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特表2023-553982熱処理を伴うロール成形システム及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】熱処理を伴うロール成形システム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 37/08 20060101AFI20231219BHJP
   B21D 26/033 20110101ALI20231219BHJP
【FI】
B21C37/08 A
B21D26/033
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535671
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 US2021063009
(87)【国際公開番号】W WO2022132610
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/199,202
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】デブデュッタ ロイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アンソニー ガエンスバウアー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】カレン ピアソン
(72)【発明者】
【氏名】アドルフォ レイス
(72)【発明者】
【氏名】ラジャセカール タッラ
(72)【発明者】
【氏名】キャロリン グレイス キッドウェル
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ アイヤー
【テーマコード(参考)】
4E028
4E137
【Fターム(参考)】
4E028CA02
4E028CA13
4E028CA18
4E028LA04
4E137AA15
4E137BA01
4E137BA05
4E137BB03
4E137CA15
4E137CA21
4E137EA09
4E137EA26
4E137EA29
4E137FA10
4E137FA25
4E137GA11
(57)【要約】
本明細書に開示されているのは、金属ストリップから最終中空体を成形するためのシステム及び方法である。成形システムは、成形ステーション、接合ステーション、インラインヒータ、及びハイドロフォーミングステーションを含むことができる。金属ストリップから最終中空体を成形することは、成形ステーションで金属ストリップを受け取り、成形ステーションで金属ストリップを所望の断面に曲成し、金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているようにすることを含み得る。いくつかの態様では、成形ステーションは、少なくとも1つのローラを含む。この方法は、接合ステーションを介して当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接して、中間中空体を成形することを含むことができる。この方法は、中間中空体のシーム領域をインラインヒータで加熱することと、中間中空体をハイドロフォーミングステーションで最終中空体にハイドロフォーミング加工することとを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップから最終中空体を成形するための成形システムであって、
平面構成中の前記金属ストリップを受け入れ、前記金属ストリップを所望の断面に曲成し、前記金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているように構成される成形ステーションであって、少なくとも1つのローラを含む前記成形ステーションと、
前記成形ステーションから下流にあり、前記当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接し、中間中空体を成形するように構成される接合ステーションと、
前記接合ステーションから下流にあり、前記中間中空体の少なくとも前記シーム領域を選択的に加熱するように構成されるインラインヒータと、
前記インラインヒータから下流にあり、前記中間中空体を前記最終中空体にハイドロフォーミング加工するように構成されるハイドロフォーミングステーションと、
を含む、前記成形システム。
【請求項2】
前記成形ステーションは、複数のローラを含み、前記成形ステーションは、前記金属ストリップを前記平面構成から順次曲成するように構成される、請求項1に記載の成形システム。
【請求項3】
前記インラインヒータは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、または電気炉のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の成形システム。
【請求項4】
前記インラインヒータは前記回転磁石を含み、前記中間中空体は前記回転磁石の回転軸に平行な軸に沿って可動である、請求項3に記載の成形システム。
【請求項5】
前記接合ステーションと前記ハイドロフォーミングステーションとの間に焼入れステーションをさらに含み、前記焼入れステーションは、前記中間中空体を選択的に焼入れするように構成される、請求項1に記載の成形システム。
【請求項6】
前記インラインヒータに通信可能に結合されたコントローラをさらに含み、
前記コントローラは、前記インラインヒータが前記中間中空体を300℃から550℃の温度で加熱するように前記インラインヒータを制御するように構成される、請求項1に記載の成形システム。
【請求項7】
前記インラインヒータに通信可能に結合されたコントローラをさらに含み、
前記コントローラは、前記インラインヒータが0秒超から30秒以下の持続時間で前記中間中空体を加熱するように前記インラインヒータを制御するように構成される、請求項1に記載の成形システム。
【請求項8】
金属ストリップから最終中空体を成形する方法であって、
前記金属ストリップを所望の断面にロール成形し、前記金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているようにすることと、
シーム領域として前記長手方向の縁部を合わせて溶接し、中間中空体を成形することと、
前記中間中空体の少なくとも前記シーム領域を加熱することと、
前記中間中空体を前記最終中空体にハイドロフォーミング加工することと、
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記金属ストリップは、6000系アルミニウム合金を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中間中空体を前記最終中空体にハイドロフォーミング加工する前に、前記中間中空体を焼入れすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱することは、前記中間中空体の非シーム領域部分を加熱することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも前記シーム領域を加熱することは、少なくとも前記シーム領域を0秒超から30秒以下の持続時間で300℃から550℃の温度で加熱することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも前記シーム領域を加熱することは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、または電気炉のうちの少なくとも1つによって加熱することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記シーム領域の前記加熱の持続時間または前記シーム領域の前記加熱の温度のうちの少なくとも1つを制御することによってハイドロフォーミング加工する前に、前記シーム領域の硬さ勾配または前記シーム領域の強さのうちの少なくとも1つを制御することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
金属ストリップから中間中空体を成形するためのロール成形システムであって、
平面構成中の前記金属ストリップを受け入れ、前記金属ストリップを所望の断面に曲成し、前記金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているように構成される成形ステーションであって、少なくとも1つのローラを含む前記成形ステーションと、
前記成形ステーションから下流にあり、前記当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接し、中間中空体を成形するように構成される接合ステーションと、
