(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】栓形成を促進するための塞栓システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023533848
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020084654
(87)【国際公開番号】W WO2022117208
(87)【国際公開日】2022-06-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514222743
【氏名又は名称】クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パット
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD54
4C160DD63
4C160DD70
(57)【要約】
【課題】多様な範囲の血管において容易にかつ効果的に展開することができる塞栓システムを提供すること。
【解決手段】2つ以上の線形に接続されたセクション(305、505)を含む、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイス(300、500)であって、各セクションは、コアと、コアから少なくとも径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストル(330、530)とを備える1つまたは複数のブリストルセグメント(310、510)を備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、ブリストルセグメントを身体管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有し、隣接セクションの各対が、それぞれの接続機構を介して接続され、ブリストルセグメントが拡張展開構成にあるとき、各それぞれの接続機構は、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、隣接セクションの対を取り外す第2の構成に選択的に変更可能である、塞栓デバイス。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の線形に接続されたセクションを含む、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、各セクションは、コアと、前記コアから少なくとも径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルと、を備える1つまたは複数のブリストルセグメントを備え、前記可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、前記ブリストルセグメントを身体管腔内に係留するために前記ブリストルが前記コアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成と、を有し、
隣接セクションの各対が、それぞれの接続機構を介して接続され、
前記ブリストルセグメントが前記拡張展開構成にあるとき、それぞれの接続機構は、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、前記隣接セクションの対を取り外す第2の構成に選択的に変化するように作動可能である、塞栓デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つの接続機構は、その第1の構成から第2の構成に動くことが可能である、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの接続機構は、それぞれの隣接セクションのそれぞれの受入要素によって摺動可能に受けられる細長い要素によって形成され、それによって前記細長い要素が前記第1の構成と前記第2の構成との間で所定の距離だけ摺動可能であり、前記第2の構成において、前記細長い要素は、前記受入要素のうちの1つから外れる、請求項1または2に記載の塞栓デバイス。
【請求項4】
前記塞栓デバイスは長手方向軸を有し、前記受入要素は各々、それぞれの連動機能部を備え、前記第1の構成において、前記それぞれの連動機能部は、横方向において互いに連動して、前記隣接セクションの対間の長手方向における相対的変位を阻止し、前記細長い要素は、長手方向において双方の連動機能部を通過して、前記隣接セクションの対間の相対的な横方向の動きを阻止する、請求項3に記載の塞栓デバイス。
【請求項5】
前記それぞれの連動機能部は各々、リップと横方向の凹部とを備え、前記第1の構成において、前記それぞれのリップは、他のそれぞれの連動機能部の前記横方向の凹部によって受けられ、前記細長い要素は、長手方向において双方のリップを通過して、前記隣接セクションの対間の相対的な横方向の動きを阻止する、請求項4に記載の塞栓デバイス。
【請求項6】
前記受入要素の対のうちの第1のものは、前記凹部によって前記リップから長手方向に分離された基部を含み、前記基部は、長手方向に延在するセクションおよび横方向に延在するセクションを有する、前記基部を通る孔を有し、前記第1の構成において、前記細長い要素は、前記第1の受入要素のリップと、他方の受入要素のリップと、前記孔の前記長手方向に延在するセクションと、前記孔の横方向に延在するセクションとを通過する、請求項5に記載の塞栓デバイス。
【請求項7】
前記接続機構のうちの少なくとも2つは、各所定の距離においてセクションの対を取り外すために、前記細長い要素が複数の所定の距離だけ摺動可能であるように受入要素の複数の対によって受けられる同じ細長い要素によって形成される、請求項3から6のいずれか1項に記載の塞栓デバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの接続機構は、隣接するセクションのそれぞれの対を取り付ける電解要素によって形成され、前記電解要素は前記塞栓デバイスの近位端に電気的に接続され、前記電解要素に供給される電気エネルギーが前記電解要素の分解エネルギーを上回るように、電流を、或る電流振幅、電圧で、或る持続時間にわたって前記電解要素に印加することによって、身体管腔内の電気分解によって分解し、隣接するセクションのそれぞれの対を取り外すように動作可能である、請求項1に記載の塞栓デバイス。
【請求項9】
前記塞栓デバイスの近位端と電解要素との間の前記電気接続は、前記塞栓デバイスの前記コアおよび/またはブリストルから電気的に絶縁される、請求項8に記載の塞栓デバイス。
【請求項10】
少なくとも2つの接続機構は各々、前記塞栓デバイスの前記近位端に電気的に接続された電解要素によって形成され、各電解要素の分解エネルギーは異なる、請求項8または9に記載の塞栓デバイス。
【請求項11】
1つまたは複数の線形に接続されたブリストルセグメントを含む身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓ブリストルセクションであって、各ブリストルセグメントは、コアと、前記コアから少なくとも径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、前記可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するために前記ブリストルが前記コアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有し、
ブリストルセクションは、前記ブリストルセクションを隣接ブリストルセクションに接続するために接続機構を摺動可能に受けるように構成された受入要素を更に備え、前記受入要素は、前記ブリストルセクションおよび前記隣接ブリストルセクションを取り付けるための第1の構成と、前記ブリストルセグメントを前記隣接ブリストルセクションから取り外すための第2の構成との間で前記接続機構が摺動することを可能にするように構成される、塞栓ブリストルセクション。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の塞栓デバイスを送達するための塞栓送達システムであって、
前記塞栓デバイスを含み遠位送達端を有する送達カテーテルと、
前記塞栓デバイスを前記送達カテーテルの前記遠位端から送達するための送達要素と、
前記1つまたは複数の接続機構を前記第1の構成から前記第2の構成に変更するためのアクチュエータと、
前記送達要素および前記アクチュエータを動作させるための1つ以上のユーザインタフェースと、
を備える、塞栓送達システム。
【請求項13】
前記接続機構のうちの1つもしくは複数が、第1の構成と第2の構成との間で摺動可能な1つまたは複数の細長い要素を含むとき、前記アクチュエータは、前記1つまたは複数の接続機構を前記第1の構成から前記第2の構成に摺動させるようにユーザによって操作可能な引込要素を含み、および/または
前記接続機構のうちの1つもしくは複数が、正電流を前記1つもしくは複数の電解要素に印加することによって前記第1の構成から前記第2の構成に変更可能な1つもしくは複数の電解要素を含むとき、前記アクチュエータは、取外しのために正電流を前記1つもしくは複数の接続機構に印加するように前記ユーザによって操作可能である、請求項12に記載の塞栓送達システム。
【請求項14】
前記接続機構のうちの1つまたは複数は、前記第1の構成と前記第2の構成との間で摺動可能な細長い要素であり、前記送達システムは、前記1つまたは複数の接続機構が、取り外しを発生させるのに十分な距離摺動したことを前記ユーザに示すためのフィードバック機構を含む、請求項13に記載の塞栓送達システム。
【請求項15】
前記接続機構のうちの1つまたは複数が電解要素であるとき、前記アクチュエータは、前記ユーザによって前記ユーザインタフェースを介して選択可能な可変の正電流および電圧を印加するように動作可能である、請求項13または14に記載の塞栓送達システム。
【請求項16】
身体管腔における血栓形成を促進するための塞栓デバイスを製造する方法であって、
