(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】医用画像内のアーチファクトの低減
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61B6/03 360E
A61B6/03 350Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534957
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021084163
(87)【国際公開番号】W WO2022122582
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブレンデル ベルンハルト ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA13
4C093FD01
4C093FF21
4C093FF50
(57)【要約】
コンピュータ断層撮影(CT)画像内のコーンビームアーチファクトの影響を表すアーチファクト推定画像を生成するメカニズムである。これは、CT画像を生成したCTシステムの回転軸に平行なCT画像の軸における勾配(強度の急激な変化)の位置を特定することによって実現される。各勾配は、コーンビームアーチファクトの発生源を表す。ルックアップテーブルを使用して、勾配の特定された各位置の周囲の領域に対するコーンビームアーチファクトの影響を個別に特定して、アーチファクト推定画像を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表すアーチファクト推定画像を生成するコンピュータ実施方法であって、
個人のコンピュータ断層撮影画像を取得するステップを含む、コンピュータ実施方法において、
前記コンピュータ実施方法は更に、
前記コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の位置を特定するステップであって、前記勾配は、前記コンピュータ断層撮影画像の第1の軸に平行な方向における所定の距離にわたる前記コンピュータ断層撮影画像のピクセル値の大きさの、所定値よりも大きい変化であり、前記第1の軸は、前記コンピュータ断層撮影画像を生成したコンピュータ断層撮影システムの回転軸を表す、勾配の位置を特定するステップと、
各勾配について、アーチファクト推定画像に対する前記勾配の相対位置を特定するステップと、
前記アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置と、前記勾配によって引き起こされるコーンビームアーチファクトからもたらされる強度値の変化を表す値とを相関させるルックアップテーブルを取得するステップと、
前記コンピュータ断層撮影画像の前記1つ以上の勾配の特定された前記位置と前記ルックアップテーブルとを処理することによって、前記コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトによって引き起こされる強度の前記変化を表すアーチファクト推定画像を生成するステップと、
を含むことを特徴とする、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記アーチファクト推定画像に対する前記勾配の相対位置を特定するステップは、前記コンピュータ断層撮影画像から前記アーチファクト推定画像にマッピングされた勾配の、前記アーチファクト推定画像内の位置を決定するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記アーチファクト推定画像内の前記勾配の前記相対位置は、前記アーチファクト推定画像内の前記勾配のピクセル位置を含む、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの前記予測される影響は、前記アーチファクト推定画像内の前記勾配の前記相対位置からの距離に応じて変化する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの前記予測される影響は、前記アーチファクト推定画像内の前記勾配の前記相対位置からの、少なくとも1つの軸に対する方向に応じて変化する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記コンピュータ断層撮影画像から前記アーチファクト推定画像を減算することによって、修正されたコンピュータ断層撮影画像を生成するステップを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記アーチファクト推定画像を生成するステップは、
前記1つ以上の勾配の特定された前記位置と前記ルックアップテーブルとを処理することによって、初期アーチファクト推定画像を生成するステップであって、前記初期アーチファクト推定画像は、前記コンピュータ断層撮影画像とは異なる解像度を有している、初期アーチファクト推定画像を生成するステップと、
前記コンピュータ断層撮影画像の前記解像度に合わせるために、前記初期アーチファクト推定画像をリサンプリングするステップと、
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記初期アーチファクト推定画像は、前記コンピュータ断層撮影画像よりも低い解像度を有し、前記初期アーチファクト推定画像をリサンプリングするステップは、前記初期アーチファクト推定画像をアップサンプリングするステップを含む、請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記1つ以上の勾配の位置を特定するステップは、
前記コンピュータ断層撮影画像内の各勾配を特定するステップと、
特定された前記勾配の大きさに基づいて、特定された前記勾配のうちの1つ以上からなるサブセットを選択するステップと、
1つ以上の勾配からなる前記サブセットの位置を特定するステップと、
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
各勾配について、前記アーチファクト推定画像に対する前記勾配の相対位置を特定するステップ、及び前記アーチファクト推定画像を生成するステップは、
特定された各勾配について、
前記コンピュータ断層撮影画像内の前記勾配の前記位置に基づいて、前記アーチファクト推定画像内の特定された前記勾配の相対位置を決定するステップと、
前記アーチファクト推定画像の前記ピクセルに対する、特定された前記勾配によって表される発生源を有するコーンビームアーチファクトの予測される影響を決定するために、前記ルックアップテーブル及び前記アーチファクト推定画像内の前記勾配の決定された前記相対位置を使用するステップと、
を含み、
前記アーチファクト推定画像の各ピクセルにおける任意のコーンビームアーチファクトの決定された前記予測される影響を組み合わせて、前記アーチファクト推定画像を生成するステップを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記アーチファクト推定画像を生成するステップは、特定された各勾配について、特定された前記勾配の大きさに基づいて、前記コーンビームアーチファクトの前記予測される影響を重み付けするステップを含む、請求項10に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
コンピュータ断層撮影画像を解析するコンピュータ実施方法であって、
請求項1から11のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法を実行することによって、コンピュータ断層撮影画像と、前記コンピュータ断層撮影画像の前記アーチファクト推定画像とを取得するステップと、
前記コンピュータ断層撮影画像及び前記アーチファクト推定画像を、機械学習方法への入力として提供するステップと、
