(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】アミロイド疾患を診断する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/08 20060101AFI20231219BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20231219BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231219BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K51/08 200
C07K14/00 ZNA
A61K45/00
A61P43/00 105
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533877
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2021072729
(87)【国際公開番号】W WO2022120378
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エス・ウォール
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エリック・ヘイデル
【テーマコード(参考)】
2G045
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA36
2G045FB12
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZB21
4C085HH01
4C085HH03
4C085HH13
4C085KA29
4C085KB82
4C085LL20
4H045AA10
4H045AA30
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本明細書では、あらゆるタイプのアミロイド-関連疾患の検出及び診断の方法を提供する。また、本明細書では、特定のアミロイド疾患のタイプに基づいた治療法を選択することを含む治療の方法も提供している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロイド疾患のタイプを診断する方法であって、
個体に対して、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与すること;及び
前記個体の1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定する、ことを含み、
また、前記アミロイド反応性作用物質または検出用色素の前記臓器分散パターンが、アミロイド疾患のタイプを示す、前記方法。
【請求項2】
アミロイド疾患を治療する方法であって、
個体に対して、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与すること;及び
前記個体の1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定することを含み、また、前記アミロイド反応性作用物質または検出用色素の前記臓器分散パターンが、アミロイド疾患のタイプを示す;及び
アミロイド疾患のタイプに基づいて治療法を選択する、ことを含む前記方法。
【請求項3】
アミロイド疾患のタイプを診断する方法であって、
個体に関するアミロイド反応性作用物質または検出用色素に関する臓器分散パターンデータを受け取る;及び
2つ以上の臓器に関する臓器:臓器の比率を算出する、ことを含み、
また、前記臓器:臓器の比率を、前記個体でのアミロイド疾患のタイプを診断するために使用する、前記方法。
【請求項4】
前記アミロイド疾患のタイプが、全身性アミロイド症を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記アミロイド疾患のタイプを、アミロイド軽鎖アミロイド症(AL)、トランスサイレチン-関連アミロイド症(ATTR)、及びALECT2からなるグループから選択する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記臓器を、心臓、脾臓、腎臓、及び肝臓からなるグループから選択する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記アミロイド反応性作用物質が、検出可能に標識したアミロイド反応性ペプチドである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号13、または配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アミロイド反応性作用物質が、Aβ線維と反応する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記アミロイド反応性作用物質が、軽鎖またはそのフラグメントからなる合成線維と反応する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アミロイド反応性作用物質を、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなるグループから選択する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出用色素が、ThTである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記臓器分散パターンを、PET/CT画像を使用して測定する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アミロイド反応性作用物質を、放射線標識する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:血液の比率を算出する、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:臓器の比率を算出する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記臓器:臓器の比率を、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、及び腎臓:肝臓からなるグループから選択する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記臓器:臓器の比率が、心臓:脾臓の比率である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記心臓:脾臓の比率が、1.4を超えておれば、前記個体をATTRアミロイド症と診断する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記個体に対して前記治療を行うことをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
アミロイド反応性作用物質または検出用色素、及び使用説明書を含む、アミロイド疾患のタイプを診断するためのキット。
【請求項22】
前記使用説明書は、本明細書に記載した診断方法を含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記キットは、全身性アミロイド症を検出または診断するためのものである、請求項21または請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記キットは、アミロイド軽鎖アミロイド症(AL)、トランスサイレチン-関連アミロイド症(ATTR)、またはALECT2を検出または診断するためのものである、請求項21~23のいずれかに記載のキット。
【請求項25】
前記アミロイド反応性作用物質が、検出可能に標識したアミロイド反応性ペプチドである、請求項21~24のいずれかに記載のキット。
【請求項26】
前記アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号13、または配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記アミロイド反応性作用物質が、Aβ線維と反応する、請求項21~26のいずれかに記載のキット。
【請求項28】
前記アミロイド反応性作用物質が、軽鎖またはそのフラグメントからなる合成線維と反応する、請求項21~27のいずれかに記載のキット。
【請求項29】
前記アミロイド反応性作用物質を、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなるグループから選択する、請求項21~28のいずれかに記載のキット。
【請求項30】
前記検出用色素が、ThTである、請求項21~29のいずれか1項に記載のキット。
【請求項31】
前記臓器分散パターンを測定する指示書を含む、請求項21~30のいずれか1項に記載のキット。
【請求項32】
前記アミロイド反応性作用物質を、放射線標識する、請求項21~31のいずれか1項に記載のキット。
【請求項33】
前記アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:血液の比率を算出する指示書を含む、請求項21~32のいずれか1項に記載のキット。
【請求項34】
前記アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:臓器の比率を算出する指示書を含む、請求項21~33のいずれか1項に記載のキット。
【請求項35】
前記臓器:臓器の比率を、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、及び腎臓:肝臓からなるグループから選択する、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記心臓:脾臓の比率が、1.4を超えておれば、ATTRアミロイド症の診断を提供する指示書を含む、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記診断に基づいて前記個体に対して治療を行う指示書を含む、請求項21~36のいずれか1項に記載のキット。
【請求項38】
あるタイプのアミロイドを治療するための治療薬をさらに含む、請求項21~37のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年12月4日に出願した米国仮出願第63/121,779号の優先権を主張するものであり、その全内容は、本明細書で参照によって完全に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルで提出した以下の内容は、参照により本明細書でその全内容を組み込む:コンピューターに読み込み可能な形式(CRF)の配列表(ファイルの名称(165992000440SEQLIST.TXT、記録日:2021年11月29日、大きさ:7,103バイト)。
【0003】
分野
本出願は、あらゆるタイプのアミロイド-関連疾患の検出及び診断の方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
アミロイド症は、きわめて重要な臓器及び組織におけるタンパク質原線維及びヘパラン硫酸プロテオグリカンの凝集及び沈着物を特徴とする致死的なタンパク質フォールディング障害である(Merlini,G.et al.(2003)N.Engl.J.Med.349,583-596;Merlini,G.et al.(2004)J.Intern.Med.255,159-178;DeLorenzi,E.et al.(2004)Curr.Med.Chem.11,1065-1084;Merlini,G.(2004)Neth.J.Med.62,104-105)。アミロイドの蓄積は弱まることなく、常に、臓器機能不全及び深刻な罹患率または死亡を招く。沈着物は、アルツハイマー病、ハンチントン病もしくはプリオン病を有する患者のように脳性であり得るか、または軽鎖(AL)アミロイド症及び2型糖尿病を有する患者で認められるように末梢性であり得る。限局性または全身性にさらに下位分類して、前駆体タンパク質が局所的に(沈着物部位で)産生するか、または血流中を循環するかについて、それぞれを示す(Westermark,P.et al.(2007)Amyloid.14,179-183)。アミロイドは、腎臓、膵臓、肝臓、脾臓、神経組織以外のあらゆる臓器または組織を侵し得るものであり、心臓は、家族型または散発型の末梢性アミロイド疾患を有する患者での主要な沈着物部位を構成する。現在のところ、アルツハイマー病に罹患している米国人は400万人超であり、この数字は、2050年までに1600万人超に増加すると推定する。それは、群を抜いて最も一般的な形態のアミロイド症であり、最大の社会経済的影響をもたらす。対照的に、末梢性アミロイド症は希少障害であるが、米国だけで毎年5,000人超の新たな患者を占めている。
【0005】
これらの内、主な末梢性アミロイド症は、軽鎖関連(AL)アミロイド症(免疫グロブリン軽鎖タンパク質から構成する原線維の沈着物をもたらす散発性モノクローナル形質細胞異形成)である。ALは、すべての末梢性アミロイド症例の約2/3を占めており、米国における年間100,000人当たりの推定発生率は約1.4人であり、これは、急性リンパ性白血病及び慢性骨髄性白血病のものと同程度である(Group,U.S.C.S.W.(2007)United States Cancer Statistics:1999-2003 Incidence and Mortality Web-Based Report,U.S.Department of Health and Human Services Centers for Disease Control and Prevention National Cancer Institute,Atlanta)。ALの頻度は、関連する形質細胞異形成多発性骨髄腫の1/5程度であるが、一部には、臓器破壊の進行が急速であること、有効な抗アミロイド治療薬が無いこと、及び臓器不全の発症前に疾患を有効に診断することが不可能であることが原因で、それらは、恐らくはより破壊的であり、生存中央値はわずか13.2カ月間である。全AL患者の5%未満が、診断時から10年間または10年超生存している(Comenzo,R.L.et al.(2002)Blood 99,4276-4282)。また、心臓性ALアミロイド症を有する患者では、生存中央値は5カ月間未満である。残念なことに、AL疾患の有効なマウスモデルは未だ存在していない。
【0006】
ATTRは全身性アミロイド症の一つの形態である。ATTRアミロイド症の患者の25%は、診断から24ヶ月以内に死亡する。(Gertz and Dispenzieri JAMA 324(1)79-89(2002).)現在の治療法は、臓器損傷を予防するものではない。ATTRアミロイド症は、トランスサイレチン(TTR)線維が引き起こす。トランスサイレチンは、肝臓が作り出すタンパク質であり、甲状腺ホルモンやビタミンAを血中に運搬する役目を果たす。通常、TTRは、4つの単鎖モノマーからなる四量体である。遺伝性ATTRアミロイド症では、TTR遺伝子変異がタンパク質を不安定化させて、モノマーへの4量体解離を引き起こし、アミロイド線維へと凝集させるものと考えられている。野生型ATTRアミロイド症では、正常なTTRタンパク質が不安定になり、異常な折り畳みを起こし、かつアミロイド線維を形成する。
【0007】
