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特表2023-553902調節卵巣刺激のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】調節卵巣刺激のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/24 20060101AFI20231219BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K38/24
A61P15/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534924
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2021084958
(87)【国際公開番号】W WO2022122899
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】20212885.6
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21150909.6
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21156870.4
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500297535
【氏名又は名称】フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】アルセ,ジョアン-カルレス
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA44
4C084DB26
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZA812
(57)【要約】
不妊症の処置での使用のための、使用方法及びFSHを含む組成物が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出生の確率を向上させるための30~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項2】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、30~40歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
出生の確率を向上させるための30~37歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項4】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、30~37歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
出生の確率を向上させための36~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項6】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、36~40歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項5に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、請求項1~6の何れかに記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記使用が、前記患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に前記用量を投与するステップと、を含む、請求項7に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、請求項1~6の何れかに記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記使用が、前記患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に前記用量を投与するステップと、を含む、請求項7に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
出生の確率を向上させるための35~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、前記患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lである場合、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、前記患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lである場合、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、組成物。
【請求項12】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、35~40歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項11に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記使用が、前記患者の血清AMHレベルを決定するステップと、指定される血清AMHレベルを有する患者に指定される用量を投与するステップと、を含む、請求項12又は13に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)、請求項1~13の何れかに記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者である(例えばそうであるとして同定される)、請求項1~14の何れかに記載の使用のための組成物。
【請求項16】
出生の確率を向上させるための、35歳以上、例えば36歳以上の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、前記患者が日本民族又はアジア民族である、組成物。
【請求項17】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記FSHの全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、前記FSHの全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば前記全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、前記全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)、請求項1~17の何れかに記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、前記全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、前記全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である、請求項1~18の何れかに記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記組み換えFSHがヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである、請求項1~19の何れかに記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不妊の処置のための方法、組成物及び医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
体外受精(IVF)及び顕微授精などの生殖補助技術(ART)はよく知られている。ARTは一般に調節卵巣刺激(COS)のステップを必要とし、そのステップでは卵胞のコホートが完全な成熟に至るまで刺激される。標準的なCOSレジメンには、卵胞刺激ホルモン(FSH)などのゴナドトロピンの単独投与又は複数の卵胞発育を刺激する黄体形成ホルモン(LH)活性との組み合わせ投与が含まれる。通常、COSには、予定された卵母細胞の採取前に排卵を誘発し得る早発LHサージを予防するために、刺激前及び/又は刺激中にGnRH類似体(GnRHアゴニスト)又はGnRHアンタゴニストの投与が必要である。COSに一般に使用される医薬組成物には、REKOVELLE(登録商標)及びGONAL-F(登録商標)を含む組み換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)、尿由来FSH、組み換えFSH+LH製剤、尿由来メノトロピン[ヒト閉経期ゴナドトロピン(hMG)]及び高度に精製されたヒト閉経期ゴナドトロピン(HP-hMG)が含まれる。
【0003】
卵巣応答が高すぎる場合、COSは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが付随し得、これは、COS周期のキャンセルにつながり得、重症例では生命を脅かし得る。COSに対する女性の卵巣応答の可能性を予測する能力によって、個人化又は個別化されたCOSプロトコールの開発が可能になり得る。このような個別化プロトコールは、例えば、COSに対する過剰な卵巣応答を有すると予測される女性においてOHSSのリスクを低下させ、COS周期のキャンセルを予防し得る。抗ミュラー管ホルモン(AMH)のレベルは、COS中のゴナドトロピンに対する卵巣応答と直接相関する。従って、高レベルのAMHは過剰な卵巣応答の良好な予測因子であり、OHSSのリスクの指標であるが、一方で低レベルのAMHはCOSに対する卵巣応答の不良を予測する。
【0004】
臨床研究では、COSに対する個別化された投与計画の開発にここ数年焦点が当てられているが、最初はAMHを使用せず、卵巣応答の他の予測因子に基づいていた。これらの予測因子には、年齢、体型指数(BMI)、FSH及び胞状卵胞数(AFC)が含まれる。
【0005】
上述したように、標準的なCOSプロトコールでは、IVFに十分な卵母細胞を得るべく複数の卵胞成長を誘導するために、FSHを毎日投与する必要がある。FSHは下垂体前葉により分泌される天然ホルモンである。健康な女性では、FSHは、各自然周期中に排卵する単一の優勢卵胞の成長を毎月誘導する。閉経後の女性の尿から精製されたFSHは、自然繁殖における排卵を促進すること、及びARTのため、十分な卵母細胞を得るために複数の卵胞成長を誘導することの両方のために、不妊症の処置において長年使用されてきた。
【0006】
最近まで、ホリトロピンアルファ(GONAL-F(登録商標)、Merck Serono/EMD Serono)及びホリトロピンベータ(PUREGON(登録商標)/FOLLISTIM(登録商標)、MSD/Schering-Plough)などの、卵巣刺激に唯一承認されたrFSH製品は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に由来するものであった。本出願人らは、国際公開第2009/127826A号パンフレットとして公開されている国際特許出願第PCT/GB2009/000978号パンフレットの主題であるヒト細胞株由来rFSHを開発した。2016年12月13日に、欧州委員会(European Commission)(EC)は、体外受精(IVF)周期などの生殖補助技術(ART)を受けている女性における複数の卵胞の発生のための調節卵巣刺激に使用するための、ヒト細胞株由来の組み換え卵胞刺激ホルモン(ヒトrFSH)であるREKOVELLE(登録商標)(FE999049としても知られる、ホリトロピンデルタ)に市販承認を与えた。REKOVELLE(登録商標)は、ヒト細胞株に由来する最初のRFSHである。REKOVELLE(登録商標)(ホリトロピンデルタ)製品は、国際特許出願第PCT/GB2009/000978号パンフレットに開示されている方法によって製造される。
【0007】
REKOVELLE(登録商標)の用法用量は、各患者のために、及び好ましい安全性/有効性プロファイルと関連する卵巣応答を得るための目的、即ち、回収される卵母細胞の適切な数を達成し、OHSSを予防するための介入を減らすための目的ために、個別化される。REKOVELLE(登録商標)はマイクログラム(μg)で投与される。最初の治療周期では、個々の1日用量は、女性の血清AMH濃度に基づき、血清AMH濃度、女性の体重に依存して決定される。用量は、ELECSYS(登録商標)AMH Plusイムノアッセイ(Roche)によって測定されたAMHの最近の測定(即ち、過去12カ月以内)に基づく。刺激期間を通じて個々の1日用量を維持する。AMH<15pmol/Lである女性では、REKOVELLE(登録商標)の1日用量は、体重に関係なく12μgである。AMH≧15pmol/Lである女性では、REKOVELLE(登録商標)の1日用量はより低く、15~≧40pmol/LのAMH濃度にわたって、0.19μg/kg~0.10μg/kgの範囲である。初回サイクルの最大用量は12μgである。その後の処置サイクルでは、REKOVELLE(登録商標)の1日用量は、前のサイクルでの患者の卵巣応答に応じて維持されるか又は変更され得る。患者が、OHSSを発症せず、前のサイクルで適切な卵巣応答を示した場合、同じ1日用量が使用される。前のサイクルで低い卵巣応答を示した場合、その後のサイクルの1日用量を、観察された反応の程度に応じて、25%又は50%増加させる。前のサイクルで過多な卵巣応答を示した場合、その後のサイクルの1日用量を、観察された反応の程度に応じて、20%又は33%減少させる。OHSSを発症したか、又は前のサイクルでOHSSのリスクがあった患者では、その後のサイクルに対する1日用量を、OHSS又はOHSSのリスクが生じたサイクルの用量より33%減少させる。REKOVELLE(登録商標)の最大1日用量は24μgである。
【0008】
今もなお、妊娠アウトカムの改善をもたらす個別化されたCOSプロトコールが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
CHO細胞由来のrFSHとREKOVELLE(登録商標)を比較する治験において、出願人らは、予想外に、CHO細胞由来のrFSHで処置したβhCG検査陽性の対象では早期妊娠喪失が34.6%であったことと比較して、REKOVELLE(登録商標)で処置したβhCG検査陽性の対象の20%に対して早期妊娠喪失が報告されたことを見出した(実施例1)。同様に、実施例は、CHO細胞由来のrFSHでの処置と比較して、REKOVELLE(登録商標)での処置によって出生の確率が向上することを示した。一例では、REKOVELLE(登録商標)で見られる出生率の向上は、年齢層が高い(例えば28歳以上、例えば30歳以上、例えば38歳以上の患者)ほど大きい。
【0010】
