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特表2023-554051平坦な壁のチューブを備える眼科用プローブアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】平坦な壁のチューブを備える眼科用プローブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20231219BHJP
   A61F 9/008 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
A61B18/22
A61F9/008 150
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536367
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 IB2021061422
(87)【国際公開番号】W WO2022130123
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,222
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル スコット ホイザー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー シー.ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マニッシュ マルハー アガーカー
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハリソン ファーレイ
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026FF17
4C026FF22
4C026FF39
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、チューブを含むプローブであって、1つ又は複数の光ファイバは、光源からのレーザ光及び照明光の少なくとも1つをターゲット位置に伝送するために、少なくとも部分的にチューブを通して延びる、プローブを提供する。チューブの遠位端は、平坦な壁の形態を含み、及び丸い縁を備えた保護窓が遠位端に圧入される。チューブの遠位端の平坦な壁の形態は、低減された直径方向の干渉感度を有し、したがって効果的な圧入のための窓とチューブ壁との間の公差のより広い範囲を可能にする。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科処置のためのプローブであって、
チューブであって、1つ又は複数の光ファイバは、光源からのレーザ光及び照明光の少なくとも1つをターゲット位置に伝送するために、少なくとも部分的に前記チューブを通して延び、前記チューブは、
単一の円周外壁を有する近位端と、
前記近位端の反対側の遠位端であって、少なくとも実質的に丸い角が隣接する複数の実質的に平坦な外壁を含む遠位端と
を更に含む、チューブと、
前記チューブの前記遠位端内に圧入された光学的に明澄又は透明な窓と
を含むプローブ。
【請求項2】
前記実質的に丸い角は、前記外壁におけるフープ応力に対する曲げ応力の比を最大化することにより、前記外壁のバネ定数を最小化するように配置される、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記窓は、遠位端と、前記遠位端の反対側の近位端とを含み、前記窓の前記遠位端及び前記近位端は、円形の外縁によって接続される、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記窓は、屈折力を有する、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記窓は、球面レンズであり、前記窓の前記遠位端及び前記近位端の少なくとも1つは、湾曲している、請求項3に記載のプローブ。
【請求項6】
前記窓は、非球面レンズであり、前記窓の前記遠位端及び前記近位端は、平坦である、請求項3に記載のプローブ。
【請求項7】
前記窓は、サファイア、溶融シリカ、ガラス又はセラミックの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のプローブ。
【請求項8】
前記遠位端は、3つ以上の少なくとも実質的に丸い角が隣接する少なくとも3つの平坦な外壁を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項9】
前記遠位端は、4つ以上の少なくとも実質的に丸い角が隣接する少なくとも4つの平坦な外壁を含む、請求項8に記載のプローブ。
【請求項10】
前記チューブ内に収容されたレンズであって、前記1つ又は複数の光ファイバと前記窓との間に配置されたレンズを更に含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項11】
前記チューブは、ステンレス鋼、ニチノール、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金又は白金-イリジウム合金で形成される、請求項1に記載のプローブ。
【請求項12】
