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特表2023-553946構成可能な電圧調整モジュールカード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】構成可能な電圧調整モジュールカード
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G06F1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535394
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021082828
(87)【国際公開番号】W WO2022122388
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/120,139
(32)【優先日】2020-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ヘンスペーター、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、マイケル、リー
(72)【発明者】
【氏名】キューズマン、ジョーダン
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DB02
5B011DB26
5B011DC02
5B011DC06
5B011EA01
5B011EA02
5B011EA10
5B011HH01
(57)【要約】
ディスクリートVRMカードは、VRMコントローラのセットを含む。VRMコントローラのセットは、2つのフィードバックループを有するVRMコントローラを含む。VRMカードは、パワーステージと、パワーステージ臨界信号マルチプレクサとを含む。パワーステージ臨界信号マルチプレクサの出力は、パワーステージが通信するフィードバックループを決定する。VRMカードは、構成セレクタを含む。構成セレクタは、パワーステージ臨界信号マルチプレクサのフィードバックループの割り当てを決定し、VRMコントローラにVRM命令を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VRMコントローラのセットであって、前記セットは、2つのフィードバックループを有するVRMコントローラを含む、VRMコントローラのセットと、
パワーステージと、
パワーステージ臨界信号マルチプレクサであって、前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサの出力は、前記パワーステージが通信するフィードバックループを決定する、パワーステージ臨界信号マルチプレクサと、
構成セレクタであって、前記構成セレクタは、前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサのフィードバックループの割り当てを決定し、前記VRMコントローラにVRM命令を提供する、構成セレクタと、
を含む、ディスクリート電圧調整モジュール(VRM)カード。
【請求項2】
前記構成セレクタは、前記フィードバックループの割り当てを前記VRMコントローラに提供し、前記VRMコントローラは、前記フィードバックループの割り当ておよびVRM命令に基づいて構成ファイルをロードする、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項3】
前記構成セレクタは、前記フィードバックループの割り当てを前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサに提供する、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項4】
前記構成セレクタは、前記ディスクリートVRMカードが接続されたコンピュータシステムからシステムの電力特性を受信するように構成され、前記フィードバックループの割り当ておよびVRM命令は、前記システムの電力特性に基づく、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項5】
前記構成セレクタは、マルチプレクサである、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項6】
前記フィードバックループの割り当ては、予め定められた電圧範囲内の電圧信号である、請求項4に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項7】
前記VRM命令は、電圧信号の組み合わせである、請求項4に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項8】
前記構成セレクタは、FPGAである、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項9】
前記構成セレクタは、マイクロプロセッサである、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項10】
前記VRM命令は、構成ファイルを含む、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項11】
前記VRM命令は、
前記フィードバックループが通信するパワーステージのセットと、
電圧範囲と、
を含む、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項12】
電圧調整モジュール(VRM)カードをコンピュータシステムのシステムボードに差し込むことと、
前記VRMカードによって、前記コンピュータシステムの電力特性を検出することと、
前記VRMカードによって、前記電力特性に基づいて、VRMカード構成を識別することと、
前記VRMカードによって、前記識別に基づいて、前記VRMカード上のVRMコントローラのセットにVRM命令を送信することと、
前記VRMカードによって、前記識別に基づいて、前記VRMカード上のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てのセットを送信することと、
前記VRM命令とフィードバックループの割り当てに従って前記VRMカードを操作することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記VRM命令は、構成ファイルを識別する信号を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電力特性は、予め定められた電圧範囲内の電圧信号を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記VRM命令を前記送信することは、前記電圧信号をVRMコントローラの前記セットに送信することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電力特性は、前記コンピュータシステムのモデル番号である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記識別することは、前記電力特性と、前記VRMカード上のメモリモジュール上のVRMカード構成のリストとを相互参照することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電力特性を検出することは、前記VRMカード上のパワーステージのセットと前記コンピュータシステム内のコンポーネントのセットとの間の接続を形成するコンタクトのセットに対してインピーダンス測定を実行することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令をその中に実装したコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、電圧調整モジュール(VRM)カードによって実行可能であり、前記VRMカードに、
前記VRMカードがコンピュータシステムに挿入されていることを検出することと、
前記コンピュータシステムの電力特性を検出することと、
前記電力特性に基づいて、VRMカード構成を識別することと、
前記識別に基づいて、前記VRMカード上のVRMコントローラにVRM命令を送信することと、
前記識別に基づいて、前記VRMカード上のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てを送信することと、
を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記フィードバックループの割り当ては、前記VRMコントローラに送信される、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
前記フィードバックループの割り当ては前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサに送信される、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
電力特性を検出することは、
前記VRMカードに送信される電圧信号のセットを読み取ることと、
電圧信号の前記セットにおける各電圧信号を、予め決められた電圧範囲のセットにおける電圧範囲に分類することと、
前記分類に基づいて、VRM構成番号を形成することと、
を含む、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
前記VRM構成番号は、電圧信号の前記セットを表す電圧範囲のリストを含む、請求項21に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記電力特性は、要求された電力出力のセットと、要求された電力出力の前記セット内の各電力出力に対する電力要求とを含む、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記プログラム命令は、さらに、前記VRMカードに、
前記VRMカードにおいて、電力特性とVRMカード構成を相関させる更新されたリストを受信することと、
前記更新されたリストを前記VRMカード上のメモリモジュールに保存することと、
を実行させる、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電圧調整モジュールに関し、より具体的には、プラグ可能な電圧調整モジュールカードに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧調整モジュール(本明細書では「VRM」と呼ぶこともある)は、多くの電子機器システムにおいて、様々な電子コンポーネントの要求に応じて、様々な電子コンポーネントに電圧と電流を供給するために使用されている。VRMは通常、少なくとも1つの半導体スイッチ(例えば、MOSFETスイッチ)と少なくとも1つのインダクタ(「チョーク」と呼ばれることもある)で構成されている。また、一部のVRMは、インダクタの近く、またはVRMが電力を供給するコンポーネントの近くに配置されたコンデンサを含むものもある。電圧と電流を供給するVRMコンポーネント(例えば、MOSFETスイッチとインダクタのペア)をまとめて「パワーステージ」と呼ぶことがある。これらのVRMコンポーネントは、コントローラと呼ばれる回路(「VRMコントローラ」と呼ばれることもある)によって制御されることが多い。
【0003】
VRMコントローラは、所定の電圧で電流を供給するためにVRMのコンポーネントを制御するために使用される。例えば、VRMコントローラが半導体スイッチを閉じる(すなわち、パワーステージをオンにする)と、VRMに電流が流れる。VRMのインダクタは、この電流によるVRM出力の電圧変化を遅らせ、システムコンポーネントに供給される電力が不要な電圧スパイクや電圧低下を防ぐ。また、一部のVRMにはコンデンサが含まれており、VRMが出力する電力を平滑化することができ、複数の電圧間の変換、またはシステム内の電子ノイズなどによって生じる可能性がある電圧の「リップル」を防止することができる。
【0004】
一部のVRMは、単一のVRM出力に組み合わせることができる複数のパワーステージの群をサポートする。これらの群は、VRMコントローラによって制御され、1つの電圧出力を提供するシステムとして動作することができる。このようなVRMでは、しばしば各パワーステージがその出力に静電容量を必要とする。このキャパシタンスは、そのパワーステージ専用のキャパシタによって提供されることもあれば、複数のパワーステージ間で共有される静電容量のソースによって提供されることもある。電力を出力するパワーステージを交互に切り替えることによって、VRMは、単一パワーステージのVRMに比べて、よりスムーズで安定した電力をシステムコンポーネントに供給できる場合がある。
【0005】
