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特表2023-554002粒子監視センサーのデータを処理するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】粒子監視センサーのデータを処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20231219BHJP
   G01N 33/30 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01N15/06 E
G01N15/06 C
G01N33/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535865
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021062999
(87)【国際公開番号】W WO2022132605
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/124,082
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェア、ダニエル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】シム、トム ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター、リチャード エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトン、カイル ビー.
(57)【要約】
流体中の汚染物質の量に関するデータは、汚染物質検出装置(115)から取得される。汚染物質検出装置からのエアレーション検出未加工電圧データ出力および粒子検出未加工電圧データ出力は、汚染物質検出装置とは別個かつ独立した外部データ処理システムで受信される。エアレーション検出未加工電圧データ出力および粒子検出未加工電圧データ出力を、分析およびクリーニングし、流体中の気泡および固体汚染物質粒子に関するリアルタイム情報を決定し、次いで、決定した固体汚染物質粒子の量に基づいて、機械上の一つまたは複数の動作を制御する機械のオンボード監視および制御モジュールに供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の汚染物質の量に関連するデータを処理するための方法であって、前記データが、発光ダイオード(LED)が使用され通路内の流体を照射し、複数のフォトダイオードが使用され各影の領域を示す電圧信号を生成し、アナログ積分器が、経時的に、前記結果として生じる電圧信号を積分するとき、通路を通過する流体の汚染物質によってキャストされる影の領域を合計する前記アナログ積分器を使用して、流体中の汚染のレベルを決定するように構成される汚染物質検出装置(115)から得られ、前記方法が、
汚染物質検出装置の少なくとも一つの前記フォトダイオードからエアレーション検出未加工電圧データ出力を、前記汚染物質検出装置とは別個かつ独立した外部データ処理システムで受信することと、
前記汚染物質検出装置の少なくとも一つの別の前記フォトダイオードからの粒子検出未加工電圧データ出力を、前記外部データ処理システムで受信することと、
前記エアレーション検出未加工電圧データ出力および前記粒子検出未加工電圧データ出力を分析およびクリーニングして、前記流体中の気泡および固体汚染物質粒子の量に関するリアルタイム情報を決定することと、
前記決定された量の固体汚染粒子を、機械のオンボード監視制御モジュールに供給することと、
前記決定された量の固体汚染粒子に基づいて、前記機械上の一つまたは複数の動作を制御することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記一つまたは複数の動作が、
オンボードの機械警報を生成することと、
電子メッセージを生成することと、
前記電子メッセージを一人または複数の加入者に送信して、前記一人または複数の加入者が、前記機械に対する前記固体汚染粒子の量の影響を最小化するための措置を講じることを可能にすることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気泡の量が、前記決定された固体汚染粒子の量の精度が無視できるほど低下する可能性が閾値レベルを超えたかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記未加工電圧データのいずれかが、所定の許容可能な診断範囲の電圧の範囲外にあるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記許容可能な診断範囲の電圧が、0.45ボルト以上、4.75ボルト以下である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エアレーション検出未加工電圧データ出力および前記粒子検出未加工電圧データ出力の分析およびクリーニングすることが、
高速指数加重移動平均に従って、経時的な前記エアレーション検出未加工電圧データ出力を平均化することと、
高速指数加重移動平均に従って、経時的な前記粒子検出未加工電圧データ出力を平均化することと、
低速指数加重移動平均に従って、経時的な前記エアレーション検出未加工電圧データ出力を平均化することと、
低速指数加重移動平均に従って、経時的な前記粒子検出未加工電圧データ出力を平均化することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
経時的な前記エアレーション検出未加工電圧データ出力と経時的な前記粒子検出未加工電圧データ出力の各々について、前記高速指数加重移動平均と前記低速指数加重移動平均との間の差を決定することと、
前記各々の差が、上昇信号を示す正であるか、または下降信号を示す負であるかを決定することと、
前記上昇信号が上昇速度閾値より小さいか、および前記下降信号が減衰速度閾値よりも大きいかを決定することと、
前記差が、前記減衰速度閾値より大きく、前記上昇速度閾値より小さいで場合、前記未加工電圧データ出力が、前記機械の前記オンボード監視および制御モジュールによるさらなる処理および実装のためにクリーニングされ、許容可能なデータ出力であると決定することと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エアレーション検出未加工電圧データの複数の変動状態移行を排除するように設計された所定のデバウンス時間に従って、前記エアレーション検出未加工電圧データ出力を選択することと、
前記粒子検出未加工電圧データ出力の複数の変動状態移行を排除するように設計された別の所定のデバウンス時間に従って、前記粒子検出未加工電圧データ出力を選択することと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第一の期間にわたって前記汚染物質検出装置から受信した前記エアレーション検出未加工電圧データ出力の短期平均を実行し、短期エアレーション検出平均値を決定することと、
第一の期間にわたって前記汚染物質検出装置から受信した前記粒子検出未加工電圧データ出力の短期平均を実行し、短期粒子検出平均値を決定することと、
第一の期間よりも長い第二の期間にわたって、前記短期エアレーション検出平均値をビニングし、その結果を、前記機械の前記オンボード監視および制御モジュールによるアクションのさらなる処理および実装のために、不良、許容可能、または良好のカテゴリーのうちの一つに入るように分類することと、
前記短期粒子検出平均値をルックアップテーブルと比較して、前記粒子検出未加工電圧データ出力が、前記エアレーション検出未加工電圧データ出力に基づく、前記機械の前記オンボード監視および制御モジュールによるアクションのさらなる処理および実装のために、不良、許容可能、または良好のカテゴリーのうちの一つ内に入るかを決定することと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
流体中の汚染物質の量に関連するデータを処理するシステムであって、前記データが汚染物質検出装置から取得され、前記システムが、
前記汚染物質検出装置から分離かつ独立している外部データ処理システムであって、
前記汚染物質検出装置からエアレーション検出未加工電圧データ出力を受信し、
前記汚染物質検出装置から粒子検出未加工電圧データ出力を受信し、
前記エアレーション検出未加工電圧データ出力および前記粒子検出未加工電圧データ出力を分析およびクリーニングして、前記流体中の気泡および固体汚染物質粒子の量に関するリアルタイム情報を決定し、
