(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車両の減速制御方法およびブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60T 8/172 20060101AFI20231219BHJP
B60T 8/00 20060101ALI20231219BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60T8/172 Z
B60T8/00 Z
B60T8/17 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535391
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 IB2021061545
(87)【国際公開番号】W WO2022123503
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020000030368
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ガリッツィ,ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルッフェッロ,マルティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ドッツィ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ウゴリーニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】フォルニ,ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】パオリーニ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246DA01
3D246GA21
3D246GB37
3D246GC14
3D246HA03A
3D246HA04A
3D246HA05A
3D246HA39A
3D246HA51A
3D246HA64A
3D246HA77A
3D246HA81A
3D246HA86A
3D246HA94A
3D246HB11A
3D246HB21A
3D246HC01
3D246KA15
(57)【要約】
本発明は、車両(1)の減速を制御するための方法に関し、車両(1)は、ブレーキシステム(2)を備え、ブレーキシステム(2)は、少なくとも1つのブレーキ作動レバー(3)、ブレーキアクチュエータ(8)、および少なくとも1つのブレーキ装置(6)を備え、方法は、レバー(3)の現在のレバー位置(s(t))およびレバー(3)の現在のレバー速度(ds(t)/dt)を測定するステップa、現在のレバー位置(s(t))とレバー作動速度(ds(t)/dt)とを動的に対応付けるステップb、ステップbにおける動的マッピングの関数として減速曲線を処理するステップc、及びレバーストロークで測定された各現在のレバー位置(s(t))について減速曲線に従って車両(1)を減速させるステップdを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の減速を制御する方法であって、前記車両(1)がブレーキシステム(2)を備え、前記ブレーキシステム(2)が、少なくとも1つのブレーキ作動レバー(3)と、ブレーキアクチュエータ(8)と、少なくとも1つのブレーキ装置(6)とを備え、前記方法が、
前記ブレーキ作動レバー(3)の現在のレバー位置(s(t))および前記レバー(3)の現在のレバー速度(ds(t)/dt)を測定するステップaと、
前記現在のレバー位置(s(t))と前記現在のレバー作動速度(ds(t)/dt)とを動的に対応付けするステップbと、
前記ステップbにおける前記対応付けの関数として減速曲線を処理するステップcと、
レバーストロークで測定された前記現在のレバー位置(s(t))のそれぞれに対して、前記減速曲線に従って前記車両(1)を減速させるステップdとを含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記ステップaの前に、複数の走行モードから選択された走行モードを選択するステップeを含み、
前記ステップcが、前記ステップeで選択された前記走行モードの関数として前記減速曲線を修正するサブステップfを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の走行モードが、
少なくとも1つの駐車モード、および/または
交通走行モード、および/または
スポーティ走行モード、および/または
通常走行モード、および/または
雪上走行モード、および/または
氷上走行モード、および/または
市街地走行モード、および/または
泥濘走行モード、および/または
砂地走行モード、および/または
カスタマイズ可能走行モードを備え、および/または
前記ステップe-は、前記ブレーキシステム(2)に作動的に接続された前記車両(1)の走行モードセレクタ(15)によって行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
少なくとも前記ステップaと重複して、複数の車両変数から選択された少なくとも1つの車両変数を測定するステップgと、