いくつかの態様によれば、調節卵巣刺激により不妊症について処置されている患者において早期妊娠喪失の可能性を低下させることにおける使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様によれば、調節卵巣刺激による不妊症のための処置後の出生の確率の向上における使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に組み換えFSHを投与する(それにより出生の確率を向上させるため)ステップと、を含み得る。いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、28歳以上、例えば30歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。態様では、患者の血清AMHレベルは<15pmol/Lであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様では、この患者の血清AMHレベルは≧15pmol/Lであり得、この組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。
【0011】
いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための30~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHはα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、30~40歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための30~37歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHはα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、30~37歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための36~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、36~40歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。態様では、患者の血清AMHレベルは<15pmol/Lであり得、この組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様では、患者の血清AMHレベルは≧15pmol/Lであり得、この組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための35~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、この患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lである場合、この組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、この患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lである場合、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、35~40歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様では、この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、指定される血清AMHレベルを有する患者に指定される用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様では、患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるものとして同定され得る)。いくつかの態様では、患者は、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者であり得る(例えばそうであるものとして同定され得る)。いくつかの態様によれば、出生の確率を向上させるための35歳以上、例えば36歳以上の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、患者は、日本民族又はアジア民族である。いくつかの態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含む。態様では、本組み換えFSHは、FSHの全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、FSHの全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)FSHである。態様では、本組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である。態様では、本組み換えFSHは、ヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである。
【0012】
いくつかの態様によれば、調節卵巣刺激によって不妊症について処置されている患者において早期妊娠喪失の可能性を低下させる方法が提供され、この方法は、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様によれば、調節卵巣刺激による不妊症のための患者の処置後の出生の確率を向上させる方法が提供され、この方法は、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様によれば、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者の(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置後の出生の確率を向上させる方法が提供され、この方法は、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様では、本方法は、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様によれば、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者において、(例えば出生の確率を向上させるための、例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置の方法が提供され、この方法は、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含み;この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様によれば、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者の(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置後の出生の確率を向上させる方法が提供され、この方法は、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。いくつかの態様では、本方法は、患者の年齢を決定するステップと、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様によれば、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者における(例えば出生の確率を向上させるための、例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置の方法が提供され、この方法は、患者の年齢を決定するステップと、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含み、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。態様では、患者の血清AMHレベルは<15pmol/Lであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。本方法は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの態様では、患者の血清AMHレベルは≧15pmol/Lであり得、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。本方法は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
出願人らは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含むFSHが、CHO細胞由来の生成物での処置と比較して、不妊症に対して処置される患者において、早期妊娠喪失を減少させる、及び/又は出生の確率を向上させるために使用され得ることを見出した。これらの結果は、注目すべきであり、予想外である。
【0014】
従って、不妊症について処置される患者において早期妊娠喪失を減少させる、及び/又は出生の確率を向上させるために構築された処置及び投与計画が本明細書中で提供される。
【0015】
定義
本明細書中で使用される技術用語及び科学用語は、別途定義されない限り、本発明が関連する補助生殖技術の分野の当業者により一般に理解されている意味を有する。本明細書では、当業者にとって公知の様々な方法論が参照される。当業者にとって公知の何らかの適切な材料及び/又は方法が、本発明を実施する際に使用され得る。しかし、具体的な材料及び方法を記載する。下記の説明及び実施例で言及される材料、試薬などは、別途注記されない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0016】
本明細書中で定義される定義及び用語は何れも、明確な別段の記載がない限り、本発明の全ての態様及び実施形態において同じ意味及び目的を有することを意味すると理解されたい。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、単数形のみを示すと明確に述べられない限り、単数形及び複数形の両方を示す。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、数又は範囲が使用される文脈に応じて当業者により理解されるように、数又は範囲が、明記された厳密な数又は範囲に限定されず、列挙された数又は範囲の前後の範囲を包含することを意味する。別途文脈又は当技術分野の慣例から明らかでない限り、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0019】
本明細書中で、「患者」及び「対象」及び「女性」及び「婦人」という用語は、交換可能に使用される。
【0020】
対象は、初期卵胞期において、1~16IU/Lの正常な血清FSHレベル、例えば、1~15IU/L、例えば、1~12IU/Lを有し得る。従って、本明細書中に記載の組成物又は薬剤は、初期卵胞期に、1~16IU/Lの正常な血清FSHレベル、例えば、1~15IU/L、例えば、1~12IU/Lを有する(又は有すると特定される)対象における不妊症の処置(及び/又は調節卵巣刺激)(における使用)のためであり得る。血清FSHは、処置のために患者を同定するための当技術分野で周知の方法によって測定され得る。
【0021】
対象はBMI>15及びBMI<40kg/m、例えば、BMI>17.5及びBMI<38kg/m、例えば、BMI>18及びBMI<25kg/m、例えば、BMI>20及びBMI<25kg/mを有し得る。従って、本明細書中に記載の組成物又は方法は、BMI>1及びBMI<40kg/mを有する不妊に対して処置される患者、例えば、BMI>17.5及びBMI<38kg/mを有する対象、例えば、BMI>18及びBMI<25kg/mを有する対象、例えば、BMI>20及びBMI<25kg/mを有する対象において早期妊娠喪失を減少させ得、及び/又は出生の確率を向上させ得る。従って、本明細書中に記載のような組成物又は方法は、BMI>17.5及びBMI<32kg/mを有する不妊症について処置される患者において早期妊娠喪失を減少させ得、及び/又は出生の確率を向上させ得る。BMIは、処置のために患者を同定するために当技術分野で周知の方法により測定され得る。
【0022】
本明細書中では、「不妊症の処置」という用語には、調節卵巣刺激(COS)による不妊症の処置、又は調節卵巣刺激(COS)のステップ若しくはステージを含む方法、例えば、体外受精(IVF)若しくは顕微授精(ICSI)による不妊症の処置が含まれる。「不妊症の処置」という用語には、卵管性又は原因不明の不妊症を有する対象における不妊症の処置、例えば、子宮内膜症、例えばステージI若しくはステージIIの子宮内膜症を有する対象における不妊症の処置、及び/又は男性因子の不妊症のパートナーを有する対象の不妊症の処置が含まれる。本組成物は、子宮内膜症を有する対象、例えば、子宮内膜症の様々なステージに対するAmerican Society for Reproductive Medicine(ASRM)の分類システム(ステージIVは最も重症度が高く;ステージIは最も重症度が低い)[American Society for Reproductive Medicine.Revised American Society for Reproductive Medicine classification of endometriosis:1996.Fertil Steril 1997;67,817 821.]によって定義されるようなステージI若しくはステージIIの子宮内膜症を有する対象における不妊症の処置(での使用)のため(及び/又は調節卵巣刺激のため)であり得る。
【0023】
本明細書中では、「GnRHアゴニスト」という用語は、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストを意味する。GnRHアゴニストは、ゴナドトロピン放出ホルモンの生物学的標的である、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRH受容体)のアゴニストとして作用する薬物のクラスである。
【0024】
本明細書中では、「GnRHアンタゴニスト」という用語は、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストを意味する。GnRHアンタゴニストは、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRH受容体)、ひいてはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の作用に拮抗する薬物のクラスである。
【0025】
抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清濃度は現在、卵巣予備能の信頼できるマーカーとして確立されている。AMHのレベル低下は、COS中のゴナドトロピン対する卵巣の応答の低下と相関する。さらに、高レベルのAMHは、過剰な卵巣応答の良好な予測因子及びOHSSのリスクの指標である。最初の(及びいくつかのケースではその後の)処置サイクルに対して、個々の1日用量は、女性の血清AMH濃度に基づき、血清AMH濃度によっては、その女性の体重に基づき、決定され得る。この用量は、AMHの最新の判断(即ち直近12カ月以内)に基づき、例えばELECSYS(登録商標)AMH Plus免疫アッセイ(Roche)又はBeckman CoulterからのACCESS AMH Advanced又はFujirebioからのUMIPULSE G AMHなどの同様のアッセイにより測定される。
【0026】
本明細書中の「卵胞」という用語は、未成熟卵又は卵母細胞を含有する流体で満たされた嚢である卵胞を意味する。
【0027】
胚盤胞は、ヒト(又は他の哺乳動物)の初期発生において形成される。ヒトでは、受精の約5日後に胚盤胞の形成が始まる。(IVF)における胚盤胞の使用は、一般に、調節卵巣刺激サイクルから生じた多数の卵母細胞を女性から回収する(採取する)、1個以上の卵母細胞の受精(精子注入)及び受精卵(卵母細胞)を5日間培養して胚盤胞を形成させる(即ち、受精卵母細胞を胚盤胞期まで発生させる);及び胚盤胞を子宮内に移植することを含む。
【0028】
胚は、ヒト(又は他の哺乳動物)の初期発生において形成される。(IVF)における胚の使用は一般に、調節卵巣刺激サイクルから生じた多数の卵母細胞を女性から回収する(採取する)、1個以上の卵母細胞の受精(精子注入)及び受精卵(卵母細胞)を例えば3日間培養して胚を形成させる(即ち、受精卵母細胞を胚期まで発生させる);及び胚を子宮に移植することを含む。
【0029】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、本明細書中に記載の不妊症の処置は、COSのステップであるか、又はCOSのステップを含むことが好ましい。不妊の原因は、男性不妊症に罹患している女性のパートナーであり得るが、本発明によれば、COSによって処置されるのは婦人(女性)であることが理解されよう。
【0030】
本明細書中に記載のような不妊症の処置は、補助生殖技術(ART)を受けている排卵女性における新鮮及び/又は凍結保存胚移植後の複数の卵胞の発生及び妊娠のためであり得、またそのために有効であり得る。
【0031】
本明細書中に記載のような不妊症の処置は、良質の胚盤胞(例えば、カテゴリー3BB以上の胚盤胞、例えば、卵母細胞回収後5日目のカテゴリー3BB以上の胚盤胞の数を増加させるための不妊症の処置)を促進し、及び/又は胚着床を改善するためであり得、またそのために有効であり得る。不妊症の処置は、卵母細胞回収後、第5日でのカテゴリー3BB以上の胚盤胞の数を(例えば、GONAL-F(登録商標)による処置と比較した場合)増加させるための不妊症の処置であり得る。不妊症の処置は、受精(2PN)卵母細胞の数を(例えば、GONAL-F(登録商標)による処置と比較して)増加させるための不妊症の処置であり得る。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「処置第1日」は「刺激第1日」とも呼ばれ、(例えば組み換え)FSHの用量が患者に投与される最初の日を指す。処置(刺激)の第1日は、患者の月経周期の第1日、第2日又は第3日、例えば第2日又は第3日に行われ得る。言い換えれば、処置(刺激)第1日は、患者の月経出血開始から1日後、2日後又は3日後、例えば2日後又は3日後であり得、GnRHアンタゴニスト又はGnRHアゴニストプロトコールを用いる臨床現場でのこの用語の使用と一致する。「処置中」という用語は、FSHが患者に投与されている日を意味する。
【0033】
本明細書中に記載の処置、方法及び使用において、組み換えFSHの投与は処置第1日に開始し、2~20日間継続し得、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20日間継続し得る。第1日に投与される用量は、本明細書中で「開始用量」と呼ばれる。組み換えFSHの投与は、処置の第1日に開始し、4~20日間、例えば7~13日間、例えば9~13日間、例えば10~13日間、例えば10~11日間継続し得る。用量は毎日同じであり得る。しかし、(例えば、超音波検査により測定されるような)患者の卵巣応答に応じて用量が変動する可能性がより高い。
【0034】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、組み換えFSHは以下により詳細に記載されるように、ヒト細胞株由来の組み換えFSHであり得る。全ての態様では、組み換えFSHは、商標REKOVELLE(登録商標)(ホリトロピンデルタ)(Ferring B.V.)の下で販売されているものであり得る。全ての態様では、組み換えFSHは、注射、例えば皮下注射によって投与され得る。
【0035】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、組み換えFSH組成物(例えば医薬組成物)又は薬剤は、rFSHによる処置の第1日の前に内因性ゴナドトロピンの産生を抑制する、本明細書中で「組成物A」と呼ばれる(異なる)医薬組成物で患者を前処置した後に投与され得る。言い換えれば、本組成物(例えば医薬組成物)又は薬剤は、対象が組成物Aで(前)処置された後に投与され得、ここで、組成物Aはステロイド、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニストなどである。本明細書中で、「前処置された」又は「前処置」という用語は、rFSHによる処置の第1日の前(即ち、処置の第1日の前)に内因性ゴナドトロピンの産生を抑制する医薬組成物を投与することを指し、長期GnRHアゴニストプロトコールでの臨床診療におけるこの用語の使用と一致する。
【0036】
従って、本明細書中に記載の使用のための組成物(例えば、医薬組成物)又は薬剤は、GnRHアゴニスト(例えば、SYNAREL(登録商標)、LUPRON(登録商標)、DECAPEPTYL(登録商標))の投与(例えば、投与の開始、例えば、連日投与の開始)から12~16日後、例えば、13~15日後、例えば14日後に、投与するためのものであり得る。さらに、又は或いは、本明細書中に記載の使用のための組み換えFSH組成物は、GnRHアゴニストとの投与のためであり得る。
【0037】
或いは、組み換えFSH組成物(例えば医薬組成物)又は薬剤は、GnRHアンタゴニスト(例えば、GANIRELIX(登録商標)、CETRORELIX(登録商標))の投与の前に投与されるか、又は投与されるためのもの、例えば、GnRHアンタゴニストの投与の5日前又は6日前に投与されるためのもの(即ち、刺激の第1日がGnRHアンタゴニストの投与の5日前又は6日前であるように投与されるためのもの)であり得る。さらに、又は或いは、本明細書中に記載の使用のための組み換えFSH組成物(例えば医薬組成物)は、GnRHアゴニストとの投与のためであり得る。
【0038】
一般的に、本明細書中に記載の全ての態様によれば、組み換えFSH組成物(例えば医薬組成物)又は薬剤は、最終的な卵胞成熟を誘導するために高(排卵)用量のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)(例えば、4,000~11,000IUのhCG、例えば、5,000IUのhCG、10,000IUのhCGなど;又は150~500μgの組み換えhCG、例えば、250μgの組み換えhCG)を投与する前に投与されるか、又は投与するためのものである。従って、いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の方法は、高(排卵)用量のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の投与をさらに含む。
【0039】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、本明細書中に記載の(不妊症の)処置及び使用は、卵母細胞を回収し(例えば採取し);卵母細胞を受精させ(例えば精子注入し);受精した卵母細胞を胚/胚盤胞期まで発生させることをさらに含み得る。受精(例えば精子注入)は、体外受精、任意選択に顕微授精(ICSI)であり得る。
【0040】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、本明細書中に記載の(不妊症の処置の)処置及び使用は、採取した卵母細胞の受精後に得られる胚/胚盤胞の質を[例えば、1つ以上の良好な質(即ちグレード3BB以上)の胚盤胞を特定するために]評価することをさらに含み得る。胚盤胞の質の評価は、卵母細胞回収後第5日に行われ得、3つのパラメーターを試験し得る:当技術分野で周知であるような、胚盤胞の拡大及び孵化状態(グレード1~6)、胚盤胞内細胞塊の類別(グレードA~D)及び栄養外胚葉の類別(グレードA~D)。胚盤胞は、当技術分野で周知のような、Gardner及びSchoolcraftの系を使用し、内細胞塊及び栄養外胚葉についてDカテゴリーを加えることによって、数値スコアを与えることができる。
【0041】
早期妊娠喪失は一般に、継続妊娠前に起こる妊娠喪失として定義される。本明細書中で、「早期妊娠喪失」という用語は、胚/胚盤胞移植から13~15日後に行われる妊娠検査陽性と胚/胚盤胞移植から10~11週間後のその後の妊娠の評価(例えば経腟超音波)との間に起こる妊娠喪失として定義される。
【0042】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、本明細書中に記載の不妊症の処置及び使用は、胚/胚盤胞の質の評価によって特定された1個以上の胚/胚盤胞を移植(例えば、新鮮胚/胚盤胞移植)することをさらに含み得る。特定の実施形態では、単一の胚/胚盤胞が移植される。特定の実施形態では、単一の胚を、又は2個の胚を移植する。
【0043】
本明細書中に記載の全ての態様によれば、本明細書中に記載の(不妊症の)処置及び使用は、胚/胚盤胞の質の評価によって特定された1個以上の胚/胚盤胞を(後の移植のために)凍結することをさらに含み得る。
【0044】
従って、本明細書中に記載の全ての態様によれば、本明細書中に記載の(不妊症の)処置及び使用は、任意選択によるGnRHアゴニスト又はアンタゴニストの投与、組み換えFSHの投与及び排卵用量のhCGの投与、卵母細胞の回収(例えば採取)、卵母細胞の受精(例えば精子注入)に加えて-受精卵母細胞を胚/胚盤胞期まで発生させ、1個以上の胚/胚盤胞(例えば、後の移植のための、胚/胚盤胞の質の評価によって特定された胚/胚盤胞)を凍結保存することをさらに含み得る。
【0045】
本明細書中に記載の本組成物、使用及び方法は、不妊症のために処置されている患者において、早期妊娠喪失を減少させ、及び/又は出生の確率を向上させるためであり得、そのために有効であり得る。
【0046】
本明細書中で列挙される組み換えFSHの用量は、本明細書中に記載の方法及び治療プロトコールによる、患者(対象)の最初の刺激プロトコール(最初の刺激「サイクル」)における不妊症の処置のためのものであり得る。従って、本組成物は、調節卵巣刺激による不妊症に対する処置歴のない患者(対象)の不妊症の処置における使用;調節卵巣刺激による不妊症に対する処置を以前に完了していない患者(対象)の不妊症の処置における使用、又は過去6カ月の間に調節卵巣刺激による不妊症に対する処置を受けていない患者(対象)、より好ましくは過去12カ月の間に調節卵巣刺激による不妊症に対する処置を受けていない患者(対象)の不妊症の処置における使用のためのものであり得る。本明細書中に記載の方法及び治療プロトコールによるさらなる刺激サイクル(即ち、調節卵巣刺激による不妊症の処置)のために、用量は、本明細書中に記載の方法及び治療プロトコールによる最初のサイクルにおける実際の卵巣応答に応じて調節され得ることは理解されるであろう。
【0047】
処置
REKOVELLE(登録商標)をCHO細胞由来のrFSHと比較する治験において、出願人は予想外に、CHO細胞由来のrFSHで処置したβhCG検査陽性の対象では早期妊娠喪失が34.6%であったことと比較して、REKOVELLE(登録商標)で処置されたβhCG検査陽性の対象の20%について早期妊娠喪失が報告されたことを見出した(実施例1)。同様に、この実施例は、CHO細胞由来のrFSHでの処置と比較して、REKOVELLE(登録商標)処置によって出生の確率が向上することを示した。第1の態様では、調節卵巣刺激により不妊症について処置されている患者での早期妊娠喪失の可能性を低下させることにおける使用のための、組み換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)を提供し、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。例えば、本組成物は、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップ(例えばRoche Diagnosticsからの自動化Elecsys(登録商標)AMHアッセイ又は類似物を使用)と、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。別の例では、本組成物は、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの例では、患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)日本民族の患者を同定するステップをさらに含み得る。いくつかの例では、患者は、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の患者を同定するステップをさらに含み得る。熟練者は、処置前に日本民族又はアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)であるものとしてパテント(patent)を特定するための、民族に関する情報の収集方法(例えば外観及び/又は質問による)を容易に理解するであろう。
【0048】
本組成物(及び方法)は、高応答者として予想される(又は高応答者であると同定される)患者/対照での使用のためであり得る。本明細書中で使用される場合、「調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答を有すると予想される」又は「予想される高応答者」であるものとして分類される対象は、調節卵巣刺激(COS)の標準的なプロトコール後に多数の卵胞又は卵母細胞を発生させる可能性が高い女性、例えば、15個以上の卵母細胞を産生する平均超の可能性を有する女性などを指す。女性が過去のART周期(例えば、過去のCOS処置)で15個以上の卵母細胞を産生している場合、その女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性がOHSSを発症するリスクがあるとみなされる場合、その女性を予想高応答者であるものとして同定し得る。さらに又は或いは、女性は、Arce et al.,Fertility and Sterility 99:1644-53(2013)に記載のようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを使用して測定した場合の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清レベルが≧15pmol/L、例えば血清AMHレベルが≧35.7±0.5pmol/L(≧5.0±0.2ng/ml)であるか又は異なる方法により評価される同等のAMHレベルである場合に予想高応答者であると同定され得る。この使用/方法は、処置前に患者を高応答者であると同定するステップを含み得る。2,3-及び2,6-シアル酸付加を含むFSH(Rekovelle(登録商標)など)での高応答者の処置は、過剰応答ゆえにCOS周期のキャンセルにつながる可能性はあまりなく、出生率を向上させ得ると考えられる。
