(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】溶液からLI及びNIを再生するための方法
(51)【国際特許分類】
C01D 15/02 20060101AFI20231219BHJP
C22B 23/00 20060101ALI20231219BHJP
C22B 26/12 20060101ALI20231219BHJP
C22B 3/06 20060101ALI20231219BHJP
C22B 3/26 20060101ALI20231219BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C01D15/02
C22B23/00 102
C22B26/12
C22B3/06
C22B3/26
C01G53/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533675
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021072235
(87)【国際公開番号】W WO2022120311
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ティノシュ
(72)【発明者】
【氏名】メイズ,ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】パンチュラ,マーティン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】フォン ディーク,ディーター ジー.
【テーマコード(参考)】
4G048
4K001
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AB08
4G048AE02
4K001AA19
4K001AA34
4K001BA22
4K001DB02
4K001DB26
(57)【要約】
本明細書には、溶液から例えばリチウム及び/又はニッケルなどの元素をリサイクルする方法、例えば、リチウムニッケル酸化物材料の脱リチウム化によって生成される廃棄物ストリームから再利用可能なリチウム及びニッケルを回収する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム及び/又はニッケルを分離するための方法あって、前記方法は:
(A)鉱酸及び次亜塩素酸塩の存在下で、リチウムニッケル酸化物(LNO)材料を脱リチウム化して、脱リチウム化ニッケル酸化物(DLNO)材料及び廃棄物ストリームを生成するステップであって、ここで前記廃棄物ストリームは、塩化物イオン、リチウムイオン及びニッケルイオンを含む、ステップと;
(B1)前記廃棄物ストリームからNi(OH)
2を沈殿させてリチウムリッチ溶液を生成するステップと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸カルシウム塩、次亜塩素酸リチウム塩、及び次亜塩素酸ナトリウム塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投入されたLiOH、投入されたNaOH、又はそれらの組み合わせの存在下で、溶媒抽出により前記廃棄物ストリームを処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記次亜塩素酸塩は次亜塩素酸カルシウム塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リチウム及び/又はニッケルを分離するための方法あって、前記方法は:
(A)鉱酸及び次亜塩素酸塩の存在下で、リチウムニッケル酸化物(LNO)材料を脱リチウム化して、脱リチウム化ニッケル酸化物(DLNO)材料及び廃棄物ストリームを生成するステップであって、ここで前記廃棄物ストリームは、塩化物イオン、リチウムイオン及びニッケルイオンを含む、ステップと;
(B2)投入されたLiOH、投入されたNaOH、又はそれらの組み合わせの存在下で、溶媒抽出により前記廃棄物ストリームを処理してリチウムリッチ溶液を生成するステップと;
を含む、方法。
【請求項6】
前記リチウムリッチ溶液は、1つ以上の多価イオンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(C)前記リチウムリッチ溶液を濃縮して濃縮リチウムリッチ溶液を生成するステップ、
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(D1)前記リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液をイオン交換に供して、Li
+以外の少なくともいくつかの多価イオンを除去し、LiClストリームを生成ステップ、
をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記次亜塩素酸塩は次亜塩素酸カルシウム塩及び次亜塩素酸ナトリウム塩から選択され;ステップ(D1)は:
前記リチウムリッチ溶液又は前記濃縮リチウムリッチ溶液を、投入されたHClの存在下で、溶媒抽出に供して少なくともいくつかの多価イオンを除去し、前記LiClストリームを生成することと、
溶媒抽出を使用して前記LiClストリームからNaを分離してNaClストリームを生成することと、
任意に前記LiClストリームを濃縮することと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記NaClストリームの少なくとも一部を電気分解に供してNaOH、H
2ガス、及びCl
2ガスを生成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記H
2ガスの少なくとも一部をHClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記Cl
2ガスの少なくとも一部を、Ca(OH)
2又はNaOHと反応させて次亜塩素酸カルシウム又は次亜塩素酸ナトリウムを生成することをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記次亜塩素酸塩は次亜塩素酸リチウム塩であり;方法が、
(D2)前記リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液を、Li
2CO
3ストリームに変換するステップ、
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(D2)は:
前記リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液をソーダ灰で処理してLi
2CO
3ストリームを生成すること、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(E)LiClストリーム又はLi
2CO
3ストリームからLiOHを単離するステップ、
をさらに含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記単離されたLiOHは、液体形態、結晶形態、又はその両方である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単離されたLiOHの少なくとも一部は、液体形態である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
単離されたLiOHの少なくとも一部をCl
2ガスと反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することをさらに含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
単離されたLiOHの少なくとも一部からLiOH一水和物を結晶化させることをさらに含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(E)は:
(F)LiClストリームを電気分解に供してLiOH液体、H
2ガス、及びCl
2ガスを生成するステップと;
(G)前記LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させるステップと;
を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記Cl
2ガスの少なくとも一部の存在下で、前記H
2ガスの少なくとも一部をHClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記Cl
2ガスの少なくとも一部をCa(OH)
2と反応させて次亜塩素酸カルシウムを生成することをさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記LiOH液体の少なくとも一部を前記Cl
2ガスの少なくとも一部と反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することをさらに含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(E)は:
投入されたNaOHの存在下で溶媒抽出を使用して、前記LiClストリーム中のNaからLiを分離してNaClを生成することと;
任意に、前記LiClストリームを濃縮して濃縮LiClストリームを生成することと;
前記LiClストリーム又は前記濃縮LiClストリームを電気分解に供して、LiClをLiOH液体、H
2ガス、及びCl
2ガスに変換することと;
を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記H
2ガスの少なくとも一部を、前記Cl
2ガスの少なくとも一部の存在下でHClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記Cl
2ガスの少なくとも一部をCa(OH)
2と反応させて次亜塩素酸カルシウムを生成することをさらに含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記生成されたNaClの少なくとも一部を電気分解に供してNaOHを生成することをさらに含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(E)は:
前記Li
2CO
3ストリームを水酸化カルシウムで処理してLiOH及びCaCO
3を生成すること、
を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(E)で得られたLiOHの少なくとも一部をイオン交換に供することと;
前記イオン交換されたLiOHを結晶化して電池グレードの水酸化リチウム一水和物を得ることと;
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(E)で得られたLiOHをイオン交換に供することと;
前記イオン交換されたLiOHの少なくとも一部をCl
2ガスと反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することと、
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
方法が連続的である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
プロセス投入物は、プロセスの作動中に生成され、プロセスにリサイクルされる、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記鉱酸は、HClである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記廃棄物ストリームは、2~6のpHを有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
LNO材料は、LiNixMyOz材料から選択され、ここで:
Mは金属から選択され;
xは、0から1.999までの数値から選択され;
yは、0から1.999までの数から選択され;そして
zは、1~4の数字から選択される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
Mは、遷移金属、ポスト遷移金属、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
Mは、Ni、Co、Mn、Ti、Zr、Nb、Hf、V、Cr、Sn、Cu、Mo、W、Fe、Si、B、及び前述のいずれかの組み合わせから選択される、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記LNO材料は、LiNiMOz材料から選択される、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記LiNiMOz材料は、LiNiCoAlOz及びLiNiCoAlM’Oz材料から選択され、ここでM’は金属から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法によって生成されたNi(OH)
2、前記方法によって生成されたLiOH一水和物、又はその両方を使用して、LNO材料を形成することをさらに含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
リチウム及び/又はニッケルを分離するための方法あって:
