(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】アンテナを有する加熱可能な車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531002
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021027698
(87)【国際公開番号】W WO2022108616
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522076387
【氏名又は名称】ピッツバーグ グラス ワークス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】ダイ デヴィッド
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA12
5J046AB08
5J046LA01
5J046LA09
5J046LA14
(57)【要約】
加熱バスバー、バスバー延長部及びIR反射コーティングの周縁の間に設けられた加熱可能車両窓ガラスにおけるスロットアンテナ。アンテナスロットは、電圧源、電流源、又は結合コプレナーラインにより、マルチバンドアンテナ用途の基本モードと高次モードの両方を励起する位置にて直接給電することができる。スロットアンテナは、熱損失を制限し且つアンテナ効率を向上させる分割バスバー又は分割バスバーエクステンションの間に設けることができる。マルチバンド用途及び/又はダイバーシティアンテナシステムのために、複数のアンテナを加熱可能窓ガラスに統合することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に加熱可能で且つフレームに受入れ可能である窓ガラスであって、前記窓ガラスが前記フレームに受入れされた時に、前記フレームと協働してアンテナを定めるようにする窓ガラスにおいて、
周縁内に構成された主面を有する透明体シートと、
前記透明体シートの主面上に位置する導電性コーティングと、
前記導電性コーティングの導電率よりも大きい導電率を有し且つ前記透明体シートの周縁の第1の部分に隣接して前記導電性コーティングに接触する第1のバスバーと、
前記導電性コーティングの導電率よりも大きい導電率を有し且つ前記透明体シートの周縁の第2の部分に隣接して前記導電性コーティングに接触する第2のバスバーと、を有し、前記透明体シートの周縁の第2の部分は、前記透明体シートの周縁の第1の部分に対して前記透明体シートの反対側に位置し、
更に、前記第2のバスバー内の直流電流及び前記導電性コーティング内の直流電流から電気的に絶縁され且つ前記第1のバスバーと前記透明体シートの周縁の第2の部分との間に位置する第1の部分と、前記透明体シートの周縁の第2の部分に隣接して位置する第2の部分を有する第1の導電性部材と、
前記第2のバスバー内の直流電流及び前記導電性コーティング内の直流電流から電気的に絶縁され且つ前記第1のバスバーと前記透明体シートの周縁の第2の部分との間に位置する第1の部分と、前記透明体シートの周縁の第2の部分に隣接して位置する第2の部分を有する第2の導電性部材と、
互いに反対側に配置された側部を有する前記導電性コーティングのスロットと、を有し、前記スロットの一方の側部は、前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材の一方によって構成され、前記スロットのもう一方の側部は、前記スロットの一方の側部の反対側に配置され、前記導電性コーティングの縁の一部分によって構成され、前記スロットは、前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材の一方、前記フレーム、及び前記導電性コーティングと協働してスロットアンテナを構成する長さ及び幅を有し、
更に、前記第1のバスバー及び前記第2のバスバーに電気的に接続され且つ前記透明体シートの周縁の第2の部分の外側に延びるアンテナ給電コネクタと、を有する窓ガラス。
【請求項2】
前記第1のバスバー、前記第2のバスバー、前記第1の導電性部材、及び前記第2の導電性部材は、前記透明体シートの周縁に隣接した位置で前記透明体シートに接合され、前記スロットアンテナがRF周波数で前記フレームに容量結合されるように前記フレームに重なり、前記導電性コーティング、前記第1のバスバー、前記第2のバスバー、前記第1の導電性部材、及び前記第2の導電性部材は、前記フレームと協働してRF周波数における接地平面を構成する、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項3】
前記導電性コーティングの第1のスロットラインにより、前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材を、前記導電性コーティングの中を流れる直流電流及び前記第2のバスバーの中を流れる直流電流から絶縁する、請求項2に記載の窓ガラス。
【請求項4】
前記第1のスロットラインは、0.05mm~0.2mmの範囲の、好ましくは0.08mm~0.1mmの範囲の幅を有する、請求項2に記載の窓ガラス。
【請求項5】
前記導電性コーティングは、前記導電性コーティングの第1のスロットラインを横切る容量結合を通して、RF周波数において前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材にRF周波数で電気的に接続される、請求項3に記載の窓ガラス。
【請求項6】
前記導電性コーティングの一部分が、前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材の少なくとも一方の第1の縁に隣接して除去されて、前記スロットアンテナを構成し、前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材の少なくとも一方は、前記導電性コーティングの縁に面する第1の縁を有し、それにより、前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材の少なくとも一方の前記第1の縁の一部分が、前記スロットアンテナの一方の面を構成し、前記導電性コーティングの周縁の一部分が、前記スロットアンテナの反対側の面を構成する、請求項5に記載の窓ガラス。
【請求項7】
前記スロットアンテナは、同軸ケーブルによって給電され、前記同軸ケーブルの外側導体は、前記フレームに電気的に接続され、且つ、前記第1の導電性部材又は前記第2の導電性部材に容量結合によって接続され、前記同軸ケーブルの中心導体は、前記導電性コーティングの周縁に位置するアンテナ給電パッドに接続される、請求項6に記載の窓ガラス。
【請求項8】
前記スロットアンテナは、同軸ケーブルによって給電され、前記同軸ケーブルの外側導体は、前記フレームに電気的に接続され、且つ、前記第1の導電性部材又は前記第2の導電性部材に容量結合によって接続され、前記同軸ケーブルの中心導体は、前記導電性コーティングの周縁に位置する第1のアンテナ給電パッドに接続され、前記導電性コーティングの周縁に位置する第2のアンテナ給電パッドに接続される、請求項6に記載の窓ガラス。
【請求項9】
