(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ビスオクトリゾールを含む化粧品組成物のべたつきの低減
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231219BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231219BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20231219BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231219BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231219BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/31
A61K8/33
A61K8/37
A61Q17/04
A61K8/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531559
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021084825
(87)【国際公開番号】W WO2022122842
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デエー, シリル
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク‐エディンガー, クリスティーン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC371
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD352
4C083BB13
4C083BB46
4C083BB51
4C083CC19
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、UVフィルターであるビスオクトリゾールと、C8~C16アルキルポリグルコシドと、分岐及び直鎖飽和C15~C19の混合物と、特定のジアルキルエーテル又は(ジ)エステルとを含む化粧品組成物であって、前記混合物は、主として分岐飽和C15~C19を含む、化粧品組成物に関する。本化粧品組成物は、べたつきが低減されており、特に、UVフィルターであるビスオクトリゾール及びC8~C16アルキルポリグルコシドを含む組成物が適用された皮膚への砂の付着が低減されている。べたつきを低減することは、高い紫外線防御指数を有する化粧品組成物の配合に欠かせない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式(I):
【化1】
のUVフィルターと、
- C8~C16アルキルポリグルコシドと、
- 分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と、
- 式R
1OR
1のジアルキルエーテル、式R
3OOCR
2COOR
3のジカルボン酸のジエステル、式R
4COOR
5の脂肪族モノエステル及び式R
6COOR
7のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤であって、式中、
R
1は、C
5~14アルキル基、特にC
6~10アルキル基を表し;
R
2は、任意選択的に少なくとも1つのOH基を含む、C
2~10アルキレン基、特にC
4~8アルキレン基を表し;
R
3は、C
2~14アルキル基、特にC
2~8アルキル基を表し;
R
4は、C
4~22アルキル基、特にC
7~16アルキル基を表し;
R
5は、C
8~20アルキル基、特にC
8~16アルキル基、より詳細にはC
10~16アルキル基を表し;
R
6は、C
6~10アリール基、特にフェニル基を表し;
R
7は、C
8~20アルキル基、特にC
8~16アルキル基、より詳細にはC
12~15アルキル基を表す;
エモリエント剤と、を含む化粧品組成物であって、
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%を超え、好ましくは90重量%を超え、最も好ましくは92重量%を超える、組成物。
【請求項2】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の直鎖飽和C15~C19アルカンの量は、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは5重量%超であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分岐飽和C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、50重量%超、好ましくは60重量%超、更に好ましくは、70重量%超であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エモリエント剤は、ジカプリリルエーテルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エモリエント剤は、セバシン酸ジイソプロピルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、少なくとも2種のエモリエント剤を含み、特に、エモリエント剤として、少なくともジカプリリルエーテル及びセバシン酸ジイソプロピルを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記C8~C16アルキルポリグルコシドは、デシル グルコシド(CAS:[68515-73-1])であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、少なくとも1種の更なるUVフィルターを、特に、式(I)のUVフィルター対前記更なるUVフィルターの重量比が1:15~5:1の間、好ましくは1:10~4:1の間、より好ましくは1:8~3:1の間になるように更に含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、脂肪酸とデキストリンとのエステルを更に含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの前記脂肪酸は、C14~C18脂肪酸、特に直鎖C14~C18脂肪酸、最も好ましくはパルミチン酸であることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、水を含み、エマルジョンの形態にあることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、ゲルの形態にあることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、紫外線防御指数(SPF)が10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、一層好ましくは50以上であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
UVフィルターであるビスオクトリゾールと、C8~C16アルキルポリグルコシドとを含む組成物のべたつきを低減するための、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の使用であって、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、使用。
【請求項15】
皮膚のべたつきを低減させるため及び/又は砂の付着を低減させるため、特に、UVフィルターであるビスオクトリゾールとC8~C16アルキルポリグルコシドとを含む組成物が適用された皮膚への砂の付着を低減させるための、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の使用であって;
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、UV光からの保護を行う化粧品組成物の分野、特に、UVフィルターであるビスオクトリゾールを含む化粧品組成物に関する。
【0002】
[発明の背景]
上品で不健康そうな白さ(elegant pallor)を求めることから離れて、「健康的でスポーツ好きに見える褐色の肌」を求める傾向がもう何年も続いている。そのために人は皮膚を太陽光線に曝す。その理由は、こうすることによって、メラニン形成という意味で色素が生成するからである。しかし、太陽光の紫外放射は皮膚を損傷する作用も有する。皮膚がUV(B)領域(波長:280~315nm)の光に過度に曝露されると、急性的な損傷(サンバーン)に加えて、皮膚がんのリスクが上昇するなどの長期的な損傷も生じる。UV(B)及びUV(A)放射(波長:315~400nm)に過度に曝露されると、結合組織のエラスチン線維及びコラーゲン線維の強度も低下する。これが、多くの光毒性及び光アレルギー性反応を引き起こし、その結果として皮膚が早期に老化する。
