(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ウーリーマンモス対立遺伝子を用いる遺伝子編集のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0735 20100101AFI20231219BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20231219BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231219BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C12N5/0735 ZNA
C12N5/077
C12N15/12
C12N15/63 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535329
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 US2021062872
(87)【国際公開番号】W WO2022125940
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507244910
【氏名又は名称】プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ ジョージ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヒソリ エリオナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】チャタージー プラナム
(72)【発明者】
【氏名】スミス コリー
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA60
(57)【要約】
少なくとも1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子を発現する生細胞を作製するための組成物および方法が、本明細書において説明される。1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子を発現する胚、胞胚、卵母細胞、または非ヒト生物を作製するための組成物および方法もまた、本明細書において説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、生細胞。
【請求項2】
少なくとも1つの核酸配列によってコードされるポリペプチドを発現する、請求項1記載の細胞。
【請求項3】
幹細胞である、請求項1または2記載の細胞。
【請求項4】
少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する、請求項1~3のいずれか一項記載の細胞。
【請求項5】
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、請求項4記載の細胞。
【請求項6】
幹細胞が、人工幹細胞、胚性幹(ES)細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である、請求項3記載の細胞。
【請求項7】
リプログラミングされた細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項8】
線維芽細胞または間葉細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項9】
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される、請求項1記載の細胞。
【請求項10】
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される細胞に、インビトロで前もって分化させられた、請求項1記載の細胞。
【請求項11】
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログを発現しない、請求項1~10のいずれか一項記載の細胞。
【請求項12】
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログの発現を阻害するように編集される、請求項1~11のいずれか一項記載の細胞。
【請求項13】
非ヒト細胞である、請求項1~12のいずれか一項記載の細胞。
【請求項14】
ゾウ細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項15】
ゾウ細胞が、アフリカゾウ(ロキソダンタ・アフリカナス(Loxodanta Africanus))細胞またはアジアゾウ(エレファス・マクシムス(Elephas maximus))細胞である、請求項14記載の細胞。
【請求項16】
ハイラックス細胞またはマナティー細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項17】
ハイラックス細胞が、ミナミキノボリハイラックス(Dendrohyrax arboreus)細胞、ニシキノボリハイラックス(Dendrohyrax dorsalis)細胞、キボシイワハイラックス(Heterohyrax brucei)細胞、およびケープハイラックス(Procavia capensis)細胞からなる群より選択される、請求項16記載の細胞。
【請求項18】
マナティー細胞が、アマゾンマナティー(Trichechus inunguis)細胞、アメリカマナティー(Trichechus manatus)細胞、フロリダマナティー(Trichechus manatus latirostris)細胞、アンティルマナティー(Trichechus manatus manatus)細胞、およびアフリカマナティー(Trichechus senegalensis)細胞からなる群より選択される、請求項17記載の細胞。
【請求項19】
凍結保存される、請求項1~18のいずれか一項記載の細胞。
【請求項20】
前もって凍結保存された、請求項1~19のいずれか一項記載の細胞。
【請求項21】
適切な対照と比べての、カルシウムシグナルの調節、電気生理学的機能の調節、タンパク質合成速度の調節、代謝機能の調節、および細胞膜の脂質含有量の調節からなる群より選択される1種または複数種の表現型を示す、請求項1~20のいずれか一項記載の細胞。
【請求項22】
内因性核が、請求項1~21のいずれか一項記載の細胞の核によって置き換えられている、卵母細胞。
【請求項23】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ウーリーマンモス細胞。
【請求項24】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む遺伝子編集されたゾウ細胞であって、該ゾウ細胞が、該少なくとも1つの遺伝子のゾウホモログを改変するように編集される、該遺伝子編集されたゾウ細胞。
【請求項25】
前記ゾウ細胞が、少なくとも1つの遺伝子の機能を欠失させるかまたは阻害するように編集される、請求項24記載の細胞。
【請求項26】
表1に列挙されるものからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を有し、同遺伝子のウーリーマンモスバリアントを模倣するように編集される、遺伝子編集されたゾウ細胞。
【請求項27】
形態学的に幹様でありかつ少なくとも1種の内因性幹細胞マーカーを発現する表現型に、リプログラミングされた、ゾウ体細胞。
【請求項28】
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、請求項27記載のゾウ細胞。
【請求項29】
前記細胞が、ウーリーマンモスポリペプチドからなる群より選択される1種または複数種の外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む、請求項27記載のゾウ細胞。
【請求項30】
1種または複数種の外因性ポリペプチドに対応するゾウホモログ遺伝子が不活性化される、請求項27記載のゾウ細胞。
【請求項31】
請求項1~27のいずれか一項記載の細胞を含む、非ヒト生物。
【請求項32】
請求項1~27のいずれか一項記載の細胞を含む、非ヒト胚。
【請求項33】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胚。
【請求項34】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト卵母細胞。
【請求項35】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト4細胞期胚。
【請求項36】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト8細胞期胚。
【請求項37】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胞胚。
【請求項38】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含むドナー核を含む、除核された非ヒト卵母細胞。
【請求項39】
原腸形成前の胚である、請求項32、33、35、および36のいずれか一項記載の胚。
【請求項40】
キメラ胚である、請求項32、33、35、および36のいずれか一項記載の胚。
【請求項41】
凍結保存される、請求項32~40のいずれか一項記載の胚、胞胚、または卵母細胞。
【請求項42】
外因性核酸配列の非ウーリーマンモスホモログが、欠失されているかまたは不活性化されている、請求項32~41のいずれか一項記載の卵母細胞、胚、または胞胚。
【請求項43】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含む、非ヒト生物。
【請求項44】
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、ゾウ細胞。
【請求項45】
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、請求項44記載のゾウ細胞。
【請求項46】
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、非ヒト細胞。
【請求項47】
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、請求項46記載の非ヒト細胞。
【請求項48】
SEQ ID NO: 1~SEQ ID NO: 426より選択される配列を含む、ガイドRNA。
【請求項49】
請求項48記載のガイドRNAをコードする、核酸。
【請求項50】
ガイドRNAをコードする核酸が、該ガイドRNAの発現を指示する核酸配列に機能的に連結されている、請求項49記載の核酸。
【請求項51】
請求項49または50記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項52】
請求項48記載のガイドRNAを含む、細胞。
【請求項53】
請求項49または請求項50記載の核酸を含む、細胞。
【請求項54】
請求項51記載のベクターを含む、細胞。
【請求項55】
その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項52~54のいずれか一項記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる2020年12月10日に出願された米国特許仮出願第63/123,616号の、35 U.S.C. § 119(e)に基づく恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本明細書において説明される技術は、遺伝子編集されかつ/またはリプログラミングされた哺乳動物細胞、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
動物保護活動を支援するためのゾウ組織培養物、非ヒト細胞のゲノム編集、および生物学的ツールの開発に対するニーズは、現在、まだ満たされていない。合成生物学および遺伝子編集によって、野生生物の疾患に対する処置を進歩させ、かつ気候変動、環境汚染、人間の食用、狩猟、人為的攪乱、資源の枯渇、および森林破壊によって引き起こされる生態学的不均衡を修正することができる。絶滅危惧種および絶滅種に由来する組織および細胞株のバイオバンク化では、今後かなり先の将来の研究のためにそれらを凍結保存することができる。しかし、現在、これらの種に由来するこれらの組織および細胞が不足している。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書において説明される組成物および方法は、ゾウ体細胞(例えばロキソドンタ・アフリカナ(Loxodonta africana)細胞)を、幹細胞様表現型にリプログラミングすることができ、かつ絶滅したウーリーマンモス(例えば、ケナガマンモス(Mammuthus primigenius))に由来する1つまたは複数の遺伝子バリアント対立遺伝子を含むように遺伝子編集することもできるという発見に、ある程度、基づいている。本明細書において説明される組成物および方法は、野生生物製品の合成代替物ならびに絶滅危惧種および絶滅種における遺伝的多様性および細胞生物学を理解するためのツールを提供する。
【0005】
1つの局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む生細胞が、本明細書において説明される。
【0006】
局面のいずれかの1つの態様において、細胞は、少なくとも1つの核酸配列によってコードされるポリペプチドを発現する。
【0007】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、リプログラミング可能な細胞である。
【0008】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、リプログラミングされた細胞である。
【0009】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、幹細胞である。別の態様において、細胞は、幹細胞表現型の少なくとも1つの内因性遺伝子を発現する。
【0010】
局面のいずれかの別の態様において、幹細胞は、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、または間葉系幹細胞である。
【0011】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、線維芽細胞または間葉細胞である。
【0012】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される。
【0013】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、および表皮細胞からなる群より選択される細胞に、インビトロで前もって分化させられた。
【0014】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、少なくとも1つのウーリーマンモス遺伝子の内因性ホモログを発現しない。
【0015】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、少なくとも1つのウーリーマンモス1遺伝子の内因性ホモログの発現を阻害するように編集される。
【0016】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、非ヒト細胞である。
【0017】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、ゾウ細胞である。
【0018】
局面のいずれかの別の態様において、ゾウ細胞は、ロキソドンタ・アフリカナ(アフリカゾウ)細胞またはエレファス・マクシムス(Elephas maximus)(アジアゾウ)細胞である。
【0019】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、ハイラックス細胞またはマナティー細胞である。局面のいずれかの別の態様において、ハイラックス細胞は、ミナミキノボリハイラックス(Dendrohyrax arboreus)細胞、ニシキノボリハイラックス(Dendrohyrax dorsalis)細胞、キボシイワハイラックス(Heterohyrax brucei)細胞、およびケープハイラックス(Procavia capensis)細胞からなる群より選択される。別の態様において、マナティー細胞は、アマゾンマナティー(Trichechus inunguis)細胞、アメリカマナティー(Trichechus manatus)細胞、フロリダマナティー(Trichechus manatus latirostris)細胞、アンティルマナティー(Trichechus manatus manatus)細胞、およびアフリカマナティー(Trichechus senegalensis)細胞からなる群より選択される。
【0020】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、凍結保存される。
【0021】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、前もって凍結保存された。
【0022】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、以下からなる群より選択される表現型を示す:適切な対照と比べての、1種または複数種のウーリーマンモスポリペプチドの発現増大、カルシウムシグナル伝達の調節、電気生理学的機能の調節、細胞膜の脂質組成の調節、タンパク質合成速度の調節、および細胞増殖速度の調節、ならびに幹細胞の場合は、他の細胞系列への分化能力。
【0023】
別の局面において、内因性核が、本明細書において説明される細胞の核によって置き換えられている卵母細胞が、本明細書において説明される。
【0024】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ウーリーマンモス細胞が、本明細書において説明される。
【0025】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む遺伝子編集されたゾウ細胞が、本明細書において説明され、該ゾウ細胞は、少なくとも1つのウーリーマンモス遺伝子のゾウホモログを変更または不活性化するように編集される。
【0026】
別の局面において、表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含むゾウ細胞が、本明細書において説明される。1つの態様において、ゾウ細胞は、少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼもさらに発現する。
【0027】
別の局面において、表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む非ヒト細胞が、本明細書において説明される。1つの態様において、非ヒト細胞は、少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼもさらに発現する。
【0028】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログを有し、該ホモログのウーリーマンモスバリアントを模倣するように編集される、遺伝子編集されたゾウ細胞が、本明細書において説明される。
【0029】
局面のいずれかの1つの態様において、細胞は、ゾウホモログの機能を欠失させるかまたは阻害するように変更される。
【0030】
局面のいずれかの別の態様において、幹細胞マーカーは、とりわけ、TRA 1-60、TRA 1-81、SSEA4、POU5F1、NANOG、REX1、hTERT、GDF3、miR-290、およびmir-302クラスターからなる群より選択される。
【0031】
別の態様において、細胞は、表1に列挙されるウーリーマンモスポリペプチドからなる群より選択される1種または複数種の外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む。
【0032】
別の態様において、1種または複数種の外因性ポリペプチドに対応するゾウホモログ遺伝子は、不活性化される。
【0033】
別の局面において、本明細書において説明される生細胞を含む非ヒト生物が、本明細書において説明される。
【0034】
別の局面において、本明細書において説明される細胞を含む非ヒト胚が、本明細書において説明される。
【0035】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト胚が、本明細書において説明される。
【0036】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト卵母細胞が、本明細書において説明される。
【0037】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト4細胞期胚が、本明細書において説明される。
【0038】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト8細胞期胚が、本明細書において説明される。
【0039】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト胞胚が、本明細書において説明される。
【0040】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含むドナー核を含む、除核された非ヒト卵母細胞が、本明細書において説明される。
【0041】
別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含む非ヒト生物が、本明細書において説明される。
【0042】
局面のいずれかの1つの態様において、胚は、原腸形成前の胚である。
【0043】
局面のいずれかの別の態様において、胚は、キメラ胚である。
【0044】
局面のいずれかの別の態様において、胚、胞胚、または卵母細胞は、凍結保存される。
【0045】
局面のいずれかの別の態様において、胚、胞胚、または卵母細胞は、前もって凍結保存された。
【0046】
局面のいずれかの別の態様において、外因性核酸配列の非ウーリーマンモスホモログは、欠失させられているかまたは不活性化されていた。
【0047】
別の局面において、SEQ ID NO: 1~SEQ ID NO: 426より選択される配列を含むガイドRNAが、本明細書において説明される。
【0048】
別の局面において、本明細書において説明されるガイドRNAのいずれかをコードする核酸が、本明細書において説明される。
【0049】
局面のいずれかの1つの態様において、ガイドRNAをコードする核酸は、ガイドRNAの発現を指示する核酸配列に機能的に連結されている。
【0050】
別の局面において、本明細書において説明される核酸のいずれかを含むベクターが、本明細書において説明される。
【0051】
別の局面において、本明細書において説明されるガイドRNAのいずれかを含む細胞が、本明細書において説明される。
【0052】
別の局面において、本明細書において説明される核酸のいずれかを含む細胞が、本明細書において説明される。
【0053】
別の局面において、本明細書において説明されるベクターのいずれかを含む細胞が、本明細書において説明される。
【0054】
局面のいずれかの1つの態様において、細胞は、その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む。
【0055】
定義