電気システムによっては、非常に狭い電圧範囲内で電力を供給することが非常に重要な場合がある。さらに、一部の電気システムでは、電圧範囲内で電力を供給するVRMがごく一時的に誤動作しただけでも、システムや事業に大きな損失をもたらすことがある。このようなシステムでは、信頼性の高いコンポーネントと複数のパワーステージを持つVRMがよく使用される。しかし、これらのVRMソリューションは非常に高価である可能性があり、他の非常に高価なコンポーネント(例えば、バックプレーンおよびその上に搭載されるプロセッサパッケージ)を有するシステムにも含まれるのが一般的である。一部のシステムでは、VRMがシステムに統合されている(例えば、システムのバックプレーンに恒久的に搭載されている)ものもある。しかし、VRMが統合されたシステムにおいて、VRMコンポーネントの故障により、他の高価なコンポーネントを含むシステムの大部分を交換する必要が生じる可能性がある。同様に、他のシステムコンポーネントに障害が発生した場合も、統合されたVRMを含むシステムの大部分を交換する必要が生じる可能性がある。
【0006】
このため、高価な電気システムは、システム内(例えば、システムのバックプレーンまたはマザーボード上)に埋め込まれたVRMではなく、アドインVRMカード(「ディスクリートVRMカード」または単に「VRMカード」と呼ばれることもある)を利用するように設計されていることが多い。アドインVRMカードは、システムボード上のポートを介してシステムに差し込むことができるディスクリートプリント回路基板である場合がある。このVRMカードは、そのポートを介して、システムコンポーネントの特定の要件に適合する電力を供給するように構成される。
【0007】
これらのシステムでは、システムボード上のコンポーネントが故障した場合、システムボード全体の交換が必要であっても、高価なVRMソリューションは、交換後のボードで再利用することが可能である場合がある。同様に、VRMカードのコンポーネントが故障した場合、VRMカードを交換することができ、残りのシステムを再利用できる可能性がある。しかし、一部のシステムにおいて、VRMのコンポーネントが、システムの残りの部分の期待寿命よりもかなり長い間使用可能である場合がある。例えば、多くのシステムでは、VRMのコンポーネントが故障する可能性があるよりもずっと前に、システムの他の場所でコンポーネントの故障が発生する。また、コンポーネントが故障しない場合でも、VRMのコンポーネントが故障または時代遅れになるよりもずっと前に、システムのコンポーネントが時代遅れになることがある。しかし、一般的なVRMカードは、特定のシステムの特定の要件に応じた電力を供給するように構成されているため、その特定のシステムを交換する際に新しいシステムに移行できないことが多い。そのため、高価なVRMカードが必要以上に廃棄され、長期的にはシステムのメンテナンスにコストがかかる可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、PWMコントローラのセットを含むディスクリートVRMカードが提供され、かかるセットは、2つのフィードバックループを有するVRMコントローラを含む。また、VRMカードは、パワーステージと、パワーステージ臨界信号マルチプレクサであって、かかるパワーステージ臨界信号マルチプレクサの出力は、パワーステージが通信するフィードバックループを決定する、パワーステージ臨界信号マルチプレクサを含む。さらに、VRMカードは、構成セレクタであって、かかる構成セレクタは、パワーステージ臨界信号マルチプレクサのフィードバックループの割り当てを決定し、VRMコントローラにVRM命令を提供する、構成セレクタを含む。本発明の実施形態は、ディスクリートVRMカードが、様々な電力入力要件を持つシステムに電力を供給することを可能にする有益なものであり得る。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、構成セレクタは、ディスクリートVRMカードが接続されたコンピュータシステムからシステムの電力特性を受信するように構成された上記ディスクリートVRMカードとして例示することができる。フィードバックループの割り当ておよびVRM命令は、システムの電力特性に基づく。これらの実施形態は、様々な電力入力要件を有するシステムに調整するVRMカードの能力を向上させることができる。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態は、フィードバックループの割り当ては、予め定められた電圧範囲内の電圧信号である上記ディスクリートVRMカードの1つとして例示することもできる。これらの実施形態は、フィードバックループの割り当てを通信する低複雑度手段を提供し得る。
【0011】
本発明の別の態様によれば、VRMカードをコンピュータシステムのシステムボードに差し込むことと、コンピュータシステムの電力特性を検出することと、電力特性に基づいて、VRMカード構成を識別することと、VRMカード上のVRMコントローラのセットにVRM命令を送信することと、識別に基づいて、パワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てのセットを送信することと、VRM命令とフィードバックループの割り当てに従ってVRMカードを操作することと、を含む方法が提供される。この方法により、ディスクリートVRMカードは、様々な電力入力要件を持つシステムに電力を供給することができるようになり、有益であり得る。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態は、VRM命令は、構成ファイルを識別する信号を含む上記方法として例示することもできる。これらの実施形態は、VRM命令を通信するための低複雑度手段を提供し得る。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、VRMカード上のパワーステージのセットとコンピュータシステム内のコンポーネントのセットとの間の接続を形成するコンタクトのセットに対してインピーダンス測定を実行することを含む電力特性を検出する上記方法の1つとして例示することもできる。これらの実施形態は、他に電力特性を提供することができないシステムで電力特性を検出する手段を提供することができる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、その中に実装されたプログラム命令を有する。これらのプログラム命令は、VRMカードによって実行可能であり、VRMカードに、VRMカードがコンピュータシステムに挿入されていることを検出させる。これらのプログラム命令は、また、VRMカードによって実行可能であり、VRMカードに、コンピュータシステムの電力特性を検出させる。プログラム命令は、また、VRMカードによって実行可能であり、VRMカードに、電力特性に基づいて、VRMカード構成を識別させる。プログラム命令は、また、VRMカードによって実行可能であり、VRMカードに、VRMカード上のVRMコントローラにVRM命令を送信させる。プログラム命令は、また、VRMカードによって実行可能であり、VRMカードに、VRMカード上のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てを送信させる。これらの実施形態は、VRMカードが、様々な電力入力要件を有するシステムに電力を供給することを有利に可能にすることができる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態は、電力特性の検出が、VRMカードに設定された電圧信号のセットを読み取ることと、セットにおける各電圧信号を、電圧範囲に分類することと、を含む上記コンピュータプログラム製品によっても説明することができる。電圧範囲は、予め決められた電圧範囲のセット内にある。電力特性の検出は、分類に基づいて、VRM構成番号を形成することも含む。これらの実施形態は、VRM構成番号を特定し、伝達するための低複雑度手段を提供し得る。
【0016】
上記の要約は、例示された各実施形態または本開示のすべての実施形態を説明することを意図していない。
【0017】
本願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。これらは、本開示の実施形態を例示するものであり、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は、特定の実施形態を例示するものに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】システムに取り付けられる前の構成可能なディスクリートVRMカードの第1の図を示す。
図1B】第1のシステムに取り付けられた後の構成可能なディスクリートVRMカードの第2の図を示す。
図1C】第2のシステムに取り付けられた後の構成可能なディスクリートVRMカードの第3の図を示す。
図2】構成可能なディスクリートVRMカードを使用する方法を示す。
図3】VRMカードコネクタのコンタクトのセットによって構成可能であり得るディスクリートVRMカードを示す。
図4】構成セレクタチップによって構成可能であり得るディスクリートVRMカードを示している。
図5】実施形態に従って使用され得るコンピュータシステムの代表的な主要コンポーネントを示す。
【0019】
本発明は、様々な変更および代替形態に従うことができるが、その具体的な内容は、図面において例として示されており、詳細に説明されるであろう。しかしながら、説明した特定の実施形態に本発明を限定する意図はないことを理解されたい。それどころか、本発明の範囲に入るすべての変更、等価物、および代替物をカバーすることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の態様は、電圧調整モジュールに関し、より具体的には、プラグ可能な電圧調整モジュールカードに関する。本開示は必ずしもそのような用途に限定されるものではないが、本開示の様々な態様は、この文脈を用いた様々な実施例の議論を通じて理解され得るであろう。
【0021】
一般的なコンピュータシステムは、電圧調整モジュール(本明細書では「VRM」と呼ぶこともある)を利用して、コンピュータシステムの様々なコンポーネントへの電力供給を、それらのコンポーネントの仕様内で管理する。例えば、12V電源のコンピュータシステムには、システムの12V電源をシステムプロセッサ用の3Vに変換する役割を持つ第1のVRMと、システムの12V電源をシステムメモリ用の1.2Vに変換する役割を持つ第2のVRMが含まれる場合がある。一般的なVRMにはインダクタ(「チョーク」と呼ばれることもある)が含まれており、電圧を所望のレベルまで降下させるだけでなく、出力電圧の急激な変化を防止する役割も担っていることが多い。また、VRMには、インダクタから供給されるキャパシタが含まれることが多い。このキャパシタは、出力電力のリップルをフィルタリングしたり、消費コンポーネントが必要とする電流が急激に増加または減少したときの電圧降下やサージを回避するために使用されることがある。これらのVRMでは、単一のキャパシタまたはキャパシタの群をVRMのインダクタで共有することもあれば、各インダクタがそれぞれ専用の静電容量を持つこともある。VRMのインダクタには、通常、半導体スイッチ(例えば、MOSFETスイッチ)が供給され、スイッチが閉じられたときにインダクタに電流が流れるようになっている。電圧を切り替えて降圧するVRMコンポーネントは、本明細書では「パワーステージ」と呼ばれることがある。通常、パワーステージは、一対のスイッチ、関連するインダクタ、ドライバ、テレメトリ、故障保護などを含む。
【0022】
VRMは、VRM出力および消費コンポーネントのニーズに基づいてパワーステージの設定を調整するコントローラを含むことが多い。例えば、VRMコントローラ(本明細書では「VRMコントローラ」とも呼ばれる)は、VRMによる電圧出力を増加および減少させるために、パワーステージのスイッチを開閉することがある。このようなVRMコントローラが、パワーステージの半導体スイッチを閉じると、例えば、インダクタに電力が供給され、インダクタが充電される。インダクタが充電されると、インダクタが出力する電圧(ひいてはVRMが出力する電圧)が上昇する。例えば、VRMコントローラがメモリモジュールの出力電圧1.4Vを目標としている場合、VRMコントローラがVRMの出力電圧が1.398Vであることを検出するとスイッチを閉じ、インダクタを充電させることができる。一方、VRMコントローラは、VRMの出力が1.402Vになったことを検出すると、スイッチを開き、インダクタへの電力を遮断する(すなわち、パワーステージを停止する)ことができる。VRMコントローラは、パワーステージの状態を素早く変化させ、時には「デューティサイクル」と呼ばれる規則的なパターンで、VRMがコンピュータシステムのコンポーネントの仕様内にある電圧の出力を提供する可能性を高めることができる。