(A)鉱酸及び次亜塩素酸カルシウム塩の存在下で、リチウムニッケル酸化物(LNO)材料を脱リチウム化して脱リチウム酸化ニッケル(DLNO)材料及び廃棄物ストリームを生成するステップであって、ここで前記廃棄物ストリームは、塩化物イオン、リチウムイオン及びニッケルイオンを含む、ステップと;
(B)前記廃棄物ストリームからNi(OH)
2を沈殿させてリチウムリッチ溶液を生成するステップと;
(C)任意に前記リチウムリッチ溶液を濃縮して濃縮リチウムリッチ溶液を生成するステップと;
(D)前記リチウムリッチ溶液又は前記濃縮リチウムリッチ溶液をイオン交換に供してLi
+以外の少なくともいくつかの多価イオンを除去し、LiClストリームを生成するステップと;
(E)前記LiClストリームを電気分解に供してLiOH液体、H
2ガス、及びCl
2ガスを生成するステップと;
(F)前記LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させるステップと;
(G)i)前記LiOH液体の少なくとも一部及び/又は(ii)再溶解したLiOH一水和物を、前記Cl
2ガスの少なくとも一部と反応させて次亜塩素酸リチウムを生成するステップと;
(H)前記H
2ガスの少なくとも一部を、前記Cl
2ガスの少なくとも一部の存在下で、HClバーナーにかけてHClを生成するステップと;
を含む方法。
【請求項43】
LiOClが使用され、LiClOが生成される、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月1日に出願された米国仮出願第63/119,790号の優先権の利益を主張し、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、溶液から元素、例えば、リチウム及び/又はニッケルをリサイクルする方法、例えば、リチウムニッケル酸化物材料の脱リチウム化によって生成される廃棄物ストリームから再利用可能なリチウム及びニッケルを回収する方法、が開示される。
【背景技術】
【0003】
幅広い技術分野においてリチウムイオン電池への増大された依存度は、電池の生成及びリサイクルの際に生成される廃棄物ストリームからニッケル及びリチウムなどの貴重な元素を抽出するためのコスト及び時間効率のよい方法の必要性を高めている。脱リチウム化処理では、通常、処理しなければならない大量の廃棄物を生じ、清掃時間及び処理コストが増加する。さらに、酸化剤を使用するリサイクルプロセスは、抽出された成分の効果的な分離を提供しない場合があるため、所望の材料の個別回収を実行不可能にしている。このような欠陥は、回収され得る材料の量を減少させ、生成される廃棄物の量と、水性廃棄物ストリームからの汚染物質の抽出に関連するコストの両方を増加させる。
【0004】
さらに、ニッケルとリチウムの両方のような複数の材料を同時に回収するための多段共抽出が報告されている。これらの方法は、個々の材料を抽出することができるものの、個別に抽出された材料を生成するために、4つの共抽出段階と合計6つのステップを必要とする。このように、これらの共抽出方法は、各ステップが個別に行われ、各ステップで異なる溶媒が必要であり、高価で時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野では、例えば、電池の製造又はリサイクル廃棄物ストリームからリチウム及び/又はニッケルを抽出するための、効率及び収率を改善した抽出方法を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
脱リチウム化プロセスは、典型的には、リチウム化金属酸化物材料を酸と反応させてリチウムを溶出させることによって行われる。脱リチウム化プロセスは当技術分野で周知であり、例えば、LiNiMOz材料を、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、又はオレウム(すなわち、発煙硫酸)などの水性酸化鉱酸に供する、米国特許第8,298,706号に記載されているプロセスを含む。本発明者らによって開発された代替プロセスでは、次亜塩素酸塩を鉱酸と組み合わせて使用することによって、脱リチウム化性能を向上させることができる。次亜塩素酸塩の添加は、しかし、廃棄物処分又は廃棄物ストリームからのリチウム、ナトリウム、金属、又は他の材料の回収に関して、特有の課題を呈する。したがって、次亜塩素酸塩と鉱酸を含む、脱リチウム処理によって生成される廃棄物ストリームから、例えばリチウム及び/又はニッケルなどの元素をリサイクルする新規な方法は、コストを削減しながら生成性能全体を改善するために有用であり得る。
【0007】
本明細書で開示されるのは、リチウム及び/又はニッケルを単離するための方法あり、該方法は:
(A)鉱酸及び次亜塩素酸塩の存在下でリチウムニッケル酸化物(LNO)材料を脱リチウム化して、脱リチウム化ニッケル酸化物(DLNO)材料及び廃棄物ストリームを生成することであって、ここで廃棄物ストリームは、塩化物イオン、リチウムイオン及びニッケルイオンを含む、こと;及び
(B1)廃棄物ストリームからNi(OH)2を沈殿させてリチウムリッチ溶液を生成すること、
を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、廃棄物ストリームは、約0.5g/L~約250g/Lの範囲、例えば約20g/L~約150g/Lなどの濃度でLiを含む。いくつかの実施形態では、廃棄物ストリーム中に存在するリチウムの量は、約1g/L~約200g/L、約15g/L~約175g/L、約20g/L~約150g/L、約25g/L~約125g/L、約30g/L~約100g/L、約40g/L~約75g/L、又は約50g/L~約60g/Lである。いくつかの実施形態では、廃棄物ストリームは、約0.5g/L~約88g/Lの範囲、例えば、約20g/L~約80g/L、約20g/L~約60g/Lの濃度でLiを含む。いくつかの実施形態では、廃棄物ストリームに存在するリチウムの量は、約1g/L~約88g/L、約20g/L~約60g/Lである。
【0009】
いくつかの実施形態では、廃棄物ストリーム中に存在するニッケルの量は、約0.5g/L~約400g/Lの範囲、例えば約20g/L~約200g/Lである。いくつかの態様では、廃棄物ストリーム中に存在するニッケルの量は、約1.0g/L~約300g/L、約15g/L~約250g/L、約20g/L~約200g/L、約25g/L~約150g/L、約30g/L~約100g/L、約40g/L~約75g/L、又は約50g/L~約60g/Lである。
【0010】
いくつかの実施形態では、リチウムリッチ溶液は、1000ppm(百万分率)以下のNi2+(例えば、500ppm以下のNi2+、100ppm以下のNi2+、10ppm以下のNi2+、9ppm以下のNi2+、8ppm以下のNi2+、7ppm以下のNi2+、6ppm以下のNi2+,5ppm以下のNi2+,4ppm以下のNi2+,3ppm以下のNi2+,2ppm以下のNi2+,又は1ppm以下のNi2+)の濃度のニッケルを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、リチウムリッチ溶液は、廃棄物ストリームに存在するNiの量の10質量%未満(例えば、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、又は0.0001%未満)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸カルシウム塩、次亜塩素酸リチウム塩、及び次亜塩素酸ナトリウム塩から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、投入されたLiOH、投入されたNaOH、又はそれらの組み合わせの存在下で、溶媒抽出により廃棄物ストリームを処理することをさらに含む。いくつかの実施形態では、次亜塩素酸塩は次亜塩素酸カルシウム塩であり、方法は、投入されたLiOH、投入されたNaOH、又はそれらの組み合わせの存在下で、溶媒抽出によって廃棄物ストリームを処理することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は:
(C)リチウムリッチ溶液を濃縮して濃縮リチウムリッチ溶液を生成すること、
をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液は、1つ以上の多価イオン(例えば、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、コバルト、マンガンなど)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は:
(D1)リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液をイオン交換してLi+以外の少なくとも一部の多価イオンを除去し、LiClストリームを生成すること、
をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸カルシウム塩及び次亜塩素酸ナトリウム塩から選択され;ステップ(D1)は:
リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液を、投入されたHClの存在下で溶媒抽出に供して、少なくともいくつかの多価イオンを除去してLiClストリームを生成することと;
溶媒抽出を使用してLiClストリームからNaを分離してNaClストリームを生成することと;
任意にLiClストリームを濃縮することと;
をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、NaClストリームの少なくとも一部を電気分解に供してNaOH、H2ガス、及びCl2ガスを生成することをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、H2ガスの少なくとも一部をHClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成されたHClの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、Cl2ガスの少なくとも一部を、Ca(OH)2又はNaOH又はLiOHと反応させて次亜塩素酸カルシウム又は次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸リチウムを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成された次亜塩素酸カルシウム又は次亜塩素酸ナトリウムの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0021】
いくつかの実施形態では、次亜塩素酸塩は次亜塩素酸リチウム塩であり;そして、方法は:
(D2)リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液を、Li2CO3ストリームに変換すること、
をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、ステップ(D2)は、リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液を試薬で処理して、Li2CO3ストリームを生成することを含む。いくつかの実施形態では、試薬はソーダ灰である。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は:
(E)LiClストリーム又はLi2CO3ストリームからLiOHを単離すること、
をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、単離されたLiOHは、液体形態、結晶形態、又はその両方である。いくつかの実施形態では、単離されたLiOHの少なくとも一部は、液体形態である。いくつかの実施形態では、単離されたLiOHの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、単離されたLiOHの少なくとも一部をCl2ガスと反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成された次亜塩素酸リチウムの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、単離されたLiOHの少なくとも一部からLiOH一水和物を結晶化させることをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、ステップ(E)は:
(F)LiClストリームを電気分解に供してLiOH液体、H2ガス、及びCl2ガスを生成することと、
(G)LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させることと、
をさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、H2ガスの少なくとも一部を、任意にCl2ガスの少なくとも一部の存在下で、HClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、H2ガスの少なくとも一部を、Cl2ガスの少なくとも一部の存在下でHClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成されたHClの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、Cl2ガスの少なくとも一部をCa(OH)2と反応させて次亜塩素酸カルシウムを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成された次亜塩素酸カルシウムの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、LiOH液体の少なくとも一部をCl2ガスの少なくとも一部と反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成された次亜塩素酸リチウムの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、電気分解によって生成されたNaOHの少なくとも一部をCl2ガスの少なくとも一部と反応させて次亜塩素酸ナトリウムを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成された次亜塩素酸ナトリウムの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0032】
いくつかの実施形態では、ステップ(E)は:
投入されたNaOHの存在下で溶媒抽出を使用して、LiClストリーム中のNaからLiを分離してNaClを生成することと;
任意に、LiClストリームを濃縮して濃縮LiClストリームを生成することと;
LiClストリーム又は濃縮LiClストリームを電気分解に供して、LiClをLiOH液体、H2ガス、及びCl2ガスに変換することと;
を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させることをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、H2ガスの少なくとも一部を、Cl2ガスの少なくとも一部の存在下でHClバーナーにかけてHClを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成されたHClの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0035】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、Cl2ガスの少なくとも一部をCa(OH)2と反応させて次亜塩素酸カルシウムを生成する。いくつかの実施形態では、生成された次亜塩素酸カルシウムの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、生成されたNaClの少なくとも一部を電気分解に供してNaOHを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生成されたNaOHの少なくとも一部は、プロセス投入物としてリサイクルされる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ステップ(E):
Li2CO3ストリームを水酸化カルシウムで処理してLiOHを生成すること、
を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法は連続的である。いくつかの実施形態では、プロセス投入物は、プロセスの動作中に生成され、プロセス内でリサイクルされる。
【0039】
いくつかの実施形態では、鉱酸は、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、及びオレウムから選択される。いくつかの実施形態では、鉱酸は、HClである。
【0040】
いくつかの実施形態では、廃棄物ストリームは、2~6のpHを有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、LNO材料は、LiNixMyOz材料から選択され、ここで:
Mは金属から選択され;
xは、0から1.999までの数値から選択され;
yは、0から1.999までの数から選択され;そして
zは、1~4の数字から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、Mは、遷移金属、ポスト遷移金属、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Mは、Ni、Co、Mn、Ti、Zr、Nb、Hf、V、Cr、Sn、Cu、Mo、W、Fe、Si、B、及び前述のいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Mは、0%~99.9%(例えば、0%~70%、0%~30%、0%~20%、0%~10%、0%~10%未満など)の原子百分率で存在する。
【0043】
いくつかの実施形態では、LNO材料は、LiNiMOz材料から選択される。いくつかの実施形態では、Mは、遷移金属、ポスト遷移金属、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Mは、Ni、Co、Mn、Ti、Zr、Nb、Hf、V、Cr、Sn、Cu、Mo、W、Fe、Si、B、及び前述のいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Mは、0%~99.9%(例えば、0%~70%、0%~30%、0%~20%、0%~10%、0%~10%未満など)の原子百分率で存在する。
【0044】
いくつかの実施形態では、LiNiMOz材料は、LiNiCoAlOz及びLiNiCoAlM’Oz材料から選択され、ここでM’は金属から選択される。いくつかの実施形態では、M’は、遷移金属、ポスト遷移金属、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、M’はMgである。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法は、方法によって生成されたNi(OH)2、方法によって生成されたLiOH一水和物、又は両方を使用して、LNO材料を形成することをさらに含む。
【0046】
また、本明細書で開示されるのは、リチウム及び/又はニッケルを単離するための方法あり、該方法は:
(A)鉱酸及び次亜塩素酸カルシウム塩の存在下でリチウムニッケル酸化物(LNO)材料を脱リチウム化して脱リチウム化ニッケル酸化物(DLNO)材料及び廃棄物ストリームを生成することであって、ここで廃棄物ストリームは、塩化物イオン、リチウムイオン及びニッケルイオンを含む、ことと;
(B)廃棄物ストリームからNi(OH)2を沈殿させて濃縮リチウムリッチ溶液を生成することと;
(C)任意にリチウムリッチ溶液を濃縮して濃縮リチウムリッチ溶液を生成することと;
(D)リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液をイオン交換に供して、Li+以外の少なくとも一部の多価イオンを除去し、LiClストリームを生成することと;
(E)LiClストリームを電気分解供して、LiOH液体、H2ガス、及びCl2ガスを生成することと;
(F)LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させることと;
(G)i)LiOH液体の少なくとも一部及び/又は(ii)再溶解したLiOH一水和物を、Cl2ガスの少なくとも一部と反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することと;
(H)H2ガスの少なくとも一部を、Cl2ガスの少なくとも一部の存在下でHClバーナーにかけてHClを生成することと;
を含む。
【0047】
あるいは、本明細書で開示された方法は、精製された廃水を得るために修正されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1Aは、LiNiMOz材料を生成し、その生成物から1つ以上の要素をリサイクルするための方法を示す図である。
図1Bは、廃棄物ストリームからNi(OH)
2、HCl、次亜塩素酸塩、LiOH、及び水を分離するための方法を示す図である。
【
図2】
図2は、脱リチウム化反応におけるCa(ClO)
2の使用から生成される廃棄物ストリームを処理するための方法を示す図である。
【
図3】
図3は、脱リチウム化反応における次亜塩素酸カルシウム塩の使用から生成される廃棄物ストリームを処理するための方法を示す図である。
【
図4】
図4は、脱リチウム化反応における次亜塩素酸リチウム塩の使用から生成される廃棄物ストリームを処理するための方法を示す図である。
【
図5】
図5は、脱リチウム化反応における次亜塩素酸リチウム塩を使用から生成される廃棄物ストリームを処理するための代替方法を示す図である。
【
図6】
図6は、脱リチウム化反応における次亜塩素酸ナトリウム塩の使用から生成される廃棄物ストリームを処理するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
非限定的な例示的な実施形態
【0050】
限定されないが、本開示のいくつかの実施形態は、以下を含む:
【0051】
1.廃棄物ストリームからLiOH一水和物及びNi(OH)2を生成する方法であって、該方法は:
(A’)HCl及び次亜塩素酸塩の存在下でLiNiMOzを脱リチウム化して、脱リチウム化LiNiMOz及び廃棄物ストリーム(母液)を生成するステップであって、前記廃棄物ストリームは、塩化物イオンとリチウムの量とニッケルの量を含むNi2+/Li+の溶液を含む、ステップと;
(B’)投入されたLiOH、投入されたNaOH、又はそれらの組み合わせの存在下で、溶媒交換、及び/又は沈殿により、Ni2+/Li+溶液を処理して、Ni(OH)2及び任意に1以上の多価イオンを含むリチウムリッチ溶液を生成するステップであって、任意に前記Ni(OH)2は前記LiNiMOzを生成するために、使用される、ステップと;
(C’)任意にリチウムリッチ溶液を濃縮して濃縮リチウムリッチ溶液を生成するステップと;
(D’)リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液をイオン交換に供して、Li+以外の多価イオンを除去し、LiClストリームを生成するステップ、又は前記リチウムリッチ溶液をLi2CO3ストリームに変換するステップと;
(E’)ステップ(D’)からの前記LiClストリーム又は前記Li2CO3ストリームを、LiOHの単離に供するステップであって、前記LiOHは液体状、結晶状又はその両方である、ステップと;
を含む方法。
【0052】
2.ステップ(E’)は:
(F’)前記LiClストリームを電気分解に供して、LiOH液体、H2ガス及びCl2ガスを生成するステップであって、任意に、前記LiOH液体の少なくとも一部はステップ(B’)で投入されるLiOHとして再利用される、ステップと;
(G’)前記LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させるステップであって、任意に、前記LiOH一水和物は前記LiNiMOzの生成のために使用され得る、ステップと;
を含む、実施形態1に記載の方法。
【0053】
3.前記H2ガスをHClバーナーにかけてHClを生成し、任意に、前記HClがステップ(A’)で使用される、実施形態2に記載の方法。
【0054】
4.前記Cl2ガスをCa(OH)2及び次亜塩素酸ナトリウムと反応させて次亜塩素酸カルシウムを生成し、任意に、前記次亜塩素酸カルシウムの少なくとも一部はステップ(A’)で使用される、実施形態2又は3に記載の方法。
【0055】
5. ステップ(E’)は:
投入されたNaOHの存在下で、溶媒交換を使用して、前記LiClストリーム中のNaからLiを分離してNaClを生成することと;
任意に、前記LiClストリームを濃縮することと;
前記LiClストリームを電気分解に供してLiClをLiOH液体、H2ガス及びCl2ガスへと変換することであって、任意に、前記LiOH液体の少なくとも一部がステップ(B’)の投入されるLiOHとして再利用される、ことと;
を含む、実施形態1に記載の方法。
【0056】
6.前記LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させることであって、任意に、前記LiOH一水和物が前記LiNiMOzの生成に使用され得ることをさらに含む、実施形態5に記載の方法。
【0057】
7.前記H2ガスは、任意に前記Cl2ガスとともにHClバーナーにかけられてHClを生成し、任意に前記HClはステップ(A’)又はステップ(D’)で使用される、実施形態5に記載の方法。
【0058】
8.前記Cl2ガスをCa(OH)2及び次亜塩素酸ナトリウムと反応させて次亜塩素酸カルシウムを生成し、任意に、前記次亜塩素酸カルシウムの少なくとも一部がステップ(A’)で使用される、実施形態5又は6に記載の方法。
【0059】
9.前記NaClを電気分解に供してNaOHを生成し、任意に、前記NaOHは前記投入されるNaOHとして使用される、実施形態5に記載の方法。
【0060】
10.ステップ(D’)は:
リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液をソーダ灰又は他の反応剤で処理して前記Li2CO3ストリームを生成すること、
をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0061】
11.前記Li2CO3ストリームを炭酸カルシウムで処理してLiOHを生成することをさらに含む、実施形態10に記載の方法。
【0062】
12.
