている。壁部の伸縮可能な伸長及び格納は、固定されていない。そのため、カーブに対応するための完全な車両接続部78の旋回移動の間、壁部4a、4bの長さは、壁部4a、4bが鉄道車両3aの端部に対して旋回可能であると同時に、カーブの通過に対応するために好適且つ独立して変化可能となっている。特に、壁部4a、4bの長さは、互いに対して逆に変化する、すなわち、一方の壁部が長さを増すと他方は長さを減らし、逆もまた然りである。更に、接続対の壁部、すなわち、第1車両接続部2aの壁部4aと第2車両接続部2bの対応する接続された壁部4cの長さは、様々な種類の相対車両移動に対応するために必要な方法で変化する。その結果、細長いチャンバ80は、全体で実質的に同じ長さに維持され、この長さは、その下の第1及び第2鉄道車両3a、3bの連結された連結器により決定される。完全な車両接続部78の構成要素は自由に動くことができるので、第1及び第2鉄道車両3a、3bがカーブを通るときにそれらには殆どストレスがかからず、車両接続部2a、2bの構造的完全性が損なわれるのを防ぐことができる。カーブを通るときの壁部4a、4bの伸長及び対応する格納移動又は長さ変化は、それらの旋回移動と共に図8で見ることができる。
【0140】
壁部がカーブの通過に対応するために旋回及び伸長/格納すると、この移動に対応するために床部6及び屋根部8も対応して旋回する。
【0141】
例えば、図23を見ると、第2鉄道車両3bが左に曲がるカーブを通り始める、すなわち、ページの下方に向かい始めると、全ての壁部がそれに応じて旋回し、壁部4aの長さは減少するが壁部4bの長さは増加し、壁部4cの長さは減少し壁部4dの長さは増加する。この間、各車両接続部の屋根部及び床部もそれに応じて旋回する。旋回手段9a、9bは、壁部の伸長及び格納移動を容易にし、従って、完全な車両接続部78の旋回移動を容易にする。
【0142】
別の例として、鉄道車両が、両者はほぼ平行であるがそれらの中心が線上にないような急な逆カーブを通る過程で、図23において鉄道車両3aよりも鉄道車両3bが下にある場合、直線線路上の通常状況と比較して、壁部4a、4dの長さは減少し、壁部4b、4cの長さは増加する。
【0143】
部材4a、4b、6、8の旋回配置により、チャンバ12は、床部6に平行な面において取付可能インターフェース70に関して旋回可能だと考えることができる。
【0144】
完全な車両接続部78における完全な伸縮可能な伸長、すなわち、鉄道車両間の最大連結距離では、完全な車両接続部78の外側面、すなわち、細長いチャンバ80とは面していない側面には隙間が生じ得る。これらの隙間は、第2空隙38が大気圧に開放されて加圧されていないで重要ではない。しかしながら、空力、音響及び熱性能を向上させるため、そして葉等のデブリの侵入を防ぐために、これらの隙間は埋められてもよい。
【0145】
これらの隙間を埋める一例としては、ローラブラインドと同様に、各壁部の第1空隙と第3空隙との間でばね付きローラに伸縮可能な布地カバーを取り付けて隙間を埋める。各ばね付きローラは、壁部の対応する内側セクションに取り付けられている。布地は、中間セクション30及び外側セクション32の内側に適合し、伸縮可能に完全伸長した完全な車両接続部78の外側面に隙間が生じたときのみ見える。
【0146】
鉄道車両が急カーブを通って第3空隙40が第1空隙36に押し付けられる場合、第1空隙36の外側部分においてスペースは限られている。そのため、図24に示すように、布地を正しい位置に維持するために、第1空隙36の端部に小径ローラが旋回自在に取り付けられる。また、控えの布を含む大径のばね付きローラが、第1空隙36の端部付近に取り付けられる。布地の反対側の端部は、第3空隙40の内端に固定され、第3空隙40は自由に変形して押し付けられ得る。空隙の変形はばね付きローラの回転を阻害し得るので、湾曲ガードが、空隙へのばね付きローラの直接接触を防ぐためにばね付きローラに取り付けられる。
【0147】
水平ローラを有する同様の布地配置が、壁部の頂部に現れる隙間を埋めるのに用いられ得るが、これらは比較的小さな面積で、追加の複雑さに見合う利点が無い可能性がある。ここを浸透した雨は、単純に底部で排水される。車両接続部2のチャンバ12は、屋根部8及び壁部4a、4bにより風雨等から十分に保護されている。
【0148】