前記決定された量の固体汚染粒子を、機械のオンボード監視および制御モジュールに供給し、
前記決定された量の固体汚染粒子に基づいて、前記機械上の一つまたは複数の動作を制御するように構成される、外部データ処理システムをさらに備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、データを処理するシステムおよび方法に関し、より具体的には、粒子監視センサーから出力される未加工の電圧データを処理するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路内および高速道路外重機械は、典型的には、さまざまな作業を行うために協働する複数の構成要素を含む。機械の一つまたは複数の構成要素の故障は、多くの場合、機械の一部の機能の損失をもたらし、機械の性能能力を制限し得る。一部の構成要素の故障事象は、検出および解決が比較的軽度で簡単で、機械の他の構成要素への実際の付随的損傷はない。しかしながら、その他の故障事象は、より深刻であり、機械の他の構成要素を損傷し得る。例えば、油圧システムでは、致命的なポンプ故障により、故障破片が油圧流体中に排出され得る。この破片は、油圧システムの一つまたは複数の他の構成要素によって吸収され、これらの構成要素を損傷し得る。さらに、粒子および気泡などの油圧流体中の汚染物は、フィルターまたはフィルター構成要素の差し迫った故障、ポンプにつながる吸引ライン漏れ、許容可能な動作パラメーターの範囲外のスロープ上の機械の動作、または機械の姿勢、低い油圧流体レベル、または他の機械構成要素の摩耗または故障など、他の潜在的な問題を早期に警告し得る。
【0003】
故障破片または汚染物質が、一つまたは複数の油圧フィルターの使用を通して油圧システム全体を循環することを阻害し得る一方で、破片または汚染物質の蓄積は、流体の流量を減少させ得る。油圧システムに関連する作業を行うために油圧流体を送達する油圧システムでは、流量の減少は、必要な量の流体が一つまたは複数の重要な構成要素に到達することを阻害し得る。時間が経つにつれて、これらの構成要素は過熱し、早期の摩耗の可能性を増大させ、最終的にはこれらの構成要素の不具合が生じる可能性がある。さらに、油圧流体と相互作用するフィルターおよび/または他の機械構成要素の残りの有効寿命の予後は、油圧流体中の粒子および気泡などの汚染物質の存在と相関し得る。
【0004】
油圧システム内の破片の蓄積を特定する一つの方法は、流体フィルターの入力および出力圧力を監視する圧力差圧スイッチの使用を伴う。圧力差が閾値を超えると、スイッチがトリガーされ、警告信号が生成されて、油圧システムに関連付けられる一つまたは複数の構成要素の壊滅的な故障を示し得る、フィルターが破片で詰まっている可能性があることを機械操作者に知らせる。
【0005】
閾値ベースの故障検出回路の一つの問題は、構成要素の故障がしばしば非常に迅速に現れるため、圧力差は、故障事象が発生した後まで警報をトリガーするのに十分な大きさではあり得ないことである。故障した構成要素によって排出された可能性のある汚染物質粒子が、故障した構成要素と流体フィルターとの間に位置した構成要素に損傷を引き起こす可能性があるため、このような故障事象の遅れ検出は、流体チャネル内の他の構成要素に損傷を与える可能性がある。これらの粒子は、一度システムに導入されると除去することが困難であり、短期的には一つまたは複数の構成要素に壊滅的な構成要素の故障を引き起こすことに加えて、これらの残留粒子がシステムに無期限に残る可能性があるため、長期の偶発的構成要素の摩耗をもたらし得る。
【0006】
さらに、例えば、機械の軌道を駆動するために使用される油圧ポンプなどの特定の「重要な」構成要素の故障事象の遅れ検出は、作業現場の生産性を劇的に低下させ得る。例えば、故障事象が機械を動けなくするか、または他の方法で無効化する場合、機械の動作に依存する作業の実行が遅延し得る。さらに、機械が作業現場で稼働中に故障した場合、機械は他の機械に障害を生じさせ得る。従って、壊滅的な構成要素の故障および/または偶発的な構成要素の故障が機械および作業現場の動作に与える影響を制限するために、機械構成要素の故障をもたらし得る油圧流体の汚染物質レベルの増加などの傾向を早期検出するためのシステムは有益であり得る。
【0007】
油圧ポンプの残存寿命を予測するための少なくとも一つのシステムが開発される。例えば、Kageyama等に対する米国特許第7,082,758号(’758特許)は、油圧フィルターにわたって測定される圧力差データに関連する長期および短期の傾向を監視するためのシステムを記述している。システムは、長期傾向データと短期傾向データとの間の偏差の程度に基づき、ポンプの故障を予測し、またはポンプ寿命を推定し得る。
【0008】
’758特許のシステムは、特定の状況において構成要素の故障を予測するのに効果的であり得るが、’758特許のシステムはいくつかの不利な点を有し得る。例えば、ポンプフィルター前後の差圧は、典型的には、フィルターチャンバーが充填された後にのみ増加し始め、これは、粒子または気泡などの著しい故障汚染物がすでに流体内に導入された後まで発生しえない。従って、’758特許のシステムが、フィルター前後の差圧の上向き傾向または許容できないエアレーションレベルの存在を検出する時までに、一つまたは複数の構成要素がすでに重大な損傷を受けている可能性がある。さらに、’758特許のシステムは、固体汚染物質粒子のレベルを識別し、フィルターおよび油圧流体に関連づけられる他の構成要素の寿命を予想するフィルターおよび作動油に関連するその他の構成要素の平均寿命を予測する際に、油圧流体中の粒子および気泡などの汚染物質を区別する手段、または重機械で使用される油圧流体中のエアレーションレベルを補償するための手段を提供しない。
【0009】
重機械で使用される流体を監視する粒子監視センサーからの出力を較正および利用するため本開示のシステムおよび方法は、上述の問題の一つまたは複数を克服することに向けられる。
【発明の概要】
【0010】
一態様によれば、本開示は流体中の汚染物質の量に関連するデータを処理するための方法に向けられ、前記データが、発光ダイオード(LED)が使用され通路内の流体を照射し、複数のフォトダイオードが使用され各影の領域を示す電圧信号を生成し、アナログ積分器が、経時的に、前記結果として生じる電圧信号を積分するとき、通路を通過する流体の汚染物質によってキャストされる影の領域を合計する前記アナログ積分器を使用して、流体中の汚染のレベルを決定するように構成される汚染物質検出装置から得られる。方法は、汚染物質検出装置とは別個かつ独立した外部データ処理システムにおいて、汚染物質検出装置のフォトダイオードの少なくとも一つからエアレーション検出未加工電圧データ出力を受信することと、外部データ処理システムにおいて、汚染物質検出装置のフォトダイオードの少なくとも別一つから粒子検出未加工電圧データ出力を受信することを含み得る。方法は、エアレーション検出未加工電圧データ出力および粒子検出未加工電圧データ出力を分析およびクリーニングして、流体中の気泡および固体汚染物質粒子の量に関するリアルタイム情報を決定すること、決定した固体汚染物質粒子の量を機械のオンボード監視および制御モジュールに供給すること、ならびに決定した固体汚染物質粒子の量に基づいて、機械上の一つまたは複数の動作を制御すること、をさらに含み得る。
【0011】
別の態様によれば、本開示は、流体中の汚染物質の量に関するデータを処理するシステムに向けられ、データは、汚染物質検出装置から取得される。システムは、汚染物質検出装置とは別個かつ独立し、かつ汚染物質検出装置からエアレーション検出未加工電圧データ出力および粒子検出未加工電圧データ出力を受信するように構成された外部データ処理システムを含み得る。外部データ処理システムはまた、エアレーション検出未加工電圧データ出力および粒子検出未加工電圧データ出力を分析およびクリーニングして、流体中の気泡および固体汚染物質粒子の量に関するリアルタイム情報を決定し、決定した固体汚染物質粒子の量を機械のオンボード監視および制御モジュールに供給し、決定した固体汚染物質粒子の量に基づいて、機械上の一つまたは複数の動作を制御するように構成され得る。
【0012】