【0049】
さらなる態様では、調節卵巣刺激による不妊症のための処置後の出生の確率を向上させることにおける使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。例えば、本組成物は、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。別の例では、本組成物は、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者への投与のためであり得、この組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。最小用量は、6μgの組み換えFSH/日であり得る。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの例では、患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、例えば処置前に)日本民族の患者を同定するステップをさらに含み得る。いくつかの例では、患者は、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の患者を同定するステップをさらに含み得る。熟練者は、処置前に日本民族又はアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)であるものとして患者を特定するための、民族に関する情報の収集方法(例えば外観及び/又は質問による)を容易に理解するであろう。
【0050】
本組成物(及び方法)は、高応答者として予想される(又は高応答者であると同定される)患者/対象での使用のためであり得る。本明細書中で使用される場合、「調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答を有すると予想される」又は「予想される高応答者」として分類される対象は、調節卵巣刺激(COS)の標準的なプロトコール後に多数の卵胞又は卵母細胞を発生させる可能性が高い女性、例えば、15個以上の卵母細胞を産生する平均超の可能性を有する女性などを指す。女性が過去のART周期、例えば過去のCOS処置、で15個以上の卵母細胞を産生している場合、女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性がOHSSを発症するリスクがあるとみなされる場合、女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性は、Arce et al.,Fertility and Sterility 99:1644-53(2013)に記載のようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを使用して測定した場合の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清レベルが≧15pmol/L、例えば血清AMHレベルが≧35.7±0.5pmol/L(≧5.0±0.2ng/ml)であるか又は異なる方法により評価される同等のAMHレベルである場合に予想高応答者であると同定され得る。この使用/方法は、処置前に患者を高応答者として同定するステップを含み得る。2,3-及び2,6-シアル酸付加を含むFSH(Rekovelle(登録商標)など)での高応答者の処置は、過剰応答ゆえにCOS周期のキャンセルにつながる可能性はあまりなく、出生率を向上させ得る。
【0051】
さらなる態様では、出生の確率を向上させるための35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。この処置は、患者の年齢を判定するステップと、(出生の確率をそれにより向上させるために)35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。熟練者は、例えば、依頼、質問などによるなど、患者の年齢の決定方法を容易に理解するであろう。好ましくは、患者は、38歳以上であるか又はそうであると判断されるか、例えば38~40歳であるか又はそうであると判断される女性患者である。例えば、本組成物は、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。別の例では、本組成物は、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。最小用量は、6μgの組み換えFSH/日であり得る。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの例では、患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)日本民族の患者を同定するステップをさらに含み得る。いくつかの例では、患者は、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の患者を同定するステップをさらに含み得る。熟練者は、処置前に日本民族又はアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)であるものとして患者を同定するための、民族に関する情報の収集方法(例えば外観及び/又は質問による)を容易に理解するであろう。
【0052】
本組成物(及び方法)は、高応答者として予想される(又は高応答者として同定される)患者/対象での使用のためであり得る。本明細書中で使用される場合、「調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答を有すると予想される」ものとして又は「予想高応答者」として分類される対象は、調節卵巣刺激(COS)の標準的なプロトコール後に多数の卵胞又は卵母細胞を発生させる可能性が高い女性、例えば、15個以上の卵母細胞を産生する平均超の可能性を有する女性などを指す。女性が過去のART周期、例えば過去のCOS処置で、15個以上の卵母細胞を生成している場合、その女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性がOHSSを発症するリスクがあるとみなされる場合、その女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性は、Arce et al.,Fertility and Sterility 99:1644-53(2013)に記載のようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを使用して測定した場合の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清レベルが≧15pmol/L、例えば血清AMHレベルが≧35.7±0.5pmol/L(≧5.0±0.2ng/ml)であるか又は異なる方法により評価される同等のAMHレベルである場合に、予想される高応答者であると同定され得る。この使用/方法は、処置前に患者を高応答者であると同定するステップを含み得る。2,3-及び2,6-シアル酸付加を含むFSH(Rekovelle(登録商標)など)での高応答者の処置は、過剰応答ゆえにCOS周期のキャンセルにつながる可能性はあまりなく、出生率を向上させ得ると考えられる。
【0053】
さらなる態様では、出生の確率を向上させるための、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。この処置は、患者の年齢を決定するステップと、(出生の確率を組み換えFSHの投与により向上させるために)28歳以上、例えば30歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。熟練者は、例えば、依頼、質問などによる、患者の年齢の決定方法を容易に理解するであろう。好ましくは、患者は、28歳以上であるか又はそうであると判断されるか、例えば28~40歳であるか又はそうであると判断される女性患者である。より好ましくは、患者は、30歳以上であるか又はそうであると判断される者、例えば30~40歳であるか又はそうであると判断される女性患者である。例えば、本組成物は、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。別の例では、本組成物は、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者への投与のためであり得、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。最小用量は、6μgの組み換えFSH/日であり得る。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの例では、患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)日本民族の患者を同定するステップをさらに含み得る。いくつかの例では、患者は、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の患者を同定するステップをさらに含み得る。熟練者は、処置前に日本民族又はアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)であるものとして患者を同定するための、民族に関する情報の収集方法(例えば外観及び/又は質問による)を容易に理解するであろう。
【0054】
さらなる態様では、出生の確率を向上させるための、30~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む。本処置は、患者の年齢を決定するステップと、30~40歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。さらなる態様では、出生の確率を向上させるための30~37歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHはα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む。この処置は、患者の年齢を決定するステップと、30~37歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。さらなる態様では、出生の確率を向上させるための36~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHはα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む。この処置は、患者の年齢を決定するステップと、36~40歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。例えば、患者の血清AMHレベルは<15pmol/Lであり得、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この例では、この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。別の例では、患者の血清AMHレベルは≧15pmol/Lであり得、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この例では、この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含み得る。さらなる態様では、出生の確率を向上させるための、35~40歳の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHはα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lである場合、本組成物は、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lである場合、本組成物は、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである。この態様では、この使用は、患者の年齢を決定するステップと、35~40歳の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。この使用は、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、指定される血清AMHレベルを有する患者に指定される用量を投与するステップと、を含み得る。いくつかの例では、患者は、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)日本民族の患者を同定するステップをさらに含み得る。いくつかの例では、患者は、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である女性であり得る(例えばそうであるとして同定される)。この使用は、(例えば処置前に)アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の患者を同定するステップをさらに含み得る。熟練者は、処置前に日本民族又はアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)であるものとして患者を同定するための、民族に対する情報の収集方法(例えば外観及び/又は質問による)を容易に理解するであろう。さらなる態様では、出生の確率を向上させるための35歳以上、例えば36歳以上の女性患者における(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)が提供され、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、患者は日本民族又はアジア民族である。この使用は、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上の患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含み得る。態様では、組み換えFSHは、FSHの全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、FSHの全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である、組み換えFSHであり得る。従って、この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み得、ここで全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である。本組み換えFSHは、ヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHであり得る。