ローラブラインド技術の代替として、いくつかの高度に伸縮可能な布地が、適切な取り付け配置で隙間を埋めるのに用いられ得る。必要に応じて布地を折り畳むスペースがあるので、構造体の隙間が開き始めたときにだけ布地が現れ、布地が拡がる範囲を狭めることができる。更に別の選択肢は、従来形状のベローズ構造で、特に、大きく圧縮又は伸長可能となるように互いに接続された一連のゴムチューブのような二重壁タイプである。
【0149】
車両接続部2の閉構成及び開構成の両方において、従来配置よりも低減された抗力を有する比較的良好な空力性能を与えるより滑らかな外形が提示され、特に、従来の四角い端部を有する車両及び狭いベローズの通路配置に対して著しく改善されている。
【0150】
2つの鉄道車両3a、3bの端部間の相互作用は、車両の係合された連結器によって主に制御される。説明したように、車両接続部2a、2bが閉じられると、連結器が2つの鉄道車両を接続する唯一のものとなる。連結器は、安全性を持って指定された最大牽引力及び制動力に対処できるように設計されており、また、横揺れを制限するためにある程度の側方減衰を有している。
【0151】
車両接続部2の床部6及び屋根部8は圧縮空気により作動されるので、一旦第1及び第2車両接続部2a、2bが互いにしっかりと接続されると、空気圧シリンダの空気回路は連結された車両接続部78の柔軟性又は「弾力性」を変えるために制御され得る。空気圧シリンダの空気回路の閉塞は、完全な車両接続部78に対してある程度の弾力性を与え、閉鎖弁の前に封入された空気量に依存した程度まで連結器が対処する必要のある一時的な加速及び制動力を低減する。一方、空気圧シリンダの空気回路が大気に開放されると、完全な車両接続部78の構成要素は、より自由に移動可能となる。これら両極の中間状態は、空気圧シリンダのベント開口の大きさを変えることにより、減衰程度を変更することができる。設計者は、この減衰程度を所望に応じて制御して特定の鉄道車両に好ましい最適値を与えることができ、また、必要に応じて特定の動作条件下で最良結果を得るために減衰程度をプログラム可能とすることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、車両接続部2a、2bが完全な車両接続部78を形成するために使用されているときに、床部6及び/又は屋根部8の相対回転移動を制限するダンパが、鉄道車両の端部間の更なる側方減衰を与える。この場合、ダンパは、ねじり応力によるねじれ運動を抑制するために屋根部に取り付けられ得る。
【0153】
車両接続部の最適な剛性は、鉄道車両の質量及びそのサスペンションの特性に大きく依存するので、車両接続部の構成要素の剛性は、特定の鉄道車両の質量及びサスペンション特性に応じて可変となっている。車両接続部の剛性は、異なる材料の使用及び/又は空隙36、40内の空気の加圧程度により変更され得る。
【0154】
鉄道車両が車両接続部を介して互いに連結される場合、その配置は、事故発生時における追加的な安全性を与える。衝突によって連結器への一時的な圧縮力が限界を超え、その取り付け部が変形し始めると、車両接続部2aの床部6及び屋根部8の空気圧シリンダは急速に圧縮される。空気圧シリンダの空気回路にある高圧開放バルブは、適切なオリフィスを通して大気にベントすることができ、エネルギーの放散を補助する。
【0155】
補助されたエネルギー放散にもかかわらず、完全な車両接続部78が伸縮可能な格納位置に強いられた場合には、いくつかの実施形態では、従来形状のオーバーライド保護器が互いに係合するように配置される。相対的な垂直移動を防ぐために水平方向の溝及び隆起部に面したオーバーライド保護器は、鉄道車両のアンダーフレームにしっかりと取り付けられ、第1及び第2車両接続部2a、2bの最も近い連結距離で最も鋭いカーブを通ったときでも係合しないように配置される。オーバーライド保護器は、車両接続部が完全に伸縮的に格納されているが依然として接続されているほど両方の鉄道車両3a、3bが近接している場合に係合し、これは、車両接続部は伸縮可能に伸縮することが好ましいので、通常動作では起こらない配置である。今や「一緒に押しつぶされた」壁部4a、4bの空隙36、40も、事故時の過剰な圧縮力に抵抗するのにある程度補助する。更なる実施形態では、必要とされるエネルギー吸収性能を与えることが望まれるのであれば、エネルギー吸収要素が車両接続部又は鉄道車両の他の部分に組み込まれ得る。
