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  • 特表-ベモトリジノールの向上した可溶性 図1-4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ベモトリジノールの向上した可溶性
(51)【国際特許分類】
   C08L 3/06 20060101AFI20231219BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20231219BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/30 20060101ALI20231219BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C08L3/06
C08K5/01
C08K5/3492
A61K8/06
A61K8/04
A61K8/49
A61K8/73
A61K8/30
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530979
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021084820
(87)【国際公開番号】W WO2022122837
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】20212791.6
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デエー, シリル
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク‐エディンガー, クリスティーン
【テーマコード(参考)】
4C083
4J002
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD072
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB46
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE17
4J002AB051
4J002EA016
4J002EU187
4J002FD057
4J002FD310
4J002GB00
4J002HA07
(57)【要約】
本発明は、脂肪酸とデキストリンとのエステルと、分岐及び直鎖飽和C15~C19の混合物であって、主に分岐飽和C15~C19を含む混合物と、式(I)

のUVフィルターとを含む化粧品組成物に関する。この化粧品組成物により、大量の式(I)のUVフィルターを可溶化することが可能となり、有害なUV光の非常に高い吸収率を有する組成物、すなわち高い日焼け防止指数(SPF)を有する組成物がもたらされる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 脂肪酸とデキストリンとのエステル、
- 分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物、
- 式(I)
【化1】

のUVフィルター
を含む組成物であって、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量が80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、組成物。
【請求項2】
前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の直鎖飽和C15~C19アルカンの量が10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは5重量%超であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分岐飽和C18アルカンの量が、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して50重量%超、好ましくは60重量%超、さらにより好ましくは70重量%超であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルの前記脂肪酸がC14~C18脂肪酸、特に直鎖C14~C18脂肪酸、最も好ましくはパルミチン酸であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルの前記デキストリンが3~20、特に8~16の平均糖重合度を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルが、グルコース単位当たり3超、好ましくは3.05~3.5、より好ましくは3.1~3.4、最も好ましくは3.1~3.2の、エステル化された水酸基の平均数を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルが8’000~16’000Da、好ましくは9’000~13’000Da、より好ましくは10’000~11’500Daの分子量Mを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルの重量と、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量との比が100重量%未満、好ましくは50~80重量%の範囲、最も好ましくは60~70重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記式(I)の前記UVフィルターと、前記脂肪酸とデキストリンとのエステルとの重量比が70:1~1:100、好ましくは50:1~1:20、より好ましくは40:1~1:10、最も好ましくは10:1~1:10であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
水を含み、且つエマルションの形態であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ゲルの形態であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらにより好ましくは50以上の日焼け防止指数(SPF)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
液体飽和C8~C30アルカン、特に分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカン中の固体有機UVフィルターの可溶性を向上させるための、脂肪酸とデキストリンとのエステルの添加の使用。
【請求項14】
式(I)
【化2】