別の態様によれば、本開示は、コントローラに、汚染物質検出装置からエアレーション検出未加工電圧データ出力および粒子検出未加工電圧データ出力を受信する方法を、汚染物質検出装置とは別個かつ独立した外部データ処理システムでコントローラに実行させるためのプログラム命令を含む、非一時的コンピューター可読媒体に向けられる。方法はまた、高速指数加重移動平均に従って、経時的なエアレーション検出未加工電圧データ出力を平均化すること、高速指数加重移動平均に従って、経時的な粒子検出未加工電圧データ出力を平均化すること、低速指数加重移動平均に従って、経時的なエアレーション検出未加工電圧データ出力を平均化すること、低速指数加重移動平均に従って、経時的な粒子検出未加工電圧データ出力を平均化すること、ならびに経時的なエアレーション検出未加工電圧データ出力の経時的な粒子検出未加工電圧データ出力のそれぞれについて、高速指数加重移動平均と低速指数加重移動平均の間の差を決定することを含む。方法はなお、差のそれぞれが、上昇信号を示す正であるか、下降信号を示す負であるかを決定すること、上昇信号が上昇速度閾値よりも小さいか、下降信号が減衰速度閾値よりも大きいかを決定すること、ならびに、差が減衰速度閾値よりも大きいかつ上昇速度閾値よりも小さい場合、未加工電圧データ出力は、機械のオンボード監視および制御モジュールによるアクションのさらなる処理および実装のために、クリーニングされた許容可能なデータ出力であるか決定すること、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、光学粒子センサーを通過する流体中の粒子汚染物質およびエアレーションレベルを示す未加工電圧信号を利用するための例示的なシステムの概略図を示す。
図2図2は、図1に示す例示的なシステムの光学粒子センサーによって出力される未加工電圧信号を処理する例示的な方法を示す。
図3図3は、図2のシステムから受信した信号をさらに処理するための例示的方法を示す。
図4図4は、図1の光学粒子センサーからの出力を較正するための例示的な方法を示すフローチャートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、光学粒子センサーを通過する流体中の粒子汚染物質および気泡、またはエアレーションレベルを示す例示的な光学粒子センサー115によって生成される未加工電圧信号を利用するための例示的な機械システム100を示す。例示的な光学粒子センサー115は、試験される流体中で検出された気泡の数またはエアレーションの量を示す、エアレーション検出未加工電圧データ124、および光学粒子計数方法128の実施中に検出された固体汚染物質粒子の数を示す、粒子検出未加工電圧データ126を受信するように構成されるオイル粒子カウンターマイクロプロセッサー122によって特徴付けられる内部制御システム120を含み得る。図1に示すように、光学粒子センサー115は、オイル粒子カウンターマイクロプロセッサー122を使用して、未加工電圧データ124、126を内部的に処理し、一部の用途に適した粒子計数電圧出力を生成するように構成され得る。
【0015】
光学粒子センサー115の発光セクションは一つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含み得、それはセンサー内の通路を通過する流体内に光を連続的に放射するように構成され、および一つまたは複数のフォトダイオードを含む受光セクションは、発光セクションから連続的に放射され、流体を通過した光を連続的に受信するように構成され得る。受光セクションは、連続的に受信された光を、流体中の気泡数またはエアレーションのレベルを示すエアレーション検出未加工電圧データ124、および流体中の固体汚染物質粒子の数およびサイズを示す粒子検出未加工電圧データ126を含む連続的な電気信号に変換するように構成され得る。受光セクションの一つまたは複数のフォトダイオードが、センサーの通路を通過する流体中の固体汚染物質粒子および気泡によってフォトダイオード上にキャストされる影の領域に応じて、異なる量の電圧を生成するように構成され得る。
【0016】
光学粒子センサー115のオイル粒子カウンターマイクロプロセッサー122は、流体中の過剰な量の気泡またはエアレーションによって引き起こされ得る、流体中の固体汚染物質粒子の量の測定における誤差を補償するよう設計された、一つまたは複数のアルゴリズムを含み得る。こうしたアルゴリズムは、一つまたは複数のフォトダイオードによって生成され、気泡および固体汚染物質粒子によってフォトダイオード上にキャストされる影によって影響される電圧信号を増幅することを含み得る。気泡を示す電圧信号は、流体中の固体汚染物質粒子を示す電圧信号に印加される増幅比よりも小さい増幅比によって増幅されてもよく、それによって、流体中の気泡または過剰なエアレーションによって引き起こされる粒子数への影響を低減する。追加的および/または代替的に、オイル粒子カウンターマイクロプロセッサー122によって実施されるアルゴリズムは、流体の閾値領域を超える気泡またはエアレーションによって生成される電圧信号の直前に生成される電圧信号を使用し、閾値領域を超える気泡によって生成される電圧信号を無視し、それによって気泡によって引き起こされる影響も低減し得る。しかしながら、気泡が流体中により広く見られ、特定の閾値を超えるフォトダイオード上に影の領域を生成し、エアレーション検出の未加工電圧データが増加するにつれて、オイル粒子カウンターマイクロプロセッサー122の、電圧信号および粒子数における潜在的誤差を補償する能力は制限され得る。
【0017】
高レベルのエアレーションと気泡に弱い、重機械で使用される油圧流体などの流体中の汚染物質の量を決定するための光学粒子センサー115を使用した場合に生じ得る固体汚染物質粒子数の誤差を避けるために、本開示による例示的な実施形態は、光学粒子センサー115から分離し、かつ独立した、外部データ処理システム110で、光学粒子センサー115の制御システム120から、エアレーション検出未加工電圧データ出力132および粒子検出未加工電圧データ出力134を受信することを含み得る。本開示によるさまざまな実施形態において、端末または他のコネクターが光学粒子センサー115上に提供されてもよく、外部データ処理システム110は、センサーによって試験される流体中に含有される固体汚染物質粒子および気泡の量に応じて、未加工電圧データが変化すると、センサー内のフォトダイオードによって生成される未加工電圧データを取得することができる。
【0018】
外部データ処理システム110は、機器によって使用される流体中に存在する汚染物質のリアルタイム監視から利益を得るオンボード機器に配置され得る。代替的に、外部データ処理システム110からの出力は、有線、無線、またはセルラーネットワークを介して、さまざまな作業現場で動作する重機械などの機器に提供され得る。オンボード機械またはオフボードに配置され、機械に通信可能に結合されたかどうかに関わらず、外部データ処理システム110は、光学粒子センサー115内に含まれる一つまたは複数のフォトダイオードから未加工電圧データを受信するように構成され得る。光学粒子センサー115内の発光ダイオード(LED)からの光が流体がセンサーの通路を通過するときに試験される流体を照射するとき、フォトダイオードが、フォトダイオード上にキャストされる影の領域と相関する電圧信号を生成するように構成され得る。通路は、その中を通して試験される流体がポンプ注入される半透明または透明な媒体であり得、LEDは、通路を通して、LEDから通路の反対側に位置するフォトダイオード上に光を照射する。流体中の固体汚染物質粒子および気泡は、フォトダイオード上にキャストされる、異なるサイズおよび累積領域の影をもたらし、従ってフォトダイオードによって生成される電圧の量に影響を与え得る。通路を通過する際に発光ダイオード(LED)が流体を照射するとき、光学粒子センサー115の通路を通過する流体中の汚染物質によってキャストされる影の領域を合計し、得られた電圧信号を経時的に積分して、未加工電圧データ出力132、134を生成するアナログ積分器が提供され得る。
【0019】
図1に示すように、外部データ処理システム110は、光学粒子センサー115から取得された別個の未加工電圧データ出力を分析およびクリーニングするように構成されるプロセッサー140などの一つまたは複数のプロセッサーを含み得る。未加工電圧データ出力は、光学粒子センサー115上に設けられた電気端子または他のコネクターを介してアクセスすることができ、かつエアレーション検出未加工電圧データ132および粒子検出未加工電圧データ134を生成するように構成される光学粒子センサー115のフォトダイオードからの電圧出力を受信するように電気的に接続され得る。外部データ処理システム110の一つまたは複数のプロセッサー140は、光学粒子センサー115から未加工電圧データを受信し、データを分析して、流体中の気泡またはエアレーションの存在が、それを超えると、粒子検出未加工電圧134の精度が劣化する可能性が高いので、それを無視されるべき、閾値レベルを超えたとき決定し得る。
【0020】
