(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】静電放電を有する吸入器物品ホルダー
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20231219BHJP
A61M 13/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535377
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 IB2021061191
(87)【国際公開番号】W WO2022123398
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ダユオウル オヌル
(57)【要約】
ハウジング空洞および外表面を画定するハウジングと、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブとを含む、吸入器物品用の吸入器物品ホルダー。スリーブは、吸入器物品を受容するように配設されていて、またスリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。貫通要素は、スリーブが第二の位置にある時に、スリーブ内に受容された吸入器物品を貫通するように配設されている。スリーブは、ハウジングが電気的に接地されている時に、静電気放電回路を形成するためにハウジングに電気的に連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品ホルダーであって、
ハウジング空洞および外表面を画定するハウジングと、
前記ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブであって、前記吸入器物品を受容するように配設されていて、かつ前記ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置の間で移動可能である、スリーブと、
前記スリーブが前記第二の位置にある時に、前記スリーブ内に受容された前記吸入器物品を貫通するように配設された貫通要素と、を備え、
前記ハウジングが電気的に接地されている時に、前記スリーブが前記ハウジングに電気的に連結されていて、静電気放電回路を形成する、吸入器物品ホルダー。
【請求項2】
前記スリーブの一部分に接触するばね部材をさらに備え、かつ前記ばね部材が前記スリーブを前記ハウジングと電気的に連結する、請求項1に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項3】
前記貫通要素が前記スリーブを前記ハウジングと電気的に連結する、請求項1または請求項2に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項4】
前記貫通要素が前記ばね部材内に配置されている、請求項2または請求項3に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項5】
前記ハウジングが金属で形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項6】
前記スリーブが、1×10
11オーム/sq未満または1×10
10オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成されている、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項7】
前記スリーブが、旋回気流を形成するように構成された気流要素を備え、かつ前記気流要素が前記ハウジングに電気的に連結されている、請求項1~6のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項8】
前記気流要素が、1×10
11オーム/sq未満または1×10
10オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成されている、請求項7に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項9】
前記スリーブが開放端から閉鎖端に延び、かつ吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定し、前記スリーブの前記開放端が、吸入器物品を受容するための前記ハウジング内の開口部と整列していて、前記スリーブの前記閉鎖端が、前記閉鎖端にて前記スリーブを実質的に閉じるスリーブ底部要素を備え、かつ前記気流要素が前記スリーブ底部要素に連結されていて、かつ前記気流要素が、前記スリーブ底部要素から離れて、かつ前記スリーブの前記円筒状内腔の中に延び、かつ前記気流要素が、前記スリーブ底部要素およびばね部材または貫通要素を通して前記ハウジングに電気的に連結されている、請求項8に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項10】
前記スリーブ底部要素が、1×10
11オーム/sq未満または1×10
10オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成されている、請求項9に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項11】
1×10
11オーム/sq未満または1×10
10オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成された内部ハウジングをさらに備え、かつ前記内部ハウジングが前記ばね部材を前記ハウジングに電気的に連結する、請求項2~10のいずれか一項に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記ハウジングの前記外表面に接触するユーザーに接地されている、請求項1~11のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項13】
前記内部ハウジングが、前記貫通要素を前記ハウジングに電気的に連結する、請求項11に記載の吸入器物品ホルダー。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の吸入器物品ホルダーと、前記吸入器物品のカプセル空洞内に配置されたカプセルを包含する吸入器物品とを備え、前記カプセルがニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有し、前記医薬的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する、吸入器システム。
【請求項15】