少なくとも前記ステップb-と重複して、測定された前記少なくとも1つの車両変数の関数として車両ダイナミクスの推定値を処理するステップhとを含み、
前記ステップc-は、前記ステップhにおける前記車両ダイナミクスの推定値の関数として、前記減速曲線を修正するサブステップiを含む、請求項1-3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数の車両変数は、
前記車両のグリップに関連する少なくとも1つの変数、および/または
前記車両(1)のホイール(7)に関連するタイヤの空気圧に関連する1つの変数、および/または
前記ブレーキシステム(2)の温度に関連する1つの変数を含む、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記レバー(3)が、静止位置とストロークエンドポジションとの間で最大ストロークだけ移動可能であり、および/または、
前記減速曲線が、前記現在のレバー位置(s(t))に対して増加する単調関数であり、および/または、
前記減速曲線が、前記レバーの前記ストロークエンドポジションで最大値をとる、請求項1-5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ステップcと並行して、前記ステップbにおける前記対応付けの関数として、複数のブレーキ作動モードから利用可能なブレーキ作動モードを選択するステップlと、
ステップdと同時に、選択された前記ブレーキ作動モードに従って前記少なくとも1つのブレーキ装置(6)を作動させるステップmとを有する、請求項1-6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ステップlが、前記ステップhで前記車両ダイナミクスの推定値の関数として選択された前記ブレーキ作動モードを修正するサブステップiを含む、請求項1および請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のブレーキ作動モードが、
少なくとも1つの急ブレーキ作動モードおよび/または
1つの緩ブレーキ作動モードおよび/または
1つの通常ブレーキモードおよび/または
1つのノイズブレーキモードおよび/または
1つのプログラム可能ブレーキモードを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
車速(Vv)を検出するステップoを含み、
前記ステップcが、前記ステップoで検出された前記車速の関数として前記減速曲線を修正するサブステップpを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップcと並行して、前記ステップbにおける前記対応付けの関数として、複数のブレーキ作動制御モードからブレーキ作動制御モードを選択するステップqと、
前記ステップdと同時に、前記ブレーキ作動制御モードに従って前記少なくとも1つのブレーキ装置(6)を制御するステップrとを含む、請求項1-10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記ステップqが、前記ステップhにおける前記車両ダイナミクスの推定値の関数として選択された前記ブレーキ作動制御モードを修正するサブステップsを含む、請求項1および請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップqが、前記ステップeにおいて検出された前記車速の関数として選択された前記ブレーキ作動制御モードを修正するサブステップtを含む、請求項11および請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のブレーキ作動制御モードが、
少なくとも1つの性能ブレーキ作動制御モードおよび/または
1つの快適ブレーキ制御モードおよび/または
1つのabsブレーキ制御モードおよび/または
1つの騒音ブレーキ制御モードおよび/または1つの
停止ブレーキ制御モードを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
車両(1)のブレーキシステム(2)であって
ブレーキ作動レバー(3)と、
前記ブレーキ作動レバー(3)の少なくとも1つの現在のレバー位置(ds(t)/dt)を検出するように構成されたレバー位置センサ(4)と、
前記ブレーキ作動レバー(3)の少なくとも1つの現在のレバー速度(ds(t)/dt)を検出するように構成されたレバー速度センサ(5)と、
前記車両(1)のそれぞれの車輪(7)に関連付けられた少なくとも1つのブレーキ装置(6)と、
各ブレーキ装置(6)に作動的に接続され、前記ブレーキ装置(6)を作動させるように構成されたブレーキアクチュエータ(8)と、
前記レバー位置センサ(4)、前記レバー速度センサ(5)、および前記ブレーキアクチュエータ(8)に作動可能に接続された少なくとも1つの制御ユニット(9)と、を備え
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、レバーストロークにおける前記現在のペダル位置(s(t))と前記現在のペダル速度(ds(t)/dt)とを動的に対応付けるように構成されており、