外部データ処理システム110の一つまたは複数のプロセッサー140からの出力は、重機械または機器によって使用される流体中の汚染物質の量のリアルタイム情報から利益を得る重機械または他の機器上の機械システム100のオンボード監視および制御モジュール150に提供され得る。機器は、鉱業、建設、運輸、農業、製造、または他のタイプの産業に関連する任意の他のタイプの作業など、機械環境の作業に貢献する個々の作業を実行する一つまたは複数の構成要素を含み得る。一部の実施では、オンボード監視および制御モジュール150は、一つまたは複数の通信ネットワークを介して状態監視システムに通信可能に結合された一つまたは複数の機械上に実装され得る。オンボード監視および制御モジュール150は、一つまたは複数の機械の動作中に使用される流体中の汚染物質のレベルに関連する情報を監視、収集、制御、および/またはフィルターリングするように構成されてもよく、また望ましい場合、例えば、バックオフィスまたは中央指令センターの中央状態監視システム、および/または機械の顧客や操作者などの加入者が利用可能なシステム、などの一つまたは複数のバックエンドシステムに情報を分配するように構成され得る。
【0021】
図2および図3は、光学粒子センサー115の未加工電圧出力から導出されたクリーニングおよび分析済みデータを、一つまたは複数の機械のオンボード監視および制御モジュール150に提供する前に、外部データ処理システム110の一つまたは複数のプロセッサー140によって実装され得る例示的なアルゴリズムを示す。図2に示されるように、光学粒子センサー115のフォトダイオードから受信した未加工電圧データに対する初期許容可能な診断範囲210(例えば、0.45>V>4.75)は、許容可能な出力を、電気的ショート、一つまたは複数の緩んだ電気的接続、またはシステム内のどこかに存在する他の異常から生じる可能性のある許容できない出力を区別するために、事前に決定され得る。
【0022】
エアレーション検出の未加工電圧データ132および粒子検出の未加工電圧データ134は、図2に図示した例示的なアルゴリズムに従って別々に処理されてもよく、図2にアルゴリズムの出力240として示される許容可能なクリーニングされた信号、および図3にアルゴリズムへの入力として示されるクリーニングされたエアレーション信号340およびクリーニングされた固体汚染物質粒子信号341として、結果を得る。図2の例示的なアルゴリズムでは、光学粒子センサー115からの未加工電圧データ132、134は、高速指数加重移動平均241および低速指数加重移動平均242に従って、経時的に監視および平均化され得る。望ましい場合、低速指数加重移動平均242の結果は、クリーニングされた信号243として利用され得る。代替的に、および/または追加的に、高速指数加重移動平均241と低速指数加重移動平均242との間の差244は、差が正であり、上昇信号を示し、上昇速度閾値245未満であるか、または差が負であり、下降信号を示し、崩壊速度閾値246よりも大きいかを決定するために、さらに分析され得る。処理された電圧信号はまた、電圧信号の跳ね返り値を単一の決定可能な値に減少し、偽トリップを防止することによって、複数の変動状態移行を除去するように設計されたデバウンス時間247および248に従って選択され得る。次に、エアレーション検出未加工電圧データ132および粒子検出未加工電圧データ134のそれぞれに由来する許容可能なクリーニングされた信号240を、クリーニングされたエアレーション信号340およびクリーニングされた固体汚染物質粒子信号341の形態で、図3に図示したさらなるアルゴリズムに提供し得る。
【0023】
図3に示すように、クリーニングされたエアレーション信号340およびクリーニングされた固体汚染物質粒子信号341の両方が安定であるとき、クリーニングされたエアレーション信号340およびクリーニングされた固体汚染物質粒子信号341は、測定期間342にわたって分析されて、エアレーション平均値343および固体汚染物質粒子平均値344を計算し得る。一部の例示的実施では、エアレーション平均値343および固体汚染物質粒子平均値344は、一分未満の短期測定期間にわたって決定され得る。代替的な実施は、他の測定期間を含み得る。次いで、複数の連続的なエアレーション平均値343を、より長い期間にわたってグループ化またはビニング345し、さらなる累積和分析(CUSUM)に選択的に供し、異なる運用環境およびパラメーターの下で所望の場合にバッチサンプリングしてから、特定の機械に実装されるパラメーターを制御するためのさらなる意思決定および適用のために、オンボード監視および制御モジュール150に提供し得る。固体汚染物質粒子平均値344をルックアップテーブル346と比較して、観察されたエアレーション信号に基づき信号品質が許容可能であるかどうかを判断することができる。例示的な出力350は、固体汚染物質粒子信号の出力品質が、診断範囲内、および固体汚染物質粒子レベルならびに気泡またはエアレーションレベルへの長期間の変化を追跡する際に使用するための不良、許容可能、または良好なカテゴリーのうちの一つの範囲内にあるかどうかの識別を含んでもよく、その結果、オンボード監視および制御モジュール150が、異なる重みをデータに割り当てることができる。
【0024】
機械システム100およびオンボード監視および制御モジュール150を含む機械は、鉱業、建設、農業などの特定の業界に関連する動作、およびさまざまなプロジェクト環境(例えば、建設現場、鉱山現場、発電所など)の間またはその内部での動作を、を実施するように構成される固定または移動機械であり得る。固定機械システムの非限定的な実施例としては、プラント、材料コンベア、または海洋環境(例えば、海洋掘削プラットフォーム)で動作するエンジンシステムが挙げられる。移動機械の非限定的な実施例としては、トラック、クレーン、地面移動車両、鉱山車両、バックホー、材料取扱機器、農業機器、船舶、航空機、および作業環境で動作する任意のタイプの移動機械がなどの商用機械が挙げられる。機械は、燃焼エンジン、燃料電池、電気モーター、またはそれらの任意の組み合わせによって駆動され得る。上記に列挙した機械のタイプは例示的であり、限定することを意図するものではない。
【0025】
本開示の特徴を実施する機械の機械システム100および外部データ処理システム110はまた、機械の一つまたは複数の構成要素に関連する情報を監視、収集、および/または配布するためのオンボードデータ収集および通信機器を含むか、またはそれに動作可能に関連付けられ得る。一実施形態によれば、オンボードデータ収集および通信機器は、機械に関連付けられる一つまたは複数の構成要素の故障を早期に検出するためのシステムを含み得る。機械システム100は、追加のオンボードデータ収集および通信機器を含み得ることが企図される。例えば、機械システム100は、機械に関連付けられる健全性、生産性、状態、および/または性能を監視するためのデータ監視機器(例えば、センサー、制御モジュール、データコレクターなど)を含み得る。
【0026】
機械システム100は、機械の流体システムに関連付けられる一つまたは複数のパラメーターを監視するように構成され得る。例えば、機械システム100は、機械に関連付けられる器具またはツールの移動を制御する、一つまたは複数の油圧作動装置またはアクチュエーターに油圧流体を生成および送達するための油圧システムの一部として実装され得る。代替的に、または追加的に、機械システム100は、ポンプ/モーターを使用して、機械の牽引システムを制御する駆動システムを動作させる、油圧トランスミッションシステムの一部として実装され得る。
【0027】
機械流体システムは、典型的には、流体をリザーバーから引き出す流体チャネルを含み得る。流体チャネルは、流体から粒子状物質を収集して除去する、濾過装置を通して流体を送達し得る。次いで、流体チャネルは、ブーム、スティック、またはバケットをショベル上に延ばし、引き込むためのアクチュエーターなどの負荷への最終的な送達のために、流体を圧縮し、流体チャネル内の流体の循環を容易する、流体をポンプに送達し得る。流体チャネルは、流体の流れを包含および方向づけるように構成され得る任意のタイプの媒体を含み得る。例えば、流体チャネルは、金属、半金属、合金、ゴム、ポリマー、および/またはプラスチックパイプを含み得る。流体チャネルは、例えば、リザーバー内に含まれる流体源を、流体を動作し得るか、または他の方法で利用し得る一つまたは複数の構成要素に接続するために使用され得る。リザーバーには、流体チャネル、またはそれに関連付けられる任意の構成要素に含まれていない過剰な流体を貯蔵するための任意のタイプのタンクが含まれ得る。例えば、リザーバーは、油圧流体もしくは他の適切な流体、または流体チャネルを通して循環するために、任意の他のタイプの流体を貯蔵するよう適合される貯蔵タンクを含み得る。