LECT2アミロイド症(ALECT2)は、LECT2タンパク質が引き起こすアミロイド症の別の一般的な形態である。この障害は、一般的に、進行している腎疾患を呈するか、または、末期にある。関連する兆候や腎疾患の症状は、倦怠感、脱水症、尿中の血液、及び/またはネフローゼ症候群または腎不全の存在のその他の証拠を含み得る。LECT2アミロイド症は、高齢者では重大な腎臓病を引き起こす。この疾患の方々は、LECT2産生の増加及び/またはLECT2異化の減少を示すことを示唆する。LECT2遺伝子の変異は同定されているが、ALECT2との関連は認められていない。
【0008】
アミロイドの病因が十分に確立する障害に加えて、その他の症候群では、アミロイドの構造特性及び色素特性を有する原線維沈着物は確認されているが、疾患状態との関連性はまだ確立されていない。例えば、2型糖尿病では、膵島アミロイド前駆体タンパク質(IAPP)が、ランゲルハンス島においてアミロイドとして沈着物する(Jaikaran,E.T.et al.(2001)Biochim.Biophys.Acta 1537,179-203)。IAPPの凝集は、膵臓細胞に対して毒性のオリゴマー構造をもたらす(Lin,C.Y.et al.(2007)Diabetes 56,1324-1332)。したがって、1型糖尿病患者でのIAPPアミロイドの形成は、β細胞の破壊に寄与しており、インスリン依存への移行を招くことを示唆している(Jaikaran,E.T.et al.(2001)Biochim.Biophys.Acta 1537,179-203)。別の例では、アテローム性動脈硬化性頚動脈を有する患者の半数超において、アポリポタンパク質A-Iから構成するアミロイド原線維を含有するプラークが確認されている(Westermark,P.et al.(1995)Am.J.Pathol.147,1186-1192;Mucchiano,G.I.et al.(2001)J.Pathol.193,270-275)。これらの原線維の沈着物は、高齢の患者では、より一般的であるが、apoA-Iが、プラーク発生の早期に存在することは間違いない(Vollmer,E.et al.(1991)Virchows Arch.A.Pathol.Anat.Histopathol.419,79-88)。最後の例として、最近、Apo-A-Iアミロイドは、膝代替手術を受けている患者から得た膝関節半月板でも確認されていたので、関節の物理的劣化に寄与する可能性がある(Solomon,A.et al.(2006)Arthritis Rheum.54,3545-3550)。
【0009】
合計で、25個超のタンパク質が、アミロイド沈着物中の原線維の構成成分として化学的または血清学的に同定されている。それは、疾患を識別し、治療法を決定し、予後診断を確立するこれらのタンパク質の性質である。アミロイド原線維は、臨床的に異種の疾患群に関連し、構造的に識別可能で機能的に多様な前駆体タンパク質を形成し得るが、沈着物それ自体は、原線維構造、原線維エピトープ、及び類似のアクセサリー分子、例えば、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)などの自然増加を含む数多くの非常に類似する特徴を共有する。アミロイドは、原線維に加えて、グリコサミノグリカン(GAG)、及び、特に、パールカンHSPGを含む異種複合体である(Ancsin,J.B.(2003)Amyloid 10,67-79;Ailles,L.et al.(1993)Lab.Invest.69,443-448;Kisilevsky,R.(1994)Mol.Neurobiol.9,23-24;Kisilevsky,R.(1990)Lab.Invest.63,589-591;Snow,A.D.et al.(1987)Lab.Invest.56,120-123;Li,J.P.et al.(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102,6473-6477)。
【0010】
異なるタイプの全身性アミロイド症では、アミロイド沈着物は、腎臓、膵臓、肝臓、脾臓、心臓、及び神経組織などの複数の臓器において生じるので、異なるタイプのアミロイド症を互いに識別することが難しい。同時に、特定のタイプのアミロイドの治療を標的とした有望な治療法を開発する。そのため、アミロイド関連疾患を相互に診断及び識別する方法が待望されている。
【発明の概要】
【0011】
本明細書では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体の1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンは、アミロイド疾患のタイプを示す。
【0012】
本明細書では、アミロイド疾患を治療する方法も提供する。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定する、また、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の当該臓器分散パターンは、アミロイド疾患のタイプを示すことを含む。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド疾患のタイプに基づいて治療法を選択する、ことを含む。一部の実施形態では、本方法は、個体に対して治療を行うことを含む。
【0013】
本明細書では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法も提供する。一部の実施形態では、本方法は、個体に関するアミロイド反応性作用物質または検出用色素に関する臓器分散パターンデータを受け取ることを含む。一部の実施形態では、本方法は、2つ以上の臓器に関する臓器:臓器の比率を算出することを含み、また、臓器:臓器の比率を、当該個体でのアミロイド疾患のタイプを診断するために使用する。
【0014】
一部の実施形態では、当該アミロイド疾患のタイプは、全身性アミロイド症を含む。一部の実施形態では、当該アミロイド疾患のタイプを、アミロイド軽鎖アミロイド症(AL)、トランスサイレチン-関連アミロイド症(ATTR)、及びALECT2からなるグループから選択する。
【0015】
一部の実施形態では、臓器を、心臓、脾臓、腎臓、及び肝臓からなるグループから選択する
【0016】
一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質は、検出可能に標識したアミロイド反応性ペプチドである。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号13、または配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質は、Aβ線維と反応する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質を、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなるグループから選択する。
【0017】
一部の実施形態では、検出用色素は、ThTである。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質は、軽鎖またはそのフラグメントからなる合成線維と反応する。
【0018】
一部の実施形態では、臓器分散パターンを、PET/CT画像を使用して測定する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質を放射線標識する。
【0019】
一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:血液の比率を算出する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:臓器の比率を算出する。一部の実施形態では、臓器:臓器の比率を、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、及び腎臓:肝臓からなるグループから選択する。一部の実施形態では、心臓:脾臓の比率を算出する。一部の実施形態では、心臓:脾臓の比率が、1.4を超えておれば、個体をATTRアミロイド症と診断する。
【0020】
本明細書では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素、及び使用説明書を含む、アミロイド疾患のタイプを診断するためのキットも提供する。一部の実施形態では、キットは、アミロイド軽鎖アミロイド症(AL)、トランスサイレチン-関連アミロイド症(ATTR)、またはALECT2を検出または診断するためのものである。
【0021】
一部の実施形態では、キットは、検出可能に標識したアミロイド反応性ペプチドを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号13、または配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質が、Aβ線維と反応する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質が、軽鎖またはそのフラグメントからなる合成線維と反応する。
【0022】
一部の実施形態では、キットは、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルからなるグループから選択するアミロイド反応性作用物質を含む。
【0023】
一部の実施形態では、キットは、検出用色素ThTを含む。
【0024】
一部の実施形態では、キットは、臓器分散パターンを測定する指示書を含む。
【0025】
一部の実施形態では、キットは、放射線標識したアミロイド反応性作用物質を含む。
【0026】
一部の実施形態では、キットは、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:血液の比率を算出する指示書を含む。
【0027】
一部の実施形態では、キットは、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:臓器の比率を算出する指示書を含む。一部の実施形態では、臓器:臓器の比率は、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、及び腎臓:肝臓からなる。
【0028】
一部の実施形態では、キットは、心臓:脾臓の比率が、1.4を超えておれば、ATTRアミロイド症の診断を提供する指示書を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、キットは、診断に基づいて個体に対して治療を行う指示書を含む。
【0030】
一部の実施形態では、キットは、あるタイプのアミロイドを治療する治療薬をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】アミロイド及びアミロイド関連障害の部分的なリストを示す。
【
図2A】軽鎖-関連(AL)アミロイド症(n=14)の臓器:血液プールの比率を示す。臓器:血液プールの比率は、心臓、肝臓、脾臓及び左腎の関心領域(ROI)分析から算出した。
【
図2B】トランスサイレチン-関連(ATTR)アミロイド症(n=7)の臓器:血液プールの比率を示す。臓器:血液プールの比率は、心臓、肝臓、脾臓及び左腎の関心領域(ROI)分析から算出した。
【
図2C】白血球走化性因子2-関連(ALECT2)アミロイド症(n=2)患者に関する臓器:血液プールの比率を示す。臓器:血液プールの比率は、心臓、肝臓、脾臓及び左腎の関心領域(ROI)分析から算出した。
【
図3】心臓、肝臓、脾臓及び左腎のROI分析を算出したAL、ATTR、及びALECT2患者に関する臓器:血液プールの平均比率を示す。
【
図4A】外れ値データポイントを除去した後のAL患者に関する臓器:血液プールの比率の概要を示す。
【
図4B】外れ値データポイントを除去した後のATTR患者に関する臓器:血液プール比率の概要を示す。
【
図4C】外れ値データポイントを除去した後のALECT2患者に関する臓器:血液プールの比率の概要を示す。
【
図5】外れ値データポイントを除去した後のAL、ATTR、及びALECT2患者に関する臓器:血液プールの平均比率を示す。
【
図6】ATTRに関する単一臓器標準取込値比率(SUVR)の値を使用して行った受信者動作特性(ROC)分析を示す。ROC曲線は、心臓に関するものである。
【
図7A】ALに関する単一臓器標準取込値比率(SUVR)の値を使用して行った受信者動作特性(ROC)分析を示す。A、B及びCは、それぞれ、肝臓、脾臓、及び腎臓に関するROC曲線を示す。斜線部分を直線で入れた。
【
図7B】ALに関する単一臓器標準取込値比率(SUVR)の値を使用して行った受信者動作特性(ROC)分析を示す。A、B及びCは、それぞれ、肝臓、脾臓、及び腎臓に関するROC曲線を示す。斜線部分を直線で入れた。
【
図7C】ALに関する単一臓器標準取込値比率(SUVR)の値を使用して行った受信者動作特性(ROC)分析を示す。A、B及びCは、それぞれ、肝臓、脾臓、及び腎臓に関するROC曲線を示す。斜線部分を直線で入れた。
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図8A】ATTRアミロイド症を検出するための受信者動作特性(ROC)分析を示す。ATTRアミロイド症の臓器:臓器取込み比率を使用してROC曲線を生成した。心臓/脾臓の比率に関する分析を示す。
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図8B】ATTRアミロイド症を検出するための受信者動作特性(ROC)分析を示す。ATTRアミロイド症の臓器:臓器取込み比率を使用してROC曲線を生成した。心臓/肝臓の比率に関する分析を示す。
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図8C】ATTRアミロイド症を検出するための受信者動作特性(ROC)分析を示す。ATTRアミロイド症の臓器:臓器取込み比率を使用してROC曲線を生成した。心臓/腎臓の比率に関する分析を示す。
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図8D】ATTRアミロイド症を検出するための受信者動作特性(ROC)分析を示す。ATTRアミロイド症の臓器:臓器取込み比率を使用してROC曲線を生成した。肝臓/脾臓の比率に関する分析を示す。
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図8E】ATTRアミロイド症を検出するための受信者動作特性(ROC)分析を示す。ATTRアミロイド症の臓器:臓器取込み比率を使用してROC曲線を生成した。肝臓/腎臓の比率に関する分析を示す。
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図8F】ATTRアミロイド症を検出するための受信者動作特性(ROC)分析を示す。ATTRアミロイド症の臓器:臓器取込み比率を使用してROC曲線を生成した。腎臓/脾臓の比率に関する分析を示す。
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図9A】ALの検出に関する受信者動作特性(ROC)分析を示す。ALに関する臓器:臓器の取込み比率を使用してROC曲線を生成した。肝臓/心臓の比率に関する分析を示す。
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図9B】ALの検出に関する受信者動作特性(ROC)分析を示す。ALに関する臓器:臓器の取込み比率を使用してROC曲線を生成した。脾臓/心臓の比率に関する分析を示す。
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図9C】ALの検出に関する受信者動作特性(ROC)分析を示す。ALに関する臓器:臓器の取込み比率を使用してROC曲線を生成した。脾臓/肝臓の比率に関する分析を示す。