マルチスポットレーザプローブであり、前記チューブは、レーザ光を伝播させるための1つ又は複数の光ファイバを収容する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項13】
前記少なくとも実質的に丸い角は、円形、楕円形又は放物線形の曲率を有する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項14】
手術システムであって、
光源と、
1つ又は複数の光ファイバを介して前記光源に接続されたプローブアセンブリであって、
チューブに接続されたハンドピースであって、前記1つ又は複数の光ファイバは、前記光源からのレーザ光及び照明光の少なくとも1つをターゲット位置に伝送するために、前記ハンドピースを通して、且つ少なくとも部分的に前記チューブを通して延びる、ハンドピース
を含み、前記チューブは、
単一の円周外壁を有する近位端と、
前記近位端の反対側の遠位端であって、少なくとも実質的に丸い角が隣接する複数の実質的に平坦な外壁を含む遠位端と
を更に含む、プローブアセンブリと、
前記チューブの前記遠位端内に圧入された光学的に明澄又は透明な窓と
を含む手術システム。
【請求項15】
前記窓は、遠位端と、前記遠位端の反対側の近位端とを含み、前記窓の前記遠位端及び前記近位端は、円形の外縁によって接続される、請求項14に記載の手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月18日に出願された、その発明者がMichael Scott Heuser、Timothy C.Ryan、Manish Malhar Agarkar及びMark Harrison Farleyである「OPHTHALMIC PROBE ASSEMBLY WITH FLAT WALL TUBE」という名称の米国仮特許出願第63/127,222号明細書の優先権の利益を主張するものであり、その全体が、十分に且つ完全に本明細書に示されているかのように参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、外科処置のための小型ゲージ器具に関し、より具体的には、眼科処置(例えば、硝子体網膜手術)などのためのプローブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
レーザ及び/又は照明プローブ(例えば、LIP)アセンブリは、多くの異なる処置及び手術中に使用され得る。例えば、レーザプローブは、網膜レーザ手術中、特に網膜裂傷を封じるために使用される。照明プローブは、処置の実行中に所望の位置に照明を提供するために使用され、レーザプローブと組み合わせて使用される場合がある。実際、レーザ及び照明機能は、別個のプローブアセンブリによって実行され得るか、又は単一の照明付きレーザプローブアセンブリに統合され得る。いずれの場合にも、レーザ及び/又は照明光は、通常、レーザ及び/又は照明光源から光ファイバケーブルを介して伝送される。光ファイバケーブルは、光源に接続するコネクタにおいて近位で終端し、外科医によって操作されるLIPプローブアセンブリにおいて遠位で終端する。本明細書では、コンポーネントの遠位端は、患者の身体により近い端部又はレーザ及び/若しくは照明光がプローブアセンブリから放出されるところを指すことに留意されたい。他方で、コンポーネントの近位端は、患者の身体から離れる方を向くか、又は例えば光源に近接する端部を指す。
【0004】
レーザ及び/又は照明プローブアセンブリは、患者の眼に部分的に挿入されるチューブを有するプローブ先端に結合されたハンドピースを含む。光ファイバケーブルは、ハンドピース及びチューブを通して延びる1つ又は複数の光ファイバを収容し、レーザ及び/又は照明光を患者の網膜に伝送する。特定の場合、性能を向上させるために、光ファイバによって伝播される光線を拡大して患者の網膜に投影するためにレンズが使用される。レンズは、光ファイバの遠位端の前のチューブ内に配置され得る。
【0005】
チューブの遠位端に保護窓が圧入され、したがって光ファイバ及びレンズがチューブ内に封入される。圧入窓は、手術中に(例えば、患者の身体部分から)チューブ内に漏れる可能性のある流体(例えば、血液)を防止するか、その量を最小化するか又は少なくとも減少させることにより、光ファイバ及びレンズを保護する。圧入窓は、チューブに沿ったレンズの移動を制限し、且つ/又はレンズがチューブから外れることも防止し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、チューブの遠位端は、圧入される窓の円形の外壁(例えば、外縁)の形態に適合する環状又は円形のチューブ形状を有する。しかしながら、円形チューブは、直径方向の干渉感度が高く、圧入時にチューブがその歪み限界(例えば、直径干渉限界の最小値及び最大値)内に収まるように、チューブと窓との間に非常に厳しい公差が必要である。したがって、当技術分野で必要とされているのは、眼科処置のための改良された小型ゲージプローブ及びその製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、レーザプローブアセンブリに関し、より詳細には、手術(例えば、眼科手術)などで使用されるそのようなシステムに関する。
【0008】
