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特表2023-553955検証済み分析物測定値を提供するための干渉モニタリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】検証済み分析物測定値を提供するための干渉モニタリング
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20231219BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20231219BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20231219BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20231219BHJP
【FI】
G01N30/86 J
G01N30/72 C
G01N30/88 C
G01N30/86 B
G01N27/62 X
G01N27/62 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535524
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021085314
(87)【国際公開番号】W WO2022123061
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】20213481.3
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】インテルマン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハイス、ペーター
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041AA08
2G041EA04
2G041EA12
2G041FA10
2G041FA22
2G041FA23
2G041GA09
2G041HA01
2G041JA05
2G041LA08
2G041MA05
(57)【要約】
本発明は、クロマトグラフィ質量分析装置を用いて試料の検証済み分析物測定値を提供するための方法であって、前記方法は、以下のステップ:a)干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物を試料に混合するステップと、b)前記干渉物モニタリング化合物、前記分析物、および任意に前記内部標準物についての経時的な信号強度についての複数のデータ点を取得することによって、試料のクロマトグラムを決定するステップと、c)干渉物モニタリング化合物ピークの特性を内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較するステップと、を含む、方法、およびそれに関連する方法およびシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィ質量分析装置を用いて試料の検証済み分析物測定値を提供するための方法であって、以下のステップ:
a)干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物を前記試料に混合するステップと、
b)前記干渉物モニタリング化合物、前記分析物、および任意に前記内部標準物についての経時的な信号強度についての複数のデータ点を取得することによって、前記試料のクロマトグラムを決定するステップと、
c)干渉物モニタリング化合物ピークの特性を内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記内部標準物が前記分析物のアイソトポログであり、かつ/または前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、前記クロマトグラムが、(I)前記分析物、前記内部標準物、および前記干渉物モニタリング化合物の間で同一でない信号、(II)前記内部標準物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一であり、かつ前記分析物と前記内部標準物との間で同一でない信号、(III)前記分析物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一でない信号、(IV)前記内部標準物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一でない信号、または(V)前記分析物と前記干渉物との間で同一である信号に基づいて決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が前記試料に混合され、前記干渉物モニタリング化合物および前記内部標準物が同位体標識されており、一実施形態では、前記内部標準物が前記分析物のアイソトポログであり、かつ/または前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、前記クロマトグラムが、前記分析物、前記内部標準物、および前記干渉物モニタリング化合物の間で同一でない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、前記内部標準物ピークの前記特性が、前記干渉物モニタリング化合物ピークの前記特性と比較される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が前記試料に混合され、前記干渉物モニタリング化合物および前記内部標準物が同位体標識されており、一実施形態では、前記内部標準物が前記分析物のアイソトポログであり、かつ/または前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、前記クロマトグラムが、前記内部標準物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一であり、かつ前記分析物と前記内部標準物との間で同一でない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、前記内部標準物ピークの前記特性が、前記干渉物モニタリング化合物ピークの前記特性と比較される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物が前記試料に混合され、前記干渉物モニタリング化合物が同位体標識されており、一実施形態では、前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、前記クロマトグラムが、前記分析物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一ではない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、前記分析物ピークの前記特性が、前記干渉物モニタリング化合物ピークの前記特性と比較されるか、
または
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が前記試料に混合され、前記内部標準物が同位体標識されており、一実施形態では、前記内部標準物が前記分析物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、前記クロマトグラムが、前記内部標準物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一でない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、前記内部標準物ピークの前記特性が、前記干渉物モニタリング化合物ピークの前記特性と比較されるか、
または
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物が前記試料に混合され、
B)ステップb)において、前記クロマトグラムが、前記分析物と前記干渉物モニタリング化合物との間で同一である信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、前記分析物ピークの前記特性が、前記干渉物モニタリング化合物ピークの前記特性と比較される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、少なくとも1つの干渉物モニタリング化合物ピーク、少なくとも1つの分析物ピーク、および任意に少なくとも1つの内部標準物ピークのピーク識別を実行することをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップc)における前記比較が、前記分析物ピークと前記干渉物モニタリング化合物ピークとの間または前記内部標準物ピークと前記干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能を決定することを含み、一実施形態では、分解能が、それぞれのピークの保持時間および半値全幅値に基づいて、さらなる実施形態では、式(1)
式中、R=分解能、
1=第1のピークの保持時間、
2=第2のピークの保持時間、
1=第1のピークの半値全幅、および
2=第2のピークの半値全幅
に従って計算される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、比較ステップc)に基づいて検証済み分析物測定値を提供する追加のステップd)を含み、一実施形態では、前記分析物ピークと前記干渉物モニタリング化合物ピークとの間または前記内部標準物ピークと前記干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能が1.5よりも高く、一実施形態では2よりも高い場合、前記分析物測定値が許容される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記干渉物が、前記分析物の異性体であり、一実施形態では前記分析物の立体異性体であり、さらなる実施形態ではジアステレオマー、エナンチオマー、またはシス-トランス異性体である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記分析物がビタミンDであり、一実施形態では、前記干渉物がエピ-ビタミンDであるか、または前記分析物がテストステロンであり、一実施形態では、前記干渉物がエピテストステロンである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、日常的な分析物測定および/または干渉チェックおよび/または干渉モニタリングの方法である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
試料中の分析物のクロマトグラフィ質量分析(MS)測定の品質管理の方法であって、
A)前記クロマトグラフィ質量分析装置を使用して前記試料中の前記分析物を測定し、少なくとも1つのクロマトグラムを決定するステップと、
B)請求項1から12のいずれか一項に記載の方法に従って前記分析物測定値を検証するステップと、
C)ステップB)の結果に基づいて前記クロマトグラフィ質量分析(MS)測定の品質を評価するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
試料中の少なくとも1つの分析物の量を決定するためのシステムであって、
(I)少なくとも1つのクロマトグラフィ質量分析装置であって、前記クロマトグラフィ質量分析装置が、前記試料中の前記分析物を測定し、経時的にデータ点を取得するように構成されており、一実施形態では、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップb)を実行するように構成されている、少なくとも1つのクロマトグラフィ質量分析装置と、