前記第1のスロットラインは、前記第1のアンテナ給電パッド又は前記第2のアンテナ給電パッドを前記導電性コーティングの直流電流から電気的に絶縁し、前記第1のアンテナ給電パッド又は前記第2のアンテナ給電パッドは、容量結合によってRF周波数で前記導電性コーティングに電気的に接続される、請求項8に記載の窓ガラス。
【請求項10】
更に、第2のスロットラインを前記導電性コーティングに含み、前記第2のスロットラインは、前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁の前記一部分と前記第2のスロットラインとが交差する第1の箇所において、第1の端部を有し、また、前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁の前記一部分と前記第2のスロットラインとが交差する第2の箇所において、第2の端部を有し、
前記第1のアンテナ給電パッド又は前記第2のアンテナ給電パッドの何れかは、前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁に位置し且つ前記第2のスロットラインの第1の端部と第2の端部の間に位置し、その結果、前記第2のスロットラインは、前記第1のアンテナ給電パッドと前記第2のアンテナ給電パッドの間の前記導電性コーティングのコールドスポットを緩和し、また、前記第1のアンテナ給電パッド及び前記第2のアンテナ給電パッドに隣接して位置する前記導電性コーティングのホットスポットを緩和する、請求項6に記載の窓ガラス。
【請求項11】
前記第1のアンテナ給電パッド及び前記第2のアンテナ給電パッドは、前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁に位置し、
更に、第2のスロットラインを前記導電性コーティングに含み、前記第2のスロットラインは、前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁の前記一部分と第2のスロットラインとが交差する箇所において、第1の端部を有し、前記第2のスロットラインの第1の端部は、前記第1のアンテナ給電パッドと前記第2のアンテナ給電パッドの間にある前記スロットアンテナの側部の外側に位置し、前記第2のスロットラインは更に、前記第1のアンテナ給電パッド及び前記第2のアンテナ給電パッドから等距離の箇所において前記導電性コーティング内で終端する第2の端部を有し、その結果、前記第2のスロットラインは、前記第1の端部と前記第2の端部の間にL字形パターンを構成する、請求項6に記載の窓ガラス。
【請求項12】
前記L字形の第2のスロットラインは、前記第1のアンテナ給電パッドにおける電圧電位が前記第2のアンテナ給電パッドにおける電圧電位と同等になるように、前記第2のスロットラインの周りで前記導電性コーティングの中を流れる直流電流をバイアスする、請求項11に記載の窓ガラス。
【請求項13】
前記スロットアンテナは、前記第1の導電性部材の縁と前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁の間で横方向に間隔をあけた結合コプレナーラインによって給電され、又は、
結合コプレナーラインは、前記第2の導電性部材の縁と前記スロットアンテナの反対側の側部を構成する前記導電性コーティングの周縁の間で横方向に間隔あけている、請求項6に記載の窓ガラス。
【請求項14】
前記同軸ケーブルの外側導体は、前記第1の導電性部材又は前記第2の導電性部材に接続され、
前記同軸ケーブルの中心導体は、前記アンテナスロット内で延長され且つコイル巻きされ、前記第1の導電性部材又は前記第2の導電性部材に戻って接続され、前記スロットアンテナを磁気結合によって励起するループを前記中心導体内に形成する、請求項6に記載の窓ガラス。
【請求項15】
前記アンテナ給電コネクタは、更に、窓ガラス積層体の内側に位置する第1の導電トレース部と、前記窓ガラス積層体の外側に位置する第2の導電トレース部を含み、
前記第1の導電トレース部は、前記第1のアンテナ給電パッド及び前記第2のアンテナ給電パッドの少なくとも一方に接続される一端を有し、
前記第2の導電トレース部は、前記第1の導電トレース部に電気的に接続され、前記第1の導電トレース部の断面積よりも大きい断面積を有する、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項16】
前記第1の導電トレース部は、前記アンテナ給電コネクタと前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材との間の容量結合を低減させ、前記スロットアンテナのインピーダンス整合を改善する、請求項15に記載の窓ガラス。
【請求項17】
前記第2の導電トレース部は、前記アンテナ給電コネクタと前記フレームの間の容量結合を増大させ、前記スロットアンテナのインピーダンス整合を改善する、請求項15に記載の窓ガラス。
【請求項18】
前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材の少なくとも一方は、2つの分岐部を有し、前記2つの分岐部の間にスプリットが構成され、前記2つの分岐部は、それらの間にスロットアンテナを形成するように協働する、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項19】
前記第1の導電性部材の分岐部又は前記第2の導電性部材の分岐部は、前記導電性コーティングよりも高い導電率を有する、請求項18に記載の窓ガラス。
【請求項20】
前記スロットアンテナの電流は、前記2つの分岐部に集中する、請求項19に記載の窓ガラス。
【請求項21】
前記分岐部は、電流によって生じた抵抗損失を減少させることによって、前記スロットアンテナの効率を向上させる、請求項20に記載の窓ガラス。
【請求項22】
前記第1のバスバー及び前記第2のバスバーの少なくとも一方は、2つのサブバスに分割され、分割された前記2つのサブバスは、それらの間にスロットアンテナを構成する、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項23】
多数の分割された前サブバスは、多数のスロットアンテナを形成するように前記窓ガラス内のそれぞれの箇所に位置し、アンテナダイバーシティシステムを構成するために、前記スロットアンテナの作動周波数の波長に従って測定された少なくともλ/4波長、互いに離れたところに位置する、請求項22に記載の窓ガラス。
【請求項24】
分割された前記サブバスのスロットアンテナは、DAB及びTV周波数を含むUHFアンテナに使用される、請求項23に記載の窓ガラス。
【請求項25】
前記アンテナスロットは、前記透明体シートを前記フレームに結合する接着剤が前記スロットアンテナの性能に影響を与えないように、前記透明体シートの周縁から横方向に間隔をあけて位置する、請求項24に記載の窓ガラス。
【請求項26】