任意に、前記LiOHを溶媒交換に供して多価イオンを除去することと;
任意に、前記LiOHの少なくとも一部をステップ(B’)に移すことと;
前記LiOHの少なくとも一部をCl2ガスと反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することであって、任意に、前記次亜塩素酸リチウムの少なくとも一部がステップ(A’)で使用されることと;
任意に、前記LiOHからLiOH一水和物を結晶化させることであって、任意に、前記LiOH一水和物は前記LiNiMOzの生成に使用され得る、ことと;
をさらに含む、実施形態10又は11に記載の方法。
【0063】
13.ステップ(E’)は:
前記LiClストリームを電気分解に供してLiOH液体、H2ガス及びCl2ガスを生成することであって、任意に、前記LiOH液体の少なくとも一部はステップ(B’)の投入されるLiOHとして再使用される、ことと;
前記LiOH液体からLiOH一水和物を沈殿させことであって、任意に、前記LiOH一水和物は前記LiNiMOzの生成に使用され得ることと;
をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0064】
14.前記LiOH液体の少なくとも一部を前記Cl2ガス及び次亜塩素酸ナトリウムと反応させて次亜塩素酸リチウムを生成することであって、任意に、前記次亜塩素酸リチウムの少なくとも一部が前記次亜塩素酸塩としてステップ(A’)で使用されること、
をさらに含む、実施形態13に記載の方法。
【0065】
15.前記H2ガスは、任意に前記Cl2ガスの存在下で、HClバーナーにかけられてHClを生成することであって、任意に前記HClはステップ(D’)で使用される、実施形態13又は14に記載の方法。
【0066】
16.ステップ(D’)は:
リチウムリッチ溶液又は濃縮リチウムリッチ溶液を、投入されたHClの存在下で溶媒交換に供して多価イオンを除去し、前記LiClストリームを生成することであって、該方法は、溶媒交換を使用して前記LiClストリームからNaを分離してNaClストリームを生成することと;
任意に、前記LiClストリームを濃縮することと;
を含む、実施形態1に記載の方法。
【0067】
17.ステップ(E’)は、前記LiClストリームを電気分解に供してLiClをLiOH液体に変換することであって、任意に、前記LiOH液体の少なくとも一部がステップ(B’)で投入されるLiOHとして再使用される、ことを含む、実施形態16に記載の方法。
【0068】
18.前記NaClストリームを電気分解に供してNaOH、H2ガス及びCl2ガスを生成し、任意に、前記NaOHの少なくとも一部がステップ(B’)で使用される、実施形態16に記載の方法。
【0069】
19.前記H2ガスをHClバーナーにかけてHClを生成し、任意に、前記HClはステップ(A’)、(D’)、又はその両方で使用される、実施形態16、17、又は18のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
20.前記Cl2ガスをCa(OH)2又はNaOH(任意に実施形態18の前記NaOH)と反応させて次亜塩素酸カルシウム又は次亜塩素酸ナトリウムを生成し、任意に、前記次亜塩素酸ナトリウム又は前記次亜塩素酸カルシウムの少なくとも一部は前記投入される次亜塩素酸塩としてステップ(A’)で使用される、実施形態18又は19に記載の方法。
【0071】
21.前記方法は連続的である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
22.ステップ(A’)の前記次亜塩素酸塩(任意に液体又は固体)の少なくとも一部が、前記方法によって生成される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
23.ステップ(A’)におけるHClは、前記方法の生成物である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
24.前記投入されるLiOHは、前記方法によって生成される生成物である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
23.前記LiNiMOzにおけるMが、0~99.9、任意に0~70、任意に0~30、任意に0~20、任意に0~10、任意に0~10未満の原子百分率で存在する実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
24.Mが、Ni、Co、Mn、Ti、Zr、Nb、Hf、V、Cr、Sn、Cu、Mo、W、Fe、Si、B、他の遷移金属もしくはポスト遷移金属、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態23に記載の方法。
【0077】
25.前記Mが、Mn、Mg、Al、Co、及び/又は、ほとんどの他の遷移金属又はポスト遷移金属である、実施形態24に記載の方法。
【0078】
26.前記LiNiMOzは、LiNiCoAlOz、LiNiCoAlM’Ozであり、M’は任意に遷移金属、ポスト遷移金属、Mg、又はその他である、実施形態25に記載の方法。
【0079】
27.前記廃棄物ストリームのpHが2~6である、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
28.前記LiNiMOzは、方法によって生成されたNi(OH)2、方法によって生成されたLiOH一水和物、又はそれらの組み合わせを使用して形成される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
ここで提供されるのは、電池電極活材料の生成のための前駆体として機能し得る再利用可能な材料を得るための方法である。電池材料、特にリチウムイオン電池のカソードで使用するために必要な材料の生成には、前駆体金属水酸化物材料を合成し、その後リチウム化することが必要である。これらの材料のリチウム化によって、結晶構造中のリチウムの位置を有する結晶性電気化学的活性材料が焼成中に形成され、それによって、材料が電池に使用された場合、より堅牢なサイクルが可能になる。充電、特に一次リチウムイオン電池の充電のためには、カソードの材料を脱リチウム化する必要がある。脱リチウム化により、電気化学的に活性な材料は、放電中にリチウムが結晶構造中に吸収されるための準備が整えられる。
【0082】
本明細書に開示される方法は、堅牢な廃棄物ストリームのリサイクルがNi(OH)2及びLiOH一水和物などの材料を生成することを可能にし、これらの材料は、LiNiMOz材料の生成のための反応及びさらなるリサイクル反応のために補充し戻されることができる。このように、いくつかの実施形態では、本明細書に開示された方法は連続的であり、つまり、方法の少なくとも1つの生成物が、リサイクルプロセスのより早い段階にフィードバックされるか、又はLiNiMOz材料の生成又は処理の上流の反応にフィードバックされることを意味する。
【0083】
リチウムニッケル酸化物材料(本明細書では、特定の化学式に限定されることなく「LNO」と呼ばれる)は、通常、共沈殿水酸化反応物、例えば水酸化ニッケル単独、又は他の金属水酸化物と他の金属水酸化物によって生成される。次に、これらの得られた材料は、焼成ステップで水酸化リチウムと結合されて、リチウムニッケル酸化物を形成する。次いで、LNOは、酸、例えば鉱酸、例えばHCl及び次亜塩素酸塩(例えば、次亜塩素酸カルシウム塩、次亜塩素酸ナトリウム塩、次亜塩素酸リチウム塩、又はそれらの組み合わせ)で脱リチウム化され、電気化学電池のカソード活物質として使用され、又は他の用途に使用され得る脱リチウム化ニッケル酸化物(DLNO)を生成する。DLNOは、固液分離ステップ(SLS)で母液(ML)から分離される。脱リチウム化反応により、母液は、塩化物、次亜塩素酸塩、又は他の塩化物種の形態で、Ni、Ca、Na、Li、及びKの一部又は全部を含むことができる。方法でどの次亜塩素酸塩が使用されるかに応じて、異なる母液処理が、LNO材料のさらなる生成における後続の使用のために、Ni(OH)2及びLiOH一水和物を回収するために採用され得る。
【0084】
本明細書に記載の方法は、LNO材料から生成される廃棄物ストリームを使用することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、LNO材料は、LiNixMyOz材料から選択され、ここで、
x及びyの各々は、独立して、0から1.999までの数値、又はその間の任意の値又は範囲から選択され;及び
zは、1から4までの数値から選択され、又は任意の約2から任意の約4までの間の任意の値又は範囲である。
【0086】
いくつかの実施形態では、zは約2であり、x及びyの各々は、ゼロから0.999までの数値から選択される。いくつかの実施形態では、zは約4であり、x及びyの各々は1から1.999までの数値から選択され、Mは1つの元素又は元素の組み合わせ(例えば、2、3、4、5、又はそれ以上の元素)である。例示的に、本明細書に記載のLNO材料におけるMは、金属、例えば、Mn、Mg、Al、Co、及び/又はほとんどの他の遷移金属もしくはポスト遷移金属、又はそれらの組み合わせであってよい。例えば、遷移金属は、電気化学セルで使用されるのに適した任意の遷移金属であってよい。遷移金属の例示的な例は、Ni、Co、Mn、Ti、Zr、Nb、Hf、V、Cr、Sn、Cu、Mo、W、Fe、Si、B、又は他の遷移金属を含むが、これらに限定されない。LNO材料の例示的な例は、LiNiCoMnM’Oz、LiNiCoMgM’Oz、LiNiCoAlOz、又はLiNiCoAlM’Ozを含むが、これらに限定されず、ここでM’は任意に遷移金属、ポスト遷移金属、Mg、又はその他であり、いくつかの実施形態では存在しなくてよい。
【0087】
リチウム化合物及びニッケル化合物は、電気化学的に活性な化合物、例えばLNO材料を生成するために使用され得る。任意に、リチウム化合物は、水酸化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、過酸化リチウム、炭酸水素リチウム、又はハロゲン化リチウム、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0088】