前記機械学習方法を使用して、前記コンピュータ断層撮影画像及び前記アーチファクト推定画像を処理することによって、前記コンピュータ断層撮影画像を解析するステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコード手段は、処理システムを有するコンピューティングデバイス上で実行されると、前記処理システムに、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の全てのステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表す画像を生成するコンピュータ実施処理システムであって、
個人のコンピュータ断層撮影画像を取得する、コンピュータ実施処理システムにおいて、
前記コンピュータ実施処理システムは更に、
前記コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の位置を特定することであって、勾配は、前記コンピュータ断層撮影画像のz軸に平行な方向における所定の距離にわたる前記コンピュータ断層撮影画像のピクセル値の大きさの、所定値よりも大きい変化である、勾配の位置を特定することと、
各勾配について、アーチファクト推定画像に対する前記勾配の相対位置を特定することと、
前記アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置と、前記アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの予測される影響とを相関させるルックアップテーブルを取得することと、
前記コンピュータ断層撮影画像の前記1つ以上の勾配の特定された前記位置と前記ルックアップテーブルとを処理することによって、前記コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表すアーチファクト推定画像を生成することと、
を実行することを特徴とする、コンピュータ実施処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用イメージングの分野に関し、特に、医用画像内のアーチファクトの低減に関する。
【背景技術】
【0002】
患者/個人の状態を評価するための医用画像の使用が増加している。したがって、医用画像にある任意のアーチファクトを低減したいという要望が高まっている。
【0003】
広く使用されている医用イメージングの分野の1つは、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングである。最近では、広いカバレッジを有するCTイメージングの実行への関心が高まっている。このカバレッジとは、CTガントリの1回の回転でイメージングされる解剖学的構造の量を指す。このタイプのイメージングは、「広カバレッジCTイメージング」に分類される。現在、CTシステムの回転軸に沿って(例えば、イメージングされる患者の垂直軸に沿って)15cmものカバレッジが目標にされている。これにより、台を動かすことなく、シングルショットCTイメージングを容易に行うことができる。
【0004】
広カバレッジCTイメージングの1つの問題は、イメージングされた領域を正確に再構成するための十分なデータを提供できないことである。特定の懸念領域の1つは、コーンビームアーチファクトと知られるアーチファクトである。コーンビームアーチファクトは、X線ビームの形状が、カバレッジのサイズが大きくなるにつれて(ファン形状ではなく)コーン形状になることによって発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CT画像内のアーチファクトを低減したいという継続的な要望がある。
【0006】
米国特許出願第2013/0101192号は、円形発生源軌跡において測定されたデータから基準画像を再構成し、所定の発生源軌跡に沿って基準画像を順投影することによって合成データを生成し、補正画像を再構成することによって、コーンビームアーチファクトを除去又は低減することについて開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0008】
本発明の一態様による実施例によれば、コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表すアーチファクト推定画像を生成するコンピュータ実施方法が提供される。
【0009】
このコンピュータ実施方法は、個人のコンピュータ断層撮影画像を取得するステップと、コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の位置を特定するステップであって、勾配は、コンピュータ断層撮影画像の第1の軸に平行な方向における所定の距離にわたるコンピュータ断層撮影画像のピクセル値の大きさの、所定値よりも大きい変化であり、第1の軸は、コンピュータ断層撮影画像を生成したコンピュータ断層撮影システムの回転軸を表す、特定するステップと、各勾配について、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置を特定するステップと、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置と、勾配によって引き起こされるコーンビームアーチファクトからもたらされる強度値の変化を表す値(即ち、この値は、アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの予測される影響である)とを相関させるルックアップテーブルを取得するステップと、コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の特定された位置とルックアップテーブルとを処理することによって、コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトによって引き起こされる強度の変化を表すアーチファクト推定画像を生成するステップとを含む。
【0010】
本発明は、コンピュータ断層撮影画像におけるコーンビームアーチファクトの予測される影響を表すアーチファクト推定画像を生成するアプローチを提案する。
【0011】
本発明の基本認識は、コンピュータ断層撮影画像の再構成が、一般的に線形操作であるという点である。この認識は、CT画像のz方向における勾配のみがコーンビームアーチファクトを引き起こすという洞察と組み合わせることで、例えば、コンピュータ断層撮影画像内、即ち、コンピュータ断層撮影画像によって提示される視野内の異なる場所おいて勾配によって引き起こされる結果として生じるアーチファクトを効果的に特定するルックアップテーブルを利用できることを意味する。特に、再構成は線形操作であることが認識されており、重ね合わせの原理を利用できることを意味する。したがって、CT画像内の全体のコーンビームアーチファクトは、「小さな」寄与の合計で表すことができ、各寄与は、画像の特定の場所の勾配によって生成されるか、又はその結果として生じる。更に、任意の所与の勾配によるアーチファクト強度は、この勾配の大きさに直線的にスケーリングする。したがって、画像内の特定の場所における「単位」勾配のアーチファクト寄与がわかっている場合、このアーチファクト寄与を勾配によるアーチファクトへの真の寄与にスケーリングできる。
【0012】
特に、勾配は、コーンビームアーチファクトの「発生源」として作用することが認識されている。コーンビームアーチファクトの影響は、コーンビームアーチファクトの発生源からの距離及び/又は発生源の周りの位置によって異なるため、CT画像内の勾配の既知の場所(即ち、発生源の既知の場所)と、コーンビームアーチファクトが、アーチファクト推定画像の周囲の異なる位置及び/又はアーチファクト推定画像から異なる距離にあるピクセルにどのように影響するかを定義する情報とを使用してアーチファクト推定画像を正確に作成できることを理解されたい。
【0013】
ルックアップテーブルを使用すると、高速フーリエ変換(FFT)ステップ、又は順投影及びフィルタ補正逆投影ステップの使用など、コーンビームアーチファクトを説明するための複雑で計算コストのかかるメカニズムが不要になる。