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)は、前記車両(1)が減速される前記対応付けの関数として、減速曲線を処理するように構成されている、車両のブレーキシステム(2)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、複数のブレーキ作動モードからブレーキ作動モードを選択するように構成されており、
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、選択された前記ブレーキ作動モードに従って前記ブレーキアクチュエータ(8)を制御するように構成されている、
および/または、
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、複数のブレーキ作動制御モードからブレーキ作動制御モードを選択するように構成されており、前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、選択された前記ブレーキ作動制御モードに従って前記ブレーキアクチュエータ(8)を制御するように構成されている、
および/または、
前記ブレーキシステム(2)が、複数の走行モードから走行モードを選択するように構成された走行モードセレクタ(15)であって、前記走行モードセレクタ(15)が前記少なくとも1つの制御ユニット(9)と作動的に関連付けられ、前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、選択された前記走行モードの関数として前記減速曲線を変更するように構成されている、走行モードセレクタ(15)と、を備える、請求項15に記載の車両のブレーキシステム(2)。
【請求項17】
前記車両(1)の各車輪(7)用の車輪速度センサ(11)であって、前記車輪速度センサ(11)は、対応する車輪(7)の回転速度を検出するように構成されており、前記車輪速度センサ(11)は、前記少なくとも1つの制御ユニット(9)と動作可能に関連している、車輪速度センサ(11)、および/または
前記車輪(7)に関連するタイヤの空気圧を測定するように構成された少なくとも1つのタイヤ空気圧センサ(12)であって、前記少なくとも1つのタイヤ空気圧センサ(12)が前記少なくとも1つの制御ユニット(9)に動作可能に関連する、少なくとも1つのタイヤ空気圧センサ(12)、および/または
前記車両(1)が受ける少なくとも1つの車両加速度を測定するように構成された少なくとも1つの加速度計(13)であって、前記少なくとも1つの加速度計(13)が前記少なくとも1つの制御ユニット(9)に動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの加速度計(13)と、
前記車両(1)が受ける少なくとも1つの車両角速度を測定するように構成された少なくとも1つのジャイロスコープ(14)であって、前記少なくとも1つのジャイロスコープ(14)が前記少なくとも1つの制御ユニット(9)と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つのジャイロスコープ(14)と、
現在の車速を測定するように構成された少なくとも1つの車速センサ(16)であって、前記車速センサ(16)が前記少なくとも1つの制御ユニット(9)と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの車速センサ(16)と 、
前記車両と障害物との間の距離を測定するように構成された少なくとも1つの近接センサ(17)であって、前記少なくとも1つの近接センサ(17)は、前記少なくとも1つの制御ユニット(9)に動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの近接センサ(17)と、
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)に動作可能に接続された少なくとも1つの湿度検出センサ(18)と、
前記車両(1)上の入射雨の存在を検出し、その量を測定するように構成された少なくとも1つの降雨センサ(19)であって、前記少なくとも1つの降雨センサ(19)が、前記少なくとも1つの制御ユニット(9)に動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの降雨センサ(19)と、を備える少なくとも1つの車両運動可変測定センサ(10)を含む、請求項15から16のいずれかに記載の車両のブレーキシステム(2)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)が、前記少なくとも1つの車両変数の関数として車両ダイナミクスの推定値を処理するように構成されており、および/または、
前記少なくとも1つの制御ユニット(9)は、前記少なくとも1つの車両変数の関数として前記運転モードを処理するように構成されている、請求項15に記載の車両のブレーキシステム(2)。
【請求項19】
前記レバー(3)に関連付けられ、前記制御ユニット(9)に作動可能に接続された少なくとも1つのレバーセンサを備え、
前記少なくとも1つのレバーセンサが、
前記レバー(3)に対する使用者の接触を検出するように構成されたレバースイッチセンサ(20)、および/または
前記レバー(3)のストロークを測定するように構成されたレバーストロークセンサ(21)、および/または
