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特表2023-553868吸入器物品および吸入器物品で使用するカプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】吸入器物品および吸入器物品で使用するカプセル
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533732
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2021061197
(87)【国際公開番号】W WO2022130091
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215318.5
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナーロ
(72)【発明者】
【氏名】コンソランテ アントニオ
(57)【要約】
吸入器物品は、上流端および下流端を備える本体と、カプセルレセプタクルと、カプセルレセプタクルから下流端にある開口部に延びる気流経路とを有する。カプセルは、カプセルレセプタクル内部に配置されていて、カプセルは、第一の端および第二の端と、第一の端と第二の端の間に延びる管状側壁と、カプセル内の単一の開口であって、管状側壁を通って延びる単一の開口のみと、カプセル内部に配置された吸入可能な粉末とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品であって、
上流端および下流端を備える本体と、カプセルレセプタクルと、前記カプセルレセプタクルから前記下流端にある開口部に延びる気流経路とを備え、
前記カプセルレセプタクル内部に配置されたカプセルであって、
第一の端および第二の端と、
前記第一の端と第二の端の間に延びる管状側壁と、
前記カプセル内の単一の開口であって、前記管状側壁を通って延びる単一の開口のみと、
前記カプセル内部に配置された吸入可能な粉末と、を備え、
前記カプセルの前記第一の端が、前記本体の前記上流端に向かう向きにされていて、かつ前記単一の開口が、前記第二の端よりも前記第一の端の近くに配置されている、カプセル、を備える吸入器物品。
【請求項2】
前記第一の端および前記第二の端の各々が、半球を備える、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項3】
前記カプセルが直径を有し、かつ前記カプセルレセプタクルが前記カプセル直径の25%以下である直径を有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項4】
前記単一の開口が、前記カプセルの長軸方向軸に沿って測定される場合、前記第一の端から2mm以内~10mm以内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項5】
前記単一の開口が0.2mm2~1.5mm2の面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項6】
前記吸入可能な粉末が、ニコチン、好ましくはニコチン塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項7】
前記吸入可能な粉末が、0.5μm~10μmの範囲内の空気動力学的中央粒子径粒子サイズを有するニコチン粒子を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項8】
前記吸入可能な粉末が風味粒子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項9】
カプセルが高分子カプセルであり、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項10】
前記カプセルが、サイズ1~サイズ4のカプセル、またはサイズ2~サイズ3のカプセル、好ましくはサイズ3のカプセルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項11】
前記本体が、セルロース系材料、好ましくは紙で構築されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項12】
前記本体が、セルロース系材料、好ましくは紙で構築された管状部材を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項13】
前記管状本体の前記上流端が、前記カプセルレセプタクルの遠位端を形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項14】
前記吸入器物品が、前記本体の前記下流端にて受容されたマウスピース要素を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項15】
前記マウスピース要素が、前記カプセルレセプタクルの下流端を画定する、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器物品で使用する、貫通する側面を有する乾燥粉末カプセルと、乾燥粉末カプセルを備える吸入器物品とに関する。
【背景技術】
【0002】
粉末化された薬剤を分与するために使用される乾燥粉末吸入器は多くの場合、乾燥粉末の全用量を一息で提供しようとする。こうした乾燥粉末吸入器は多くの場合、その設計が複雑であり、また可動部品を伴う場合がある。加えて、これらの複雑な乾燥粉末吸入器は、高速で製造する、および組み立てるのが困難である。
【0003】
従来の喫煙方法の吸入量(空気流量)以内の吸入量(空気流量)で肺に乾燥粉末粒子を提供するように構築されている乾燥粉末吸入器は、粉末レセプタクルと出口の間に直線的な気流経路を伴って設計される場合がある。乾燥粉末吸入器は、吸入可能な粉末にアクセスするために貫通される場合があるカプセルの中に吸入可能な粉末を含有してもよい。しかしながら、吸入器が反転された場合、またはそうでなければ縦になっていない位置で操作された場合、ばらの粉末が時に、こうした吸入器から意図せずに落ちる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸入器からの意図しない粉末の漏れを軽減する乾燥粉末吸入器を提供することが望ましい。吸入器内に配置された乾燥粉末カプセルからの意図しない粉末の漏れを軽減する乾燥粉末吸入器を提供することが望ましい。乾燥粉末は望まれる時に吸入されてもよいように、しかし吸入器が能動的に使用されていない時に、吸入器内の(カプセルの外側の)ばらの粉末の量を低減するように、貫通される吸入器用のカプセルを提供することが望ましい。製造および組み立てが簡単である、かつ粉末の漏れの低減の利点を提供する単純な設計の吸入器を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態によると、吸入器物品は、上流端および下流端を有する本体と、カプセルレセプタクルと、カプセルレセプタクルから下流端にある開口部に延びる気流経路とを備える。下流端は吸入器物品のマウスピース端である。カプセルはカプセルレセプタクル内部に配置されている。カプセルは、第一の端、第二の端、および第一の端と第二の端の間に延びる管状側壁を備える。カプセルは単一の開口のみを備える。単一の開口は、カプセルの管状側壁を通って延びる。カプセルは、カプセル内部に配置された吸入可能な粉末をさらに含む。