【0028】
濾過装置は、流体チャネルを流れる流体からの汚染物質、不純物、またはその他の粒子状物質を濾過、収集、および貯蔵するための任意の装置を含み得る。例えば、濾過装置は、オイルフィルター、燃料フィルター、または流体から汚染物質を除去するのに適した任意の他のタイプのフィルターを含み得る。ポンプは、加圧流体の流れを生成するように構成されてもよく、可変変位ポンプ、固定変位ポンプ、可変流れポンプ、または流体を加圧するよう適合される任意の他の装置を含んでもよい。ポンプは、例えば、カウンターシャフト、ベルト、電気回路、または任意の他の適切な様式によって、電源に運転可能に接続され得る。ポンプは、加圧流体を、トランスミッション、一つまたは複数の油圧システムまたは構成要素(例えば、作業器具など)、エンジンシステム、または流体チャネルに関連付けられる他の構成要素に供給することに専念し得る。
【0029】
負荷は、ポンプに流体的に結合されてもよく、ポンプによって加圧された流体を使用して作業を実施する任意のシステムを具現化し得る。例えば、負荷は、油圧システムの流体チャネルに結合される器具を含み得る。器具は、ポンプからの加圧流体の受けいれに応答して、作業を実施するように構成され得る。負荷を通して循環する過剰な流体は、流体チャネルを介してリザーバーに戻され得る。機械流体システムはまた、流体システムに関連付けられる一つまたは複数の構成要素の動作を制御するための一つまたは複数の装置を含んでもよい。例えば、機械流体システムは、ポンプ、一つまたは複数の弁、および/または負荷の動作を制御するように構成される電子制御モジュールを含み得る。一実施形態によれば、電子制御モジュールは、機械に関連付けられる器具を移動させる運転者命令に応答してポンプを動作させるための一つまたは複数の制御信号を提供するように構成され得る。
【0030】
機械システム100は、流体システムに関連付けられるパラメーターを監視し、および監視されたパラメーターに基づき、流体システムに関連付けられる一つまたは複数の構成要素の故障を予測し、または故障を避け、または性能の劣化を回避するために取るべき予防措置を特定するように構成される一つまたは複数の構成要素を含み得る。システム100は、例えば、光学粒子センサー115、および一つまたは複数の圧力センサー、流体流量センサー、温度センサー、データ収集装置、通信ネットワーク、およびデータをバックオフィス、一つまたは複数の加入者、またはデータの他のエンドユーザーに提供するように構成される状態監視システムなどの一つまたは複数の監視装置を含み得る。機械システム100内に含まれる監視装置は、一つまたは複数の機械に関連付けられる性能データを蓄積するように構成される装置を含み得る。例えば、監視装置には、エンジンおよび/または機械の速度、機械の姿勢および/または位置、流体圧力、流量、温度、汚染レベル、および/または流体の粘度、電流および/または電圧レベル、液体(つまり、燃料、オイルなど)の消費率、負荷レベル(つまり、積載量の値、最大積載量制限の割合、積載量の履歴、積載量の分布など)、変速機出力比、スリップ等、牽引勾配と牽引力データ、駆動軸トルク、スケジュールされた、または実行されたメンテナンスおよび/または修理作業の間隔、およびマシンのその他の動作パラメーター、などの動作パラメーターを測定するための一つまたは複数のセンサーが含まれ得る。
【0031】
光学粒子センサー115は、流体チャネルを流れる流体に関連付けられる粒子数データを監視および測定するよう構成される任意の装置を含み得る。本開示によるさまざまな実施形態において、光学粒子センサー115は、試験される流体中の気泡またはエアレーションの量を表す未加工電圧データ、および流体中の固体汚染物質粒子の量を表す未加工電圧データを出力するように構成されてもよく、または修正され得る。粒子数データは、本明細書で使用される場合、流体中に存在する粒子を示す任意のデータを含み得る。例えば、粒子数データは、流体チャンバーを流れる流体中に存在する粒子の数およびサイズ、固体汚染物質粒子の数および/または気泡によって占有される領域、チャネル内の粒子の速度、流体チャネルを流れる流体の流量、または流体チャネルを流れる流体中に存在する粒子から決定され得るか、または導き出され得る、任意の他のデータを含み得る。一つの例示的な実施形態によれば、粒子数データは、固体粒子による汚染のレベルに関する国際標準化機構(ISO)4406方法を含み得る。本開示のさまざまな例示的な実施形態では、機械システム100の外部データ処理システム110は、油圧流体における高レベルのエアレーションにより、光学粒子センサー115の標準粒子数出力を不満足または信頼できないとし得る重機械上の流体システムなどの用途のために、センサーから出力される任意の実際の粒子数に依存するのではなく、光学粒子センサー115の内部フォトダイオードから、エアレーション検出未加工電圧データ132および粒子検出未加工電圧データ134などの未加工電圧データを受信するように構成され得る。
【0032】
本開示のさまざまな例示的な代替的な実施形態および実施例に従うシステムおよび方法は、上述の例示的な実施形態および実施例でセンサーから取得された未加工電圧データを処理するのではなく、光学粒子センサー115などの汚染物質検出装置からの標準出力を較正するように構成され得る。上述のように、光学粒子センサー115は、流体中の汚染のレベルを決定するように構成される汚染物質検出装置の一例である。光学粒子センサー115のさまざまな例示的な実施形態は、発光ダイオード(LED)が、流体が通路を通過するときに流体を照射し、フォトダイオードが、各影の領域を示す電圧信号を生成するときに、センサー通路を通過する流体中の汚染物質によってキャストされる影の領域を合計するように構成されるアナログ積分器を含んでもよい。アナログ積分器は、経時的な結果として生じる電圧信号を積分し、および流体中の固体汚染物質粒子および気泡の量と相関する電圧信号を出力するように構成され得る。それにもかかわらず、光学粒子センサー115は、重機械の油圧システムで使用される油圧流体などの高レベルの気泡またはエアレーションを有する流体を試験するときに、センサーからの粒子数に高レベルの信頼度を有するために、較正を必要とし得る。
【0033】
光学粒子センサーなどの汚染物質検出装置を較正するためのシステムの例示的な実施形態は、試験される流体の量を保持するための試験リザーバー、光遮蔽型粒子カウンター、および試験リザーバーおよび光遮蔽型粒子カウンターに直列に流体接続される一つまたは複数の汚染物質検出装置を含み得る。光遮蔽型粒子カウンターの非限定的な実施例としては、HIAC PODS+ポータブル液体粒子カウンター、Parker iCountオンライン粒子検出器、ArgoHytos OPCount粒子カウンター、およびPAMAS S40 GOポータブル粒子カウンターが挙げられる。
【0034】
本開示による汚染物質検出装置を較正するためのシステムのさまざまな例示的な実装は、流体の体積当たりの第一の試験ダスト質量を生成するために、流体と混合された第一のサイズの試験ダストグレードから調製されたローエンド試験ダスト希釈液を含む。国際標準化機構(ISO)12103:2016規格に従って、A.2 ファインなどの試験ダストグレードを満たすために、制御ジェットフライスおよび/またはふるい分けプロセスによって生成される試験ダストは、Powder Technology Inc.(PTI)などの供給源から取得することができる。中間試験ダスト希釈液は、流体と混合された第一のサイズの試験ダストグレードから調製されて、流体の体積当たりの第二の試験ダスト質量を生成してもよく、体積当たりの第二の試験ダスト質量は、体積当たりの第一の試験ダスト質量よりも大きい。さらに、ハイエンド試験ダスト希釈液は、流体と混合された第一のサイズの試験ダストグレードから調製されて、流体の体積当たりの第三の試験ダスト質量を生成してもよく、体積当たりの第三の試験ダスト質量は、体積当たりの第二の試験ダスト質量よりも大きい。
【0035】
本開示による例示的な較正システムは、連続試験ダスト希釈液の各々について粒子カウンターによって測定される粒子数が安定するまで、一つまたは複数の汚染物質検出装置の各々および粒子カウンターを通して試験リザーバーからローエンド、中間、ハイエンド試験ダスト希釈液の各々を連続的にポンピングするように構成されるポンプをさらに含む。第一の入力機構は、第一のサイズの試験ダストグレードを使用して、前記試験ダスト希釈液のそれぞれに対して前記安定化された粒子数に基づき、前記一つまたは複数の汚染物質検出装置のそれぞれに対するローエンドゲイン、中間ゲイン、およびハイエンドゲインを、設定するように構成され得る。
【0036】