前記接合ステーションから下流にあり、前記中間中空体の少なくとも前記シーム領域を選択的に加熱するように構成されるインラインヒータと、
前記インラインヒータから下流にあり、前記中間中空体を焼入れするように構成される冷却ステーションと、
を含む、前記ロール成形システム。
【請求項16】
前記インラインヒータは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、または電気炉のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のロール成形システム。
【請求項17】
前記インラインヒータは、0秒超から30秒以下の持続時間で300℃から550℃の温度で少なくとも前記シーム領域を加熱するように構成される、請求項15に記載のロール成形システム。
【請求項18】
前記成形ステーションは複数の成形ステーションを含み、各成形ステーションは少なくとも1つのローラを含む、請求項15に記載のロール形成システム。
【請求項19】
前記中間中空体が静止状態に保持されている間、前記インラインヒータは、前記中間中空体を中心に回転可能である、請求項15に記載のロール成形システム。
【請求項20】
前記中間中空体が前記インラインヒータ内に受容され、前記インラインヒータ内で回転している間、前記インラインヒータは静止状態に保持されるように構成される、請求項15に記載のロール成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月14日に出願された米国仮出願第63/199,202号の利益及び優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本出願は、金属ストリップから最終中空体を成形するためのシステム及び方法に関し、さらに特に、金属ストリップから最終中空体を成形するためのロール成形システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車産業を含むがこれに限定されない特定の産業では、様々な用途に中空または管状の金属構造体が利用される場合がある。それらのような構造体を成形する1つの方法は、管状構造体を押し出し、さらに、ハイドロフォーミング加工によって管状構造体を最終管状構造体の形状にすることによるものである。それらのような構造体を成形する代替の方法は、金属シートをロール成形することに続いて、シーム溶接して、溶接された管状構造体を成形し、溶接された管状構造体を最終管状構造体にハイドロフォーミング加工することである。従来、溶接された管状構造体の溶接部(またはシーム)の健全性は、ハイドロフォーミング加工される、溶接された管状構造体の能力を制限してきた。特に、ロール成形の結果、材料に著しいひずみ硬化が生じ、材料の成形性に悪影響を与える。さらに、シーム溶接の結果、局所的な初期溶融による微小割れの形成に加えて、シーム領域内で結晶粒微細化に基づいた強化ができると、溶接部全体の強さ/硬さプロファイルに勾配がもたらされることができる。そのため、溶接領域の成形性の低下だけでなく、溶接部全体の強さ/硬さプロファイルの勾配により、ハイドロフォーミング加工中に溶接部の健全性を維持する能力が制限される。
【発明の概要】
【0004】
本特許で使用される「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」、及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許の主題の全て及び下記の特許請求の範囲を広義に指すことが意図される。これらの用語を含有する記述は、本明細書に記載の主題を限定しない、または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を限定しないことが理解されるべきである。本特許の適用を受ける本発明の実施形態は、この発明の概要ではなく、下記の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本発明の様々な実施形態の高水準の概要であり、下記の発明を実施するための形態のセクションにさらに説明する概念の一部を紹介している。この概要は、特許を請求する主題の主要なまたは必須の特徴を特定することを意図しておらず、特許を請求する主題の範囲を決定するために独立して使用されることも意図していない。主題は、本特許の明細書全体、図面のいずれかまたは全て、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されたい。
【0005】
特定の実施形態によれば、金属ストリップから最終中空体を成形するための成形システムは、成形ステーション、接合ステーション、インラインヒータ、及びハイドロフォーミングステーションを含む。成形ステーションは、平面構成中の金属ストリップを受け入れ、金属ストリップを所望の断面に曲成し得、金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているようにし得る。いくつかの実施形態では、成形ステーションは、少なくとも1つのローラを含み、少なくとも1つのローラは、金属ストリップを短手方向に任意選択で曲成することができる。接合ステーションは、成形ステーションから下流にあってもよく、当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接して、中間中空体を成形してもよい。インラインヒータは、接合ステーションから下流にあってもよく、中間中空体の少なくともシーム領域を選択的に加熱してもよい。ハイドロフォーミングステーションは、インラインヒータから下流にあってもよく、中間中空体を最終中空体にハイドロフォーミング加工してもよい。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、金属ストリップから最終中空体を成形する方法は、金属ストリップを所望の断面にロール成形し、金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているようにすることと、長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接し、中間中空体を成形することとを含む。この方法は、中間中空体の少なくともシーム領域を加熱することと、中間中空体を最終中空体にハイドロフォーミング加工することとを含むことができる。
【0007】
様々な実施形態によれば、金属ストリップから中間中空体を成形するためのロール成形システムは、成形ステーション、接合ステーション、インラインヒータ、及び冷却ステーションを含む。成形ステーションは、平面構成中の金属ストリップを受け入れ、金属ストリップを所望の断面に曲成し得、金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているようにし得る。いくつかの実施形態では、成形ステーションは、少なくとも1つのローラを含む。接合ステーションは、成形ステーションから下流にあってもよく、当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接して、中間中空体を成形してもよい。インラインヒータは、接合ステーションから下流にあってもよく、中間中空体の少なくともシーム領域を選択的に加熱してもよい。冷却ステーションは、インラインヒータから下流にあってもよく、中間中空体を焼入れしてもよい。
【0008】
本開示に説明される様々な実施態様は、追加のシステム、方法、特徴、及び利点を含み得、これらは、必ずしも本明細書で明示的に開示できないが、以下の詳細な説明及び添付の図面を検討すれば、当業者には明らかであろう。すべてのそのようなシステム、方法、特徴、及び利点が、本開示の中に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0009】
以下の図の特徴及び構成要素は、本開示の一般的な原理を強調するために示されている。図全体を通して、対応する特徴及び構成要素を、一貫性を持たせ明解にするために、参照文字を一致させることによって指定する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態による、成形システムの構成要素のブロック図である。
図2】実施形態による、成形システムのロール成形システムを示す。
図3】実施形態による、ハイドロフォーミング加工前の中間中空体及びハイドロフォーミング加工後の最終中空体を示す。
図4】実施形態による、ロール成形システムのためのインラインヒータを示す。
図5】実施形態による、ロール成形システムのための別のインラインヒータを示す。
図6】実施形態による、ロール成形システムのための別のインラインヒータを示す。
図7】実施形態による、成形システムのロール成形システムから成形された中間中空体を示す。
図8】実施形態による、中間中空体における残留応力を示すチャートである。
図9】実施形態による、中間中空体におけるフレア加工変位を示すチャートである。
図10】実施形態による、中間中空体における降伏応力及び最大引張応力を示すチャートである。
