IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥールの特許一覧

特表2023-553970全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ
<>
  • 特表-全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ 図1
  • 特表-全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ 図2
  • 特表-全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ 図3
  • 特表-全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ 図4
  • 特表-全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】全波およびパルス幅変調制御用の回転電気機械、および電気アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/16 20060101AFI20231219BHJP
   H02K 1/276 20220101ALI20231219BHJP
【FI】
H02K1/16 A
H02K1/276
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535582
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021084401
(87)【国際公開番号】W WO2022122653
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2012984
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥアン、クリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム、ルグランジェ
(72)【発明者】
【氏名】ラデュ、フラティラ
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA26
5H601CC13
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD25
5H601FF02
5H601FF03
5H601FF17
5H601GA02
5H601GA24
5H601GA25
5H601GA32
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB22
5H601GB33
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB03
5H622CB05
(57)【要約】
本発明は、
‐ロータ本体(9)と巻線(8)とを含むステータ(2)であって、前記巻線(8)は前記ロータ本体(9)のスロット(21)を通過し、前記スロットは峡部を有するステータ(2)と、
‐キャビティ(33、34、35、36、38、39)を有するロータ本体(24)と、永久磁石(14、15、27、28、29、30、31、32)とを含むロータ(3)であって、前記永久磁石(14、15、27、28、29、30、31、32)は前記キャビティに配置されて、中央軸(d)と2つの連続する中央軸(d)から等距離にある直角軸(q)とを有する磁極(25、26)を形成するロータ(3)と、
を備える回転電気機械であって、
前記峡部の前記幅と前記スロット(21)の前記幅との比率(C1)は、0.40以上0.7以下であり、
前記中央軸における空隙と前記直角軸における空隙との比率(C2)は、0.8以上1.5以下である、回転電気機械に関する。
また、本発明は、このような回転電気機械とインバータとを備える電気アセンブリに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(A)を有する回転電気機械(1)であって、前記回転電気機械(1)は、
‐ステータ(2)と、
‐ロータ(3)と、
を備え、
前記ステータ(2)は、
‐径方向内側端部が自由端である歯(19)と2つの連続する歯(19)により画定されるスロット(21)とを含む、特に第1磁性薄板積層体であるステータ本体(9)であって、各歯(19)は、第1方向において周方向に延びる第1歯根(22)と前記第1方向と反対の第2方向において周方向に延びる第2歯根(23)とを含む、ステータ本体(9)と、
‐前記スロット(21)を通過する導体を含む巻線(8)と、
を含み、
前記ロータ(3)は、
‐キャビティ(33、34、35、36、38、39)を含む、特に第2磁性薄板積層体であるロータ本体(24)と、