【0006】
有利なことに、カプセルの側面に(端のうちの一つとは対照的に)位置付けられたカプセル内の単一の開口のみを提供することは、カプセルからの乾燥粉末の意図しない損失を低減する。カプセルの側面にある単一の開口は、従来の喫煙方法の吸入量(空気流量)以内の空気流量で、カプセル内部からの乾燥粉末の吸入を可能にすることが見いだされた。カプセルは、吸入器からの粉末の損失を軽減する一方で、単純な吸入器設計の使用を可能にする。粉末の漏れを軽減するためにこの技法を使用することによって、粉末は、使用または吸入されるまでカプセル内部に留まる。カプセルの側面に単一の開口を定置することによって粉末の漏れを軽減することは、吸入器物品自体のいかなる変更も必要としない。カプセルの側面に単一の開口を配置することは、カプセルが製造される際にカプセルのいかなる変更も必要としない。カプセルの側面上に単一の開口を形成することは、カプセルおよび吸入器が使用のために準備される際に、ユーザーによって実施されてもよい。
【0007】
カプセルは、第一の端にて第一の端キャップを備えてもよく、第二の端にて第二の端キャップを備えてもよい。カプセルの第一の端キャップおよび第二の端キャップの各々は、半球を備えてもよい。カプセルの第一の端は、本体の上流端に向かう向きにされてもよい。第二の端は、本体の下流端に向かう向きにされてもよい。一部の実施形態において、単一の開口は管状側壁を通って延び、また第二の端よりも第一の端の近くに配置されている。一部の実施形態において、単一の開口は管状側壁を通って延び、また下流端よりも上流端の近くに配置されている。一実施形態によると、第一の端キャップおよび第二の端キャップは、いかなる開口も含まない。
【0008】
有利なことに、開口を上流端のより近くに位置付けることは、開口をカプセルの下流端のより近くに位置付けるよりも大きい粉末の送達を提供する。驚くべきことに、上流端により近い側上に開口を位置付けることは、カプセルの上流端に開口を位置付ける場合と同じ量、またはほぼ同じ量の吸入(吸煙)当たりの粉末送達を提供することが見いだされた。有利なことに、側壁上に単一の開口を位置付けることは、カプセルからの乾燥粉末の意図しない損失を軽減する。
【0009】
開口の位置は、カプセルの長軸方向軸に沿って測定されたカプセルの中点から決定されてもよい。中点は、カプセル側壁長さを半分に分割することによって決定されてもよい。中点からの開口の距離は、実際の測定された距離として決定されてもよく、または中点からの開口の距離をカプセル側壁の半分の長さで割ることによって計算された、一方の端もしくはもう一方の端に向かう長さの割合(例えば、「第一の端に向かっての%」)として決定されてもよい。単一の開口は、第一の端に向かって0%~100%に位置付けられてもよい。単一の開口は、第一の端に向かって、10%以上、25%以上、50%以上、または75%以上に位置付けられてもよい。中点からの開口の実際の距離は、カプセルのサイズに基づいて選択されてもよい。一部の場合において、カプセルは、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4、またはサイズ5のカプセルであり、好ましくはサイズ3である。カプセルは、約11mm、約14mm、約16mm、約18mm、または約19mmの長さを有してもよい。カプセル側壁は、約8mm、約10mm、約11mm、約12mm、または約14mmの長さを有してもよい。単一の開口は、中点から測定して、カプセルの第一の端に向かって、1mm以上、3mm以上、または5mm以上に位置付けられてもよい。単一の開口は、中点から測定して、カプセルの第一の端に向かって、7mm以下、6mm以下、または5mm以下に位置付けられてもよい。単一の開口は、カプセルの長軸方向軸に沿って第一の端から測定される場合、第一の端から2mm以内、4mm以内、6mm以内、または10mm以内であってもよい。単一の開口は、カプセルの長軸方向軸に沿って側壁の上流端から測定される場合、第一の端キャップから1mm以内、2mm以内、4mm以内、6mm以内、または10mm以内であってもよい。
【0010】
カプセルレセプタクルは、カプセルレセプタクル内でカプセルにその向きを維持させる寸法を有することが好ましい。例えば、カプセルレセプタクルは、本体の上流端に向かってカプセルの第一の端が指すようなカプセルの向きにさせたままにする幅を有してもよい。適切な幅は、カプセルがカプセルレセプタクル内部で動く(例えば、振動または回転する)ためのいくらかの空間を有するが、端と端がひっくり返るのに十分な空間を有しないように、カプセルの幅および長さに基づいて選択されてもよい。例えば、カプセルは長さを有してもよく、またカプセルレセプタクルは、カプセルの長さよりも小さい幅を有してもよい。カプセルレセプタクルの幅はまた、カプセルの幅または直径に基づいて決定されてもよい。例えば、カプセルレセプタクルは、カプセルの幅(直径)よりも5%~25%大きい幅(直径)を有してもよい。カプセルレセプタクルの直径は、カプセルの直径よりも8%~22%大きいか、または10%~20%大きくてもよい。カプセルは、二部品カプセルであってもよく、二つの部品が入れ子式に一緒に嵌合することができるように、一方の部品はもう一方の部品よりもわずかに大きい直径を有する。単一の開口は、カプセルレセプタクルの直径がカプセルの直径よりも最大でも20%しか大きくないか、または最大でも15%しか大きくない面積で、カプセルの側壁に沿って配置されてもよい。カプセルがカプセルレセプタクルの中心に位置付けられている場合、カプセルの側壁とカプセルレセプタクルの壁との間には、2mm未満、1.5mm未満、1.2mm未満、1mm未満、0.8mm未満、または0.5mm未満の空間があってもよい。一部の場合において、カプセルレセプタクルはサイズ3のカプセル用にサイズ設定されていて、また約6mm~約7mm、または約6.5mm~約6.7mmの範囲内の内径を有してもよい。カプセルレセプタクルは約15mm~約30mm、または約18mm~約25mmの範囲内の長さを有してもよい。カプセルレセプタクルは、カプセルを包含するように構築された円筒状または実質的に円筒状の空間を画定してもよい。カプセルレセプタクルはカプセルレセプタクルの長さに沿って、実質的に均一な、または均一な直径を有してもよい。