本明細書において他に規定されない限り、本出願に関連して使用される科学用語および技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。本発明は、本明細書において説明される特定の方法論、プロトコール、および試薬などに限定されず、したがって様々であり得ることを理解すべきである。本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することは意図されない。生物学および分子生物学における一般的用語の定義は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 20th Edition, published by Merck Sharp & Dohme Corp., 2018 (ISBN 0911910190, 978-0911910421); Robert S. Porter et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Cell Biology and Molecular Medicine, published by Blackwell Science Ltd., 1999-2012 (ISBN 9783527600908); およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8); Immunology by Werner Luttmann, published by Elsevier, 2006; Janeway's Immunobiology, Kenneth Murphy, Allan Mowat, Casey Weaver (eds.), W. W. Norton & Company, 2016 (ISBN 0815345054, 978-0815345053); Genetics: Analysis of Genes and Genomes 9th ed., published by Jones & Bartlett Publishers, 2014 (ISBN: 978-1284122930); Biology published by Pearson, 11th ed. 2016, (ISBN: 0134093410); Lewin's Genes XI, published by Jones & Bartlett Publishers, 2014 (ISBN-1449659055); Michael Richard Green and Joseph Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA (2012) (ISBN 1936113414); Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing, Inc., New York, USA (2012) (ISBN 044460149X); Laboratory Methods in Enzymology: DNA, Jon Lorsch (ed.) Elsevier, 2013 (ISBN 0124199542); Current Protocols in Molecular Biology (CPMB), Frederick M. Ausubel (ed.), John Wiley and Sons, 2014 (ISBN 047150338X, 9780471503385)、Current Protocols in Protein Science (CPPS), John E. Coligan (ed.), John Wiley and Sons, Inc., 2005;ならびにCurrent Protocols in Immunology (CPI) (John E. Coligan, ADA M Kruisbeek, David H Margulies, Ethan M Shevach, Warren Strobe, (eds.) John Wiley and Sons, Inc., 2003 (ISBN 0471142735, 9780471142737)において確認することができ、これらの内容はすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0056】
本明細書において使用される場合、「幹細胞」という用語は、自己再生し、かつ少なくとも1つの、分化度の高いまたは発生に関する能力が低い表現型に分化することができる、細胞を意味する。「幹細胞」という用語は、幹細胞株、人工幹細胞、非ヒト胚性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、羊水/羊膜幹細胞、胎盤幹細胞、または成体幹細胞を包含する。「人工幹細胞」とは、1つまたは複数のリプログラミング因子または遺伝子の導入によって分化度の低いまたは発生に関する能力が高い表現型に誘導された非多能性細胞に由来するものである。この用語が本明細書において使用される場合、人工幹細胞は、多能性である必要はないが、より高度に分化した複数の表現型に適切な条件下で分化する能力を有する―この能力は、リプログラミング因子の導入前には存在しなかったことを理解すべきである。人工幹細胞は、リプログラミング因子の導入前には親細胞によって発現されていない少なくとも1つの幹細胞マーカーを発現する。この文脈において、幹細胞マーカーは、リプログラミングのために導入される因子を含まない。人工多能性幹細胞またはiPS細胞は、内胚葉層、中胚葉層、および外胚葉層のそれぞれに由来する細胞表現型に、適切な条件下で分化する、誘導された能力を有する。
【0057】
「マーカー」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞の特徴および/または表現型を説明するために使用される。マーカーは、関心対象の特徴を含む細胞の選択のために使用することができ、個々の細胞に応じて変わり得る。マーカーは、特徴であり、特定の細胞型の細胞または該細胞型によって発現される分子の、形態学的、構造的、機能的、または生化学的(酵素的)特徴である。1つの局面において、このようなマーカーはタンパク質である。このようなタンパク質は、当技術分野で入手可能な抗体または他の結合分子に対するエピトープを有することができる。しかし、マーカーは、限定されるわけではないが、タンパク質(ペプチドおよびポリペプチド)、脂質、多糖、核酸、およびステロイドを含む、細胞中または細胞上に存在する任意の分子からなることができる。形態学的な特徴または形質の例には、形状、大きさ、および核細胞質比が含まれるが、それらに限定されるわけではない。機能的な特徴または形質の例には、特定の基質に接着する能力、特定の色素を取り込むまたは排除する能力、特定の条件下で遊走する能力、および特定の系列に沿って分化する能力が含まれるが、それらに限定されるわけではない。マーカーは、当業者が利用可能な任意の方法によって検出され得る。マーカーはまた、形態学的特徴の非存在、またはタンパク質、脂質などの非存在であることもできる。マーカーは、ポリペプチドの存在および/または非存在という固有の特徴ならびに他の形態学的特徴または構造的特徴のパネルの組合せであることができる。1つの態様において、マーカーは、細胞表面マーカーである。
【0058】
本明細書において使用される場合、「少なくとも1つの幹細胞マーカーを発現する」という表現は、ある細胞が本明細書において定義される幹細胞に特徴的であるマーカーを発現することを示し、このマーカーという用語は、本明細書において定義される。マーカーは、ある特定の形態であることができるが、より多くの場合、細胞表面であろうと細胞内であろうと、1種または複数種のポリペプチドの発現である。幹細胞マーカーの発現の獲得は、ほとんどの場合、分化した表現型の1種または複数種のマーカーの発現の喪失を伴う。「少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する」細胞の「少なくとも1種の幹細胞マーカー」が、細胞に外部から導入された構築物によって発現されるマーカーではなく、リプログラミング因子の導入に対する細胞応答の一環として発現されることを理解すべきである。幹細胞マーカーの例には、胚性幹細胞についての、とりわけ、TRA 1-60、TRA 1-81、SSEA4、POU5F1、NANOG、REX1、hTERT、GDF3、miR-290、およびmir-302のクラスター、ならびに数ある中でも、どの分化系列が好ましいかに応じて、SOX2、MYOD、PAX6、NESTIN、NEUROGENIN1/2、CD34、IL-7、IL-3、NEURODのような分化マーカーが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0059】
「外因性」という用語は、人為的に導入された細胞中に存在する物質を意味する。「外因性」という用語は、本明細書において使用される場合、通常はそれが存在しない細胞または生物などの生物学的系に、人の手が関与するプロセスによって導入された、核酸(例えば、ポリペプチドをコードする核酸)またはポリペプチドを意味することができる。あるいは、「外因性」とは、それが比較的少量で存在し、かつ例えば異所発現または異所レベルを引き起こすために、その細胞または生物中の核酸またはポリペプチドの量を増やすことが望まれる、細胞または生物などの生物学的系に、人の手が関与するプロセスによって導入された、核酸またはポリペプチドを意味することもできる。
【0060】
「配列同一性」という用語は、2つのヌクレオチド配列間の関連性を意味する。本開示の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン3.0.0 以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000、前記)のNeedleプログラムに組み込まれているNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970、前記)を用いて測定される。使用される任意のパラメーターは、ギャップ開始ペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換行列である。(-nobriefオプションを用いて得られる)「最長同一性」と名付けられたNeedleの出力は、同一性パーセントとして使用され、以下のように計算される:(同一のデオキシリボヌクレオチド×100)/(アライメントの長さ-アライメント中のギャップ総数)。アライメントの長さは、好ましくは少なくとも10個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも25個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50個のヌクレオチド、および最も好ましくは少なくとも100個のヌクレオチドである。
【0061】
本明細書において使用される場合、「リプログラミング遺伝子」または「リプログラミング因子」という用語は、分化度の低い、より幹細胞に似た表現型を再発現させるための、体細胞中でリプログラミングプロセスを誘導することができる作用物質または核酸分子を意味する。リプログラミング因子は、細胞に導入された場合にリプログラミングされた表現型を促進する、核酸、ポリペプチド、または低分子であることができる。リプログラミング因子の非限定的な例には、Oct4(八量体結合転写因子-4)、SOX2(性決定領域Y)-ボックス2、Klf4(クルッペル様因子-4)、およびc-Mycが含まれる。これらは、例えば人工多能性幹細胞を誘導するために使用されるリプログラミング因子の、いわゆる「従来の」または「標準的な」セットである。分化度の低い表現型または幹細胞表現型に細胞をリプログラミングするプロセスで導入される場合に、リプログラミング因子とみなすことができるその他の因子には、LIN28+Nanog、Esrrb、Pax5 shRNA、C/EBPα、p53 siRNA、UTF1、DNMT shRNA、Wnt3a、SV40 LT(T)、hTERT)、非限定的にBIX-01294、BayK8644、RG108、AZA、デキサメタゾン、VPA、TSA、SAHA、PD0325901+CHIR99021(2i)、およびA-83-01が含まれる低分子化学物質が含まれる。いくつかの態様において、リプログラミング遺伝子または因子は、Oct4、Klf4、SOX2、およびc-Mycである。
【0062】
本明細書において使用される場合、「脱分化」もしくは「逆行分化」または「リプログラミング」という用語は、由来元である細胞よりも分化度の低い表現型を再発現し、かつ/または該プロセスの前には発現されない少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する、細胞を、作製するプロセスを意味する。例えば、最終分化を遂げた細胞を脱分化して、複能性細胞にすることができる。すなわち、脱分化は、完全に分化した細胞になるまでの全能性細胞の分化範囲に沿って、逆方向に細胞を変化させる。典型的には、ある細胞の分化表現型を逆戻りさせるには、例えば、外因性ポリペプチド因子を導入するかまたは発現させることによる、細胞の人工的操作が必要となる。通常、リプログラミングは、インビボでもインビトロでも天然条件下では観察されない。
【0063】
本明細書において使用される場合、「リプログラミングされた細胞」とは、1種または複数種のリプログラミング因子と接触させられ、かつそれが由来した細胞よりも分化度の低い表現型を発現する、細胞である。リプログラミングされた細胞はまた、自己再生する能力も有することができ、リプログラミング因子として細胞に送達されなかった少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現すると考えられる。さらに、リプログラミングされた細胞は、本明細書において提供されるかまたは当技術分野において説明される分化プロトコールに従って、分化度の高い体細胞型に分化する能力も有すると考えられる。
【0064】
本明細書において使用される場合、「体細胞」という用語は、生殖細胞、着床前胚中に存在するかもしくはそれから得られる細胞、またはそのような細胞のインビトロでの増殖の結果として生じる細胞以外の、任意の細胞を意味する。別の言い方をすれば、体細胞とは、生殖細胞を除く、生物の身体を形成する任意の細胞を意味する。哺乳動物の体内のあらゆる細胞型―精子および卵子ならびにそれらが作られる元となる細胞(生殖母細胞)は別として―は、体細胞である:内臓、皮膚、骨、血液、および結合組織はすべて、実質的に体細胞から構成されている。いくつかの態様において、体細胞は、「非胚性体細胞」であり、これは、胚中に存在もせず、胚から得られるのでもなく、かつそのような細胞のインビトロでの増殖の結果として生じない、体細胞を意味する。いくつかの態様において、体細胞は、「成体体細胞」であり、これは、胚もしくは胎児以外の生物中に存在するかもしくはそれから得られるか、またはそのような細胞のインビトロでの増殖の結果として生じる、細胞を意味する。
【0065】
細胞個体発生という文脈において、「分化する」または「分化している」という用語は、「分化細胞」が、その前駆細胞よりも、発生経路のさらに先の方へと進んだ細胞であることを示す、相対語である。したがって、いくつかの態様において、その用語が本明細書において定義されるところの幹細胞は、系列が限定された前駆細胞(例えば、ヒト心臓前駆細胞または原始線条中期の心原性中胚葉前駆細胞)に分化することができ、これは、次に、経路のさらに先にある他のタイプの前駆細胞(例えば、心筋細胞前駆体などの組織特異的前駆体)に分化し、次いで、最終段階の分化細胞に分化することができる。この最終段階の分化細胞は、特定の組織型において特徴的な役割を果たし、さらに増殖する能力を保持していてもしていなくてもよい。幹細胞を他の細胞型にインビトロで分化させるための方法は、当技術分野において公知である。幹細胞に由来する骨格筋細胞、平滑筋、および/または脂肪細胞に分化させる方法は、例えば、米国特許第10,240,123 B2号;およびCheng et al. Am J Physiol Cell Physiol (2014)に記載されている。腎臓細胞に分化させる方法は、例えば、Tajiri et al. Scientific Reports 8:14919 (2018); Taguchi et al. Cell Stem Cell 14:53-67 (2014);および米国特許出願公開第2010/0021438 A1号に記載されている。心血管細胞に分化させる方法は、例えば、米国特許出願公開第2017/0058263 A1号;同第2008/0089874 A1号;同第2006/0040389 A1号;米国特許第10,155,927 B2号;同第9,994,812 B2号;および同第9,663,764 B2号に記載されている。内皮細胞(例えば血管内皮)に分化させる方法は、例えば、米国特許第10,344,262 B2号およびOlgasi et al., Stem Cell Reports 11:1391-1406 (2018)に記載されている。ホルモン産生細胞に分化させる方法は、例えば、米国特許第7,879,603 B2号およびAbu-Bonsrah et al. Stem Cell Reports 10:134-150 (2018)に記載されている。骨細胞に分化させる方法は、例えば、Csobonyeiova et al. J Adv Res 8: 321-327 (2017)、米国特許第7,498,170 B2号;同第6,391,297 B1号;および米国特許出願公開第2010/0015164 A1号に記載されている。ミクログリア細胞に分化させる方法は、例えば、WO 2017/152081 A1に記載されている。上皮細胞および皮膚細胞に分化させる方法は、例えば、Kim et al., Stem Cell Research and Therapy (2018);米国特許第7,794,742 B2号;同第6,902,881 B2号に記載されている。血液細胞および白血球に分化させる方法は、例えば、米国特許第6,010,696 A号および同第6,743,634 B2号に記載されている。幹細胞に由来するβ細胞に分化させる方法は、例えば、WO 2016/100930A1に記載されている。上記の各参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0066】
本明細書において使用される場合、「凍結保存される」という用語は、水溶液中で凍結された生細胞を意味し、その際、該水溶液は、凍結工程の間、該細胞を保護するように調製されている。
【0067】
「減少する」、「低減する」、「低減」、または「阻害する」という用語はすべて、統計学的に有意な量の減少を意味するために本明細書において使用される。いくつかの態様において、「低減する」、「低減」、「減少する」、または「阻害する」は、参照レベル(例えば、所与の処理がない場合)と比べて少なくとも10%の減少を意味し、かつ例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、またはそれを超える、減少を含むことができる。本明細書において使用される場合、「低減」または「阻害」は、参照レベルと比べて全面的な阻害も低減も含まない。「全面的な阻害」とは、参照レベルと比べて100%の阻害である。
【0068】
「増加した」、「増加する」、「向上させる」、または「活性化する」という用語はすべて、統計学的に有意な量の増加を意味するために本明細書において使用される。いくつかの態様において、「増加した」、「増加する」、「向上させる」、または「活性化する」という用語は、参照レベルと比べて少なくとも10%の増加、例えば、少なくとも約20%の、もしくは少なくとも約30%の、もしくは少なくとも約40%の、もしくは少なくとも約50%の、もしくは少なくとも約60%の、もしくは少なくとも約70%の、もしくは少なくとも約80%の、もしくは少なくとも約90%の増加、もしくは100%以下の増加、または参照レベルと比べて10~100%の間の任意の増加、あるいは参照レベルと比べて少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増加、または2倍~10倍の間もしくは10倍超の任意の増加を意味することができる。
【0069】
「統計学的に有意な」または「有意に」という用語は、統計学的有意性を意味し、通常、標準偏差の2倍(2SD)またはそれより大きな差を意味する。
【0070】
本明細書において使用される場合、「含んでいる」または「含む」という用語は、方法または組成物にとって極めて重要である組成物、方法、およびその個々の構成要素に関して使用されるが、指定されていない要素を極めて重要であるか否かに関わらず包含することが可能である。
【0071】
本明細書において使用される場合、「から本質的になる」という用語は、所与の態様に必要とされる要素に関係する。この用語は、本発明のその態様の基本的特徴および新規または機能的な特徴に実質的に影響を及ぼさない付加的な要素の存在を許容する。
【0072】
「からなる」という用語は、本明細書において説明される組成物、方法、およびそれらの個々の構成要素を意味し、その態様の説明で挙げられていない任意の要素を除外する。
【0073】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単数形の用語は、文脈において特に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「または」という単語は、文脈において特に別段の指示がない限り、「および」を含むと意図される。本明細書において説明するものと同様または等価な方法および材料が、本開示の実践または試験において使用され得るが、適切な方法および材料を後述する。「例えば(e.g.)」という略語は、ラテン語の例えば(exempli gratia)に由来し、非限定的な例を示すために本明細書において使用される。したがって、「e.g.」という略語は、「例えば(for example)」という用語と同義である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】マンモスに特異的な形質を同定するために使用されるマンモス近縁種を示す。Palkopoulou, et al. 2018, PNAS 115 (11) E2566-E2574の図を書き直したもの。
【
図2】TRP遺伝子が活性である温度範囲を示す。Lynch et al., 2015, Cell Reports 12, 217-228の図を書き直したもの。
【
図3】クローニングされたマンモス対立遺伝子を有するマルチシストロン性ベクターを示す。
【
図4】ゾウ線維芽細胞からゾウiPSCを作製するために使用されるリプログラミングの概要および因子のリストを示す。リプログラミング因子には、Oct4、SOX2、KLF4、およびcMycが含まれた。
【
図5】リプログラミングのために使用されるpMPH86ベクターを示す。
【
図7】幹細胞特徴を有する誘導された表現型への、ゾウ線維芽細胞の最初のリプログラミングを示す。
【
図8】MATRIGEL(商標)を含むフィーダー無し条件で増殖させた、リプログラミングされたロキソドンタ・アフリカナ(Lox africana)細胞を示す。
【
図9】主成分分析法(PCA)によるゾウ細胞集団の解析を示す。
【
図10】様々な細胞マーカーのヒートマップを示す。ヒートマップは、リプログラミングされたゾウ細胞中で多く線維芽細胞様の細胞中で少ない幹細胞マーカーの、比較を示す。
【
図11】リプログラミングされたゾウ細胞中で多く、分化した親集団中で少ない、分化マーカーの、発現差異解析を示す。
【
図12】リプログラミングされたゾウ細胞中で少なく、分化した親集団中で多い、分化マーカーの、発現差異解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
詳細な説明