(II)少なくとも1つの評価装置であって、前記評価装置が、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)を実行するように構成されている、少なくとも1つの評価装置と
を備える、システム。
【請求項15】
前記システムが、請求項13に記載の品質管理のための方法を実行するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィ質量分析装置を用いて試料の検証済み分析物測定値を提供するための方法であって、前記方法は、以下のステップ:a)干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物を試料に混合するステップと、b)前記干渉物モニタリング化合物、前記分析物、および任意に前記内部標準物についての経時的な信号強度についての複数のデータ点を取得することによって、試料のクロマトグラムを決定するステップと、c)干渉物モニタリング化合物ピークの特性を内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較するステップと、を含む、方法、およびそれに関連する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィ-MSアッセイの場合、ピーク面積の比は、計算または検証を得るための一般的な方法である。それらは、CLSI(臨床・検査標準協会)、EMA(欧州医薬品庁)、またはGTFCh(ドイツ毒物学法化学会)などによる質量分析アッセイの検証のためのいくつかの国際ガイドラインの一部である。アッセイの品質保証のために、分析実行前に測定された添加化合物を用いた非抽出システム適合性試験は、目標値からの最小絶対ピーク面積または最大保持時間偏差などの許容要件を満たさなければならない。分析試験シリーズ内では、品質管理(QC)試料は、その後に特定の頻度で試験され、計算結果が許容範囲に対してチェックされる。さらに、保持時間、ピーク幅(ピーク境界間の保持時間差によって与えられる)、内部標準物(ISTD)の絶対ピーク面積、および分析物の定量器/確認器ピーク面積比は、通常、各試料においてモニタリングされ、最大偏差または特定のカットオフ値の許容要件を満たすべきである。
【0003】
それにもかかわらず、試料中に存在してもしなくてもよい特定の干渉物は、クロマトグラフィ-MSにおいて目的の分析物から分離することが困難であることは周知である。これらは、特に、例えば目的の分析物の分解生成物として生じ得るジアステレオマーまたはエナンチオマーなどの構造的に類似した化合物である。
【0004】
さらに、分析的実行の品質は、カラムのエージング効果、マトリックス効果、試料特異的干渉などの制御が困難な要因によって影響を受ける可能性があり、そのため、特定の分析的実行が干渉のないものであったかどうかを確認することは通常不可能であるが、むしろこれは、上述した品質保証測定から推定されなければならない。
【0005】
解決すべき課題
したがって、日常的な分析LC-MS測定の品質管理のための改善された方法が非常に望ましい。
【発明の概要】
【0006】
概要
上記の課題は、独立請求項の特徴を有する方法、システム、コンピュータプログラム製品、コンピュータまたはコンピュータネットワーク、コンピュータロード可能データ構造、コンピュータプログラム、および記憶媒体によって対処される。単独の方式または任意の恣意的な組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
したがって、本発明は、クロマトグラフィ質量分析装置を用いて試料の検証済み分析物測定値を提供するための方法であって、前記方法が、以下のステップ:
a)干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物を試料に混合するステップと、
b)前記干渉物モニタリング化合物、前記分析物、および任意に前記内部標準物についての経時的な信号強度についての複数のデータ点を取得することによって、試料のクロマトグラムを決定するステップと、
c)干渉物モニタリング化合物ピークの特性を内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較するステップと
を含む、方法に関する。
【0008】
一般に、本明細書で使用される用語は、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、別途指示がない限り、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。以下で使用される場合、「有する(have)」、「備える(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、包括的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。また、当業者によって理解されるように、「を備える(comprising a)」および「を備える(comprising an)」という表現は、好ましくは「1つまたは複数を備える(comprising one or more)」を指し、すなわち「少なくとも1つを備える(comprising at least one)」と等価である。本発明の方法では、示された方法ステップは、当業者によって適切と考えられる任意の順序で実行されてもよいが、一実施形態では、示された順序で実行される。
【0009】
さらに、以下で使用される場合、用語「好ましくは(preferably)、「より好ましくは(more preferably)」、「最も好ましくは(most preferably)」、「特に(particularly)」、「より特には(more particularly)、「具体的には(specifically)」、「より具体的には(more specifically)」、または同様の用語は、さらなる可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「一実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明のさらなる実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、およびそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、関連分野において一般に認められている技術的精度を有する表示値に関し、好ましくは表示値±20%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%に関する。さらに、「本質的に」という用語は、示された結果または使用に影響を及ぼす偏差が存在しない、すなわち、潜在的な偏差が、示された結果を±20%を超えて、より好ましくは±10%を超えて、最も好ましくは±5%を超えて偏差させないことを示す。したがって、「から本質的になる」とは、特定された成分を含むが、不純物として存在する材料、成分を提供するために使用されるプロセスの結果として存在する不可避の材料、および本発明の技術的効果を達成すること以外の目的のために添加される成分を除く他の成分を除外することを意味する。例えば、「から本質的になる」という語句を使用して定義される組成物は、任意の既知の許容される添加剤、賦形剤、希釈剤、担体などを包含する。好ましくは、一組の成分から本質的になる組成物は、5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の特定されていない成分を含む。本明細書で言及されるように、測定および計算されたパラメータは、例示的な基準で説明される。当業者が理解するように、パラメータは、標準的な数学的演算、特に乗算、除算、加算、減算、逆数形成、スケーリング、および当業者に知られている他の演算によって変更されてもよい。一実施形態では、特に同じ数学的演算を適用することによって、基準がそれに応じて調整される。測定および計算されたパラメータはまた、スコアの計算に使用されてもよく、スコアの計算は、任意に重み付けされてもよい1つまたは複数のパラメータ値に基づいて、かつ/または特に上記のようなさらなる数学的演算、例えばスケーリングによって計算されてもよい。
【0011】
検証済み分析物測定を提供するための方法は、インビトロ法である。さらに、本方法は、先に明示的に述べられたものに加えて、複数のステップを含んでもよい。例えば、さらなるステップは、例えば、ステップa)のための試料の提供、またはステップb)および/またはc)のさらなる計算に関連してもよい。また、一実施形態では、本方法は、少なくとも1つの干渉物モニタリング化合物ピークおよび少なくとも1つの分析物ピークのピーク識別を実行するさらなるステップb1)を含む。一実施形態では、前記ステップb1)は、少なくとも1つの内部標準物ピークのピーク識別を実行することをさらに含む。さらなる実施形態では、本方法は、干渉物モニタリング化合物ピークの少なくとも1つの特性、内部標準物ピークの少なくとも1つの特性および/または分析物ピークの少なくとも1つの特性を決定するステップb2)をさらに含む。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数は、自動化された機器によって支援または実行されてもよい。一実施形態では、特にステップb)およびc)、ならびに任意にb1)およびb2)は、本明細書の他の箇所で規定されるように、評価装置として構成され得るプロセッサ、特にコンピュータによって実行される。一実施形態では、検証済み分析物測定値を提供するための方法は、ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および分析物、ならびに任意に内部標準物についての複数のデータ点を取得するステップをさらに含む。一実施形態では、本方法は、比較ステップc)に基づいて検証済み分析物測定値を提供するステップd)をさらに含む。したがって、検証済み分析物測定値を提供するための方法は、典型的には、一実施形態では、試料中の分析物測定の日常的な方法の一部である品質管理方法であり、一実施形態では、日常的な分析物測定および/または干渉チェックおよび/または干渉モニタリングの方法である。