前記カプセルが、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲、または約50~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する風味粒子の第二の集団をさらに含有する、請求項14に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器物品ホルダーに関し、吸入器物品ホルダーは、消費者によって保持された時に、静電放電回路を含む。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内にある吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切であるわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である場合があり、または可動部品を伴う場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量またはカプセル装填量の全体を提供しようとする。
【0003】
吸入器物品は、乾燥粉末を含有するカプセルを保持しうる。これらのカプセルは、カプセル壁を通して開口を貫通することによって起動されてもよい。ユーザーは、消耗品のマウスピース側から吸煙する(吸い込むまたは吸入する)。この作用は、乾燥粉末吸入器を通して空気を強制的に流す。乾燥粉末・エアロゾル吸入器での薬物送達は、薬物流路に沿った表面に対する薬物物質の静電的引力によって妨げられる可能性があることが一般的に知られている。
【発明の概要】
【0004】
乾燥粒子が乾燥粉末吸入器システムを通って流れるにつれ、粒子と乾燥粉末吸入器システムを通して遭遇する表面との間の相互作用は、静電気の蓄積すなわち帯電を引き起こす。この静電気の蓄積は、乾燥粒子を相互に引き付けさせ、また乾燥粉末吸入器システムを通して遭遇する表面に引き付けさせる。これは、乾燥粉末吸入器システムを通して遭遇する表面への乾燥粒子の付着をもたらす場合がある。これらの表面上の乾燥粉末の付着または蓄積は、乾燥粉末吸入器の動作を劣化させる。これらの表面上の乾燥粉末の付着または蓄積は、乾燥粉末吸入器を効果的に動作させるために必要とされるメンテナンスを増加する。
【0005】
乾燥粉末の流路内の静電気の蓄積を防止または最小化するために、乾燥粉末吸入器システム内に電気伝導経路を提供することが望ましい。静電気の蓄積と、ホルダーの表面への乾燥粉末粒子の引き付けとを防止または最小化する吸入器物品ホルダーを提供することが望ましい。乾燥粉末流路に沿ってホルダー表面上に乾燥粉末が蓄積するのを防止するために、使用中に吸入器物品ホルダーから任意の静電気を効果的に放電することが望ましい。
〔課題を解決するための手段〕
【0006】
本発明の一態様によると、ハウジング空洞および外表面を画定するハウジングと、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブとを備える吸入器物品ホルダーが提供されている。スリーブは、吸入器物品を受容するように配設されていて、またスリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。貫通要素は、スリーブが第二の位置にある時に、スリーブ内に受容された吸入器物品を貫通するように配設されている。スリーブは、ハウジングが電気的に接地されている時に、静電気放電回路を形成するためにハウジングに電気的に連結されている。
【0007】
有利なことに、スリーブから静電気の電気経路を提供することは、スリーブでの静電気の蓄積を除去し、またスリーブ表面上の乾燥粉末の蓄積を防止または軽減する。静電気の低減は、乾燥粉末の蓄積を防止または軽減して、清浄な装置表面を維持し、装置のメンテナンスを低減する。装置表面内または装置表面上の乾燥粉末の蓄積を低減することは、より多くの乾燥粉末をユーザーに提供し、装置の効率を改善する。静電気放電回路のスリーブおよび要素に帯電防止材料を利用することは、組み立てるのが単純かつ簡単な吸入器物品を提供する。
【0008】
本開示は、「吸入器物品ホルダー」と呼ばれる吸入器物品用のホルダーを対象とする。吸入器物品ホルダーは、単一のオフセット貫通要素を含む。吸入器物品ホルダーは、消耗品吸入器物品を受容し、カプセルを貫通することによって吸入器物品内のカプセルを起動し、消費中に吸入器物品の中に旋回吸入気流を誘発するように構成されている。吸入器物品ホルダーおよび吸入器物品は、本開示が対象とする吸入器システムを形成してもよい。
【0009】
吸入器物品ホルダーの部分、特に吸入器物品を受容する移動可能なスリーブの部分は、吸入気流中に同伴されている乾燥粉末粒子と接触してもよい。例えば、気流要素は、スリーブの一部分を形成し、また気流要素は、スリーブ内腔の中に、および受容された吸入器物品の中に延びる。出願人は、この気流要素が、電気絶縁性気流要素と相互作用する乾燥粒子の静電気引力に起因して、消費中にその表面上に乾燥粉末が蓄積しやすいことを発見した。
【0010】
これらのスリーブ部分を帯電防止であるように形成し、その後これらのスリーブ部分を吸入器物品ホルダーの導電性ハウジングに電気的に連結することは、ユーザーが吸入器物品の消費中にハウジングに接触することによってハウジングを接地する時に、静電放電回路を形成する。次いで、消費中に同伴された乾燥粉末粒子と相互作用する吸入器物品ホルダー表面から、静電気を引き離す。静電気の低減は、乾燥粉末の蓄積を防止または軽減して、清浄な装置表面を維持し、装置のメンテナンスを低減する。
【0011】
本明細書に記載の吸入器物品ホルダーは、カプセルを包含する吸入器物品と組み合わせられてもよい。吸入器物品は、カプセルを貫通することによって吸入器物品を起動するために使用されてもよく、これは吸入器物品ホルダーの貫通要素を用いてカプセルを穿刺することによってカプセルの信頼性のある起動を提供する。粒子は、貫通したカプセルの周りに気流を引き出す、または作り出すのに伴い、カプセルから放出されてもよい。それ故に、吸入器システムは、乾燥粉末粒子を消費者に送達する。吸入器物品ホルダーは吸入器物品と別個であるが、消費者は、吸入器物品内で放出される乾燥粉末粒子を消費しながら、吸入器物品と吸入器物品ホルダーの両方を利用する。複数のこれらの吸入器物品は、吸入器物品ホルダーと組み合わされて、システムまたはキットを形成してもよい。単一の吸入器物品ホルダーは、各吸入器物品内に包含されたカプセルを起動(穿孔または貫通)するために、かつ確実な起動を提供するために、10個以上、または25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用されてもよい。吸入器物品は、各吸入器物品について、吸入器物品の活性化の視覚的な表示(マーキング)を随意に提供してもよい。
【0012】
吸入器物品は気流経路を有する。気流は、ユーザーからの吸入(または吸煙)によって吸入器物品の中に導入される。吸入器物品ホルダーは、旋回吸入気流を作り出す。この旋回吸入気流は、吸入器物品に導入される。吸入器物品の遠位端または最上流端は、旋回吸入気流を受容するように構成された開放管状要素の開放中央通路を画定する開放開口を含む。
