(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】改良された特性を有する二成分ポリウレタン構造接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20231219BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20231219BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231219BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231219BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20231219BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C09J175/04
C08G18/08 038
C09J11/08
C09J11/06
C09J11/04
C09J175/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536010
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 FR2021052223
(87)【国際公開番号】W WO2022129731
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サンス, フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー-セラック, サイダ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DG04
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB08
4J034HC03
4J034MA11
4J034MA24
4J034QB10
4J034QB13
4J034QB14
4J034QC10
4J034RA08
4J040EF051
4J040EF062
4J040EF131
4J040EF282
4J040HA116
4J040HA346
4J040HA356
4J040HB15
4J040HB30
4J040HB33
4J040HB34
4J040HD13
4J040HD43
4J040JA13
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA25
4J040KA31
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA02
4J040NA15
4J040NA16
4J040NA19
(57)【要約】
1)以下を特徴とするPU2K構造接着剤組成物:
-その-NCO成分及びその硬化剤成分はそれぞれ、特にフタル酸アルキル及びペンタエリスリトールテトラバレレートから選択される可塑剤からなる連続相中に懸濁した、第一級脂肪族アミンとジイソシアネートとの反応によって得られたビス尿素を含むチキソトロピー組成物(A)を0.1%~40%(重量基準)で含む;及び
-その-NCO成分及びその硬化剤成分のうちの少なくとも1つの成分は、5%~40%(重量基準)のアルミナを含む。
2)建築の分野、輸送手段の製造の分野、好ましくは自動車、鉄道及び航空宇宙産業の分野、並びに造船の分野における構造接着剤としての仕様。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-NCO成分及び硬化剤成分からなる二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)であって、
-NCO成分及び硬化剤成分はそれぞれ、対応する成分の総重量に基づいて、0.1%~40%(重量基準)のチキソトロピー組成物(A)を含み、チキソトロピー組成物(A)は、その総重量に基づいて、
第一級脂肪族アミン(a1)と500g/mol未満のモル質量を有するジイソシアネート(a2)との反応によって得られる1%~40%(重量基準)のビス尿素(a)と、
以下:
フタル酸アルキル、
ペンタエリスリトールテトラバレレート、
アルキルスルホン酸とフェノールとのエステル、
ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、
3,3’-[メチレンビス(オキシメチレン)]ビス[ヘプタン]、及び
ジオクチルカーボネート
から選択される60%~99%(重量基準)の可塑剤(b)とを含み、
前記チキソトロピー組成物(A)は、可塑剤(b)からなる連続相中のビス尿素(a)の固体粒子の懸濁液の形態で提供され、
-NCO成分及び硬化剤成分のうちの少なくとも1つの成分は、前記成分の総重量に基づいて、5%~40%(重量基準)のアルミナ(B)を含むことを特徴とする、二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)。
【請求項2】
-NCO成分が、ジイソシアネート、トリイソシアネート及びそれらの混合物から選択されるポリイソシアネートを含むことを特徴とする、請求項1に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項3】
トリイソシアネートが、ジイソシアネートイソシアヌレート、ジイソシアネート及びトリオールの付加物、及びビウレットから選択されることを特徴とする、請求項2に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項4】
-NCO成分に含まれるトリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレットであることを特徴とする、請求項3に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項5】
硬化剤成分がポリオール又はポリオールの混合物を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項6】
ポリオールが、ヒドロキシル機能性が2~4の範囲であるポリエーテルポリオールであることを特徴とする、請求項5に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項7】
硬化剤成分が、
-以下のような、厳密に500g/mol未満の数平均分子量をそれぞれ有する少なくとも2つのポリエーテルポリオールP1と、
-少なくとも1つのポリエーテルポリオールP1は、少なくとも3つのヒドロキシル官能基、好ましくは少なくとも4つのヒドロキシル官能基を含む;及び
-少なくとも1つのポリエーテルポリオールP1は、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を含む;
-厳密に1000g/molを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールP2とを含むことを特徴とする、請求項6に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項8】
チキソトロピー組成物(A)が、1~22個の炭素原子を含むn-アルキルアミン(a1)と、式(II):
NCO-R
6-NCO (II)
[式中、R
6は、以下の二価ラジカルの1つから選択され、以下のその式は2つの遊離原子価を示す:
-a)イソホロンから誘導される二価ラジカル;
-b)二価ラジカル4,4’-メチレンビス(シクロヘキシル);
-c)それぞれ以下の式のトルエン-2,4-ジイソシアネート(又は2,4-TDI)又はトルエン-2,6-ジイソシアネート(又は2,6-TDI)から誘導される二価ラジカル:
-d)以下の式のジフェニルメチレン-4,2’-ジイソシアネート(又は4,2’-MDI)又はジフェニルメチレン-4,4’-ジイソシアネート(又は4,4’-MDI)から誘導される二価ラジカル:
-e)
-(CH
2)
6-(又はヘキサメチレンラジカル);
-f)
(又はm-キシリレンラジカル);
-g)
(又はヘキサヒドロ-m-キシリレンラジカル)]
のジイソシアネート(a2)との反応によってビス尿素(a)が得られるようなものであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項9】
チキソトロピー組成物(A)が、可塑剤(b)がフタル酸ジイソデシルであるようなものであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項10】