【0012】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、試料中で決定される任意の化合物または化合物群に関する。一実施形態では、分析物は、高分子、すなわち1000uを超える(すなわち、1kDaを超える)分子質量を有する化合物である。さらなる実施形態では、分析物は、生物学的高分子、特にポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、または前述のいずれかの断片である。一実施形態では、分析物は、小分子化合物、すなわち最大1000u(1kDa)の分子質量を有する化合物である。さらなる実施形態では、分析物は、被験者、特にヒト被験者の身体によって代謝される化学化合物であるか、または被験者の代謝の変化を誘導するために被験者に投与される化合物である。さらなる実施形態では、分析物は、被験者の代謝産物である。したがって、一実施形態では、分析物は、乱用薬物またはその代謝産物、例えばアンフェタミン、コカイン、メタドン、エチルグルクロニド、硫酸エチル、オピエート、特にブプレノルフィン、6-モノアカチルモルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、モルヒネ、モルフィン-3-グルクロニド、および/またはトラマドール、および/またはオピオイド、特にアセチルフェンタニル、カルフェンタニル、フェンタニル、ヒドロコドン、ノルフェンタニル、オキシコドン、および/またはオキシモルホンである。一実施形態では、分析物は、治療薬、例えばバルプロ酸、クロナゼパム、メトトレキサート、ボリコナゾール、ミコフェノール酸(合計)、ミコフェノール酸-グルクロニド、アセトアミノフェン、サリチル酸、テオフィリン、ジゴキシン、免疫抑制薬、特にシクロスポリン、エベロリムス、シロリムス、および/またはタクロリムス、鎮痛薬、特にメペリジン、ノルメペリジン、トラマドール、および/またはO-デスメチル-トラマドール、抗生物質、特にゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、バンコマイシン、ピペラシリン(タゾバクタム)、メロペネム、および/またはリネゾリド、抗てんかん薬、特にフェニトイン、バルポール酸、遊離フェニトイン、遊離バルプロ酸、レベチラセタム、カルバマゼピン、カルバマゼピン-10、11-エポキシド、フェノバルビタール、プリミドン、ガバペンチン、ゾニサミド、ラモトリギンおよび/またはトピラマートである。一実施形態では、分析物は、ホルモン、特にコルチゾール、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン、アルドステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、ジヒドロテストステロン、および/またはコルチゾンである。一実施形態では、試料は、血清または血漿試料であり、分析物は、コルチゾール、DHEA-S、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン、アルドステロン、DHEA、ジヒドロテストステロン、および/またはコルチゾンである。一実施形態では、試料は、唾液試料であり、分析物は、コルチゾール、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン、アンドロステンジオン、および/またはコルチゾンである。一実施形態では、試料は、尿試料であり、分析物は、コルチゾール、アルドステロンおよび/またはコルチゾンである。一実施形態では、分析物は、ビタミンであり、一実施形態ではビタミンD、特にエルゴカルシフェロール(ビタミンD2)および/またはコレカルシフェロール(ビタミンD3)またはそれらの誘導体、例えば25-ヒドロキシ-ビタミン-D2、25-ヒドロキシ-ビタミン-D3、24,25-ジヒドロキシ-ビタミン-D2、24,25-ジヒドロキシ-ビタミン-D3、1,25-ジヒドロキシ-ビタミン-D2および/または1,25-ジヒドロキシ-ビタミン-D3である。一実施形態では、分析物は、ビタミンDまたはテストステロンである。
【0013】
「分析物測定値を提供する」という用語は、試料中の分析物の量を決定することに関するデータを提供するありとあらゆる測定に関連すると当業者に理解されている。したがって、一実施形態では、分析物測定値を提供することは、分析物決定に関するデータを提供すること、および/または本明細書で以下に規定される測定検証に関するデータを提供することを含む。本明細書で使用される場合、分析物測定値を提供するという用語は、本明細書の他の箇所で規定されるように、クロマトグラフィ質量分析装置のクロマトグラフィユニット上の分析物のクロマトグラフィに基づく分析物の決定に関する。一実施形態では、この用語は、試料中の分析物の量の定性的、半定量的、または定量的決定を含み、一実施形態では、試料中の分析物の量の定量的決定に関する。クロマトグラフィによって、一実施形態ではクロマトグラフィ-MSによって分析物の量を決定する方法は、原則として当業者に公知である。一実施形態では、本方法は、分析物のピーク面積(分析物ピーク面積)を決定することによって、試料中の分析物の量を定量的に決定することを含む。一実施形態では、さらに内部標準物のピーク面積(ISピーク面積)が決定され、分析物ピーク面積とISピーク面積との比が決定され、一実施形態では、前記比が較正関数と比較され、それによって濃度値が決定される。対応する方法は、当業者に知られている。しかしながら、一実施形態では、分析物測定値を提供することは、一実施形態では、本明細書で以下に規定されるように、前記分析物測定値を検証するためのデータを決定することも含んでもよく、実施形態では決定することからなってもよく、したがって、試料中の分析物の量の定性的、半定量的、または定量的な決定を欠く場合がある。これは、例えば、本明細書で以下に規定される検証において測定値が拒否されることが判明した場合に当てはまり得る。
【0014】
本明細書で使用される「検証済み分析物測定値を提供する」という用語は、非分析物化合物による干渉のリスクが評価されるか、または評価され得るか、一実施形態では定量される分析物測定値を提供することに関する。したがって、検証済み分析物測定値を提供することは、分析物測定値が拒絶されたと決定すること、すなわち、分析物測定値が干渉物によって混同されたリスクが許容できないほど高いと決定することであり得る。または、分析物測定値が許容されると決定すること、すなわち、分析物測定値が干渉物によって混同されたリスクが許容されるか、またはそのようなリスクがないと決定することであってもよい。一実施形態では、検証済み分析物測定値を提供することは、干渉物による干渉を排除することを含み、一実施形態では、本明細書で以下に規定される干渉物による干渉を排除することを含み、すなわち、一実施形態では、検証済み分析物測定値は、分析物測定値が干渉物によって混同されなかったことが保証される測定値であり、すなわち、許容された分析物測定値である。したがって、一実施形態における分析物測定の検証は、分析が、存在する場合、少なくとも所定の許容可能な程度まで、一実施形態では分析物の信頼できる測定を可能にする程度まで、潜在的な干渉物から分析物を分離したかどうかを評価することに関する。上記に従って、検証済み分析物測定値を提供するための方法は、分析物測定値を提供するさらなるステップに先行してもよく、それを含んでもよく、かつ/またはそれに続いてもよい。しかしながら、分析物測定値が拒否された場合、検証済み分析物測定を提供することは、測定値の拒否を報告することのみを含んでもよいが、例えば、分析物の量を決定および/または報告することを欠いてもよいことが理解されよう。一実施形態では、本明細書で以下に記載される式(1)に従って計算された分析物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間または内部標準物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能が1.5よりも高く、一実施形態では2よりも高い場合、分析物測定値が許容される。そのような十分な分離のための可能な他の基準も本明細書の他の箇所に提供される。一実施形態では、分析物測定が許容されない場合、分析物測定値は報告されず、分析物測定値は、拒否されないとしてフラグが立てられ、かつ/またはクロマトグラフィ装置は、試料タイプの分析物の測定に適していないとしてフラグが立てられる。
【0015】
「クロマトグラフィ-MS装置」と略される「クロマトグラフィ質量分析装置」という用語は、当業者によって理解される。一実施形態では、この用語は、クロマトグラフィと質量分析(MS)との組み合わせを実施するように構成された装置に関する。したがって、装置は、一実施形態では、少なくとも1つのクロマトグラフィユニットおよび少なくとも1つのMSユニットを備え、クロマトグラフィユニットおよびMSユニットは、少なくとも1つのインターフェースを介して結合される。クロマトグラフィユニットは、一実施形態では、液体クロマトグラフィ(LC)ユニット、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニット、キャピラリー電気泳動クロマトグラフィユニット、またはイオン移動度クロマトグラフィユニットであり、さらなる実施形態では、LCユニットである。前述のクロマトグラフィタイプは、主要なクロマトグラフィ-MS方法および装置と同様に、当業者に公知である。本明細書で使用される場合、「液体クロマトグラフィ(LC)ユニット」という用語は、一実施形態では、質量分析装置を用いて1つまたは複数の分析物を検出するための実施形態では、液体クロマトグラフィを介して試料の1つまたは複数の目的の分析物を試料の他の成分から分離するように構成された分析モジュールに関する。LCは、当業者によって適切と考えられる任意の分離原理に基づいてもよい。一実施形態では、LCは、逆相クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、アフィニティークロマトグラフィ、またはキラルクロマトグラフィである。さらなる実施形態では、LCは、逆相クロマトグラフィである。LC装置は、少なくとも1つのLCカラムを備え得る。例えば、LC装置は、シングルカラム型のLC装置であってもよく、複数のLCカラムを有するマルチカラム型のLC装置であってもよい。LCカラムは、目的の分析物を分離および/または溶出および/または移送するために移動相が圧送される固定相を有し得る。LCユニットは、少なくとも1つの高速液体クロマトグラフィ(HPLC)ユニットおよび/または少なくとも1つのマイクロ液体クロマトグラフィ(μLC)装置であり得るか、またはそれを備え得る。本明細書で使用される場合、「質量分析ユニット」という用語は、一実施形態では、分析物、干渉物モニタリング化合物、もしくは内部標準物、またはそれらの断片の質量電荷比(m/z)に基づいて少なくとも1つの分析物を検出するように構成された質量分析器に関する。質量分析ユニットは、少なくとも1つの四重極質量分析装置であり得るか、またはそれを備え得る。LCユニットとMSユニットとを結合するインターフェースは、分子イオンを生成し、分子イオンを気相に移動させるように構成された少なくとも1つのイオン化源を備え得る。一実施形態では、MSユニットは、タンデム質量分析(MS/MS)ユニット、さらなる実施形態ではトリプル四重極MS/MS、さらなる実施形態では多重反応モニタリング(MRM)モードである。
【0016】
本方法のステップa)によれば、干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物が、分析される試料に混合される。「混合」という用語は、使用されるクロマトグラフィ-MSプロトコルによるそのまたはそれらの検出を可能にする方法で、干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物を試料に添加することに関すると当業者によって理解される。混合は、任意の試料調製ステップの前、間および/または後であってもよい。干渉物モニタリング化合物および任意の内部標準物は、同時にまたは付随して添加されてもよく、一実施形態では、同時に混合される。しかしながら、干渉物モニタリング化合物は、クロマトグラフィの直前に混合されてもよく、内部標準物は、例えば任意の試料調製ステップの前に混合されてもよいことも想定される。したがって、試料には、内部標準物が添加されてもよい。干渉物モニタリング化合物および任意の内部標準物は、所定の濃度で試料に添加され得る。干渉物モニタリング化合物および任意の内部標準物の濃度は同一でなくてもよく、予め決定されてもよく、それぞれ干渉物および分析物の想定濃度よりも有意に高くてもよい。
【0017】