図11】実施形態による、中間中空体における平均硬さを示すチャートである。
図12】実施形態による、熱処理を伴わないロール成形システムによって成形された中間中空体の硬さヒートマップである。
図13】実施形態による、熱処理を伴うロール成形システムによって成形された中間体の硬さヒートマップである。
図14】実施形態による、最終中空体における使用期間中の降伏強さ及び極限引張強さを示すチャートである。
図15】実施形態による、熱処理を伴わずに成形された中空体におけるフレア加工を示す。
図16】実施形態による、熱処理を伴うロール成形システムによって成形された中空体におけるフレア加工を示す。
図17】実施形態による、中空体におけるフレア加工変位を示すチャートである。
図18】実施形態による、中空体の微細構造の写真である。
図19】実施形態による、成形システムの構成要素のブロック図である。
図20】実施形態による、中空体の使用期間中の強さを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たすために特異性をもって本明細書に説明されているが、この説明は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図していない。特許請求される主題は、他の方法で具現化され得、異なる要素またはステップを含み得、他の既存の技術または将来の技術と併せて使用され得る。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に説明されるときを除き、様々なステップまたは要素の中のまたはそれらの間の特定の順序または配置を暗示するとして解釈するべきではない。「上」、「下」、「上部」、「底部」、「左」、「右」、「前部」、及び「後部」などの方向の参照は、とりわけ構成要素及び方向が参照している1つの図(または複数の図)中に示され、説明される向きを参照することを意図している。
【0012】
本明細書で開示される範囲はいずれも、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包むものとして理解されたい。例えば、記述された範囲「1~10」は、最小値「1」及び最大値「10」の間の(及び端点を含む)あらゆる部分範囲、すなわち、最小値1以上(例えば、1~6.1)から始まり、最大値10以下(例えば、5.5~10)で終わるすべての部分範囲を含むと考えられるべきである。
【0013】
本明細書に記載のシステム及び方法の態様及び特徴は、任意の適切な金属基板で使用されることができ、アルミニウムまたはアルミニウム合金で特に有用であり得る。具体的には、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系、または8000系のアルミニウム合金などの合金で望ましい結果が得られることができる。アルミニウム及びその合金の命名及び識別に最も一般に使用される番号名称体系の理解については、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」(両方とも、The Aluminum Associationにより発行された)を参照されたい。
【0014】
本明細書に開示されているのは、金属ストリップから最終中空体を成形するための成形システム及び方法である。成形システムは、金属ストリップを平面構成から中間中空体の形状にして成形するロール成形システムと、中間中空体を最終中空体の形状にするハイドロフォーミングシステムとを含む。ロール成形システムは、ハイドロフォーミング加工前に中間中空体の少なくともシーム領域を加熱するインラインヒータを含む。インラインヒータは、少なくともシーム領域を加熱するための様々な適切な装置または装置の組み合わせであってもよい。いくつかの非限定的な例として、インラインヒータは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、電気炉、それらの組み合わせ、または必要に応じて他の適切な装置のうちの1つまたは複数を含み得る。場合によっては、インラインヒータは、中間中空体またはその一部を急速に加熱する急速インラインヒータであってもよい。特定の態様では、中間中空体の少なくともシーム領域を加熱することは、中間中空体に応力緩和をもたらしてもよく、及び/またはシーム領域内の材料特性分布の改善された制御を可能にしてもよい(シーム領域全体で材料特性を均質化することを含むがこれに限定されない)。いくつかの実施形態では、中間中空体を加熱することにより、ハイドロフォーミング加工前に中間中空体の少なくともシーム領域の硬さは、軟化してもよく、または低下してもよい。従来の通念では、この軟化がハイドロフォーミング加工後の材料の最終的な使用期間中の強さ、ひいてはそのクラッシュ性能に悪影響を及ぼすため、シーム領域の硬さ(したがって強さ)を低下させることが望ましくないことが示唆される。本発明者らは、この溶接後の急速な焼きなましから軟化する焼きなまし温度レジームにより、直観に反して、材料がハイドロフォーミング加工中に受ける力によりよく適合することで、これらの力に抵抗することが可能になり、材料の最終的な使用期間中の強さに悪影響が与えられないことを発見した。この急速焼きなましは、このシートチューブハイドロフォーミング加工用途を可能にするものである。様々な態様では、インラインヒータからの加熱は、中間中空体の金属にある程度の延性を回復させることができ、ハイドロフォーミング加工中の溶接部の健全性を改善することができる。
【0015】
図1は、ロール成形システム102及びハイドロフォーミングシステム104を含む、様々な実施形態による成形システム100のブロック図である。成形システム100のロール成形システム102は、一般に、金属ストリップを平坦または平面構成から中間中空体の形態(例えば、要望どおり任意の断面形状を有するほぼ管状の形態)に曲成する。成形システム100のハイドロフォーミングシステム104は、一般に、中間中空体上に鋳型及び高圧流体を使用して最終中空体を成形することで、中間中空体を最終中空体の形状にする。
【0016】
ロール成形システム102は、コイルフィード106、1つまたは複数の成形ステーション108、クロージングステーション110、接合ステーション112、インラインヒータ114、及び1つまたは複数の冷却ステーション116を含む。任意選択で、ロール成形システム102は、要望どおり他のステーションを含むことができる。非限定的な例として、切断ステーション(図示せず)を冷却ステーション(複数可)116から下流に設けて、中間中空体を所望の長さに切断することができる。
【0017】
ロール成形システム102のコイルフィード106は、細長い金属ストリップをロール成形システム102に供給する。様々な態様では、細長い金属ストリップはコイルの形態で提供されるが、他の実施形態ではそうである必要はない。コイルフィード106から、金属ストリップは、ほぼ平坦または平面構成で成形ステーション(複数可)108に供給され、成形ステーションは、金属ストリップの長手方向の縁部が接合するように、金属ストリップを平坦または平面構成から順次曲成する。中間中空体の所望の断面形状に応じて、任意の所望の数の成形ステーション108を利用することができ、成形ステーション108は所望の断面形状を得るために金属ストリップを要望どおりに曲成することができる。特定の実施形態では、成形ステーション108は、金属ストリップを平坦または平面構成から順次曲成するローラを含んでもよいが、金属ストリップを曲成するための様々な他の適切な装置は、成形ステーション108で利用されてもよい。
【0018】
ロール成形システム102のクロージングステーション110は、成形ステーション108からの曲成された金属ストリップを、曲成された金属ストリップの長手方向の縁部が当接及び/または重複関係になるようにさらに曲成することができる。特定の態様では、クロージングステーション110は、フィンパスローラ、及び/または長手方向の縁部を当接及び/または重複関係にするための他の適切な装置を含む。接合ステーション112は、シーム領域を有する中間中空体を成形するための接合技術によって長手方向の縁部を合わせて接合する。様々な実施形態では、接合ステーション112は溶接装置を含み、長手方向の縁部は、シーム領域を成形するように合わせてシーム溶接される。
【0019】
インラインヒータ114は、接合ステーション112から下流にあり、中間中空体の少なくともシーム領域を加熱するように構成される。インラインヒータ114は、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、電気炉、それらの組み合わせ、または要望どおり他の適切な装置を含むがこれらに限定されない、少なくともシーム領域を加熱するのに適した様々な装置または装置の組み合わせであってもよい。
【0020】
