(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】エレベータかごのかご床、およびエレベータかごの設置方法
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B66B11/02 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532730
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2021082600
(87)【国際公開番号】W WO2022112211
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロ・ヤーコノ,ロメオ
(72)【発明者】
【氏名】カラーラ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,クルト
(72)【発明者】
【氏名】ハート,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ヒメノ,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】へーデラー,ヨハンネス
【テーマコード(参考)】
3F306
【Fターム(参考)】
3F306AA01
3F306CA25
(57)【要約】
エレベータかご(2)のかご床(3)は、平坦なベース部(4)と、その上に配置された設置脚部(5)とを備える。設置脚部(5)は、設置段階中にエレベータシャフト(6)のシャフト床(7)上でかご床(3)を支持する。ベース部(4)を水平位置に配向するために、設置脚部(5)の各々は、高さ調整可能な設置脚部の形態で設計される。高さ調整可能な設置脚部(5)は、ここでは、高さ調整のためのねじ付スピンドル(10)を形成するためのねじ付ロッド(11)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部(4)を備えるエレベータかご(2)のかご床(3)であって、設置脚部(5)はベース部(4)に配置され、設置脚部(5)のうちの少なくとも1つ、好ましくは設置脚部(5)の各々は、ベース部(4)を水平位置に配向させるために高さ調整可能な設置脚部であることを特徴とする、かご床(3)。
【請求項2】
ベース部(4)は、略直方体のエレベータかご(2)を形成するために平面視で長方形の形状を有することと、好ましくはベース部(4)の角領域に配置される4本の設置脚部(5)が設けられることとを特徴とする、請求項1に記載のかご床。
【請求項3】
関連する高さ調整可能な設置脚部(5)は、高さ調整がベース部(4)から行われることができるように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載のかご床。
【請求項4】
設置脚部(5)は、ねじ付スピンドル(10)によって高さ調整されることができることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のかご床。
【請求項5】
関連する高さ調整可能な設置脚部(5)はねじ付ロッド(11)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のかご床。
【請求項6】
ベース部の垂直突起の外側に設置脚部(5)を位置決めするためのスペーサ要素(14)は、ベース部(4)の横に固定されるか、または一体的に形成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のかご床。
【請求項7】
設置脚部(5)をベース部の垂直突起内に位置決めするために、ベース部(4)は、高さ調整可能な設置脚部(5)を形成するためにそれぞれの関連するねじ付ロッド(11)がその中に受容されるか、または受容されることができる雌ねじ(13)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のかご床。
【請求項8】
シャフト床(7)に対する接触表面積を増加させるためのスタンプ状支持要素(12)は、シャフト床に面する設置脚部の下端部、特に、シャフト床に面するそれぞれのねじ付ロッド(11)の下端部に配置されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のかご床。
【請求項9】
少なくとも1つの水準器は、水平位置を確認するために、設置段階の間、恒久的または少なくとも一時的にベース部(4)に固定されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のかご床。
【請求項10】
エレベータシステム(1)のエレベータシャフト(6)にエレベータかご(2)を設置するための方法であって、