特定の実施形態によれば、眼科処置のためのプローブが提供される。プローブは、近位端及び近位端の反対側の遠位端を有するチューブと、チューブの遠位端内に圧入された光学的に清澄又は透明な窓とを含む。チューブは、光源からのレーザ光及び照明光の少なくとも1つをターゲット位置に伝送するために、少なくとも部分的にチューブを通して延びる1つ又は複数の光ファイバを更に含む。チューブの近位端は、単一の円周外壁を有し、及び遠位端は、少なくとも実質的に丸い角が隣接する複数の実質的に平坦な外壁を有する。
【0009】
特定の実施形態によれば、手術システムが提供される。手術システムは、光源と、1つ又は複数の光ファイバを介して光源に接続されたプローブアセンブリとを含む。プローブアセンブリは、チューブに接続されたハンドピースを更に含み、チューブは、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを有する。光学的に明澄又は透明な窓がチューブの遠位端内に圧入される。1つ又は複数の光ファイバは、光源からのレーザ光及び照明光の少なくとも1つをターゲット位置に伝送するために、ハンドピースを通して、且つ少なくとも部分的にチューブを通して延びる。チューブの近位端は、単一の円周外壁を有し、及び遠位端は、少なくとも実質的に丸い角が隣接する複数の実質的に平坦な外壁を有する。
【0010】
上記で記載した本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、そのいくつかを添付図面に示す。しかしながら、添付図面は、例示的な実施形態を示すにすぎないため、その範囲を限定するとみなされるべきではなく、他の同様に効果的な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の特定の実施形態による、手術ターゲットに送達するための照明光及び/又はレーザ光を生成するためのシステムの一例を示す。
図2A】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの例示的なチューブを示す。
図2B】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの例示的なチューブを示す。
図3A】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの従来のチューブを示す。
図3B】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの従来のチューブを示す。
図4A】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの例示的なチューブを示す。
図4B】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの例示的なチューブを示す。
図4C】本開示の特定の実施形態による、図1のプローブアセンブリの例示的なチューブを示す。
図5A】本開示の特定の実施形態による、図4A~4Cのチューブを製造するための例示的な挟持装置を示す。
図5B】本開示の特定の実施形態による、図4A~4Cのチューブを製造するための例示的な挟持装置を示す。
図5C】本開示の特定の実施形態による、図4A~4Cのチューブを製造するための例示的な挟持装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
容易に理解することできるようにするために、可能な場合、複数の図面で共通の同一の要素を示すために同一の参照符号が使用される。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0013】
以下の説明では、開示する主題の理解を容易にするために、詳細が例として述べられる。しかしながら、開示する実装形態が例であり、全ての可能な実装形態を網羅するものではないことは、当業者に明らかであるはずである。したがって、説明された例への言及は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。説明されるデバイス、器具、方法に対する任意の変更形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の更なる任意の応用形態は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうことが完全に想定される。特に、1つの実装形態に関して説明される特徴、コンポーネント及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明される特徴、コンポーネント及び/又はステップと組み合わされ得ることが完全に想定される。
【0014】
