(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】カメラレンズ及びセンサー保護用のカバーガラス物品とそれを備えた装置
(51)【国際特許分類】
G02B 1/115 20150101AFI20231219BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231219BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20231219BHJP
C03C 17/34 20060101ALI20231219BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20231219BHJP
G02B 1/14 20150101ALN20231219BHJP
【FI】
G02B1/115
G03B17/02
G03B11/04 Z
C03C17/34 Z
H04N23/55
G02B1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535685
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021062727
(87)【国際公開番号】W WO2022125846
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】フェイヒ,アルバート ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ハート,シャンドン ディー
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,カール ウィリアム ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】コシク ウィリアムズ,カルロ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】リン,リン
(72)【発明者】
【氏名】マヨレット,アレクサンドル ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン,シュィ
(72)【発明者】
【氏名】ポールソン,チャールズ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】プライス,ジェイムズ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2H083
2K009
4G059
5C122
【Fターム(参考)】
2H083CC01
2K009AA02
2K009AA15
2K009BB02
2K009CC03
4G059AA01
4G059AC04
4G059AC16
4G059EA01
4G059EA04
4G059EA05
4G059EA12
4G059GA02
4G059GA04
4G059GA07
4G059GA12
5C122DA09
5C122EA01
5C122FB03
(57)【要約】
外側光学膜構造体がその上に配置された外側主表面と内側光学膜構造体がその上に配置された内側主表面とを有する基板を備えるカバーガラス物品が説明される。前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、最外低屈折率層を含む。前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記内側主表面上に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層とを含む。前記第1の複数の層のうち各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、前記第2の複数の層のうち各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成る。また、該カバーガラス物品は95%超の平均明所視透過率と、10GPa超の最大硬度とを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーガラス物品[100]であって、
互いに反対側の外側主表面[112]及び内側主表面[114]を有する基板[110]を備え、
前記基板の前記外側主表面上に外側光学膜構造体[130a]が配置され、
前記基板の前記内側主表面上に内側光学膜構造体[130b]が配置され、
前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層[130B、130A]を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含み、
前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層[130B、130A]を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面上に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層[131又は130B]とを含み、
前記第1の複数の層のうち各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、前記第2の複数の層のうち各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成り、
該カバーガラス物品は前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均明所視透過率を示し、
更に該カバーガラス物品は前記外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す、カバーガラス物品。
【請求項2】
前記第1の複数の層の各高屈折率層はSiN
x、SiO
xN
y、AlN
x、SiAl
xN
y、又はSiAl
xO
yN
zから成り、約5nmから2000nmの物理的厚みを有し、第2の複数の層の各高屈折率層はSiN
x、SiO
xN
y、AlN
x、SiAl
xN
y、SiAl
xO
yN
z、Nb
2O
5、Ta
2O
5、TiO
2、HfO
2、又はAl
2O
3から成り、5nmから500nmの物理的厚みを有する、請求項1記載のカバーガラス物品。
【請求項3】
前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す請求項1又は2記載のカバーガラス物品。
【請求項4】
840nmから950nmで前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す請求項1~3のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【請求項5】
840nmから860nm又は930nmから950nmで、前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す請求項1~4のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【請求項6】
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層[150a]を更に含む、請求項1~5のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【請求項7】
前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層[150b]を更に含み、該カバーガラス物品は、前記内側光学膜構造体[130b]において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す、請求項1~6のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【請求項8】
400nmから700nmで、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す請求項1~7のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【請求項9】
前記基板[110]はガラス基板である、請求項1~8のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【請求項10】
装置[200]であって、
ハウジング[202]と、
前記ハウジング内に構成されたカメラ[210]、センサー[220]、及び光源[230]のうち少なくとも1つと、
前記ハウジング内の請求項1~9のいずれかに記載のカバーガラス物品[100]と
を備え、
前記カバーガラス物品の前記基板はカメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つを覆って配置され、
前記内側光学膜構造体[130b]の前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層の前記最内低又は高屈折率層[131又は130B]がカメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つを空気間隙[300]を挟んで覆って配置されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2020年12月11日に出願された米国仮特許出願第63/124394号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本開示に引用する。
【技術分野】
【0002】
本開示はカメラレンズ及びセンサー保護用のカバーガラス物品、特に、外側及び内側光学膜構造体が設けられた基板を有し高い硬度、明所視透過率、及び赤外透過率を示すカバーガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
カバーガラス物品は電子製品及びシステム、例えば携帯装置、スマートフォン、コンピュータタブレット、手持ち装置、車両表示器、及び表示器、カメラ、光源、及び/又はセンサーを備える他の電子装置内の重要な装置及び部品を保護するためにしばしば使用される。これらのカバーガラス物品はまた、建築物品、輸送物品(例えば、自動車用途、列車、航空機、船舶などで使用される物品)、電化製品、又は幾らかの透明性、傷防止性、耐摩耗性、又はそれらの組み合わせを必要とする任意の物品において使用されうる。これらの物品は、例えば運転者支援、自動運転、又は保全用途用に自動車内に配置されたカメラ及び赤外線センサーを備えてもよい。静止監視カメラはまた、破損、傷、又は他の種類の損傷に耐性がある強化カバーガラスを含む保護筐体を必要とする。
【0004】
カバーガラス物品のこれらの用途はしばしば機械的及び環境耐久性、破損耐性、損傷耐性、傷耐性、及び強い光学性能特性の組み合わせを要求する。例えば、カバーガラス物品は、これらの物品で覆われる又は保護される部品に依って可視波長域、赤外波長域、又は他の波長範囲で高い光透過率及び低反射率を示すように要求されることがある。幾つかの用途では、カバーガラス物品は1つの波長域、例えば可視波長域で動作するカメラ、センサー、及び/又は光源を覆うように要求される。しかし、多くの新たな用途では、単一のカバーガラス物品は様々な波長域で動作する複数のカメラ、センサー、及び光源を覆うように要求される。また、他の新たな用途では、複数のカバーガラス物品は様々な波長域で動作する複数のカメラ、センサー、及び光源を独立して覆うように要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、カメラレンズ及びセンサー保護用の改善されたカバーガラス物品、特に高い硬度とこれらに限定されないが明所視透過率及び赤外透過率を含む高い光透過率の組み合わせを示すカバーガラス物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様によれば、互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有する基板を備えるカバーガラス物品が提供され、前記基板の前記外側主表面上に外側光学膜構造体が配置され、前記基板の前記内側主表面上に内側光学膜構造体が配置される。前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含む。また、前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面上に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層とを含む。前記第1の複数の層のうち各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、前記第2の複数の層のうち各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成る。また、該カバーガラス物品は前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均明所視透過率を示し、更に該カバーガラス物品は前記外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0007】
本開示の別の態様によれば、互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有する基板を備えるカバーガラス物品が提供され、前記基板の前記外側主表面上に外側光学膜構造体が配置され、前記基板の前記内側主表面上に内側光学膜構造体が配置される。前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含む。また、前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面上に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層とを含む。前記第1の複数の層の各高屈折率層はSiNx、SiOxNy、AlNx、SiAlxNy、又はSiAlxOyNzから成り、約5nmから2000nmの物理的厚みを有し、第2の複数の層の各高屈折率層はSiNx、SiOxNy、AlNx、SiAlxNy、SiAlxOyNz、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、HfO2、又はAl2O3から成り、5nmから500nmの物理的厚みを有する。また、該カバーガラス物品は、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示し、更に該カバーガラス物品は、外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0008】
本開示の追加の態様によれば、ハウジングと、前記ハウジング内に構成されたカメラ、センサー、及び光源のうち少なくとも1つと、前記ハウジング内の基板とを備える装置が提供され、前記基板は互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有し、カメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つを覆って配置され、前記基板の前記外側主表面に外側光学膜構造体が配置され、前記基板の前記内側主表面に内側光学膜構造体が配置される。前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含む。また、前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面に配置された低又は高屈折率層と、カメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つを空気間隙を挟んで覆って配置された最内低又は高屈折率層とを含む。前記第1の複数の層の各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、前記第2の複数の層の各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成る。また、前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示し、更に前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0009】
追加の特徴及び利点は下記の詳細な説明で明らかにされ、その説明から部分的には当業者には容易に明白であるか、又は下記の詳細な説明、請求項、及び添付図面を含む本明細書に記載された実施形態を実施することで理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記概要説明と下記の詳細な説明の両方とも単に例示であり、請求項の特質及び特性を理解するための概観又は枠組みを提供するよう意図されていることは理解されるべきである。添付図面は更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ一部をなしている。図面は1つ以上の実施形態を例示し、記述内容と共に様々な実施形態の原理と動作を説明するよう働く。
【
図1A】本開示の実施形態に係るカバーガラス物品(例えば、カメラ、センサーなど用)の側断面図である。
【
図1B】本開示の実施形態に係るカバーガラス物品の側断面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るハウジングと、カメラ、センサー、及び光源のうち2つ以上と、カバーガラス物品とを備える装置(例えば、携帯電話)の斜視図である。
【
図2A】
図2に描かれた装置の線IIA‐IIAに沿った断面図である。
【
図2B】本開示の実施形態に係るハウジングと、カメラ、センサー、及び光源のうち1つ以上と、カメラ、センサー、及び光源を覆う本開示に係る光学膜構造体を一部に有するカバーガラス物品とを備える装置(例えば、携帯電話)の斜視図である。
【
図2C】本開示の実施形態に係るハウジングと、カメラ、センサー、及び光源のうち1つ以上と、カメラ、センサー、及び光源のそれぞれを覆う本開示に係るカバーガラス物品とを備える装置(例えば、携帯電話)の斜視図である。
【
図2D】本開示の実施形態に係るハウジングと、カメラ、センサー、及び光源のうち1つ以上と、カメラ、センサー、及び光源の1つ以上を覆う本開示に係るカバーガラス物品とを備える装置(例えば、携帯電話)の斜視図である。
【
