(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】枕及び帆を有する遠位側エアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/2334 20110101AFI20231219BHJP
B60R 21/207 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60R21/2334
B60R21/207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528116
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021072190
(87)【国際公開番号】W WO2022126051
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ウィルライト、テリー アラン
(72)【発明者】
【氏名】ホリデイ、アンドリュー ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ディンズデール、チャールズ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウィスコム、デレク ジョン
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA21
3D054CC04
3D054CC11
3D054DD14
3D054FF10
(57)【要約】
遠位側膨張可能エアバッグアセンブリが、遠位側衝突事象中又は遠位側斜め衝突事象中に乗員に隣接して展開するように設置されるように開示されており、車両内の構造物との衝突から、及び車両の他の乗員との衝突から乗員を保護するために、乗員を乗員の車両乗員位置に保持し得る。本開示の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリが、車両の車両乗員位置の間に設置されるときに特に有益であり得る。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能エアバッグシステム(100)であって、
インフレータ(104)と、
車両(10)のシート(32)の側部に取り付けられ、前記シート(32)によって画定される車両乗員位置(30)に隣接して位置決めされるように前記シート(32)の前記側部から前方方向に展開するように構成された膨張可能エアバッグクッション(110)とを備え、前記膨張可能エアバッグクッション(110)が、
前記インフレータ(104)に結合されたメインクッション(120)であって、前記シート(32)の前記側部から前方に展開するメインクッション(120)と、
上部において前記メインクッション(120)の上部に結合された枕クッション(130)であって、前記メインクッション(120)の乗員側に配置されて前記メインクッション(120)と前記車両乗員位置(30)との間に位置決めされる枕クッション(130)と、
第1の端部において前記メインクッション(120)の下部に結合され、第2の端部において前記枕クッション(130)の下部に結合された帆パネル(140)とを含むことを特徴とする、膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項2】
前記メインクッション(120)及び前記枕クッション(130)が、展開状態において、膨張ガスを受け入れるための空隙を各々画定し、前記帆パネル(140)が膨張しないままである、請求項1に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項3】
前記シート(32)の前記側部が、前記車両(10)の長手方向中心線(45)に向かって配置された内側部分であり、前記車両(10)の横方向に隣接するシート(40)からの距離が、遠位側衝突事象中に前記車両乗員位置(30)の乗員(50)の少なくとも一部の内側横方向変位を制限する、請求項1又は2に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項4】
前記枕クッション(130)によって画定される空隙が、前記メインクッション(120)から膨張ガスを受け入れるように、前記メインクッション(120)によって画定される空隙と流体連通している、請求項1~3のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項5】
前記枕クッション(130)及び前記帆パネル(140)が、展開状態において、衝突事象中に前記車両乗員位置(30)の乗員(50)の頭部(52)を保護して横方向支持を提供するように位置決めされるように、前記メインクッション(120)から横方向に前記メインクッション(120)から離れる方向に前記車両乗員位置(30)の肩部(38)の上方に前記メインクッション(110)から延びるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項6】
展開状態において、前記メインクッション(120)、前記枕クッション(130)、及び前記帆パネル(140)が、略三角形(170)及び略ドーナツ状(178)のうちの1つである形状を形成し、前記形状が、乗員(50)の肩部(55)の上方に延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項7】
展開状態において、前記帆パネル(140)が、前記車両乗員位置(30)の乗員(50)の肩部(55)に係合するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項8】
前記メインクッション(120)、前記枕クッション(130)、及び前記帆パネル(140)が、それらが形成する前記形状(170、178)によって互いを相互支持して、前記膨張可能エアバッグクッション(110)の撓みに対する抵抗を提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項9】