【0013】
旋回吸入気流は次いで、カプセル空洞の中に下流に続き、カプセル空洞の中のカプセルの回転を誘発する。活性化されたカプセルは次いで、マウスピースを通して消費者に至る下流の旋回吸入気流の中に粒子の用量を放出する。それ故に、旋回吸入気流は吸入器物品から上流に作り出され、また旋回吸入気流は吸入器物品の遠位端または最上流端に入る。
【0014】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に、吸入器の長軸方向軸に沿って延びる細長い管状本体を備える。マウスピース端は近位端、または下流端である。遠位端は上流端である。カプセル空洞は、フィルター要素によって下流で境界付けられた、かつ中央通路を画定する開放管状要素によって上流で境界付けられた本体内に画定されている。吸入器物品ホルダーの中への挿入前に、吸入器物品の遠位端は閉鎖されていてもよい。吸入器物品ホルダーの中への挿入後に、吸入器物品の遠位端は開放されてもよい。吸入器物品の遠位端は、吸入器物品ホルダーの中への吸入器物品の導入に伴い、吸入器物品の遠位端が開いてもよいように、吸入器物品ホルダー内の相補的構造と相互作用してもよい。吸入器物品ホルダーの中に導入された時に、吸入器物品の遠位端は、本体の遠位端からカプセル空洞に延びる開放空気吸込み口開口を形成する中央通路を有する。カプセルはカプセル空洞内に配置されていて、中央通路はカプセルよりも小さい直径を有してもよい。それ故に、カプセルは中央通路を通過しなくてもよく、カプセル空洞内に保持される。
【0015】
吸入器物品ホルダーは、吸入器物品を受容するためのハウジング空洞と、ハウジング空洞内に吸入器物品を保持するように構成されたスリーブとを備えるハウジングを含む。ハウジング空洞は、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジングの中に閉鎖端まで延びる単一のハウジング開口部によって画定されている。単一のハウジング開口部は、吸入器物品を受容するように構成されている。ハウジングは導電性材料で形成されている。ハウジングは、例えばアルミニウムなどの金属で形成されていることが好ましい。
【0016】
スリーブは、ハウジング空洞内に包含されていて、ハウジングの長軸方向軸に沿って第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。スリーブは、ハウジング長軸方向軸に沿って第一の位置と第二の位置の間で摺動可能であってもよい。第一の位置において、スリーブは、単一のハウジング開口部に隣接して位置する。第二の位置において、スリーブは、長軸方向軸に沿った横方向距離で単一のハウジング開口部からさらに離れている。
【0017】
スリーブは、開放端から閉鎖端(または制限端)に延び、スリーブの長軸方向軸に沿って円筒状内腔を画定する。スリーブの開放端は、単一のハウジング開口部と整列する。
【0018】
スリーブの閉鎖端は、貫通要素が閉鎖端を通過し、スリーブ内腔の中に延びることを可能にするために、気流要素および開口を含む。気流要素は、スリーブの周りの環状空間からスリーブ円筒状内腔の中に至る気流連通を提供する、一つ以上の吸入空気吸込み口を含む。この気流要素は、回転または旋回吸入気流を、スリーブ円筒状内腔の中に、かつ吸入器物品カプセル空洞の中に直接誘発するように構成されている。この旋回吸入気流または回転吸入気流は、カプセルを回転させてカプセル内に含有された乾燥粉末を放出するために、吸入器物品の中に送られてもよい。
【0019】
スリーブの気流要素は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素は、吸入空気が中央通路の中に入ることを可能にする少なくとも一つの空気吸込み口を有する。少なくとも一つの空気吸込み口は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を発生する。
【0020】
スリーブの気流要素は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素は、吸入空気が中央通路の中に入ることを可能にする少なくとも二つの空気吸込み口を有する。少なくとも二つの空気吸込み口は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を発生する。
【0021】
スリーブの気流要素は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素は、吸入空気が中央通路の中に入ることを可能にする少なくとも三つの空気吸込み口を有する。少なくとも三つの空気吸込み口は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を発生する。
【0022】
吸入器物品ホルダーは、空洞のハウジング内表面に固定された、かつ空洞のハウジング内表面から延びる貫通要素をさらに含んでもよい。貫通要素は、ハウジングの長軸方向軸に沿ってスリーブの閉鎖端を通して、かつスリーブ空洞の中に延びるように構成されている。貫通要素は、スリーブが第一の位置から第二の位置に移動するのに伴い、受容された吸入器物品のカプセルに接触し、それを貫通する。スリーブを第二の位置から第一の位置に移動することは、カプセルから貫通要素を除去し、カプセル内の開口を露出させ、この開口は吸入空気がカプセルを回転するにつれてカプセル内に含有された乾燥粒子をカプセルから放出することを可能にする。貫通要素は導電性であることが好ましい。貫通要素は金属で形成されていることが好ましい。
【0023】
貫通要素は、スリーブをハウジングと電気的に連結してもよい。貫通要素は、気流要素にてスリーブに接触してもよい。気流要素は、貫通要素を受容するための、かつ貫通要素が気流要素を通過することを可能にするための開口を含んでもよい。
【0024】
スリーブの閉鎖端は、スリーブの閉鎖端を実質的に形成するスリーブ底部要素をさらに含んでもよい。スリーブ底部要素は、固定され、気流要素と接触してもよい。スリーブ底部要素は、スリーブ長軸方向軸に沿った、かつハウジング空洞の閉鎖端に向かう距離で、気流要素から離れて延びてもよい。スリーブ底部要素は、貫通要素を包含する、かつ貫通要素がスリーブ底部要素の開口を通過することを可能にする開口を有してもよい。
【0025】
貫通要素は、スリーブ底部要素にてスリーブに接触してもよい。スリーブ底部要素は、スリーブまたは気流要素をハウジングに電気的に連結してもよい。貫通要素は、スリーブ底部要素と気流要素の両方を介して、スリーブをハウジングと電気的に連結してもよい。
【0026】