【0003】
そのため、皮膚を保護することを目的として、化粧品製剤に使用することができる一連の光防御遮蔽物質が開発された。
【0004】
ビスオクトリゾールは優れたUV吸収特性を持つ非常に重要なUVフィルターであり、広く使用されている。しかし、ビスオクトリゾールは、大部分の溶媒及び化粧用油への溶解度が非常に低い。そのため、ビスオクトリゾールは、通常は微粉化され、アルキルグルコシドで安定化された水性懸濁液として使用されている。ところが、こうすることによって製品の粘性が多少高くなる。その結果として、ビスオクトリゾールを含む化粧品組成物を皮膚に適用するとある程度のべたつきが生じる。紫外線防御性を高めようとしてビスオクトリゾールを増量すると、べたつきも増大する。このべたつきが特に顕在化するのが化粧品組成物をビーチで使用した場合であり、皮膚のクリームを塗った部分に砂が付着し、ビーチで使用者を悩ませるという弊害が生じる。これを避けるために、使用者は日焼け止めの使用量を減らそうとするが、その分、防御力が低下する。UV放射が皮膚に与える悪影響はよく知られている。したがって、使用者が適切に保護されるように十分な日焼け止めを確実に適用させるために、この種の問題の解決策を提供することが当該産業にとって重要である。
【0005】
化粧品組成物に所望の適用特性を付与するために、エモリエント剤、特にエーテル及びエステルをベースとするエモリエント剤が使用されることが多い。
【0006】
[発明の概要]
したがって、解決すべき課題は、紫外線防御指数を低下させることなく、即ち、前記組成物のビスオクトリゾールの量を減らすことなく、UVフィルターであるビスオクトリゾールを含む、べたつきが大幅に低減された紫外線防御用化粧品組成物を得ることにある。
【0007】
驚くべきことに、請求項1に記載の化粧品組成物がこの課題を解決できることが見出された。
【0008】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの特定の混合物と、特定のエーテル/エステルエモリエント剤とを含む組成物を用いることにより、ビスオクトリゾールを減らすことなく、べたつき又は砂の付着がそれぞれ大幅に低減される。特に、C15~C19アルカンの好ましい混合物は、生物由来物から得ることが可能であるため、この解決策は、この課題に対する非常に持続可能性が高く有利な手法となることが見出された。したがって、高い紫外線防御指数(SPF)を有すると共にべたつきが大幅に低減された化粧品組成物を提供することが可能になる。
【0009】
本発明の更なる態様は、更なる独立請求項の主題である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
[発明の詳細な説明]
第1の態様において、本発明は、
- 式(I):
【化1】
のUVフィルターと、
- C8~16アルキルポリグルコシドと、
- 分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物と、
- 式R
1OR
1のジアルキルエーテル、式R
3OOCR
2COOR
3のジカルボン酸のジエステル、式R
4COOR
5の脂肪族モノエステル及び式R
6COOR
7のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤であって、式中、
R
1は、C
5~14アルキル基、特にC
6~10アルキル基を表し;
R
2は、任意選択的に少なくとも1つのOH基を含む、C
2~10アルキレン基、特にC
4~8アルキレン基を表し;
R
3は、C
2~14アルキル基、特にC
2~8アルキル基を表し;
R
4は、C
4~22アルキル基、特にC
7~16アルキル基を表し;
R
5は、C
8~20アルキル基、特にC
8~16アルキル基、より詳細にはC
10~16アルキル基を表し;
R
6は、C
6~10アリール基、特にフェニル基を表し;
R
7は、C
8~20アルキル基、特にC
8~16アルキル基、より詳細にはC
12~15アルキル基を表す
エモリエント剤と、を含む化粧品組成物であって、
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%を超え、好ましくは90重量%を超え、最も好ましくは92重量%を超える、化粧品組成物に関する。
【0011】
本文書において、「Cx~yアルキル」基とは、x~y個の炭素原子を含むアルキル基であり、即ち、例えば、C1~3アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。例えば、-CH(CH3)-CH2-CH3は、C4アルキル基とみなされる。
【0012】
同様に、「Cx~yアルキレン」基とは、x~y個の炭素原子を含むアルキレン基であり、即ち、例えば、C1~3アルキレン基は、1~3個の炭素原子を含むアルキレン基である。アルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。例えば、-CH2-CH2-CH2-及び-CH(CH3)-CH2-及び-C(CH2-CH3)-及び-C(CH3)2-は、全てC3アルキレン基とみなされる。
【0013】
本文書において、複数の式中に、記号又は基に関する同じ符号(label)が存在する場合、1つの特定の式に関連してなされた前記基又は記号の定義は、同じ前記符号を含む他の式にも適用される。
【0014】
本文書における「UVフィルター」という用語は、紫外光(=UV光)、即ち280~400nmの波長の電磁放射を吸収する物質を表す。UV(A)フィルターは、UV(A)光、即ち、315~400nmの波長の電磁放射を吸収するUVフィルターである。UV(B)フィルターは、UV(B)光、即ち、280~315nmの波長の電磁放射を吸収するUVフィルターである。
【0015】
液体有機UVフィルターは、周囲温度(即ち、25℃)において液体である。
【0016】
固体有機UVフィルターは、周囲温度(即ち、25℃)において固体である。
【0017】
本文書における「分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物」は、前記混合物が、異なるアルカンを含み、そのそれぞれが、15個、16個、17個、18個又は19個のみの炭素原子を含み、その炭素数を下回るアルカンを一切含まないことを意味する。したがって、この種の混合物は、例えば、ドデカンもイソドデカンも含まない。前記混合物は、分岐及び直鎖の両方のC15~C19アルカンを含む。
【0018】
[式(I)のUVフィルター]
本化粧品組成物は、式(I):
【化2】
のUVフィルターを含む。
【0019】
式(I)のUVフィルター(CAS:[103597-45-1])は固体であり、融点は197~199℃である。これは、ビスオクトリゾールとして又はメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(INCI)としても知られている。
【0020】
ビスオクトリゾールは、UV(B)光線のみならずUV(A)光線も吸収する広帯域紫外放射フィルターであり、光安定性が非常に優れている。その吸収極大は308nm及び349nmにある。しかしながら、これはUV光を吸収するだけでなく、UV光を反射し、散乱もさせる。したがって、ビスオクトリゾールは複合的(hybrid)UV吸収剤であり、微細な(<200nm)有機粒子として製造される有機UVフィルターである。他の有機UVフィルターを、油性又は水性相のいずれかに溶解させることが必要な場合であっても、ビスオクトリゾールはそのどちらにも溶解し難いため、目に見えない粒子として適用される。
【0021】
主にビスオクトリゾールは、微粉末として、界面活性剤であるデシルグルコシドで安定化された50%水性懸濁液で、例えば、パルソール(PARSOL)(登録商標)Maxの商標でDSM Nutritional Products Ltd.から又はチノソーブ(Tinosorb)(登録商標)Mの商標でBASFから又はEversorb MとしてEverlight Chemicalから又はMilestab 360として入手可能である。DSM Nutritional Products Ltd.からの製品であるパルソール(登録商標)Maxが最も好ましい。
【0022】
ビスオクトリゾールは、大部分の溶媒又は化粧用油への溶解度が極めて低く、特に水及びアルカンにほぼ不溶であるか又は難溶性である。
【0023】
前記組成物は、好ましくは紫外線防御指数(SPF)が10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、一層好ましくは50以上である。
【0024】
[アルキルポリグルコシド]