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図9D】ALの検出に関する受信者動作特性(ROC)分析を示す。ALに関する臓器:臓器の取込み比率を使用してROC曲線を生成した。脾臓/腎臓の比率に関する分析を示す。
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図9E】ALの検出に関する受信者動作特性(ROC)分析を示す。ALに関する臓器:臓器の取込み比率を使用してROC曲線を生成した。腎臓/心臓の比率に関する分析を示す。
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図9F】ALの検出に関する受信者動作特性(ROC)分析を示す。ALに関する臓器:臓器の取込み比率を使用してROC曲線を生成した。腎臓/肝臓の比率に関する分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本明細書では、アミロイド疾患の診断及び治療のための方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の投与を含む。一部の実施形態では、本方法は、1つ以上の臓器におけるアミロイド反応性作用物質または色素の臓器分散パターンを測定することをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンに基づいて、AL、ATTR、及びALECT2などの異なるタイプの全身性アミロイド症を識別することができる方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンに基づいて、アミロイド疾患のタイプの診断を提供することを含む。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド疾患のタイプに基づいて、治療法を選択することをさらに含む。
【0033】
本明細書で使用する「アミノ酸」または「アミノ酸残基」は、天然に存在するあらゆるアミノ酸、あらゆる非天然由来のアミノ酸、誘導体化アミノ酸などの任意の改変、または当該技術分野で公知のあらゆるアミノ酸模倣体のことを指す。アミノ酸は、それらの一般的な3文字表記と1文字表記の両方で記載し得る。
【0034】
アミロイド、アミロイド沈着物、アミロイド線維、及びアミロイド繊維の用語は、特定の構造的特質を共有する不溶性繊維状タンパク質凝集体のことを指す。タンパク質凝集体は、例えば、幾つかの異なるタンパク質のいずれかが凝集して形成したものであり、及び、繊維軸に対して垂直に積み重ねたβシートの規則的な配置からなる三次構造を有する。Sunde et al.,J.Mol.Biol.(1997)273:729-39を参照されたい。臓器内でのアミロイドの異常な蓄積は、アミロイド症を招きかねない。それらは、その発生において多様ではあるが、すべてのアミロイドは、コンゴレッドなどの特定の色素で染色し、及び、染色後の偏光は、特徴的な赤緑色の複屈折性を有するという点で共通の形態学的性質を有する。また、アミロイドは、共通の超微細構造的特徴及び共通のX線回折及び赤外スペクトルを共有している。
【0035】
アミロイド症は、アミロイド沈着物の存在など、アミロイドの存在を特徴とする病的状態または疾患のことを指す。「アミロイド疾患」または「アミロイド症」は、アミロイド線維の形成、沈着物、蓄積、または持続に関連する疾患である。このような疾患として、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型のアミロイド症を有する遺伝性脳出血、及び脳ベータアミロイド血管障害があるが、これらに限定されない。全身性AAアミロイド症、ALアミロイド症、ATTRアミロイド症、ALECT2アミロイド症、及びII型糖尿病のIAPPアミロイド症などのその他のアミロイド疾患もアミロイド疾患である。
【0036】
本明細書で使用する用語「担体」は、使用する用量及び濃度の曝露を受ける細胞、組織、哺乳動物、または対象に対して無毒性である医薬として許容可能な担体、賦形剤、または安定剤を含む。大抵の場合、医薬として許容可能な担体は、pH緩衝水溶液である。医薬として許容可能な担体の例として、リン酸、クエン酸、及びその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンなどの単糖、二糖、及びその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/またはTween(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPluronics(登録商標)などの非イオン性界面活性剤があるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用する用語「有効量」または「適切な量」は、有益なまたは所望の臨床的または生化学的結果を達成するのに十分な物質の量のことを指す。有効量は、1回以上投与し得る。本発明の目的のために、アミロイド反応性作用物質または検出の有効量は、アミロイドに結合し、及びアミロイドの検出を可能にする上で十分な量である。
【0038】
本明細書において互換可能に使用し得る用語「造影剤(imaging agent)」または「造影剤(contrast agent)」は、エネルギー源の利用及び/または検出によって、対象の内部領域を画像化及び/または対象における疾患の有無を診断する方法に関連して使用し得るあらゆる作用物質のことを指す。例示的な造影剤として、超音波、磁気共鳴画像化、放射性核種画像化、または患者のX線(コンピュータ断層撮影を含む)画像化に関連して使用する造影剤、及び本明細書に記載した組成物がある。
【0039】
本発明の目的のために本明細書で使用する用語「哺乳動物」は、ヒト、家畜(domestic animal)及び家畜(farm animal)、ならびに動物園、競技用動物、またはペット動物など、哺乳動物として分類されるあらゆる動物のことを指しており、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタなどがある。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0040】
本明細書で使用する用語「ペプチド」は、2つ以上のアミノ酸を含む、またはそれからなるあらゆるペプチドまたはペプチド模倣構造体のことを指しており、アミノ酸の化学的修飾及び誘導体を含む。
【0041】
本明細書で使用する用語「精製した」または「単離した」分子は、それらの天然環境から除去、単離または分離したもの、それらが天然に会合しているその他の成分から遊離している生物学的または合成分子のことを指す。
【0042】
本明細書で使用する用語「特異的に結合する」は、2つの分子間、例えば、アミロイド反応性作用物質または検出用色素とアミロイドとの間の非ランダム結合反応のことを指す。用語「特異的に結合する」は、「選択的に標的化する」または「選択的に会合する」と交換可能に使用し得る。
【0043】
アミロイドに関して、本明細書で使用する用語「選択的に標的化する」または「選択的に会合する」は、例えば、非アミロイドタンパク質と比較して、アミロイド反応性作用物質または検出用色素とアミロイドとの間の選択的局在化または結合のことを指す。アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、複数のタイプのアミロイドを選択的に標的とすることができる。
【0044】
本明細書で使用する用語「対象」は、脊椎動物のことを指す。脊椎動物は、哺乳動物、例えば、ヒトとし得る。対象は、ヒト患者とし得る。
【0045】
本明細書で使用する用語「アミロイド反応性作用物質」は、アミロイドと特異的に反応する、またはアミロイドに結合する作用物質である。
【0046】
I.診断の方法
本開示の一部の様態では、アミロイド疾患の診断のための方法を提供する。一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与し、及び、1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または色素の臓器分散パターンを測定することを含む。その他の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与し、及び、1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または色素の臓器:臓器の比率を測定することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または色素の臓器分散パターン、または、臓器:臓器の比率は、アミロイド疾患のタイプを示す。
【0047】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、アミロイド反応性ペプチドを含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、ペプチド、融合タンパク質、小分子化合物、または抗体もしくはそのフラグメントを含む。
【0048】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、アミロイド反応性ペプチドを含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14のいずれかに記載のアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%以上、例えば、配列番号1~14のいずれかに記載のアミノ酸配列と、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法と共に使用するアミロイド反応性ペプチドは、約10~55個のアミノ酸を含む、または、それらからなる。本発明のアミロイド反応性ペプチドは、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55個のアミノ酸を含む、または、それらからなる。このようなペプチドは、例えば、国際特許出願WO2016032949に記載されており、本明細書でその全内容を組み込む。一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するアミロイド反応性ペプチドを含む。一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、p5+14を含む。
【表1】
【0049】
本方法で使用するアミロイド反応性ペプチドの全部または一部を形成するアミノ酸として、立体異性体及び天然型アミノ酸を修飾したもの、非天然型アミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素合成アミノ酸、誘導体化アミノ酸、アミノ酸を模倣するようにデザインした構築物または構造体などがある。本発明のペプチドを形成するアミノ酸は、天然に存在するタンパク質に認められる20個の一般的なアミノ酸の内の1つ以上、または1つ以上の修飾したアミノ酸及び異常なアミノ酸とし得る。本明細書に記載した方法と共に使用するアミロイド反応性ペプチドは、当業者に公知のあらゆる技術、例えば、標準的な分子生物学的技術を使用する化学合成または組換え手段で作り出すことができる。
【0050】
また、本発明のペプチドは、1つ以上の修飾アミノ酸を含み得る。修飾アミノ酸は、誘導体化アミノ酸、または修飾したアミノ酸、及び異常アミノ酸とし得る。修飾及び異常アミノ酸の例としては、2-アミノアジピン酸(Aad)、3-アミノアジピン酸(Baad)、β-アミノプロピオン酸(Bala、β-アラニン)、2-アミノ酪酸(Abu、ピペリジン酸)、4-アミノ酪酸(4Abu)、6-アミノカプロン酸(Acp)、2-アミノヘプタン酸(Ahe)、2-アミノイソ酪酸(Aib)、3-アミノイソ酪酸(Baib)、2-アミノピメリン酸(Apm)、2,4-ジアミノ酪酸(Dbu)、デスモシン(Des)、2,2’-ジアミノピメリン酸(Dpm)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr)、N-エチルグリシン(EtGly)、N-エチルアスパラギン(EtAsn)、ヒドロキシリジン(Hyl)、アロ-ヒドロキシリジン(AHyl)、3-ヒドロキシプロリン(3Hyp)、4-ヒドロキシプロリン(4Hyp)、イソデスモシン(Ide)、アロ-イソロイシン(Alle)、N-メチルグリシン(MeGly、サルコシン)、N-メチルイソロイシン(Melle)、6-N-メチルリジン(MeLys)、N-メチルバリン(MeVal)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、及びオルニチン(Orn)があるが、これらに限定されない。
【0051】
改変及び異常アミノ酸のその他の例は、一般的に、Synthetic Peptides:A User’s Guide,Second Edition,April 2002,Edited Gregory A.Grant,Oxford University Press;Hruby V J,Al-obeidi F and Kazmierski W:Biochem J 268:249-262,1990;及び、Toniolo C:Int J Peptide Protein Res 35:287-300,1990に記載されており、これらの教示はすべて、参照により本明細書で組み込む。
【0052】
本願のペプチドは、少なくとも約15%の正荷電アミノ酸、例えば、アルギニン及び/またはリジンを含み得る。ペプチドは、約15%~約50%、約20%~約45%、約25%~約40%、または約30%~約35%の正電荷アミノ酸を含む。ある実施形態では、本発明のペプチドは、以下のアミノ酸配列を含み得る:
【0053】
XBXXBXXXBXXBXXXBXXBXXXBXXBX、(配列番号15)、式中
【0054】
Xは、荷電していない改変アミノ酸を含むあらゆるアミノ酸であり、Bは、正に荷電したアミノ酸である。
【0055】
ある実施形態では、本発明のペプチドは、配列番号15を含み、また、Xは、アラニン、バリン、セリン、スレオニン、またはグリシン、及び、Bは、アルギニン、リジン、またはヒスチジンである。本発明のペプチドは、配列番号15を含む、またはそれからなり得る。本発明のペプチドは、最大で55個のアミノ酸を有し得る、及び配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む。
【0056】
別の実施形態では、ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含み得る:
BXZBXZXBZXBZXZBXZBXZXBZXBZ,(配列番号16)、式中、Bは、アルギニン、リジン、またはヒスチジンであり;Xは、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン、グリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、または荷電していない修飾アミノ酸である;及び、Zは、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン、グリシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、セリン、スレオニン、アスパラギン、または荷電していない修飾アミノ酸とし得る。特定の実施形態では、本発明のペプチドは、以下のアミノ酸配列を含む、または、それからなり得る:SRAQRAQARQARQAQRAQRAQARQARQ.(配列番号17)
【0057】
