(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ディスプレイパネル接地の改善
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1345 20060101AFI20231219BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20231219BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231219BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/13 505
G02F1/1335 505
G09F9/00 324
G09F9/00 336E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530869
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021062894
(87)【国際公開番号】W WO2022125954
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ネンセヴィッツ-ズォー, トリシア アン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ギョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, リンホイ
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088HA02
2H088HA08
2H088HA12
2H088HA18
2H088HA28
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2H088JA10
2H088MA20
2H092GA40
2H092GA64
2H092HA19
2H092JA24
2H092NA14
2H092NA25
2H092PA08
2H092PA11
2H092PA13
2H092QA06
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2H092RA10
2H291FA02Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA81Z
2H291FA95X
2H291GA04
2H291GA19
2H291HA06
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA08
2H291LA40
2H291MA02
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE25
5G435FF05
5G435GG12
5G435LL07
(57)【要約】
ディスプレイデバイスは、偏光子をディスプレイデバイスのグランド(320)に結合する金属ブリッジ(340)を使用することによって偏光子(250B)の接地接続を改善する。ディスプレイデバイスは、画像を表示するための光を供給するためのバックライトユニット(BLU)と、BLUによって供給される光を変調するための複数の画素と、BLUによって供給される光をフィルタリングするための偏光子(250B)と、金属ブリッジ(340)とを含む。金属ブリッジ(340)は、ディスプレイデバイスの表示領域(310)を取り囲む非表示領域に配置される。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
画像を表示するための光を供給するためのバックライトユニット(BLU)と、
前記BLUによって供給される前記光を変調するための複数の画素であって、前記ディスプレイデバイスの表示領域に配置された複数の画素と、
前記複数の画素によって実施される前記変調に基づいて前記BLUによって供給される前記光をフィルタリングするように構成された偏光子と、
前記偏光子に結合され、前記ディスプレイデバイスの前記表示領域を取り囲む非表示領域に配置され、前記ディスプレイデバイスの前記表示領域と重ならない金属ブリッジと
を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
カラーフィルタを更に備え、前記金属ブリッジが前記カラーフィルタと前記偏光子との間に配置される、
請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記金属ブリッジの第1の表面が前記カラーフィルタの第1の部分に接着され、前記金属ブリッジの前記第1の表面とは反対側の第2の表面が前記偏光子の第1の部分に接着され、前記偏光子の第2の部分が前記カラーフィルタの第2の部分に接着される、請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記金属ブリッジに結合されたコネクタであって、前記金属ブリッジを前記ディスプレイデバイスのグランドに接続するためのコネクタ
を更に備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記コネクタが銀(Ag)ドットコネクタである、請求項4に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記金属ブリッジが前記偏光子の第1の角部に対応する第1の三角形部分
を備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記金属ブリッジは、
前記偏光子の第2の角部に対応する第2の三角形部分と、
前記第1の三角形部分を前記第2の三角形部分に接続する接続ストリップと
を更に備える、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記金属ブリッジが、
前記第1の三角形の第1の角部から第1の方向に延びる第1の延長ストリップと、
前記第1の三角形の第2の角部から、前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びる第2の延長ストリップと
を更に備える、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記偏光子の上に配置され、前記偏光子を前記金属ブリッジに接着するための光学的に透明な接着剤(OCA)
を更に備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記OCAが導電性である、請求項9に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記金属ブリッジが不透明材料で作製される、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記金属ブリッジが前記ディスプレイデバイスの前記表示領域を覆わないようにパターニングされる、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
ディスプレイデバイス用のカラーフィルタであって、
表示領域と、前記表示領域を取り囲む非表示領域とを有するカラーフィルタガラスと、
前記カラーフィルタガラスの前記非表示領域に配置され、前記カラーフィルタガラスの前記表示領域と重ならない金属ブリッジと
を備える、カラーフィルタ。
【請求項14】
前記金属ブリッジが前記カラーフィルタガラスの第1の角部に対応する第1の三角形部分を備える、請求項13に記載のカラーフィルタガラス。
【請求項15】
前記金属ブリッジが、
前記カラーフィルタガラスの第2の角部に対応する第2の三角形部分と、
前記第1の三角形部分を前記第2の三角形部分に接続する接続ストリップと
を更に備える、請求項14に記載のカラーフィルタガラス。
【請求項16】
前記金属ブリッジが、
第1の三角形の第1の角部から第1の方向に延びる第1の延長ストリップと、
前記第1の三角形の第2の角部から前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びる第2の延長ストリップと
を更に備える、請求項13に記載のカラーフィルタガラス。
【請求項17】
前記金属ブリッジに結合されたコネクタであって、前記金属ブリッジを前記ディスプレイデバイスのグランドに接続するためのコネクタ
を更に備える、請求項13に記載のカラーフィルタガラス。
【請求項18】
前記コネクタが銀(Ag)ドットコネクタである、請求項17に記載のカラーフィルタガラス。
【請求項19】
前記金属ブリッジが不透明材料で製作されている、請求項13に記載のカラーフィルタガラス。
【請求項20】
ヘッドマウントディスプレイであって、
請求項1~12のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス、又は、
画像を表示するための光を供給するためのバックライトユニット(BLU)と、
前記BLUによって供給される前記光を変調するための複数の画素であって、前記ディスプレイデバイスの表示領域に配置された複数の画素と、
前記複数の画素によって実施される前記変調に基づいて前記BLUによって供給される前記光をフィルタリングするように構成された偏光子と、
前記偏光子に結合され、前記ディスプレイデバイスの前記表示領域を取り囲む非表示領域に配置され、前記ディスプレイデバイスの前記表示領域と重ならない金属ブリッジと
を備えるディスプレイデバイス