【0156】
車両接続部を閉じた状態で、この配置は良好な衝突安全性保護を与える。構造体の複数の層は、くさび様の配置を与えるために曲げられた堅牢な矩形断面のポータルフレームの内で折り畳まれている。構成成分は、極限状態で分解し始めたとしても、このレセプタクルに押し込まれてエネルギーを発散させながら分解していく。小さな物体による小さな衝撃に対しては、第2空隙36の外側「リング」が、これらの衝撃に直面する車両接続部の構造的安定性を提供するのに十分に堅牢である。衝撃力が増大するにつれて、障害物がはじかれるように大部分が弾力性を有する第3空隙40との接触が生じる。より深刻な衝突は、構造体の永久的な変形を引き起こし得るが、車両の内部は、破裂を引き起こす点衝撃よりもむしろ、内側ドアの広い領域に亘って力を分散させる膨張空気により十分に保護される。更に極端な衝撃では、力によって空隙が破裂して外側の構造体が崩壊する可能性があるが、結果として生じるデブリは、閉じた壁部4a、4bが最終的に破裂又はポータル構造体が変形する前に、課された力に抵抗する助けとなるくさび型に押し込まれる傾向がある。
【0157】
殆どの車両は、低速での接続移動で先頭に立つだけなので、中程度の衝突安全性保護で十分である。しかしながら、運行中に高速で列車を先導することを意図された車両端部には、より高いレベルの堅牢性が望まれる。また、衝突時に車両端部が線路上に残る可能性を高めるために、軸重を増加させる必要があるかもしれない。一方、過剰重量は、列車の車両端部には通常好ましくない。
【0158】
これらの相反する要件は、以下のような車両接続部設計及び車両構造の代替実施形態により対処され得る。車両接続部を囲む堅牢な矩形断面柱は、中空に形成され、通常の車両端部では空のままである。高速列車の前部に設置されることもある運転台を備えた鉄道車両端部では、柱は砂で満たされ得る。砂は、安定で不活性且つ安価で、粒同士の摩擦を通じて膨大な量の一時エネルギーを吸収するのに良い。これは、金属の通常変形だけでなく、鉄道車両の端部構造におけるエネルギー消散のための更なる手段を与える。また、運転席に追加の保護を与えるために、車両接続部と鉄道車両側面との間のスペースに様々な形状のエネルギー吸収材を更に組み込みことも可能である。
【0159】
これらの材料及び/又は装着される装置に応じたバラスト重量は、追加の重量を与え、この状況で必要とされる軸重を増加させるのに役立つ。このような方法はすべて可逆的で、運転台が不要になった場合には、いくつかの他の設備が置換されたり追加の保護材が取り除かれて、車両重量が望むように減少される。
【0160】
車両接続部2は、直線的な本線を走る高速旅客列車から狭い駅や待避線できついカーブを曲がる必要のある小包バンまで、従来の車両接続を必要とする鉄道網の車両に後付け且つ取り外し可能に取り付けられ得る。そのため、車両接続部は、鉄道車両を互いに接続するために、これらの従来の車両接続部を置換することができる。
【0161】
車両接続部2の上述した配置は、従来の車両接続部の配置と比較すると複数の利点を有する。特に、車両接続部2の形状は、列車に連結されたとき若しくは列車の前端又は後端で、すなわち、それぞれ開位置及び閉位置の両方で、比較的低いエネルギー消費のために比較的優れた空気力学を有し、また、車両接続部が閉じられて運転台の端部に取り付けられた場合には、列車の運転手にそれほど遮られていない視野を与える。
【0162】
車両接続部2を構成する部材の上記配置は、比較的改善された熱及び音の遮断性を与えると共に、必要に応じて乗客及び貨物車両の両方で、すべての鉄道ルートをカバーする普遍的なアプリケーションのために、急カーブに対応する能力を完全な車両接続部78に与える。更に、部材4a、4b、6、8の長手方向長さの伸縮可能な変化といったこれら構成要素の配置は、広範囲の車両間連結距離を許容し、異なる車両配置方法を有する従来の連結器及び格納式の連結器両方の使用を可能とする。
【0163】
車両接続部2の開閉は、電子的に制御及び/又は自動化されるように配置され、空隙36、38、40は、十分な構造的安定性を車両接続部2に与えながら、車両接続部2が比較的少ない重量を持つことを可能とする。





