(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ディスプレイパネル用のパターン化バックライト
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20231219BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20231219BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231219BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02B27/02 Z
G09F9/00 336D
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530558
(86)(22)【出願日】2021-12-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021061916
(87)【国際公開番号】W WO2022120250
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ペン, フェンリン
(72)【発明者】
【氏名】ゲン, イン
(72)【発明者】
【氏名】コシェレフ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カラフィオレ, ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, リンホイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーリエ, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】リー, ユン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ルー
【テーマコード(参考)】
2H199
2H391
5G435
【Fターム(参考)】
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA53
2H199CA62
2H199CA67
2H199CA69
2H391AA15
2H391AB40
2H391AC14
2H391AC25
2H391AC26
2H391AC30
2H391EB02
2H391FA06
5G435AA03
5G435AA18
5G435BB12
5G435BB19
5G435FF02
5G435FF05
5G435FF06
5G435FF08
5G435GG01
5G435GG02
5G435LL07
(57)【要約】
ディスプレイパネル(102)は、ライトガイド(106)および複数のアウトカップリング格子(112)を含むバックライト(104)によってバックライトされるピクセル(103)のアレイを有する。アウトカップリング格子(112)の位置は、ピクセルのアレイ(103)内のピクセルの位置と調整される。バックライト(104)は、導光透明スラブ(106)またはピクセルアレイ(103)の行に平行に延びる線形導波路(207)のアレイを含んでもよく、格子(112)はスラブ(106)内または導波路(207)内に形成される。導波路によって放射された光の波長成分および偏光は、ディスプレイパネル(102)の透過スペクトル帯域および透過偏光と一致され得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面において配置されたピクセルのアレイであって、前記ピクセルが光の可変透過率を有する、前記ピクセルのアレイと、
前記光を前記ピクセルのアレイに供給するように光学的に結合されたバックライトとを含み、前記バックライトが、
前記第1の平面に沿って前記光を拡散させるためのライトガイドと、
前記第1の平面に垂直に、前記ピクセルのアレイのピクセルを通って伝搬するように前記ライトガイド内の前記光の一部を方向転換するように、前記ライトガイドに光学的に結合された格子のアレイと
を含み、
前記格子のアレイの格子の位置が、前記ピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させるように、前記ピクセルのアレイのピクセルの位置と調整されている、ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記ライトガイドが、前記第1の平面に平行な第1の方向に沿って前記光を拡散するための第1の部分と、前記第1の平面に平行な第2の異なる方向に沿って前記光を拡散するための第2の部分とを含み、前記格子のアレイの格子が、前記ライトガイドの前記第2の部分に光学的に結合されている、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
前記ライトガイドが、前記第1の平面に平行な複数の方向に前記ライトガイド内を伝搬するように前記光を方向転換するように構成された格子を含む、請求項1または2に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
前記格子のアレイの格子が、前記ピクセルを通って前記方向転換された光部分を集束させるように構成されている、請求項1、2または3に記載のディスプレイパネル。
【請求項5】
前記バックライトに対向する前記ピクセルのアレイに光学的に結合され、前記ピクセルを通って伝搬する前記方向転換された光部分を拡散するように構成されたマイクロレンズのアレイをさらに含み、好ましくは、前記マイクロレンズのアレイが、パンチャラートナム・ベリー位相(PBP)マイクロレンズを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項6】
前記格子のアレイが、前記格子のアレイの異なる格子の回折次数が前記ピクセルのアレイの同じピクセルを通って伝搬するように、前記光部分を複数の回折次数に分割し、前記複数の回折次数の異なる回折次数を前記ピクセルのアレイの異なるピクセルを通って集束させるように構成された多回折次数格子を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
前記格子のアレイの格子が、外部制御信号を印加することによって可変的な回折効率を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項8】
前記格子のアレイのピッチが、前記ピクセルのアレイのピッチに等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項9】
前記ピクセルのアレイが、液晶ライトバルブのアレイを含む液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含み、好ましくは、前記LCDパネルが、一対の基板間に液晶層を含み、前記基板の一方が、前記バックライトを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項10】
前記バックライトの前記ライトガイドが、
基板と、
前記基板によって支持され、前記ピクセルのアレイのピクセルに沿って延びる線形導波路のアレイと
を含み、
前記格子のアレイが、前記線形導波路内を伝搬する前記光部分を取り出して前記ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬させるように、前記線形導波路のアレイに光学的に結合されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項11】
請求項10に記載のディスプレイパネルであって、
i.前記格子のアレイの格子が、前記線形導波路のアレイの線形導波路内に形成され、かつ/または、
ii.前記格子のアレイの格子が、前記格子のアレイの格子によって前記方向転換された光を少なくとも部分的に集束させて前記ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬させるようにチャープされ、かつ/または、