「干渉物」という用語は、試料中に存在する可能性があり、クロマトグラフィ-MS装置上の分析物の正確な決定を妨げる可能性がある任意の化合物に関するように広義に本明細書で使用される。したがって、一実施形態における干渉物は、試料中に潜在的に存在することが知られているまたは疑われる化合物であり、したがって、誤解を避けるために、干渉物は特定の試料中に存在する必要はない。したがって、一実施形態では、検証済み分析物測定値を提供するための方法は、存在するならば分析中に干渉物が分析物から分離されたであろうかどうかの評価を提供し、干渉物が試料中に実際に存在したかどうかに関する情報を必ずしも提供しない。したがって、一実施形態では、干渉物は、所与の分析プロトコルで分析物から分離することが最も困難な化合物または化合物の1つであるように選択される。したがって、干渉物が存在する場合、干渉物から分離されたであろうことを検証することは、一実施形態では、分析物測定値が干渉物化合物によって混同されなかったことを示すとみなされる。すなわち、一実施形態では、干渉物は、干渉の代理マーカーとして使用される。干渉物は、一実施形態では、分析物と同様の物理化学的特性を有し、さらなる実施形態では、クロマトグラフィにおける分析物と同様または同一の溶出特性を有し、かつ/またはMSにおける同様または同一の断片化パターンを有する。一実施形態では、干渉物は、分析プロトコルにおいて使用されるクロマトグラフィにおいて、分析物の保持時間±20%に対応する、一実施形態では±10%に対応する保持時間を有する化合物である。一実施形態では、干渉物は、分析物の同重体化合物である。一実施形態では、分析プロトコルにおいて使用されるクロマトグラフィにおける分析物ピークと干渉ピークとの間の分解能は、3未満であり、一実施形態では2未満であり、さらなる実施形態では1から3であり、一実施形態では1.5から2.5である。一実施形態では、干渉物は、分析物と構造的に類似した化合物であり、さらなる実施形態では、分析物の異性体であり、さらなる実施形態では、分析物の立体異性体であり、さらなる実施形態では、ジアステレオマー、エナンチオマー、またはシス-トランス異性体である。一実施形態では、ジアステレオマーは、エピマーまたはアノマーであり、一実施形態ではエピマーである。したがって、一実施形態では、分析物は、ビタミンDであり、一実施形態では、干渉物は、エピ-ビタミンDである。また、一実施形態では、分析物は、テストステロンであり、一実施形態では、干渉物は、エピテストステロンである。
【0018】
本明細書で使用される場合、「干渉物モニタリング化合物」という用語は、干渉物と同様の、一実施形態では同一の物理化学的特性を有する化合物に関する。したがって、一実施形態では、干渉物モニタリング化合物は、干渉物化合物と比較して、類似の化学構造、さらなる実施形態では同一の化学構造を有する。一実施形態では、干渉物モニタリング化合物は、干渉物化合物またはその同位体標識誘導体であり、さらなる実施形態では、干渉物化合物のアイソトポログである。したがって、干渉されるのがエピ-ビタミンDである場合、干渉物モニタリング化合物は、135-25-ヒドロキシ-ビタミンD3エピマー、13C-エピ-ビタミンD、または23-エピ-ビタミンD(「D3-エピ-ビタミンD」)であり得る。また、一実施形態では、干渉物がエピテストステロンである場合、干渉物モニタリング化合物は、エピテストステロン-133またはエピテストステロン-D3であり得る。
【0019】
「内部標準物」という用語は、当業者によって理解される。一実施形態では、内部標準物は、干渉物モニタリング化合物と干渉物との関係について本明細書において上記で規定されているように、分析物と類似の物理化学的および/または構造的関係を有する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「試験試料」とも呼ばれる「試料」という用語は、物質の任意の種類の組成物に関する。したがって、この用語は、限定されないが、生物学的試料などの任意の試料を指し得る。一実施形態では、試料は、液体試料であり、さらなる実施形態では水性試料である。一実施形態では、試験試料は、血液、血清、血漿、唾液、眼水晶体液、涙液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹腔液、および羊水を含む生理液、洗浄液、組織、細胞などからなる群から選択される。一実施形態では、試料は、血液、血漿、血清、唾液または尿試料、さらなる実施形態では、血液、血漿または血清試料、さらなる実施形態では、血清または血漿試料である。しかしながら、試料は、天然または工業用液体、特に地上水または地下水、下水、工業廃水、処理液、土壌溶出液などであってもよい。一実施形態では、試料は、少なくとも1つの目的の化合物、すなわち「分析物」と呼ばれる決定される化学物質を含むか、または含むと疑われる。試料は、本明細書中上記で特定されるような1つまたはそれを超える干渉物を含むかまたは含むと疑われ得る。試料は、1つまたは複数のさらなる化学化合物を含んでいてもよく、これらは決定されるものではなく、一般に「マトリックス」と呼ばれる。試料は、それぞれの供給源から得られたものとして直接使用されてもよく、または1つまたは複数の前処理および/または試料調製ステップに供されてもよい。したがって、試料は、物理的および/または化学的方法によって、一実施形態においては遠心分離、ろ過、混合、均質化、クロマトグラフィ、沈殿、希釈、濃縮、結合剤および/または検出試薬との接触、ならびに/あるいは当業者が適切であると考える任意の他の方法によって前処理されてよい。
【0021】
本方法のステップb)によれば、試料のクロマトグラムは、前記干渉物モニタリング化合物、前記分析物、および任意に前記内部標準物についての経時的な信号強度についての複数のデータ点を取得することによって、決定される。
【0022】
「クロマトグラム」という用語は、当業者に知られている。一実施形態では、この用語は、MS検出器によって試料から得られた1つまたは複数の信号の定量的尺度とクロマトグラフィ分離の進行との相関プロット、一実施形態では経時的な相関プロット、例えば保持時間および/または溶出容積に関する。一実施形態では、信号の前記定量的尺度は、試料成分の少なくとも一部の濃度、特に分析物、内部標準物および/または干渉物モニタリング化合物と相関する。したがって、信号の定量的尺度は、特に信号強度であり得る。したがって、一実施形態では、クロマトグラムは、MSクロマトグラムであり、さらなる実施形態では、MS/MSクロマトグラムである。測定される信号は、一実施形態では、イオンの存在量(一実施形態では、そのm/z比における強度として測定される)、断片化パターン(例えば、生成された少なくとも2つの断片の強度として測定される)、または少なくとも1つの多重反応モニタリング遷移(例えば、所定の親イオンから生成された少なくとも1つの娘イオンの強度として測定される)である。一実施形態では、信号の前記定量的尺度は、分析物信号強度、干渉物モニタリング化合物強度および/または内部標準物信号強度を含む。一実施形態では、信号の定量的尺度は、分析物定量器、干渉物モニタリング化合物定量器、内部標準物定量器、分析物確認器、干渉物モニタリング化合物確認器、および/または内部標準物確認器を含む。したがって、一実施形態では、少なくとも1つのクロマトグラムを決定することは、分析物定量器および干渉物モニタリング化合物定量器、ならびに任意に内部標準物定量器および/または内部標準物確認器を測定することを含む。または少なくとも1つのクロマトグラムを決定することは、分析物定量器および干渉物モニタリング化合物確認器、ならびに任意に内部標準物定量器および/または内部標準物確認器を測定することを含む。または少なくとも1つのクロマトグラムを決定することは、分析物確認器および干渉物モニタリング化合物定量器、ならびに任意に内部標準物定量器および/または内部標準物確認器を測定することを含む。または少なくとも1つのクロマトグラムを決定することは、分析物確認器および干渉物モニタリング化合物確認器、ならびに任意に内部標準物定量器および/または内部標準物確認器を測定することを含む。そのような場合、一実施形態では、MSはタンデムMSである。当業者によって理解されるように、前述の表現は、必ずしもそうである必要はないが、グラフィカル表現であってもよい。しかしながら、表現は、例えば、値対のリスト、例えば、溶出時間/定量値対および/または溶出時間/確認値対として、または数学的モデルとして提供されてもよい。上記のように、クロマトグラムは、2つ以上の信号を表し得る。一実施形態では、クロマトグラムは、2つの信号を表す。さらなる実施形態では、クロマトグラムは、本明細書で以下に規定される一実施形態では、3つの信号を表す。特に本明細書の説明を考慮して当業者によって理解されるように、分析物、干渉物モニタリング化合物、および/または内部標準物のそれぞれについて2つ以上の信号が決定されてもよい。例えば、前述の化合物のそれぞれについて定量器および確認器が決定されてもよい。したがって、さらなる実施形態では、クロマトグラムは、3つを超える信号、例えば4つ、5つ、6つ、またはさらに6つを超える信号を表す。
【0023】
理解されるように、クロマトグラムはまた、さらなる信号を表し得る。しかしながら、前述の多数の信号はまた、それぞれ1つの信号を表す多数のクロマトグラムによって表されてもよい。当業者がさらに理解するように、溶出時間は、特に溶出容積または保持時間によって、当業者によって適切と考えられるクロマトグラフィの進行の任意の他の尺度によって置き換えられ得る。クロマトグラムは、試料のクロマトグラフィ-MS実行全体にわたるデータ点を含み得る。一実施形態では、特にクロマトグラム内の分析物ピークおよび/または干渉物モニタリング化合物ピークの位置が、例えば以前の実行から予測され得る場合、クロマトグラムは、予想される分析物ピーク幅および予想される干渉物モニタリング化合物ピーク、例えば分析物ピークの推定下側ピーク境界から干渉物モニタリング化合物ピークの推定上側ピーク境界まで、またはその逆にわたってデータ点を含んでもよく、任意に、それぞれのピークの下流および/または上流のそれぞれの推定境界値の1%、一実施形態では5%、さらなる実施形態では10%、さらなる実施形態では50%、さらなる実施形態では100%に及ぶデータをさらに含む。
【0024】
一実施形態では、クロマトグラムは、分析物、内部標準物、および干渉物モニタリング化合物の間で同一ではない、すなわち一実施形態では3つ全ての化合物について異なる信号に基づいて決定される。したがって、一実施形態では、分析物について決定された1つまたは複数の信号は、干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号とは異なり、分析物について決定された1つまたは複数の信号および干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号の双方は、内部標準物について決定された1つまたは複数の信号とは異なる。したがって、一実施形態では、クロマトグラムは、クロマトグラフィ分離の進行に伴ってMS検出器によって決定された、分析物、干渉物モニタリング化合物、および内部標準物についてそれぞれ少なくとも1つの、信号の定量的尺度の少なくとも3つの相関プロットを含む。一実施形態では、内部標準物および干渉物モニタリング化合物は、そのような場合に同位体標識される。
【0025】
一実施形態では、クロマトグラムは、分析物と内部標準物との間で同一ではない信号に基づいてステップb)において決定される。任意に、そのような場合、信号は、内部標準物と干渉物モニタリング化合物との間で同一である。したがって、一実施形態では、内部標準物について決定された1つまたは複数の信号は、任意に、干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号と同一であり、かつ分析物について決定された1つまたは複数の信号および干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号の双方は、内部標準物について決定された1つまたは複数の信号とは異なる。したがって、一実施形態では、クロマトグラムは、クロマトグラフィ分離の進行に伴ってMS検出器によって決定された、内部標準物および干渉物モニタリング化合物についてのものと、分析物についてのものとの、信号の定量的尺度の2つの相関プロットを含む。一実施形態では、内部標準物および干渉物モニタリング化合物は、そのような場合に同位体標識される。
