(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】廃ガス浄化システム
(51)【国際特許分類】
B01D 49/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B01D49/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535953
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 IB2021061758
(87)【国際公開番号】W WO2022130234
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523216218
【氏名又は名称】ウェイ ジュン-ツン
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ジュン-ツン
(57)【要約】
【解決手段】
廃ガス浄化システムは、ガス容器12と、ガス容器12に廃ガスを断続的に入れるためのガス投入ユニット13と、廃ガスが浄化された後にガス容器12から廃ガスを排出するためのガス排出ユニット14と、ガス容器12内に配置され、廃ガス中の粒子状物質を粘着性物質で粘着させて廃ガスを浄化する捕捉装置21を含む汚染物質捕捉器具2と、を含む。ガス投入ユニット13が廃ガスのガス容器12への入力を許容する作動時間の長さは、60秒を超えない。ガス投入ユニット13がガス容器12への廃ガスの流入を許可しない休止時間の長さは、30分を超えない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス容器と、
前記ガス容器に廃ガスを断続的に入れるためのガス投入ユニットであって、前記ガス投入ユニットが前記ガス容器に廃ガスを入れることを許容する作動時間の長さが60秒を超えず、前記ガス投入ユニットが前記ガス容器に廃ガスを入れることを許容しない休止時間の長さが30分を超えない前記ガス投入ユニットと、
廃ガスが浄化された後、前記ガス容器から廃ガスを排出するためのガス排出ユニットと、
前記ガス容器内に配置されており、且つ、粘着性物質を用いて廃ガス中の粒子状物質を粘着して廃ガスを浄化する捕捉装置を含む汚染物質捕捉器具と、を備える、廃ガス浄化システム。
【請求項2】
前記ガス投入ユニットを駆動して、前記ガス投入ユニットから前記捕捉装置の表面までの距離が変化可能になるよう移動するように構成されているドライバを更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項3】
前記ガス投入ユニットを駆動して、前記捕捉装置の表面における前記ガス投入ユニットの投影位置が変化可能になるよう移動するように構成されているドライバを更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項4】
前記ガス投入ユニットを駆動して、前記捕捉装置の表面に対する前記ガス投入ユニットの角度が変化可能になるよう移動するように構成されているドライバを更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項5】
前記汚染物質捕捉器具は、複数の前記捕捉装置を含み、前記捕捉装置のそれぞれの表面は、1つずつ廃ガスに曝される、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項6】
前記ガス排出ユニットに取り付けられている換気扇を更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項7】
空気品質検知器と制御器とを含む装置制御器具を更に備え、
前記空気品質検知器は、前記ガス容器内に配置されており、且つ、前記ガス容器内の廃ガスの空気品質を検知し且つ前記廃ガスの空気品質を示す空気品質信号を生成するように構成されており、
前記制御器は、前記空気品質検知器に通信可能に接続されて空気品質信号を受信し、前記ガス投入ユニットに更に通信可能に接続されており、且つ、前記空気品質信号によって示される前記廃ガスの空気品質に基づいて前記ガス投入ユニット内のガス流量を制御するように構成されている、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項8】
空気品質検知器と制御器とを含む装置制御器具を更に備え、
前記空気品質検知器は、前記ガス容器内に配置されており、且つ、前記ガス容器内の廃ガスの空気品質を検知し且つ前記廃ガスの空気品質を示す空気品質信号を生成するように構成されており、