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2022-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の鉄道車両を互いに接続するための車両接続部であって、
一対の壁部と、
床部と、
屋根部と、を備え、
前記壁部、床部及び屋根部は、開口を有して鉄道車両に前記車両接続部を取り付けるための取付可能インターフェースを形成する第1端部と、接続可能インターフェースを形成する反対側の端部と、を有する通路を形成し、
前記壁部は、それらの長手方向長さが変化し得るように構成され、
前記壁部、床部及び屋根部は、前記壁部が前記開口を塞ぐように前記取付可能インターフェースに格納されて前記車両接続部の閉位置を規定し、前記取付可能インターフェースから伸長されて前記通路を形成して前記車両接続部の開位置を規定するように配置され、
前記車両接続部は、前記開位置と閉位置の間で移動可能となっており、
前記閉位置において前記車両接続部は、該車両接続部が列車の端部にある場合に、該車両接続部に比較的低い空力抵抗が起こるように尖った外形を与えることを特徴とする車両接続部。
【請求項2】
前記屋根部は、前記閉位置では鉄道車両内に格納され、前記開位置では前記通路を形成するために鉄道車両内から伸長されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両接続部。
【請求項3】
前記床部及び屋根部は、それらの長手方向長さが前記壁部の長手方向長さに従って変化し得るように構成されることで、前記通路の長手方向長さが可変となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両接続部。
【請求項4】
前記壁部の各々は、第2セクションに対してスライド可能に取り付けられた第1セクションを少なくとも有し、一の前記セクションが他の前記セクションに対してスライドすることで前記壁部の長手方向長さが可変となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項5】
前記セクションは、そのスライド移動が前記壁部の長手方向に拘束されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両接続部。
【請求項6】
前記開位置と閉位置との間の前記車両接続部の移動は、作動手段により制御されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項7】
前記取付可能インターフェースはピボットであり、前記開位置において前記壁部、床部及び屋根部、すなわち、前記通路は、前記床部と平行な面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の車両接続部。
【請求項8】
前記壁部、床部及び屋根部は、前記取付可能インターフェースの一部を形成する取付可能端部と、前記接続可能インターフェースの一部を形成する遠位端部と、を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両接続部。
【請求項9】
前記壁部は、鉄道車両の軸方向に概ね平行な第1位置から鉄道車両の軸方向に概ね直交した第2位置まで旋回可能で、前記壁部の遠位端部は、前記第2位置では前記取付可能インターフェースで概ね面一となって前記開口を閉じ、前記第1位置では前記通路の一部を形成し、前記壁部は、前記第1位置と第2位置との間で移動可能となっていることを特徴とする請求項8に記載の車両接続部。
【請求項10】
前記床部及び屋根部は、前記第1位置と第2位置との間の移動中に前記壁部を妨げないように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の車両接続部。
【請求項11】
前記作動手段は、前記第1位置と第2位置との間の前記壁部の移動を制御及び/又は同期することで、前記開位置と閉位置との間の前記車両接続部の移動を制御するように配置されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の車両接続部。
【請求項12】
前記壁部の各々は、前記通路に面する内面及びその反対側の外面を有し、前記取付可能インターフェースの一部を形成する取付可能端部及びヒンジ部を介して前記壁部の外面に接続された遠位端部を有する平板状外側部材を更に含み、第1空隙は、前記壁部、外側部材及びヒンジ部の間の空間により規定され、