各々が1つまたは複数のブリストルセグメントを含む複数のブリストルセクションを設けるステップであって、各ブリストルセグメントは、コアと、前記コアから少なくとも径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、前記可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、前記ブリストルセクションを管腔内に係留するために前記ブリストルが前記コアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステップと、
1つまたは複数の接続機構を介して、前記ブリストルセクションの隣接する対を線形に接続するステップであって、各接続機構は、前記ブリストルセグメントが前記拡張展開構成にあるとき、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、前記隣接セクションの対を取り外す第2の構成に変更するように作動可能である、ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
身体管腔における血栓形成を促進するための塞栓ブリストルセクションを製造する方法であって、
1つまたは複数のブリストルセグメントを設けるステップであって、各ブリストルセグメントは、コアと、前記コアから少なくとも径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、前記可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するために前記ブリストルが前記コアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステップと、
ブリストルセクションを隣接ブリストルセクションに接続するための細長い要素を摺動可能に受けるように構成された受入要素を設けるステップであって、前記受入要素は、前記細長い要素が、前記ブリストルセクションおよび前記隣接ブリストルセクションを取り付ける第1の構成と、前記ブリストルセグメントを前記隣接ブリストルセクションから取り外す第2の構成との間で摺動することを可能にするように構成される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
塞栓デバイスを作製するための部品のキットであって、
2つ以上のセクションを含み、各セクションは、
コアと、前記コアから少なくとも径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備える1つまたは複数のブリストルセグメントであって、前記可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、前記ブリストルセグメントを管腔内に係留するために前記ブリストルが前記コアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、1つまたは複数のブリストルセグメントと、
ブリストルセクションを隣接ブリストルセクションに接続するための細長い要素を摺動可能に受けるように構成された1つまたは複数の受入要素であって、前記受入要素は、前記細長い要素が、前記ブリストルセクションおよび前記隣接ブリストルセクションを取り付ける第1の構成と、前記ブリストルセグメントを前記隣接ブリストルセクションから取り外す第2の構成との間で摺動することを可能にするように構成される、1つまたは複数の受入要素と、
を含み、
前記部品のキットは、前記ブリストルセクションを接続するための1つまたは複数の細長い要素を更に含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収縮送達構成と、塞栓デバイスを身体管腔内に係留するための拡張展開構成とを有する、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓ブリストルセクションに関する。本開示はまた、複数のブリストルセクションを含む塞栓デバイスと、ブリストルセクションおよび塞栓デバイスを製造する方法と、塞栓デバイスを作製するための部品のキットとに関する。
【背景技術】
【0002】
塞栓デバイスは、血栓形成を促進して最終的には血管を閉塞するために、医師により脈管構造内の特定の位置において展開され得る。典型的には、塞栓デバイスが、身体管腔内の展開点に達するまで、送達ワイヤを用いてガイド(送達)カテーテルを通して遠位方向に押し込まれ得る。要求される展開点にデバイスが達すると、デバイスはガイドカテーテルから展開される。
【0003】
異なる血管サイズおよび形状について、(直径および長さの双方において)異なるサイズの塞栓デバイスが所望され得る。標準的な形状およびサイズの塞栓デバイスは、特定の形状を有する血管を効果的に遮蔽することができない場合がある。
【0004】
したがって、多様な範囲の血管において容易にかつ効果的に展開することができる塞栓システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、2つ以上の線形に接続されたセクションを含む、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓デバイスであって、各セクションは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備える1つまたは複数のブリストルセグメントを備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、ブリストルセグメントを身体管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有し、隣接セクションの各対が、それぞれの接続機構を介して接続され、各それぞれの接続機構は、ブリストルセグメントが拡張展開構成にあるとき、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、隣接セクションの対を取り外す第2の構成に選択的に変更可能である、塞栓デバイスが提供される。接続機構は、ブリストルセクションの位置決めおよび展開が高度に制御可能となることを可能にする。
【0006】
少なくとも1つの接続機構は、その第1の構成から第2の構成に動くことが可能であり得る。
少なくとも1つの接続機構は、隣接セクションの対のそれぞれの受入要素によって摺動可能に受けられる細長い要素によって形成することができ、それによって細長い要素が第1の構成と第2の構成との間で所定の距離だけ摺動可能であり、第2の構成において、細長い要素は、受入要素のうちの1つから外れて、隣接セクションの対を取り外す。そのような構成は、細長い要素が所定の距離だけ引き込まれる際にセクションの対が取り外されるときをユーザが決定することを可能にし、セクションごとの、管腔における制御された取外し機構を可能にする。
【0007】
塞栓デバイスは長手方向軸を有することができ、受入要素は各々、それぞれの連動機能部を備えることができ、第1の構成において、それぞれの連動機能部は、横方向において互いに連動して、隣接セクションの対間の長手方向における相対的変位を阻止し、細長い要素は、長手方向において双方の連動機能部を通過して、隣接セクションの対間の相対的な横方向の動きを阻止する。隣接セクション間の長手方向の分離は受入要素の連動機能部によって阻止されるため、塞栓デバイスに対する長手方向の力による接続機構への損傷が防止され得る。第2の構成において、横方向の動きは接続機構によってもはや妨げられないため(接続機構が受入要素から引き出されていることに起因する)、セクションは容易に外れる。
【0008】
それぞれの連動機能部は各々、リップと横方向の凹部とを備えることができ、第1の構成において、それぞれのリップは、他のそれぞれの連動機能部の横方向の凹部によって受けられ得、細長い要素は、長手方向において双方のリップを通過して、隣接セクションの対間の相対的な横方向の動きを阻止し得る。
【0009】
受入要素の対のうちの第1のものは、凹部によってリップから長手方向に分離された基部を含むことができ、基部は、長手方向に延在するセクションおよび横方向に延在するセクションを有する、基部を通る孔を有し、第1の構成において、細長い要素は、第1の受入要素のリップと、他方の受入要素のリップと、孔の長手方向に延在するセクションと、孔の横方向に延在するセクションとを通過する。孔の長手方向および横方向に延在するセクションの提供は、受入要素と細長い要素との間の摩擦を増大させ、これにより、細長い要素が受入要素から時期尚早に緩むリスクを低減することができる。
【0010】
接続機構のうちの少なくとも2つは、各所定の距離においてセクションの対を取り外すために、細長い要素が複数の所定の距離だけ摺動可能であるように受入要素の複数の対によって受けられる同じ細長い要素によって形成され得る。そのような構成は、単一の細長い要素を操作することによって複数のセクションが展開されることを可能にし、これは、塞栓デバイスのセクションを展開するように構成された機構が単純化され得ることを意味する。
【0011】
少なくとも1つの接続機構は、隣接するセクションのそれぞれの対を取り付ける電解要素によって形成され得、電解要素は塞栓デバイスの近位端に電気的に接続され、電解要素に供給される電気エネルギーが電解要素の分解エネルギーを上回るように、電流を、或る電流振幅、電圧で、或る持続時間にわたって電解要素に印加することによって、身体管腔内の電気分解によって分解し、隣接するセクションのそれぞれの対を取り外すように動作可能である。そのような構成は、ユーザが、特定の電流振幅および電圧で所与の持続時間にわたって正電流を印加することによってブリストルセクションを取り外せるようにし、制御された取外し機構を可能にする。電流は正電流であり得る。
【0012】
電気接続は、塞栓デバイスの近位端と電解要素との間に延在する電気配線によって形成され得る。電気配線は、塞栓デバイスのコアおよび/またはブリストルから電気的に絶縁され、コア/ブリストルの電解腐食を阻止することができる。
【0013】