前記制御器は、前記空気品質検知器に通信可能に接続されて空気品質信号を受信し、前記ガス投入ユニットに更に通信可能に接続されており、且つ、前記空気品質信号によって示される前記廃ガスの空気品質に基づいて前記ガス投入ユニットの作動時間及び休止時間の長さを制御するように構成されている、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項9】
前記ガス投入ユニットは、前記捕捉装置の表面に面する複数の開口が形成されている、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項10】
複数の前記ガス投入ユニットを備え、前記ガス投入ユニットのそれぞれには、廃ガスが前記ガス容器に入る開口が形成されており、前記ガス投入ユニットの開口は、前記捕捉装置の表面に面する、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項11】
前記ガス投入ユニットは、廃ガスが前記ガス容器に入る開口が形成されており、前記廃ガス浄化システムは、前記ガス投入ユニットに取り付けられ且つ前記ガス投入ユニットの前記開口の上方にあって、前記ガス投入ユニットから半径方向外向きに延びる反射体を更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項12】
前記反射体は、前記廃ガス中の粒子状物質を粘着させるための粘着性物質が分布した表面を有する、請求項11に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項13】
空気品質検知器及び制御器を含む装置制御器具を更に備え、
前記汚染物質捕捉器具は、前記捕捉装置を連続的に移動するよう駆動するように構成されている駆動装置を更に含み、
前記空気品質検知器は、前記ガス容器内に配置されており、且つ、前記ガス容器内の廃ガスの空気品質を検知し且つ前記廃ガスの空気品質を示す空気品質信号を生成するように構成されており、
前記制御器は、前記空気品質検知器に通信可能に接続されて前記空気品質信号を受信し、前記駆動装置に更に通信可能に接続されており、且つ、前記空気品質信号によって示される前記廃ガスの空気品質が第1の所定レベルよりも悪い場合に前記駆動装置の動作速度を増加させるように制御し且つ前記空気品質信号によって示される前記廃ガスの空気品質が第1の所定レベルによって表される空気品質より良い第2の所定レベルより良い場合に前記駆動装置の動作速度を低減させるよう制御するように構成されている、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項14】
前記廃ガスが前記ガス投入ユニットを介して前記ガス容器に入る前に、前記廃ガスが所定の温度を有するように調整するために配置されている温度制御装置を含む環境パラメータ制御器具を更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【請求項15】
前記廃ガスが前記ガス投入ユニットを介して前記ガス容器に入る前に、前記廃ガスが所定の湿度を有するように調整するために配置されている湿度制御装置を含む環境パラメータ制御器具を更に備える、請求項1に記載の廃ガス浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃ガスを処理するための器具に関し、より詳細には、廃ガス浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業の発展に伴い、多くの工場では、高温処理のために燃料を燃焼させて高温環境を作る器具が設置されている。このような器具は、通常、石炭や化石燃料を使用するため、大量の廃ガスが発生する。通常、廃ガスには、粒状汚染物質、硫黄酸化物、水酸化物などの有害物質が含まれる。また、工場で使用されるものだけでなく、輸送車両など他の機械も運転中に廃ガスが生じる。これらの器具や機械の作動中に生じる廃ガスが直接大気に放出されて汚染を引き起こすことを防ぐため、環境保護規制においては、このような器具や機械から生じる廃ガスや煙に関する排出基準が定められているため、産業界では通常、器具や機械に廃ガス浄化システムを設置し、廃ガスを浄化する。
【0003】
中国特許出願公開第103212257号は、従来の廃ガス浄化システムを開示している。従来の廃ガス浄化システムは、ケーシングと、ケーシング内に配置されている粘性壁とを含む。該ケーシングには、2つの開口が形成され、一方の開口は廃ガスが該ケーシング内に流入するためのものであり、他方の開口部は廃ガスが浄化された後に該廃ガスを該ケーシング外に排出するためのものである。該粘性壁は、表面にシリカ系高分子粘液を流動状態で分布させて、廃ガス中の粒子状物質を粘着させて廃ガスを浄化するものである。