【0055】
本組成物(及び方法)は、高応答者として予想される(又は高応答者として同定される)患者/対象での使用のためであり得る。本明細書中で使用される場合、「調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答を有すると予想される」又は「予想される高応答者」として分類される対象は、調節卵巣刺激(COS)の標準的なプロトコール後に多数の卵胞又は卵母細胞を発生させる可能性が高い女性、例えば、15個以上の卵母細胞を産生する平均超の可能性を有する女性などを指す。女性が過去のART周期、例えば過去のCOS処置で、15個以上の卵母細胞を産生している場合、その女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性がOHSSを発症するリスクがあるとみなされる場合、その女性を予想高応答者であると同定し得る。さらに又は或いは、女性は、Arce et al.,Fertility and Sterility 99:1644-53(2013)に記載のようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを使用して測定した場合の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清レベルが≧15pmol/L、例えば血清AMHレベルが≧35.7±0.5pmol/L(≧5.0±0.2ng/ml)であるか又は異なる方法により評価される同等のAMHレベルである場合に、予想される高応答者であると同定され得る。この使用/方法は、処置前に患者を高応答者として同定するステップを含み得る。2,3-及び2,6-シアル酸付加を含むFSH(Rekovelle(登録商標)など)での高応答者の処置は、過剰応答ゆえにCOS周期のキャンセルにつながる可能性はあまりなく、出生率を向上させ得ると考えられる。
【0056】
調節卵巣刺激により不妊症について処置されている患者において早期妊娠喪失の可能性を低下させる方法も提供され、この方法は、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;この組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含み、調節卵巣刺激による不妊症のための患者の処置後の出生の確率を向上させる方法も提供し、この方法は、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;組み換えFSHはα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む。
【0057】
上述したように、組み換えFSHの投与は処置の第1日に開始され、2~20日間継続し得る。用量は毎日同じであり得る。しかし、患者の卵巣応答(例えば、超音波検査により測定される場合)に応じて用量が変動する可能性が高い。
【0058】
上述したように、組み換えFSH組成物(例えば医薬組成物)又は薬剤は、ステロイド、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニストなどの、rFSHによる処置の第1日の前に内因性ゴナドトロピン産生を抑制する、本明細書中で「組成物A」と呼ばれる(異なる)医薬組成物で患者を前治療した後に投与され得る。
【0059】
上述したように、一般的には、組み換えFSH組成物(例えば医薬組成物)又は薬剤は、最終的な卵胞成熟を誘導するために、高(排卵)用量のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)(例えば、4,000~11,000IUのhCG、例えば、5,000IUのhCG、10,000IUのhCGなど;又は150~500μgの組み換えhCG、例えば、250μgの組み換えhCG)を投与する前に投与されるか、又は投与するためのものである。従って、いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の方法は、高(排卵)用量のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の投与をさらに含む。
【0060】
上述したように、(不妊症の)処置及び使用は、卵母細胞を回収し(例えば採取し);卵母細胞を受精させ(例えば精子注入し);受精した卵母細胞を胚/胚盤胞期に発生させることをさらに含み得る。上述したように、不妊症の処置は、胚/胚盤胞の質を評価し、胚/胚盤胞の新鮮な移植又は後の移植のための胚/胚盤胞の凍結を行うことをさらに含み得る。
【0061】
上述した第1の態様と同様に、この態様による処置は、高(排卵)用量のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を投与し、任意選択により、卵母細胞を回収し(例えば採取し);卵母細胞を受精させ(例えば精子注入し);受精した卵母細胞を胚/胚盤胞期に発生させ、さらに任意選択により、胚/胚盤胞の質を評価し、胚/胚盤胞の新鮮移植又は後の移植のための胚/胚盤胞の凍結を行うことをさらに含み得る。さらに、又は或いは、処置は、処置に対する過剰反応(例えばOHSS)を監視及び/又は制御することをさらに含み得る。
【0062】
組み換えFSH及びrFSH組成物
上述したように、本明細書中に記載の方法及び組成物は、組み換えFSH(rFSH)を使用する。FSHは、他の糖タンパク質ホルモンであるLH及び絨毛性ゴナドトロピン(CG)にも共通である、92個のアミノ酸からなるアルファサブユニットと、ホルモンの生物学的特異性を付与するFSHに固有の111個のアミノ酸ベータサブユニットと、を含む(Pierce and Parsons,1981)。各サブユニットは、複合糖質残基の付加によって翻訳後修飾される。両サブユニットは、N結合型グリカン付着のための2つの部位、アミノ酸52及び78のアルファサブユニット、並びにアミノ酸残基7及び24のベータサブユニットを有する(Rathnam and Saxena,1975,Saxena and Rathnam,1976)。従って、FSHは約30質量%までグリコシル化される(Dias and Van Roey.2001.Fox et al.2001)。
【0063】
rFSH産物のグリコシル化は、宿主細胞系に存在するグリコシルトランスフェラーゼの範囲を反映する。改変されたCHO細胞に由来する市販のrFSH産物は、天然産物で見られるものよりも、より限定された範囲のグリカン修飾を有する。CHO細胞由来rFSHにおいて見出される減少したグリカン不均一性の例には、バイセクト型グルコサミンの欠如、並びにコアフコシル化及びアセチルラクトサミン伸長の含有量の減少が含まれる(Hard et al.,1990)。さらに、CHO細胞は、α2,3結合を使用してのみシアル酸を付加し得(Kagawa et al,1988,Takeuchi et al,1988,Svensson et al.,1990);CHO細胞由来のrFSHは、α2,3結合シアル酸のみを含み、α2,6結合シアル酸を含まない。従って、CHO細胞由来のrFSHは、α2,3結合型シアル酸が優勢な、α2,3結合型シアル酸及びα2,6結合型シアル酸の混合物を有するグリカンを含有する天然に産生されるFSH(例えば、ヒト下垂体/血清/尿中FSH)とは異なる。
【0064】
上述したように、出願人らは国際特許出願第PCT/GB2009/000978号パンフレット(国際公開第2009/127826A号パンフレットとして公開)の主題であり、またECによってREVOKELLE(登録商標)(ホリトロピンデルタ、FE999049としても知られている)として承認もされているヒト細胞株由来のrFSHを開発した。rFSHとα2,3シアリルトランスフェラーゼの両方を発現するようにヒト細胞株を改変することによって、α2,3結合シアル酸及びα2,6結合シアル酸の両方が混合した組み換えFSHを作製した。国際公開第2009/127826A号パンフレットとして公開された国際特許出願第PCT/GB2009/000978号パンフレットの主題であるヒト細胞株由来組み換えFSH(例えば、FE999049)のアミノ酸配列は天然のヒトFSH配列であるが、産物は異なるグリコシル化パターンを有する。発現された産物は酸性度が高く、α2,3結合シアル酸及びα2,6結合シアル酸の両方の混合物を有し、後者は、内因性シアリルトランスフェラーゼ活性によって提供される。シアル酸結合型のα2,3-又はα2,6-は、FSHの生物学的クリアランスに劇的な影響を及ぼし得ることが分かった。従って、REVOKELLE(登録商標)(例えばFE999049)はα2,3結合シアル酸のみを有するCHO細胞由来組み換え産物と比較してより生物学的に適切であり(Kagawa et al.,1988、Takeuchi et al.,1988、Svensson et al.,1990)、シアル酸含量が減少し得る(Ulloa-Aguirre et al.1995.,Andersen et al.2004)。
【0065】
従って、本明細書中に記載の方法及び組成物に従って使用される組み換えFSHは、PER.C6(登録商標)細胞株などのヒト細胞株で産生又は発現され得る。組み換えFSHは、PER.C6(登録商標)細胞株、PER.C6(登録商標)由来細胞株、又は改変PER.C6(登録商標)細胞株で産生又は発現され得る。PER.C6(登録商標)細胞株で産生又は発現される組み換えFSHには、(細胞株の)内因性シアリルトランスフェラーゼ活性によってもたらされるいくつかのα2,6結合シアル酸(α2,6シアル酸付加)が含まれ、内因性シアリルトランスフェラーゼ活性によってもたらされるいくつかのα2,3結合シアル酸(α2,3シアル酸付加)が含まれるであろう。α2,3シアリルトランスフェラーゼを用いて細胞株を改変し得る。α2,6シアリルトランスフェラーゼを用いて細胞株を改変し得る。或いは又はさらに、組み換えFSHは、(細胞株の)内因性シアリルトランスフェラーゼ活性によってもたらされるα2,6結合シアル酸(α2,6シアル酸付加)を含み得る。本明細書中で、「ヒト由来組み換えFSH」という用語は、ヒト細胞株において産生又は発現される組み換えFSH(例えば、ヒト細胞株を遺伝子操作することによって作製される組み換えFSH)を意味する。
【0066】
本明細書中に記載の方法及び組成物において使用される組み換えFSHは、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み得る。本発明による使用のための組み換えFSHの全シアル酸付加の1%~99%がα2,3-シアル酸付加であり得る。本発明による使用のための組み換えFSHの全シアル酸付加の1%~99%がα2,6-シアル酸付加であり得る。組み換えFSHは、全シアル酸付加の1%~50%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の50%~99%が2,3-シアル酸付加であり得る。例えば、全シアル酸付加の、80%~95%、例えば80%~90%、例えば82%~89%、例えば85%~89%が、α2,3-シアル酸付加であり得る。例えば、全シアル酸付加の、5%~20%、例えば10%~20%、例えば11%~18%、例えば11%~15%が、α2,6-シアル酸付加であり得る。一例では、組み換えFSHは、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%が2,3-シアル酸付加である。別の例では、組み換えFSHは、全シアル酸付加の50%~80%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の20%~50%が2,3-シアル酸付加である。
【0067】
本明細書中で、「シアル酸付加」は、組み換えFSH糖質構造に存在するシアル残基の量を意味する。当技術分野での使用と一致して、α2,3-シアル酸付加は、2,3位でのシアル酸付加を意味し、α2,6シアル酸付加は、2,6位でのシアル酸付加を意味する。従って、「全シアル酸付加の%がα2,3シアル酸付加であり得る」は、2,3位でシアル酸付加されているFSH(又はhCG)中に存在するシアル酸残基の総数の%を指す。「α2,6-シアル酸付加である全シアル酸付加の%」という用語は、2,6位でシアル酸付加されているFSH(又はhCG)中に存在するシアル酸残基の総数の%を指す。
【0068】
全ての態様において、rFSHは、単一のアイソフォームとして、又はアイソフォームの混合物として存在し得る。
【0069】
本組成物は、医薬組成物であり得る。本医薬組成物は、不妊症の処置のためである。不妊症の処置は、ARTの前にCOSを含み得る。本医薬組成物は、例えば、本明細書中で開示される方法及び処置プロトコールに従って、既知のFSH製剤が使用される医学的適応において使用され得る。
【0070】
組み換えFSH、組成物又は医薬組成物は、薬物投与の何れかの経路、例えば、経口、直腸、非経口、経皮(例えば、パッチ技術)、静脈内、筋肉内、皮下(例えば、皮下注射用)、嚢内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏若しくは点滴剤)のため又は口腔若しくは鼻腔スプレーとしてのよく知られた組成物に製剤化され得る。典型的な組成物は、特に、Remington’s Pharmaceutical Sciences fifteenth edition(Matt Publishing Company,1975)の1405~1412頁及び1461~87頁、並びにnational formulary XIV fourteenth edition(American Pharmaceutical Association,1975)に記載されているように、薬学的に許容可能な担体、例えば水溶液、無毒性賦形剤、例えば塩及び保存剤、緩衝剤などを含む。例えば、組み換えFSH、組成物又は医薬組成物は、皮下注射などの注射用に製剤化され得る。
【0071】
適切な水性及び非水性の医薬担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロース及びそれらの適切な混合物、植物油(例えばオリーブ油)並びにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。
【0072】
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤及び分散剤などであるが限定されない添加剤も含み得る。抗菌剤及び抗真菌剤は、微生物の増殖を防ぐために含まれ得、例えば、m-クレゾール、ベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などが挙げられる。保存剤が含まれる場合、ベンジルアルコール、フェノール及び/又はm-クレゾールが好ましいが;保存剤は決してこれらの例に限定されない。さらに、糖、塩化ナトリウム、アミノ酸などの等張剤を含むことが所望され得る。