少なくとも2つの接続機構が、各々そのような電解要素によって形成され得、各電解要素の分解エネルギーは異なる。異なる分解エネルギーにより、セクションが高度に制御可能な方式で独立して展開されることを可能にすることができる。
【0014】
第2の態様によれば、1つまたは複数の線形に接続されたブリストルセグメントを含む、身体管腔内での血栓形成を促進するための塞栓ブリストルセクションであって、各ブリストルセグメントは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有し、ブリストルセクションは、ブリストルセグメントを隣接ブリストルセクションに接続するために接続機構を摺動可能に受けるように構成された受入要素を更に備え、受入要素は、ブリストルセクションおよび隣接ブリストルセクションを取り付けるための第1の構成と、ブリストルセグメントを隣接ブリストルセクションから取り外すための第2の構成との間で接続機構が摺動することを可能にするように構成される、塞栓ブリストルセクションが提供される。ユーザは、複数のブリストルセクションを合わせて容易に取り付け、カスタム長の塞栓デバイスを生成することができる。
【0015】
第3の態様によれば、第1の態様による塞栓デバイスを送達するための塞栓送達システムであって、塞栓デバイスを含み遠位送達端を有する送達カテーテルと、塞栓デバイスを送達カテーテルの遠位端から送達するための送達要素と、1つまたは複数の接続機構を第1の構成から第2の構成に変更するためのアクチュエータと、送達要素およびアクチュエータを動作させるための1つ以上のユーザインタフェースとを備える、塞栓送達システムが提供される。1つまたは複数のユーザインタフェースは、ユーザが、管腔内のブリストルセクションの展開を制御し、管腔内のブリストルセクションの取外しを制御することを可能にする。
【0016】
接続機構のうちの1つまたは複数が、第1の構成と第2の構成との間で摺動可能な1つまたは複数の細長い要素を含むとき、アクチュエータは、1つまたは複数の接続機構を第1の構成から第2の構成に摺動させるようにユーザによって操作可能な引込要素を含むことができる。接続機構のうちの1つまたは複数が、正電流を1つまたは複数の電解要素に印加することによって第1の構成から第2の構成に変更可能な1つまたは複数の電解要素を含むとき、アクチュエータは、取外しのために正電流を1つまたは複数の接続機構に印加するようにユーザによって操作可能であり得る。
【0017】
接続機構のうちの1つまたは複数が、第1の構成と第2の構成との間で摺動可能な細長い要素であるとき、引込要素は、1つまたは複数の接続機構が、取り外しを発生させるのに十分な距離摺動したことをユーザに示すためのフィードバック機構を含むことができる。
【0018】
接続機構のうちの1つまたは複数が電解要素であるとき、アクチュエータは、ユーザによってユーザインタフェースを介して選択可能な可変の正電流および電圧を印加するように動作可能であり得る。ユーザインタフェースは、ユーザが、それぞれのブリストルセクションを取り外すためにいずれの電解要素が作動されるかを選択することを可能にする。
【0019】
第4の態様によれば、身体管腔における血栓形成を促進するための塞栓デバイスを製造する方法であって、各々が1つまたは複数のブリストルセグメントを含む複数のブリストルセクションを設けるステップであって、各ブリストルセグメントは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、ブリストルセクションを管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステップと、1つまたは複数の接続機構を介して、ブリストルセクションの隣接する対を線形に接続するステップであって、各接続機構は、ブリストルセグメントが拡張展開構成にあるとき、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、隣接セクションの対を取り外す第2の構成に変更するように動作可能である、ステップとを含む、方法が提供される。
【0020】
第5の態様によれば、身体管腔における血栓形成を促進するための塞栓ブリストルセクションを製造する方法であって、1つまたは複数のブリストルセグメントを設けるステップであって、各ブリストルセグメントは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステップと、ブリストルセクションを隣接ブリストルセクションに接続するための細長い要素を摺動可能に受けるように構成された受入要素を設けるステップであって、受入要素は、細長い要素が、ブリストルセクションおよび隣接ブリストルセクションを取り付ける第1の構成と、ブリストルセグメントを隣接ブリストルセクションから取り外す第2の構成との間で摺動することを可能にするように構成される、ステップとを含む、方法が提供される。
【0021】
第6の態様によれば、塞栓デバイスを作製するための部品のキットであって、2つ以上のセクションを含み、各セクションは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備える1つまたは複数のブリストルセグメントであって、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、ブリストルセグメントを管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、1つまたは複数のブリストルセグメントと、ブリストルセクションを隣接ブリストルセクションに接続するための細長い要素を摺動可能に受けるように構成された1つまたは複数の受入要素であって、受入要素は、細長い要素が、ブリストルセクションおよび隣接ブリストルセクションを取り付ける第1の構成と、ブリストルセグメントを隣接ブリストルセクションから取り外す第2の構成との間で摺動することを可能にするように構成される、1つまたは複数の受入要素とを含み、部品のキットは、ブリストルセクションを接続するための1つまたは複数の細長い要素を更に含む、キットが提供される。部品のキットは、特定の血管サイズまたは形状に適合されたカスタム塞栓デバイスを構築するように使用可能であり得る。
【0022】
本開示のより良好な理解を可能にするために、また、本開示がどのように実施され得るかを示すために、単なる例として、添付の概略的な図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、非拘束構成における塞栓ブリストルセグメントの側面図を示す。
【
図1B】本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、ブリストルセクションの複数のブリストルセグメント側面図を示す。
【
図1C】本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、2つのブリストルセグメントを接続する接合部を示す。
【
図1D】本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、2つのブリストルセグメントを接続する接合部を示す。
【
図1E】本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、2つのブリストルセグメントを接続する接合部を示す。
【
図2】1つまたは複数の例による塞栓送達システムを示す。
【
図3】
図3Aは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、第1の構成における塞栓デバイスの側面図を示す。
図3Bは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、第2の構成における塞栓デバイスの側面図を示す。
【
図4】
図4Aは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、塞栓ブリストルセクションのための受入要素の対の側面図を示す。
図4Bは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、塞栓ブリストルセクションのための受入要素の対の側面図を示す。
【
図5】
図5Aは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、第1の構成における別の塞栓デバイスの側面図を示す。
図5Bは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、第2の構成における
図5Aに示す塞栓デバイスの側面図を示す。
【
図6】
図6Aは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、塞栓デバイスを送達するための塞栓システムを示す。
図6Bは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、ブリストルセクションが展開された構成にある
図6Aの塞栓デバイスを送達するための塞栓システムを示す。
図6Cは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、ブリストルセクションが展開され、取り外された、
図6Aの塞栓デバイスを送達するための塞栓システムを示す。
【
図7】
図7Aは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、塞栓デバイスを送達するための塞栓システムを示す。
図7Bは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、ブリストルセクションが展開された構成にある
図7Aの塞栓デバイスを送達するための塞栓システムを示す。
図7Cは本明細書に示し、説明する、1つまたは複数の実施形態による、ブリストルセクションが展開され、取り外された、