【0014】
アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置を特定するステップは、コンピュータ断層撮影画像からアーチファクト推定画像にマッピングされた勾配の、アーチファクト推定画像内の位置を決定するステップを含み得る。
【0015】
勾配は、CT画像からアーチファクト推定画像にマッピングされる。つまり、アーチファクト推定画像内の(CTハウンスフィールド画像や、画像の)勾配の相対位置を決定するためにマッピングされる。CT画像とアーチファクト推定画像が同じ解像度の場合は、CT画像内の勾配の位置を決定するだけで上記を実現できる。解像度が異なる場合は、上記のステップは、CT画像内の勾配の相対位置を決定し、アーチファクト推定画像内の対応する相対位置を決定することで実現できる。
【0016】
アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置は、アーチファクト推定画像内の勾配のピクセル位置を含み得る。
【0017】
いくつかの実施例では、アーチファクト推定画像内のコーンビームアーチファクトの予測される影響は、アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置からの距離に応じて変化する。
【0018】
距離は、画像の特定の軸に沿った相対距離を示す1つ以上の成分、例えば、第1の軸に沿った相対距離を示す第1の成分、第2の軸(第1の軸に垂直)に沿った相対距離を示す第2の成分、及び第3の軸(第1及び第2の軸の両方に垂直)に沿った相対距離を示す第3の成分を含み得る。実装形態の詳細に応じて、これらの成分のうちの1つ以上を省略してもよい。
【0019】
別の実施例として、距離は絶対距離(距離の大きさなど)を含んでいてもよい。
【0020】
いくつかの実施例では、アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの予測される影響は、アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置からの、少なくとも1つの軸に対する方向に応じて変化する。本発明はまた、コーンビームアーチファクトが、アーチファクトの発生源(例えば、勾配)から全ての方向で均一ではない可能性があることを認識している。したがって、コーンビームアーチファクトの影響を予測する精度を向上させるために、勾配の相対位置からの方向も考慮される。
【0021】
上記の方法は、コンピュータ断層撮影画像からアーチファクト推定画像を減算することによって、修正されたコンピュータ断層撮影画像を生成するステップを含み得る。これにより、コーンビームアーチファクトの影響が低減されるか、又はあまり顕著ではないコンピュータ断層撮影画像を生成するための簡単なアプローチが提供される。
【0022】
上記の方法は、ユーザインターフェースで、修正されたコンピュータ断層撮影画像を表示するステップを含み得る。このステップは、修正されたコンピュータ断層撮影画像ではコーンビームアーチファクトが少なくなるため、患者の状態を分析又は評価する技術的プロセスを実行する際に、臨床医を確実に支援する。
【0023】
いくつかの実施例では、アーチファクト推定画像を生成するステップは、1つ以上の勾配の特定された位置とルックアップテーブルとを処理することによって、初期アーチファクト推定画像を生成するステップであって、初期アーチファクト推定画像は、コンピュータ断層撮影画像とは異なる解像度を有している、生成するステップと、コンピュータ断層撮影画像の解像度に合わせるために、初期アーチファクト推定画像をリサンプリングするステップとを含む。
【0024】
任意選択で、初期アーチファクト推定画像は、コンピュータ断層撮影画像よりも低い解像度を有し、初期アーチファクト推定画像をリサンプリングするステップは、初期アーチファクト推定画像をアップサンプリングするステップを含む。このアプローチでは、アーチファクトの影響の決定の精度に大きな影響を与えることなく、ルックアップテーブルを使用して低解像度の初期アーチファクト推定画像を最初に生成できるため、より小さなルックアップテーブルの使用を促進する。これは、コーンビームアーチファクトが低周波であるためである(つまり、高周波ノイズ又はアーチファクトよりもアップサンプリングによってあまり影響を受けない)。
【0025】
1つ以上の勾配の位置を特定するステップは、コンピュータ断層撮影画像内の各勾配を特定するステップと、特定された勾配の大きさに基づいて、特定された勾配のうちの1つ以上からなるサブセットを選択するステップと、1つ以上の勾配からなるサブセットの位置を特定するステップとを含み得る。全ての可能な勾配のサブセットを選択するだけで、アーチファクト推定画像を生成するための計算の数を減らすことができる。好ましくは、最大の大きさを有する勾配の所定の部分/割合が選択される(例えば、上位5%又は上位1%)。CT画像内のアーチファクトに寄与するのは、平均して最大の勾配のみであることが認識されている。
【0026】
各勾配について、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置を特定するステップ、及びアーチファクト推定画像を生成するステップは、特定された各勾配について、コンピュータ断層撮影画像内の勾配の位置に基づいて、アーチファクト推定画像内の特定された勾配の相対位置を決定するステップと、アーチファクト推定画像のピクセルに対する、特定された勾配によって表される発生源を有するコーンビームアーチファクトの予測される影響を決定するために、ルックアップテーブル及びアーチファクト推定画像内の勾配の決定された相対位置を使用するステップとを含み得る。アーチファクト推定画像の各ピクセルにおける任意のコーンビームアーチファクトの決定された予測される影響を組み合わせて、アーチファクト推定画像を生成するステップを更に含む。
【0027】
アーチファクト推定画像を生成するステップは更に、アーチファクト推定画像の各ピクセルについて、特定された各勾配について、特定された勾配の大きさに基づいて、そのピクセルにおけるコーンビームアーチファクトの予測される影響を重み付けするステップを含み得る。これにより、アーチファクト推定画像の精度が向上する。これは、各勾配の大きさが、発生源から生じるコーンビームアーチファクトの大きさを示すか、又はその大きさに反応したものだからである。したがって、アーチファクト推定画像は、(個々の勾配に関連する)コーンビームアーチファクトの影響のより正確な推定から構成できる。
【0028】
任意のコーンビームアーチファクトの決定された予測される影響を組み合わせるステップは、好ましくは、(各勾配について)決定された予測される影響を合計するステップを含む。このアプローチでは、CTスキャナで採用されている重ね合わせ原理を利用する。これは、本開示で認識されているように、CT画像内の任意の所与の位置でのコーンビームアーチファクトの影響は、その位置でのCT画像の個々のコーンビームアーチファクトの影響の結果として得られる合計であることを意味する。
【0029】
個人のコンピュータ断層撮影画像を取得するステップは、コンピュータ断層撮影画像の再構成の前に、コンピュータ断層撮影スキャナによって取得されたデータを表すコンピュータ断層撮影データを取得するステップと、フィルタ補正逆投影アルゴリズムを使用して、コンピュータ断層撮影データからコンピュータ断層撮影画像を再構成するステップとを含み得る。
【0030】
コンピュータ断層撮影画像を解析するコンピュータ実施方法も提案される。このコンピュータ実施方法は、任意の前述のコンピュータ実施方法を実行することによって、コンピュータ断層撮影画像と、コンピュータ断層撮影画像のアーチファクト推定画像とを取得するステップと、コンピュータ断層撮影画像及びアーチファクト推定画像を、機械学習方法への入力として提供するステップと、機械学習方法を使用して、コンピュータ断層撮影画像及びアーチファクト推定画像を処理することによって、コンピュータ断層撮影画像を解析するステップとを含む。
【0031】
コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品も提案される。コンピュータプログラムコード手段は、処理システムを有するコンピューティングデバイス上で実行されると、処理システムに、本明細書に説明した任意の方法の全てのステップを実行させる。
【0032】
コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表す画像を生成するコンピュータ実施処理システムも提供される。
【0033】
この処理システムは、個人のコンピュータ断層撮影画像を取得し、コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の位置を特定することであって、勾配は、コンピュータ断層撮影画像のz軸に平行な方向における所定の距離にわたるコンピュータ断層撮影画像のピクセル値の大きさの、所定値よりも大きい変化である、特定することと、各勾配について、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置を特定することと、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置と、アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの予測される影響とを相関させるルックアップテーブルを取得することと、コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の特定された位置とルックアップテーブルとを処理することによって、コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表すアーチファクト推定画像を生成することとを実行する。
【0034】
処理システムは、本明細書に説明されている任意の方法を実行するように適合させることができる。また、その逆も同様である。
【0035】
本発明のこれらの及び他の態様、並びに利点は、以下に説明される実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明をより深く理解し、本発明がどのように実行されるかをより明確に示すために、ほんの一例として添付の図面を参照する。
【0037】
【
図2】
図2は、CT画像に対するコーンビームアーチファクトの影響を示す。
【
図3】
図3も、CT画像に対するコーンビームアーチファクトの影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、図を参照して説明される。
【0039】
詳細な説明及び具体的な実施例は、装置、システム、及び方法の模範的な実施形態を示しているが、説明のみを目的としたものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴、態様並びに利点は、次の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるようになるであろう。図は単なる概略図であり、縮尺どおりに描かれていないことが理解されるべきである。また、図全体で同じ参照番号を使用して、同じ部分又は類似の部品を示すことが理解されるべきである。
【0040】
本発明は、コンピュータ断層撮影(CT)画像におけるコーンビームアーチファクトの影響を表すアーチファクト推定画像を生成するメカニズムを提供する。これは、CT画像を生成したCTシステムの回転軸に平行なCT画像の軸における勾配(強度の急激な変化)の位置を特定することによって実現される。各勾配は、コーンビームアーチファクトの発生源を表す。ルックアップテーブルを使用して、勾配の特定された各位置の周囲の領域に対するコーンビームアーチファクトの影響を個別に特定して、アーチファクト推定画像を生成する。
【0041】
本開示は、コンピュータ断層撮影データ(「生データ」)からのCT画像の再構成が線形操作であるとの認識に依拠している。これは、事実上、重ね合わせの原理を利用できることを意味し、したがって、各勾配(コーンビームアーチファクトの発生源を表す)を個別に処理してから、組み合わせて1つのアーチファクト推定画像を生成することができる。更に、コーンビームアーチファクト(勾配で表される発生源を有する)の影響は、画像内の勾配の位置に基づいて近似できることが認識されている。
【0042】
実施形態は、医療産業、獣医産業、及び/又は考古学産業において使用されるものなど、任意の適切なCTイメージングシステムに使用できる。
【0043】
本開示で採用されている基本的な考え方は、ルックアップテーブル(LUT)を使用して、アーチファクト推定画像を生成することである。基本的な洞察は、CTスキャナで使用される再構成手法(フィルタ補正逆投影プロセスなど)が線形操作であるということである。CTシステムの回転軸(以下ではz軸とも呼ぶ)に沿った、又は回転軸と平行な勾配のみがコーンビームアーチファクトを引き起こすという洞察と組み合わせて、勾配によって引き起こされるアーチファクトを含むLUTを構築することが提案される。例えば、LUTには、CT画像内の他の場所と比較して、CT画像内の異なる場所に対するz方向の「単位勾配」に対するコーンビームアーチファクトの影響(値など)が含まれる。
【0044】
図1は、CTスキャナなどのCT(イメージング)システム102を含むシステム100を概略的に示している。CTシステム102には、一般的に固定ガントリ104と回転ガントリ106とが含まれている。回転ガントリは、固定ガントリ104によって回転可能に支持され、検査領域108の周りを、z軸の周りに回転する。CTシステム102では、x軸及びy軸も定義されている。どちらもz軸に対して且つ互いに対して垂直である。x軸は、一般的に重力に沿った方向(例えば、垂直)にあり、y軸は一般的に水平面と平行な方向(即ち、水平)にある。医用イメージング処理中は、z軸は、通常、患者の垂直軸に沿っている。カウチなどの被検体支持体110は、検査領域108内で物体や被検体を支持する。
【0045】
X線管などの放射線源112は、回転ガントリ106によって回転可能に支持され、回転ガントリ106とともに回転し、検査領域108を横断する放射線を放出する。一例では、放射線源112には、単一の広域スペクトルX線管が含まれている。別の例では、放射線源112には、スキャン中に少なくとも2つの異なる放出電圧(例えば、80kVpと140kVp)を切り替える単一のX線管が含まれている。更に別の例では、放射線源112には、異なる平均スペクトルを有する放射線を放出する2つ以上のX線管が含まれている。更に別の例では、放射線源112には、これらの組み合わせが含まれている。
【0046】
放射線感受性検出器アレイ114が、検査領域108を挟んで放射線源112の反対側の角度アークの範囲を定める。放射線感受性検出器アレイ114は、検査領域108を横断する放射線を検出し、それを示す電気信号(投影データ)を生成する。
【0047】
再構成器116が、検出器アレイ114から投影データを受信し、sCCTA画像データ、高エネルギー画像、低エネルギー画像、光電画像、コンプトン散乱画像、ヨウ素画像、カルシウム画像、仮想非コントラスト画像、骨画像、軟組織画像、及び/又は他の基底材料画像などのCT画像を再構成する。
【0048】
コンピューティングシステム118が、オペレータコンソールとして機能する。コンソール118には、モニタなどの人間が読み取り可能な出力デバイスと、キーボード、マウスなどの入力デバイスとが含まれている。コンソール118に常駐するソフトウェアにより、オペレータは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)などを介してスキャナ102と対話したり、スキャナ102を操作したりできる。コンソール118には更に、プロセッサ120(例えば、マイクロプロセッサ、コントローラ、中央処理ユニットなど)と、コンピュータ可読記憶媒体122(非一時的媒体を除く)とが含まれ、物理メモリデバイスなどの一時的な媒体も含まれる。コンピュータ可読記憶媒体122には、アーチファクト推定画像の生成やCT画像の処理を行うための命令124が含まれている。プロセッサ120は、命令124を実行する。プロセッサ120は、搬送波、信号、及び/又は他の一時的な媒体によって運ばれる1つ以上のコンピュータ可読命令を追加的に実行することもできる。変形例では、プロセッサ120とコンピュータ可読憶媒体122とは、コンピューティングシステム118とは別のコンピューティングシステムの一部である。