図3A】本開示の実施例1に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図3B】本開示の実施例1に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図3C】本開示の実施例1に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図3D】本開示の実施例1に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図4A】本開示の実施例2に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図4B】本開示の実施例2に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図4C】本開示の実施例2に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図4D】本開示の実施例2に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図5A】本開示の実施例3に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図5B】本開示の実施例3に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図5C】本開示の実施例3に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図5D】本開示の実施例3に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図6A】本開示の実施例4に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図6B】本開示の実施例4に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図6C】本開示の実施例4に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図6D】本開示の実施例4に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図7A】本開示の実施例5に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図7B】本開示の実施例5に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図7C】本開示の実施例5に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図7D】本開示の実施例5に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図8A】本開示の実施例6に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図8B】本開示の実施例6に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図8C】本開示の実施例6に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図8D】本開示の実施例6に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図9A】本開示の実施例7に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図9B】本開示の実施例7に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図9C】本開示の実施例7に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図9D】本開示の実施例7に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図10A】本開示の実施例8に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図10B】本開示の実施例8に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図10C】本開示の実施例8に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図10D】本開示の実施例8に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図11A】本開示の実施例9に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図11B】本開示の実施例9に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図11C】本開示の実施例9に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図11D】本開示の実施例9に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図12A】本開示の実施例10に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図12B】本開示の実施例10に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図12C】本開示の実施例10に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射率対波長の垂直入射角でのグラフである。
【
図12D】本開示の実施例10に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面反射色の0~90度全入射角に対するグラフである。
【
図13】本開示の実施形態に係るカバーガラス物品を製造する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の詳細な説明では、限定ではなく説明のために、特定の詳細を開示する実施形態が明記され本開示の様々な原理の完全な理解を提供する。しかし、本開示はそれらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態で実施されてもよいことは、本開示の利益を享受する当業者には明らかであろう。また、周知の装置、方法、及び材料の説明は、本開示の様々な原理の説明を不明瞭にしないために省略されることがある。また、適用可能ならどこでも、類似の符号は類似の部品を指す。
【0012】
範囲は本明細書で「約」特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までとして表されうる。そのような範囲を表す時、別の実施形態はその特定の値から及び/又はその別の特定の値までを含む。同様に、例えば先行する「約」の使用により値が近似値として表される時、その特定の値は別の実施形態を形成することは理解されるであろう。各範囲の端点は他の端点と関連してまた他の端点と独立して意味があることも理解されるであろう。
【0013】
本書で使用される方向の用語、例えば上方、下方、右、左、前、後、上面、底面は描かれた図を参照してのみ使用され、絶対的な方向を示唆するように意図されていない。
【0014】
そうでないと明確に記述されていない限り、本書で明らかにされるどんな方法も、特定の順序でそのステップが実行されることを要求していると解釈されることを決して意図していない。従って、方法請求項がそのステップが従う順序を実際に明記しない場合、又は請求項でも説明でもステップが特定の順序に限定されるべきであると明記されていない場合、順序がどんな点でも推測されることは決して意図されていない。この事は、ステップの配列又は動作フローに関する論理事項、文法構成又は句読点から導出される平易な意味、本書で説明される実施形態の数又は種類を含む、解釈のためのどんな可能な非明示の根拠にも当てはまる。
【0015】
本書で使用されるように、文脈からそうでないと明らかに指示されない限り、英語の単数形「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含む。従って、例えば、1つの構成要素への言及は、文脈からそうでないと明らかに示されない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0016】
本書で使用されるように、用語「配置する」は、当分野で任意の既知の又は開発される方法を使って材料を表面上に材料を表面上に被覆する、蒸着する、及び/又は形成することを含む。配置された材料は本書で定義される層を構成してもよい。本書で使用されるように、句「上に配置される」は材料を表面と直接接触するようにその表面上に形成すること、及び材料が1つ以上の介在する材料を挟んで表面上に形成される実施形態を含む。介在する材料は本書で定義される層を構成してもよい。
【0017】
本書で使用されるように、用語「低RI層」及び「高RI層」は本開示に係るカバーガラス物品の光学膜構造体の層の屈折率(RI)の相対値を指す(即ち、低RI層<高RI層)。従って、低RI層は高RI層の屈折率値より小さい屈折率値を有する。また、本書で使用されるように、「低RI層」及び「低屈折率層」は交換可能で同じ意味を持つ。同様に、「高RI層」及び「高屈折率層」は交換可能で同じ意味を持つ。
【0018】
本書で使用されるように、用語「強化された基板」は、例えば基板表面のより小さなイオンのより大きなイオンとのイオン交換により化学的に強化され本開示のカバーガラス物品に使用される基板を指す。しかし、当分野で既知の他の強化方法、例えば熱焼もどし又は基板の部分間の熱膨張係数の不一致を利用して圧縮応力及び中央張力領域を作ることが強化された基板を形成するのに利用されてもよい。
【0019】
本書で使用されるように、「バーコビッチ圧子硬度試験」及び「バーコビッチ硬度試験」は交換可能に使用され、材料の表面での硬度をダイヤモンドバーコビッチ圧子でその表面を押し込むことで測定するための試験を指す。バーコビッチ圧子硬度試験は本開示のカバーガラス物品の外側又は内側光学膜構造体の最外表面(例えば、露出表面)をダイヤモンドバーコビッチ圧子で押し込み、約50nmから約1000nmの範囲(又は外側又は内側光学膜構造体の全体厚みのどちらか小さい方)の押し込み深さまでのへこみを形成し、このへこみから全押し込み深さ範囲又はこの押し込み深さの一部(例えば、約100nmから約600nmの範囲)に沿って最大硬度を測定することを含む。この試験はOliver, W.C.; Pharr, G. M. An improved technique for determining hardness and elastic modulus using load and displacement sensing indentation experiments. J. Mater. Res., Vol. 7, No. 6, 1992, 1564-1583;及びOliver, W.C.; Pharr, G.M. Measurement of Hardness and Elastic Modulus by Instrument Indentation: Advances in Understanding and Refinements to Methodology. J. Mater. Res., Vol. 19, No. 1, 2004, 3-20に明記された方法を概ね使用する。本書で使用されるように、「硬度」及び「最大硬度」のそれぞれは交換可能に、ある範囲の押し込み深さに沿って測定された最大硬度(平均硬度ではない)を指す。
【0020】
本書で使用されるように、用語「透過率」は材料(例えば、物品、基板、又は光学膜もしくはその一部)を透過する指定された波長範囲内の入射光パワーの割合と定義される。用語「反射率」は材料(例えば、物品、基板、又は光学膜もしくはその一部)から反射される指定された波長範囲内の入射光パワーの割合と定義される。透過率及び反射率は特定の線幅を使って測定される。本書で使用されるように、「平均透過率」は材料を透過する入射光パワーの規定波長領域に亘る平均量を指す。本書で使用されるように、「平均反射率」は材料によって反射される入射光パワーの平均量を指す。
【0021】
本書で使用されるように、「明所視反射率」は人間の目の応答を人間の目の感度に従って反射率又は透過率を波長スペクトルに対して重み付けすることで模倣する。明所視反射率はまた、CIE色空間規格などの知られた規格に従って反射光の輝度又は三刺激Y値と定義されてもよい。380nmから720nmの波長範囲について本書で使用される「平均明所視反射率」は下記の式でスペクトル反射率R(λ)に光源スペクトルI(λ)と目のスペクトル応答に関係するCIE等色関数y-(λ)を掛けたものと定義される。
【0022】
【0023】
また、「平均反射率」は当業者が理解する測定原理に従って可視波長域又は840nmから950nmの赤外波長域などの他の波長範囲に亘って測定されうる。そうでないと記述されない限り、本開示において報告されるか又は参照される全ての反射率値は、基板の両主表面及びカバーガラス物品の光学膜構造体を通す試験、例えば2表面平均明所視反射率に関連する。
【0024】
カメラシステムの使い易さはカメラシステムの全反射量に関係しうる。明所視反射率は可視光カメラシステムにとって特に重要である。カメラシステム又はカメラレンズを覆うカバーガラスのより低い反射率は、カメラシステムにおけるゴースト像を生成しうる多重はね返り反射を低減しうる。従って、反射率はカメラシステムにおける画像品質と重要な関係がある。
【0025】
本書で使用されるように、「明所視透過率」は下記の式でスペクトル透過率T(λ)に光源スペクトルI(λ)と目のスペクトル応答に関係するCIE等色関数y-(λ)を掛けたものと定義される。
【0026】
【0027】
また、「平均透過率」は当業者が理解する測定原理に従って可視波長域又は840nmから950nmの赤外波長域などの他の波長範囲に亘って測定されうる。そうでないと記述されない限り、本開示において報告されるか又は参照される全ての透過率値は、基板の両主表面及びカバーガラス物品の光学膜構造体を通す試験、例えば2表面平均明所視透過率に関連する。
【0028】
本書で使用されるように、「透過色」及び「反射色」は、D65光源下のCIE L*,a*,b*表色系の色に関して本開示のカバーガラス物品を透過した又は反射された色を指す。より具体的には、「透過色」及び「反射色」は、√(a*2+b*2)によって与えられるが、これはこれらの色座標は、例えば0度から10度の入射角範囲に亘ってカバーガラス物品の基板の主表面を通るD65光の透過率又は反射率により測定されるからである。
【0029】
本開示は概ね強化ガラス基板(例えば、Corning(登録商標)Gorilla Glass(登録商標)製品)を含む基板と外側及び内側光学膜構造体を使用するカバーガラス物品に向けられる。これらのカバーガラス物品は高硬度と傷耐性と低光反射を有する。本開示の光学膜構造体は新しい多層膜構造体を示し、本開示のカバーガラス物品はカメラレンズ、センサー、及び/又は光源保護ガラス用に構成された新しいシステムレベル構成を反映する。傷及び反射は両方ともカメラ、センサー、及び光源性能に有害であり、信号喪失、画像歪み、及び関連する画像乱れを引き起こす。しかし、電子装置におけるカメラ、センサー、及び光源の数が増加し撮像及び検知の必要性が増大し続けている時、最適化された傷及び損傷耐性と広い波長域に亘る光透過率とを有する保護カバーガラス物品の必要性が増大し続ける。本開示のカバーガラス物品はこれらの増大する必要性に新しい光学膜構造体とシステムレベル構成で対処する。
【0030】
本開示のカバーガラス物品はカメラレンズ、センサー、及び/又は光源保護(他の部品、例えばボタン、スピーカー、マイクロホンなどの保護と共に)のために使用されうる。これらのカバーガラス物品は高硬度と所望の光学特性(高明所視透過率及び赤外透過率を含む)の組み合わせを示す外側及び内側光学膜構造体を使用する。カバーガラス物品は傷防止層を外側及び内側光学膜構造体の一方又は両方内に含みうる。また、これらの物品の光学膜構造体は、複数の交互する高及び低屈折率層を含みうり、各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成り、各低屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成る。
【0031】
機械的特性に関して、カバーガラス物品はバーコビッチ硬度試験により外側光学膜構造体における100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘って測定された10GPa以上の最大硬度を示しうる。光学特性に関して、カバーガラス物品は0~40度の入射角で基板の主表面を通して測定された95%又は97%さえ超える平均明所視透過率を示しうる。カバーガラス物品はまた、0~10度の入射角で840nmから860nm又は930nmから950nmで測定された85%超の赤外透過率を示しうる。また、カバーガラス物品は、0~10度、0~20度、0~60度の入射角、又は0~90度の全入射角で2以下の低透過色√(a*2+b*2)を示す。
【0032】
これらのカバーガラス物品はカメラ及び/又はセンサー組立体と共にカメラ/センサーシステムとして使用されうる。例えば、システムは1)撮像センサー、赤外線(IR)センサー、又は任意の種類の光センサーであってよいセンサー、2)入射光を集束させる、平行光線にする、又は成形するレンズ、複数のレンズ、又はレンズ状システム、3)光源、及び4)本開示の両面カバーガラス物品の1つ以上を含みうる。これらのシステムの幾つかの態様では、外側及び内側光学膜構造体を有する単一のカバーガラス物品は、複数のセンサー、レンズ、及び/又は光源の保護カバーとして使用される。これらの複数のセンサーはまた、1つ以上の赤外線センサー(IR飛行時間センサー又は光検出及び測距(LIDAR)センサーなど)と組み合わされた1つ以上のカメラを含みうる。他の関係する態様では、外側及び内側光学膜構造体を有する複数のカバーガラス物品は独立して複数のセンサー、レンズ、及び/又は光源を保護するのに使用される。追加の関係する態様では、本開示に従って構成された外側及び内側光学膜構造体によって画定された1つ以上の部分を有するカバーガラス物品は、1つ以上のセンサー、レンズ、及び/又は光源を保護するのに使用されうる。
【0033】
また、本開示のカバーガラス物品はカメラ又はIRシステムの性能を改善し保護するために最適化されうる。基板の各主面上の外側及び内側光学膜構造体は反射を低減し、カメラ/センサーシステムにおけるゴースト像、画像フレア、画像ブルーム、及び他の画像乱れを低減する。外側光学膜構造体の最外表面の高硬度は、ひっかき傷及び他の形態の機械的損傷(例えば画像乱れ、ぼやけ、又は低下したIRセンサー感度を生じさせカメラ又はセンサーシステムの性能を時間と共に劣化させ易い)への高い耐性を提供する。これらのカメラ/センサーシステムはスマートフォン、車両カメラ、及びセンサーシステムの表と裏組立体などの用途で普及しつつある。
【0034】
図1A及び1Bを参照すると、1つ以上の実施形態に係るカバーガラス物品100は基板110と基板110上に配置された外側光学膜構造体130aと内側光学膜構造体130bとを含んでよい。基板110は互いに反対側の主表面112、114と互いに反対側の副表面116、118とを有する。外側光学膜構造体130aが
図1A及び1Bに示すように第1主表面112上に配置され、内側光学膜構造体130bが反対側の第2主表面114に配置される。また、幾つかの実施形態によれば、外側及び内側光学膜構造体130a及び130bの1つ以上が互いに反対側の副表面116、118の一方又は両方上に追加で配置されうる。
【0035】
外側及び内側光学膜構造体130a及び130bのそれぞれは少なくとも1つの材料層を含む。本書で使用されるように、用語「層」は単一層又は1つ以上のサブ層を含んでよい。このようなサブ層は互いに直接接触してもよい。サブ層は同じ材料、又は2つ以上の異なる材料から形成されてもよい。1つ以上の他の実施形態では、このようなサブ層はそれらの間に配置された異なる材料の介在層を有してもよい。1つ以上の実施形態では、1つの層は1つ以上の隣接した途切れのない層及び/又は1つ以上の不連続で途切れた層(即ち、互いに隣接して形成された異なる材料を有する層)を含んでもよい。1つの層又はサブ層は、個別蒸着又は連続蒸着プロセスを含む当分野で既知の任意の方法で形成されてよい。1つ以上の実施形態では、層は連続蒸着プロセスだけ又は或いは個別蒸着プロセスだけを使って形成されてもよい。