iii.前記ディスプレイパネルが、前記格子のアレイの格子によって前記方向転換された光を少なくとも部分的に集束させて前記ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬させるように、前記格子のアレイと前記ピクセルのアレイとの間の光路内にマイクロレンズのアレイをさらに含む、ディスプレイパネル。
【請求項12】
前記バックライトの前記ライトガイドが、スラブの対向する面からの一連の連続反射によって前記光を内部で伝搬させるための透明材料の前記スラブを含み、前記格子のアレイが前記スラブによって支持され、好ましくは、前記格子のアレイの格子が、第1の偏光の光を回折し、前記第1の偏光に直交する第2の偏光の光を実質的に回折しないように構成され、前記バックライトが、前記スラブと前記格子のアレイとの間の光路において前記スラブに光学的に結合された調整可能な偏光回転子のアレイをさらに含み、
前記調整可能な偏光回転子のアレイの個々の調整可能な偏光回転子が、外部制御信号を印加することによって、前記第1の偏光と前記第2の偏光との間の前記光部分の偏光を調整するように構成され、それによって、前記格子のアレイの格子によって方向転換された前記光部分の光パワーを、前記ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように制御する、請求項1から11のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項13】
第1の平面において配置されたピクセルのアレイを含むディスプレイパネル用のバックライトであって、前記ピクセルが光の可変透過率を有し、前記バックライトが、
基板と、
前記基板によって支持され、前記ピクセルのアレイのピクセルに沿って延びる線形導波路のアレイと、
前記線形導波路のアレイに光学的に結合された格子のアレイであって、前記線形導波路のアレイ内を伝搬する前記光を、前記第1の平面に垂直に、前記ピクセルのアレイのピクセルを通って伝搬するように方向転換する、格子のアレイと
を含み、
前記格子のアレイの格子の位置が、前記ピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させるように、前記ピクセルのアレイのピクセルの位置と調整されている、ディスプレイパネル用のバックライト。
【請求項14】
バックライトによって放射され、ディスプレイパネルのピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させる方法であって、前記バックライトの光方向転換素子のアレイの光方向転換素子の空間分布を選択して、前記ディスプレイパネルの前記ピクセルのアレイ内のピクセルの空間分布と一致させ、前記ピクセルのアレイの個々のピクセルを通って伝搬するように前記光を方向転換することを含む、方法。
【請求項15】
前記ピクセルのアレイのピクセルのカラーフィルタ素子のスペクトル透過と一致するように、前記光方向転換素子によって方向転換された前記光のスペクトル成分と、または、
前記ピクセルのアレイのピクセルの透過偏光と一致するように、前記光方向転換素子によって方向転換された前記光の偏光と、
のうちの少なくとも1つを選択することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学デバイスに関し、特に、視覚ディスプレイパネル、視覚ディスプレイデバイス、視覚ディスプレイシステム、および関連する方法をバックライトするためのライトガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
視覚ディスプレイは、静止画像、映像、データなどを含む情報を視聴者に提供するために使用される。視覚ディスプレイは、ほんの数例を挙げると、娯楽、教育、エンジニアリング、科学、専門訓練、広告を含む様々な分野のアプリケーションを有する。テレビ受像機などのいくつかの視覚ディスプレイは、いくつかのユーザに画像を表示し、いくつかの視覚ディスプレイシステムは、個々のユーザ向けである。個々のユーザにコンテンツを表示するために、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ニアアイディスプレイ(NED)などがますます使用されている。HMD/NEDによって表示されるコンテンツは、仮想現実(VR)コンテンツ、拡張現実(AR)コンテンツ、複合現実(MR)コンテンツなどを含む。表示されるVR/AR/MRコンテンツは、体験を向上させるために3次元(3D)とすることができ、AR/MRアプリケーションの場合、仮想オブジェクトをユーザによって観察された実オブジェクトに一致させることができる。
【0003】
ヘッドマウントディスプレイには、小型で効率的なディスプレイデバイスが望まれる。HMDまたはNEDのディスプレイは通常、ユーザの頭に装着されるため、大きく、かさばり、バランスが悪く、非効率的であり、かつ/または重いディスプレイデバイスは扱いにくく、ユーザが装着するのに不快である場合がある。小型で効率的なディスプレイデバイスは、小型で効率的なライトガイドおよびディスプレイパネルを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、第1の平面に配置されたピクセルのアレイであって、ピクセルが光の可変透過率を有する、ピクセルのアレイと、光をピクセルのアレイに供給するようにピクセルのアレイに光学的に結合されたバックライトとを含み、バックライトが、第1の平面に沿って光を拡散させるためのライトガイドと、第1の平面に垂直に、ピクセルのアレイのピクセルを通って伝搬するようにライトガイド内の光の一部を方向転換するように、ライトガイドに光学的に結合された格子のアレイとを含み、格子のアレイの格子の位置が、ピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させるように、ピクセルのアレイのピクセルの位置と調整される、ディスプレイパネルが提供される。
【0005】
いくつかの実施形態では、ライトガイドは、第1の平面に平行な第1の方向に沿って光を拡散するための第1の部分と、第1の平面に平行な第2の異なる方向に沿って光を拡散するための第2の部分とを含んでもよく、格子のアレイの格子は、ライトガイドの第2の部分に光学的に結合される。
【0006】
いくつかの実施形態では、ライトガイドは、第1の平面に平行な複数の方向にライトガイド内を伝搬するように光を方向転換するように構成された格子を含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、格子のアレイの格子は、ピクセルを通って方向転換された光部分を集束させるように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、ディスプレイパネルは、バックライトに対向するピクセルのアレイに光学的に結合され、ピクセルを通って伝搬された方向転換された光部分を拡散するように構成されたマイクロレンズのアレイをさらに含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、マイクロレンズのアレイは、パンチャラートナム・ベリー位相(PBP)マイクロレンズを含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、格子のアレイは、格子のアレイの異なる格子の回折次数はピクセルのアレイの同じピクセルを通って伝搬するように、光部分を複数の回折次数に分割し、複数の回折次数の異なる回折次数をピクセルのアレイの異なるピクセルを通って集束させるように構成された多回折次数格子を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、格子のアレイの格子は、外部制御信号を印加することによって可変的な回折効率を有してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、格子のアレイのピッチは、ピクセルのアレイのピッチに等しくてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、ピクセルのアレイは、液晶ライトバルブのアレイを含む液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、LCDパネルは、一対の基板間に液晶層を含んでもよく、基板の一方はバックライトを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、バックライトのライトガイドは、基盤と、基板によって支持され、ピクセルのアレイのピクセルに沿って延びる線形導波路のアレイとを含んでもよく、格子のアレイは、線形導波路内を伝搬する光部分を取り出して(out-couple)ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬させるように、線形導波路のアレイに光学的に結合される。