【0023】
一般的なVRMでは、VRMコントローラが、VRMによって出力される電圧特性をフィードバックループで検出する。フィードバックループにより、VRMは、例えばシステムコンポーネントに供給される電圧を監視し、出力電圧がコンポーネントの要件より高くなったり低くなったりした場合に迅速に対応することができる。例えば、プロセッサの作業負荷が変化してプロセッサが消費する電流が急増した場合、VRMの出力電圧は危険なほど低いレベルまで低下することがある。VRMのフィードバックループを使用すれば、VRMコントローラはこの電圧低下をほぼ瞬時に検出でき、VRMが迅速に対応できるようになるはずである(例えば、パワーステージのデューティサイクルを増加させるなど)。
【0024】
VRMの電源サイクルのオン・オフの性質の結果として、VRMインダクタの実際の出力電圧は、目標電圧を中心とした振動波に似ていることがよくある。この波の大きさ(すなわち、インダクタが出力する目標電圧からの典型的な高偏差と低偏差)は、出力が提供されるコンポーネントの要件に依存することがある。特に敏感なコンポーネントについては、システム性能を最大化するため、またはシステムの不安定性を回避するために、小さな偏差のみが許容される場合がある。したがって、上記の例では、1.398Vと1.402Vの間の電圧を出力する代わりに、高性能サーバのメモリモジュールに電力を供給するVRMには1.3999Vと1.4001Vの間の電圧を出力することが要求される場合がある。
【0025】
同様に、一部のシステムでは、コンポーネントが消費する電流が非常に速く変化することがあり、その結果、VRMの出力電圧が大きく急変することがある。例えば、グラフィックス処理装置(本明細書では「GPU」と呼ぶこともある)は、非常に小さな電流から比較的大きな電流を必要とし、また比較的非常に小さな電流に戻ることを繰り返すことがある。このGPUが合理的な閾値を超える電圧の変化にも敏感である場合、GPUは、これらの電圧変化に対して非常に迅速に反応できるVRMを必要とすることがある。しかし、VRMが反応できる速度は、パワーステージの実効インダクタンスに制限されている。
【0026】
このような状況では,単一のパワーステージに依存するVRMでは十分な性能または信頼性が得られない場合があり、応答性を向上させるために追加の並列パワーステージを採用することができる。これらのVRMでは、各パワーステージはVRMコントローラによって独立して制御されることがあり、独立した「パワーステージ」と呼ばれることがある。これらのパワーステージは、例えば、出力のリップル電圧を除去するために、それぞれ専用のキャパシタを含むことがある。一方、これらのパワーステージは、共通の静電容量のソース(例えば、所定の出力のすべてのパワーステージ間で共有されるキャパシタまたはキャパシタのセット)を共有することもある。
【0027】
例えば、システムプロセッサは、2.7Vから3.3Vの電圧範囲で許容できる安定性を持って動作するが、3.298Vから3.300Vの間で最大の性能を発揮する可能性がある。この最大性能の範囲内でプロセッサに電力を供給するためには、単一のパワーステージのVRMでは不十分である場合があり、VRMが供給する出力またはプロセッサが要求する出力がわずかな変動でも3.3Vの安定限界を超える可能性があり、プロセッサを停止させる必要がある。しかし、例えば4つのパワーステージを持つVRMは、最大性能の範囲内で電力を供給することができる。
【0028】
複数のパワーステージを持つ典型的なVRMでは、VRMコントローラが各パワーステージのデューティサイクルを設定し、VRMの全体出力が、VRMが電力を供給するシステムコンポーネントの要件に準拠するようにする。例えば、2つのパワーステージを持つVRMでは、VRMはパワーステージを相互に位相をずらして駆動する場合がある。すなわち、VRMは、2つのパワーステージが交互に動作するように、第1のパワーステージの半導体スイッチを周期的なパターンで閉じ、第2のパワーステージの半導体スイッチをオフセット周期的なパターンで閉じることができる。
【0029】
一部のコンピュータシステムでは、各電気コンポーネント(またはコンポーネントサブシステム)が専用のVRMを持つことがある。例えば、一部のシステムでは、第1のVRMが第1のプロセッサダイに電力を供給することがあり、第2のVRMが第2のプロセッサダイに電力を供給することがあり、第3のVRMがシステムメモリに電力を供給することがある。このシステムでは、各VRMは、独自のパワーステージのセットおよび独自のVRMコントローラを有することができる。しかし、一部のコンピュータシステムでは、パワーステージの複数のセットが単一のVRMコントローラを共有することができる。例えば、プロセッサダイは、パワーステージの第1のセットによって電力を供給されることがあり、システムメモリは、パワーステージの第2のセットによって電力を供給されることがある。しかし、パワーステージのこれら2つのセットは、それぞれ単一のVRMコントローラによって制御される場合がある。
【0030】
1つのVRMコントローラが複数のシステムコンポーネントのために複数のパワーステージを管理するシステムでは、VRMコントローラは通常、各コンポーネントに出力される電圧の特性を独立して監視し反応することができなければならない。そのため、これらのVRMコントローラは、通常、複数のフィードバックループを組み込んでいる。例えば、パワーステージの第1のセットは第1のフィードバックループに接続されるかもしれず、パワーステージの第2のセットは第2のフィードバックループに接続されるかもしれない。これらのパワーステージのセットは、独立して出力に電力を供給し、独立したフィードバックループによって独立して監視されるにもかかわらず、単一のVRMコントローラがパワーステージの各セットを制御することができ、したがって、本明細書では、これらは同じVRMに属すると称することができる。
【0031】
一部の業界および一部の業界内のユースケースでは、VRM(またはVRMのセット)を搭載したシステムの高性能を維持することが極めて重要な場合がある。VRMがシステム要件の狭い範囲内で一貫して出力電圧を提供できない場合、状況によっては、システムコンポーネントを低レベルな性能で動作させる必要があり、システム全体の性能が低下することがある。また、VRMが一時的に故障してコンポーネントの安定した範囲の出力電圧を提供できない場合、コンポーネントが誤動作し、システムの再起動が必要になる可能性がある。いずれの場合も、システム性能の低下を招く可能性があり、その結果、コスト高になる可能性がある。そのため、VRMが特定の範囲内で安定的に動作することが求められるユースケースでは、電力相の数が多く、信頼性の高い高品質のコンポーネント(例えば、半導体スイッチおよびコンデンサ)を使用したVRMがよく使用される。
【0032】
しかし、信頼性の高い高品質のコンポーネントで構成された複数のパワーステージをVRMに装備することは、VRMのコストを大幅に増加させる可能性がある。残念ながら、これはVRMが統合されたコンピュータシステム全体のコストも上昇させる可能性がある。VRMがシステム(例えば、システムのマザーボードまたはバックプレーン)に統合されている場合、この不利益はさらに悪化する可能性がある。このようなシステムでは、VRM以外のコンポーネントが故障した場合、VRMが統合されたコンポーネント(例えば、マザーボードまたはGPUボード)を含むシステムのかなりの部分を交換する必要が生じることがある。このような場合、システム要件内で完全に機能している高価なVRMを交換する必要がある場合がある。同様に、統合されたVRMのコンポーネント(例えば、キャパシタ)に不具合が生じた場合、それを交換すると、統合され、高価で、完全に機能している中央処理装置などの他のシステムコンポーネントを交換する必要が生じることがある。このような偶発的で不必要な交換費用は、複数のコンピュータシステムを使用するユースケースにおいて、長期間に渡って維持費を大幅に増加させる可能性がある。
【0033】
このような理由から、高価なコンピュータシステムでは、標準または独自のソケット(例えば、カードエッジコネクタを受け入れるように設計されたソケット)を介してシステムに取り付け(および取り外し)可能なディスクリートVRMカード(以下、「アドインVRMカード」または単に「VRMカード」と呼ぶことがある)を利用するように設計されている場合がある。アドインVRMカードは、通常、システムの電源が入っていない状態でも、システムに差し込んだり取り外したりすることができる。そのため、システムの非VRMコンポーネントが故障し、そのシステムを同一の電圧要件を持つ代替システムと交換する場合、ディスクリートVRMを故障したシステムから取り外して代替システムに接続できる可能性がある。この場合、高価なVRMを再利用することができ、交換コスト(および長期メンテナンス)を大幅に削減できる可能性がある。
【0034】
残念ながら、システム要件が変わることもあり、故障したシステムを、その電圧要件が故障したシステムの電圧要件と同一である代替システムと交換することが好ましくない、あるいは実行可能でない場合もある。例えば、故障したプロセッサがシステムバックプレーンの交換を必要とする場合(例えば、プロセッサパッケージがバックプレーンにはんだ付けされている場合)、システムバックプレーンおよびプロセッサを、より高い性能と効率を持つ最新のコンポーネント(例えば、より最新のプロセッサモデル)に交換することが望ましい場合がある。しかし、両方のシステムがプロセッサの電源にディスクリートVRMを使用している場合、故障したプロセッサの電源に使用されていたディスクリートVRMは、更新されたプロセッサの要件を満たさない可能性がある。
【0035】
このような状況は、システムの故障がない状態でシステムコンポーネントを更新する場合にも発生する可能性がある。例えば、高性能なユースケースは、システム全体の高性能を維持するために、定期的なアップグレードサイクルで動作する場合がある。このような高性能システムは、高価で信頼性の高いVRMを必要とするシステムと同じタイプであることが多く、統合VRMではなくディスクリートVRMの恩恵を受けることができる。しかし、最新のシステムコンポーネントを必要とするため、他のシステムコンポーネントを交換する際にディスクリートVRMも交換する必要があり、しばしばディスクリートVRMの設計から得られるメリットが限定されてしまうことがある。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態は、ディスクリートVRM設計が、それらが追加されるシステムの要件に基づいて再構成可能にすることによって、上記の制限に対処する。例えば、ディスクリートVRMカードは、第1のシステムに差し込まれたときに2つの出力を提供するようにそれ自体を構成することができる。第1の出力は、3.5Vで動作し4つのパワーステージを必要とする中央処理装置であってよく、第2の出力は、1.2Vで動作し2つのパワーステージを必要とするシステムメモリであってよい。しかし、同じディスクリートVRMカードでも、第2のシステムに差し込むと、3つの出力を提供するように構成される場合がある。第1の出力は、4.0Vで動作し6つのパワーステージを必要とする中央処理装置であってよく、第2の出力は、1.0Vで動作し4つのパワーステージを必要とするグラフィックス処理装置であってよく、第3の出力は、1.4Vで動作し2つのパワーステージを必要とするシステムメモリであってよい。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態は、複数のコントローラを特徴とするVRMカードの設計を含み得る。例えば、単一のVRMカードは、すべてが2つのフィードバックループを含む3つのコントローラチップを含むことができる。これにより、単一のVRMカードは、必要に応じて、6つの独立した電源を出力することができるようになる。別の例として、より単純なVRMカードは、2つのフィードバックループを有する単一のコントローラチップを含むことができる。この場合、よりシンプルなVRMカードは、必要に応じて、2つの独立した電源を出力することができるようになる。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態は、VRMカードの各パワーステージに取り付けられたパワーステージ臨界信号マルチプレクサも含み得る。パワーステージ臨界信号マルチプレクサは、所望のVRM構成に応じて、各パワーステージをVRMカードのループのいずれかに接続することを可能にする場合がある。例えば、VRMカードには10個のパワーステージがあり、それぞれにパワーステージ臨界信号マルチプレクサが取り付けられている場合がある。これらのパワーステージ臨界信号マルチプレクサの各々は、VRMカードが各パワーステージが接続されるフィードバックループを選択することを可能にし得る複数の出力を含むことができる。