【0011】
単一の開口は、吸入に伴い望ましい量の粉末がカプセルから出ることを可能にする適切なサイズを有してもよい。例えば、単一の開口は、0.5mm以上、0.6mm以上、または0.7mm以上の直径を有してもよい。単一の開口は、1.5mm以下、1.2mm以下、または1.0mm以下の直径を有してもよい。単一の開口は、0.5mm~1.2mm、0.7mm~1.0mm、または約0.8mmの直径を有してもよい。単一の開口は、0.2mm2以上、0.3mm2以上、または0.4mm2以上の面積を有してもよい。単一の開口は、1.8mm2以下、1.5mm2以下、1.2mm2以下、1.0mm2以下、または0.8mm2以下の面積を有してもよい。単一の開口は、0.2mm2~1.5mm2、または0.4mm2~0.8mm2の面積を有してもよい。
【0012】
吸入器物品は、任意の所望の乾燥粉末の吸入のために使用されてもよい。一実施形態によると、カプセルは、一つ以上の薬学的に活性な薬剤を含有する粒子を含む乾燥粉末を含有する。薬学的に活性な薬剤の例としては、ニコチン、アナタビン、アシクロビルなどの抗ウイルス化合物、サリチル酸、アセクロフェナクまたはケトプロフェンなどの抗炎症化合物、メトホルミンまたはグリピジドなどの抗糖尿病化合物、オクスプレノロールなどの降圧剤化合物、プロメタジンなどの制吐化合物、セプロキセチンなどの抗うつ薬化合物、ピコタミドなどの抗凝固化合物、クレンブテロールなどの気管支拡張薬、またはベータラパコンなどの抗がん化合物が挙げられる。薬学的に活性な薬剤は、薬剤の薬学的に許容可能な塩を含んでもよい。適切な塩としては例えば、乳酸の塩(「乳酸塩」)、酒石酸の塩(「酒石酸塩」または「酒石酸水素塩」)、アスパラギン酸の塩(「アスパラギン酸塩」)、ピルビン酸の塩(「ピルビン酸塩」)、クエン酸の塩(「クエン酸塩」)、サリチル酸の塩(「サリチル酸塩」)、グルタミン酸の塩(「グルタミン酸塩」)、ゲンチジン酸の塩(「ゲンチジン酸塩」)、安息香酸の塩(「安息香酸塩」)、フマル酸の塩(「フマル酸塩」)、塩酸の塩(「塩酸塩」)、アルファ-レソルシル酸の塩(「アルファ-レソルシル酸塩」)、ベータ-レソルシル酸の塩(「ベータ-レソルシル酸塩」)、シュウ酸の塩(「シュウ酸塩」)、p-アニス酸の塩(「アニス酸塩」)、グルタル酸の塩(「グルタル酸塩」)、およびこれに類するものが挙げられる。一部の場合において、カプセルはニコチン粉末を含有する。例えば、カプセルは、ニコチン塩を含む乾燥粉末を含有してもよい。乾燥粉末は、糖もしくは糖アルコール、アミノ酸、風味剤、鎮咳薬、または吸入可能な粉末での使用に適切な他の薬学的に許容可能な成分などの他の構成成分をさらに含有してもよい。一つの実施形態において、カプセルは、ニコチン粒子を含むニコチン粉末を含み、ニコチン粒子は、ニコチン塩、糖もしくは糖アルコール、およびアミノ酸を含む。カプセルは、風味粒子、または鎮咳薬粒子、または風味と鎮咳薬粒子の両方をさらに含んでもよい。風味および鎮咳薬粒子は本書において、集合的に風味粒子と呼ばれる。カプセルは、0.5~10μm、または0.5~5μmの範囲のMMAD粒子サイズを有する粒子を含む吸入可能な粉末を含有してもよい。一つの実施形態において、カプセルは、ニコチン粒子を含むニコチン粉末を含有し、ニコチン粒子は、0.5μm~10μm、または0.5μm~5μmの範囲内のMMAD粒子サイズを有する。カプセルは、10μm以上、20μm以上、または40μm以上のMMAD粒子サイズを有する風味粒子をさらに含有してもよい。風味粒子は、200μm以下、150μm以下、または120μm以下のMMAD粒子サイズを有してもよい。風味粒子は、20μm~200μmまたは40μm~120μmのMMAD粒子サイズを有してもよい。一部の実施形態において、カプセルは、0.5μm~10μm、または0.5μm~5μmの範囲内のMMAD粒子サイズを有するニコチン粒子、および20μm~200μmまたは50μm~150μmのMMAD粒子サイズを有する風味粒子を含有する。
【0013】
カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を含有してもよい。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するために十分なニコチン粒子を含有してもよい。カプセルは、5~50回の吸入もしくは「吸煙」、または10~30回の吸入もしくは「吸煙」を提供するために十分なニコチン粒子を含有してもよい。各吸入または「吸煙」は、0.1mg~3mgのニコチン粒子、または0.2mg~2mgのニコチン粒子、または1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達してもよい。
【0014】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有してもよい。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%のニコチンで最大で約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有してもよい。
【0015】
カプセルは、5mg以上、または10mg以上のニコチン粒子を保持または含有してもよい。カプセルは、900mg以下、600mg以下、300mg以下、または150mg以下の粒子を保持または含有してもよい。カプセルは、5mg~300mg、または10mg~200mgのニコチン粒子を保持または含有してもよい。カプセル内で風味粒子がニコチン粒子とブレンドされている、または組み合わせられている時に、風味粒子は、ユーザーに送達される各吸入もしくは「吸煙」に対して望ましい風味を提供する量で存在してもよい。カプセルは、5mg以上、または10mg以上の乾燥粉末(粉末系とも呼ばれる)を保持または含有してもよい。カプセルは、900mg以下、600mg以下、300mg以下、または150mg以下の乾燥粉末を保持または含有してもよい。カプセルは5mg~300mg、10mg~200mg、または25mg~100mgの乾燥粉末を保持または含有してもよい。ニコチン粒子は、乾燥粉末の40重量%以上、60重量%以上、または80重量%以上を占めてもよい。
【0016】
乾燥粉末(粉末系)は、60μm以下、または1μm~40μm、または1.5μm~25μmの範囲内の平均粒子径を有してもよい。平均粒子径は、レーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって、好ましくはレーザー回折によって測定された場合の質量あたりの平均粒子径を指す。