【0016】
いくつかの実施形態では、格子のアレイの格子は、線形導波路のアレイの線形導波路に形成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、格子のアレイの格子は、格子のアレイの格子によって方向転換された光を少なくとも部分的に集束させてピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬させるようにチャープされてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、ディスプレイパネルは、格子のアレイの格子によって方向転換された光をピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように少なくとも部分的に集束させるように、格子のアレイとピクセルのアレイとの間の光路にマイクロレンズのアレイをさらに含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、バックライトのライトガイドは、スラブの対向する面からの一連の連続反射によって光を内部で伝搬するための透明材料のスラブを含んでもよく、格子のアレイはスラブによって支持される。
【0020】
いくつかの実施形態では、格子のアレイの格子は、第1の偏光の光を回折し、第1の偏光に直交する第2の偏光の光を実質的に回折しないように構成されてもよく、バックライトは、スラブと格子のアレイとの間の光路においてスラブに光学的に結合された調整可能な偏光回転子のアレイをさらに含み、調整可能な偏光回転子のアレイの個々の調整可能な偏光回転子は、外部制御信号を印加することによって、第1の偏光と第2の偏光との間の光部分の偏光を調整するように構成され、それによって、格子のアレイの格子によって方向転換された光部分の光パワーを、ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように制御してもよい。
【0021】
本開示のさらなる態様によれば、第1の平面において配置されたピクセルのアレイを含むディスプレイパネル用のバックライトであって、ピクセルが光の可変透過率を有し、バックライトが、基板と、基板によって支持され、ピクセルのアレイのピクセルに沿って延びる線形導波路のアレイと、線形導波路のアレイに光学的に結合された格子のアレイであって、線形導波路のアレイ内を伝搬する光を、第1の平面に垂直に、ピクセルのアレイのピクセルを通って伝搬するように方向転換する、格子のアレイとを含み、格子のアレイの格子の位置が、ピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させるように、ピクセルのアレイのピクセルの位置と調整される、ディスプレイパネル用のバックライトが提供される。
【0022】
本開示のさらなる態様によれば、バックライトによって放射され、ディスプレイパネルのピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させる方法であってバックライトの光方向転換素子のアレイの光方向転換素子の空間分布を選択して、ディスプレイパネルのピクセルのアレイにおけるピクセルの空間分布と一致させ、ピクセルのアレイの個々のピクセルを通って伝搬するように光を方向転換することを含む、方法が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法が、ピクセルのアレイのピクセルのカラーフィルタ素子のスペクトル透過と一致するように、光方向転換素子によって方向転換された光のスペクトル成分と、または、ピクセルのアレイのピクセルの透過偏光と一致するように、光方向転換素子によって方向転換された光の偏光と、のうちの少なくとも1つを選択することをさらに含んでもよい。
【0024】
本発明の1つ以上の態様または実施形態に組み込むのに適しているとして本明細書に記載された任意の特徴は、本開示の任意のおよびすべての態様および実施形態にわたって一般化可能であることが意図されていることが理解されよう。本開示の他の態様が、本開示の発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面に照らして当業者によって理解され得る。上記の概略的な説明および以下の発明を実施するための形態は、例示的および説明的なものにすぎず、特許請求の範囲を限定しない。
【0025】
ここで、以下の図面と共に、例示的な実施形態を説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】本開示のバックライトに結合されたライトバルブピクセルのアレイを含む視覚ディスプレイデバイスの側面断面図である。
【
図1B】1D+1Dビーム拡散器構成における
図1Aのバックライトの一実施形態の平面図である。
【
図1C】2Dビーム拡散器構成における
図1Aのバックライトの一実施形態の平面図である。
【
図2A】本開示のフォトニック集積回路(PIC)バックライトの上面概略図である。
【
図2B】ディスプレイパネルの単一のRGBピクセルと重ね合わされた
図2Aのバックライトの一部の上面概略図である。
【
図2C】
図2AのPICバックライトの線形導波路の3次元概略図である。
【
図3A】複数の格子出力カプラに結合されたスラブライトガイドを含むバックライトの側面断面図である。
【
図3B】
図3Aのバックライトにおいて使用可能なチャープアウトカップリング偏光体積ホログラム(PVH)格子の上面拡大図である。
【
図3C】支持導波路から格子によって抽出され、液晶アレイのピクセルを通って向けられた光ビームの集束を示すディスプレイパネルの側面断面図である。
【
図3D】本開示のバックライトを使用するディスプレイパネルの側面断面図であり、バックライトは、液晶ピクセルのアレイの下流にマイクロレンズのアレイを含む。
【
図3E】本開示のバックライトを使用するディスプレイパネルの側面断面図であり、バックライトは、多次の回折格子を含む。
【
図3F】本開示のバックライトを使用するディスプレイパネルの側面断面図であり、バックライトは、多次の回折格子を含む。
【
図4】
図3BのPVH格子の取り出し効率のスペクトルプロットを示す。
【
図5A】電圧制御アウトカップリング格子を含む調光可能なパターン化バックライトの側面断面図である。
【
図5B】アウトカップリング格子に結合された調整可能な液晶波長板のアレイを含む調光可能なパターン化バックライトの側面断面図である。
【
図6】一体型バックライト基板を有する液晶(LC)ディスプレイパネルの分解側面断面図である。
【
図7】偏光ベースのカラーフィルタを使用するLCDパネルの側面断面図である。
【
図8】
図7の偏光ベースのカラーフィルタの透過スペクトルである。
【
図9】バックライト効率を増加させる方法のフローチャートである。
【
図10A】本開示のバックライトを利用する半透明ディスプレイの概略図である。
【