前記スロットアンテナは、商業生産中の公差の制御を可能にする、請求項25に記載の窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的には、無線周波数(「RF」)アンテナに関し、より詳細には、電気的に加熱可能なコーティング面を有する自動車用窓ガラスと関連して形成された、無線信号を送信したり受信したりするためのアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線(IR)放射を制御するために金属フィルムの透明層でコーティングされた窓ガラスは、現代の建物及び車両等の多種多様な適用例に使用される。金属コーティングは、太陽光エネルギーを反射することによって、建物及び車両のための良好な断熱を行い、それにより、可視スペクトルの光に対して透明でありながら、室内の温度上昇を制限する。加えて、金属コーティングに印加されたDC電圧に応答して窓を横切るDC電流の流れを可能にするために、窓ガラスの透明な金属フィルムを、車両の窓に使用してもよい。かかる実施形態は、典型的には、窓の霜取り(即ち、雪及び氷の融解)又は曇り除去に使用される。
【0003】
フロントガラス、サイドウインドウ及びリアウインドウ等の自動車の透明体は、しばしば、AM、FM、TV、DAB、電話、RKE等の無線周波数の波を受信したり送信したりするアンテナを組込んでいる。これらのアンテナは、透明体の上にシルクスクリーンされた銀又は銅等のラインによって、又は、透明体に取付けられた金属ワイヤ又はストリップによって形成される。金属コーティング窓を使用することの結果の1つは、窓を通過するRF信号の伝播を減衰させる傾向があることである。その結果、熱負荷を低減するために金属コーティング窓を使用している建物、車両、その他の構造物の中への及びその外部への無線通信が制限されることがある。金属コーティングが、窓を通過する信号の伝搬を妨害する適用例に対する1つの解決策は、アンテナを妨害する金属コーティングの一部分を除去することであった。金属コーティングの除去は、金属コーティングを除去した部分を通過するRF信号の伝送を容易にする。しかしながら、金属コーティングの除去は、車両の内部に透過する太陽光エネルギーを増大させことがあり、それにより、車両の温度を上昇させる。また、金属コーティングが窓ガラスを加熱するために使用されている窓ガラスでは、金属コーティングの除去は、直流電流の流れを偏らせたり遮断したりしおそれや、非加熱ゾーンを作り出すおそれがある。
【0004】
また、窓ガラスの金属コーティングは、アンテナを、金属コーティングされた窓に組込むために使用されてきた。窓の金属フレームと透明体の導電性透明フィルム又はコーティングの間に形成される1/4波長又は1/2波長のスロットアンテナの作動理論に基づくアンテナが提案された。例えば、特許文献1~4は、車両の窓の上の薄いフィルムによって形成される様々なアンテナ形状を示している。特許文献5~9はまた、他のスロットアンテナ構造を開示されている。
【0005】
概略的には、透明体の透明な導電性コーティングに電流を流すために、電圧源が、加熱される透明体の領域の両側に位置する1対の高導電性バスバーを介して導電性コーティングに接続される。バスバーは、コーティングよりも高い導電率を有するので、電流は、加熱すべき領域全体にわたって均一に流れる。Lotterer及びBernhardtによる特許文献10は、加熱装置によって部分的に加熱され且つ窓の非加熱部分を電磁波の送受信のためのアンテナとして利用するモーター車両用窓を開示している。特許文献11は、アンテナを有し且つ電気的に加熱される窓を説明している。アンテナは、2箇所で給電され、一方は、加熱可能なコーティングに直接接続された頂部給電部であり、もう一方は、加熱パネルに容量結合された底部給電部である。特許文献12は、電気的に加熱可能な窓を説明しており、窓は、コーティングの一方の側に接続されたアンテナ素子と、アンテナ給電素子によって容量給電されるアンテナを有する。Kagayaによる特許文献13も、アンテナを有し且つ電気的に加熱される窓を開示している。アンテナは、加熱バス延長部に容量結合された導電性パッチに取付けられた伝送ラインを含む。
【0006】
従来技術で開示されたアンテナは、スロットアンテナの概念を用いている。スロットアンテナは、窓の金属フレームと、窓に接合された導電性透明フィルム層又はコーティングの側縁の間に形成される。スロットアンテナは、加熱用バスバーがないコーティングの側に位置してきた。これらの設計では、バスバーは、透明体の両側の縁に且つ平行に実質的に構成される。例えば、バスバーが透明体の頂部と底部に位置しているとき、アンテナは透明体の側部に位置決めされる。横に並んだ加熱用バスの構成の場合、アンテナは、透明体の頂部及び底部に位置してきた。別々の電気リードが、透明体の両側の縁のバスバーの各々に取付けられる。窓ガラスを車両に組込むとき、この設計は、プラス電源及びマイナス電源への電気リードの各々に対して別の接続を必要とする。
【0007】
両方の電気リードを透明体の同じ側に且つ、好ましくは、互いに密接に隣接させて位置させることにより、車両への透明体の組込みを容易し、透明体を電源に電気的に接続することを簡単にすることが可能である。しかしながら、そのような設計において、バスバーは、本質的には、透明体の4つの全ての側部に位置する導電性ストリップであり、その結果、バスバーは、窓フレームに重なる。このようにバスバーを構成すると、窓の金属フレームと導電性透明フィルム層又はコーティングの側縁の間に位置するアンテナスロットを短絡させるであろう。このことは、バスバーのレイアウトに利用できるガラスの縁部の近くの領域が極めて限定されたところにしかない車両のフロントガラスで特に問題である。かくして、従来のスロットアンテナは、加熱可能な窓に使用されていない。
【0008】
更に、窓フレームと透明体の導電性透明フィルム層又はコーティングの側縁の間に形成されるスロットをアンテナとして使用するとき、透明体は、スロットの中間にある環状のシール部材によって窓フレームに接合される。環状のシール部材は、それがスロットアンテナに負荷を与えないように非導電性材料でなければならない。従って、環状のシール部材の厚さ及び位置、ガラスに対するコーティングの相対位置、及びガラスと窓フレームの間の位置は、スロットアンテナの性能に影響を及ぼす。商業生産プロセスの間、このような変数の厳密な公差を適切に制御することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,849,766号明細書
【特許文献2】米国特許第4,768,037号明細書
【特許文献3】米国特許第5,670,966号明細書
【特許文献4】米国特許第4,864,316号明細書
【特許文献5】米国特許第4,707,700号明細書
【特許文献6】米国特許第5,355,144号明細書
【特許文献7】米国特許第5,898,407号明細書
【特許文献8】米国特許第7,764,239号明細書
【特許文献9】米国特許第9,337,525号明細書
【特許文献10】欧州(ドイツ)特許10 2012 008 033号明細書
【特許文献11】米国特許第10,347,964号明細書
【特許文献12】米国特許第9,647,319号明細書
【特許文献13】米国特許第10,638,548号明細書
【特許文献14】米国特許第3,655,545号明細書
【特許文献15】米国特許第3,962,488号明細書