【0036】
1つ以上の実施形態では、外側及び内側光学膜構造体130a及び130bのそれぞれの単一層又は複数の層は基板110上に真空蒸着法、例えば化学気相成長(例えば、プラズマ化学気相成長(PECVD)、低圧化学気相成長、大気圧化学気相成長、及びプラズマ大気圧化学気相成長)、物理的気相成長(例えば、反応性又は非反応性スパッタリング又はレーザーアブレーション)、熱又は電子ビーム蒸発、及び/又は原子層蒸着により配置されてもよい。液体ベース法、例えば噴霧、浸漬、スピン被覆、又はスロット被覆(例えば、ゾル‐ゲル材料を使用する)も使用してよい。一般に、気相成長法は薄膜を生成するのに使用されうる様々な真空蒸着法を含んでもよい。例えば、物理的気相成長は物理的処理(例えば、加熱又はスパッタリング)を使用して材料蒸気を生成し、材料蒸気は被覆する物体上に堆積する。外側及び内側光学膜構造体130a及び130bを製造する好適な方法は反応性スパッタリング、金属モード反応性スパッタリング、及びPECVD法を含む。
【0037】
外側及び内側光学膜構造体130a及び130bのそれぞれは約100nmから約10μmの厚みを有しもよい。例えば、光学膜構造体130a及び130bは約200nm以上、300nm、325nm、350nm、375nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、又は8μm以上で約10μm以下の厚みを有してもよい。外側及び内側光学膜構造体130a及び130bは同じ厚み又は異なる厚みを有してよい。
【0038】
1つ以上の実施形態では、外側及び内側光学膜構造体130a及び130bは
図1A及び1Bに示すようにそれぞれ第1及び第2傷防止層150a及び150bを含む又はから成ってもよい。例えば、主表面112上に配置された傷防止層150aと主表面114上に配置された傷防止層150bとを含むカバーガラス物品100が
図1A及び1Bに描かれている。1つの実施形態によれば、傷防止層150a及び150bは、Si
uAl
vO
xN
y、Ta
2O
5、Nb
2O
5、AlN、AlN
x、SiAl
xN
y、AlN
x/SiAl
xN
y、Si
3N
4、AlO
xN
y、SiO
xN
y、SiN
x、SiN
x:H
y、HfO
2、TiO
2、ZrO
2、Y
2O
3、Al
2O
3、MoO
3、ダイヤモンド状炭素、又はそれらの組み合わせから選択された1つ以上の材料から成ってよい。傷防止層150a及び150bで使用される代表的な材料は無機カーバイド、窒化物、酸化物、ダイヤモンド状材料、又はそれらの組み合わせを含んでよい。傷防止層150a及び150bのための適切な材料の例は、金属酸化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭化物、金属オキシ炭化物、及び/又はそれらの組み合わせを含む。代表的な金属はB、Al、Si、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Sn、Hf、Ta、及びWを含む。傷防止層150a、150bに使用されうる材料の具体的例は、Al
2O
3、AlN、AlO
xN
y、Si
3N
4、SiO
xN
y、Si
uAl
vO
xN
y、ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、Si
xC
y、Si
xO
yC
z、ZrO
2、TiO
xN
y、及びそれらの組み合わせを含んでよい。幾つかの実施形態では、傷防止層150a、150bはTa
2O
5、Nb
2O
5、SiN
x、Al
2O
3、SiO
xN
y、AlN
x、SiAl
xN
y、及びそれらの組み合わせを含んでよい。他の実施形態では、傷防止層150a、150bの1つ以上は超格子のナノ層AlN
x/SiAl
xN
yであってよい。これは2018年2月1日に公開された米国特許出願公開第2018/0029929号に詳述されており、その重要な部分を本開示に引用する。幾つかの実施形態では、傷防止層150a、150bのそれぞれは約1MPa√mを超える破壊靭性値を示し、同時にバーコビッチ硬度試験により測定された約10GPaを超える硬度値を示す。
【0039】
1つ以上の実施形態では、傷防止層150a、150bのそれぞれは組成勾配を有してもよい。例えば、傷防止層150a、150bはSiuAlvOxNyの組成勾配を含んでもよく、Si、Al、O、及びNのいずれか1つ以上の濃度が変えられ屈折率を増加又は減少させる。屈折率勾配はまた、孔隙率を使って形成されてもよい。このような勾配は2014年11月13日に公開された米国特許出願公開第2014/0334006号により完全に記載されており、その全体を本書に引用する。
【0040】
図1A及び1Bに描かれたカバー物品100に代表的に示された傷防止層150a、150bのそれぞれは、他の層(例えば、低RI層130A、高RI層130B、キャッピング層131など)と比べて相対的に厚く、例えば約50nm以上、75nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、325nm、350nm、375nm、400nm、425nm、450nm、475nm、500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、又は8μm以上であってよい。例えば、傷防止層150a、150bは約50nmから約10μm、約100nmから約10μm、約150nmから約10μmの厚み及びそれらの範囲間の全ての厚み値と範囲の厚みを有してもよい。
【0041】
図1A及び1Bに示し概略述べたように、本開示のカバーガラス物品100は外側及び内側光学膜構造体130a及び130bを含む。光学膜構造体130a、130bのそれぞれは、複数の交互する低及び高屈折率(RI)層130A及び130Bを含む。幾つかの実施形態によれば、光学膜構造体130a及び130bのそれぞれは、2つ以上の層(例えば、低RI層130A及び高RI層130B)から成る周期132を含む。また、光学膜構造体130a及び130bのそれぞれは、複数の周期132、例えば3~30周期、3~25周期、3~20周期、及びこれらの範囲内の全ての周期を含んでもよい。また、光学膜構造体130a及び130bの周期132の数及び/又は層の数は異なりうる。また、幾つかの好適な実施形態では、光学膜構造体130a及び130bの周期132の数は、各構造体130a、130bが少なくとも5層、例えば交互する低及び高RI層130A及び130Bの合計少なくとも5層(例えば、2周期132と追加のキャッピング層131、低RI層130A、又は高RI層130B)を含むように構成されうる。他の実施形態では、周期132は3層、例えば低RI層130A、中RI層(
図1A及び1Bに不図示)、及び高RI層130Bから成る周期でありうり、中RI層は低RI層130Aと高RI層130Bの間の屈折率を有する。
【0042】
図1A及び1Bに描かれたカバー物品100の幾つかの実施形態では、外側光学膜構造体130aは第1の複数の交互する高屈折率層130B及び低屈折率層130Aを含み、最外低屈折率層130Aが露出している(例えば、空気に)。幾つかの実施形態では、最外低屈折率層はキャッピング層131であり、外側光学膜構造体130aの最外層として働き、低RI層130Aと同じ組成及び屈折率範囲を有する。幾つかの実施形態によれば、外側光学膜構造体130aの最外層130A/131は露出せず上面被膜140がその上に配置されることがある(
図1A及び1B参照)。幾つかの実施形態では、外側光学膜構造体130aの各高RI層130Bは窒化物(例えば、SiN
x)又はオキシ窒化物(例えば、SiO
xN
y)から成る。別の実施形態(
図1A及び1Bに代表的に示された)では、第1の複数の交互する高屈折率層130B及び低屈折率層130Aは、基板110の外側主表面112に接触する低屈折率層130Aを更に含む。また、カバーガラス物品100の実施形態は、第1の複数の交互する高及び低屈折率層が高RI層130Bと同じ組成と少なくとも50nmの物理的厚みを有する第1傷防止層150aを更に含むように構成されうる。
【0043】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の幾つかの実施形態によれば、内側光学膜構造体130bは第2の複数の交互する高屈折率層130B及び低屈折率層130Aを含む。また、これら第2の複数の交互する層は基板110の内側主表面114に配置された低屈折率層130A又は高屈折率層130Bと最内(即ち、
図1A及び1Bに描かれた物品100の底に向かって)低屈折率層130A又は高屈折率層130Bを含む。幾つかの例では、最内低屈折率層130A又は高屈折率層130Bは露出する。幾つかの実施形態によれば、内側光学膜構造体130bの第2の複数の交互する層の最内層130A/130Bは最内キャッピング層131として働きうる。最内キャッピング層131は内側光学膜構造体130bの最内層(低RI層130A又は高RI層130Bと同じ組成と屈折率範囲を有する、
図1A及び1B参照)として働く。幾つかの実施形態では、内側光学膜構造体130bの各高RI層130Bは酸化物(例えば、Nb
2O
5)又は窒化物(例えば、SiN
x)から成る。別の実施形態では、第2の複数の交互する高屈折率層130B及び低屈折率層130Aは、基板110の内側主表面114に接触する低屈折率層130A(
図1Aに代表的に示された)又は高屈折率層130B(
図1Bに代表的に示された)を更に含む。また、カバーガラス物品100の実施形態は、第2の複数の交互する高及び低屈折率層130B及び130Aが高RI層130Bと同じ組成と少なくとも50nmの物理的厚みを有する第2傷防止層150bを更に含むように構成されうる。
【0044】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の1つ以上の実施形態では、用語「低RI」は、低RI層130A及び/又はキャッピング層131と共に使用される時、約1.3から約1.7又は1.75の範囲を含む。1つ以上の実施形態では、用語「高RI」は、高RI層130B及び/又は傷防止層150a、150bと共に使用される時、約1.7から約2.5の範囲(例えば、約1.85以上)を含む。1つ以上の実施形態では、用語「中RI」は、周期132の第3層と共に使用される時、約1.55から約1.8の範囲を含む。幾つかの実施形態では、低RI、高RI、及び/又は中RIの範囲は部分的に重なってもよいが、大多数の例では、外側及び内側光学膜構造体130a及び130bのそれぞれの層はRIに関して概ね低RI<中RI<高RIの関係がある(中RIが3層周期の場合で使用される場合)。1つ以上の実施形態では、低RI層130A(及び/又はキャッピング層131)及び高RI層130B(及び/又は傷防止層150a、150b)のそれぞれの屈折率の違いは約0.01以上、約0.05以上、約0.1以上、又は約0.2以上であってよい。
【0045】
例として、
図1A及び1Bで、外側及び内側光学膜構造体130a及び130bの周期132は低RI層130A及び高RI層130Bを含んでよい。複数の周期が外側及び内側光学膜構造体130a及び130bのどちらか又は両方に含まれる時、低RI層130A(「L」と呼ぶ)及び高RI層130B(「H」と呼ぶ)は次の層順序、L/H/L/H...又はH/L/H/L...で交互して、低RI層130A及び高RI層130Bが光学膜構造体130a、130bの物理的厚みに沿って交互しうる。
図1Aに描かれた実施形態では、外側光学膜構造体130aは2つの周期132とキャッピング層131を含み、各周期132は低RI層130A及び高RI層130Bを含む。
図1Aに描かれた実施形態ではまた、内側光学膜構造体130bは4つの周期132とキャッピング層131を含み、各周期132は低RI層130A及び高RI層130Bを含む。
図1Bに描かれた実施形態では、外側光学膜構造体130aは2つの周期132とキャッピング層131を含み、各周期132は低RI層130A及び高RI層130Bを含む。
図1Bに描かれた実施形態ではまた、内側光学膜構造体130bは4つの周期132と追加の高RI層130Bを含み、各周期132は高RI層130B及び低RI層130Aを含む。幾つかの実施形態では、前述したように、光学膜構造体130a、130bのそれぞれは30個までの周期132を含んでよい。
【0046】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の外側及び内側光学膜構造体130a及び130bで使用するのに適した材料例は、限定されないが、SiO
2、Al
2O
3、SiAl
xO
y、GeO
2、SiO、AlO
xN
y、AlN、AlN
x、SiAl
xN
y、SiN
x、SiO
xN
y、SiAl
xO
yN
z、Ta
2O
5、Nb
2O
5、TiO
2、ZrO
2、TiN、MgO、MgF
2、BaF
2、CaF
2、SnO
2、HfO
2、Y
2O
3、MoO
3、DyF
3、YbF
3、YF
3、CeF
3、ダイヤモンド状炭素、及びそれらの組み合わせを含む。低RI層130Aで使用するのに適した材料の幾つかの例は、限定されないが、SiO
2、Al
2O
3、SiAl
xO
y、GeO
2、SiO、AlO
xN
y、SiO
xN
y、SiAl
xO
yN
z、MgO、MgAl
xO
y、MgF
2、BaF
2、CaF
2、DyF
3、YbF
3、YF
3、及びCeF
3を含む。カバーガラス物品100の幾つかの実施形態では、各低RI層130AはSiO
2又はMgF
2を含む。低RI層130Aで使用される材料(例えば、Al
2O
3及びMgAl
xO
yなどの材料)の窒素含有量は最小にされてもよい。高RI層130Bで使用するのに適した材料の幾つかの例は、限定されないが、SiAl
xO
yN
z、Ta
2O
5、Nb
2O
5、AlN、AlN
x、SiAl
xN
y、AlN
x/SiAl
xN
y、Si
3N
4、AlO
xN
y、SiO
xN
y、SiN
x、SiN
x:H
y、HfO
2、TiO
2、ZrO
2、Y
2O
3、Al
2O
3、MoO
3、及びダイヤモンド状炭素を含む。幾つかの実施形態によれば、カバーガラス物品100の外側光学膜構造体130aの各高RI層130BはSiN
x、SiO
xN
y、AlN
x、SiAl
xN
y、又はSiAl
xO
yN
zを含む。他の実施形態では、1つ以上の高RI層130Bは超格子ナノ層AlN
x/SiAl
xN
yであってもよい。また、カバー物品100の幾つかの実施形態は、内側光学膜構造体130bがSiN
x、Nb
2O
5、Ta
2O
5、又はAl
2O
3を含むように構成される。1つ以上の実施形態では、高RI層130Bは高硬度(例えば、8GPa超の硬度)を有してもよく、上記列挙された高RI材料は高硬度及び/又は傷耐性を有してもよい。
【0047】
高RI層130Bの材料、特にSiNx又はAlNx材料の酸素含有量は最小にされてもよい。AlOxNy材料は酸素が添加されたAlNx(即ち、AlNx結晶構造(例えば、ウルツ鉱)を持ちAlON結晶構造を持つ必要はない)であると考えてよい。代表的なAlOxNy又はSiOxNy高RI材料は約0原子%から約20原子%酸素又は約5原子%から約15原子%酸素と30原子%から約50原子%窒素を含んでもよい。代表的なSiAlxOyNz高RI材料は約10原子%から約30原子%又は約15原子%から約25原子%ケイ素、約20原子%から約40原子%又は約25原子%から約35原子%アルミニウム、約0原子%から約20原子%又は約1原子%から約20原子%酸素、及び約30原子%から約50原子%窒素を含んでもよい。上記材料は約30質量%まで水素添加されてもよい。中屈折率を有する材料が中RI層として望まれる場合、幾つかの実施形態はAlN及び/又はSiOxNyを使用してもよい。第1又は第2傷防止層150a、150bは高RI層130Bに使用するのに適すると開示された材料のいずれから成ってもよいことは理解されるべきである。
【0048】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の実施形態では、主にSiO
2、Si
3N
4、及び/又はSiO
xN
yの組み合わせから成る外側及び内側光学膜構造体130a、130bは高硬度、光透過性、及び化学及び環境耐久性の故に幾つかの用途で有利であると分かっている。例えば、これらの材料でできた多層被覆試料(例えば、これらの光学膜構造体130a、130bの代表となる)に、400グリットAl
2O
3サンドペーパーで50摩耗サイクル(1cm
2接触面積当たり負荷1kg)の前摩耗と続く35℃の5%NaCl水溶液に7日間漬けることから成る厳しい化学耐久性試験が行われた。NaCl溶液浸漬前後で腐食、分解、剥離も、他の目に見える変化も、化学処置後にこれらの材料及びこれらの材料でできた多層膜の光学顕微鏡検査を行って観察されなかった。
【0049】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の1つ以上の実施形態では、外側及び/又は内側光学膜構造体130a、130bは高RI層130Bとして一体化される傷防止層150a、150bを含んでもよく、1つ以上の低RI層130A、高RI層130B、及び/又はキャッピング層131が傷防止層150a、150b上に配置されてよい。また、第1傷防止層150aに関して、
図1A及び1Bに示されているように、任意選択の上面被膜140も傷防止層150a上に配置されてよい。傷防止層150a、150bは全体外側及び/又は内側光学膜構造体130a、130b内又は全体カバーガラス物品100内の最も厚い高RI層130Bと規定されてもよい。理論に縛られることなく、相対的に薄い量の材料が傷防止層150a、150b上に配置されるなら、カバーガラス物品100は押し込み深さにおいて増加した硬度を示すことがあると考えられている。しかし、傷防止層150a、150b上に低RI層130A及び高RI層130Bを設けることは、カバーガラス物品100の光学特性を改善することがある。幾つかの実施形態では、相対的に数層(例えば、1、2、3、4、又は5層)が傷防止層150a、150b上に配置されてよく、これらの層はそれぞれ相対的に薄くてもよい(例えば、100nm未満、75nm未満、50nm未満、又は25nm未満)。
【0050】
1つ以上の実施形態では、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、外側光学膜構造体130a上に配置された1つ以上の追加の上面被膜140を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、追加の上面被膜140は洗浄し易い被膜であってもよい。適切な洗浄し易い被膜の例は、2014年4月24日に公開された米国特許出願公開第2014/0113083号に記載されており、その全体を本書に引用する。洗浄し易い被膜は約5nmから約50nmの範囲内の厚みを有し、フッ素化シランなどの既知の材料から成ってもよい。洗浄し易い被膜は或いは又は加えて低摩擦被膜又は表面処理を含んでもよい。代表的な低摩擦被膜材料はダイヤモンド状炭素、シラン(例えば、フルオロシラン)、ホスホン酸塩、アルケン、及びアルキンを含んでもよい。幾つかの実施形態では、上面被膜140の洗浄し易い被膜は約1nmから約40nm、約1nmから約30nm、約1nmから約25nm、約1nmから約20nm、約1nmから約15nm、約1nmから約10nm、約5nmから約50nm、約10nmから約50nm、約15nmから約50nm、約7nmから約20nm、約7nmから約15nm、約7nmから約12nm、約7nmから約10nm、約1nmから約90nm、約5nmから約90nm、約10nmから約90nm、又は約5nmから約100nmの範囲及びそれらの間の全ての範囲及び部分範囲内の厚みを有してよい。