ウーリーマンモス(ケナガマンモス)は、最終氷期中に北半球の広大なマンモスステップの全域でかつて生息し、約1万年前にその生息地域の大部分で絶滅した、ゾウファミリーの耐寒性メンバーであった。先史時代の芸術作品からも、シベリアおよびアラスカで発見された凍結遺体からも、ウーリーマンモスが、最もよく特徴がわかっている先史時代動物であることはほぼ間違いない。これらの保存の良い標本は、絶滅動物の適応進化を機能的に特徴付けるための希少な機会を与える。北半球地方の寒冷地など極端な環境での生息には、一そろいの適応進化的な変化が必要となる。ウーリーマンモス標本の遺伝学的解析および形態学的解析により、密集した長い毛、脂肪組織の増大、耳および尾部の縮小、ならびにヘモグロビンの構造多型を含む、低温に対する複数の生理学的適応が明らかにされている。他の耐寒性哺乳動物の研究により、共通の環境ストレス要因に対する独特な適応だけでなく、同じ遺伝子および経路間でのいくつかの収束適応も特定された。
【0076】
本明細書において説明される組成物および方法は、細胞(例えばロキソドンタ・アフリカナ細胞)を、ウーリーマンモス(例えばケナガマンモス)に由来する対立遺伝子またはホモログを含みかつ発現するように改変できるという発見に、ある程度、基づいている。具体的には、ゾウ遺伝子のマンモスバリアントまたは対立遺伝子を模倣するように、既存のゾウホモログに対してトランスフェクション、形質導入、または改変を行うことにより、生細胞を遺伝子編集することができる。いくつかの態様において、マンモス遺伝子の内因性ホモログは、欠失させられるかまたは不活性化される。ウーリーマンモス遺伝子を導入するための同様の改変を、ゾウの別の非ヒト近縁種の生細胞に加えることができる。マンモスバリアントまたは対立遺伝子は、遺伝子編集された細胞の表現型を改変することができる。このように遺伝子編集された細胞を含む、卵母細胞、キメラ胚を含む胚、および非ヒト生物もまた、本明細書において説明される。本明細書において説明される組成物および方法は、野生生物製品の合成代替物ならびに野生生物の絶滅危惧種および絶滅種における遺伝的多様性および細胞生物学を理解するための新しいツールを提供する。
【0077】
ウーリーマンモス遺伝子
1つの局面において、ウーリーマンモス遺伝子をコードする少なくとも1つの外因性核酸配列を含むか、または内因性遺伝子のウーリーマンモスホモログもしくはバリアントを発現させるための、該内因性遺伝子の改変を含む、生細胞が、本明細書において説明される。配列決定されているすべてのウーリーマンモスゲノムによって共有されており、配列決定されているいかなるゾウゲノム(アジアまたはアフリカ)によっても共有されていない、遺伝子が、特に関心対象である。このようにして遺伝子を選択することにより、配列決定されているウーリーマンモスゲノムの群内の個々の差異ならびにアジアゾウおよび/またはアフリカゾウのゲノム中の差異の影響を最小化して、全面的にマンモス由来であるバリアント配列を重点的に取り扱う。この点に鑑みて、本明細書において使用される場合、「ウーリーマンモス遺伝子」、「ウーリーマンモス遺伝子バリアント」、または「ウーリーマンモスホモログ」とは、配列決定されているウーリーマンモスゲノムのすべてによってコードされている配列を有し、かつ配列決定されているアジアゾウおよびアフリカゾウのゲノムのすべてにおいてコードされている相同ポリペプチドとは異なる、ポリペプチドを、コードする遺伝子である。この文脈において、「とは異なる」とは、アフリカゾウまたはアジアゾウによってコードされる相同ポリペプチドと比べて少なくとも1つのアミノ酸の差異を意味する。非コード性または調節性の核酸配列は、少なくとも20個のヌクレオチドからなる非コード性モチーフが、配列決されているすべてのウーリーマンモスゲノム中に存在し、配列決定されているいかなるアジアゾウゲノム中にもアフリカゾウゲノム中にも存在しない場合、「ウーリーマンモス配列」とみなすことができる。人間の介入によって、ウーリーマンモス遺伝子または遺伝子バリアントの配列をコードするように改変された、アジアゾウまたはアフリカゾウの遺伝子または配列は、該用語が本明細書において使用されるところのウーリーマンモス遺伝子もしくは遺伝子または遺伝子バリアントである。本明細書において言及されるウーリーマンモス遺伝子または遺伝子バリアントが、ウーリーマンモスゲノムにおいてコードされたものしか存在せず、かつウーリーマンモスが絶滅している場合、ウーリーマンモスの遺伝子または遺伝子バリアントの配列は、必然的に生細胞に対して外因性である;すなわち、ウーリーマンモスの遺伝子または遺伝子バリアントの配列は、該配列が、外来配列の導入によってであれ、ウーリーマンモスの遺伝子または遺伝子バリアントの配列をコードするように内因性配列を遺伝子編集することによってであれ、細胞中に存在する場合、「外因性」である。
【0078】
1つの態様において、1つまたは複数のマンモスバリアント遺伝子は、表1に列挙されるウーリーマンモス(例えばケナガマンモス)遺伝子からなる群より選択される。
【0079】
使用することが可能であるウーリーマンモス遺伝子の非限定的な例は、下記の表で列挙される(表1)。本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子は、一連の生物学的プロセスに関与しており、該生物学的プロセスには、それだけには限らないが、低温感受性の調節、熱感受性の調節、細胞内pHの調節、軸索新生および発達の調節、tRNA、代謝プロセス、細胞接着、組織の発達および形成、細胞の微小管に基づく運動、生物学的プロセスの負の調節、遺伝子発現、ならびに細胞高分子の代謝プロセスなどが含まれる。
【0080】
【0081】
本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子は、すべての入手可能なウーリーマンモスゲノムに共通しているが、入手可能ないかなるゾウゲノムにも存在していない。ウーリーマンモス遺伝子のデータベースは、ワールドワイドウェブ上のhttps:// <usegalaxy.org/u/webb/p/mammoth>においても入手可能である。その全体が参照により本明細書に組み入れられるLynch et al. Elephantid genomes reveal the molecular bases of Woolly Mammoth adaptations to the arctic. Cell Reports 12, 217-228, (2015)もまた、参照されたい。
【0082】
本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子は、本明細書において説明される生細胞において発現させるために、任意の組合せで使用することができる。局面のいずれかのいくつかの態様において、生細胞によって含まれる少なくとも1つのウーリーマンモス核酸配列は、KRT8をコードする。局面のいずれかのいくつかの態様において、細胞は、ウーリーマンモスKRT8をコードおよび発現し、かつ表1より選択される少なくとも1つの外因性ウーリーマンモス核酸配列をさらにコードおよび発現する。
【0083】
局面のいずれかの別の態様において、細胞は、表1に列挙されるウーリーマンモスポリペプチドからなる群より選択される1種または複数種の外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む。
【0084】
細胞調製物
本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子は、外因性遺伝物質を受け取ることができる任意の生細胞によって発現され得る。細胞は、例えば、原核細胞または真核細胞であることができる。いくつかの態様において、細胞は真核細胞である。細胞は、リプログラミングされた細胞、非ヒト卵母細胞、非ヒト胚の細胞、または非ヒト胞胚の細胞であることができる。局面のいずれかのいくつかの態様において、細胞は線維芽細胞である。いくつかの態様において、細胞は、神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、および表皮細胞からなる群より選択される。いくつかの態様において、細胞は、神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、および表皮細胞からなる群より選択される細胞に、前もって分化させられた。
【0085】
科学文献は、本明細書において説明される組成物および方法において使用するために、必要に応じて細胞を単離および調製するための、当業者向けの手引きを提供する。細胞の供給源を、本明細書において下記にさらに論じる。
【0086】
細胞供給源:本明細書において説明される細胞は、生存能力がある任意の非ヒト供給源または生物に由来することができる。通常、生物は、動物または脊椎動物、例えば、野生動物、動物園動物、絶滅危惧動物、げっ歯動物、飼育された動物、またはトリである。動物には、非限定的な例として、ゾウ、カバ、ハイラックス、マナティー、クマ、パンダ、ネコ科の種、例えば、トラ、ライオン、チーター、ボブキャット、イヌ科の種、例えば、キツネ、オオカミ、鳥類の種、例えば、ダチョウ、エミュー、ペンギン、ハト、および魚類、例えば、マス、ナマズ、およびサケが含まれ得る。いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、哺乳動物に由来する。細胞の由来元であり得る生物の非限定的な例には、ゾウ(例えば、ロキソドンタ・アフリカナ、エレファス・マクシムス、L.シクロチス(L. cyclotis));ハイラックス(例えば、ミナミキノボリハイラックス、ニシキノボリハイラックス、キボシイワハイラックス、ケープハイラックス);およびマナティー(アマゾンマナティー、アメリカマナティー、フロリダマナティー、アンティルマナティー、アフリカマナティー)が含まれる。
【0087】
ゾウ細胞:特定の態様において、本明細書において説明される方法および組成物において有用な細胞は、ゾウ細胞である。いくつかの態様において、細胞はゾウ線維芽細胞である。いくつかの態様において、細胞はゾウ幹細胞である。いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、幹細胞、または幹細胞様の形態を有しかつ/もしくは本明細書において説明される少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する幹細胞様表現型にリプログラミングされた、ゾウ体細胞である。
【0088】
ゾウ細胞は、DNA損傷に対して高レベルの耐性を示すという点で、哺乳動物細胞の中でも独特である。おそらくはこの理由で、ゾウは、ヒトを含む他の哺乳動物種よりも発がん率が低い。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるAbegglen et al. Potential Mechanisms for Cancer Resistance in Elephants and Comparative Cellular Response to DNA Damage in Humans. JAMA. (2015) 314(17): 1850-1860を参照されたい。Abegglenは、DNA損傷に対するゾウ細胞耐性の1つのメカニズムが、ゾウ細胞が腫瘍抑制因子p53をコードする遺伝子であるTP53のコピーを複数有していることであることを特定した。腫瘍抑制因子タンパク質p53は、哺乳動物細胞の細胞周期、アポトーシス、およびゲノム安定性を調節する際に重要な役割を果たす。p53はまた、DNA修復タンパク質の活性化にも関与しており、細胞増殖を停止することができる。幹細胞の特徴または多能性を示すように体細胞をリプログラミングすること(いわゆる、人工多能性幹細胞またはiPS細胞)は、広範囲の真核生物および哺乳動物生物の細胞を対象として十分に確立されている。しかし、ゾウ細胞を多能性にリプログラミングするための試みは、これまで、成功していない。理論に拘束されることを望むものではないが、ゾウ細胞における高レベルのp53発現が、多能性幹細胞表現型にリプログラミングするために必要な遺伝子改変または後成的改変を阻害し得ると考えられている。p53発現または活性遺伝子コピー数の操作は、幹細胞表現型へのリプログラミングを受け入れやすい状態にゾウ細胞を変えるためのアプローチとして企図されている。このような操作は、例えばRNA干渉(RNAi)もしくは関連する方法による一過性の発現ノックダウン、または例えばゾウゲノム中のp53の1つもしくは複数のコピー(ゾウゲノム中にはp53遺伝子のコピーが20個存在する)の不活性化による安定なゲノム改変を含むことができる。このような不活性化は、例えばCRISPRまたは他の方法による、p53遺伝子の1つまたは複数の活性コピーを欠失させるかまたは妨害する遺伝子編集などを含み得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書において説明される生細胞は、TP53の1つもしくは複数のコピーを欠失させるかまたは不活性化するように編集された細胞を含み得る、遺伝子編集されたゾウ細胞である。
【0089】
ゾウ細胞における外因性遺伝子配列の導入または内因性遺伝子配列の操作にとって絶対的に必要ではないものの、単独でまたは他のDNA損傷センサーもしくはDNA修復酵素の操作と組み合わせて、p53の発現または遺伝子コピー数を低減することにより、ゾウ細胞のさらなる遺伝学的または後成的な操作が容易になり得ることもまた、企図される。
【0090】
幹細胞形態を有し、かつ少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する幹細胞表現型に、ゾウ体細胞をリプログラミングすることが、本明細書において説明される。いくつかの態様において、リプログラミングされたゾウ細胞は、胚様体を形成するか、または凝集してクラスターになる。
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【0091】
細胞型:本明細書において説明される細胞は、当技術分野において公知の方法によって生物から単離された任意の組織に由来してよい。例えば、胎盤組織は、仔を満期出産した後の所与の生物(例えばゾウ)から取り出し、続いて、当技術分野において公知の方法による細胞単離および/または培養のために処理することができる。本明細書において説明される組成物および方法のために使用され得るその他の例示的な細胞型には、線維芽細胞、皮膚細胞、血液細胞(例えば、白血球、単球、樹状細胞)、幹細胞、造血細胞、肝臓細胞、血管細胞、筋細胞、膵臓細胞、神経細胞、眼細胞もしくは網膜細胞、上皮細胞もしくは内皮細胞、肺細胞、心臓細胞、腸細胞、横隔膜細胞、腎(すなわち腎臓)細胞、骨髄細胞、またはウーリーマンモス遺伝子を発現させるための遺伝子改変もしくは遺伝子編集が企図される生物についての任意の1種もしくは複数種の選択された組織もしくは細胞が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0092】
細胞はまた、凍結保存された、生存能力がある組織試料または細胞試料から得ることもできる。したがって、本明細書において説明される細胞は、以前に凍結保存されたものであることができ、または以前に凍結保存された細胞の子孫であることができる。細胞および組織は、しばしば、生物医学的用途において生存能力および有用性を時間的に延ばすために凍結保存される。凍結保存の工程は、一つには、電解質および凍結工程中に細胞を保護する化学化合物(凍結保護物質)を含む水溶液中に細胞を入れることを含む。このよう凍結保護物質は、多くの場合、低分子量の分子、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、またはジメチルスルホキシド(DMSO)であり、これらは、細胞を凍結する際の細胞内氷晶形成を防止するかまたは制限する。凍結保存と解凍の両方または以前に凍結された細胞を培養で再樹立するためのプロトコールは、当技術分野において公知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第号9,877,475 B2号; Karlsson J.O., Toner M. Long-term storage of tissues by cryopreservation: critical issues. Biomaterials. 1996;17:243-256;およびD.E. Principles of cryopreservation. Methods Mol Biol. 2007;368:39-57。
【0093】
幹細胞:特定の態様において、本明細書において説明される組成物および方法では、幹細胞を使用するかまたは作製する。幹細胞は、有糸細胞分裂によって自身を再生する能力を保持しており、かつ特殊化が進んだ細胞型に分化することが可能である、細胞である。哺乳動物幹細胞の大まかな3つのタイプには、胚盤胞中に存在する胚性幹(ES)細胞、体細胞からリプログラミングされた人工多能性幹細胞(iPSC)、および成体組織に存在する成体幹細胞が含まれる。幹細胞の他の供給源には、例えば、羊膜由来幹細胞または胎盤由来幹細胞が含まれ得る。多能性幹細胞は、3種の胚葉のいずれかに由来する細胞に分化することができる。
【0094】
本明細書において説明される組成物および方法において有用な細胞は、本質的に任意の体性組織から得ることができるが、ゾウまたは他の種が絶滅の危機に瀕している場合、該動物に長期にわたる害を引き起こす可能性がある任意の処置を回避するための努力が払われる。例えばゾウの細胞が所望である場合、ウーリーマンモス遺伝子の導入およびそのような遺伝子の表現型への影響についての試験を非限定的に含む操作のための細胞の1つの供給源は、通常は新生仔の分娩後に娩出される分娩後胎盤である。胎盤組織は、動物に害を与えるリスクを伴わずに得ることができ、かつ例えば飼育下で産まれる動物の誕生後に入手可能である、生細胞の豊富な供給源となる。したがって、いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、ある種の動物の分娩後胎盤から得られる。胎盤、ならびにさい帯組織およびさい帯血などが、幹細胞に富んでいる傾向がある場合には、これらの組織は、幹細胞特徴を既に有している、ゾウ細胞を含む細胞の供給源となる。これらのゾウ組織中の幹細胞は多能性ではないものの、これらの組織が天然に幹細胞を含む場合、胎盤またはさい帯もしくはさい帯血の幹細胞を用いて、リプログラミングにより、多能性幹細胞を含む分化度のさらに低い幹細胞を導くことが可能であることが、特に企図される(幹細胞表現型または多能性幹細胞表現型へのリプログラミングについてさらに詳しくは下記を参照されたい)。いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物および方法は、生存能力があるヒト胚から採取された細胞に由来する分化したヒト細胞の作製も使用も包含しない。
【0095】
胚性幹細胞:胚性供給源に由来する細胞には、幹細胞バンクまたは他の認められた寄託機関から入手された胚性幹細胞または幹細胞株が含まれ得る。幹細胞株を作製する他の手段には、胚盤胞の形成前(8細胞期あたり)の初期の胚に由来する割球細胞の使用を含む方法が含まれる。このような技術は、例えば、補助生殖クリニックでごく普通に実践される着床前遺伝子診断技術において取り出される単細胞を使用する。単一の割球細胞を、樹立されたES細胞株と共培養し、次いで、それらを分離して、十分に適格なES細胞株を形成させることができる。例えばインビトロ受精などにより、畜産の過程などで生じる初期動物胚に対して、類似した方法を実施することができる。
【0096】
胚性幹細胞およびそれらの回収のための方法は、例えば、Trounson A.O. Reprod. Fertil. Dev. (2001) 13: 523、Roach M L Methods Mol. Biol. (2002) 185: 1、およびSmith A.G. Annu Rev Cell Dev Biol (2001) 17:435に記載されている。「胚性幹細胞」という用語は、胚性胚盤胞の内部細胞塊の多能性幹細胞を意味するために使用される(例えば、米国特許第5,843,780号、同第6,200,806号を参照されたい)。このような細胞は、同様に、体細胞核移植に由来する胚盤胞の内部細胞塊から得ることもできる(例えば、米国特許第5,945,577号、同第5,994,619号、同第6,235,970号を参照されたい)。
【0097】
未分化の胚性幹(ES)細胞は、当業者によって容易に認識され、典型的には、二次元の顕微鏡写真において、高い核/細胞質比および目立った核小体を含む形態を有する細胞のコロニーとして現れる。胚性幹細胞の内因性ポリペプチドマーカーには、例えば、Oct3、Nanog、SOX2、SSEA1、SSEA4、およびTRA-1-60のいずれか1つまたはその任意の組合せが含まれる。いくつかの態様において、本明細書において説明される方法および組成物において使用するための細胞は、胚性幹細胞にも、胚由来の他の任意の細胞にも、由来しない。
【0098】
本明細書において説明される局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する。
【0099】
局面のいずれかのいくつかの態様において、幹細胞マーカーは、TRA-1-60、POU5F1、NANOGからなる群より選択される。
【0100】
人工多能性幹細胞(iPSC):本明細書において説明される特定の態様において、分化した体細胞のリプログラミングは、該分化した細胞に、自己再生し3種の胚葉系列すべての細胞に分化する能力を有する未分化状態をとらせる。これらは、人工多能性幹細胞(iPSCまたはiPS細胞)である。
【0101】
分化は、生理学的状況下では一般に不可逆的であるが、体細胞を人工多能性幹細胞にリプログラミングするためのいくつかの方法が、近年、開発されている。例示的な方法は、当業者に公知であり、本明細書において下記に手短に説明される。
【0102】
体細胞をiPS細胞にリプログラミングする方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第8,129,187 B2号;同第8,058,065 B2号;米国特許出願公開第2012/0021519 A1号; Singh et al. Front. Cell Dev. Biol. (February, 2015);およびPark et al., Nature 451: 141-146 (2008)に記載されている。具体的には、iPSCは、リプログラミング転写因子の組合せを導入することにより、体細胞から作製される。リプログラミング因子は、例えば、タンパク質、核酸(mRNA分子、DNA構築物、もしくはそれらをコードするベクター)またはそれらの任意の組合せとして導入することができる。また、低分子が、導入される転写因子を増強または補助することもできる。その他の因子が、例えばリプログラミングの効率に影響を及ぼすことが明らかにされているものの、人工多能性状態に体細胞をリプログラミングするために十分な、組み合わせられる4種のリプログラミング因子からなる標準的なセットには、Oct4(八量体結合転写因子-4)、SOX2(性別決定領域Y)-ボックス2、Klf4 (クルッペル様因子-4)、およびc-Mycが含まれる。LIN28+Nanog、Esrrb、Pax5 shRNA、C/EBPα、p53 siRNA、UTF1、DNMT shRNA、Wnt3a、SV40 LT(T)、hTERT)を非限定的に含むその他のタンパク質もしくは核酸因子(またはそれらをコードする構築物)、またはBIX-01294、BayK8644、RG108、AZA、デキサメタゾン、VPA、TSA、SAHA、PD0325901+CHIR99021(2i)、およびA-83-01を非限定的に含む低分子化学物質が、4種のリプログラミング因子からなる基礎的もしくは標準的なセットの1つもしくは他のリプログラミング因子を置き換えるか、またはリプログラミングの効率を高めることが、判明している。
【0103】