特定の実施形態では、インラインヒータ114は、インラインヒータ114が所定の加熱温度に所定の加熱時間で少なくともシーム領域を加熱するように(例えば、インラインヒータ114に通信可能に結合されたコントローラ(図示せず)によって)制御される。場合によっては、所定の加熱時間は、0秒超から30分以下、例えば、0秒超から20分以下、0秒超から10分以下、0秒超から5分以下、0秒超から30秒以下などであり得る。非限定的な一例では、所定の加熱時間は30秒であってもよい。他の実施形態では、所定の加熱時間は、30分超であってもよく、及び/または必要に応じて任意の他の持続時間であってもよい。使用される「所定の加熱時間」は、ランプアップ時間(例えば、特定の温度に達するのにかかる時間)と、ドウェル時間(例えば、金属製品を特定の温度に保持する時間)との両方を含む。場合によっては、ランプアップ時間は10秒以下であってもよいが、他の実施形態では、ランプアップ時間は10秒未満または10秒超であってもよい。場合によっては、所定の時間はランプアップ時間のみを含んでもよく、ドウェル時間を含まなくてもよい。様々な実施形態では、所定の加熱温度は、250℃以上、例えば、300℃から575℃、350℃から550℃、375℃から500℃、400℃から475℃、約450℃などであってもよい。他の実施形態では、任意選択で中間中空体の金属に応じて、所定の加熱時間は250℃未満及び/または575℃超であってもよく、及び/または所定の加熱温度は必要に応じて任意の他の温度または温度範囲であってもよい。いくつかの非限定的な例では、インラインヒータ114は、375℃から525℃の所定の加熱温度に30秒の所定の加熱時間で中間中空体を加熱するように制御される。特定の態様では、図7~13を参照して以下でより詳細に説明されるように、インラインヒータ114で中間中空体を加熱することにより、材料の応力緩和、強さの低下、及びシーム領域全体の材料特性の制御が可能になり、ハイドロフォーミング加工中のシームの健全性が向上する可能性がある。
【0021】
いくつかの実施形態では、インラインヒータ114を制御することができると、シーム領域の硬さ勾配、シーム領域内の残留応力、シーム領域の平均硬さ、またはシーム領域の強さのうちの少なくとも1つを制御することができる。他の実施形態では、インラインヒータ114を制御することができると、シーム領域の他の態様を制御することができる。以下で図8を参照してより詳細に説明されるように、非限定的な一例では、インラインヒータ114は、シーム領域内の残留応力が約15MPa未満など、約20MPa未満であるように制御されてもよいが、他の実施形態では、インラインヒータ114は、残留応力が要望どおり他の適切な値であるように制御される。以下で図10を参照してより詳細に説明されるように、非限定的な一例では、インラインヒータ114は、シーム領域の降伏応力が300MPa未満、例えば、200MPa未満、150MPa未満などであるように制御されてもよいが、他の実施形態では、インラインヒータ114は、降伏応力が要望どおり他の適切な値であり得るように制御される。以下で図10を参照してより詳細に説明されるように、非限定的な一例では、インラインヒータ114は、シーム領域の最大引張応力が300MPa未満、例えば、250MPa未満、2000MPa未満などであるように制御されてもよいが、他の実施形態では、インラインヒータ114は、最大引張応力が要望どおり他の適切な値であり得るように制御される。以下で図11~13をさらに参照して説明されるように、インラインヒータ114は、シーム領域の平均硬さが80Hv未満など、100Hv未満であるように制御されてもよいが、他の実施形態では、インラインヒータ114は、シーム領域が要望どおり他の平均硬さ値を有するように制御される。さらなる非限定的な例では、以下で図12及び図13をさらに参照して議論されるように、インラインヒータ114は、硬さ勾配が低下し、シーム領域全体の硬さ分布がより均一であり、均質化されるように制御されてもよいが、他の実施形態では、インラインヒータ114は、必要に応じて様々な硬さ勾配を与えるように制御される。非限定的な例では、以下で図14をさらに参照して説明されるように、インラインヒータ114は、シーム領域の降伏強さが少なくとも290MPaであるように制御されてもよいが、他の実施形態では、インラインヒータ114は、シーム領域の降伏強さが要望どおり他の値であるように制御されてもよい。1つまたは複数の冷却ステーション116は、インラインヒータ114から下流にあり、中間中空体を焼入れするように構成される。冷却ステーション(複数可)116は、中間中空体を焼入れするのに適した様々な装置であってもよい。いくつかの非限定的な例では、冷却ステーション(複数可)116は、空冷装置、水冷装置、それらの組み合わせ、または必要に応じて他の適切な装置であってもよい。
【0022】
前述のように、成形システム100のハイドロフォーミングシステム104は、中間中空体上に鋳型及び高圧流体を使用して最終中空体を成形することで、中間中空体を最終中空体の形状にする。任意選択で、成形システム100は、ハイドロフォーミングプロセス用に中間中空体を準備するために、ハイドロフォーミングシステム104の前に予備曲げステーションを含むことができる。
【0023】
様々な実施形態では、中間中空体を成形する方法は、コイルフィード106で金属ストリップの供給を提供することを含む。いくつかの態様では、金属ストリップの供給はコイルの形態で提供される。様々な実施形態では、金属ストリップは、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼、または必要に応じて他の金属を含むがこれらに限定されない、必要に応じて様々な金属であってもよい。非限定的な一例では、金属ストリップは、6000系アルミニウム合金であってもよい。
【0024】
この方法は、コイルフィード106から成形ステーション(複数可)108に金属ストリップを供給することを含む。コイルフィード106から金属ストリップを供給することは、成形ステーション(複数可)108に金属ストリップをほぼ平坦または平面構成で供給することを含み得る。この方法は、成形ステーション(複数可)108を用いて、金属ストリップの長手方向の縁部を接合して金属ストリップを所望の断面形状に曲成するように、金属ストリップを平坦または平面構成から曲成することを含む。特定の態様では、成形ステーション(複数可)108を用いて金属ストリップを曲成することは、複数のローラを用いて、長手方向の縁部を接合して金属ストリップを所望の断面形状に曲成するように、金属ストリップを順次曲成することを含む。
【0025】
この方法は、曲成された金属ストリップの長手方向の縁部が当接及び/または重複関係になるように、クロージングステーション110で曲成された金属ストリップをさらに曲成することを含む。特定の態様では、クロージングステーション110で曲成された金属ストリップを曲成することは、フィンパスローラ、及び/または長手方向の縁部を当接及び/または重複関係にするための他の適切な装置を用いて、曲成された金属ストリップを曲成することを含む。様々な実施形態では、この方法は、シーム領域を有する中間中空体を成形するために、接合ステーション112を用いた接合技術によって長手方向の縁部を合わせて接合することを含む。特定の実施形態では、長手方向の縁部を接合することは、長手方向の縁部を溶接装置でシーム溶接して、シーム領域を有する中間中空体を成形することを含む。
【0026】
様々な実施形態では、方法は、中間中空体の少なくともシーム領域をインラインヒータ114で加熱し、中間中空体を冷却ステーション(複数可)116で焼入れすることを含む。いくつかの実施形態では、少なくともシーム領域を加熱することは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、電気炉、それらの組み合わせ、または要望どおり他の適切な装置を用いて、中間中空体を加熱することを含む。特定の実施形態では、インラインヒータ114で中間中空体を加熱することは、中間中空体を所定の加熱時間で所定の加熱温度に加熱することを含む。場合によっては、中間中空体を所定の加熱時間で所定の加熱温度に加熱することは、中間中空体をインラインヒータ114によって0秒超から30分以下の持続時間で250℃以上から550℃以下の温度に加熱することを含む。場合によっては、インラインヒータ114で中間中空体を加熱することは、シーム領域の硬さ勾配、シーム領域内の残留応力、シーム領域の平均硬さ、またはシーム領域の強さのうちの少なくとも1つを制御することを含む。
【0027】
様々な実施形態では、最終中空体を成形する方法は、ハイドロフォーミングシステム104を用いて中間中空体をハイドロフォーミング加工することを含む。
【0028】