【0051】
上面被膜140は傷防止層150a及び/又は150bで使用するのに適していると開示された材料のいずれかから成る傷防止層150a、150bを含んでもよい。幾つかの実施形態では、追加の上面被膜140は洗浄し易い材料と傷防止材料の組み合わせから成る。1つの例では、その組み合わせは洗浄し易い材料とダイヤモンド状炭素を含む。このような追加の上面被膜140は約5nmから約20nmの範囲内の厚みを有してもよい。追加の被膜140の構成要素は別々の層として設けられてもよい。例えば、ダイヤモンド状炭素は第1層として配置され、洗浄し易い材料はダイヤモンド状炭素の第1層上に第2層として配置されうる。第1層及び第2層の厚みは追加の被膜について上述した範囲内であってよい。例えば、ダイヤモンド状炭素の第1層は約1nmから約20nm又は約4nmから約15nm(又はより具体的には約10nm)の厚みを有してもよく、洗浄し易い材料の第2層は約1nmから約10nm(又はより具体的には約6nm)の厚みを有してよい。ダイヤモンド状被膜は4面体非晶質炭素(Ta‐C)、Ta‐C:H、及び/又はa‐C‐Hを含んでもよい。
【0052】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の実施形態によれば、外側光学膜構造体130aの各高RI層130Bは、約5nmから約2000nm、約5nmから約1500nm、約5nmから約1000nmの範囲の、及びこれらの値の間の全ての厚み及び範囲の物理的厚みを有しうる。例えば、これらの高RI層130Bは5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、250nm、500nm、750nm、1000nm、1250nm、1500nm、1750nm、2000nm、及びこれらの値の間の全ての厚み値の物理的厚みを有しうる。また、内側光学膜構造体130bの各高RI層130Bは、約5nmから約500nm、約5nmから約400nm、約5nmから約300nmの範囲の、及びこれらの値の間の全ての厚み及び範囲の物理的厚みを有しうる。例として、これらの高RI層130Bのそれぞれは5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、及びこれらの値の間の全ての厚み値の物理的厚みを有しうる。また、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の幾つかの実施形態によれば、外側及び内側光学膜構造体130a、130bの各低RI層130Aは、約5nmから300nm、約5nmから250nm、約5nmから200nmの、及びこれらの値の間の全ての厚み及び範囲の物理的厚みを有しうる。例えば、これらの低RI層130Aのそれぞれは5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、及びこれらの値の間の全ての厚み値の物理的厚みを有しうる。
【0053】
1つ以上の実施形態では、外側及び内側光学膜構造体130a、130bの層の少なくとも1つ(例えば、低RI層130A又は高RI層130B)は特定の光学厚み(又は光学厚み範囲)を有してもよい。本書で使用されるように、用語「光学厚み」は層の物理的厚みと屈折率の積を指す。1つ以上の実施形態では、外側及び内側光学膜構造体130a、130bの層の少なくとも1つは、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、又は約15nmから約5000nmの範囲内の光学厚みを有してもよい。幾つかの実施形態では、外側及び内側光学膜構造体130a、130bの全ての層はそれぞれ、約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、又は約15nmから約5000nmの範囲内の光学厚みを有してもよい。幾つかの実施形態では、外側及び内側光学膜構造体130a、130bのどちらか又は両方の少なくとも1つの層は約50nm以上の光学厚みを有する。幾つかの実施形態では、各低RI層130Aは約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、又は約15nmから約5000nmの範囲内の光学厚みを有する。幾つかの実施形態では、各高RI層130Bは約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、又は約15nmから約5000nmの範囲内の光学厚みを有する。3層周期132を含む実施形態では、各中RI層は約2nmから約200nm、約10nmから約100nm、約15nmから約100nm、約15nmから約500nm、又は約15nmから約5000nmの範囲内の光学厚みを有する。幾つかの実施形態では、傷防止層150a及び/又は150bは外側及び/又は内側光学膜構造体130a、130bにおける最も厚い層であり、及び/又は光学膜構造体内のどんな他の層よりも高い屈折率を有する。
【0054】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の基板110は無機材料を含んでもよく、非晶質基板、結晶質基板、又はそれらの組み合わせから成ってもよい。基板110は人工材料及び/又は天然の材料(例えば、石英及び重合体)から形成されてもよい。例えば、幾つかの例では、基板110は有機と特徴付けられ具体的には重合体であってよい。適切な重合体の例は、限定されないが、ポリスチレン(PS)(スチレン共重合体及び混合物を含む)、ポリカーボネート(PC)(共重合体及び混合物を含む)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート共重合体を含む共重合体及び混合物を含む)、ポリオレフィン(PO)及び環状ポリオレフィン(環状PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むアクリルポリマー(共重合体及び混合物を含む)、熱可塑性ウレタン(TPU)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びこれらの重合体の混合物を含む熱可塑性樹脂を含む。他の代表的な重合体はエポキシ、スチレン、フェノール、メラミン、及びシリコーン樹脂を含む。
【0055】
幾つかの特定の実施形態では、基板110は具体的に重合体、プラスチック、及び/又は金属基板を除外してよい。基板110はアルカリ含有基板(即ち、1つ以上のアルカリを含む基板)と特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、基板110は約1.45から約1.55の範囲内の屈折率を示す。特定の実施形態では、基板110は1つ以上の主表面の表面における0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上、1%以上、1.1%以上、1.2%以上、1.3%以上、1.4%以上、1.5%以上、又は2%以上の平均破断歪み(ボール・オン・リング試験を使い少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、又は少なくとも20個の試料を使って測定された)を示してもよい。特定の実施形態では、基板110は1つ以上の主表面の表面における約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約2.2%、約2.4%、約2.6%、約2.8%、又は約3%以上の平均破断歪みを示してもよい。
【0056】
用語「破断歪み」はひび割れが追加の負荷の印加なしに外側又は内側光学膜構造体130a、130b、基板110、又は両方内を同時に伝搬する時の歪みを指し、特定の材料、層、又は膜及び多分別の材料、層、又は膜(本書に記述された)へのブリッジの破局的な破断を通常引き起こす。即ち、基板110の破損のない光学膜構造体130a、130bの破損が破断であり、基板110の破損も破断である。平均破断歪み又は任意の他の特性について使用される時の用語「平均」は5つの試料のそのような特性の測定値の数学的平均に基づく。通常、ひび割れ開始歪み測定値は通常実験室条件下で再現されうり、多数の試料で測定されたひび割れ開始歪みの標準偏差は観測された歪みの0.01%位の小ささでありうる。本書で使用される平均破断歪みはリング・オン・リング張力試験を使って測定された。しかし、そうでないと記述されない限り、本書に記載された破断歪み測定値は、2018年7月5日に公開された国際公開第2018/125676号に記載されているリング・オン・リング試験による測定値を指す。この文献全体を本書に引用する。
【0057】
適切な基板110は約30GPaから約120GPaの範囲の弾性率(又はヤング率)を示しうる。幾つかの例では、基板110の弾性率は約30GPaから約110GPa、約30GPaから約100GPa、約30GPaから約90GPa、約30GPaから約80GPa、約30GPaから約70GPa、約40GPaから約120GPa、約50GPaから約120GPa、約60GPaから約120GPa、約70GPaから約120GPaの範囲、及びそれらの間の全ての範囲及び部分範囲内であってよい。幾つかの例では、ヤング率は音響共振(ASTM E1875)、共鳴超音波分光法、又はバーコビッチ圧子を使ったナノ押し込みにより測定されてよい。
【0058】
1つ以上の実施形態では、非晶質基板はガラスから成っていてよく、そのガラスは、強化されていても、いなくてもよい。適切なガラスの例は、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、及びアルカリアルミノホウケイ酸ガラスを含む。幾つかの変形例では、そのガラスは酸化リチウムを含まないことがある。1つ以上の他の実施形態では、基板110は、結晶質基板、例えば、ガラスセラミック基板(強化されていても、いなくてもよい)から成るか、又は単結晶構造体、例えば、サファイアから成ってよい。1つ以上の特定の実施形態では、基板110は、非晶質ベース(例えば、ガラス)及び結晶質クラッド(例えば、サファイア層、多結晶アルミナ層及び/又はスピネル(MgAlxOy)層)を含む。ガラスセラミック基板は1つ以上の結晶相、例えば二ケイ酸リチウム、葉長石、ベータ石英、又はベータリシア輝石(構造体内の残留ガラスと結合されうる)を含んでもよい。これらのガラスセラミック基板は望ましくは光学的に透明で化学的に強化されていてよく、例えば米国特許第10611675号、米国特許出願公開第2020/0231491号、米国特許出願公開第2020/0223744号、及び米国特許出願公開第2020/0148591号に記載されている。これらのそれぞれの全体を本書に引用する。
【0059】
1つ以上の実施形態の基板110は、物品の硬度(本書に記載されたバーコビッチ圧子硬度試験により測定される)より小さい硬度を有してもよい。基板110の硬度はバーコビッチ圧子硬度試験を使って測定される。
【0060】
基板110は、概ね光学的に澄んだ、透明な、及び光散乱がなくてよい。そのような実施形態では、基板110は、約85%以上、約86%以上、約87%以上、約88%以上、約89%以上、約90%以上、約91%以上、又は約92%以上の可視光領域に亘る平均光透過率を示してよい。幾つかの実施形態では、これらの光反射率及び透過率値は、全反射率又は全透過率(基板110の両主表面での反射率又は透過率を考慮に入れた)であっても、又は基板110の1つの面だけで観測されてもよい(即ち、反対側の表面114を考慮に入れず、主表面112だけ)。そうでないと記述されない限り、基板110だけの平均反射率又は透過率は、主表面112に対して0度の入射照明角度で測定される(しかし、そのような測定は、45度又は60度の入射照明角度で行われてもよい)。基板110は、色、例えば、白、黒、赤、青、緑、黄、橙などを任意選択で示してよい。
【0061】
加えて又は或いは、基板110の物理的厚みは、審美的及び/又は機能的理由のために、その寸法の1つ以上に沿って変化してもよい。例えば、基板110の縁は基板110のより中央領域に比べてより厚くてもよい。基板110の長さ、幅、及び物理的厚み寸法も、物品100の用途又は使途に応じて変化してもよい。
【0062】
基板110は、様々な異なるプロセスを使用して提供されてもよい。例えば、基板110が、ガラスなどの非晶質基板から成る場合、様々な形成方法は、フロートガラスプロセス及びダウンドロープロセス、例えば、融合ドロー及びスロットドローを含みうる。
【0063】
形成後、基板110は強化基板を形成するために強化されてもよい。本書で使用するように、用語「強化基板」は、例えば、基板の表面内にあるより小さいイオンをより大きいイオンとイオン交換することにより、化学的に強化された基板を指すことがある。しかし、当分野で既知の他の強化方法、例えば、焼き戻し、又は圧縮応力領域と中央張力領域を作るために基板の部分間の熱膨張係数の不一致を利用するを強化基板を形成するのに使用してもよい。
【0064】
基板110がイオン交換処理により化学的に強化される場合、基板110の表面層内のイオンが、同じ原子価又は酸化数を有するより大きいイオンと置換又は交換される。イオン交換処理は、通常、基板を、その基板中のより小さいイオンと交換されるより大きいイオンを含む溶融塩液中に浸漬することにより行われる。これらに限定されないが、液の組成と温度、浸漬時間、溶融塩液への基板110の浸漬回数、複数の溶融塩液の使用、アニール、洗浄などの追加のステップを含むイオン交換処理のパラメータは概ね、基板110の組成と強化で得られた基板110の所望の圧縮応力(CS)、圧縮応力層の深さ(又は層の深さ)によって決められることを当業者は理解するであろう。例として、アルカリ金属含有ガラス基板のイオン交換は、これらに限定されないが、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、及び塩化物などの塩を含む少なくとも1つの溶融液に浸漬することにより達成されてよい。溶融塩液の温度は、通常、約380℃から約450℃までの範囲内であり、浸漬時間は、約15分から約40時間までの範囲である。しかし、上述したのと異なる温度及び浸漬時間も使用してよい。
【0065】
また、ガラス基板が複数のイオン交換液に浸漬され、浸漬の間に洗浄及び/又は焼きなましステップが実行されるイオン交換プロセスの非限定の例が、米国特許第8561429号(ガラス基板が複数の連続するイオン交換処理で異なる濃度の塩液に浸漬されて強化される)及び米国特許第8312739号(ガラス基板が流出イオンで希釈された第1液でのイオン交換と次に第1液より小さい濃度の流出イオンを含む第2液に浸漬されることにより強化される)に記載されている。米国特許第8561429号及び米国特許第8312739号の内容全体を本書に引用する。
【0066】
イオン交換により達成される化学的強化の程度は、中央張力(CT)、表面CS、圧縮深さ(DOC)、及びカリウムイオンの層の深さ(DOL)のパラメータに基づいて定量化されうる。圧縮応力(表面CSを含む)は、有限会社折原製作所(日本)により製造されたFSM-6000などの市販の計器を使用して、表面応力計(FSM)により測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。次に、SOCは、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題するASTM規格C770-16に記載されている手順C(ガラスディスク法)に従って測定される。この文献の内容全体を本書に引用する。屈折近視野(RNF)法又は散乱光偏光器(SCALP)手法を応力プロファイルを測定するのに使用してよい。応力プロファイルを測定するのにRNF法が使用される場合、SCALPにより与えられる最大CT値がRNF法で利用される。特に、RNFにより測定された応力プロファイルは、SCALP測定により与えられる最大CT値に対して力平衡され較正される。RNF法は、2014年10月7日に発行された米国特許第8854623号に記載されており、その全体を本書に引用する。特に、RNF法は、基準ブロックに隣接してガラス物品を配置すること、1Hzから50Hzまでの頻度で直交する偏光間で切り換えられる偏光切換光ビームを生成すること、その偏光切換光ビームのパワー量を測定すること、及び偏光切換基準信号を生成することを含み、直交する偏光のそれぞれの測定されたパワー量は互いの50%以内にある。この方法は、偏光切換光ビームをガラス試料中の異なる深さに向けガラス試料及び基準ブロックを通過させ、次に、リレー光学系を使用して透過した偏光切換光ビームを信号光検出器に中継することを更に含み、信号光検出器は偏光切換検出器信号を生成する。この方法はまた、検出器信号を基準信号で割算して、正規化検出器信号を形成すること、及びその正規化検出器信号からガラス試料に特有のプロファイルを求めることも含む。屈折近視野(RNF)法又はSCALPは応力プロファイルを測定するのに使用されてよい。RNF法を応力プロファイルを測定するのに使用する場合、SCALPが提供する最大CT値がRNF法で利用される。特に、RNFにより測定された応力プロファイルは、SCALP測定により与えられる最大CT値に対して力平衡され較正される。特に、RNF法は基準ブロックに隣接してガラス物品を配置すること、1Hzから50Hzまでの頻度で直交する偏光間で切り換えられる偏光切換光ビームを生成すること、その偏光切換光ビームのパワー量を測定すること、及び偏光切換基準信号を生成することを含み、直交する偏光のそれぞれの測定されたパワー量は互いの50%以内にある。この方法は、偏光切換光ビームをガラス試料中の異なる深さに向けガラス試料及び基準ブロックを通過させ、次に、リレー光学系を使用して透過した偏光切換光ビームを信号光検出器に中継することを更に含み、信号光検出器は偏光切換検出器信号を生成する。この方法はまた、検出器信号を基準信号で割算して、正規化検出器信号を形成すること、及びその正規化検出器信号からガラス試料に特有のプロファイルを求めることも含む。最大CT値は当分野で既知の散乱光偏光器(SCALP)手法を使用して測定される。
【0067】
1つの実施形態では、強化基板110は250MPa以上、300MPa以上(例えば、400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、又は800MPa以上)の表面CSを有しうる。強化基板110は10μm以上、15μm以上、20μm以上(例えば、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm以上)のDOC、及び/又は10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上(例えば、42MPa、45MPa、又は50MPa以上)で、100MPa未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55MPa以下)のCTを有してよい。DOCは基板110の厚みtの0.05倍から約0.3t、例えば約0.05tから約0.25t、又は約0.05tから約0.24t、又は約0.05tから約0.23t、又は約0.05tから約0.22t、又は約0.05tから約0.21t、又は約0.05tから約0.20t、又は約0.05tから約0.19t、又は約0.05tから約0.18tであってよい。1つ以上の特定の実施形態では、強化基板110は500MPa超の表面CS、15μm超のDOL、約0.05tから約0.22tのDOC、及び18MPa超のCTのうち1つ以上を有する。