【0073】
例えば、組成物又は薬剤は、組み換えFSH、並びにポリソルベート20、L-メチオニン、フェノール、及び塩酸アルギニンのうちの1種以上を含み得る。このような組成物は、皮下注射などの注射用に製剤化され得る。例えば、本組成物又は薬剤は、REKOVELLE(登録商標)製剤(賦形剤フェノール、ポリソルベート20、L-メチオニン、硫酸ナトリウム・十水和物、リン酸二ナトリウム十二水和物、リン酸[濃縮、pH調整用]、水酸化ナトリウム[pH調整用]及び注射用水を伴うrFSH)であり得る。
【0074】
注射製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通じた濾過によって、又は使用直前に滅菌水若しくは他の滅菌注射媒体に溶解又は分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。注射製剤は、何れかの適切な容器、例えば、バイアル、プレフィルドシリンジ、注射カートリッジなどで供給され得る。
【0075】
組み換えFSH、組成物又は薬剤は、単回使用又は複数回使用(複数回投与)用に製剤化され得る。組み換えFSH、組成物又は薬剤が複数回使用用に製剤化される場合、通常、1種以上の保存剤が含まれる。保存剤が含まれる場合、ベンジルアルコール、フェノール又はm-クレゾールが好ましいが;保存剤は決してこれらの例に限定されない。単回使用又は複数回使用の製剤化された組成物又は薬剤は、アミノ酸又はアミノ酸の組み合わせをさらに含み得る。一般的に、アミノ酸はアルギニンであり、例えば、アルギニンとして、又はより一般的には塩酸アルギニンとして添加される。
【0076】
組み換えFSH、組成物又は薬剤は、バイアル、プレフィルドカートリッジ(例えば、単回投与用若しくは複数回使用用)、又は、例えば、複数回投与用の「ペン」などの注射器具などの容器に含まれ得る。
【0077】
組み換えFSH、組成物又は医薬組成物は、rFSHを含む製剤(例えば注射製剤)であり得る。
【0078】
組み換えFSH、組成物又は薬剤は、何らかの適切なパッケージ中で供給され得る。例えば、組成物又は薬剤は、FSHを含有する多数の容器(例えばプレフィルドシリンジ又はバイアル)を含み得る。シリンジ又はバイアルは、ブリスターパッケージ又は無菌性を維持する他の手段で包装され得る。何れの組成物又は薬剤も、任意選択により、FSH製剤を使用するための説明書を含み得る。
【0079】
本医薬組成物の種々の成分のpH及び正確な濃度は、この分野における日常的な業務に従って調整される。GOODMAN and GILMAN’s THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICES,7thed.を参照されたい。典型的な実施形態では、組み換えFSH、組成物又は薬剤は、非経口投与用組成物として供給される。非経口製剤の一般的な調製方法は、当技術分野で公知であり、REMINGTON;THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、前掲、780~820頁に記載されている。非経口組成物は、液体製剤で、又は投与の直前に滅菌注射媒体と混合される固体として供給され得る。非経口組成物は、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、単位剤形で供給され得る。
【0080】
さらなる態様では、本明細書中に記載のような使用のための薬剤の製造における組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)の使用が提供される。
【0081】
さらなる態様を以下の実施例において説明するが、これらはいかなる点においても限定的ではない。
【実施例
【0082】
次の実施例は、国際公開第2013/020996号パンフレット及び国際公開第2009/127826A号パンフレットで開示される方法によって改変されたPER.C6(登録商標)細胞株において発現される組み換えFSHである、REKOVELLE(登録商標)、ホリトロピンデルタを使用する。
【0083】
REKOVELLE(登録商標)の市販承認取得者は、Ferring Pharmaceuticals A/S of Kay Fiskers Plads 11,2300 Copenhagen S,Denmarkであり、UKでは、Ferring Pharmaceuticals of Drayton Hall,Church Road,West Drayton,UB7 7PS,UKから入手可能である。
【0084】
REKOVELLE(登録商標)中の活性物質は、ホリトロピンデルタ(FE999049)である。REKOVELLE(登録商標)は、高度にシアル酸付加されており、α2,3-シアル酸付加及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の約85~90%がα2,3-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の約10~15%がα2,6-シアル酸付加である。
【0085】
REKOVELLE(登録商標)は、注射用(注射)の無色透明の溶液である。1ミリリットルの溶液は、各1ミリリットルの溶液中に33.3マイクログラムのホリトロピンデルタを含有する。他の成分は、フェノール、ポリソルベート20、L-メチオニン、硫酸ナトリウム十水和物、リン酸二ナトリウム十二水和物、濃リン酸、水酸化ナトリウム及び注射用水である。
【0086】
実施例1:生殖補助医療プログラムを受けている日本人女性での調節卵巣刺激法におけるFE999049(Rekovelle(登録商標))の有効性及び安全性を評価する、ランダム化比較、評価者盲検、多施設試験
材料及び方法
試験計画
この試験は、臨床試験登録番号:NCT03228680(clinicaltrials.gov)を有する。
【0087】
これは、日本の17カ所の治験実施医療機関で行われた、個別化ホリトロピンデルタ投薬と従来からのホリトロピンベータ投薬とのランダム化比較、評価者盲検、多施設、非劣性試験であった。治験実施計画書(第000273番)が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に通知され、全ての参加施設をカバーする治験審査委員会により承認された。治験は、ヘルシンキ宣言の原則、International Council for Harmonisation Guidelines for Good Clinical Practice、日本の優良臨床試験基準及び現地の規制要件に従い行われた。参加者は全て、書面のインフォームドコンセントを提出した。
【0088】
集団
本治験に適格であるのは、初回IVF/ICSI周期を受けている、卵管性不妊症、原因不明の不妊症、子宮内膜症ステージI/IIに関連する不妊症と診断されているか、又はパートナーが男性要因の不妊症と診断されている20~40歳の日本人女性であった。さらなる主要な組み入れ基準は、体格指数が17.5~32.0kg/mであり、通常の月経周期が24~35日であり、両卵巣があり、卵胞期前期卵胞刺激ホルモン(FSH)血清濃度が1~15IU/Lであることであった。主要な除外基準は、子宮内膜症ステージがIII/IVであること、反復性の流産の病歴及びランダム化の前の最終月経周期中のホルモン製剤の使用(甲状腺投薬を除く)であった。スクリーニング時に血清抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベルを限定する適格性基準はなかった。全ての組み入れ/除外基準を下記の補足表1で挙げる。
【0089】
独立した統計学者により準備された中央コンピュータ生成ランダム化シークエンスを介して、女性を1:1の比でランダムに割り当てた。スクリーニング時のAMHレベル(<15pmol/L及び≧15pmol/L)に従って、ランダム化は、施設により層別化され、治験実施施設内で4つのブロックにおいて行われた。全ての治験責任医師、エンブリオロジスト及び中央検査機関の職員は、本治験全体を通じて処置の割り付けについて盲検化された。
【0090】
ホリトロピンデルタ(Rekovelle、72μg/2.16mL,Ferring Pharmaceuticals)にランダムに割り付けられた女性に、スクリーニング時の血清AMHレベル及びランダム化時の体重により決定された固定1日皮下(SC)用量を与えた(AMH<15pmol/L:12μg;AMH≧15pmol/L:0.10~0.19μg/kg;最小1日用量は6μgであり;最大1日用量は12μgであった)。電子ケースレポートフォームにおいてホリトロピンデルタ投薬アルゴリズム(捕捉表2で詳述)をプログラム化し、それにより用量を計算した。刺激期間全体を通じて、割り当てられた1日用量を固定した(即ち、刺激中に用量調整なし)。
【0091】
ホリトロピンベータ(Follistim、900IU/1.08mL、MSD K.K.)にランダムに割り付けられた女性に、ラベル表記(20)及び国際推奨(21)と合致して、150IUの1日SC標準用量(15μgのホリトロピンベータ(19)とも表現される)を最初の5日間投与し;その後、治験責任医師の判断で、刺激中の個々の応答に基づいて、その用量を75IU、上下に調整し得、最大1日用量として375IUが可能であった。
【0092】
月経周期の第2~3日に、ホリトロピンデルタ又はホリトロピンベータの何れかを用いたCOSに女性をランダムに割り付けた。早期の黄体ホルモン(LH)サージを防ぐために、0.25mgの1日用量のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニスト(Ganirest,MSD K.K.)を第6日に開始し、刺激期間全体を通じて継続した。直径≧17mmの≧3個の卵胞が観察されたとき、5,000IUの尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG FUJI,Fuji Pharma)を用いて最後の卵胞成熟の誘発を行った。卵巣応答が乏しい場合(直径≧17mmの≧3個の卵胞が第20日までに達成され得なかった)、この周期をキャンセルした。卵巣応答が過剰であった場合(≧25個の卵胞が直径≧12mm)、25~35個の卵胞の直径が≧12mmであった女性には、GnRHアゴニスト(地元の入手可能性に従い、施設の特定の手順に従う用量で、600μgのスプレキュア、600μgのブセレキュア及び800μgのナファレリル)を投与し得るか、又は治験責任医師の判断に従ってサイクルをキャンセルし得、一方で>35個の卵胞の直径が≧12mmである場合はサイクルをキャンセルすべきとした。
【0093】
AMH、FSH、LH、エストラジオール、インヒビンB、インヒビンA及びプロゲステロンの評価のために治験中に血液試料を回収した。適格性を評価し、ランダム化階層を決定するためにスクリーニング時にAMHの血清濃度を測定した。Roche Diagnosticsからの自動Elecsys(登録商標)AMHアッセイを使用して、中央検査室でAMHを測定した。内分泌パラメーター(FSH、LH、エストラジオール、インヒビンB、インヒビンA及びプロゲステロン)の評価のための血清試料を刺激開始時、刺激第6日及び刺激終了時に回収し、中央検査室で分析した。
【0094】
最終卵胞成熟の誘発後36h(±2h)で卵母細胞を回収し、パートナーからの射精された精子を使用してIVF又はICSIにより受精させた。質が最も良好な胚盤胞を卵母細胞回収後第5日に移植し、一方で残った胚盤胞を凍結保存し得た。GnRHアゴニストでの誘発を受けた女性に対して、移植は行わず、全ての胚盤胞を凍結保存した。
【0095】
必要に応じて、卵母細胞回収の翌日から臨床妊娠来院の日まで、黄体期サポートのために膣プロゲステロン錠(Lutinus,Ferring Pharmaceuticals)100mgを1日3回提供した。胚盤胞移植後13~15日にβhCG検査を行った(月経があった女性に対してはより早期の評価を受け入れた)。臨床妊娠(少なくとも1個の子宮内又は異所性胎嚢として定義)及びバイタルな妊娠(vital pregnancy)(胎児心拍がある少なくとも1個の子宮内胎嚢として定義)を評価するために、「臨床妊娠来院」時に胚盤胞移植後5~6週間で経腟超音波検査を行った。継続妊娠(胚盤胞移植後10~11週間での少なくとも1個の子宮内の生存胎児として定義)及び新生児の健康を含む妊娠アウトカムについての情報のために、出生後4週間まで全ての妊娠を追跡した。治験終了来院まで署名があるインフォームドコンセントから有害事象を記録した。1日3回、即ち、各注射後すぐ、30分後、24時間後に、SC投与後のホリトロピンデルタ及びホリトロピンベータの局所的忍容性を女性が評価し、日記に記録した。注射部位の反応(発赤、かゆみ、疼痛、腫脹及び皮下出血)を、なし、軽度、中程度及び重度として評価した。
【0096】
治験アウトカム
主要エンドポイントは、FSH作用の直接的薬力学パラメーターとして回収された卵母細胞の数であった。事前指定された有効性副次エンドポイントには、とりわけ、リスク集団(<15pmol/Lの女性に対して回収された卵母細胞が<4個及び≧15pmol/Lの女性に対して回収された卵母細胞が≧15個又は≧20個として定義)における、刺激持続時間、総ゴナドトロピン用量、回収された卵母細胞の数の分布、極度の卵巣応答、重要な副次エンドポイントとしての臨床妊娠を含む妊娠アウトカム及び出生率が含まれた。安全性評価には、有害事象、早期及び後期OHSS、早期OHSSに対する予防的な介入、過剰な卵巣応答/OHSSリスクによる周期キャンセル又は胚盤胞移植キャンセル及び局所的な忍容性が含まれた。Golan’s classification system(22)に従い、グレード(1、2、3、4又は5)及びレベル(軽度、中程度又は重度OHSS)によってOHSSの全てのケースを分類した。早期OHSSは、最終卵胞成熟の誘発後≦9日での発症として定義され、後期OHSSは、最終卵胞成熟の誘発後>9日での発症として定義された。予防的介入には、GnRHアゴニストでの最終卵胞成熟を誘発する過剰卵巣応答による周期キャンセル又は≧20個の卵胞が≧12mmである女性におけるドーパミンアゴニストの投与が含まれた。
【0097】
結果
総数347名の日本人女性をランダムに割り付け、曝露し、そのうち170名を個別化ホリトロピンデルタ投薬で処置し、177名を従来のホリトロピンベータ投薬で処置した。
【0098】
個別化ホリトロピンデルタ投薬は、回収された卵母細胞の数に関して、従来のホリトロピンベータに対して非劣性であった。全体的に、8~14個の卵母細胞が回収された女性の割合において処置群間で差はなかった(40.8%個別化ホリトロピンデルタ対42.8%ホリトロピンベータ)。
【0099】
OHSSの発生率は、OHSS(早期及び後期を合わせて、11.2%対19.8%)、中程度/重度OHSS(7.1%対14.1%)、OHSS及び/又は予防的介入(11.8%対22.0%)及び中程度/重度OHSS及び/又は予防的介入(8.2%対17.5%)を含め、個別化されたホリトロピンデルタの場合の方が、ホリトロピンベータの場合よりも低かった(全てP<.05)。早期OHSS及び/又は早期OHSSに対する予防的介入の発生率は、ホリトロピンベータでの20.9%から、ホリトロピンデルタによって10.6%まで顕著に低下した(p<0.01)。