母液から材料を回収する方法は、次亜塩素酸塩及び単離の対象となるリサイクル生成物の同一性に応じて変化し得る。「次亜塩素酸塩」は、本明細書で使用される場合、カルシウム、リチウム、又はナトリウムの次亜塩素酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一般に、廃棄材料は、本明細書に提供される方法による抽出又は単離のためのLi及びNiの供給源として提供される。本明細書で使用される「廃棄物」という用語は、抽出に適した濃度でNi2+及びLi+のいずれか又は両方を含む液体又は固体組成物として定義される。「廃棄物」は、別の先行するプロセスの使用済み生成物である組成物である必要はないが、所望のLNO材料の先行処理ステップからのNi又はLiの浸出などの上流プロセスの生成物であってよい。任意に、本明細書で使用される「廃棄物」は、例えば、任意に鉱酸を用いたLNOの脱リチウム化(任意に一次又は二次電気化学セルにおけるカソードの形成に使用される)中に生成される、Ni及びLiの連続又は不連続の浸出からの廃棄物ストリームである。
【0089】
本明細書で使用される場合「ppm」又は「百万分率」は、1リットルあたりのミリグラム(mg/L)を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合「電池グレード」は、少なくとも95%の純度(例えば、少なくとも99%の純度)を指す。
【0091】
LiNiMOz材料は、本明細書に記載される方法に従ってその後の単離に使用され得るLi及びNiを有する塩化物マトリックスをもたらすような方法で脱リチウム化され得る。任意に、脱リチウム化は、実質的に当技術分野で認識されている方法、例示的に米国特許第8,298,706号に記載されている方法で、例えば、LiNiMOz材料を所望の脱リチウム化温度で塩酸水溶液又は過塩素酸水溶液に供することによって行われる。酸水溶液は、1モル/リットル以上(例えば、3モル/リットル以上、6モル/リットル以上、8モル/リットル以上、又は10モル/リットル以上)及び/又は12モル/リットル以下(例えば、10モル/リットル以下、8モル/リットル以下、6モル/リットル以下、又は3モル/リットル以下)の濃度を有し得る。任意に、酸水溶液の濃度は、0.1モル/リットルから10モル/リットルの間(例えば、1モル/リットルから10モル/リットルの間、又は4モル/リットルから8モル/リットルの間など)であり得る。任意に、脱リチウム化温度は0℃と5℃の間であるが、いくつかの実施形態では、脱リチウム化温度は10℃以上、任意に60℃以上である。得られたスラリーは、約0.5~40時間、脱リチウム化温度で混合され、固形物は再スラリー化されたままか、沈降させた後、任意にカソード生成に使用するために固形脱リチウム化材料を単離及び洗浄する。洗浄から除去された上澄みは、本明細書に提供される方法のさらなる態様において、廃液Ni2+/Li+溶液として使用されることができる。
【0092】
脱リチウム化プロセスからの廃棄物ストリーム(母液)は、本明細書ではNi2+/Li+溶液と呼ばれることがあり、いくつかの実施形態では、約0.5g/L~約250g/Lの範囲、例えば約20g/L~約150g/Lなど濃度でLiを含み得る。いくつかの実施形態では、Ni2+/Li+溶液中に存在するリチウムの量は、約1g/L~約200g/L、約15g/L~約175g/L、約20g/L~約150g/L、約25g/L~約125g/L、約30g/L~約100g/L、約40g/L~約75g/L、又は約50g/L~約60g/Lである。
【0093】
いくつかの実施形態では、Ni2+/Li+溶液中に存在するニッケルの量は、約0.5g/Lから約400g/L、任意に約20g/L~約200g/Lの範囲であり得る。いくつかの態様では、Ni2+/Li+溶液中に存在するニッケルの量は、約1.0g/L~約300g/L、約15g/L~約250g/L、約20g/L~約200g/L、約25g/L~約150g/L、約30g/L~約100g/L、約40g/L~約75g/L、又は約50g/L~約60g/Lである。
【0094】
Ni
2+/Li
+溶液を処理してNi(OH)
2とLiOH一水和物を生成するための一般的な手順を
図1Bに示す。Ni
2+/Li
+溶液の形態の廃棄物ストリームは、溶媒抽出反応及び/又は沈殿反応に供され、Ni(OH)
2を沈殿させ、及び/又は、後続の処理ステップに影響を及ぼす可能性のある多価イオン又はその他の不純物を除去する。沈殿したNi(OH)
2は、さらなるLNO材料の生成のための前駆体材料として使用されることができる。また、塩化リチウムの形態のリチウムを含む可能性のあるリチウムリッチ溶液も生成される。LiClストリームは、LiOH(液体)を生成して分離し、HCl及び任意にそれ自体がさらなるDLNO材料の生成に再利用され得る次亜塩素酸塩を再生するために、さらなる精製ステップに供され得る。LiOH(液体)は、それ自体、リサイクルプロセス自体における後続のNi沈殿反応に使用されることができる。任意に、LiOH(液体)の少なくとも一部は、その後、それ自体がLNO材料の生成に使用され得るLiOH一水和物材料を形成するように結晶化され得る。全体として、処理により、LNO材料の生成に再利用することができるNi(OH)
2及びLiOH一水和物が生成される。いくつかの実施形態では、方法はまた、例えば、LNO材料の脱リチウム化などの脱リチウム化反応において使用されることもできるHCl及び/又は次亜塩素酸塩を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は連続的であり、DLNO生成プロセスと連携して実行され、後続のDLNO材料を継続的に生成するだけでなく、DLNO材料の生成中の脱リチウム化プロセスからの廃棄物ストリームにおけるNi及びLiのリサイクルをサポートすることもできる。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態は、廃棄物ストリームからリサイクル材料を生成するプロセスを提供し、ここでリサイクル材料は、少なくともLiOH一水和物及びNi(OH)
2を含み得る。いくつかの実施形態において、脱リチウム化反応におけるCa(ClO)
2の使用から生成される廃棄物ストリームを処理する方法は、
図2に示される通りである。簡単に説明すると、ニッケル及びカルシウムは、沈殿及び/又は溶媒抽出によって除去される。Caの溶媒抽出(SX)については、電気分解後の後のステップで生成されるHClをカルシウムの除去に使用することができる。Niの沈殿については、沈殿を引き起こすのに十分な塩基を提供するために、投入されるLiOHを使用することができ、いくつかの実施形態では、投入されるLiOHは、全体又は一部がリサイクルプロセスで生成される。
【0096】
例示的に、Ni沈殿は、米国特許出願公開第2021/0130927号A1に記載されているように行われることができる。いくつかの実施形態では、Ni(OH)2、焼成ステップにcされることができる。ストリームは、任意に、下流プロセスでの流体負荷を低減し、装置サイズを縮小するために、蒸発又は他の技術を使用して濃縮される。その後、多価不純物は、イオン交換(IX)を使用して、同じプロセスで後に生成されるHClを少なくとも部分的に使用することができるプロセスで除去される。あるいは、多価不純物は、ストリームが蒸発を使用して任意に濃縮される前に、イオン交換(IX)を使用して除去される(すなわち、いくつかの態様では、イオン交換ステップは濃縮ステップの前に行われる)。任意に、濃縮ステップは除外される。次に、得られたLiClストリームを電気分解し、LiClをLiOHに変換する。LiOHの一部は、投入されるLiOHとしてNi沈殿ステップにリサイクルし戻されることができる。電池グレードのLiOH一水和物結晶は、結晶化ステップでLiOHから生成され、いくつかの態様では、LNO材料の生成における焼成ステップにリサイクルし戻され得る。
【0097】
図2に示されるように、LiCl電気分解ステップは、H
2及びCl
2を生成する。電気分解ステップからのH
2の少なくとも一部及び/又はCl
2の少なくとも一部は、任意に、DLNOを生成するための脱リチウム化反応において使用されることができるHClを生成するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、Cl
2ガスの別の部分又は残りと新鮮なCa(OH)
2を反応させて、Ca(ClO)
2を生成することができる。HCl及びCa(ClO)
2は、脱リチウム化及び/又は溶媒抽出(SX)又はイオン交換(IX)ステップにリサイクルし戻されることができる。さらに、Ca(ClO)
2は、脱リチウム化反応で再利用されることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、次亜塩素酸カルシウムによる脱リチウム化の後に使用され得る方法は、
図3に示される通りである。簡単に言えば、ニッケル及びカルシウムは、沈殿又は溶媒抽出で除去されることができる。任意に、Caはソーダ灰との反応によって除去され、炭酸カルシウムの残留物とリチウムリッチ溶液が生成される。Ni(OH)
2は、LNO材料の生成中に焼成ステップにリサイクルし戻されることができる。リチウムリッチ溶液は、任意に、下流プロセスでの流体負荷を低減し、装置サイズを縮小するために、蒸発又は他の技術を使用して濃縮される。その後、イオン交換(IX)を使用して多価イオン不純物を除去する。あるいは、リチウムリッチ溶液を任意に濃縮する前に、イオン交換(IX)を使用して多価イオン不純物を除去する。次のステップでは、Liは溶媒抽出(SX)(例えば、米国特許出願公開第2021/0130927A1号に記載されている溶媒抽出プロセスなど)を使用してNaから分離される。回収されたLiClストリームは、任意にさらに濃縮され、その後、電気分解してLiClをLiOHに変換する。LiOHの一部は、Ni沈殿ステップにリサイクルし戻されることができる。電池グレードのLiOH一水和物結晶は、結晶化ステップで生成され、焼成ステップにリサイクルし戻され得る。いくつかの実施形態では、電気分解を使用して、NaからLiを分離する際に生成されるNaClを、Li/Na分離ステップで使用され得るNaOHに変換することができる。各電気分解ステップから生成されたH