図2は、成形システムのロール成形システム202を示す。ロール成形システム202は、ロール成形システム102と実質的に同様であってもよく、コイルフィード106と実質的に同様であってもよいコイルフィード206と、成形ステーション(複数可)108と実質的に同様であってもよい成形ステーション208A~Dと、クロージングステーション110と実質的に同様であってもよいクロージングステーション210と、接合ステーション112と実質的に同様であってもよい接合ステーション212とを含む。ロール成形システム102と同様に、ロール成形システム202もまた、インラインヒータ114と実質的に同様であり得るインラインヒータ214と、冷却ステーション(複数可)116と実質的に同様であり得る冷却ステーション216とを含む。図2に示されるように、金属ストリップ218は、コイルフィード206からほぼ平面または平坦構成で供給される。成形ステーション208A~Dは、金属ストリップ218を平面または平坦構成から順次曲成し、これは、金属ストリップ218の高くなった長手方向の縁部220によって図2に表されている。長手方向の縁部220が接合ステーション212を介して、溶接などによって反対側の長手方向の縁部(図2では見えない)と接合された後、中間中空体222が成形され、中間中空体222は、インラインヒータ214で加熱されてもよく、冷却ステーション216で焼入れされてもよい。
【0029】
図3は、中間中空体222と実質的に同様であってもよい中間中空体322と、ハイドロフォーミングシステム104などのハイドロフォーミングステーションによるハイドロフォーミング加工後の最終中空体324とを示す。
【0030】
図4~6は、成形システムのロール成形システムのヒータとして利用できる装置の非限定的な例を示している。本明細書に記載のロール成形システムでは、必要に応じて様々な他のタイプのヒータを利用することができる。
【0031】
図4は、ヒータ414を示し、このヒータは、回転磁石ヒータであり、支持体426及び支持体426上に支持された1つまたは複数の磁石428を含む。特定の態様では、ヒータ414は、ヒータ414の開口部429内に中間中空体を受容することができ、ヒータ414は、中間中空体を加熱するために中間中空体を中心に回転してもよく、または中間中空体は、ヒータ414が中間中空体を加熱するために静止状態に保たれている間に回転してもよい。
【0032】
図5は、ヒータ414と実質的に同様であり、支持体526及び1つ以上の磁石528を含む回転磁石ヒータであるヒータ514を示す。ヒータ414と比較して、磁石528の配置及び数、ならびにヒータ514の開口部529の形状が異なる。ヒータ414と同様に、ヒータ514は、中間中空体が静止状態に保たれている間に回転してもよく、またはその逆であってもよい。
【0033】
図6は、中間中空体622を少なくとも部分的に囲むことができる誘導コイル631を有する誘導ヒータであるヒータ614を示す。
【0034】
図7は、成形システム100などの成形システムによって成形されている、切断された中間中空体722の一例を示す。図7に示されるように、中間中空体722は、接合ステーションによって金属ストリップの長手方向の縁部が合わせて接合されるシーム領域730を有する。中間中空体722は円形断面で示されているが、中間中空体722は、ロール成形システムに含まれる成形ステーション(複数可)に応じて、要望どおり他の形状を有してもよい。
【0035】
言及されるように、インラインヒータを含むロール成形システムを備えた成形システムは、改善されたハイドロフォーミング加工性能を有する中間中空体を製造することができる。場合によっては、インラインヒータによる加熱は、インライン熱処理を伴わない中間中空体と比較して、中間中空体のシーム領域でのフープ方向内の残留応力を低下させることができる(図8)。様々な場合では、インラインヒータによる加熱は、インライン熱処理を伴わない中間中空体と比較して、中間中空体でのフレア加工変位を改善することができる(図9)。場合によっては、インラインヒータによる加熱は、インライン熱処理を伴わない中間中空体と比較して、中間中空体を軟化させることがある(図10)。様々な実施形態では、インラインヒータによる加熱は、インライン熱処理を伴わない中間中空体と比較して、中間中空体の硬さを低下させることができる(図11)。いくつかの実施形態では、インラインヒータによる加熱は、驚くべきことに、インライン熱処理を伴わない中間中空体と比較して、中間中空体のシーム領域にわたる硬さ分布を改善し得る(図11及び12)。
【0036】
図8は、中間中空体の4つのサンプルにおける残留応力を示す。各中間中空体は6000系アルミニウム合金であり、以下に論じられるようにインライン炉で加熱することを除いて同じプロセスによって成形された。残留応力は、各中間製品のフープ(図7の矢印732によって表される)方向で測定された。図8で与えられた時間/持続時間はすべてドウェル/ソーク時間(つまり、各本体が特定の温度に保持された持続時間)であり、各中間体はランプアップ時間(つまり、本体が特定の温度に達するまで加熱された持続時間)を有した。例えば、「0秒」と示される持続時間は、ランプアップ時間中に中間体が加熱されたが、達した温度に保持されなかったことを意味し、中間体が加熱されなかったことを意味するものではない。棒834によって表されるサンプル中間中空体は、インラインヒータからのいかなる加熱も伴わずに成形された。棒836によって表されるサンプル中間中空体は、250℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒838によって表されるサンプル中間中空体は、300℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒840によって表されるサンプル中間中空体は、350℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒834によって表される残留応力は約23MPaであり、棒836によって表される残留応力は約23MPaであり、棒838によって表される残留応力は約7MPaであり、棒840によって表される残留応力は約15MPaであった。棒834を棒836~840とそれぞれ比較することによって示されるように、インライン加熱は、加熱温度が上昇するにつれて、中間中空体のシーム領域における残留応力を低下させた。インラインヒータによって与えられた残留応力における低下は、インライン加熱のない中間中空体と比較して、ハイドロフォーミング加工中のシーム領域の成形性及び健全性を改善することができる。
【0037】
図9は、ダブルコーンフレア加工試験に従って試験された、中間体の8つのサンプルにおけるフレア加工変位を示す。図9で与えられた時間/持続時間はすべてドウェル時間/持続時間(つまり、各本体が特定の温度に保持された持続時間)であり、各中間体はランプアップ時間(つまり、本体が特定の温度に達するまで加熱された持続時間)を有した。例えば、「0秒」と示される持続時間は、ランプアップ時間中に中間体が加熱されたが、達した温度に保持されなかったことを意味し、中間体が加熱されなかったことを意味するものではない。各中間中空体は6000系アルミニウム合金であり、以下に論じられるようにインライン炉で加熱することを除いて同じプロセスによって成形された。棒942によって表されるサンプル中間中空体は、インラインヒータからのいかなる加熱も伴わずに成形された。棒944によって表されるサンプル中間中空体は、300℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒946によって表されるサンプル中間中空体は、300℃の温度に20分の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒948によって表されるサンプル中間中空体は、400℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒950によって表されるサンプル中間中空体は、400℃の温度に0秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒952によって表されるサンプル中間中空体は、450℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒954によって表されるサンプル中間中空体は、450℃の温度に0秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒956によって表されるサンプル中間中空体は、475℃の温度に0秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒942を他の棒944~956と比較することによって示されるように、温度及び持続時間の様々な組み合わせでのインラインヒータによる加熱は、中間中空体のフレア加工変位を増加させた。特定の態様では、加熱温度を変化させることは、加熱持続時間を変化させることと比較して、フレア加工変位により著しい影響を及ぼした。例えば、持続時間が一定に保たれたが加熱温度が変化した棒944と棒948との間の差異を、加熱温度が一定に保たれたが加熱持続時間が変化した棒944と棒946との間の差異と比較する。
【0038】