【0068】
基板110に使用されうるガラスの例は、アルカリアルミノケイ酸ガラス組成物又はアルカリアルミノホウケイ酸ガラス組成物を含んでよいが、他のガラス組成物も考えられる。そのようなガラス組成物は、イオン交換処理によって化学的に強化されうる。1つのガラス組成物例は、SiO2、B2O3及びNa2Oを含み、(SiO2+B2O3)≧66モル%でNa2O≧9モル%である。1つの実施形態では、ガラス組成物は6質量%以上の酸化アルミニウムを含む。他の実施形態では、基板110は、アルカリ土類酸化物の含有量が5質量%以上であるように、1種類以上のアルカリ土類酸化物を有するガラス組成物を含む。幾つかの実施形態では、適切なガラス組成物は、K2O、MgO、又はCaOの少なくとも1つを更に含む。特定の実施形態では、基板110に使用されるガラス組成物は、61~75モル%のSiO2、7~15モル%のAl2O3、0~12モル%のB2O3、9~21モル%のNa2O、0~4モル%のK2O、0~7モル%のMgO、及び0~3モル%のCaOを含みうる。
【0069】
基板110に適した追加の例のガラス組成物は、60~70モル%のSiO2、6~14モル%のAl2O3、0~15モル%のB2O3、0~15モル%のLi2O、0~20モル%のNa2O、0~10モル%のK2O、0~8モル%のMgO、0~10モル%のCaO、0~5モル%のZrO2、0~1モル%のSnO2、0~1モル%のCeO2、50ppm未満のAs2O3、及び50ppm未満のSb2O3を含み、12モル%≦(Li2O+Na2O+K2O)≦20モル%で0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0070】
基板110に適した更に別の例のガラス組成物は、63.5~66.5モル%のSiO2、8~12モル%のAl2O3、0~3モル%のB2O3、0~5モル%のLi2O、8~18モル%のNa2O、0~5モル%のK2O、1~7モル%のMgO、0~2.5モル%のCaO、0~3モル%のZrO2、0.05~0.25モル%のSnO2、0.05~0.5モル%のCeO2、50ppm未満のAs2O3、及び50ppm未満のSb2O3を含み、14モル%≦(Li2O+Na2O+K2O)≦18モル%で2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0071】
特定の実施形態では、基板110に適したアルカリアルミノケイ酸ガラス組成物は、アルミナ、少なくとも1つのアルカリ金属、及び幾つかの実施形態では、50モル%超のSiO2、他の実施形態では、58モル%以上のSiO2、及び更に他の実施形態では、60モル%以上のSiO2を含み、比(Al2O3+B2O3)/Σ改質剤(即ち、改質剤の合計)は1より大きく、この比において、成分はモル%で表され、改質剤はアルカリ金属酸化物である。特定の実施形態では、このガラス組成物は、58~72モル%のSiO2、9~17モル%のAl2O3、2~12モル%のB2O3、8~16モル%のNa2O、及び0~4モル%のK2Oを含み、比(Al2O3+B2O3)/Σ改質剤(即ち、改質剤の合計)は1より大きい。
【0072】
更に別の実施形態では、基板110は、64~68モル%のSiO2、12~16モル%のNa2O、8~12モル%のAl2O3、0~3モル%のB2O3、2~5モル%のK2O、4~6モル%のMgO、及び0~5モル%のCaOを含み、66モル%≦SiO2+B2O3+CaO≦69モル%、Na2O+K2O+B2O3+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(Na2O+B2O3)-Al2O3≦2モル%、2モル%≦Na2O-Al2O3≦6モル%、及び4モル%≦(Na2O+K2O)-Al2O3≦10モル%である、アルカリアルミノケイ酸ガラス組成物を含んでよい。
【0073】
別の実施形態では、基板110は、2モル%以上のAl2O3及び/又はZrO2、又は4モル%以上のAl2O3及び/又はZrO2を含むアルカリアルミノケイ酸ガラス組成物を含んでよい。
【0074】
基板110が結晶質基板から成る場合、その基板は単結晶から成りうり、Al2O3を含んでよい。そのような単結晶基板は、サファイアと呼ばれる。結晶質基板の他の適切な材料は、多結晶アルミナ及び/又はスピネル(MgAlxOy)を含む。
【0075】
任意選択で、結晶質基板110は、ガラスセラミック基板から成りうり、強化されていてもいなくてもよい。適切なガラスセラミックの例は、Li2O‐Al2O3‐SiO2系(即ち、LAS系)ガラスセラミック、MgO‐Al2O3‐SiO2系(即ち、MAS系)ガラスセラミック、及び/又はβ‐石英固溶体、β‐スポジュメン固溶体、コージエライト、及び二ケイ酸リチウムを含む主要結晶相を有するガラスセラミックを含んでよい。ガラスセラミック基板は、本書に開示した化学的強化処理を使用して強化されてもよい。1つ以上の実施形態では、MAS系ガラスセラミック基板は、Li2SO4溶融塩中で強化されてもよく、2Li+のMg2+との交換が起こりうる。
【0076】
1つ以上の実施形態に係る基板110は、その様々な部分で約100μmから約5mmの範囲の物理的厚みを有しうる。例示の基板110の物理的厚みは約100μmから約500μmの範囲(例えば、100、200、300、400又は500μm)である。追加の例示の基板110の物理的厚みは約500μmから約1000μmの範囲(例えば、500、600、700、800、900又は1000μm)である。基板110は約1mm超(例えば、約2、3、4、又は5mm)の物理的厚みを有してよい。1つ以上の特定の実施形態では、基板110は2mm以下又は1mm未満の物理的厚みを有してよい。基板110は表面欠陥の影響をなくす又は低下させるために、酸磨き又は他のやり方で処理されてもよい。
【0077】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の硬度に関して、通常、ナノ押し込み測定法(例えば、バーコビッチ圧子を使用する)では、被膜が下敷き基板より硬い場合、測定された硬度は、浅い押し込み深さ(例えば、25nm未満又は50nm未満)における塑性領域の発達により最初は増加するように見え、次により深い押し込み深さ(例えば、50nmから約500nm又は1000nm)において増加し最大値又は横ばいに達することがある。その後、硬度は下敷き基板の影響によって更により深い押し込み深さにおいて減少し始める。被膜に比べてより大きな硬度を持つ基板110を使用する場合、同じ影響が見られうるが、下敷き基板の影響によってより深い押し込み深さにおいて硬度は増加する。
【0078】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100に関して、下敷き基板110の影響なく外側及び内側光学膜構造体130a、130b及び構造体の層の特定の硬度応答を特定するために、押し込み深さ範囲及びある押し込み深さ範囲での硬度値を選択できる。基板110上に配置された光学膜構造体130a、130bの硬度をバーコビッチ圧子で測定する場合、材料の永久変形領域(塑性領域)はその材料の硬度に関係する。押し込みの間、弾性応力場は永久変形領域をずっと超えて広がる。押し込み深さが増加する時、見かけの硬度及び係数は下敷き基板110との応力場相互作用によって影響される。硬度への基板110の影響はより深い押し込み深さ(即ち、通常外側又は内側光学膜構造体130a、130bの全厚みの約10%超の深さ)で生じる。また、厄介な事は、硬度応答が押し込み時、完全な塑性を発達させるのにある最小の負荷を必要とすることである。その最小の負荷の前に、硬度は概ね増加傾向を示す。
【0079】
外側又は内側光学膜構造体130a、130bにおける小さい押し込み深さ(小さい負荷と記述されてもよい)(例えば、約50nmまで)において、材料の見かけの硬度は、押し込み深さに対して劇的に増加するように見える。この小さい押し込み深さ領域は、硬度の真の計量を与えないが、代わり、圧子の有限曲率半径に関係する上記の塑性領域の発達を反映する。中間の押し込み深さにおいて、見かけの硬度は最高レベルに接近する。より深い押し込み深さにおいて、押し込み深さが増加すると、基板110の影響がより顕著になる。押し込み深さが光学被膜厚みの約30%を超えると、硬度は劇的に減少し始めることがある。
【0080】
1つ以上の実施形態では、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、約10GPa以上、約11GPa以上、又は約12GPa以上の最大硬度(バーコビッチ圧子硬度試験により外側光学膜構造体130aにおいて約100nmから約500nmの押し込み深さに亘って測定された)を示してもよい。例えば、カバーガラス物品100は外側光学膜構造体130aにおいて測定された10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、19GPa、20GPaの、又はより大きな最大硬度を示しうる。1つ以上の実施形態では、カバーガラス物品100は、約10GPa以上、約11GPa以上、又は約12GPa以上(例えば、14GPa以上、16GPa以上、18GPa以上、又は20GPa以上)の最大硬度(バーコビッチ圧子硬度試験により内側光学膜構造体130bにおいて約100nmから約500nmの押し込み深さに亘って測定された)を示してもよい。例えば、カバーガラス物品100は内側光学膜構造体130bにおいて測定された10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、19GPa、20GPaの、又はより大きな最大硬度を示しうる。
【0081】
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100の硬度に更に関して、高RI層130B及び/又は傷防止層150a、150bの材料の硬度が具体的に記述される。幾つかの実施形態では、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された高RI層130B及び/又は傷防止層150a、150bの最大硬度は、約10GPa以上、約12GPa以上、約15GPa以上、約18GPa以上、又は約20GPa以上であってもよい。特定の層(例えば、高RI層130B)の硬度はカバーガラス物品100を分析することで測定されてもよく、測定される層は外側光学膜構造体130aの最外層又は内側光学膜構造体130bの最内層である。硬度を測定する層が埋め込み層であれば、上に載る層を含まないカバーガラス物品を作り、次に硬度を求めてその物品を試験することでその硬度を測定してもよい。そのような測定された硬度値は、カバーガラス物品100、外側及び内側光学膜構造体130a、130b、高RI層130B、及び/又は傷防止層150a、150bによって約50nm以上又は約100nm以上の押し込み深さに沿って示され、連続する押し込み深さ範囲に対してある硬度値超に維持されてもよい。幾つかの実施形態では、この連続する押し込み深さ範囲は約100nmから約300nm、約100nmから約400nm、約100nmから約500nm、約100nmから約600nm、約200nmから約300nm、約200nmから約400nm、約200nmから約500nm、約200nmから約600nm、約200nmから約800nm、約200nmから約1000nm、約300nmから約500nm、約300nmから約800nm、又は約300nmから約1000nmでありうる。1つ以上の実施形態では、カバーガラス物品100は基板110の硬度(外側又は内側光学膜構造体130a、130bを取り除いて主表面112又は114について測定されうる)を超える硬度を示す。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、400から700nmの光波長領域に亘って、垂直入射、0から10度、0から20度、0から30度、又は0から40度の入射角において約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約98.5%以上の平均明所視透過率又は平均可視透過率を示してよい。カバーガラス物品100はまた、400から700nmの光波長領域に亘って、垂直入射又は0から60度の入射角において約85%以上、約88%以上、約89%以上、又は約90%以上の平均明所視又は可視透過率を示してよい。また、カバーガラス物品100はまた、350から750nmの光波長領域に亘って、垂直入射、0から10度、0から20度、又は0から30度の入射角において約92%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、又は約98%以上の平均明所視又は可視透過率を示してよい。また、カバーガラス物品100は、350から750nmの光波長領域に亘って、0から60度の入射角において約85%以上、約88%以上、約89%以上、又は約90%以上の平均明所視又は可視透過率を示してよい。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、840nmから860nm又は930nmから950nmの波長領域に亘って、垂直入射又は0から10度の入射角において約88%以上、約90%以上、約92%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、又は約98%以上の平均赤外透過率を示してもよい。カバーガラス物品100はまた、840nmから860nmの波長領域に亘って、0から30度の入射角において約88%以上、約90%以上、約92%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、又は約97%以上の平均赤外透過率を示してもよい。カバーガラス物品100はまた、930nmから950nmの波長領域に亘って、0から30度の入射角において約85%以上、約88%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、又は約93%以上の平均赤外透過率を示してもよい。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、垂直入射、0から10度、又は0から90度の全入射角に亘って測定されたD65光源で2未満、1.5未満、又は1未満の透過色(√(a
*2+b
*2)によって与えられる)を示してもよい。例えば、カバーガラス物品100は、垂直入射、0から10度、又は0から90度の全入射角に亘って測定された2未満、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5の、又はより低い透過色を示しうる。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、垂直入射、0から10度、又は0から90度の全入射角に亘って測定されたD65光源で10以下、8未満、6未満、5未満、又は4未満の反射色(√(a
*2+b
*2)によって与えられる)を示してもよい。例えば、カバーガラス物品100は、垂直入射、0から10度、又は0から90度の全入射角に亘って測定された10、9、8、7、6、5、4の、又はより低い反射色を示しうる。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、400から700nmの光波長領域に亘って、垂直入射又は0から10度の入射角において2%未満、1.8%未満、約1.5%未満、約1.0%未満、約0.9%未満、又は0.85%未満の平均明所視反射率又は平均反射率を示してもよい。例えば、カバーガラス物品100は、垂直入射又は0から10度の入射角において1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.85%の、又はより低い平均明所視又は可視反射率を示しうる。同様に、幾つかの実施形態によれば、
図1A及び1Bに描かれたカバーガラス物品100は、840nmから950nmの赤外波長領域に亘って、垂直入射又は0から10度の入射角において10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、又は2%未満の平均反射率を示してもよい。例えば、カバーガラス物品100は、垂直入射又は0から10度の入射角において10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%の、又はより低い平均赤外反射率(即ち、840nmから950nm)を示しうる。
【0087】
図2及び2Aを参照すると、装置200はハウジング202と、カメラ210(例えば、可視光カメラ)、センサー220(例えば、赤外線センサー)、及び光源230のうち2つ以上と、本開示の実施形態に係るカバーガラス物品100(例えば、
図1A及び1Bに示され上述された)とを備える。他の実施形態では、装置200はカメラ210、センサー220、及び光源230のうち1つ以上を備える。幾つかの実施形態では、装置200は
図2に描かれたマイクロホン240を備える。また、装置200は携帯電話、スマートフォン、コンピュータタブレット、手持ち電子装置、車両表示器、又は表示器、カメラ、光源、及び/又はセンサーを備える任意の他の電子装置でありうる。幾つかの追加の実施形態によれば、
図2及び2Aに描かれた装置200は建築物品、輸送物品(例えば、自動車用途、列車、航空機、船舶などで使用される物品)、電化製品、又は幾らかの透明性、傷防止性、耐摩耗性、又はそれらの組み合わせを必要とし本開示のカバーガラス物品100を使用する任意の物品として想像されうる。
【0088】
図2及び2Aを再び参照すると、ハウジング202と、ハウジング202内に構成された少なくとも1つのカメラ210、少なくとも1つのセンサー220、及び光源230と、ハウジング202内の基板110とを備える装置200が描かれており、基板110は互いに反対側の外側主表面112と内側主表面114(
図1A及び1B参照)を有し、基板110は少なくとも1つのカメラ210、少なくとも1つのセンサー220、及び光源230を覆って配置される。また、基板110の外側主表面112には外側光学膜構造体130aが配置され、基板110の内側主表面114には内側光学膜構造体130bが配置されている。また、外側光学膜構造体130aは第1の複数の交互する高屈折率層130B及び低屈折率層130Aから成り、該第1の複数の層は最外低屈折率層(例えば、キャッピング層131)を含む(
図1A及び1Bに示すように)。また、幾つかの例では、この最外低屈折率層は空気へ露出している。或いは、最外低屈折率層は上面被膜140によって覆われてもよい。また、内側光学膜構造体130bは第2の複数の交互する高屈折率層130B及び低屈折率層130Aから成り、該第2の複数の層は、基板110の内側主表面114に配置された低又は高屈折率層(130A又は130B)と、少なくとも1つのカメラ210、少なくとも1つのセンサー220、及び光源230を空気間隙300を挟んで覆って配置された最内低又は高屈折率層とを含む。外側光学膜構造体130aの第1の複数の層の各高屈折率層130Bは窒化物又はオキシ窒化物から成り、内側光学膜構造体130bの第2の複数の層の各高屈折率層130Bは酸化物又は窒化物から成る。また、基板110と外側及び内側光学膜構造体130a、130bは、基板110の主表面112、114を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示す。また、基板110と外側及び内側光学膜構造体130a、130bは、外側光学膜構造体130aにおいて約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0089】