しかしながら、従来の廃ガス浄化システムでは、浄化効果が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本開示の目的は、先行技術の欠点を緩和することができる廃ガス浄化システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によると、廃ガス浄化システムは、ガス容器と、ガス投入ユニットと、ガス排出ユニットと、汚染物質捕捉器具とを含む。前記ガス投入ユニットは、前記ガス容器に廃ガスを断続的に入れるためのものである。前記ガス投入ユニットが前記ガス容器に廃ガスを入れることを許容する作動時間の長さが60秒を超えない。前記ガス投入ユニットが前記ガス容器に廃ガスを入れることを許容しない休止時間の長さが30分を超えない。前記ガス排出ユニットは、廃ガスが浄化された後、前記ガス容器から廃ガスを排出するためのものである。前記汚染物質捕捉器具は、前記ガス容器内に配置されており、且つ、粘着性物質を用いて廃ガス中の粒子状物質を粘着して廃ガスを浄化する捕捉装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細に説明することにより明白になる。
【
図1】本開示の廃ガス浄化システムの第1の実施形態を示す部分概略図である。
【
図3】本開示の廃ガス浄化システムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【
図4】本開示の廃ガス浄化システムの第3の実施形態を示す部分概略図である。
【
図5】本開示の廃ガス浄化システムの第4の実施形態を示す部分概略図である。
【
図6】本開示の廃ガス浄化システムの第5の実施形態を示す部分概略図である。
【
図7】本開示の廃ガス浄化システムの第6の実施形態を示す部分概略図である。
【
図8】本開示の廃ガス浄化システムの第7の実施形態を示す部分概略図である。
【
図9】本開示の廃ガス浄化システムの第8の実施形態を示す部分概略図である。
【
図10】本開示の廃ガス浄化システムの第9の実施形態を示す部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合には、参照数字または参照数字の末端部分が、対応するまたは類似する要素を示すために図間で繰り返されており、これらは任意に同様の特性を有することができることに留意されたい。
【0008】
図1及び
図2を参照すると、本開示の廃ガス浄化システムの第1の実施形態は、廃ガスを生成する廃ガス生成器具(図示せず)に接続されて、廃ガス生成器具から廃ガスを受け取って浄化し、浄化した廃ガスを廃ガス浄化システムから排出することに適されている。この実施形態の廃ガス浄化システムは、ガス流量制御器具1と、汚染物質捕捉器具2と、装置制御器具3とを含む。
【0009】
ガス流量制御器具1は、浄化空間11を画定するガス容器12と、ガス容器12の浄化空間11に廃ガスを断続的に入れるために廃ガス生成器具に接続される少なくとも1つのガス投入ユニット13と、廃ガスが浄化された後にガス容器12の浄化空間11から廃ガスを排出するための少なくとも1つのガス排出ユニット14とを含む。この実施形態において、ガス流量制御器具1は、1つのガス投入ユニット13と1つのガス排出ユニット14とを含むが、本開示はこの形態に限定されるものではない。一部の実施形態において、ガス流量制御器具1は、ガス容器12から浄化された廃ガスを排出することを補助するためにガス排出ユニット14に取り付けられる換気扇15を更に(ただし、非必要)含むことができる。
【0010】
この実施形態において、ガス投入ユニット13は、ガス容器12に取り付けられ、開口131が形成され、且つ、廃ガス生成器具で生じた廃ガスを開口131からガス容器12の浄化空間11に断続的に入れる(例えば、注入による)ように構成されているノズルを含む。ガス排出ユニット14は、ガス容器12においてガス投入ユニット13と反対の側に形成されている開口を含む(例えば、
図1においてガス投入ユニット13はガス容器12の上部に配置され、ガス排出ユニット14はガス容器12の下部に配置される)が、本開示はこの形態で限定されない(即ち、ガス投入ユニット13及びガス排出ユニット14がガス容器12の反対側に配置されないこともある)。ガス投入ユニット13及びガス排出ユニット14のそれぞれは、ガス投入ユニット13及びガス排出ユニット14の対応する一方を開放または閉鎖するように操作可能なバルブ(図示せず)を更に含む。
【0011】