本発明のペプチドは、検出用作用物質で標識するアミノ末端、例えば、CGGY(配列番号18)またはGGGY(配列番号19)などをリーダー配列として第2のペプチドを含む融合タンパク質とし得る。したがって、一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質は、最大で55個のアミノ酸を有し得るし、及び配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む。CGGYSRAQRAQARQARQAQRAQRAQARQARQ.(配列番号20)
【0058】
融合タンパク質は、細胞透過性ペプチド(CPP)または血液脳関門(BBB)移行ペプチドなどのその他のリーダー配列を含み得る。
【0059】
また、本発明は、アミロイドを画像化するための正電荷アミノ酸に富んだその他のペプチド及び融合タンパク質を提供する。
【0060】
本発明のペプチドは、化学合成、標準的な分子生物学的技術を使用した組換え手段、または天然源からのペプチドの単離など、当業者に公知のあらゆる技術によって作り出し得る。これらのペプチドは、従来技術にしたがって、溶液中で、または固体支持体上で合成し得る。様々な自動合成機が市販されており、公知のプロトコールにしたがって使用し得る。(例えば、Stewart and Young,Solid Phase Peptide Synthesis,2d ed.Pierce Chemical Co.,1984;Tam et al.,J.Am.Chem.Soc.,105:6442,1983;Merrifield,Science,232:341-347,1986;及び、Barany and Merrifield,The Peptides,Gross and Meienhofer,eds.,Academic Press,New York,pp.1-284,1979を参照されたい、これらはそれぞれ、それらの全内容を参照により本明細書に組み込まれる)
【0061】
あるいは、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトし、発現に適切な条件下で培養し、ペプチドを単離する組換えDNA技術を用い得る。
【0062】
特定の実施形態では、アミロイド反応性作用物質は、天然に存在するペプチドとし得る、及びその天然源から単離または精製して得られる。タンパク質精製技術は、一段階で、細胞、組織または臓器の均質化ならびにペプチド及び非ペプチド分画への粗分画までを行う。その他のタンパク質精製技術としては、例えば、硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール(PEG)、抗体などを使用した、または熱変性による沈殿、続いて:遠心分離;クロマトグラフィーステップ、例えば、イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシルアパタイト、及びアフィニティークロマトグラフィー;等電点電気泳動;ゲル電気泳動、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動;ならびに、これらの及びその他の技術の組み合わせがある。
【0063】
様々なクロマトグラフィー技術として、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、免疫アフィニティークロマトグラフィー、及び逆相クロマトグラフィーがあるが、これらに限定されない。特に効率的なペプチド精製方法として、高速液体クロマトグラフィー(fast performance liquid chromatography)(FPLC)または、同様の高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography)(HPLC)がある。
【0064】
様々な精製ステップの実施順序を変更し得る、または特定のステップを省略し得る、及び、さらに、実質的に精製したペプチドを調製するための適切な方法が得られる。本発明のペプチドは、ポリペプチドまたはタンパク質の一部とし得る、及び、ポリペプチドまたはタンパク質の生化学的または酵素的断片化によって生成し得る。したがって、本発明のペプチドは、(a)天然物とし得る、(b)化学合成によって生成し得る、(c)組換えDNA技術によって生成し得る、(d)巨大分子の生化学的もしくは酵素的断片化によって生成し得る、(e)上記した方法a~dを組み合わせる方法で生成し得る、または(f)あらゆるその他のペプチド生成手段で生成し得る。
【0065】
化学合成の間に、ペプチドは、N末端またはC末端が改変されて、それにより、安定性及び製剤化の改善、プロテアーゼ分解に対する抵抗性などを得る。アミノ酸の改変の例としては、ペグ化、アセチル化、アルキル化、ホルミル化、アミド化がある。また、ペプチドの安定性を改善するために、鎖に沿って、天然に存在しない様々なアミノ酸を導入し得る。
【0066】
システインは、ビオチン、フルオロフォア、またはその他のリガンドとのコンジュゲーションによる本発明のペプチドの標識を容易にする上でも有用である。さらに、リーダーペプチドでのシステインは、それらの標的に対するペプチドの相対親和性を増加させ得る共有結合二量体分子の生成を可能にする。
【0067】
特定の実施形態では、本方法は、フロルベタピル(18F-フロルベタピル、Amyvid(登録商標))、フロルベタベン(18F-フロルベタベン、Neuraceq(登録商標))、またはフルートメンタノール(18F-フルテメタモル、Vizamyl(登録商標))を含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。別の実施形態では、アミロイドのタイプを診断する方法は、チオフラビンT(ThT)を含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。本明細書に記載した方法で使用し得るその他の例示的なアミロイド反応性作用物質または色素として、3,3-ジホスホノ-1、2-プロパノジカルボン酸(DPD)、ヒドロキシル-ジホスホネート(HDP)、ヒドロキシメチレン-ジホスホネート(HMDP)、ピロリン酸第一スズ(PyP)、NAV4694(18F-NAV4694、18F-AZD4694)、チオフラビンS(ThS)、血清アミロイドP(SAP)タンパク質またはペプチド、血清アミロイドA(SAA)タンパク質またはペプチド、タウタンパク質またはペプチド、コンゴレッド、コンゴコリント、ベンゾプルプリン4B、バイタルレッド、トリパンブルー、アミドブラック10B、アシッドフクシン、11C-ピッツバーグ化合物B(11C-PIB)、18F-THK5317、18F-THK5351、18F-フロルタウシピル(118F-フロルタウシピル、18F-AV-1451)、18F-T807、18F-フルオロデオキシグルコース(18F-2-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース、18F-FDG)、18F-MK-6240、18F-PI-2620、11C-UCB-J、ミトコンドリアトランスロケータータンパク質(TSPO)またはペプチド、11C-R-PK11195、18F-DPA-714、及び11C-PBR28、11C-BF-227、またはアミロイド反応性抗体またはフラグメントがあるが、これらに限定されない。
【0068】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する本方法は、検出可能な標識を含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。これらとして、放射性核種(例えば、C-11、I-125、I-123、I-131、Zr-89、Tc-99m、Cu-64、Br-76、F-18);酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ);ビオチン;蛍光色素などがあるが、これらに限定されない。タンパク質を検出可能に標識するための当該技術分野で公知のあらゆる手段を、本明細書に記載した方法で使用する、及び/または使用に適合させることができる。例えば、アミロイド反応性ペプチドは、放射線標識を放射性同位元素で標識したり、蛍光タグまたは化学発光タグで標識することができる。放射性同位元素の例として、例えば、11C、18F、111In、99mTc、及び123I、124I、及び125Iがある。これらの放射性同位元素、及び、その他の放射性同位元素は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素に組み込むことができる。蛍光または化学発光タグの例として、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、アレクサ色素、及び当該術分野における従来の方法を使用してアミロイド反応性作用物質または検出用色素に組み込むことができるルシフェラーゼがある。
【0069】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する本方法は、アミロイド反応性作用物質または放射性標識を含む検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、放射性標識は、11C、18F、111In、99mTc、89Zr、及び123I、124I、または125Iである。一部の実施形態では、放射線標識したアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、放射線標識したアミロイド反応性ペプチドである。一部の実施形態では、放射線標識したアミロイド反応性ペプチドは、124Iで標識したアミロイド反応性ペプチドである。その他の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、124I-p5+14を投与することを含む。別の実施形態では、放射線標識したアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、フロルベタピル、フロルベタベン及びフルテメタモルである。
【0070】
別の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する本方法は、蛍光標識を含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施態様では、蛍光標識したアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、チオフラビンT(ThT)である。
【0071】
一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、放射性標識にコンジュゲートしたアミロイド反応性ペプチドを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、増量剤にコンジュゲートしたペプチドを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、PEGにコンジュゲートする。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、抗体にコンジュゲートする。
【0072】
一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、アミロイド沈着物に対して特異的に結合する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、対象が有するアミロイドの有無、または量を検出することができる。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、数多くの異なるタンパク質が形成したアミロイド沈着物に交差反応する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、様々なタンパク質及び/またはペプチドが形成するアミロイド沈着物に結合する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、アミロイドリガンド鎖(AL)が形成したアミロイド沈着物に結合する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、トランスサイレチン(TTR)線維が形成するアミロイドに結合する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、血清アミロイドタンパク質A(sAA)が形成するアミロイドに結合する。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、免疫グロブリン重鎖(AH)、β2-ミクログロブリン(Aβ2M)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アポリポタンパク質Al(AApoAI)、アポリポタンパク質All(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALECT2)、フィブリノーゲンaバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン((ACal)、ラクタドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(Alns)、プリオンタンパク質(APrP);α-シヌクレイン(AaSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、またはAIλ1のアミロイド生成形態が形成するアミロイドに結合する。
【0073】
一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、ヘペラン硫酸グリコサミノグリカン(GAG)に結合する。一部の実施形態では、GAGは、アミロイド沈着物に関連する。GAGのアミロイド線維への結合は、主に、凝集タンパク質の負の高分子電解質電荷、及び正に帯電した側鎖残基が関係する静電相互作用を介して生じる。反応用触媒と同様に、GAGは、凝集、核生成、及びアミロイド原線維形成に向いており、細胞毒性が高いオリゴマー前駆体の自己組織化のための構造テンプレートとして機能しており、βシートに富み、アミロイド線維になる。さらに、アミロイドポリペプチドとGAG分子との間のコンセンサス結合部位を介した特異的相互作用を通じて、GAGアミロイド促進活性を促すことができる。
【0074】
一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を、医薬組成物で投与する。一部の実施形態では、組成物は、水性緩衝剤を含む。組成物は、注射部位の疼痛を緩和するためにリグノカインなどの可溶化剤及び局所麻酔薬も含み得る。これらの成分は、別々に与えられる、または単位剤形で一緒に混合する、例えば、乾燥凍結乾燥粉末、または、活性剤の量を示すアンプルなどの密閉容器内の水を含まない濃縮物として供給する。組成物を輸液として投与する場合、滅菌医薬品グレードの水または生理食塩水を含む輸液ボトルで分配することができる。組成物を注射で投与する場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを準備して、投与前に成分を混合し得る。
【0075】
組成物は、担体をさらに含み得る。また、本発明は、本発明の1つ以上のペプチド及び/または融合ペプチドを含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は、アミロイド及び医薬として許容可能な担体に結合及び検出させる上で有効量のペプチドまたは融合ペプチドを含む。
【0076】