リプログラミングは、分化した細胞(例えば体細胞)の分化状態を変更するかまたは逆戻りさせるプロセスである。別の言い方をすれば、リプログラミングは、さらに未分化またはさらに原始的な型の細胞へと後ろ向きに細胞分化を推進するプロセスである。多数の初代細胞を培養状態におくことは、十分に分化した特徴のいくらかの喪失を招き得ることに留意すべきである。しかし、最終分化細胞に含まれるこのような細胞を単に培養するだけでは、これらの細胞は未分化細胞にも多能性細胞にもならない。分化細胞を多能性に移行させるには、分化細胞を培養状態においた場合に分化特徴の部分的喪失をもたらす刺激を超える、リプログラミング刺激が必要である。リプログラミングされた細胞はまた、培養状態において限られた回数だけ分裂する能力を一般に有する初代細胞親と比較して、増殖能を失わずに長期継代できるという特徴も有する。
【0104】
リプログラミングされる細胞は、リプログラミング前に部分分化または最終分化のいずれかの状態であることができる。したがって、リプログラミングされる細胞は、成体幹細胞または体性幹細胞だけでなく、最終分化した体細胞であることもできる。
【0105】
いくつかの態様において、リプログラミングは、分化細胞(例えば体細胞)の分化状態から多能性状態または複能性状態への全面的な逆戻りを包含する。リプログラミングは、細胞による特定の遺伝子の発現を招くことができ、それらの発現がリプログラミングにさらに寄与する。
【0106】
Shi, Y., et al. (2008) Cell-Stem Cell 2:525-528、Huangfu, D., et al. (2008) Nature Biotechnology 26(7):795-797、およびMarson, A., et al. (2008) Cell-Stem Cell 3:132-135によって示されるように、出発細胞の集団から導かれるリプログラミングの効率(すなわち、リプログラミングされた細胞の数)は、様々な低分子の添加によって高めることができる。リプログラミング効率を高める作用物質のいくつかの非限定的な例には、とりわけ、可溶性Wnt、Wnt馴化培地、BIX-01294(G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ)、PD0325901(MEK阻害剤)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、バルプロ酸、5'-アザシチジン、デキサメタゾン、スベロイルアニリド、ヒドロキサム酸(SAHA)、ビタミンC、およびトリコスタチン(TSA)が含まれる。
【0107】
単離されたiPSCクローンを、1種または複数種の幹細胞マーカーの発現について試験することができる。体細胞に由来する細胞におけるこのような発現により、それらの細胞が人工多能性幹細胞であると同定される。幹細胞マーカーには、とりわけ、SSEA3、SSEA4、CD9、Nanog、Oct4、Fbx15、Ecat1、Esg1、Eras、Gdf3、Fgf4、Cripto、Dax1、Zpf296、Slc2a3、Rex1、Utf1、およびNat1が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。1つの態様において、NanogおよびSSEA4を発現する細胞は、多能性であると同定される。
【0108】
本明細書において説明される局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、該細胞またはその親細胞がリプログラミング前には発現しなかった少なくとも1種の幹細胞マーカーポリペプチドまたは多能性幹細胞マーカーポリペプチドを、発現する。この文脈において使用される場合、新しい幹細胞マーカーは、導入される核酸配列または構築物によってコードされるものではなく、1種または複数種のリプログラミング因子の導入後に発現されるように誘導される。
【0109】
このようなマーカーの発現を検出するための方法には、例えば、RT-PCR、およびコードされるポリペプチドの存在を検出する免疫学的方法、例えば、ウェスタンブロット、免疫細胞化学的検査、またはフローサイトメトリー解析が含まれ得る。細胞内マーカーは、RT-PCRによって最もうまく同定され得るのに対し、細胞表面マーカーは、例えば免疫細胞化学的検査によって容易に同定される。
【0110】
単離された細胞の多能性幹細胞特徴は、iPSCが3種の胚葉のそれぞれの細胞に分化する能力を評価する試験によって確認することができる。一例として、ヌードマウスにおける奇形腫の形成を用いて、単離されたクローンの多能性特徴を評価することができる。これらの細胞がヌードマウスに導入され、該細胞から生じる腫瘍に対して、異なる生殖細胞系列のマーカーに特異的な抗体を用いる組織学的検査および/または免疫組織化学的検査が実施される。3種の胚葉、すなわち内胚葉、中胚葉、および外胚葉の全てに由来する細胞を含む腫瘍の増殖は、これらの細胞が多能性幹細胞であることをさらに示すか、または裏付ける。
【0111】
いくつかの態様において、ゾウ細胞などの細胞は、リプログラミングを誘導するように処理され、出発時の体細胞とは異なる幹細胞様形態を有しリプログラミング前には発現されない1種または複数種の幹細胞マーカーを発現する細胞を、生じる。このようなマーカーは、最も顕著には、例えば幹細胞マーカーTRA-1-60、SSEA4、POU5F1、およびNANOGより選択される。
【0112】
間葉系幹細胞(MSC):特定の態様において、本明細書において説明される幹細胞は、間葉系幹細胞(MSC)である。間葉系幹細胞は、増殖し、かつ筋肉、骨格(すなわち骨)、血液、および血管の細胞型、ならびに結合組織、具体的には、骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、心筋細胞、および骨格筋芽細胞に分化する能力を有する。
【0113】
間葉系幹細胞は、本明細書において説明される成体生物の骨髄もしくは脂肪組織または新生仔のさい帯血から回収することができる。これらは、限られた回数の継代の間、エクスビボで培養し、前述の中胚葉系細胞型に単細胞レベルで分化させることができるため、間葉系幹細胞(MSC)と呼ばれる。
【0114】
間葉系幹細胞(MSC)を単離、精製、および増殖させる方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,486,359号およびJones E. A. et al., 2002, Isolation and characterization of bone marrow multipotential mesenchymal progenitor cells, Arthritis Rheum. 46(12): 3349-60に含まれる。末梢血から間葉系幹細胞を単離する方法は、Kassis et al [Bone Marrow Transplant. 2006 May; 37(10):967-76]によって説明されている。胎盤組織から間葉系幹細胞を単離する方法は、Zhang et al. [Chinese Medical Journal, 2004, 117 (6):882-887] によって説明されている。脂肪組織間葉系幹細胞、胎盤間葉系幹細胞、およびさい帯血間葉系幹細胞を単離および培養する方法は、Kern et al [Stem Cells, 2006; 24:1294-1301]によって説明されている。
【0115】
胚性幹細胞(ESC)はまた、MSCを作製するための供給源として使用することもできる。当技術分野において公知のMSCにESCを分化させるための方法が多数ある。米国特許第9,725,698 B2号;米国特許第5,486,359号を参照されたい。
【0116】
本明細書において説明される局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、少なくとも1種のMSC細胞マーカーを発現する。
【0117】
MSCを同定するためのマーカーには、非限定的に以下のものが含まれる:例えば、CD13、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD146、CD166を含む、分化クラスタータンパク質、STRO-1、ビメンチン、およびSSEA-4。MSCのその他のマーカーおよびMSCを培養する方法は、ヒト細胞において例示されているが、それでもなお、非ヒト幹細胞生物学にも適用可能であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるUllah I, et al. “Human mesenchymal stem cells - current trends and future prospective.” Biosci Rep. 2015;35(2):e00191で概説されている。
【0118】
幹細胞、人工多能性幹細胞、人工間葉系幹細胞、または人工幹細胞形態を有し1種もしくは複数種の幹細胞マーカーを発現する細胞は、適切な条件下で培養された場合に、1種または複数種の異なる表現型に分化する能力を有する。したがって、体細胞が、多能性にリプログラミングされる場合であれ、誘導はされるがより限定的な分化能力を有する細胞にリプログラミングされる場合であれ、リプログラミングされた細胞から分化させた細胞を用いて、例えば、1種または複数種のウーリーマンモス遺伝子の導入によって誘導された表現型差異を評価することができる。この目的のために、分化度の低い形態に細胞をリプログラミングする前に、ウーリーマンモス遺伝子を導入することができる。あるいは、細胞をリプログラミングした後、例えば、それらを所望の表現型に再分化させる前に、1種または複数種のウーリーマンモス遺伝子を導入することもできる。
【0119】
細胞個体発生という文脈において、「分化する」または「分化している」という用語は、「分化細胞」が、その前駆細胞よりも、発生経路のさらに先の方へと進んだ細胞であることを意味する相対語である。したがって、いくつかの態様において、リプログラミングされた細胞は、系列が限定された前駆細胞(例えば中胚葉系幹細胞)に分化することができ、これは、次に、経路のさらに先にある他のタイプの前駆細胞(例えば組織特異的前駆体)に分化し、次いで、最終段階の分化細胞に分化することができる。この最終段階の分化細胞は、特定の組織型において特徴的な役割を果たし、さらに増殖する能力を保持していてもしていなくてもよい。
【0120】
インビトロで分化させた細胞:本明細書において説明されるある種の方法および組成物では、幹細胞からインビトロで分化させられる細胞を使用する。通常、分化プロセスの全体を通して、多能性細胞は、特定の発生系列、例えば、一次胚葉、すなわち外胚葉、中胚葉、または内胚葉に沿った発生経路に従う。
【0121】
これらの胚性胚葉は、すべての組織および器官が由来する源である。例えば、中胚葉は、心筋を含む、平滑筋および横紋筋、結合組織、血管、心血管系、血液細胞、骨髄、骨格、生殖器官、ならびに排出器官の源である。
【0122】
これらの胚葉は、特異的なバイオマーカーの発現および遺伝子発現に基づいて同定することができる。これらのバイオマーカーを検出するためのアッセイ法には、例えば、RT-PCR、免疫組織化学的検査、およびウェスタンブロット法が含まれる。初期の中胚葉系細胞によって発現されるバイオマーカーの非限定的な例には、とりわけ、HAND1、ESM1、HAND2、HOPX、BMP10、FCN3、KDR、PDGFR-α、CD34、Tbx-6、Snail-1、Mesp-1、およびGSCが含まれる。初期の外胚葉細胞によって発現されるバイオマーカーには、とりわけ、TRPM8、POU4F1、OLFM3、WNT1、LMX1A、およびCDH9が含まれるが、それらに限定されるわけではない。初期の内胚葉細胞によって発現されるバイオマーカーには、とりわけ、LEFTY1、EOMES、NODAL、およびFOXA2が含まれるが、それらに限定されるわけではない。当業者は、細胞型およびその細胞が発生時に由来する胚葉に基づいて、分化プロトコールの実施中にどの系列マーカーをモニターすべきかを決定することができる。
【0123】
インビトロでの特定の発生系列の誘導は、系列決定を促進する特定の作用物質またはそれらの組合せの存在下で幹細胞を培養することにより、実現される。通常、本明細書において説明される方法は、細胞培養培地中への作用物質(例えば、低分子、増殖因子、サイトカイン、ポリペプチド、ベクターなど)の段階的添加、または分化を促進する作用物質に細胞を接触させる段階を含む。例えば、中胚葉形成は、転写因子および増殖因子のシグナル伝達によって誘導され、これには、VegT、Wntシグナル伝達(例えばβ-カテニンを介する)、骨形成タンパク質(BMP)経路、線維芽細胞増殖因子(FGF)経路、およびTGFβシグナル伝達(例えばアクチビンA) が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるClemens et al. Cell Mol Life Sci. (2016)を参照されたい。内胚葉形成を促進する方法および作用物質は、例えば、Loh et al. Cell Stem Cell 14(2) 237-252. (2014)に記載されている。外胚葉形成を促進する方法および作用物質は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Rogers et al. Birth Defects Res C Embryo Today 87(3): 249-262, (2009)、Ozir et al., Wiley Interdicip. Rev Dev biol. 2(4): 479-498. (2013)、およびSareen et al. J Comp Neurol 522(12) 2707-2728 (2014) に記載されている。
【0124】
通常、インビトロで分化させた細胞は、段階的なプロセスの間ずっと、多能性マーカーまたは幹細胞マーカー(例えば、HNF4-α、AFP、GATA-4、およびGATA-6)の下方調節を示し、かつ系列特異的バイオマーカー(例えば、中胚葉系マーカー、外胚葉系マーカー、または内胚葉系マーカー)の発現の増大を示すと考えられる。例えば、ヒト多能性幹細胞株の特徴付けおよび特定の系列に沿った分化を説明しているTsankov et al. Nature Biotech (2015)を参照されたい。分化プロセスの効率を、当技術分野において公知であるいくつかの方法によってモニターすることができる。これは、標準的技術、例えば、免疫細胞化学、RT-PCR、フローサイトメトリー、機能アッセイ法、光学追跡などを用いて、胚葉バイオマーカーの存在を検出することを含む。
【0125】
細胞にウーリーマンモス遺伝子を導入するための方法
局面のいずれかの特定の態様において、本明細書において説明される細胞組成物は、少なくとも1つのウーリーマンモス核酸配列または遺伝子(表1の外因性ウーリーマンモス遺伝子を含むが、それらに限定されるわけではない)によってコードされるポリペプチドを発現する。
【0126】
本明細書において説明される細胞は、当技術分野において公知の方法によって、本明細書において説明される外因性ウーリーマンモス遺伝子をトランスフェクトするか、それに接触させるか、またはそれを与えることができる。
【0127】
いくつかの態様において、ウーリーマンモス遺伝子をコードする少なくとも1つの核酸配列は、ベクターを介して送達される。
【0128】
ベクターは、宿主細胞に送達するためまたは互いに異なる宿主細胞間で遺伝物質を移入するために設計された、核酸構築物である。本明細書において使用される場合、ベクターはウイルス由来または非ウイルス由来であることができる。「ベクター」という用語は、適切な制御エレメントを伴っている場合に複製することができ、かつ遺伝物質を細胞に移入することできる、任意の遺伝子エレメントを包含する。ベクターには、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、人工染色体、ウイルス、ビリオンなどが含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。
【0129】
局面のいずれかのいくつかの態様において、ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、およびウイルスベクターからなる群より選択される。
【0130】
発現ベクターは、該ベクターの転写調節配列に連結された、その中に含まれる核酸配列からの、RNAまたはポリペプチド(例えばウーリーマンモスポリペプチド)の発現を指示するベクターである。発現される配列は、細胞にとって異種である場合が多いが、必ずしもそうではない;生細胞に導入されるウーリーマンモス遺伝子は、該細胞にとって異種である。発現ベクターは、付加的なエレメントを含んでよく、例えば、発現ベクターは、2つの複製系を有してよく、これによって、2種の生物において、例えば、発現用の動物細胞ならびにクローニングおよび増幅用の原核生物宿主において、維持されることが可能になる。「発現」とは、RNAおよびタンパク質、ならびに必要に応じて分泌タンパク質を産生することに関与している細胞プロセスを意味し、該細胞プロセスには、該当する場合、例えば、転写、転写物プロセシング、翻訳、ならびにタンパク質のフォールディング、修飾、およびプロセシングが含まれるが、それらに限定されるわけではない。「発現産物」には、遺伝子から転写されたRNA、および遺伝子から転写されたmRNAを翻訳することによって得られるポリペプチドが含まれる。
【0131】
いくつかの態様において、ベクターは、哺乳動物細胞において1つまたは複数の配列の発現を推進することができる;すなわち、該ベクターは、哺乳動物発現ベクターである。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329: 840)およびpMT2PC(Kaufman, et al., 1987. EMBO J. 6: 187-195)が含まれる。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能は、1つまたは複数の調節エレメントによって提供されることが典型的である。例えば、通常使用されるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、サルウイルス40、および本明細書において開示され当技術分野において公知である他のウイルスに由来する。原核細胞および真核細胞の両方にとって適切な他の発現系については、例えば、Chapters 16 and 17 of Sambrook, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照されたい。
【0132】
いくつかの態様において、組換え発現ベクターは、特定の細胞型において優先的に、外因性ウーリーマンモス核酸配列の発現を指示することができる(例えば、組織特異的な調節エレメントが、例えば、造血細胞または毛包幹細胞において核酸を発現させるために使用される)。組織特異的な調節エレメントは、当技術分野において公知である。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的; Pinkert, et al., 1987. Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton, 1988. Adv. hnmunol. 43: 235-275)、特に、T細胞受容体(Winoto and Baltimore, 1989. EMBO J. 8: 729-733)および免疫グロブリン(Baneiji, et al., 1983. Cell 33: 729-740; Queen and Baltimore, 1983. Cell 33: 741-748)のプロモーター、神経細胞特異的プロモーター(例えば神経フィラメントプロモーター; Byrne and Ruddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985. Science 230: 912-916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えばミルクホエープロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)が含まれる。発生に関連して調節されるプロモーター、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss, 1990. Science 249: 374-379)およびα-フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, 1989. Genes Dev. 3: 537-546)もまた、包含される。ウーリーマンモス遺伝子を構成的プロモーターの制御下に置くことは、細胞または組織の機能に対するそれらの作用を評価または定量するために有用であり得るが、特定の態様においては、外因性ウーリーマンモス遺伝子を、宿主細胞中で、天然状況において該ウーリーマンモス遺伝子に結合しているものに相当する調節エレメントの制御下に置くことが有利である可能性がある。したがって、非限定的な例として、ウーリーマンモスヘモグロビン遺伝子またはウーリーマンモス毛関連遺伝子の作用を評価または定量するために、宿主生物の細胞、例えば造血細胞または毛包幹細胞中でそれらの遺伝子の各ホモログを駆動する調節エレメントが使用されるであろう。さらに、またはその代わりに、ウーリーマンモス遺伝子に相同な所与の遺伝子または配列に対する宿主細胞の調節配列を、マンモス調節配列に一段と似るように改変することもまた、有利である可能性がある。
【0133】
いくつかの態様において、本明細書において説明される少なくとも1つの核酸配列は、組込みベクターを介して、本明細書において説明される細胞に送達される。組込みベクターは、送達される遺伝物質(またはそのコピー)を、宿主細胞染色体中に永続的に組み入れられた状態にする。非組込みベクターは、エピソーム状態のままであり、これは、その中に含まれる核酸が宿主細胞染色体中に決して組み込まれないことを意味する。組込みベクターの例には、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ハイブリッドアデノウイルスベクター、および単純ヘルペスウイルスベクターが含まれる。
【0134】
いくつかの態様において、本明細書において説明される少なくとも1つの核酸配列は、非組込みベクターを介して、本明細書において説明される細胞に送達される。非組込みベクターには、非組込みウイルスベクターが含まれる。非組込みウイルスベクターは、宿主DNA中にそれらのゲノムを組み入れないので、組込みレトロウイルスによって引き起こされる主要リスクのうちの1つを排除する。1つの例は、限定的な自己複製が可能であり、哺乳動物細胞中で機能することが公知である、エプスタイン・バー(Epstein Barr)oriP/核抗原-1(「EBNA1」)ベクターである。エプスタイン・バーウイルスに由来する2つのエレメント、すなわちoriPおよびEBNA1を含んでおり、EBNA1タンパク質がウイルスレプリコン領域oriPに結合することにより、哺乳動物細胞においてプラスミドが比較的長期間にわたってエピソームとして存在し続ける。oriP/EBNA1ベクターは、この特有の特徴があるため、組込みがない宿主細胞を作製するために理想的である。他の非組込みウイルスベクターには、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが含まれる。
【0135】
別の非組込みウイルスベクターは、感染細胞の核に入ることなくタンパク質を産生させることができるRNAセンダイウイルスベクターである。F欠損センダイウイルスベクターは、若干数の継代の間、感染細胞の細胞質中に残るが、急速に濃度は減少し、数回の継代(例えば、10回の継代)の後には完全に失われる。これにより、選択した1種または複数種の異種遺伝子を標的細胞において自己制御的に一過性発現させることが可能になる。この性質は、様々な用途の中でも、例えば、リプログラミング因子の一過性導入に役立つ可能性がある。上記のように、いくつかの態様において、本明細書において説明されるウーリーマンモス核酸配列は、細胞においてウイルスベクターから発現される。「ウイルスベクター」は、ウイルス由来の少なくとも1つのエレメントを含み、かつウイルスベクター粒子中にパッケージングされる能力を有する、核酸ベクター構築物を含む。ウイルスベクターは、非必須ウイルス遺伝子の代わりに、本明細書において説明されるポリペプチドをコードする核酸を含むことができる。ベクターおよび/または粒子は、インビトロまたはインビボのいずれかで、核酸を細胞中に移入するために利用することができる。