使用者が前記レバー(3)に接触する接触圧力を測定するように構成されたレバー圧力センサ()、および/または
使用者が前記レバー(3)を操作する力を測定するように構成されたレバー力センサ()、および/または
前記制御ユニット(9)が、前記少なくとも1つのブレーキアクチュエータ(8)に、前記減速曲線および/または前記ブレーキ作動制御モードおよび/または前記ブレーキ作動モードを表す信号を送信するように構成されており、前記信号が電圧および電流信号であり、および/または前記ブレーキアクチュエータ(8)が、前記制御ユニット(9)によって送信された前記信号を処理し、処理された信号で前記ブレーキ装置(6)を制御するように構成されたそれぞれの較正および制御ユニットを備えている、請求項15から18のいずれかに記載の車両のブレーキシステム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の減速を制御するための方法および前記方法を実施するためのブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ブレーキシステムは、車両を減速させることができる。ブレーキシステムは、通常、レバーを操作することによって、車両のユーザによって作動される。レバーの作動に対するブレーキシステムの応答は、車両をとりまく状況、すなわち車両速度、路面の状態、エンジンおよび車輪の状態に応じて変化する。例えば、車速が高い場合、レバーの作動に対するブレーキシステムの応答性はしばしば悪く、逆に車速が低い場合、応答性が良すぎることが多く、車両使用者や道路利用者にとって不快な運転状態や危険な状況を引き起こす。
【0003】
このような欠点を克服するために、ブレーキシステムが制御ユニットを備え、この制御ユニットが、車両の速度に相関する作動レバーの位置に応じてブレーキシステムの作動を調節する解決策が知られている。例えば、この種のシステムは、文献EP1108632B1から知られている。
【0004】
このような欠点を克服するために、例えば文献US20140067222A1、US20140136069A1およびEP1324903から公知の他の解決策は、先験的にブレーキモードを選択し、選択されたブレーキモードおよび作動レバーの位置に応じてブレーキシステムの作動を調節することを教示している。
【0005】
公知のタイプのこのような解決策は、いくつかの欠点を克服しているが、ブレーキ応答は、作動レバーの遅い作動では迅速すぎてあまり快適でないかもしれず、作動レバーの衝動的な作動では反応が悪いかもしれない。
【0006】
さらに、そのような解決策は、回復力に乏しく、運転状況の急激な変化への適応性に乏しい。
【0007】
したがって、複数の車両走行状態に応じて車両の減速度をカスタマイズする必要性が強く感じられる。
【0008】
さらに、公知の方法よりも信頼性の高い方法で車両の減速を制御する必要性が強く感じられる。
【0009】
従って、本発明の根底にある問題は、車両の減速を制御するための方法と、そのような方法を実施するために適合されたブレーキシステムであって、前述の必要性を満たし、同時に先行技術を参照して述べた欠点を克服し、前述の必要性を満たすような構造的および機能的特徴を有するブレーキシステムを考案することである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、車両の減速を制御するための方法、およびそのような方法を実施するように適合されたブレーキシステムを提供することである。
【0011】
この目的および他の目的および利点は、請求項1に記載の方法、および請求項11に記載のブレーキシステムによって達成される。
【0012】
いくつかの有利な実施形態は従属請求項の主題である。
【0013】
この解決策の分析から、提案された解決策が、既知のものに関して減速の制御を改善し、複数の車両移動条件に適合した減速を保証することを可能にすることがいかにして明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
車両の減速を制御するための方法およびブレーキシステムのさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる、その好ましい実施形態の以下に提供される説明から明らかになるであろう:
【0015】
【
図1】
図1は、本発明による車両のブレーキシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明による減速制御方法の実施フロー図である。
【
図3】
図3は、本発明の減速制御方法に従って減速曲線を提供するために制御ユニットによって処理される複数の信号の一般的な流れ図である。
【
図4】
図4は、
図3の制御ユニットによって生成された一般的な減速曲線である。
【
図5】
図5は、本方法の動作モードに従って減速曲線を提供するために制御ユニットによって処理される複数の信号の第1の流れ図である。
【
図6】
図6は、
図5の制御ユニットによって生成された減速曲線である。
【
図7】
図7は、方法のさらなる動作モードに従って減速曲線を提供するために制御ユニットによって処理される複数の信号の第2の流れ図である。
【
図8】
図8は、
図7の制御ユニットによって生成された減速曲線である。
【
図9】
図9は、本方法のさらなる動作モードに従って減速曲線を提供するために制御ユニットによって処理される複数の信号の第3の流れ図である。