2及びCl
2は、HClを生成するために使用されてよい。NaOHとHClは、Li溶媒抽出、イオン交換、脱リチウム化のステップにリサイクルし戻されることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、廃棄物ストリームは、次亜塩素酸リチウム塩によってLNOの脱リチウム化によって生成され得る。このNi
2+/Li
+溶液の処理は、例えば、
図4に示されているように実行されてよい。簡単に言うと、ニッケルは、沈殿(例えば、投入されるLiOHによる沈殿など)又は溶媒抽出によって除去される。Ni(OH)
2は、LNO材料の生成のためにリサイクルし戻されることができる。リチウムリッチストリームは、下流プロセスでの流体負荷を低減し、装置サイズを縮小するために、蒸発又は他の技術を使用して濃縮される。技術的等級の炭酸リチウム(Li
2CO
3ストリーム)は、ソーダ灰との反応によって生成され、次にCa(OH)
2を使用してLiOHに変換される。その後、イオン交換を使用して追加の多価不純物が除去される。次のステップでは、LiOHの一部がNi沈殿ステップにリサイクルし戻されることができる。また、LiOHの別の一部は、Cl
2ガスと反応させてLiClOを生成し、脱リチウム化反応にリサイクルし戻されることができる。電池グレードのLiOH結晶は、結晶化ステップでLiOHからが生成され、焼成ステップにリサイクルし戻される。
【0100】
他の実施形態では、次亜塩素酸リチウムが脱リチウム化反応に使用される場合、
図5に例示されるように、廃棄物ストリームはリサイクルされ得る。この方法は、
図2及び
図3に示された方法といくつかの態様において類似しており、LiCl蒸気の生成及びその後のリチウム電気分解を含む。簡単に言えば、Niは、沈殿(任意に投入されるLiOHを使用する)又は溶媒抽出(任意に米国特許出願公開第2021/0130927A1号に記載されているような)によって除去される。Ni(OH)
2は、後続のLNO材料の生成にリサイクルし戻されることができる。その後、リチウムリッチ溶液は、下流プロセスでの流体負荷を低減し、装置サイズを縮小するために、蒸発又は他の技術を使用して濃縮される。追加の多価不純物は、イオン交換を使用して除去され、LiCl蒸気を生成することができる。あるいは、リチウムリッチ溶液の濃縮前に、イオン交換を使用して追加の多価不純物を除去してよい。次に、電気分解を使用して、LiCl蒸気をLiOHに変換することができる。LiOHの一部は、投入されるLiOHとしてNi沈殿ステップにリサイクルし戻されることができる。電池グレードのLiOH結晶は、LiOHの一部から結晶化ステップで生成されてもよく、後続のLNO材料の生成のためにリサイクルし戻されることができる。いくつかの実施形態では、電気分解ステップから生成されたH
2及びCl
2は、脱リチウム化反応及びイオン交換ステップにそれぞれリサイクルし戻されることができるLiClO及びHClの生成に使用されてよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、脱リチウム化反応は、次亜塩素酸ナトリウム塩を使用して行われる。いくつかの実施形態では、この脱リチウム化で生成された廃棄物ストリームのリサイクルは、
図6に示されているように実行され得る。簡単に言うと、ニッケルは、沈殿又は溶媒抽出(任意に米国特許出願公開第2021/0130927A1号に記載されているような)で除去される。Ni(OH)
2は、LNO材料の生成にリサイクルし戻されることができる。次いで、得られたリチウムリッチ溶液は、下流プロセスでの流体負荷を低減し、装置サイズを縮小するために、蒸発又は他の技術を使用して濃縮される。その後、イオン交換を使用して多価不純物の残りを除去し、LiClストリームを生成する。あるいは、リチウムリッチ溶液を濃縮する前に、イオン交換を使用して多価不純物を除去することができる。次のステップでは、溶媒抽出(任意に米国特許出願公開第2021/0130927号A1に記載されているような)を使用して、LiをNaから分離する。回収されたLiClストリームは、任意でさらに濃縮される。得られたLiClストリームは、任意に、リチウム溶媒抽出に供されてNaClを分離し、その後、電気分解されてLiClをLiOHに変換される。LiOHの一部は、投入されるLiOHとしてNi沈殿ステップにリサイクルし戻されることができる。電池グレードのLiOH一水和物結晶は、結晶化ステップで生成され、その後、LNO材料の生成における焼成ステップにリサイクルし戻されることができる。また、
図6に示されるように、Na/Li分離ステップから生成されたNaClストリームに対して電気分解を使用して、NaOHを生成することができる。NaOH又はLiOHの一部は、Niを沈殿させるためにリサイクルし戻されることができる。各電気分解から生成されたH
2及びCl
2は、HCl及びNaClOを生成するために使用されてよく、これらはそれぞれIXステップ及び脱リチウム化ステップにリサイクルし戻されることができる。
【0102】
本明細書に記載の廃棄物ストリームからLiOH一水和物及びNi(OH)2を生成するための非限定的プロセスの例示的態様が表1に示される。
【0103】
【0104】
いくつかの実施形態では、Ni
2+/Li
+溶液からNiを抽出することは、任意に、例えば、Ni(OH)
2を生成するために、投入されるLiOHを使用するなど、Niの直接沈殿によって行われる。例示的に、投入されるLiOHは、Ni
2+/Li
+溶液のpHが約8~約12.5、任意に約10~約12.5のpHに調整されるように、十分な塩基を提供する。
図6に例示されているように、投入されるLiOHは、例えばNaOHなどの他の塩基材料で置換されてもよいことが理解される。投入されるLiOH又はNaOHは、チャンバ内でNi
2+/Li
+溶液と接触させ、所望の時間及び所望の温度、任意に-5℃~120℃で保持し、Ni(OH)
2の形成を可能にし得る。
【0105】
ニッケル沈殿は、一組の反応槽、次いで増粘剤及びフィルタを含む回路で実施することができる。増粘剤のオーバーフローはカルシウム除去に送られ、アンダーフローは固液分離装置(例えば、フィルタプレスなど)に送られる。水酸化ニッケルを主に含むフィルタケーキ製品は、その後のLNO材料の生成又は他の用途に再利用可能であると考えられている。
【0106】
得られた沈殿したNi生成物は、続いて濾過及び洗浄され、最終的なNi(OH)2材料を形成することができ、これは、その後のLNO材料の生成、任意にリチウム化カソード電気化学的活性材料の生成に直接利用することができる。
【0107】
Niの単離は、任意に1000ppm(百万分率)以下のNi2+(例えば、500ppm以下のNi2+、100ppm以下のNi2+、10ppm以下のNi2+、9ppm以下のNi2+、8ppm以下のNi2+、7ppm以下のNi2+、6ppm以下のNi2+,5ppm以下のNi2+,4ppm以下のNi2+,3ppm以下のNi2+,2ppm以下のNi2+,又は1ppm以下のNi2+)の濃度でNiを含むリチウムリッチ溶液をもたらす。
【0108】
リチウムリッチ溶液は、任意に、Ni2+/Li+溶液として10質量パーセント未満の量のNiを有する。いくつかの実施形態では、リチウムリッチ溶液は、Ni2+/Li+溶液のNiの量が1パーセント未満、例えば、Ni2+/Li+溶液のNiの量が0.1パーセント未満、0.01パーセント未満、0.001パーセント未満、又は0.0001パーセント未満などである。
【0109】
図2に示されるように、脱リチウム化反応において、脱リチウム液に次亜塩素酸カルシウムを利用する場合、カルシウム除去ステップを追加することができる。
図2において、そのようなステップは、CaSX(すなわち、カルシウム溶媒抽出)として示されている。Ni
2+/Li
+溶液中のCa
2+は、例えば、式(C
8H
17O)
2PO
2Hを有するジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(D2EPHA)などの有機抽出剤を使用して抽出されてよい。いくつかの実施形態では、有機抽出剤は、最大30%v/vのD2EPHAを含んでよい。いくつかの実施形態では、抽出は、約3のpHで行われ得る。Ca
2+の抽出後のpHを維持するためにNaOHが添加されてよい。Ca
2+を有する負荷された抽出物は、HClによって剥離され、酸性pH(例えば、1~2のpH)及び約3~6mol/Lの濃度でCa(Cl)
2を生成することができる。得られたリチウムリッチ溶液は、その後の処理に使用されることができる。
【0110】
図3に示すように、次亜塩素酸カルシウムが脱リチウム化反応に使用される場合、カルシウムはNi
2+/Li
+溶液から、任意に一連の攪拌タンクで沈殿させることができる。溶液中のカルシウム濃度は、任意に、ソーダ灰(Na
2CO
3)を25%w/wの溶液として添加することにより、最大100mg/Lまで低減され、炭酸カルシウムを形成する。排出スラリーは濾過され、主に炭酸カルシウムからなるフィルタケーキは廃棄されるか、又は他のプロセスで使用される。得られたリチウムリッチ溶液は、その後の処理に使用される。
【0111】
次亜塩素酸リチウムは、脱リチウム化反応のための次亜塩素酸塩として、いくつかの態様で使用され得る。
図4に示される実施形態などのいくつかの実施形態では、リチウムリッチ溶液は、リチウムの炭酸リチウムへの変換に供される。簡単に説明すると、リチウムリッチ溶液は90~95℃に加熱され、Li
2CO
3がソーダ灰の添加によって精製母液ストリームから沈殿し、Li
2CO
3スラリーが生成される。この排出スラリーを濾過し、Li
2CO
3固体を洗浄して、中間技術グレードのLi
2CO
3生成物を生成する。中間Li
2CO
3生成物の蒸気は、
図4に示すように、リチウム転換に送られる。ナトリウムとカリウムの不純物を含む貧液は、廃液処理施設に送ることができる。
【0112】
図4に示すリチウム変換は、直列に構成された攪拌反応器の列に炭酸リチウムを供給することによって行うことができる。消石灰スラリーを添加し、炭酸リチウム供給原料と反応させて、LiOH溶液と不溶性炭酸カルシウム沈殿物を生成する。2質量%LiOHの目標出口濃度を達成するために、プロセス凝縮物を、反応器に添加することができる。得られたスラリーは、LiOH溶液から残留固形物を除去するために、フィルタプレスのバンク(並列に動作し、デューティ/スタンバイ配置で構成される)に供給することができる。主に炭酸カルシウムと少量の残留未反応炭酸リチウムを含む固形ケーキ(固形分70質量%)は、処分してよい。