を備える、ヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月11日に出願された米国仮特許出願第63/124,584号に対する利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ディスプレイデバイスに関し、より具体的には、液晶ディスプレイにおける偏光子の接地の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
電子部品の適切な接地は、電子部品及びユーザを静電気放電(ESD)から保護するなど、複数の利点を提供する。電子部品の接地により、電荷量や静電気が低減する。静電気は、ポリマー又はプラスチックなどの誘電材料又は絶縁材料に蓄積することができる。この問題は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの身体装着型電子機器において特に重要であり、蓄積された電荷がユーザの身体と身体装着型電子機器との接触時に放電し、不快感を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、従来技術の欠点の少なくともいくつかを克服することを目的とする。それで本発明は、添付の請求項に従って、ディスプレイデバイス、ディスプレイデバイス用カラーフィルタ及びヘッドマウントディスプレイを開示する。
【0005】
一態様では、本発明は、偏光子をグランドに接続するための金属ブリッジを用いて、偏光子のグランド接続を改善するディスプレイデバイスに関する。ディスプレイデバイスは、画像を表示するための光を供給するためのバックライトユニット(BLU)と、BLUによって提供される光を変調するための複数の画素と、BLUによって提供される光をフィルタリングするための偏光子と、偏光子をディスプレイデバイスのグランドに結合するための金属ブリッジとを含む。金属ブリッジは、ディスプレイデバイスの表示領域を囲む非表示領域に配置される。
【0006】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、ディスプレイデバイスは、
画像を表示するための光を供給するためのバックライトユニット(BLU)と、
BLUによって提供される光を変調するための複数の画素であって、ディスプレイデバイスの表示領域に配置された複数の画素と、
複数の画素によって行われる変調に基づいてBLUによって提供される光をフィルタリングするように構成された偏光子と、
偏光子に結合され、ディスプレイデバイスの表示領域を取り囲む非表示領域に配置された金属ブリッジであって、ディスプレイデバイスの表示領域と重ならない金属ブリッジと
を備える。
【0007】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、ディスプレイデバイスは、カラーフィルタを更に備えてもよく、金属ブリッジがカラーフィルタと偏光子との間に配置される。これに加えて、金属ブリッジの第1の表面は、カラーフィルタの第1の部分に接着されてもよく、金属ブリッジの第1の表面とは反対側の第2の表面は、偏光子の第1の部分に接着されてもよく、偏光子の第2の部分は、カラーフィルタの第2の部分に接着されてもよい。
【0008】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、ディスプレイデバイスは、金属ブリッジに結合されたコネクタであって、金属ブリッジをディスプレイデバイスのグランドに接続するためのコネクタを更に備えてもよい。これに加えて、コネクタは、銀(Ag)ドットコネクタであってもよい。
【0009】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、金属ブリッジは、偏光子の第1の角部に対応する第1の三角形部分を更に備え得る。これに加えて、金属ブリッジは、偏光子の第2の角部に対応する第2の三角形部分と、第1の三角形部分を第2の三角形部分に接続する接続ストリップとを更に備え得る。
【0010】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、金属ブリッジは、偏光子の第1の角部に対応する第1の三角形部分を更に備え得る。これに加えて、金属ブリッジは、第1の三角形の第1の角部から第1の方向に延びる第1の延長ストリップと、第1の三角形の第2の角部から第1の方向に垂直な第2の方向に延びる第2の延長ストリップとを更に備え得る。
【0011】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、ディスプレイデバイスは、偏光子上に配置され、偏光子を金属ブリッジに接着するための光学的に透明な接着剤(OCA)を更に備え得る。これに加えて、OCAは導電性であり得る。
【0012】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、金属ブリッジは、不透明な材料で製作され得る。
【0013】
本発明によるディスプレイデバイスの実施形態では、金属ブリッジは、ディスプレイデバイスの表示領域を覆わないようにパターニングされ得る。
【0014】
一態様では、本発明は、
表示領域と表示領域を取り囲む非表示領域とを有するカラーフィルタガラスと、
カラーフィルタガラスの非表示領域に配置され、カラーフィルタガラスの表示領域と重ならない金属ブリッジと
を備える、ディスプレイデバイス用のカラーフィルタに関する。
【0015】
本発明によるカラーフィルタの実施形態では、金属ブリッジは、カラーフィルタガラスの第1の角部に対応する第1の三角形部分を備え得る。これに加えて、金属ブリッジは、
カラーフィルタガラスの第2の角部に対応する第2の三角形部分と、
第1の三角形部分を第2の三角形部分に接続する接続ストリップと
を更に備えてもよい。
【0016】
本発明によるカラーフィルタの実施形態では、金属ブリッジは、
第1の三角形の第1の角部から第1の方向に延びる第1の延長ストリップと、
第1の三角形の第2の角部から第1の方向に垂直な第2の方向に延びる第2の延長ストリップと
を更に備えてもよい。
【0017】
本発明によるカラーフィルタの実施形態では、カラーフィルタは、金属ブリッジに結合されたコネクタであって、金属ブリッジをディスプレイデバイスのグランドに接続するためのコネクタを更に備えてもよい。これに加えて、コネクタは、銀(Ag)ドットコネクタであってもよい。
【0018】
本発明によるカラーフィルタの実施形態では、金属ブリッジは、不透明材料で製作される。
【0019】
複数の態様では、本発明は、
上述のディスプレイデバイス、又は
画像を表示するための光を供給するためのバックライトユニット(BLU)と、
BLUによって供給される光を変調するための複数の画素であって、ディスプレイデバイスの表示領域に配置された複数の画素と、
複数の画素によって行われる変調に基づいてBLUによって提供される光をフィルタリングするように構成された偏光子と、
偏光子に結合され、ディスプレイデバイスの表示領域を取り囲む非表示領域に配置され、ディスプレイデバイスの表示領域と重ならない金属ブリッジと
を備えるディスプレイデバイス
を備えるヘッドマウントディスプレイに関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】1つ又は複数の実施形態による、アイウェアデバイスとして実装されるヘッドセットの斜視図である。
【
図1B】1つ又は複数の実施形態による、ヘッドマウントディスプレイとして実装されるヘッドセットの斜視図である。
【
図1C】
図1Bに示すヘッドマウントディスプレイの前面剛体の断面図である。
【
図2A】1つ又は複数の実施形態による、電子ディスプレイ環境のブロック図を示す。
【
図2B】1つ又は複数の実施形態による、ディスプレイデバイスの要素の斜視図を示す。
【
図2C】1つ又は複数の実施形態による、照明要素又はLCベースの画素の二次元アレイを有する例示的なディスプレイデバイスを示す。
【
図3A】1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ及び前面偏光子の斜視図を示す。
【
図3B】1つ又は複数の実施形態による、グランド接続が改善されたカラーフィルタ及び前面偏光子の斜視図を示す。
【
図3C】1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタの斜視図を示す。
【
図4】1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ及び偏光子スタックの正面図を示す。
【
図5A】1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すA-A’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
【
図5B】1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すB-B’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
【
図5C】1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すC-C’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
【