のUVフィルターを脂肪酸とデキストリンとのエステル並びに分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と組み合わせることにより、化粧品組成物中の前記式(I)のUVフィルターの可溶性を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、UV光から保護する化粧品組成物、特にUVフィルターであるベモトリジノールを含む化粧品組成物の分野に関する。
【0002】
[発明の背景]
ベモトリジノールは、有害なUV光の格段に高い吸収率を有する、効果の高い広域スペクトルUV吸収剤であり、化粧品組成物に広く使用されている。ベモトリジノールは、特にエステル中で適度な可溶性を有する。しかしながら、水及びアルカン中での可溶性が極めて低い。
【0003】
化粧品組成物を受け入れるために、良好な知覚特性を有することが重要である。特に、皮膚触感は、重要である。触れると、シルク若しくはビロードのような皮膚触感、又は柔らかな仕上がりを伴うみずみずしく滑らかな感覚、又は心地よい余韻をもたらす製品は、市場で極めて高く受け入れられている。
【0004】
従来、この方向性で知覚特性を改善するためにシリコーン油が使用されている。化粧品にシリコーン油を使用することは、特に環境及び規制上の理由のため、市場における圧力が一層強くなっていることから、知覚特性の向上をもたらす代替物質が強く求められている。
【0005】
液体C8~C30アルカンを使用すると、知覚特性を改善できることが判明しており、シリコーン油を置き換えるために使用することが提案されている。
【0006】
例えば、国際公開第2018/109353 A1号パンフレットは、水中油型エマルションの知覚特性を改善するための分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を開示している。
【0007】
しかしながら、知覚特性の改善を達成する目的で、化粧品組成物の溶媒をこのような液体アルカンで部分的に置き換えると、UVフィルターであるベモトリジノールの可溶性が著しく低下し、従って対応する化粧品組成物の日焼け防止指数(SPF)が強く低下することになる。
【0008】
[発明の概要]
従って、本発明が解決すべき問題は、特に改善された知覚特性を有する化粧品組成物において、液体C8~C30アルカン、特にC15~C19アルカンを含む、UVフィルターであるベモトリジノールの高い可溶性を得ることである。
【0009】
驚くべきことに、請求項1に記載の化粧品組成物により、この問題を解決できることが判明した。
【0010】
特に、この解決策は、脂肪酸のエステルが生物資源から得ることができるため、この問題に対して極めて持続可能で有利な手法を示していることが判明した。この解決策は、好ましいC15~C19アルカンの混合物を生物由来のものから得ることもできるため、より一層魅力的である。従って、高い日焼け防止指数(SPF)と同様に、優れた知覚特性を有する化粧品組成物を提供することが可能となる。
【0011】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の対象である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】C15~19単独でのUVフィルターの顕微鏡写真を示す。
図2】ポリウレタン系増粘剤中のUVフィルターの顕微鏡写真を示す。
図3】本明細書のUVフィルターの顕微鏡写真を示す。
図4】本明細書のUVフィルターの顕微鏡写真を示す。
【0013】
[発明の詳細な説明]
第1の態様では、本発明は、
- 脂肪酸とデキストリンとのエステル、
- 分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物、
- 式(I)
【化1】

のUVフィルター
を含む化粧品組成物であって、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量が80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、化粧品組成物に関する。
【0014】
明確にするために、本明細書で使用されているいくつかの用語を以下のように定義する。
【0015】
本明細書では、「C~Cアルカン」とは、x~y個の炭素原子を含むアルカンであり、すなわち例えばC15~C19アルカンは、15~19個の炭素原子を含むアルカンである。アルカンは、直鎖又は分岐(すなわち非直鎖)であり得、純粋な飽和炭化水素である。例えば、分子式C1532、C1634、C1736、C1838及びC1940を有する全てのアルカン、例えば、ペンタデカン、オクタデカン、ノナデカン、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン、イソヘキサデカンは、C15~C19アルカンと見なされる。特に好ましい分岐アルカンは、例えば、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン、2-メチルペンタデカン又は3-メチルペンタデカンなどの、側鎖として専らメチル基を有する分岐アルカンである。
【0016】
本明細書において、複数の式の中で記号又は基に対して同じ表示が存在する場合、特定の式に関連してなされた前述の基又は記号の定義は、同じ前述の表示を含む他の式にも適用される。
【0017】
本明細書の「UVフィルター」という用語は、紫外線光(=UV光)、すなわち280~400nmの波長の電磁放射を吸収する物質を表す。UV(A)フィルターは、UV(A)光、すなわち315~400nmの波長の電磁放射を吸収するUVフィルターである。UV(B)フィルターは、UV(B)光、すなわち280~315nmの波長の電磁放射を吸収するUVフィルターである。
【0018】
液体有機UVフィルターは、周囲温度(すなわち25℃)で液体である。
【0019】
固体有機UVフィルターは、周囲温度(すなわち25℃)で固体である。
【0020】
本明細書における「可溶化する」又は「可溶化」という用語は、式(I)のUVフィルターが、周囲温度で組成物から沈殿又は分離しないような方法で化粧品組成物に組み込まれるという特性を説明するものである。
【0021】
本明細書における「分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物」とは、前記混合物が、それらの各々で異なるアルカンを含み、15、16、17、18又は19個の炭素原子のみを有するが、それより少ない炭素を有する任意のアルカンを含まないことを意味する。従って、このような混合物は、例えば、ドデカン又はイソドデカンを含まない。前記混合物は、分岐及び直鎖両方のC15~C19アルカンを含む。
【0022】
式(I)のUVフィルター
化粧品組成物は、式(I)
【化2】

のUVフィルターを含む。
【0023】