展開状態において、前記枕クッション(130)が、前記メインクッション(120)から構造的支持を受ける、請求項1~8のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項10】
展開状態において、前記帆パネル(140)が、前記車両乗員位置(30)の乗員(50)の肩部(55)の横方向変位を制限するように、前記車両乗員位置(30)に隣接して位置決めされる、請求項1~9のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項11】
展開状態において、前記枕クッション(130)が、前記車両乗員位置(30)の乗員(50)の頭部(52)の横方向変位を制限するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【請求項12】
展開状態において、前記枕クッション(120)が、前記車両乗員位置(30)に向かって配置されたパネル(131)を備え、前記パネル(131)が、前記車両乗員位置(30)の乗員(50)の頭部(52)の前方向移動を制限するように構成された湾曲した輪郭(131p)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の膨張可能エアバッグシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、衝突事象に応答して展開するように構成された遠位側エアバッグアセンブリなどのエアバッグアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
衝突事象中に乗員を保護するための保護システムが車両に設置されている。いくつかの保護システムは、膨張可能遠位側エアバッグを含む。いくつかの保護システムは、1つ以上の欠点を有する、又は1つ以上の点で最適には機能し得ない可能性がある。本明細書に開示される特定の実施形態は、これらの問題のうちの1つ以上に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。添付の図面が、典型的な実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことを理解した上で、実施形態について、添付の図面を参照して、具体的に詳細に記載及び説明する。
【0004】
【
図1】本開示の一実施形態による遠位側膨張可能エアバッグアセンブリを備えた車両の内部の一部の側面図である。
【
図2A】遠位側膨張可能エアバッグアセンブリが部分的に展開された、
図1の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリを有する車両の一部の側面図である。
【
図2B】本開示の一実施形態による、膨張可能エアバッグクッションが実質的に膨張した状態にある、
図1及び
図2Aの遠位側膨張可能エアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部の側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、膨張可能エアバッグクッションが実質的に展開状態にある、
図1~
図2Bの遠位側膨張可能エアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部の反対側の側面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、膨張可能エアバッグクッションが展開状態にある、
図1~
図3の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリを有する車両の車両乗員位置の平面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、設置前状態にある、
図1~
図4の膨張可能エアバッグアセンブリの膨張可能エアバッグクッションの平面図である。
【
図6】車両乗員位置に着座した乗員を受け入れる展開状態にある、
図1~
図5の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリの膨張可能エアバッグクッションの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に概して記載及び図示されている実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成において配置及び設計され得ることが容易に理解されよう。よって、図示されている様々な実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求されている本開示の範囲を限定することは意図されておらず、単に様々な実施形態を示す。実施形態の様々な態様が図面に示されているが、図面は、具体的に示されない限り、必ずしも縮尺とおりに示されていない。
【0006】
膨張可能エアバッグアセンブリなどの乗員保護システムは、衝突事象中の乗員の損傷を低減する又は最小にするために、車両内の様々な場所に設置され得る。膨張可能なエアバッグアセンブリは、衝突事象中に乗員の損傷を低減する又は最小にするために広く使用されている。エアバッグモジュールは、これらに限定されるわけではないが、ステアリングホイール内、ダッシュボード及び/又はインストルメントパネル内、サイドドア内、シート内又はシートに隣接して、車両のルーフレールに隣接して、頭上位置、又は膝位置若しくは脚位置など、車両内の様々な場所に設置されてきた。以下の開示では、「エアバッグ」は、一般に、衝突事象中に乗員を保護するために展開する膨張可能エアバッグを指す。
【0007】