-かご床(3)をエレベータシャフト(6)に導入するステップであって、かご床(3)はシャフト床(7)に設置される、導入するステップと、
-設置脚部(5)を介してシャフト床(7)に載っているかご床(3)を水平調整するステップであって、少なくとも1つの高さ調整可能な設置脚部(5)を作動させることによって、かご床(3)を水平調整するステップと、
-かご側壁(8)をかご床(3)に取り付けるステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータかごのかご床、およびエレベータかごの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人および物を搬送するためのエレベータシステムは、エレベータシャフト内で上下に移動されることができるエレベータかごを含む。かごは、例えば吊下げケーブルまたは吊下げベルトの形態の吊下げ手段を介して駆動ユニットによって移動されることができる。自立式エレベータかごにはかごフレームは必要ない。この種のエレベータかごを設置するために、かご床がシャフトピット内に運ばれる。その後、かご側壁および天井が設置されることによって、エレベータかごを完成させることができる。シャフト床は、多くの場合、あまり平坦ではない。したがって、そのような凹凸を補正するか、または他の理由でかご床の水平調整を実行する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、既知のかご床の欠点を回避すること、特に、かご床の水平調整が簡単かつ効率的な方法で実行されることができるかご床を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的および他の目的は、請求項1の特徴を有するかご床によって達成される。エレベータかごのかご床は、エレベータかごの内部に乗客用の立ち領域を画定するための好ましくは平坦なベース部を備える。設置脚部はベース部に配置され、設置脚部のうちの少なくとも1つ、好ましくは設置脚部の各々はベース部を水平位置に配向させるために高さ調整可能な設置脚部であるという事実により、かご床の水平調整は、簡単かつ効率的な方法で実行される。設置脚部を受け入れるための設置脚受け部がベース部に設けられることもでき、したがって、設置脚部がベース部に配置されることができる。かご床は、設置段階中に設置脚部を介してエレベータシステムのエレベータシャフトのシャフト床に支持または配置されることができる。したがって、高さ調整可能な設置脚部によって、関連する設置脚部の領域におけるベース部の局所的な垂直位置が調整されることができる。言い換えれば、高さ調整は、ベース部とかご床との間の距離に関する。この距離は増減されることができ、したがって、所望の高さは、関連する高さ調整可能な設置脚部で調整が行われる方向に応じて設定されることができる。
【0005】
設置段階の終了後に、設置脚部は、任意選択的に再び取り外されることができる。しかしながら、設置脚部は、ベース部に恒久的に配置されることもできる。
【0006】
ベース部は、例えば欧州特許出願公開第1004538号明細書から知られているように、例えば、複合構造またはサンドイッチ構造における構成要素である。ベース部は、ベースプレートと、カバープレートと、中間複合構造コアとを備える。ベースプレートとカバープレートとの間の接続を形成する複合構造コアは、適切な方法でベースプレートおよびカバープレートに強固に接続された格子の形態の複数の直立した交差する薄板から構成することができる。もちろん、ベース部は別の方法で構成されることもできる。例えば、コアは、ハニカム様構造の1つまたは複数の層によって形成されることができる。下面を形成するためのベースプレートと上面を形成するためのカバープレートとを有する上述の好ましくは平坦なベース部の代わりに、本明細書に記載の高さ調整可能な設置脚部と組み合わせて、側面から見たときに台形であり、国際公開第2006/026872号に開示されている形状などの他のかご床形状も考えられる。
【0007】
略直方体のエレベータかごを形成するために、ベース部は平面視で長方形の形状を有することができる。この場合、特に、ベース部の角領域に配置された4本の設置脚部が設けられると有利である。ベース部の角領域には、さらなる設置脚受け部を設けることができる。角領域における配置は、ベース部の角の近傍またはこれらに隣接する設置脚部の配置を含む。したがって、設置脚部が幾何学的角部に直接位置決めされる必要はない。設置脚部は、ベース部の垂直突起の内側または外側に位置決めされることができる。
【0008】
したがって、かご床は、設置段階中に、好ましくは4本の高さ調整可能な設置脚部を介してシャフト床上に支持されることができる。角部における配置の代替として、設置脚部を長方形のベース部の4つの側部の中央に配置することも考えられる。