汚染物質捕捉器具2は、ガス容器12内に配置されており、且つ、捕捉装置21と、駆動装置22と、粘着性物質供給装置23とを含む。捕捉装置21は、粘着性物質を用いて廃ガス中の粒子状物質を粘着させることにより、廃ガスを浄化するように構成されている。駆動装置22は、捕捉装置21を連続的に移動するように駆動するよう構成されている。粘着性物質供給装置23は、捕捉装置21に粘着性物質を供給するように構成されている。この実施形態において、駆動装置22は、ガス投入ユニット13の下方に配置されている2つのローラ221と、ローラ221に接続されてローラ221の回転を制御するモータ(図示せず)とを含み、且つ、捕捉装置21は、ローラ221に這わされ、ローラ221が回転するとガス投入ユニット13の下方で移動するベルトである。捕捉装置21は、本質的に粘着性を有するものであってもよいし、本質的には粘着性を有しないものであってもよい。一部の実施形態において、捕捉装置21は、1つのローラ221から別のローラ221に延び、ローラ221が回転する時にガス投入ユニット13の下方で移動するテープ(剥離紙を有するかまたは有しない)、ローラ221のそれぞれが部分的に浸される液体粘着性物質、または他の適切な要素であってもよい。粘着性物質供給装置23は、捕捉装置21が本質的に粘着性を有する場合に省略されることができる。駆動装置22の構造は、捕捉装置21の構造が変更された場合には変更され得る。
【0012】
この実施形態において、粘着性物質供給装置23は、捕捉装置21のガス投入ユニット13の開口131に面する面に粘着性物質を連続的または断続的に噴霧し、ガス容器12内の定位置に配置されている。一部の実施形態において、粘着性物質供給装置23は、捕捉装置21の表面と平行に往復または循環するように駆動することができ、または捕捉装置21の表面と平行する軸を中心に旋回するように駆動することができる。更に、粘着性物質供給装置23は、捕捉装置21の表面に粘着性物質を噴霧してもよいし、他の方法で捕捉装置21の表面に粘着性物質を供給してもよい。また、(a)汚染物質捕捉器具2に含まれる捕捉装置21の数は1つに限定されず、他の実施形態において、2つ、3つ、または3つを超えることができ、(b)汚染物質捕捉器具2に含まれる粘着性物質供給装置23の数は1つに限定されず、他の実施形態において、2つ、3つまたは3つを超えることができる。
【0013】
装置制御器具3は、空気品質検知器31(市場において空気品質モニタや空気品質検知システムとも呼ばれることがある)、制御器32及びドライバ33を含む。空気品質検知器31は、ガス容器12によって画定される浄化空間11に配置されており、且つ、浄化空間11における廃ガスの空気品質(例えば、廃ガス中の粒子状物質の濃度)を検知し、それによって検知された廃ガスの空気品質を示す空気品質信号を生成するように構成されている。制御器32は、空気品質検知器31、ドライバ33、ガス投入ユニット13、ガス排出ユニット14及び駆動装置22と通信可能に接続されており、空気品質検知器31から空気品質信号を受信するものである。ドライバ33は、ガス投入ユニット13に接続されている。制御器32は、空気品質信号が示す廃ガスの空気品質に基づいて、ガス投入ユニット13、ガス排出ユニット14、駆動装置22及びドライバ33の動作を制御するように構成されている。
【0014】
制御器32は、ガス投入ユニット13の動作状態(即ち開状態または閉状態にする)及びガス投入ユニット13内のガス流(ガス投入ユニット13内のガス流量と、ガス投入ユニット13がガス容器12に廃ガスを入れることを許容する作動時間の長さと、ガス投入ユニット13がガス容器12に廃ガスを入れることを許容しない休止時間の長さとを含む)を制御するように構成されている。作動時間の長さは60秒を超えない。休止時間の長さは30分を超えない。休止時間において、新たな廃ガスが浄化空間11に流入して浄化空間11に浮遊する粒子状物質を乱すことがなく、浄化空間11に浮遊する粒子状物質が捕捉装置21の表面に落下するために十分な時間があって、浄化効果を促進する。制御器32は、ガス排出ユニット14の動作状態(即ち開状態または閉状態にする)と、駆動装置22の動作速度(例えば、
図1に示すローラ211の回転速度)とを制御するように更に構成されている。制御器32は、ドライバ33を制御して、ガス投入ユニット13を移動するように駆動するよう更に構成されている。この実施形態において、ガス投入ユニット13は、捕捉装置21の表面までの距離が変化可能になるよう移動するように駆動される。ガス投入ユニット13は、捕捉装置21の表面と平行しない直線で往復してもよいし(例えば、
図1では捕捉装置21の表面に垂直な直線で往復)、捕捉装置21の表面と平行する平面上にない曲線で往復してもよく、捕捉装置21の表面と平行する平面上でなく循環してもよく、または、捕捉装置21の表面と垂直にならない軸を中心に旋回してもよい。ドライバ33は、この実施形態において、ガス容器12に配置されるモーター駆動スライドであるが、他の実施形態において、リニアアクチュエータ、空気圧シリンダまたは他の要素であってもよい。一部の実施形態において、制御器32は、粘着性物質供給装置23に更に通信可能に接続されてもよく、粘着性物質供給器具23の動作を更に制御してもよい。
【0015】