【0017】
粉末系内またはニコチン粒子内のニコチンは、薬学的に許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であってもよい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物としては例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチン粒子は、アミノ酸を含むことが好ましい。好ましくはアミノ酸は、L-ロイシンなどのロイシンであってもよい。アミノ酸(L-ロイシンなど)にニコチンを含む粒子を提供することは、粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減する場合があり、それ故にニコチン粒子の凝集およびニコチン粒子の表面への接着を低減する場合がある。同様に、風味を含む粒子への接着力も低減される場合がある。粉末系は自由流動材料であってもよく、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でさえも、各粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。
【0018】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減するための化合物を含んでもよい。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物に風味粒子を提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減する場合があり、それ故に風味粒子の凝集を低減する場合がある。ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減される場合がある。それ故に、本明細書に記載の粉末系は、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でさえも、ニコチンを含む粒子および風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有する場合がある。好ましくは、粉末系は自由流動であってもよい。
【0019】
乾燥粉末吸入用の従来の製剤は、吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには活性粒子が小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有する。粉末系は担体粒子を含んでもよい。これらの担体粒子は、ラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドであってもよく、また50μm超の粒子サイズを有してもよい。担体粒子は製剤において希釈剤または膨化剤として働くことによって、用量の均一性を改善するために利用されてもよい。一部の実施形態において、カプセルは、担体を含まないか、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリド粒子を実質的に含まない粉末系を含有する。担体を含まないとは、粉末系が、ニコチン粒子(これは糖もしくは糖アルコールを含有する場合がある)および随意の風味粒子に加えて別個の担体粒子(例えば、サッカリド粒子)を含有しないことを意味する。担体を含まない、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないことは、典型的な喫煙方法での吸入量または空気流量に類似する吸入量または空気流量でニコチンが吸入され、かつユーザーの肺に送達されることを可能にする場合がある。
【0020】
カプセルは任意の適切な材料で作製されてもよい。例えば、カプセルは、高分子材料、ゼラチン、またはハードカプセルを作製するために適切な任意の他の充填可能な材料で作製されてもよい。一つの実施形態において、カプセルは高分子材料、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)から作製されている。例えば、カプセルは、サイズ1のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ2のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ3のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ4のHPMCカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ1のゼラチンカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ2のゼラチンカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ3のゼラチンカプセルであってもよい。カプセルは、サイズ4のゼラチンカプセルであってもよい。
【0021】
本開示の吸入器物品は、従来の喫煙方法の吸入量(空気流量)以内の吸入量(空気流量)で粉末を吸入することを可能にする。本開示の一態様によると、吸入器物品は、内部および長軸方向中心軸を画定する管状側壁を有する吸入器本体を備える。内部は、吸入可能な粉末を含有するカプセルを収容するためのレセプタクルを形成する。吸入器物品は、マウスピース要素をさらに備える。吸入器本体およびマウスピースは、製造が簡単である、かつ吸入器物品へと組み立てるのが簡単である単純な設計を有する。一実施形態によると、マウスピースは、管状吸入器本体の中に単純に挿入されてもよい。マウスピース要素は、長軸方向中心軸に沿って上流端から下流端に延びる。マウスピース要素の上流端は、吸入器本体の内部の中に受容されている。マウスピース要素は、マウスピース要素を通って延びる気流チャネルを備える。マウスピース要素の下流端は、吸入器物品の口側端を形成してもよい、または吸入器物品の口側端に配置されてもよい。マウスピース要素の上流端は、吸入器本体の中に挿入されている、または吸入器本体内部に配置されている。マウスピース要素の上流端は、カプセルレセプタクルの下流端を形成してもよい。レセプタクルは、吸入器本体の上流端からマウスピース要素の上流端に延びてもよい。吸入器本体は、閉鎖した上流端を有してもよい。吸入器本体の上流端は、折り畳まれて閉鎖してもよい。例えば、吸入器本体の上流端は、扇状に折り畳むことによって、折り畳まれて閉鎖してもよい。吸入器本体の上流端は、レセプタクルの上流端を形成してもよい。吸入器本体の上流端は使用前に、例えば吸入器ホルダーによって開放されてもよい。吸入器物品は、望ましい引き出し抵抗(RTD)を呈するように設計されてもよい。吸入器物品は、30~200mmWGの範囲のRTDを有してもよい。