図10は、中間中空体の5つのサンプルにおける降伏応力及び最大引張応力を示す。各中間中空体は6000系アルミニウム合金であり、以下に論じられるようにインライン炉で加熱することを除いて同じプロセスによって成形された。図10で与えられた時間/持続時間はすべてドウェル時間(つまり、各本体が特定の温度に保持された持続時間)であり、各中間体はランプアップ時間(つまり、本体が特定の温度に達するまで加熱された持続時間)を有した。例えば、「0秒」と示される持続時間は、ランプアップ時間中に中間体が加熱されたが、達した温度に保持されなかったことを意味し、中間体が加熱されなかったことを意味するものではない。棒1058及び1068によって表されるサンプル中間中空体は、インラインヒータからのいかなる加熱も伴わずに成形された。棒1060及び1070によって表されるサンプル中間中空体は、300℃の温度に20分の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒1062及び1072によって表されるサンプル中間中空体は、300℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒1064及び1074によって表されるサンプル中間中空体は、400℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒1066及び1076によって表されるサンプル中間中空体は、450℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。図10に示されるように、インラインヒータからの加熱は、インライン加熱を伴わない中間中空体と比較して、中間中空体の強さを一般に低下させ、加熱温度が上昇するにつれて強さを一般に低下させた。インライン加熱による中間中空体の強さの低下は、驚くべきことに、インライン加熱のない中間中空体と比較して、ハイドロフォーミング加工中の成形性及び健全性を改善することができる。
【0039】
図11は、中間中空体の3つのサンプルのシーム領域の平均硬さを示す。図11で与えられた時間/持続時間はすべてドウェル時間(つまり、各本体が特定の温度に保持された持続時間)であり、各中間体はランプアップ時間(つまり、本体が特定の温度に達するまで加熱された持続時間)を有した。例えば、「0秒」と示される持続時間は、ランプアップ時間中に中間体が加熱されたが、達した温度に保持されなかったことを意味し、中間体が加熱されなかったことを意味するものではない。各中間中空体は6000系アルミニウム合金であり、以下に論じられるようにインライン炉で加熱することを除いて同じプロセスによって成形された。棒1178によって表されるサンプル中間中空体は、インライン加熱を伴わずに成形された。棒1180によって表されるサンプルは、300℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒1182によって表されるサンプルは、350℃の温度に30秒の持続時間でインラインヒータから加熱して成形された。棒1178を棒1180及び1182と比較することによって示されるように、インライン炉からの加熱は、インライン加熱なしの中間体のシーム領域の平均硬さと比較して、中間体のシーム領域の平均硬さを低下させた。特定の態様では、平均硬さの低下は、驚くべきことに、インライン加熱のない中間中空体と比較して、ハイドロフォーミング加工中の成形性及び健全性を改善することができる。
【0040】
図12は、6000系アルミニウム合金であり、インライン炉から加熱することなく成形された中間中空体1222のシーム領域1230の硬さヒートマップである。図12では、最小硬さは117Hvであり、最大硬さは149Hvであり、平均硬さは129Hvであった。図13は、中間中空体1222と同じ6000系アルミニウム合金であるが、350℃の温度に30秒のドウェル持続時間でインライン炉からの加熱により成形された中間中空体1322のシーム領域1330の硬さマップである。図13では、最小硬さは55Hvであり、最大硬さは91Hvであり、平均硬さは71Hvであった。図13図12と比較することによって示されるように、シーム領域1330の硬さ値(最小硬さ、最大硬さ、及び平均硬さ)はすべてシーム領域1230の対応する硬さ値(最小硬さ、最大硬さ、及び平均硬さ)と比較して低下した。さらに、熱分布を比較することにより、シーム領域1330の硬さは、シーム領域1230と比較して、シーム領域1330全体でより均質になった/より均一な硬さ分布を有した。インラインヒータで加熱することによって与えられた硬さの低下及びより均一な硬さ分布は、驚くべきことに、インライン加熱のない中間中空体と比較して、ハイドロフォーミング加工中の成形性及び健全性を改善することができる。
【0041】
図14は、最終中空体の5つのサンプルにおける使用期間中の降伏強さ及び極限引張強さ(すなわち、ハイドロフォーミング加工後の強さ)を示す。各最終中空体は6000系アルミニウム合金であり、以下で説明される以外は同じプロセスで成形された。図14で与えられた時間/持続時間はすべてドウェル時間(つまり、各本体が特定の温度に保持された持続時間)であり、各中間体はランプアップ時間(つまり、本体が特定の温度に達するまで加熱された持続時間)を有した。例えば、「0秒」と示される持続時間は、ランプアップ時間中に中間体が加熱されたが、達した温度に保持されなかったことを意味し、中間体が加熱されなかったことを意味するものではない。棒1484及び1485によって表されるサンプル最終中空体は、インラインヒータからのいかなる加熱も伴わずに成形され、成形後熱処理または塗装焼き付けなしでハイドロフォーミング加工された。棒1486及び1487によって表されるサンプル最終中空体は、インラインヒータからの加熱を伴わないが、成形後の熱処理、及びハイドロフォーミング加工前のペイントバックを伴い成形された。棒1488及び1489によって表されるサンプル最終中空体は、350℃の温度での30秒の持続時間のインライン炉からの加熱だけでなく、成形後の熱処理及びハイドロフォーミング加工前のペイントバックによって成形された。棒1490及び1491によって表されるサンプル最終中空体は、400℃の温度での30秒の持続時間のインライン炉からの加熱だけでなく、成形後の熱処理及びハイドロフォーミング加工前のペイントバックによって成形された。棒1492及び1493によって表されるサンプル最終中空体は、450℃の温度での30秒の持続時間のインライン炉からの加熱だけでなく、成形後の熱処理及びハイドロフォーミング加工前のペイントバックによって成形された。特定の実施形態では、最終中空体の特定の用途に応じて、最終中空体は特定の強さ要件を満たす必要がある場合がある。非限定的な一例として、特定の自動車用途では、少なくとも290MPaの降伏強さが必要になる場合がある。図15に示されるように、特定の加熱温度では、インライン加熱した最終中空体は、インライン加熱しなかったものと同等以上の使用期間中の強さを有し、及び/または必要な降伏強さを満たすことができた。言い換えると、インライン加熱した最終中空体は、ハイドロフォーミング加工により成形しやすかったが、それでも特定の加熱温度で同等以上の強さを与えられ、及び/または性能要件を満たすことができた。
【0042】
図15は熱処理なしで成形された中間中空体1522を示し、図16は成形システム100などの成形システムによって成形された中間中空体1622を示す。両方の中空体1522、1622は、同じ6000系アルミニウム合金であり、両方とも同じダブルコーンフレア加工試験を受けて、図15及び16に示されるフレア加工体1522、1622を製造した。図15を参照すると、従来の中間中空体1522は、き裂1523が中間体1522の上に形成される前に17mmのフレア加工変位を達成し、き裂1523は中空体1522の溶接またはシーム領域1530に形成された。図16を参照すると、中空体1622は、ランプアップ時間中に中空体1622を400℃の温度まで加熱したが、達したその温度に保持されなかったことにより、本明細書に記載のシステム及び方法を使用して成形された。中空体1622は、き裂1623が中間体1622の上に形成される前に約54mmのフレア加工変位を達成し、き裂1623は、中間体1622の母材金属(すなわち、溶接またはシーム領域1630以外の中間体1622の一部)に形成され、溶接またはシーム領域1630は割れていなかった。図15図16と比較することにより、中間中空体1622は、改善されたフレア加工性能(54mm対17mm)によって表されるように、インライン加熱なしの中空体1522と比較して改善された成形性及び健全性を有した。さらに、中空体1622内(すなわち、シーム領域1630ではなく母材金属内)のき裂1623の位置は、中間体1522のものと比較して、より均質な微細構造及び/また均質な硬さ分布を表す。
【0043】