図5D】1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すD-D’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
【
図6A】1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ上に配置された金属ブリッジの第1の例示的な設計を示す。
【
図6B】1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ上に配置された金属ブリッジの第2の例示的な設計を示す。
【
図6C】1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ上に配置された金属ブリッジの第3の例示的な設計を示す。
【
図7】1つ又は複数の実施形態による、ヘッドセットを含むシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図は、単に例示のために、様々な実施形態を示す。本明細書で説明される原理から逸脱することなく、本明細書で示される構造及び方法の代替的な実施形態が採用され得ることを、当業者であれば、以下の説明から容易に認識するであろう。
【0022】
本発明の実施形態は、人工現実システムを含むか、又は人工現実システムに関連して実装され得る。人工現実は、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された形式の現実であり、これは、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せ及び/又は派生物を含み得る。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、又はキャプチャされた(例えば、現実世界の)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、又はそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれも、単一のチャネル又は複数のチャネルにおいて提示され得る(観察者に三次元効果をもたらすステレオビデオなど)。更に、いくつかの実施形態では、人工現実は、人工現実におけるコンテンツを作成するために使用される、及び/又は人工現実において別様に使用される、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、又はそれらの何らかの組合せにも関連し得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたウェアラブルデバイス(例えば、ヘッドセット)、独立型ウェアラブルデバイス(例えば、ヘッドセット)、モバイルデバイス又はコンピューティングシステム、あるいは、1人又は複数の観察者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0023】
図1Aは、1つ又は複数の実施形態による、アイウェアデバイスとして実装されるヘッドセット100の斜視図である。いくつかの実施形態では、アイウェアデバイスは、ニアアイディスプレイ(NED)である。概して、ヘッドセット100は、コンテンツ(例えば、メディアコンテンツ)が、ディスプレイアセンブリ及び/又はオーディオシステムを使用して提示されるように、ユーザの顔に装着され得る。しかしながら、ヘッドセット100はまた、メディアコンテンツが異なる様式でユーザに提示されるように使用され得る。ヘッドセット100によって提示されるメディアコンテンツの例は、1つ又は複数の画像、ビデオ、オーディオ、又はそれらの何らかの組合せを含む。ヘッドセット100は、フレームを含み、構成要素の中でも、1つ又は複数のディスプレイ要素120を含むディスプレイアセンブリと、深度カメラアセンブリ(DCA)と、オーディオシステムと、位置センサー190とを含み得る。
図1Aは、ヘッドセット100上の例示的なロケーションにおけるヘッドセット100の構成要素を示すが、構成要素は、ヘッドセット100上の他の場所に、ヘッドセット100とペアリングされた周辺デバイス上に、又はそれらの何らかの組合せで位置し得る。同様に、
図1Aに示されているものよりも多い又は少ない構成要素がヘッドセット100上にあり得る。
【0024】
フレーム110は、ヘッドセット100の他の構成要素を保持する。フレーム110は、1つ又は複数のディスプレイ要素120を保持する前面部と、ユーザの頭部に取り付けるためのエンドピース(例えば、テンプル)とを含む。フレーム110の前面部は、ユーザの鼻の上を跨いでいる。エンドピースの長さは、異なるユーザにフィットするように調整可能(例えば、調整可能なテンプルの長さ)であり得る。エンドピースはまた、ユーザの耳の後ろ側で湾曲する部分(例えば、テンプルの先端、イヤピース)を含み得る。
【0025】
1つ又は複数のディスプレイ要素120は、ヘッドセット100を装着しているユーザに光を供給する。図示のように、ヘッドセットは、ユーザの各眼のためのディスプレイ要素120を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素120は、ヘッドセット100のアイボックスに提供される画像光を生成する。アイボックスは、ヘッドセット100を装着している間にユーザの眼が占有する空間中のロケーションである。例えば、ディスプレイ要素120は導波路ディスプレイであり得る。導波路ディスプレイは、光ソース(例えば、二次元ソース、1つ又は複数の線ソース、1つ又は複数の点ソースなど)と、1つ又は複数の導波路とを含む。光ソースからの光は、1つ又は複数の導波路中に内部結合され、1つ又は複数の導波路は、ヘッドセット100のアイボックス中に瞳複製(pupil replication)があるような様式で光を出力する。1つ又は複数の導波路からの光の内部結合及び/又は外部結合が、1つ又は複数の回折格子を使用して行われ得る。いくつかの実施形態では、導波路ディスプレイは、光ソースからの光が1つ又は複数の導波路中に内部結合されるときにその光を走査する走査要素(例えば、導波路、ミラーなど)を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素120の一方又は両方が不透明であり、ヘッドセット100の周りのローカルエリアからの光を透過しないことに留意されたい。ローカルエリアは、ヘッドセット100の周囲のエリアである。例えば、ローカルエリアは、ヘッドセット100を装着しているユーザが中にいる部屋であり得、又は、ヘッドセット100を装着しているユーザは外にいることがあり、ローカルエリアは外のエリアである。このコンテキストでは、ヘッドセット100はVRコンテンツを生成する。代替的に、いくつかの実施形態では、AR及び/又はMRコンテンツを作り出すために、ローカルエリアからの光が1つ又は複数のディスプレイ要素からの光と組み合わせられ得るように、ディスプレイ要素120の一方又は両方は少なくとも部分的に透明である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素120は、画像光を生成せず、代わりに、ローカルエリアからの光をアイボックスに透過するレンズである。例えば、ディスプレイ要素120の一方又は両方は、補正なしのレンズ(非処方)であるか、又は、ユーザの視力障害を補正するのを助けるための処方レンズ(例えば、単焦点、二焦点、及び三焦点、又は累進多焦点(progressive))であり得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素120は、太陽からユーザの眼を保護するために、偏光及び/又は色付けされ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素120は追加の光学ブロック(図示せず)を含み得る。光学ブロックは、ディスプレイ要素120からの光をアイボックスに向ける1つ又は複数の光学系要素(例えば、レンズ、フレネルレンズなど)を含み得る。光学ブロックは、例えば、画像コンテンツの一部又は全部における収差を補正するか、画像の一部又は全部を拡大するか、あるいはそれらの何らかの組合せを行い得る。
【0028】
DCAは、ヘッドセット100の周囲のローカルエリアの一部分についての深度情報を決定する。DCAは、1つ又は複数のイメージングデバイス130と、DCAコントローラ(
図1Aに図示せず)とを含み、照明器140をも含み得る。いくつかの実施形態では、照明器140は、ローカルエリアの一部分を光で照明する。光は、例えば、赤外線(IR)、飛行時間型のIRフラッシュなどの構造化光(例えば、ドットパターン、バーなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のイメージングデバイス130は、照明器140からの光を含む局所領域の一部の画像をキャプチャする。図示のように、
図1Aは、単一の照明器140と2つのイメージングデバイス130とを示す。代替の実施形態では、照明器140がなく、少なくとも2つのイメージングデバイス130がある。
【0029】
DCAコントローラは、キャプチャされた画像と1つ又は複数の深度決定技法とを使用して、ローカルエリアの一部分についての深度情報を算出する。深度決定技法は、例えば、直接飛行時間(ToF)深度検知、間接ToF深度検知、構造化光、パッシブステレオ分析、アクティブステレオ分析(照明器140からの光によってシーンに追加されたテクスチャを使用する)、シーンの深度を決定するための何らかの他の技法、又はそれらの何らかの組合せであり得る。