本化粧品組成物は、C8~C16アルキルポリグルコシドを含む。
【0025】
アルキルポリグリコシド(APG)は、非イオン性界面活性剤に分類され、家庭用、化粧用及び工業用の様々な用途に幅広く使用されている。APGは、様々な重合度のグルコース及び脂肪アルコールから誘導され、一般式CnH2+nO(C6H10O5)xH(式中、nは、2~22の範囲から選択される整数であり、xは、グルコシド部分(モノ-、ジ-、トリ-、オリゴ-及びポリグルコシド)の平均重合度を表す)で表される。その工業製造用の原料は、典型的には、トウモロコシ由来のグルコース及び植物由来の脂肪アルコールである。最終製品は、典型的には、親水性末端を含むグルコース部分と疎水性末端を含む様々な長さのアルキル基とを有する化合物の複雑な混合物(complex mixture)となる。
【0026】
本出願においては、アルキルモノグルコシドもアルキルポリグルコシドとみなす。
【0027】
C8~10アルキルポリグルコシドは、概して、グルコシド部分の平均重合度が1~1.7の範囲、好ましくは1.1~1.6の範囲、最も好ましくは1.1~1.4の範囲、特に1.1~1.3の範囲などにある。
【0028】
グルコシド部分の平均重合度が1.2~1.6の範囲、例えば、1.4~1.6の範囲にあるものが更に有利である。グルコシド部分の平均重合度が1.2~1.7の範囲又は1.4~1.6の範囲にあるものも有利である。
【0029】
特に有利なC8~10アルキルポリグルコシドは、カプリリル(C8)及びカプリル(C10)ポリグルコシドから本質的になるものである。好ましくは、この種のカプリリル(C8)及びカプリル(C10)ポリグルコシドは、更に、カプリリル(C8)モノグルコシド対カプリル(C10)モノグルコシドの比(%/%、この%は全てHPLC-MSにより決定された面積%である)は、3:1~1:3の範囲、好ましくは約2:1~1:2の範囲、最も好ましくは1.5:1~1:1.5の範囲にある。この種のC8~10アルキルポリグルコシドは、好ましくは、より高級な(即ち、C14~16)アルキルポリグルコシドを含まない(即ち、一切含有しない)ことが理解される。
【0030】
したがって、有利な実施形態において、本発明は、C8~10アルキルポリグルコシドが、C12アルキルモノグルコシドを2%以下含む、本発明による化粧品組成物にも関する。更に好ましくは、そのようなC8~10アルキルポリグルコシドは、C14~16アルキルポリグルコシドを含まない。
【0031】
更に、カプリリル(C8)及びカプリル(C10)ポリグルコシドから本質的になる本発明によるC8~10アルキルポリグルコシドは、各モノグルコシドの、例えば、HPLC-MSにより決定された含有量が、有利には少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、最も好ましくは少なくとも70%である。
【0032】
一層好ましくは、本発明によるC8~10アルキルポリグルコシドは、実質的に(即ち、本質的に)C9アルキルポリグルコシドを含まない、即ち、C9アルキルポリグルコシドを本質的に含有しない。これは、C8~10アルキルポリグルコシド中のC9アルキルポリグルコシド(存在する場合)の量が、C8~10アルキルポリグルコシドの総重量を基準として0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、最も好ましくは0.01%未満、特に0.005重量%未満であることを意味する。
【0033】
本発明による特に有利なC8~10アルキルポリグルコシドは、トウモロコシ由来のグルコースと、ヤシ油及びパーム核油由来のC8及びC10脂肪アルコールとから製造されたものであり、これは例えば、水性分散液として、Shanghai Fine ChemicalからGreen APG 0810の商品名で販売されている。
【0034】
一実施形態において、本組成物は、異なるアルキルポリグルコシドの混合物を含む。
【0035】
デシルグルコシド(CAS:[68515-73-1])として提供されている製品が特に好ましい。
【0036】
[分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカン]
本化粧品組成物は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含む。
【0037】
C15~C19アルカンの特に好適な混合物は、特に、国際公開第2016/185046号パンフレット、国際公開第2017/046177号パンフレット、国際公開第2018/109353A1号パンフレット及び国際公開第2018/109354A1号パンフレット及び国際公開第2018/172228A1号パンフレットに開示されているものである。
【0038】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、生物由来炭素の含有率が、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の総重量に対し90%以上である。化学物質が生物に由来することは、そのような物質の持続可能性が高いことから、非常に有利である。持続可能性の高い製造物又は組成物は市場における需要が非常に高い。
【0039】
生物由来材料(biomaterial)の含有量又は生物由来炭素の含有量の決定は、ASTM規格D 6866-12、B法(ASTM D 6866-06)及びASTM D 7026(ASTM D 7 026-04)に準拠して行われる。ASTM規格D 6866は、「放射性炭素及び同位体比質量分析を用いた自然変動幅範囲のバイオマス由来度の決定(Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis)」に関するものであり、一方、ASTM規格D 7 026は、「炭素同位体分析により材料のバイオマス由来度を測定するための試料採取及び結果の報告(Sampling and Reporting of Results for Determination of Biobased Content of Materials via Carbon Isotope Analysis)」に関するものである。2番目の規格の第1段落で、1番目の規格について言及されている。1番目の規格は、試料の14C/12C比を測定する試験について記載しており、この試料を100%再生可能材料に由来する標準試料(sample renewable reference of origin 100%)の14C/12C比と比較することによって、試料中の再生可能材料由来のCの相対的比率が与えられる。この規格は14Cによる年代測定と同じ概念に基づいている。
【0040】
更に好ましくは、本組成物は、芳香族炭化水素を、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカン混合物の総重量に対し、全く含まないか又は非常に少量(100ppm未満、特に30ppm未満)含む。
【0041】
分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、特に、国際公開第2016/185046号パンフレットに詳述されているものなどの炭化水素バイオマス供給原料、特に、国際公開第2016/185046号パンフレットの実施例3として開示されているものなどを接触水素化することにより製造される。
【0042】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の直鎖飽和C15~C19アルカンの量は、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは5重量%超である。
【0043】
更に好ましくは、C15の量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、3重量%未満、特に1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満である。
【0044】
好ましくは、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、分岐及び直鎖飽和C16~C19アルカンの混合物である。
【0045】
更に好ましくは、分岐飽和C16~C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、90重量%超、好ましくは95重量%超である。
【0046】
更に好ましくは、C15アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、5重量%未満、特に2重量%未満である。
【0047】
更に好ましくは、分岐飽和C17~C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、85重量%超、好ましくは92重量%超である。
【0048】