【0009】
関連する高さ調整可能な設置脚部は、高さ調整がベース部から行われ得るように設計されることができ、好ましくは手動で作動され得る。手動作動の代わりに、駆動装置を使用して高さ調整を実行することも考えられる。この種のモータ駆動式設置脚部は、遠隔制御によって操作されることもできる。
【0010】
高さ調整のために、関連する高さ調整可能な設置脚部は、機械的手段によって、例えばねじ機構によって垂直方向に上下に移動されることができる。ねじ機構の代替として、ラチェット機構、キャリッジガイド、クランク装置、ラッチ装置、伸縮ロッド、またはキャリッジガイドなどの他の機械的手段も可能である。機械的手段の代わりに、設置脚部の高さを調整するための油圧手段または空気圧手段も考えられる。
【0011】
設置脚部は、ねじ付スピンドルを介して高さ調整可能とすることができる。この種のねじ付スピンドルは費用効果が高く、堅牢で簡単な取り扱いを特徴とする。したがって、ねじ付スピンドルによって動作可能な高さ調整可能な設置脚部は、所望の高さに容易に調整されることができる。
【0012】
関連する高さ調整可能な設置脚部は、ねじ付スピンドルを形成するために、ベース部に関連し、ねじ付ロッドに対応する雌ねじに受容されるか、または受容され得るねじ付ロッドを有することができる。したがって、設置脚部はスピンドルねじとして設計されることができる。設置段階中、ねじ付ロッドがベース部に配置される場合、ねじ付ロッドは好ましくは垂直方向に延びる。雌ねじは、前述の設置脚受け部を形成することができる。
【0013】
ベース部の垂直突起の外側に設置脚部を位置決めするためのスペーサ要素は、ベース部の横に固定されるか、または一体的に形成されることができる。スペーサ要素は、設置脚部のねじ付ロッドが受容されることができる、または受容され得る雌ねじを含むことができる。スペーサ要素は、例えば、ベース部の垂直側壁部に固定される角片である。
【0014】
スペースの理由から、設置脚部がベース部の垂直突起内に位置決めされていると有利となり得る。設置脚部をベース部の垂直突起内に位置決めするために、ベース部は、その中に一体化され、高さ調整可能な設置脚部を形成するためにそれぞれの関連するねじ付ロッドがその中に受容されるか、または受容され得る雌ねじを有することができる。この目的のために、ベース部は、ねじ付ロッドが通される穴を角領域の内側に有することができ、穴は、ねじ付スピンドルを形成するために少なくとも部分的に雌ねじを有することが可能である。この目的のために、ベース部の上述のベースプレートは、設置脚部ごとに1つの穴を有することができ、その穴にねじ付ロッドが通されるかまたは挿入される。
【0015】
確実な位置決めのために、シャフト床に対する接触表面積を増加させるためのスタンプ状支持要素が、シャフト床に面するそれぞれのねじ付ロッドの下端に配置されると有利となり得る。前記支持要素は、例えば、ボールベアリングを介してねじ付ロッドに関節式に接続されることができる。
【0016】
ねじ回しまたはレンチ用の工具ホルダ、別個の回転ハンドルを有する調整ねじ、つまみねじ、または蝶ねじなどの係合手段または作動手段は、ねじ付ロッドの上端に配置されることができ、その結果、設置脚部の高さ調整のためのねじ付スピンドルの手動作動が単純化される。
【0017】
その場合、高さ調整を確実にするためにロックナットが各ねじ付ロッドに取り付けられると有利となり得る。
【0018】
水平位置を確認するために少なくとも1つの水準器がベース部に固定されるとさらに有利となり得る。水準器は、少なくとも一時的にまたは恒久的にベース部に固定されることができる。水準器は、円形水準器または管状水準器であってもよい。水準器は、接着接続によってベース部に固定されることができる。管状水準器が使用される場合、管状水準器が互いに交差して配置されると有利となり得る。
【0019】
本発明のさらなる態様は、エレベータシステムのエレベータシャフトにエレベータかごを設置するための方法に関する。本方法は、次のステップ、すなわち、(i)かご床、特に上述のかご床をエレベータシャフトに導入するステップであって、かご床がシャフト床に設置される、導入するステップと、(ii)設置脚部を介してシャフト床に載っているかご床を水平調整するステップであって、高さを調整するために、かご床に配置された少なくとも1つの高さ調整可能な設置脚部を作動させることによって、かご床を水平調整するステップと、(iii)かご側壁、好ましくはその後かご屋根を、このように水平にされたかご床に取り付けるステップと、を備える。
【0020】
本発明のさらなる個々の特徴および利点は、以下の実施形態の説明および図面から導き出されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】かご床がシャフト床に配置されたエレベータシャフトの非常に簡略化された図である。