式(I)のUVフィルター(CAS:[187393-00-6])は、83~85℃の融点を有する結晶性固体であり、ベモトリジノール又は2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン若しくはビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI)としても公知である。このUVフィルターは、UV(A)光だけでなく、UV(B)光も吸収する、広域スペクトルUV吸収剤である。310nm及び345nmに2つの吸収極大を有しており、光安定性が高い。欧州規制によって認められている最大濃度に基づき、SPFで測定された入手可能な最も効果的なUV吸収剤である。
【0024】
このUVフィルターは、例えば、DSM Nutritional Products Ltd.からPARSOL(登録商標)Shield、BASFからTinosorb(登録商標)S及びアシュランド(Ashland)からEscalol(商標)S UVフィルターの商標名で市販されている。
【0025】
このUVフィルターは、その極性により、エステル、特にC12~15安息香酸アルキル中では極めて可溶性であるが、水及びアルカン中では不溶性である。
【0026】
[脂肪酸とデキストリンとのエステル]
化粧品組成物は、脂肪酸とデキストリンとのエステルをさらに含む。
【0027】
デキストリンは、D-グルコースのオリゴマー重合体である。その構造は、以下の構造によって簡略化して表すことができる。
【化3】
【0028】
デキストリンは、異なる平均糖重合度を有しており、これによって異なる分子量がもたらされる。
【0029】
本発明では、前記脂肪酸とデキストリンとのエステルのデキストリンは、好ましくは、3~20、特に8~16の平均糖重合度を有する。
【0030】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルの脂肪酸は、C14~C18脂肪酸、特に直鎖C14~C18脂肪酸、最も好ましくはパルミチン酸であることが好ましい。
【0031】
特に好適な脂肪酸とデキストリンとのエステルとしては、千葉製粉株式会社によってレオパール(Rheopearl)(登録商標)KL2として商品化されているパルミチン酸デキストリンがある。
【0032】
デキストリンには、エステル化が可能な水酸基がいくつかある。
【0033】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルは、グルコース単位当たり2.5超、好ましくは2.7~3.5、より好ましくは28~3.4、最も好ましくは2.8~3.2の、エステル化された水酸基の平均数を有することが好ましい。
【0034】
一実施形態では、前記脂肪酸とデキストリンとのエステルは、グルコース単位当たり3超、好ましくは3.05~3.5、より好ましくは3.1~3.4、最も好ましくは3.1~3.2の、エステル化された水酸基の平均数を有する。
【0035】
換言すれば、好ましくは、デキストリンの水酸基の全てが実質的にエステル化されている。
【0036】
前記脂肪酸とデキストリンとのエステルは、8’000~16’000Da、好ましくは9’000~13’000Da、より好ましくは10’000~11’500Daの分子量Mを有することがさらに好ましい。
【0037】
分子量Mnは、特に、ポリスチレンを標準物質として使用するSEC/GPCによってダルトン(Da)で測定される。
【0038】
脂肪酸とデキストリンとの両方は、生物由来のものを有する。化学物質が生物由来であることは、そのような材料又はそれらの製品が高度な持続可能性を有するため、非常に有利である。持続可能性の高い製品又は組成物は、市場で高い需要がある。
【0039】
[分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物]
化粧品組成物は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含む。
【0040】
C15~C19アルカンの特に好適な混合物には、特に国際公開第2016/185046号パンフレット、国際公開第2017/046177号パンフレット、国際公開第2018/109353 A1号パンフレット及び国際公開第2018/109354 A1号パンフレット及び国際公開第2018/172228 A1号パンフレットに開示されているものがある。
【0041】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の総重量に対して90%以上の生物由来の炭素の含有量を有する。化学物質が生物由来であることは、そのような材料が高度な持続可能性を有するため、非常に有利である。持続可能性の高い製品又は組成物は、市場で高い需要がある。
【0042】
生物材料又は生物源炭酸塩の含有量の測定は、規格ASTM D 6866-12、方法B(ASTM D 6866-06)及びASTM D 7026(ASTM D 7 026-04)に準拠して行われる。規格ASTM D 6866は「Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」に関する規格であるが、規格ASTM D 7 026は「Sampling and Reporting of Results for Determination of Biobased Content of Materials via Carbon Isotope Analysis」に関する規格である。2つ目の規格は、その第1段落で最初の規格について言及している。最初の規格は、試料の14C/12C比の測定試験について記載しており、これを起源100%の試料の再生可能な標準物質の14C/12C比と比較し、試料中の再生可能な起源のCの相対的割合を与えるものである。標準物質は、14Cによる年代測定と同一の概念に基づく。
【0043】
組成物が芳香族炭化水素を有さないか、又は分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の総重量に対してごく少量(100ppm未満、特に30ppm未満)の芳香族炭化水素を有することがさらに好ましい。
【0044】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、特に、国際公開第2016/185046号パンフレットに詳細に記載されているように、特に国際公開第2016/185046号パンフレットの実施例3として開示されているように、炭化水素バイオマス供給原料を触媒で水素化することによって生成される。
【0045】
前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物中の直鎖飽和C15~C19アルカンの量は、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは5重量%超であることが好ましい。