‐前記キャビティ(33、34、35、36、38、39)の内部に配置されて一連のN磁極(25)およびS磁極(26)を形成する永久磁石(14、15、27、28、29、30、31、32)であって、各N磁極(25)およびS磁極(26)は、中央軸(d)と2つの連続する中央軸(d)から等距離にある直角軸(q)と、を有し、前記中央軸(d)および前記直角軸(q)は前記回転軸(A)を通る、永久磁石(14、15、27、28、29、30、31、32)と、
を含み、
前記回転軸(A)に対して垂直な平面において、
‐第1距離(H1)は、前記スロット(21)を通過する径方向において最も内側の前記導体(37)において径方向に規定されるスロット(21)の幅であり、
‐第2距離(H2)は、前記第1歯根(22)のうちの1つの第1端部と前記第2歯根(23)のうちの1つの第2端部との間の距離であって、前記第1歯根(22)のうちの1つの前記第1端部と前記第2歯根(23)のうちの1つの前記第2端部とは、互いに対面するとともに2つの連続する歯(19)に属し、
‐第3距離(E1)は、前記ステータ本体(9)の第1磁性材料であって、特に前記第1磁性薄板積層体である前記ステータ本体(9)の第1磁性材料と、前記ロータ(3)の第1磁性材料であって、特に前記第2磁性薄板積層体または前記永久磁石(14、15、27、28、29、30、31、32)のうちの1つである前記ロータ(3)の第1磁性材料との間で、前記N磁極(25)および前記S磁極(26)のうちの1つの前記中央軸(d)において径方向に測定される最小距離であり、
‐第4距離(E2)は、前記ステータ本体(9)の第2磁性材料であって、特に前記第1磁性薄板積層体である前記ステータ本体(9)の第2磁性材料と、前記ロータ(3)の第2磁性材料であって、特に前記第2磁性薄板積層体または前記永久磁石(14、15、27、28、29、30、31、32)のうちの1つである前記ロータ(3)の第2磁性材料との間で、前記直角軸(q)において測定される最小距離であり、
前記第1距離(H1)と前記第2距離(H2)との差と、前記第1距離(H1)と、の第1比率(C1)は、0.40以上、特に0.48以上、0.7以下であり、
前記第4距離(E2)と前記第3距離(E1)との第2比率(C2)は、0.8以上1.5以下である、
回転電気機械(1)。
【請求項2】
前記キャビティ(33、34、35、36、38)は、前記回転軸(A)に対して垂直な平面において閉鎖することにより、前記永久磁石(14、15、27、28、29、30)は埋設される、
請求項1に記載の回転電気機械(1)。
【請求項3】
前記永久磁石(14、15、27、28、29、30)は、径方向に磁化する、
請求項1または2に記載の回転電気機械(1)。
【請求項4】
前記ロータ(3)の磁極(25、26)の各々について、少なくとも1つの永久磁石を各々受容する第1キャビティ(33、35)および第2キャビティ(34、36)が、前記回転軸(A)に対して垂直な平面においてV字の形状を規定し、前記V字の頂部は径方向外方に向けられ、前記V字の前記頂部に向けられた前記永久磁石(14、15、27、28)の極は、同一であるとともに、前記ロータ(3)の前記磁極(25、26)の極性を規定する、
請求項1または2に記載の回転電気機械(1)。
【請求項5】
前記第1キャビティ(33、35)と前記第2キャビティ(34、36)とは、前記V字の先端部において相対する、
請求項4に記載の回転電気機械(1)。
【請求項6】
前記ロータ(3)の磁極(25、26)毎の前記ステータのスロット(21)の個数は、1以上である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の回転電気機械(1)。
【請求項7】
前記巻線(8)は複数の相を含み、
相毎のスロット(21)の個数は1以上である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の回転電気機械(1)。
【請求項8】
前記巻線(8)は、三相または二重三相である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の回転電気機械(1)。
【請求項9】
第5距離(H3)は、前記スロット(21)のうちの1つの最大幅であり、
前記第2距離(H2)は、前記第5距離(H3)よりも小さい、
請求項1~8のいずれか一項に記載の回転電気機械(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の回転電気機械(1)と、
前記巻線(8)に電力供給するインバータであって、全波タイプ制御およびパルス幅変調制御を可能とするインバータと、
を備える電気アセンブリ。
【請求項11】
前記インバータは、24V以上60V以下の電圧を有する電気エネルギー源から電力供給される、またはこれに電力供給する、