【0026】
一実施形態では、クロマトグラムは、分析物と干渉物モニタリング化合物との間で同一ではない信号に基づいてステップb)において決定される。したがって、一実施形態では、干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号は、分析物について決定された1つまたは複数の信号とは異なり、内部標準物についての1つまたは複数の信号は、任意に決定されない。したがって、一実施形態では、クロマトグラムは、クロマトグラフィ分離の進行に伴ってMS検出器によって決定された、干渉物モニタリング化合物について1つの、分析物について1つの、信号の定量的尺度の2つの相関プロットを含む。一実施形態では、干渉物モニタリング化合物は、そのような場合に同位体標識される。
【0027】
一実施形態では、クロマトグラムは、内部標準物と干渉物モニタリング化合物との間で同一ではない信号に基づいてステップb)において決定される。したがって、一実施形態では、干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号は、内部標準物について決定された1つまたは複数の信号とは異なり、分析物についての1つまたは複数の信号は、任意に決定されなくてもよいが、一実施形態では決定される。したがって、一実施形態では、クロマトグラムは、1つは干渉物モニタリング化合物および任意に分析物についての信号の定量的測定の2つの相関プロットと、1つはクロマトグラフィ分離の進行に伴ってMS検出器によって決定された内部標準物についての信号の相関プロットとを含む。一実施形態では、内部標準物は、そのような場合に同位体標識される。
【0028】
一実施形態では、クロマトグラムは、分析物と干渉物モニタリング化合物との間で同一である信号に基づいてステップb)において決定される。したがって、一実施形態では、分析物について決定された1つまたは複数の信号は、干渉物モニタリング化合物について決定された1つまたは複数の信号と同一である。したがって、一実施形態では、クロマトグラムは、分析物および干渉物モニタリング化合物の信号の定量的測定値の相関プロットを含む。一実施形態では、そのような場合、干渉物モニタリング化合物は、同位体標識されない。
【0029】
本方法のステップc)によれば、干渉物モニタリング化合物ピークの特性が、内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較される。
【0030】
「ピーク」という用語は、当業者に知られており、一実施形態では、クロマトグラムの少なくとも1つの極大値に関する。したがって、「分析物ピーク」という用語は、一実施形態では、目的の分析物の識別されたピークについて、分析物と相関するピークに関する。「干渉モニタリング化合物ピーク」という用語は、一実施形態では、干渉物モニタリング化合物の識別されたピークについて、干渉物モニタリング化合物と相関するピークに関する。「内部標準物ピーク」という用語は、一実施形態では内部標準物の識別されたピークについて、内部標準物と相関するピークに関する。ピーク検出およびピーク積分のための方法は、当該技術分野において公知であり、用語「ピーク積分」は、一実施形態では、クロマトグラムのピークによって囲まれたピーク面積を決定するための少なくとも1つの数学的演算および/または数学的アルゴリズムに関する。具体的には、ピークの積分は、クロマトグラムの曲線特性の識別および/または測定を含み得る。ピーク積分は、ピーク検出、ピーク発見、ピーク識別、ピークフィッティング、ピーク評価、下側ピーク境界および/または上側ピーク境界の決定、バックグラウンドの決定、および基底線の決定のうちの1つまたは複数を含み得る。ピーク積分は、ピーク面積、保持時間、ピーク高さ、およびピーク幅のうちの1つまたは複数の決定を可能にし得る。一実施形態では、ピーク検出および/またはピーク積分は、自動的に、すなわち手動の動作またはユーザとの相互作用なしに実行される。特に、ピーク識別および/またはピーク検出および/またはピーク面積の決定は、非手動で、且つ手動の動作またはユーザとの相互作用なしに実行されてもよい。本明細書で使用される「ピーク識別」という用語は、クロマトグラムにおけるピークの少なくとも1つのパラメータを決定する任意の尺度に関する。一実施形態では、前記識別は、下側ピーク境界および/または上側ピーク境界を識別すること、ピーク最大値を識別すること、ピーク同一性および/またはピーク純度を識別すること、ならびに/あるいは分析物ピーク面積対内部標準物ピーク面積比(ピーク面積比)を識別することを含む。上記によれば、一実施形態では、内部標準物ピークは、内部標準物定量器ピークまたは内部標準物確認器ピークであり、前記干渉物モニタリング化合物ピークは、干渉物モニタリング化合物定量器ピークまたは干渉物モニタリング化合物確認器ピークであり、かつ/または前記分析物ピークは、分析物定量器ピークまたは分析物確認器ピークである。
【0031】
「ピーク特性」という用語は、クロマトグラムのピーク、特に上に示したもの、例えば下側ピーク境界、上側ピーク境界、ピーク最大値、ピーク高さ、ベースラインでのピーク幅、半値全幅などのあらゆる確認可能な特性を含む。一実施形態では、ステップc)において干渉物モニタリング化合物ピークの特性を内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較するために、特にピーク特性は、分析物ピークおよび/または内部標準物ピークが干渉物モニタリング化合物ピークから十分に分離されたかどうかを確立することを可能にするように選択される。したがって、例えば、分析物が干渉物モニタリング化合物の前に溶出する場合、分析物ピークの上側ピーク境界は、干渉物モニタリング化合物ピークの下側ピーク境界と比較され得る。この目的のために、例えば、溶出時間が比較されてもよく、例えば、上側分析物ピーク境界と下側干渉物モニタリング化合物ピーク境界との溶出時間の差が所定の値を上回る、例えば少なくとも0である場合に、分析物測定値が許容され得る。干渉物モニタリング化合物の後に分析物が溶出する場合、上記を準用する。したがって、ピーク特性は、当業者によって適切であると考えられるように、ステップc)において直接比較され得る。一実施形態では、ステップc)における比較は、前述のピーク特性に基づいて微分値を提供することをさらに含み得る。特に、保持時間の差は、第1のピーク、例えば分析物ピークおよび/または内部標準物ピークの最大値の溶出時間と、第2のピーク、例えば干渉物モニタリング化合物ピークの最大値との差として計算され得る。一実施形態では、分析物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能および/または内部標準物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能が計算され、一実施形態では式(1):
式中、R=分解能、
1=第1のピークの保持時間、
2=第2のピークの保持時間、
1=第1のピークの半値全幅、および
2=第2のピークの半値全幅
に従って計算される。
【0032】
当業者によって理解されるように、ステップc)において、一実施形態では、対応するピーク特性が比較され、すなわち、保持時間が保持時間と比較されてもよいか、上部ピーク境界の溶出容積が下部ピーク境界の溶出時間と比較されてもよいか、またはそのような1つまたは複数のピーク特性から導出されるパラメータが計算されてもよい。また、ピーク間でピーク特性が比較されて、検証済み分析物測定が提供されることを可能にする。したがって、一実施形態では、ステップc)において、内部標準物ピークの特性が、干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される。および/またはステップc)において、分析物ピークの特性が干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される。ステップc)の比較は、特にピーク間の潜在的重複に関して、それぞれのピークの比較を含み得る。一実施形態では、ステップc)の比較は、それぞれのピークの保持時間を比較することを含み、任意にさらにピーク幅を考慮する。さらなる実施形態では、ステップc)の比較は、分解能を計算することを含み、本明細書において上記で規定された一実施形態では、前記分解能を少なくとも1つの許容基準と比較することを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、分析物の「量」という用語は、分析物の任意の定量的尺度に関し、試料質量または試料容積が分かっている場合の量から計算され得る質量分率および濃度などの他の対応する尺度と等価である。したがって、試料中の分析物の測定結果は、任意の単位、重量、質量分率、濃度などの測定値、またはそれらから導出された測定値、例えば所定の定義による国際単位を含む、当業者によって適切と考えられる任意の単位で表され得る。
【0034】
本明細書で使用される「被験者」という用語は、動物、一実施形態では脊椎動物、さらなる実施形態では哺乳動物、さらなる実施形態ではヒトに関する。実施形態では、被験者は、本明細書の他の箇所で規定される分析物を含むことが知られているかまたは疑われる。一実施形態では、被験者は、患者、すなわち、医学的検査および/または処置中の被験者である。有利には、本発明の基礎となる研究では、規定されたような干渉物モニタリング化合物を日常的な分析物測定に含めることによって、特定の測定値が許容可能であるかどうかがオンザフライで確立され得、したがって各試料測定の直接的な品質管理を可能にし、追加の品質管理措置の労力を低減することが見出された。
【0035】
上記の定義は、以下に準用される。以下にさらに行われる追加の定義および説明は、本明細書に記載される全ての実施形態にも準用される。
【0036】
本発明は、さらに、試料中の分析物のクロマトグラフィ質量分析測定の品質管理の方法であって、
A)クロマトグラフィ質量分析装置を使用して試料中の分析物を測定し、少なくとも1つのクロマトグラムを決定するステップと、
B)本明細書において上記で規定された試料の検証済み分析物測定値を提供するための方法に従って分析物測定値を検証するステップと、
C)ステップB)の結果に基づいて前記クロマトグラフィ質量分析測定の品質を評価するステップと
を含む、方法に関する。
【0037】
品質管理の方法は、インビトロ法である。さらに、それは、先に明示的に述べられたものに加えて、複数のステップを含んでもよい。例えば、さらなるステップは、例えば、ステップA)についての試料の提供、またはステップB)および/またはC)のさらなる計算に関連してもよい。また、本方法は、特に本明細書の他の箇所で規定されるように、分析物測定がステップB)において拒否される場合、さらなるステップを含み得る。本方法は、自動化された機器、例えば本明細書において以下に規定される評価装置によって支援または実行されてもよい。特に、方法ステップB)および/またはC)、一実施形態では、ステップB)およびC)は、コンピュータによって実行されてもよい。
【0038】