チキソトロピー組成物(A)が、10%~30%(重量基準)のビス尿素(a)及び70%~90%(重量基準)の可塑剤(b)を含み、好ましくはこれらからなることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項11】
-NCO成分及び硬化剤成分がそれぞれ、対応する成分の総重量に基づいて0.5%~35%(重量基準)、より優先的には2%~15%(重量基準)のチキソトロピー組成物(A)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項12】
アルミナ(B)が、硬化剤成分中に、より好ましくは前記成分の総重量に基づいて10%~35%(重量基準)の含有量で含まれることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項13】
-NCO及び硬化剤成分がそれぞれ、鉱物充填剤、有機充填剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの充填剤を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物。
【請求項14】
建築の分野、輸送手段の製造の分野、好ましくは自動車、鉄道及び航空宇宙産業の分野、並びに造船の分野における構造接着剤としての、請求項1~13のいずれか一項に記載のPU2K構造接着剤組成物の使用。
【請求項15】
接着結合によって2つの基材を組み立てるための方法であって、
-請求項1~13のいずれか一項に記載される-NCO成分と硬化剤成分とを混合することによって得られる接着剤組成物の、組み立てられる2つの基材の少なくとも一方へのコーティング;次いで
-2つの基材を実際に接触させること、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、たるみ及び放熱に関する改善された特性を示す二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)である。本発明はまた、硬化性組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
構造接着剤は、最も多様な基材(例えば、金属基材)の接着結合による組み立て品の製造についてよく知られており、これは、機械的手段、例えばねじ止め又は溶接によって得られる組み立て品と同程度の応力に耐えることができる。そのような組み立て品において2つの基材を結合させる接着シールは、例えば7MPa超、好ましくは20MPa超の非常に高い機械的引張応力に耐えるのを可能にする。
【0003】
接着剤シールのこのような機械的性能品質は、二成分ポリウレタン構造接着剤組成物によって得ることができる。
【0004】
後者の組成物は、以下の2つの組成物(又は成分)の形態で提供される:
-一方は、イソシアネート-NCO末端基を有する化学的実体を含有する(-NCO成分として知られる)、及び
-他方は、NCO基と反応する基を有する、例えばヒドロキシル又はアミノ末端基を有する化学的実体を含む(硬化剤成分として知られる)。
【0005】
これらの2つの成分は、それらの使用のために、デュアルカートリッジの2つの区画に別々に包装されることが多い。したがって、接着剤組成物の分注は、組み立てられる基材への塗布時に、例えばデュアルカートリッジガンを使用して2つの成分を押出し、例えば静的ミキサをデュアルカートリッジに取り付けることによってそれらの均一な混合物を得ることによって行われる。2つの成分の混合から生じる、-NCO反応性基と例えば-OH基との反応(架橋反応として知られている)は、固体三次元ポリマーネットワークを形成する効果を有し、これは、組み立てられる基材間に形成された接着シールに所望の機械的特性を付与する。
【0006】
二成分ポリウレタン構造接着剤組成物に要求される実施特性の中には、そのたるみ防止挙動に関して、実際に非常に重要なものがある。
【0007】
これは、-NCO成分と硬化剤成分との混合から直接生じる接着剤が、直径が最大2cmの範囲であり得るビーズの形態で、第1の基材の第1の明確に画定された表面上に(オペレータによって手動で、又は自動装置によって)堆積されるためである。このように接着剤で処理されたこの表面は、その後、接着剤の開放時間に応じて変化し得る一定期間後に、第2の基材の第2の明確に画定された表面と接触する。
【0008】
しかしながら、接着剤の架橋が完了していないにもかかわらず、接着剤のビーズが最初に堆積される第1の表面、又はそれらが接触した直後の両方の基材が非水平位置、特に垂直位置にあることが起こり得る。これは、まだ架橋されていない接着剤のビーズを重力に曝し、その結果、前記力から生じる応力の作用下で、変形又はクリープ又はさらには、たるみ(「スランプ」とも呼ばれる)のリスクに曝す効果を有する。
【0009】
このようなビーズの形状の変化は、本明細書の残りの部分では「たるみ」という一般用語で指定されている。したがって、結果として、2つの基材間の架橋中の接着剤の厚さに変動があり、したがって、完全な架橋後に得られる最終組み立て品において2つの基材をしっかりと接着する接着剤シールの不均一性、特に寸法不均一性があり得る。
【0010】
接着剤シールのこの不均一性は、特に、構造接着剤に予想される非常に高い機械的応力に耐えなければならない接着剤シールの機械的特性に影響を及ぼしやすい。
【0011】
したがって、その使用条件下で、二成分ポリウレタン構造接着剤組成物のたるみを制限し、さらにはそれを排除することが特に望ましい。
【0012】
Bostikの出願FR 3063915は、連続相としての特定の可塑剤中の、芳香族ジイソシアネートと脂肪族アミンとの反応によって得られたジウレアの固体粒子の懸濁液の形態のジウレアからなる、たるみ防止剤を記載している。この特許出願はまた、前記薬剤の5%~25%(重量基準)を含む-NCO末端基を有するポリウレタンプレポリマーに基づく一成分マスチック接着剤組成物を記載している。しかしながら、前記組成物を大気中の水分で架橋することによって得られる接着剤シールの引張強度特性は、構造接着剤に加えられる可能性のある応力、例えば7MPaを超える機械的引張応力に対する耐性には適していない。さらに、一成分ポリウレタン接着剤の架橋速度は、一般にPU2Kの架橋速度よりもはるかに遅い。
【0013】
BostikのFR 3079840は、特定の二成分ポリウレタン構造接着剤組成物を記載しており、その-NCO成分は、ユーザの取り扱い及び健康にとって潜在的に危険なジイソシアネートモノマーの重量含有量が0.1%以下である。この組成物の-NCO成分及び硬化剤成分はそれぞれ、微粉化アミドワックスからなるレオロジー剤を含む。
【0014】
しかしながら、使用中のたるみを制限又はさらには排除することを可能にしながら、実際には重要である架橋接着剤シールに関する他の改善された特性を示す他の二成分ポリウレタン構造接着剤組成物を提供することが依然として非常に望ましい。
【0015】
そのため、PU2Kタイプの構造接着剤は、輸送分野において、例えば、電気自動車やハイブリッド車向けの電池の部品を組み立てるため、又は熱機関近傍の金属部品を組み立てるためにも、ますます使用されるようになっている。したがって、再充電が温度の上昇を伴う電池に関しては、特定の電子回路を劣化させる可能性がある、又は電池の寿命を短縮する可能性もある前記上昇を可能な限り制限することが重要である。これを行うために、前記電池の構成要素の放熱、特に前記要素を組み立てるために使用される接着シールの熱放散の任意の改善が重要である。
【0016】
その結果、関連する組み立て品に含まれる接着シールの放熱を改善する必要性が存在する。
【0017】
したがって、本発明の目的は、以下の2つの問題を解決することを可能にする二成分ポリウレタン構造接着剤組成物を提供することである:
-硬化剤成分と-NCO成分の反応によって得られる接着シールの放熱の改善、及び
-組み立てられる基材の表面への塗布中のたるみに対する耐性。
【0018】
本発明の別の目的は、2つの成分間の架橋反応後に、10MPa超、好ましくは20MPa超の引張破断応力を示す接着シールを形成することができる二成分ポリウレタン構造接着剤組成物を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、デュアルカートリッジガン及び静的ミキサなどの塗布装置による接着剤の押出に適したレオロジー挙動を示す二成分ポリウレタン構造接着剤組成物を提供することである。
【0020】
ここで、これらの目的は、以下に記載される二成分ポリウレタン構造接着剤組成物によって、全部又は一部が達成され得ることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0021】