請求項10に記載の電気アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全波タイプ制御方式およびパルス幅変調制御方式で制御されるように適合された回転電気機械に関する。また、本発明は、このような回転電気機械とインバータとを備えた電気アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願FR3086118A1は、回転軸を有する回転電気機械であって、
‐ステータと、
‐ロータと、
を備え、
前記ステータは、
‐径方向内側端部が自由端である歯と2つの連続する歯により画定されるスロットとを含む、特に第1磁性薄板積層体であるステータ本体であって、各歯は、第1方向において周方向に延びる第1歯根と前記第1方向と反対の第2方向において周方向に延びる第2歯根とを含む、ステータ本体と、
‐前記スロットを通過する導体を含む巻線と、
を含み、
前記ロータは、軸として回転軸を有するとともに外径を有する円筒状回転体に内接するロータであって、
‐キャビティを含む、特に第2磁性薄板積層体であるロータ本体と、
‐前記キャビティの内部に配置されて一連のN磁極およびS磁極を形成する永久磁石であって、各N磁極およびS磁極は、磁場の第1高調波の絶対値が最も高くなる中央軸を有し、直角軸が2つの連続する中央軸から等距離にある、永久磁石と、
を含む、回転電気機械を開示している。
【0003】
このタイプの回転電気機械は、低回転速度ではパルス幅変調(PWM)タイプ方式で、高回転速度では全波タイプ方式で、巻線に電力供給するインバータから動力(電力)を供給される。このタイプの動力(電力)供給により、インバータにおけるエネルギー損失が低減され得る。しかしながら、低負荷時には、全波方式では回転電気機械におけるエネルギー損失が増加する。こうして、電気アセンブリの効率が低下し、電気アセンブリのモータモードでの使用時には電気消費量が増加し、電気アセンブリの発電機モードでの使用時には発生エネルギーが減少する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、これらの欠点の全部または一部を克服しようとするものである。
【0005】
本発明は、回転軸を有する回転電気機械であって、前記回転電気機械は、
‐ステータと、
‐ロータと、
を備え、
前記ステータは、
‐径方向内側端部が自由端である歯と2つの連続する歯により画定されるスロットとを含む、特に第1磁性薄板積層体であるステータ本体であって、各歯は、第1方向において周方向に延びる第1歯根と前記第1方向と反対の第2方向において周方向に延びる第2歯根とを含む、ステータ本体と、
‐前記スロットを通過する導体を含む巻線と、
を含み、
前記ロータは、
‐キャビティを含む、特に第2磁性薄板積層体であるロータ本体と、
‐前記キャビティの内部に配置されて一連のN磁極およびS磁極を形成する永久磁石であって、各N磁極およびS磁極は、中央軸と2つの連続する中央軸から等距離にある直角軸とを有し、前記中央軸および前記直角軸は前記回転軸を通る、永久磁石と、
を含み、
前記回転軸に対して垂直な平面において、
‐第1距離は、前記スロットを通過する径方向において最も内側の前記導体において径方向に規定されるスロットの幅であり、
‐第2距離は、前記第1歯根のうちの1つの第1端部と前記第2歯根のうちの1つの第2端部との間の距離であって、前記第1歯根のうちの1つの前記第1端部と前記第2歯根のうちの1つの前記第2端部とは、互いに対面するとともに2つの連続する歯に属し、
‐第3距離は、前記ステータ本体の第1磁性材料であって、特に前記第1磁性薄板積層体である前記ステータ本体の第1磁性材料と、前記ロータの第1磁性材料であって、特に前記第2磁性薄板積層体または前記永久磁石のうちの1つである前記ロータの第1磁性材料との間で、前記N磁極および前記S磁極のうちの1つの前記中央軸において径方向に測定される最小距離であり、
‐第4距離は、前記ステータ本体の第2磁性材料であって、特に前記第1磁性薄板積層体である前記ステータ本体の第2磁性材料と、前記ロータの第2磁性材料であって、特に前記第2磁性薄板積層体または前記永久磁石のうちの1つである前記ロータの第2磁性材料との間で、前記直角軸において測定される最小距離であり、
前記第1距離と前記第2距離との差と、前記第1距離との第1比率は、0.40以上、特に0.48以上、0.7以下であり、
前記第4距離と前記第3距離との第2比率は、0.8以上1.5以下である、
回転電気機械に関する。
【0006】
第1比率および第2比率についてこのような値を使用することにより、回転電気機械とこれに関連するインバータとを備えるアセンブリの効率を全体的に向上させ得る、ステータスロットのサイズに関連する磁性ロータ極の形状が得られる。インバータの良好な効率を得るように、ステータの巻線は、低回転速度ではパルス幅変調タイプの方式で、高回転速度では全波タイプの方式で、電力供給される。第1比率を0.40以上、特に0.48以上0.7以下とし、第2比率を0.8以上1.5以下とすることで、電気アセンブリの最大出力を低下させることなく、低負荷時かつ全波方式使用時の回転電気機械におけるエネルギー損失を低減することができる。こうして、電気アセンブリの全体的な効率が向上する。電気アセンブリのモータモードでの使用時には電気消費量が減少し、電気アセンブリの発電機モードでの使用時には発生エネルギーが増加する。