【0030】
DCAは、アイトラッキング情報を決定するアイトラッキングユニットを含んでもよい。アイトラッキング情報は、(それぞれのアイボックス内の)片眼又は両眼の位置及び向きに関する情報を含んでもよい。アイトラッキングユニットは、1つ又は複数のカメラを含んでもよい。アイトラッキングユニットは、1つ又は複数のカメラによる片眼又は両眼の画像キャプチャに基づいて、片眼又は両眼の角度方向を推定する。いくつかの実施形態では、アイトラッキングユニットはまた、照明パターン(例えば、構造化光、グリントなど)で片眼又は両眼を照明する1つ又は複数の照明器を含み得る。アイトラッキングユニットは、キャプチャ画像内の照明パターンを使用してアイトラッキング情報を決定し得る。ヘッドセット100は、アイトラッキングユニットの操作を可能にするために、オプトインするようにユーザに促し得る。例えば、オプトインすることによって、ヘッドセット100は、ユーザの任意の画像又はアイトラッキング情報を検出、記憶し得る。
【0031】
オーディオシステムはオーディオコンテンツを提供する。オーディオシステムは、トランスデューサアレイと、センサーアレイと、オーディオコントローラ150とを含む。ただし、他の実施形態では、オーディオシステムは、異なる及び/又は追加の構成要素を含み得る。同様に、いくつかの場合には、オーディオシステムの構成要素に関して説明される機能性は、ここで説明されるものとは異なる様式で構成要素の間で分散され得る。例えば、コントローラの機能の一部又は全部が、リモートサーバによって実施され得る。
【0032】
トランスデューサアレイは、ユーザに音を提示する。トランスデューサアレイは、複数のトランスデューサを含む。トランスデューサは、スピーカ160又は組織トランスデューサ170(例えば、骨伝導トランスデューサ又は軟骨伝導トランスデューサ)であり得る。スピーカ160はフレーム110の外部に示されているが、スピーカ160はフレーム110に囲まれ得る。いくつかの実施形態では、各耳のための個々のスピーカの代わりに、ヘッドセット100は、提示されたオーディオコンテンツの方向性を改善するためにフレーム110に組み込まれた複数のスピーカを備えるスピーカアレイを含む。組織トランスデューサ170は、ユーザの頭部に結合し、ユーザの組織(例えば、骨又は軟骨)を直接振動させて、音を生成する。トランスデューサの数及び/又はロケーションは、
図1Aに示されているものとは異なり得る。
【0033】
センサーアレイは、ヘッドセット100のローカルエリア内の音を検出する。センサーアレイは、複数の音響センサー180を含む。音響センサー180は、ローカルエリア(例えば、部屋)中の1つ又は複数の音ソースから発せられた音をキャプチャする。各音響センサーは、音を検出し、検出された音を電子フォーマット(アナログ又はデジタル)に変換するように構成される。音響センサー180は、音響波センサー、マイクロフォン、音トランスデューサ、又は音を検出するのに好適である同様のセンサーであり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の音響センサー180は、各耳の耳道中に置かれ得る(例えば、バイノーラルマイクロフォンとして働く)。いくつかの実施形態では、音響センサー180は、ヘッドセット100の外面上に置かれるか、ヘッドセット100の内面上に置かれるか、ヘッドセット100とは別個(例えば、何らかの他のデバイスの一部)であるか、又はそれらの何らかの組合せであり得る。音響センサー180の数及び/又はロケーションは、
図1Aに示されているものとは異なり得る。例えば、収集されたオーディオ情報の量、並びにその情報の感度及び/又は精度を上げるために、音響検出ロケーションの数が増加され得る。音響検出ロケーションは、マイクロフォンが、ヘッドセット100を装着しているユーザの周囲の広範囲の方向における音を検出することが可能であるように、配向され得る。
【0035】
オーディオコントローラ150は、センサーアレイによって検出された音を表す、センサーアレイからの情報を処理する。オーディオコントローラ150は、プロセッサとコンピュータ可読記憶媒体とを備えてもよい。オーディオコントローラ150は、到来方向(DOA)推定値を生成するか、音響伝達関数(例えば、アレイ伝達関数及び/又は頭部伝達関数)を生成するか、音ソースのロケーションを追跡するか、音ソースの方向にビームを形成するか、音ソースを分類するか、スピーカ160のための音フィルタを生成するか、又はそれらの何らかの組合せを行うように構成され得る。
【0036】
位置センサー190は、ヘッドセット100の運動に応答して1つ又は複数の測定信号を生成する。位置センサー190は、ヘッドセット100のフレーム110の一部分に位置し得る。位置センサー190は、慣性測定ユニット(IMU)を含み得る。位置センサー190の例は、1つ又は複数の加速度計、1つ又は複数のジャイロスコープ、1つ又は複数の磁力計、運動を検出する別の好適なタイプのセンサー、IMUの誤差補正のために使用されるタイプのセンサー、又はそれらの何らかの組合せを含む。位置センサー190は、IMUの外部に、IMUの内部に、又はそれらの何らかの組合せで位置し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ヘッドセット100は、ヘッドセット100の位置のための同時位置特定及びマッピング(SLAM)と、ローカルエリアのモデルの更新とを提供し得る。例えば、ヘッドセット100は、カラー画像データを生成するパッシブカメラアセンブリ(PCA)を含み得る。PCAは、ローカルエリアの一部又は全部の画像をキャプチャする1つ又は複数のRGBカメラを含み得る。いくつかの実施形態では、DCAのイメージングデバイス130の一部又は全部が、PCAとしても機能し得る。PCAによってキャプチャされた画像と、DCAによって決定された深度情報とは、ローカルエリアのパラメータを決定するか、ローカルエリアのモデルを生成するか、ローカルエリアのモデルを更新するか、又はそれらの何らかの組合せを行うために使用され得る。更に、位置センサー190は、部屋内のヘッドセット100の位置(例えば、ロケーション及び姿勢)を追跡する。ヘッドセット100の構成要素に関する追加の詳細は、
図7に関して以下で説明される。
【0038】
図1Bは、1つ又は複数の実施形態による、HMDとして実装されるヘッドセット105の斜視図である。ARシステム及び/又はMRシステムについて説明する実施形態では、HMDの前側の部分は、可視帯域(約380nm~750nm)内で少なくとも部分的に透明であり、HMDの前側とユーザの眼との間にあるHMDの部分は、少なくとも部分的に透明である(例えば、部分的に透明な電子ディスプレイ)。HMDは、前面剛体115とバンド175とを含む。ヘッドセット105は、
図1Aを参照しながら上記で説明された同じ構成要素の多くを含むが、HMDフォームファクタと一体化するように修正される。例えば、HMDは、ディスプレイアセンブリと、DCAと、オーディオシステムと、位置センサー190とを含む。
図1Bは、照明器140と、複数のスピーカ160と、複数のイメージングデバイス130と、複数の音響センサー180と、位置センサー190とを示す。スピーカ160は、(図示のように)バンド175に結合される、前面剛体115に結合されるなど、様々なロケーションにあり得、又はユーザの耳道内に挿入されるように構成され得る。
【0039】
図1Cは、
図1Bに示すヘッドマウントディスプレイの前面剛体115の断面図である。
図1Cに示すように、前面剛体115は、改変された画像光を射出瞳190に提供する光学系ブロック118を含む。射出瞳190は、ユーザの眼195が配置された、前面剛体115のロケーションにある。説明のため、
図1Cは片眼195に関する断面を示すが、光学系118とは別個の別の光学系ブロックは、改変された画像光をユーザのもう片方の眼に提供する。
【0040】
光学系ブロック118は、ディスプレイ要素120と、光学ブロック125とを含む。ディスプレイ要素120は、光学ブロック125に向けて画像光を出射する。光学ブロック125は、画像光を拡大し、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の追加の光学誤差(例えば、歪み、非点収差など)も補正する。光学ブロック125は、ユーザに提示するために、表示光を射出瞳190に向ける。
【0041】
システムアーキテクチャ
図2Aは、1つ又は複数の実施形態による、電子ディスプレイ環境200のブロック図を示す。電子ディスプレイ環境200は、アプリケーションプロセッサ210と、ディスプレイデバイス220とを含む。いくつかの実施形態では、電子ディスプレイ環境200は、アプリケーションプロセッサ210及びディスプレイデバイス220に電力を供給するための電源回路270を更に含む。いくつかの実施形態では、電源回路270は、バッテリ280から電力を受け取る。他の実施形態では、電源回路270は、電気コンセントから電力を受け取る。
【0042】
アプリケーションプロセッサ210は、所望の画像を表示するようにディスプレイデバイスを制御するためのディスプレイデータを生成する。ディスプレイデータには、複数の画素データが含まれ、各画素データは、対応する強度で光を放射するようにディスプレイデバイスの1つの画素を制御する。いくつかの実施形態では、各画素データは、異なる色(例えば、赤色、緑色、及び青色)に対応するサブ画素データを含む。更に、いくつかの実施形態では、アプリケーションプロセッサ210は、ビデオを表示するために複数のディスプレイフレーム用のディスプレイデータを生成する。