前述したように、
図2及び2Aは、光学膜構造体130a、130b被膜を主表面112、114に有する単一のカバーガラス物品100が複数のカメラ及びセンサーを保護する耐久性のある光学的に透明なカバーとして使用される装置200を描く。本開示のカバーガラス物品100を使用する
図2B~2Dに描かれた追加の装置200構成を考えうる。例えば、
図2Bに描かれているように、装置200はハウジング202と、カメラ210、センサー220、及び光源230のうち1つ以上と、表示領域(図示されないが表示部100bの下)と、カメラ210、センサー220、及び光源230を覆い光学膜構造体130a、130bを有する光学膜部100a及び表示部100bを含むカバーガラス物品100とを備えうる。任意選択で、装置200はまた、1つ以上のマイクロホン240、スピーカー250、及び/又はボタン260を備えてもよく、これらのマイクロホン240、スピーカー250、及び/又はボタン260も光学膜構造体130a、130bを有するカバーガラス物品100の光学膜部100aによって覆われているか、又は露出した穴であるか、カバーガラス物品100と同じでない異なるカバー材料を有してもよい。これらの構成では、カバーガラス物品100はまた、表示部100b(例えば、装置の表示領域にある)が光学膜構造体130a、130bのうち1つだけ、又は光学膜構造体130a、130bと異なる光学膜被覆を有するか、又は光学膜被覆を持たないように構成されてもよい。このような構成では、装置200で使用されるカバーガラス物品100は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、スマートウォッチ、又は1つ以上のセンサー(カメラ又は赤外線(IR)センサーでありうる)の近くに表示器を有する類似の装置の表カバー上に任意選択の可視又はIR発光体/光源と共に使用されうる。この用途では、両面光学膜構造体130a、130bは装置200のカメラ210又はセンサー220部だけを覆うカバーガラス物品100の光学膜部100aに存在してもよい。そのため、カバーガラス物品100は異なる領域(例えば、光学膜部100a、表示部100bなど)に異なる被膜を有するか又は1つの領域に被膜を有し、別の領域に被膜を持たない単一基板110を備えてもよい。
【0090】
図2A~2Dに描かれた装置200を再び参照すると、カバーガラス物品100の少なくともどこかの部分は、光学膜構造体130a、130bをその主表面112、114上に有する基板110を備える(下記の実施例によって具現化されるように)。或いは、基板110の複数の断片がカバーガラス物品100の異なる領域に存在してもよい(不図示)。幾つかの用途で、任意選択で好ましくは、カバーガラス物品100は表示器と1つ以上のカメラ210又はセンサー220の両方を覆う単一の基板110を備えてよく、表示部100bの片面ハード被膜が装置の表示領域を覆い、光学膜部100aの光学膜構造体130a、130bの両面被膜が1つ以上のカメラ210又はセンサー220を覆う。表示部100bの片面ハード被膜は基板110の外側主表面112上の外側光学膜構造体130a(本開示及び/又は下記の実施例に詳述された)と同じであってもよく、1つ以上のカメラ210又はセンサー220を覆うカバーガラス物品100の光学膜部100aは、光学膜構造体130a、130bの両面被膜を取り込む(本開示及び/又は下記の実施例に詳述されるように)。装置200において、該表示領域内の基板110の裏面に光学膜構造体130bがないので、カバーガラス物品100の表示部100bの裏側は、基板110の裏面と該表示領域の間に接着剤で光学的に接着されてもよい。
【0091】
本開示の別の実施形態では、ハウジング202と、カメラ210、センサー220、及び光源230のうち1つ以上と、複数のカバーガラス物品100とを有し、各物品100はカメラ210、センサー220、及び光源230のうち1つを覆う、装置200が
図2Cに描かれている。同様に、本開示の別の実施形態によれば、ハウジング202と、カメラ210、センサー220、及び光源230のうち1つ以上と、カメラ210、センサー220、及び光源230のうち1つ以上を覆う複数のカバーガラス物品100とを有する装置200が
図2Dに描かれている。このように、
図2C及び2Dに描かれた装置200のそれぞれは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、スマートウォッチ、又は類似の装置の表示器のない裏側に使用されるカバーガラス物品100を備えてよい。本開示で概説されたカバーガラス物品100の切断された別々の断片は個々の又は複数のセンサー、カメラ、及び/又は光源を覆ってもよい。カバーガラス物品100の複数の断片は同じで、同じ光学特性、硬度、及び両面被膜構造体(即ち、光学膜構造体130a、130b)を有してよい。或いは、カバーガラス物品100の複数の断片は異なる被膜又は被膜組み合わせを有してもよい。例えば、カバーガラス物品100の1つの断片は両面被膜を有し、光学膜構造体130a、130bが高可視及びIR透過率を可能にする一方、別のセンサーを覆う別のカバーガラス物品100は被覆されていないか、又は片面被膜を有するか、又はIR波長範囲で高透過率及び可視波長範囲で低透過率を有するか、又は他の波長選択光学的効果を有してもよい。
【0092】
図13を参照すると、カバーガラス物品100(
図1A及び1Bと前述の説明を参照)を製造する方法500が概略描かれている。特に、方法500は基板110の外側主表面112上に外側光学膜構造体130aを形成するステップ502と、基板110の内側主表面114上に内側光学膜構造体130bを形成するステップ504とを含む。
図13に描かれた方法500の幾つかの実施形態によれば、ステップ502及び504は逆の順に又は同時に実行されうることは理解されるべきである。また、方法500は外側及び/又は内側光学膜構造体130a、130b上にキャッピング層131を形成する任意選択のステップ506を含む。方法500はまた、外側光学膜構造体130a上に上面被膜140を形成する任意選択のステップ508を含んでよい。また、ステップ502~508のそれぞれは真空蒸着法、例えば化学気相成長(例えば、プラズマ化学気相成長(PECVD)、低圧化学気相成長、大気圧化学気相成長、及びプラズマ大気圧化学気相成長)、物理的気相成長(例えば、反応性又は非反応性スパッタリング又はレーザーアブレーション)、熱又は電子ビーム蒸発及び/又は原子層蒸着によりで実行されてもよい。液体ベース法、例えば噴霧、浸漬、スピン被覆、又はスロット被覆(例えば、ゾル‐ゲル材料を使用する)も使用してよい。通常、ステップ502~508で使用する気相成長法は薄膜を生成するのに使用されうる様々な真空蒸着法を含んでもよい。例えば、物理的気相成長は物理的処理(例えば、加熱又はスパッタリング)を使用して、材料の蒸気を生成し、被覆する物体上に堆積させる。ステップ502及び504に従って外側及び内側光学膜構造体130a、130bを生成する好適な方法は、反応性スパッタリング、金属モード反応性スパッタリング、及びPECVD処理を含む。最後に、基板100は方法500のステップ502~508の前に任意選択で本開示で前述したように化学的に強化されうることは理解されるべきである。
【0093】
実施例
下記の実施例は本開示が提供する様々な特徴及び利点を説明し、本発明及び添付の請求項を限定するように決して意図されていない。
【0094】
これらの実施例では、カバーガラス物品は本開示の方法に従って(例えば、反応性スパッタリング、金属モード反応性スパッタリング、及びPECVD法により)表1~10のそれぞれに記述したように形成された。光学特性は、カバーガラス物品の光学膜構造体の各層について実験で測定された屈折率(nとk)値から始まる伝達行列モデリングにより得た。下記の実施例で報告されるカバーガラス物品硬度値は本開示で前述したバーコビッチ硬度試験法を使って得られた。
【0095】
実施例1
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表1に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は19層(層1~19)を有し、15GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける14GPa超の硬度とを有する。
【0096】
この実施例で測定された光学特性が下記の表1Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表1Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から40度入射角で2表面平均透過率Tx>97.4%、840から860nm、0から10度入射角でTx>98%、930から950nm、0から10度入射角でTx>95%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.3%を有する。
【0097】
図3A及び3Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図3B及び3Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図3Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=1より小さい低透過色を有する。
【0098】
【0099】
【0100】
実施例2
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表2に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は19層(層1~19)を有し、15GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける14GPa超の硬度とを有する。
【0101】
この実施例で測定された光学特性が下記の表2Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表2Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から30度入射角で2表面平均透過率Tx>98%、840から860nm、0から20度入射角でTx>96%、930から950nm、0から20度入射角でTx>93%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.2%を有する。
【0102】
図4A及び4Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図4B及び4Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図4Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=1より小さい低透過色を有する。
【0103】
【0104】
【0105】
実施例3
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表3に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は5層(層1~5)を有し、15GPa超の測定された最大押し込み硬度を有し、内側光学膜構造体(層7~15)は外側光学膜構造体と類似又はより高い硬度を示すように構成されている。
【0106】
この実施例で測定された光学特性が下記の表3Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表3Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98.4%、840から860nm、0から30度入射角でTx>90%、930から950nm、0から20度入射角でTx>87%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.3%を有する。
【0107】
図5A及び5Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図5B及び5Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図5Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=1.5より小さい低透過色を有する。
【0108】
【0109】
【0110】
実施例4
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表4に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は7層(層1~7)を有し、14GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける10GPa超の硬度とを有する。また、内側光学膜構造体(層9~17)は外側光学膜構造体と類似又はより高い硬度を示すように構成されている。
【0111】
この実施例で測定された光学特性が下記の表4Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表4Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98%、840から860nm、0から40度入射角でTx>91.5%、930から950nm、0から20度入射角でTx>93.5%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.4%を有する。
【0112】
図6A及び6Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図6B及び6Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図6Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=2より小さい低透過色を有する。
【0113】
【0114】
【0115】
実施例5
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表5に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は5層(層1~5)を有し、10GPa超の測定された最大押し込み硬度を有する。
【0116】
この実施例で測定された光学特性が下記の表5Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表5Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から30度入射角で2表面平均透過率Tx>98.5%、840から860nm、0から10度入射角でTx>93.5%、930から950nm、0から10度入射角でTx>88%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<0.9%を有する。
【0117】
図7A及び7Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図7B及び7Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図7Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=0.9より小さく0~20度入射角で√(a
*2+b
*2)=0.5より小さい低透過色を有する。
【0118】
【0119】
【0120】
実施例6
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表6に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は7層(層1~7)を有し、14GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける10GPa超の硬度とを有する。
【0121】
この実施例で測定された光学特性が下記の表6Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表6Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98.5%、840から860nm、0から40度入射角でTx>93.0%、930から950nm、0から10度入射角でTx>94.5%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1%を有する。
【0122】
図8A及び8Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図8B及び8Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図8Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=2より小さく0~20度入射角で√(a
*2+b
*2)=0.5より小さい低透過色を有する。
【0123】
【0124】
【0125】
実施例7
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表7に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は19層(層1~19)を有し、15GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける14GPa超の硬度とを有する。
【0126】
この実施例で測定された光学特性が下記の表7Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表7Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98.5%、840から860nm、0から20度入射角でTx>92.0%、930から950nm、0から20度入射角でTx>92.5%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.3%を有する。
【0127】
図9A及び9Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図9B及び9Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図9Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=2.5より小さく0~20度入射角で√(a
*2+b
*2)=1.0より小さい低透過色を有する。
【0128】
【0129】
【0130】
実施例8
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表8に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は11層(層1~11)を有し、14GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける10GPa超の硬度とを有する。
【0131】