本開示は、斜め遠位側衝突事象を含む、遠位側衝突事象中に乗員を保護するために展開するように構成された遠位側エアバッグアセンブリに関する。遠位側衝突事象は、車両が、関連する乗員が配置されている側とは反対側の車両の側部(例えば、側面)に衝撃を受けたときに、関連する乗員に対して発生し、その結果、事象は、車両の遠位側を乗員の方向に直接又は斜めに押す傾向がある力を生成する。換言すれば、遠位側衝突事象において、関連する乗員は、事象中に衝撃を受けた側とは反対の車両の側に向かって配置される。例えば、左方向に配置されたシートの乗員は、車両の右側に衝撃が発生したときに、遠位側衝突を経験する。遠位側膨張可能エアバッグアセンブリは、特定の車両乗員位置に対して、車両乗員位置と車両の遠位側との間に配置されるように設置されてもよい。遠位側膨張可能エアバッグアセンブリは、遠位側衝突事象に応答して膨張可能エアバッグクッションを展開してもよく、膨張可能エアバッグクッションは、特定の車両乗員位置の乗員に対する遠位側衝突の力の影響を低減又は排除するように構成されてもよい。膨張可能エアバッグクッションは、車両構造(例えば、シート間コンソール、ステアリングホイールなど)に向かう、又は隣接する車両乗員位置に向かう、若しくはその中への乗員の移動を低減し得、車両構造又は別の乗員との乗員の衝撃の可能性又は程度を低減し得、それによって、遠位側衝突事象における乗員への損傷を低減又は防止する。
【0008】
本明細書で使用する場合、「ダッシュボード」及び「インストルメントパネル」という用語は、自動車の乗員が面する車両の突出した領域を指し、これは多くの場合、乗員が面するその部分にグローブボックスを含み、そのより中央の領域に機器(例えば、ラジオ及び/又は空調制御)を含み得るが、そのような機器が存在する必要はない。
【0009】
「反対」という用語は、別の関係する特徴又は構成要素に対応する位置における特定の特徴又は構成要素の配置を指すために本明細書で使用される関係用語であり、対応する特徴又は構成要素は、互いに位置的に並置されている。例として、人の右手は、人の左手の反対である。
【0010】
本明細書で使用される「内側」という用語は、概して、車両の長手方向中心線に向かう方向を示し、しかしながら、本発明は、シートが車両内の横並びの2つのシートに限定されない実施形態を予期する。このような実施形態では、「内側」は、1つの車両乗員位置から隣接する車両乗員位置に向かう方向を指す。横並びの3つ以上のシートの列を有する一実施形態では、列の端部に配置されていない各シートは、本開示の目的のために、車両乗員位置の側面の片側又は両側に「内側」側を有してもよい。更に、いくつかの実施形態では、「内側」は、車両乗員位置から、車両乗員位置と車両の側部構造との間の空間又は空隙、例えば、車両着座位置に隣接する貨物空間などに向かう方向を指す。
【0011】
取り付け時には、エアバッグは、典型的には、パッケージ化された状態で(例えば、巻かれた状態で、折り畳まれた状態で、及び/又は、他のやり方で圧縮された状態で)、すなわち、コンパクトな構成で、ハウジングの内部に配置され、カバーの背後にパッケージ化された状態で保持され得る。衝突事象中に、インフレータがトリガされ、これにより、エアバッグが膨張ガスで急速に充填される。エアバッグは、パッケージ化された状態(例えば、コンパクトな構成)から、展開状態又は拡張構成へ急速に移行することができる。例えば、膨張するエアバッグは、エアバッグカバーを開放することにより(例えば、破裂シームを引き裂くことにより、あるいは、ドア状構造体を開放することにより)、ハウジングから飛び出すことができる。インフレータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされてもよく、トリガは、1つ以上の車両センサへの応答であってもよく、及び/又は1つ以上の車両センサによって影響されてもよい。エアバッグアセンブリは、車両内の構造体(例えば、ダッシュボード及びドアコラムなど)に対する乗員の衝突(身体-構造体衝突)の影響を低減することによって、衝突事象中の車両の乗員への損傷を軽減することができる。
【0012】
本明細書に開示されているいくつかの実施形態は、改善された位置決め、保護、及び/又は安全性を、特定のタイプの衝突に巻き込まれた乗員に提供することができる。特定の実施形態が有利であることを示し得る衝突のタイプの例としては、(1)ぶつかった物体が、乗員の車両の構造的長手方向構成要素及び/又はエンジンブロックに係合しない衝突、(2)衝撃力が乗員の車両の左長手方向ビーム若しくは右長手方向ビームのいずれかの外側に主に作用する衝突、(3)FLEE又はFREEなどの衝突変形分類スキームでとして分類される衝突、(4)乗員の車両が車両幅の25%以下でぶつかる前面衝撃衝突、(5)米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety,IIHS)のスモールオーバーラップ前突試験について規定されている衝突、又は(6)米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration,NHTSA)の斜め衝撃試験について規定されている衝突のうちの1つ以上が挙げられる。IIHSのスモールオーバーラップ前突試験、及びNHTSAの斜め衝撃試験についての条件は、Insurance Institute for Highway Safety,Small Overlap Frontal Crashworthiness Evaluation Crash Test Protocol(2版)(2012年12月)、及びSaunders,J.,Craig,M.及びParent,D.,Moving Deformable Barrier Test Procedure for Evaluating Small Overlap/Oblique Crashes,SAE Int.J.Commer.Veh.5(1):172~195頁(2012年)に開示されている。本明細書で使用されるとき、衝突(衝突(crash)、衝撃など)を説明するために使用される「斜め」という用語は、前述の衝突のいずれか、及び衝撃の結果としての乗員の移動方向が前方方向又は成分と側方方向又は成分との両方を含む任意の他の衝突を包含することが意図されている。本開示では、斜め衝突中又は斜め衝突後の乗員の衝突後軌道の長手方向成分は、車両前方方向に向けられ得る。