【0043】
ディスプレイデバイス220は、ディスプレイドライバ集積回路(DDIC)230と、活性層240と、液晶(LC)層260と、バックライトユニット(BLU)265と、偏光子250と、カラーフィルタ255とを含む。ディスプレイデバイス220は、1つ又は複数の追加のセンサーなどの追加の要素を含み得る。ディスプレイデバイス220は、
図1A又は
図1BのHMD100の一部であり得る。即ち、ディスプレイデバイス220は、
図1A又は
図1Cのディスプレイ要素120の一実施形態であり得る。
図2Bは、1つ又は複数の実施形態による、ディスプレイデバイス220の要素の斜視図を示す。
【0044】
DDIC230は、アプリケーションプロセッサ210から表示信号を受信し、活性層240の各画素245及びBLU265を制御するための制御信号を生成する。例えば、DDIC230は、アプリケーションプロセッサ210から受信した画像信号に従って、活性層240内の画素245の各々をプログラムするための信号を生成する。更に、DDIC230は、BLU265を回転させるための1つ又は複数の信号を生成する。
【0045】
活性層240は、行及び列に編成された画素245のセットを含む。例えば、活性層240は、1行目のN個の画素(P11からP1N)、2行目のN個の画素(P21からP2N)、3行目のN個の画素(P31からP3N)、などを有する。各画素は、各々が異なる色に対応するサブ画素を含む。例えば、各画素は、赤色、緑色、及び青色のサブ画素を含む。更に、各画素は、白色サブ画素を含むことができる。各サブ画素は、LC層260の液晶を制御するための薄膜トランジスタ(TFT)を含む。例えば、各サブ画素のTFTは、LC層の特定領域内の電界を制御して、LC層260の特定領域内の液晶の結晶配向を制御するために用いられる。
【0046】
LC層260は、液体と固体結晶との間に何らかの性質を有する液晶を含む。特に、液晶は、結晶状に配向し得る分子を有する。液晶の分子の結晶配向は、液晶を横切る電界を印加することによって制御又は変化させることができる。電界を様々な構成で印加することによって、液晶を様々な方法で制御し得る。液晶を制御する方式としては、TN(Twisted Noematic)、IPS(In-Plane Switching)、PLS(Plane Line Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、VA(Vertical Alignment)などがある。
【0047】
各画素245は、アプリケーションプロセッサ210から受信した表示信号に対応する光出力を提供するように制御される。例えば、LCDパネルの場合、活性層240は、セルを通過することができる光の量を制御するように変更することができる制御可能な偏光状態を有する液晶セルのアレイを含む。
【0048】
BLU265は、所定の時間周期でオンにされ、各液晶セルを通過できる光を発生させ、ディスプレイデバイスで表示のための画像を生成する光ソースを含む。BLU265の光ソースは、活性層240内の液晶セルのアレイに向かって光を照射し、液晶セルのアレイは、活性層240を通過する光の量及びロケーションを制御する。いくつかの実施形態では、BLU265は、複数のセグメント化バックライトユニットを含み、各セグメント化バックライトユニットは、活性層240の特定の領域又はゾーンに光ソースを提供する。
【0049】
偏光子250は、光の偏光に基づいてBLU 265が出力する光をフィルタリングする。偏光子250は、背面偏光子250A及び前面偏光子250Bを含み得る。背面偏光子250Aは、BLU265によって出力された光をフィルタリングして、偏光をLC層260に供給する。前面偏光子250Bは、LC層260が出力する光をフィルタリングする。LC層260に供給された光は、背面偏光子250Aによって偏光されるため、LC層は、背面偏光子250Aが出力する光の偏光を調整することにより、前面偏光子250Bのフィルタリング量を制御する。
【0050】
カラーフィルタ255は、LC層260が出力する光を、色に基づいてフィルタリングする。例えば、BLU265は白色光を生成し、カラーフィルタ255は白色光をフィルタリングして赤色光、緑色光、又は青色光のいずれかを出力する。カラーフィルタ255は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、及び青色カラーフィルタのグリッドを含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイス220の要素は異なる順序で配置される。例えば、カラーフィルタは、BLU 265と背面偏光子250Aとの間、背面偏光子250AとLC層260との間、又は前面偏光子250Bの後に配置され得る。
【0051】
図2Cは、1つ又は複数の実施形態による、照明要素又はLCベースの画素245の二次元アレイを有する例示的なディスプレイデバイス220を示す。一実施形態では、ディスプレイデバイス220は、全ての画素245がフレームごとに同時に画像光を照射するグローバル照射に基づいて、ビデオコンテンツの複数のフレームを表示し得る。代替の実施形態では、ディスプレイデバイス220は、ディスプレイデバイス220の各セグメント内の全ての画素245がビデオコンテンツの各フレームに対して画像光を同時に照射する、セグメント化照明に基づいてビデオコンテンツを表示し得る。例えば、ディスプレイデバイス220の各セグメントは、
図2Cに示すように、ディスプレイデバイス220内に少なくとも1行の画素245を含み得る。照明のためのディスプレイデバイス220の各セグメントが1行の画素245を含む例示的な場合、セグメント化照射は、ローリング照射と呼ぶことができる。ローリング照明の場合、ディスプレイデバイス220の第1行の全ての画素245が第1の時点で画像光を同時に照射し、ディスプレイデバイス220の第2行の全ての画素245が第1の時点に連続する第2の時点で画像光を同時に照射し、ディスプレイデバイス220の第3行の全ての画素245が第2の時点に連続する第3の時点で画像光を同時に照射し、以下同様である。ディスプレイデバイス220の行及びセグメントの他の照射順序も本開示でサポートされる。更に別の実施形態では、ディスプレイデバイス220は、制御可能なサイズのディスプレイデバイス220の一部(
図2Cには図示せず)における全ての画素245がビデオコンテンツの各フレームに対して画像光を同時に照射する、制御可能な照射に基づいてビデオコンテンツを表示し得る。ディスプレイデバイス220の制御可能な部分は、長方形、正方形、又は何らかの他の適切な形状であり得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイス220の制御可能な部分のサイズは、フレーム番号の動的関数であり得る。
【0052】
ディスプレイパネルの接地
図3Aは、1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ255及び前面偏光子250Bの斜視図を示す。ディスプレイデバイス220は、表示領域310と、表示領域310を取り囲む非表示領域315とを有する。表示領域310は、BLU265によって生成された光の一部を出射させて画像を表示するディスプレイデバイス220の一部に相当する。非表示領域310は、表示領域を取り囲み、BLU265によって生成された光の出射を遮るディスプレイデバイス220の一部に相当する。
【0053】
前面偏光子250Bは、カラーフィルタ255の上に配置される。カラーフィルタ255はガラス基板を用いて、偏光子250Bは高分子材料を用いて作製し得る。偏光子250Bを、光学的に透明な接着剤(OCA)を用いてカラーフィルタ255に取り付けてもよい。偏光子250Bを(例えば、静電気放電から)保護するために、偏光子250はグランドに接続される。特に、偏光子250Bは、コネクタ320を介してグランドに接続される。いくつかの実施形態では、コネクタ320は、導電性ペースト(銀導電性ペーストなど)を使用して形成される。例えば、コネクタ320は、導電性ドットを形成するために、銀導電性ペーストを使用してペーストを硬化させ銀ドット(Agドット)として形成され得る。更に、いくつかの実施形態では、偏光子250Bをカラーフィルタ255に取り付けるために使用されるOCAは、導電性であるか、又は低抵抗率を有するように設計される。
【0054】
しかしながら、経時的に、偏光子250Bとコネクタ320との接続(例えば、偏光子250BのOCAとコネクタ320との間の接続)が劣化する可能性がある。例えば、偏光子250Bとコネクタ320との熱膨張差に起因して、コネクタ320と偏光子250Bとの接続が劣化し得る。別の例では、コネクタ320を製造するために使用される銀ペーストは、経時的に劣化し、高温又は高湿度環境に曝された後に、コンダクタンスの低下をもたらす可能性がある。更に別の例では、コネクタ320を製造するために使用される銀ペーストは、偏光子250Bをカラーフィルタ255に貼り付けるために使用されるOCAと相互作用する可能性がある。この反応により偏光子250Bが剥離し、ディスプレイデバイス220に損傷を与え得る。
【0055】
偏光子250Bとコネクタ320との接続性を改善するために、インジウムスズ酸化物(ITO)の層をカラーフィルタ355の上に堆積してもよい。ITOは、比較的高い導電率を有する透明材料である。しかしながら、ITO層は、ディスプレイデバイス220の光学性能を低下させ得る。例えば、ITO層は、ディスプレイパネルの反射率を高め得るし、ディスプレイパネルによって放射される光の一部を屈折させ得る。ITO層は、ディスプレイデバイスの非表示領域315上だけでなく表示領域310上にも配置されているため、ITO層はディスプレイデバイスの画質を低下させる可能性がある。