【0007】
本発明の追加的特徴によれば、前記キャビティは、前記回転軸Aに対して垂直な平面において閉鎖することにより、前記永久磁石は埋設される。埋設された磁石を使用することにより、遠心分離下での磁石のロータ本体への保持を向上させることができる。また、このような特徴により、永久磁石の減磁が制限され得る。
【0008】
本発明の追加的特徴によれば、前記永久磁石は、径方向に磁化する。
【0009】
回転軸に対して径方向に磁化するように配置された磁石を使用することにより、ロータの磁極が例えば単一の磁石により形成されるシンプルなロータ構造が可能とされる。
【0010】
本発明の追加的特徴によれば、前記ロータの磁極の各々について、少なくとも1つの永久磁石を各々受容する第1キャビティおよび第2キャビティが、前記回転軸に対して垂直な平面においてV字の形状を規定し、前記V字の前記頂部は径方向外方に向けられ、前記V字の頂部に向けられた前記永久磁石の極は、同一であるとともに、前記ロータの前記磁極の極性を規定する。
【0011】
V字形状構造体の使用により、回転電気機械の機械的トルクを向上させることができる。また、このような構造により、回転電気機械の出力(specific power)を向上させることができる。
【0012】
本発明の追加的特徴によれば、前記第1キャビティと前記第2キャビティとは、前記V字の先端部において相対する。
【0013】
このような特徴により、V字の先端部において、磁石同志をより近づけることができる。したがって、ロータにおける磁石の体積が増加することで、機械の出力を増大させることができる、または、回転電気機械の出力を低減させずに磁力の弱い磁石を使用することができる。
【0014】
本発明の追加的特徴によれば、キャビティは、永久磁石が直交方向に磁化するように形成される。2つの連続する永久磁石の極の向きは互い違いになるため、ロータのN磁極またはS磁極をそれぞれ形成するように、2つの連続する磁石の互いに対面する極は、N極またはS極である。
【0015】
永久磁石のこのように配置することで、大きい体積を有する永久磁石を使用することができる。永久磁石のこのような体積により、特にフェライトタイプの永久磁石において良好な性能を得ることができる。
【0016】
本発明の追加的特徴によれば、前記ロータの磁極毎の前記ステータのスロットの個数は、1以上である。
【0017】
本発明の追加的特徴によれば、前記巻線は複数の相を含み、相毎のスロットの個数は1以上である。
【0018】
本発明の追加的特徴によれば、前記巻線は、三相または二重三相である。
【0019】
本発明の追加的特徴によれば、第5距離H3は、前記スロットのうちの1つの最大幅であり、前記第2距離H2は、前記第5距離H3よりも小さい。
【0020】
本発明の追加的特徴によれば、回転電気機械の最大出力は、10kW以上35kW以下である。
【0021】
本発明の追加的特徴によれば、ステータ本体は、直径が90mm以上250mm以下の円筒に内接する。
【0022】
また、本発明は、上述の回転電気機械と、前記巻線に電力供給するインバータであって、全波タイプ制御およびパルス幅変調制御を可能とするインバータと、を備える電気アセンブリに関する。
【0023】
このようなインバータの使用により、回転電気機械の回転速度の全範囲にわたって、インバータの効率を向上させることができる。パルス幅変調タイプ制御が低回転速度で使用され得るとともに、全波タイプ方式が高回転速度で使用され得る。
【0024】
本発明の追加的特徴によれば、前記インバータは、24V以上60V以下の電圧を有する電気エネルギー源から電力供給される、またはこれに電力供給する。
【0025】
上記のすべてにおいて、回転電気機械は、任意の数の極対、例えば、6対または8対の極を備え得る。
【0026】
上記のすべてにおいて、回転電気機械は、例えば互いに接続したワイヤまたは導電性バーから形成された多相電気巻線を有するステータを有し得る。
【0027】
回転電気機械は、車両の車載ネットワークに接続可能なパワーエレクトロニクス部品を備え得る。このパワーエレクトロニクス部品は、例えば、回転電気機械がモータとして動作するか発電機として動作するかに応じて、車両の車載ネットワークを充電する、またはこのネットワークから電力を供給されるインバータ/整流器を備える。
【0028】