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態による遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を備えた車両10の内部の一部の側面図である。ダッシュボード/インストルメントパネル(「ダッシュ」)12が、ステアリングホイール13、フロントガラス14、車両10のルーフ16、及び遠位側ドア20と同様に、参照のために示されている。車両10は、シート32(例えば、運転席、助手席など)によって画定される車両乗員位置30を含み、車両のシートに着座したときに乗員が概して位置決めされる位置であってもよい。車両乗員位置30は、車両10及び/又はシート32が乗員50を輸送するように設計された位置、及び/又は衝突事象の前及び/又は衝突事象中に乗員50が着座し得る位置であってもよい。本開示の実施形態の本例では、車両乗員位置30は車両10の左側に向かって配置され、ドア20は車両10の右側にあり、別の車両乗員位置(図示しないが、多くの点で車両乗員位置30と同様)が車両乗員位置30とドア20との間に配置されてもよい。横並びの2つの前部シートを有する左ハンドル車では、本実施形態の図示された車両乗員位置30は、運転席32によって画定される。右ハンドルの、横並びの2つの前部シートの車両では、車両乗員位置30は、助手席32によって画定される。シート32は、シートベース34と、背もたれ36とを備える。背もたれ36は、本開示の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を受け入れて支持するように構成された空隙37を備える。空隙37は、背もたれ36の内側部分に配置されてもよく、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、空隙37内に少なくとも部分的に取り付けられてもよい。乗員50は、車両乗員位置30に着座して示されている。乗員50の頭部52、手前側肩部54(
図1を見る人に対して)、及び胴体部56が、参照のために識別されている。乗員50はまた、遠位側肩部55を有する。車両乗員位置30は、乗員50の肩部54、55を受け入れるように構成されてもよく、又は他の方法で乗員50の肩部が車両乗員位置30内に位置決めされ得る位置であってもよい肩部38を備える。
【0014】
ステアリングホイール13が示されているが、乗員50は、車両10の運転者又は乗員であってもよい。本開示の典型的な実施形態では、追加の車両乗員位置が、車両乗員位置30とドア20との間に配置される。遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、空隙37内に配置され、空隙37は、背もたれ36のドア20側の一部(例えば、側部)に配置される。一実施形態では、空隙37は、車両の長手方向中心線に向かって配置された背もたれ36の側部に配置されてもよく、車両の横方向に隣接するシート又は車両乗員位置からの距離は、遠位側衝突事象中の車両乗員位置の乗員の少なくとも一部の内側横方向変位を制限する。
【0015】
一実施形態では、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、パッケージ化された状態のハウジングと、インフレータと、膨張可能エアバッグクッション(
図2A、
図2Bのハウジング102、インフレータ104、膨張可能エアバッグクッション110を参照)とを備えるユニット化エアバッグモジュールであってもよい。一実施形態では、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、車両10の背もたれ36の空隙37内に個別に設置され得るパッケージ化された状態のハウジング102、インフレータ104、膨張可能エアバッグクッション110などの個別の構成要素を備えてもよい。更に、本開示は、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100が、車両10の製造中又は製造後に車両10に設置されてもよいことを予期する。背もたれ36内の空隙37は、背もたれ36の支持構造に隣接し、内側に(遠位側ドア20に向かって)配置される。遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、空隙37内に配置されるように支持構造に固定されてもよい。
【0016】
図2Aは、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100が少なくとも部分的に展開されている、
図1の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を有する車両10の一部の側面図である。ダッシュ12、フロントガラス14、及びルーフ16が、車両乗員位置30及び背もたれ36と同様に、参照のために示されている。遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、ハウジング102と、インフレータ104と、膨張可能エアバッグクッション110とを備える。膨張可能エアバッグクッション110は、膨張スロート112と、メインクッション120と、枕クッション130と、帆パネル140とを備える。膨張スロート112は、膨張可能エアバッグクッション110をインフレータ104に接続するチューブ又はチャネルを備える。膨張スロート112は、膨張ガスをインフレータ104からメインクッション120によって画定された空隙内に導くように構成される。枕クッション130はまた、膨張ガスを受け入れるための空隙を画定する。換言すれば、メインクッション120及び枕クッション130は、展開状態において、膨張ガスを受け入れるための空隙を各々画定し、帆パネル140は膨張しないままである。
【0017】