【0056】
図3Bは、1つ又は複数の実施形態による、グランド接続が改善されたカラーフィルタ255及び前面偏光子250Bの斜視図を示す。
図3Bの実施形態では、カラーフィルタ255は金属ブリッジ340を含む。金属ブリッジ340は、表示領域310の外側の非表示領域315の上に配置される。
【0057】
金属ブリッジ340は、任意の導電性材料で作られ得る。金属ブリッジは表示領域310の外側に配置されるので、金属ブリッジ340は透明である必要はない。したがって、金属ブリッジ340を製造するために、銅、アルミニウム、又は他の金属などの不透明な導電性材料を使用してもよい。更に、金属ブリッジ340により、偏光子250Bとコネクタ320との間の接続が改善されるので、ITO層を除去してもよく、これによりディスプレイデバイスの画質が改善される。
【0058】
図3Cは、1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ255の斜視図を示す。カラーフィルタ255は、カラーフィルタガラス350と、金属ブリッジ340とを含む。カラーフィルタガラスは、ディスプレイパネル220の表示領域310と重畳する表示領域365と、表示領域365を取り囲む非表示領域360とを有する。金属ブリッジ340は、カラーフィルタガラス350の非表示領域315に配置される。特に、金属ブリッジ340は、カラーフィルタガラス350の表示領域310の外側に配置されるように設計される。即ち、金属ブリッジ340は、カラーフィルタガラス350の表示領域310と重ならない。したがって、金属ブリッジ340は、表示領域310内のカラーフィルタガラスの光学特性を妨げない。
【0059】
いくつかの実施形態では、金属ブリッジ340は、カラーフィルタガラス350の上に積層される。他の実施形態では、金属ブリッジ340は、カラーフィルタガラス350の上に堆積される。また、カラーフィルタガラス350に適用する前に、金属ブリッジ340をパターニングしてもよい。代替的に、金属ブリッジ340は、カラーフィルタの表示領域を露出させるためにカラーフィルタガラス350の上に薄い金属層を堆積した後にパターニング(例えば、エッチング)してもよい。
【0060】
図4は、1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ及び偏光子スタックの正面図を示す。
図5Aは、1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すA-A’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
図5Bは、1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すB-B’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
図5Cは、1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すC-C’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
図5Dは、1つ又は複数の実施形態による、
図4に示すD-D’断面に沿ったカラーフィルタ及び偏光子スタックの側面図を示す。
【0061】
偏光子250は、偏光層510及びOCA層520を有する。カラーフィルタ250は、カラーフィルタガラス350と、金属ブリッジ340と、コネクタ320とを含む。コネクタ320は、金属ブリッジ340を外部基板又は回路(図示せず)のグランドに電気的に接続する。OCAは、カラーフィルタ255と接触すると、偏光子250をカラーフィルタ255に接着させる接着層である。また、偏光子250をカラーフィルタ250に接着させる際に、OCA層の一部を金属ブリッジ340に接触させる。このように、偏光子250をカラーフィルタ255に取り付けると、OCA層が金属ブリッジ340に電気的に接続される。金属ブリッジ340は(コネクタ320を介して)グランドに電気的に接続されるので、OCAも(コネクタ320及び金属ブリッジ340を介して)グランドに電気的に結合される。更に、金属ブリッジ340は、カラーフィルタガラス350の非表示領域360の上にあるため、金属ブリッジは、カラーフィルタガラス350の光学特性に影響を与えない。
【0062】
図6Aは、1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ255A上に配置された金属ブリッジ340の第1の例示的な設計を示す。
図6Aに示される設計は、1つの三角形部分610を有する。三角形部分610は、カラーフィルタ255Aの角部に位置する。三角形部分610のロケーションは、コネクタ320のロケーション又は外部基板もしくは回路のグランド接続に基づいて選択してもよい。
【0063】
図6Bは、1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ255B上に配置された金属ブリッジ340Bの第2の例示的な設計を示す。
図6Bに示される設計は、ストリップ630によって互いに接続された2つの三角形部分610を有する。第1の三角形部分610Aは、非表示領域315の第一象限に配置され、第2の三角形部分610Bは、非表示領域315の第二象限に配置される。
図6Bの設計では、一方又は両方の三角形部分は、1つ又は複数のコネクタ320を介して外部基板又は回路のグランドに接続されてもよい。
図6Bの設計は、金属ブリッジ340の面積を増やし、それにより、偏光子250が金属ブリッジ340に取り付けられる面積の大きさが増える。
【0064】
図6Cは、1つ又は複数の実施形態による、カラーフィルタ255B上に配置された金属ブリッジ340Cの第3の例示的な設計を示す。
図6Cに示す設計は、2つのストリップ630に結合された三角形部分610を含む。第1のストリップ630Aは、第1の方向(例えば、ディスプレイデバイスの幅方向)に細長く、第2のストリップ630Bは、第2の方向(例えば、ディスプレイデバイスの高さ方向)に細長くなっている。
【0065】
いくつかの実施形態では、他の形状が使用されてもよい。例えば、
図6A~
図6Cに示す幾何学的形状の代わりに、湾曲した小球を有する直角三角形を使用してもよい。いくつかの実施形態では、三角形は凹状小球を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、金属ブリッジは、非矩形表示領域を有する表示に使用される。例えば、表示領域は、六角形、八角形、又は円形の表示領域を有してもよい。このタイプのディスプレイデバイスは、拡張現実(AR)又は仮想現実(VR)アプリケーションで使用されるヘッドマウントディスプレイで使用してもよい。いくつかの実施形態では、金属ブリッジの幾何学的形状は、金属ブリッジの面積を増やす表示領域の幾何学的形状に基づいて設計される。
【0067】
システム環境
図7は、1つ又は複数の実施形態による、ヘッドセット705を含むシステム700である。いくつかの実施形態では、ヘッドセット705は、
図1Aのヘッドセット100又は
図1Bのヘッドセット105であり得る。システム700は、人工現実環境(例えば、仮想現実環境、拡張現実環境、複合現実環境、又はそれらの何らかの組合せ)において動作し得る。
図7によって示されているシステム700は、ヘッドセット705と、コンソール715に結合された入出力(I/O)インタフェース710と、ネットワーク720と、マッピングサーバ725とを含む。
図7は、1つのヘッドセット705と1つのI/Oインタフェース710とを含む例示的なシステム700を示すが、他の実施形態では、任意の数のこれらの構成要素が、システム700中に含まれ得る。例えば、各々が、関連するI/Oインタフェース710を有する、複数のヘッドセットがあり得、各ヘッドセット及びI/Oインタフェース710はコンソール715と通信する。代替構成では、異なる及び/又は追加の構成要素が、システム700中に含まれ得る。更に、
図7に示されている構成要素のうちの1つ又は複数に関して説明される機能性は、いくつかの実施形態では、
図7に関して説明されるものとは異なる様式で構成要素の間で分散され得る。例えば、コンソール715の機能性の一部又は全部がヘッドセット705によって提供され得る。
【0068】
ヘッドセット705は、ディスプレイアセンブリ730と、光学ブロック735と、1つ又は複数の位置センサー740と、DCA745とを含む。ヘッドセット705のいくつかの実施形態は、
図7に関して説明されるものとは異なる構成要素を有する。更に、
図7に関して説明される様々な構成要素によって提供される機能性は、他の実施形態ではヘッドセット705の構成要素の間で別様に分散されるか、又はヘッドセット705からリモートにある別個のアセンブリにおいて取り込まれ得る。
【0069】