動作中、制御器32は、駆動装置22を制御して、捕捉装置21を連続的に移動するように駆動する。粘着性物質供給装置23は、捕捉装置21の表面における粘着性物質の粘着性を維持するように、捕捉装置2の表面に粘着性物質を噴霧する。制御器32は、ガス投入ユニット13及びガス排出ユニット14の動作状態を制御して、廃ガスを浄化空間11に導き、更に捕捉装置21の表面に向かわせる。捕捉装置21の表面の粘着性物質は、廃ガス中の粒子状物質を粘着して廃ガスを浄化する。空気品質検知器31は、浄化空間11内の廃ガスの空気品質を検知し、これにより検知された廃ガスの空気品質を示す空気品質信号を生成する。制御器32は、空気品質検知器31から空気品質信号を受信し、空気品質信号に基づいて、ガス投入ユニット13、ガス排出ユニット14、駆動装置22及びドライバ33の動作を制御する。空気品質信号によって示される廃ガスの空気品質が第1の所定レベルよりも悪いと判断した場合、制御器32は、ガス投入ユニット13の作動時間の長さを短くし、ガス投入ユニット13におけるガス流量を少なくし、ガス投入ユニット13を直ちに閉じるように制御し、ガス投入ユニット13を捕捉装置21の表面に近づくよう駆動するようにドライバ33を制御し、または、駆動装置21の動作速度を上げるように(
図1に示されるローラ211の回転速度を上げるように)駆動装置21を制御しても良い。空気品質信号によって示される廃棄ガスの空気品質が第1の所定レベルによって示される空気品質よりも良好な第2の所定レベルより良好であると判断した場合、制御器32は、ガス投入ユニット13の作動時間の長さを延長し、ガス投入ユニット13内のガス流量を増加し、ガス投入ユニット13を捕捉装置21の表面から離れるよう駆動するようにドライバ33を制御し、駆動装置21の動作速度が下がるように(
図1に示されるローラ211の回転速度を下げるように)駆動装置21を制御し、または、駆動装置21の動作を直ちに停止するように(
図1に示されるローラ211の回転が止まるように)制御しても良い。このように、捕捉装置21の使用による廃棄物を過剰に発生させることなく、廃ガス中の粒子状物質を効果的に捕捉することができる。空気品質信号によって示される廃ガスの空気品質が排出基準に適合していると判断した場合、制御器32は、浄化された廃ガスをガス容器12から排出するためにガス排出ユニット14を開状態にするように制御する。
【0016】
一部の実施形態において、制御器32は、廃ガスがガス容器12に最初に入った時の空気品質と、廃ガスがガス容器12から排出される時の空気品質とに基づいて、汚染物質捕捉器具2による浄化前後の廃ガスの大気汚染指数を生成し、これらの大気汚染指数を示す大気汚染指数(API)信号を出力してもよい。装置制御器具3は、制御器32と通信可能に接続されてAPI信号を受信し、API信号に従って浄化前と浄化後の廃ガスの大気汚染指数を表示するディスプレイ(図示せず)を更に含むことができ、それにより、ユーザが廃ガスの空気品質の改善を知るようにすることができる。
【0017】
図3を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第2の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、廃ガス浄化システムが環境パラメータ制御器具4を更に含む点で、第1の実施形態と相違する。環境パラメータ制御器具4は、温度制御装置41と、湿度制御装置42とを含む。温度制御装置41は、廃ガスがガス投入ユニット13を介してガス容器12に入る前に、廃ガスが所定の温度を有するように調整するために配置されており、且つ、ガス投入ユニット13の側壁に向けて風を吹き付けてガス投入ユニット13内の廃ガスの温度を下げるファン、ガス投入ユニット13の側壁に向けて冷風または温風を吹き付ける空調器具、または、ガス投入ユニット13の側壁に埋め込まれる電熱管などとして実現することができる。湿度調整装置42は、廃ガスがガス投入ユニット13を介してガス容器12に入る前に、廃ガスが所定の湿度を有するように調整するために配置されており、除湿機や加湿機として実現することができる。廃ガスの温度及び湿度を調整することにより、捕捉装置21の表面における粘着性物質の粘着性を最適化し、廃ガス中の粒子状物質を粘着させる汚染物質捕捉器具2の浄化効率を向上させることができる。第2の実施形態の一部の変形例において、環境パラメータ制御器具4は、温度制御装置41及び湿度制御装置42のうちの一方のみを用いてもよいし、環境パラメータを調整できる他の器具を更に含んでもよい。環境パラメータ制御用装置の位置関係や構造は当業者に知られているはずなので、本明細書では簡潔にするためにその詳細を省略する。
【0018】