【
図11】
図11は、方法のさらなる動作モードに従って減速曲線を提供するために制御ユニットによって処理される複数の信号の第4の流れ図である。
【
図13】
図13は、レバー位置、異なる車速、異なるレバー作動速度、および異なる運転モードの関数としての3つの異なる減速曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般的な動作モードによれば、車両1の減速を制御するための方法が説明され、そこでは、前記車両1はブレーキシステム2を備え、ブレーキシステム2は少なくとも1つのブレーキ作動レバー3と、ブレーキアクチュエータ8と、少なくとも1つのブレーキ装置6とを備える。
【0017】
方法は、ステップa、すなわちレバー3の現在のレバー位置s(t)及びレバー3の現在のレバー速度ds(t)/dtを測定するステップ、を備える。
【0018】
方法は、ステップb、すなわち現在のレバー位置stとレバー作動速度(ds(t)/dt)とを動的に対応付けるステップ、を備える。
【0019】
方法は、ステップc、すなわちステップbの動的対応付けの関数として減速曲線を処理するステップ、を備える。
【0020】
方法は、ステップd、すなわちレバーストロークにおいて測定された各現在のレバー位置stに対して、減速曲線に従って車両(1)を減速させるステップを備える。
【0021】
ある動作モードによれば、ステップbは、ステップaと同時に実行される。
【0022】
ある動作モードによれば、ステップbは、、法則および/または曲線および/または方程式を定義することを含み、車両に要求される減速度とレバー位置、すなわち現在のレバー位置s(t)との間の関係を確立し、前記関係の補正関数(補正関数は、レバー作動速度ds(t)/dtに依存する。)を確立する。
【0023】
ある動作モードによれば、ステップbは、前記関係を現在のレバー位置s(t)の多項式関数で定義することを含む。
【0024】
ある動作モードによれば、ステップbは、補正関数を、レバー作動速度ds(t)/dtに乗算された補正係数として定義することを含む。
【0025】
ある動作モードによれば、ステップbは、前記関係及び前記補正関数を、時間の各瞬間について連続的に定義することを含む。
【0026】
ある動作モードによれば、ステップbは、特定の時間間隔で前記関係及び前記補正関数を定義することを含む。
【0027】
ある動作モードによれば、方法は、ステップaの前に、複数の走行モードから選択された走行モードを選択するステップeを含む。
【0028】
ある動作モードによれば、ステップcは、ステップeで選択された走行モードの関数として前記減速曲線を修正するサブステップfを含む。
【0029】
ある動作モードによれば、複数の走行モードは、少なくとも1つの駐車モードおよび/または交通走行モードおよび/またはスポーティ走行モードおよび/または通常走行モードおよび/または雪走行モードおよび/または氷走行モードおよび/または市街地走行モードおよび/または泥走行モードおよび/または砂走行モードおよび/またはカスタマイズ可能走行モードを備える。
【0030】
ある動作モードによれば、ステップeは、ブレーキシステム2に動作可能に接続された車両1の走行モード選択装置15によって行われる。
【0031】
ある動作モードによれば、ステップeは、車両1のユーザの選択によって行われる。
【0032】
ある動作モードによれば、ステップeは、制御ユニット9の自動処理によって行われる。
【0033】
ある動作モードによれば、方法は、複数の車両変数から選択された少なくとも1つの車両変数を測定するステップaと少なくとも重複して実施されるステップgを備える。
【0034】
ある動作モードによれば、方法は、少なくともステップbと並行して実施され、ステップgで測定された少なくとも1つの車両変数の関数として車両ダイナミクスの推定値を処理するステップhを含む。
【0035】
ある動作モードによれば、ステップhにおいて、車両ダイナミクスの推定は、車両のグリップ、および/またはタイヤの空気圧、および/またはブレーキシステムの摩擦の発生を推定することを含む。。
【0036】
ある動作モードによれば、方法は、ステップhにおける車両ダイナミクスの推定値の関数として前記減速曲線を修正するステップiを含む。
【0037】
ある動作モードによれば、複数の車両変数は、例えば、定義されたスリップ勾配閾値における接地力と重量力との間の関係を評価することによって算出される、車両のグリップに関連する少なくとも1つの変数、および/または前記車両1の車輪7に関連するタイヤの空気圧に関連する1つの変数、および/または前記ブレーキシステム2の温度に関連する1つの変数を含む。
【0038】
ある動作モードによれば、方法は、ステップcと並行して、ステップbにおける動的対応付けの関数として、複数のブレーキ作動モードから利用可能なブレーキ作動モードを選択するステップlを含む。
【0039】
ある動作モードによれば、方法は、ステップdと同時に実行され、選択されたブレーキ作動モードに従って少なくとも1つのブレーキ装置6を作動させるステップmを含む。
【0040】
動作モードに応じて、ステップlは、ステップhで車両ダイナミクスの推定値の関数として選択された前記ブレーキ作動モードを変更するサブステップnを含む。
【0041】