【0136】
特定の態様において、本明細書において説明されるウーリーマンモス核酸分子は、ウイルス以外の方法によって細胞に導入される。本明細書において説明される核酸は、細胞中への核酸の進入を促進する任意のトランスフェクション試薬または他の物理的手段を用いて、送達することができる。
【0137】
核酸の非ウイルス系送達の方法には、リポフェクション、ヌクレオフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、微粒子銃、ビロゾーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオンまたは脂質と核酸のコンジュゲート、裸DNA、人工ビリオン、および作用物質によって向上させたDNA取込みが含まれる。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,787号、および同第4,897,355号に記載されており、リポフェクション試薬は、市販されている(例えば、トランスフェクタム(商標)およびリポフェクチン(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適している陽イオン性脂質および中性脂質には、Felgner, WO 91/17424、WO 91/16024のものが含まれる。送達は、細胞(例えば、インビトロ投与もしくはエクスビボ投与)または標的組織(例えばインビボ投与)に対して行うことができる。
【0138】
免疫脂質複合体などの標的化されたリポソームを含む、脂質と核酸の複合体の調製は、当業者には周知である(例えば、 Crystal, Science 270:404-410 (1995); Blaese et al., Cancer Gene Ther. 2:291-297 (1995); Behr et al., Bioconjugate Chem. 5:382-389 (1994); Remy et al., Bioconjugate Chem. 5:647-654 (1994); Gao et al., Gene Therapy 2:710-722 (1995); Ahmad et al., Cancer Res. 52:4817-4820 (1992);米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、および同第4,946,787号を参照されたい)。
【0139】
「細胞取込みを増大させる作用物質」とは、そのままでは脂質膜を越えて効率的に細胞膜を通過することはない分子、例えば、核酸またはペプチドもしくはポリペプチドまたは他の分子の輸送を促進する、分子である。例えば、核酸を、親油性化合物(例えば、コレステロール、トコフェロールなど)、細胞透過性ペプチド(CPP)(例えば、ペネトラチン、TAT、Syn1Bなど)、またはポリアミン(例えばスペルミン)に結合させることができる。細胞取込みを増大させる作用物質のその他の例は、例えば、Winkler (2013). Oligonucleotide conjugates for therapeutic applications. Ther. Deliv. 4(7); 791-809で開示されている。
【0140】
局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される細胞、例えばゾウ細胞は、本明細書において説明される1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子を発現するように改変される。該ウーリーマンモス遺伝子をコードする1つまたは複数の核酸配列は、上記のまたは当技術分野において公知の任意の方法によって細胞に送達することができる。本明細書において説明される1つまたは複数の核酸配列を本明細書において説明される細胞に成功裡にトランスフェクションするための細胞マーカーを、下記にさらに考察する。
【0141】
内因性遺伝子の発現を阻害または編集する方法
局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、本明細書において説明される少なくとも1つのウーリーマンモス遺伝子の内因性ホモログを発現しない。局面のいずれかの別の態様において、細胞は、少なくとも1つのウーリーマンモス遺伝子の内因性ホモログの発現を阻害するように編集される。
【0142】
局面のいずれかの別の態様において、外因性核酸配列の非ウーリーマンモスホモログは、欠失させられているかまたは不活性化されていた。
【0143】
1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子が宿主細胞に送達される場合、該1つまたは複数の遺伝子の内因性非ウーリーマンモスホモログを改変して1つまたは複数の内因性遺伝子を非機能性にすることが有利であり得ることが、本明細書において企図される。2つまたはそれより多いウーリーマンモス遺伝子が宿主細胞に送達される場合、内因性宿主細胞遺伝子の一方または両方が変更されるであろうことも、本明細書においてさらに企図される。したがって、この状況において、宿主細胞は、対応するウーリーマンモス遺伝子に対する、少なくとも1つの非機能性内因性ホモログを含むことができる。
【0144】
ゾウ細胞の状況において、発現させようとする1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子のゾウホモログは、該1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子のみが細胞によって発現されるように、変更されるか、欠失させられるか、または阻害されるであろう。これは、例えば、標的配列の標準的な遺伝子編集によって実現することができる。内因性遺伝子を単に不活性化するのではなく、例えば、相同組換えを介するか、またはマンモスバリアント遺伝子配列をコードし発現するように非マンモスホモログ遺伝子を選択的に編集することによる、内因性遺伝子の大規模な置換もまた実施され得ることも、企図される。
【0145】
標的配列は、当技術分野において公知の方法によって決めることができる。例えば、配列アラインメントツールを用いてウーリーマンモス核酸配列を宿主生物中のものと比較することができ、例として、NCBI Basic Local Alignment Sequence Tool (BLAST)、OrthoMaM、Ensembl、および/またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用する。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大限のアライメントを実現するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメーターを決定することができる。
【0146】
宿主細胞において遺伝子機能を阻害する方法は、当技術分野において公知である。遺伝子ノックダウン、阻害、および変更の非限定的な例には、CRISPR/Cas9系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENS)、および阻害性核酸が含まれる。阻害性核酸のタイプの例示的な態様には、例えば、当技術分野において公知である、siRNA、shRNA、miRNA、および/またはamiRNAが含まれ得る。当業者は、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子の内因性ホモログを標的とする阻害性物質を設計および試験することができる。
【0147】
遺伝子編集系を作製および送達する方法は、例えば、WO2015/013583A2;米国特許第10,640,789 B2号;米国特許出願公開第2019/0367948 A1号;米国特許出願公開第2017/0266320 A1号;米国特許出願公開第2018/0171361 A1号;米国特許出願公開第2016/0175462 A1号;および米国特許出願公開第2018/0195089 A1号に記載されており、各文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0148】
一般に、CRISPR(規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列)とは、バクテリオファージに対する原核生物防御機構に由来する酵素および因子を使用して、所与の細胞型において標的遺伝子配列を正確に改変する遺伝子改変系をまとめて指す。CRISPR遺伝子編集系は、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現または活性の指示に関与している転写物および他のエレメントを含むことができ、これらには、Casヌクレアーゼ遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたは活性な部分的tracrRNA)、tracrメイト配列(内因性CRISPR系において「ダイレクトリピート」およびtracrRNAで処理された部分的ダイレクトリピートを包含する)、ガイド配列(内因性CRISPR系において「スペーサー」とも呼ばれる)、またはCRISPR遺伝子座に由来する他の配列および転写物が、含まれる。いくつかの態様において、CRISPR系の1つまたは複数のエレメントは、I型、II型、またはIII型のCRISPR系に由来する。いくつかの態様において、CRISPR系の1つまたは複数のエレメントは、内因性CRISPR系を含む特定の生物、例えば化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)に由来する。
【0149】
CRISPR系のガイド配列は、標的配列(例えば、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子のもう1つのゾウホモログ)に対する相補性を有するように設計される。標的配列は、任意のDNA、RNAポリヌクレオチド配列を含んでよい。標的配列とガイド配列がハイブリダイゼーションすると、CRISPR複合体の形成が促進される。ガイド配列が標的配列にハイブリダイズされ、かつ1つまたは複数のCasタンパク質と複合体を形成すると、該標的配列中またはその近く(例えば、該標的配列から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、50個、もしくは50個超の塩基対の範囲内)の一方または両方の鎖が切断される。ハイブリダイゼーションを引き起こしCRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性があるならば、標的配列とガイド配列が完全に相補的であることは必ずしも必要とされない。
【0150】
ある遺伝子の編集が望まれる場合、編集配列または編集鋳型ポリヌクレオチドを、標的配列を含む標的座位への組換えのために使用してもよい。いくつかの態様において、組換えは相同組換えである。例えば、ウーリーマンモス遺伝子のゾウホモログを、変更するかまたは欠失させ、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子配列のうちの1つまたは複数で置換することができる。
【0151】
塩基編集は、本明細書において説明される内因性遺伝子を変更するための別のアプローチである。塩基編集は、二重鎖切断を起こさずに細胞DNAまたは細胞RNAに点変異を導入するために使用することができる。いくつかの態様において、本明細書において説明される内因性核酸を変更する方法は、シトシン塩基編集、アデニン塩基編集、アンチセンス-オリゴヌクレオチドを対象とするAからIへのRNA編集、またはCas13塩基編集による。塩基編集の方法は、当技術分野において公知であり、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられるRees et al. Nature Rev Genet. 19(12); 770-788 (2018)およびKopmor et al. Nature 533, 420-424 (2016)に記載されている。
【0152】
CRISPR系または塩基編集エレメントは、1つのベクター中で組み合わせることができ、かつ任意の適切な向きで並べられてよく、例えば、1つ目のエレメントが、2つ目のエレメントに対して5'側(「上流」)または3'側(「下流」)に位置してよい。1つ目のエレメントのコード配列は、2つ目のエレメントのコード配列と同じ鎖上またはその向い合わせの鎖上に位置してよく、かつ同じ方向または反対方向に向けられていてよい。いくつかの態様において、単一のプロモーターが、CRISPR酵素をコードする転写物、ならびにガイド配列、tracrメイト配列(任意でガイド配列に機能的に連結されている)、および1つまたは複数のイントロン配列内に埋もれ込んでいるtracr配列(例えば、別々のイントロン中に各tracr配列、少なくとも1つのイントロン中に2つもしくはそれより多いtracr配列、または単一のイントロン中にすべてのtracr配列)のうちの1つまたは複数の発現を駆動する。いくつかの態様において、CRISPR酵素、ガイド配列、tracrメイト配列、およびtracr配列は、同じプロモーターに機能的に連結され、かつそれから発現される。
【0153】
いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、(例えば、1つもしくは複数のベクターの一過性トランスフェクションまたはRNAによるトランスフェクションによって)遺伝子編集系の構成要素を一過性にトランスフェクトされ、かつCRISPRまたは塩基編集複合体の活性によって改変されて、宿主細胞遺伝子に対する改変を含む細胞を含む、新しい細胞または細胞株を樹立する。
【0154】
いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、遺伝子編集されたゾウ細胞である。いくつかの態様において、1つまたは複数のゾウ遺伝子が、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子のうちの1つまたは複数をコードするように変更された。
【0155】
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含むゾウ細胞が、本明細書において提供される。1つの態様において、ゾウ細胞は、表2および/または表3に列挙される、少なくとも2個;少なくとも3個;少なくとも4個;少なくとも5個;少なくとも6個;少なくとも7個;少なくとも8個;少なくとも9個;少なくとも10個;少なくとも11個;少なくとも12個;少なくとも13個;少なくとも14個;少なくとも15個;少なくとも16個;少なくとも17個;少なくとも18個;少なくとも19個;少なくとも20個;少なくとも21個;少なくとも22個;少なくとも23個;少なくとも24個;少なくとも25個;少なくとも26個;少なくとも27個;少なくとも28個;少なくとも29個;少なくとも30個;少なくとも31個;少なくとも32個;少なくとも33個;少なくとも34個;少なくとも35個;少なくとも36個;少なくとも37個;少なくとも38個;少なくとも39個;少なくとも40個;少なくとも41個;少なくとも42個;少なくとも43個;少なくとも44個;少なくとも45個;少なくとも46個;少なくとも47個;少なくとも48個;少なくとも49個;少なくとも50個;少なくとも51個;少なくとも52個;少なくとも53個;少なくとも54個;少なくとも55個;少なくとも56個;少なくとも57個;少なくとも58個;少なくとも59個;少なくとも60個;少なくとも61個;少なくとも62個;少なくとも63個;少なくとも64個;少なくとも65個;少なくとも66個;少なくとも67個;少なくとも68個;少なくとも69個;少なくとも70個;少なくとも71個;少なくとも72個;少なくとも73個;少なくとも74個;少なくとも75個;少なくとも76個;少なくとも77個;少なくとも78個;少なくとも79個;少なくとも80個;少なくとも81個;少なくとも82個;少なくとも83個;少なくとも84個;少なくとも85個;少なくとも86個;少なくとも87個;少なくとも88個;少なくとも89個;少なくとも90個;少なくとも91個;少なくとも92個;少なくとも93個;少なくとも94個;少なくとも95個;少なくとも96個;少なくとも97個;少なくとも98個;少なくとも99個;少なくとも100個、またはそれより多い、ガイドRNAを含む。ゾウ細胞が複数のガイドRNA(すなわち、少なくとも2個のガイドRNA)を発現する場合、該少なくとも2個のガイドRNAの発現は、同時にまたは連続的に行われ得る。
【0156】
1つの態様において、ゾウ細胞は、少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼもさらに発現する。RNAガイドエンドヌクレアーゼは当技術分野において周知であり、例示的なエンドヌクレアーゼは本明細書において説明される。
【0157】
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む非ヒト細胞もまた、本明細書において提供される。1つの態様において、非ヒト細胞は、表2および/または表3に列挙される、少なくとも2個;少なくとも3個;少なくとも4個;少なくとも5個;少なくとも6個;少なくとも7個;少なくとも8個;少なくとも9個;少なくとも10個;少なくとも11個;少なくとも12個;少なくとも13個;少なくとも14個;少なくとも15個;少なくとも16個;少なくとも17個;少なくとも18個;少なくとも19個;少なくとも20個;少なくとも21個;少なくとも22個;少なくとも23個;少なくとも24個;少なくとも25個;少なくとも26個;少なくとも27個;少なくとも28個;少なくとも29個;少なくとも30個;少なくとも31個;少なくとも32個;少なくとも33個;少なくとも34個;少なくとも35個;少なくとも36個;少なくとも37個;少なくとも38個;少なくとも39個;少なくとも40個;少なくとも41個;少なくとも42個;少なくとも43個;少なくとも44個;少なくとも45個;少なくとも46個;少なくとも47個;少なくとも48個;少なくとも49個;少なくとも50個;少なくとも51個;少なくとも52個;少なくとも53個;少なくとも54個;少なくとも55個;少なくとも56個;少なくとも57個;少なくとも58個;少なくとも59個;少なくとも60個;少なくとも61個;少なくとも62個;少なくとも63個;少なくとも64個;少なくとも65個;少なくとも66個;少なくとも67個;少なくとも68個;少なくとも69個;少なくとも70個;少なくとも71個;少なくとも72個;少なくとも73個;少なくとも74個;少なくとも75個;少なくとも76個;少なくとも77個;少なくとも78個;少なくとも79個;少なくとも80個;少なくとも81個;少なくとも82個;少なくとも83個;少なくとも84個;少なくとも85個;少なくとも86個;少なくとも87個;少なくとも88個;少なくとも89個;少なくとも90個;少なくとも91個;少なくとも92個;少なくとも93個;少なくとも94個;少なくとも95個;少なくとも96個;少なくとも97個;少なくとも98個;少なくとも99個;少なくとも100個、またはそれより多い、ガイドRNAを含む。非ヒト細胞が複数のガイドRNA(すなわち、少なくとも2個のガイドRNA)を発現する場合、該少なくとも2個のガイドRNAの発現は、同時にまたは連続的に行われ得る。
【0158】
表2および表3は、いくつかのアフリカゾウ遺伝子とウーリーマンモス遺伝子の間の、本明細書において同定される例示的な点変異、ならびにウーリーマンモス遺伝子を模倣するようにアフリカゾウ遺伝子を変更するための遺伝子編集方法を含む。例えば、表2および表3は、同定された点変異を発生させる様々な遺伝子編集ツール(すなわち、CRISPR Cas-9およびSpRYC)のためのガイドRNA配列を提供する。「SpRYC」は、実質的にすべてのPAM配列を認識するように設計されたSpCas9-VRQRから工学技術で作られたバリアントを意味し、塩基編集する際に極めて効果的である。SpRYは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるZhang, D. and Shang, B. SpRY: Engineered CRISPR/Cas9 Harnesses New Genome-Editing Power. Trends Genet. 2020 Aug;36(8):546-548でさらに説明されている。
【0159】
SEQ ID NO: 1~SEQ ID NO: 426より選択される配列を含むガイドRNAが、本明細書においてさらに提供される。
【0160】
本明細書において説明されるガイドRNAのいずれかを含む細胞もまた、本明細書において提供される。1つの態様において、細胞は、その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む。
【0161】
本明細書において説明されるガイドRNAのいずれかをコードする核酸もまた、本明細書において提供される。1つの態様において、ガイドRNAをコードする核酸は、ガイドRNAの発現を指示する核酸配列に機能的に連結されている。
【0162】
本明細書において説明される核酸のいずれかを含むベクターもまた、本明細書において提供される。
【0163】
本明細書において説明される核酸のいずれかを含む細胞もまた、本明細書において提供される。1つの態様において、細胞は、その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む。
【0164】
本明細書において説明されるベクターのいずれかを含む細胞もまた、本明細書において提供される。1つの態様において、細胞は、その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む。
【0165】
ウーリーマンモス遺伝子の発現および表現型
本明細書において説明される組成物および方法を用いて、非ヒト生細胞においてウーリーマンモス遺伝子を発現させることができる。局面のいずれかのいくつかの態様において、ゾウ細胞は、表1のウーリーマンモス遺伝子のうちの1つまたは複数を発現する。
【0166】
局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される細胞は、本明細書において説明される1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子(例えば、表1のもの)の細胞機能または発現に関連している表現型を示す。
【0167】
ウーリーマンモス表現型は、当技術分野において公知である任意の方法によって、例えば、形態学的検査(例えば顕微鏡観察による)、免疫組織化学的検査、電気生理学的記録、代謝アッセイ法、RT-PCR、プロテオミクス、または配列決定解析によって、宿主細胞表現型から区別することができる。
【0168】
所与の表現型を示す遺伝子(例えば、表1のウーリーマンモス遺伝子のうちの1つまたは複数)の発現は、標準的方法を用いてRNAおよび/またはタンパク質を検出または測定することによって、確認することができる。
【0169】