【0046】
C15の量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して3重量%未満、特に1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満であることがさらに好ましい。
【0047】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、分岐及び直鎖飽和C16~C19アルカンの混合物であることが好ましい。
【0048】
分岐飽和C16~C18アルカンの量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して90重量%超、好ましくは95重量%超であることがさらに好ましい。
【0049】
C15アルカンの量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して5重量%未満、特に2重量%未満であることがさらに好ましい。
【0050】
分岐飽和C17~C18アルカンの量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して85重量%超、好ましくは92重量%超であることがさらに好ましい。
【0051】
C17アルカンの量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して15~20重量%超であることがさらに好ましい。
【0052】
分岐飽和C18アルカンの量は、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して50重量%超、好ましくは60重量%超、さらにより好ましくは70重量%超であることがさらに好ましい。
【0053】
C18アルカンの量は、特に、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量に対して70~75重量%であることがさらに好ましい。
【0054】
換言すれば、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、好ましくは、主にC18アルカンからなり、最も好ましくは主に分岐C18アルカンからなる。
【0055】
化粧品組成物が分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含むため、前記組成物はいかなる低級アルカンも含まず、すなわち特にいかなるC12アルカンも含まず、特にいかなるC12、又はC13、又はC14アルカンも含まない。
【0056】
C15~C19アルカンの混合物は、20℃で3~15mPa・s、特に6~12mPa・sの粘度を有することがさらに好ましい。
【0057】
C15~C19アルカンの混合物は、20℃で1.40~1.48、特に1.42~1.45、最も好ましくは1.43~1.44の屈折率を有することがさらに好ましい。
【0058】
C15~C19アルカンの混合物は、SEPPICによってEMOGREEN(商標)L19として商品化されているようなC15~C19アルカンの混合物であることがさらに好ましい。
【0059】
前記組成物では、前記脂肪酸とデキストリンとのエステルの重量と、前記分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の重量との比は、好ましくは、100重量%未満、好ましくは50~80重量%の範囲、最も好ましくは60~70重量%の範囲である。
【0060】
換言すれば、組成物は、好ましくは、C15~C19アルカンを脂肪酸とデキストリンとのエステルよりも重量でより多く含む。
【0061】
さらに、前記組成物では、式(I)のUVフィルターと、脂肪酸とデキストリンとのエステルとの重量比は、好ましくは、70:1~1:100、好ましくは50:1~1:20、より好ましくは40:1~1:10、最も好ましくは10:1~1:10である。
【0062】
さらに、前記組成物は、ゲルの形態であることが好ましい。
【0063】
化粧品組成物は、40mmのプレートを使用し、剪断力10/秒のTA InstrumentsのレオメーターAR550上で25℃において測定した粘度が、1’000m・Pas超、好ましくは1’500mPa・s超を有することが好ましい。前記粘度は、50’000m・Pas未満、好ましくは40’000m・Pas未満、より好ましくは30’000m・Pas未満であることがさらに好ましい。
【0064】
前記組成物は、10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらにより好ましくは50以上の日焼け防止指数(SPF)を有することが好ましい。
【0065】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物並びに脂肪酸とデキストリンとは、両方とも有機由来のものに基づくことが好ましい。
【0066】
さらに、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物並びに脂肪酸とデキストリンとのエステルは、OECD 301Bに従って容易に生分解可能であることが好ましい。
【0067】
化粧品組成物は、化粧品及び日焼け防止に関する当業者に公知のさらなる有機又は無機UVフィルターも含み得る。
【0068】
化粧品組成物は、典型的には、化粧品組成物中で使用するのに好適な他の成分を含む。
【0069】
化粧品組成物は、好ましくは、水を含む。
【0070】
本発明による化粧品組成物は、溶媒若しくは脂肪性物質中の懸濁液若しくは分散体の形態又は代替的にエマルション若しくはマイクロエマルション(特に水中油型(O/W)若しくは油中水型(W/O)タイプ、水中シリコーン型(Si/W)若しくはシリコーン中水型(W/Si)タイプ、PIT-エマルション、多重エマルション(例えば、油中水中油型(O/W/O)若しくは水中油中水型(W/O/W)タイプ)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液若しくは小胞性分散剤の形態又はペンにより、マスク若しくはスプレーとして適用することも可能な他の通例の形態であり得る。
【0071】
本発明の全ての実施形態で好ましい化粧品組成物は、水を含み、且つエマルションの形態である。
【0072】
エマルションは、特に油性相及び水相を含み、例えば特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重エマルション又はピッカリングエマルションである。
【0073】
そのようなエマルション中に存在する油性相の総量は、化粧品組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも10重量%、例えば10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲である。