【0113】
さらに、
図2~
図6に示されるように、本明細書に開示される方法は、多価イオンを除去するためのイオン交換ステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、3価及び2価の金属イオンに対して高い親和性を有するイオン交換媒体を装填し、プロセス凝縮物で洗浄し、次いで希塩酸溶液で溶出させる。3価及び2価の金属イオンを1ppm未満含む精製ラフィネート(LiCl溶液)は、それぞれのプロセスの次の単位操作に供給される。弱酸性の微多孔性陽イオン交換樹脂(例えば、イミノ二酢酸又はアミノホスホンの官能基を有するもの)を使用することができる。商業的に入手可能な陽イオン交換樹脂としては、ランクセス(Lanxess)TP-207が挙げられるが、これに限定されない。
【0114】
図3及び6に示されるように、いくつかの実施形態では、方法は、リチウムリッチ溶液からナトリウムを分離するためのリチウム溶媒抽出を含み得る。いくつかの実施形態では、リチウムは、リチウム溶媒抽出プロセスを使用して有機溶液に選択的に抽出され、ナトリウム及びカリウムなどの不純物がラフィネートに残される。大部分が塩化ナトリウムと一部の塩化カリウムを含むラフィネート溶液の一部は、
図6に示されるように、カリウムの蓄積を防ぐためにブリードされ得る。いくつかの実施形態では、NaCl電気分解で生成される水酸化ナトリウムがpH調整剤として添加される。次に、リチウムを担持した有機物を、弱酸性溶液を使用してスクラビングし、巻き込まれた不純物及び共抽出された不純物を除去する。スクラビングの後、塩酸(HCl)を使用して有機相からリチウムを除去し、塩化リチウム溶液を生成する。残留する有機物は、マルチメディアフィルタを使用して、ストリップ溶液とラフィネート溶液から除去される。LiClストリームは、LiCl電気分解に供給され得る。ラフィネート溶液は、主に塩化ナトリウムと塩化カリウムを含み、NaOH、H
2、Cl
2ガスを生成するためにNaCl電気分解に送られ、それ自体が下流で使用されることができる。
【0115】
図2、
図3、
図5、及び
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、ストリームは、リチウム電気分解され得る。前のステップからのLiClストリームは、2つの区画に分けられたバイポーラセルにおけるLiCl電気分解に供給される。電流が印加されると、アノードで塩素ガスが、カソードで水素が発生する。水素と塩素のガスは塩酸バーナーに送られ、塩酸に変換され得る。電気分解セルに電流を流すと、塩化リチウム塩水に存在する金属イオンが膜を通過して電荷バランスを保ち、カソード側で水酸化リチウムを生成する。カソード区画の希釈水源として水が追加される。次いで、水酸化リチウムリッチ溶液は、再使用されるか、又はLiOH・H
2Oの結晶化に送られ得る。不純物の蓄積を避けるため、アノライト放電時に定期的にパージが必要な場合がある。単セル電圧は最大約5V、動作アンペアは最大約2~4kA/m
2である。
【0116】
図3及び
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、LiClストリームから除去されたNaClは、NaCl電気分解に供され、NaOH、H
2、及びCl
2を生成し、これらはすべてプロセスの他の点で再使用され得る。NaCl電気分解回路では、飽和食塩水が膜電気分解に供給され、そこで電流が供給されて電気化学反応を起こし、アノード区画で塩素ガス、カソード区画で水素ガス、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが生成される。アノードとカソードの間にある半透膜は、ナトリウムイオン(Na
+)と水分子を選択的に透過させ、塩化物イオン(Cl
-)とヒドロキシルイオン(OH
-)の透過を防ぐ。生成された水酸化ナトリウムの一部は、リチウムSXのpH調整剤として使用される(
図3及び
図6)。残りは販売可能な副産物であると考えられる。
【0117】
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、市販の塩化ナトリウム塩がNaCl電気分解供給原料に加えられ、NaCl電気分解の前に飽和NaCl溶液が生成される。NaCl電気分解によって生成された水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの一部は、ニッケル沈殿及びリチウム溶媒抽出ステップにおいてpH調整剤として使用され得る。残りは、生成した塩素ガスの一部とともに漂白に送られ、脱リチウム化反応に使用し得る次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を生成することができる。
【0118】
精製された水酸化リチウムは、粗水酸化リチウム晶析装置に供給され、そこでは水酸化リチウム一水和物固体が、蒸発器内で粗水酸化リチウムとして溶液から結晶化される。粗水酸化リチウム晶析装置からの排出物は、飽和水酸化リチウム溶液中の水酸化リチウム一水和物固体を含むスラリー流であり得る。晶析装置からの水酸化リチウムスラリーは、遠心分離機で脱水されることができる。
【0119】
図4及び5に示されるように、いくつかの実施形態では、LiOHの一部は、脱リチウム化反応に使用され得るLiClOを生成するために漂白領域に送られることがある。溶解した水酸化リチウムは、別の晶析装置で純粋な水酸化リチウム一水和物として再結晶化される。純粋な水酸化リチウムのスラリーは、遠心分離機を使用して脱水され、LiOH・H
2O乾燥に送られ、過剰な水分が除去されて純粋な水酸化リチウム一水和物生成物が生成され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、精製された水酸化リチウム又は水酸化ナトリウム溶液又は溶解したCa(OH)
2(
図2)は、変換モジュール内で塩素ガスと反応させ、約同等モルの塩化物と次亜塩素酸(ClO)を含む溶液を生成し得る。この溶液は、本明細書で提供されるような任意のリサイクルプロセス又は脱リチウム化プロセスのための次亜塩素酸塩を再生するために使用されてよい。いくつかの実施形態では、反応は発熱性であり、次亜塩素酸塩溶液の温度を制御するために熱交換器が使用され得る。次亜塩素酸塩溶液の濃度は、Li、Na、又はCaの水酸化物溶液の濃度によって決定される。次亜塩素酸塩生成溶液は、上流にリサイクルされて、脱リチウム化プロセスで酸化剤として使用されることができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、NaCl電気分解及び/又はLiCl電気分解で生成された塩素ガス及び水素ガスを一緒に燃焼させて、HClを生成することができる。高温の塩化水素は冷却され、等温落下式フィルム吸収器で水に吸収され、塩酸(33質量%)が形成される。HClの一部は、いくつかの態様において、Ca又はLi溶媒抽出のためのストリッピング溶液として、及びイオン交換ステップのための溶離液として使用されるためにリサイクルされてもよく、残りは、脱リチウム化反応に使用されるために戻されリサイクルされることができる。
【0122】
図2、
図3、
図5、及び
図6は、本開示のいくつかの実施形態で使用される、塩化リチウム電気分解ステップを含む。化学的観点から、塩化リチウム電気分解は、塩化ナトリウム又は塩化カリウム電気分解に類似している。セル内のリチウムイオンが他のアルカリ金属イオンのように振る舞うよりもプロトンのように振る舞う可能性があり、膜の選択に影響を与え、良好な性能を達成するために異なる内部セル水力を必要とするため、実装は異なる。アルカリ金属(すなわちリチウム)は陽イオン交換膜を通過して電荷バランスを維持し、カノード側で水酸化リチウムを生成する。原料に存在するナトリウム及びカリウムは、リチウムと一緒にイオン交換膜を通過する。陽イオン交換膜にはわずかな選択性がありますが、わずかな選択性では意味のあるリチウム/ナトリウムの分離には至らない。その結果、ナトリウムとカリウムは、供給と同様の比率でカソライト生成物に存在することになる。LiClブラインを、セルのアノードチャンバーに供給することができる。アノードでは、以下の反応により、塩素が発生する:
Cl
-→1/2Cl
2+e
- (1)
【0123】
電流は主にLi+イオンによって運ばれ、Li+イオンは、アノライトチャンバとカソライトチャンバを分離する陽イオン交換膜を通過する。カソードでは、以下の反応により、水素イオンと水酸化イオンが発生する:
H2O+e-→1/2H2+OH- (2)
【0124】
LiOHは電気分解液室で生成される。電気分解の生成物には、LiOH、Cl2ガス、H2ガスが含まれる。HClは、別のHCl合成ユニットでH2とCl2を燃焼させることによって生成される。2つの区画のセルの全体的な化学反応は以下の通りである:
LiCl+H2O→1/2H2+1/2Cl2+LiOH (3)
【0125】
可逆電圧は、区画のpHに応じて、約2~約5V(例えば、約2~約3.5V)である。
【0126】
沈殿後、得られるLiOH一水和物生成物は、その後、濾過、洗浄、及び/又は、その後のLNO材料の生成、例えば、リチウム化カソード電気化学的活性材料の生成のためなどに直接利用されることができる。
【実施例】
【0127】
以下の実施例は、例示を意図したものであり、いかなる意味でも本開示の範囲を限定するものではない。
【0128】
実施例 次亜塩素酸リチウムを用いた脱リチウム化母液の調製例
344kgの水と54kgの他の化合物を実質的に含まないリチウムニッケル酸化物をオーバーヘッド攪拌型容器に充填して、固体材料を流動化させた。54kgの濃塩酸と228kgの12.3質量%次亜塩素酸リチウム溶液を容器に充填し、リチウムニッケル酸化物の酸化的脱リチウムを引き起こした。すべての反応物を容器に充填した後、容器を50℃で3時間操作した。化学処理後、固体をフィルタプレスを使用して液体から分離した。残った溶液は、さらに処理するための脱リチウム化母液とした。
【0129】