代謝アッセイ法を用いて、本明細書において説明される細胞の分化段階および/または機能的表現型を明らかにすることができる。例えば、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子は、所与の細胞におけるタンパク質合成およびATP産生の速度などのプロセスを調整することができる。代謝アッセイ法の非限定的な例には、細胞バイオエナジェティクスアッセイ法(例えば、Seahorse Bioscience XF 細胞外フラックスアナライザー(商標))および酸素消費試験が含まれる。具体的には、細胞代謝は、様々なパラメーターの中でもとりわけ、酸素消費速度(OCR)、脂肪酸ストレステスト期間中のOCR追跡、OCRの最大変化、FCCP添加後のOCRの最大変化、および最大呼吸容量に基づいて定量することができる。さらに、代謝負荷または乳酸富化アッセイ法は、細胞成熟、分化段階の指標、またはこのような細胞に送達される様々な核酸配列の作用についての指標を提供することができる。褐色脂肪熱発生は、例えば、発現アッセイ法、蛍光アッセイ法、または生物発光アッセイ法により、UCP1活性およびHIF1a活性などを通じて測定される。
【0170】
本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子は、宿主細胞の電気生理学的特性を変更することができる。本明細書において説明される細胞の電気生理学的特性を変更することができる遺伝子の非限定的な例には、TRPM8、TRPV3、TRPA1、およびTRPV4が含まれる。
【0171】
細胞の電気生理学的機能を測定する方法は、当技術分野において公知である。細胞の電気生理学的機能を明らかにするためのこのような方法の非限定的な例には、とりわけ、全細胞パッチクランプ(手動または自動)、多電極アレイ、電場電位刺激、カルシウムイメージング、および光学マッピングが含まれる。全細胞電流固定または電場電位記録の進行中に、細胞を電気的に刺激して、電気的応答を生じさせることができる。本明細書において説明される細胞の電場電位および生体電位の測定を用いて、分化段階および/またはウーリーマンモス表現型を明らかにすることができる。
【0172】
一過性受容器電位(TRP)チャネル活性を検出する方法は当技術分野において公知であり、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Samanta et al. Subcell Biochem. 2018; 87: 141-165およびTalavera and Nilius, TRP Channels. Ch. 11. Boca Raton (FL): CRC Press/Taylor & Francis; 2011に記載されている。TRPチャネルの大多数は、カルシウム(Ca2+)を透過させることができ、したがって、複数の細胞型においてCa2+進入経路を構成する。したがって、いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞の表現型は、適切な対照と比べての、カルシウムシグナルの変化および/または電気生理学的機能の変化を含む。
【0173】
特定の態様において、本明細書において説明される細胞の表現型は、適切な対照と比べての、細胞膜の脂質組成の変化を含む。いくつかの態様において、本明細書において説明される細胞の表現型は、適切な対照と比べての、タンパク質合成速度の変化、ならびに/または細胞増殖速度、トランスクリプトームプロファイル、および(幹細胞の場合)分化能力の変化を含む。
【0174】
細胞膜の脂質組成は、例えば、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)またはエレクトロスプレーイオン化法(ESI)によって測定することができる。タンパク質合成速度を測定する方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPrinciotta et al. Immunity Vol 18, 343-354, (2003)で考察されている。細胞増殖速度は、市販のキットまたはフローサイトメトリー、例えば、ThermoFisher Scientific(登録商標)によって販売されるキット(カタログ番号C34564)またはRoche(登録商標)によって販売されるキット(細胞増殖キットI(MTT)、カタログ番号11465007001)を用いて測定することができる。
【0175】
当業者は、特定の細胞表現型における変更を検出および測定するために適切なアッセイ法を決定することができる。このアッセイ法の結果を、適切な対照細胞と比較することができる。いくつかの態様において、適切な対照細胞は、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子を含むかまたは発現するように改変されていない細胞である。
【0176】
遺伝子改変された卵母細胞、胞胚、および非ヒト生物
除核された卵母細胞または1つの細胞接合体にドナー細胞(例えば胚)由来の核を移入することにより胚を再構築すると、遺伝学的に同一の個体の作製が可能になる。体細胞核移植またはSCNTは、生物、例えば哺乳動物の再構築および再生のための、当技術分野において公知の当技術分野において公知の実験手順である。この手順は、研究にとっても、また商業的用途においても、明らかな利点を有する(すなわち、遺伝学的に価値のある家畜の繁殖、野生生物製品の均一性、動物管理、および生態系保全の取組み)。
【0177】
本明細書において説明される組成物は、核移植および/または核移植処置の前にドナー細胞のクロマチンを改変することによって作製することができる。
【0178】
各事例のドナー細胞は、本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子をコードし発現するように改変される。局面のいずれかのいくつかの態様において、ドナー細胞は、体細胞である。局面のいずれかのいくつかの態様において、ドナー細胞は、ゾウ体細胞である。局面のいずれかのいくつかの態様において、ドナー細胞は、胎仔線維芽細胞である。局面のいずれかのいくつかの態様において、ドナー細胞は、ゾウ胎仔線維芽細胞である。局面のいずれかのいくつかの態様において、ドナー細胞は幹細胞であり、該幹細胞には、成体幹細胞、人工幹細胞、胎盤、さい帯、もしくはさい帯血に由来するかもしくはそれから得られた幹細胞、または例えばリプログラミングによって幹細胞形態に誘導され少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する細胞が含まれるが、それらに限定されるわけではない。導入されるウーリーマンモス遺伝子に対応する内因性遺伝子の発現を低減、阻害、または不活性化するように、ドナー細胞を改変することができる。
【0179】
局面のいずれかのいくつかの態様において、レシピエント細胞は、非ヒト卵母細胞である。局面のいずれかのいくつかの態様において、レシピエント細胞は、非ヒト哺乳動物卵母細胞である。局面のいずれかのいくつかの態様において、レシピエント細胞は、ゾウ卵母細胞、ハイラックス卵母細胞、またはマナティー卵母細胞である。
【0180】
局面のいずれかのいくつかの態様において、レシピエント細胞は、その遺伝物質または核を除去されている。したがって、内因性核が、本明細書において説明される細胞の核によって置き換えられている卵母細胞が、本明細書において説明される。別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト卵母細胞が、本明細書において説明される。
【0181】
核移植の方法は当技術分野において公知であり、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,355,094 B2号、米国特許第7,332,648 B2号、WO 1996/007732 A1、Keefer et al., Biol. Reprod. 50 935-939 (1994)、Sims & First, PNAS 90 6143- 6147 (1994))、Smith & Wilmut, Biol. Reprod. 40 1027-1035 (1989)、およびWilmut et al. Nature 385, 810-813 (1997)、R.P. Lanza, et al. Cloning of an endangered species (Bos gaurus) using interspecies nuclear transfer. Cloning, 2 (2000), pp. 79-90、M.C. Gomez, et al. Birth of African wildcat cloned kittens born from domestic cats. Cloning Stem Cells, 6 (2004), pp. 247-258、B.C. Lee, Dogs cloned from adult somatic cells. Nature, 436 (2005), p641、D. Shi et al., Buffalos (Bubalus bubalis) cloned by nuclear transfer of somatic cells. Biol Reprod, 77 (2007), pp. 285-291、N.A. Wani, et al. Production of the first cloned camel by somatic cell nuclear transfer. Biol Reprod, 82 (2010), pp. 373-379に記載されている。SCNTの前にドナー細胞を改変する方法は、例えば、Rodriguez-Osorio et al. “Reprogramming mammalian somatic cells.” Theriogenology 78:9 (2012) 1869-1886、Loi et al., Genetic rescue of an endangered mammal by cross-species nuclear transfer using post-mortem somatic cells. Nat Biotechnol, 19 (2001), 962-964で概説されている。通常、核移植は、顕微鏡下で、減圧によってドナー細胞(例えば体細胞)および宿主細胞から核を摘出できる細い針またはマイクロピペットを用いて実施される。あるいは、ドリルを用いて細胞の外層に穴をあけて、核を取り出す。ドナーおよび宿主細胞の核を取り出した後、宿主細胞の核(例えば卵母細胞)があった場所にドナー核を入れることができる。別の方法において、宿主細胞の核は除去され、ドナー体細胞が、電気パルス処理によって空の宿主細胞と融合される。
【0182】
ドナー細胞に由来する遺伝物質のおかげで、レシピエント(宿主)細胞のリプログラミングが可能になる。この文脈において、リプログラミングは、分化を逆戻りさせるプロセスではなく、むしろ、卵母細胞の遺伝的プログラム全体をドナー核にコードされるプログラムに変更する、プロセスである。様々な戦略が、SCNTの成功率を高めるために使用されている。これらのうちの大半は、1)細胞型または起源組織;2)継代数;3)細胞周期の段階;および4)ドナー細胞の後成的状態を改変するための化学物質および細胞抽出物の使用を含めて、ドナー細胞に焦点を合わせている。例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Hill et al. Development rates of male bovine nuclear transfer embryos derived from adult and fetal cells. Biol Reprod, 62 (2000), pp. 1135-1140、Kato et al. Cloning of calves from various somatic cell types of male and female adult, newborn and fetal cows. J Reprod Fertil, 120 (2000), pp. 231-237、Jones et al. DNA hypomethylation of karyoplasts for bovine nuclear transplantation. Mol Reprod Dev, 60 (2001), pp. 208-213、B.P. Enright et al. Methylation and acetylation characteristics of cloned bovine embryos from donor cells treated with 5-aza-2'-deoxycytidine. Biol Reprod, 72 (2005), pp. 944-948、Liu et al. Hypertonic medium treatment for localization of nuclear material in bovine metaphase II oocytes. Biol Reprod, 66 (2002), pp. 1342-1349、Yamanaka et al. Gene silencing of DNA methyltransferases by RNA interference in bovine fibroblast cells. J Reprod Dev, 56 (2010), pp. 60-67、およびWang et al. Sucrose pretreatment for enucleation: an efficient and non-damage method for removing the spindle of the mouse MII oocyte. Mol Reprod Dev, 58 (2001), pp. 432-436を参照されたい。
【0183】
このような試薬および条件の非限定的な例には、微小管阻害物質(例えばノコダゾール)、サイトカラシンB、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害物質、トリコスタチンA、5-アザ-2'-デオキシシチジン、DNMT1遺伝子発現のノックダウン、および直流(DC)パルス処理が含まれる。
【0184】
本明細書において説明される改変されたドナー核を有する卵母細胞を刺激して、分裂させ初期胚を形成させることができる。このプロセスは、増殖因子を含む培地中で細胞を培養することによって実現することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Wu et al., Cell. 168, 473-486 (2017)に記載されている)。本明細書において説明される細胞または細胞集団を含む非ヒト胚が、本明細書において説明される。別の局面において、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト胚が、本明細書において説明される。局面のいずれかのいくつかの態様において、胚は、表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含むゾウ細胞を含むか、またはそれから構成される。
【0185】
本明細書において説明される非ヒト胚は、胚移植によって雌の非ヒト生物(例えば雌ゾウ)の子宮中に移植することができ、または該胚は、胞胚の形成を可能にする条件下で培養することができる。胚移植は、胚盤胞期を含む胚形成の任意の段階に、当業者が実施することができる。胚または胞胚を選択し生物に移植する方法は、当技術分野において公知である。例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Mains L, Van Voorhis BJ (August 2010). "Optimizing the technique of embryo transfer". Fertility and Sterility. 94 (3): 785-90、Meseguer M, Rubio I, Cruz M, Basile N, Marcos J, Requena A (December 2012). "Embryo incubation and selection in a time-lapse monitoring system improves pregnancy outcome compared with a standard incubator: a retrospective cohort study". Fertility and Sterility. 98 (6): 1481-9.e10、およびMullin CM, Fino ME, Talebian S, Krey LC, Licciardi F, Grifo JA (April 2010). "Comparison of pregnancy outcomes in elective single blastocyst transfer versus double blastocyst transfer stratified by age". Fertility and Sterility. 93 (6): 1837-43を参照されたい。
【0186】
核移植された卵母細胞に由来する胚が満期まで発育することに制約があり得る事例では、天然に形成された胚および卵母細胞核移植によって改変された胚に由来する細胞から形成されたキメラ非ヒト生物を作出することが、好ましい場合がある。天然胚の細胞の集団および卵母細胞核移植によって改変された胚の細胞の集団を、胚盤胞期に至るまでの任意の段階で採取し、凝集または注入によって新しい胚を形成させることにより、このようなキメラを形成させることができる。添加される細胞の比率は、約50:50の比または満期まで発育する胚の形成を実現するのに適した別の比であってよい。これらの状況における野生型細胞(本明細書において説明されるウーリーマンモス遺伝子を発現しない細胞)の存在は、再構築された胚を救出し、満期までの上首尾な発育および非ヒト生物の生仔出産を可能にする助けとなるように、本明細書において企図される。さらに、再構成された胚をインビボまたはインビトロで培養して胚盤胞にすることができる。キメラを形成させるためのその他のプロトコールは、例えば、米国特許第7,232,938 B2号で考察されている。
【0187】
胞胚は、動物の胚発育の初期に形成される、細胞からなる中空の球体である。表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む非ヒト胞胚が、本明細書において説明される。局面のいずれかのいくつかの態様において、胞胚は、本明細書において説明される1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子を発現するゾウ細胞から構成される。
【0188】
胚形成中の胞胚期のマーカーは当技術分野において公知であり、例えば、Lombardi, Julian (1998). "Embryogenesis". Comparative vertebrate reproduction. Springer. p. 226で考察されている。胞胚を培養および作製する方法は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Latham et al. Alterations in Protein Synthesis Following Transplantation of Mouse 8-Cell Stage Nuclei to Enucleated 1-Cell Embryos, Developmental Biology. Vol 163, Issue 2, (1994)およびNg. et al. Epigenetic memory of active gene transcription is inherited through somatic cell nuclear transfer. Proc Natl Acad Sci USA, 102 (2005), pp. 1957-1962で考察されている。
【0189】
上記に考察した方法によって、本明細書において説明される胚または胞胚の移植に成功すると、本明細書において説明される生物の胚発育は、例えば原腸胚形成またはそれより先の発育状態まで、進行することが可能になり得る。このような発育は、本明細書において説明される1つまたは複数のウーリーマンモス遺伝子を含み発現する1つまたは複数の細胞を含む、遺伝子改変された生きた非ヒト生物の作出を可能にし得る。表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む1つまたは複数の細胞を含むゾウが、本明細書において説明される。
【0190】
前述の説明および以下の実施例は例示にすぎず、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではないことを理解すべきである。開示される態様に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。さらに、特定されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、例えば、本発明に関連して使用されてよい、そのような刊行物において記載されている方法論を説明および開示する目的のために、参照により本明細書に明確に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示を示すためだけに提供される。この点に関するいかなる事も、本発明者らが、以前の発明のせいで、または他のなんらかの理由のために、そのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。日付に関する記載またはこれらの文献の内容に関する表現はすべて、出願者が入手可能な情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確さに関して何ら認めるものではない。
【0191】
特定されるすべての特許および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用される可能性がある、そのような刊行物において記載されている方法論を説明および開示する目的のために、参照により本明細書に明確に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示を示すためだけに提供される。この点に関するいかなる事も、本発明者らが、以前の発明のせいで、または他のなんらかの理由のために、そのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。日付に関する記載またはこれらの文献の内容に関する表現はすべて、出願者が入手可能な情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確さに関して何ら認めるものではない。
【0192】
本明細書で提供される技術は、本明細書の以下の番号付けしたパラグラフのいずれかによってさらに説明することができる。
1)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、生細胞。
2)
少なくとも1つの核酸配列によってコードされるポリペプチドを発現する、パラグラフ1の細胞。
3)
幹細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
4)
少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する、先行パラグラフのいずれかの細胞。
5)
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
6)
幹細胞が、人工幹細胞、胚性幹(ES)細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
7)
リプログラミングされた細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
8)
線維芽細胞または間葉細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