図7Aの塞栓デバイスを送達するための塞栓システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示にわたって、「塞栓デバイス」という用語は、身体管腔の塞栓のための身体管腔の閉塞を促進するために身体管腔内に恒久的にまたは半恒久的に埋め込まれ得るデバイスを意味し得る。したがって、「塞栓デバイス」は、管腔の閉塞を促進するために、数日間等のある期間にわたって身体管腔内に配置されるかまたは無期限に管腔内に配置されるように構成され得る。このために、「塞栓デバイス」は、身体管腔内に孤立して埋め込まれ得るように、送達要素から選択的に分離されるように構成され得る。
【0025】
本開示にわたって、「身体管腔」という用語は、人体または動物体の管状構造内の内側空間を意味し得る。「身体管腔」は、例えば、動脈または静脈であり得る。
【0026】
本開示にわたって、要素の「収縮送達構成」という用語は、その要素の拡張展開構成よりも小さな径方向範囲を有する要素の構成を意味し得る。
【0027】
本開示にわたって、「係留すること(to anchor)」という用語は、要素を或る位置に部分的にまたは完全に固定することを意味し得る。
【0028】
本明細書に開示される塞栓デバイスは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを含む。コアはステムであり得る。「ステム」という用語は、デバイスまたはセグメントのための背骨として作用するために塞栓デバイスまたはブリストルセグメントの長さに沿って長手方向に延在しかつ塞栓デバイスの更なる要素(例えば、複数の可撓性ブリストル)よりも著しく小さな径方向範囲を有する細長い要素を意味し得る。ステムは、実質的に、(例えば、塞栓デバイスが無拘束構成、収縮送達構成、および/または拡張展開構成にあるときに)デバイスまたはセグメントの複数の可撓性ブリストルの長手方向範囲全体に沿って延在することができる。ステムは、実質的に塞栓デバイスの全長に沿って延在してもよい。各ブリストルセクションのブリストルセグメントは、単一のコアに形成されてもよく、または別個の複数の接続されたコアに形成されてもよい。
【0029】
本明細書において説明される例の内の任意のものにおいて、「ブリストル」という用語は、実質的に単体で形成された材料の細長いストランドを意味し得る。「ブリストル」は、弾性ブリストルであってもよい。弾性ブリストルは、特定の曲率を目指して付勢され得る。
【0030】
本開示の塞栓デバイスは、複数の線形に接続されたセクションを含み、各セクションは1つまたは複数のブリストルセグメントを含む。セクションが複数のブリストルセグメントを含む場合、これらのブリストルセグメントは線形に接続され得る。例えば、隣接するブリストルセグメントは、同じコアに形成された別個のブリストルセグメントであってもよく、関節式接合部等の接合部を介して線形に接続されてもよい。
【0031】
本開示にわたって、「径方向外方に(radially outwardly)」という用語は、要素がデバイスの長手方向に更に延在することを除外しない。例えば、複数の可撓性ブリストルは、ステムから径方向外方にかつ長手方向に延在してもよい。
【0032】
本開示にわたって、「径方向輪郭」という用語は、塞栓デバイスのステムから径方向外方の特定の方向における径方向範囲を意味し得る。例えば、塞栓デバイスは、収縮送達構成では、拡張展開構成のときよりも小さな径方向範囲を有する。
【0033】
本開示にわたって、「ブリストルセグメント」という用語は、隣接ブリストル間の間隔が所定の距離未満であるブリストルのグループを意味し得る。2つのブリストルセグメントが「離間されている」とき、ブリストルセグメント間の間隔(すなわち、第1のセグメントの最も遠位のブリストルと、第2のセグメントの最も近位のブリストルとの間の間隔)は、ブリストルセグメントのうちの少なくとも1つの中の隣接ブリストル間の間隔よりも大きい。
【0034】
複数の可撓性ブリストルは、収縮送達構成において、収縮された構成を有することができる。複数の可撓性ブリストルは、拡張展開構成において、拡張された構成を有することができる。複数のブリストルは、コアまたはステムを中心とした複数の円周方向において、コアまたはステムから径方向外方に延在し得る。
【0035】
拡張された構成では、複数の可撓性ブリストルは、身体管腔内にデバイスを係留するように構成され得る。複数の可撓性ブリストルは、身体管腔内の塞栓デバイスまたはブリストルセグメントのための係留力の実質的に全てを提供するように構成され得る。
拡張された構成では、複数の可撓性ブリストルは、身体管腔に接触するように構成され得る。
【0036】
デバイスが送達カテーテルの内部に位置決めされているとき、デバイスは収縮送達構成を採用する。より詳細には、収縮送達構成では、コアまたはステムから外方に延在する複数の可撓性ブリストルは、要素の拡張展開構成におけるブリストルの径方向範囲未満の径方向範囲を有する。
【0037】
本明細書に開示される塞栓デバイスは、ブリストルセグメントのうちの1つまたは複数のコアまたはステム上に配設された1つまたは複数の流量制限器を含むことができる。流量制限器は、ブリストルセグメントの任意の点、例えば、長手方向においてブリストルセグメントのブリストル内に、長手方向においてブリストルセグメントのブリストル外に、および/またはブリストルセグメントのブリストルから離間して配置され得る。
【0038】
ブリストルは、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)、もしくはニチノール等の、可撓性のまたは弾性的に変形可能な材料から作製され得る。任意の適切なポリマー、または任意の他の形状記憶金属もしくは金属合金等の、他の適切な材料が用いられてもよい。流量制限器は、ポリマー、ステンレス鋼またはニチノール等の自己拡張型材料から作製された薄膜であり得る。コアまたはステムは、ステンレス鋼または他の適切な材料から作製されてもよく、そこからブリストルが延在しまたそこに流量制限器が取り付けられる撚線を備えてもよい。代替的に、ステムは中空管を備えてもよく、その場合、中空管の壁は、径方向に延在するブリストルを所定の位置に保持する。例えば、管は収縮性材料から形成することができる。代替的にまたは加えて、ブリストルは、接着剤等の他の手段を用いてステムによって保持されてもよい。
【0039】
個々の可撓性ブリストルの直径は、0.036mm(0.0014インチ)から0.053mm(0.0021インチ)におよび得る。例えば、個々の可撓性ブリストルの直径は、0.0381mm(0.0015インチ)、0.0445mm(0.00175インチ)、または0.0508mm(0.002インチ)であり得る。拡張された可撓性ブリストルによって形成される径方向プロファイルの平均径方向直径は、5mmから30mmにおよび得る。
【0040】
流量制限器は、薄膜ニチノール、薄膜PTFE、ポリウレタン等の薄膜エラストマー、または任意の他のタイプの適切な生体適合性材料から作製された膜であり得る。膜は、4μm~35μmの厚みと5mm~20mmの径方向直径とを有し得る。例えば、膜の直径は、6.5mm、9mm、または16mmであり得る。更に、膜は非透過性でも半透過性でもよい。
【0041】
接続機構が細長い要素を含む例において、適切な材料は、生体適合性金属、例えばステンレス鋼、ニチノール、プラチナ、Pt/Ir合金、タンタルまたは金等の放射線不透過性金属を含むエルジロイを含む。代替的に、超高分子量ポリエチレン(例えば、ダイニーマ)、アラミド(テクノーラ等)、またはナイロン(ナイロン12、例えばポリアミド12ラウロラクタム属、およびグリルアミド(Grilamid)L25、L20LF等のその変異体、もしくはベスタミド(Vestamid)Lシリーズ、もしくはリルサン(Rilsan)、もしくはグリルアミドTR55のようなナイロン12の他の熱可塑性変異体、またはナイロン11(例えば、BesvoまたはBesno)またはナイロン6のようなナイロン材料の押出またはフィルムキャスト混合等)の高分子材料が用いられ得る。高分子材料は、放射線不透過性材料をコーティングされるかまたは埋め込まれ得る。細長い要素を摺動可能に受ける受入要素は、ステンレス鋼、コバルトクロム、エルジロイ、ポリカーボネート、ナイロン(場合によりペバックスハウジングを有する)、PE、PTFE、PS等の高分子材料、またはそれらの複合体等の任意の生体適合性材料から作られ得る。
【0042】
受入要素および細長い要素が放射線不透過性材料から作製されるとき、ユーザは、無線撮像によって、ブリストルセクションが取り外されているか否かを直接検証することが可能であり得る。
【0043】
電解要素は、プラチナ、ステンレス鋼、ニチノールおよびコバルトクロムから形成され得る。電解要素を分解させるのに必要な分解エネルギーは、特定の電流振幅および電圧における直流正電流の印加の持続時間によって決まる。したがって、このパラメータは、特定の接続機構が選択的に分解され得るように接続機構間で変動され得る。例えば、1つの電解要素は、0.01~0.1mAの電流および8~10Vの電圧が、或る期間、例えば30秒にわたって印加された後に分解するように構成され得る。別の電解要素は、0.5~1.10mAの電流および5~7Vが、或る期間、例えば30秒にわたって印加された後に分解するように構成され得る。電解要素が同じ電気接続によって接続される実施形態において、電解要素が予測可能に順番に分解するように重複しない分解エネルギーが選択され得ることが理解されよう。例えば、各電解要素の材料、および用いられる材料の量によって、各電解要素が分解するためにその電解要素にどれだけの電気エネルギーが印加されなくてはならないかを判定することができ、このため、これらは、電解要素を制御可能に分解するために接続間で変動され得る。
【0044】
図1Aは、非拘束構成における塞栓ブリストルセグメント100を示す。塞栓セグメント100は、コア、より詳細にはステム110と、ステム110から概ね(すなわち、少なくとも)径方向外方に延在する複数のブリストル120とを備える。塞栓セグメントは、ステム110上に装着された、流量制限器130、より詳細には流量制限膜を更に備えることができるが、当業者にはこの特徴が任意選択であることが明らかであろう。更に、流量制限器の位置は、例えば、ブリストル内で長手方向に、またはブリストルセグメントの最も外側のブリストルに隣接して、または最も外側のブリストルから離間して、変動することができることが当業者には明らかであろう。