実施例 沈殿1:10%w/wLiOH水溶液を使用した合成原料液からのカルシウム及びニッケルの沈殿例
【0130】
合成された供給液は、塩化物塩を大量に混合したもので、次亜塩素酸カルシウムを使用してLNOを脱リチウム化することによって発生する溶液(表2のA液参照)を模したものである。
【0131】
ミキサー、pH電極/メーター、加熱マントルを備えた4Lガラス浸出容器を組み立てた。反応器に目標量の供給溶液を加え、目標温度である50℃まで加熱した。10%LiOH水溶液を、目標pHの10(供給溶液中87kg/m3)に達するまで反応器にゆっくりと添加した。目標pH(±0.1)は60分間維持された。反応器から80mLのスラリーを取り出し、質量を測定し、濾過した。濾液の質量、比重(SG)、pH、及び酸化還元電位(ORP)を測定した。サンプルに濃HClを1滴加え、分析のためにアリコートを分離し(溶液B、表2を参照)、固形物を反応器に戻した。次に、反応器に、目標量の25%Na2CO3溶液(供給溶液中5.9kg/m3)を添加した。反応器の内容物は約60分間混合された。最終パルプの質量を測定し、反応器内容物を濾過した。濾液の質量、SG、pH、及びORPを測定し、濃HClを1滴加え、分析のためにアリコートを分離した(溶液C、表2)。その後、固形物を脱イオン(DI)水(2×500mL置換)で洗浄し、乾燥したサンプルを分析した(最終残留物、表2)。
【0132】
【0133】
実施例 沈殿2:25%w/wNaOH水溶液を使用した合成原料液からのカルシウム及びニッケルの沈殿
【0134】
合成された供給液は、塩化物塩を大量に混合したもので、次亜塩素酸カルシウムを使用してLNOを脱リチウム化することによって発生する溶液(A液、表3)を模したものである。
【0135】
ミキサー、pH電極/メーター、加熱マントルを備えた4Lガラス浸出容器を組み立てた。質量と密度を測定した後、反応器に目標量の供給溶液を加えた。反応器は目標温度である50℃まで加熱された。25%NaOH水溶液を、目標pHの11(供給溶液中94.6kg/m3)に達するまで反応器にゆっくりと添加した。目標pH(±0.1)は60分間維持された。反応器から80mLのスラリーを取り出し、質量を測定し、濾過した(分析については、溶液B、表3を参照)。次に、反応器に、目標量の30%Na2CO3溶液(供給溶液中の3.9kg/m3)を添加した。反応器の内容物は約60分間混合された。最終パルプの質量を測定し、反応器内容物を濾過した(分析については、溶液C、表3を参照)。その後、固形物を脱イオン(DI)水(2×500mL置換)で洗浄し、乾燥したサンプルを分析した(最終残留物、表3)。
【0136】
【0137】
実施例 沈殿3:10%w/wLiOH溶液を使用した合成供給溶液からのカルシウム及びニッケルの沈殿
合成された供給液は、塩化物塩を大量に混合したもので、次亜塩素酸カルシウムを使用してLNOを脱リチウム化することによって発生する溶液(表4の溶液A)を模したものである。
【0138】
ミキサー、pH電極/メーター、加熱マントルを備えた4Lガラス浸出容器を組み立てた。供給溶液の密度と質量を測定した。反応器に目標量の供給溶液を加え、目標温度である50℃まで加熱した。10%LiOH水溶液を、目標pHの10(供給溶液又はブライン中1.5kg/m3)に達するまで反応器にゆっくりと添加した。目標pH(±0.1)は60分間維持された。反応器から80mLのスラリーを取り出し、質量を測定し、濾過した。濾液の質量、比重(SG)、pH、及び酸化還元電位(ORP)を測定した。サンプルに濃HClを1滴加え、分析のためにアリコートを分離し、固形物を反応器に戻した。反応器の内容物は約60分間混合された。最終パルプの質量を測定し、反応器内容物を濾過した。濾液の質量、SG、pH、及びORPを測定し、濃HClを1滴加え、分析のためにアリコートを分離した(溶液B、表4)。その後、固形物を脱イオン(DI)水(2×500mL置換)で洗浄し、乾燥したサンプルを分析した(最終残留物、表4)。
【0139】
【0140】
実施例:イオン交換(IX)カラムの装填と性能
【0141】
濃縮(50%w/w)NaOHを使用して50g/LのNaOHを1L調製した。100mLの樹脂を2BV(ベッド量)、DI水で4回洗浄し、分解生成物を除去した。100mLの洗浄した樹脂を測定し、適切なサイズのカラム(例えば、500mLカラム)に移した。NaOH溶液を、樹脂を含むカラムに、5BV/h(=1250mL/h又は~20mL/分)で1時間、アップフロー方式で注入した。充填された樹脂をブフナーフィルタに移し、脱イオン水で4回洗浄した。5mLの充填された樹脂を収集し、100℃で一定の質量まで乾燥させた。
【0142】
Niの沈殿には、2つの沈殿槽を直列に使用し、3つ目の槽を濾過への供給槽として使用した。沈殿には10%LiOH溶液が使用され、脱リチウム化母液溶液は200mL/分の速度で供給した。一例では、LiOHを50質量%/50質量%の割合で第1タンクと第2タンクに0.5g/分の流量で添加した。2つのイオン交換カラムを直列に使用し、2本目のカラムはブレークスルーの場合の研磨として機能した。
【0143】
【0144】
本開示の様々な変形例は、本明細書に示され、説明されるものに加えて、本開示が関係する技術分野の当業者には明らかであろう。そのような変形例もまた、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0145】
特に明記しない限り、当業者には、すべての試薬が当技術分野で既知の供給源によって入手可能であることがさらに理解されるであろう。
【0146】
特定の態様のこの説明は、本質的に単なる例示的なものであり、本開示の範囲又はその適用もしくは使用を制限することを意図しておらず、それらは変更し得る。材料及び方法は、本明細書に含まれる非限定的な定義及び用語に関連して説明される。これらの定義及び用語は、本開示の範囲又は実施に対する制限として機能するように設計されておらず、例示及び説明の目的のみのために提示されている。方法又は組成物は、個々のステップの順序として、又は特定の材料を使用して説明されるが、当業者は、当業者によって容易に理解されるように、本開示の説明が複数の部分又は多くの方法で配置されたステップを含み得るように、ステップ又は材料が交換可能であり得ることを理解するであろう。
【0147】
「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、語本明細書において、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用されることができるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語の使用によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の要素、構成要素、領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の「要素」、「構成要素」、「領域」、「層」、又は「セクション」は、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の(又は他の)要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ばれることができる。
【0148】
本明細書で使用される用語は、本開示の特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含む複数形を含むことを意図している。さらに、本明細書で使用される場合、「又は」は、「及び/又は」を意味する。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、用語「comprise」及び/又は「備える(comprises)」及び/又は「備えている(comprising)」又は、「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、記載された特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は成分の存在を特定するが、1つ以上の複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、成分、及び/又はその群の存在又は追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。「又はその組み合わせ」という用語は、前述の要素の少なくとも1つを含む組み合わせを意味する。
【0149】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野における通常の技術者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連する技術及び本開示の文脈におけるその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化又は過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0150】
いくつかの実施形態では、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、値の1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。いくつかの実施形態では、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、所定の値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、又は0.05%以内を意味する。
【0151】
本明細書で言及される特許、刊行物、及び出願は、本開示が関係する技術分野における当業者のレベルを示すものである。これらの特許、刊行物、及び出願は、個々の特許、刊行物、又は出願が参照により具体的かつ個別に本明細書に組み込まれるように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
上記の説明は、本開示の特定の態様を例示するものであるが、その実施を限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】