本明細書で使用される「品質管理」という用語は、当業者に知られている。一実施形態では、品質管理は、エンティティによって実行されたプロセスおよび/または生産された商品または測定が所定の品質基準に適合することを保証するプロセスである。さらなる実施形態では、試料測定、特に患者試料などの医療試料の測定、例えば臨床診断および/または臨床化学における品質管理は、特定の測定方法で得られた分析結果がゴールドスタンダード法で得られる結果に対応すること、したがって、一実施形態では、所定の範囲内で理論的に得られる結果に対応することを確実にすることを含む。したがって、一実施形態では、品質管理のための方法は、さらなるステップとして、ステップB)の結果に基づいて前記測定の品質を評価し、任意に、本明細書において上記で規定された一実施形態では、適切な措置をとることを含む。一実施形態では、分析物測定値が許容された場合、それはユーザに出力される。分析物測定値が拒否された場合、(i)ステップA)の結果を信頼できないものとしてフラグを立てること、(ii)ステップA)の結果を出力しないこと、および(iii)試料タイプ中の分析物の測定に適さないとしてクロマトグラフィ装置にフラグを立てることが実行される。
【0039】
「試料中の分析物を測定すること」という用語は、特に本明細書の上記の説明を考慮して、当業者によって理解される。当業者が理解するように、試料中の分析物を測定することは、方法ステップB)の一部であり得る。試料中の分析物の測定結果は、任意の単位、重量、質量分率、濃度などの測定値、またはそれらから導出された測定値、例えば所定の定義による国際単位を含む、当業者によって適切と考えられる任意の単位で表され得る。
【0040】
本発明はまた、試料中の少なくとも1つの分析物の量を決定するためのシステムであって、
(I)少なくとも1つのクロマトグラフィ質量分析装置であって、クロマトグラフィ質量分析装置が、試料中の分析物を測定し、経時的にデータ点を取得する、一実施形態では、本明細書において上記で規定された方法のステップb)を実行するように構成されている、少なくとも1つのクロマトグラフィ質量分析装置と、
(II)少なくとも1つの評価装置であって、評価装置が、本明細書において上記で規定された方法の少なくともステップc)を実行するように構成されている、少なくとも1つの評価装置と
を備える、システムに関する。
【0041】
本明細書で使用される「システム」という用語は、互いに動作可能に連結された異なる手段に関する。前記手段は、単一の物理ユニット内に実装されてもよく、または互いに動作可能に連結された物理的に分離されたユニットであってもよい。適切な構成要素およびそれらの特性は、上述した方法の文脈において、本明細書のどこかで後述および上述されている。したがって、本発明の方法は、本明細書において規定されるシステムによって実装され得る。したがって、一実施形態では、装置は、本明細書の他の箇所で規定されるような検証済み分析物測定値を提供するための方法、および/または本明細書の他の箇所で規定されるような品質管理の方法を実行するように構成されている。システムは、さらなる装置またはユニット、特にデータ収集器、出力ユニット、通信インターフェース、および/または当業者によって適切であると考えられる任意の他の装置またはユニットを備え得る。
【0042】
少なくとも1つのクロマトグラムを決定するためのクロマトグラフィ質量分析装置ならびに手段および方法は、本発明の方法との関連において本明細書で上記に記載されている。
【0043】
「評価装置」という用語は、一般に、一実施形態では少なくとも1つのデータ処理装置を使用し、さらなる実施形態では少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、上述した方法ステップを実行するように適合された任意の装置を指す。したがって、例として、少なくとも1つの評価装置は、いくつかのコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードが記憶された少なくとも1つのデータ処理ユニットを備え得る。評価装置は、示された動作のうちの1つまたは複数を実行するための1つまたは複数のハードウェア要素を提供し得て、かつ/または方法ステップのうちの1つまたは複数を実行するために実行されるソフトウェアを1つまたは複数のプロセッサに提供し得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「データ収集器」という用語は、データ、特にクロマトグラフィ質量分析装置によって決定されたデータ点、クロマトグラム、ピーク特性、ピーク識別および/または検証の結果、および/または提供された推奨事項、および/または試料に関してさらに進める上で行われる決定を記憶するように構成された任意の記憶ユニットに関する。一実施形態では、データ収集器は、少なくとも1つのクロマトグラムを受信および/または記憶するように構成された少なくとも1つのデータベースを備える。一実施形態では、データ収集器は、1つまたは複数の基準値を含む少なくとも1つのデータベースを備える。
【0045】
本明細書で使用される「出力ユニット」という用語は、システムから別のエンティティへの情報の転送のために構成された任意のユニットに関し、別のエンティティは、さらなるデータ処理装置および/またはユーザであり得る。したがって、出力装置は、適切に構成されたディスプレイなどのユーザインターフェースを備えてもよく、またはプリンタであってもよい。しかしながら、出力ユニットは、例えば分析物測定値が拒否されるべきであることを示すインジケータ、例えばインジケータランプ、または通信インターフェースであってもよい。
【0046】
「通信インターフェース」という用語は、情報の交換、特にデータの交換のために構成された任意のインターフェースに関するものと当業者によって理解される。そのようなデータ交換は、同軸、ファイバ、光ファイバまたはツイストペア、10ベース-Tケーブル、USBなどのストレージユニットコネクタ、ファイアワイヤ、および同様のコネクタなどの永続的または一時的な物理的接続によって達成され得る。あるいは、例えば、Wi-Fi、LTE、LTEアドバンストまたはブルートゥースなどの電波を使用する一時的または永続的な無線接続によって達成されてもよい。
【0047】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に添付された実施形態のうちの1つまたは複数において本発明にかかる方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムをさらに開示および提案する。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアに記憶され得る。したがって、具体的には、上記の1つ、2つ以上、またはさらには全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって支援または実行され得る。
【0048】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる1つまたは複数の実施形態では、本発明にかかる方法を実行するために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品をさらに開示および提案する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアに記憶され得る。
【0049】
さらに、本発明は、例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたは主メモリなど、コンピュータまたはコンピュータネットワークへとロードされた後に、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行し得るデータ構造を記憶したデータキャリアを開示および提案する。
【0050】
本発明は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行するために、機械可読キャリア上に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品をさらに提案および開示する。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリア上に存在し得る。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されてもよい。
【0051】
さらに、本発明は、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数にかかる方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号を提案および開示する。
【0052】
一実施形態では、本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態の1つまたは複数にかかる方法のうちの1つまたは複数の方法ステップまたは全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行され得る。一般に、これらの方法ステップは、試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含み得る。
【0053】
具体的には、本発明は、以下をさらに開示する:
本明細書に記載されている実施形態のうちの1つの方法を実行するように適合された少なくとも1つのプロセッサを備える、コンピュータまたはコンピュータネットワーク、
データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造、
プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム、
コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、先行する実施形態にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された、記憶媒体、
コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶媒体上に記憶され得るか、または記憶される、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【0054】
以上を考慮して、以下の実施態様が特に想定される。
【0055】
実施形態1:クロマトグラフィ質量分析装置を用いて試料の検証済み分析物測定値を提供するための方法であって、前記方法が、以下のステップ:
a)干渉物モニタリング化合物および任意に内部標準物を試料に混合するステップと、
b)前記干渉物モニタリング化合物、前記分析物、および任意に前記内部標準物についての経時的な信号強度についての複数のデータ点を取得することによって、試料のクロマトグラムを決定するステップと、
c)干渉物モニタリング化合物ピークの特性を内部標準物ピークの特性および/または分析物ピークの特性と比較するステップと
を含む、方法。
【0056】
実施形態2:前記干渉物モニタリング化合物および/または前記内部標準物が同位体標識されている、実施形態1に記載の方法。
【0057】
実施形態3:前記内部標準物が分析物のアイソトポログであり、かつ/または前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログである、実施形態1または2に記載の方法。
【0058】
実施形態4:ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が試料に混合される、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
実施形態5:ステップa)において、干渉物モニタリング化合物が試料に混合される、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