【0045】
示されるステム110は撚線を含み、そこからブリストル120が延在するが、上記で説明したように、ステムは、中空管等の他の形態をとり得る。
【0046】
塞栓ブリストルセグメント100は、ブリストルセクションの一部を形成することができる。ブリストルセグメントは、ブリストルセクションにおいて更なるブリストルセクションに接続され得る。例えば、
図1Bに示すように、2つのブリストルセグメント145a、145bが相互接続モジュール140を介して接続され得る。
図1Bに示す相互接続モジュール140は、可撓性または非可撓性材料から作製された圧接コネクタであり得る。代替的に、ブリストルセグメント145a、145bは、
図1Cに示すもの等の関節式接合部141、管の曲げを収容するスロットを含むことができる
図1Dの可撓性管142等の可撓性接合部、または
図1Dに示すもの等の非可撓性接合部143によって接続され得る。接合部は、放射線不透過性材料から作られてもよく、または放射線不透過性材料のバンドを含んでもよい。代替的に、ブリストルセグメント100は、1つまたは複数の更なるブリストルセグメントと同じステム上に形成されてもよい。代替的にまたは更に、本明細書に開示されるブリストルセクションは、放射線不透過性マーカ150を含むことができる。放射線不透過性マーカ150(および適宜、放射線不透過性のとき、相互接続モジュール140)は、各ブリストルセクションが送達カテーテルの先端にあるか、または送達カテーテルから展開されたとき、ユーザの視認を支援することができる。
【0047】
本明細書に開示される各ブリストルセクションは、1つのみのブリストルセクションを含んでもよく、または上記で説明したような方式のうちの任意のものにおいて接続された2つ以上のブリストルセグメントを含んでもよい。
【0048】
図2は、複数のブリストルセグメント210を含む、身体管腔230に挿入された塞栓送達システム200を示す。送達システム200は、送達カテーテル220と、プッシュ機能部250を有する送達要素240とを備える。プッシュ機能部250は好ましくは、送達要素よりも広い径方向範囲を有する。送達要素240が送達カテーテルを通じて進められるとき、プッシュ機能部250は、最も近位のブリストルセクションに当接するように構成される。送達要素240を用いて、身体管腔230内の標的部位に向けて近位方向に送達カテーテル220を通じてブリストルセグメント210を誘導する。
図2において、ブリストルセグメント210は収縮送達構成で示される。
【0049】
使用時に、ブリストルセグメント210は、送達要素240によって(特に、送達要素のプッシュ機能部250によって)送達カテーテル220を通じて押される。次に、ブリストルセグメント210が送達カテーテル220の遠位端から身体管腔230の標的部位まで展開される。ブリストルセグメント210が送達カテーテル220の遠位端を出るとき、ブリストルセグメントは拡張展開構成まで動き、拡張展開構成において、ブリストルセグメントのブリストルが身体管腔230の壁に係合し、セグメントを管腔に係留する。ブリストルセグメント260は拡張展開構成において示される。別個に展開可能なブリストルセグメントは、ブリストルセグメントが、(永久的に取り付けられたブリストルセグメントのチェーンを含む単一の塞栓デバイスと対照的に)より多岐にわたる血管系において展開されることを可能にする。
【0050】
図2に示す例において、送達システム200は、遠位方向においてのみブリストルセグメント210をプッシュすることが可能であり、これにより、ブリストルセグメント210を展開するためにユーザが有する制御量が低減する。
【0051】
代替的な例において、ブリストルセグメントは、例えば関節式接合部を介して、または単一のステム上に形成されることによって、互いに線形に取り付けられる。送達要素は、ねじ接続により、最も近位のブリストルセグメントに接続することができ、最も近位のブリストルセグメントは、雄/雌ねじ山を含み、送達要素の遠位端は対応する雄/雌ねじ山を含む。結果として、送達要素を用いて、管腔内の展開のためにブリストルセグメントを送達カテーテルを通じて送達カテーテルの遠位端の外に押し出すこと、およびまた、送達カテーテルの内部にブリストルセグメントを引き込むこと(例えば、ブリストルセグメントが身体管腔内に誤って位置決めされたることが発見される場合)、の双方を行うことができる。ブリストルセグメントが正しく位置決めされたとき、送達要素は、ねじ山が外れるまで回される。
【0052】
そのような構成は送達要素がブリストルセグメントを展開することおよび再捕捉することの双方を行うことを可能にするが、送達要素は、バルク内でブリストルセグメントを送達することのみが可能であり、換言すれば、送達要素は、一度にブリストルセグメントのサブセットを選択的に送達することができない。
【0053】
上記の欠点に照らして、各セクションが1つまたは複数のブリストルセグメントを含み、他のブリストルセクションから選択的に取外し可能な、2つ以上の線形に接続されたセクションを含む塞栓デバイスが開示される。各ブリストルセクションにおけるブリストルセグメントは、
図1Aに示す形態をとってもよく、または
図1Aに関連して説明した代替形態のうちの任意のものであってもよい。複数のブリストルセグメントを含むブリストルセクションの場合、単一のブリストルセクションに属する構成要素のブリストルセグメントは、上記で説明したような非関節式または関節式接合部を介して線形に取り付けられてもよく、または単一のステム上に形成された不連続な別個のブリストルセグメントであってもよい。隣接セクションの各対が、それぞれの接続機構を介して接続される。ブリストルセグメントが拡張展開構成にあるとき、各それぞれの接続機構は、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、隣接セクションの対を取り外す第2の構成に選択的に変更可能である。そのような塞栓デバイスが、接続機構に作動的に接続するように構成された送達要素に取り付けられるとき、送達要素は、塞栓デバイスから或る特定のブリストルセクションを選択的に取り外すことが可能であり得る。したがって、上記で説明した例と対照的に、ブリストルセクションは、身体管腔内で別個に展開されるのに適しているが、送達カテーテルの遠位端から放出された後、再捕捉される場合もある。これは、ブリストルセクションが別個に展開されることを依然として可能にしながら、個々のブリストルセクションの位置補正を可能にし、塞栓デバイスの制御性を増大させる。
【0054】
当業者には、各ブリストルセクションが単一のブリストルセグメントまたは任意の他の数のブリストルセグメントを含み得ることが理解されるであろう。
【0055】
接続機構は、複数の異なる方式で、第1の構成と第2の構成との間で変更可能であり得る。例えば、接続機構は、第1の構成と第2の構成との間で動くことが可能であり得る。代替的に、接続機構は、電気分解等の別の機構により、第1の構成と第2の構成との間で変更するように構成され得る。接続機構が構成間で変更するように動作可能である(すなわち、接続機構が作動可能である)限り、同じ塞栓デバイス上に異なるタイプの接続機構が含まれてもよい。
【0056】
図3Aは、非拘束構成におけるそのような塞栓デバイス300を示す。塞栓デバイス300は、3つのブリストルセクション305を含む。他の例では、塞栓デバイスは、2つのブリストルセクションまたは4つ以上のブリストルセクションを含んでもよい。各ブリストルセクションは単一のブリストルセグメント310を含む。他の例では、各ブリストルセクションは異なる数のブリストルセグメントを含むことができる。例えば、1つのブリストルセクションは単一のブリストルセグメントを含んでもよく、別のものは2つ以上のブリストルセグメントを含んでもよい。1つ以上のブリストルセクションは、上記で開示したように、ステム上に装着された流量制限器を備えることができる。上記のように、各ブリストルセグメント310は、コア、より詳細には、ステム320と、収縮送達構成および拡張展開構成を有する複数のブリストル330とを含む。近位方向は、矢印360によって示される。
【0057】
ブリストルセクション310は、細長い要素350を摺動可能に受ける、ステム320上に装着された受入要素340a、340bを含む。細長い要素350は、細長い要素350に摺動可能に適合するように構成された任意の適切なロッドまたは配線であり得る。ロッドまたは配線は、任意の適切な断面形状を有することができる。受入要素340a、340bは、接着剤、溶着、圧接によって、または任意の他の取付け形態によってステム上に装着され得る。受入要素340a、340bの隣接する対は、細長い要素350を介して互いに接続される。例えば、最も近位のブリストルセクション305の受入要素340bは、遠位方向に隣接したブリストルセクション305の受入要素340aに隣接する。細長い要素350が隣接する受入要素340a、340bによって受けられる際、ブリストルセクションの対は、細長い要素350によって互いに接続される。1つの例において、受入要素はそれぞれ、摩擦嵌合において孔を通じて細長い要素350を受けることができる。細長い要素350は、塞栓デバイス300の隣接するブリストルセクション305の受入要素によって受けられる際、これらの隣接するブリストルセクション間の横方向の相対的な動きを阻止する。更に、摩擦嵌合は、隣接するブリストルセクションの相対的な長手方向の動きを阻止する。
【0058】
当業者であれば、塞栓デバイス300における最も近位の受入要素340aが任意選択であることが理解されるであろう。いくつかの例において、塞栓デバイス300の最も近位の端部は、上記で説明した雄または雌ねじ山等の、送達要素を接続するための接続モジュールを有することができる。代替的に、塞栓デバイス300の最も近位の端部は、
図3Aに示すような受入要素340aを含んでもよく、それによって、塞栓デバイス300は、送達要素の遠位端に類似の受入要素を取り付けるように構成される。
【0059】