【0022】
吸入器物品は、カプセルレセプタクルを画定する本体と、カプセルレセプタクルから開口部または出口に延びる気流経路とを備える。吸入器物品本体は、任意の適切な材料で構築されてもよい。例えば、吸入器物品本体は、セルロース系材料、高分子材料、金属、またはそれらの組み合わせで構築されてもよい。一実施形態によると、本体は、セルロース系材料、好ましくは紙、板紙、または厚紙で構築されている。好ましい一実施形態において、吸入器物品は、紙、板紙、または厚紙から作製された管状本体を備える。紙、板紙、または厚紙で作製された管状本体の上流端は、好ましくは扇状に折り畳むことによって、折り畳まれて閉鎖されてもよい。閉鎖端は、吸入器の使用の前に開放されてもよい。
【0023】
吸入器物品は、吸入器本体の少なくとも一部分の周りに巻かれたラッパーをさらに備えてもよい。ラッパーはまた、マウスピース要素の少なくとも一部分の周りに巻かれてもよい。一部の実施形態において、ラッパーは、マウスピース要素の全長を覆わず、これによってマウスピース要素の長さの一部分は覆われないままである。ラッパーは、紙巻たばこラッパーまたはチッピングペーパーなどの紙ラッパーであってもよい。
【0024】
有利なことに、セルロース系材料で作製された吸入器物品は、製造が簡単かつ安価であり、また環境に優しく、生分解性である。
【0025】
カプセルは消費前は、吸入器物品内に密封されていてもよい。カプセルは、吸入器の中に予め充填されていてもよい。カプセルレセプタクル内部に包含されたカプセルを有する吸入器物品は、密封されたまたは気密の容器もしくは袋の中に包含されてもよい。吸入器物品は、吸入器物品の一つ以上の空気吸込み口チャネル、または空気出口、もしくはマウスピースを覆うための、一つ以上の剥離可能なまたは取り外し可能な密封層を含んでもよい。
【0026】
吸入器物品は、ホルダーとともに使用されてもよい。例えば、吸入器物品は、吸入器物品の閉鎖した上流端を開放する能力を有するホルダーとともに使用するために構成されてもよい。吸入器物品は、レセプタクル内に収容された乾燥粉末カプセルを貫通する能力を有するホルダーとともに使用するために構成されてもよい。吸入器物品は、吸入器物品用の空気吸込み口を提供するホルダーとともに使用するために構成されてもよい。ホルダーは、吸入器物品の閉鎖端を開放することによって、吸入器物品を起動させるように構成されてもよい。ホルダーは、貫通要素を用いてカプセルを貫通することによって吸入器物品を起動するように構築されてもよい。ホルダーは、カプセル内部に含有された粒子を放出するように、かつ物品が粒子を消費者に送達することを可能にするように構築されてもよい。複数の吸入器物品は、ホルダーと組み合わせられて、システムまたはキットを形成してもよい。ユーザーは、一度に一つの吸入器物品およびカプセルを起動し、かつ使用してもよい。単一のホルダーは、各吸入器物品内に包含されたカプセルを起動(穿刺または貫通)するために、およびカプセル内部に含有された粉末を吸入するために10個以上、または25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用されてもよい。
【0027】
一実施形態によると、使用のために吸入器物品を調製する方法は、貫通要素を使用して、カプセルの管状側壁の中に単一の開口を貫通することを含む。カプセルは、第一の端、第二の端、および第一の端と第二の端の間に延びる管状側壁を備える。カプセルは、第一の端が吸入器物品の上流端の方を指すように、吸入器物品のカプセルレセプタクル内部に配置されてもよい。カプセルは、カプセル内部に配置された吸入可能な粉末を含む。方法は、カプセルの側壁を通して単一の開口を形成することを含む。方法は、第二の端よりも第一の端に近い単一の開口を形成することを含んでもよい。単一の開口は、カプセルの中点から測定して、第一の端に向かって、10%以上、25%以上、50%以上、または75%以上に形成されてもよい。中点からの開口の実際の距離は、カプセルのサイズに基づいて選択されてもよい。一部の場合において、カプセルは、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4、またはサイズ5のカプセルであり、好ましくはサイズ3である。カプセルは、約11mm、約14mm、約16mm、約18mm、または約19mmの長さを有してもよい。カプセル側壁は、約8mm、約10mm、約11mm、約12mm、または約14mmの長さを有してもよい。単一の開口は、中点から測定して、カプセルの第一の端に向かって、1mm以上、3mm以上、または5mm以上に位置付けられてもよい。単一の開口は、中点から測定して、カプセルの第一の端に向かって、7mm以下、6mm以下、または5mm以下に位置付けられてもよい。単一の開口は、カプセルの長軸方向軸に沿って測定される場合、第一の端から2mm以内、4mm以内、6mm以内、または10mm以内であってもよい。
【0028】
方法は、カプセル側壁内に単一の開口を形成することを含んでもよく、単一の開口は、0.5mm以上、0.6mm以上、または0.7mm以上の直径を有する。単一の開口は、1.5mm以下、1.2mm以下、または1.0mm以下の直径を有してもよい。単一の開口は、0.5mm~1.2mm、0.7mm~1.0mm、または約0.8mmの直径を有してもよい。単一の開口は、0.2mm2以上、0.3mm2以上、または0.4mm2以上の面積を有してもよい。単一の開口は、1.8mm2以下、1.5mm2以下、1.2mm2以下、1.0mm2以下、または0.8mm2以下の面積を有してもよい。単一の開口は、0.2mm2~1.5mm2、または0.4mm2~0.8mm2の面積を有してもよい。
【0029】
吸入器は、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有してもよい。吸入器は、吸入に伴いカプセルをその長軸方向軸を中心として回転させる旋回気流を提供するように構築されてもよい。有利なことに、吸入器内のカプセルの回転は、乾燥粉末をより効果的にエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を支援する場合がある。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺の中に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0030】