図2Aの状況では、1つ以上のセンサ(図示せず)が、車両乗員位置30について、遠位側衝突事象又は遠位側斜め衝突事象として特徴付け得る衝突事象を識別又は検出している。したがって、1つ以上のセンサは、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100の展開をトリガしている。遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100の展開は、インフレータ104の作動と、ハウジング102の開放と、膨張可能エアバッグクッション110の乗員50に隣接して内側(乗員50と遠位側ドア20との間)への膨張及び配置とを含む。膨張可能エアバッグクッション110の初期膨張は、ハウジング102のクロージャ(図示せず)を強制的に開放してもよい。
【0018】
膨張可能エアバッグクッション110は、膨張ガスをインフレータ104から膨張スロート112を通してメインクッション120内に導入106することによって膨張する。膨張可能エアバッグクッション110が膨張し始めると、それは、車両乗員位置30に隣接して、より具体的には乗員50に隣接して位置決めされるように、背もたれ36の内側部分の空隙(
図1の空隙37参照)から前方方向に展開する。枕クッション130の上部は、メインクッション120の上部に結合される。メインクッション120が膨張すると、メインクッション120の空隙内からの膨張ガスが、メインクッション120から枕クッション130内に導入され得る(108)。帆パネル140の第1の端部は、メインクッション120の下部に結合され、帆パネル140の第2の端部は、枕クッション130の下部に結合される。枕クッション130及び帆パネル140は、展開中、横方向に展開してもよい。メインクッション120及び枕クッション130の膨張及び展開すると、帆パネル140が引き寄せられることが教示される。膨張した状態では、メインクッション120、枕クッション130、及び帆パネル140は、略三角形又はドーナツ状(以下、「三角形形状」)として特徴付けられ得る形状を形成する。メインクッション120、枕クッション130、及び帆パネル140は、展開状態において、車両10の長手方向中心線に対して横方向の平面において三角形形状を形成する。より詳細に説明されるように、三角形形状は、メインクッション120、枕クッション130、及び帆パネル140が互いを相互支持し、膨張可能エアバッグクッション110の横方向の撓みに対する抵抗を提供することを可能にする。
【0019】
図2Bは、膨張可能エアバッグクッション110が展開状態にある(例えば、実質的に膨張した状態)、
図1及び
図2Aの遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を有する車両10の内部の一部の側面図である。展開状態では、膨張可能エアバッグクッション110の三角形形状は、(
図2A及び
図2Bを見る人の視点に対して)遠位側肩部55にわたって延びる。換言すれば、膨張可能エアバッグクッション110は、遠位側衝突事象の方向に配置された車両乗員位置30の肩部38内に前方に展開してもよい。三角形形状の第1の頂点172はルーフ16に向けられ、第2の頂点174は下方に向けられ、三角形形状の第3の頂点176は、遠位側肩部55の上方かつ乗員50に向かって配置される。第1の頂点172は、メインクッション120と枕クッション130との接合部に形成される。第2の頂点174は、メインクッション120と帆パネル140との接合部に形成される。第3の頂点176は、枕クッション130と帆パネル140との接合部に形成される。帆パネル140は、乗員50の遠位側肩部55に係合してもよい。枕クッション130及び帆パネル140は、展開状態において、メインクッション120から横方向に離れる方向にメインクッション120から延びるように構成される。換言すれば、頂点176は、展開状態において、メインクッション120から横方向に離れて車両乗員位置30に向かって延びる。枕クッション130は、乗員50の頭部52を受け入れて支持するように構成されてもよい。
【0020】
膨張可能エアバッグクッション110の三角形形状は、メインクッション120、枕クッション130、及び帆パネル140が互いを相互支持することを可能にする。更に、膨張可能エアバッグクッション110の三角形形状は、撓みに対するかなりの程度の抵抗を提供する。枕クッション130及び帆パネル140は、比較的少量の膨張ガスで、撓みを制限すると共に乗員50の肩部55及び頭部52を早期に受け入れて乗員50の横方向移動を制限することができるクッションの横幅を可能にする。換言すれば、膨張可能エアバッグクッション110の三角形形状は、展開状態において、斜めの撓みを含む、概して車両10の遠位側に向かう方向への撓みに抵抗し得る。撓みに対する抵抗の程度は、膨張可能エアバッグクッション110の横幅(又は有効横幅)の関数である。膨張可能エアバッグクッション110の有効横幅が大きいほど、その横方向に曲がることが困難になる。換言すれば、メインクッション120と枕クッション130とを組み合わせて(及び帆パネル140によって構成されるように)、横幅(車両10の長手方向軸に対して、例えば、
図6の長手方向軸45を参照)を達成し得、衝突事象中又はその直後に乗員50の有意な支持を提供する。衝突事象と、衝突事象から生じる車両モーメントの変換と、車両10内の乗員50のモーメントの相対的変換との間の相対的タイミングに関して、乗員50は、車両10に対して有意な速度(又は車両モーメント変換)を達成する前に、膨張可能エアバッグクッション110の支持を受け得る。車両10に対する乗員50のより低い相対速度は、膨張可能エアバッグクッション110が乗員50を車両乗員位置30内により効果的に保持することを可能にし得る。更に、車両10に対する乗員50のより低い相対速度は、乗員50が車両10の内部構造に衝撃を与えることから生じる乗員50への損傷を防止又は軽減し得る。
【0021】