更に好ましくは、C17アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、15~20重量%の間にある。
【0049】
更に好ましくは、分岐飽和C18アルカンの量は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、50重量%超、好ましくは60重量%超、更に好ましくは、70重量%超である。
【0050】
更に好ましくは、C18アルカンの量は、特に、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量に対し、70~75重量%の間にある。
【0051】
つまり、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物は、好ましくは、主としてC18アルカンからなり、最も好ましくは、主として分岐C18アルカンからなる。
【0052】
本化粧品組成物は分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物を含むため、前記組成物は、低級アルカンを含まない、即ち、特にC12アルカンを含まず、特にC12アルカンも又はC13アルカンも又はC14アルカンも含まない。
【0053】
更に好ましくは、C15~C19アルカンの混合物の20℃における粘度は、3~15mPa・sの間、特に6~12mPa・sの間にある。
【0054】
更に好ましくは、C15~C19アルカンの混合物の20℃における屈折率は、1.40~1.48の間、特に1.42~1.45の間、最も好ましくは1.43~1.44の間にある。
【0055】
更に好ましくは、C15~C19アルカンの混合物は、セピック(SEPPIC)からエモグリーン(EMOGREEN)(商標)L19として商品化されているC15~C19アルカンの混合物である。
【0056】
[エモリエント剤]
本化粧品組成物は、式R1OR1のジアルキルエーテル、式R3OOCR2COOR3のジカルボン酸のジエステル、式R4COOR5の脂肪族モノエステル及び式R6COOR7のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤を含む。
R1は、C5~14アルキル基、特にC6~10アルキル基を表す。
R2は、任意選択的に少なくとも1つのOH基を含むC2~10アルキレン基、特にC4~8アルキレン基を表す。
R3は、C2~14アルキル基、特にC2~8アルキル基を表す。
R4は、C4~22アルキル基、特にC7~16アルキル基を表す。
R5は、C8~20アルキル基、特にC8~16アルキル基、より詳細にはC10~16アルキル基を表す。
R6は、C6~10アリール基、特にフェニル基を表す。
R7は、C8~20アルキル基、特にC8~16アルキル基、より詳細にはC12~15アルキル基を表す。
【0057】
第1の実施形態において、エモリエント剤は、式R1OR1のジアルキルエーテルである。
【0058】
好ましくは、前記ジアルキルエーテルは、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジエチルヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル及びジデシルエーテルからなる群から選択される。
【0059】
好ましくは、式R1OR1のジアルキルエーテルは、ジオクチルエーテル(=ジカプリリルエーテル(INCI))である。
【0060】
第2の実施形態において、エモリエント剤は、式R3OOCR2COOR3のジカルボン酸のジエステルである。
【0061】
このジエステルは、ジカルボン酸(=HOOC-R2-COOH)とモノアルコール(R3-OH)とのエステル化により得ることができるジエステルであり、モノカルボン酸とジオールとのエステル化により得られるジエステルではないことを認識することが重要である。
【0062】
前記ジカルボン酸は、少なくとも1つのOH基を含むことができる。ヒドロキシル基を含むジカルボン酸の好ましい例は、酒石酸、ペンタル酸及び3-ヒドロキシグルタル酸であり、酒石酸が好ましい。
【0063】
特に好適なジカルボン酸は、コハク酸、2,2-ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン酸からなる群から選択され、特に、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸及びスベリン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、前記ジカルボン酸は、アジピン酸又はセバシン酸である。
【0064】
前記アルコール(R3-OH)は、好ましくは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ドデカノール及びイソドデカノールからなる群から選択され、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及び2-エチルヘキサノールからなる群から選択される。
【0065】
エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールが最も好ましい。
【0066】
式R3OOCR2COOR3のジエステルは、好ましくは、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、酒石酸ジ-C12~13アルキル、アジピン酸ジエチル及びアジピン酸ジイソプロピルからなる群から選択されるジエステルである。
【0067】
セバシン酸ジイソプロピルが特に好ましい。
【0068】
第3の実施形態において、エモリエント剤は、式R4COOR5の脂肪族モノエステルである。
【0069】
前記エステルは、カルボン酸(=R4-COOH)をモノアルコール(R5-OH)でエステル化することにより得ることができる。
【0070】
特に好適なカルボン酸は、ピバル酸、カプロン酸(capronic acid)、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びアラキドン酸からなる群から選択され、好ましくは、2-エチルヘキサン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群から選択される。
【0071】
前記アルコール(R5-OH)は、好ましくは、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ドデカノールイソドデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール及びセテアリルアルコールからなる群から選択され、好ましくは、2-エチルヘキサノール、イソデカノール、イソトリデカノール及びセテアリルアルコールからなる群から選択される。
【0072】
式R4COOR5の好ましいエステルの一実施形態において、残基R4は、C7~16アルキル基を表し、R5は、C8~18アルキル基を表し、特にR4=C8アルキル基であり、R5=C10アルキル基又はC13アルキル基である。
【0073】
式R4COOR5の好ましいエステルの他の実施形態において、残基R4は、C7~14アルキル基を表し、R5は、C10~16アルキル基を表し、特にR4=C8アルキル基であり、R5=C10アルキル基又はC13アルキル基である。
【0074】
式R4COOR5のエステルは、好ましくは、ヤシ油脂肪酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、オクタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル及びイソノナン酸セテアリルからなる群から選択される。
【0075】
更なる実施形態において、エモリエント剤は、式R6COOR7のエステルである。
【0076】
好ましくは、前記エステルは、安息香酸のC8~20アルキルエステル、特にC8~16アルキルエステル、より詳細にはC12~15アルキルエステルである。最も好ましい式R6COOR7のエステルは、安息香酸アルキル(C12-15)である。
【0077】
本化粧品組成物は、2種以上の上述のエモリエント剤を含むことができる。
【0078】
本組成物は、好ましくは、エモリエント剤として少なくとも2種のエモリエント剤、特に、少なくともジカプリリルエーテル及びセバシン酸ジイソプロピルを含む。
【0079】
[更なる成分]
本化粧品組成物は、通常、化粧品組成物中で使用するのに適した他の成分を含む。
【0080】
本化粧品組成物は、好ましくは水を含む。
【0081】