図2に示すシステムに類似して、塞栓デバイス300は、身体管腔における標的部位への送達のために送達カテーテル内に配置され得る。送達要素は、例えば、ねじ山機構もしくは他のものを介して、またはそれぞれの受入要素が細長い要素を摺動可能に受け、塞栓デバイス300の最も近位のブリストルセクションを送達要素に取り付けることによって、塞栓デバイス300の近位端に接続され得る。塞栓デバイス300の近位端に接続された送達要素を用いて、身体管腔内の標的部位に向けて近位方向に送達カテーテルを通じてブリストルセクション305を誘導する。
【0060】
次に、ブリストルセクションが送達カテーテルの遠位端から身体管腔の標的部位まで展開され得る。ブリストルセクション305が送達カテーテルの遠位端(すなわち、最も遠位のブリストルセクション)を出るとき、ブリストルセクション305は、送達カテーテル内の収縮送達構成から、拡張展開構成まで動き、拡張展開構成において、ブリストルセクションのブリストル(すなわち、1つまたは複数のブリストルセグメント310のブリストル330)は、身体管腔の壁に係合し、ブリストルセクション305を管腔に係留する。拡張展開構成においてブリストルセクション305が身体管腔内に位置決めされているとき(すなわち、送達カテーテルを出たとき)、ブリストルセクション305は、最初に、細長い要素350を介して次に最も近位のブリストルセクションに取り付けられており、これらのブリストルセクション間の相対的な長手方向および横方向の動きは依然として阻止される。したがって、最も遠位のブリストルセクションが誤って位置決めされていると判定される場合、送達要素は、ブリストルセクション305が(送達要素と、線形に接続されたブリストルセクションとの間の接続のチェーンに起因して)全て近位方向に動くように送達カテーテルに対し近位方向に動かされ得、それによって、身体管腔における遠位ブリストルセクションが送達カテーテルによって再捕捉される。次に、ブリストルセクションは、送達カテーテルから身体管腔内の新たな位置まで送達され得る。
【0061】
ブリストルセクション305が身体管腔内で正しい位置にあると判定されると、次に、細長い要素350は、最も遠位のブリストルセクションの受入要素によってもはや受けられなくなるまで、送達要素に対し所定の距離だけ近位方向に引き込まれ得る。ブリストルセクションを送達カテーテルを通じて誘導する送達要素は、ブリストルセクションが細長い要素350によって近位に引っ張られることを防ぐために、ブリストルセクションに対し固定して保持される。細長い要素がブリストルセクションの受入要素によってもはや受けられていないとき、ブリストルセクションは塞栓デバイス300の残りから取り外され、
図2および
図6Bに示す構成と同様に、身体管腔内で、残りのブリストルセクションに対し別個に展開される。塞栓デバイス300の残りのブリストルセクションは、この方式で身体管腔内で別個に展開され得る。
【0062】
有利には、
図3の塞栓デバイス300は、ブリストルセクションが身体管腔内に再位置決め可能となり、別個に展開されることを可能にし、これにより、展開のより高い制御性が可能になり、これは、塞栓デバイス300がより多岐にわたる血管において展開され得ることを意味する。示される実施形態は、単一の細長い要素を用いて複数のブリストルセクションを接続することに留意されたい。これにより、細長い要素を作動させるために用いられるユーザインタフェースを単純化することができる。代替的に、別個の細長い要素を用いて、ブリストルセクションの1つまたは複数のそれぞれの対を接続することができ、別個の細長い要素は、
図3Aおよび
図3Bに説明した方式でブリストルセクションを取り外すように別個に作動され得る。
【0063】
図4Aは、第2の塞栓ブリストルセクション400bに接続された第1の塞栓ブリストルセクション400aを示す。上記で開示した例と同様に、各ブリストルセクション400a、400bは、1つまたは複数の長手方向に接続されたブリストルセグメントを含み、各ブリストルセグメントは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストル(図示せず)とを備える。上記の例において説明したように、可撓性ブリストルは収縮送達構成および拡張展開構成を有し、拡張展開構成において、ブリストルは、コアから概ね径方向外方に延在し、デバイスを管腔内に係留する。近位方向は、矢印420によって示される。ブリストルセクション400aの最も遠位のブリストルセグメントのコア401aは、コア401aに装着された受入要素405aを備える。ブリストルセクション400bの最も近位のブリストルセグメントのコア401bは、コア401bに装着された受入要素405bを備える。受入要素400a、400bは、接着剤、溶着、圧接によって、または任意の他の取付け方式によってステム上に装着され得る。
【0064】
受入要素405a、405bは、横方向において(矢印420によって示すように、ブリストルセクションの長手方向軸に対し垂直に)互いに連動することができるそれぞれの連動機能部を備える。
【0065】
図4Aに示すように連動機能部が横方向に連動しているとき、ブリストルセクション400aおよび400b間の長手方向における相対的変位が阻止される(ただし、受入要素405aおよび405b間の長手方向の間隙によって示されるように、限られた範囲の長手方向の動きが許可され得る)。更に、細長い要素450は、ブリストルセクション400aおよび400b間の相対的な横方向の動きも阻止されるように、連動機能部を長手方向に通過する。例えば、細長い要素450は、連動機能部における孔を通過することができる。したがって、細長い要素が連動機能部を通過するとき、ブリストルセクション間の横方向および長手方向双方の動きが阻止され、ブリストルセクションが互いに取り付けられる。
【0066】
図4Aに示す例において、連動機能部410a、410bはそれぞれ、リップ440a、440bおよび横方向の凹部445a、445bを含み、連動時には、それぞれのリップ440a、440bが、他のそれぞれの連動機能部の横方向の凹部445b、445aによって受けられる。この例において、細長い要素は、長手方向における双方のリップを通過し、相対的な横方向の動きを阻止する。
【0067】
図4Aに示す受入要素は、
図3における例の受入要素の1つまたは複数として用いられ得る。ここでもまた、ブリストルセクション305が身体管腔内で正しい位置にあると判定されると、次に、細長い要素350は、最も遠位のブリストルセクションの受入要素(例えば、受入要素405b)によってもはや受けられなくなるまで、送達要素に対し所定の距離だけ近位方向に引き込まれ得る。細長い要素が受入要素によってもはや受け入れられないとき、最も遠位のブリストルセクションと塞栓デバイスの残りの部分との間の相対的な横方向の動きはもはや制限されない。最も遠位のブリストルセクションと塞栓デバイスの残りの部分との間の長手方向の動きは最初に阻止されているが、最も遠位のブリストルセクションは、管腔内で拡張展開構成にある。したがって、遠位ブリストルセクションが管腔に係留され、塞栓デバイスの残りの部分が依然として送達カテーテルに含まれているため、最も遠位のブリストルセクションは、塞栓デバイスの残りの部分に対する管腔内部のブリストルセクションの横方向の動きに起因して、依然として塞栓デバイスの残りの部分から外れており、送達カテーテルと管腔との間の相対的な横方向の動きが生じる。例えば、送達カテーテルが管腔に係留されていないため、送達カテーテルの遠位先端部は当然ながら管腔に中心を合わせておらず、管腔の長手方向軸に対し管腔内で自由に横方向に動く。他方で、最も遠位のブリストルセクションは、管腔に係留され、これにより、遠位受入要素405bの横方向の動きを制約する。したがって、送達カテーテル(したがって、より遠位の展開されていないブリストルセクション)の動きにより、横方向の動きが生じ、これにより遠位ブリストルセクションを取り外す。
【0068】
ブリストルセクション400bおよび400bは、塞栓デバイスを構成する多くのブリストルセクションのうちの1つになるように構成され得る。例えば、第1のブリストルセクション400bが提供され得、
図4Aに示すように、第2のブリストルセクション400bが第1のブリストルセクション400bに接続され得る。近位ブリストルセクション、1つまたは複数の中間ブリストルセクションおよび遠位ブリストルセクションを含む塞栓デバイスを作成するのに類似した方式で、更なるブリストルセクションが第1のまたは第2のブリストルセクションに接続され得る。塞栓ブリストルセクション400bおよび400bの一方または双方の端部は、ブリストルセクション400bまたは400bが中間ブリストルセクションであるかまたは近位もしくは遠位ブリストルセクションであるように構成されることに依拠して、本明細書に説明されるような受入要素を更に含んでもよい。近位ブリストルセクションは、本明細書に記載するような雄もしくは雌ねじ山または受入要素等の送達要素を接続するための近位接続モジュールを含むことができる。
【0069】
図4Bは、別の例によるブリストルセクションの別の対を示す。示す例は、
図4Aに示すものに類似しており、同様の数字を用いて同様の特徴が表される。
図4Bに示す例は、細長い要素450が受入要素を異なる方式で通って延びることを除いて、
図4Aに示すものと同じである。より詳細には、受入要素405a、405bの基部455a、455bは各々、長手方向に延在するセクション456bと、横方向に延在するセクション456aとを有する、基部を通って延びる孔を有する。横方向に延在するセクション456aは、基部455a、455bの表面上の任意の点から内方に延在することができる。長手方向に延在するセクション456bは、対応する横方向に延在するセクション456aの径方向に内方の点から、対向する受入要素に向かって延在する。細長い要素450は、孔の長手方向および横方向に延在するセクションを更に通過する。
【0070】
図4Bに示す受入要素は、
図3Aに示す例の受入要素の1つまたは複数として用いられ得る。
図3Aに示すような塞栓デバイスにおいて用いられるときのその動作は、
図4Aの受入要素に関連して説明したものと同じである。
【0071】
例えば、
図4Aによる受入要素は、塞栓デバイスにおいて、
図4Bによる受入要素と連動することができることに留意されたい。
【0072】