例えば、10個のパワーステージのVRMカードが2個のコントローラと合計4個のフィードバックループも含む場合、10個のパワーステージ臨界信号マルチプレクサの各々は、4個の出力(各フィードバックループに1個)を含むことができる。最初の4つのパワーステージ臨界信号マルチプレクサのために第1の出力を選択することによって、最初の4つのパワーステージ臨界信号マルチプレクサは、第1のフィードバックループに接続され得る。言い換えれば、最初の4つのパワーステージは、第1のフィードバックループによって制御される単一の出力電源に結合される。同様に、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ5~8の第3の出力を選択すると、パワーステージ5~8は第3のフィードバックループによって制御される単一の出力電源に統合される。最後に、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ9と10の第4の出力を選択すると、パワーステージ9と10は第4のフィードバックループによって制御される単一の出力電源に統合される。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態は、VRMカードがコンピュータシステムに差し込まれたときに、各VRMコントローラに命令を提供する。これらの命令は、コントローラが制御しているパワーステージ、それらのパワーステージのデフォルト電圧レベル、および各出力の必要な電圧範囲をコントローラに通知することができる。このため、第1のフィードバックループがメモリのセットに対して3パワーステージ信号を出力する必要があるシステムにVRMカードが差し込まれた場合、VRMカードは、第1のフィードバックループが特定の目標電圧でパワーステージ9、10、11を制御することをコントローラに通知する命令をVRMコントローラに提供することができる。また、第1のフィードバックループがCPUコアに対して10パワーステージ信号を出力する必要がある第2のシステムにVRMカードが差し込まれた場合、VRMカードは、VRMカードは、第1のフィードバックループが特定の目標電圧でパワーステージ1~10を制御していることをコントローラに通知する命令をVRMコントローラに提供することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、VRMコントローラへのこれらの命令は、構成ファイルの形態で提供される。例えば、第1のシステムに差し込まれると、VRMカードは、第1の構成ファイルをロードするようにVRMコントローラに命令を与えることができる。その第1の構成ファイルは、VRMコントローラに割り当てられたパワーステージを制御するのに必要な情報をVRMコントローラに提供することができる。しかし、第2のシステムに差し込まれると、VRMカードは、第2の構成ファイルをロードするようにVRMコントローラに命令を与えることができる。第2の構成ファイルは、第2のシステムの必要性に基づいて、第1の構成ファイルとは異なる命令を提供することができる。つまり、第1の構成ファイルと同様に、第2の構成ファイルは、VRMコントローラのフィードバックループに割り当てられるパワーステージのリストと、それらのパワーステージを制御するのに必要な命令(例えば、電圧目標)を提供することができる。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態は、構成セレクタを組み込んでいる。いくつかの実施形態では、構成セレクタは、VRMコントローラに信号を送信する抵抗器、ピン、または単純な回路の形態をとることができる。この信号は、VRMコントローラがロードすべき構成ファイルをVRMコントローラに通知する場合がある。この構成ファイルは、VRMコントローラに割り当てられたパワーステージを識別することができる。この情報があれば、VRMコントローラは、正しいパワーステージ臨界信号マルチプレクサに、適切なフィードバックループに向けるべき出力を通知することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、構成セレクタは、VRMカードが挿入されるシステムで必要とされるVRMカード構成を、パワーステージ臨界信号マルチプレクサとコントローラに通知することができる。例えば、VRMカードは、システムAとシステムBのどちらに挿入されるかに応じて選択され得る2つの構成のみを有するように設計されている場合がある。VRMカードがシステムAに挿入されると、構成セレクタは、システムの特性を認識して、VRMコントローラとパワーステージ臨界信号マルチプレクサに信号を送信し、「システムA構成」を使用するように通知する場合がある。しかし、同じVRMカードをシステムBに挿入すると、構成セレクタはシステムBの特性を認識して、VRMコントローラとパワーステージ臨界信号マルチプレクサに信号を送信し、「システムB構成」を使用するように通知する場合がある。
【0043】
構成セレクタの形態は、実装の要件に基づいて異なる場合がある。例えば、少数のシステムでのみ使用されるように設計され、したがって少数の異なる構成間でしか交互に使用されないように設計されたディスクリートVRMカード、VRMコントローラに「高または低」信号を送信できるピンまたは抵抗のセット、またはこれらのピンのどれが「高」に設定されているかに基づく短いバイナリコードでいくつかの実施形態では十分である場合がある。
【0044】
しかし、VRMカードを使用できるように設計された構成の数が増えるにつれて、単純な構成セレクタの設計では不十分となる場合がある。そのため、いくつかのVRMカードは、マルチプレクサ、特定用途向け集積回路(ASICと呼ばれることもある)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAと呼ばれることもある)など、より複雑な構成セレクタを組み込む。
【0045】
例えば、VRMカードでは、ピンのセットに組み込むことができるよりも多くの構成を切り替えるように設計されたVRMに、ASICの構成セレクタを組み込むことができる。ASICの複雑さが増すことで、より多くの構成に対応したVRMカードの設計が可能になる。同様に、VRMカードにFPGA構成セレクタを組み込むことも可能である。ASICと同様に、FPGA構成セレクタは、VRMカードがより多くの構成を切り替えられるように設計されている場合に有効である。
【0046】
図1Aは、システムに取り付けられる前の構成可能なディスクリートVRMカード100の第1の図を示している。VRMカード100は、6つのパワーステージ102~112を含む。パワーステージ102~112の各々は、パワーステージ、インダクタ、およびキャパシタ(個別に描かれていない)を含み得る。パワーステージ102~112の各々はまた、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ114(パワーステージ102に接続)、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ116(パワーステージ108に接続)、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ118(パワーステージ112に接続)等のパワーステージ臨界信号マルチプレクサに接続される。
【0047】
VRMカード100は、パワーステージ102~112を制御するための2つのフィードバックループ122および124を有する単一のコントローラチップ120を含む。これは、VRMカード100を2つの別個の出力に分割することを可能にする。言い換えれば、VRMカードは、第1のシステムコンポーネントに第1の電圧で出力を、第2のシステムコンポーネントに第2の電圧で出力を同時に提供し得る。VRMカードはまた、構成セレクタ126を含む。構成セレクタ126は、例えば、ピンのセット、単純な回路、ASIC、FPGA、または制御チップの形態をとり得る。
【0048】
構成セレクタ126は、128と130の2つの出力を含む。出力128は、コントローラ120に命令を提供するように設計されている。これらの命令は、VRMカード100の実装に基づく様々な形態を取ることができる。例えば、VRMカード100が2つの構成のみを使用するように設計されている場合、出力130によって運ばれる命令は、「高」信号(例えば、5V信号、「真」または「オン」と解釈されることもある)または「低」信号(例えば、0V信号、「偽」または「オフ」と解釈されることもある)の形式を取り得る。VRMカード100が2つ以上の構成を使用するように設計されている場合、出力130によって運ばれる命令は、構成番号(例えば、構成「5」)または構成のためのバイナリコード(例えば、「101」)の形態をとることができ、これは、メモリから検索する構成ファイルをVRMコントローラ120に通知することができる。その構成ファイルは、ループ122および124のそれぞれがどのパワーステージを制御しているか、および電圧制限が何であるかをVRMコントローラ120に通知することができる。いくつかの実施形態では、VRMコントローラ120はメモリに接続されていない場合があり、その場合、出力128によって運ばれる命令が構成ファイル情報を提供する場合がある。
【0049】
出力130は、パワーステージ臨界信号マルチプレクサに命令を提供するように設計されている。これらの命令は、構成番号(出力128を使用して提供され得る構成番号と同様)または各パワーステージ臨界信号マルチプレクサが使用することになる出力のリストの形態をとることができる。
【0050】
パワーステージ102~112のそれぞれのパワーステージ臨界信号マルチプレクサは、構成セレクタ126から受信した命令に基づいて、それらのパワーステージ臨界信号マルチプレクサをフィードバックループ122またはフィードバックループ124のいずれかに接続する2つの出力を含んでいる。図示されるように、小さな破線132は、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサをフィードバックループ122に接続し得る導電性トレース(例えば、銅線)を表す。一方、大きな破線134は、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサをフィードバックループ124に接続し得る導電性トレースを表している。これらの接続を通じて、各パワーステージ102~112は、インタフェース信号またはインタフェース信号のセットを、割り当てられたフィードバックループ122または124に送信することができるようになる。注目すべきは、小さな破線132および大きな破線134のそれぞれによって示される経路は、図1Aにおける理解のために簡略化され、結合されていることである。いくつかの実施形態では、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサは、フィードバックループ122または124の各々への独立した接続を有することができる。したがって、いくつかの実施形態では、フィードバックループ122および124の各々は、パワーステージ臨界信号マルチプレクサへの6つの接続(すなわち、パワーステージ102~112の各々に対して1つの接続)を有することができる。
【0051】
VRMカード100は、マザーボードまたはシステムバックプレーンのようなコンピュータシステムのスロットに挿入され得る2つのコネクタタブ136および138を含んでいる。例えば、コネクタタブ136および138は、VRMカード100が構築された回路基板の端部にあるカードエッジコンタクトの形態をとることができる。コネクタタブ136はシステムコネクタ140を含み、コネクタタブ138は導電性コンタクト142~152を含む。パワーステージ102~112がフィードバックループ122または124のいずれかに独立して割り当て可能であることが意図されている実施形態では、導電性コンタクト142~152の各々が互いに電気的に絶縁されていることが有益である場合がある。言い換えれば、導電性コンタクト142は、導電性コンタクト144~152の各々から絶縁されていてもよい。これにより、理論的には、パワーステージ102が(例えば、フィードバックループ122によって制御されるように)導電性コンタクト142を介して第1の出力を提供し、位相104~112がすべて結合して導電性コンタクト144~152を介して第2の出力を提供する構成が可能となる。さらに、導電性コンタクト144~152の各々も互いに電気的に絶縁されるようにVRM100を設計することにより、理論的には、すべてのパワーステージが、パワーステージ102に関する上記の例と同様に、単一の出力を提供できる。
【0052】
一方、VRM100が、異なる出力に電力を供給するために特定のパワーステージのセットを決して必要としないような閉じたシステムのセットで利用されるように設計されている場合、それらのパワーステージの導電性コンタクトは、電気的に接続することができる。例えば、パワーステージ102および104がVRM100のすべての構成において同じ出力に電力を供給する場合、導電性コンタクト142および144は、電気的に絶縁されていることから恩恵を受けないかもしれない。むしろ、その例では、パワーステージ102および104は、2つの物理的に異なる導電性コンタクトではなく、1つの導電性コンタクトに接続され得る。