本開示による例示的な較正システムはまた、第一のサイズの試験ダストグレードよりもサイズが大きく、流体と混合された第二のサイズの試験ダストグレードから調製される、エアレーション気泡カウンター試験ダスト希釈液を含み得、第二のサイズの試験ダストグレードが、重機械における流体の使用中に流体内に気泡が存在することを示す一つまたは複数の汚染物質検出装置のうちの一つによって生成される電圧信号に関連付けられる、カットオフサイズよりも大きいサイズの範囲内に入る、ダスト粒子を含有するその体積の少なくとも90%を含む。ポンプは、エアレーション気泡カウンター試験ダスト希釈液のために粒子カウンターによって測定される粒子数が安定するまで、試験リザーバーから、一つまたは複数の汚染物質検出装置の各々、および粒子カウンターを通してエアレーション気泡カウンター試験ダスト希釈液をポンピングするように構成され得る。第二の入力機構は、装置のそれぞれが、エアレーション気泡カウンター試験ダスト希釈液が装置を通してポンプで送られる結果として生成される電圧信号の約70%~80%以上を拒絶するように、一つまたは複数の汚染物質検出装置のそれぞれについて、気泡計数ゲインを設定するように構成され得る。
【0037】
例示的な較正システムは、試験リザーバーの下流で直列に流体接続される汚染物質検出装置のうちの三つを含み得る。本開示による較正システムのいくつかの例示的な実施形態における試験リザーバーは、円錐型タンクであり得る。第一のサイズの試験ダストグレードは、ISO 12103-1:2016,A.2ファインテストダストとすることができる。一つの例示的実施におけるローエンド試験ダスト希釈液の粒子数は、流体mL当たり約160個であってもよく、ローエンド試験ダスト希釈液の試験ダスト質量は、流体の約1.0mg(ミリグラム)/L(リットル)であり得る。本開示全体および特許請求の範囲で使用される用語「およそ」は、例えば、流体の体積当たりの粒子数および試験ダストの質量を測定するための標準的な業界公差内に入る、mL当たりの数および体積当たりの質量の範囲を包含することが、当業者によって理解されるであろう。一つの例示的実施における中間試験ダスト希釈液の粒子数は、それぞれ、流体mL当たり約640、1,300、または2,500個のうちのいずれか一つであってもよく、中間試験ダスト希釈液の試験ダスト質量はそれぞれ、流体の約0.414、0.854、または3.505mg(ミリグラム)/L(リットル)のうちのいずれか一つであり得る。一つの例示的実施におけるハイエンド試験ダスト希釈液の粒子数は、流体mL当たり約5,000個であってもよく、ハイエンド試験ダスト希釈液の試験ダスト質量は、流体の約5.0mg(ミリグラム)/L(リットル)であり得る。第二のサイズの試験ダストグレードは、直径約75~150ミクロンの範囲のサイズ試験ダストであり得る。代替的な実施では、第二のサイズの試験ダストグレードは、直径約53~106ミクロンの範囲のサイズの試験ダストであり得る。
【0038】
光学粒子センサー115などの汚染物質検出装置からの標準出力を較正するための上述の例示的なシステムは、重機械上の潜在的な動作問題の早期検出のためのシステムの一部として含まれ得る。機械システム100のさまざまな実施形態は、光学粒子センサー115によって収集されたデータを受信、収集、包装、および/または分配するように構成されるデータコレクターを含み得る。例えば、データコレクターは、光学粒子センサー115から粒子数データを受信し、上述のシステムおよび方法に従って粒子数データを較正し得る。代替的に、および/または追加的に、データコレクターは、上述した、粒子検出未加工電圧データ134およびエアレーション検出未加工電圧データ132など、光学粒子センサー115の構成要素によって生成される未加工電圧データを取得、分析、および処理し得る。機械システム100のデータコレクターは、このデータをパッケージ化し、受信したデータを通信ネットワークを介して遠隔オフィス、バックオフィス、または他の受信者の状態監視システムに送信し得る。代替的に、および/または追加的に、機械システム100のデータコレクターは、後で状態監視システムに送信するため、受信したデータを所定の期間の間、メモリーに記憶し得る。例えば、機械システム100と遠隔状態監視システム(例えば、データコレクターおよび/または状態監視システムに関連付けられる、通信ネットワーク、または一つまたは複数の通信装置)との間の通信チャネルが一時的に利用不能になった場合、収集されたデータは、通信チャネルが復元されるときに、その後の取り出しおよび送信のためにメモリーに格納され得る。
【0039】
通信ネットワークは、機械システム100を含む機械とオフボードシステム(例えば、遠隔サイトでの状態監視システム)間の双方向通信を提供する任意のネットワークを含み得る。例えば、通信ネットワークは、例えば、衛星通信システム、セルラー通信システム、または一つまたは複数の地理的に分散した資産(例えば、Bluetooth、マイクロ波、ポイントツーポイント無線、ポイントツーマルチポイント無線、マルチポイントツーマルチポイント無線)でデータを通信するための任意の他のプラットフォームなど、無線ネットワーキングプラットフォームにわたって、状態監視システムに機械を通信可能に結合し得る。代替的に、通信ネットワークはまた、例えば、イーサネット、光ファイバー、導波路、または任意の他のタイプの有線通信ネットワークなどの、任意の適切な無線および/または有線ネットワークを含むか、または具現化し得る。また、通信ネットワークは、スマートカード技術、手動データ伝送方法(sneakernet)、または機械システム100を含む機械とオフボードシステム間でデータを伝送するための任意の適切な手段などの追加の通信媒体または通信方法をサポートし得ることも企図される。通信ネットワークはまた、さまざまなハードウェアおよびソフトウェアサポートシステムおよび一つまたは複数の通信サービスの動作を容易にする機器など、メッセージルーティングおよびネットワーク動作をサポートするために必要な任意のインフラを含んでもよい。
【0040】
機械システム100およびプロセッサー140の一部であるか、またはそれらと通信可能に結合される状態監視システムは、開示された実施形態と一致するプロセスおよび方法を実装し得る、任意のタイプのプロセッサーベースのシステムを含み得る。例えば、状態監視システムは、一つまたは複数の機械に関連付けられるデータを監視および分析するためのソフトウェアなどのソフトウェアプログラムを実行するように構成される一つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素を含み得る。機械システム100は、例えば、一つまたは複数のプロセッサー140、ランダムアクセスメモリー(RAM)モジュール、読み出し専用メモリー(ROM)モジュール、ストレージシステム、データベース、一つまたは複数の入力/出力(I/O)装置、およびインターフェイスなどの一つまたは複数のハードウェア構成要素を含み得る。代替的に、および/または追加的に、機械システム100は、例えば、特定の開示された実施形態と一致する方法を実施するためのコンピューター実行可能命令を含む、コンピューター可読媒体などの一つまたは複数のソフトウェア構成要素を含み得る。上記に列挙されたハードウェア構成要素のうちの一つまたは複数は、ソフトウェアを使用して実装され得ることが企図される。例えば、機械システム100用のストレージは、一つまたは複数の他のハードウェア構成要素に関連付けられるソフトウェアパーティションを含み得る。
【0041】
プロセッサー140は、命令を実行し、データを処理して、機械システム100に関連付けられる一つまたは複数の機能を実行するように構成され得る。プロセッサー140は、RAM、ROM、ストレージ、一つまたは複数のデータベース、I/O装置、およびインターフェイスに通信可能に結合され得る。プロセッサー140は、コンピュータープログラム命令のシーケンスを実行して、さまざまなプロセスを実行するように構成され得る。コンピュータープログラム命令は、プロセッサー140によって実行するためにRAMにロードされ得る。RAMおよびROMはそれぞれ、機械システム100、オンボード監視および制御モジュール150、および/またはプロセッサー140の動作に関連する情報を記憶するための一つまたは複数の装置を含み得る。例えば、ROMは、機械の一つまたは複数の構成要素およびサブシステムの動作を識別、初期化、および監視するための情報を含む情報にアクセスして保存するように構成されるメモリーデバイスを含み得る。I/O装置は、機械システム100に関連付けられるユーザーと情報を通信し、センサーによって検出および計数されるさまざまな範囲の粒子サイズに対して、光学粒子センサー115上にさまざまなゲインを設定するなど、較正および調整を行うように構成される一つまたは複数の構成要素を含み得る。例えば、I/O装置は、ユーザーが機械システム100および光学粒子センサー115に関連付けられるパラメーターを入力できるように、統合されたキーボードおよびマウスを備えたコンソールを含み得る。I/O装置はまた、情報をモニター上に出力するためのグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を含むディスプレイを含んでもよい。I/O装置はまた、例えば、機械システム100に関連付けられる情報を印刷するためのプリンター、ユーザーが、ポータブルメディア装置、マイク、スピーカシステム、または任意の他の適切なタイプのインターフェイス装置に格納されるデータを入力することを可能にするように、ユーザーがアクセス可能なディスクドライブ(例えば、USBポート、フロッピー、CD-ROM、またはDVD-ROMドライブなど)など、周辺装置を含んでもよい。