本開示の実施形態は、一般に、保護コンポーネント又は窓を有する、眼科処置のためのプローブ及びプローブアセンブリに関する。プローブは、チューブを含み、1つ又は複数の光ファイバは、光源からの光をターゲット位置に伝送するために、少なくとも部分的にチューブを通して延びる。チューブの近位端は、単一の周壁を有し得るが、チューブの遠位端は、少なくとも実質的に丸い縁部又は角が隣接する1つ又は複数の実質的に平坦な外壁を含む。本明細書に記載される場合、「実質的に丸い」とは、円形、楕円形、放物線形又は同様の滑らかな曲率を指す。特定の例では、レンズは、チューブ内の1つ又は複数の光ファイバの遠位端に収容される。丸い縁部を有する保護窓がチューブの遠位端に圧入され、任意選択のレンズが1つ又は複数の光ファイバと窓との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、実質的に丸い角は、チューブ外壁におけるフープ応力に対する曲げ応力の比を最大化することにより、チューブ外壁のバネ定数を最小化するように配置される。チューブの遠位端の平坦な壁の形態は、円形のチューブの形態と比較して低減された直径方向の干渉感度を有し、したがって効果的な圧入のための窓の外径とチューブの内径との間の公差のより広い範囲を可能にする。したがって、直径方向の干渉感度の低下により、丸いチューブに必要なチューブと窓との間の公差が厳しいために一般に圧入時に高い精度が必要となる小型ゲージプローブの製造に関連するコストが削減される。
【0015】
本明細書で使用する際、「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指し得る。このような変動は、本明細書で提供されるいずれの値にも含まれ得ることを理解されたい。
【0016】
図1は、本開示の特定の実施形態による、手術ターゲットに送達するための照明光及び/又はレーザ光を生成するためのシステム100の一例を示す。図示のように、システム100は、手術システム102とプローブ108とを含む。手術システム102は、眼科処置中に使用され得るレーザ光線及び/又は照明光線を生成するための1つ又は複数の光(例えば、レーザ及び/又は照明光)源を含む。例えば、光源は、レーザ光線と照明光線とを交互に、順次又は同時に生成することができる。外科医又は外科スタッフメンバーなどのユーザは、硝子体網膜手術などの眼科処置中にレーザ光線及び/又は照明光線を放射するために、(例えば、フットスイッチ、音声コマンドなどを介して)手術システム102を制御することができる。いくつかの例では、手術システム102は、ポートを含み、レーザ光線及び/又は照明光線は、光源からポートを通して光ファイバケーブル106内に放射され得る。
【0017】
システム100は、光ファイバケーブル106に含まれる1つ又は複数のファイバを介してポートからプローブ108にレーザ光線及び/又は照明光線を送達することができ、光ファイバケーブル106の近位端は、ポートアダプタ104を介してポートに結合される。図示のように、プローブ108は、ハンドピース又はプローブ本体110と、プローブ先端140の全長に延びるチューブ112を有するプローブ先端140とを含む。プローブ先端140、したがってチューブ112の遠位端114及び近位端116も図1に示されている。手術中、外科医は、ハンドピース110を使用して、チューブ112(例えば、円筒形の丸い中空チューブ)を患者の眼120内に案内する。手術システム102のレーザ及び/又は照明光源は、光線150を生成し、この光線150は、チューブ112によって眼120の所望の位置に向けられる。特定の実施形態では、プローブ108は、マルチスポットレーザプローブであり、複数のレーザ光線150を同時に提供し、その結果、複数のレーザスポットが得られる。各レーザスポットの出力は、150~500ミリワット(mW)であり得、複数のレーザスポットを提供することにより、チューブ112を通過する最小出力は、約1Wとなる。上述のように、レーザ光線及び/又は照明光線を例えば患者の眼の網膜表面122に投影するために、レンズがチューブ112内の光ファイバの前に配置され得る。光ファイバの近位端は、上述のように、手術システムに結合されるか又は手術システムの一部であるレーザ及び/又は照明光源に接続される。
【0018】
本明細書に記載の態様は、保護窓が圧入される、プローブアセンブリのチューブの遠位端に関する。保護窓は、チューブ内を通して延びる1つ又は複数の光ファイバの遠位端の前又はそれ自体が1つ又は複数の光ファイバの遠位端の前に配置されるレンズの遠位端の前に配置される。保護窓は、処置中に(例えば、患者の身体部分から)チューブ内に漏れる可能性のある流体(例えば、血液)を防止するか、その量を最小化するか又は少なくとも減少させ、プローブが上述の任意選択のレンズを含む実施形態では、手術中のチューブに対するレンズの移動を更に制限することができる。
【0019】
図2Aは、特定の実施形態による、光ファイバ218がその中を貫通するチューブ112の遠位端114に配置された例示的な保護窓232の断面図を示す。図示のように、保護窓(以下では「窓」)232は、チューブ112の遠位端114に配置され、チューブ112の近位端116は、ハンドピース(例えば、図1に示すハンドピース110)に接続される。上述したように、チューブ112の遠位端114は、患者の身体部分に挿入される端部又はレーザ光及び/若しくは照明光がシステム100の外に放射されるように構成される端部である。チューブ112は、近位端240及び遠位端244を含む任意選択のレンズ242も含む。更に、窓232は、近位端230及び遠位端234を含む。
【0020】
特定の態様では、窓232は、光学的に明澄又は透明な材料を含む。特定の態様では、透明材料は、屈折力を有し、特定の他の態様では、透明材料は、屈折力を有しない。屈折力(屈折度数、屈折力(refractive power)、集束力又は収束力とも呼ばれる)は、レンズ、ミラー又は他の光学システムが光を収束又は発散させる度合いである。したがって、窓232は、それ自体、丸い端部230、234を有する球面レンズ又は平坦な端部230、234を有する非球面レンズなどのレンズであり得る。特定の態様では、窓232は、溶けることなく高温に耐えることができる材料を含み得る。例えば、窓232は、800℃~2000℃の範囲の遷移温度を有し得る。透明な材料の例には、サファイア、溶融シリカ又は遷移温度の高い他のガラス又はセラミック材料が含まれる。