吸入器物品ホルダーは、スリーブを貫通要素から離れるように付勢するように構成されたばね部材をさらに含んでもよい。ばね部材は、スリーブを第二の位置から離れて第一の位置に至るように付勢してもよい。ばね部材は、スリーブの第一の位置において弛緩した状態であってもよい。ばね部材は、第二の位置において圧縮された状態であってもよい。貫通要素は、ばね部材内に配置されていることが好ましい。ばね部材は導電性であることが好ましい。ばね部材は金属で形成されていることが好ましい。
【0027】
ばね部材は、スリーブをハウジングと電気的に連結してもよい。ばね部材は、気流要素に接触し、スリーブまたは気流要素をハウジングに電気的に連結してもよい。ばね部材は、スリーブ底部要素と接触し、かつスリーブ底部要素と気流要素の両方を介して、スリーブをハウジングと電気的に連結してもよい。
【0028】
スリーブは、スリーブの長軸方向の長さに沿って延びる細長いスロットを含んでもよい。ハウジングは、ハウジング空洞の内表面から延びるピンをさらに含んでもよい。ピンは、第一の位置と第二の位置の間で移動する際にスリーブの整列を維持するように、細長いスロットと嵌合するように構成されてもよい。
【0029】
内部ハウジングは、ハウジング空洞内に含有されてもよい。内部ハウジングは、スリーブの少なくとも一部分をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジングは、貫通要素の固定端をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジングは、ばね部材をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。
【0030】
内部ハウジングは、スリーブをハウジングと電気的に連結してもよい。内部ハウジングは、ばね部材に接触し、スリーブまたは気流要素をハウジングに電気的に連結してもよい。内部ハウジングは、貫通要素と接触してもよく、またスリーブ底部要素と気流要素の両方を介して、スリーブをハウジングと電気的に連結してもよい。
【0031】
スリーブは、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有してもよい。スリーブは、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するプラスチック材料で形成されてもよい。
【0032】
気流要素は、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有する。気流要素は、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するプラスチック材料で形成されてもよい。
【0033】
スリーブ底部要素は、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有する。スリーブ底部要素は、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するプラスチック材料で形成されてもよい。
【0034】
内部ハウジングは、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有する。内部ハウジングは、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するプラスチック材料で形成されてもよい。
【0035】
「表面抵抗率」という用語は、静電負荷を放電する材料能力を指す。表面抵抗率は、標準的な方法であるASTM D 257 ESD STM11.11 IEC 60093を利用して測定される。表面抵抗率は、絶縁材料の表面に沿った漏れ電流に対する抵抗である。二つの平行な電極の接触長さと等しい相互の距離内のその二つの平行な電極は、表面抵抗率を測定するために材料の表面と接触する。従って、電位勾配の商(V/m)および電極長さの単位当たりの電流(A/m)は、抵抗率を表す。電極の四つの端が正方形を形成するので、表面抵抗率および商が相殺する長さは一般的に、オームで測定される。しかしながら、一部の試験結果は、そのより記述的な性質に起因して、正方形当たりオームを使用する。表面抵抗率は、絶縁材料上の固定表面長さの電気抵抗を定義する。この測定は、厚さや直径などの物理的寸法を考慮しない。これは表面抵抗率のみを決定するため、物理的な測定は一回のみ必要とされる。その結果、表面抵抗率は、絶縁体材料の表面に沿った電極間で測定される。
【0036】
プラスチック材料は典型的に、1×1012オーム/sqよりも大きい表面抵抗率を有する。これらのプラスチック材料は典型的に、静電力がこれらのプラスチック材料の表面に蓄積することを可能にする。蓄積された静電力は、乾燥粉末粒子を引き付け、これらの乾燥粉末粒子をこれらのプラスチック表面の表面に付着する。
【0037】
帯電防止材料は、1×1012オーム/sq未満、または1×1011オーム/sq未満、または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有する。帯電防止プラスチック材料は、例えばRTP Company(米国ミネソタ州ウィノナ)から、RPT 399 X 155792 B NSポリカーボネート、RPT 2599 X 156311 NSポリカーボネート/ABS Alloy、RPT 1199 A X 155793 NSポリエチレンテレフタレートグリコール修飾PETG、またはRPT 899 X 149765 Bアセタール(POM)の商品名の下で市販されている。
【0038】
吸入可能な粉末は、様々な活性剤を含んでもよい。活性剤は、例えばニコチンまたはアナタビンまたはアナバシンなどのアルカロイドを含んでもよい。活性剤は、ニコチン塩などのアルカロイドの固体塩を含むことが好ましい。
【0039】
活性剤の量は、吸入可能な乾燥粉末の望ましい使用または意図される使用に基づいて選択されてもよい。例えば、活性剤の量は、乾燥粉末粒子の総重量の0.5重量%~10重量%であってもよい。乾燥粉末粒子は、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、もしくは3重量%以上の活性剤、および12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、もしくは7重量%以下の活性剤、または0.5重量%~10重量%、1重量%~8重量%、1.5重量%~6重量%、もしくは2重量%~5重量の活性剤を含んでもよい。
【0040】
乾燥粉末粒子は、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、もしくは3重量%以上のニコチン、および12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、もしくは7重量%以下のニコチン、または0.5重量%~10重量%、1重量%~8重量%、1.5重量%~6重量%、もしくは2重量%~5重量のニコチンを含んでもよい。
【0041】