吸入器物品およびカプセルは、5L/分以下、3L/分以下、2L/分以下、または1.6L/分以下の流量を使用してもよい。好ましくは、流量は、1L/分~3L/分、または1.5L/分~2.5L/分の範囲内であってもよい。好ましくは、吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)の喫煙方法の吸入量または流量に類似してもよく、すなわち1.6L/分であってもよい。
【0031】
吸入器およびカプセルは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングと同じように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられてもよく、第一の工程中に、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少容量が口腔の中に引き出され、後に続く第二の工程中に、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少容量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。両方の工程は消費者によって制御される。消費者は第一の吸入工程中に、吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される活性剤の濃度を最大化する。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0032】
本明細書で使用されているすべての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供される定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意味しない。
【0033】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、およびこれに類するものなど)を指す。
【0034】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性もしくは芳香特性を変化させる、また変化させるように意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を指す。
【0035】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流がホルダー、吸入器物品、および吸入器システムの本体を通して引き出される際の吸入気流の方向に関して記述されるホルダー、吸入器物品、および吸入器システムの要素の相対的な位置を指す。
【0036】
別途指定のない限り、本書で使用される「粒子サイズ」という用語は、空気動力学的中央粒子径(MMAD)を指す。MMADは、カスケードインパクターを用いて測定されることが好ましい。
【0037】
ここで使用される「実質的に」という用語は、「有意に」と同じ意味を有し、後続の用語を少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%修飾すると理解されることができる。
【0038】
ここで使用される「実質的に~ではない」という用語は、「有意に~ではない」と同じ意味を有し、また「実質的に」と逆の意味を有し、すなわち後続の用語を25%以下、10%以下、5%以下、または2%以下だけ修飾すると理解されることができる。
【0039】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±5%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【0040】
「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)などの用語は、単数形の実体のみを指すことを意図したものではなく、例示のために特定の例が使用される場合がある一般的なクラスを含む。
【0041】
用語「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、用語「少なくとも一つの」と互換的に使用される。リストに続く語句「のうちの少なくとも一つ」および「のうちの少なくとも一つを含む」は、リスト中の品目のうちのいずれか一つ、およびリスト中の二つ以上の品目の任意の組み合わせを指す。
【0042】
本書で使用される「または」という用語は概して、「および/または」を含む通常の意味で採用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0043】
本書で使用される「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、その制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「備える(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。本明細書で使用される「から本質的になる」とは、組成物、製品、方法、またはこれに類するものに関するため、組成物、製品、方法、またはこれに類するものの構成要素が、列挙された構成要素、ならびに組成物、製品、方法、またはこれに類するものの基本的特性および新規の特性に実質的に影響を与えない任意の他の構成要素に限定されることを意味する。
【0044】
「好ましい」および「好ましくは」という語はある特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある実施形態を指す。しかしながら、同じ状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。さらに、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【0045】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1A図1Aは、一実施形態によるカプセルの側面図である。
図1B図1Bは、一実施形態による単一の開口を有するカプセルの概略側面図である。
図2A図2Aは、一実施形態による吸入器物品の斜視図である。
図2B図2Bは、一実施形態による図2Aの吸入器物品内に配置されたカプセルの断面側面図である。
図3図3は、ホルダーとともに使用する状態にある、図2Bの吸入器物品およびカプセルの断面側面図である。
図4図4は、図2Bの吸入器物品およびカプセルの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
実施例1は、上流端および下流端を備える本体と、カプセルレセプタクルと、カプセルレセプタクルから下流端にある開口部に延びる気流経路とを備える吸入器物品であり、およびカプセルレセプタクル内部に配置されたカプセルであって、第一の端および第二の端と、第一の端と第二の端の間に延びる管状側壁と、カプセル内の単一の開口であって、管状側壁を通って延びる単一の開口のみと、カプセル内部に配置された吸入可能な粉末とを備えるカプセルである。