展開状態にある膨張可能エアバッグクッション110の三角形形状は、枕クッション130が乗員50の頭部52を受け入れて支持することを可能にし、一方、乗員50の頭部52、より具体的には頸部53は、乗員50の胴体部56と概ね位置合わせされる。膨張可能エアバッグクッション110の三角形形状は、帆パネル140が、乗員50の頭部52及び頸部53に係合してこれらを支持する枕クッション130と共に、乗員50の遠位側肩部55を受け入れて支持することを可能にし得る。枕クッション130、帆パネル140、及びメインクッション120は、衝突事象の早期に乗員50に係合し、それによって乗員50の横方向移動を低減するように構成された三角形形状を形成する。更に、この早期の係合は、大量の膨張ガスを必要とすることなく、枕クッション130及び帆パネル140によって達成することができる。乗員50の遠位側肩部55を支持することは、乗員50の胴体部56の固有の支持をもたらし、したがって、展開状態では、帆パネル140は、車両乗員位置30の乗員50の胴体部56の横方向変位を制限するように構成される。頭部52、頸部53、及び胴体部56のこの結合支持は、概して、乗員50の脊柱57を位置合わせされた状態に保つ役割を果たし得、これは、ひいては、乗員50の頭部52、頸部53、遠位側肩部55、胴体部56、及び脊柱57の各々に対する損傷の可能性又は損傷の程度を低減し得る。頂点172、174、176は、メインクッション120、枕クッション130、及び帆パネル140の各々のある程度の関節動作を可能にし得、また、これらの各々の間の相互支持を伝達し、膨張可能エアバッグクッション110の乗員50から離れる方向への撓みに対するある程度の抵抗を与える。
【0022】
図3は、膨張可能エアバッグクッション110が実質的に展開状態にある、
図1及び
図2A及び
図2Bの遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を有する車両10の内部の一部の反対側の側面図である。車両10のダッシュ12、フロントガラス14、ルーフ16、及び手前側ドア22が、車両乗員位置30及び背もたれ36と同様に、参照のために示されている。乗員50の頭部52及び遠位側肩部55(この図では、観察面により近い)が参照のために示されている。膨張可能エアバッグクッション110のメインクッション120は、略垂直配置を有する。枕クッション130及び帆パネル140は、メインクッション120から横方向に離れる方向に展開するように構成される。枕クッション130は、乗員50に向かって、より具体的には、乗員50の頭部52に向かって配置され、少なくとも部分的に遠位側肩部55の上方に配置される。帆パネル140は、乗員50に向かって配置され、乗員50の遠位側肩部55に対して係合され得る。
【0023】
メインクッション120は、第1の結合部122(例えば、テザー、又はゼロ長テザー、又は他の膨張しない領域)で構成される。第1の結合部122は、膨張可能エアバッグクッション110の2つのパネル(
図5の第1のパネル及び第2のパネル150、152を参照)の間を結合して、メインクッション120によって画定される空隙の体積を低減する。第1の結合部122はまた、メインクッション120に、したがって膨張可能エアバッグクッション110に、ある程度の構造的支持を加え得る。換言すれば、第1の結合部122は、メインクッション120の周辺に対してメインクッション120の中心付近にアンカーポイントを形成することによって、メインクッション120が受けやすい変形の程度を制限し得る。更に、メインクッション120によって画定される空隙の体積を低減することによって、第1の結合部122は、膨張可能エアバッグクッション110を膨張させるのに必要な膨張ガスの総体積を低減し得、その結果、展開の開始と実質的な展開の達成との間のタイミングを低減し得る。膨張可能エアバッグクッション110を膨張させるために必要とされる膨張ガスの総体積の低減は、より小さいインフレータ104の使用を可能にし得、よりコンパクトな遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100をもたらす。
【0024】
図4は、膨張可能エアバッグクッション110が展開状態にある、
図1~
図3の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を有する車両10の車両乗員位置30の平面図である。車両前方方向47を有する車両(
図1~3の車両を参照)の論理的中心線45が示されている。膨張可能エアバッグクッション110は、実質的に膨張している。本例では、限定するものではないが、乗員50は、シートベース34上で背もたれ36に対して直立姿勢で着座している。メインクッション120は、乗員50の略垂直かつ内側に配置される。メインクッション120の後面は、インフレータ104から略上方かつ前方に延びてもよく、メインクッション120の前面は、車両乗員位置30に向かっていくらか傾斜している。換言すれば、膨張可能エアバッグクッション110は、最初に背もたれ36から上方向に展開し、次に前方に展開して、メインクッション120の一部を乗員50の遠位側肩部55の上方に配置し、車両乗員位置30の肩部38の中(又は上方)に配置してもよい。枕クッション130は、乗員50に向かって配置される。より具体的には、枕クッション130は、車両乗員位置30の肩部38の上方又は中に少なくとも部分的に配置されるように、(車両論理的中心線45に対して、及び少なくともいくつかの実施形態では車両論理的中心線45から離れるように)横方向に延びてもよい。枕クッション130は、第2の結合部132を有する。第2の結合部132は、膨張可能エアバッグクッション110の2つのパネル(
図5の第1のパネル150及び第2のパネル152を参照)の間を結合する。第2の結合部132は、膨張可能エアバッグクッション110を膨張させるのに必要な膨張ガスの総体積を低減する。第2の結合部132はまた、枕クッション130を乗員50の頭部52に向けて配置するための第1の頂点(
図2Bの第1の頂点172を参照)と、乗員50の遠位側肩部55の上方の第3の頂点(
図2Bの第3の頂点176を参照)とを形成するように、膨張可能エアバッグクッション110を構成する。第2の結合部132は更に、膨張ガスをメインクッション120から枕クッション130に導くように膨張可能エアバッグクッション110を構成する。(上述の