この実施例で測定された光学特性が下記の表8Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表8Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98.0%、840から860nm、0から40度入射角でTx>91.0%、930から950nm、0から10度入射角でTx>93.0%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1%を有する。
【0132】
図10A及び10Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図10B及び10Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図10Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=2より小さく0~20度入射角で√(a
*2+b
*2)=0.5より小さい低透過色を有する。
【0133】
【0134】
【0135】
実施例9
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表9に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は19層(層1~19)を有し、15GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける14GPa超の硬度とを有する。
【0136】
この実施例で測定された光学特性が下記の表9Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表9Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98.0%、840から860nm、0から40度入射角でTx>96.0%、930から950nm、0から10度入射角でTx>96.0%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.2%を有する。
【0137】
図11A及び11Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図11B及び11Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図11Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=0.7より小さく0~20度入射角で√(a
*2+b
*2)=0.7より小さい低透過色を有する。
【0138】
【0139】
【0140】
実施例10
カバーガラス物品がこの実施例のために作成され、下記の表10に記述された構造を有していた。外側光学膜構造体は19層(層1~19)を有し、15GPa超の測定された最大押し込み硬度と500nm押し込み深さにおける14GPa超の硬度とを有する。
【0141】
この実施例で測定された光学特性が下記の表10Aにまとめられている。特に光透過率対波長範囲のデータが報告される。表10Aから明らかなように、この実施例は400から700nmの波長範囲、0から20度入射角で2表面平均透過率Tx>98.0%、840から860nm、0から10度入射角でTx>98.0%、930から950nm、0から10度入射角でTx>96.5%、及び0から10度入射角で平均明所視反射率(Y)、Rx<1.4%を有する。
【0142】
図12A及び12Cに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過率と反射率対波長の垂直入射角でのそれぞれのグラフが提供される。また、
図12B及び12Dに示すように、この実施例に係るカバーガラス物品のモデル化された2表面透過色と反射色の0~90度全入射角に対するそれぞれのグラフが提供される。
図12Bから明らかなように、この実施例のカバーガラス物品は、0~90度全入射角に亘って√(a
*2+b
*2)=0.6より小さく0~20度入射角で√(a
*2+b
*2)=0.6より小さい低透過色を有する。
【0143】
【0144】
【0145】
本書で概説したように、本開示の第1の態様は、互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有する基板を備えるカバーガラス物品である。基板の外側主表面に外側光学膜構造体が配置され、基板の内側主表面に内側光学膜構造体が配置される。外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、第1の複数の層は最外低屈折率層を含む。また、内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、第2の複数の層は基板の内側主表面に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層を含む。第1の複数の層の各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、第2の複数の層の各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成る。また、カバーガラス物品は、基板の主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示し、カバーガラス物品は、外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0146】
本書で概説したように、本開示の第2の態様は、第1の態様に係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、840nmから860nm又は930nmから950nmで、基板の主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す。
【0147】
本書で概説したように、本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様に係るカバーガラス物品であり、第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は基板の外側主表面に接触する低屈折率層を更に含み、第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は基板の内側主表面に接触する低又は高屈折率層を含む。
【0148】
本書で概説したように、本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層を更に含む。
【0149】
本書で概説したように、本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層のそれぞれは少なくとも5層である。
【0150】
本書で概説したように、本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層を更に含み、カバーガラス物品は、内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す。
【0151】
本書で概説したように、本開示の第7の態様は、第4~第6の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1の傷防止高屈折率層は500nm以上の物理的厚みを有する。
【0152】
本書で概説したように、本開示の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は異なる数の層を含む。
【0153】
本書で概説したように、本開示の第9の態様は、第1~第8の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、400nmから700nmで、基板の主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す。
【0154】
本書で概説したように、本開示の第10の態様は、第1~第9の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、基板の主表面を通して0から10度の入射角においてD65光源で測定された2未満の透過色√(a*2+b*2)を更に示す。
【0155】
本書で概説したように、本開示の第11の態様は、第1~第10の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0156】
本書で概説したように、本開示の第12の態様は、第1~第11の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、基板はガラス基板である。
【0157】
本書で概説したように、本開示の第13の態様は、互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有する基板を備えるカバーガラス物品である。基板の外側主表面に外側光学膜構造体が配置され、基板の内側主表面に内側光学膜構造体が配置される。外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、第1の複数の層は最外低屈折率層を含む。また、内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、第2の複数の層は基板の内側主表面に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層を含む。第1の複数の層の各高屈折率層はSiNx、SiOxNy、AlNx、SiAlxNy、又はSiAlxOyNzから成り、約5nmから200nmの物理的厚みを有し、第2の複数の層の各高屈折率層はSiNx、SiOxNy、AlNx、SiAlxNy、SiAlxOyNz、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、HfO2、又はAl2O3から成り、約5nmから500nmの物理的厚みを有する。また、カバーガラス物品は、基板の主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示し、カバーガラス物品は、外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0158】
本書で概説したように、本開示の第14の態様は、第13の態様に係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、840nmから860nm又は930nmから950nmで、基板の主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す。
【0159】
本書で概説したように、本開示の第15の態様は、第13又は第14の態様に係るカバーガラス物品であり、第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は基板の外側主表面に接触する低屈折率層を更に含み、第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は基板の内側主表面に接触する低又は高屈折率層を含む。
【0160】
本書で概説したように、本開示の第16の態様は、第13~第15の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層を更に含む。
【0161】
本書で概説したように、本開示の第17の態様は、第13~第16の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層のそれぞれは少なくとも5層であり、第1及び第2の複数の層の各低屈折率層はSiO2、SiAlxOy、又はMgF2を含み5nmから300nmの物理的厚みを有する。
【0162】
本書で概説したように、本開示の第18の態様は、第13~第17の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層を更に含み、カバーガラス物品は、内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す。
【0163】
本書で概説したように、本開示の第19の態様は、第16~第18の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1の傷防止高屈折率層は500nm以上の物理的厚みを有する。
【0164】
本書で概説したように、本開示の第20の態様は、第13~第19の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は異なる数の層を含む。
【0165】
本書で概説したように、本開示の第21の態様は、第13~第20の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、400nmから700nmで、基板の主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す。
【0166】
本書で概説したように、本開示の第22の態様は、第13~第21の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、基板の主表面を通して0から10度の入射角においてD65光源で測定された2未満の透過色√(a*2+b*2)を更に示す。
【0167】
本書で概説したように、本開示の第23の態様は、第13~第22の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は、内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0168】
本書で概説したように、本開示の第24の態様は、第13~第23の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、基板はガラス基板である。
【0169】
本書で概説したように、本開示の第25の態様は、ハウジングと、ハウジング内に構成されたカメラ、センサー、及び光源のうち少なくとも1つと、ハウジング内の基板とを備える装置であり、基板は互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有し、カメラ、センサー、及び光源のうち該少なくとも1つを覆って配置され、基板の外側主表面に外側光学膜構造体が配置され、基板の内側主表面に内側光学膜構造体が配置される。外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、第1の複数の層は最外低屈折率層を含む。また、内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、第2の複数の層は基板の内側主表面に配置された低又は高屈折率層と、カメラ、センサー、及び光源のうち該少なくとも1つを空気間隙を挟んで覆って配置された最内低又は高屈折率層とを含む。第1の複数の層の各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、第2の複数の層の各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成る。また、基板と外側及び内側光学膜構造体は、基板の主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示す。また、基板と外側及び内側光学膜構造体は、外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0170】
本書で概説したように、本開示の第26の態様は、第25の態様に係る装置であり、基板と外側及び内側光学膜構造体は、840nmから860nm又は930nmから950nmで、基板の主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す。
【0171】
本書で概説したように、本開示の第27の態様は、第25又は第26の態様に係る装置であり、第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は基板の外側主表面に接触する低屈折率層を更に含み、第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は基板の内側主表面に接触する低又は高屈折率層を含む。
【0172】
本書で概説したように、本開示の第28の態様は、第25~第27の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層を更に含む。
【0173】
本書で概説したように、本開示の第29の態様は、第25~第28の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層のそれぞれは少なくとも5層である。
【0174】
本書で概説したように、本開示の第30の態様は、第25~第29の態様のいずれかに係る装置であり、第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層を更に含み、基板と外側及び内側光学膜構造体は、内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す。
【0175】
本書で概説したように、本開示の第31の態様は、第28~第30の態様のいずれかに係る装置であり、第1の傷防止高屈折率層は500nm以上の物理的厚みを有する。
【0176】
本書で概説したように、本開示の第32の態様は、第25~第31の態様のいずれかに係る装置であり、第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は異なる数の層を含む。
【0177】
本書で概説したように、本開示の第33の態様は、第25~第32の態様のいずれかに係る装置であり、基板と外側及び内側光学膜構造体は、400nmから700nmで、基板の主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す。
【0178】
本書で概説したように、本開示の第34の態様は、第25~第33の態様のいずれかに係る装置であり、基板と外側及び内側光学膜構造体は、基板の主表面を通して0から10度の入射角においてD65光源で測定された2未満の透過色√(a*2+b*2)を更に示す。
【0179】
本書で概説したように、本開示の第35の態様は、第25~第34の態様のいずれかに係る装置であり、基板と外側及び内側光学膜構造体は、内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す。
【0180】
本書で概説したように、本開示の第36の態様は、第25~第35の態様のいずれかに係る装置であり、センサーは赤外線センサーで、カメラは可視光カメラである。
【0181】
本書で概説したように、本開示の第37の態様は、第25~第36の態様のいずれかに係る装置であり、基板はガラス基板である。
【0182】
本書で概説したように、本開示の第38の態様は、第1~第12の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は基板の主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す。
【0183】
本書で概説したように、本開示の第39の態様は、第1~第12の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は840nmから950nmで基板の主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す。