【0049】
図2は、CT画像に対するコーンビームアーチファクトの影響を示している。
【0050】
CT画像は、複数の軸に関連付けられていてもよい。特に、(3D)CT画像には、CT画像を生成したCTシステムの回転軸を表す(整列する又は平行な)第1の軸(「z軸」)と、z軸に垂直な軸を表し、通常は重力軸を表す第2の軸(「x軸」)と、z軸及びx軸の両方に垂直である第3の軸(「y軸」)がある。
【0051】
したがって、CT画像は3次元CT画像であってもよい。
【0052】
図2に示す第1のCT画像210は、コーンビームアーチファクトがキャプチャされていないCT画像を示している。これは、例えば、CTシステムの回転軸に沿ってロービームカバレッジ(例えば、<5cm)を有する指向性ビームを使用するCTイメージングを使用することによって、即ち、CTスキャン中に放出されるビームを、コーンビームではなくファンビームを使用してモデル化できる場合に達成される。
【0053】
図2に示す第2のCT画像220は、アキシャルコーンビームCTスキャンから再構成されたCT画像を示している。第2のCT画像にはコーンビームアーチファクトがある。これらのアーチファクトは、イメージングされている領域の密度の急激な変化(例えば、脳物質から頭蓋底における骨への急激な変化)によって引き起こされる。コーンビームアーチファクトは、CT画像を生成するCTシステムの回転軸(「z軸」)と整列する(即ち、表す)軸に沿った急激な変化によってのみ発生する。これは、標準的な再構成アルゴリズムが、物体がこのz軸において均質である場合に正確な再構成を提供するように設計されているためである。したがって、CT画像のコーンビームアーチファクトの「発生源」は、CTシステムの回転軸を表すCT画像の軸に沿った急激な勾配によって表すことができる。
【0054】
急激な勾配は、例えば、コンピュータ断層撮影画像の第1の軸に平行な方向における所定の距離にわたるコンピュータ断層撮影画像のピクセル値の大きさの、所定値よりも大きい変化として定義される。この第1の軸は、CT画像の軸で、CTシステムの回転軸(即ち、z軸)を表す。
【0055】
図3も、画像300の他の部分に対する勾配310、320(コーンビームアーチファクトの発生源を表す)の影響を示している。画像300のピクセル値は、勾配を表す場所と、勾配で表される発生源を有する1つ以上のコーンビームアーチファクトの結果として修正された領域を表す場所とを除き、均一である。
【0056】
図3は、勾配310、320の位置からコーンビームアーチファクトがどのように「広がる」かを明確に示している。したがって、画像の任意の所与のピクセルでのコーンビームアーチファクトの影響の大きさは、少なくとも、所与のピクセルと勾配との間の方向と、所与のピクセルと勾配との間の距離とに依存する。
【0057】
本発明は、この認識を利用して、CT画像に対する各勾配の影響を推定又は予測するために使用できるルックアップテーブルを提供し、それによって、CT画像に対する各勾配の影響を予測するアーチファクト推定画像を生成する。
【0058】
図4は、本発明の一実施形態による方法400を示している。方法400は、コンピュータ断層撮影(CT)画像における予測コーンビームアーチファクトを表すアーチファクト推定画像を生成する。
【0059】
方法400は、被検体のコンピュータ断層撮影(CT)画像490を取得するステップ410を含む。CT画像は、
図1を参照して説明したようなCTシステム、又はデータベース若しくはメモリから取得できる。CT画像は、CTシステムによって生成された生データ又は投影データから再構成された画像である。
【0060】
次に、この方法は、CT画像内の1つ以上の勾配の位置を特定するステップ420を含む。勾配は、CTシステムの回転軸を表す軸(即ち、通常は「z軸」と呼ばれる、その周りをCTガントリが回転する軸)と整列した(即ち、平行な)方向におけるCT画像の強度の急激な変化を表す。特定された位置は、例えば、CT画像に適切な座標系を使用して(例えば、x、y、z座標を使用して、又は相対位置、例えば、CT画像内の相対位置を特定するためにパーセンテージを使用して)、勾配の特定のピクセル位置、例えば、特定された勾配の一部であるピクセルのピクセル位置と相関関係にある。
【0061】
このような勾配を特定するための適切な画像処理手法は、当業者には容易に明らかであろう。特に、勾配は、例えば、コンピュータ断層撮影画像の第1の軸に平行な方向における所定の距離にわたるコンピュータ断層撮影画像のピクセル値の大きさの、所定値よりも大きい変化として表すことができる。
【0062】
一例では、ステップ420は、CT画像内の全ての勾配の位置を特定し、その後で、更なる処理(即ち、方法400の実施中の)のための勾配のサブセットのみを選択する。選択されたサブセットには、例えば、最大の大きさを有する勾配(例えば、勾配の最大X%、ここで、Xは1や5といった所定の値、又は特定の閾値を上回る勾配)が含まれる。勾配の大きさは、勾配の所定の距離にわたるピクセル値の大きさの差として定義されてもよい。このアプローチは、最も強い勾配のみが更に処理されることを意味し、これは、計算の複雑さを軽減する。本開示は、最大の大きさを有する勾配の寄与が、コーンビームアーチファクトの原因の大部分を占めることを認識しており、したがって、アーチファクト推定画像の精度に影響を与えることなく、上位勾配から正確なアーチファクト推定画像を生成できる。
【0063】
方法400は更に、各勾配について、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置を特定するステップ430を含む。
【0064】
特に、CT画像内の位置とアーチファクト推定画像内の位置との空間的な関係は、既知であるか、事前に決定されている場合がある。これにより、アーチファクト推定画像にマッピングされる場合に、各勾配がアーチファクト推定画像内のどこに現れるかを容易に特定できる。
【0065】
したがって、ステップ430は、コンピュータ断層撮影画像からアーチファクト推定画像にマッピングされた勾配の、アーチファクト推定画像内の(ピクセル)位置を決定することを含む。
【0066】
例えば、CT画像が1600×1200×800の解像度を有する3D画像である場合、アーチファクト推定画像は400×300×200の解像度を有し、CT画像の勾配の位置は、場所1000、800、100におけるピクセルにあり、アーチファクト推定画像における勾配の相対位置は、位置250、200、25にある。
【0067】
CT画像及びアーチファクト推定画像でカバーされている領域(例えば、カバーされる「CTスキャン領域」の相対的なサイズ)は同一であることを理解されたい。
【0068】
アーチファクト推定画像は、CT画像と同じ次元数を有している。アーチファクト推定画像の解像度は、CT画像の解像度と異なる場合があり、好ましくは小さい。しかしながら、他の実施形態では、アーチファクト推定画像の解像度は、CT画像の解像度と同一であってもよい。ステップ430は、ステップ420の一部を形成することがある(CT画像内の勾配の位置を特定することは、アーチファクト推定画像内の勾配の位置を特定することと機能的に同等になるからである)。
【0069】
方法400は更に、アーチファクト推定画像に対する勾配の相対位置と、アーチファクト推定画像内のピクセルに対するコーンビームアーチファクトの予測される影響とを相関させるルックアップテーブルを取得するステップ440を含む。
【0070】