【0042】
機械システム100のプロセッサー140は、試験される流体中で識別される固体汚染物質粒子および気泡の量における傾向を識別し、機械流体システムに関連付けられる構成要素の将来の故障を予想するための、一つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを含み得る。プロセッサー140によって実行されるソフトウェアアプリケーションはまた、一つまたは複数の加入者(例えば、修理人員、プロジェクトマネジャー、派遣業者など)に通知するように構成され得る。例えば、プロセッサー140に関連付けられるソフトウェアアプリケーションは、粒子数データの傾向を推定するために、固体汚染物質粒子および気泡の数および/または面積などの汚染物質の履歴レベルおよびリアルタイムレベルを分析するように構成され得る。プロセッサー140は、現在の(例えば、リアルタイム)粒子数データを、履歴トレンドデータと比較し得る。現在の粒子数データが所定の許容可能な量だけ過去の粒子数トレンドを超える場合、プロセッサー140は、故障事象検出アラーム、メンテナンスまたは修理が必要であるという表示をトリガーし、および/または一人または複数の加入者への配布のための事象通知を生成し得る。
【0043】
加入者は、開示された実施形態と一致する様式でプロセッサー140からデータを受信するように構成される、コンピューターシステムまたはモバイルデータ装置を含み得る。例えば、加入者は、それぞれのユーザーによって操作される一つまたは複数のコンピューター端末を含み得る。代替的に、および/または追加的に、加入者は、個人データアシスタントシステム(PDA)、無線通信装置(例えば、ポケベル、電話など)、ノート型コンピューター、診断コンピューターシステム、データアナライザー、または情報を受信および処理するよう構成される、任意のその他のかかるクライアントコンピューター装置を含んでもよい。一つの実施形態では、加入者は、プロジェクト環境内の遠隔プロジェクトサイトの管理に関連付けられるビジネス事業体の一つまたは複数のセクションと関連付けられ得る。例えば、加入者は、プロジェクト管理部門、業務部門、保守および/または修理部門、調達部門、人事部、および/またはプロジェクト環境と関連付けられ得る任意の他のビジネス事業体など、プロジェクト環境に関連付けられるビジネス事業体の特定の部門と関連付けられ得る。
【0044】
別の実施形態では、加入者は、一つまたは複数の機械のセットと提携しているビジネス事業体と関連付けられてもよい。例えば、加入者は、機械システム100を含む機械の第一のセットの動作および生産性を制御するサイトマネジャーと関連付けられてもよい。代替的に、および/または追加的に、異なるプロジェクト事業体は、異なるビジネス事業体および/または機械と関連付けられ得る。従って、上記の記載は例示的であり、限定することを意図するものではない。開示された実施形態は、一つまたは複数のビジネス事業体および/またはそのセクションと、プロジェクト環境の構成要素との間の任意の相関(または相関なし)を企図する。
【0045】
加入者は、特定のプロジェクト環境または作業現場に関連するビジネス事業体と関連付けられてもよく、機械システム100の一つまたは複数のプロセッサー140と通信するように構成され得る。一つの実施形態では、加入者は、特定のプロジェクト環境内で動作している一つまたは複数の機械に関連付けられるプロセッサー140との間で、動作データを送受信し得る。例えば、加入者は、一つまたは複数のプロセッサー140から一つまたは複数の機械に関連付けられる、構成要素の故障アラート(および/または潜在的故障傾向に関連する粒子数または圧力データ)を受信する、オンサイト保守および修理部門であり得る。
【0046】
加入者はまた、プロジェクト環境または作業現場に所属する一人または複数の人員に関連付けられるポータブル通信装置を含んでもよい。例えば、加入者は、プロジェクトマネジャー、機械操作者、派遣業者、修理技術者、シフトスケジューラ、または機械所有者に関連付けられる無線ポケベルまたは携帯電話を含み得る。このように、加入者は、プロセッサー140から故障事象の警告およびアラートを受信し、予測された故障事象が発生する前に、関連する機械の検査および/または修理をスケジュールし得る。
【0047】
開示された実施形態と一致するプロセスおよび方法は、流体流路内の一つまたは複数の構成要素に関連する構成要素の故障を早期に検出するためのシステムを提供する。より具体的には、本明細書に記載のシステムは、流体チャネルを流れる流体の粒子数データの傾向を監視するためのシステムを提供する。現在のデータが閾値量だけ監視された傾向から逸脱する場合、潜在的な将来の故障事象を特定し、調査、試験、および/または修理のために機械にフラグを付け得る。代替的または追加的な(すなわち、冗長な)実施形態として、本明細書に記載のシステムは、流体チャネルに沿った一つまたは複数の位置での圧力を監視し、圧力データの傾向を識別し得る。現在の圧力データが圧力トレンドから逸脱し、構成要素の故障に関連する汚染物質および破片の潜在的な蓄積を示す場合、システムは、潜在的な問題を報告するために加入者に通知し得る。
【0048】
機械システム100のプロセッサー140はまた、粒子数データを利用して、機械システム100を含む機械に関連付けられる日常的なメンテナンスをスケジュールするように構成され得る。例えば、一部の機械は、より過酷なおよび/またはより厳しい環境で動作しえるため、各機械は、油圧および/または他の流体システムに対して異なるメンテナンススケジュールを必要とし得る。より具体的には、過酷な環境で稼働する機械に関連するエンジンおよび/またはトランスミッション潤滑および/または冷却システムは、あまり厳しくない条件下で稼働する機械よりも、通常の摩耗および引裂きによって引き起こされる粒子状物質の増加に対抗するために、より頻繁なメンテナンスを必要とし得る。従って、所定の間隔で定期メンテナンスを処方するのではなく、プロセッサー140は、摩耗破片がいつシステムメンテナンスを必要とするレベルに達したかを判定するように適合され得る。
【0049】
粒子数の傾向における名目上の増加は、通常の「摩耗および引裂き」を示すが、これらの傾向からの劇的な偏差は、システム内の一つまたは複数の構成要素の材料故障を示し得る。従って、プロセッサー140が、異なる機械から現在(リアルタイムまたはほぼリアルタイム)の粒子数データを受信すると、さまざまな機械システム100の一つまたは複数のプロセッサー140が、現在のデータを過去の粒子数トレンドと比較し得る。現在の粒子数データが、閾値量だけ過去の部品数トレンドから逸脱しない場合、プロセッサー140は、現在の粒子数データの監視を継続し得る。
【0050】
過去の粒子数データに関する現在の粒子数データにおける偏差を特徴付けるための閾値レベルは、例えば、流体システムの構成要素に関連する故障試験解析中に収集された経験的試験データに基づき、あらかじめ決定され得る。代替的に、閾値レベルは、完全な構成要素の故障の前に発生し得る特定の「軽度の」故障事象に関連する粒子の排出の増加を推定することによって確立され得る。例えば、ポンプのインペラベアリングは、ポンプが完全に故障する前に故障し始める場合がある。従って、インペラベアリングが劣化するとき、粒子状破片が流体チャネル内に排出され得る。ポンプインペラ状態が徐々に低下するにつれて、追加の材料が流体内に導入され得る。これらの初期「警告兆候」は、通常の「摩耗および引裂き」粒子数データに加えて、粒子数における特徴的でない増加として観察され得る。従って、過去の粒子数データの許容可能な増加の閾値レベルは、過去の増加を超える所定のパーセンテージとして確立され得る。従って、履歴トレンドが、10時間ごとのエンジン動作について、粒子数データが1.5%~2.5%増加したことを示す場合、履歴トレンドデータからの現在のデータの偏差を特徴付けるための閾値は、例えば、4%として確立され得る。