図17は、本明細書に記載の方法に従って成形された中間体の5つのサンプル、及び加熱せずに成形された対照サンプル(棒1711によって表される)におけるフレア加工変位を示す。すべてのサンプルは、ダブルコーンフレア加工試験に従って試験された。各サンプルは6000系アルミニウム合金であり、成形システムによって成形された。対照サンプルを除くすべてのサンプルには、成形プロセスの一部として加熱が含まれており、これらのサンプルでは、各サンプルを加熱した持続時間は同じであったが、各サンプルを加熱した温度は異なった。特に、棒1701によって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで380℃の温度まで加熱することによって成形され、棒1703によって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで400℃の温度まで加熱することによって成形され、棒1705によって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで425℃の温度まで加熱することによって成形され、棒1707によって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで450℃の温度まで加熱することによって成形され、棒1709によって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで525℃の温度まで加熱することによって成形された。前述のように、加熱せずに成形されたサンプルは棒1711によって表される。
【0044】
図17に示されるように、棒1701によって表されるサンプルは42.9mmの平均フレア加工変位を有し、棒1703によって表されるサンプルは40.7mmの平均フレア加工変位を有し、棒1705によって表されるサンプルは37.4mmの平均フレア加工変位を有し、棒1707によって表されるサンプルは41.5mmの平均フレア加工変位を有し、棒1709によって表されるサンプルは43.9mmの平均フレア加工変位を有した。棒1711によって表される対照サンプルは、17mmの平均フレア加工変位を有した。図示のように、加熱により成形された各サンプル(例えば、棒1701、1703、1705、1707、及び1709)は、対照サンプル(棒1711)のものよりも大きいフレア加工変位を示し、特に、対照サンプルのものの少なくとも2倍であったフレア加工変位を示した。図17の結果は、加熱により成形された場合に本体の成形性が改善されたことを示している。
【0045】
図18は、本明細書に記載の方法に従って成形された中空体1822内のシーム領域1830の微細構造の写真である。中空体1822は6000系アルミニウム合金であり、6000系アルミニウム合金は、ランプアップ期間中にインラインヒータでサンプルを400℃の温度まで加熱することによって成形されたが、一度達したその温度には保持されなかった。図18に示されるように、シーム領域1830の微細構造は、中空体1622の非シーム領域と比較して、ほぼ等軸の完全に再結晶化された微細構造に修復されることにより、本開示の実施形態による加熱が改善された中空体を製造することを示している。
【0046】
図19は、実施形態による、別の成形システム1900のブロック図である。成形システム1900は、成形システム100と実質的に同様であり、ロール成形システム102及びハイドロフォーミングシステム104を含む。成形システム100と比較して、成形システム1900は、塗装焼き付けシステム1905をさらに含む。塗装焼き付けシステム1905は、ロール成形システム102及びハイドロフォーミングシステム104によって成形された中空体の上に塗装焼き付けサイクルを実行するための様々な適切なシステム、装置、及び機構であってもよい。特定の実施形態では、ロール成形システム102及びハイドロフォーミングシステム104によって成形された中空体の上に塗装焼き付けサイクルを実行することは、塗装焼き付けサイクルのない従来の成形された中空体と、ロール成形システム102及びハイドロフォーミングシステム104によって成形されたが塗装焼き付けサイクルのない中空体との両方と比較して、中空体の使用期間中の強さを向上させることができる。いくつかの実施形態では、塗装焼き付けサイクルは、塗装焼き付けサイクルなしで成形された中空体と比較して、中空体を成形する合金のピーク降伏強さにより近くなるように使用期間中の強さを向上させることができる。
【0047】
図20は、本明細書に記載の方法に従って成形された中間体の10個のサンプルの使用期間中の性能を示すチャートである。図20のチャートのy軸上の単位はMpaである。各サンプルは、6000系アルミニウム合金であり、ロール成形中に加熱することによって成形された。各サンプルを加熱した持続時間は同じであったが、各サンプルを加熱した温度は以下に論じられるように変動した。さらに、いくつかのサンプルは、それらのサンプルのそれぞれに対して同じように実行された塗装焼き付けサイクルを受けた。棒2001Aによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで380℃の温度まで加熱することによって成形された。棒2001Bによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで380℃の温度まで加熱することによって成形され、棒2001Aによって表されるサンプルと比較して、棒2001Bによって表されるサンプルは、塗装焼き付けサイクルをさらに受けた。棒2003Aによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで400℃の温度まで加熱することによって成形された。棒2003Bによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで400℃の温度まで加熱することによって成形され、棒2003Aによって表されるサンプルと比較して、棒2003Bによって表されるサンプルは、塗装焼き付けサイクルをさらに受けた。棒2005Aによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで425℃の温度まで加熱することによって成形された。棒2005Bによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで380℃の温度まで加熱することによって成形され、棒2005Aによって表されるサンプルと比較して、棒2005Bによって表されるサンプルは、塗装焼き付けサイクルをさらに受けた。棒2007Aによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで450℃の温度まで加熱することによって成形された。棒2007Bによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで450℃の温度まで加熱することによって成形され、棒2007Aによって表されるサンプルと比較して、棒2007Bによって表されるサンプルは、塗装焼き付けサイクルをさらに受けた。棒2009Aによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで525℃の温度まで加熱することによって成形された。棒2009Bによって表されるサンプル中間体は、サンプルをインラインヒータで525℃の温度まで加熱することによって成形され、棒2009Aによって表されるサンプルと比較して、棒2009Bによって表されるサンプルは、塗装焼き付けサイクルをさらに受けた。塗装焼き付けサイクルがあったサンプル(例えば、棒2001B、2003B、2005B、2007B、及び2009Bによって表されるサンプル)をそれがなかった対応するサンプル(例えば、棒2001A、2003A、2005A、2007A、及び2009Aによって表されるサンプル)と比較することによって示されるように、塗装焼き付けサイクルがあったサンプルは、使用期間中の強さ性能を著しく向上させたことを示した。非限定的な例として、塗料焼き付けサイクルのサンプルはすべて少なくとも200Mpaの使用期間中の強さ性能を示し、ロール成形中に少なくとも400℃の温度まで加熱されたサンプルは、約300Mpaなど、250Mpa超の使用期間中の強さ性能を示した。また図20での結果は、一般に、塗装焼き付けサイクルと組み合わせてロール成形中に加熱する温度が上昇すると、最高の強さでの性能を有する中空体を製造することができることを示す。塗装焼き付けサイクルを伴うサンプルが使用期間中の強さ性能を改善したが、塗装焼き付けサイクルを伴わないサンプルが従来の成形された中空体と比較して概して改善され、それらの使用期間中の強さが製品としての様々な用途に適している(例えば、最小降伏強さ要件を満たす)可能性があることに留意する。
【0048】
本明細書に記載された概念による、様々な例示的なタイプのさらなる説明を提供する「例示」として明示的に列挙された少なくともいくつかを含む、例示的な実施形態の集合体が以下に提供される。これらの実施形態は、相互に排他的、網羅的、または限定的であることを意味しておらず、本発明は、これらの例示的な実施形態に制限されるのではなく、むしろ発行された特許請求の範囲及びその均等物の範囲内の考えられる全ての修正及び変形を包含する。
【0049】