図4を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第3の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、ガス投入ユニット13がドライバ33により駆動されて、捕捉装置21の表面におけるガス投入ユニット13の投影位置が変化可能になるよう移動する点で、第1の実施形態と相違する。ガス投入ユニット13は、捕捉装置21の表面に対して垂直にならない直線(例えば、
図4に示すように捕捉装置21の表面と平行する)、または曲線で移動することができる。一部の実施形態において、ガス投入ユニット13は、ガス投入ユニット13から捕捉装置21の表面までの距離及び捕捉装置21の表面におけるガス投入ユニット13の投影位置の両方が変化可能になるよう移動するように駆動されることができる。
【0019】
図5を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第4の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、ガス投入ユニット13がドライバ33により駆動されて、捕捉装置21の表面に対するガス投入ユニット13の角度が変化可能になるよう移動する点で、第1の実施形態と相違する。ドライバ33は、ガス投入ユニット13を捕捉装置21の表面に垂直にならない軸(例えば、
図5に示すように捕捉装置21の表面と平行する)を中心に回動させるシャフトとして実現することができる。一部の実施形態において、ガス投入ユニット13は、捕捉装置21の表面に対するガス投入ユニット13の角度が変化可能に、且つ、ガス投入ユニット13から捕捉装置21の表面までの距離または捕捉装置21の表面におけるガス投入ユニット13の投影位置の少なくとも一方が変化可能になるよう、移動するように駆動されることができる。
【0020】
図6を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第5の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、ガス投入ユニット13に、捕捉装置21の表面に面する複数の開口131が形成されていることにより、捕捉装置21の表面における粘着性物質が廃ガスに暴露される領域の数(ひいては、全体の面積)が増え、浄化効率が向上する点で、第1の実施形態と相違する。
【0021】
図7を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第6の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、ガス流量制御器具1が複数のガス投入ユニット13を含み、ガス投入ユニット13のそれぞれの開口131が全て捕捉器具21の表面に面しており、捕捉装置21の表面における粘着性物質が廃ガスに暴露される領域の数(ひいては、全体の面積)が増え、浄化効率が向上するという点で、第1の実施形態と相違する。第6の実施形態の一部の変形例において、各ガス投入ユニット13には、複数の開口131が形成されていてもよい。
【0022】
図8を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第7の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、ガス流量制御器具1が反射体16を更に含む点、及び粘着性物質供給装置23が駆動されて移動する点、及び汚染物質捕捉器具2の構造における点で、第1の実施形態と相違する。第7の実施形態において、汚染物質捕捉器具2は、
図1に示されるような駆動装置22を含んでいない。捕捉装置21は、ガス投入ユニット13の下方の一定位置に配置され、必要に応じて新しいものと交換可能なバンドである。捕捉器具21は、この実施形態において本質的には粘着性を有しないものであるが、他の実施形態において本質的に粘着性を有するものであってもよい。粘着性物質供給装置23は、ガス投入ユニット13の開口131に面する捕捉装置21の表面と平行に往復運動または循環運動して、捕捉装置21の表面の全体に粘着性物質を噴霧する。反射体16は、ガス投入ユニット13に取り付けられ、ガス投入ユニット13の開口131の上方で、ガス投入ユニット13から半径方向外向きに延びるので、捕捉装置21の表面から跳ね上がった廃ガス中の粒子状物質が反射体16によって戻されることになり、これにより、廃ガス中の粒子状物質が捕捉器具21の表面から離れて浄化空間11に浮遊する時間が短くなり、廃ガス中の粒子状物質が捕捉器具21の表面の粘着性物質に捕捉(粘着)される可能性が高くなる。反射体16の面積を大きくすることで、廃ガス中の粒子状物質が捕捉装置21の表面の粘着性物質によって捕捉される可能性を更に高めることができる。なお、ガス流量制御器具1に含まれる反射体16の数は1つに限定されず、他の実施形態において、2つ、3つ、または3つより多くてもよい。第7の実施形態の一部の変形例において、汚染物質捕捉器具2は、