【特許文献16】米国特許第4,898,789号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、上述した問題を解決するアンテナ、特に、電気的に加熱可能な赤外線反射窓に隠されたアンテナを提供することが有利である。本明細書に開示したスロットアンテナは、窓フレームをスロットの1つの縁として積極的に使用していない。アンテナは、システム性能要件を満たし、熱反射コーティングの全ての太陽光の利点及び優れた美観を監視する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に開示した窓ガラスでは、車両適用例における使用に適したスロットアンテナは、加熱機能を含む。開示した窓ガラスは、様々なアンテナ給電構造を含み、アンテナ性能及びアンテナ位置に関して改善された安定性及び柔軟性をもたらす。スロットアンテナは、熱反射コーティング並びに除霜、解氷、及び曇り止めのための窓加熱機能の利点と優れた美観を維持しながら、VHF及びUHFバンドにおける性能の向上をもたらす。
【0012】
スロットアンテナは、加熱バスバーと透明体上の導電性透明フィルム又はコーティングとの間に形成される。窓ガラスでは、透明体の同じ縁部に沿って及び互いに密接に隣接して配置される電気端子を有することが望ましい。バスバーは、透明体の加熱される領域の両側に沿って配置される。第1のバスバーは、端子位置に近くすることができ、第2のバスバーは端子位置から離れた窓ガラスの反対側にあることができる。本明細書に開示した窓ガラスでは、第2のバスバーは、第2のバスバーの両端部から透明体の両端部に沿って高導電性部材を延ばすことによって電気回路に接続されている。延長された導電部材は、導電部材の近傍のレーザー消去ラインによって透明体上の導電コーティングから絶縁される。DC電圧が電気端子に印加されると、電流が透明体の表面の導電性コーティングを通って流れて、窓ガラスを加熱する。電流がコーティングを通って進まない場合、コーティングは、窓ガラスを通過する赤外線を制限するソーラーコントロールコーティングとして引き続き機能する。導電性部材は、フロントガラスフレームに重なり、アンテナの作動周波数では、容量結合を通じて車両ボディに電気的に接続される。スロットアンテナは、導電部材に隣接する周辺エリアにおいて導電コーティングを除去することにより作られる。スロット寸法は、関心のある周波数バンド内で基本波モード及び高次モードをサポートするように設計される。好ましくは、スロットの全長は、基本波モードに対しては2分の1波長に等しく、第1の高次励振モードに対しては1波長に等しい。
【0013】
スロットアンテナは、スロットの両側の縁に接続される平衡並列伝送ライン又はスロットの両側の縁に電気的に接続される同軸伝送ラインのような電圧源によって励起することができる。スロットアンテナはまた、コプレナーラインプローブによって給電することができる。この場合、内部導体はスロットの中心に沿って延長されてコプレナー伝送ラインを形成し、効果的に容量性電圧給電を行う。スロットアンテナは、磁気結合によってスロットアンテナを励起するループ状の同軸ケーブル端部などの電流源によって励起することができる。スロットアンテナに加えられるエネルギーにより、窓ガラスの導電性コーティング及び導電部材に電流が流れる。電流はスロットの縁部に限定されず、導電膜及び導電部材にわたって広がる。次いで、導電シート及び導電部材の縁部及び側部から放射が発生する。
【0014】
従来、スロットアンテナは、フロントガラスフレームと透明体上の導電性透明フィルム層又はコーティングの側縁との間に位置するスロットを採用してきた。透明体は、スロットの中央にある環状のシール部材によってフロントガラスフレームに接合されている。しかしながら、環状シール部材は誘電材料であり、スロットアンテナに負荷を与える可能性がある。従って、環状シール部材の厚さ及び位置、ガラス上のコーティングの相対位置、ガラスとフロントガラスフレームの間の位置は、全てスロットアンテナの性能に影響する。これら変数全てに関する公差は、大量生産では制御が難しい。更に、従来のスロットアンテナを機能させるためには、透明体をフロントガラスフレームに接合させるために、高コストの非導電性接着剤を使用しなければならない。本明細書に開示した窓ガラスでは、スロットアンテナの位置を環状シール部材からシフトさせ、導電性部材と導電性コーティングの縁との間の窓ガラスの部分に近づけている。これにより、大量生産における公差制御が改善され、フロントガラス接合に低コストの接着剤を使用することで、顧客にとって更なるコスト削減の利点が得られる。
【0015】
開示された発明によれば、フレームに受入れ可能な電気加熱可能な窓ガラスは、フレームと協働してアンテナを定める。窓ガラスは、周縁の内側に定められる主面を有する透明体シートを含む。透明体シートの主面には導電性コーティングが施されている。第1のバスバーは、導電性コーティングの導電性よりも大きな導電性を有する。第1のバスバーは、透明体シートの周縁の第1の部分に隣接して導電性コーティングに接触する。コーティングの導電率よりも大きい導電率を有する第2のバスバーが、前記透明体シートの前記周縁の第2の部分に隣接して導電性コーティングに接触する。前記透明体シートの前記周縁の第2の部分は、前記透明体シートの前記周縁の第1の部分とは透明体シート上で両反対側に配置される。また、窓ガラスは、第2のバスバー内の直流電流及び導電性コーティング内の直流電流から電気的に絶縁された第1の導電性部材を含む。第1の導電性部材は、第1のバスバーと透明体シートの周縁の第2の部分との間に位置する第1の部分を有する。第1の導電性部材はまた、透明体シートの周縁の第2の部分に隣接して位置する第2の部分を有する。第2の導電性部材は、第2のバスバー内の直流電流及び導電性コーティング内の直流電流から電気的に絶縁されている。第2の導電性部材は、第1のバスバーと透明体シートの周縁の第2の部分との間に位置する第1の部分を有する。第2の導電性部材は、透明体シートの周縁の第2の部分に隣接して位置する第2の部分も有する。窓ガラスにおけるアンテナスロットは、アンテナスロットの一方の側が第1の又は第2の導電性部材によって定められ、反対側に配置された側部を有する。アンテナスロットの第2の側部は、スロットの一方の側とは反対側に配置され、導電性コーティングの周縁の一部分によって定められる。アンテナスロットは、第1の又は第2の導電性部材の一方、フレーム、及び導電性コーティングと協働してスロットアンテナを定めるような長さ及び幅を有する。電気リード線は第1及び第2のバスバーに接続され、透明体シートの周縁の第2の部分から延びている。窓ガラスには、スロットアンテナに電気的に接続されるアンテナ給電コネクタも含まれる。
【0016】
好ましくは、第1及び第2のバスバー並びに第1及び第2の導電性部材は、透明体シートの周縁に隣接する位置で窓ガラスの透明体シートに接合される。第1及び第2のバスバー並びに第1及び第2の導電性部材は、RF周波数においてスロットアンテナがフレームに容量結合されるようにフレームに重なる。導電性コーティング、第1及び第2のバスバー、並びに第1及び第2の導電部材は、フレームと協働して、RF周波数において接地平面を定める。
【0017】
また好ましくは、導電性コーティングにおける第1のスロットラインは、導電性コーティングの中を流れる直流電流及び第2のバスバーの中を流れる直流電流から第1及び第2の導電部材を絶縁する。第1のスロットラインは、0.05mm~0.2mmの範囲、好ましくは0.08mm~0.1mmの範囲の幅を有することができる。導電性コーティングは、導電性コーティングの第1のスロットラインを横切る容量結合を介して、RF周波数で第1及び第2の導電部材に電気的に接続される。
【0018】