実施例2.第一の端および第二の端の各々が、半球を備える、実施例1に記載の吸入器物品。
実施例3.カプセルの第一の端が、本体の上流端に向かう向きにされていて、かつ単一の開口が、第二の端よりも第一の端の近くに配置されている、実施例1~2のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例4.カプセルが直径を有し、かつカプセルレセプタクルが、カプセルの直径よりも5%~25%大きい、8%~22%大きい、または10%~20%大きい直径を有する、実施例1~3のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例5.単一の開口が、カプセルの長軸方向軸に沿って測定される場合、第一の端から2mm以内、4mm以内、6mm以内、または10mm以内である、実施例1~4のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例6.単一の開口が、第一の端に向かって、10%以上、25%以上、50%以上、または75%以上に位置付けられている、実施例1~5のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例7.単一の開口が、0.2mm2以上、0.3mm2以上、または0.4mm2以上の面積を有する、実施例1~6のいずれか一つに記載の吸入器物品。単一の開口は、1.8mm2以下、1.5mm2以下、1.2mm2以下、1.0mm2以下、または0.8mm2以下の面積を有してもよい。単一の開口は、0.2mm2~1.5mm2、または0.4mm2~0.8mm2の面積を有してもよい。
実施例8.吸入可能な粉末が、ニコチン塩を含むニコチン粒子を含む、実施例1~7のいずれか一つに記載の吸入器物品。乾燥粉末は、糖もしくは糖アルコール、アミノ酸、風味剤、鎮咳薬、または他の医薬的に許容可能な成分をさらに含んでもよい。乾燥粉末は、ニコチン粒子を含むニコチン粉末を含んでもよく、ニコチン粒子は、ニコチン塩、糖もしくは糖アルコール、およびアミノ酸を含む。乾燥粉末は、風味粒子、または鎮咳薬粒子、または風味と鎮咳薬粒子の両方をさらに含んでもよい。
実施例9.吸入可能な粉末が、0.5μm~10μmまたは0.5μm~5μmの範囲内のMMAD粒子サイズを有するニコチン粒子を含有する、実施例1~8のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例10.吸入可能な粉末が風味粒子を含む、実施例1~9のいずれか一つに記載の吸入器物品。風味粒子は、10μm以上、20μm以上、または40μm以上のMMAD粒子サイズを有してもよい。風味粒子は、200μm以下、150μm以下、または120μm以下のMMAD粒子サイズを有してもよい。風味粒子は、20μm~200μmまたは40μm~120μmのMMAD粒子サイズを有してもよい。
実施例11.吸入可能な粉末が、0.5μm~10μm、または0.5μm~5μmの範囲のMMAD粒子サイズを有するニコチン粒子、および20μm~200μmまたは50μm~150μmのMMAD粒子サイズを有する風味粒子を含む、実施例1~10のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例12.カプセルが高分子カプセルまたはゼラチンカプセルであり、好ましくはカプセルがHPMCカプセルである、実施例1~11のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例13.カプセルが、aが、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4、もしくはサイズ5のカプセル、またはサイズ1~サイズ4のカプセル、またはサイズ2~サイズ3のカプセル、好ましくはサイズ3のカプセルである、実施例1~12のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例14.本体が、セルロース系材料、好ましくは紙、板紙、または厚紙、最も好ましくは紙で構築されている、実施例1~13のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例15.本体が、セルロース系材料、好ましくは紙、板紙、または厚紙、最も好ましくは紙で構築された管状部材を備える、実施例1~14のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例16.本体の上流端が、好ましくは扇状に折り畳むことによって、折り畳まれて閉鎖している、実施例1~15のいずれか一つに記載の吸入器物品。吸入器本体の上流端は使用前に、例えば吸入器ホルダーによって開放されてもよい。
実施例17.管状本体の上流端が、カプセルレセプタクルの上流端を形成する、実施例1~16のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例18.吸入器物品が、本体の下流端にて受容されたマウスピース要素を備える、実施例1~17のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例19.マウスピース要素が、カプセルレセプタクルの下流端を画定する、実施例1~18のいずれか一つに記載の吸入器物品。
実施例20.吸入器物品がホルダーと連結されている、実施例1~19のいずれか一つに記載の吸入器物品。ホルダーは、吸入器物品の閉鎖した上流端を開放する能力を有してもよい。ホルダーは、レセプタクル内に収容されたカプセルを貫通するように構築されてもよい。
【0048】
ここで、図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【0049】
吸入可能な粉末50を含有するカプセル20を図1Aおよび図1Bに示す。カプセル20は、第一の端21および第二の端22を備える。カプセル20は、第一の端21にて第一の端キャップ23を備えてもよく、第二の端22にて第二の端キャップ24を備えてもよい。カプセル20は、第一の端21と第二の端22の間に、または第一の端キャップ23と第二の端キャップ24の間に延びる管状側壁25を備える。カプセルの第一の端キャップ23および第二の端キャップ24の各々は、示す通り、半球として形作られてもよい。カプセル20は、単一の開口30のみを備える。単一の開口30は、カプセル20の管状側壁25を通って延びる。
【0050】