医薬として許容可能な担体は、組成物を強化または安定化する、または、組成物の調製を容易にするために添加し得る固体または液体の担体または成分を含み、そのようなものとして、例えば、とりわけ、シロップ、水、等張食塩水、5%デキストロース水、または緩衝ナトリウムまたは酢酸アンモニウム溶液、油、グリセリン、アルコールがあるが、これらに限定されない。油の例として、石油、動物、植物、または合成物を材料とするもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、及びゴマ油がある。また、担体は、モノステアリン酸グリセリル、またはジステアリン酸グリセリルなどの徐放性物質を単独で、またはワックスと共に含み得る。その他の適切な医薬担体として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、プロピレン、グリコール、水、エタノール、香味剤、防腐剤、着色剤、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤などがあるが、これらに限定されない。
【0077】
医薬組成物を静脈内投与する場合に、水は好ましい担体となり得る。生理食塩水及びブドウ糖水溶液及びグリセロール溶液も、特に、注射可能な溶液の液体担体として使用することができる。組成物は、所望により、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。このような組成物は、溶液、懸濁剤、エマルジョン剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性などの形態とすることができる。組成物に、トリグリセリドなどの従前からある結合剤及び担体を使用して、坐剤として製剤することができる。経口製剤は、標準的な担体、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。その他の好適な医薬担体の例は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” by E.W.Martinに記載されている。
【0078】
アミロイドを画像化する方法として、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピューター断層撮影(CAT)走査、陽電子放出断層撮影法(PET)、超音波画像化、X線、放射性核種画像化、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、及び多光子顕微鏡法があるが、これらに限定されない。
【0079】
スキャンの感度を高めるために、様々な造影剤を使用し得る。スキャン用の造影剤は、X線を減衰させるすべての分子を含み得る。陽電子放出断層撮影、及び放射性核種の画像化には、放射性同位元素を用い得る。すべての陽電子放出同位体は、陽電子放出断層撮影用放射性核種の画像化に有用であり、すべてのγ光子放出同位体は、放射性核種の画像化に有用である。
【0080】
超音波画像化用の造影剤として、陽性剤及び陰性剤がある。陽性剤は、超音波エネルギーを反射する、したがって、陽性(光)画像を生成する。それに対応して、陰性剤は、透過性または無響を大きくする、したがって、陰性(暗い)イメージを生成する。気体、液体、固体、及び、これらの組み合わせなど、様々な物質が、潜在的なコントラスト増強剤として研究されている。米国特許第5,558,854号に開示された固体粒子造影剤の例として、IDE粒子及びSHU454があるが、これらに限定されない。欧州特許出願0231091は、超音波画像において増強したコントラストを提供するための高度にフッ素化した有機化合物を含有する水中油型エマルジョンを開示している。ペルフルオロ臭化オクチル(PFOB)を含有するエマルジョンも、超音波画像化剤として検討されている。米国特許第4,900,540号は、造影増強剤として、ガスまたはガス前駆体を含有するリン脂質をベースとしたリポソームの使用を記載している。
【0081】
幾つかのクラスの化合物は、MRI造影剤としての可能性がある。これらのクラスには、超常磁性酸化鉄粒子、窒素酸化物、及び常磁性金属キレートがある(Mann et al.,1995)。強力な常磁性金属が、好ましい。通常、常磁性ランタニド及び遷移金属イオンは、インビボでは、毒性がある。したがって、これらの化合物を、有機配位子を有するキレートに組み込む必要がある。本発明のペプチド及び融合ペプチドは、このようなキレート金属が、アミロイドを標的化することを容易にするために使用され得、そうでなければ、必要とする画像化組成物の総投与量の減少が可能になる。
【0082】
造影剤は、公知の方法を使用してペプチド及び融合ペプチドに結合させることができる。特定の結合方法として、例えば、DTPAなどの有機系キレート剤を利用する金属キレート錯体の使用がある。許容可能なキレートは、当該技術分野で公知である。そのようなものとして、1、4、7、10-テトラアザシクロドデカン-N、N’、N’’、N’’’-四酢酸(DOTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N、N’、N’’-三酢酸(DO3A);1,4,7-トリス(カルボキシメチル)-10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(HP-DO3A);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);及び、その他の数多くのものがあるが、これらに限定されない;。
【0083】
幾つかのクラスの化合物は、MRI造影剤としての可能性がある。これらのクラスには、超常磁性酸化鉄粒子、窒素酸化物、及び常磁性金属キレートがある(Mann et al.,1995)。強力な常磁性金属が、好ましい。通常、常磁性ランタニド及び遷移金属イオンは、インビボでは、毒性がある。したがって、これらの化合物を、有機配位子を有するキレートに組み込む必要がある。本発明のペプチド及び融合ペプチドは、このようなキレート金属が、アミロイドを標的化することを容易にするために使用され得、そうでなければ、必要とする画像化組成物の総投与量の減少が可能になる。
【0084】
広範囲の常磁性金属が、キレート化に適している。好適な金属として、原子番号が22~29(両端を含む)、42、44及び58~70(両端を含む)、及び2または3の酸化状態を有するものがある。このような金属の例として、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、イッテルビウム(III)、及びバナジウム(II)があるが、これらに限定されない。その他の状況において有用なイオンとして、X線画像化、例えば、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、及び、特にビスマス(III)があるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の標識ペプチド及び融合ペプチドに使用することができる放射性同位元素のうち、局在化研究に適したものは、ガンマエミッター、陽電子エミッター、X線エミッター、及び蛍光エミッターである。ペプチド及び融合タンパク質を標識するための適切な放射性同位元素として、アスタチン211、臭素76、14炭素、11炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67、銅64、152ユーロピウム、フッ素18、ガリウム67、ガリウム68、3水素、ヨウ素123、ヨウ素124、ヨウ素125、ヨウ素126、ヨウ素131、インジウム111、インジウム113m、59鉄、177ルテチウム、水銀107、水銀203、32リン、レニウム186、レニウム188、ルテニウム95、ルテニウム97、ルテニウム103、ルテニウム105、レニウム99m、レニウム105、レニウム101、75セレン、35硫黄、テクニチウム99m、テルル121mテルル122m、テルル125m、ツリウム165、ツリウム167、ツリウム168、及びイットリウム90がある。ハロゲンは、多かれ少なかれ互換可能に標識として使用し得る。ガンマ線放出体のヨウ素123及びテクネチウム99mは、それらの放射性金属が、ガンマカメラで検出可能であり、かつインビボでの画像化に良好な半減期を有するので、こちらも使用することができる。PET画像化に適しており、かつ、ペプチド画像化に適した半減期を有する陽電子放出体18-フッ素または124ヨウ素も使用し得る。本発明のペプチド及び融合ペプチドは、コンジュケートした金属キレート剤、例えば、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)を介してインジウム111またはテクネチウム99mを標識し得る、またはCys残基を含む隣接ペプチドに共有結合で直接に標識することができる。
【0086】
放射性標識ペプチドまたは融合ペプチドは、当該技術分野で周知の方法に従って製造することができる。例えば、ナトリウムまたはヨウ化カリウムと、次亜塩素酸ナトリウムなどの化学酸化剤、またはラクトペルオキシダーゼなどの酵素酸化剤とを接触してヨウ素化することができる。本発明によるペプチドまたは融合ペプチドは、リガンド交換プロセスによって、テクネチウム99mで標識し得る、例えば、第一スズ溶液で過テクネチウム酸塩を還元し、還元したテクネチウムをセファデックスカラムでキレート化し、及びこのカラムにペプチドを入れる、または直接標識技術によって、例えば、過テクネチウム酸塩、還元剤、例えば、SnCl2、フタル酸ナトリウムカリウム溶液などの緩衝液、及び当該ペプチドをインキュベーションする。金属イオンとして存在する放射性同位元素をペプチドに結合するために好んで使われる中間官能基は、上記したように、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、及びエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)である。
【0087】
その他の有用な標識として、蛍光標識、発色標識、及びビオチン標識がある。蛍光標識としては、ローダミン、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセインナトリウム、レノグラフィン、及びテキサスレッドスルホニルクロリドがあるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明のペプチド及び融合ペプチドは、二次結合リガンド、または発色基質と接触して着色生成物を生成する酵素(酵素タグ)に連結し得る。好適な酵素の例として、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼ、及びグルコースオキシダーゼがある。二次結合リガンドとして、ビオチン及びアビジン、またはストレプトアビジン化合物がある。このような標識の使用は、当業者には周知の事項であり、及び、例えば、米国特許第3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345;4,277,437;4,275,149及び4,366,241に記載されている;それぞれは、本明細書で参照によって組み込まれる。
【0088】
本発明は、対象でのアミロイド類の検出方法を提供する。本方法は、本発明の1つ以上のペプチドまたは融合ペプチドの有効量を含む医薬組成物を、対象に投与すること、及び当該アミロイドに結合したペプチドまたは融合ペプチドを検出することを含む。ペプチドは、放射性同位元素などの造影剤で標識し得る。ペプチドは、沈着物に対して特異的な結合親和性を有しており、当該結合は検出可能である。アミロイドに対するペプチドまたは融合ペプチドの結合は、MRI、CATスキャン、PET画像、超音波画像、SPECT画像、X線画像、蛍光画像、または放射性核種画像で検出することができる。
【0089】
一部の事例では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、検出可能な量のアミロイド反応性試薬または色素を個体に投与することを含む。投与する検出可能な量は、実施する検出の種類に基づき得る。例えば、一部の実施形態では、アミロイド反応性試薬または色素の検出可能量は、対象に投与した場合に、画像化して検出可能になる上で十分な量であり得る。個体に投与するアミロイド反応性作用物質または検出用色素の検出可能な量は、個体の年齢、性別、及び体重、個体の特異的反応、線量測定法、製剤、及び器具関連因子などの要素によって変化し得る。そのような要素の最適化は、当業者のレベルの範囲内に十分に収まっている。アミロイド反応性作用物質または検出用色素の検出可能量は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の投与様式によっても変化し得る。
【0090】
一部の事例では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を、非経口的、がん近傍、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、または頭蓋内に投与する。一部の事例では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を、静脈内投与する。その他の事例では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を、腹腔内に投与する。
【0091】
さらに、当業者であれば、有効量のアミロイド反応性作用物質または検出用色素を、単回用量で投与することができ、または複数回用量を投与して達成できる、ことを理解する。一部の事例では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の投与は、溶液を流して投与することをさらに含み得る。例えば、流す溶液、例えば、生理食塩水を、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の投与直後、またはアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与して一定期間後に投与し得る。その他の例では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、投与して一定期間代謝及び排出し得る。
【0092】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を有するアミロイドを検出することを含む。本方法の一部として検出可能なアミロイドの例として、免疫グロブリン重鎖(AH)、β2-ミクログロブリン(Aβ2M)、トランスサイレチンバリアント(ATTR)、アミロイドベータ(Aβ)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノーゲンaバリアント(AFib)、シスタチンバリアント(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクタドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(Alns)、プリオンタンパク質(APrP);α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、またはIAAP、及び、その他のアミロイド産生ペプチドのアミロイド生成形態があるが、これらに限定されない。本開示の一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断することを含む方法は、ATTR、AL、及び/またはALECT2アミロイドを検出することを含む。その他の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、ATTR、AL、及びALect2アミロイド間を識別することを含む。