9)
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
10)
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される細胞に、インビトロで前もって分化させられた、先行パラグラフのいずれかの細胞。
11)
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログを発現しない、先行パラグラフのいずれかの細胞。
12)
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログの発現を阻害するように編集される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
13)
非ヒト細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
14)
ゾウ細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
15)
ゾウ細胞が、アフリカゾウ(ロキソダンタ・アフリカナス(Loxodanta Africanus))細胞またはアジアゾウ(エレファス・マクシムス(Elephas maximus))細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
16)
ハイラックス細胞またはマナティー細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
17)
ハイラックス細胞が、ミナミキノボリハイラックス(Dendrohyrax arboreus)細胞、ニシキノボリハイラックス(Dendrohyrax dorsalis)細胞、キボシイワハイラックス(Heterohyrax brucei)細胞、およびケープハイラックス(Procavia capensis)細胞からなる群より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
18)
マナティー細胞が、アマゾンマナティー(Trichechus inunguis)細胞、アメリカマナティー(Trichechus manatus)細胞、フロリダマナティー(Trichechus manatus latirostris)細胞、アンティルマナティー(Trichechus manatus manatus)細胞、およびアフリカマナティー(Trichechus senegalensis)細胞からなる群より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
19)
凍結保存される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
20)
前もって凍結保存された、先行パラグラフのいずれかの細胞。
21)
適切な対照と比べての、カルシウムシグナルの調節、電気生理学的機能の調節、タンパク質合成速度の調節、代謝機能の調節、および細胞膜の脂質含有量の調節からなる群より選択される1種または複数種の表現型を示す、先行パラグラフのいずれかの細胞。
22)
内因性核が、先行パラグラフのいずれかの細胞の核によって置き換えられている、卵母細胞。
23)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ウーリーマンモス細胞。
24)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む遺伝子編集されたゾウ細胞であって、該ゾウ細胞が、該少なくとも1つの遺伝子のゾウホモログを改変するように編集される、該遺伝子編集されたゾウ細胞。
25)
前記ゾウ細胞が、少なくとも1つの遺伝子の機能を欠失させるかまたは阻害するように編集される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
26)
(1)からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を有し、同遺伝子のウーリーマンモスバリアントを模倣するように編集される、遺伝子編集されたゾウ細胞。
27)
形態学的に幹様でありかつ少なくとも1種の内因性幹細胞マーカーを発現する表現型に、リプログラミングされた、ゾウ体細胞。
28)
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、先行パラグラフのいずれかのゾウ細胞。
29)
前記細胞が、ウーリーマンモスポリペプチドからなる群より選択される1種または複数種の外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む、先行パラグラフのいずれかのゾウ細胞。
30)
1種または複数種の外因性ポリペプチドに対応するゾウホモログ遺伝子が不活性化される、先行パラグラフのいずれかのゾウ細胞。
31)
先行パラグラフのいずれかの細胞を含む、非ヒト生物。
32)
先行パラグラフのいずれかの細胞を含む、非ヒト胚。
33)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胚。
34)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト卵母細胞。
35)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト4細胞期胚。
36)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト8細胞期胚。
37)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胞胚。
38)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含むドナー核を含む、除核された非ヒト卵母細胞。
39)
原腸形成前の胚である、先行パラグラフのいずれかの胚。
40)
キメラ胚である、先行パラグラフのいずれかの胚。
41)
凍結保存される、先行パラグラフのいずれかの胚、胞胚、または卵母細胞。
42)
外因性核酸配列の非ウーリーマンモスホモログが、欠失されているかまたは不活性化されている、先行パラグラフのいずれかの卵母細胞、胚、または胞胚。
43)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含む、非ヒト生物。
44)
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、ゾウ細胞。
45)
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、パラグラフ44のゾウ細胞。
46)
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、非ヒト細胞。
47)
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、パラグラフ46の非ヒト細胞。
48)
SEQ ID NO: 1~SEQ ID NO: 426より選択される配列を含む、ガイドRNA。
49)
パラグラフ48のガイドRNAをコードする、核酸。
50)
ガイドRNAをコードする核酸が、該ガイドRNAの発現を指示する核酸配列に機能的に連結されている、パラグラフ49の核酸。
51)
パラグラフ49または50の核酸を含む、ベクター。
52)
パラグラフ48のガイドRNAを含む、細胞。
53)
パラグラフ49またはパラグラフ50の核酸を含む、細胞。
54)
パラグラフ51のベクターを含む、細胞。
55)
その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む、パラグラフ52~54のいずれか一つの細胞。
【実施例】
【0193】
以下の実施例は、限定のためではなく、例示のために提供される。
【0194】
実施例1:ウーリーマンモスの寒冷適応
ウーリーマンモス(ケナガマンモス)は、最終氷期中に北半球の広大なマンモスステップの全域でかつて生息し、1万年前にその生息地域の大部分で絶滅した、ゾウファミリーの耐寒性メンバーであった。先史時代の芸術作品からも、シベリアおよびアラスカで発見された凍結遺体からも、ウーリーマンモスが、最もよく特徴がわかっている先史時代動物であることはほぼ間違いない(
図1)。これらの保存の良い標本は、絶滅動物の適応進化を機能的に特徴付けるための希少な機会を与える。北半球地方の寒冷地など極端な環境での生息には、一そろいの適応進化的な変化が必要となる。ウーリーマンモス標本の遺伝学的解析および形態学的解析により、密集した長い毛、脂肪組織の増大、耳および尾部の縮小、ならびにヘモグロビンの構造多型を含む、低温に対する複数の生理学的適応が明らかにされている。他の耐寒性哺乳動物の研究により、共通の環境ストレス要因に対する独特な適応だけでなく、同じ遺伝子および経路間でのいくつかの収束適応も特定された。
【0195】
低温感受性の低下
温度に対する感受性は、体性感覚神経細胞中の一連の温度感知イオンチャネルによって調節されている。これらの遺伝子のうちいくつか(TRPM8、TRPV3、TRPA1、およびTRPV4)の多型性が、ウーリーマンモスにおいて確認されている(Lynch et al. “Elephantid Genomes Reveal the Molecular Bases of Woolly Mammoth Adaptations to the Arctic.” Cell Reports. 12:2, p217-228, (2015))。さらに、耐寒性ジュウサンセンジリスの研究により、この種の体性感覚神経細胞において発現される低温非感受性TRPM8タンパク質が、6種の遺伝的多型に起因することが実験によって実証された(Matos-Cruz et al., “Molecular Prerequisites for Diminished Cold Sensitivity in Ground Squirrels and Hamsters.” Cell Reports. 21:12, p3329-3337, (2017))。
【0196】
皮膚および毛の発達
ウーリーマンモスは、中緯度地方のゾウ近縁種と比べて、皮膚および毛の発達に関して、十分に特徴付けられている生理学的差異をいくつか有した。ウーリーマンモスの毛の調査により、アジアゾウおよびアフリカゾウには存在しない、密集した下毛を含む3つの独特な毛のタイプが同定された。保存状態の良いマンモス皮膚の調査によっても、アジアゾウにもアフリカゾウにも存在しない、皮脂腺の存在が示された。これらの皮脂腺は、水をはじき、断熱性を高めるために必要である。遺伝子オントロジー解析により、以下を含む、ウーリーマンモスのこれらの形質に関連付けられている遺伝的多型が同定されている(Lynch et al., Cell Reports. (2015)):皮脂腺の拡大をもたらす、3種の遺伝子(Barx2、Cd109、Rbl1)、ならびに毛根鞘の発達(Rbl1、Mki67、Barx2、Bnc1、Pof1b、Frem1、Bmp2、Prdm1)、毛包の発達(Nes、Rbl1、Dll1、Ptch1、Mki67、Sema5a、Barx2、Bnc1、Bhlhe22、Glmn、Ackr4、Frem1、Akt1、Bmp2、Selenop、Krt8、Lgals3、Ncam1、Prdm1)、および外毛根鞘の発達(Rbl1、Mki67、Barx2、Bnc1、Frem1、Bmp2)に関連付けられている毛発達遺伝子。
【0197】
脂肪発達および脂質代謝
保存状態の良いウーリーマンモス標本の調査により、首の後ろに大きな褐色脂肪沈着物が存在することが明らかになった。これらは、冬の間、熱源および脂肪貯蔵所として機能したと考えられている(Boeskorov, G.G., Tikhonov, A.N. & Lazarev, P.A. A new find of a mammoth calf. Dokl Biol Sci 417, 480-483 (2007))。遺伝子オントロジー解析により、ウーリーマンモスにおいて、異常な褐色脂肪組織形態(Adrb2、Dlk1、Ghr、Gpd2、Hrh1、Lepr、Lgals12、Lpin1、Med13、Mlxipl、Pds5b、Ptprs、Sik3、Sqstm1、ITPRID2)および異常な褐色脂肪組織量(Dlk1、Ghr、Gpd2、Hrh1、Lepr、Lgals12、Lpin1、Med13、Mlxipl、Pds5b、Sik3、ITPRID2)に関連付けられている遺伝的多型が同定された(Lynch et al., Cell Reports. (2015))。さらに、マンモスの耐寒性の進化論的解析により、循環血中の脂質およびコレステロールの異常なレベルに関係しているLOF遺伝子(Abcg8、Crp、Fabp2)の統計学的に有意な富化が明らかになった(Lynch et al., Cell Reports. (2015))。最終的に、変化した脂質代謝もまた、ホッキョクグマのゲノム解析において確認された(APOB)。
【0198】
形態学的形質
保存状態の良いウーリーマンモス標本から、小さめの耳および尾、短めの胴部、ならびにドーム状頭蓋を含む、低温に対するいくつかの形態学的適応が明らかになっている。遺伝子オントロジー解析により、以下を含む、ウーリーマンモスのこれらの形質に関連付けられている遺伝的多型が同定されている:異常な尾形態(Apaf1、Avil、Axin2、Bmp2、Brca1、Brca2、Cdc7、Celsr1、Chst14、Crh、Dact1、Dll1、Dmrt2、Dst、Fat4、Fn1、Hist1h1c、Jak1、Krt76、Lepr、Lrp2、Lyst、Med12、Mthfr、Ndc1、Noto、Phc1、Phc2、Ptch1、Rc3h1、Sepp1、Slx4、Sytl1、Tcea1、Zeb1)、異常な尾芽形態(Brca1、Dact1、Fn1、Phc1、Phc2)、小さな尾芽(Phc1、Phc2)、異常な耳形態(Apaf1、Atp8b1、Bhlhe22、Bmp2、Celsr1、Col9a1、Dll1、Fat4、Foxq1、Gpr98、Htt、Jag1、Jak1、Loxhd1、Lrp2、Lyst、Mecom、Muc5b、Nf1、Otoa、Pcdh15、Phc1、Phc2、Ptprq、Synj2、Tbx10、Tcof1、Tub、Zeb1)、カップ形の耳(Tcof1)、ドーム状頭蓋(Col27a1、Fig4、Hdac4、Htt、Pfas、Pkd1、Ptch1、Slx4、Tcof1、Trip1)、異常な頭頂骨形態(Apaf1、Hhat、Nell1、Ptch1、Sik3、Tcof1)、および短い鼻(Apaf1、Asph、Col27a1、Frem1、Hhat、Kif20b、Lrp2、Ltbp1、Mia3、Pds5b、Pfas、Pkd1、Rbl1、Trip11、Zc3hc1)。
【0199】
血液適応
ヘモグロビンは、血液中の酸素に結合する、温度感受性の四量体タンパク質である。低温では、酸素分子を組織に降ろすことができない。ウーリーマンモスのヘモグロビンα遺伝子およびヘモグロビンβ遺伝子(HBA、HBB)における置換は、低温での酸素送達を向上させることが実験によって示されている(Campbell, K., Roberts, J., Watson, L. et al. Substitutions in woolly mammoth hemoglobin confer biochemical properties adaptive for cold tolerance. Nat Genet 42, 536-540 (2010))。非耐寒性哺乳動物の血小板は、低温に曝露されると損傷を起こす。対照的に、ジュウサンセンジリスの血小板は、これらの損傷に対して耐性があることが実験によって示されている(Cooper et al., The hibernating 13-lined ground squirrel as a model organism for potential cold storage of platelets. American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology (2012))。
【0200】
サーカディアン生物学
時計遺伝子は、特定の細胞事象および代謝事象の時間を調節する際に、主要な役割を果たす。長期間にわたる暗闇または日光を経験する北極動物では、主要な概日時計遺伝子のいくつかにおいて機能喪失(LOF)変異が同定されている。注目すべきことに、トナカイは、概日メラトニンリズムを示さず、培養で増殖させたトナカイ線維芽細胞は、典型的な周期的時計遺伝子活性を欠いている。観察されるこれらの表現型は、Per2およびBmal1におけるLOF変異に起因することが示唆されている。同様に、ウーリーマンモスでは、次の時計遺伝子中のLOF変異が同定されている:Hrh3、Lepr、Per2(Lynch et al. Cell Reports. (2015))。
【0201】
実施例2:ウーリーマンモスおよび他の寒冷気候野生生物において、低下した低温感受性を与える、適応遺伝子
より寒冷な気候にウーリーマンモスおよび他の動物(例えば、トナカイおよびホッキョクグマ)が適応するために、下記の遺伝子が重要であることが発見された。
【0202】
実施例3:低下した寒冷気候感受性を与える遺伝子のさらなる例
HBB(ヘモグロビンβ/δ融合遺伝子):ウーリーマンモスHBBのアミノ酸多型は、酸素親和性を低下させる。この遺伝子サブユニットにおける変異は、肺からの酸素を送達するエネルギーコストを低下させる。
HBA-2(ヘモグロビンサブユニットAのバリアント)
温度感受性の一過性受容器電位(サーモTRP)
-TRPA1-種によって、有害な低温または熱を感知
-TRPV3-非侵害性の暖かさを感知。TRPV3のマンモス特異的置換(N647D)は、マンモスTRPV3による熱感覚に影響を与え得る保存度が高い部位で起こった。マンモスにおける耐寒性の進化、長い毛、および多量の脂肪蓄積に関連する。
-TRPM4-熱感受性であるが、温度感覚に関与することは知られていない
TRPM8-有害な低温を感知する
【0203】
【0204】
図3は、クローニングされたマンモス対立遺伝子を有するマルチシストロン性ベクターを示す。
【0205】
実施例4:マルチシストロン性ベクターの作製およびアフリカゾウ細胞のリプログラミング
クローニングされたマンモス対立遺伝子を有するマルチシストロン性ベクターを作製した(
図3~5)。
【0206】
次に、アフリカゾウ(ロキソドンタ・アフリカナ)の凍結胎盤の生検材料に由来する人工幹細胞を取得し、培養状態で維持した(
図4、左)。SV40LT遺伝子およびハイグロマイシン耐性遺伝子を含むトランスポゾンプラスミドを作製した。pHAGE2-EF1-OSKMをPme1部位にクローニングすることにより、ヒトリプログラミング因子OCT4、SOX2、KLF4、およびc-MYC、不死化遺伝子SV40LT、ならびにハイグロマイシン選択マーカーを含むプラスミドを作製した(
図5~6)。
【0207】
ロキソドンタ・アフリカナ細胞に、トランスポゾンリプログラミング因子およびトランスポザーゼをトランスフェクトした。ハイグロマイシンの存在下で細胞を選択し、生き残った細胞を増殖させ、前述のリプログラミングベクターを用いてリプログラミングを開始した(
図3~6)。フィーダー細胞(MEF)の層(0.1%ゼラチンで予めコーティングしたプレート)において細胞コロニーを導き出し、本明細書においてEssential 8 (Gibco)と呼ぶ培地中で維持した。Essential 8は、NaHCO
3でpHを調整したDMEM/F12中に、インスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸、FGF2、およびTGFβ(またはNODAL)を含む独自の配合物を含有する(例えば、Chen G, et al. Nat Methods. 2011に記載されている)(
図7)。コロニーは2週目に出現し始めた。単一コロニーを、マトリゲルでコーティングしたプレートに移し、Essential 8を用いてフィーダー無しの条件で維持した。
【0208】
次いで、ロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞コロニーを、MATRIGEL(商標)を用いてフィーダー無しの条件で増殖させた(
図8)。異なる系列への分化を調べるために、奇形腫アッセイ法を実施した。ロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞を、免疫力が低下したマウスに注射した。
【0209】
細胞は、当技術分野において公知の様々なプロトコールを用いて、人工幹細胞段階から、異なる系列に沿って分化させるか、または独特な転写因子を用いて、線維芽細胞様細胞型から他の細胞型へ分化転換させることができる。
【0210】
ロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞集団のRNA seq実験により、これらの細胞が、最終分化した表現型よりも、多能性細胞に近いことが実証された。主成分分析またはPCAを用いて、下記の細胞の個々の特性を同定した:
ele1 AsMSC Af28アジア間葉系幹細胞(アジアゾウ親細胞);
ele2 AsMSCim Af28アジア間葉系幹細胞SV40LT(不死化されたアジアゾウ親細胞);
ele3 LoxPla ロキソドンタAfr胎盤細胞P.3(アフリカゾウ親細胞);
ele4 LoxPlaim ロキソドンタAfr胎盤細胞SV40LT(不死化されたアフリカゾウ親細胞);
ロキソドンタ胎盤に由来するele5 LoxiPSC P.9人工幹細胞(アフリカゾウ人工幹細胞);
TRA160 PEおよびFITC P.7を用いて2回選別されたele6 LoxiPSCTra160-2X(選別されたアフリカゾウ人工幹細胞);
TRA160 FITC P.9を用いて1回選別されたele7 LoxiPSCTra161-1X(選別されたアフリカゾウ人工幹細胞);
TRA160 PEおよびFITC P.7を用いて2回選別された、分化させたele8 LoxiPSCTra160-2X diff(幹細胞から分化させたアフリカゾウ)(
図9)。
【0211】
様々なロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞集団のヒートマップを構築して、どの多能性細胞マーカーがゾウ人工幹細胞において顕著に発現され、ロキソドンタ・アフリカナから得られた線維芽細胞様細胞においては低レベルであったかを明らかにした(
図10)。
【0212】
ゾウ人工幹細胞中で低レベルであり分化した親細胞集団中で高レベルである分化マーカーの、コンピューターによる比較を実施した。ゾウ細胞において差次的に発現された遺伝子には、ロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞において存在量が増加したLIN 28A、SALL4、TRIM 7、LAMA1、ENSLAFG00000026668、FGFR4、およびC4BPA、ならびにロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞において存在量が減少したENSSLAFG00000000910、LGALS1が含まれた(
図11)。
【0213】
さらに、ロキソドンタ・アフリカナ人工幹細胞集団において差次的に発現された遺伝子のコード領域において、約11,000個のSNP変化が観察された。多くのENSLAF遺伝子がアノテートされており、未知の機能的作用を有している。遺伝子オントロジー解析により、この解析において豊富である遺伝子が、発生、細胞周期、イオンチャネル、および代謝経路と相関関係があることが明らかにされた(
図12)。
【0214】
マンモス近縁種を用いる23ゲノム解析を使用して、マンモスに特異的な形質を同定した(
図1)。これらの遺伝子は、下記の表に列挙するいくつかの生物学的プロセス、分子的機能、およびタンパククラスに関与している。
【0215】
【0216】