図11】本開示のヘッドマウントディスプレイの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本教示について様々な実施形態および実施例と併せて説明しているが、本教示をそのような実施形態に限定することを意図するものではない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるような様々な代替物および均等物を包含する。本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の実施例を列挙する本明細書のすべての記述は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、このような均等物には、現在知られている均等物と将来開発される均等物の両方、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する開発されたあらゆる要素が含まれることを意図している。
【0028】
「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書で使用される場合、連続した順序付けを意味するものではなく、明記されていない限り、ある要素と別の要素を区別するものである。同様に、方法ステップの連続した順序付けは、明記されていない限り、方法ステップの実行の連続した順序を意味するものではない。
図1、
図3A~
図3B、および
図5A~
図5Bにおいて、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0029】
バックライトに結合された透過ピクセルのパネルを含む視覚ディスプレイでは、光利用効率は、ディスプレイパネルの全面積に対するピクセルによって占有される幾何学的面積の比に依存する。ニアアイおよび/またはヘッドマウントディスプレイでよく使用される小型ディスプレイの場合、比率は50%未満であり得る。効率的なバックライトの利用は、平均して入射光の30%以下を透過するディスプレイパネル上のカラーフィルタによってさらに妨げられ得る。その上、液晶(LC)ディスプレイパネルなどの偏光ベースのディスプレイパネルには、50%の偏光損失が存在し得る。これらの要因はすべて、ディスプレイの光利用効率および全体的なウォールプラグ効率を大幅に低減させ、これは望ましくない。
【0030】
本開示によれば、バックライト付きディスプレイの光利用効率およびウォールプラグ効率は、ディスプレイパネルの個々のピクセルと位置合わせされた光点のアレイを含むバックライトを供給することによって改善され得る。たとえば、RGBディスプレイパネルの各ピクセル、さらには各カラーサブピクセルに、点光源を設けてもよい。点光源のアレイは、バックライトの導波路によって運ばれる光の一部を取り出してディスプレイパネルの個々のピクセルを通って伝搬するリフレクタ、たとえば小さな回折格子のアレイを含んでもよい。
【0031】
バックライトによって放射される光の中心波長は、対応するカラーフィルタの透過波長と一致するように選択されて、スループットを増加し得る。バックライトが、たとえば、赤色、緑色、および青色などの原色の光を放射するディスプレイでは、カラーフィルタ層を省略してもよい。さらに、偏光ベースのディスプレイの場合、放射光の偏光は、ディスプレイパネルのピクセルによって透過された偏光と一致し得る。言い換えれば、ディスプレイパネルのピクセルの空間分布、透過波長、および透過偏光特性を一致させることにより、視聴者の眼に向かう途中でディスプレイパネルによって吸収または反射されない光部分を大幅に改善することを可能にする。
【0032】
本開示によれば、第1の平面に配置されるピクセルのアレイであって、ピクセルが、光の可変透過率を有する、ピクセルのアレイと、光をピクセルのアレイに供給するようにピクセルのアレイに光学的に結合されたバックライトとを含む、ディスプレイパネルが提供される。バックライトは、第1の平面に沿って光を拡散させるためのライトガイドと、ライトガイドに光学的に結合された格子のアレイであって、ライトガイド内の光の一部を第1の平面に垂直に、ピクセルのアレイのピクセルを通って伝搬するように方向転換する、格子のアレイとを含む。格子のアレイの格子の位置は、ピクセルのアレイを伝搬する光の一部を増加させるように、ピクセルのアレイのピクセルの位置と調整される。
【0033】
いくつかの実施形態では、ライトガイドは、第1の平面に平行な第1の方向に沿って光を拡散するための第1の部分と、第1の平面に平行な第2の異なる方向に沿って光を拡散するための第2の部分とを含む。格子のアレイの格子は、ライトガイドの第2の部分に光学的に結合される。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、第1の平面に平行な複数の方向にライトガイド内を伝搬するように光を方向転換するように構成された格子を含む。格子のアレイの格子は、ピクセルを通って方向転換された光部分を集束させるように構成されてもよい。
【0034】
ディスプレイパネルは、バックライトに対向するピクセルのアレイに光学的に結合され、ピクセルを通って伝搬された方向転換された光部分を拡散するように構成されたマイクロレンズのアレイをさらに含んでもよい。マイクロレンズのアレイは、パンチャラートナム・ベリー位相(PBP)マイクロレンズを含む。いくつかの実施形態では、格子のアレイは、格子のアレイの異なる格子の回折次数がピクセルのアレイの同じピクセルを通って伝搬するように、光部分を複数の回折次数に分割し、複数の回折次数の異なる回折次数をピクセルのアレイの異なるピクセルを通って集束させるように構成された多回折次数格子を含む。
【0035】
格子のアレイの格子は、外部制御信号を印加することによって可変的な回折効率を有してもよい。格子のアレイのピッチは、ピクセルのアレイのピッチと等しくてもよい。いくつかの実施形態では、ピクセルのアレイは、液晶ライトバルブのアレイを含む液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含む。LCDパネルは、一対の基板間に液晶層を含んでもよい。基板の一方は、バックライトを含んでもよい。
【0036】
本開示のディスプレイパネルのバックライトは、基板と、基板によって支持され、ピクセルのアレイのピクセルに沿って延びる線形導波路のアレイとを含んでもよい。格子のアレイは、線形導波路内を伝搬する光部分を取り出してピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように、線形導波路のアレイに光学的に結合されてもよい。格子のアレイの格子は、線形導波路のアレイの線形導波路に形成されてもよい。格子のアレイの格子は、ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように格子のアレイの格子によって方向転換された光を少なくとも部分的に集束させるようにチャープされてもよい。マイクロレンズのアレイは、格子のアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように格子のアレイの格子によって方向転換された光を少なくとも部分的に集束させるように、格子のアレイとピクセルのアレイとの間の光路に設けられてもよい。
【0037】
本開示のディスプレイパネルのバックライトは、スラブの対向する面からの一連の連続反射によってスラブ内で光を伝搬するための透明材料のスラブを含んでもよい。格子のアレイは、スラブによって支持されてもよい。格子のアレイの格子は、第1の偏光の光を回折し、第1の偏光に直交する第2の偏光の光を実質的に回折しないように構成されてもよい。バックライトは、スラブと格子のアレイとの間の光路においてスラブに光学的に結合された調整可能な偏光回転子のアレイをさらに含んでもよい。調整可能な偏光回転子のアレイの個々の調整可能な偏光回転子は、外部制御信号を印加することによって第1の偏光と第2の偏光との間の光部分の偏光を調整するように構成されてもよく、それによって、ピクセルのアレイの対応するピクセルを通って伝搬するように格子のアレイの格子によって方向転換された光部分の光パワーを制御する。
【0038】
本開示によれば、第1の平面に配置されたピクセルのアレイを含むディスプレイパネル用のバックライトであって、ピクセルが光の可変透過率を有する、ディスプレイパネル用のバックライトが提供される。バックライトは、基板と、基板によって支持され、ピクセルのアレイのピクセルに沿って延びる線形導波路のアレイと、線形導波路のアレイに光学的に結合された格子のアレイであって、線形導波路のアレイ内を伝搬する光を第1の平面に垂直に、ピクセルのアレイのピクセルを通って伝搬するように方向転換する、格子のアレイとを含む。格子のアレイの格子の位置は、ピクセルのアレイを通って伝搬する光の一部を増加させるように、ピクセルのアレイのピクセルの位置と調整されてもよい。