一部の実施形態において、単一の開口30は、第二の端22よりも第一の端21の近くに配置されている。開口30の距離は、カプセル20の長軸方向軸A20に沿って測定されたカプセルの中点26から決定されてもよい。カプセル側壁25は長さ25を有し、また中点26は半分の長さL26を画定する。第一の端キャップ23および第二の端キャップ24は各々、長さL23、L24をそれぞれ有する。カプセル20の全長L20は、側壁長さL25に、第一の端キャップ23の長さL23および第二の端キャップの長さL24を加えたものである。
【0051】
中点26からの開口30の距離D30は、実際の測定された距離として決定されてもよく、またはD30/L26として計算された、一方の端もしくはもう一方の端に向かう長さの割合(例えば、「第一の端に向かっての%」)として決定されてもよい。単一の開口30は、第一の端21に向かって0%~100%に位置付けられてもよい。単一の開口30は、第一の端21に向かって、10%以上、25%以上、50%以上、または75%以上に位置付けられてもよい。中点26からの開口30の実際の距離D30は、カプセル20のサイズに基づいて選択されてもよい。一部の場合において、カプセル20は、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4、またはサイズ5のカプセルであり、好ましくはサイズ3である。カプセル20は、約11mm、約14mm、約16mm、約18mm、または約19mmの長さを有してもよい。カプセル側壁25は、約8mm、約10mm、約11mm、約12mm、または約14mmの長さを有してもよい。単一の開口30は、中点26から測定して、カプセル20の第一の端21に向かって、1mm以上、3mm以上、または5mm以上に位置付けられてもよい。単一の開口30は、中点26から測定して、カプセル20の第一の端21に向かって、7mm以下、6mm以下、または5mm以下に位置付けられてもよい。単一の開口30は、カプセル20の長軸方向軸A20に沿って第一の端21から測定される場合、第一の端21から2mm以内、4mm以内、6mm以内、または10mm以内であってもよい。
【0052】
カプセル20を包含する吸入器物品10が、図2Aおよび図2Bに概略的に示されている。吸入器物品10は、第一の下流端11と、反対側の第二の上流端12とを有する。マウスピース要素200は、吸入器物品10の下流端11に配置されている。吸入器物品10の外側表面は、少なくとも部分的に、ラッパー13によって形成されてもよい。吸入器物品10は、管状側壁101を有する吸入器本体100を備える。吸入器本体100は、カプセル20を収容するためのレセプタクル102を形成する内部を画定する。吸入器本体100は、長軸方向中心軸Aをさらに画定する。マウスピース要素200は、長軸向中心軸Aに沿って延びる。マウスピース要素200は、吸入器本体100の中に少なくとも部分的に挿入されてもよい。マウスピース要素200は、下流端201および上流端202を有する。マウスピース要素200の上流端202は、吸入器本体100の内部の中に受容されていて、またカプセルレセプタクル102の下流端を形成する。
【0053】
カプセル20の第一の端21は、本体の上流端12に向かう向きにされてもよい。第二の端22は、本体の下流端11に向かう向きにされてもよい。一部の実施形態において、単一の開口30は管状側壁20を通って延び、またカプセル20の第二の端22および吸入器物品10の下流端11よりも、第一の端21および上流端12の近くに配置されている。
【0054】
吸入器物品10は、図3に示す通り、ホルダー400とともに使用されてもよい。ホルダー400は、吸入器物品10の上流端12を開放するように構成されてもよい。ホルダー400は、吸入器物品10用の空気吸込み口401を提供するように構成されてもよい。ホルダー400は、カプセル20を貫通するようにさらに構成されてもよい。ホルダー400は、カプセル20の側壁25上に単一の開口30を作製するように構成されてもよい。ユーザーが吸入器物品を通して空気を引き出して吸入器を使用する時に、空気は、空気吸込み口401からレセプタクル102を通って流れ、カプセル20内部から乾燥粉末粒子を同伴し、マウスピース要素200を通って流れ、出口211から出てもよい。一実施形態によると、乾燥粉末は、5mL/分以下、または2mL/分以下の空気流量でカプセル20から吸入されてもよい。
【0055】
カプセルレセプタクル102は、カプセル20がカプセルレセプタクル102内でその向きを維持するように、カプセル20の長さL20よりも小さい幅(直径)W102を有してもよい。カプセル20の第一の端21は、上流端12に向かう向きにされていて、またカプセル20の第二の端22は、吸入器10の下流端部11に向かう向きにされている。図4に示す通り、カプセル20は、わずかに動く(例えば、振動および回転する)ための空間、ただし端と端がひっくり返るに十分ではない空間を有してもよい。カプセルは幅(直径)W20を有する。カプセルレセプタクル102の幅(直径)W102は、カプセル20の幅(直径)W20よりも5%~25%大きい、8%~22%大きい、または10%~20%大きくてもよい。
【0056】
実施例
異なる場所に単一の開口を有するカプセルの粉末送達の性能を試験した。カプセルの各々は、サイズ3のHPMCカプセル(15.9±0.3mmの全長を有する)であり、ニコチン塩および風味粒子を含有する50mgの粉末を含有した。開口は、0.8mmの直径を有する針を用いて作製された。
【0057】
試料1は、第一の(上流)端の中心に単一の開口を有するカプセルであった。
【0058】
試料2は、側壁に単一の開口を有するカプセルであり、第一の(上流)端のより近くに位置付けられていた。試料2の開口は、下流端から13.6mm、またはカプセルの上流端から2.3mmであった。
【0059】
試料3は、側壁に単一の開口を有するカプセルであり、第二の(下流)端のより近くに位置付けられていた。試料3の開口は、カプセルの下流端から2.5mmであった。
【0060】
カプセルを吸入器物品カプセルレセプタクル内に定置することと、吸入器物品を通して空気を引き出すこととによって、試料を試験した。空気引き出しパターンは、紙巻たばこの喫煙を模倣し、2秒間の80mLの空気の引き出し(単回の吸煙)を12回行った。12回の吸煙にわたって送達された粉末の量を測定した。結果を下記の表1に示す。
表1.粉末送達
【表1】
【0061】
上流端の近くの側壁内の単一の開口は、上流端の中心に位置付けられた開口とほぼ同じ量の粉末を送達したことが観察された。試料1と試料2の間の粉末送達の差異は、統計的に有意ではなかった。驚くべきことに、上流端の近くの側壁内の単一の開口は、下流端の近くの側壁内の単一の開口よりもはるかに効率的に粉末を送達したことが観察された。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】