【0074】
そのようなエマルション中に存在する水相の量は、化粧品組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも20重量%、例えば40~90重量%の範囲、好ましくは50~85重量%の範囲、最も好ましくは60~85重量%の範囲である。
【0075】
より好ましくは、本発明による化粧品組成物は、水中油型(O/W)エマルションの形態であり、O/W、Si/W乳化剤のそれぞれの存在下で水相に分散された油性相を含む。そのようなO/Wエマルションの調製は、当業者によく知られている。
【0076】
本発明によるO/Wエマルションの形態の組成物は、例えば、O/Wエマルション用のあらゆる配合物形態、例えばセラム、乳液又はクリームの形態で提供することができ、これらは通常の方法に従って調製される。本発明の主題である組成物は、好ましくは、局所適用が意図され、特に例えばUV放射線の有害作用に対してヒトの皮膚を保護すること(皺防止、老化防止、保湿、日焼け防止など)が意図された皮膚科学的組成物又は化粧品組成物を構成することができる。
【0077】
化粧品組成物は、さらに好ましくは、少なくとも1種の乳化剤、好ましくはアニオン性乳化剤を含む。好ましくは、アニオン性乳化剤は、セチルリン酸カリウム、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、クエン酸ステアリン酸グリセリル及びココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性乳化剤である。
【0078】
1つの有利な実施形態では、化粧品組成物は、リン酸エステル乳化剤をさらに含む。好ましいリン酸エステル乳化剤の中でも、C8~10アルキルエチルホスフェート、C9~15アルキルホスフェート、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、リン酸セチル、C6~10パレス-4リン酸、C12~15パレス-2リン酸、C12~15パレス-3リン酸、DEA-セテアレス-2リン酸、DEA-セチルリン酸、DEA-オレス-3リン酸、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸、デセス-6リン酸及びトリラウレス-4リン酸が挙げられる。特定のリン酸エステル乳化剤は、例えば、DSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstにてAmphisol(登録商標)Kとして市販されているセチルリン酸カリウムである。
【0079】
化粧品組成物は、非イオン性乳化剤も含み得る。
【0080】
非イオン性乳化剤の例には、アルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドと脂肪族(C8~C18)の一級又は二級の直鎖又は分岐鎖アルコールとの縮合生成物であって、一般に6~30個のエチレンオキシド基を有するものが含まれる。他の代表的な非イオン性乳化剤には、例えば、ココモノエタノールアミド又はジエタノールアミド及びココモノイソプロパノールアミドなどのモノ又はジアルキルアルカノールアミドが含まれる。さらに、含まれ得る非イオン性乳化剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。典型的には、APGは、例えば、Oramix(商標)NS 1O ex Seppic;PLANTACARE(登録商標)818UP、PLANTACARE(登録商標)1200及びPLANTACARE(登録商標)2000 ex BASFなどの1つ以上のグリコシル基のブロックに(任意選択により架橋基を介して)連結されたアルキル基を含むものである。
【0081】
化粧品組成物がO/Wエマルションである場合、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、ジラウリン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-8、オレイン酸PEG-40ソルビット、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、PEG-20アーモンド脂肪酸グリセリル、PEG-25水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル(及び)ステアリン酸PEG-100、オリーブ油脂肪酸PEG-7、オレイン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8、PEG-60アーモンド脂肪酸グリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス10/ポリオキシ10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、クエン酸ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル(自己乳化型)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ジステアリン酸ポリグリセリル-3-メチルグルコースのリストから選択される少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤を含むことが好ましい。さらに好適な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水和ポリイソブテンである。
【0082】
さらに、1種以上の合成ポリマーを乳化剤として使用し得る。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸アルキルC10~30クロスポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー及びこれらの混合物である。
【0083】
別の特に好適なO/W乳化剤の種類は、例えば、OLIVEM 1000の商標名で販売されている、(INCI名)オリーブ油脂肪酸セテアリル及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成:オリーブ油脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られている、オリーブ油由来の非イオン性自己乳化系である。
【0084】
市販のポリマー乳化剤、例えば、NoveonによりPemulen(登録商標)TR-1及びTR-2の商標名で市販されているアクリレーツ/アクリル酸アルキルC10~30クロスポリマーなどの疎水変性ポリアクリル酸がさらに好適である。