【0053】
コネクタタブ136および138、システムコネクタ140、および導電性コンタクト142~152は、VRMカード100をマザーボードまたはシステムバックプレーンに挿入して接続することができる方法の例示的抽象表現であることに注意されたい。他の実施形態では、他の接続フォームファクタ、コネクタ、およびコネクタの数が使用され得る。
【0054】
システムコネクタ140は、システム特性がシステムボードから構成セレクタ126に送信され得るシステムマザーボード間の接続ポイントとして機能することができる。このシステム特性は、システムコネクタ140からトレース154を介して構成セレクタ126に送信され得る。このシステム特性は、VRMカード100の実装に基づく様々な形態を取り得る。例えば、VRMカード100が2つの構成の間で動作するように設計されている場合、システム特性は、「高」または「低」の値の形態を取り得る。また、それは3つの「高」または「低」値のセットなど、ピンとトレースのセットを介して送信されるバイナリ値の組み合わせである可能性もあり、その結果、8つの潜在的な構成(000、010、100など)が得られる。また、システム特性は、コンピュータシステムの構成番号またはモデル識別子である可能性もあり、構成セレクタ126は、オンボードメモリ内のVRM構成のリストと相互参照できる可能性がある。したがって、システムコネクタ140のフォームファクタは、システム特性を識別するために使用される信号のタイプに基づいて変化し得る。例えば、接続部における電圧(または高電圧または低電圧)の単純な存在または不在がシステムの電力特性を識別するために使用される場合、システムコネクタ140は、その電圧を送信し得る1つまたは複数のトレースコンタクトの形態をとり得る。一方、システムの電力特性が、システムのシリアル番号、または出力数およびそれらの出力に必要な電圧範囲に基づいて識別される場合、信号コネクタクラスタのようなより複雑な接続が必要とされ得る。
【0055】
導電性コンタクト142~152は、パワーステージ102~112の各々に対する出力として機能することができる。例えば、パワーステージ102によって出力される電圧は、導電性コンタクト142とシステムボードとの間の接続を介して、コンピュータシステム全体に送信されることがある。その出力電圧がルーティングされるコンポーネントは、システム構成に依存する場合がある。例えば、パワーステージ102および104が単一の出力に組み合わされてメモリモジュールに電圧を供給する場合、導電性コンタクト142~144は、システムボード上の接続を介してそのメモリに電圧を供給することになる。
【0056】
最後に、本明細書では図示しないが、構成セレクタ126は、システムコネクタ140を介してではなく、導電性コンタクト142~152の間のインピーダンス測定に基づいてVRM構成を識別し得る。例えば、パワーステージ102~106が1つの出力(例えば、第1のプロセッサコアへの出力)に結合され、パワーステージ108が第2の出力(例えば、第2のプロセッサコアへの出力)に結合される場合、導電性コンタクト142~146は導電性コンタクト148~152とは異なるボードコンポーネントに接続されるだろう。そのため、導電性コンタクト142、144、および146間(または導電性コンタクト148、150、および152間)のインピーダンス測定は最小となるが、導電性コンタクト142、144、および146のいずれかと導電性コンタクト148、150、および152間のインピーダンス測定は著しく大きくなり得る。したがって、システムボードに差し込まれると、構成セレクタ126は、導電性コンタクト142~152の様々なペアの間でインピーダンス測定を実行して、どの導電性コンタクトが出力に結合されるかを識別し得る。そして、それらの導電性コンタクトの組み合わせは、単一のフィードバックループ122または124に一緒にグループ化されるべきパワーステージを識別するための基礎として使用され得る。
【0057】
理解を容易にするために、図1Bは、第1のシステムに取り付けられた後の構成可能なディスクリートVRMカード100の第2の図を示している。図1Bでは、コネクタタブ136および138が、システムボード158上のスロット156に挿入されている。挿入されると、導電性コンタクト140~152は、スロット156内の対応するコンタクトと接触し、システムボード158を介して第1のシステムとの通信を可能にすることができる。システムコネクタ140およびトレース154を通して、第1のシステムは、構成セレクタ126にシステム特性を送信することができる。構成セレクタ126は、次に、対応するパワーステージを正しいフィードバックループに接続する出力を選択する命令を各パワーステージ臨界信号マルチプレクサに送信することができる。これらの出力選択と接続は、図1Bにおいて、短い破線132と長い破線134の上に重ねた濃い実線を使用して描かれている。
【0058】
例えば、実線160は、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ114および116を含むパワーステージ102、104、106、および108のパワーステージ臨界信号マルチプレクサの接続出力を示している。実線160は、フィードバックループ122へのパワーステージ102から108の接続を図示する。このように、図1Bは、フィードバックループ122がVRMカード100の第1の出力を制御することになり、この出力は、パワーステージ102~108からなり、導電性コンタクト142~148を通してボード158に送信されることになることを説明している。
【0059】
一方、実線162は、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ118を含むパワーステージ110および112のパワーステージ臨界信号マルチプレクサの接続出力を示している。実線162は、フィードバックループ124へのパワーステージ110および112の接続を図示する。このように、図1Bは、フィードバックループ124がVRMカード100の第1の出力を制御することになり、この出力はパワーステージ110および112からなり、導電性コンタクト150および152を介してボード158に送信されることになることを図示する。
【0060】
図1Cは、第2のシステムに取り付けられた後の構成可能なディスクリートVRMカード100の第3の図である。図1Cに示されるように、VRMカード100は、第2のシステムのシステムボード166のスロット164に挿入されている。第1のシステムと第2のシステムとの間の電力要件の違いに起因して、構成セレクタ126によって受信されるシステム特性は、図1Bにおいて受信されるシステム特性と異なる。その結果、構成セレクタは、パワーステージ102~112を異なる出力に編成した。具体的には、図1Bに示された構成と比較して、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ116は、その出力を切り替えて、フィードバックループ122ではなく124に接続させる。その結果、VRMカード100は現在、4つのパワーステージの1つの出力と2つのパワーステージの1つの出力ではなく、それぞれ3つのパワーステージの2つの出力を提供する。具体的には、パワーステージ102~106は、現在、第1の出力においてフィードバックループ122によって制御され、パワーステージ108~112は、現在、第2の出力においてフィードバックループ124によって制御される。
【0061】
図1Bと1Cに図示された構成間の切り替えは、例えば、図1Bのシステムが1つのプロセッサダイと1つのメモリを含み、その両方がVRMカード100によって電力供給されていた場合に発生したかもしれない。プロセッサダイは、例えば、4つのパワーステージを必要としたかもしれないが、メモリは、2つのパワーステージしか必要としなかったかもしれない。しかしながら、図1Cのシステムは、それぞれが独自の出力を必要とする2つの接続されたプロセッサダイを有するプロセッサパッケージを含んでいたかもしれない。このシステムでは、個々のダイは、図1Bの単一ダイよりも小さい場合があり、したがって、3つのパワーステージは、各個々のダイに電力を供給するのに十分な場合がある。さらに、第2のシステムは、システムメモリに電力を供給するシステムボード166に組み込まれた組み込みVRMを有する場合があり、したがって、VRMカード100は、パワーステージ102~112のいずれかをシステムメモリに割く必要がないであろう。従って、パワーステージ102~112の全6個をプロセッサパッケージに充てることができる。
【0062】
図2は、構成可能なディスクリートVRMカードを使用する方法200を示す。方法200は、例えば、図1A~1CのVRMカード100、図3のVRMカード300、または図4のVRMカード400を使用して実行され得る。方法200は、ブロック202で始まり、VRMカードは、VRMカードから電力を受け取るように設計されたシステムに差し込まれる。システムに差し込まれると、ブロック204において、VRMカードはシステムの電力特性を検出する。本明細書で使用する電力特性は、システムの電力要件(例えば、出力数、それらの出力の電圧範囲)、システム識別子(例えば、モデル番号、シリアル番号)、または電力構成番号の識別(例えば、バイナリコード、構成5)を指す場合がある。この検出は、VRMカードとシステムが通信するように設計されている方法に応じて、いくつかの方法で発生し得る。
【0063】
例えば、VRMカードコネクタ上の導電性コンタクト(例えば、VRMカードのカードエッジコネクタ上のコンタクト)は、システムボード上のコンタクトとの回路を完成させることができる。その回路を流れる電圧または電流は、いくつかの実施形態では、システムの電力特性を示すことができる。これらの実施形態では、VRMカード上の構成セレクタが、その回路を流れる電圧または電流を読み取って電力特性を決定することができる。例えば、VRMカードが、3つの異なる電力要件を有する3つの異なる製品に電力を供給するように設計されている場合、それらの製品の各々は、異なる電圧範囲の構成セレクタを有する回路を形成することができる。それらの製品の1つは、0~3ボルトの間の電圧を含む回路を形成するように設計されてよく、それらの製品の2つ目は、5~8ボルトの間の電圧を含む回路を形成するように設計されてよく、それらの製品の3つ目は、10~13ボルトの間の電圧を含む回路を形成するように設計されてよい。この例では、システムが第1、第2、第3の製品のいずれであるかがシステムの電力特性であってよく、その製品で形成される回路の電圧範囲を識別することによって、構成セレクタによって識別可能であってもよい。
【0064】
別の例では、VRMカードコネクタの導電性コンタクトは、システムボード上の(またはシステムボードに搭載されたスロット内の)ピンのセットと接触する可能性がある。構成セレクタは、これらのピンのうちどれが電圧が存在する回路に接続されているか(すなわち、どのピンで電圧が検出されるか)を決定することによって、システムの電力特性を識別することができる。その決定は、システムの電力要件を識別するために使用できるコードを策定するために使用することができる。このコードまたは電力要件のいずれかは、この例では、電力特性と呼ばれ得る。例えば、VRMカードのコネクタは、システムボード上の4つのピンのセットと接触し得る。構成セレクタは、このセットの1番目と3番目のピンに測定可能なものがあると決定し、「1010」のコードを得ることができる。いくつかの実施形態では、このコードは、システムの電力要件(またはVRM構成)とコードを関連付けるテーブルとを相互参照することができる。他の実施形態では、ピンの電圧は、構成セレクタの出力を設定するために使用できる一連の論理ゲートに接続することができる。4本のピンのセットがあれば、16通りのコードの組み合わせが可能であり、16通りの出力が可能である。
【0065】
別の例では、VRMカードコネクタの導電性コンタクトが、カード上の構成セレクタとシステムボード上のメモリとの間の接続を形成することができる。構成セレクタがマイクロプロセッサの形態をとる場合、構成セレクタは、システムの電力特性として機能し得るメモリから様々な情報を要求して処理することができる。例えば、構成セレクタは、システムのシリアル番号、システムのモデル番号、VRMカードから電力を供給するために必要な出力数、ボード上のコンポーネントの電圧範囲、システムの電力ニーズに対応するVRMカード構成番号などを要求することが可能である。構成セレクタは、システムの電力要件を決定するために、これらの情報を分析することができる。
【0066】