幾つかの実施形態において、導電性コーティングの一部分は、スロットアンテナを定めるために、第1及び第2の導電性部材の少なくとも一方の第1の縁に隣接して除去されるか又は存在しない。第1及び第2の導電性部材の少なくとも一方は、第1及び第2の導電性部材の少なくとも一方の第1の縁の一部分がスロットアンテナの一方の側部を定め、導電性コーティングの外側又は周縁の一部分が、スロットアンテナの反対側の側部を定めるように、導電性コーティングに面する第1の縁を有する。
【0019】
特定の実施形態では、スロットアンテナは同軸ケーブルによって給電され、同軸ケーブルの外側導体はフレームに電気的に接続され、及び容量結合された第1の又は第2の導電性部材にも電気的に接続される。同軸ケーブルの中心導体は、導電性コーティングの周縁又は側部外縁に設けられた少なくとも1つのアンテナ給電パッドに接続されている。
【0020】
幾つかの実施形態では、窓ガラスのスロットアンテナは、同軸ケーブルによって給電され、同軸ケーブルの外側導体は、フレームに電気的に接続され、及び容量結合された第1の又は第2の導電性部材にも電気的に接続される。同軸ケーブルの中心導体は、導電性コーティングの周縁にある第1のアンテナ給電パッドに接続され、及び同じく導電性コーティングの周縁にある第2のアンテナ給電パッドに接続されている。
【0021】
本明細書に開示された発明によれば、第2のスロットラインは、第1のアンテナ給電パッド又は第2のアンテナ給電パッドを導電性コーティング内の直流電流から電気的に絶縁する。第1のアンテナ給電パッド又は第2のアンテナ給電パッドは容量結合されたRF周波数で導電性コーティングに電気的に接続される。
【0022】
開示した窓ガラスの実施形態は、導電性コーティングにおいて、第2のスロットがアンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの側部外縁の一部分と交差する位置で第1の端部を定める第2のスロットラインを含むことができる。第2のスロットラインは更に、第2のスロットラインがアンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの側部外縁の一部分と交差する第2の位置で第2の端部を定める。第1のアンテナ給電パッド又は第2のアンテナ給電パッドの何れかは、アンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの周縁の部分に位置し、及び第2のスロットラインの第1の端部と第2の端部との間にも位置する。このようにして、第2のスロットラインは、第1のアンテナ給電パッドと第2のアンテナ給電パッドとの間の導電性コーティング上のコールドスポットを緩和し、及び、第1のアンテナ給電パッドに隣接し、第2のアンテナ給電パッドに隣接する導電性コーティング上のホットスポットを緩和する。
【0023】
幾つかの実施形態では、第1のアンテナ給電パッド及び第2のアンテナ給電パッドは、アンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの側部外縁に位置する。窓ガラスは導電性コーティングにおいて第2のスロットラインを更に含む。第2のスロットラインは、アンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの周縁の一部分と交差する位置に第1の端部を定める。また、第1の端部は、導電性コーティングの周縁のうち、第1のアンテナ給電パッドと第2のアンテナ給電パッドとの間に位置する部分の外側に位置する。第2のスロットラインは更に、第2のスロットが第2のスロットラインの第1の端部と第2の端部との間で「L字形」パターンを定めるように、第1のアンテナ給電パッド及び第2のアンテナ給電パッドから等距離にある位置で導電性コーティング内で終端する第2の端部を定める。「L字形」の第2のスロットラインは、第1のアンテナ給電パッドにおける電圧電位が第2のアンテナ給電パッドにおける電圧電位と等価になる傾向があるように、第2のスロットラインの周りの前記導電性コーティングの中を流れる直流電流をバイアスする。
【0024】
窓ガラスの幾つかの実施形態では、スロットアンテナは、第1の導電性部材の縁とアンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの周縁との中間に横方向に間隔を置いた結合コプレナーラインによって給電される。結合コプレナーラインはまた、第2の導電性部材の周縁とアンテナスロットの反対側の側部を定める導電性コーティングの周縁との中間に横方向に間隔をあけて配置することができる。
【0025】
開示した窓ガラスの実施形態において、同軸ケーブルの外側導体は、第1の導電性部材又は第2の導電性部材に接続される。同軸ケーブルの中心導体は、アンテナスロット内で延長されてコイル状に巻かれ、第1の導電性部材又は第2の導電性部材に再び接続され、磁気結合によりスロットアンテナを励起するループを中心導体に形成する。
【0026】
開示した窓ガラスの幾つかの実施形態では、アンテナ給電コネクタが、窓ガラスの積層体の内側に位置する第1の導電トレース部を更に含むことが好ましいとすることができる。第1の導電トレース部の一方の端部は、第2のアンテナ給電パッドの第1のアンテナ給電パッドの少なくとも一方に接続される。アンテナ給電コネクタの第2の導電トレース部は、少なくとも部分的に窓ガラスラミネートの外側に位置する。第2の導電トレース部は、第1の導電トレース部の断面の面積よりも大きな面積を有する断面を有する。第1の導電トレース部は、アンテナ給電コネクタと第1及び第2の導電性部材との間の容量結合を低減し、スロットアンテナのインピーダンス整合を改善することができる。第2の導電トレース部は、アンテナ給電コネクタとフレームとの間の容量結合を増加させ、スロットアンテナのインピーダンス整合を改善する。
【0027】
開示した窓ガラスの幾つかの実施形態は、2つの分岐部間を定める第1の導電性部材及び第2の導電性部材の少なくとも一方を有することができる。この窓ガラスでは、2つの分岐部は協働して、2つの分岐部の間にスロットアンテナを形成する。第1の導電部材の分岐部又は第2の導電部材の分岐部は、導電性コーティングの導電性よりも高い導電性を有する。スロットアンテナの電流は2つの分岐部に集中することができる。分岐部は、電流に起因する抵抗損失を低減することにより、スロットアンテナの効率を向上させることができる。幾つかの実施形態では、第1のバスバー又は第2のバスバーの少なくとも一方は、サブバスが2つのサブバスの間にスプリットサブバスのスロットアンテナを定めるように、2つのサブバスに分割することができる。開示した窓ガラスの幾つかの実施形態では、複数のスプリットサブバスが窓ガラス内のそれぞれの複数の位置に配置され、それぞれの複数のスロットアンテナを形成する。好ましくは、スプリットサブバスは、アンテナダイバーシティシステムを提供するために、窓ガラスの作動周波数の波長に対して少なくともλ/4波長離れて配置される。
【0028】
開示した窓ガラスの幾つかの例では、分割バスバー上のスロットアンテナは、DAB及びTV周波数を含むUHFアンテナに使用される。アンテナスロットは、透明体シートをフレームに結合する接着剤がスロットアンテナの性能に影響を与えないように、透明体シートの周縁から離間することができる。開示した窓ガラスの好ましい実施形態は、商業生産中の公差の制御を可能にするスロットアンテナを有することができる。
【0029】