【0085】
特に好適な別の種類の乳化剤は、ポリグリセリルエステル/ジエステルとも呼ばれる脂肪酸のポリグリセロールエステル又はジエステル(すなわち脂肪酸がポリグリセリンとエステル化することによって結合しているポリマー)であり、例えば、Evonikにて市販されているIsolan GPS[INCI名 ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4(すなわちイソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸及びセバシン酸の混合物とポリグリセリン-4とのジエステル)]又はコグニス(Cognis)にて入手可能なDehymuls PGPH(INCI ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2)などである。
【0086】
例えば、クローダ(Croda)から入手可能なBrij 72(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)又はBrij 721(ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルなどのポリエチレングリコールエーテルも好適である。
【0087】
少なくとも1種のO/W、Si/W乳化剤はそれぞれ、好ましくは、組成物の総重量を基準として、0.5~10重量%、例えば特に0.5~5重量%の範囲、例えば最も詳細には0.5~4重量%の範囲の量で使用される。
【0088】
好適なW/O又はW/Si乳化剤は、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、セチルジメチコンコポリオール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリギルセリル-4(polygylceryl-4 oleate)/ヤシ油脂肪酸PEG-8-プロピレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びこれらの混合物である。さらに好適なW/Si乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、及び/又はPEG-12ジメチコンクロスポリマー、及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである。少なくとも1種のW/O乳化剤は、組成物の総重量に対して、好ましくは約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0089】
化粧品組成物は、さらに有利には、例えばモノグリセリド及びジグリセリド並びに/又は脂肪アルコールの群から選択されるような、少なくとも1種の界面活性助剤を含有することが好ましい。界面活性助剤は、組成物の総重量を基準として、0.1~10重量%の範囲、例えば詳細には0.5~6重量%の範囲、例えば最も詳細には1~5重量%の範囲から選択される量で一般的に使用される。特に好適な界面活性助剤は、セチルアルコール(Lorol C16、Lanette 16)、セテアリルアルコール(Lanette O)、ステアリルアルコール(Lanette 18)、ベヘニルアルコール(Lanette 22)、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水添ココグリセリル(Lipocire Na10)及びこれらの混合物などのアルキルアルコールのリストから選択される。
【0090】
乳化剤の量は、化粧品組成物の総重量を基準として、好ましくは0.1~6.0重量%、より好ましくは0.25~5.0重量%、特に0.5~4.0重量%の範囲である。
【0091】
組成物は、好ましくは、サルフェートを含まない。
【0092】
従って、化粧品組成物は、好ましくは、特にアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート及びモノグリセリドサルフェート及びこれらの混合物からなる群のサルフェートを含まない。
【0093】
本明細書で使用される「含まない」という用語、例えば「サルフェートを含まない」は、対応する物質が組成物の重量に対して0.5重量%未満、特に0.1重量%未満、より詳細には0.05重量%未満の量でのみ存在することを意味するために使用される。好ましくは、「含まない」は、対応する物質が組成物中に完全に存在しないことを意味する。
【0094】
「サルフェートを含まない」という用語は、本明細書では、組成物が、式:
【化4】

の末端アニオン性基を有するいかなるアニオン性界面活性剤も含まないことを意味するために使用される。
【0095】
化粧品組成物は、好ましくは、カチオン性乳化剤を含まない。そのようなカチオン性乳化剤の典型的な例としては、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラルコニウムクロリド、ステアラミドエチルジエチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘノイルPG-トリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ベヘン酸ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ステアラミドプロピルジメチルアミン、コカミドプロピルPG-ジモニウムクロリド、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、シアバターアミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ブラシシルイソロイシンエシレート、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、リノールアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、イソステアリン酸ジメチルラウラミン、イソステアラミドプロピルラウリルアセトジモニウムクロリド、特にベヘントリウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド及びパルミタミドプロピルトリモニウムクロリドがある。
【0096】
化粧品組成物は、さらなるUVフィルターをさらに含み得る。さらなるUVフィルターは、固体又は液体であり得る。さらなるUVフィルターは、固体UVフィルターであることが好ましい。
【0097】