活性剤の量はまた、用量ごとの基準で選択されてもよい。吸入可能な粉末は、単一の用量形態または複数の用量形態でパッケージ化されてもよい。例えば、吸入可能な粉末は、用量当たり0.5mg以上、1mg以上、2mg以上、または5mg以上の活性剤を含んでもよい。吸入可能な粉末は、用量当たり500mg以下、200mg以下、100mg以下、50mg以下、20mg以下、または10mg以下の活性剤を含んでもよい。一部の実施形態において、吸入可能な粉末は、用量当たり0.01~10mgのアナタビンもしくはニコチンもしくはアナバシン、用量当たり0.05~5mgのアナタビンもしくはニコチンもしくはアナバシン、または用量当たり0.1~1mgのアナタビンもしくはニコチンもしくはアナバシンを含む。
【0042】
実施形態において、カプセルは1~20用量を含有する。実施形態において、カプセルは1~10用量を含有する。実施形態において、カプセルは10~20用量を含有する。実施形態において、カプセルは1用量を含有する。実施形態において、カプセルは2用量を含有する。実施形態において、カプセルは3用量を含有する。実施形態において、カプセルは4用量を含有する。実施形態において、カプセルは5用量を含有する。実施形態において、カプセルは6用量を含有する。実施形態において、カプセルは7用量を含有する。実施形態において、カプセルは8用量を含有する。実施形態において、カプセルは9用量を含有する。実施形態において、カプセルは10用量を含有する。実施形態において、カプセルは11用量を含有する。実施形態において、カプセルは12用量を含有する。実施形態において、カプセルは13用量を含有する。実施形態において、カプセルは14用量を含有する。実施形態において、カプセルは15用量を含有する。実施形態において、カプセルは16用量を含有する。実施形態において、カプセルは17用量を含有する。実施形態において、カプセルは18用量を含有する。実施形態において、カプセルは19用量を含有する。実施形態において、カプセルは20用量を含有する。
【0043】
乾燥粉末粒子は、20μm以下、10μm以下、もしくは5μm以下、または0.1μm以上、0.2μm以上、もしくは0.5μm以上、または0.5μm~10μm、もしくは0.75μm~5μm、もしくは1μm~5μm、もしくは1μm~3μm、もしくは1.5μm~2.5μmの範囲の粒子サイズを有してもよい。望ましい粒子サイズ範囲は、噴霧乾燥、粉砕、篩分け、またはそれらの組み合わせによって達成されてもよい。
【0044】
乾燥粉末粒子は、粒子の第二の集団とさらに混合されて、粉末系を形成してもよい。粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子と異なる粒子サイズ、または乾燥粉末粒子よりも大きい粒子サイズを有することが好ましい。例えば、粒子の第二の集団は、約20μm以上、もしくは約50μm以上、200μm以下、150μm以下、または50μm~200μm、もしくは50μm~150μmの範囲の粒子サイズを有してもよい。粒子の第二の集団は、選択的にユーザーの口または口腔の中に吸入送達するために任意の有用なサイズ分布を有してもよい。風味剤粒子のより大きい第二の集団は、ユーザーへの吸入気流への乾燥粉末粒子の送達を支援する場合がある。
【0045】
乾燥粉末粒子および粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子とともに消費された時にユーザーが粒子の第二の集団に気付くように、任意の有用な相対量で組み合わせられてもよい。乾燥粉末粒子および粒子の第二の集団は、粉末系の総重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0046】
乾燥粉末粒子は、風味剤粒子の第二の集団とさらに混合されて、粉末系を形成してもよい。風味剤粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子と異なる粒子サイズ、または乾燥粉末粒子よりも大きい粒子サイズを有することが好ましい。例えば、風味粒子は、約20μm以上、もしくは約50μm以上、200μm以下、150μm以下、または50μm~200μm、もしくは50μm~150μmの範囲の粒子サイズを有してもよい。風味剤粒子の第二の集団は、選択的にユーザーの口または口腔の中に吸入送達するために任意の有用なサイズ分布を有してもよい。風味剤粒子のより大きい第二の集団は、ユーザーへの吸入気流への乾燥粉末粒子の送達を支援する場合がある。
【0047】
乾燥粉末粒子および風味剤粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子とともに消費された時にユーザーが風味剤粒子の第二の集団に気付くように、任意の有用な相対量で組み合わせられてもよい。乾燥粉末粒子および風味剤粒子の第二の集団は、粉末系の総重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0048】
乾燥粉末粒子または粉末系は、適切な剤形で提供されてもよい。例えば、乾燥粉末粒子または粉末系は、カプセルで提供されてもよい。剤形(例えば、カプセル)は、適切な吸入器で使用するために構成されてもよい。例えば、カプセルは、カプセル空洞を有する吸入器装置で利用されてもよい。吸入器装置のカプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にその中に包含されたカプセルを回転させてもよい。カプセルは、乾燥粉末粒子または粉末系を含有してもよい。
【0049】
別段の記載がない限り、ここで「粒子サイズ」という用語は、粒子または粒子の組の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を指すために使用される。こうした値は、特徴付けられている粒子と同じ空気動力学的挙動を有する、1gm/cm3の密度を有する球の直径として定義される空気動力学的粒子径の分布に基づく。
【0050】
具体的に、粉末系については、空気動力学的粒子サイズ分布の単一の数値記述子として最も幅広く適合されている指標のうちの一つである、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が一般的に参照される。MMADは、粒子サンプルに対して統計的に導出された数値であり、一例として、5マイクロメートルのMMADは、総サンプル質量の50パーセントが、5マイクロメートル未満の空気動力学的直径を有する粒子中に存在すること、および総サンプル質量の残りの50パーセントが、5マイクロメートルよりも大きい空気動力学的直径を有する粒子中に存在することを意味する。本発明の文脈において、粉末系を記述する時に、「粒子サイズ」という用語は粉末系のMMADを指すことが好ましい。
【0051】