別の例では、VRMカードコネクタは、VRMカードが接続されるコンピュータシステムに関する情報を収集することに特化したコンタクトを含まない場合がある。むしろ、構成セレクタは、VRMカードコネクタのパワーステージとコンピュータシステムとの間に形成される接続を分析することができる。例えば、VRMカードにはカードエッジコネクタに16個のコンタクトがあり、各コンタクトはVRMカード上の16個のパワーステージのうちの1つに固有である可能性がある。構成セレクタは、どのコンタクトが同じコンポーネントに接続されているかを判断するために、各コンタクト間でインピーダンス測定を行うことができる。例えば、最初の4つのコンタクトがメモリモジュールの同じセットに接続されている場合、これらの4つのコンタクト間にはほとんどインピーダンスは存在しないだろう。同様に、コンタクト5~10とコンタクト11~16の両方が別々のプロセッサに接続されている場合、コンタクト5~10のいずれかとコンタクト11~16のいずれかの間でインピーダンスはほとんど測定されないだろう。しかし、これらの範囲のうちの1つのコンタクトとこれらの範囲のうちの別のコンタクトとの間(例えば、3と6、8と13、4と12の間)では、比較的に大きなインピーダンスが測定される可能性がある。したがって、これらのインピーダンス値を測定することによって、構成セレクタは、システムが必要とする出力の数(この例では、3)およびそれぞれのためのパワーステージの数(この例では、4、6、および6)を識別し得る。これらの数値は、システムの電力特性として使用することができる。
【0067】
ブロック204でシステムの電力特性が検出される方法にかかわらず、システムの電力特性は、ブロック206で、システムの電力要件を満たすために必要となるVRMカード構成を識別するために使用され得る。これは、例えば、VRMカードの限られた数の予め定められた構成のうちの1つを選択することを含むことができる。例えば、ブロック204で検出された電力特性が、VRMが電力を供給するように設計されている2つの製品のうちの1つとしてコンピュータシステムを識別する場合、ブロック206は、その製品に対応する電力構成の識別を含むことができる。これは、システム電力特性が高(すなわち、「オン」入力)か低(すなわち、「オフ」入力)かに基づいて、構成セレクタに2つの出力のうちの1つを選択させるという単純なものでよい。他の実施形態では、ブロック206は、バイナリコード、シリアル番号、またはモデル番号を、それらの番号をVRMカード構成番号と相関させるメモリ内のテーブルと相互参照することを含み得る。
【0068】
構成セレクタがブロック206でVRMカード構成を識別すると、構成セレクタは、ブロック208で、その識別された構成に基づいてVRM命令をVRMコントローラのセットに送信することができる。これらのVRM命令のフォーマットは、VRMカードの実施形態に基づいて異なる場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、VRM命令は、電圧目標、パワーステージ割り当て、VRM命令などを含んでいてもよい。
【0069】
例えば、設定セレクタは、予め定められた電圧範囲のセットうちの1つに該当する電圧をVRMコントローラに出力することができる。VRMコントローラは、その電圧を検出し、その電圧が該当する予め定められた電圧範囲に基づいて、VRMカード上のメモリモジュールから構成ファイルをフェッチすることができる。この例では、VRMコントローラに送信されるVRM命令は、VRMコントローラに特定の構成ファイルをフェッチするよう指示する電圧の形式をとる。
【0070】
同様に、構成セレクタは、構成コードとして解釈され得る一連の電圧を出力することも可能である。例えば、構成セレクタは、それぞれが3つの電圧範囲(例えば、範囲A、B、およびC)のうちの1つに入る、特定の電圧における電力の2つのパルスを、同時にまたは連続して出力することができる。第2の範囲(例えば、範囲B)の第1の信号と第1の範囲(例えば、範囲A)の第2の信号を受信すると、VRMコントローラに構成「BA」に対応する構成ファイルをフェッチするように通知することができ、第3の範囲の第1の信号と第3の範囲の第2の信号を受信すると、VRMコントローラに構成「CC」に対応する構成ファイルをフェッチするように指示することができる。これらの構成ファイルは、各フィードバックループが制御するパワーステージと目標電圧範囲をVRMコントローラに通知することができる。
【0071】
別の例として、より複雑な構成セレクタ(例えば、ASICまたはマイクロプロセッサ)は、ブロック206でVRMカード構成を識別することに応答して、メモリモジュールから対応する構成ファイルをフェッチし、それらの命令に基づいてVRM命令をVRMコントローラに送信することもできる。いくつかのそのような実施形態では、これらのVRM命令は単にフェッチされた構成ファイルであってもよく、他の実施形態では、構成セレクタは、各VRMコントローラまたはフィードバックループに特定の命令を送信してもよい。例えば、構成セレクタは、総出力を電圧範囲1内に保つように第1のコントローラのフィードバックループに指示を送信することができ、総出力を電圧範囲2内に保つように第2のコントローラのフィードバックループに指示を送信することができる。
【0072】
ブロック206で構成セレクタがVRMカード構成を識別すると、構成セレクタは、ブロック210でパワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てを送信することができる。ブロック208で送信されるVRM命令と同様に、これらの割り当ての形式は、VRMカードの実装に基づいて変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、構成セレクタは、すべてのパワーステージ臨界信号マルチプレクサに、特定の電圧(例えば、高または低)の信号を送信することができる。その信号は、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサ回路の入力として提供されることがあり、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサに、VRMコントローラのフィードバックループの1つに対応する出力(例えば、信号のクラスタ)を「選択」させることができる。例えば、10Vの信号は、パワーステージ3のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにコントローラ1の第2のフィードバックループを選択させることがあり、同じ電圧の信号は、パワーステージ9のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにコントローラ3の第1のフィードバックループを選択させることがある。この実施形態は、例えば、VRMカードの潜在的な構成の数が少なく、事前に識別できる場合に有益である。
【0073】
別の実施形態では、構成セレクタは、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサに別個の信号を出力することができる。これは、アナログ電圧プログラマブル選択機構によって達成され得る。例えば、構成セレクタは、2V信号を第1のパワーステージ臨界信号マルチプレクサに、5V信号を第2のパワーステージ臨界信号マルチプレクサに、10V信号を第3のパワーステージ臨界信号マルチプレクサに出力することがある。この例では、すべてのパワーステージ臨界信号マルチプレクサが4つの出力を持つ可能性がある。第1の出力は0Vから3.0Vの間の信号を受信するときに選択されることができ、第2の出力は3.1Vから6.0Vの間の信号を受信するときに選択されることができ、第3の出力は6.1Vから9.0Vの間の信号を受信するときに選択されることができ、第4の出力は9.1Vから12Vの間の信号を受信するときに選択されることができる。したがって、この例では、第1のパワーステージ臨界信号マルチプレクサが第1の出力(例えば、第1のコントローラの第1のフィードバックループ)を選択し、第2のパワーステージ臨界信号マルチプレクサが第2の出力(例えば、第1のコントローラの第2のフィードバックループ)を選択し、第3のパワーステージ臨界信号マルチプレクサが第4の出力(例えば、第2のコントローラの第2のフィードバックループ)を選択するであろう。この実施形態は、例えば、VRMカードの潜在的な構成の数が多い場合、またはそれらの構成を事前に決定することができない場合に有益である。構成セレクタがブロック204でシステムの電力特性を検出したとき(またはブロック206でVRMカード構成を識別したとき)、ブロック210で個々のパワーステージ臨界信号マルチプレクサに送信される電圧を更新することにより、パワーステージの新しい組み合わせが作成でき、VRMカードの出力を更新してカスタマイズすることが可能になる。
【0074】
構成セレクタがブロック208のVRM命令とブロック210のフィードバックループ割り当てを送信すると、VRMコントローラおよびパワーステージは、一緒に動作してブロック202でVRMカードが差し込まれたシステムの電圧要件を満たす電力を出力する準備が整うはずである。したがって、その後、VRMカードは、ブロック212のVRM命令およびループ割り当てに従って動作させることができる。
【0075】
本開示を通じて、ディスクリートVRMカードの例は、様々な数のパワーステージおよびコントローラを備えて提供されてきた。そのため、パワーステージおよびコントローラの数を明示的に制限することなく、本明細書に例示した概念をディスクリートVRMカードに適用することができることを理解されたい。いくつかのユースケースでは、コントローラおよびパワーステージの数が限られていることが有益である場合がある。例えば、VRMカードが、予め定められた電力要件のセットを有する限られた数の予め定められたコンピュータシステムにのみ対応するように設計されている場合、これらの予め定められたコンピュータシステムに対応するために必要な数よりも多くのコントローラおよびパワーステージを含めると、利益をもたらすことなくVRMを設計および製造するコストを増加させることができる。同様に、このようなVRMカードは、コントローラ、パワーステージ臨界信号マルチプレクサ、および柔軟で更新可能な(例えば、新しいハードウェア命令またはファームウェア更新のインストールによる)構成セレクタの恩恵を受けない場合がある。しかし、VRMカードが、様々な不確定な電力要件を持つ不確定な数のコンピュータシステムに対応するように設計されている場合、より多くのコントローラおよびパワーステージを含むようにVRMカードを設計すると、VRMカードが将来のコンピュータシステムの電力要件に適応できる可能性が高くなり、有益であると考えられる。同様に、(例えば、構成セレクタを新しいソフトウェアで更新する、またはVRM上のメモリモジュールを新しいコンピュータシステムモデルと対応するVRM構成で更新することによって)VRMカードが将来のシステムのニーズに対応できるように設計されていることも有益である。
【0076】
図3は、VRMカードコネクタ上のコンタクトのセットによって構成可能なディスクリートVRMカード300を描いている。VRMカード300は、VRMカードが、予め定められた電力要件のセットを有する限られた数の予め定められたコンピュータシステムにのみ役立つように設計されているユースケースにおいて有益であり得る。
【0077】
例えば、VRMカード300は、対応するパワーステージ臨界信号マルチプレクサを有する8つのパワーステージ302~316を含む。VRMカード300はまた、2つのVRMコントローラ318および320を含み、それぞれ2つのフィードバックループを有する。図3には、パワーステージ306に取り付けられたマルチプレクサからの出力のみが描かれているが、これはプレゼンテーションと理解のためである。現実には、パワーステージ302~316の各々は、4つのフィードバックループの全てに接続され得る。
【0078】
VRMカード300はまた、コンタクト324および326を介して電力システム特性を検出することができる構成セレクタ322を含む。コンタクト324および326は、例えば、VRMカード300がコンピュータシステムに挿入されたときに、対応するピンに接触することがある。これらのピンは、予め定められた電圧範囲のセット内に入る電流をコンタクト324および326に伝導することができる。例えば、2つの電圧範囲のセット(例えば、0V~3Vおよび3V~6V)を予め定めることにより、コンタクト324~326は、合わせて合計4つの可能な電圧範囲の組み合わせを検出することができる。これは、例えば、VRMカード300が3つの予め定められたコンピュータシステムに電力を供給するように設計されている場合、十分であり得る。第1のコンピュータシステムは、例えば、2つの出力電圧信号(例えば、コアプロセッサに対するパワーステージ302~312、キャッシュメモリに対するパワーステージ314~316)を必要とする場合があるデスクトップシステムであってもよく、第2のコンピュータシステムは、例えば、4つの出力電力信号(例えば、それぞれ別々のメモリモジュールに対するパワーステージ302および304、パワーステージ306および308、パワーステージ310および312、およびパワーステージ314および316)を必要とし得る記憶サーバであってよく、および第3のコンピュータシステムは、1つの出力(例えば、コアプロセッサに対するパワーステージ302~316)を必要とし得る計算サーバであってもよい。