【0100】
早期妊娠喪失
早期妊娠喪失は一般に、継続妊娠前に起こった妊娠喪失として定義される。本明細書中で、早期妊娠喪失は、胚盤胞移植後13~15日に行われる妊娠検査陽性と胚盤胞移植後10~11週間での妊娠のその後の評価(例えば経腟超音波による)との間に起こる妊娠喪失として定義される。治験におけるβhCG来院と胚盤胞移植後10~11週間での(例えば経腟超音波による)その後の妊娠評価との間の早期妊娠喪失を次の表で示す:
【0101】
【表1】
【0102】
βhCG来院から臨床妊娠来院までの早期妊娠喪失は、Rekovelle及びFollistim群においてβhCG検査陽性の対象のそれぞれ20.0%及び34.6%で報告された。
【0103】
出生率
出生は、本明細書中で「少なくとも1名の生存新生児の誕生」として定義される。本治験の2つのアームに対する出生率を次の表で示す:
【0104】
【表2】
【0105】
従って、ホリトロピンデルタの投薬には、この集団において、ホリトロピンベータと比較して、顕著な出生率の改善が付随する。実施例1の治験に対するRekovelleでの出生率の改善(Gonal Fを凌ぐ)(上記の表を参照)は26.34%である。
【0106】
結論
従って、日本人IVF/ICSI患者における個別化されたホリトロピンデルタの投薬は、早期妊娠喪失及び出生率に関してホリトロピンベータよりも優れており、ゴナドトロピンの微調整の結果、リスクがある患者における卵巣応答が調整され、臨床アウトカムに良い影響を与え得ることを示した。
【0107】
実施例2
ホリトロピンデルタをホリトロピンアルファ(CHO細胞由来のGonal F)と比較する、中国人患者を含む汎アジア人(中国、韓国、台湾、ベトナム)の患者集団(1109名の患者)における同様の治験は、同様の結果となった。
【0108】
これは、初回IVF/ICSI周期を受けている、中国大陸、韓国、ベトナム及び台湾からのアジア人患者において行われた、ランダム化比較評価者盲検試験であった。ランダム化を年齢により層別化した(<35、35~37、38~40歳)。主要エンドポイントは、移植後10~11週間での継続妊娠の評価であった(非劣性限界-10.0%;年齢層に対して分析を調整)。<35歳の患者に対しては、質が良好な胚が利用可能な場合は単一胚移植を行い、そうでない場合は、2個胚移植を行った。≧35歳の患者に対しては2個胚移植を行った。
【0109】
本治験の主目的は、調節卵巣刺激を受けている女性での継続妊娠率に関して、GONAL-Fの場合と比較して、FE999049の非劣性を明らかにすることであった。
【0110】
これは、活性比較剤としての承認済みのゴナドトロピン製剤であるGONAL-Fを使用した、ランダム化比較試験であった。これは、単回治療サイクルに限定された並行群計画であった。この治験は、オープンラベルであったが、評価者盲検であった。この治験は、多施設汎アジア試験であった。この設定によって、合理的な時間内に求められる対象数を動員し得、また、それが結果のその後の一般化を促進することにおいて長所があることが確実となった。
【0111】
この治験は、継続妊娠率に関する、GONAL-Fに対するFE999049の非劣性を明らかにするために設計された。
【0112】
GnRHアンタゴニストプロトコール後、対象のAMHレベル及び体重に基づくFE999049の個別化された投与計画を用いて、又はGONAL-Fのラベル表示で推奨される投薬計画により、対象が調節卵巣刺激を受けた。この治験における刺激期間全体を通じて1日のFE999049(ホリトロピンデルタ)用量を固定し、実施例1と同一であった。最初の5日の刺激日にわたり1日GONAL-F用量を固定し、その後、個々の応答に基づき、これを75IU/日、調整し得、これは、表示における推奨内であった。いくつかの内分泌パラメーターの評価のための経腟超音波及び血液試料採取による卵巣応答の監視を刺激中に定期的に行った。
【0113】
提案される指示に対して標的集団で使用される手順を反映するIVF又はICSIの何れかによって卵母細胞に受精させた。胚を3日間培養し、卵母細胞回収から移植日まで胚発生を評価し、卵割期まで胚発生の評価を可能にした。この治験における培養時間は、卵母細胞回収後第3日に移植が行われることが最も一般的であるアジアでの臨床診療に適応させた。
【0114】
このプロトコールは、年齢に応じて、少なくとも1個の良質な胚が利用可能である全女性に対して第3日に単一胚移植又は2個胚移植を求めた。
【0115】
子宮内膜の黄体期サポートは、膣プロゲステロンを介してもたらされた。
【0116】
妊娠アウトカムに関する情報を収集するために、出生まで継続妊娠を達成した対象を追跡した。さらに、出生時及び出生後4週間での新生児健康データを集める。
【0117】
本治験の2つのアームに対する出生率を次の表で示す:
【0118】
【表3】
【0119】
従って、ホリトロピンデルタでの投薬は、この集団において、ホリトロピンアルファと比較して、出生率の顕著な改善及び早期妊娠喪失の低下と関連づけられる。実施例2の治験での全集団に対するRekovelleでの(Gonal Fを凌ぐ)出生率の改善(上記の表を参照)は26.72%である。
【0120】
継続妊娠率は、ホリトロピンデルタ(Rekovelle)で31.3%であり、ホリトロピンアルファ(Gonal F)で25.7%であった(調整後の差5.4%[95%CI:-0.2%;11.0%])。出生率は、ホリトロピンアルファの場合の24.7%と比較して、ホリトロピンデルタでは、顕著により高く31.3%であった(調整後の差6.4%[95%CI:0.9%;11.9%];p<0.05)。出生率/年齢層別は、ホリトロピンデルタ及びホリトロピンアルファに対してそれぞれ次の通り;<35歳:31.0%対25.0%、35~37歳:35.3%対26.7%、38~40歳:20.0%対14.3%であった。38~40歳群は、ホリトロピンデルタでは出生の39.8%の改善があり(20%対14.3%)、一方で35~37歳群は、32.2%の改善(35.3%対26.7%)があり、<35歳では24%の改善(31.0%対25.0%)がある。従って、ホリトロピンデルタで見られる出生率の改善は、年齢層が高いほど大きい。
【0121】
実施例2の汎アジア治験に対する、年齢により層別化したRekovelle(ホリトロピンデルタ)及びGonal F(ホリトロピンアルファ)で処置した患者に対する出生率。実施例1及び実施例2の治験における集団全体に対するRekovelleとGonal-Fとの間の相対的な差(即ち、Gonal Fと比較してRekovelleで出生率が改善)は、それぞれ26.34%及び26.72%である。出願人は、実施例2の汎アジア治験において、RekovelleとGonal-Fとの間の相対的な差は、28歳以上の患者において集団全体に対する値(26.72%)を上回って顕著に上昇し始め(26.72%と比較して、相対的な差31.4%)、30歳以上の患者で特に顕著である(26.72%と比較して、51.2%)ことを見出し、これにより、ホリトロピンデルタで見られる出生率の改善が28歳以上の患者でより大きく、30歳以上の患者でさらにより改善されるという主張が裏付けられる。
【0122】
早期OHSS及び/又は早期OHSSに対する予防的介入の発生率は、ホリトロピンアルファでの9.6%からホリトロピンデルタでの5.0%に有意に(p<0.01)低下した。
【0123】
採取された卵母細胞の数は、ホリトロピンデルタでは10.0±6.1個であり、ホリトロピンアルファでは12.4±7.3個であった。個別化されたホリトロピンデルタの投薬の結果、従来のホリトロピンアルファ投薬と比較して、潜在的な低応答者(AMH<15pmol/L)においては卵母細胞が2個多くなり(9.6±5.3個対7.6±3.5個)、潜在的な高応答者(AMH≧15pmol/L)では卵母細胞が3個少なくなった(10.1±6.3個対13.8±7.5個)。AMH≧15pmol/Lの患者の中で、従来の投薬よりも個別化された投薬では過剰な応答が起こる頻度は少なかった(≧15個の卵母細胞:20.2%対39.1%;≧20個の卵母細胞:6.7%対18.5%)。
【0124】
総ゴナドトロピン用量は、ホリトロピンアルファでの109.9±32.9μgからホリトロピンデルタでの77.5±24.4μgに低下した。
【0125】
要約
CHO細胞由来rFSHとREKOVELLE(登録商標)を比較する治験において、出願人らは、予想外に、CHO細胞由来rFSH(実施例1)で処置したβhCG検査陽性の対象では早期妊娠喪失が34.6%であったことと比較して、REKOVELLE(登録商標)で処置されたβhCG検査陽性の対象の20%について早期妊娠喪失が報告されたことを見出した。アジア人(中国人、台湾人、ベトナム人及び韓国人)患者集団での同様の汎アジア治験(実施例2)において同様の結果が見られ、これらの大規模第III相臨床試験で示される効果が全ての患者集団で示されるであろうと考えられる。同様に、これらの日本人及び汎アジア人治験は、REKOVELLE(登録商標)処置により、CHO細胞由来rFSHでの処置と比較して、出生の確率が向上し、この効果は患者の年齢が高いほど顕著であることを示した。
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
本明細書中、上記で、以下の番号付けされた段落によって定義される組成物、使用のための組成物、使用及び方法を開示してきた。
1.調節卵巣刺激により不妊症のために処置される患者での早期妊娠喪失の可能性を低下させることにおける使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、組成物。
2.調節卵巣刺激による不妊症のための処置後の出生の確率を向上させることにおける使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば、全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、組成物。
3.患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、11~13μgの組み換えFSH/日の用量又はこれと同等の用量で投与されるべきである、段落1又は2に記載の使用のための組成物。
4.使用が、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落3に記載の使用のための組成物。
5.患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落1又は2に記載の使用のための組成物。
6.使用が、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落5に記載の使用のための組成物。
7.患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)、段落1~6の何れかに記載の使用のための組成物。
8.患者がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者である(例えばそうであるとして同定される)、段落1~7の何れかに記載の使用のための組成物。
9.組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である、段落1~8の何れかに記載の使用のための組成物。
10.組み換えFSHが、ヒト細胞株において作製されたか又は発現された組み換えFSHである、段落1~9の何れかに記載の使用のための組成物。
11.調節卵巣刺激により不妊症のために処置される患者における早期妊娠喪失の可能性を低下させる方法であって、組み換えFSHを含む薬学的有効量の組成物を患者に投与することを含み;組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、方法。
12.調節卵巣刺激による不妊症のための患者の処置後の出生の確率を向上させる方法であって、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み、組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、方法。
13.患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、組成物が、11~13μgの組み換えFSH/日の用量又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落11又は12に記載の方法。
14.患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落13に記載の方法。
15.患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、組成物が、0.09~0.19μg組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落11又は12に記載の方法。
16.患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落15に記載の方法。
17.患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)、段落11~16に記載の方法。
18.患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者である(例えばそうであるとして同定される)、段落11~16の何れかに記載の方法。
19.組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である、段落11~18の何れかに記載の方法。
20.組み換えFSHが、ヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである、段落11~19の何れかに記載の方法。
21.出生の確率を向上させるための、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、組成物。
22.使用が、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含む、段落21に記載の使用のための組成物。
23.患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、組成物が、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落21又は22に記載の使用のための組成物。
24.使用が、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落23に記載の使用のための組成物。
25.患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落21又は22に記載の使用のための組成物。
26.使用が、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落25に記載の使用のための組成物。
27.患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)、段落1~26の何れかに記載の使用のための組成物。