粉末系のMMADは、カスケードインパクターを用いて測定されることが好ましい。カスケードインパクターは、エアロゾル粒子の空気動力学的サイズ分類を決定するための空中浮遊粒子のサンプリングおよび分離に広範に使用されている器具である。実際に、カスケードインパクターは、粒子サイズ、密度、速度の関数である粒子慣性の基準で、入ってくるサンプルを個別の画分へと分離する。カスケードインパクターは典型的に、一連のステージを備え、その各々は、特定のノズル配設および収集面を有するプレートを備える。ステージ数が増えるにつれてノズルサイズと総ノズル面積の両方が減少するため、サンプルを含んだ空気は器具を通して進むにつれて速度が増加する。各ステージで、十分な慣性力を有する粒子は、主流の気流から外れて収集面に衝突する。従って、任意の所与の流量で、各ステージは、カットオフ径(収集される粒子のサイズを画定する数値)に関連付けられる。ステージ数が増えると、速度が増加し、そのためステージカットオフ径が減少する。それ故に、所与のステージに関連付けられたカットオフ径は、試験に使用される気流量の関数である。使用時の性能を反映するために、ネブライザーは15L/分で定期的に試験され、乾燥粉末吸入器は最大100L/分の流量で試験されてもよい。
【0052】
本発明の文脈において、粉末系のMMADは、次世代インパクター(NGI)170(Copley Scientific AGから入手可能)を用いて測定されることが好ましい。NGIは、七つのステージとマイクロオリフィスコレクター(MOC)を有する高性能で高精度な粒子分類カスケードインパクターである。NGIの特徴および動作原理は、例えばMarple et al.,Journal of Aerosol Medicine-Volume 16,Number 3(2003)に記述されている。測定は、摂氏20±3度、および35±5パーセントの相対湿度で実行されることがより好ましい。
【0053】
乾燥粉末製剤は典型的に、約15重量パーセント以下の水分、好ましくは約10パーセント以下の水分、なおより好ましくは約6重量パーセント以下の水分を含有する。乾燥粉末製剤は、約5重量パーセント以下の水分、またはさらに約3重量パーセント以下の水分、またはさらに約1重量パーセント以下の水分を含有することが最も好ましい。
【0054】
パーセンテージとして報告されたすべての値は、総重量に基づく重量パーセントであると見なされる。
【0055】
本明細書で使用されているすべての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0056】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0057】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で採用されているが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0058】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、その制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「備える(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0059】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。さらに、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0060】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、「有意に」と同じ意味を有し、関連する用語を少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%修飾すると理解されることができる。ここで使用される「実質的に~ではない」という用語は、「有意に~ではない」と同じ意味を有し、また「実質的に」と逆の意味を有し、すなわち関連する用語を10%以下、5%以下、または2%以下だけ修飾すると理解されることができる。
【0061】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0062】
実施例1. ハウジング空洞および外表面を画定するハウジングと、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブとを備える、吸入器物品ホルダー。スリーブは、吸入器物品を受容するように配設されていて、またスリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置の間で移動可能である。貫通要素は、スリーブが第二の位置にある時に、スリーブ内に受容された吸入器物品を貫通するように配設されている。スリーブは、ハウジングが電気的に接地されている時に、静電気放電回路を形成するためにハウジングに電気的に連結されている。
実施例2. スリーブの一部分に接触するばね部材をさらに備え、かつばね部材がスリーブをハウジングと電気的に連結する、実施例1に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例3. 貫通要素がスリーブをハウジングと電気的に連結する、実施例1~2のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例4. 貫通要素がばね部材内に配置されている、実施例2または実施例3に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例5. スリーブが第二の位置にある時に、貫通要素がスリーブ内に配置されている、実施例1~4のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例6. ハウジングが金属で形成されている、実施例1~5のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例7. 貫通要素が金属で形成されている、実施例1~6のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例8. ばね部材が金属で形成されている、実施例2~7に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例9. スリーブが、1×1011オーム/sq未満または1×1010オーム/sq未満(ASTM D 257 ESD STM11.11 IEC 60093)の表面抵抗率を有するポリマーから形成されている、実施例1~8のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例10. スリーブが、スリーブの中に旋回気流を形成するように構成された二つ以上の気流入口を有する気流要素を備え、かつ気流要素がハウジングに電気的に連結されている、実施例1~9のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例11. 