【0093】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定することを含み、また、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンは、アミロイド疾患のタイプを示す。アミロイド疾患のタイプは、散発性アミロイドーシスである、または遺伝的要素、例えば、遺伝性アミロイド症を有し得る。アミロイド疾患の一部の例として、AAアミロイド症、ALアミロイド症、AHアミロイド症、Aβアミロイド症、ATTRアミロイド症、ALect2アミロイド症、及びII型糖尿病のIAPPアミロイド症、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型のアミロイド症を有する遺伝性脳出血、脳ベータアミロイド血管障害、海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、ルイス小体型認知症、タウオパチー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイド症、家族性血液透析、老人性全身性老化、老化下垂体障害、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、またはその他の形態のがんがあるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプは、全身性アミロイド疾患である。一部の実施態様では、アミロイド疾患のタイプは、ALアミロイド症、ATTRアミロイド症、またはALECT2アミロイド症である。
【0094】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、1つ以上の臓器におけるアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定することを含む。理論に拘束されるわけではないが、疾患のそれぞれの形態におけるアミロイドの解剖学的分布が、特定のパターンを有し得ると考えられる。例えば、ATTRアミロイド症におけるアミロイド沈着は、心臓及び末梢神経に行き渡っているが、その一方で、ALアミロイド症、別の一般的なアミロイド症は、アミロイド沈着のパターンが一定しておらず、例えば、心臓、脾臓、肝臓、腎臓、末梢神経、胃腸管、筋肉、肺、及びリンパ節でアミロイド症が認められる。一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、心臓、脾臓、肝臓、腎臓、末梢神経、胃腸管、筋肉、肺、脳、及びリンパ節の1つ以上におけるアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定することを含む。一部の実施形態では、1つ以上の臓器は、胸腹部臓器である。一部の実施形態では、1つ以上の臓器は、心臓、脾臓、肝臓、または腎臓である。
【0095】
一部の実施形態では、本方法と同様に、1つ以上の臓器におけるアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定するステップは、それぞれの臓器に関する臓器の取込み値を決定することを含む。臓器の取込み量は、当業者に公知の方法で決定し得る。例えば、臓器の取込み値は、個体におけるそれぞれの臓器において検出したアミロイド反応性作用物質または検出用色素の相対的または絶対的なレベルを示し得る。一部の実施形態では、臓器の取込み値は、それぞれの臓器に関する標準取込み値である。当業者であれば、標準取込み値は、反応性臓器、例えば、心臓において検出するアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量は、非反応性組織または試料、例えば、血液で検出したアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量と相対的に測定して決定することができる、ことを理解する。臓器中のアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量は、例えば、臓器中のアミロイド反応性作用物質または検出用色素から検出可能なシグナルを定量して、例えば、画像中の画素値を算出して決定することができる。一部の実施形態では、標準取込み値は、臓器において検出するアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量と、血液において検出するアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量との比率として決定する。一部の実施態様では、臓器取込み値は、アミロイド反応性物質または検出用色素の臓器分散パターンの指標となる。
【0096】
その他の事例では、アミロイド疾患のタイプを決定する方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与すること、及び2つ以上の臓器に関する臓器:臓器の比率を算出することを含む。一部の事例では、2つ以上の臓器に関する臓器:臓器の比率を算出するステップは、第1の臓器に関する臓器取込み値と、第2の臓器に関する臓器取込み値との間の比率を算出することを含む。一部の事例では、臓器:臓器の比率を、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、及び腎臓:肝臓からなるグループから選択する。一部の事例では、臓器:臓器の比率は、心臓:脾臓の比率である。一部の事例では、臓器:臓器の比率は、0と1との間、1、または、1よりも大きい。一部の事例では、臓器:臓器は、個体でのアミロイド疾患のタイプの指標となる。
【0097】
一部の実施形態では、臓器取込み値または臓器:臓器の比率は、アミロイド疾患のタイプを示す。一部の実施形態では、臓器取込み値または臓器:臓器の比率は、カットオフ値または閾値を超えておれば、アミロイド疾患のタイプの指標となる。例えば、一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプに関する臓器:臓器の比率が1.4であり、次いで、個体に関する臓器:臓器の比率が1.4以上と算出されれば、アミロイド疾患のタイプの診断がなされる。限定を意図するものではないが、別の実施例として、アミロとイド疾患のタイプに関する臓器取込み値のカットオフが1.4であり、次いで、個体に関する臓器:臓器の比率が1.4に満たないと算出されれば、アミロイド疾患のタイプの診断を行うのは適切でない。アミロイド疾患のタイプを診断するための特定のカットオフまたは閾値は、アミロイド疾患のタイプ、疾患の進行具合、患者人口、投与されるアミロイド反応性作用物質または検出用色素、及び使用した検出方法に応じて変化する。一部の実施形態では、臓器取込み値、または臓器:臓器カットオフ、または閾値は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分布からのデータから算出する。一部の実施形態では、臓器取込み値、または臓器:臓器カットオフ、または閾値は、特定のアミロイド疾患のタイプを有する集団からのデータから算出する。
【0098】
好ましくは、アミロイド疾患のタイプを診断するための臓器取込み値または臓器:臓器取り込み率カットオフまたは閾値は、受信者動作特性曲線を使用して決定する。当該技術分野で理解されているように、受信者動作特性曲線、または、ROC曲線は、2つの集団、すなわち、アミロイド疾患の患者と、コントロール、例えば、アミロイド疾患でない患者とを識別する特定の特徴の性能のプロットである。全集団に及ぶデータ(すなわち、患者及びコントロール)は、単一の特徴の数値(例えば、臓器取込み値)に基づいて昇順で選別する。そして、その特徴量のそれぞれの値について、データの真陽性率と偽陽性率を決定する。真陽性率(感度)は、検討中の特徴の値を超える症例数を計数して決定する、及び、そして、患者の総数で除算して決定する。偽陽性率(特異度)は、検討中の特徴の値を超えるコントロール数を計数して、コントロールの総数で除算して決定する。
【0099】
ROC曲線は、単一の特徴、ならびに、その他の単一の出力値に関しても生成することができ、例えば、2つ以上の特徴の組み合わせを数学的に加算(加算、除算、乗算など)して単一の合計値を提供して、このものを、ROC曲線にプロットすることができる。さらに、複数の特徴のあらゆる組み合わせである当該組み合わせがもたらす単一の出力値を、ROC曲線にプロットすることができる。これらの特徴の組み合わせは、試験を含み得る。ROC曲線は、試験の偽陽性率(1-特異性)に対する試験の真陽性率(感度)のプロットである。ROC曲線下の面積は、所与の試料母集団の性能指数であり、試験対象を分類する際に完全に無作為な応答を与える完全な試験の範囲は、1から0である。あらゆる診断的適用と同様に、ROC曲線下面積はモデルの予測力を示しており、及び、あるモデルの予測力を別のモデルと比較するために使用できる。ROC曲線を使用して、高い信頼度で個人のアミロイド疾患及び/またはアミロイドタイプを診断するためにカットオフ値を選択することができる。
【0100】
一部の実施形態では、1つ以上の臓器におけるアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定するステップ、またはアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器:臓器の比率を算出するステップは、画像データを分析することを含む。画像データは、アミロイド反応性試薬または色素の画像化を可能にし得る当該技術分野で公知のあらゆる手順で生成し得る。例えば、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、陽電子放出型断層撮影法(PET)、コンピューター断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、または単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)で検出し得る。特定の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、PET/CT(コンピューター断層画像化を同時に行うPET)またはPET/MRI(磁気共鳴画像化を同時に行うPET)などの組み合わせ画像化法で検出し得る。画像化手順は、個体の観察領域の1つ以上の画像を取得し得る。特定の実施形態では、画像化は複数の画像を提供し、これらの複数の画像を組み合わせる、重ね合わせる、追加する、取り除く、カラーコード化する、または、そうでなければ、融合して、当該術分野で公知のあらゆる方法で数学的に操作する。生成した画像は、例えば、プリンタ用紙、印画紙、またはフィルムに「ハード」画像として表示し得るデジタルまたはアナログ画像、または、例えば、ビデオまたはLCDスクリーンなどのスクリーン上の画像とし得る。
【0101】
一部の実施形態では、PET画像は、関心領域(ROI)法を使用して分析する。一部の実施形態では、画像は、平面画像である。一部の実施形態では、画像は、冠状、軸方向、または矢状方向の画像である。
【0102】
一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素に関する臓器分布データを得ることを含む。一部の実施形態では、臓器分布データは画像である。本発明で具体化した画像化手順を使用して生成した画像は、当該技術分野で公知のあらゆる方法で分析し得る。例えば、一部の実施形態では、PETまたはSPECTスキャンから得た画像データは、輝度が所定の閾値または平均背景よりも大きな個々の画素または画素のグループを識別するプロセッサーに入力することができる、及び、識別された画素は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の存在を示すことを特徴とし得る。別の実施形態では、スキャンして、プロセッサーに入力した画像から画像データを取得し得る。このような実施形態では、画像の輝点を識別する同様のプロセスを使用して、画像内のアミロイド反応性試薬または色素の位置を特定し得る。特定の実施形態では、画像の分析は、出力輝度の明度、濃度、強度、またはそれらの組み合わせを決定することをさらに含み、この分析は、画像の面積または領域、または画像上の特定のスポットである画像中の放射線標識したタンパク質の量と相関し得る。理論に拘束するわけではないが、その他の領域またはスポットよりも大きな強度を有する画像上の領域またはスポットは、例えば、標的とするアミロイド沈着よりも高濃度の放射線標識タンパク質を保持し得る、したがって、アミロイド反応性試薬または色素が局在する領域に付着した放射性標識アミロイド反応性試薬または色素は高濃度であり得る。
【0103】
一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、投与したアミロイド反応性作用物質または検出可能な色素が標的となる関心領域の空間的位置で画像を分析することを含む。その他の実施形態では、投与したアミロイド反応性試薬または色素の薬物動態の分析は、アミロイド反応性試薬または色素の注射の適切なタイミングに関する情報を提供し得る。放射線標識タンパク質の存在に相関する画像上の面積、領域、またはスポットを同定することで、アミロイドの有無を決定し得る。例えば、一部の実施形態では、アミロイド反応性物質または検出用色素濃縮物の領域またはスポットを同定することは、アミロイドの存在を示す。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の存在に相関する画像を使用して、個体でのアミロイド疾患を診断する。
【0104】
一部の実施形態では、本方法は、臓器分散パターンに基づいてアミロイド疾患のタイプの診断を提供することをさらに含む。一部の実施形態では、特定の臓器分散パターンは、特定のタイプのアミロイド疾患の指標となる。例えば、一部の実施形態では、心臓:脾臓、心臓:肝臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、または腎臓:肝臓の比率を、ATTRの診断に使用する。一部の実施形態では、心臓:脾臓、心臓:肝臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、または腎臓:肝臓の比率を、ALECT2の診断に使用する。一部の実施形態では、心臓:脾臓、心臓:肝臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、または腎臓:肝臓の比率を、ALの診断に使用する。
【0105】
一部の実施形態では、異なるタイプのアミロイド疾患は、臓器:臓器の相対的比率が異なる。一部の実施形態では、ある特定のタイプのアミロイド疾患は、別のアミロイド疾患よりも大きな肝臓:心臓の比率を有し得る。一部の実施形態では、AATRと診断した個体に関する心臓:脾臓の比率は、ALと診断した個体に関する心臓:脾臓の比率よりも大きい。一部の実施形態では、ATTRと診断した個体に関する心臓:脾臓の比率は、ALECT2と診断した個体に関する心臓:脾臓の比率よりも大きい。一部の実施形態では、心臓:脾臓の比率が1より大きい個体はATTRと診断する。一部の実施形態では、心臓:脾臓の比率が1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、または1.5より大きい場合、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、心臓:脾臓の比率が1.5未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、心臓:脾臓の比率が1.4未満、1.3未満、1.3未満、または1未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。
【0106】