28.患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である女性である(例えばそうであるとして同定される)、段落1~27の何れかに記載の使用のための組成物。
29.組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である、段落1~28の何れかに記載の使用のための組成物。
30.組み換えFSHが、ヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである、段落1~29の何れかに記載の使用のための組成物。
31.35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者の(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置後の出生の確率を向上させる方法であって、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、方法。
32.患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含む、段落31に記載の方法。
33.35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば38~40歳の女性患者における(例えば出生の確率を向上させるための、例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置の方法であって、患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば38~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含み、組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、方法。
34.患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、組成物が、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、任意選択により、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落31、32又は33に記載の方法;又は、患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、組成物が、0.09~0.19μg組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、任意選択により、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落31、32又は33の何れかに記載の方法。
35.患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)か;又は患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者であり(例えばそうであるとして同定され);
及び/又は組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加であり;及び/又は組み換えFSHが、ヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである、段落31~34の何れかに記載の方法。
36.出生の確率を向上させるための、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加である、例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、組成物。
37.使用が、患者の年齢を決定するステップと、28歳以上、例えば30歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に組み換えFSHを投与するステップと、を含む、段落36に記載の使用のための組成物。
38.患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、組成物が、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落36又は37に記載の使用のための組成物。
39.使用が、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落38に記載の使用のための組成物。
40.患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、段落36又は37に記載の使用のための組成物。
41.使用が、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落40に記載の使用のための組成物。
42.患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)、段落36~41の何れかに記載の使用のための組成物。
43.患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者である(例えばそうであるとして同定される)、段落36~42の何れかに記載の使用のための組成物。
44.組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である、段落36~43の何れかに記載の使用のための組成物。
45.組み換えFSHがヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである、段落36~44の何れかに記載の使用のための組成物。
46.28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者の(例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置後の出生の確率を向上させる方法であって、薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を患者に投与することを含み;組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、方法。
47.患者の年齢を決定するステップと、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含む、段落46に記載の方法。
48.28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の女性患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者における(例えば、出生の確率を向上させるための、例えば調節卵巣刺激による)不妊症の処置の方法であって、患者の年齢を決定するステップと、28歳以上、例えば30歳以上、例えば31歳以上、例えば32歳以上、例えば33歳以上、例えば35歳以上、例えば36歳以上、例えば37歳以上、例えば38歳以上の患者、例えば28~40歳の女性患者、例えば30~40歳の女性患者に薬学的有効量の組み換えFSHを含む組成物を投与するステップと、を含み;組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加(例えば全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)を含む、方法。
49.患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、組成物が、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、任意選択により、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落46、47又は48に記載の方法;又は患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、組成物が、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、任意選択により、患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に用量を投与するステップと、を含む、段落11~13の何れかに記載の方法。
50.患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)か;又は患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者であり(例えばそうであるとして同定される);及び/又は
組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加であり;及び/又は組み換えFSHが、ヒト細胞株において産生されたか又は発現された組み換えFSHである、段落46~49の何れかに記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出生の確率を向上させるための30~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項2】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、30~40歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
出生の確率を向上させるための30~37歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項4】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、30~37歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
出生の確率を向上させための36~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項6】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、36~40歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、請求項5に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lであり、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、任意選択により、前記使用が、前記患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが<15pmol/Lである患者に前記用量を投与するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、任意選択により、前記使用が、前記患者の血清AMHレベルを決定するステップと、血清AMHレベルが≧15pmol/Lである患者に前記用量を投与するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
出生の確率を向上させるための35~40歳の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、前記患者の血清AMHレベルが<15pmol/Lである場合、11~13μgの組み換えFSH/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきであり、前記患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lである場合、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量で、又はそれと同等の用量で投与されるべきである、組成物。
【請求項10】
前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、35~40歳の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、及び/または、
前記使用が、前記患者の血清AMHレベルを決定するステップと、指定される血清AMHレベルを有する患者に指定される用量を投与するステップと、を含む、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記患者が、日本民族の女性、例えば両親が日本民族である女性である(例えばそうであるとして同定される)、か、又は
前記患者が、アジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)の女性、例えば両親がアジア民族(例えば中国人、台湾人、ベトナム人又は韓国人)である患者である(例えばそうであるとして同定される)、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
出生の確率を向上させるための、35歳以上、例えば36歳以上の女性患者における不妊症の処置での使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHがα2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み、前記患者が日本民族又はアジア民族であり、任意選択により、前記使用が、前記患者の年齢を決定するステップと、35歳以上、例えば36歳以上の患者に前記組み換えFSHを投与するステップと、を含む、組成物。
【請求項13】
調節卵巣刺激により不妊のために処置される患者での早期妊娠喪失の可能性を低下させることにおける使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含む、組成物。
【請求項14】
調節卵巣刺激による不妊のための処置後の出生の確率を向上させることにおける使用のための組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物であって、前記組み換えFSHが、α2,3-及びα2,6-シアル酸付加を含み;前記患者の血清AMHレベルが≧15pmol/Lであり、前記組成物が、0.09~0.19μgの組み換えFSH/kg患者体重/日の用量又はそれと同等の用量で投与されるべきである、組成物。
【請求項15】
前記FSHの全シアル酸付加の1%~60%がα2,6-シアル酸付加であり、前記FSHの全シアル酸付加の40%~99%がα2,3-シアル酸付加であり、例えば、前記全シアル酸付加の5%~20%がα2,6-シアル酸付加であり、前記全シアル酸付加の80%~95%がα2,3-シアル酸付加である)及び/又は前記組み換えFSHが、ヒト細胞株において産生又は発現された組み換えFSHである、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【国際調査報告】