回転電気機械は、プーリ、または車両のパワートレインのその他のものに対する任意の他の接続手段をさらに備え得る。回転電気機械は、例えば、特にベルトを介して、車両の内燃機械のクランクシャフトに接続する。変形例において、回転電気機械は、パワートレインにおける他の箇所において、例えば車両の車輪に向かって通過するトルクに関するギアボックスの入力部において、車両の車輪に向かって通過するトルクに関するギアボックスの出力部において、車両の車輪に向かって通過するトルクに関するギアボックスにおいて、またはこのパワートレインの前車軸アセンブリか後車軸アセンブリにおいて接続する。
【0029】
本発明は、その比限定的な実施例についての以下の説明を読み、添付図面を精査することで、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、回転電気機械の概略的な部分断面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態による回転電気機械の概略的な部分断面図である。
図3図3は、図2の詳細の概略部分図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態による回転電気機械の概略的な部分断面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態による回転電気機械の概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面を通じて、同一である要素、または同一の機能を果たす要素には、同一の参照符号を付す。以下の実施形態は、例示である。本明細書では単数または複数の実施形態について言及しているが、これは必ずしも各言及が同一の実施形態に関すること、または特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを意味しない。種々の実施形態の個々の特徴は、他の実施形態を形成するために組み合わせられ得る、または交換され得る。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態による、回転軸Aを有する回転電気機械1の概略的な部分断面図を示す。回転電気機械1は、ケーシング内にステータ2とロータ3とを備えている。ケーシングは、例えば、第1軸受キャリア5と、第2軸受キャリア6と、管状スペーサ7と、を含む。管状スペーサ7は、例えば第1軸受キャリア5と第2軸受キャリア6との間に、例えば第1軸受キャリア5と第2軸受キャリア6との間の連結棒(タイロッド)(図示せず)により、クランプされている。ステータは、ケーシング32の内部に固定されている、例えば、管状スペーサ7に堅固に取り付けられている。
【0033】
本発明の意味において、別段の定めがない限り、径方向という用語は、回転軸Aに関するものとして理解されるものとする。本発明の意味において、別段の定めがない限り、長手方向という用語は、回転軸Aの方向を意味するものとする。
【0034】
図示しない本発明の実施形態において、管状スペーサは、液体冷却剤が循環する冷却チャンバを含む。
【0035】
図示しない本発明の実施形態において、管状スペーサは存在せず、ステータは、第1軸受キャリア5と第2軸受キャリア6との間にクランプされている。
【0036】
ステータは、ステータ本体9と巻線8とを含む。ステータ本体9は、例えば、第1磁性薄板積層体を含む。例えば、巻線8は、電気伝導体を含む。電気伝導体の能動部分(active part)は、ステータ本体9に形成されたスロットを通過し、電気伝導体の接続部または巻線突出部は、スロットの外側に形成されている。巻線8は、例えば、ヘアピン巻線タイプの巻線である。
【0037】
ロータ3は、例えば、回転軸Aを有するシャフト4に固定されている。シャフト4は、第1軸受キャリア5に装着された第1転がり軸受11および第2軸受キャリア6に装着された第2転がり軸受12により、回転がガイドされる。駆動要素13は、例えばプーリまたはギアであり、シャフト4に固着されている。
【0038】
図示しない他の実施形態において、シャフト4は、例えば滑り軸受などの他の既知の回転ガイド手段により、第1軸受キャリアおよび第2軸受キャリアに対して回転がガイドされる。
【0039】
図2は、第1実施形態による回転電気機械のステータ2およびロータ3の、回転軸Aに対して垂直な平面における断面を示す。
【0040】
ステータ本体9は、径方向内側端部20が自由端である歯19を含む。スロット21が、2つの連続する歯19により画定されている。各歯19は、第1方向において周方向に延びる第1歯根22と、第1方向と反対の第2方向において周方向に延びる第2歯根23と、を含む。
【0041】
巻線8の導体は、例えば、スロットの底部(スロット21の径方向外側)と、第1歯根22および/または第2歯根23と、の間に収容されている。
【0042】
ロータ3は、軸として回転軸Aを有するとともに外径Lを有する円筒状回転体に、内接している。
【0043】