図2Aは、膨張ガスがメインクッション120から枕クッション130に導入される(108)ことを示す)
【0025】
図4の枕クッション130は、車両乗員位置30に向かって配置されたパネル131を有し、パネル131は、前方端部において乗員50に向かって配置された湾曲した輪郭を有する。湾曲した輪郭は、乗員50の頭部52を受け入れて、頭部52の前方向移動、頭部52の横方向移動、頭部52の斜め移動、及び頭部52の回転のうちの1つ以上を制限することによって頭部52への損傷を防止又は低減するように構成される。
【0026】
メインクッション120及び枕クッション130は、第2の結合部132において三角形形状の第1の頂点172を形成する。メインクッション120の下面は、帆パネル140の下面に結合して、第2の頂点174を形成する。枕クッション130の下面は、帆パネル140の上面に結合して、第3の頂点176を形成する。帆パネル140は、乗員50の遠位側肩部55に係合するように構成される。帆パネル140及び枕クッション130(例えば、湾曲した輪郭を有するパネル131)は、それぞれ、乗員50の遠位側肩部55及び頭部52に係合して、遠位側衝突事象又は遠位側斜め衝突事象中に乗員50の頭部52、遠位側肩部55、胴体部56、及び頸部53を支持する。したがって、このように構成された膨張可能エアバッグクッション110は、遠位側衝突事象又は遠位側斜め衝突事象において乗員50への損傷の程度を防止又は低減し得る。より具体的には、
図4の図では、遠位側衝突事象又は遠位側斜め衝突事象は、読者の右に発生し、衝突のエネルギーは、車両乗員位置30を左に向かって押す傾向があり、乗員50が相対的に右方向に変位する傾向をもたらす。膨張可能エアバッグクッション110の一実施形態の展開により、乗員50は、乗員50を右又は右横方向に変位させる傾向があるエネルギーの比較的緩やかな消散を伴って、車両乗員位置30に効果的に保持され得る。更に、本実施形態では、車両乗員位置30と同様の多くの態様における第2の車両乗員位置40が、車両乗員位置30のすぐ右に配置されてもよい。膨張可能エアバッグクッション110は、衝突エネルギーが乗員50を隣接する車両乗員位置40の中に、上方に、又はそれを越えて変位させる傾向を防止し得る。隣接する車両乗員位置も占有されているときに、膨張可能エアバッグクッション110は、隣接する車両乗員位置の乗員及び車両乗員位置30の乗員50を、さもなければ乗員間の車両内衝突から生じ得る損傷から保護し得る。
【0027】
本発明の一実施形態では、3つ以上の車両乗員位置30、40などを有する。横並びの、各シート32、42などは、別のシートに隣接して配置された各シートのいずれかの側に、遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100を備えてもよい。各遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は、特定の車両乗員位置30、40などが占有されているときにのみ、かつ特定の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100がそれぞれ占有された車両乗員位置30、40などと遠位側衝突事象との間で展開可能であるときにのみ展開するように構成されてもよい。換言すれば、例えば、右側衝突事象において、占有された車両乗員位置30、40などに取り付けられた右側に配置された遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100のみが展開してもよく、左側に配置された遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100は展開されないままであってもよい。
【0028】
図5は、設置前状態における
図1~4の膨張可能エアバッグアセンブリ100の膨張可能エアバッグクッション110の平面図である。膨張可能エアバッグクッション110は、第1のパネル150及び第2のパネル152を備え、第1のパネル150は、この図では、第2のパネル152の上に重なっている。第1のパネル150及び第2のパネル152は、周辺結合部154において互いに結合される。第1のパネル150は、メインクッション120及び枕クッション130の少なくとも第1の側を備える。第2のパネル152は、少なくともメインクッション120の第2の側と枕クッション130とを備える。一実施形態では、第1のパネル150は、帆パネル140を更に備えてもよい。一実施形態では、第2のパネル152は、帆パネル140を更に備えてもよい。
【0029】
周辺結合部154は、本実施形態では、メインクッション120及び枕クッション130の周辺を画定し、膨張ガスを受け入れるためのメインクッション120及び枕クッション130の空隙を画定する膨張可能エアバッグクッション110の一部を取り囲み、共に結合する。第1のパネル150及び第2のパネル152は更に、第1の結合部122及び第2の結合部132において互いに結合されている。第1の結合部122及び第2の結合部132は、膨張可能エアバッグクッション110を膨張させるのに必要な膨張ガスの総体積を低減する。第1の結合部122及び第2の結合部132は、展開状態のメインクッション120及び枕クッション130に構造的支持を提供してもよい。
【0030】
膨張可能エアバッグクッション110は、帆パネルの第1のタブ142と、帆パネルの第2のタブ144とを備える。膨張可能エアバッグクッション110の組み立て中、第1のタブ142及び第2のタブ144は互いに結合される。第1のタブ142及び第2のタブ144を互いに結合することにより、膨張可能エアバッグクッション110は、衝突事象中に展開されたときに略三角形又はドーナツ状の形状を形成するように構成される。第2の結合部132は、枕クッション130を乗員(
図2A4の乗員50を参照)に向かって横方向に配置し、第1の頂点172を形成するのを助ける。第1のタブ142及び第2のタブ144の結合部は、第2の頂点174を形成する。第1のタブ142と第2のタブ144との結合は、第1のタブ142と第2のタブ144との間に引かれた一対の一点鎖線によって示されている。周辺結合部154の一部は、膨張可能エアバッグクッション110が第3の頂点176を形成することを可能にする。