【0079】
構成セレクタ322は、出力328を使用してパワーステージ302~316の各々にフィードバックループ割り当てを提供することができ、および出力330を通じてコントローラ318および320にVRM命令を提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、構成セレクタ322は、出力328および330を通じてコンタクト324~326から受信する信号を送信してもよい。これらの実施形態では、構成セレクタ322は、スプリッタ/リピータの形態をとることができる。
【0080】
パワーステージ臨界信号マルチプレクサは、フィードバックループの割り当てを受信すると、対応するパワーステージをフィードバックループのうちの1つに接続する出力を選択することができる。VRMカード300が3つの予め定められたコンピュータシステムに電力を供給するように設計されている先の例では、出力328によって提供される電圧の第1および第3の組み合わせは、パワーステージ306をコントローラ318の第1のフィードバックループに接続させることができ、一方、電圧の第2の組み合わせはパワーステージ306をコントローラ320の第1のフィードバックループに接続させることができる。
【0081】
VRMコントローラ318および320は、出力330のVRM命令を受信し、それらのVRM命令に基づいてメモリモジュール332からVRM構成ファイルを取得することができる。VRMカード300が3つの予め定められたコンピュータシステムに電力を供給するように設計されている先の例では、出力330によって提供される電圧の第1の組み合わせは、各コントローラ318および320に第1のVRM構成ファイルをフェッチさせることがあり、電圧の第2の組み合わせは、各コントローラ318および320に第2のVRM構成ファイルをフェッチさせることがあり、電圧の第3の組み合わせは、各コントローラ318および320に第3のVRM構成ファイルをフェッチさせることがある。あるいは、各コントローラ318および320は、その個々のコントローラに固有のVRM構成ファイルをフェッチし、その結果、3つではなく、6つの可能なVRM構成ファイルが得られる場合がある。これらのVRM構成ファイルは、各フィードバックループが制御するパワーステージと、各フィードバックループが目標とする出力範囲とを各コントローラに通知することができる。
【0082】
図4は、構成セレクタチップによって構成可能なディスクリートVRMカード400を描いている。VRMカード400は、VRMカードが、様々な不確かな電力要件を有する不確かな数のコンピュータシステムに対応するように設計されているユースケースにおいて有益であり得る。例えば、VRMカード400は、多数のパワーステージ402を備え、各パワーステージ臨界信号マルチプレクサが付属するように設計されている。VRMカード400はまた、3つのVRMコントローラ404~408を備え、それぞれが2つのフィードバックループを有するように設計されている。これにより、VRMカード400には合計6つの可能な電力出力と多数のパワーステージの組み合わせが与えられる。
【0083】
VRMカード400はまた、マイクロプロセッサ構成セレクタ410および専用構成メモリモジュール412を備えるように設計されている。このマイクロプロセッサ構成セレクタ410は、多種多様な電力特性を処理し、構成メモリモジュール412内の情報と相互参照するために使用することができ、マイクロプロセッサ構成セレクタ410は、パワーステージ402のパワーステージ臨界信号マルチプレクサに様々なフィードバックループ割り当てを送信し、コントローラ404から408にVRM命令を送信することができる。マイクロプロセッサ410は、VRMカードコネクタ414に接続されている。VRMカードコネクタ414は、コンピュータシステムのメインボード(例えば、マザーボードまたはバックプレーン)上のソケット内のコンタクトとインタフェースし、そのコンピュータシステム上のメモリから電力特性を受信することができる。その電力特性は、構成番号(例えば、構成521)、コンピュータシステムのモデル番号、コンピュータシステムのシリアル番号、あるいは要求された電力要件(例えば、1.2Vの3パワーステージ出力1つ、4.2Vの8パワーステージ出力1つ、および3.0Vの4パワーステージ出力1つ)など、様々な形式をとることができる。
【0084】
VRMカードコネクタ414は、マイクロプロセッサ構成セレクタ410のファームウェアおよび構成メモリモジュール412内のファイルを更新するためにも使用することができる。例えば、VRM400によって電力供給される新しいシステムが開発された場合、VRM400は、その新しいシステムのモデル番号と、その新しいシステムに電力を供給するために必要なフィードバックループ割り当てとVRM命令とをリスト化した更新テーブルを構成メモリモジュール412にダウンロードすることによって更新され得る。
【0085】
図5は、本開示の実施形態に従って使用され得る例示的なコンピュータシステム501の代表的な主要なコンポーネントを描写している。描かれている特定のコンポーネントは、例示の目的でのみ提示されており、必ずしもそのようなバリエーションだけではない。コンピュータシステム501は、プロセッサ510、メモリ520、入力/出力インタフェース(本明細書ではI/OまたはI/Oインタフェースとも呼ばれる)530、およびメインバス540を含むことができる。メインバス540は、コンピュータシステム501の他のコンポーネントに通信経路を提供することができる。いくつかの実施形態では、メインバス540は、特殊なデジタル信号プロセッサ(図示せず)などの他のコンポーネントに接続することができる。
【0086】
コンピュータシステム501のプロセッサ510は、1つまたは複数のCPU512を含むことができる。プロセッサ510は、CPU512のための命令およびデータの一時的な記憶を提供する1または複数のメモリバッファまたはキャッシュ(図示せず)を追加的に含むことができる。CPU512は、キャッシュまたはメモリ520から提供される入力に対して命令を実行し、結果をキャッシュまたはメモリ520に出力することができる。CPU512は、本開示の実施形態と一致する1または複数の方法を実行するように構成された1または複数の回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム501は、比較的大規模なシステムに典型的な複数のプロセッサ510を含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、コンピュータシステム501は、単一のCPU512を有する単一のプロセッサであってもよい。
【0087】
コンピュータシステム501のメモリ520は、メモリコントローラ522と、データを一時的または永続的に記憶するための1または複数のメモリモジュール(図示せず)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ520は、データおよびプログラムを記憶するためのランダムアクセス半導体メモリ、記憶装置、または記憶媒体(揮発性または不揮発性のいずれか)を含むことができる。メモリコントローラ522は、プロセッサ510と通信して、メモリモジュールにおける情報の記憶および検索を容易にすることができる。メモリコントローラ522は、I/Oインタフェース530と通信し、メモリモジュールにおける入力または出力の記憶および検索を容易にすることができる。いくつかの実施形態において、メモリモジュールは、デュアルインラインメモリモジュールであってもよい。
【0088】
I/Oインタフェース530は、I/Oバス550、端末インタフェース552、ストレージインタフェース554、I/Oデバイスインタフェース556、およびネットワークインタフェース558を含むことができる。I/Oインタフェース530は、メインバス540をI/Oバス550に接続してもよい。I/Oインタフェース530は、プロセッサ510およびメモリ520からの命令およびデータを、I/Oバス550の様々なインタフェースに指示することができる。I/Oインタフェース530はまた、I/Oバス550の様々なインタフェースからプロセッサ510およびメモリ520に命令およびデータを指示することができる。様々なインタフェースは、端末インタフェース552、ストレージインタフェース554、I/Oデバイスインタフェース556、およびネットワークインタフェース558を含むことができる。いくつかの実施形態では、様々なインタフェースは、前述のインタフェースのサブセットを含んでもよい(例えば、産業アプリケーションの組み込みコンピュータシステムは、端末インタフェース552およびストレージインタフェース554を含まなくてもよい)。
【0089】
メモリ520、プロセッサ510、およびI/Oインタフェース530を含むがこれらに限定されない、コンピュータシステム501全体の論理モジュールは、1または複数のコンポーネントに対する障害および変更をハイパーバイザーまたはオペレーティングシステム(図示せず)に伝達し得る。ハイパーバイザーまたはオペレーティングシステムは、コンピュータシステム501で利用可能な様々なリソースを割り当て、メモリ520内のデータの位置および様々なCPU512に割り当てられた処理の位置を追跡してもよい。要素を組み合わせたり再配置したりする実施形態では、論理モジュールの能力の側面が組み合わせられる、または再分配されることがある。これらの変形は、当業者には明らかであろう。
【0090】
本発明は、任意の可能な技術詳細レベルで統合されたシステム、方法もしくはコンピュータプログラム製品またはそれらの組み合せとすることができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。
【0091】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって使用される命令を保持し、記憶することができる有形の装置とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、限定はされないが、一例として、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置またはこれらの適切な組み合わせであってよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な一例としては、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、RAM、ROM、EPROM(またはフラッシュメモリ)、SRAM、CD-ROM、DVD、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは溝内の隆起構造などに命令を記録した機械的に符号化された装置、およびこれらの適切な組み合せが挙げられる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶装置は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを介して送信される電気信号のような、一過性の信号それ自体として解釈されるべきではない。