【0021】
特定の態様では、窓232は、チューブ112の遠位端114への窓232の圧入によってチューブ112に取り付けられる。圧入は、締り嵌め又は摩擦嵌めとしても知られ、窓232をチューブ112に固定するための技術であり、窓232がチューブ112に押し込まれた後の窓232とチューブ112との間の摩擦によって固定が達成される。特定の態様では、チューブ112は、23、25、27又は29ゲージのチューブである。例えば、チューブ112は、25以下のゲージを有し得る。特定の態様では、チューブ112は、ステンレス鋼、ニチノール(NiTi)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(Ni-Co-Cr-Mo;例えばMP35N)又は白金-イリジウム合金(Pt-lr)などの材料を含む。特定の態様では、窓232は、特にチューブ112も硬い材料(例えば、ステンレス鋼)で作られる場合、窓232をチューブ112内に圧入することが窓232の破壊をもたらさないように、十分な堅牢性又は剛性(例えば、硬度又は靱性)を有する材料を含む。特定の態様では、チューブ112は、窓232の直径よりも小さい内部寸法(例えば、直径又は幅)を有し得る。
【0022】
図示のように、窓232は、部分的にチューブ112の遠位端114の外側に延びる。ただし、特定の態様では、窓232は、チューブ112の外側に延びない。例えば、窓232は、チューブ112の外側と同一平面にあり得るか、又はチューブ112の外側まで延びなくてもよい。
【0023】
図2Bは、特定の実施形態による窓232の三次元図を示す。図示のように、特定の態様では、窓232は、チューブ112の遠位端114の開口部に圧入される円筒形のコンポーネントである。特定の態様では、窓232の直径は、約350μm±5μm(マイクロメートル)、約360μm±5μm又は約370μm±5μmであり得る。特定の態様では、図2BにおいてWとして示される窓232の長さは、約355μm±25μmの長さであり得る。
【0024】
図2A及び2Bに示すように、特定の態様では、保護窓(例えば、232)は、両方とも平坦な遠位端及び近位端を有する円筒形状を有し得る。しかしながら、特定の態様では、窓の近位端は、平坦ではない。例えば、窓の近位端は、球面又は非球面であり得る。特定の実施形態では、球面又は非球面の近位端を有する窓は、圧入中、球面又は非球面の近位端を、チューブの先端を通してより容易に案内又は挿入できるために有利である。
【0025】
また、図2Aに示すように、特定の態様では、チューブ112内に配置された任意選択のレンズ(例えば、レンズ242)は、両方とも平坦な遠位端及び近位端を有する円筒形状を有する。このようなレンズの例としては、屈折率分布型(GRIN)レンズがある。しかしながら、他の特定の態様では、代わりに球面レンズ又は非球面レンズが使用され、これにより対応するプローブアセンブリの性能及び/又は熱的信頼性が向上する可能性がある。したがって、特定の態様では、レンズの近位端又は遠位端の少なくとも一方は、平坦ではない。例えば、レンズの近位端、遠位端又は両端は、球面又は非球面であり得る。本明細書に記載の異なる形状のレンズのいずれも、本明細書に記載の異なる形状の保護コンポーネントのいずれかと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。
【0026】
図3A及び3Bは、窓232に圧入された従来のチューブの正面断面図及び斜視図をそれぞれ示す。チューブ312は、全体が中空の円筒状チューブであり(例えば、チューブの全長に沿って円形又は環状の壁を維持する)、したがって、チューブ312の遠位端314は、チューブ312の近位端316と同じ形態及び寸法を有する。円形のチューブ状チューブ312は、直径方向の干渉感度が高く、効果的に圧入するには、チューブ312と窓232などの窓との間に非常に厳しい公差が必要である。窓232をチューブ312に圧入するときに必要な半径方向の変位に適応するために、チューブ312は、古典的なフープ歪みを受け、これにより変位時にチューブ312の内側端に沿って比較的高い平均等価歪みが生じる可能性がある。したがって、チューブ312内に窓232を圧入するには、窓232及びチューブ312の精密な機械加工及び組み立てが必要であり、費用及び時間がかかる可能性がある。
【0027】
図4A~4Cは、特定の実施形態による、窓232に圧入され得る改良されたチューブを示す。図4A及び4Cは、窓232に圧入される前のチューブ412を示し、図4Bは、すでにそこに圧入された窓232を有するチューブ412を示す。
【0028】