【
図2】水平調整プロセス後のかご床を示す図である。
【
図3】かご側壁が取り付けられたかご床を示す図である。
【
図4】本発明によるエレベータかご床の斜視図である。
【
図5】代替実施形態によるかご床の角領域の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、全体が符号1で示されるリフトシステム用のエレベータシャフト6の下方領域を示す。本例では、エレベータシステム1は、ピット深さが小さいエレベータシャフト6を有する。符号3で示されるかご床は、エレベータシャフト6のシャフト床7上に位置する。かご床は、乗客用の立ち領域を画定するベース部4と、かご床3がシャフト床7上に支持される設置脚部5とからなる。
【0023】
エレベータシャフトを製造するために、コンクリートが頻繁に使用される。シャフト床7を平坦かつ水平な面を有するように製造することは困難である。したがって、かご床は、最初に設置された後にわずかな傾斜を有する可能性がある。この傾斜は、高さ調整可能な設置脚部5によって解消されることができる。この目的のために、
図2に例として示すように、高さ調整可能な設置脚部5は、ベース部が所望の水平位置になるまで高さ調整される。ベース部4が配向された後、エレベータかごの設置が継続されることができる。かご側壁8は、このようにして水平にされたかご床3に取り付けられることができるようになる。かご側壁8が取り付けられた後、破線で示されるかご屋根9は、最終的にかご側壁8に取り付けられることができる。
【0024】
図4は、4本の高さ調整可能な設置脚部5が角領域に配置された矩形のかご床の平面図である。各設置脚部5は、スペーサ要素14を介してベース部4の外側の角領域に配置される。本例では、スペーサ要素14は、ベース部4の垂直側壁部17に固定される角片として設計される。
図4による実施形態では、高さ調整可能な設置脚部は、ベース部4の垂直突起の外側に配置される。
図5は、高さ調整可能な設置脚部5がベース部の垂直突起内に配置される変形形態を示す。
【0025】
高さ調整可能な設置脚部5は、高さ調整がベース部4から行われることができるように設計され、手動で作動されることができる。このようにして、傾斜(水平に対するかご床の傾斜角αによって示される)が解消されることができる。
図2に示す例では、設置者は、5’で示される左側の高さ調整可能な設置脚部を作動させる。高さ調整のために、関連する設置脚部5、5’は、機械的手段10によって、例えばねじ機構によって垂直方向に上下に移動されることができる。
【0026】
図4および
図5による2つの実施形態から分かるように、設置脚部5は、ねじ付スピンドルによって高さ調整されることができる。高さ調整可能な設置脚部5は、ねじ付ロッド11を備え、ねじ付ロッド11は、雌ねじに収容され、雌ねじは、ベース部4に関連付けられ、ねじ付ロッドに対応する。ねじ付ロッド11が垂直方向に延びているので、かご床3は、関連するかごの脚部で局所的に上昇または下降されることができ、したがって所望の高さが正確に設定されることができる。
【0027】
図4による実施形態では、スペーサ要素14は、設置脚部5のねじ付ロッド11が受容される雌ねじを含む。
図4に示すように、シャフト床7に対する接触表面積を増加させるために、シャフト床に面するねじ付ロッド11の下端にスタンプ状支持要素12が配置されることができる。ねじ付スピンドルを作動させるために、ねじ付ロッド11のうちの1つの上側ねじ付ロッド端部は、例えば、工具(ここでは図示せず)によって把持され、高さを調整するために時計回り方向または反時計回り方向のいずれかに所望に応じて回転される。
【0028】
図5による実施形態では、ベース部は、その中に一体化された、または内側に配置された雌ねじを有し、それぞれのねじ付ロッド11が受容される。本実施形態では、ベースプレート16に固定され、それに隣接する金属スリーブを有するねじナットは、雌ねじ13を有する。一例として、ねじ付ロッド11の上端に六角レンチ用のねじ頭18が設けられている。もちろん、高さ調整のための他の係合手段または作動手段も考えられる。例えば、例として示されているねじ頭の代わりに、回転ハンドル、親指ねじ、またはトミーねじが作動手段として可能である。
【0029】
図5から、ベース部4は、複合構造またはサンドイッチ構造の平坦な構成要素であることが分かる。ベース部4は、実質的に、ベースプレート16、カバープレート15、および中間複合構造コア(具体的には図示せず)からなる。
【0030】
水平位置を確認するために、例えば円形水準器または互いに交差して配置された2つの管状水準器などの水準器がベース部に固定されることができる(図示せず)。
【国際調査報告】