本化粧品組成物は、溶媒若しくは脂肪性物質中の懸濁液若しくは分散液の形態、或いはエマルジョン若しくはマイクロエマルジョン(特に、水中油(O/W)型又は油中水(W/O)型、水中シリコーン(Si/W)型又はシリコーン中水(W/Si)型、PIT-エマルジョン、多重エマルジョン(例えば、油中水中油(O/W/O)型又は水中油中水(W/O/W)型)、ピッカリングエマルジョン、ヒドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液若しくはベシクル分散液の形態、又はペンによって、美顔用パックとして、若しくはスプレーとして適用することもできる他の通常の形態とすることができる。
【0082】
本発明の全ての実施形態において好ましい化粧品組成物は、水を含み、エマルジョン形態にあるものである。
【0083】
特にこのエマルジョンは、油性相及び水性相を含む、特に、O/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重又はピッカリングエマルジョンなどである。
【0084】
そのようなエマルジョン中に存在する油性相の総量は、化粧品組成物の総重量を基準として、好ましくは、少なくとも10重量%、例えば10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲にある。
【0085】
そのようなエマルジョン中に存在する水性相の量は、化粧品組成物の総重量を基準として、好ましくは、少なくとも20重量%、例えば40~90重量%の範囲、好ましくは50~85重量%の範囲、最も好ましくは60~85重量%の範囲にある。
【0086】
より好ましくは、化粧品組成物は、O/W又はSi/W乳化剤の存在下で水性相中に分散された油性相を含む水中油型(O/W)エマルジョンの形態にある。そのようなO/W型エマルジョンの調製は当業者に周知である。
【0087】
O/Wエマルジョンの形態にある組成物は、例えば、O/Wエマルジョンのあらゆる製剤形態、例えば、美容液、乳液又はクリームの形態で提供することができ、これらは通常の方法に従い調製される。この組成物は、好ましくは、局所適用することが意図されており、例えば、UV放射の悪影響からヒトの皮膚を保護する(しわ防止、抗老化、保湿、紫外線防御など)ことが意図された、特に皮膚科学的又は化粧品組成物を構成することができる。
【0088】
本化粧品組成物は、好ましくは、更なるUVフィルターを含む。更なるUVフィルターは、固体であっても液体であってもよい。好ましくは、更なるUVフィルターは、固体UVフィルターである。
【0089】
好適な液体有機UVフィルターは、UV(B)及び/又はUV(A)領域の光を吸収し、周囲温度(即ち、25℃)において液体である。この種の液体UVフィルターは当業者に周知であり、特に、ケイヒ酸エステル、例えば、メトキシケイヒ酸オクチル(パルソール(登録商標)MCX)及びメトキシケイヒ酸イソアミル(Neo Heliopan(登録商標)E 1000)など、サリチル酸エステル、例えば、ホモサレート(2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5トリメチルシクロヘキシル、パルソール(登録商標)HMS)及びサリチル酸エチルヘキシル(サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸2-エチルヘキシル、パルソール(登録商標)EHSとしても公知)など、アクリル酸エステル、例えば、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、パルソール(登録商標)340)及び2-シアノ-3,3ジフェニルアクリル酸エチルなど、ベンザルマロン酸のエステル、特にベンザルマロン酸ジアルキルエステルなど、例えば、4-メトキシベンザルマロン酸ジ(2-エチルヘキシル)及びポリシリコーン15(パルソール(登録商標)SLX)など、ナフタル酸のジアルキルエステル、例えば、2,6-ナフタル酸ジエチルヘキシル(Corapan(登録商標)TQ)など、シリンギリデンマロン酸エステル、例えば、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン(Oxynex(登録商標)ST liquid)など並びにベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(チノガード(Tinoguard)(登録商標)TL)並びにベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンを含む。
【0090】
特に有利な液体有機UVフィルターは、メトキシケイヒ酸オクチル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、2,6-ナフタル酸ジエチルヘキシル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾフェノン-3、ドロメトリゾールトリシロキサン及びこれらの混合物である。
【0091】
好ましい実施形態において、液体UVフィルターは、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、ベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンからなる群から選択される液体UV(B)フィルターである。
【0092】
好適な固体有機UVフィルターは、UV(B)及び/又はUV(A)領域の光を吸収し、周囲温度(即ち、25℃)において固体である。特に好適な固体UVフィルターは、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4-メチルベンジリデンカンファー及び1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンからなる群のものである。
【0093】
好ましい固体有機UV(A)フィルターは、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びトリスビフェニルトリアジンからなる群から選択されるUV(A)フィルターである。
【0094】
好ましい固体有機UV(B)フィルターは、エチルヘキシルトリアゾン(=ユビナール(Uvinul)(登録商標)T150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(=Uvasorb(登録商標)HEB)及び4-メチルベンジリデンカンファー(=パルソール(登録商標)5000)からなる群から選択されるUV(B)フィルターである。
【0095】
有機UVフィルターの総量は、目標とするUV防御に大きく依存する。
【0096】
好ましくは、固体有機UVフィルター、特に固体有機UV(A)フィルターの量は、0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%、最も好ましくは1~4重量%の範囲で選択される。
【0097】
更に好ましくは、固体有機UVフィルター、特に固体有機UV(B)フィルターの量は、0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%、最も好ましくは1~4重量%の範囲で選択される。
【0098】
一層好ましくは、液体有機UVフィルター、特に液体有機UV(B)フィルターの量は、0.1~約10重量%の範囲、好ましくは0.5~12重量%、最も好ましくは1~10重量%の範囲で選択される。
【0099】
好ましくは、式(I)のUVフィルター対更なるUVフィルターの重量比は、1:10~5:1の間、好ましくは1:5~3:1の間、より好ましくは1:3~1:1の間にある。
【0100】
一実施形態において、化粧品組成物は更に、好ましくは脂肪酸とデキストリンとのエステルを含む。
【0101】
デキストリンはD-グルコースの低重合体である。その構造は以下に示す簡略化された構造で表すことができる。
【化3】
【0102】
デキストリンは、様々な平均糖鎖重合度を有し、その結果として様々な分子量を有する。
【0103】
本発明において、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルのデキストリンの平均糖鎖重合度は、好ましくは3~20の間、特に8~16の間にある。
【0104】
脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの脂肪酸は、好ましくは、C14~C18脂肪酸、特に、直鎖C14~C18脂肪酸、最も好ましくはパルミチン酸である。
【0105】
脂肪酸とデキストリンとの特に好適なエステルは、千葉製粉株式会社(Chiba Flour Milling)からレオパール(Rheopearl)(登録商標)KL2として市販されているパルミチン酸デキストリンである。
【0106】
デキストリンは、エステル化可能な数個のヒドロキシル基を有している。
【0107】
好ましくは、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルのエステル化されたヒドロキシル基の数の平均値は、グルコース1単位当たり2.5を超え、好ましくは2.7~3.5の間、より好ましくは28~3.4の間、最も好ましくは2.8~3.2の間にある。