【0092】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理装置に、または、ネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、もしくはワイヤレスネットワークまたはその組み合わせ)を介して外部コンピュータまたは外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバー、無線伝送、ルーター、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、もしくはエッジサーバーまたはその組み合わせで構成される。各コンピューティング/処理装置のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に格納するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0093】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、統合回路のための構成データ、またはSmalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語と「C」プログラミング言語や類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、完全にユーザのコンピュータ上で、または部分的にユーザのコンピュータ上で実行可能である。あるいは、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータまたはサーバ上で実行可能である。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され、または(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用したインターネット経由で)外部コンピュータに接続されてよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0094】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図またはその両方を参照して本明細書に記載されている。フローチャート図もしくはブロック図またはその両方の各ブロック、およびフローチャート図もしくはブロック図またはその両方のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されよう。
【0095】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令がフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を生成するように、機械を生成するためにコンピュータのプロセッサまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に提供されることができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為の態様を実装する命令を含む生成品の1つを命令が記憶されたコンピュータ可読プログラム命令が構成するように、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、もしくは特定の方法で機能する他のデバイスまたはその組み合わせに接続可能なコンピュータ可読記憶媒体の中に記憶されることができる。
【0096】
コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上でフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/行為を実行する命令のように、コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスにロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で一連の操作ステップを実行し、コンピュータ実装された過程を生成することができる。
【0097】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品が実行可能な実装の構成、機能、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表してよく、これは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を構成する。いくつかの代替の実施形態では、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序とは異なる場合がある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、1つのステップとして達成される場合があり、同時に、実質的に同時に、部分的または全体的に時間的に重複する方法で実行されるか、またはブロックは、関係する機能に応じて逆の順序で実行される場合がある。ブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の各ブロック、およびブロック図もしくはフローチャート図またはその両方のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行する、または特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する特別な目的のハードウェアベースのシステムによって実装できることにも留意されたい。
【0098】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものではなく、開示される実施形態に限定されることを意図するものでもない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者が本明細書に記載の実施形態を理解できるようにするために選択された。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VRMコントローラのセットであって、前記セットは、2つのフィードバックループを有するVRMコントローラを含む、VRMコントローラのセットと、
パワーステージと、
パワーステージ臨界信号マルチプレクサであって、前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサの出力は、前記パワーステージが通信するフィードバックループを決定する、パワーステージ臨界信号マルチプレクサと、
構成セレクタであって、前記構成セレクタは、前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサのフィードバックループの割り当てを決定し、前記VRMコントローラにVRM命令を提供する、構成セレクタと、
を含む、ディスクリート電圧調整モジュール(VRM)カード。
【請求項2】
前記構成セレクタは、前記フィードバックループの割り当てを前記VRMコントローラに提供し、前記VRMコントローラは、前記フィードバックループの割り当ておよびVRM命令に基づいて構成ファイルをロードする、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項3】
前記構成セレクタは、前記フィードバックループの割り当てを前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサに提供する、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項4】
前記構成セレクタは、前記ディスクリートVRMカードが接続されたコンピュータシステムからシステムの電力特性を受信するように構成され、前記フィードバックループの割り当ておよびVRM命令は、前記システムの電力特性に基づく、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項5】
前記構成セレクタは、マルチプレクサである、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項6】
前記フィードバックループの割り当ては、予め定められた電圧範囲内の電圧信号である、請求項4に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項7】
前記VRM命令は、電圧信号の組み合わせである、請求項4に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項8】
前記構成セレクタは、FPGAである、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項9】
前記構成セレクタは、マイクロプロセッサである、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項10】
前記VRM命令は、構成ファイルを含む、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項11】
前記VRM命令は、
前記フィードバックループが通信するパワーステージのセットと、
電圧範囲と、
を含む、請求項1に記載のディスクリートVRMカード。
【請求項12】
電圧調整モジュール(VRM)カードをコンピュータシステムのシステムボードに差し込むことと、
前記VRMカードによって、前記コンピュータシステムの電力特性を検出することと、
前記VRMカードによって、前記電力特性に基づいて、VRMカード構成を識別することと、
前記VRMカードによって、前記識別に基づいて、前記VRMカード上のVRMコントローラのセットにVRM命令を送信することと、
前記VRMカードによって、前記識別に基づいて、前記VRMカード上のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てのセットを送信することと、
前記VRM命令とフィードバックループの割り当てに従って前記VRMカードを操作することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記VRM命令は、構成ファイルを識別する信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電力特性は、予め定められた電圧範囲内の電圧信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記VRM命令を前記送信することは、前記電圧信号をVRMコントローラの前記セットに送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記電力特性は、前記コンピュータシステムのモデル番号である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記識別することは、前記電力特性と、前記VRMカード上のメモリモジュール上のVRMカード構成のリストとを相互参照することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記電力特性を検出することは、前記VRMカード上のパワーステージのセットと前記コンピュータシステム内のコンポーネントのセットとの間の接続を形成するコンタクトのセットに対してインピーダンス測定を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令をその中に実装したコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記プログラム命令は、電圧調整モジュール(VRM)カードによって実行可能であり、前記VRMカードに、
前記VRMカードがコンピュータシステムに挿入されていることを検出することと、
前記コンピュータシステムの電力特性を検出することと、
前記電力特性に基づいて、VRMカード構成を識別することと、
前記識別に基づいて、前記VRMカード上のVRMコントローラにVRM命令を送信することと、
前記識別に基づいて、前記VRMカード上のパワーステージ臨界信号マルチプレクサにフィードバックループの割り当てを送信することと、
を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記フィードバックループの割り当ては、前記VRMコントローラに送信される、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
前記フィードバックループの割り当ては前記パワーステージ臨界信号マルチプレクサに送信される、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
電力特性を検出することは、
前記VRMカードに送信される電圧信号のセットを読み取ることと、
電圧信号の前記セットにおける各電圧信号を、予め決められた電圧範囲のセットにおける電圧範囲に分類することと、
前記分類に基づいて、VRM構成番号を形成することと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
前記VRM構成番号は、電圧信号の前記セットを表す電圧範囲のリストを含む、請求項2に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記電力特性は、要求された電力出力のセットと、要求された電力出力の前記セット内の各電力出力に対する電力要求とを含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記プログラム命令は、さらに、前記VRMカードに、
前記VRMカードにおいて、電力特性とVRMカード構成を相関させる更新されたリストを受信することと、
前記更新されたリストを前記VRMカード上のメモリモジュールに保存することと、
を実行させる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】