ある動作モードによれば、前記複数のブレーキ作動モードは、少なくとも1つの急ブレーキ作動モードおよび/または1つの緩ブレーキ作動モードおよび/または1つの通常ブレーキモードおよび/または1つのノイズブレーキモードおよび/または1つのプログラム可能ブレーキモードを備える。
【0042】
ある作動モードによれば、方法は、車速Vvを検出するステップoを含む。
【0043】
ある動作モードによれば、ステップcは、ステップoで検出された車速の関数として減速曲線を修正するサブステップpを含む。
【0044】
ある動作モードによれば、方法は、ステップbにおける動的対応付けの関数として複数のブレーキ作動制御モードからブレーキ作動制御モードを選択する、ステップcと平行なステップqを備える。
【0045】
ある動作モードによれば、方法は、ステップdと同時に実施され、ステップqで選択されたブレーキ作動モードに従って少なくとも1つのブレーキ装置6を制御するステップrを含む。
【0046】
ある動作モードによれば、ステップqは、ステップhで車両ダイナミクスの推定値の関数として選択されたブレーキ作動制御モードを変更するサブステップsを含む。
【0047】
ある動作モードによれば、ステップqは、ステップoにおいて検出された車速の関数として選択されたブレーキ作動制御モードを修正するサブステップtを含む。
【0048】
動作モードによれば、レバー3は、静止位置とストロークエンドポジションとの間で構成される最大ストロークだけ移動可能である。
【0049】
動作モードによれば、複数のブレーキ作動制御モードは、少なくとも1つの性能ブレーキ作動制御モードおよび/または1つの快適ブレーキ制御モードおよび/または1つの腹筋ブレーキ制御モードおよび/または1つの騒音ブレーキ制御モードおよび/または1つの停止ブレーキ制御モードを含む。
【0050】
ある動作モードによれば、減速曲線は、現在のレバー位置s(t)に対する増加関数である。
【0051】
ある動作モードによれば、減速曲線は増加単調である。
【0052】
ある動作モードによれば、減速曲線は、変曲点を有する。
【0053】
ある動作モードによれば、減速曲線は、レバーのストロークエンドポジションで最大となる。
【0054】
パーキング、ノーマル、スポーティの3つの異なる運転モードに応じて、また、異なるレバー作動速度および異なる車速に応じて、レバー位置の関数として3つの異なる減速曲線を
図13に観察することができる。
【0055】
本発明はまた、一般に参照数字2で示されるブレーキシステムに関する。
【0056】
ブレーキシステム2は、ブレーキ作動レバー3と、ブレーキ作動レバー3の少なくとも1つの現在のレバー位置s(t)を検出するように構成されたレバー位置センサ4と、ブレーキ作動レバー3の少なくとも1つの現在のレバー速度ds(t)/dtを検出するように構成されたレバー速度センサ5とを備える。
【0057】
ブレーキシステム2は、車両1のそれぞれの車輪7に関連付けられた少なくとも1つのブレーキ装置6を備える。
【0058】
ブレーキシステム2は、各ブレーキ装置6に作動的に接続され、ブレーキ装置6を作動させるように構成されたブレーキアクチュエータ8を備える。
【0059】
ブレーキシステム2は、レバー位置センサ4、レバー速度センサ5、及びブレーキアクチュエータ8に作動可能に接続された少なくとも1つの制御ユニット9を備える。
【0060】
[0077]. 少なくとも1つの制御ユニット9は、レバーストロークにおいて、現在のペダル位置stと現在のペダル速度ds(t)/dtとを動的に対応付けるように構成されている。
【0061】
有利には、少なくとも1つの制御ユニット9は、車両1が減速される動的対応付けの関数として減速曲線を処理するように構成されている。
【0062】
実施形態によれば、ブレーキシステム2は、少なくとも1つの制御ユニット9に動作可能に接続されたブレーキ作動モードセレクタ25を備える。ブレーキ作動モードセレクタ25は、制御ユニットから利用可能な複数のブレーキ作動モードからブレーキ作動モードを選択するように構成されている。実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、複数のブレーキ作動モードからブレーキ作動モードを選択するように構成されている。
【0063】
実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、複数の入力に基づいて前記ブレーキ作動モードを選択するように構成されている。
【0064】
実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、選択されたブレーキ作動モードに従ってブレーキアクチュエータ8を制御するように構成されている。
【0065】
実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、複数のブレーキ作動制御モードからブレーキ作動モードを選択するように構成されている。
【0066】
実施形態によれば、ブレーキシステム2は、少なくとも1つの制御ユニット9に作動的に接続されたブレーキ作動制御モードセレクタ24を備える。ブレーキ作動制御モードセレクタ24は、複数のブレーキ作動モードからブレーキ作動モードを選択するように構成されている。
【0067】
実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、選択されたブレーキ作動制御モードに従ってブレーキアクチュエータ8を制御するように構成されている。