【0039】
本開示によれば、第1の平面に配置されたピクセルのアレイを含むディスプレイパネルのための方法であって、ピクセルが光の可変透過率を有する、方法がさらに提供される。本方法は、バックライトの光方向転換素子のアレイの光方向転換素子の空間分布を選択して、ディスプレイパネルのピクセルのアレイ内のピクセルの空間分布と一致させ、ピクセルのアレイの個々のピクセルを通って伝搬するように光を方向転換することを含む。本方法は、ピクセルのアレイのピクセルのカラーフィルタ素子のスペクトル透過と一致するように、光方向転換素子によって方向転換された光のスペクトル成分を選択すること、および/またはピクセルのアレイのピクセルの透過偏光と一致するように、光方向転換素子によって方向転換された光の偏光を選択することをさらに含んでもよい。
【0040】
ここで
図1Aを参照すると、ディスプレイ100は、バックライト104に結合されたディスプレイパネル102を含む。ディスプレイパネル102は、上部基板114と底部基板111との間のXY平面において配置されたライトバルブピクセル103(すなわち、可変透過率を有するピクセル)のアレイを含む。ディスプレイパネル102は、たとえば、液晶ライトバルブ103のアレイを含む液晶ディスプレイ(LCD)パネルであってもよい。バックライト104は、光源110によって放射された光108をXY平面に平行に、すなわちディスプレイパネル102の幅寸法および長さ寸法に沿って拡散するように構成されたライトガイド106を含む。バックライト104は、ライトガイド106に光学的に結合された格子112のアレイをさらに含む。格子112は、ライトガイド106内を伝搬する光108を方向転換し、ピクセルのアレイのピクセル103を伝搬する光ビーム109のアレイを形成する。ピクセル103の光透過率は、ディスプレイパネル102によって必要な画像を表示するように制御可能に変化してもよい。光ビーム109は、主にXY平面に垂直に、すなわち、主に
図1のZ方向に伝搬する。
【0041】
アレイ内の格子112の位置は、格子112によって取り出された光ビーム109がほとんどピクセル103を通って伝搬し、ピクセル103間の境界115によって実質的に遮断されないように、ピクセルのアレイのピクセル103の位置と調整される。ピクセル103および格子112のアレイは、たとえばX軸またはY軸に沿って延びる1次元、または2次元、すなわち、X軸およびY軸の両方に沿って延びてもよい。格子112の空間位置は、ディスプレイパネル102のピクセル103の空間位置と一致するように選択されてもよい。たとえば、格子112のアレイのピッチは、ピクセル103のアレイのピッチの整数倍であってもよい。
図1に示す実施形態では、両方のピッチは等しく、各格子112は対応するピクセル103の真下に配置される。
【0042】
光源110によって放射された光108から個々の格子112によって分割された個々の光部分または光ビーム109は、図示のように個々のピクセル103を通って集束され、ピクセル103間の境界115における光損失をさらに低減してもよい。ディスプレイパネル102の下流(
図1ではより高い)にある拡散する光円錐109は、破線で概略的に示されている接眼レンズ117によってコリメートされ、各ピクセル103に固有の角度でアイボックス116に向けられてもよい。したがって、アイボックス116に角度領域の画像が形成される。本明細書では、「アイボックス」という用語は、許容可能な品質の画像をディスプレイのユーザが見ることができる幾何学的面積を意味する。
【0043】
アイボックス116のサイズは、光円錐109の円錐幅に比例する。ディスプレイの幾何学的形状により、格子112と対応するピクセル103との間の距離が低減すると、光円錐幅が増加する。格子112と対応するピクセル103との間の距離を低減することによって、光円錐をより広くしてもよく、したがって、たとえばバックライト104をディスプレイパネル102の底部基板111に一体化することによって、アイボックス116をより大きくしてもよい。一体型バックライトに関するさらなる詳細は、以下でさらに提供される。
【0044】
個々のピクセル103の透過値は、ディスプレイ100が表示する画像に応じて設定されてもよい。画像の明るいピクセルは、対応するディスプレイパネルピクセル103のより高い透過値に対応し、画像の暗いピクセルは、対応するディスプレイパネルピクセル103のより低い透過値に対応する。いくつかの実施形態では、格子112は、外部制御信号を印加することによって可変的な回折効率を有してもよい。格子112の回折効率の変動性を使用して、画像の全体的なコントラストまたはダイナミックレンジを改善し得る。たとえば、高透過率のピクセル103の下の格子112の回折効率を上げて、画像の明るい領域をさらに明るく見せてもよく、高透過率のピクセル103の下の格子112の回折効率を下げて、画像の暗い領域をさらに暗く見せてもよい。制御可能な格子に関するさらなる詳細は、以下にさらに提供される。
【0045】
図1Bおよび
図1Cは、
図1Aのバックライト104のスラブ型ライトガイド実装形態を示す。
図1Bのバックライト124は、透明スラブ基板の外側平行面からの光108の一連の連続反射によって2つの非平行方向に沿って光108を拡散する2つのスラブライトガイド部を含むライドガイドに結合された光源110を含む。第1の1Dビーム拡散器131および第2の1Dビーム拡散器132は、それぞれY方向およびX方向に光108を拡散する。第1の1Dビーム拡散器は、光源110から光ビーム108を受け取り、Y軸に平行な縁部127に沿って第2の1Dビーム拡散器132に結合されるY拡散光ビーム126を生成する。次いで、Y拡散光ビーム126は、X軸に沿って第2の1Dビーム拡散器132によって拡散され、光ビーム部分109は、第2の1Dビーム拡散器132に光学的に結合された格子112を通って伝搬され、格子によって部分的に取り出される。したがって、第1の1Dビーム拡散器131および第2の1Dビーム拡散器132は、ディスプレイパネル102(
図1A)の平面に平行なXY平面に沿って光108を拡散する。
【0046】
特に
図1Cを参照すると、バックライト144は、スラブライトガイドに基づく
図1Aのバックライト104の例示的な実装形態である。
図1Cのバックライト144は、スラブライトガイド130に結合された光源110を含む。スラブライトガイド130は、光部分を取り出して、図示されていないピクセルアレイの個々のピクセルを通って伝搬するように構成された第1の格子141を含む。スラブライトガイド130は、XY平面内で拡散するようにライトガイド130内を伝搬するように光108を方向転換するように構成された第2の格子142をさらに含む。光108は、スラブライトガイド130の外側平行面からの一連の全内部反射によって、XY平面内で拡散する、すなわちXY平面内で伝搬することを理解されたい。
【0047】
図1Aのバックライト104の線形導波路の実装形態を
図2A、
図2B、および
図2Cに示す。最初に
図2Aおよび
図2Bを参照すると、フォトニック集積回路(PIC)バックライト204は、基板206と、基板206によって支持され、図示されていないディスプレイパネルのピクセルのアレイに沿って延びる線形導波路207のアレイとを含む。本明細書において、「線形導波路」という用語は、光ワイヤのように、光伝搬を2次元で境界付ける導波路を示す。線形導波路は、直線、曲線などであってもよく、言い換えれば、線形とは、直線状の導波管部を意味するものではない。線形導波路の一例は、リッジ型導波路である。
【0048】