ディスプレイアセンブリ730は、コンソール715から受信されたデータに従ってユーザにコンテンツを表示する。ディスプレイアセンブリ730は、1つ又は複数のディスプレイ要素(例えば、ディスプレイ要素120)を使用してコンテンツを表示する。ディスプレイ要素は、例えば、電子ディスプレイであり得る。様々な実施形態では、ディスプレイアセンブリ730は、単一のディスプレイ要素又は複数のディスプレイ要素(例えば、ユーザの各眼のためのディスプレイ)を備えてもよい。電子ディスプレイの例は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、アクティブマトリックス有機発光ダイオードディスプレイ(AMOLED)、導波路ディスプレイ、何らかの他のディスプレイ、又はそれらの何らかの組合せを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ要素120は光学ブロック735の機能性の一部又は全部をも含み得ることに留意されたい。
【0070】
光学ブロック735は、電子ディスプレイから受光された画像光を拡大し得、画像光に関連する光学誤差を補正し、補正された画像光をヘッドセット705の一方又は両方のアイボックスに提示する。様々な実施形態では、光学ブロック735は、1つ又は複数の光学系要素を含む。光学ブロック735中に含まれる例示的な光学系要素は、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、反射面、又は画像光に影響を及ぼす任意の他の好適な光学系要素を含む。その上、光学ブロック735は、異なる光学系要素の組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、光学ブロック735中の光学系要素のうちの1つ又は複数は、部分反射コーティングや反射防止コーティングなど、1つ又は複数のコーティングを有し得る。
【0071】
光学ブロック735による画像光の拡大及び集束により、電子ディスプレイは、より大きいディスプレイよりも、物理的により小さくなり、重さが減じ、少ない電力を消費することを可能にする。更に、拡大により、電子ディスプレイによって提示されるコンテンツの視野が広くなり得る。例えば、表示されるコンテンツの視野は、表示されるコンテンツが、ユーザの視野のほとんど全て(例えば、対角約110度)、及びいくつかの場合には全てを使用して提示されるようなものである。更に、いくつかの実施形態では、拡大の量は、光学系要素を追加すること又は除去することによって調整され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、光学ブロック735は、1つ又は複数のタイプの光学誤差を補正するように設計され得る。光学誤差の例としては、たる形歪み又は糸巻き形歪み、縦色収差、又は横色収差が挙げられる。他のタイプの光学誤差としては、球面収差、色収差、又はレンズ像面湾曲による誤差、非点収差、又は任意の他のタイプの光学誤差が更に挙げられ得る。いくつかの実施形態では、表示のために電子ディスプレイに提供されるコンテンツは予歪され、光学ブロック735が、そのコンテンツに基づいて生成された画像光を電子ディスプレイから受光したとき、光学ブロック735はその歪を補正する。
【0073】
位置センサー740は、ヘッドセット705の位置を示すデータを生成する電子デバイスである。位置センサー740は、ヘッドセット705の運動に応答して1つ又は複数の測定信号を生成する。位置センサー190は、位置センサー740の一実施形態である。位置センサー740の例は、1つ又は複数のIMU、1つ又は複数の加速度計、1つ又は複数のジャイロスコープ、1つ又は複数の磁力計、運動を検出する別の好適なタイプのセンサー、又はそれらの何らかの組合せを含む。位置センサー740は、並進運動(前/後、上/下、左/右)を測定するための複数の加速度計と、回転運動(例えば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定するための複数のジャイロスコープとを含み得る。いくつかの実施形態では、IMUは、測定信号を迅速にサンプリングし、サンプリングされたデータからヘッドセット705の推定位置を計算する。例えば、IMUは、加速度計から受信された測定信号を経時的に積分して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に積分して、ヘッドセット705上の基準点の推定位置を決定する。基準点は、ヘッドセット705の位置を表すために使用され得る点である。基準点は、概して空間中の点として定義され得るが、実際には、基準点は、ヘッドセット705内の点として定義される。
【0074】
DCA745は局所領域の一部分についての深度情報を生成する。DCAは1つ又は複数のイメージングデバイスとDCAコントローラとを含む。DCA745は照明器をも含み得る。DCA745の動作及び構造は、
図1Aに関して上記で説明された。
【0075】
オーディオシステム750は、ヘッドセット705のユーザにオーディオコンテンツを提供する。オーディオシステム750は、上記で説明するオーディオシステム200と実質的に同じである。オーディオシステム750は、1つ又は音響センサーと、1つ又は複数のトランスデューサと、オーディオコントローラとを備え得る。オーディオシステム750は、空間化されたオーディオコンテンツをユーザに提供し得る。いくつかの実施形態では、オーディオシステム750は、ネットワーク720を介してマッピングサーバ725に音響パラメータを要求し得る。音響パラメータは、ローカルエリアの1つ又は複数の音響プロパティ(例えば、室内インパルス応答、残響時間、残響レベルなど)を表す。オーディオシステム750は、例えば、DCA745からのローカルエリアの少なくとも一部分を表す情報、及び/又は位置センサー740からのヘッドセット705についてのロケーション情報を提供し得る。オーディオシステム750は、マッピングサーバ725から受信された音響パラメータの1つ又は複数を使用して、1つ又は複数の音フィルタを生成し、音フィルタを使用して、ユーザにオーディオコンテンツを提供し得る。
【0076】
I/Oインタフェース710は、ユーザがアクション要求を送信し、コンソール715から応答を受信することを可能にするデバイスである。アクション要求は、特定のアクションを実施するための要求である。例えば、アクション要求は、画像データ又はビデオデータのキャプチャを開始又は終了するための命令、あるいはアプリケーション内で特定のアクションを実施するための命令であり得る。I/Oインタフェース710は、1つ又は複数の入力デバイスを含み得る。例示的な入力デバイスは、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、又はアクション要求を受信し、そのアクション要求をコンソール715に通信するための任意の他の好適なデバイスを含む。I/Oインタフェース710によって受信されたアクション要求は、コンソール715に通信され、コンソール715は、そのアクション要求に対応するアクションを実施する。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース710は、I/Oインタフェース710の初期位置に対するI/Oインタフェース710の推定位置を示す較正データをキャプチャするIMUを含む。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース710は、コンソール715から受信された命令に従って、ユーザに触覚フィードバックを提供し得る。例えば、アクション要求が受信されたときに触覚フィードバックが提供されるか、又は、コンソール715がアクションを実施するときに、コンソール715が、I/Oインタフェース710に命令を通信して、I/Oインタフェース710が触覚フィードバックを生成することを引き起こす。
【0077】
コンソール715は、DCA745、ヘッドセット705、及びI/Oインタフェース710のうちの1つ又は複数から受信された情報に従って処理するためのコンテンツをヘッドセット705に与える。
図7に示されている例では、コンソール715は、アプリケーションストア755と、トラッキングモジュール760と、エンジン765とを含む。コンソール715のいくつかの実施形態は、
図7に関して説明されるものとは異なるモジュール又は構成要素を有する。同様に、以下で更に説明される機能は、
図7に関して説明されるものとは異なる様式でコンソール715の構成要素の間で分散され得る。いくつかの実施形態では、コンソール715に関して本明細書で説明される機能性は、ヘッドセット705、又はリモートシステムにおいて実装され得る。
【0078】
アプリケーションストア755は、コンソール715が実行するための1つ又は複数のアプリケーションを記憶する。アプリケーションは、プロセッサによって実行されたとき、ユーザへの提示のためのコンテンツを生成する命令のグループである。アプリケーションによって生成されたコンテンツは、ヘッドセット705又はI/Oインタフェース710の移動を介してユーザから受信された入力に応答したものであり得る。アプリケーションの例は、ゲームアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、又は他の好適なアプリケーションを含む。
【0079】
トラッキングモジュール760は、DCA745、1つ又は複数の位置センサー740、又はそれらの何らかの組合せからの情報を使用して、ヘッドセット705又はI/Oインタフェース710の動きを追跡する。例えば、トラッキングモジュール760は、ヘッドセット705からの情報に基づいて、ローカルエリアのマッピングにおいてヘッドセット705の基準点の位置を決定する。トラッキングモジュール760は、オブジェクト又は仮想オブジェクトの位置をも決定し得る。更に、いくつかの実施形態では、トラッキングモジュール760は、ヘッドセット705の将来のロケーションを予測するために、位置センサー740からのヘッドセット705の位置を示すデータの部分、並びにDCA745からのローカルエリアの表現を使用し得る。トラッキングモジュール760は、ヘッドセット705又はI/Oインタフェース710の推定又は予測された将来の位置をエンジン765に提供する。