本発明の利点は、暖房用バスバー及びアンテナ構造を隠すためのスペースが極めて限られている自動車用フロントガラスにとって特に重要である。このような用途は、典型的には加熱式自動車フロントガラスであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
開示した本発明をより完全に理解するために、次に、添付の図面においてより詳細に図示され、本発明の実施例によって以下に説明される実施形態を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本明細書に開示した発明の特徴を組込んだ自動車用フロントガラスの平面図である。
【
図2】
図1の線A-Aにおける部分分解断面図である。
【
図3】外側のガラスを省略し且つ本発明のバスバー配列の好ましい実施形態を組込んだフロントガラスの平面図である。
【
図4】スロットアンテナをフロントガラスの各側部に形成した、本明細書に開示し窓ガラスの特徴を組込んだ窓ガラスの実施形態の概略図である。
【
図5】DC絶縁のための第1のスロットと導電性コーティングの極端な温度を制御する第2のスロットを用いてスロットアンテナを2つの箇所で給電する、本明細書に開示した窓ガラスの特徴を組込んだ窓ガラスの別の実施形態の図である。
【
図6】DC絶縁のためのL字形スロットを用いてスロットアンテナを2つの箇所で給電する、本明細書に開示した窓ガラスの特徴を組込んだ窓ガラスの別の実施形態の図である。
【
図7】スロットアンテナを窓ガラスの各側部に形成した、本明細書に開示した窓ガラスの特徴を組込んだ窓ガラスの別の実施形態の図である。
【
図8】470MHzから690MHzの共振周波数バンドにわたるリターン損失を示す、車両の窓ガラスの1つの実施形態のアンテナリターン損失のシミュレーションされたプロット図である。
【
図9】2つの異なるアンテナコネクタの垂直偏波における470MHzから690MHzのアンテナ平均利得を示す、車両のアンテナ窓ガラスの測定された利得プロット図である。
【
図10】2つの異なるアンテナコネクタの水平偏波における470MHzから690MHzのアンテナ平均利得を示す、車両のアンテナ窓ガラスの測定された利得プロット図である。
【
図11】6つのスロットアンテナがフロントガラスに一体にされている、本明細書に開示した窓ガラスの特徴を組込んだ別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本明細書に開示した発明の特徴を組込んだ透明体フロントガラス10の平面図である。フロントガラス10は、介在層16によって互いに接合された外側ガラスプライ14及び内側ガラスプライ12から形成された車両用積層フロントガラスであり、介在層16は、好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又は同様の材料のものである。外側ガラスプライ14は、車両の外側の外面(慣例的に1番面と称する)と、内面(慣例的に2番面と称する)を定める。内側ガラスプライ12は、窓ガラス内側の外面(慣例的に3番面と称する)と、車両内部に面し且つフロントガラス10の内側となる表面(慣例的に4番面と称する)を定める。中間層16は、2番面と3番面の間に位置する。
【0033】
図2に示すように、フロントガラス10は、暗部バンド42を含んでいてもよく、暗部バンド42は、不透明インクを窓ガラスの上にスクリーン印刷し、引き続いて、フロントガラスの周囲を焼くことによって形成される。暗部バンド42は、窓ガラス(glazing)10のデイライトオープニング(DLO)の境界を定める閉じた内縁36を有する。暗部バンド42は、後で示し且つ説明するバスバー、加熱回路、アンテナ素子、及びガラス縁部の周辺の他の装置を隠すのに十分な幅を有する。
【0034】
フロントガラス10は更に、透明体のデイライトオープニングを塞ぐ導電性コーティング又は要素18を含む。導電性コーティングは、窓ガラスにおける赤外線及び紫外線の透過を低減する太陽光シールドとして機能する。導電性要素18は、好ましくは、(
図1に示すように)外側ガラスプライ14の2番面又は内側ガラスプライ12の3番面に当該技術分野で知られている任意の仕方で塗布された透明体コーティングである。コーティングは、例えば、Gilleryらによる特許文献14、Gilleryによる特許文献15、及びFinleyによる特許文献16に開示されているような単層又は多層の金属含有コーティングである。導電性コーティングは、約75%の光透過率に対して約2.7Ω/ のシート抵抗を有する。
【0035】
図1及び
図2に示す好ましい実施形態では、フロントガラス10は、頂部バスバー20及び底部バスバー22を更に含み、これらのバスバー20、22の各々は、導電性コーティング18に取付けられ、導電性コーティング18に重ねられ且つそれに電気的に接続される。導電性コーティング18は、コーティング縁38を有し、コーティング縁38は、フロントガラス10の側部外縁、上部外縁、下部外縁から間隔をあけている。コーティング縁38とフロントガラス10のこれらの外縁との間のコーティングされていない領域は、コーティングプロセスの間、その領域をマスキングすることによって形成されるのがよい。変形例として、外側ガラスプライ14の全面をコーティングし、それに引き続いて、コーティングを、コーティング縁38と外側ガラスプライ14の側部外縁、上部外縁、下部外縁との間の領域から除去してもよい。
【0036】
図1に示すように、頂部バスバー20への接続は、2つの導電性ストリップ26、24と側部導電性ストリップ28(
図1では片側のみを示す)を含み、導電性ストリップ26、24はそれぞれ、端子領域からフロントガラス10の底縁に沿って反対方向に延び、側部導電性ストリップ28は、フロントガラス10の両方の側部に沿って延びる。側部導電性ストリップ28は、2つの導電性ストリップ26、24をそれぞれ、頂部バスバー20の両端部に接続する。バスバー20、22並びに導電性ストリップ24、26、28は、好ましくは、当該技術分野で知られている種類の銀含有セラミック材料で作られる。バスバー20、22並びに導電性ストリップ24、26、28は、ガラス表面の上にシルクスクリーン印刷され、その後、加熱によって融合される。バスバー20、22並びに導電性ストリップ24、26、28の導電性は、バスバー及び導電性ストリップ内の加熱によるエネルギー損失を低減するために、コーティング18の導電性よりも実質的に大きくなるように選択される。電源40とフロントガラス10の間の電気的接続は、好ましくは、端子領域の下縁に沿った位置で行われる。しかしながら、接続は、フロントガラス10の任意の縁部及び縁部に沿った任意の位置に隣接していてもよい。リードを透明体の同じ側に且つ好ましくは互いに密接に隣接して配置することにより、車両の透明体の取付けが容易になり、フロントガラス10と電源40との間の接続が簡単になる。電気リード30は、底部バスバー22を電源40の1つの極に接続する。頂部バスバー20に通じるストリップ26、24は、ジャンパワイヤ34及びリード32によって、電源40の反対側の極に共通に配線されるのがよい。このように、電流は、バスバー22と20の間の金属層18を横切って流れ、フロントガラスを加熱する。
【0037】