【0108】
一実施形態において、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルのエステル化されたヒドロキシル基の数の平均値は、グルコース1単位当たり3を超え、好ましくは3.05~3.5の間、より好ましくは3.1~3.4の間、最も好ましくは3.1~3.2の間にある。
【0109】
つまり、好ましくは、本質的にデキストリンの全てのヒドロキシル基がエステル化されている。
【0110】
更に好ましくは、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの分子量Mnは、8000~16000Daの間、好ましくは9000~13000Daの間、より好ましくは10000~11500Daの間にある。
【0111】
分子量Mnは、特に、ポリスチレンを標準物質として用いるSEC/GPCにより、ダルトン(Da)単位で求められる。
【0112】
好ましくは、脂肪酸とデキストリンとの前記エステルの重量対分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物の重量の比は、好ましくは100重量%未満であり、好ましくは50~80重量%の範囲にあり、最も好ましくは60~70重量%の範囲にある。
【0113】
脂肪酸及びデキストリンは両方共生物由来である。化学物質が生物に由来することは、そのような化学物質又はその製造物の持続可能性が高いことから、非常に有利である。持続可能性の高い製造物又は組成物は市場における需要が非常に高い。
【0114】
本化粧品組成物は、更に好ましくは、少なくとも1種の乳化剤、好ましくはアニオン性乳化剤を含む。好ましくは、アニオン性乳化剤は、セチルリン酸カリウム、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、クエン酸ステアリン酸グリセリル及びココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性乳化剤である。
【0115】
有利な一実施形態において、化粧品組成物は、更にリン酸エステル乳化剤を含む。好ましいリン酸エステル乳化剤の中でも、リン酸C8~10アルキルエチルエステル(C8-10 Alkyl Ethyl Phosphate)、アルキル(C9-15)リン酸(C9-15 Alkyl Phosphate)、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、リン酸セチル、(C6-10)パレス-4リン酸(C6-10 Pareth-4 Phosphate)、(C12-15)パレス-2リン酸、(C12-15)パレス-3リン酸、セテアレス-2リン酸DEA(DEA-Ceteareth-2 Phosphate)、セチルリン酸DEA、オレス-3リン酸DEA、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸(Deceth-4 Phosphate)、デセス-6リン酸(Deceth-6 Phosphate)及びトリラウレス-4リン酸が挙げられる。具体的なリン酸エステル乳化剤は、例えば、DSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstからAmphisol(登録商標)Kとして市販されているセチルリン酸カリウムである。
【0116】
本化粧品組成物は、非イオン性乳化剤も含むことができる。
【0117】
非イオン性乳化剤の例として、脂肪族(C8~C18)1級又は2級直鎖又は分岐鎖アルコールと、アルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドとの、一般には6~30個のエチレンオキシド基を有する縮合物が挙げられる。他の代表的な非イオン性乳化剤としては、モノ又はジアルキルアルカノールアミド、例えば、ヤシ油脂肪酸モノ又はジエタノールアミド及びヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミドなどが挙げられる。更なる非イオン性乳化剤として、アルキルポリグリコシド(APG)を挙げることができる。APGは、典型的には、1つ又は複数のグリコシル基のブロックに結合している(任意選択的に架橋基を介して)アルキル基を含むもの、例えば、セピックからのOramix(商標)NS 1O;BASFからのPLANTACARE(登録商標)818UP、PLANTACARE(登録商標)1200及びPLANTACARE(登録商標)2000である。
【0118】
化粧品組成物がO/Wエマルジョンである場合、これは、好ましくは、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、ジラウリン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-8、オレイン酸PEG-40ソルビット、PEG-7グリセリルココエート、PEG-20アーモンド脂肪酸グリセリル、PEG-25水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル(及び)ステアリン酸PEG-100、オリーブ油脂肪酸PEG-7、オレイン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8、PEG-60アーモンド脂肪酸グリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイルエーテル(Polyoxyl 10 Oleyl Ether)、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、クエン酸ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル(自己乳化型)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースの一覧から選択される少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤を含む。更に好適な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水添ポリイソブテンである。
【0119】
更に、1種又は複数種の合成ポリマーを乳化剤として使用することができる。例えば、(PVP/エイコセン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(PEG-22/ドデシルグリコール)コポリマー、(PEG-45/ドデシルグリコール)コポリマー及びこれらの混合物がある。
【0120】
他の特に好適なO/W乳化剤の種類は、例えば、OLIVEM 1000の商品名で販売されている、(INCI名)オリーブ油脂肪酸セテアリル及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成:オリーブ油脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られている、オリーブ油から誘導された非イオン性自己乳化系である。
【0121】
市販の高分子乳化剤、例えば、NoveonからPemulen(登録商標)TR-1及びTR-2の商品名で市販されている(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーなどの疎水化ポリアクリル酸が更に好適である。
【0122】
他の特に好適な種類の乳化剤は、ポリグリセリルエステル/ジエステルとも呼ばれる脂肪酸のポリグリセロールエステル又はジエステル(即ち、脂肪酸がポリグリセリンでエステル化されることによって結合しているポリマー)、例えば、Evonikから市販されているIsolan GPS[INCI名(ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸)ポリグリセリル-4(即ち、イソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸及びセバシン酸の混合物とポリグリセリン-4とのジエステル)]又はCognisから入手可能なDehymuls PGPH(INCI:ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2)などである。
【0123】
同様に、ポリエチレングリコールエーテル、例えば、Crodaから入手可能なBrij 72(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)又はBrij 721(ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルなども適している。
【0124】