図示のように、チューブ412は、近位端416の反対側に遠位端414を含む。チューブ412の遠位端414は、眼120などの患者の身体部分に挿入される一方、近位端416は、ユーザによって保持されるハンドピース、例えばハンドピース110に接続される。図3A~3Bのチューブ312と同様に、近位端416は、中空の環状チューブ状の形状を有する。しかしながら、チューブ312と異なり、チューブ412の遠位端414は、単一の環状の壁の代わりに、少なくとも実質的に丸い角441によって接続された3つ以上の実質的に平坦な壁440(図4A~4Cには4つの実質的に平坦な壁440a~dが示されている)を含む。例えば、少なくとも実質的に丸い角441は、円形、楕円形、放物線形又は同様の滑らかな曲率を有し得る。いくつかの実施形態では、実質的に丸い角441は、外壁440におけるフープ応力に対する曲げ応力の比を最大化することにより、外壁440のバネ定数を最小化するように配置される。3つ以上の実質的に平坦な壁440は、チューブ412の長軸に平行な長さTを有し、これは、窓232の長さWの少なくとも約75%に実質的に等しく、特定の実施形態では窓232の長さWの最大約200%に等しい。それぞれの実質的に平坦な壁440は、内縁角443によって隣接する内縁442に結合された実質的に平坦な内縁442(図4A~4Cには4つの内縁442a~dが示されている)と、外縁角445によって隣接する外縁444に結合された実質的に平坦な外縁444(図4A~4Cには4つの外縁444a~dが示されている)とを更に含む。4つの平坦な壁440a~dが示されているが、チューブ412の遠位端414は、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれを超える壁440を含み得ることに留意されたい。
【0029】
遠位端414の平坦な壁の形態は、円形の壁の形態と比較して低減された直径方向の干渉感度をもたらし、したがって窓232の外径と遠位端414の内縁442との間の、効果的な圧入のための公差のより広い範囲を可能にする。したがって、外側への変位の単位当たりの内縁442及び内縁角443に沿った平均等価歪み率感度は、チューブ312などの丸いチューブの内縁に沿った平均等価歪みよりも低い。
【0030】
特定の実施形態では、チューブ412は、チューブ312などの丸いチューブを取り、その外縁に沿った4つ以上の円周方向位置でチューブの遠位端を挟持することによって形成される。図5A~5Cは、特定の実施形態による、図4A~4Cのチューブを製造するための例示的な挟持装置を示す。
【0031】
図示のように、チューブ挟持装置500は、一般に、ベースプレート502と、使用者又は機械によって回転されるように構成されたノブ504とを含む。3つ以上のジョー506(図5B及び5Cには4つが示されている)が屈曲部508によってベースプレート502に接続され、これによりベースプレート502に対するジョー506の半径方向の移動が可能になる。一般に、ジョー506の数は、チューブ上に形成される平坦な壁の所望の数に対応する。ジョー506のそれぞれは、ベースプレート502の中央開口部510に隣接する平坦な挟持面507(図示の目的で図5Cでは誇張されている)と、挟持面507の反対側の端にある角度付きスロット509とを含み、挟持面507を通してノブ504のダウエルピン512が配置される。各スロット509は、対応するジョー506の長軸に対して実質的に非平行且つ非垂直に配向される。ノブ504は、ノブ504とベースプレート502とが結合されたときにベースプレート502の中央開口部510と位置合わせされる中央開口部514を更に含む。
【0032】
動作中、チューブ312などの丸いチューブの遠位端は、ノブ504の中央開口部514を通してベースプレート502の中央開口部510内に挿入される。次に、ユーザ又は機械は、ノブを例えば時計回り又は反時計回りの方向に回転させ、ノブ504のダウエルピン512を各スロット509内で中央開口部510に対して接線方向(図5Cでは矢印520で示す)にスライドさせる。角度付きスロット509内のダウエルピン512の接線方向の移動520は、ジョー506を中央開口部510に向かって半径方向(図5Cでは矢印522で示す)に並進させ、これにより挟持面507を、その中に挿入されたチューブの円周方向位置に収束させる。結果として、収束するジョー506は、平坦な挟持面507によりチューブの丸い壁を平坦な壁の形態に挟み込み、ジョー506が収束されるときに多角形(例えば、図5Cでは正方形)の開口部を形成する。特定の実施形態では、ジョー506は、チューブの弾性スプリングバックを考慮して、平坦な壁のチューブの所望の外形寸法を超えて収束(例えば、内側に延びる)し得る。
【0033】
上述したように、プローブは、チューブを含み、1つ又は複数の光ファイバは、光源からの光をターゲット位置に伝送するために、少なくとも部分的にチューブを通して延びる。チューブの近位端は、単一の周壁を有し得るが、チューブの遠位端は、1つ又は複数の平坦な外壁を含む。丸い縁部を備えた保護窓は、チューブの遠位端及び1つ又は複数の光ファイバの前に圧入される。チューブの遠位端の平坦な壁の形態は、円形のチューブの形態と比較して低減された直径方向の干渉感度を有し、したがって効果的な圧入のための窓の外径とチューブの内径と間の公差のより広い範囲を可能にする。したがって、直径方向の干渉感度の低下により、丸いチューブに必要なチューブと窓との間の公差が厳しいために一般に圧入時に高い精度が必要となる小型ゲージプローブの製造に関連するコストが削減される。