これにより、ルックアップテーブルは、アーチファクト推定画像の各ピクセルについて、アーチファクト推定画像の勾配に対して異なる相対位置に発生源を有するコーンビームアーチファクトからもたらされる影響を効果的に特定する。例えば、この影響は、(例えば、所定の大きさの)勾配で表される発生源を有するコーンビームアーチファクトからもたらされる強度値の変化を表す(例えば、変化である)値である。
【0071】
本発明の基礎となる認識は、任意の所与の画像における、その画像の任意の所与のピクセル(「特定のピクセル」)に対する、勾配によって表されるコーンビームアーチファクトの発生源の(相対的)影響を、画像内の勾配の位置と特定のピクセルの位置とに基づいて推定できるという点である。
【0072】
したがって、ルックアップテーブルを使用して、CT画像の異なるピクセルに対するコーンビームアーチファクトの発生源の影響を推定するアーチファクト推定画像を生成できる。例えば、CT画像内の勾配の位置は、アーチファクト推定画像内の相対位置にマッピング又は位置合わせできる。そうすると、ルックアップテーブルは、アーチファクト推定画像の他の各ピクセルに対して、その位置でのコーンビームアーチファクトの影響を特定するための関連情報を提供できる。これは、ルックアップテーブルを使用してCT画像からアーチファクト推定画像を生成できることを意味する。
【0073】
方法400はまた、コンピュータ断層撮影画像の1つ以上の勾配の特定された位置とルックアップテーブルとを処理することによって、コンピュータ断層撮影画像内の1つ以上のコーンビームアーチファクトの予測される影響を表すアーチファクト推定画像を生成するステップ450を含む。
【0074】
ルックアップテーブルを使用する、提案されたアプローチのより完全な実施例と、適切なルックアップテーブルの例については、後で説明する。
【0075】
これにより、アーチファクト推定画像は、CT画像490に対するコーンビームアーチファクトの推定される影響に関する情報を提供する。特に、アーチファクト推定画像自体が、CT画像内にアーチファクトが存在する可能性を特定して、イメージングされた患者の特徴がアーチファクトの起因であると誤認される可能性を低減し、及び/又はアーチファクトによる潜在的に重要な特徴のマスキングを低減することで、有用な臨床情報を提供する。
【0076】
これにより、アーチファクト推定画像は、アーチファクトを特定するプロセスの最終結果を事実上表して、CT画像内のコーンビームアーチファクトの影響を特定する。
【0077】
いくつかの実施例では、ステップ460で、アーチファクト推定画像とCT画像とを処理して及び/又は組み合わせて、補正済みCT画像が生成される。例えば、アーチファクト推定画像(必要に応じて、CT画像の解像度に合わせてスケーリング/リサンプリングされる)をCT画像から減算して、補正されたCT画像が生成される。これにより、コーンビームアーチファクトが低減されたCT画像が生成される。
【0078】
いくつかの実施例では、ステップ470で、アーチファクト推定画像及びCT画像は、解析プロセス(例えば、機械学習アルゴリズムを使用してCT画像を解析及び/又は分類するもの)の入力データとして提供される。これにより、CT画像を処理するための追加情報が解析プロセスに提供され、CT画像の解析を向上させる追加の特徴が提供される(例えば、気付かずにアーチファクトの原因がCT画像の特定の特性や特徴によるものとしないようにするため)。
【0079】
アーチファクト推定画像を生成する際に、ルックアップテーブルとCT画像内の勾配の求められた位置とを利用してどのようにアーチファクト推定画像を生成するのかを説明した。
【0080】
一般に、ルックアップテーブルとは、所定の入力値と、所定の出力値とを相関させる配列である。特に、ルックアップテーブルは、複数の入力値の各々に対して、又は入力値の組み合わせに対して、関連する所定の出力値(又は複数の値)を提供する。つまり、ルックアップテーブルは、1つ以上の入力パラメータの値の異なる組み合わせに対して、出力パラメータの1つ以上の値を定義する。
【0081】
本開示では、ルックアップテーブルは、アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置と、勾配の相対位置に発生源を有するコーンビームアーチファクト(アーチファクト推定画像の他のピクセルにわたる)の影響とを相関させる。
【0082】
したがって、アーチファクト推定画像に対する勾配の複数の異なる可能な位置の各々について、ルックアップテーブルは、勾配の相対位置に発生源を有するコーンビームアーチファクトの(例えば、値の形式での)影響を予測するアーチファクト推定画像内の各(他の)ピクセルの値を提供する。特に、この値は、画像内で所定の大きさを有する勾配(即ち、「単一性勾配」又は「正規化された勾配」)で表される発生源を有するコーンビームの影響を表す。
【0083】
影響は、アーチファクト推定画像の特定の相対位置での勾配で表される発生源を有するコーンビームアーチファクトからもたらされる、例えば、パーセント値又は絶対変化値を単位とする、(CT画像のピクセルの)強度値の予測された変化を表す値を含む。
【0084】
したがって、全体として、ルックアップテーブルは、事実上、アーチファクト推定画像内の勾配の異なる可能な(ピクセル)位置について、画像の全ての他のピクセルにわたるコーンビームアーチファクトの影響を特定するアーチファクトパターンを保存する。
【0085】
本開示は、アーチファクト推定画像の任意の所与のピクセルでの(単一のピクセルによって表される発生源を有する)単一のコーンビームアーチファクトの影響は、アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置と、ピクセルと勾配との位置関係とに依存することを認識している。
【0086】
任意の所与の画像内で、コーンビームアーチファクトの影響は、アーチファクトの発生源からの距離及び/又は方向、並びに画像内の勾配(アーチファクトの発生源を表す)の位置によって変化する。
【0087】
また、CT画像内の勾配は、異なる大きさ又は強度を有することがあることが理解されるものとする。勾配の大きさ又は強度は、CT画像に見られるコーンビームアーチファクトに対する勾配の影響に影響を与える。(ルックアップテーブルによってモデル化された)勾配の所定の大きさを使用すると、CT画像内の勾配の真の影響を続いて(例えば、CT画像内の勾配の大きさと所定の大きさとの関係に基づいて決定された影響に適切に重み付けすることによって)計算できる。
【0088】
したがって、ルックアップテーブルは、勾配からもたらされる影響の「正規化された」値を提供できる。
【0089】
図5は、ルックアップテーブルと、ステップ420において、CT画像において決定された勾配の特定された位置とを使用して、アーチファクト推定画像を生成する方法を示している。これは、
図4を参照して説明したステップ430、440、及び450の一例である。
【0090】
方法500は、アーチファクト推定画像を初期化するステップ510、例えば、「初期アーチファクト推定画像」を生成するステップ510を含む。初期アーチファクト推定画像は、CT画像内の位置とアーチファクト推定画像内の位置との空間的な関係がわかるように生成される。初期化されたアーチファクト推定画像の解像度は、CT画像の解像度とは異なる場合があり、好ましくはより小さい。アーチファクト推定画像は、CT画像と同じ次元数を有している。
【0091】
したがって、CT画像の要素、特に、勾配の位置は、アーチファクト推定画像内の対応する位置にマッピングされる。このようにして、アーチファクト推定画像内の(CT画像の)勾配の相対位置を計算又は決定できる。
【0092】
次に、方法500は、ステップ420でCT画像内で特定された各勾配に対して実行されるプロセス520を実行する。これは、新しい(即ち、そのピクセルに対してまだ処理されていない)勾配を選択するステップ591から、特定された全ての勾配がプロセス520を受けたかどうかを判断し、受けていない場合は、ステップ591に戻り、新しい勾配を選択するか、そのピクセルに対するプロセス520の反復を終了するステップ592までを通じて示されている。
【0093】