この少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、0.5~10重量%、特に0.5~5重量%の範囲など、最も具体的には0.5~4重量%の範囲などの量で使用される。
【0125】
好適なW/O又はW/Si乳化剤は、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアリン酸、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、セチルジメチコンコポリオール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル-6(polyglyceryl-6 hexaricinolate)、オレイン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリギルセリル-4(polygylceryl-4 oleate)/ヤシ油脂肪酸PEG-8-PG、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム及びこれらの混合物である。更に好適なW/Si乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及び/又はPEG-12ジメチコンクロスポリマー及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである。少なくとも1種のW/O乳化剤は、組成物の総重量に対し、好ましくは約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0126】
好ましくは、化粧品組成物は、更に有利には、少なくとも1種の界面活性助剤、例えば、モノグリセリド及びジグリセリド並びに/又は脂肪アルコールの群から選択されるものなどを含有する。界面活性助剤は、概して、組成物の総重量を基準として、0.1~10重量%の範囲、特に0.5~6重量%の範囲など、最も詳細には1~5重量%の範囲などから選択される量で使用される。特に好適な界面活性助剤は、セチルアルコール(Lorol C16、Lanette 16)、セテアリルアルコール(Lanette O)、ステアリルアルコール(Lanette 18)、ベヘニルアルコール(Lanette 22)、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水添ココグリセリル(Lipocire Na10)及びこれらの混合物などのアルキルアルコールの一覧から選択される。
【0127】
乳化剤の量は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準として、0.1~6.0重量%、より好ましくは0.25~5.0重量%、特に0.5~4.0重量%の範囲にある。
【0128】
組成物は、好ましくはスルフェートを含まない。
【0129】
したがって、化粧品組成物は、好ましくは、特に、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート及びモノグリセリドスルフェート並びにその混合物からなる群のスルフェートを含まない。
【0130】
本文書において、例えば、「スルフェートを含まない」に使用される「含まない(free)」という用語は、それぞれの物質が、組成物の重量に対し、0.5重量%未満、特に0.1重量%未満、より詳細には0.05重量%未満しか存在しないことを意味するために使用される。好ましくは、「含まない」とは、それぞれの物質が組成物中に完全に存在しないことを意味する。
【0131】
本文書において使用される「スルフェートを含まない」という用語は、組成物が、次式:
【化4】
の末端陰イオン性基を有するアニオン性界面活性剤を含まないことを意味する。
【0132】
化粧品組成物は、好ましくは、カチオン性乳化剤を含まない。この種のカチオン性乳化剤の典型的な例は、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラルコニウムクロリド、ステアラミドエチルジエチルアミン、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘノイルPG-トリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ベヘン酸ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ステアラミドプロピルジメチルアミン、コカミドプロピルPG-ジモニウムクロリド、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、シア脂アミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘナミドプロピルジメチルアミンン、ブラシシルイソロイシンエシレート、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、リノールアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、イソステアリン酸ジメチルラウラミン、イソステアラミドプロピルラウリルアセトジモニウムクロリド(isostearamidopropyl laurylacetodimonium chloride)、特に、ベヘントリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド及びパルミタミドプロピルトリモニウムクロリドである。
【0133】
化粧品組成物は、化粧品組成物に使用するのに適している、スキンケア産業において一般に使用されている化粧品用担体、賦形剤及び希釈剤並びに添加剤及び有効成分を更に含むことができ、これらは例えば、オンラインでINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)から閲覧可能なPersonal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbookに記載されているが、これらに限定されない。
【0134】
化粧品組成物のこの種の可能な成分は、特に、性能及び/又は消費者受容性を向上する、防腐剤、酸化防止剤、脂肪性物質/油、増粘剤、軟化剤、光遮蔽剤、保湿剤、芳香剤、界面活性助剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、カチオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー又はこれらの混合物、酸性化若しくは塩基性化剤、粘度調整剤等並びに植物性物質(botanical)、果実エキス、糖誘導体及び/又はアミノ酸などの天然の毛髪栄養分又は化粧品組成物に通常配合される任意の他の成分などである。補助剤及び添加剤の必要量は、本分野の当業者であれば所望の製造物に基づいて容易に選択することができ、実施例において例示するが、これらに限定されない。
【0135】
全ての実施形態において特に好適な増粘剤は、キサンタンガム、ジェランガム及び/又はカルボキシメチルセルロースである。全ての実施形態において最も好ましい増粘剤は、キサンタンガム又はジェランガムである。
【0136】
そのような増粘剤は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準として、0.1~1重量%の範囲から選択される(総)量、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0137】
化粧品組成物は、好ましくは、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7.5の範囲のpHを有する。このpHは、当該技術分野における標準的な方法に従い、適切な酸、例えばクエン酸又は塩基、例えばNaOHを用いて、必要に応じて容易に調整することができる。
【0138】
化粧品組成物は、好ましくは、スルフェートを含まず、並びに/又はパラベンを含まず、並びに/又はシリコーン油及び/若しくはシリコーン界面活性剤を含まない。
【0139】
化粧品組成物は、好ましくは局所用組成物である。
【0140】
本明細書で使用する「局所用」という用語は、本明細書では、角質物質、特に、皮膚、頭皮、睫毛、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくは皮膚への外用を意味すると理解される。
【0141】
局所用組成物は、局所適用が意図されているため、それらが生理学的に許容される媒体、即ち、皮膚、粘膜及びケラチン線維などの角質物質と適合性である媒体を含むことは十分に理解される。特に、生理学的に許容される媒体は、美容的に許容される担体である。
【0142】
「美容的に許容される担体」という用語は、特に日焼け防止製品などの化粧品組成物中に従来から使用されているあらゆる担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0143】