【0080】
エンジン765は、アプリケーションを実行し、トラッキングモジュール760から、ヘッドセット705の位置情報、加速度情報、速度情報、予測された将来の位置、又はそれらの何らかの組合せを受信する。受信された情報に基づいて、エンジン765は、ユーザへの提示のためにヘッドセット705に提供すべきコンテンツを決定する。例えば、受信された情報が、ユーザが左を見ていることを示す場合、エンジン765は、仮想ローカルエリアにおいて、又はローカルエリアを追加のコンテンツで拡張するローカルエリアにおいて、ユーザの移動をミラーリングする、ヘッドセット705のためのコンテンツを生成する。更に、エンジン765は、I/Oインタフェース710から受信されたアクション要求に応答して、コンソール715上で実行しているアプリケーション内でアクションを実施し、そのアクションが実施されたというフィードバックをユーザに提供する。提供されるフィードバックは、ヘッドセット705を介した視覚又は可聴フィードバック、あるいはI/Oインタフェース710を介した触覚フィードバックであり得る。
【0081】
ネットワーク720は、ヘッドセット705及び/又はコンソール715をマッピングサーバ725に結合する。ネットワーク720は、ワイヤレス通信システム及び/又はワイヤード通信システムの両方を使用する、ローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワークの任意の組合せを含み得る。例えば、ネットワーク720は、インターネット、並びに携帯電話網を含み得る。一実施形態では、ネットワーク720は、標準通信技術及び/又はプロトコルを使用する。したがって、ネットワーク720は、イーサネット、802.11、ワールドワイドインタオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、2G/3G/4Gモバイル通信プロトコル、デジタル加入者回線(DSL)、非同期転送モード(ATM)、InfiniBand、PCIエクスプレス高度スイッチングなどの技術を使用するリンクを含むことができる。同様に、ネットワーク720上で使用されるネットワーキングプロトコルは、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、簡易メール転送プロトコル(SMTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)などを含むことができる。ネットワーク720を介して交換されるデータは、バイナリ形式(例えば、ポータブルネットワークグラフィックス(PNG))、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張可能マークアップ言語(XML)などの画像データを含む技術及び/又はフォーマットを使用して表現することができる。更に、リンクの全部又は一部は、セキュアソケットレイヤー(SSL)、トランスポートレイヤーセキュリティ(TLS)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)などの従来の暗号化技術を使用して暗号化することができる。
【0082】
マッピングサーバ725は、複数の空間を表す仮想モデルを記憶するデータベースを含み得、仮想モデル中の1つのロケーションが、ヘッドセット705のローカルエリアの現在の構成に対応する。マッピングサーバ725は、ヘッドセット705からネットワーク720を介して、ローカルエリア及び/又はローカルエリアについてのロケーション情報の少なくとも一部分を表す情報を受信する。ユーザは、ヘッドセット705が情報をサーバ725に送信するのを可能にするか又は防ぐように、プライバシー設定を調整し得る。マッピングサーバ725は、受信された情報及び/又はロケーション情報に基づいて、ヘッドセット705のローカルエリアに関連する仮想モデル中のロケーションを決定する。マッピングサーバ725は、仮想モデル中の決定されたロケーション及び決定されたロケーションに関連する任意の音響パラメータに部分的に基づいて、ローカルエリアに関連する1つ又は複数の音響パラメータを決定する(例えば、取り出す)。マッピングサーバ725は、ローカルエリアのロケーション及びローカルエリアに関連する音響パラメータの任意の値をヘッドセット705に送信し得る。
【0083】
システム700の1つ又は複数の構成要素は、ユーザデータ要素についての1つ又は複数のプライバシー設定を記憶するプライバシーモジュールを含み得る。ユーザデータ要素は、ユーザ又はヘッドセット705を説明する。例えば、ユーザデータ要素は、ユーザの物理的特性、ユーザによって実施されたアクション、ヘッドセット705のユーザのロケーション、ヘッドセット705のロケーション、ユーザのHRTFなどを記述してもよい。ユーザデータ要素のプライバシー設定(又は「アクセス設定」)は、例えば、ユーザデータ要素に関連して、認証サーバ上のインデックス内に、別の好適な方法で、又はこれらの任意の好適な組合せなど、任意の好適な方法で記憶されてもよい。
【0084】
ユーザデータ要素についてのプライバシー設定は、ユーザデータ要素(又はユーザデータ要素に関連付けられた特定の情報)がどのようにアクセスされ、記憶され、又は場合によっては使用され(例えば、観察、共有、修正、コピー、実行、表面化、又は識別され)得るかを指定する。いくつかの実施形態では、ユーザデータ要素についてのプライバシー設定は、ユーザデータ要素に関連付けられたある情報にアクセスしてはいけないエンティティの「ブロックリスト(blocked list)」を指定し得る。ユーザデータ要素に関連付けられたプライバシー設定は、許諾されるアクセス又はアクセスの拒否の任意の好適なグラニュラリティを指定し得る。例えば、一部のエンティティは、特定のユーザデータ要素が存在することを確かめるための許諾を有し得、一部のエンティティは、特定のユーザデータ要素のコンテンツを観察するための許諾を有し得、一部のエンティティは、特定のユーザデータ要素を修正するための許諾を有し得る。プライバシー設定は、他のエンティティが、有限時間期間の間、ユーザデータ要素にアクセスするか又はユーザデータ要素を記憶することを可能にすることを、ユーザが可能にし得る。
【0085】
プライバシー設定は、ユーザデータ要素がアクセスされ得る1つ又は複数の地理的ロケーションを、ユーザが指定することを可能にし得る。ユーザデータ要素へのアクセス又はアクセスの拒否は、ユーザデータ要素にアクセスすることを試みているエンティティの地理的ロケーションに依存し得る。例えば、ユーザは、ユーザデータ要素へのアクセスを可能にし、ユーザが特定のロケーションにいる間のみ、ユーザデータ要素がエンティティにとってアクセス可能であることを指定し得る。ユーザが特定のロケーションを離れた場合、ユーザデータ要素はエンティティにとって、もはやアクセス可能でないことがある。別の例として、ユーザは、ユーザデータ要素が、ユーザと同じローカルエリア内のヘッドセットの別のユーザなど、ユーザからしきい値距離内のエンティティのみにとってアクセス可能であることを指定し得る。その後、ユーザがロケーションを変更した場合、ユーザデータ要素へのアクセスをもつエンティティはアクセスを失い得るが、エンティティの新しいグループが、ユーザのしきい値距離内に自身が入るので、アクセスを獲得し得る。
【0086】
システム700は、プライバシー設定を強化するための1つ又は複数の許可/プライバシーサーバを含み得る。特定のユーザデータ要素についてのエンティティからの要求が、要求に関連付けられたエンティティを識別し得、ユーザデータ要素は、ユーザデータ要素に関連付けられたプライバシー設定に基づいてエンティティがユーザデータ要素にアクセスすることを許可されると許可サーバが決定した場合、そのエンティティのみに送られ得る。要求元エンティティがユーザデータ要素にアクセスすることを許可されない場合、許可サーバは、要求されたユーザデータ要素が取り出されるのを防ぎ得るか、又は要求されたユーザデータ要素がエンティティに送られるのを防ぎ得る。本開示は、特定の様式でプライバシー設定を強化することについて説明するが、本開示は、任意の好適な様式でプライバシー設定を強化することを企図する。
【0087】
実施形態の上記の説明は、説明のために提示されており、網羅的であること、又は開示される正確な形態に特許権を限定することは意図されない。当業者は、上記の開示を考慮して多くの修正及び変形が可能であることを諒解することができる。
【0088】
最終的に、本明細書において使用される言い回しは、主に読みやすさ及び教育目的で選択されており、本明細書において使用される言い回しは、特許権を定めるか又は制限するように選択されていないことがある。したがって、特許権の範囲はこの詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ、詳細な説明に基づく適用例に関して生じる請求項によって限定されることが意図される。したがって、実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載される特許権の範囲を例示するものであり、限定するものではない。
【国際調査報告】