図1に示されるような第1の実施形態と同一の構造を有してもよく、他の構造を有してもよい。
【0023】
図9を参照すると、本開示による廃ガス浄化器具の第8の実施形態は、第7の実施形態と同様であるが、反射体16が、廃ガス中の粒子状物質を粘着させる粘着性物質が分布した表面161を有することにより、廃ガス中の粒子状物質が捕捉される可能性が高くなる点で、第7の実施形態と相違する。
【0024】
図10を参照すると、本開示による廃ガス浄化システムの第9の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、汚染物質捕捉器具2の構造及びガス投入ユニット13の移動方法が第1の実施形態と相違する。第9の実施形態において、駆動装置22は、ローラ221に這わされ、ローラ221が回転する際にガス投入ユニット13の下方で移動する伝動ベルト222を更に含む。汚染物質捕捉器具2は、伝動ベルト222に順次供給され、ローラ221が回転すると伝達ベルト222と共に移動してガス投入ユニット13の下を順次通る複数の捕捉装置21を含む。各捕捉装置21は、表面に廃ガス中の粒子状物質を粘着させるための粘着性物質が分布したプレートである。捕捉装置21は、この実施形態において本質的に粘着性を有するものであり、その場合は粘着性物質供給装置23を省略することができるが、他の実施形態では本質的には粘着性を有しないものであってもよく、その場合は粘着性物質供給装置23が必要となる。捕捉装置21が本質的に粘着性を有するものであって粘着性物質供給装置23を省略しない場合、粘着性物質供給装置23は、捕捉装置2の表面に粘着性物質を供給し、捕捉装置21の表面における粘着性物質の粘着性を維持するようにする。ガス投入ユニット13により、ガス容器12に廃ガスを断続的に入れ、捕捉装置21の表面が廃ガスに1つずつ暴露される。ドライバ33は、伝動ベルト222の表面におけるガス投入ユニット13の投影位置が変化可能になるようガス投入ユニット13を移動するよう駆動するように構成されており、
図10に示されるように、モーター駆動スライドであってもよい。廃ガス浄化システムは、捕捉装置21を伝動ベルト222に順次供給するための供給器具(図示せず)と、廃ガス中の粒子状物質で汚れた(即ち、廃ガス中の粒子状物質が粘着した)捕捉装置21を伝動ベルト222から順次受け取るための受取器具(図示せず)とを更に含み得る。なお、供給器具及び受取器具は当業者に公知であるはずなので、本明細書においては簡潔にするためにその詳細を省略する。
【0025】
以上の内容によれば、各前記実施形態において、ガス投入ユニット(複数可)13が断続的にガス容器12に廃ガスを入れることができるように構成されているので、ガス投入ユニット(複数可)13の作動時間及び休止時間の長さを適切に決定することにより、廃ガスを効果的に浄化することができる。
【0026】
上記においては、説明のため、実施形態の完全な理解を促すべく多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。また、本明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」を示す説明において、序数などの表示を伴う説明は全て、特定の態様、構造、特徴を有する本開示の具体的な実施に含まれ得るものであることと理解されたい。更に、本説明において、時には複数の変化例が一つの実施形態、図面、またはこれらの説明に組み込まれているが、これは本説明を合理化させるためのもので、また、本開示の多面性が理解されることを目的としたものであり、また、一実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例は、適切な場合には、本開示の実施において、他の実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例と共に実施され得る。
【0027】
本開示は、例示的な実施形態と考えられるものに関連して説明されてきたが、本開示は、開示された実施形態に限定されるものではなく、そのような修正及び同等の配置をすべて包含するように最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な配置を対象とすることが意図されていることが理解される。
【符号の説明】
【0028】
1 ガス流量制御器具
11 浄化空間
12 ガス容器
13 ガス投入ユニット
131 開口
14 ガス排出ユニット
15 換気扇
16 反射体
161 表面
2 汚染物質捕捉器具
21 捕捉装置
22 駆動装置
221 ローラ
222 伝動ベルト
23 粘着性物質供給装置
3 装置制御器具
31 空気品質検知器
32 制御器
33 ドライバ
4 環境パラメータ制御器具
41 温度制御装置
42 湿度制御装置
【国際調査報告】