【0031】
周辺結合部154は、膨張スロート112を形成するために、第1のパネル150及び第2のパネル152の一部を除外する。膨張スロート112は、インフレータ(
図2Aのインフレータ104参照)に結合されてもよい。周辺結合部154、第1の結合部122、第2の結合部132、並びに第1のタブ142及び第2のタブ144の結合は、縫製、高周波溶接、接着剤、又は任意の他の適切な手段のうちの1つ以上によって達成され得る。
【0032】
膨張可能エアバッグクッション110は、テザー160を更に備える。テザー160は、第1の端部162a及び第2の端部166aを有する。膨張可能エアバッグクッション110の組み立て中、テザー160の第1の端部162aは、膨張可能エアバッグクッション110の第2の結合部132の近くで、又はそこで結合され得る(164)。第1の端部162bは、参照のために、第2の結合部132において結合されて示されている。テザー160の第2の端部166aは、周辺結合部154の一部168において結合されてもよい。参照のために、第2の端部166bは、周辺結合部154の一部168において結合されて示されている。テザー160は、
図2A~
図4で説明したように、膨張可能エアバッグクッション110を配置するのを助け得る。
【0033】
図6は、展開状態にあり、車両乗員位置30に着座した乗員50を受け入れる、
図1~5の遠位側膨張可能エアバッグアセンブリ100の膨張可能エアバッグクッション110の正面図である。膨張可能エアバッグクッション110は、実質的に膨張した状態で示されている。メインクッション120、枕クッション130、及び帆パネル140が、第1の結合部122及び第2の結合部132と同様に示されている。車両乗員位置30の背もたれ36も参照のために示されている。乗員50は、車両乗員位置30に着座して示されている。帆パネル140は、乗員50の遠位側肩部55と係合するか、又はそれを受け入れている。
【0034】
車両論理的中心線45は、参照を容易にするために、車両の前後軸に沿った垂直面として示されている。膨張可能エアバッグクッション110は、車両論理的中心線45を横方向49に展開する。展開された膨張可能エアバッグクッション110によって形成された略三角形形状170が示されており、略三角形形状170の第1の頂点172、第2の頂点174、及び第3の頂点176も示されている。図示の三角形形状170は、一般化されたものであり、膨張可能エアバッグクッション110の正確な形態を示すことを意図したものではない。例えば、頂点172、174、176は、いくつかの実施形態では、
図6に示される膨張可能エアバッグクッション110の実施形態よりも丸みを帯びていてもよく、したがって、形状は略ドーナツ状178であってもよい。更に、いくつかの実施形態では、略三角形形状170の特定の向き及び頂点172、174、176の配置は、変化してもよい。
【0035】
本明細書全体を通して、「結合された」という語句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含めて、2つ以上の物体間の、任意の形態での相互作用を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。
【0036】
「a」及び「an」という用語は、単数として記載し得るが、単数に限定されるものではない。例えば、本開示は、「一ラインの縫い目(a line of stitches)」を有するタブを記載し得るが、本開示はまた、タブが、2つ以上のラインの縫い目を有し得ることを企図する。
【0037】
別途記載しない限り、全ての範囲は、端点と、端点間の全ての数値との両方を含む。
【0038】
「車両乗員位置」とは、車両のシートに着座しているときに乗員が一般的に位置するか、又は典型的には車両操作中に位置すると期待される位置を指す。「乗員」という用語は、車両内の人又は衝突試験ダミーを指す。
【0039】
本明細書全体における「一実施形態(an embodiment)」又は「実施形態(the embodiment)」への言及は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体において記載されている語句、又は語句の変形は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及してはいない。
【0040】
同様に、実施形態の上記の説明において、本開示を合理化するために、様々な特徴は、これらの特徴の単一の実施形態、図、又は説明に一緒にグループ化されていることがあることを理解されたい。しかしながら、開示のこの方法は、任意の請求項が当該請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれの単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。よって、この発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態に明示的に組み込まれており、請求項のそれぞれは、別個の実施形態としてそれ自体で成立する。本開示は、独立請求項と独立請求項の従属請求項との全ての並べ替えを含む。
【0041】
特徴又は要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記載は、第2の又は追加のこのような特徴又は要素の存在を必ずしも示唆しない。ミーンズ・プラス・ファンクション形式で列挙される要素は、米国特許法第112条第6項に従って解釈されることが意図される。変更が、本発明の根本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細になされてもよいことが、当業者には明らかである。排他的な所有権又は特権が請求されている本発明の実施形態は、以下のように定義される。
【国際調査報告】