従来技術において、車両用窓ガラスは、窓ガラスを通る赤外線放射を制限する金属コーティングを有していれば、スロットアンテナを窓ガラス内に形成するための金属コーティングの外周における間隔を定める。スロットは、窓の金属フレームと窓に接合された導電性透明フィルム又はコーティングの間に形成される。透明フィルムの1又は2以上の側部外周縁は、スロットアンテナを構成するために、窓フレームの内縁から間隔をあけている。スロットの全長は、基本励振モードに対して、環状スロットの場合は1波長であり、非環状スロットの場合は1/2波長である。
【0038】
図3を参照すると、頂部バスバー20は、窓ガラスの頂部のスロットを覆い、底部バスバー22及び導電性ストリップ24、26は、窓ガラスの底部のスロットを覆っている。加えて、導電性ストリップ28は、窓ガラスの2つの側部のそれぞれのスロットを覆っている。頂部バスバー20、底部バスバー22、及び導電性ストリップ24、26、28は全て、窓フレームに重なり、容量結合され、コーティング18を窓フレームにRF周波数で接続する。従って、導電性ストリップ24、26、28と組合されたバスバー22、20の加熱は、アンテナスロットを窓フレームに短絡させる。
【0039】
ここで
図4を参照すると、コーティング18は、外側プライ14の内面全体を覆っているが、導電性ストリップ28の内縁とコーティング18の除去縁52との間において外側プライ14の内面から除去されたコーティング18のバンドを覆っていないバンド50を形成する。コーティング18は、マスク除去技術又はレーザー除去技術の何れかによって、窓ガラス10から除去される。除去縁52は、暗部バンド42の内縁36と導電性ストリップ28の内縁の間の窓ガラス10の上に横方向に配置される。バンド54は、窓ガラス10のバンド50と反対側に同じ仕方で形成される。導電性ストリップ28、26、24は、レーザー除去ライン44によって、コーティング18及び底部バスバー22から絶縁される。レーザー除去ライン44は、導電性ストリップ28、24、26とコーティング18と底部バスバー22の間の直流絶縁を提供するために、レーザービームによって形成された薄いスロットである。レーザー除去ライン44は、0.05mmから0.2mmの範囲の、好ましくは、0.08mmから0.1mmの範囲の幅を有する。レーザー除去ライン44の細いスロットは、DC電気絶縁を提供するが、RF周波数では、コーティング18は、細いスロットを横切る容量結合によって、導電性ストリップ28、26、24に電気的に接続される。このようにコーティング18を除去することにより、コーティング18の上のアンテナスロットの基本構造が得られる。
【0040】
従来のスロットアンテナは、窓フレームと導電性の透明フィルム層又はコーティングの側縁の間に形成されたスロットを使用する。フィルム層又はコーティングは、透明体の上にあり、フィルム層の側縁は、透明体の周縁の近傍に位置する。車両において、透明体は、アンテナスロットの実質的に中央に位置する環状シール部材によって、窓フレームに接合される。環状シール部材は、導電性であってはならず、そうでなければ、その誘電特性によりスロットアンテナに負荷を与える。従って、環状シール部材の厚さ及び位置、透明体の上のコーティングの相対位置、及び、透明体と金属フレームの間の分離は全て、スロットアンテナの性能に影響を及ぼす。商業生産の間、これらの要素のそれぞれの公差、及びこれらの間の位置変化を、満足のいく一貫したアンテナ性能を生み出すのに必要な程度まで制御することは困難である。更に、従来のスロットアンテナを機能させるために、比較的高価で非導電性の接着剤を、透明体を窓フレームに接合させるのに必要とする。本明細書に開示した実施形態は、
図4に示すように、スロットアンテナを導電性ストリップ28とコーティング18の側縁52の間の透明体の箇所に再配置している。これにより、商業生産中の公差及び位置決めに優れたより良い制御を支援する。加えて、窓接合のために低コストの導電性接着剤を使用することによって、コスト節約も可能になる。
【0041】
フロントガラス10及びそれと関連した加熱要素は、一方の側の導電性ストリップ28の内縁の一部分と反対側のコーティング18のコーティング縁52との間のアンテナスロット50を定める。スロット50のスロット幅は、信号が短絡しないように、作動周波数においてスロット50を横切る容量効果を無視できる程度に十分に大きくなければならない。スロット幅は、好ましくは、10mmよりも大きい。スロットの好ましい長さは、適用される共振周波数に対する波長の半分の整数倍である。典型的な車両のフロントガラスの場合、スロットの長さは、FM、DAB、TV、FMの適用例に使用できるVHF帯及びUHF帯で共振するように設計される。
【0042】
スロットアンテナは、スロットの両側の縁に接続された平衡並列伝送ライン等の電圧源によって励起され、又は、スロットの両側の縁に接続された同軸伝送ライン等の不平衡伝送ラインによって励起される。
図4は、アンテナスロット50が同軸ケーブル60によって給電されることを示す。同軸ケーブル60の接地導体は、車両のシャーシにワイヤ64によって接続され、導電性ストリップ28にスロット50の一方の縁の近くで容量結合によって接続される。同軸ケーブル60の中心導体等の接地されていない導体は、アンテナコネクタ62及びアンテナ給電パッド70によって、コーティング18にスロット50の両側の縁の近くで接続される。アンテナコネクタ62は、アンテナコネクタ62の頂部及び底部の絶縁層によって、導電性ストリップ28及び窓フレームから絶縁されている。アンテナコネクタ62及び同軸ケーブル60の中心導体も、好ましくは増幅器入力における直列コンデンサによって、コーティング18からDC絶縁される。このように、アンテナ給電ネットワークは、導電性ストリップ28及びコーティング18からDC絶縁され、加熱機能は、スロットアンテナ給電ネットワークを妨害しない。
【0043】
図5及び
図6は、スロット50に給電するための変形例を示し、この変形例では、2つのアンテナ給電パッド70a、70bがコーティング縁52の上にある。導電ライン70cが、アンテナ給電パッド70a、70bを接続している。アンテナ接続パッド70dが、導電ライン70cの中間に位置し、アンテナコネクタ62の一端に接続されている。コーティング18の上のアンテナ給電パッド70a、70bは、高導電ライン70cによって接続されているため、コーティング18を加熱のために使用すると、直流電流がライン70cに流れ、アンテナ給電パッド70a、70b間のコーティング18をバイパスする。この電流バイパスにより、アンテナ給電パッド70a、70bの間のコーティング18に、コールドスポットを生じさせ、アンテナ給電パッド70a、70bの近傍に、ホットスポットを生じさせる。
図5に示すように、スロットライン72は、アンテナ給電パッド70aとコーティング18との間のDC絶縁を提供する。スロットの幅は小さく、好ましくは0.1mmの範囲であり、その結果、アンテナ給電パッド70aは、アンテナ作動周波数で容量結合されたコーティング18に接続される。
図6は、逆「L」字形スロット74がアンテナパッド70aの周囲に部分的に延びる変形例を示す。スロット74は、アンテナ給電パッド70a、70dに同じ電圧ポテンシャルが達成されるように、DC電流をスロット74の縁の周りに迂回させ、それにより、導電ライン70cのDC電流は最小であり又は全くない。
【0044】
アンテナコネクタ62は、スロットアンテナ50を電子デバイスに接続する。
図5及び