適切な液体有機UVフィルターは、UV(B)及び/又はUV(A)範囲の光を吸収し、周囲温度(すなわち25℃)で液体である。そのような液体UVフィルターは、当業者に周知であり、特に例えばメトキシケイ皮酸オクチル(PARSOL(登録商標)MCX)及びメトキシケイ皮酸イソアミル(Neo Heliopan(登録商標)E 1000)などのシンナメート、例えばホモサレート(3,3,5トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、PARSOL(登録商標)HMS)及びサリチル酸エチルヘキシル(別名サリチル酸エチルヘキシル、2-エチルヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、PARSOL(登録商標)EHS)などのサリチレート、例えばオクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、PARSOL(登録商標)340)及び2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチルなどのアクリレート、例えばジ(2-エチルヘキシル)4-メトキシベンザルマロネートのような、特にジアルキルベンザルマロネートなどのベンザルマロン酸のエステル並びにポリシリコーン15(PARSOL(登録商標)SLX)、例えばジエトキシヘキシル2,6-ナフタレート(Corapan(登録商標)TQ)などのナフタレートのジアルキルエステル、例えばジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート(Oxynex(登録商標)STリキッド)などのシリンギリデンマロネート並びにベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(Tinoguard(登録商標)TL)並びにベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンを包含する。
【0098】
特に有利な液体有機UVフィルターとしては、メトキシケイ皮酸オクチル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾフェノン-3、ドロメトリゾールトリシロキサン並びにこれらの混合物がある。
【0099】
好ましい実施形態では、液体UVフィルターは、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、ベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンからなる群から選択される液体UV(B)フィルターである。
【0100】
適切な固体有機UVフィルターは、UV(B)及び/又はUV(A)範囲の光を吸収し、周囲温度(すなわち25℃)で固体である。特に適した固体UVフィルターは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4-メチルベンジリデンカンファー及び1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2’-イル)ベンゼンからなる群のフィルターである。
【0101】
好ましい固体有機UV(A)フィルターは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びトリス-ビフェニルトリアジンからなる群から選択されるUV(A)フィルターである。
【0102】
好ましい固体有機UV(B)フィルターは、エチルヘキシルトリアゾン(=Uvinul(登録商標)T150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(=Uvasorb(登録商標)HEB)及び4-メチルベンジリデンカンファー(=Parsol(登録商標)5000)からなる群から選択されるUV(B)フィルターである。
【0103】
有機UVフィルターの総量は、標的とされるUV保護に強く依存する。
【0104】
固体有機UVフィルター、特に固体有機UV(A)フィルターの量は、0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%の範囲、最も好ましくは1~4重量%の範囲で選択されることが好ましい。
【0105】
固体有機UVフィルター、特に固体有機UV(B)フィルターの量は、0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%の範囲、最も好ましくは1~4重量%の範囲で選択されることがさらに好ましい。
【0106】
液体有機UVフィルター、特に液体有機UV(B)フィルターの量は、0.1~約10重量%の範囲、好ましくは0.5~12重量%の範囲、最も好ましくは1~10重量%の範囲で選択されることがなおさらに好ましい。
【0107】
化粧品組成物は、スキンケア産業で一般に使用される化粧品担体、賦形剤及び希釈剤並びに添加剤及び活性成分をさらに含み得、これらは、本発明の化粧品組成物に使用するのに好適なものであり、例えばオンラインのINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)によってアクセス可能なPersonal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary&Handbookに記載されているが、これらに限定されない。
【0108】
このような化粧品組成物の可能な成分は、例えば、保存料、酸化防止剤、脂肪性物質/油、増粘剤、軟化剤、遮光剤、保湿剤、芳香剤、界面活性助剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、カチオン性、非イオン性若しくは両性イオン性ポリマー又はこれらの混合物、酸化剤若しくは塩基性化剤、粘度調整剤並びに植物、果実エキス、糖誘導体及び/若しくはアミノ酸などの天然の毛髪栄養分又は化粧品組成物に通常処方される任意の他の成分の性能及び/又は消費者受容性を特に増強するものである。補助剤及び添加剤の必要とされる量は、当業者であれば所望の製品に基づいて容易に選択することができ、実施例に例示するが、これらに限定されない。
【0109】
本発明の全ての実施形態で特に好適な増粘剤は、キサンタンガム、ジェランガム及び/又はカルボキシメチルセルロースである。本発明の全ての実施形態で最も好ましい増粘剤は、キサンタンガム又はジェランガムである。
【0110】
このような増粘剤は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準として、0.1~1重量%の範囲から選択される量、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0111】
本発明による化粧品組成物は、一般に、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH及び最も好ましくは4~7.5の範囲のpHを有する。pHは、当技術分野における標準方法に従い、適切な酸、例えばクエン酸又は塩基、例えばNaOHを用いて、必要に応じて容易に調整することができる。