受入要素の基部における孔の横方向に延在するセクションは、細長い要素と受入要素との間の摩擦を増大させ、これにより、細長い要素が受入要素から時期尚早に抽出されるリスクが低減する。
【0073】
図4Aおよび
図4Bに示す受入要素は、本明細書に開示される例のうちの任意のものにおいて、受入要素の1つまたは複数として用いられ得る。
【0074】
図5Aは、非拘束構成における塞栓デバイス500を示す。塞栓デバイス500は、3つのブリストルセクション505を含む。他の例では、塞栓デバイスは、2つのブリストルセクションまたは4つ以上のブリストルセクションを含んでもよい。各ブリストルセクションは単一のブリストルセグメント510を含む。他の例では、各ブリストルセクションは異なる数のブリストルセグメントを含むことができる。例えば、1つのブリストルセクションは単一のブリストルセグメントを含んでもよく、別のものは2つ以上のブリストルセグメントを含んでもよい。1つ以上のブリストルセクションは、上記で開示したように、ステム上に装着された流量制限器を備えることができる。
図3Aに示す例におけるように、各ブリストルセグメント510は、ステム520と、収縮送達構成および拡張展開構成を有する複数のブリストル530とを含む。
図3Aに示す例と異なり、塞栓デバイス500は、ブリストルセクション505の対を取り付ける複数の電解要素550を含む。例えば、電解要素550は、それぞれのブリストルセクション505のステムを合わせて溶接する電解材料を含むことができる。
【0075】
塞栓デバイス500は、送達要素を接続するための、塞栓デバイス500の近位端における接続モジュール516を更に含む。接続モジュールは、ねじ山等の任意の適切なコネクタであり得る。
【0076】
電解要素550は各々、塞栓デバイスの近位端(すなわち、接続モジュール516を含む端部)に電気的に接続される。例えば、
図5Aに示すように、塞栓デバイス500は、ブリストルセクション505のうちのいくつかの端部間に延在する電気配線560を含むことができ、それによって、電気配線560および電解要素550によって、デバイスの近位端への電気接続が形成される。電気配線560は、ステム520および/またはブリストル530から電気的に絶縁され得る。これは、ステムおよびブリストルが、電流が印加されたときに身体管腔内で腐食し得る材料、例えばステンレス鋼またはニチノールから作製される実施形態において、ステムおよびブリストルの腐食を阻止する。
【0077】
電解要素550は各々、異なる分解エネルギーを有する。例えば、最も遠位の電解要素550は、0.01~0.1mAの電流および8~10Vの電圧が、或る期間、例えば30秒にわたって印加された後に分解するように構成され得る。次に最も遠位の電解要素は、0.5~1.10mAの電流が5~7Vで或る期間、例えば30秒にわたって印加された後に分解するように構成され得る。各電解要素550の材料および/または形状は、電解要素の分解エネルギーを変動させるために選択することができる。例えば、異なる分解エネルギーを達成するために、電解要素550ごとに異なる材料が選択され得る。代替的に、複数の電解要素550は、同じ材料から作製され得るが、異なる分解エネルギーを達成するために異なる形状を含んでもよい。例えば、第1の電解要素550は、ブリストルセクション505の対を取り付ける第1の量の材料を含むことができ、第2の電解要素550は、ブリストルセクション505の別の対を取り付ける第2の量の同じ材料を含むことができる。第1および第2の量は、所望の分解エネルギーを選択するために変動されてもよく、所望の分解エネルギーは、ルーチン分析を通じて測定され得る。電解要素550を形成するより大量の材料は、通常、より高い分解エネルギーに対応する。代替的に、電解要素550は同じ材料を有し、同じ外形を有してもよいが、内部多孔性は、電解要素550の分解エネルギーを変動させるために変動され得る。また更なる実施形態において、電解要素は同じ材料を含み、同じ外形を有してもよいが、電解要素550の材料の腐食耐性を部分的に増減させるようにコーティングまたは部分的にコーティングされ得る。コーティングのレベルは、分解エネルギーを変動させるために電解要素間で変動され得る。
【0078】
電解要素550に適した材料は、ステンレス鋼、TiまたはTiNi、コバルト合金、貴金属または非貴金属を含む。電解要素550のコーティングに適した材料は、絶縁材料または亜鉛もしくはスズもしくはその合金を含む。
【0079】
図5Bは、最も遠位の電解要素550が分解された後のデバイス500の構成を示す。結果として、最も遠位のブリストルセクション505は、デバイス500の残りの部分から分離される。したがって、各ブリストルセクション505は、以下に説明されるように、デバイス500から独立して展開され得る。
【0080】
図2に示すシステムに類似して、塞栓デバイス500は、身体管腔における標的部位への送達のために送達カテーテル内に配置され得る。電気配線を含む送達要素は、塞栓デバイス500の近位端において、例えばねじ山機構等を介して接続モジュール516に接続され得る。送達要素が接続モジュール516に接続されると、(金属から作製された接続モジュールを介して、または最も近位のセクション505の最も近位の電気配線に直接接続することにより)送達要素と電解要素550との間に電気接続が形成される。塞栓デバイス500の近位端に接続された送達要素を用いて、身体管腔内の標的部位に向けて近位方向に送達カテーテルを通じてブリストルセクション505を誘導する。
【0081】
次に、ブリストルセクションが送達カテーテルの遠位端から身体管腔の標的部位まで展開され得る。ブリストルセクション505が送達カテーテルの遠位端(すなわち、最も遠位のブリストルセクション)を出るとき、ブリストルセクション505は、送達カテーテル内の収縮送達構成から、拡張展開構成まで動き、拡張展開構成において、ブリストルセクションのブリストル(すなわち、1つまたは複数のブリストルセグメント510のブリストル530)は、身体管腔の壁に係合し、ブリストルセクション505を管腔に係留する。拡張展開構成においてブリストルセクション305が身体管腔内に位置決めされているとき(すなわち、送達カテーテルを出たとき)、ブリストルセクション305は、最初に、電解要素550を介して次に最も近位のブリストルセクションに取り付けられており、これらのブリストルセクション間の相対的な長手方向および横方向の動きは依然として阻止される。したがって、最も遠位のブリストルセクションが誤って位置決めされていると判定される場合、送達要素は、ブリストルセクション505が(送達要素と、線形に接続されたブリストルセクションとの間の接続のチェーンに起因して)全て近位方向に動くように送達カテーテルに対し近位方向に動かされ得、それによって、身体管腔における遠位ブリストルセクションが送達カテーテルによって再捕捉される。次に、ブリストルセクションは、送達カテーテルから身体管腔内の新たな位置まで送達され得る。
【0082】
ブリストルセクション505が身体管腔内で正しい位置にあると判定されると、最も遠位のブリストルセクションの電解要素550が分解するまで、送達要素を通じて正の電流がデバイス500に印加され得る。分解されると、最も遠位のブリストルセクション505が塞栓デバイス500の残りの部分から取り外され、
図2および
図6Bに示す構成と同様に、身体管腔内に展開される。塞栓デバイス500の残りのブリストルセクションは、この方式で身体管腔内で別個に展開され得る。
【0083】
図6Aは、塞栓デバイスを送達するための塞栓送達システム600を示す。
図6Aに示す例において、システム600の送達カテーテル610が、身体管腔620内に挿入されて示される。2つのブリストルセクション630a、630bを含む塞栓デバイスが、送達カテーテル610内部に収縮送達構成で示される。各ブリストルセクションは、近位ブリストルセグメント632a、632bと、遠位ブリストルセグメント634a、634bとを含む。近位ブリストルセグメント632a、632bは全て、近位方向において長手方向に向くように構成されるのに対し、遠位ブリストルセグメント634a、634bは全て、遠位方向において長手方向に向くように構成される。ブリストルセグメントは、同じステム上に形成されるものとして示されるのに対し、他の例では、ブリストルセグメントは、例えば上記で開示したように、非関節式または関節式接合部によって接合され得る。ブリストルセクション630a、630bは、それぞれの受入要素645a、645bによって摺動可能に受けられる細長い要素640を介して互いに接続される(他の例では、本明細書に開示される他の接続機構を用いてブリストルセクションを接続する)。
【0084】
塞栓デバイスの近位端は、例えばねじ山によって、または任意の他の解放可能な接続機構によって送達要素650に接続される。細長い要素640は、反対側の端部において、アクチュエータおよびユーザインタフェースを含む展開システム660において終端する。例えば、アクチュエータは、細長い要素640が巻き付けられる展開システム660内に収容されるスプール662とすることができ、ユーザインタフェースは、ユーザがスプールをロールすることを可能にするためのローラホイールであり得る。
【0085】
システム600を用いて、送達カテーテル610の遠位端が、身体管腔内の標的ロケーションに位置決めされる。正しい位置に達すると、送達要素650は、ブリストルセクション630bが身体管腔620に送達されるように、送達カテーテル610に対し遠位方向に動かされる。そのような構成は、
図6Bに示される(簡単にするために、送達要素650および展開システム660は省かれる)。この構成において、ブリストルセクション630bは、身体管腔620内で拡張展開構成にある。しかしながら、ブリストルセクション630aおよび630bは、細長い要素640が受入要素645aおよび645bの双方によって受けられることに起因して、依然として取り付けられている。したがって、ブリストルセクション630bが誤って展開されたと判定される場合、送達要素は、送達カテーテル610に対し近位方向に引き込まれ得、ブリストルセクション630bは、管腔内で再捕捉および再展開され得る。
【0086】