気流要素が、1×1011オーム/sq未満または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成されている、実施例10に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例12. スリーブが開放端から閉鎖端に延び、かつ吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定し、スリーブの開放端が、吸入器物品を受容するためのハウジング内の開口部と整列している、実施例11に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例13. スリーブ閉鎖端が、スリーブを閉鎖端にて実質的に閉鎖するスリーブ底部要素を備え、かつ気流要素がスリーブ底部要素に連結されていて、かつ気流要素がスリーブ底部要素からスリーブ円筒状内腔の中に延び、かつ気流要素がスリーブ底部要素およびばね部材または貫通要素を通してハウジングに電気的に連結されている、実施例12に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例14. スリーブが開放端から閉鎖端に延び、かつ吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定し、スリーブの開放端が、吸入器物品を受容するためのハウジング内の開口部と整列していて、スリーブの閉鎖端が、閉鎖端にてスリーブを実質的に閉じるスリーブ底部要素を備え、かつ気流要素がスリーブ底部要素に連結されていて、またスリーブ底部要素から離れて、かつスリーブの円筒状内腔の中に延び、かつ気流要素が、スリーブ底部要素およびばね部材または貫通要素を通してハウジングに電気的に連結されている、実施例12に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例15. スリーブ底部要素が、1×1011オーム/sq未満または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成されている、実施例13または実施例14に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例16. 1×1011オーム/sq未満または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有するポリマーで形成された内部ハウジングをさらに備え、かつ内部ハウジングがばね部材をハウジングに電気的に連結する、実施例1~15のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例17. 内部ハウジングが、貫通要素をハウジングに電気的に連結する、実施例16に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例18. ハウジングが、ハウジング外表面に接触するユーザーに接地されている、実施例1~17のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例19. 静電気放電回路要素の各々が、1×1011オーム/sq未満または1×1010オーム/sq未満の表面抵抗率を有する、実施例1~18のいずれかに記載の吸入器物品ホルダー。
実施例20. ハウジング内の開口部が吸入器物品を受容し、かつハウジングの中への空気吸込み口を画定し、また気流要素を通してスリーブ円筒状内腔の中に吸入空気を提供する、実施例12に記載の吸入器物品ホルダー。
実施例21. 実施例1~20のいずれかに記載の吸入器物品ホルダーと、吸入器物品のカプセル空洞内に配置されたカプセルを包含する吸入器物品とを備える吸入器システム。カプセルは、ニコチンを含む医薬的に活性な粒子を含有し、医薬的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する。
実施例22. カプセルが、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲、または約50~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する風味粒子の第二の集団をさらに含有する、実施例21に記載のシステム。
【0063】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、例示的な吸入器システムの概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的な吸入器物品ホルダーの斜視分解組立図である。
【
図3A】
図3Aは、吸入器物品が吸入器物品ホルダーの中に受容されていて、また第二の位置においてカプセルを貫通している、例示的な吸入器システムの概略断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第一の位置において貫通要素がカプセルから引っ込められている、
図3Aの例示的な吸入器システムの概略断面図である。
【
図4】
図4は、吸入器システムを通る吸入気流経路を図示する
図3Bの別の概略断面図である。
【
図5】
図5は、例示的な吸入器物品ホルダーの概略回路図である。
【
図6】
図6は、例示的な吸入器物品ホルダーの別の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
概略図は必ずしも実寸に比例していなく、また例示の目的で提示されていて、限定するものではない。図面は本開示に記載の一つ以上の態様を図示する。しかし当然のことながら、図面に図示されていない他の態様は、本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【0066】
図1は、例示的な吸入器システム10の概略断面図である。
図2は、例示的な吸入器物品ホルダー30の斜視分解組立図である。
図3Aは、吸入器物品20が吸入器物品ホルダー30の中に受容されていて、また第二の位置または圧縮された位置においてカプセル25を貫通している、例示的な吸入器システム10の概略断面図である。
図3Bは、第一の位置または弛緩位置において貫通要素50がカプセル25から引っ込められている、
図3Aの例示的な吸入器システム10の概略断面図である。
図4は、吸入器システム10を通る吸入気流150経路(矢印)を図示する
図3Bの別の概略断面図である。
【0067】
吸入器物品ホルダー30は、別個の消耗品吸入器物品20を受容するように、かつ消費中に吸入器物品20の中に、および吸入器物品20を通して旋回吸入気流を誘発するように構成されている。吸入器物品ホルダー30および吸入器物品20は、吸入器システム10を形成する。吸入器物品20は消費者による使用中に、吸入器物品ホルダー30の中に留まる。吸入器物品ホルダー30は、受容された吸入器物品20に入る旋回吸入気流を誘発するように構成されている。
【0068】