【0051】
粒子数データに基づき故障事象を識別するための許容可能な閾値を決定するために、追加的および/または異なる方法が使用され得ることが企図される。例えば、壊滅的な故障事象の間の機械の監視中に、粒子数データが履歴トレンドよりも10%増加した場合、閾値レベルは、10%未満の何らかのレベルとして設定され得る。当業者であれば、このレベルが低いほど、故障事象予測が早くなる(偽の構成要素の故障予測の数を増加させ得る)ことを認識する。
【0052】
現在の粒子数データが、閾値量だけ過去の粒子数トレンドから逸脱する場合、機械システム100のプロセッサー140は、構成要素の故障事象を予測し得る。構成要素が、特定の故障症状の開始から非常に迅速に故障することが多いため、プロセッサー140は、オンボード監視および制御モジュール150を介して、直ちに事象通知を生成するように構成され得る。この事象通知は、機械の運転席内に可聴および/または視覚的な警報を含んでもよく、潜在的な構成要素の故障状態を運転者に知らせ得る。
【0053】
オンボードの機械警報を生成することに加えて、プロセッサー140および/またはオンボード監視および制御モジュール150は、テキストメッセージ、電子メールメッセージ、ポケベル、ショートメッセージサービス(SMS)メッセージ、自動音声メッセージ、ボイスメールメッセージ、または任意の他の適切な電子メッセージなどの電子メッセージを生成するように構成され得る。プロセッサー140およびオンボード監視および制御モジュール150は、このメッセージを一人または複数の加入者に送信し得る。結果として、加入者は、構成要素の故障の影響を低減するために適切な措置を取ることができ得る。例えば、プロジェクトマネジャーまたは派遣業者は、修理施設との即時のメンテナンスをスケジュールし、修理中の生産性の低下を防止するために交換用レンタル機械をスケジュールし得る。
【0054】
任意選択で、機械に関連する壊滅的な故障を予測すると、プロセッサー140およびオンボード監視および制御モジュール150は、故障事象が発生する前に機械をシャットダウンするための制御信号を生成し得る。これは、一つの構成要素の故障が、機械またはそれに関連する一つまたは複数の重要な構成要素への重大な付随的損傷をもたらし得る流体システムにおいて特に有利であり得る。例えば、プロセッサー140が、エンジンの流体冷却システムに関連する構成要素の故障を予測する場合、プロセッサー140は、エンジンの過熱およびそれに関連する損傷を防止するために、エンジンを停止するコマンド信号を生成し得る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
開示された実施形態と一致するシステムおよび方法は、機械流体システムに関連する構成要素の故障または必要なメンテナンスをもたらし得る傾向の早期検出を提供するために、試験される流体中の固体汚染物質粒子の数および気泡と相関する未加工電圧データを使用して、正確で信頼性の高い粒子数を取得するための解決策を提供する。本開示のシステムおよび関連する方法を採用する機械は、流体チャネルを流れる流体中に存在する固体汚染物質粒子の数およびサイズおよび気泡またはエアレーションを検出および監視するように構成され得る。本明細書に記載のシステムおよび方法はまた、重機械で使用される油圧流体などのさまざまな流体中の汚染物質のレベルの傾向を検出し、および流体によって影響を受ける機械の一つまたは複数の構成要素の潜在的な将来の故障またはメンテナンス間隔を予知し得る。結果として、機械構成要素の故障を早期に検出するために現在開示されるシステムを実装する作業環境によって、プロジェクトマネジャー、機械操作者、および機器所有者は、機械を動作不能にし、作業環境の生産性に著しい影響を与える可能性のある壊滅的な構成要素の故障の前に、損傷した構成要素を事前に特定し、修理することができる。
【0056】
図4は、本開示のさまざまな実施形態による、光学粒子センサーまたは他の汚染物質検出装置を較正するための方法の一例示的実施例を示す。図4に示すように、一つまたは複数の汚染物質検出装置115は、ステップ420で試験リザーバーおよび光遮蔽型粒子カウンターに直列に流体接続され得る。ローエンド試験ダスト希釈液は、ステップ422で、流体と混合された第一のサイズの試験ダストグレードから調製されて、体積当たりの第一の試験ダスト質量を生成することができる。中間試験ダスト希釈液は、ステップ424で、流体と混合された第一のサイズの試験ダストグレードから調製されて、体積当たりの第二の試験ダスト質量を生成してもよく、体積当たりの第二の試験ダスト質量は、体積当たりの第一の試験ダスト質量よりも大きい。ハイエンド試験ダスト希釈液は、ステップ426で、流体と混合された第一のサイズの試験ダストグレードから調製されて、体積当たりの第三の試験ダスト質量を生成してもよく、体積当たりの第三の試験ダスト質量は、体積当たりの第二の試験ダスト質量よりも大きい。
【0057】
上述の各試験ダスト希釈液の調製後、各試験ダスト希釈液は、ステップ428で、試験ダスト希釈液の各々の粒子数が安定するまで、試験リザーバーへ直列に流体接続される汚染物質検出装置のそれぞれを通して連続的にポンピングされ得る。試験ダスト希釈液の各々の粒子数の各々を安定化した後、ステップ430で、入力装置を使用して、安定した粒子数に基づき、汚染物質検出装置の各々のローエンドゲイン、中間ゲイン、およびハイエンドゲインを設定し得る。
【0058】
気泡の存在によって引き起こされる粒子数の許容できない誤差が除去または抑制されるように、汚染物質検出装置を較正するために、ステップ432で、エアレーション気泡カウンター試験ダスト希釈液は、第一のサイズの試験ダストグレードよりもサイズが大きく、かつ気泡と相関するカットオフ粒子サイズよりもサイズの大きい試験ダスト粒子サイズの大部分体積パーセントを含有する、第二のサイズの試験ダストグレードから調製され得る。ステップ434で、入力装置は、光学粒子センサー115などの各汚染物質検出装置が、カットオフ粒子サイズよりも大きい粒子のカウントの約70~80%以上の気泡として拒絶するように、各汚染物質検出装置に対して気泡計数ゲインを設定するために使用され得る。
【0059】
開示された実施形態は、重機械用の流体システムに関連するものとして説明および図示されるが、それらは、少なくとも一つの流体供給システムを含む任意の移動式または固定式機械に実装され得る。具体的には、汚染物質検出装置を較正するための、または固体汚染物質粒子および気泡の数または面積を示す、汚染物質検出装置によって生成される未加工電圧データを分析および処理するための、本開示のシステムおよび方法は、機械構成要素の故障の早期検出を強化し得る。開示されたシステムおよび方法は、流体中の汚染物質または破片の量を監視することが有利であり得る、任意の機械または機器システムで、特に、破片の循環、または高レベルの汚染物質または気泡が、潜在的に、機械の構成要素を損傷するか、または機械の適切な動作を確保するために必要な流体の流れを制限し得るシステムで、使用され得る。さらに、本開示のシステムおよび関連する方法は、複数の機械の動作を監視、分析、および管理して、作業現場の効率的な動作を保証する、接続される作業現場環境に統合され得る。
【0060】
機械構成要素の故障を早期検出するのための本開示のシステムおよび方法は、いくつかの利点を有し得る。例えば、本開示のシステムは、流体中に存在する固体汚染物質粒子および気泡の領域を直接監視する汚染物質検出装置を採用し、これは、構成要素の差し迫った故障を示す故障破片または汚染物質の量の存在を直接検出する。対照的に、従来のシステムは、(例えば、流体フィルターに渡る圧力降下を監視することによって)故障破片を検出するための間接的な方法を使用する。しかしながら、こうした間接的な方法は、(例えば、流体フィルターが詰まるまで)故障破片の増加に直ちに応答せず、故障状態の検出を遅延させ、機械へのさらなる損傷をもたらし得る。
【0061】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示のシステムおよび方法に対して、さまざまな修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本開示のその他の実施形態は、本開示の仕様と実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。本明細書は例としてのみ考慮されることが意図され、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】