好ましくは、化粧品組成物は、スキンケア製剤、装飾用製剤又は機能性製剤である。
【0144】
スキンケア製剤の例は、特に、光防御製剤、抗老化製剤、光老化治療用製剤、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、保湿ゲル、保湿スプレー、顔及び/又は身体用保湿剤、日焼け用製剤(即ち、ヒトの皮膚の人工的/サンレスタンニング及び/又は褐色化用組成物)、例えば、セルフタンニングクリーム並びに皮膚美白用製剤である。
【0145】
機能性製剤の例は、有効成分を含有する化粧品又は医薬品組成物、例えば、ホルモン製剤、ビタミン製剤、植物エキス製剤及び/又は抗老化製剤であるが、これらに限定されない。
【0146】
化粧品組成物は、好ましくはスキンケア組成物である。
【0147】
最も好ましい実施形態において、化粧品組成物は、日焼け防止組成物である。日焼け防止組成物は、例えば、紫外線防御乳液、紫外線防御ローション、紫外線防御クリーム、紫外線防御オイル、日焼け止め剤(sun block)又はSPF(紫外線防御指数)を有するデイケアクリームなど光防御製剤(日焼け防止用製品)である。特に関心が寄せられているのは、紫外線防御クリーム、紫外線防御ローション、紫外線防御乳液及び紫外線防御製剤である。
【0148】
本化粧品組成物は、官能特性が向上しており、特に使用後の感触が向上している。
【0149】
一実施形態において、化粧品組成物は、ゲル形態にある。
【0150】
上述の化粧品組成物は、べたつきが低減されていることが示されている。化粧品組成物を適用した後に長時間、即ち、3分間を超えて、特に15分間を超えて経過した後のべたつきが大幅に低減されることが認められた。上述の化粧品組成物は、べたつきが低減されていることが示されている。本化粧品組成物を適用した皮膚はべたつきが大幅に低減され、特に、砂を付着させにくいことが認められた。これは、ビーチで使用する場合に特に重要である。
【0151】
上に述べた分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物を、UVフィルターであるビスオクトリゾールと、特に上に詳述したエーテル及びエステルをベースとするエモリエント剤とを含む化粧品組成物に添加することにより、そのべたつきが低減されることが示された。
【0152】
したがって、更なる態様において、本発明は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の、UVフィルターであるビスオクトリゾールと、C8~C16アルキルポリグルコシドとを含む組成物のべたつきを低減するための使用であって、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、使用に関する。
【0153】
好ましくは、前記使用において、式R1OR1のジアルキルエーテル、式R3OOCR2COOR3のジカルボン酸のジエステル及び式R4COOR5の脂肪族モノエステル及び式R6COOR7のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤、より好ましくは、式R1OR1のジアルキルエーテル、式R3OOCR2COOR3のジカルボン酸のジエステル及び式R4COOR5の脂肪族モノエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤が関与する。
【0154】
成分の定義及び選択は、既に上に詳述した通りである。
【0155】
更に、更なる態様において、本発明は、分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの混合物の、皮膚のべたつきを低減させるため及び/又は砂の付着を低減させるための使用、特に、UVフィルターであるビスオクトリゾールとC8~C16アルキルポリグルコシドとを含む組成物を適用した皮膚への砂の付着を低減させるための使用であって;分岐及び直鎖飽和C15~C19アルカンの前記混合物中の分岐飽和C15~C19アルカンの量は、80重量%超、好ましくは90重量%超、最も好ましくは92重量%超である、使用に関する。
【0156】
好ましくは、前記使用において、式R1OR1のジアルキルエーテル、式R3OOCR2COOR3のジカルボン酸のジエステル及び式R4COOR5の脂肪族モノエステル及び式R6COOR7のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤、より好ましくは、式R1OR1のジアルキルエーテル、式R3OOCR2COOR3のジカルボン酸のジエステル及び式R4COOR5の脂肪族モノエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエモリエント剤が関与する。
【0157】
成分の定義及び選択は、既に上に詳述した通りである。
【0158】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果を更に例示するために提供するものである。これらの実施例は、例示に過ぎず、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0159】
表1又は表2に概要を示す化粧品組成物を、当該技術分野における標準的な方法に従い調製した。次いで、以下に概要を示す方法に従い、砂付着防止性を試験した。
- 化粧品組成物50mgをPMMA板(粗さ2μm)上に適用し、均一に広げる(2mg/cm2)
- 15分間自然乾燥させる
- PMMA板(mplate+film)を秤量する
- 砂(Sigma、製品番号84878)をペトリ皿に入れる
- プレートの膜を有する面を砂の上に載せ、膜が砂に接触するようにする
- 錘(500g)を載せ、5分間放置する
- PMMA板を外し、板を振らずに180°回転させる
- PMMA板(mplate+film+sand)を秤量する
- 板に付着した砂の量(msand)を
msand=mplate+film+sand-mplate+film
により求める
- 各試料につき4枚の板を用いて試験を繰り返す。
【0160】
更に、Ref.1(Δmsand,Ref.1)と比較した場合又はRef.3(Δmsand,Ref.3)と比較した場合の、付着した砂の変化率(%)をそれぞれ求めた。
【0161】
組成物は全て、調製直後は均質である。しかしながら、室温である程度の時間静置すると、若干の分離が認められることがある。このような分離は目視で評価することができる。組成物が均質である時間が長いほど安定性に優れる。「++」と評価された組成物は「+」と評価された組成物よりも安定性がはるかに高い。
【0162】
粘度はRheometer TA HR10で測定した。ジオメトリーは40mmプレートとし、剪断速度は10/sとした。測定は全て25℃で行い、結果はmPasで表す。
【0163】
結果を表1及び表2に示す。
【0164】
【0165】
【0166】
表1及び2から分かるように、ビスオクトリゾールを含む化粧品組成物は砂の付着性が非常に高い(Ref.1及びRef.3)。この実験から、C15~19アルカン混合物を使用することにより、砂の付着性が劇的に低下することが分かる(1対Ref.1及び4対Ref.3)。脂肪酸とデキストリンとのエステルを使用することにより、べたつきが大幅に増加する(Ref.2対Ref.1及びRef.4対Ref.3)。しかしながら、脂肪酸とデキストリンとのエステルを使用すると、組成物の安定性が向上する(Ref.2対Ref.1並びに2及び3対1)(Ref.4対Ref.3並びに5及び6対4))。
【0167】
表1又は表2のそれぞれの組成物はいずれも粘度が非常に類似しているが、概して、脂肪酸とデキストリンとのエステルを添加すると粘度は増大し(例えば、Ref.1対Ref.2、又は1対2、3、又は4対5若しくは6)、一方、C15~19アルカン混合物を添加すると粘度は低下する(1対Ref.1)。脂肪酸とデキストリンとのエステル及びC15~19アルカン混合物を組み合わせることにより、粘度がある程度一定に保たれる。
【0168】
表1及び2の結果から、C15~19アルカン混合物及び脂肪酸とデキストリンとのエステルとを含む組成物(即ち、2、3又は5、6)の砂付着性は、C15~19アルカン混合物又は脂肪酸とデキストリンとのエステルを含む個々の組成物(即ち、Ref.2、1又はRef.4、4)のそれぞれの値から予想されるものよりも大幅に低くなることも分かる:
例えば、
2:2%は33%(=45%(Ref.2)-22%(1))よりも大幅に低く
又は、
5:134%は196%(=242%(Ref.4)-46%(4))よりも大幅に低い。
【0169】
この発見を、C15~19アルカン混合物及び脂肪酸とデキストリンとのエステルを用いることによって安定性が高くなるという発見と組み合わせると、ビスオクトリゾールを含む化粧品組成物に非常に有利となる(即ち、2、3、5、6)。
【国際調査報告】