したがって、本発明の主題は第1に、-NCO成分及び硬化剤成分からなる二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)であって、
-NCO成分及び硬化剤成分はそれぞれ、対応する成分の総重量に基づいて、0.1%~40%(重量基準)のチキソトロピー組成物(A)を含み、チキソトロピー組成物(A)は、その総重量に基づいて、
-第一級脂肪族アミン(a1)と500g/mol未満のモル質量を有するジイソシアネート(a2)との反応によって得られる1%~40%(重量基準)のビス尿素(a)と、
-以下:
-フタル酸アルキル、
-ペンタエリスリトールテトラバレレート、
-アルキルスルホン酸とフェノールとのエステル、
-ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、
-3,3’-[メチレンビス(オキシメチレン)]ビス[ヘプタン]、及び
-ジオクチルカーボネート
から選択される60%~99%(重量基準)の可塑剤(b)とを含み、
前記チキソトロピー組成物(A)は、可塑剤(b)からなる連続相中のビス尿素(a)の固体粒子の懸濁液(又は分散体)の形態で提供され、
-NCO成分及び硬化剤成分のうちの少なくとも1つの成分は、前記成分の総重量に基づいて、5%~40%(重量基準)のアルミナ(B)を含むことを特徴とする、二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)である。
【0022】
本出願人の会社によって実施された試験により、-NCO及び硬化剤成分のそれぞれにチキソトロピー組成物(A)を組み込むことにより、アルミナ(B)の存在と相まって、少なくとも1つが非水平位置、特に垂直位置にある基材の組み立て品の調製中のPU2K構造接着剤組成物のたるみの望ましくない効果を制限すること、実際にはさらには排除することが可能になることが見出された。そのような効果は、接着剤シールの粘着性及び構造接着剤に予想されるレベルの非常に高い応力に耐えるその能力を低下させることなく、さらに、改善された放熱に対応して、熱伝導率(又は導電率)の増加を提供しながら、さらに得られる。
【0023】
そのようなPU2K構造接着剤はまた、静的ミキサを装備したデュアルカートリッジ(その中にパッケージされている)に適した標準的なガンを使用して押出される能力を保持し、したがって、例えば電気自動車又はハイブリッド車用に設計された電池の製造を目的とした金属部品の組み立て品のための接着シールの放熱を改善する必要がある輸送分野などのすべての産業分野において、実際には全体的に非常に有利な製品となる。
【0024】
-NCO成分:
-NCO成分は、イソシアネート末端基を有する1つ又は複数の化学的実体を含有する。
【0025】
一実施形態によれば、-NCO成分は、脂肪族(直鎖状、分岐状又は環状)又は芳香族であり得、置換されていてもよい(1つ又は複数の)ポリイソシアネートを含む。
【0026】
好ましくは、-NCO成分に含まれるポリイソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアネート及びそれらの混合物から選択される。
【0027】
好ましい一実施形態によれば、ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-HMDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン(MPDI)、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン(TMDI)、4-(イソシアナトメチル)オクタン-1,8-ジイソシアネート(TIN)、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,5-NBDI)、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,6-NBDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6-XDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6-XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)(特にm-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、トルエンジイソシアネート(特にトルエン-2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)及び/又はトルエン-2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI))、ジフェニルメタンジイソシアネート(特にジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI)及び/又はジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(2,4’-MDI))、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(特にテトラメチル-メタキシリレンジイソシアネート)、例えば以下の式(Y1)及び(Y2)を有するHDI又はPDIアロファネート:
[式中、
-iは1~2の範囲の整数であり、
-jは、0~9、好ましくは2~5の範囲の整数であり、
-Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子、より優先的には6~14個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、環式又は非環式及び直鎖又は分岐炭化水素鎖を表し、
-R
3は、2~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の二価アルキレン基、好ましくは二価プロピレン基を表す]、
及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
MDIは、4,4’-MDI及び/又は2,4’-MDIなどの異性体又は異性体の混合物の形態であり得る。
【0029】
TDIは、2,4’-TDI及び/又は2,6’-TDIなどの異性体又は異性体の混合物の形態であり得る。
【0030】
使用することができるジイソシアネートは、広く市販されている。例として、95%程度の純度を有する2,4-TDIに対応する、Vencorexによって販売されているScuranate(登録商標)TX、99%(重量基準)を超える純度を有する2,4-TDIに対応する、Vencorexによって販売されているScuranate(登録商標)T100、IPDIに対応する、Covestroによって販売されているDesmodur(登録商標)I、又は少なくとも97%の4,4’-MDIを含有するMDIに対応する、Dowによって販売されているIsonate(登録商標)M125を挙げることができる。
【0031】
別の実施形態によれば、-NCO成分に含まれるトリイソシアネートは、ジイソシアネートイソシアヌレート、ジイソシアネート及びトリオールの付加物、並びにビウレットから選択することができる。
【0032】
特に、イソシアヌレートは、イソシアヌレートの70%(重量基準)以上の純度を有する(ポリ)イソシアヌレートの技術的混合物の形態で使用することができる。
【0033】
本発明に従って使用することができるジイソシアネートイソシアヌレートは、以下の一般式(W)に対応することができる。
[式中、R
2は、4~9個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖、環状、脂肪族、アリール脂肪族又は芳香族アルキレン基を表し、
ただし、NCO基は、フェニル基などの芳香族炭化水素環の一部を形成する炭素原子に共有結合によって連結されていないことを条件とする]。
【0034】
本発明に従って使用することができるジイソシアネートイソシアヌレートの例として、以下のものを挙げることができる。
-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)イソシアヌレート:
-イソホロンジイソシアネート(IPDI)イソシアヌレート:
-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)イソシアヌレート:
-メタキシリレンジイソシアネート(m-XDI)イソシアヌレート:
-水素化形態のm-XDIイソシアヌレート:
【0035】
ジイソシアネートイソシアヌレートは市販もされている。例えば、HDIイソシアヌレートは、Desmodur(登録商標)N3300、N3600及びN3790BAの名称でBayerによって、又はTolonate(登録商標)HDT、HDT-LV及びHDT-LV2の名称でVencorexによって販売されている。
【0036】
ジイソシアネート及びトリオールの付加物は、好ましくは芳香族又は脂肪族ジイソシアネートモノマー及びそれらの混合物、より優先的には脂肪族ジイソシアネートモノマーから選択されるジイソシアネートから調製することができる。ジイソシアネートモノマーは、純粋な異性体の形態又は異性体の混合物の形態であり得る。
【0037】
ジイソシアネートとトリオールとの付加物を調製するために使用することができるトリオールとして、例えば、グリセロール、トリメチロールメタン(TMM)、トリメチロールエタン(TME)及びトリメチロールプロパン(TMP)が挙げられ得る。好ましくは、TMPが使用される。
【0038】
以下に示すように、本発明に従って使用することができるジイソシアネート及びトリオールの付加物の例として、メタキシリレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンの付加物が挙げられ得る。この付加物は、例えば三井化学からTakenate(登録商標)D-110Nの名称で販売されている。
【0039】
本発明に従って使用することができるビウレットは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、メタキシリレンジイソシアネート(m-XDI)又は水素化メタキシリレンジイソシアネート(m-HXDI)のモノマー、オリゴマー又はポリマービウレットである。
【0040】
HDIビウレットの例として、以下の式の製品を挙げることができる:
【0041】
HDIビウレットは、例えば、BayerによってDesmodur(登録商標)N100及びN3200の名称で、又はVencorexによってTolonate(登録商標)HDB及びHDB-LVの名称で販売されている。
【0042】
本発明の非常に特に好ましい代替形態によれば、PU2K構造接着剤組成物の-NCO成分に含まれるトリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)ビウレットである。
【0043】
硬化剤成分:
硬化剤成分は、イソシアネート-NCO基と反応する基を有する、例えばヒドロキシル若しくはアミノ末端基を有する少なくとも1つの化学的実体又はそのような実体の混合物を含む。
【0044】
第1の好ましい実施形態によれば、硬化剤成分は、ポリオール又はポリオールの混合物を含む。
【0045】
使用することができるポリオールは、60g/mol~22000g/mol、好ましくは600g/mol~18000g/mol、好ましくは1000g/mol~12000g/mol、好ましくは1000~8000g/mol、より優先的にはさらに1000g/mol~4000g/molの範囲の数平均モル質量又は分子量(Mn)を有するものから選択することができる。
【0046】
ポリオールの数平均分子量は、mg KOH/gで表されるヒドロキシル価(OHN)から、及びポリオールの機能性から計算することができ、又は当業者に周知の方法、例えばPEG(ポリエチレングリコール)標準を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(又はSEC)によって決定することができる。
【0047】
ポリオールは、2~6、好ましくは2~4、さらに優先的には2~3の範囲のヒドロキシル機能性を有することができる。本発明の文脈において、特に言及しない限り、ポリオールのヒドロキシル機能性は、ポリオール1モル当たりのヒドロキシル機能の平均数である。
【0048】
使用することができるポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオール、-OH末端基を有するプレポリマー及びそれらの混合物から選択することができる。
【0049】
使用することができるポリオールは、脂肪族ポリオール、アリール脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール、カーボネートポリオール及びこれらの化合物の混合物から選択することもできる。
【0050】
本発明によれば、ポリエステルポリオールは、500g/mol~22000g/mol、好ましくは700g/mol~10000g/mol、より優先的にはさらに900~6000g/molの範囲の数平均分子量を有することができる。
【0051】
ポリエステルポリオールの中でも、例えば、以下のものが挙げられ得る。
-天然起源のポリエステルポリオール、例えばヒマシ油;
-縮合から生じるポリエステルポリオール:
-1つ又は複数の脂肪族(直鎖状、分岐状又は環状)又は芳香族ポリオール、例えば、エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ブテンジオール、シクロヘキサンジメタノール、スクロース、グルコース、ソルビトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン及びそれらの混合物など、
-1つ又は複数のポリカルボン酸又はそのエステル若しくは無水物誘導体、例えば1,6-ヘキサン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、1,18-オクタデカン二酸、フタル酸、コハク酸及びこれらの酸の混合物、不飽和無水物、例えばマレイン酸若しくはフタル酸無水物、又はラクトン、例えばカプロラクトン。
【0052】
上記のポリエステルポリオールは、従来の方法で調製することができ、大部分は市販のものである。
【0053】
ポリエステルポリオールの中で、例えば、ヒドロキシル機能性が2に等しい以下の製品が挙げられ得る。
-約2000g/molの数平均分子量及び約50℃の融点を有するポリカプロラクトンである、Tone(登録商標)0240(Union Carbideによって販売)、
-約3500g/molの数平均分子量を有し、約65℃の融点を有するDynacoll(登録商標)7381(Evonikによって販売)、
-アジピン酸とヘキサンジオールの縮合から生じ、約3500g/molの数平均分子量及び約55℃の融点を有する、Dynacoll(登録商標)7360(Evonikによって販売)。
-約3500g/molの数平均分子量を有し、約85℃の融点を有するDynacoll(登録商標)7330(Evonikによって販売)、
-Dynacoll(登録商標)7363(Evonikによって販売)、これもアジピン酸とヘキサンジオールの縮合から生じ、約5500g/molの数平均分子量及び約57℃の融点を有する。
-Dynacoll(登録商標)7250(Evonikによって販売):23℃で180Pa.sの粘度、5500g/molに等しい数平均分子量Mn及び-50℃に等しいTgを有するポリエステルポリオール、
-Kuraray(登録商標)P-6010(Kurarayによって販売):23℃で68Pa.sの粘度、6000g/molに等しい数平均分子量及び-64℃に等しいTgを有するポリエステルポリオール、
-Kuraray(登録商標)P-10010(Kurarayによって販売):23℃で687Pa.sの粘度及び10000g/molに等しい数平均分子量を有するポリエステルポリオール。
【0054】
好ましい実施形態によれば、ポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトン;ヒマシ油;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸及び/又はフタル酸の様々な異性体との縮合から得られるポリエステルポリオール;及びそれらの混合物から選択される。
【0055】
好ましい実施形態によれば、本発明によるPU2K構造接着剤組成物の硬化剤成分に含まれるポリオール(又はポリオールの混合物)は、ポリエーテルポリオール(又はポリエーテルポリオールの混合物)である。本発明によれば、ポリエーテルポリオールは、200g/mol~22000g/mol、好ましくは600g/mol~18000g/mol、好ましくは1000g/mol~12000g/mol、より優先的にはさらに1000~4000g/molの範囲の数平均分子量を有することができる。
【0056】
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、2~4、より好ましくはさらに2~3の範囲のヒドロキシル機能性を有する。