例示1.金属ストリップから最終中空体を成形するための成形システムであって、平面構成中の前記金属ストリップを受け入れ、前記金属ストリップを所望の断面に曲成し、前記金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているように構成される成形ステーションであって、少なくとも1つのローラを含む前記成形ステーションと、前記成形ステーションから下流にあり、前記当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接し、中間中空体を成形するように構成される接合ステーションと、前記接合ステーションから下流にあり、前記中間中空体の少なくとも前記シーム領域を選択的に加熱するように構成されるインラインヒータと、前記インラインヒータから下流にあり、前記中間中空体を前記最終中空体にハイドロフォーミング加工するように構成されるハイドロフォーミングステーションと、を含む、前記成形システム。
【0050】
例示2.前記成形ステーションは、複数のローラを含み、前記成形ステーションは、前記金属ストリップを前記平面構成から順次曲成するように構成される、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の成形システム。
【0051】
例示3.前記インラインヒータは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、または電気炉のうちの少なくとも1つを含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の成形システム。
【0052】
例示4.前記インラインヒータは前記回転磁石を含み、前記中間中空体は前記回転磁石の回転軸に平行な軸に沿って可動である、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の成形システム。
【0053】
例示5.前記接合ステーションと前記ハイドロフォーミングステーションとの間に焼入れステーションをさらに含み、前記焼入れステーションは、前記中間中空体を選択的に焼入れするように構成される、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の成形システム。
【0054】
例示6.前記インラインヒータに通信可能に結合されたコントローラをさらに含み、前記コントローラは、前記インラインヒータが0秒超から30秒以下の持続時間で前記中間中空体を加熱するように前記インラインヒータを制御するように構成される、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の成形システム。
【0055】
例示7.前記インラインヒータに通信可能に結合されたコントローラをさらに含み、前記コントローラは、前記インラインヒータが前記中間中空体を300℃から550℃の温度で加熱するように前記インラインヒータを制御するように構成される、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の成形システム。
【0056】
例示8.金属ストリップから最終中空体を成形する方法であって、前記金属ストリップを所望の断面にロール成形し、前記金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているようにすることと、前記長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接し、中間中空体を成形することと、前記中間中空体の少なくとも前記シーム領域を加熱することと、前記中間中空体を前記最終中空体にハイドロフォーミング加工することと、を含む、前記方法。
【0057】
例示9.前記金属ストリップは、6000系アルミニウム合金を含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0058】
例示10.前記中間中空体を前記最終中空体にハイドロフォーミング加工する前に、前記中間中空体を焼入れすることをさらに含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0059】
例示11.前記加熱することは、前記中間中空体の非シーム領域部分を加熱することを含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0060】
例示12.少なくとも前記シーム領域を加熱することは、少なくとも前記シーム領域を0秒超から30秒以下の持続時間で300℃から550℃の温度で加熱することを含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0061】
例示13.少なくとも前記シーム領域を加熱することは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、または電気炉のうちの少なくとも1つによって加熱することを含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0062】
例示14.前記シーム領域の前記加熱の持続時間または前記シーム領域の前記加熱の温度のうちの少なくとも1つを制御することによってハイドロフォーミング加工する前に、前記シーム領域の硬さ勾配または前記シーム領域の強さのうちの少なくとも1つを制御することをさらに含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0063】
例示15.金属ストリップから中間中空体を成形するためのロール成形システムであって、平面構成中の前記金属ストリップを受け入れ、前記金属ストリップを所望の断面に曲成し、前記金属ストリップの長手方向の縁部が当接しているように構成される成形ステーションであって、少なくとも1つのローラを含む前記成形ステーションと、前記成形ステーションから下流にあり、前記当接している長手方向の縁部をシーム領域として合わせて溶接し、前記中間中空体を成形するように構成される接合ステーションと、前記接合ステーションから下流にあり、前記中間中空体の少なくとも前記シーム領域を選択的に加熱するように構成されるインラインヒータと、前記インラインヒータから下流にあり、前記中間中空体を焼入れするように構成される冷却ステーションと、を含む、前記ロール成形システム。
【0064】
例示16.前記インラインヒータは、回転磁石、誘導インラインヒータ、ガス動力インラインヒータ、赤外線インラインヒータ、または電気炉のうちの少なくとも1つを含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載のロール成形システム。
【0065】
例示17.前記インラインヒータは、0秒超から30秒以下の持続時間で300℃から550℃の温度で少なくとも前記シーム領域を加熱するように構成される、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載のロール成形システム。
【0066】
例示18.前記成形ステーションは複数の成形ステーションを含み、各成形ステーションは少なくとも1つのローラを含む、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載のロール形成システム。
【0067】
例示19.前記中間中空体が静止状態に保持されている間、前記インラインヒータは、前記中間中空体を中心に回転可能である、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載のロール成形システム。
【0068】
例示20.前記中間中空体が前記インラインヒータ内に受容され、前記インラインヒータ内で回転している間、前記インラインヒータは静止状態に保持されるように構成される、先行または後続の例示または例示の組み合わせのいずれかに記載のロール成形システム。
【0069】
上述の態様は、実施態様の考えられる単なる例であり、単に、本開示の原理を明確に理解するために記述されている。本開示の主旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態(複数可)に多くの変形及び修正を加えることができる。そのような全ての修正及び変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図され、要素またはステップの個々の態様または組み合わせに対する全ての考えられる請求は、本開示によって裏付けられることが意図される。さらに、特定の用語が本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、説明された発明または以下の特許請求の範囲を限定する目的ではない。
図1
図2
図3
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図5
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【国際調査報告】