図2Aに示されるPICバックライト204において、線形導波路207は、赤色波長の光を搬送するための「赤色導波路」207Rと、緑色波長の光を搬送するための「緑色導波路」207Gと、青色波長の光を搬送するための「青色導波路」207Bとを含む。異なる波長の光208は、多波長光源210によって生成され、PICの一部である光ディスパッチ回路219によって異なる導波路207R、207G、および207Bに分配され得る。ディスパッチ回路219の機能は、光をY方向に沿って拡散することである。ディスプレイパネルの1行のピクセルは、それぞれ赤色、緑色、および青色のカラーチャネルのすべての線形導波路207R、207G、および207Bにわたって配置されてもよく、線形導波路は
図2Aでは垂直に延びる。ピクセルの行は、
図2Aにおいて破線の矩形213で囲まれている。
【0049】
図2Bは、ディスプレイパネルの単一ピクセル下の3つのカラーチャネル導波路の拡大図である。3つのカラーサブピクセルの各々は、画像の赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)のカラーチャネルのうちの1つにそれぞれ対応する。3つより多くのカラーサブピクセルが、たとえばRGGB方式で提供されてもよい。光部分は、
図2Cに示されるそれぞれの格子212R、212G、および212Bによってリッジ導波路207R、207G、および207Bから取り出されるか、または方向転換されてもよい。格子212R、212G、および212Bは、取り出された光ビームを導波路に沿った方向、すなわち
図2Aおよび
図2Bでは垂直に(X軸に沿って)集束させるようにチャープされてもよい。さらに、格子溝は、
図2Aおよび
図2Bにおいて、光を水平方向に集束させるように(すなわち、Y軸に沿って)湾曲させることができる。
図2Cの例では、格子212R、212G、および212Bは、それぞれ線形導波路207R、207G、および207Bに形成されているが、いくつかの実施形態では、格子のアレイは別個に形成され、線形導波路207のアレイに光学的に結合されてもよい。
【0050】
図2Bの水平方向に取り出された光ビームを集束させるように、図示のように1Dマイクロレンズ218を設けてもよい。本明細書では、「1Dレンズ」という用語は、光を主に1次元に集束させるレンズ、たとえばシリンドリカルレンズを示す。1Dレンズの代わりに、2Dレンズ、すなわち2つの直交する平面に光を集束させるレンズを設けてもよい。格子212R、212G、および212Bとピクセル203R、203G、および203Bとの間の光路に配置されたマイクロレンズ218のアレイは、対応するピクセル203R、203G、および203Bを伝搬するように格子212R、212G、および212Bによって方向転換された光を少なくとも部分的に集束させるように使用され得る。
図2Bには、白色ピクセル203の構成が示されている。白色ピクセル構成は、ディスプレイパネルの白色ピクセルの各々について繰り返されてもよい。
【0051】
図3Aを参照すると、
図3Aのバックライト304は、
図1Aのディスプレイ100のバックライト104のスラブ型ライトガイド実装形態である。
図3Aのバックライト304は、導光基板として作用するガラスまたはプラスチックなどの透明材料のスラブ306を含む。光308(斜めの矢印で示す)は、一連の連続反射、典型的にはスラブ306の外側の対向する平行面からの全内部反射によってスラブライトガイド内を伝搬する。スラブ306上に設けられた格子構造312は、対応するカラーチャネルの光を取り出す。非限定的な例として、格子構造312は、表面レリーフ格子(SRG)、体積ブラッグ格子(VBG)、偏光体積ホログラム(PVH)格子などを含んでもよい。格子構造312は、
図3Bに示すように、X軸に沿ってチャープされ、ディスプレイパネルの基板311およびピクセル303を通る取り出された光ビーム309の(XZ平面における)1D集束を提供してもよい。(XZ平面およびYZ平面の両方における)2D集束はまた、格子溝のチャープおよび/または湾曲によって提供されてもよい。基板311を薄くすることにより、光ビーム309の円錐角θを増加し、アイボックスのサイズを効果的に増加することを可能にする。取り出された光ビーム309を1D/2D集束または他の様態で調整するように、追加のレンズ(単数または複数)を使用してもよい。
【0052】
格子構造および/または格子構造の上部の追加のマイクロレンズによる光ビーム309の集束が、ディスプレイ300を断面図で示す
図3Cにさらに示されている。ディスプレイ300は、光ビーム309を集束させるように構成されたPVH格子構造313のアレイを支持するライトガイドスラブ306を含む。簡潔にするために、1つの格子構造313のみが示されている。任意選択の1/4波長板(QWP)344は、PVH格子構造313を、偏光子350を担持する基板(図示せず)によって上面が境界付けられたLC層348内のピクセルを画定するTFTグリッド346を有する基板311(薄膜トランジスタまたは「TFT」基板)に結合する。
【0053】
動作中、PVH格子構造313は、光308の一部を取り出し、取り出された部分を集束させ、光ビーム309を形成する。各光ビーム309は、ライトバルブピクセルを画定するTFTグリッド346の対応する開口部を通って伝搬するように収束する。ディスプレイ300の射出瞳サイズを画定する焦点の後のビームの収束およびその後の発散の最大角度は、基板311の厚さに対するPVH格子構造313の幅の比に依存する。ディスプレイ300のより大きな射出瞳サイズは、ユーザにより快適な観察状態を提供する。収束角/発散角および関連する射出瞳サイズは、PVH格子構造313の幅を増加させること、基板311の厚さを低減させること、またはその両方によって増加させてもよい。しかしながら、PVH格子構造313の幅は、ディスプレイ300のピクセルピッチによって制限され、基板311の厚さは、基板311の構造強度および/または平坦要件によって制限される。
【0054】
ビーム発散および関連する射出瞳サイズの制限を克服する1つの方法は、バックライトの反対側のディスプレイパネルピクセルにマイクロレンズのアレイを設けることである。非限定的な例について
図3Dを参照すると、ディスプレイ360は、格子構造315のアレイを支持するライトガイドスラブ306を含み、この例では、集束することなく、または中程度の集束で光ビーム309を取り出するように構成されたPVHである。任意選択の1/4波長板(QWP)344は、格子構造315を、LC層348内のピクセルを画定するTFTグリッド346を有する基板311(この例ではTFT基板)に結合する。LC層348は、線形偏光子350を担持する基板によって上面が境界付けられている。任意選択の第2のQWP344は、線形偏光子350上に配置されてもよい。パンチャラートナム・ベリー位相(PBP)マイクロレンズ352のアレイを第2のQWP344の上に配置して、線形偏光子350および第2のQWP344によって画定される偏光で光ビーム309に所望の発散を提供してもよい。第2のQWP344およびPBPマイクロレンズアレイ352の代わりに、屈折性または回折性マイクロレンズのアレイが使用されてもよい。
【0055】
ピクセル平面における焦点の前の集束ビーム収束およびピクセル平面の後の発散を改善する別の方法は、多回折を使用することである。非限定的な例について
図3Eを参照すると、ディスプレイ380は、格子構造のアレイを支持するライトガイドスラブ306を含む。簡潔にするために、
図3Eにはそのような格子構造318が1つだけ示されている。格子構造318は、衝突光308を、たとえば0次360、+1次361、および-1次362を含む複数の回折次数に分割するように構成された多回折次数格子である。異なる回折次数360、361、362は、LC層348を制御するTFTグリッド346によって画定されるピクセルのアレイの異なるピクセル364においてTFT基板311を介して集束される。
【0056】
図3Fは、全体的な収束角および発散角を増加させる格子構造のアレイの複合効果を示す。