ロータ3は、ロータ本体24と、永久磁石14、15、27、28と、を含む。ロータ本体24は、例えば第2磁性薄板積層体を含む。ロータ本体24は、キャビティ21を含む。キャビティ21内に、永久磁石14、15、27、28が配置されて、一連のN磁極25およびS磁極26が形成されている。キャビティ21は、例えば長手方向キャビティである。
【0044】
各N磁極25およびS磁極26は、回転軸Aを通る中央軸dを有している。中央軸dは、磁場の第1高調波(基本波)の絶対値が最も高くなる磁極上の点を通る。磁場の第1高調波の絶対値は、ロータ3が不動でありステータ2の巻線8が電気的に供給されていない状態で、回転軸Aに対してロータの周囲を回転している間に外径Lで測定される。本明細書では、高調波は、回転軸Aを中心とする角度に関して考察されていることが理解される。回転軸Aを通る直角軸(quadrature axis)qは、2つの連続する中央軸から等距離にある。
【0045】
キャビティ21は、回転軸Aに対して垂直な平面において閉鎖可能であることにより、第1実施形態のように永久磁石が埋設される。
【0046】
ロータ3の磁極25、26の各々について、第1キャビティ33、35および第2キャビティ34、36が、例えば少なくとも1つの永久磁石14、15、27、28を各々受容する。第1キャビティ33、35および第2キャビティ34、36は、回転軸Aに対して直交する平面において、V字形状を規定している。第1キャビティ33および第2キャビティ34は、例えば長手方向を有する。V字の頂部は、径方向外方に向けられている。V字の頂部に向けられた永久磁石の極は、同一であるとともにロータの前記磁極の極性を規定している。第1キャビティ33、35および第2キャビティ34、36は、例えばロータ本体24の材料ストリップにより、V字の先端部において離間し得る。
【0047】
図示しない本発明の他の実施形態において、第1キャビティおよび第2キャビティは、V字の先端部において相対する(向かい合う)。こうして、第1キャビティと第2キャビティとは、1つのV字形状キャビティを形成する。
【0048】
図示しない本発明の他の実施形態において、磁石を受容する第1キャビティおよび第2キャビティは、径方向内側において、同様に磁石を受容する第3キャビティにより離間している。第3キャビティの向きは、例えばロータの半径に対して垂直である。第3キャビティに受容された永久磁石の径方向外方に向けられた極は、第1キャビティおよび第2キャビティに受容された永久磁石の径方向外方に向けられた極と同一である。第1キャビティ、第2キャビティ、および第3キャビティは、U字形状を規定している。
【0049】
本発明の当該他の実施形態の変形例(図示せず)において、第1キャビティ、第2キャビティ、および第3キャビティは、相対して1つのU字形状キャビティを形成する。変形例において、この1つのキャビティに受容された磁石は、共同して単一のU字形状磁石を形成する。
【0050】
磁極毎のステータのスロットの個数は、例えば、1以上である。図示された本発明の実施形態において、磁極毎のステータのスロットの個数は、6である。
【0051】
巻線8は、例えば、複数の相を含む。相毎のスロットの個数は、1以上である。
【0052】
回転電気機械1の巻線8は、例えば、三相または二重三相である。
【0053】
電気アセンブリは、回転電気機械1とインバータ(図示せず)とを含み得る。インバータは、巻線8に電力供給する。インバータは、例えば、全波タイプ制御(full-wave type control)およびパルス幅変調制御(pulse-width modulation control)という2つの異なるタイプの回転電気機械の制御を可能とする。
【0054】
例えば、インバータは、24V以上60V以下の電圧を有する電気エネルギー源、特に電気バッテリから電力供給される、またはこれに電力供給する。
【0055】
図3は、図2の本発明の第1実施形態の詳細を示す。
【0056】
第1距離H1は、回転軸Aに対して垂直な平面において、(複数の)スロット21のうちの1つの幅である。第1距離H1は、スロットを通過する径方向において最も内側の導体37において、径方向に規定される。第1距離H1は、例えば、径方向において最も内側の導体37の断面のうちの最も広い領域で径方向に測定される最小距離である。
【0057】
例えば、図示の実施形態において、回転軸Aに対して垂直な平面において、導体は矩形の断面を有し、スロット21は台形の断面を有している。スロットの幅は、スロットの径方向外側の領域において、スロット21の径方向内側の領域においてよりも、広い。したがって、第1距離H1は、径方向において最も内側の導体37の丸みを除いた径方向内方位置で測定される。
【0058】
図示しない本発明の他の実施形態において、導体は、円形の(丸い)断面を有する。したがって、第1距離は、円形(丸い)断面の中央において径方向に測定される。
【0059】