【0184】
本書で概説したように、本開示の第40の態様は、第13~第24の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は基板の主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す。
【0185】
本書で概説したように、本開示の第41の態様は、第13~第24の態様のいずれかに係るカバーガラス物品であり、このカバーガラス物品は840nmから950nmで基板の主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す。
【0186】
本書で概説したように、本開示の第42の態様は、第25~第37の態様のいずれかに係る装置であり、カバーガラス物品は基板の主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す。
【0187】
本書で概説したように、本開示の第43の態様は、第25~第37の態様のいずれかに係る装置であり、カバーガラス物品は840nmから950nmで基板の主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す。
【0188】
本書で概説したように、本開示の第44の態様は、第25の態様に係る装置であり、カメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つは該カメラ、センサー、及び光源のうち2つ以上であり、基板はカメラ、センサー、及び光源のうち該2つ以上を覆って配置される。
【0189】
本開示の要旨と様々な原理から逸脱することなく様々な改良及び変更が本開示の上述した実施形態に成されうる。そのような改良及び変更は全て本開示の範囲に含まれ、添付の請求項によって保護されるように意図されている。
【0190】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0191】
実施形態1
カバーガラス物品であって、
互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有する基板を備え、
前記基板の前記外側主表面上に外側光学膜構造体が配置され、
前記基板の前記内側主表面上に内側光学膜構造体が配置され、
前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含み、
前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面上に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層とを含み、
前記第1の複数の層のうち各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、前記第2の複数の層のうち各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成り、
該カバーガラス物品は前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均明所視透過率を示し、
更に該カバーガラス物品は前記外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す、カバーガラス物品。
【0192】
実施形態2
該カバーガラス物品は840nmから860nm又は930nmから950nmで、前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す、実施形態1記載のカバーガラス物品。
【0193】
実施形態3
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は、前記基板の前記外側主表面に接触する低屈折率層を更に含み、前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は、前記基板の前記内側主表面に接触する低又は高屈折率層を含む、実施形態1又は2記載のカバーガラス物品。
【0194】
実施形態4
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層を更に含む、実施形態1~3のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0195】
実施形態5
前記第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層のそれぞれは少なくとも5層である、実施形態1~4のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0196】
実施形態6
前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層を更に含み、該カバーガラス物品は、前記内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す、実施形態1~5のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0197】
実施形態7
前記第1の傷防止高屈折率層は500nm以上の物理的厚みを有する、実施形態4~6のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0198】
実施形態8
前記第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は異なる数の層を含む、実施形態1~7のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0199】
実施形態9
400nmから700nmで、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す実施形態1~8のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0200】
実施形態10
前記基板の前記主表面を通して0度から10度の入射角においてD65光源で測定された2未満の透過色√(a*2+b*2)を更に示す実施形態1~9のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0201】
実施形態11
前記内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す実施形態1~10のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0202】
実施形態12
前記基板はガラス基板である、実施形態1~11のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0203】
実施形態13
カバーガラス物品であって、
互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有する基板を備え、
前記基板の前記外側主表面上に外側光学膜構造体が配置され、
前記基板の前記内側主表面上に内側光学膜構造体が配置され、
前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含み、
前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面上に配置された低又は高屈折率層と最内低又は高屈折率層とを含み、
前記第1の複数の層の各高屈折率層はSiNx、SiOxNy、AlNx、SiAlxNy、又はSiAlxOyNzから成り、約5nmから2000nmの物理的厚みを有し、第2の複数の層の各高屈折率層はSiNx、SiOxNy、AlNx、SiAlxNy、SiAlxOyNz、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、HfO2、又はAl2O3から成り、5nmから500nmの物理的厚みを有し、
該カバーガラス物品は、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示し、
更に該カバーガラス物品は、外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す、カバーガラス物品。
【0204】
実施形態14
該カバーガラス物品は840nmから860nm又は930nmから950nmで、前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す、実施形態13記載のカバーガラス物品。
【0205】
実施形態15
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は、前記基板の前記外側主表面に接触する低屈折率層を更に含み、前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は、前記基板の前記内側主表面に接触する低又は高屈折率層を含む、実施形態13又は14記載のカバーガラス物品。
【0206】
実施形態16
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層を更に含む、実施形態13~15のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0207】
実施形態17
前記第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層のそれぞれは少なくとも5層であり、前記第1及び第2の複数の層の各低屈折率層はSiO2、SiAlxOy、又はMgF2から成り5nmから300nmの物理的厚みを有する、実施形態13~16のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0208】
実施形態18
前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層を更に含み、該カバーガラス物品は、前記内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す、実施形態13~17のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0209】
実施形態19
前記第1の傷防止高屈折率層は500nm以上の物理的厚みを有する、実施形態16~18のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0210】
実施形態20
前記第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は異なる数の層を含む、実施形態13~19のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0211】
実施形態21
400nmから700nmで、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す実施形態13~20のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0212】
実施形態22
前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角においてD65光源で測定された2未満の透過色√(a*2+b*2)を更に示す実施形態13~21のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0213】
実施形態23
前記内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す実施形態13~22のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0214】
実施形態24
前記基板はガラス基板である、実施形態13~23のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0215】
実施形態25
装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に構成されたカメラ、センサー、及び光源のうち少なくとも1つと、
前記ハウジング内の基板と
を備え、
前記基板は互いに反対側の外側主表面及び内側主表面を有し、カメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つを覆って配置され、
前記基板の前記外側主表面に外側光学膜構造体が配置され、
前記基板の前記内側主表面に内側光学膜構造体が配置され、
前記外側光学膜構造体は第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、前記第1の複数の層は最外低屈折率層を含み、
前記内側光学膜構造体は第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層を備え、前記第2の複数の層は前記基板の前記内側主表面に配置された低又は高屈折率層と、カメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つを空気間隙を挟んで覆って配置された最内低又は高屈折率層とを含み、
前記第1の複数の層の各高屈折率層は窒化物又はオキシ窒化物から成り、前記第2の複数の層の各高屈折率層は酸化物又は窒化物から成り、
前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記基板の前記主表面を通して0から40度の入射角で測定された95%超の平均明所視透過率を示し、
更に前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記外側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す、装置。
【0216】
実施形態26
前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、840nmから860nm又は930nmから950nmで、前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角において測定された85%超の赤外透過率を更に示す、実施形態25記載の装置。
【0217】
実施形態27
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は前記基板の前記外側主表面に接触する低屈折率層を更に含み、前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は前記基板の前記内側主表面に接触する低又は高屈折率層を含む、実施形態25又は26記載の装置。
【0218】
実施形態28
前記第1の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第1の傷防止高屈折率層を更に含む、実施形態25~27のいずれかに記載の装置。
【0219】
実施形態29
前記第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層のそれぞれは少なくとも5層である、実施形態25~28のいずれかに記載の装置。
【0220】
実施形態30
前記第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は50nm以上の物理的厚みを有する第2の傷防止高屈折率層を更に含み、前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を更に示す、実施形態25~29のいずれかに記載の装置。
【0221】
実施形態31
前記第1の傷防止高屈折率層は500nm以上の物理的厚みを有する、実施形態28~30のいずれかに記載の装置。
【0222】
実施形態32
前記第1及び第2の複数の交互する高屈折率及び低屈折率層は異なる数の層を含む、実施形態25~31のいずれかに記載の装置。
【0223】
実施形態33
前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、400nmから700nmで、基板の主表面を通して0から40度の入射角において測定された95%超の平均透過率を更に示す、実施形態25~32のいずれかに記載の装置。
【0224】
実施形態34
前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角においてD65光源で測定された2未満の透過色√(a*2+b*2)を更に示す、実施形態25~33のいずれかに記載の装置。
【0225】
実施形態35
前記基板と前記外側及び内側光学膜構造体は、前記内側光学膜構造体において約100nmから約500nmの押し込み深さ範囲に亘るバーコビッチ硬度試験により測定された10GPa超の最大硬度を示す、実施形態25~34のいずれかに記載の装置。
【0226】
実施形態36
前記センサーは赤外線センサーであり、前記カメラは可視光カメラである、実施形態25~35のいずれかに記載の装置。
【0227】
実施形態37
前記基板はガラス基板である、実施形態25~36のいずれかに記載の装置。
【0228】
実施形態38
前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す実施形態1~12のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0229】
実施形態39
840nmから950nmで前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す実施形態1~12のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0230】
実施形態40
前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す実施形態13~24のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0231】
実施形態41
840nmから950nmで前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す実施形態13~24のいずれかに記載のカバーガラス物品。
【0232】
実施形態42
前記カバーガラス物品は前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された2.0%未満の平均明所視反射率を更に示す、実施形態25~37のいずれかに記載の装置。
【0233】
実施形態43
前記カバーガラス物品は840nmから950nmで前記基板の前記主表面を通して0から10度の入射角で測定された10%未満の平均反射率を更に示す、実施形態25~37のいずれかに記載の装置。
【0234】
実施形態44
カメラ、センサー、及び光源のうち前記少なくとも1つは前記カメラ、センサー、及び光源のうち2つ以上であり、前記基板は前記カメラ、センサー、及び光源のうち前記2つ以上を覆って配置される、実施形態25記載の装置。
【符号の説明】
【0235】
100 カバーガラス物品
110 基板
112 外側主表面
114 内側主表面
130a 外側光学膜構造体
130b 内側光学膜構造体
130A 低屈折率層
130B 高屈折率層
131 キャッピング層
150a、150b 傷防止層
200 装置
202 ハウジング
210 カメラ
220 センサー
230 光源
300 空気間隙
【国際調査報告】