図3Fは、格子構造のアレイの3つの隣接する格子構造、具体的には、中央格子構造318と同じ方法で、すなわち少なくとも3つの回折次数を生成するように構成された2つの格子構造381および382によって囲まれた格子構造318を示す。中央格子構造318の回折次数は372で実線で示され、左格子構造381の回折次数は371で短破線で示され、右格子構造383の回折次数は373で長破線で示されている。格子のアレイの異なる格子の回折次数は、ピクセルのアレイの同じピクセルを通って伝搬し得、それによってピクセルにおける収束角が3倍になり得ることが分かる。たとえば、中央格子構造318に対応する中央ピクセル364*の場合、左格子構造371の-1次の回折次数は、中央格子構造318の0次の次数および右格子構造373の1次の回折次数を加算する。収束角は、ピクセル364の各々について3倍にされ、ピクセル364を出る光ビームの全体的な発散角を3倍にし、ディスプレイ380の結果として生じる射出瞳サイズをほぼ3倍にする。
【0057】
格子構造312、313、315、318は、偏光選択性であってもよい。言い換えれば、格子構造312は、第1の偏光の光を回折し、第1の偏光に直交する第2の偏光の光を実質的に回折しないように構成されてもよい。たとえば、PVH格子は偏光選択性であってもよい。
図4に示すように、PVH格子は色選択性であってもよい。各PVH格子は、図示のように、特定の波長帯域、たとえば、0.6から0.64マイクロメートルの間の赤色波長帯域400R、0.525から0.575マイクロメートルの間の緑色波長帯域400G、および0.425から0.465マイクロメートルの間の青色波長帯域400B内の光のみを回折するように構成されてもよい。PVH格子の偏光選択性は、バックライト利用効率をさらに改善し得る。
【0058】
ここで
図5Aを参照すると、バックライト504Aは、1Dまたは2Dでピクセル化され得る、すなわち、XY平面に配置されたアウトカップリング(out-coupling)格子542の1Dまたは2Dアレイを含み得る、活性格子構造512を支持するライトガイドプレートまたはスラブ506を含む。光源510によって提供される照明光508は、スラブ506内を、その対向する上面および底面からの一連のジグザグ反射によって伝搬する。照明光はアウトカップリング格子542に衝突し、アウトカップリング格子は照明光508の一部を取り出して光ビーム509を形成する。アウトカップリング格子542は、光ビーム509を収束させるようにチャープおよび/または湾曲されてもよい。格子構造542による取り出し効率は、外部制御信号、たとえば格子構造512の個々のアウトカップリング格子542にわたる電圧を印加することによって制御可能であり得る。電圧は、たとえば、スラブ506によって支持されたピクセル化透明電極層530とバックプレーンの上部透明電極層532との間に印加されてもよい。これにより、格子構造512の各アウトカップリング格子によって取り出される光の量を独立して制御すること、言い換えれば、ディスプレイパネルのカラーサブピクセル、ピクセル、またはピクセルのサブアレイを照明する光ビームの輝度を制御することを可能にする。
【0059】
図5Bを参照すると、バックライト504Bは、
図5Aのバックライト504Aの変形形態であり、同様の要素を含む。
図5Bのバックライト504Bは、個々に調整可能なLC偏光回転子564を含むピクセル化活性液晶(LC)波長板534を含む。活性ピクセル化LC波長板534の上部に偏光選択性アウトカップリング格子552を配置してもよい。LC波長板534は、たとえば、ピクセル化透明電極層530とバックプレーン上部透明電極層532との間にLC層を含んでもよい。偏光選択性アウトカップリング格子552は、特定の所定の偏光状態(「第1の偏光状態」)の光を取り出し、直交偏光(「第2の偏光状態」)の光を実質的に取り出さないように構成されてもよい。ライトガイドプレート内を伝搬する光508は、2つの偏光状態の一方を有してもよい。活性ピクセル化LC波長板534は、空間選択的に光508の偏光を切り替えるか、または調整するように構成される。LC偏光回転子564を伝搬する光が第1の偏光状態にあるとき、光508は光ビーム509として取り出される。LC偏光回転子564を伝搬する光508が第2の偏光状態にあるとき、光508は取り出されない。LC偏光回転子を伝搬する光508が何らかの中間偏光状態にあるとき、その光の一部のみが光ビーム509として取り出される。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態では、パターン化バックライトをディスプレイパネル自体に一体化し得る。たとえば、
図6は、カラーフィルタ層622および薄膜トランジスタ(TFT)アレイ624によって境界付けられたツイストネマティック(TN)LC層620を含むアクティブマトリクス(AM)液晶ディスプレイ(LCD)パネル600を示す。カラーフィルタ層622および上部偏光子626は、上部基板614の内面に配置される。TFTアレイ624および底部偏光子628は、本明細書に開示されるように、アレイ状格子を含むライトガイドパネル(LGP)604の内面によって支持される。LCDパネル600に別個の底部基板がないことにより、LC層620からLGP604の格子までの距離を低減することを可能にし、格子によってLCピクセル上に方向転換された光のより緊密な集束を可能にし、集束された光の円錐角が増加する。円錐角が増加すると、ディスプレイ100のアイボックス116が広くなる。これは、
図1を参照して上記で説明された。
【0061】
ここで
図7を参照すると、視覚ディスプレイ700は、ライトバルブピクセルのアレイ、たとえば、その外側に偏光子754を支持する離間した基板間にLC層752を含むLCパネル702に結合されたバックライト704、たとえば本明細書に開示される任意のバックライトを含む。色選択性波長板756のアレイ、たとえば、赤色、緑色、および青色のうちの一方の色用の半波長板であり、他の2色用の1波長板である厚い波長板は、LCパネル702の下流に配置される。ここで、「半波長板」とは、対応する波長の光の半波の数が奇数の光位相差を有する波長板を含み、「1波長板」とは、光の半波の数が偶数の光位相差を有する波長板を含む。アレイ内の個々の色選択性波長板756の位置は、LCパネル702の個々のピクセルの位置に対応する。出力偏光子758は、色選択性波長板756のアレイの下流に配置されている。
【0062】
動作中、バックライト704は、LCパネル702の個々のピクセルの位置に対応する光点のアレイを提供する。光点は、たとえば上述のPLC導波路またはスラブ型導波路などのライトガイド706上のアウトカップリング格子712によって提供される。アウトカップリング格子のアレイによって反射された光は、LCパネル702によって空間的に変調される。LCパネル702の光バルブアレイの異なるサブピクセルは、異なる色選択性波長板に対応する。色選択性波長板は、光の線形偏光を色選択的に90度回転させる偏光位相差を提供する。出力偏光子758は、特定の偏光、たとえばLCパネル702を出る光の偏光に直交する偏光の光のみを選択する。色選択性波長板756のアレイおよび出力偏光子758は共に、偏光ベースのカラーフィルタアレイを形成する。
【0063】
図8は、赤色ピクセル透過帯域800R、緑色ピクセル透過帯域800G、および青色ピクセル透過帯域800Bを含む、
図7の視覚ディスプレイ700の個々の色選択性波長板756の透過スペクトルを示す。透過帯域800R、800G、および800Bのスペクトル形状は、色選択性波長板756の各々における複屈折層の厚さ、ならびに任意選択的に、数および向きによって決定される。
【0064】
図9を参照すると、方法900は、バックライトによって放射され、ディスプレイパネルのピクセルのアレイを伝搬する光の一部を増加させることを可能にし、それによって、バックライト付きディスプレイパネルを使用する表示システムによるバックライト利用の効率を改善する。方法900は、ピクセルのアレイの個々のピクセルを通って伝搬するように光を方向転換するように、ディスプレイパネルのピクセルのアレイ内のピクセルの空間分布と一致するように、バックライトの光方向転換素子のアレイの光方向転換素子の空間分布を選択すること(902)を含む。
図1、
図3A~
図3B、および
図7を参照して上述したように、これにより、(たとえば格子)方向転換素子によって取り出された個々の光ビームを、ライトバルブピクセルアレイの個々のピクセルを通って伝搬するように方向転換することを可能にする。方法900はまた、ピクセルのアレイのピクセルのカラーフィルタ素子のスペクトル透過と一致するように、光方向転換素子によって方向転換された光のスペクトル成分を選択すること(904)を含んでもよい。たとえば、光のスペクトル成分は、