図6に示すようなアンテナコネクタ62は、スロットアンテナのためのより良好なインピーダンス整合を提供する。アンテナコネクタ62は、(1)可撓性の絶縁基材と、(2)信号をアンテナから電子デバイスに伝送するために絶縁基材に印刷された伝送ラインと、(3)伝送ラインをグランドから絶縁するための絶縁カバーテープを有する。伝送ラインは更に、(1)積層ガラスの内側に位置し且つアンテナ接続パッド70dにガルバニック接続された半田パッドと、(2)積層ガラスの内側に位置し且つ加熱バス側ストリップ28に重なる細い導電トレース部62cと、(3)積層ガラスの外側に位置し、車両の接地フレームに容量結合された広い導電トレース部62bと、(4)車両の金属フレームに取付けられた電子デバイスに接続された端子部62aと、を有する。細い導電トレース部62cは、アンテナコネクタ62と導電性ストリップ28の間の容量結合を減少させる。幅広の導電トレース部62bは、アンテナコネクタ62と窓フレームの間の容量結合を増加させる。このように、アンテナコネクタは、電子デバイスに対するアンテナインピーダンス整合を改善する。
【0045】
図4は、スロットアンテナが結合コプレナーラインによっても給電できることを示す。アンテナスロット54は、導電性ストリップ28の内縁とコーティング18の側縁の間の中間に位置し且つ導電性ストリップ28と平行であるコプレナーライン66を有する。コプレナーライン66は、導電性ストリップ28又はコーティング18に接続されることなしに、容量性給電を効果的に行う。このとき、容量性給電は、分布給電であり、コプレナーライン66は、スロット54の基本モード及び高次モードの両方の電圧点を横切る。高次モードの励起は、TVアンテナ及び2以上の周波数バンドを有するアンテナ等の高周波及びマルチバンドアンテナの適用例に順応するために望ましい。
【0046】
スロットアンテナは更に、
図7のアンテナスロット56に示すように、電流源によって励起されてもよい。
図7は、同軸ケーブル60のアンテナコネクタ62がワイヤ68に接続されていること、及び、ワイヤ68がスロット56内で巻かれ又はコイル巻きされ、導電性ストリップ28に戻って接続されることを示している。同軸ケーブル60の接地ワイヤ64も、容量結合によって導電性ストリップ28に電気的に接続されている。巻かれた又はコイル巻きされたワイヤ62、68及び接地ワイヤ64は、スロットアンテナ56を磁気結合によって励起するループを効果的に形成する。同軸ケーブル60は、同軸ケーブルとワイヤ62、64等の導電性ストリップ28の間の直列コンデンサによって、導電性ストリップ28からDC絶縁されている。
【0047】
アンテナスロット50、54、56は、一方の側の導電性ストリップ28の内縁と他方の側のコーティング18の側縁の間に形成される。コーティング18の縁及び表面は、比較的導電率が低く、コーティング18の縁及び表面の電流により、アンテナ性能を低下させる抵抗損失を生じさせる。スロットアンテナでは、電流は、アンテナ給電ポイント及びスロットの縁の近くに集中する。その結果、著しい抵抗損失を導電性コーティング18の表面及び縁に生じさせることがある。アンテナ効率を向上させるために、
図7は、(銀又は銅等の)高導電性ストリップ281を示し、高導電性ストリップ281は、スロットアンテナ58の縁に沿い且つコーティング18と接触している高電流密度領域に印刷されている。高導電性ストリップ281により、スロットアンテナは、縁ストリップ28及びストリップ281の縁によって定められる。RF電流のほとんどは、ストリップ28、281の高導電性材料に集中し、損失を低減させる。電流経路の導電性を増大させることにより、アンテナの放射効率を向上させる。ストリップ28、281はまた、より一様な電流分布を提供して、高電流密度を回避し、信号抵抗損失を更に低減させる。好ましくは、最良の性能のために、ストリップ28、281は、スロット58の縁の全長を覆う。しかしながら、電流経路の最も重要な部分は、電流密度が最も高いアンテナ給電ポイントから約半波長乃至1波長のところである。導電性ストリップ28、281、26、24は、レーザー除去ライン46によってコーティング18及び底部バスバー22から絶縁されている。
【0048】
電圧プローブ給電を行う
図4及び
図5に図示した実施形態と同様の実施形態を、車両でシミュレーションし且つ試験した。
図8は、2つの異なるアンテナコネクタを有する車両のスロットアンテナのリターン損失(S11)のシミュレーションされたプロットを示す。実線のシミュレーションS11は、幅7mmの一様な伝送ラインのアンテナコネクタを用いたアンテナ給電のリターン損失を示す。破線のシミュレーションS11は、伝送ラインの修正したコネクタを用いたアンテナ給電のリターン損失を示す。修正したコネクタは、積層ガラスの内側にある細い(幅1mmの)導電トレース部と、積層ガラスの外側にある広い(幅7mmの)導電トレース部を含む。修正されたアンテナコネクタをシミュレーションしたアンテナリターン損失は、470MHzから690MHzのテレビ周波数バンドにおける、改良されたアンテナ整合を示している。
【0049】
図9及び
図10は、
図8に関連して説明したコネクタと同じコネクタによる車両の窓組立体の平均アンテナ利得を示す。
図9は、470MHzから690MHzのテレビ周波数バンドにわたる垂直偏波におけるアンテナ性能を示す。
図10は、470MHzから690MHzのテレビ周波数バンドにわたる水平偏波におけるアンテナ性能を示す。実線は、幅7mmの一様な伝送ラインのコネクタを使用したときの、アンテナ給電における測定されたアンテナ利得を示す。破線は、積層ガラスの内側の細い(幅1mmの)導電トレース部分及び積層ガラスの外側の広い(幅7mmの)導電トレース部分を有する伝送ラインの修正されたコネクタを使用したときの、アンテナ給電における測定されたアンテナ利得を示す。測定されたアンテナ利得は、修正されたアンテナコネクタが470MHzから690MHzのテレビ周波数バンドにおけるアンテナ利得を向上させることを示している。
【0050】
図11の実施形態は、本明細書に開示した発明による更なる発展を表している。
図11の実施形態では、頂部バスバー20及び底部バスバー22の一部分が、複数のスロットアンテナを生成するスプリット又はスロット開口を定める別々の長さ又はセグメントに分離されている。各長さ又はセグメントは、それぞれのスロットアンテナに対応する。
図11は、6つの別々のスロットアンテナを示し、6つのスロットアンテナは、頂部バスバー202つのスロットアンテナ、底部バスバー22の2つのスロットアンテナ、及び窓ガラスの各側部のスロットアンテナであり、これらは全てフロントガラスに組込まれている。各アンテナは、電圧源又は結合されたコプレナーラインによって、独立に給電される。頂部の2つのアンテナは、フロントガラスの頂部側面に沿って対称に配置されている。この2つのアンテナ給電は、少なくともλ/4波長離れているため、弱く結合され、つまり、両方をVHF及びUHFダイバーシティアンテナシステムに同時に使用することができる。底部の2つのアンテナも、同じことが当てはまり、ダイバーシティアンテナ適用例に使用することができる。また、アンテナを窓の透明体の両側から給電することもでき、それにより、更なる空間及びパターンのダイバーシティを生じさせる。
【0051】
本発明を、幾つかの好ましい実施形態及び実施例を参照して説明し且つ図示したけれども、当業者は、本発明の精神である特許請求の範囲から逸脱することなしに、様々な変更を採用し得ることを理解すべきである。
【国際調査報告】