一部の実施形態では、心臓:腎臓の比率を、アミロイド疾患のタイプを診断するために使用する。一部の実施形態では、ATTRと診断した個体の心臓:腎臓の比率は、ALと診断した個体の心臓:腎臓の比率よりも大きい。一部の実施形態では、心臓:腎臓の比率は、ALECT2と診断した個体よりも大きい。一部の実施形態では、心臓:腎臓の比率が1より大きいと、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、心臓:腎臓の比率が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、または1.8より大きいと、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、心臓:腎臓の比率が1.8未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、心臓:腎臓の比率が1.6未満、1.5未満、1.4未満、または1未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。
【0107】
一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率を、アミロイド疾患のタイプを診断するために使用する。一部の実施形態では、ATTRと診断した個体の心臓:肝臓の比率は、ALと診断した個体の心臓:腎臓の比率よりも大きい。一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率は、ALECT2と診断した個体よりも大きい。一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率が1より大きいと、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率が、1.6より大きい、1.8より大きい、2.0より大きい、2.2より大きい、または2.3より大きいと、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率が2.3未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率が、2.2未満、2.0未満、1.8未満、または1.6未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。
【0108】
一部の実施形態では、肝臓:脾臓の比率を、アミロイド疾患のタイプを診断するために使用する。一部の実施形態では、肝臓:脾臓の比率が、0.7よりも大きければ、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、肝臓:脾臓の比率が、.8より大きい、0.9より大きい、1.0より大きい、または1.2より大きいと、個体をATTRと診断する。一部の実施形態では、肝臓:脾臓の比率が1.2未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、心臓:肝臓の比率が、0.9未満、0.8未満、または1.7未満であると、個体をALまたはALECT2と診断する。
【0109】
一部の実施形態では、肝臓:心臓の比率が、0.3よりも大きければ、個体をALと診断する。一部の実施形態では、肝臓:心臓の比率が、0.4より大きい、0.5より大きい、0.6より大きい、または0.7より大きいと、個体をALと診断する。一部の実施形態では、肝臓:心臓の比率が0.3未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、肝臓:心臓の比率が、0.4未満、0.6未満、または0.7未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。
【0110】
一部の実施形態では、脾臓:心臓の比率が、0.5よりも大きければ、個体をALと診断する。一部の実施形態では、脾臓:心臓の比率が、0.6より大きい、0.7より大きい、または0.8より大きいと、個体をALと診断する。一部の実施形態では、脾臓:心臓の比率が0.5未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、脾臓:心臓の比率が、0.6未満、0.7未満、または0.8未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。
【0111】
一部の実施形態では、脾臓:肝臓の比率が、9よりも大きければ、個体をALと診断する。一部の実施形態では、脾臓:肝臓の比率が、10より大きい、11より大きい、または12より大きいと、個体をALと診断する。一部の実施形態では、脾臓:肝臓の比率が9未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、脾臓:肝臓の比率が、10未満、11未満、または12未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。
【0112】
一部の実施形態では、腎臓:心臓の比率が、0.5よりも大きければ、個体をALと診断する。一部の実施形態では、腎臓:心臓の比率が、0.6より大きい、0.7より大きい、または0.8より大きいと、個体をALと診断する。一部の実施形態では、腎臓:心臓の比率が、0.5未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。一部の実施形態では、腎臓:心臓の比率が、0.6未満、0.7未満、または0.8未満であると、個体をATTRまたはALECT2と診断する。
【0113】
一部の実施形態では、臓器:臓器の比率は、標準取込値比率(SUVR)に基づいたものである。一部の実施形態では、血液プールを基準組織として使用してSUVRを算出する。一部の実施形態では、SUVRは、臓器内のアミロイド検出剤または色素の量を血液プール比で割って、それぞれの臓器について算出する。一部の実施形態では、血液プールは、静脈または動脈である。一部の実施形態では、血液プールは、胸部大動脈の内腔である。
【0114】
一部の実施形態では、心臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ATTRを有する個体において最も高い。一部の実施形態では、肝臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ALを有する個体において最も高い。一部の実施形態では、脾臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ALECT2を有する個体において最も高い。一部の実施形態では、腎臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ALECT2を有する個体において最も高い。
【0115】
一部の実施形態では、心臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ALECT2を有する個体において最も低い。一部の実施形態では、肝臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ATTRを有する個体において最も低い。一部の実施形態では、脾臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ATTRを有する個体において最も低い。一部の実施形態では、腎臓でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素のレベルは、ATTRを有する個体において最も低い。
【0116】
一部の実施形態では、特定のタイプのアミロイド疾患を診断するためのカットオフ値は、特定のp値に基づいて選択する。一部の実施形態では、カットオフを選択して、0.1未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.001未満のp値を提供する。
【0117】
一部の実施形態では、特定のアミロイド疾患のタイプを診断するためのカットオフ値は、所望の感度に基づいて選択する。一部の実施形態では、このカットオフを選択して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の感度を提供する。
【0118】
一部の実施形態では、カットオフ値は、所望の特異性(すなわち、異なるタイプのアミロイド疾患間を識別する能力)に基づいて選択する。一部の実施形態では、このカットオフを選択して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の特異性を提供する。
【0119】
当業者であれば、本明細書に記載したそれぞれの比率が、その逆数に容易に変換できることを理解している。例えば、心臓:脾臓の比率である2:1(2)は、脾臓:心臓の比率である1:2(0.5)と同じである。
【0120】
II.治療の方法
本発明の一部の態様は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンに基づいたアミロイド疾患を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書では、アミロイド疾患の治療方法を提供しており、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与し、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分布を測定し、及び、疾患のタイプに基づいて治療法を選択する、ことを含む。
【0121】
一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与し、及び、1つ以上の臓器に関して、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定する、ことを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または色素の臓器分散パターンは、アミロイド疾患のタイプを示す。一部の実施形態では、本方法は、アミロイド疾患のタイプに基づいた治療法を選択することをさらに含む。
【0122】
一部の実施形態では、本方法は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを得ることを含み、また、臓器分散パターンは、特定のタイプのアミロイド疾患を示し、及び、アミロイド疾患に基づいて治療を行う。
【0123】
一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、アミロイド反応性ペプチドを含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、ペプチド、融合タンパク質、小分子化合物、または抗体もしくはフラグメントを含む。
【0124】
一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、アミロイド反応性ペプチドを含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性ペプチドは、配列番号1~14のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチドである。一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するアミロイド反応性ペプチドを含む。
【0125】
一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、臓器分散パターンを決定する検出可能な標識を含むアミロイド反応性作用物質または検出用色素を投与することを含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、蛍光標識、化学発光タグ、または放射性標識を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、放射性標識を含む。一部の実施形態では、放射線標識するアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、124I-p5+14である。別の実施形態では、放射線標識するアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、フロルベタピル、フロルベタベン、またはフルテメタモルである。一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、p5+14を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質を、放射線標識する。一部の実施形態では、放射線標識は、11C、18F、111In、99mTc、及び123I、124I、または125Iである。一部の実施形態では、放射線標識したアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、放射線標識したアミロイド反応性ペプチドである。一部の実施形態では、放射線標識するアミロイド反応性ペプチドは、124I-標識したアミロイド反応性ペプチドである。別の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、124I-p5+14を投与することを含む。別の実施形態では、放射線標識するアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、フロルベタピル、フロルベタベン、またはフルテメタモルである。
【0126】
特定のその他の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、蛍光標識を含む。一部の実施形態では、蛍光標識したアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、ThTである。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を、非経口的、がん近傍、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、または頭蓋内に投与する。一部の事例では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素を、静脈投与または腹腔内投与する。
【0127】
一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、1つ以上の臓器に関するアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定する。一部の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを治療する方法は、心臓、脾臓、肝臓、腎臓、末梢神経、胃腸管、筋肉、肺、脳、及びリンパ節の1つ以上でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定することを含む。一部の実施形態では、1つ以上の臓器は、胸腹部臓器である。一部の実施形態では、1つ以上の臓器は、心臓、脾臓、肝臓、または腎臓である。一部の実施形態では、1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定するステップは、それぞれの臓器での臓器取込み値を決定することを含む。一部の実施形態では、臓器取込み値は、それぞれの臓器に関する標準取込値である。一部の実施形態では、標準取込値は、臓器で検出したアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量と、血中で検出したアミロイド反応性作用物質または検出用色素の量との比率として決定する。一部の実施形態では、臓器取込み値は、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを示す。
【0128】