【0057】
本発明に従って使用することができるポリエーテルポリオールは、好ましくはポリオキシアルキレンポリオールから選択され、その直鎖又は分枝鎖のアルキレン部分は1~4個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を含む。
【0058】
より優先的には、本発明に従って使用することができるポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、より好ましくはポリオキシアルキレンジオールから選択され、その直鎖又は分岐アルキレン部分は1~4個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を含む。
【0059】
本発明に従って使用することができるポリオキシアルキレンジオール又はトリオールの例として、例えば、以下のものを挙げることができる。
-400g/mol~22000g/molの範囲、好ましくは400g/mol~12000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンジオール又はトリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)ジオール又はトリオールとも呼ばれる)、
-400g/mol~22000g/molの範囲、好ましくは400g/mol~12000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシエチレンジオール又はトリオール(ポリエチレングリコール(PEG)ジオール又はトリオールとも呼ばれる)、
-200g/mol~12000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシブチレングリコール(ポリブチレングリコール(PBG)ジオール又はトリオールとも呼ばれる)、
-400g/mol~22000g/molの範囲、好ましくは400g/mol~12000g/molの範囲の数平均分子量を有するPPG/PEG/PBG共重合体又はターポリマージオール又はトリオール、
-250g/mol~12000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)ジオール又はトリオール、
-200g/mol~12000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(PTMG)、
-及びそれらの混合物。
【0060】
好ましくは、使用することができるポリエーテルポリオールは、ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールから選択される。上記のポリエーテルポリオールは、従来の方法で調製することができ、広く市販されている。それらは、例えば、複金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下での対応するアルキレンオキシドの重合によって得ることができる。
【0061】
ポリエーテルジオールの例として、CovestroによってAcclaim(登録商標)という名称で販売されているポリオキシプロピレンジオール、例えば、18 700g/mol付近の数平均分子量を有するAcclaim(登録商標)18200、11335g/mol付近の数平均分子量を有するAcclaim(登録商標)12200、8057g/mol付近の数平均分子量を有するAcclaim(登録商標)8200、及び4020g/mol付近の数平均分子量を有するAcclaim(登録商標)4200、又はDowによってVoranol P2000という名称で販売されている2004g/mol付近の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンジオールも挙げられ得る。
【0062】
ポリエーテルトリオールの例として、3554g/mol付近の数平均分子量を有する、DowによってVoranol CP3355の名称で販売されているポリオキシプロピレントリオールを挙げることができる。
【0063】
本発明に従って使用することができるポリジエンポリオールは、好ましくは、ヒドロキシル末端基を含むポリジエン、及びそれらの対応する水素化又はエポキシ化誘導体から選択することができる。
【0064】
好ましくは、本発明に従って使用することができるポリジエンポリオールは、場合により水素化又はエポキシ化されたヒドロキシル末端基を含むポリブタジエンから選択される。優先的には、本発明に従って使用することができるポリジエンポリオールは、場合により水素化又はエポキシ化された、ヒドロキシル末端基を含むブタジエンホモ重合体及び共重合体から選択される。
【0065】
本発明の文脈において、特に言及しない限り、ポリジエンポリオールの「ヒドロキシル末端基」という用語は、ポリジエンポリオールの主鎖の末端に位置するヒドロキシル基を意味すると理解される。
【0066】
上記の水素化誘導体は、ヒドロキシル末端基を含むポリジエンの二重結合の完全又は部分水素化によって得ることができ、したがって飽和又は不飽和である。
【0067】
上記のエポキシ化誘導体は、ヒドロキシル末端基を含むポリジエンの主鎖の二重結合の化学選択的エポキシ化によって得ることができ、したがって、それらの主鎖に少なくとも1つのエポキシ基を含む。
【0068】
ポリブタジエンポリオールの例として、場合によりエポキシ化されているヒドロキシル末端基を含む飽和又は不飽和ブタジエンホモ重合体、例えば、Cray ValleyによりPoly bd(登録商標)又はKrasol(登録商標)の名称で販売されているものが挙げられ得る。
【0069】
ポリカーボネートジオールの例として、Novomerによって販売されているConverge Polyol 212-10及びConverge Polyol 212-20(1000及び2000g/molに等しい数平均分子量(Mn)をそれぞれ有し、そのヒドロキシル価はそれぞれ112及び56mg KOH/gである)、Covestroによって販売されているDesmophen(登録商標)C XP 2716(326g/molに等しい数平均分子量(Mn)を有し、そのヒドロキシル価は344mg KOH/gである)、並びにKurarayによって販売されているPolyol C-590、C-1090、C-2090及びC-3090(500~3000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)及び224~37mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する)を挙げることができる。
【0070】
本発明の非常に特に有利な代替形態によれば、-NCO成分について上述したものと好ましくは組み合わされて、二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)に含まれる硬化剤成分は、
-以下のような、厳密に500g/mol未満の数平均分子量をそれぞれ有する少なくとも2つのポリエーテルポリオールP1と、
-少なくとも1つのポリエーテルポリオールP1は、少なくとも3つのヒドロキシル官能基、好ましくは少なくとも4つのヒドロキシル官能基を含む;及び
-少なくとも1つのポリエーテルポリオールP1は、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を含む;
-厳密に1000g/molを超える数平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールP2とを含む。
【0071】
ポリエーテルポリオールP1:
好ましくは、硬化剤成分は以下を含む:
-少なくとも3つのヒドロキシル官能基、好ましくは少なくとも4つのヒドロキシル官能基を含む、少なくとも1つのポリエーテルポリオールP1;及び
-2つのヒドロキシル官能基を含む、好ましくは少なくとも1つのアリーレンラジカルを含む、少なくとも1つのポリエーテルポリオールP1。
【0072】
一実施形態によれば、ポリエーテルポリオールP1はそれぞれ、100g/mol~500g/mol未満、好ましくは200g/mol~500g/mol未満、優先的には300g/mol~500g/mol未満、有利には400g/mol~500g/mol未満、より有利にはさらに400g/mol~490g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0073】