プロセス520は、コンピュータ断層撮影画像内の勾配の位置に基づいて、アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置を決定するステップ521を含む。これは、CT画像とアーチファクト推定画像との空間的関係が既知であるか、事前に決定されている場合(CT画像とアーチファクト推定画像が互いに対して位置合わせされている場合など)に達成できる。
【0094】
次に、プロセス520は、ルックアップテーブルと、アーチファクト推定画像内の勾配の相対位置とを使用して、(アーチファクト推定画像の)各ピクセル位置におけるコーンビームアーチファクトの影響を決定するステップ522を含む。これはピクセル単位で行われてもよいし(例えば、ルックアップテーブルがアーチファクト推定画像の各ピクセルについてコーンビームアーチファクトの影響を特定した場合)、アーチファクト推定画像全体で行うこともできる。
【0095】
特定された各勾配に対してプロセス520が実行されると、次に、プロセス500は、各勾配に対して決定された予測される影響を組み合わせて、ピクセルにおけるコーンビームアーチファクトの全体的な影響を決定するステップ540を実行する。これは、例えば、(各ピクセルについて)決定された影響を合計して、全体的な影響を決定することを含む。これは重ね合わせの原理を利用する。つまり、コーンビームアーチファクトの全体的な影響は、画像内の全ての勾配の結果として生じるコーンビームアーチファクトの組み合わせの寄与によって生じる。
【0096】
好ましくは、コーンビームアーチファクトの予測される影響を決定するステップ522は、ルックアップテーブルによって(アーチファクト推定画像の各ピクセルについて)示される影響を特定し、(CT画像の)勾配の大きさに基づいて、示された影響を重み付け又は修正することを含む。特に、勾配の大きさが大きいほど(例えば、勾配の位置での強度値の差が大きいほど)、影響の重み付けが大きくなる。
【0097】
この実施形態では、勾配の相対的な大きさ/強度が考慮される。相対的な大きさが大きいほど、勾配がCT画像のコーンビームアーチファクトに与える影響が大きくなることを理解されたい。
【0098】
このステップを実行する簡単な方法としては、勾配の決定された影響(ルックアップテーブルに示されている)を、(CT画像内の)勾配の大きさを、ルックアップテーブルを生成するために使用した勾配の大きさで除算して得られた値に等しい値で重み付け(例えば、乗算)することである。
【0099】
いくつかの実施例では、アーチファクト推定画像を生成するステップは、1つ以上の勾配の特定された位置とルックアップテーブルとを処理して、初期アーチファクト推定画像を生成し(この場合、初期アーチファクト推定画像は、コンピュータ断層撮影画像とは異なる解像度を有している)、コンピュータ断層撮影画像の解像度に合わせるために、初期アーチファクト推定画像をリサンプリングすることを含む。
【0100】
したがって、方法500は更に、ステップ540で出力されたアーチファクト推定画像をリサンプリングするステップ550を含んでもよい。前述のように、初期化されたアーチファクト推定画像は、CT画像とは異なる解像度を有してもよい。アーチファクト推定画像を生成し、アーチファクト推定画像をリサンプリングするこのアプローチにより、ルックアップテーブルのためと、初期アーチファクト推定画像を生成する際の処理の複雑さと記憶空間の要件を低減できる。
【0101】
好ましくは、アーチファクト推定画像の解像度がCT画像よりも低い。これは、アーチファクトは低周波であることから、つまり、ルックアップテーブルのエントリが少なくて済むことから、アーチファクト推定画像の精度に大きな影響を与えることなく実現可能である。
【0102】
ルックアップテーブルの必要なサイズを縮小又は最小化する様々なメカニズムが想定されている。例えば、コーンビーム影響の対称性を仮定し、ルックアップテーブルのサイズを縮小するために利用できる。
【0103】
一例として、本発明では、勾配の影響がz軸(即ち、CTガントリの回転と整列する軸)からの勾配の距離に関して不変であることが認識されている。これは、コーンビームアーチファクトがz軸周りの回転に関して不変であるためである。
【0104】
したがって、z軸を通過する単一平面(例えば、xz平面やyz平面)における勾配の影響(アーチファクト推定画像のピクセルに対する)を提供するルックアップテーブルのみを提供すればよい。LUTテーブルを使用してこの平面外の勾配の影響を決定する場合、この平面に入るまで勾配を(z軸周りに)「回転」し、アーチファクト推定画像の関連する影響を決定して、影響を「回転」して戻すことができる。ある位置から別の位置へ場所を回転する適切な回転方法は、画像処理のための標準的な回転力学を使用するなど、当業者には容易に明らかであろう。
【0105】
更に、勾配の影響は、回転面の上方及び下方の勾配について対称的であることも認識されている(CTシステムを用いたデータ収集が、患者支持体を移動させることなく、ガントリを360°回転させて行われる場合)。つまり、回転面(例えば、xy面)上の第1の点の上方の第1のz軸距離における勾配の影響は、回転面より下方の同じ距離における勾配の影響のミラーである。
【0106】
したがって、ルックアップテーブルには、回転面の上方か又は下方のいずれかにある勾配の影響のみを保存すればよい。LUTを使用して、上方又は下方の他方の勾配の影響を決定する場合、勾配のミラー位置(回転面にあるミラーを介して)を決定し、アーチファクト推定画像の影響を特定し、決定された影響をミラーバックできる。
【0107】
ルックアップテーブルは、既知の圧縮原理に従って圧縮できる。これは、画像の多数のピクセルに対する(画像内の)勾配の影響が無視できるかゼロになると予想されるためである。したがって、ルックアップテーブルは、精度を損なうことなく、又は大幅に損なうことなく適切に圧縮できる。
【0108】
更なる例として、
図6は、処理システム60の一例を示しており、その中で、実施形態の1つ以上の部分を使用できる。上記の様々な操作は、処理システム60の機能を利用する。例えば、アーチファクト推定画像を生成するシステムの1つ以上の部分は、本明細書で説明する任意の要素、モジュール、アプリケーション、及び/又は構成要素に組み込まれる。この点に関して、システムの機能ブロックは単一のコンピュータ上で動作することも、いくつかのコンピュータやロケーション(例えば、インターネット経由で接続される)に分散できることを理解されたい。
【0109】
処理システム60には、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パームデバイス、サーバ、ストレージなどが含まれるが、これらに限定されない。一般的に、ハードウェアアーキテクチャに関して、処理システム60には、1つ以上のプロセッサ61、メモリ62、及びローカルインターフェース(図示せず)を介して通信可能に結合された1つ以上のI/Oデバイス67が含まれている。ローカルインターフェースは、例えば、1つ以上のバス、又は当技術分野で知られているように、他の有線若しくはワイヤレス接続であるが、これらに限定されない。ローカルインターフェースは、通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信器を有していてもよい。更に、ローカルインターフェースは、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御部、及び/又はデータ接続を含んでいる場合がある。
【0110】
プロセッサ61は、メモリ62に保存されている場合があるソフトウェアを実行するハードウェアデバイスである。プロセッサ61は、処理システム60に関連する複数のプロセッサのうち、実質的に任意のカスタムメイド若しくは市販のプロセッサ、中央処理演算ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は補助プロセッサであってもよく、また、プロセッサ61は、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップの形)又はマイクロプロセッサであってもよい。