表2において、「ABE」はアデニン塩基エディターを意味し;「CBE」はシトシン塩基エディターを意味し;「HDR」は、相同組換え修復を意味し;かつ「PAM」はプロトスペーサー隣接モチーフを意味する。
【0217】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、生細胞。
【請求項2】
少なくとも1つの核酸配列によってコードされるポリペプチドを発現する、請求項1記載の細胞。
【請求項3】
幹細胞である、請求項1または2記載の細胞。
【請求項4】
少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する、請求項1~3のいずれか一項記載の細胞。
【請求項5】
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、請求項4記載の細胞。
【請求項6】
幹細胞が、人工幹細胞、胚性幹(ES)細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である、請求項3記載の細胞。
【請求項7】
リプログラミングされた細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項8】
線維芽細胞または間葉細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項9】
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される、請求項1記載の細胞。
【請求項10】
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される細胞に、インビトロで前もって分化させられた、請求項1記載の細胞。
【請求項11】
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログを発現しない、請求項1~10のいずれか一項記載の細胞。
【請求項12】
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログの発現を阻害するように編集される、請求項1~11のいずれか一項記載の細胞。
【請求項13】
非ヒト細胞である、請求項1~12のいずれか一項記載の細胞。
【請求項14】
ゾウ細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項15】
ゾウ細胞が、アフリカゾウ(ロキソダンタ・アフリカナス(Loxodanta Africanus))細胞またはアジアゾウ(エレファス・マクシムス(Elephas maximus))細胞である、請求項14記載の細胞。
【請求項16】
ハイラックス細胞またはマナティー細胞である、請求項1記載の細胞。
【請求項17】
ハイラックス細胞が、ミナミキノボリハイラックス(Dendrohyrax arboreus)細胞、ニシキノボリハイラックス(Dendrohyrax dorsalis)細胞、キボシイワハイラックス(Heterohyrax brucei)細胞、およびケープハイラックス(Procavia capensis)細胞からなる群より選択される、請求項16記載の細胞。
【請求項18】
マナティー細胞が、アマゾンマナティー(Trichechus inunguis)細胞、アメリカマナティー(Trichechus manatus)細胞、フロリダマナティー(Trichechus manatus latirostris)細胞、アンティルマナティー(Trichechus manatus manatus)細胞、およびアフリカマナティー(Trichechus senegalensis)細胞からなる群より選択される、請求項17記載の細胞。
【請求項19】
凍結保存される、請求項1~18のいずれか一項記載の細胞。
【請求項20】
前もって凍結保存された、請求項1~19のいずれか一項記載の細胞。
【請求項21】
適切な対照と比べての、カルシウムシグナルの調節、電気生理学的機能の調節、タンパク質合成速度の調節、代謝機能の調節、および細胞膜の脂質含有量の調節からなる群より選択される1種または複数種の表現型を示す、請求項1~20のいずれか一項記載の細胞。
【請求項22】
内因性核が、請求項1~21のいずれか一項記載の細胞の核によって置き換えられている、卵母細胞。
【請求項23】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ウーリーマンモス細胞。
【請求項24】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む遺伝子編集されたゾウ細胞であって、該ゾウ細胞が、該少なくとも1つの
外因性核酸配列のゾウホモログを改変するように編集される、該遺伝子編集されたゾウ細胞。
【請求項25】
前記ゾウ細胞が、少なくとも1つの遺伝子の機能を欠失させるかまたは阻害するように編集される、請求項24記載の細胞。
【請求項26】
表1に列挙されるものからなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を有し、同遺伝子のウーリーマンモスバリアントを模倣するように編集される、遺伝子編集されたゾウ細胞。
【請求項27】
形態学的に幹様でありかつ少なくとも1種の内因性幹細胞マーカーを発現する表現型に、リプログラミングされた、ゾウ体細胞。
【請求項28】
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、請求項27記載のゾウ細胞。
【請求項29】
前記細胞が、ウーリーマンモスポリペプチドからなる群より選択される1種または複数種の外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む、請求項27記載のゾウ細胞。
【請求項30】
1種または複数種の外因性ポリペプチドに対応するゾウホモログ遺伝子が不活性化される、請求項27記載のゾウ細胞。
【請求項31】
請求項1~27のいずれか一項記載の細胞を含む、非ヒト生物。
【請求項32】
請求項1~27のいずれか一項記載の細胞を含む、非ヒト胚。
【請求項33】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胚。
【請求項34】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト卵母細胞。
【請求項35】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト4細胞期胚。
【請求項36】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト8細胞期胚。
【請求項37】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胞胚。
【請求項38】
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される
少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含むドナー核を含む、除核された非ヒト卵母細胞。
【請求項39】
原腸形成前の胚である、請求項32、33、35、および36のいずれか一項記載の胚。
【請求項40】
キメラ胚である、請求項32、33、35、および36のいずれか一項記載の胚。
【請求項41】
凍結保存される、請求項32~40のいずれか一項記載の胚、胞胚、または卵母細胞。
【請求項42】
外因性核酸配列の非ウーリーマンモスホモログが、欠失されているかまたは不活性化されている、請求項32~41のいずれか一項記載の卵母細胞、胚、または胞胚。
【請求項43】
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含む、非ヒト生物。
【請求項44】
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、ゾウ細胞。
【請求項45】
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、請求項44記載のゾウ細胞。
【請求項46】
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、非ヒト細胞。
【請求項47】
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、請求項46記載の非ヒト細胞。
【請求項48】
SEQ ID NO: 1~SEQ ID NO: 426より選択される配列を含む、ガイドRNA。
【請求項49】
請求項48記載のガイドRNAをコードする、核酸。
【請求項50】
ガイドRNAをコードする核酸が、該ガイドRNAの発現を指示する核酸配列に機能的に連結されている、請求項49記載の核酸。
【請求項51】
請求項49または50記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項52】
請求項48記載のガイドRNAを含む、細胞。
【請求項53】
請求項49または請求項50記載の核酸を含む、細胞。
【請求項54】
請求項51記載のベクターを含む、細胞。
【請求項55】
その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項52~54のいずれか一項記載の細胞。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
本明細書において使用される場合、「リプログラミング遺伝子」または「リプログラミング因子」という用語は、分化度の低い、より幹細胞に似た表現型を再発現させるための、体細胞中でリプログラミングプロセスを誘導することができる作用物質または核酸分子を意味する。リプログラミング因子は、細胞に導入された場合にリプログラミングされた表現型を促進する、核酸、ポリペプチド、または低分子であることができる。リプログラミング因子の非限定的な例には、Oct4(八量体結合転写因子-4)、SOX2(性決定領域Y)-ボックス2、Klf4(クルッペル様因子-4)、およびc-Mycが含まれる。これらは、例えば人工多能性幹細胞を誘導するために使用されるリプログラミング因子の、いわゆる「従来の」または「標準的な」セットである。分化度の低い表現型または幹細胞表現型に細胞をリプログラミングするプロセスで導入される場合に、リプログラミング因子とみなすことができるその他の因子には、LIN28+Nanog、Esrrb、Pax5 shRNA、C/EBPα、p53 siRNA、UTF1、DNMT shRNA、Wnt3a、SV40 LT(T)、hTERT、非限定的にBIX-01294、BayK8644、RG108、AZA、デキサメタゾン、VPA、TSA、SAHA、PD0325901+CHIR99021(2i)、およびA-83-01が含まれる低分子化学物質が含まれる。いくつかの態様において、リプログラミング遺伝子または因子は、Oct4、Klf4、SOX2、およびc-Mycである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
幹細胞形態を有し、かつ少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する幹細胞表現型に、ゾウ体細胞をリプログラミングすることが、本明細書において説明される。いくつかの態様において、リプログラミングされたゾウ細胞は、胚様体を形成するか、または凝集してクラスターになる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
体細胞をiPS細胞にリプログラミングする方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第8,129,187 B2号;同第8,058,065 B2号;米国特許出願公開第2012/0021519 A1号; Singh et al. Front. Cell Dev. Biol. (February, 2015);およびPark et al., Nature 451: 141-146 (2008)に記載されている。具体的には、iPSCは、リプログラミング転写因子の組合せを導入することにより、体細胞から作製される。リプログラミング因子は、例えば、タンパク質、核酸(mRNA分子、DNA構築物、もしくはそれらをコードするベクター)またはそれらの任意の組合せとして導入することができる。また、低分子が、導入される転写因子を増強または補助することもできる。その他の因子が、例えばリプログラミングの効率に影響を及ぼすことが明らかにされているものの、人工多能性状態に体細胞をリプログラミングするために十分な、組み合わせられる4種のリプログラミング因子からなる標準的なセットには、Oct4(八量体結合転写因子-4)、SOX2(性別決定領域Y)-ボックス2、Klf4 (クルッペル様因子-4)、およびc-Mycが含まれる。LIN28+Nanog、Esrrb、Pax5 shRNA、C/EBPα、p53 siRNA、UTF1、DNMT shRNA、Wnt3a、SV40 LT(T)、hTERTを非限定的に含むその他のタンパク質もしくは核酸因子(またはそれらをコードする構築物)、またはBIX-01294、BayK8644、RG108、AZA、デキサメタゾン、VPA、TSA、SAHA、PD0325901+CHIR99021(2i)、およびA-83-01を非限定的に含む低分子化学物質が、4種のリプログラミング因子からなる基礎的もしくは標準的なセットの1つもしくは他のリプログラミング因子を置き換えるか、またはリプログラミングの効率を高めることが、判明している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
Shi, Y., et al. (2008) Cell-Stem Cell 2:525-528、Huangfu, D., et al. (2008) Nature Biotechnology 26(7):795-797、およびMarson, A., et al. (2008) Cell-Stem Cell 3:132-135によって示されるように、出発細胞の集団から導かれるリプログラミングの効率(すなわち、リプログラミングされた細胞の数)は、様々な低分子の添加によって高めることができる。リプログラミング効率を高める作用物質のいくつかの非限定的な例には、とりわけ、可溶性Wnt、Wnt馴化培地、BIX-01294(G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ)、PD0325901(MEK阻害剤)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、バルプロ酸、5'-アザシチジン、デキサメタゾン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、ビタミンC、およびトリコスタチン(TSA)が含まれる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
本明細書で提供される技術は、本明細書の以下の番号付けしたパラグラフのいずれかによってさらに説明することができる。
1)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、生細胞。
2)
少なくとも1つの核酸配列によってコードされるポリペプチドを発現する、パラグラフ1の細胞。
3)
幹細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
4)
少なくとも1種の幹細胞マーカーを発現する、先行パラグラフのいずれかの細胞。
5)
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
6)
幹細胞が、人工幹細胞、胚性幹(ES)細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
7)
リプログラミングされた細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
8)
線維芽細胞または間葉細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
9)
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
10)
神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、筋細胞、骨細胞、脂肪細胞、または表皮細胞からなる群より選択される細胞に、インビトロで前もって分化させられた、先行パラグラフのいずれかの細胞。
11)
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログを発現しない、先行パラグラフのいずれかの細胞。
12)
少なくとも1つの遺伝子の内因性ホモログの発現を阻害するように編集される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
13)
非ヒト細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
14)
ゾウ細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
15)
ゾウ細胞が、アフリカゾウ(ロキソダンタ・アフリカナス(Loxodanta Africanus))細胞またはアジアゾウ(エレファス・マクシムス(Elephas maximus))細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
16)
ハイラックス細胞またはマナティー細胞である、先行パラグラフのいずれかの細胞。
17)
ハイラックス細胞が、ミナミキノボリハイラックス(Dendrohyrax arboreus)細胞、ニシキノボリハイラックス(Dendrohyrax dorsalis)細胞、キボシイワハイラックス(Heterohyrax brucei)細胞、およびケープハイラックス(Procavia capensis)細胞からなる群より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
18)
マナティー細胞が、アマゾンマナティー(Trichechus inunguis)細胞、アメリカマナティー(Trichechus manatus)細胞、フロリダマナティー(Trichechus manatus latirostris)細胞、アンティルマナティー(Trichechus manatus manatus)細胞、およびアフリカマナティー(Trichechus senegalensis)細胞からなる群より選択される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
19)
凍結保存される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
20)
前もって凍結保存された、先行パラグラフのいずれかの細胞。
21)
適切な対照と比べての、カルシウムシグナルの調節、電気生理学的機能の調節、タンパク質合成速度の調節、代謝機能の調節、および細胞膜の脂質含有量の調節からなる群より選択される1種または複数種の表現型を示す、先行パラグラフのいずれかの細胞。
22)
内因性核が、先行パラグラフのいずれかの細胞の核によって置き換えられている、卵母細胞。
23)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ウーリーマンモス細胞。
24)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む遺伝子編集されたゾウ細胞であって、該ゾウ細胞が、該少なくとも1つの遺伝子のゾウホモログを改変するように編集される、該遺伝子編集されたゾウ細胞。
25)
前記ゾウ細胞が、少なくとも1つの遺伝子の機能を欠失させるかまたは阻害するように編集される、先行パラグラフのいずれかの細胞。
26)
(1)からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を有し、同遺伝子のウーリーマンモスバリアントを模倣するように編集される、遺伝子編集されたゾウ細胞。
27)
形態学的に幹様でありかつ少なくとも1種の内因性幹細胞マーカーを発現する表現型に、リプログラミングされた、ゾウ体細胞。
28)
幹細胞マーカーが、NANOG、SSEA1、SSEA4、またはTRA-1-60より選択される、先行パラグラフのいずれかのゾウ細胞。
29)
前記細胞が、ウーリーマンモスポリペプチドからなる群より選択される1種または複数種の外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含む、先行パラグラフのいずれかのゾウ細胞。
30)
1種または複数種の外因性ポリペプチドに対応するゾウホモログ遺伝子が不活性化される、先行パラグラフのいずれかのゾウ細胞。
31)
先行パラグラフのいずれかの細胞を含む、非ヒト生物。
32)
先行パラグラフのいずれかの細胞を含む、非ヒト胚。
33)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胚。
34)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト卵母細胞。
35)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト4細胞期胚。
36)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト8細胞期胚。
37)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの外因性核酸配列を含む、非ヒト胞胚。
38)
表1に列挙されるウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含むドナー核を含む、除核された非ヒト卵母細胞。
39)
原腸形成前の胚である、先行パラグラフのいずれかの胚。
40)
キメラ胚である、先行パラグラフのいずれかの胚。
41)
凍結保存される、先行パラグラフのいずれかの胚、胞胚、または卵母細胞。
42)
外因性核酸配列の非ウーリーマンモスホモログが、欠失されているかまたは不活性化されている、先行パラグラフのいずれかの卵母細胞、胚、または胞胚。
43)
表1のウーリーマンモス遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の核酸配列を含む、非ヒト生物。
44)
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、ゾウ細胞。
45)
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、パラグラフ44のゾウ細胞。
46)
表2または表3に列挙される少なくとも1つのガイドRNAを含む、非ヒト細胞。
47)
少なくとも1つのガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに発現する、パラグラフ46の非ヒト細胞。
48)
SEQ ID NO: 1~SEQ ID NO: 426より選択される配列を含む、ガイドRNA。
49)
パラグラフ48のガイドRNAをコードする、核酸。
50)
ガイドRNAをコードする核酸が、該ガイドRNAの発現を指示する核酸配列に機能的に連結されている、パラグラフ49の核酸。
51)
パラグラフ49または50の核酸を含む、ベクター。
52)
パラグラフ48のガイドRNAを含む、細胞。
53)
パラグラフ49またはパラグラフ50の核酸を含む、細胞。
54)
パラグラフ51のベクターを含む、細胞。
55)
その活性がガイドRNAによって導かれるRNAガイドエンドヌクレアーゼをさらに含む、パラグラフ52~54のいずれか一つの細胞。
【国際調査報告】