好ましくは、ポリエーテルポリオールP1はそれぞれ、ポリオール1グラム当たり224~2244ミリグラムのKOH(mg KOH/g)、好ましくは224~1122mg KOH/g、優先的には224~748mg KOH/g、より優先的にはさらに229~561mg KOH/gの範囲の(平均)ヒドロキシル価(OHN)を有する。
【0074】
ポリエーテルポリオールP1の中でも、例えば、CECAから販売されているDianol(登録商標)330(約280mg KOH/gのOHNを有するプロポキシ化4,4’-イソプロピリデンジフェノール)又はBASFから販売されているLupranol(登録商標)3402(4の機能性及び約470mg KOH/gのOHNを有するプロポキシル化エチレンジアミン)が挙げられ得る。
【0075】
ポリエーテルポリオールP2:
硬化剤成分は、厳密に1000g/molより大きい、好ましくは10000g/mol以下、優先的には5000g/mol以下、有利には3000g/mol以下の数平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールP2を含む。
【0076】
ポリエーテルジオールがより特に好ましく、中でもポリオキシプロピレンジオールなどのポリオキシアルキレンジオールが好ましい。
【0077】
そのような市販の製品の例として、1020g/mol付近の数平均分子量(Mn)及びそのヒドロキシル価が約110mg KOH/gである、DowによってVoranol(登録商標)P 1010の名称で販売されているポリオキシプロピレンジオール、又は2040g/mol付近の数平均分子量及びそのヒドロキシル価が約55mg KOH/gである、Dowによって販売されているVoranol(登録商標)P2000が挙げられ得る。
【0078】
本発明の第2の実施形態によれば、硬化剤成分は、アミノ末端基を有する化合物、好ましくは1モル当たり2つ以上のアミノ基を有するポリアミン、好ましくはポリオキシアルキレンポリアミン(又はポリエーテルアミン)を含む。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、1モル当たり2~4個のアミノ基、より好ましくは1モル当たり2~3個のアミノ基を有する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、一般に、約140以上、好ましくは約200以上の数平均モル質量又は分子量(Mn)を有する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、好ましくは、200~5000g/mol以下、好ましくは200~4000g/mol、好ましくは200~2000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。好ましいポリオキシアルキレンポリアミンの中でも、Huntsmanから入手可能な数平均分子量(Mn)が約440g/molのポリプロピレンオキシドトリアミンJeffamine(登録商標)T403、数平均分子量(Mn)が約430g/molのポリプロピレンオキシドジアミンJeffamine(登録商標)D-400、及び数平均分子量(Mn)が約2000g/molのポリプロピレンオキシドジアミンJeffamine(登録商標)D-2000が挙げられ得る。
【0079】
チキソトロピー組成物(A):
本発明による二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)は、その-NCO成分及びその硬化剤成分がそれぞれ、対応する成分の総重量に基づいて、0.1%~40%(重量基準)のチキソトロピー組成物(A)を含むようなものであり、チキソトロピー組成物(A)は、その総重量に基づいて、
-第一級脂肪族アミン(a1)と500g/mol未満のモル質量を有するジイソシアネート(a2)との反応によって得られる1%~40%(重量基準)のビス尿素(a)と、
-以下:
-フタル酸アルキル、好ましくはフタル酸ジイソデシル(DIDP);
-ペンタエリスリトールテトラバレレート;
-アルキルスルホン酸とフェノールのエステル;
-ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート;
-3,3’-[メチレンビス(オキシメチレン)]ビス[ヘプタン];及び
-ジオクチルカーボネート
から選択される60%~99%(重量基準)の可塑剤(b)とを含む。
【0080】
したがって、チキソトロピー組成物(A)は、可塑剤(b)からなる連続相中のビス尿素(a)の固体粒子の懸濁液(又は分散体)である。
【0081】
好ましくは、チキソトロピー組成物(A)は、上記に示される重量含有量のビス尿素(a)及び可塑剤(b)からなる。
【0082】
ビス尿素(a)は、第一級脂肪族アミン(a1)と500g/mol未満のモル質量を有するジイソシアネート(a2)との反応によって得られる。
【0083】
選択されるアミンは、好ましくは1~22個の炭素原子を含むn-アルキルアミンであり、より好ましくはn-ブチルアミンである。
【0084】
使用することができるジイソシアネート(a2)は、芳香族又は脂肪族であることができ、式(II)を有する:
NCO-R
6-NCO (II)
[式中、R
6は、以下の二価ラジカルの1つから選択され、以下のその式は2つの遊離原子価を示す:
-a)イソホロンから誘導される二価ラジカル;
-b)二価ラジカル4,4’-メチレンビス(シクロヘキシル);
-c)それぞれ以下の式のトルエン-2,4-ジイソシアネート(又は2,4-TDI)又はトルエン-2,6-ジイソシアネート(又は2,6-TDI)から誘導される二価ラジカル:
-d)以下の式のジフェニルメチレン-4,2’-ジイソシアネート(又は4,2’-MDI)又はジフェニルメチレン-4,4’-ジイソシアネート(又は4,4’-MDI)から誘導される二価ラジカル:
-e)
-(CH
2)
6-(又はヘキサメチレンラジカル);
-f)
(又はm-キシリレンラジカル);
-g)
(又はヘキサヒドロ-m-キシリレンラジカル)]
【0085】
上記式d)の1つに対応するジフェニルメチレン-4,4’-ジイソシアネート(又は4,4’-MDI)が特に好ましい。
【0086】
可塑剤(b)は、当業者に既知であり、有利には市販の可塑剤から選択される。
【0087】
フタル酸アルキルの中でも、フタル酸ジイソデシル(DIDP)の使用が好ましい。
【0088】
ペンタエリスリトールテトラバレレートに関しては、Perstorpによって商標名Pevalen(登録商標)で販売されている製品が挙げられ得る。
【0089】
アルキルスルホン酸とフェノールのエステルに関しては、Lanxessによって販売されている製品Mesamoll(登録商標)が挙げられ得る。
【0090】
ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートに関しては、BASFによってHexamoll Dinch(登録商標)の名称で販売されている製品が挙げられ得る。
【0091】
3,3’-[メチレンビス(オキシメチレン)]ビス[ヘプタン]は、そのCAS番号:22174-70-5によって識別することができ、Lambiotteから入手可能な2-エチルヘキシラールの商品名でも知られている。
【0092】
最後に、ジオクチルカーボネート(欧州化学番号又はEC番号:434-850-2)はBASFから入手可能である。
【0093】
非常に特に好ましい代替形態によれば、可塑剤(b)はジイソデシルフタレート(DIDP)である。
【0094】
別の実施形態によれば、チキソトロピー組成物(A)が、10%~30%(重量基準)のビス尿素(a)及び70%~90%(重量基準)の可塑剤(b)を含み、好ましくはこれらからなる。
【0095】
本発明に係るPU2K構造接着剤組成物に用いられるチキソトロピー組成物(A)は、以下のようにして調製することができる。
【0096】
脂肪族アミンa1)とジイソシアネートa2)との反応は、高度に発熱性である。反応によって形成された大量の熱が形成されたビス尿素の分解につながるのを防ぐために、化合物a1)及びa2)は、それらが一緒に反応する前にそれぞれ可塑剤b)に溶解され、その結果、前記可塑剤b)は反応によって形成された熱を排出するのに役立つ。化合物a1)及びa2)の可塑剤b)中の2つの溶液は、有利にはそれぞれ、40~200バール、好ましくは80~120バールの圧力下で、インジェクタを介して反応器に導入され、したがって2つの溶液は噴霧された液体状態で接触する。反応物の量は、好ましくは、約2に等しい、(a1のモル数)/(a2のモル数)比に対応する。ビス尿素は、可塑剤b)の連続相に分散した固体粒子の形態の反応によって生成され、対応する懸濁液のブルックフィールド粘度は、23℃の温度で測定して、一般に1~50Pa.s、好ましくは10~25Pa.sである。