図8に示す透過スペクトルの赤色800R、緑色800G、および/または青色800B透過帯域の透過波長の光を含むように選択されてもよい。これにより、カラーフィルタ素子による光の吸収を低減し、バックライトの全体的な利用効率の改善を可能にする。方法900は、ピクセルのアレイのピクセルの透過偏光と一致するように、光方向転換素子によって方向転換された光の偏光を選択すること(906)をさらに含んでもよい。また、ディスプレイパネルの光損失を低減しやすくなり、バックライトの全体的な利用効率が改善する。
【0065】
本開示のバックライトおよびディスプレイは、光を少なくとも部分的に透過するように構成されてもよく、これにより、それらは拡張現実(AR)ディスプレイに適したものになる。
図10Aおよび
図10Bを参照すると、AR表示システム1000(
図10A)は、たとえば、
図1のディスプレイ100またはその変形形態のいずれか、
図6のLCディスプレイ600、
図7の視覚ディスプレイ700などのディスプレイデバイス1072を含む。ディスプレイデバイス1072は、線形偏光子(LP)1004(
図10B)を介してパンケーキレンズ1074に光学的に結合されている。パンケーキレンズ1074は、反射偏光子(RP)1006、1/4波長板(QWP)1008、50/50ミラー1010が順に配置されて構成される。
【0066】
動作中、ディスプレイデバイス1072によってパンケーキレンズ1074の方向に放射された画像光1082は、線形偏光子1004、反射偏光子1006を伝搬し、50/50ミラー1010によって反射される。50/50ミラー1010は凹面であるため、反射された画像光1082は部分的にコリメートされ、QWP1008を伝搬して戻り、その偏光を直交偏光に変化させる。次いで、反射偏光子1006で反射された画像光1082は、再び50/50ミラー1010に向かって伝搬し、反射されてコリメートされ、元の偏光に戻るように偏光を変化させる。次いで、画像光1082は、反射偏光子1006、線形偏光子1004およびディスプレイデバイス1072を介して、ユーザの眼1080に向かって伝搬する。
図10Bの偏光構成は、画像光1082の光路が2回屈折することを保証し、ディスプレイデバイス1072のための非常に小型の接眼レンズを提供する。適切な偏光の周囲光1084は、パンケーキレンズ1074およびディスプレイデバイス1072を直接伝搬することができる。
【0067】
図11を参照すると、HMD1100は、AR/VR環境への没入の程度を高めるための、ユーザの顔を取り囲むウェアラブルディスプレイシステムの一例である。HMD1100は、AR/VRシステムの一部としてコンテンツをユーザに提示することができる。システムは、ユーザ位置および向き追跡システム、外部カメラ、ジェスチャ認識システム、ユーザ入力および制御をシステムに提供するための制御手段、ならびにAR/VR環境と対話するためにユーザと対話するためのソフトウェアプログラムおよび他のデータを格納するための中央コンソールをさらに含んでもよい。HMD1100の機能は、物理的な実世界の環境のビューを、コンピュータで生成された画像で拡張すること、または完全に仮想の3D画像を生成することである。
【0068】
HMD1100は、前部本体1102と、バンド1104とを含み得る。前部本体1102は、安定性が高く快適な方法でユーザの眼の前に配置されるように構成され、バンド1104は、前部本体1102をユーザの頭に固定するように伸ばされ得る。ディスプレイシステム1180は、本明細書に記載のディスプレイおよび/またはバックライトのいずれかを含んでもよい。ディスプレイシステム1180は、AR/VR画像をユーザに提示するために、前部本体1102に配置され得る。前部本体1102の側面1106は、不透明または透明であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、前部本体1102は、HMD1100の加速度を追跡するためのロケータ1108と、慣性測定ユニット(IMU)1110と、HMD1100の位置を追跡するための位置センサ1112とを含む。ロケータ1108が、仮想現実システムの外部画像化デバイスによって追跡され、その結果、仮想現実システムは、HMD1100全体の位置および向きを追跡することができる。IMUおよび位置センサ1112によって生成された情報は、HMD1100の位置および向きの追跡を改善するために、ロケータ1108を追跡することによって得られた位置および向きと比較され得る。正確な位置および向きは、ユーザが3D空間を移動および回転するときにユーザに適切な仮想風景を提示するために重要である。
【0070】
HMD1100は、リアルタイムでユーザの眼の向きおよび位置を判定する、目線追跡システム1114をさらに含んでもよい。取得された眼の位置および向きはまた、HMD1100が、ユーザの注視方向を判定し、それに応じてディスプレイシステム1180によって生成された画像を調整することを可能にする。一実施形態において、ユーザの視線の輻輳角、すなわち収束角度が決定される。決定された注視方向および輻輳角は、画角および眼の位置に応じて視覚的アーチファクトをリアルタイムで補正するためにも使用され得る。さらに、判定された輻輳角および視線角度は、ユーザとの対話、オブジェクトの強調、オブジェクトの前面への移動、追加のオブジェクトまたはポインタの作成などに使用されてもよい。たとえば、前部本体1102に内蔵されている小さなスピーカーのセットを含む音声システムが提供されてもよい。
【0071】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムと組み合わせて実装され得る。人工現実システムは、視覚情報、音声、触覚(体性感覚)情報、加速度、バランスなどの感覚から得られる外界についての感覚情報を、ユーザに提示する前に何らかの方法で調整する。非限定的な例として、人工現実には、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/もしくは派生物が含まれ得る。人工現実コンテンツには、完全に生成されたコンテンツ、または補足された(たとえば、実世界の)コンテンツと組み合わせて生成されたコンテンツが含まれ得る。人工現実コンテンツには、映像、音声、体性または触覚的フィードバック、またはそれらの組合せが含まれ得る。このコンテンツはいずれも、視聴者に3次元効果をもたらすステレオ映像など、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。
【0072】
さらに、いくつかの実施形態において、人工現実はまた、たとえば、人工現実においてコンテンツを作成するために使用される、かつ/または人工現実において他の方法で使用される(たとえば、アクティビティを実行する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたHMDなどのウェアラブルディスプレイ、スタンドアロンHMD、眼鏡のフォームファクタを有するニアアイディスプレイ、モバイルデバイスもしくはモバイルコンピューティングシステム、または1人以上の視聴者に人工現実コンテンツを提供できる任意の他のハードウェアプラットフォームを含む様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0073】
本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、前述の説明および添付の図面から、本明細書に記載したものに加えて他の様々な実施形態および修正形態が当業者には明らかであろう。したがって、このような他の実施形態および修正形態は、本開示の範囲内に入ることが意図されている。さらに、本開示は、本明細書において特定の目的のための特定の環境内での特定の実装形態の文脈で記載されているが、当業者には、本開示の有用性がその文脈に限定されないこと、および本開示が任意の数の目的のために任意の数の環境内で有利に実装され得ることが認識されよう。
【国際調査報告】