前記外側部材は、前記壁部と同じ面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように配置されていることを特徴とする請求項11に記載の車両接続部。
【請求項13】
前記外側部材とヒンジ部との間で規定される第1角度及び前記壁部とヒンジ部との間で規定される第2角度は、連結手段を介して連動して制御されるように配置されていることを特徴とする請求項12に記載の車両接続部。
【請求項14】
前記連結手段は、前記第1角度と第2角度が連動して制御され得るように前記壁部及び外側部材の移動を連結することを特徴とする請求項13に記載の車両接続部。
【請求項15】
前記第1空隙の空気圧は、前記壁部、外側部材及びヒンジ部の剛性が変化するように可変となっていることを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項16】
前記壁部の遠位端部は、前記接続可能インターフェースの一部を形成して更なる空隙を有する接続可能構造を前記外面に有し、前記更なる空隙の空気圧は、前記接続可能構造の剛性が変化するように可変となっていることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項17】
前記第1空隙と更なる空隙との間に中間空隙が規定され、前記中間空隙の空気圧は変化せずに周囲空気圧に曝される又は前記中間空隙の空気圧は変化するように構成されていることを特徴とする請求項16に記載の車両接続部。
【請求項18】
使用中に前記閉位置において、前記連結手段は、前記車両接続部の空力抵抗の低減を容易にするために該車両接続部が実質的に三角形の断面を有するように前記第1及び第2角度を維持することを特徴とする請求項14乃至請求項17のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項19】
前記床部は、鉄道車両の連結器と機械的に連結されるように配置され、前記車両接続部が前記閉位置にあるときに前記床部が前記連結器の移動に追従することを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の車両接続部。
【請求項20】
各々の前記車両接続部の接続可能インターフェースは、互いに接続して前記通路ひいては前記車両接続部を接続することで、伸長した通路ひいては伸長した車両接続部を形成するように配置されていることを特徴とする請求項7乃至請求項19のいずれか一項に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項21】
各々の前記車両接続部の壁部、屋根部及び床部は、互いに接続して相互接続された屋根及び床並びに第1及び第2相互接続壁を形成することを特徴とする請求項20に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項22】
前記床部及び屋根部が相互接続されると、前記屋根部及び床部の格納及び伸長は制約されることを特徴とする請求項21に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項23】
使用時に、前記伸長した車両接続部は、第1及び第2鉄道車両の端部を互いに接続し、鉄道車両の端部が互いに平行な場合には中立配置にあり、鉄道車両の端部が互いに非平行な場合には旋回配置にあり、
前記中立配置の間、前記相互接続壁における各々の前記壁部の長手方向長さは同一で、
前記旋回配置の間、前記相互接続壁における各々の前記壁部の長手方向長さは、互いに逆向きに変化されるように配置され、前記伸長した通路の長手方向長さは一定のままであることを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の第1及び第2車両接続部。
【請求項24】
前記壁部、床部及び屋根部は、前記伸長した車両接続部を形成する際に第1及び第2鉄道車両の高さ変化に対応できるように、前記床部に直交した面で前記取付可能インターフェースに対して旋回するように更に配置されていることを特徴とする請求項23に記載の第1及び第2車両接続部。
【国際調査報告】