【0097】
好ましい実施形態によれば、-NCO成分及び硬化剤成分はそれぞれ、対応する成分の総重量に基づいて0.5%~35%(重量基準)、より優先的には2%~15%(重量基準)の前記チキソトロピー組成物(A)を含む。
【0098】
アルミナ(B):
本発明による二成分ポリウレタン構造接着剤組成物(PU2K)は、その-NCO成分及びその硬化剤成分のうちの少なくとも1つの成分が、前記成分の総重量に基づいて5%~40%(重量基準)のアルミナ(B)を含むようなものであり、好ましくは
【0099】
好ましい代替形態によれば、アルミナ(B)は、硬化剤成分中に、より好ましくは前記成分の総重量に基づいて10%~35%(重量基準)の含有量で含まれる。
【0100】
使用されるアルミナ(B)は、一般に粉末形態で提供される標準的なアルミナであり、その固体粒子は、0.2μm~50μm、より具体的には0.5μm~25μmであり得る直径を有しており、直径中央値D50は、2~5μm、例えば3μm付近であることが多い。
【0101】
アルミナ(B)は、例えば、HuberからMartoxid(商標)200の名称で市販されている。
【0102】
-NCO成分及び硬化剤成分の他の成分:
本発明によるPU2K構造接着剤組成物の-NCO及び硬化剤成分はそれぞれ、溶媒、顔料、ミクロスフェア、接着促進剤(例えば、アルコキシシランなど)、吸湿剤、UV安定剤(又は抗酸化剤)、染料、充填剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことができる。
【0103】
一実施形態によれば、-NCO及び硬化剤成分はそれぞれ、鉱物充填剤、有機充填剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの充填剤を含む。
【0104】
使用することができる鉱物充填剤の例として、接着剤組成物の分野で慣用的に使用される任意の鉱物充填剤を使用してもよい。これらの充填剤は、典型的には、多様な形状の粒子の形態で提供される。それらは、例えば、球形又は繊維状であってもよく、又は不規則な形状を呈してもよい。
【0105】
好ましくは、充填剤(複数可)は、粘土、石英、炭酸塩充填剤、カオリン、石膏、粘土、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びそれらの混合物からなる群から選択される。優先的には、充填剤は、ゼオライト及び/又は炭酸塩充填剤、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、より優先的には炭酸カルシウム又はチョークから選択される。炭酸カルシウム充填剤の例として、Omya BSHという名称でOmyaから販売されている製品であって、その平均粒径が2.4μmである製品が挙げられ得る。Arkemaから入手可能なSiliporite SA 1720は、充填剤としても使用することができる市販の合成ゼオライトの例である。これは、タイプAの3オングストロームのモレキュラーシーブの形態で提供される。
【0106】
これらの充填剤は、未処理又は処理済みであることができ、例えば、有機酸、例えばステアリン酸、又は主にステアリン酸からなる有機酸の混合物を使用して処理することができる。
【0107】
中空ガラスミクロスフェアなどの中空鉱物ミクロスフェア、より具体的にはホウケイ酸カルシウムナトリウム又はアルミノケイ酸塩で作られたものを使用してもよい。
【0108】
使用することができる有機充填剤の例として、接着剤組成物の分野で慣用的に使用される任意の有機充填剤及び特に高分子充填剤を使用してもよい。
【0109】
例えば、Kevlar(登録商標)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、ゴム又はエチレン/酢酸ビニル(EVA)などのアラミド繊維を使用してもよい。
【0110】
膨張性又は非膨張性熱可塑性樹脂ポリマーで作られた中空ミクロスフェアを使用してもよい。特に、塩化ビニリデン/アクリロニトリルで作られた中空ミクロスフェアが挙げられ得る。
【0111】
使用することができる充填剤の平均粒径は、好ましくは100ミクロン以下、優先的には30ミクロン以下、有利には10ミクロン以下である。
【0112】
平均粒径は、分析される粒子の試料の50%(体積)に対応する体積粒径分布について測定される。粒子が球形である場合、平均粒径は直径中央値(D50又はDv50)に対応し、これは、体積で粒子の50%が前記直径よりも小さいサイズを有するような直径に対応する。本特許出願では、この値はマイクロメートルで表され、規格NF ISO 13320-1(1999)に従ってMalvern型の機器でのレーザ回折によって決定される。
【0113】
-NCO及び硬化剤成分の各々は、対応する成分の総重量に対して、1%~40%(重量基準)、好ましくは1%~30%(重量基準)の範囲の充填剤(複数可)の総量を含むことができる。
【0114】
さらに、好ましい実施形態によれば、硬化剤成分は架橋触媒を含むことができる。使用することができる架橋触媒は、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオール及び/又は1つのポリアミンとの反応によるポリウレタン及び/又はポリウレアの形成を触媒するための当業者に公知の任意の触媒であり得る。
【0115】
例えば、以下からなる群から選択される1つ又は複数の架橋触媒が使用され得る。
-有機金属触媒;
-アミジン;
-第三級アミン;及び
-それらの混合物。
【0116】
有機金属触媒の中でも、スズを含まないものが好ましい。有機金属化合物(少なくとも1つの金属-炭素共有結合を含む化合物)は、金属アルコキシド、金属カルボキシレート及び1つ又は複数の有機配位子を有する金属配位錯体を含むことができる。金属原子は、好ましくは、アルミニウム、亜鉛、鉄、ビスマス、チタン、金及びジルコニウムから選択される。有機金属触媒は、例えば、Borchers製のBorchi(登録商標)Kat VP 0244(ネオデカン酸亜鉛とネオデカン酸ビスマスの混合物)のようなビスマス及び亜鉛などのいくつかの金属原子を含むことができる。
【0117】
アミジンの中でも、特に以下のものが挙げられ得る。
-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU):
-1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN):
【0118】
第三級アミンの中でも、特に以下のものが挙げられ得る。
-2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE):
-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO):
【0119】
好ましくは、使用することができる架橋触媒の量は、硬化剤成分の重量に対して、0.01%~1%(重量基準)、より好ましくは0.05%~0.5%(重量基準)の範囲である。
【0120】
本発明によるPU2K構造接着剤組成物は、有利には実質的に溶媒を含まない。これらの用語によって、前記接着剤の溶媒含有量が1%重量/重量、好ましくは0.05%を超えないことを意味すると理解される。
【0121】
PU2K構造接着剤組成物:
本発明によるPU2K構造接着剤組成物の構成成分-NCO及び硬化剤成分の各々は、その成分の単純な混合によって別々に調製される。
【0122】
-NCO成分及び硬化剤成分は、例えばデュアルカートリッジ内にパッケージされる。接着剤の分配は、デュアルカートリッジガンを使用して行われる。2つの成分の均一な混合物は、静的ミキサをデュアルカートリッジに取り付けることによって得られる。
【0123】
接着剤組成物は、硬化剤成分に対する-NCO成分の体積比が好ましくは1に近くなるように、約0.90~1.20、好ましくは1.00~1.10の範囲のNCO/(OH+NH)比で-NCO成分と硬化剤成分とを反応させることによって当業者に公知の方法に従って得られる。NCO/OH+NH比は、硬化剤成分の反応性OH(meq/g)及びNH(meq/g)関数の合計に対する-NCO成分のNCO関数(meq/g)の比として定義される。
【0124】
本発明の別の主題は、建築の分野、輸送手段の製造の分野、好ましくは自動車、鉄道及び航空宇宙産業の分野、並びに造船の分野、より具体的には電気自動車又はハイブリッド車用の電池の製造を目的とした組み立て品のための構造接着剤としての、上で定義したPU2K構造接着剤組成物の使用である。
【0125】
最後に、本発明の主題は、接着結合によって2つの基材を組み立てるための方法であって、