実施形態6.ステップb)において、クロマトグラムが、(I)分析物、内部標準物、および干渉物モニタリング化合物の間で同一でない、(II)内部標準物と干渉物モニタリング化合物との間で同一であり、かつ分析物と内部標準物との間で同一でない、(III)分析物と干渉物モニタリング化合物との間で同一でない、(IV)内部標準物と干渉物モニタリング化合物との間で同一でない、または(V)分析物と干渉物モニタリング化合物との間で同一である信号に基づいて決定される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
実施形態7:ステップc)において、(i)内部標準物ピークの特性が干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、かつ/または(ii)分析物ピークの特性が干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
実施形態8:
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が試料に混合され、前記干渉物モニタリング化合物および前記内部標準物が同位体標識されており、一実施形態では、前記内部標準物が分析物のアイソトポログであり、かつ/または前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、クロマトグラムが、分析物、内部標準物、および干渉物モニタリング化合物の間で同一でない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、内部標準物ピークの特性が、干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
実施形態9:
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が試料に混合され、前記干渉物モニタリング化合物および前記内部標準物が同位体標識されており、一実施形態では、前記内部標準物が分析物のアイソトポログであり、かつ/または前記干渉物モニタリング化合物が干渉物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、クロマトグラムが、内部標準物と干渉物モニタリング化合物との間で同一であり、かつ分析物と内部標準物との間で同一でない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、内部標準物ピークの特性が、干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
実施形態10:
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物が試料に混合され、前記干渉物モニタリング化合物が同位体標識されており、一実施形態では、前記干渉物モニタリング化合物が干渉物アイソトポログであり、
B)ステップb)において、クロマトグラムが、分析物と干渉物モニタリング化合物との間で同一ではない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、分析物ピークの特性が、干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
実施形態11:
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物および内部標準物が試料に混合され、前記内部標準物が同位体標識されており、一実施形態では、前記内部標準物が分析物のアイソトポログであり、
B)ステップb)において、クロマトグラムが、内部標準物と干渉物モニタリング化合物との間で同一でない信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、内部標準物ピークの特性が、干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
実施形態12:
A)ステップa)において、干渉物モニタリング化合物が試料に混合され、
B)ステップb)において、クロマトグラムが、分析物と干渉物モニタリング化合物との間で同一である信号に基づいて決定され、
C)ステップc)において、分析物ピークの特性が、干渉物モニタリング化合物ピークの特性と比較される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
実施形態13:少なくとも1つの干渉物モニタリング化合物ピーク、少なくとも1つの分析物ピーク、および任意に少なくとも1つの内部標準物ピークのピーク識別を実行することをさらに含む、実施形態1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
実施形態14:前記分析物測定値が、識別された少なくとも1つの分析物ピークに基づく、実施形態13に記載の方法。
【0069】
実施形態15:ステップc)における前記比較が、少なくとも1つの分析物ピーク、少なくとも1つの干渉物モニタリング化合物ピーク、および任意に少なくとも1つの内部標準物ピークの保持時間を決定することを含む、実施形態1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
実施形態16:ステップc)における前記比較が、少なくとも1つの分析物ピーク、少なくとも1つの干渉物モニタリング化合物ピーク、および任意に少なくとも1つの内部標準物ピークのピーク幅値を決定することを含む、実施形態1から15のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
実施形態17:ステップc)における前記比較が、分析物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間または内部標準物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能を決定することを含み、一実施形態では、分解能が、それぞれのピークの保持時間および半値全幅に基づいて、さらなる実施形態では、式(1):
式中、R=分解能、
1=第1のピークの保持時間、
2=第2のピークの保持時間、
1=第1のピークの半値全幅、および
2=第2のピークの半値全幅
に従って計算される、実施形態1から16のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
実施形態18:前記方法が、比較ステップc)に基づいて検証済み分析物測定値を提供する追加のステップd)を含み、一実施形態では、分析物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間または内部標準物ピークと干渉物モニタリング化合物ピークとの間の分解能が1.5よりも高く、一実施形態では2よりも高い場合、分析物測定値が許容される、実施形態1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
実施形態19:前記内部標準物ピークが内部標準物定量器ピークまたは内部標準物確認器ピークであり、前記干渉物モニタリング化合物ピークが干渉物モニタリング化合物定量器ピークまたは干渉物モニタリング化合物確認器ピークであり、かつ/または前記分析物ピークが分析物定量器ピークまたは分析物確認器ピークである、実施形態1から18のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
実施形態20:前記干渉物が、分析物の保持時間±20%に対応する、一実施形態では±10%に対応するクロマトグラフィ保持時間を有する化合物である、実施形態1から19のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
実施形態21:クロマトグラフィにおける分析物ピークと干渉ピークとの間の分解能が3未満であり、一実施形態では2未満である、実施形態1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
実施形態22:クロマトグラフィにおける分析物ピークと干渉ピークとの間の分解能が1から3であり、一実施形態では1.5から2.5である、実施形態1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
実施形態23:前記干渉物が、分析物と構造的に類似した化合物である、実施形態1から22のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
実施形態24:前記干渉物が、分析物の異性体であり、一実施形態では分析物の立体異性体であり、さらなる実施形態ではジアステレオマー、エナンチオマー、またはシス-トランス異性体である、実施形態1から23のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施形態25:前記ジアステレオマーが、エピマーまたはアノマーであり、一実施形態ではエピマーである、実施形態1から24のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
実施形態26:前記分析物がビタミンDであり、一実施形態では、干渉物がエピ-ビタミンDである、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
実施形態27:前記干渉物モニタリング化合物がエピ-ビタミンDのアイソトポログであり、一実施形態では、135-25-ヒドロキシ-ビタミンD3エピマー、135-エピ-ビタミンDであるか、または23-エピ-ビタミンDである、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
実施形態28:前記分析物がテストステロンであり、一実施形態では、干渉物がエピテストステロンである、実施形態1から27のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
実施形態29:前記干渉物モニタリング化合物が、エピテストステロン-133またはエピテストステロン-D3である、実施形態1から25および28のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
実施形態30:前記試料が生物学的試料であり、一実施形態では被験者の試料であり、さらなる実施形態では患者試料である、実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
実施形態31:前記方法が、比較ステップc)に基づいて検証済み分析物測定値を提供するさらなるステップd)を含む、実施形態1から30のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
実施形態32:検証済み分析物測定値が、非分析物化合物による干渉のリスクが評価されるか、または評価され得る、一実施形態では定量され得る測定値である、実施形態1から31のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
実施形態33:前記クロマトグラフィが、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動クロマトグラフィ、および/またはイオン移動度クロマトグラフィであり、一実施形態では液体クロマトグラフィである、実施形態1から32のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
実施形態34:前記方法が、日常的な分析物測定および/または干渉チェックおよび/または干渉モニタリングの方法である、実施形態1から33のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
実施形態35:前記分析物測定値が許容されない場合、分析物測定値が報告されず、分析物測定値が拒否されたとしてフラグが立てられ、かつ/またはクロマトグラフィ装置が、試料タイプの分析物の測定に不適切であるとしてフラグが立てられる、実施形態1から34のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