別の実施形態では、1つ以上の臓器でのアミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンを測定するステップは、2つ以上の臓器に関する臓器:臓器の比率を算出することを含む。一部の実施形態では、2つ以上の臓器に関する臓器:臓器の比率を算出するステップは、第1の臓器に関する臓器取込み値と、第2の臓器に関する臓器取込み値との間の比率を算出することを含む。一部の事例では、臓器:臓器の比率は、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、及び腎臓:肝臓からなるグループから選択する。一部の事例では、臓器:臓器の比率は、心臓:脾臓の比率である。一部の実施形態では、この比率は、これらのあらゆる比率の逆数である。
【0129】
一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素の臓器分散パターンの測定は、PET、CT、MRI、SPECT、PET/CT、PET/MRI、またはその他の画像法で生成した画像データの分析を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性試薬または検出用色素の臓器分散パターンを測定するステップは、関心領域の空間的位置での画像の分析を含む。
【0130】
一部の実施形態では、臓器分散パターンは、アミロイド疾患のタイプを示す。一部の実施形態では、臓器分散パターンを使用して、アミロイド疾患のタイプに基づいて、特定の治療法を選択する。一部の実施形態では、本方法は、臓器分散パターンに基づいて、アミロイド疾患のタイプの診断を提供することをさらに含む。一部の実施形態では、特定の臓器分散パターンは、特定のアミロイド疾患のタイプを示す。例えば、一部の実施形態では、心臓:脾臓、心臓:肝臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、または腎臓:肝臓の比率を使用して、ATTRを診断する。一部の実施形態では、心臓:脾臓、心臓:肝臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、または腎臓:肝臓の比率を使用して、ALECT2を診断する。一部の実施形態では、心臓:脾臓、心臓:肝臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、または腎臓:肝臓の比率を使用して、ALを診断する。
【0131】
一部の実施形態では、本方法は、全身性アミロイド症を治療すること、及び治療法を選択することを含む。本明細書に記載した方法で診断及び/または治療することができる一部のアミロイド疾患の例として、AAアミロイド症、ALアミロイド症、AHアミロイド症、Aβアミロイド症、ATTRアミロイド症、ALECT2アミロイド症、及びII型糖尿病のIAPPアミロイド症、アルツハイマー病、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、タウオパチー、老人性全身性アミロイド症、家族性血液透析、老人性全身老化、老化下垂体障害、医原性症候群、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、またはその他の形態のがんがあるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、全身性アミロイド症の治療法を選択することを含む。一部の実施形態では、アミロイド疾患を治療する方法は、ALアミロイド症、ATTRアミロイド症、またはALECT2アミロイド症の治療法を選択することを含む。一部の実施形態では、治療法は、ATTRアミロイド症、ALアミロイド症、またはALECT2アミロイド症に関する標的療法である。
【0132】
一部の実施形態では、治療法は、小分子、抗体、ペプチド、タンパク質、核酸、及び/または遺伝子療法である。一部の実施形態では、治療法は、特定のアミロイド疾患のタイプに特異的な標的療法である。
【0133】
一部の実施形態では、治療法は、ATTRアミロイド症、ALアミロイド症、またはALECT2アミロイド症に対する標的療法である。一部の実施形態では、治療法は、ATTRアミロイド症に対する標的療法である。一部の実施形態では、治療法は、TTR四量体安定剤を含む。一部の実施形態では、TTR四量体安定剤は、エピガロカテキン-3-ガラート(EGCG)、AG-10、CHF5074、タファミジス、またはジフルニサルである。一部の実施形態では、治療法は、異常な折り畳み構造のTTRに結合する抗体またはフラグメントを含む。一部の実施形態では、抗体は、PRX004である。一部の実施形態では、治療法は、オリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、TTRサイレンサーである。一部の実施形態では、TTRサイレンサーは、パチシラン(ALN-TTR02)、ビトリシラン、イノテルセン、またはAKCEA-TTR-LRxである。一部の実施形態では、治療法は、ATTRアミロイド撹乱物質を含む。一部の実施形態では、治療法は、ドキシサイクリン、タウロウルソデオキシコール酸、または血清アミロイドP(SAP)を含む。一部の実施形態では、治療法は、臓器移植を含む。一部の実施形態では、治療法は、肝臓移植を含む。
【0134】
別の実施形態では、治療法は、ALアミロイド症に対する標的療法である。一部の実施形態では、治療法は、ボルテモジブ、イキサゾミブ、またはカジルフォミブを含む。一部の実施形態では、治療法は、抗体またはフラグメントを含む。一部の実施形態では、治療法は、ダラツマブ、CAEL-101、エロツズマブ、またはベランタマブマフォドチンを含む。一部の実施形態では、治療法は、幹細胞療法を含む。一部の実施形態では、治療法は、コルチコステロイドを含む。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。
【0135】
一部の実施形態では、本方法は、アミロイド症を有する患者の潜在的な治療法を取り止めるために使用する。一部の実施形態では、本方法を使用して、あるタイプのアミロイド症の診断を行い、及びその他のタイプのアミロイド症の治療法を取り止める。一部の実施形態では、本方法を使用して、ALECT2の診断を行い、及び、ALまたはATTRアミロイド症に関する治療法を取り止める。
【0136】
一部の実施形態では、本方法を使用して、アミロイド症のタイプを識別して、特定のタイプのアミロイド症に特異的な治療法を開発する。例えば、一部の実施形態では、本方法を使用して、ALECT2アミロイド症を有する個体を同定し、及びALECT2アミロイド症に特異的な治療法を開発する。
【0137】
III.キット
本発明の一部の態様は、本明細書に記載した方法で個体におけるアミロイド疾患のタイプを診断または検出するためのキットを提供する。
【0138】
一部の実施形態では、キットは、アミロイド反応性作用物質または検出用色素、及び使用説明書を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、124I-p5+14である。別の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、フロルベタピル、フロルベタベン、またはフルテメタモルである。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、ThTである。
【0139】
一部の実施形態では、放射線標識は、11C、18F、111In、99mTc、及び123I、124I、または125Iである。一部の実施形態では、放射線標識したアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、放射線標識したアミロイド反応性ペプチドである。一部の実施形態では、放射線標識するアミロイド反応性ペプチドは、124I-標識したアミロイド反応性ペプチドである。別の実施形態では、アミロイド疾患のタイプを診断する方法は、124I-p5+14を投与することを含む。別の実施形態では、放射線標識するアミロイド反応性作用物質または検出用色素は、フロルベタピル、フロルベタベン、またはフルテメタモルである。
【0140】
一部の実施形態では、使用説明書は、1つ以上の臓器においてアミロイド反応性作用物質または検出用色素を検出するための指示書を含む。一部の実施形態では、アミロイド反応性作用物質または検出用色素は、血液、心臓、肺、腎臓、または脾臓で検出する。
【0141】
一部の実施形態では、キットは、1つ以上の臓器に関するSUVR比率を算出するための指示書を含む。一部の実施形態では、標準組織である血液プールを使用してSUVRを算出する。一部の実施形態では、臓器でのアミロイド検出作用物質または色素の量を、血液プールの比率で除算して、それぞれの臓器に関してSUVRを算出する。一部の実施形態では、血液プールは、静脈または動脈である。一部の実施形態では、血液プールは、胸部大動脈の内腔にある。
【0142】
一部の実施形態では、使用説明書は、臓器:臓器の比率を決定するための指示書を含む。一部の実施形態では、臓器:臓器の比率は、肝臓:心臓、脾臓:心臓、脾臓:肝臓、脾臓:腎臓、腎臓:心臓、腎臓:肝臓、または、これら比率のあらゆる逆数である。
【0143】
一部の実施形態では、キットは、臓器:臓器の比率に基づいた診断を提供する指示書をさらに含む。
【0144】
一部の実施形態では、キットは、アミロイド疾患を治療するための治療薬を含む。
【実施例】
【0145】
実施例1-PET/CTを使用して画像化した患者の臓器での124I-p5+14取込値の定量。
本実施例では、PET画像から得たデータを使用してアミロイドタイプの分化を説明する。
【0146】
患者のアミロイド沈着の画像化
陽電子放出断層撮影/X線コンピューター断層撮影(PET/CT)画像を、124I-p5+14の第1/2相試験の第1の26名の患者コホートに登録した軽鎖-関連(AL)アミロイド症、トランサイレチン関連(ATTR)アミロイド症、及び白血球走化性因子2-関連(ALECT2)アミロイド症患者から得た。124I-p5+14造影剤とは、PET/CTで対象のアミロイドを画像化するために使用することができる放射線標識したアミロイド反応性ポリペプチドである。124I-p5+14を使用して、心臓、肝臓、脾臓、及び腎臓に沈着したアミロイドを検出することができ、及び、124I-p5+14を使用して得たPET/CT画像から得たデータは、容易に定量することができる。
【0147】
臓器の決定:血液取り込み
PET画像は、関心領域(ROI)法を使用して手作業で分析した。平面画像を使用して、冠状、軸方向、または矢状方向のいずれかに正確に解剖学的配置を実現するためにCTデータを使用して、ROIを関心のある臓器に配置した。主要な血管が存在する臓器の領域を避けるように注意を払った。ROIは、組織の平均領域を網羅する上で十分な大きさであった、または、特定の領域または解剖学的領域または関心領域に注目した。ROIからのデータを記録し、及び単位体積当たりの平均放射能(Bq/cc)を決定した。
【0148】
標準取込値比率(SUVR)を、血液プールを基準組織として使用して算出した。本研究では、胸部大動脈の内腔を、大動脈弓のすぐ遠位に、CT画像で同定し、血液プールROIとした。注意深く配置して、血液プールの放射能ROIを決定した(Bq/cc)。次に、それぞれの臓器(心臓、脾臓、肝臓、及び左腎)のSUVRを、組織放射能を血液プール放射能で除算して算出して、臓器:血液プール比率(臓器:血液プール比率)を得た。
【0149】
臓器:血液の取り込みを、
124I-p5+14の第1/2相試験の第1の26名の患者コホートに登録したAL、ATTR及びALECT2患者について計算した。患者コホートに関する臓器:血液取込値を、
図2にまとめた。母集団全体に関する平均値の分析を、
図3に記載した関係に表した。分析によって、これらの患者コホートのそれぞれに関して、
124I-p5+14の臓器特異的取り込みに明確な相違があることが明らかになった、すなわち:
心臓-ATTR>AL>ALECT2
肝臓-AL>ALECT2>>ATTR
脾臓-ALECT2>AL>>ATTR
腎臓-ALECT2>AL>>ATTR
【0150】
これらの関係は、ALとATTRアミロイド症とを識別するアルゴリズムの開発を可能にした。
【0151】
ALとATTRとの識別
第1のステップとして、それぞれの臓器の分布を歪度及び尖度指標を使用して正規性について分析した。次に、標準偏差が平均から3.29以上高い外れ値は、リストごとに除外した。
図4は、外れ値データ点を除外した後のデータセットを示す。外れ値を除外したデータを使用した平均値を再分析したところ、
図5に記載した臓器特異的な関係が明らかになった。母集団から外れ値を取り除いた後、以下の関係が認めた:
心臓-ATTR>AL>ALECT2
肝臓-ALECT2>ATTR>ATTR
脾臓-ALECT2>>AL>ATTR
腎臓-ALECT2>AL>ATTR
【0152】
第2ステップとして,ALとATTRとを識別する能力,及びATTRとALとを識別する能力を、受信者動作特性(ROC)分析を使用して評価した。個体の臓器に関するSUVR値と、他方の臓器に対する一方の臓器の比率とを使用して、AL及びATTRに関するROC曲線を生成した(
図5に当初に記載していたデータに基づいている)。曲線下面積(AUC)を決定し、AUCの有意性及び95%信頼区間(95%CI)を決定した。ALとATTRを識別する最適なカットオフ数の感度及び特異性の値も、現在のデータセットを使用して決定した。
【0153】
表2にATTRのROC分析結果をまとめており、一方で、
図6には心臓の取込みに関するROC曲線を示しており、及び
図7A~7Fは、ATTRにおける臓器:臓器の取込み比率に関するROC曲線を示す。表3にALのROC分析結果をまとめており、一方で、
図7A~
図7Cは、個々の臓器取込みのROC曲線を示しており、及び、
図8A~8Fは、ALにおける臓器:臓器の取込み比率に関するROC曲線を示す。
【表2】
【表3】
【0154】
ATTR患者の検出に関して、心臓:脾臓SUVR比率を算出することは、p=0.002及び0.96のAUCで最適法を提供した。1.40のカットオフ値を使用すると、ATTRの診断では、100の感度及び75%の特異性が得られる。心臓:腎臓のSUVR比率は、わずかに高い特異性で同様に良好な予測値を提供した。
【0155】
ATTR患者の心臓:脾臓の平均SUVR比率は、AL患者の心臓:脾臓のSUVR比率よりも高い。加えて、ALECT2患者の限られたデータに基づくと、この比率はALよりもALECT2の方がはるかに低いと予想され、このことは、より多くのデータポイントでALとALECT2を識別できることを示唆している。AL、ATTR、及びALECT2患者に関する現在のデータセットに基づくと、多重比較の一元配置分散分析を使用した場合、ALECT2患者の脾臓SUVRは、AL(p=0.02)及びATTR(p=0.002)患者の両方よりも有意に高い。
【0156】
これらの分析の結果は、個々の臓器のSUVR値、より正確には臓器:臓器の比率、例えば、心臓:脾臓のSUVR比率、または心臓:腎臓のSUVR比率のどちらかを使用して、ATTRアミロイド症とALアミロイド症を識別することができ、かつ、潜在的にALECT2アミロイド症を、AL及びATTRアミロイド症の両方から識別できることを示している。
【0157】
結論
得られた画像データは、AL、ATTR、及びALECT2アミロイド間での識別に使用することができる心臓アミロイド量:脾臓アミロイド量の決定に使用される。AL患者(集団として)は、心臓及び脾臓が関係しており、心臓アミロイド量:脾臓アミロイド量の比率は、約1である。ATTR患者は、心臓アミロイドの関与はあるが、脾臓は関与していないので、比率は1を超える。ALECT2患者は脾臓アミロイドが多く、心臓アミロイドは(あるとしても)ごくわずかであるため、比率は1よりはるかに小さくなる。現在の患者集団に基づいて、心臓:脾臓の比率を計算することは、患者が、どのタイプのアミロイドを有しているのかを、ある程度の統計的確実性レベル(例えば、>90%、>80%など)で決定するのに使用することができる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】