【0034】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-c並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c並びにc-c-c又はa、b及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0035】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な実施形態を実践できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。
【0036】
特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ又は複数」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「いくつかの」という用語は、1つ又は複数を指す。当業者に知られているか又は後に知られることになる、本開示全体を通して説明した様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。更に、本明細書に開示したものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に献呈されることが意図されるものではない。特許請求の範囲のいかなる要素も、要素が「~するための手段」という語句を使用して明示的に列挙されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではなく、又は方法請求項の場合、要素は、「~するためのステップ」という語句を使用して列挙される。本明細中で使用する場合、「例示的」という語は、「例、事例又は実例として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましいか又は有利であると解釈されるべきではない。
【0037】
例示的実施形態
実施形態1:手術システムであって、光源と、1つ又は複数の光ファイバを介して光源に接続されたプローブアセンブリであって、チューブに接続されたハンドピースであって、1つ又は複数の光ファイバは、光源からのレーザ光及び照明光の少なくとも1つをターゲット位置に伝送するために、ハンドピースを通して、且つ少なくとも部分的にチューブを通して延びる、ハンドピースを含み、チューブは、単一の円周外壁を有する近位端と、近位端の反対側の遠位端であって、少なくとも実質的に丸い角が隣接する複数の実質的に平坦な外壁を含む遠位端とを更に含む、プローブアセンブリと、チューブの遠位端内に圧入された光学的に明澄又は透明な窓とを含む手術システム。
【0038】
実施形態2:窓は、球面レンズであり、窓の遠位端及び近位端の少なくとも1つは、湾曲している、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0039】
実施形態3:窓は、非球面レンズであり、窓の遠位端及び近位端は、平坦である、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0040】
実施形態4:窓は、サファイア、溶融シリカ、ガラス又はセラミックの少なくとも1つを含む、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0041】
実施形態5:遠位端は、3つ以上の少なくとも実質的に丸い角が隣接する少なくとも3つの実質的に平坦な外壁を含む、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0042】
実施形態6:遠位端は、4つ以上の少なくとも実質的に丸い角が隣接する少なくとも4つの実質的に平坦な外壁を含む、上記実施形態5に記載の手術システム。
【0043】
実施形態7:チューブ内に収容されたレンズであって、1つ又は複数の光ファイバと窓との間に配置されたレンズを更に含む、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0044】
実施形態8:チューブは、ステンレス鋼、ニチノール、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金又は白金-イリジウム合金で形成される、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0045】
実施形態9:チューブは、25以下のゲージを有する、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0046】
実施形態10:プローブアセンブリは、マルチスポットレーザプローブアセンブリであり、チューブは、レーザ光を伝播させるための1つ又は複数の光ファイバを収容する、上記実施形態1の手術システム。
【0047】
実施形態11:窓は、屈折力を有する、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0048】
実施形態12:少なくとも実質的に丸い角は、円形、楕円形又は放物線形の曲率を有する、上記実施形態1に記載の手術システム。
【0049】
実施形態13:実質的に丸い角は、外壁におけるフープ応力に対する曲げ応力の比を最大化することにより、外壁のバネ定数を最小化するように配置される、上記実施形態1に記載の手術システム。
図1
図2A
図2B
図3A-3B】
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】