【0068】
実施形態によれば、ブレーキシステム2は、複数の走行モードから走行モードを選択するように構成された走行モードセレクタ15を備える。走行モードセレクタ15は、少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連付けられる。少なくとも1つの制御ユニット9は、選択された走行モードの関数として減速曲線を変更するように構成される。
【0069】
実施形態によれば、ブレーキシステム2は、少なくとも1つの車両ダイナミクス可変測定センサ10を備える。このセンサには以下のものが含まれる。
【0070】
-車両1の各車輪7のための車輪速度センサ11であって、車輪速度センサ11が、対応する車輪7の回転速度を検出するように構成されており、車輪速度センサ11が、前記少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連している、車輪速度センサ11。
【0071】
-各車輪7に関連するタイヤの空気圧を測定するように構成された少なくとも1つのタイヤ空気圧センサ12であって、少なくとも1つのタイヤ空気圧センサ12は、少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つのタイヤ空気圧センサ12。
【0072】
-車両1が受ける少なくとも1つの車両加速度を測定するように構成された少なくとも1つの加速度計13であって、少なくとも1つの加速度計13は、少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの加速度計13。
【0073】
-車両1が受ける少なくとも1つの車両角速度を測定するように構成された少なくとも1つのジャイロスコープ14であって、少なくとも1つのジャイロスコープ14は、前記少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つのジャイロスコープ14。
【0074】
-現在の車速を測定するように構成された少なくとも1つの車速センサ16であって、車速センサ16は、少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの車速センサ16。
【0075】
-車両と障害物との間の距離を測定するように構成された少なくとも1つの近接センサ17であって、少なくとも1つの近接センサ17は、少なくとも1つの制御ユニット9と動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの近接センサ17。
【0076】
-前記少なくとも1つの制御ユニット9に動作可能に接続された少なくとも1つの湿度検出センサ18、
【0077】
-車両1上の入射雨の存在を検出し、その量を測定するように構成された少なくとも1つの降雨センサ19であって、少なくとも1つの降雨センサ19が、少なくとも1つの制御ユニット9に動作可能に関連付けられる、少なくとも1つの降雨センサ19。
【0078】
一実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、少なくとも1つの車両変数の関数として車両ダイナミクスの推定値を処理するように構成される。
【0079】
一実施形態によれば、少なくとも1つの制御ユニット9は、少なくとも1つの車両変数の関数として運転モードを処理するように構成される。
【0080】
一実施形態によれば、ブレーキシステム2は、レバー3に関連する少なくとも1つのレバーセンサを備え、以下のものを有する。
【0081】
-レバー3に対するユーザの接触を検出するように構成されたレバースイッチセンサ20、
【0082】
-レバー3のストロークを測定するように構成されたレバーストロークセンサ21、
【0083】
- ユーザがレバー3に接触する接触圧力を測定するように構成されたレバー圧力センサ、及び
【0084】
- ユーザがレバー3を操作する力を測定するように構成されたレバー力センサ。
【0085】
一実施形態によれば、少なくとも1つのレバーセンサは、レバー3に関連付けられ、制御ユニット9に動作可能に接続される。
【0086】
一実施形態によれば、制御ユニット9は、少なくとも1つのブレーキアクチュエータ8に、減速曲線及び/又はブレーキ作動制御モード及び/又はブレーキ作動モードを表す信号を送信するように構成されており、信号は電圧及び電流信号である。
【0087】
一実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ8は、制御ユニット9から送られた信号を処理し、処理された信号でブレーキ装置6を制御するように構成されたそれぞれの制御・較正ユニット20を備える。
【0088】
1 車両
2 ブレーキシステム
3 ブレーキレバー
4 レバー位置センサ
5 レバー速度センサ
6 ブレーキ装置
7 車輪
8 ブレーキアクチュエータ
9コントロールユニット
10 車両運動量測定センサ
11 車輪速センサ
12 タイヤ空気圧センサ
13 加速度センサ
14 ジャイロスコープ
15セレクタ
16 車速センサ
17 近接センサ
18 湿度センサ
19 降雨センサ
20 レバースイッチセンサ
21 レバーストロークセンサ
22 レバー圧力センサ
23 レバー力センサ
24 ブレーキ作動制御モードセレクタ
25 ブレーキ作動モードセレクタ
【国際調査報告】