【0112】
化粧品組成物は、好ましくは、サルフェートを含まず、且つ/又はパラベン、及び/若しくはシリコーン油、及び/若しくはシリコーン界面活性剤を含まない。
【0113】
化粧品組成物は、好ましくは、局所用組成物である。
【0114】
本明細書で使用する場合、「局所用」という用語は、特に皮膚、頭皮、睫毛、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくは皮膚である角質物質に外用することを本明細書では意味することが理解される。
【0115】
局所用組成物は、局所適用が意図されているため、それらが生理学的に許容される溶媒、すなわち皮膚、粘膜及び角質線維などの角質物質と適合性のある溶媒を含むことが十分に理解される。特に、生理学的に許容される溶媒は、化粧品として許容される担体である。
【0116】
「化粧品として許容される担体」という用語は、特にサンケア製品などの化粧品組成物に慣習的に使用される全ての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0117】
好ましくは、化粧品組成物は、スキンケア製剤、化粧用製剤又は機能的製剤である。
【0118】
スキンケア製剤の例には、特に、光防御製剤、老化防止製剤、光老化を治療するための製剤、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、フェイス及び/又はボディ用保湿剤、日焼け用製剤(すなわちヒトの皮膚を人工的に/太陽光を使わず日焼け及び/又は褐色化させるための組成物)、例えばセルフタンニングクリーム並びに皮膚美白製剤がある。
【0119】
機能的製剤の例には、ホルモン製剤、ビタミン製剤、野菜エキス製剤及び/又は老化防止製剤などの活性成分を含有する化粧品組成物又は医薬組成物があるが、これらに限定されない。
【0120】
化粧品組成物は、好ましくは、スキンケア組成物である。
【0121】
最も好ましい実施形態では、化粧品組成物は、サンケア組成物である。サンケア組成物は、SPF(日焼け防止指数)を備えた日焼け防止乳液、日焼け防止ローション、日焼け防止クリーム、日焼け防止オイル、日焼け止めクリーム又はデイケアクリームなどの光防御製剤(サンケア製品)である。特に関心が高いのは、日焼け防止クリーム、日焼け防止ローション、日焼け防止乳液及び日焼け防止製剤である。
【0122】
化粧品組成物は、改善された知覚特性、特に改善された余韻を有し、前記脂肪酸とデキストリンとのエステルを含まず、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含まず、特に任意のシリコーン油を含まない対応する化粧品組成物と比較して、可溶化されたより多くの量の式(I)のUVフィルターを有することができる。
【0123】
式(I)のUVフィルターは、脂肪酸とデキストリンとのエステルを添加することにより、液体飽和C8~C30アルカン中でより良好に可溶化できることが観察されている。
【0124】
いずれの成分も生物由来のものから利用可能であるため、持続可能な方法でこの改善を達成することが可能であり、このことは本発明の大きい利点である。
【0125】
従って、さらなる態様では、本発明は、液体飽和C8~C30アルカン、特に分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカン中の固体有機UVフィルターの可溶性を向上させるための、脂肪酸とデキストリンとのエステルの添加の使用に関する。
【0126】
液体飽和C8~C30アルカンは、特に、C8~C30鉱物油、デカン、ウンデカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、スクアレン(=2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン)、ファルネサン(=2,6,10-トリメチルドデカン)、ドデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソオクタデカン、イソノナンデカン並びに分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカン、特に上記で非常に詳細に説明したような分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンからなる群から選択される。
【0127】
式(I)のUVフィルターを特に脂肪酸とデキストリンとのエステル並びに分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と組み合わせることにより、式(I)のUVフィルターを化粧品組成物中でより良好に可溶化できることが観察されている。
【0128】
従って、さらなる態様では、本発明は、式(I)
【化5】

のUVフィルターを脂肪酸とデキストリンとのエステル並びに分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と組み合わせることにより、化粧品組成物中の式(I)のUVフィルターの可溶性を向上させる方法に関する。
【0129】
[実施例]
本発明を以下の実験によってさらに説明する。
【0130】
[化粧品組成物及びベモトリジノールの可溶性]
[プレミックスの調製]
実施例1及び2において、パルミチン酸デキストリンをC15~C19アルカンの一部と予め混合し、プレミックス(25重量%のパルミチン酸デキストリン)を形成した。
【0131】
次いで、前記プレミックスを、UVフィルター及びC15~19アルカンの残りとマグネチックスターラーによって80Cで混合し、まったく撹拌せずに25℃まで冷却させた。この溶液を25℃で1週間保存した後、試料をフラスコの底からピペットで採取し、顕微鏡下で観察した(顕微鏡Zeiss AX-10、偏光下、倍率×100、カメラDeltapix Invenio 5D)。顕微鏡写真を図1~4に示す。
【0132】
粘度は、40mmのプレートを使用し、剪断力10/秒のTA InstrumentsのレオメーターAR550上で、25℃で測定した。
【0133】
【表1】
【0134】
C15~19単独(参考1)又はポリウレタン系増粘剤(参考2)中では、UVフィルターが可溶化できなかったことが示された。いずれの場合にも、フラスコの底にかなりの量のUVフィルターの結晶が見られた(図1、2を参照されたい)。
【0135】
実施例1及び2の場合、UVフィルターが良好に可溶化され、(2)では結晶がなく(図4を参照されたい)、(1)ではほとんど結晶がない(図3を参照されたい)ことがそれぞれ観察された。いずれの場合にも、ゲルが形成され、1’500mPa・s超の粘度が観察された。
図1-4】
【国際調査報告】