実施形態36:試料中の分析物のクロマトグラフィ質量分析(MS)測定の品質管理の方法であって、
A)クロマトグラフィ質量分析装置を使用して試料中の分析物を測定し、少なくとも1つのクロマトグラムを決定するステップと、
B)実施形態1から35のいずれか一項に記載の方法に従って分析物測定値を検証するステップと、
C)ステップB)の結果に基づいて前記クロマトグラフィ-MS測定の品質を評価するステップと
を含む、方法。
【0091】
実施形態37:ステップB)において分析物ピークが拒否された場合、(i)ステップA)の結果を信頼できないものとしてフラグを立てること、(ii)ステップA)の結果を出力しないこと、および(iii)試料タイプの分析物の測定に適していないとしてクロマトグラフィ装置にフラグを立てることが実行される、実施形態36に記載の方法。
【0092】
実施形態38:方法ステップB)および/またはC)が、一実施形態ではステップB)およびC)が、コンピュータによって実行される、実施形態1から37のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
実施形態39:前記クロマトグラフィ質量分析装置がタンデム質量分析(MS/MS)ユニットを備える、実施形態1から38のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
実施形態40:試料中の少なくとも1つの分析物の量を決定するためのシステムであって、
(I)少なくとも1つのクロマトグラフィ質量分析装置であって、クロマトグラフィ質量分析装置が、試料中の分析物を測定し、経時的にデータ点を取得するように構成され、一実施形態では、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法のステップb)を実行するように構成されている、少なくとも1つのクロマトグラフィ質量分析装置と、
(II)少なくとも1つの評価装置であって、評価装置が、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)を実行するように構成されている、少なくとも1つの評価装置と
を備える、システム。
【0095】
実施形態41:システムが、実施形態36から39のいずれか一項に記載の品質管理のための方法を実行するように構成されている、実施形態40に記載のシステム。
【0096】
実施形態42:少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワークであって、前記プロセッサが、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップb)、c)および/またはd)、一実施形態では全てのステップb)からd)を実行するように適合されている、コンピュータまたはコンピュータネットワーク。
【0097】
実施形態43:データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)および/またはd)、一実施形態では全てのステップc)からd)を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造。
【0098】
実施形態44:コンピュータプログラムであって、データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)および/またはd)、一実施形態では全てのステップc)からd)を実行するように適合されたコンピュータプログラム。
【0099】
実施形態45:コンピュータプログラムであって、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)および/またはd)、一実施形態では全てのステップc)からd)を実行するためのプログラム手段を備える、コンピュータプログラム。
【0100】
実施形態46:プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、実施形態45にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム。
【0101】
実施形態47:記憶媒体であって、データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造が、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶装置および/または作業記憶装置にロードされた後に、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)および/またはd)、一実施形態では全てのステップc)からd)を実行するように適合されている、記憶媒体。
【0102】
実施形態48:プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、実施形態1から39のいずれか一項に記載の方法の少なくともステップc)および/またはd)、一実施形態では全てのステップc)からd)を実行するために、プログラムコード手段が記憶媒体に記憶され得るか、または記憶媒体に記憶される、コンピュータプログラム製品。
【0103】
本明細書で引用された全ての参考文献は、その全体の開示内容および本明細書で具体的に言及された開示内容に関して、参照により本明細書で組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】実施例1の結果の概略図である:内部標準物(テストステロン-D3)および干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン-13C3)の添加、3つの異なる遷移の測定;x軸:時間;y軸:それぞれの遷移の相対強度。
図2】実施例2の結果の概略図である:内部標準物(テストステロン-D3)および干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン-D3)の添加、2つの異なる遷移の測定;x軸:時間;y軸:それぞれの遷移の相対強度。
図3】実施例3の結果の概略図である:A)エピテストステロン-D3、B)干渉物モニタリング化合物としてのエピテストステロン-13C3の添加、2つの異なる遷移の測定;x軸:時間;y軸:それぞれの遷移の相対強度。
図4】実施例4の結果の概略図である:内部標準物(テストステロン-D3)の添加、2つの異なる遷移の測定;x軸:時間;y軸:それぞれの遷移の相対強度。
図5】実施例5の結果の概略図である:干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン)の添加:1つの遷移の測定;x軸:時間;y軸:それぞれの遷移の相対強度。
【実施例
【0105】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものにすぎない。それらは、いかなる場合でも、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0106】
実施例1:
テストステロンのLC-MS/MS測定のための通常の試料に、内部標準物(テストステロン-D3)および干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン-13C3)を混合した。LCの進行に対するm/z 289→109、m/z 292→112、およびm/z 292→109の遷移の強度を記録した。可能な結果が図1に概略的に示されている。
【0107】
m/z 292→112およびm/z 292→109のピークの特性を比較することによって、分析物と存在し得る干渉物との間の分離の尺度である、干渉物モニタリング化合物からの内部標準物の分離の質が提供され得る。
【0108】
任意に内部標準物m/z 289→109遷移のピークと組み合わせて、m/z 292→112遷移の分析物ピークから、テストステロンの量が導出され得る。
【0109】
実施例2:
テストステロンのLC-MS/MS測定のための通常の試料に、内部標準物(テストステロン-D3)および干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン-D3)を混合した。LCの進行に対するm/z 289→109およびm/z 292→112の遷移の強度を記録した。可能な結果が図2に概略的に示されている。
【0110】
内部標準物および干渉物モニタリング化合物のm/z 292→112ピークの特性を比較することによって、分析物と存在し得る干渉物モニタリング化合物との分離の尺度である、干渉物モニタリング化合物からの内部標準物の分離の質が提供され得る。
【0111】
任意に内部標準物m/z 289→109遷移のピークと組み合わせて、m/z 292→112遷移の分析物ピークから、テストステロンの量が導出され得る。
【0112】
実施例3:
テストステロンのLC-MS/MS測定のための日常的な試料に、内部標準物(テストステロン-D3)および干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン-D3またはエピテストステロン-13C3)を混合した。LCの進行に対する、(i)エピテストステロン-D3を使用した場合のm/z 289→109およびm/z 292→112遷移の強度;または(ii)エピテストステロン-13C3を使用した場合のm/z 292→109の遷移の強度を記録した。可能な結果が図3A)および図3B)に概略的に示されている。
【0113】
(i)干渉物モニタリング化合物のm/z 292→112ピークまたは(ii)m/z 292→109ピークの特性を分析物のm/z 289→109ピークと比較することによって、分析物と存在し得る干渉物モニタリング化合物との分離の尺度である、干渉物モニタリング化合物からの分析物の分離の質が提供され得る。
【0114】
m/z 289→109遷移の分析物ピークから、テストステロンの量が導出され得る。
【0115】
実施例4:
テストステロンのLC-MS/MS測定のための通常の試料に、内部標準物(テストステロン-D3)および干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン)を混合した。LCの進行に対するm/z 289→109およびm/z 292→112の遷移の強度を記録した。可能な結果が図4に概略的に示されている。
【0116】
内部標準物m/z 292→112ピークの特性を干渉物モニタリング化合物m/z 289→109ピークと比較することによって、分析物と存在し得る干渉物との分離の尺度である、干渉物モニタリング化合物からの内部標準物の分離の質が提供され得る。
【0117】
任意に内部標準物m/z 289→109遷移ピークと組み合わせて、m/z 292→112遷移の分析物ピークから、テストステロンの量が導出され得る。
【0118】
実施例5:
テストステロンのLC-MS/MS測定のための通常の試料に、干渉物モニタリング化合物(エピテストステロン)を混合した。LCの進行に対するm/z 289→109の遷移の強度を記録した。可能な結果が図5に概略的に示されている。
【0119】
分析物m/z 292→112ピークの特性を干渉物モニタリング化合物m/z 292→112ピークと比較することによって、分析物と存在し得る干渉物との分離の尺度である、干渉物モニタリング化合物からの分析物の分離の質が提供され得る。
【0120】
m/z 289→109遷移の分析物ピークから、テストステロンの量が導出され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】