-上記に記載される-NCO成分と硬化剤成分とを混合することによって得られる接着剤組成物の、組み立てられる2つの基材の少なくとも一方へのコーティング;次いで
-2つの基材を実際に接触させること、を含む方法である。
【0126】
適切な基材は、例えば、コンクリート、金属又は合金(アルミニウム合金、鋼、非鉄金属、亜鉛メッキ金属など)の無機基材;又はそれ以外では有機基材、例えば木材、プラスチック、例えばPVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル又はエポキシ樹脂;金属製の基材及び塗料でコーティングされた複合材料(例えば、自動車分野におけるものなど)である。
【0127】
ここで、本発明を以下の実施例で説明するが、これらは純粋に例示として与えられており、その範囲を限定するために解釈されるべきではない。
【実施例】
【0128】
以下の成分を使用した:
-Vencorexから販売されているTolonate(登録商標)HDBは、平均機能性F=3.7を有するビウレット型のHDIに基づくポリイソシアネートであり、22.5%~24.5%の範囲のNCOパーセンテージ及び0.1%未満の残留HDI含有量を有し、25℃で1500~2500mPa.sの範囲の粘度を有する
-Dowによって販売されているVoranol(商標)P 2000は、55mg KOH/gのOHN、すなわち2040g/mol付近の数平均分子量(Mn)を有する機能性F=2のポリプロピレングリコール(PPG)である
-Cecaから販売されているDianol(登録商標)330は、280mg KOH/gのOHN、すなわち401g/mol付近の数平均分子量(Mn)を有する機能性F=2のプロポキシル化(PPG)4,4’-イソプロピリデンジフェノールである
-BASFによって販売されているLupranol(登録商標)3402は、470mg KOH/gのOHN、すなわち480g/mol付近の数平均分子量(Mnを有する機能性F=4のプロポキシル化エチレンジアミンである
-Omya製のOmya(登録商標)BSHは、2.4μmの平均粒径を有する疎水性炭酸カルシウムである
-Siliporite(登録商標)SA 1720は、タイプAの3オングストレームのモレキュラーシーブの形態でCecaから販売されている合成ゼオライトである
-Evonikによって販売されているAerosil(登録商標)R202は、100m2/g付近の(BET)比表面積を有する疎水性ヒュームドシリカである
-Borchi(登録商標)Kat VP 0244は、Borchers製のネオデカン酸亜鉛とネオデカン酸ビスマスの混合物からなる触媒である
-Martoxid(商標)200は、Huber製のアルミナであり、その固体粒子は、0.5μm~25μmの直径及び約3μmの直径中央値D50を有する。
【0129】
実施例A1(参考):-NCO成分の調製
-NCO成分を構成する成分を、絶えず撹拌し続けた反応器中で窒素下、表1に示す割合で混合する。
【0130】
混合物の均質化後、-NCO成分中のNCO基の含有量(-NCO成分の重量に対する重量パーセント(%NCO)として表される)を、標準NF T52-132に従って測定する。
【0131】
実施例A2(参考):-OH成分(硬化剤)の調製
-OH成分を構成する成分を、絶えず撹拌し続けた反応器中で窒素下、表2に示す割合で混合する。
【0132】
混合物の均質化(約3時間)後、-OH成分1グラム当たりのKOHのミリグラム(mg KOH/g)で表される-OH成分中のOH基の含有量を測定する。
【0133】
実施例A3(比較例):PU2K接着剤組成物の調製及び評価
調製:
実施例A1で調製された-NCO成分と実施例A2で調製された-OH成分とを、-NCO成分/-OH成分の重量比が-OH成分95.6g当たり-NCO成分100gに相当する、-NCO/-OHモル当量比が1に等しい割合で混合した。対応する割合を表3に示す。
【0134】
混合は、50mlデュアルカートリッジを使用して約23℃の温度で行う。
[表1]
[表2]
[表3]
【0135】
評価:
このようにして得られた比較PU2K接着剤組成物A3について、以下に示す試験及び測定を行う。
【0136】
a)押出後の非架橋PU2K組成物の流れ:
使用される試験の目的は、オペレータによって作動されるガンのトリガと一体であるピストンによって加えられる圧力の影響下での、デュアルカートリッジとして包装された実施例A3の組成物の、ノズルを介した押出性を評価することである。加えられる圧力は3バールである。
【0137】
測定された流速は、表3にg/分で示されており、挙動に対応し完全に一致する。
【0138】
b)非架橋PU2K組成物のクリープ:
実施例A3の粘性組成物のクリープ(又は、たるみ若しくはスランプ)は、標準ASTM D 2202に従って測定される。このために、前記組成物は、水平位置に配置された標準の測定冶具の空洞に導入され、次いで、ピストンは、目盛り付きスケールが設けられた器具の表面に沿って、重力の影響下で下方に流れる準備ができた、直径38.1mm及び厚さ4.75mmの組成物シリンダを形成するように前進される。その後、直ちに治具を23℃で15分間垂直位置にする。この15分間の期間の終わりに、組成物によって形成された初期シリンダの最大クリープ点の目盛り付きスケールを使用して測定が行われる。
【0139】
3cmの機器の目盛り付きスケールで測定された距離に対応して、組成物の著しいクリープが観察され、その結果を表3に示す。
【0140】
c)架橋PU2K組成物の固有の機械的性能品質:
引張破断応力及び引張破断伸びの測定は、規格ISO 37(2012)に従って実施した。
【0141】
測定の原理は、可動顎部が10mm/分に等しい一定の速度で移動する引張試験装置において、実施例A3の架橋組成物からなる標準試験標本を引き込み、試験標本が破断した瞬間に、加えられた引張応力(MPa)及び試験標本の伸び(%)を記録することにある。標準試験標本は、国際規格ISO 37に示されているように、ダンベル形状である。使用するダンベルの幅狭部は、長さ20mm、幅4mm、厚さ3~4mmである。
【0142】
得られた結果を表3に示し、PU2K構造接着剤を高度に表す値に対応する。
【0143】
d)架橋PU2K組成物の熱伝導率:
熱伝導率は、Neotim社製のFP2C等の熱線伝導度計により測定される。
【0144】
熱線プローブは、80×40×5mmの寸法を有する平行六面体の形状の実施例A3の架橋組成物の2つの試験標本の間に挟まれ、常温で1週間事前に調整される。
【0145】
測定された熱伝導率をW/mKで表3に示す。
【0146】
実施例A(参考):DIDP中の23.3%重量/重量のビス尿素の懸濁液からなるチキソトロピー組成物(A)
まず、以下を準備する。
-17.17%重量/重量のn-ブチルアミン及び82.83%重量/重量のDIDPからなる、DIDP中のn-ブチルアミンの溶液A、次いで
-70.34%重量/重量のDIDP中の29.46%重量/重量の4,4’-MDIからなる、DIDP中の4,4’-MDIの溶液B。
【0147】
2つの溶液A及びBを100℃に加熱し、次いで、それぞれ100バールの圧力下で反応器に導入し、その中で、2に等しいn-ブチルアミン/MDIモル比に相当する重量比A/B=50.1/49.9で互いに連続的に噴霧する。反応は即時であり、反応器の温度は製造終了時に140℃に達する。
【0148】
反応器出口で、DIDP中のビス尿素の安定な23.3%重量/重量分散体が得られ、ビス尿素は以下の式である:
【0149】
23℃で測定した懸濁液のブルックフィールド粘度は15Pa.sである。
【0150】
実施例1:実施例Aのチキソトロピー組成物を組み込んだ-NCO成分の調製:
表1に示す成分及びそれらの含有量で実施例A1を繰り返す。
【0151】
実施例2:実施例Aのチキソトロピー組成物を組み込んだ硬化剤成分の調製:
表2に示す成分及びそれらの含有量で実施例A2を繰り返す。
【0152】
実施例3(本発明による):実施例1の-NCO成分及び実施例2の硬化剤成分からなるPU2K接着剤組成物の調製及び評価:
表3に示す割合で、実施例1の-NCO成分及び実施例2の硬化剤成分を用いて、実施例A3を繰り返す。
【0153】
試験について得られた結果も表3に示し、以下が明らかである:
-押出後の流れは、実施例A3のものよりも明らかに低いが、それでも完全に許容可能であること;
-実施例A3とは異なり、クリープがないこと;
-実施例A3の接着剤組成物について得られたものと同様の引張破断応力及び破断伸びであり、したがって、PU2K構造接着剤を完全に表す値にも対応すること;及び
-実施例A3の熱伝導率と比較して、熱伝導率が非常に大幅に増加したこと(60%)。
【国際調査報告】