ブリストルセクション630bが正しく展開されていると判定されると、細長い要素640は、もはや受入要素645bによって受けられないように、ユーザインタフェース(例えば、ホイール664)を用いて、アクチュエータ(例えば、スプール662)により、必要とされる所定の距離だけ引き込まれ得る。この構成については、
図6Cに示される。
【0087】
システム600が、第1の構成と第2の構成との間で摺動可能な1つまたは複数の細長い要素を含む塞栓デバイスに用いられるとき、ユーザインタフェースはアクチュエータを含み、より詳細には、第1の構成と第2の構成との間で接続機構を摺動させるのに用いられる引込要素(回転可能ホイール等)を含む。送達システムは、特定の取外しが行われたことをユーザに示すためのフィードバック機構を含むことができる(例えば、視覚的インジケーションまたはサウンドを提供するか、または細長い要素640が、ブリストルセクションごとにブリストルセクションを取り外すのに十分引き込まれたことのインジケータとしてその長さに沿って適切なマーカ666を含むことができる)。
【0088】
図7Aは、塞栓デバイスを送達するための塞栓送達システム700を示す。
図7Aに示す例において、システム700の送達カテーテル710が、身体管腔720内に挿入されて示される。2つのブリストルセクション730a、730bを含む塞栓デバイスが、送達カテーテル710内部に収縮送達構成で示される。各ブリストルセクションは、近位ブリストルセグメント732a、732bと、遠位ブリストルセグメント734a、734bとを含む。近位ブリストルセグメント732a、732bは全て、近位方向において長手方向に向くように構成されるのに対し、遠位ブリストルセグメント734a、734bは全て、遠位方向において長手方向に向くように構成される。ブリストルセグメントは、同じステム上に形成されるものとして示されるのに対し、他の例では、ブリストルセグメントは、例えば上記で開示したように、非関節式または関節式接合部によって接合され得る。ブリストルセクション730a、730bは、電解要素745を介して互いに接続される。
【0089】
塞栓デバイスの近位端は、例えばねじ山によって、または任意の他の解放可能な接続機構によって送達要素750に接続される。送達要素750は電気配線740を含む。電気配線740は、近位ブリストルセクション730a上の電気配線741と直接、または送達要素750を塞栓デバイスに取り付けるモジュール742を介して、電解要素745との電気接続を形成する。送達要素750および電気配線740は、反対側の端部において、アクチュエータ762およびユーザインタフェース764を含む展開システム760において終端する。例えば、アクチュエータは、電気配線740に電気的に接続された正電流または電圧源であってもよく、ユーザインタフェース764は、電流源を作動させるための任意の適切なユーザインタフェースであってもよい。アクチュエータ762の電気供給部の陰極は、電気回路を完成させるために皮膚と電気的に接触させて配置され得る。
【0090】
システム700を用いて、送達カテーテル710の遠位端が、身体管腔内の標的ロケーションに位置決めされる。正しい位置に達すると、送達要素750は、ブリストルセクション730bが身体管腔720に送達されるように、送達カテーテル710に対し遠位方向に動かされる。そのような構成は、
図7Bに示される(簡単にするために、送達要素750および展開システム760は省かれる)。この構成において、ブリストルセクション730bは、身体管腔720内で拡張展開構成にある。しかしながら、ブリストルセクション730aおよび730bは、依然として、電解要素745を介して取り付けられる。したがって、ブリストルセクション730bが誤って展開されたと判定される場合、送達要素は、送達カテーテル710に対し近位方向に引き込まれ得、ブリストルセクション730bは、管腔内で再捕捉および再展開され得る。
【0091】
ブリストルセクション730bが正しく展開されていると判定されると、電解要素745が身体管腔内のイオン流体から分解し、ブリストルセクションがもはや取り付けられていないように、ユーザインタフェース764を用いてアクチュエータ762を介して電解要素745に正電流が印加され得る。この構成については、
図7Cに示される。
【0092】
1つまたは複数の電解要素を含む塞栓デバイスについてシステム700が用いられるとき、アクチュエータは、電解要素に必要な電圧を印加するための正電流または電圧を含み、この印加はユーザによって(例えば、スイッチまたはボタンにより)作動可能である。ユーザインタフェースは、ユーザに、電流、電圧および印加持続時間を選択する手段を与えることができる(すなわち、電圧源は可変かつユーザによって選択可能であり得る)。
【0093】
本明細書には、身体管腔における血栓形成を促進するための塞栓デバイスを製造する方法も開示される。この方法は、
- 各々が1つまたは複数のブリストルセグメントを含む複数のブリストルセクションを設けるステップであって、各ブリストルセグメントは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、ブリストルセクションを管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステップと、
- 1つまたは複数の接続機構を介して、ブリストルセクションの隣接する対を線形に接続するステップであって、各接続機構は、ブリストルセグメントが拡張展開構成にあるとき、隣接セクションの対を取り付ける第1の構成から、隣接セクションの対を取り外す第2の構成に変更するように動作可能である、ステップと、
を含む、方法が提供される。
【0094】
本明細書には、身体管腔における血栓形成を促進するための塞栓ブリストルセクションを製造する方法も開示される。この方法は、
- 1つまたは複数のブリストルセグメントを設けるステップであって、各ブリストルセグメントは、コアと、コアから径方向外方に延在する複数の可撓性ブリストルとを備え、可撓性ブリストルは、収縮送達構成と、デバイスを管腔内に係留するためにブリストルがコアから少なくとも径方向外方に延在する拡張展開構成とを有する、ステップと、
- ブリストルセクションを隣接ブリストルセクションに接続するための細長い要素を摺動可能に受けるように構成された受入要素を設けるステップであって、受入要素は、細長い要素が、ブリストルセクションおよび隣接ブリストルセクションを取り付ける第1の構成と、ブリストルセグメントを隣接ブリストルセクションから取り外す第2の構成との間で摺動することを可能にするように構成される、ステップと、
を含む。
【0095】
上記で開示した塞栓デバイスは、ユーザが所与の血管についてカスタム塞栓デバイスを作成することを可能にする。特に、ユーザは、血管に特に適合した複数の異なるブリストルセクションを含む塞栓デバイスを構築することができる。例えば、第1の直径の1つまたは複数のブリストルセグメントを含むブリストルセクションと、第2の直径の1つまたは複数のブリストルセグメントを含むブリストルセクションとを有する塞栓デバイスが構築され得る。ユーザは所望のブリストルセクションを接続することが可能であり、単一の動作において、身体管腔内に別個に各ブリストルセクションを制御可能に展開することが可能である。
【0096】
ブリストルセクションが細長い要素および受入要素によって接続される実施形態では、塞栓デバイスは部品のキットとして提供され得る。例えば、セクションが埋め込まれる血管系に依拠してユーザによってカスタム塞栓デバイスが構築されるように、多岐にわたるブリストルセクションを含む部品のキットが提供され得る。
【0097】
上記のことの全ては、完全に本開示の範囲内にあり、かつ、上記で開示された特定の組合せに限定することなしに、上記で説明された特徴の1つまたは複数の組合せが適用される代替的な実施形態のための基礎を形成すると考えられる。
【0098】
このことを踏まえると、本開示の教示を実施する多くの代替形態が存在するであろう。当業者が、当技術分野における通常の一般的知識に照らして、開示されたまたは上記のことから導き出せる上記の開示のいくつかまたは全ての技術的効果を保持したままで、上記の開示を本開示の範囲内でそれ自体の状況および要件に合うように変更しかつ適合させることが可能となることが、期待される。全てのそのような均等物、変更形態、または翻案が、本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
100 塞栓セグメント
110 ステム
120 ブリストル
140 相互接続モジュール
142 可撓性管
143 非可撓性接合部
150 放射線不透過性マーカ
210 ブリストルセグメント
220 送達カテーテル
230 身体管腔
240 送達要素
250 プッシュ機能部
300 塞栓デバイス
305 ブリストルセクション
310 ブリストルセグメント
320 ステム
330 ブリストル
340a 受入要素
350 要素
360 矢印
400a ブリストルセクション
400b ブリストルセクション
401a コア
401b コア
405a 受入要素
405b 受入要素
410a 連動機能部
420 矢印
440a リップ
440a リップ
440b リップ
445a 凹部
445b 凹部
450 要素
455a 基部
455b 基部
456a セクション
456b セクション
500 塞栓デバイス
505 ブリストルセクション
510 ブリストルセグメント
516 接続モジュール
520 ステム
530 ブリストル
550 電解要素
560 電気配線
600 システム
610 送達カテーテル
620 身体管腔
630b ブリストルセクション
640 要素
645a 受入要素
645b 受入要素
650 送達要素
660 展開システム
662 スプール
664 ホイール
666 マーカ
700 システム
710 送達カテーテル
720 身体管腔
730a ブリストルセクション
730b ブリストルセクション
740 電気配線
741 電気配線
742 モジュール
745 電解要素
750 送達要素
760 展開システム
762 アクチュエータ
764 ユーザインタフェース
【国際調査報告】