第2距離H2は、回転軸Aに対して垂直な平面において、(複数の)第1歯根22のうちの1つの第1端部と(複数の)第2歯根23のうちの1つの第2端部との間で測定される距離であり、(複数の)第1歯根22のうちの1つの第1端部と(複数の)第2歯根23のうちの1つの第2端部とは、互いに対面するとともに2つの連続する歯に属している。
【0060】
‐第1距離H1と第2距離H2との差と、
‐第1距離H1と、
の第1比率C1は、0.40以上、特に0.48以上、且つ0.7以下である。
【0061】
第3距離E1は、ステータ本体9の第1磁性材料とロータ3の第1磁性材料との間で、N磁極25およびS磁極26のうちの1つの中央軸dにおいて径方向に測定される最小距離である。ステータ本体9の第1磁性材料は、例えば、第1磁性薄板積層体である。ロータ3の第1磁性材料は、例えば、第2磁性薄板積層体、または(複数の)永久磁石のうちの1つである。図2および図3の本発明の第1実施形態において、ロータ3の第1磁性材料は、第2磁性薄板積層体である。
【0062】
第4距離E2は、ステータ本体9の第2磁性材料とロータ3の第2磁性材料との間で、直角軸qにおいて測定される最小距離である。ステータ本体9の第2磁性材料は、例えば、第1磁性薄板積層体である。ロータ3の第2磁性材料は、例えば、第2磁性薄板積層体、または(複数の)永久磁石のうちの1つである。図2および図3の本発明の第1実施形態において、ロータ3の第2磁性材料は、第2磁性薄板積層体である。
【0063】
第4距離E2と第3距離E1との第2比率C2は、0.8以上1.5以下である。
【0064】
第5距離H3は、(複数の)スロットのうちの1つの最大幅である。第2距離H2は、例えば、第5距離H3よりも小さい。
【0065】
図4は、第2実施形態による回転電気機械のステータ2およびロータ3の、回転軸Aに対して垂直な平面における断面図を示す。
【0066】
第2実施形態は、第1実施形態に類似している。ただし、ロータの本体24における永久磁石29、30の配置が異なっている。例えば長手方向キャビティであるキャビティ38が、ロータ本体24に形成されて、永久磁石29、30を受容している。永久磁石は、径方向に磁化する(radial magnetization)。すなわち、永久磁石のN極およびS極のうちの一方が、径方向外方に向けられ、N極およびS極のうちの他方が、径方向内方に向けられている。径方向外方に向けられた極がN極である永久磁石29と、径方向外方に向けられた極がS極である永久磁石30とが、周方向において互い違いになっている。したがって、一連のN磁極25およびS磁極26が、ロータ3に形成される。
【0067】
永久磁石29、30は、例えば、キャビティ38において長手方向に延びる矩形の平行六面体形状を有している。
【0068】
本発明の他の実施形態(図示せず)において、永久磁石は、複数の要素永久磁石を含む。
【0069】
第2実施形態において、キャビティ38は、回転軸Aに対して垂直な平面において閉鎖可能であることにより、永久磁石が埋設される。
【0070】
本発明の第2実施形態において、第3距離E1を規定するように使用されるロータ3の第1磁性材料は、本発明の第1実施形態のように、第2磁性薄板積層体である。同様に、第4距離E2を規定するように使用されるロータの第2磁性材料は、本発明の第1実施形態のように、第2磁性薄板積層体である。
【0071】
図5は、第3実施形態による回転電気機械のステータ2およびロータ3の、回転軸Aに対して垂直な平面における断面図を示す。
【0072】
第3実施形態は、第2実施形態に類似している。ただし、ロータ本体24における永久磁石31、32の配置が異なっている。
【0073】
本発明の第3実施形態において、永久磁石31、32は、ロータ本体24の外面の表面に配置されている。ロータ本体24は、径方向外方に開口するキャビティ39であって、永久磁石31、32を受容するキャビティ39を含む。
【0074】
第3実施形態の変形例(図示せず)において、ロータは、特にアルミニウム合金材料またはプラスチック材料である非磁性材料から作製された外側ケーシングを含む。ケーシングは、例えば、ロータ本体での磁石の径方向保持に寄与する。
【0075】
第3実施形態およびその変形例において、第3距離E1を規定するように使用されるロータ3の第1磁性材料は、永久磁石31、32である。第4距離E2を規定するように使用されるロータの第2磁性材料は、本発明の第2実施形態のように、第2磁性薄板積層体である。
【0076】
図示しない本発明の別の実施形態において、キャビティは、永久磁石が直交方向に磁化する(orthoradial magnetization)。2つの連続する永久磁石の極の向きは互い違いになるため、ロータのN磁極またはS磁極をそれぞれ形成するように、2つの連続する磁石の互いに対面する極は、N極またはS極である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】