【0111】
メモリ62には、揮発性メモリ要素(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)と、不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電子的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリEEPROM(登録商標))、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットなど)とのいずれか1つ又は組み合わせが含まれ得る。更に、メモリ62には、電子媒体、磁気媒体、光学媒体、及び/又は他のタイプのストレージ媒体が組み込まれていてもよい。なお、メモリ62は、様々な構成要素が互いに離れた場所にあるが、プロセッサ61によってアクセスできる分散アーキテクチャを有してもよい。
【0112】
メモリ62内のソフトウェアには、1つ以上の個別のプログラムが含まれ、それぞれが論理関数を実装するための実行可能命令の順序付きリストを含んでいる。メモリ62内のソフトウェアには、模範的な実施形態に従って、適切なオペレーティングシステム(O/S)65、コンパイラ64、ソースコード63、及び1つ以上のアプリケーション66が含まれている。図に示すように、アプリケーション66は、模範的な実施形態の特徴及び操作を実施するための多数の機能構成要素を含む。処理システム60のアプリケーション66は、例示的な実施形態に従って、様々なアプリケーション、計算ユニット、ロジック、機能ユニット、プロセス、操作、仮想エンティティ、及び/又はモジュールを表し得るが、アプリケーション66は限定的であることを意図していない。
【0113】
オペレーティングシステム65は、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイルとデータの管理、メモリ管理、及び通信制御、並びに関連サービスを提供する。発明者は、模範的実施形態を実施するためのアプリケーション66は、あらゆる市販のオペレーティングシステムに適用可能であることを企図している。
【0114】
アプリケーション66は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は実行される命令セットを含む任意の他のエンティティであり得る。ソースプログラムの場合、プログラムは、通常、O/S65との関連で適切に動作するように、メモリ62に含まれている場合も含まれていない場合もあるコンパイラ(コンパイラ64など)、アセンブラ、インタプリタなどを介して変換される。更に、アプリケーション66は、データと方法のクラスがあるオブジェクト指向プログラミング言語、又はルーチン、サブルーチン、及び/若しくは関数がある手続き型プログラミング言語(例えば、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、JavaScript(登録商標)、FORTRAN、COBOL、Perl、Java(登録商標)、ADA、.NETなどがあるが、これらに限定されない)として記述できる。
【0115】
I/Oデバイス67には、例えば、マウス、キーボード、スキャナ、マイク、カメラなどがあるが、これらに限定されない入力デバイスが含まれる。更に、I/Oデバイス67には、例えば、プリンタ、ディスプレイなどがあるが、これらに限定されない出力デバイスも含まれる。最後に、I/Oデバイス67には更に、例えば、NIC又は変調器/復調器(リモートデバイス、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするための)、無線周波数(RF)若しくは他のトランシーバ、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなどがあるが、これらに限定されない、入力及び出力の両方を通信するデバイスが含まれる。また、I/Oデバイス67には、インターネットやイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するための構成要素も含まれている。
【0116】
処理システム60がPC、ワークステーション、インテリジェントデバイスなどである場合、メモリ62内のソフトウェアには更に、基本入出力システム(BIOS)(簡略化のため省略)が含まれている場合がある。BIOSは、起動時にハードウェアを初期化及びテストし、O/S65を起動し、ハードウェアデバイス間でのデータ転送をサポートする、必須のソフトウェアルーチンのセットである。BIOSは、処理システム60が起動されたときに実行されるように、ROM、PROM、EPROM、EEPROM(登録商標)など、何らかのタイプの読み取り専用メモリに保存されている。
【0117】
処理システム60の動作中に、プロセッサ61は、メモリ62内に保存されているソフトウェアを実行し、メモリ62との間でデータをやり取りし、一般にソフトウェアに従って処理システム60の動作を制御する。アプリケーション66及びO/S65の全体又は一部が、プロセッサ61によって読み取られ、場合によっては、プロセッサ61内でバッファされてから実行される。
【0118】
アプリケーション66がソフトウェアで実施される場合、アプリケーション66は、任意のコンピュータ関連のシステム又は方法で使用又は関連して使用するために、実質的にあらゆるコンピュータ可読媒体に保存できることに留意されたい。本文書のコンテキストでは、コンピュータ可読媒体とは、コンピュータ関連のシステム又は方法で使用又は関連して使用するためにコンピュータプログラムを格納又は保存できる電子的、磁気的、光学的、又は他の物理的なデバイス若しくは手段であり得る。
【0119】
アプリケーション66は、命令実行システム、装置、又はデバイス(コンピュータベースシステム、プロセッサ搭載システム、又は命令実行システム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチし、その命令を実行できる他のシステムなど)で使用又は関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体内に具体化できる。本文書のコンテキストでは、「コンピュータ可読媒体」とは、命令実行システム、装置、又はデバイスで使用又は関連して使用するために、プログラムを保存、通信、伝播、又は転送できるあらゆる手段であり得る。コンピュータ可読媒体には、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線による、又は半導体によるシステム、装置、デバイス、又は伝播媒体があるが、これらに限定されない。
【0120】
開示された実施形態の変形例は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲において、語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形の要素は複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを意味するものではない。
【0121】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たしてもよい。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又は固体媒体などの任意の適切な媒体に格納/配布することができるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレス通信システムを介してなど他の形式で配布することもできる。
【0122】
「~するように適応されている」という用語が、特許請求の範囲又は説明で使用されている場合、「~するように適応されている」という用語は「~するように構成されている」という用語と同等であることを意図していることに留意されたい。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】