例示的な吸入器物品20は、マウスピース端21から遠位端23に延びる本体22を含む。カプセル空洞24が本体22内に画定されている。カプセル25はカプセル空洞24内に包含されている。上述の乾燥粉末粒子は、カプセル25内に含有されてもよい。カプセル25は、カプセル25の本体を通して開口を形成するように貫通されてもよく、また吸入空気は、吸入器物品20を通って流れて、貫通したカプセル25から、吸入気流の中に、およびマウスピース端21の外に乾燥粉末粒子を放出してもよい。
【0069】
吸入器物品ホルダー30は、ハウジング内表面34および外表面35によって画定されたハウジング空洞を画定するハウジング32を含む。スリーブ40はハウジング空洞内に位置付けられている。スリーブ40は、吸入器物品20を受容するように配設されていて、またスリーブ40は、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置の間で、ハウジング空洞の長軸方向軸に沿って移動可能である。
【0070】
貫通要素50は、
図3Aに図示する通りスリーブ40が第二の位置にある時に、スリーブ40内に受容された吸入器物品20内のカプセル25を貫通するように配設されている。スリーブ40は、ハウジング32が電気的に接地されている時に、例えば吸入中にユーザーによって把持されている時に、静電気放電回路を形成するためにハウジング32に電気的に連結されている。
【0071】
貫通要素50は、ハウジング32の長軸方向軸に沿って、スリーブ40の中に延びるように構成されてもよい。吸入器物品ホルダー30は、スリーブ40および任意の受容された吸入器物品20を貫通要素50から離れるように付勢するように構成されたばね部材60を含んでもよい。
【0072】
スリーブ40は、開放端42から閉鎖端44(または制限端)に延び、スリーブ40の長軸方向軸に沿ってスリーブ空洞45または円筒状内腔45を画定する。スリーブの開放端42は、単一のハウジング開口部36と整列する。
【0073】
スリーブの閉鎖端44は、貫通要素が閉鎖端44を通過し、スリーブ空洞45の中に延びることを可能にするために、気流要素46および開口を含む。気流要素46は、スリーブ40の周りの環状空間からスリーブ円筒状内腔45の中に至る気流連通を提供する、一つ以上の吸入空気吸込み口47を含む。この気流要素46は、回転または旋回吸入気流を、スリーブ円筒状内腔45の中に、かつ吸入器物品カプセル空洞24の中に直接誘発するように構成されている。この旋回または回転吸入気流は、吸入器物品20の中に送られてカプセル25を回転させ、カプセル25内に含有された乾燥粉末を放出してもよい。
【0074】
スリーブ40の気流要素46は、スリーブ空洞45と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素46は、吸入空気150が中央通路の中に入ることを可能にする少なくとも一つの空気吸込み口47を有する。少なくとも一つの空気吸込み口47は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を発生する。
【0075】
スリーブ40は、スリーブ空洞45の中に約5mm延びてもよい、かつ約5.5mmの外径および約4mmの内径を有してもよい管状要素を含む。受容された吸入器物品20の開放遠位端23は、気流要素46の管状要素との締まり嵌めを提供するために、約5.5mmの内径を有してもよい。
【0076】
スリーブの閉鎖端44は、スリーブ40の閉鎖端を実質的に形成するスリーブ底部要素48をさらに含んでもよい。スリーブ底部要素48は、固定され、気流要素46と接触してもよい。スリーブ底部要素48は、スリーブ長軸方向軸に沿った、かつハウジング空洞の閉鎖端に向かう距離で、気流要素46から離れるように延びてもよい。スリーブ底部要素48は、貫通要素50を包含する、かつ貫通要素50がスリーブ底部要素48の開口を通過することを可能にする開口を有してもよい。
【0077】
内部ハウジング70はハウジング空洞内に包含されてもよい。内部ハウジング70は、スリーブ40の少なくとも一部分をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジング70は、貫通要素50の固定端をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内部ハウジング70は、ばね部材60をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。
【0078】
環状カバー38は、内部ハウジング70およびスリーブ40をハウジング空洞の中に固定してもよい。環状カバー38は、吸入器物品20を受容するために単一のハウジング開口部36を画定する。環状カバー38は、ピン要素39を用いてハウジング32に固定されてもよい。
【0079】
図4は、吸入器システム10を通る吸入気流150経路を図示する。吸入気流150は、受容された吸入器物品20および環状カバー38の外表面に沿って吸入器物品ホルダー30に入る。ハウジング空洞の内部に入ると、吸入空気150は、スリーブ40の長さに沿ってスリーブ40の閉鎖端44に進む。次いで、吸入空気150は、気流要素46の空気吸込み口47に入り、スリーブ内腔45内に旋回または回転吸入気流150を形成する。次いで、この旋回または回転吸入空気は、吸入器物品20の遠位端23の中に、かつカプセル空洞24の中に直接送られる。旋回吸入気流はカプセル25を回転または撹拌し、乾燥粉末粒子は吸入気流内に同伴されている。次いで、同伴した吸入気流は、マウスピース端21を介して吸入器物品の外に流れ出て、ユーザー100に流れる。
図4において、吸入気流150の経路が矢印で図示されている。
【0080】
図5は、例示的な吸入器物品ホルダーの概略回路図である。
図6は、例示的な吸入器物品ホルダーの別の概略回路図である。
【0081】
図5において、回路は、ハウジング32に電気的に連結されたスリーブまたは気流要素46を含み、ハウジング32は、ハウジング32に接触するユーザー100を介して接地されている。静電力e
-は、スリーブまたは気流要素46を通してハウジングに、次いで接地に伝導し、スリーブまたは気流要素46の表面上の静電力e
-を効果的に最小化する。
【0082】
図6において、回路は、ハウジング32に電気的に連結された気流要素46を含み、ハウジング32は、ハウジング32に接触するユーザー100を介して接地されている。静電力e
-は、気流要素46を通してスリーブ底部要素48に、次いでばね部材60または貫通要素50に、次いで内部ハウジング70に、次いでハウジング32に、次いで接地に伝導し、気流要素46の表面上の静電力e
-を効果的に最小化する。
【0083】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±2%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】