(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】揮発性物質拡散容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20231219BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536816
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086469
(87)【国際公開番号】W WO2022129510
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514016795
【氏名又は名称】ゾベーレ ホールディング ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モルハイン,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】デフロリアン,ステーファノ
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068BB01
3E068CC03
3E068CE03
3E068CE06
3E068CE08
3E068DD27
3E068DD40
3E068DE03
3E068DE04
3E068EE22
3E068EE40
(57)【要約】
【要約】
揮発性物質を拡散するための容器が、含浸させた材料のための透明容器本体(1)であって、開口部(2)を有する容器本体(1)と;容器本体(1)の開口部(2)を閉鎖する透過性膜(3)と;透過性膜(3)に着脱可能に接続されたバリア層(4)と;を有する。ここで、透過性膜(3)は、封止ゾーン(6)において容器本体(1)に封止され、透過性膜(3)は封止ゾーン(6)において透明である。
これにより、容器の封止が正しいことが一目でわかるように改良された或いは高性能な膜を有する揮発性物質拡散容器を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を拡散するための容器であって:
揮発性物質を含浸させた材料のための透明容器本体であって、開口部を有する容器本体;
前記容器本体の前記開口部を閉鎖する、熱可塑性材料から作られる多孔質の透過性膜;及び
前記透過性膜に着脱可能に接続されたバリア層;
を有し、
前記透過性膜が封止ゾーンにおいて前記容器本体に封止され、前記透過性膜が前記封止ゾーンでは透明であり、前記封止ゾーン以外では不透明であることを特徴とする、揮発性物質拡散用容器。
【請求項2】
前記封止ゾーンにおいて、前記透過性膜の光透過率が70%を越え、かつ/或いは前記透過性膜の回折角が30度未満であることを特徴とする請求項1に記載の揮発性物質拡散用容器。
【請求項3】
前記封止ゾーンは、前記透過性膜及び前記容器本体の周囲のゾーンであることを特徴とする請求項1に記載の揮発性物質拡散用容器。
【請求項4】
前記透過性膜及び/又は前記バリア層は、前記封止ゾーンにおいてレリーフパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の揮発性物質拡散用容器。
【請求項5】
前記バリア層は、前記封止ゾーンにおいて印刷されたパターンを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の揮発性物質拡散用容器。
【請求項6】
前記透過性膜は微孔性膜である、請求項5に記載の揮発性物質拡散用容器。
【請求項7】
前記バリア層はアルミニウムから作られる、請求項6に記載の揮発性物質拡散用容器。
【請求項8】
前記透過性膜はポリオレフィン製である、請求項1に記載の揮発性物質拡散用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性物質を拡散させるための容器に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の背景
標準的なポリオレフィン系モノリシック膜(一般に、ポリエチレン又はポリプロピレン)の使用が、香料のような揮発性物質の放出又は拡散のために長年知られている。
【0003】
揮発性物質のこの拡散は、液体ではなく、揮発性物質を通過させるために、しばしば熱成形によって作られ上記膜により閉じられた容器を使用して行われる。この膜にはバリア層が施されており、保管中に揮発性物質が拡散するのを防ぎ、最初の使用前に使用者がバリア層を除去する必要がある。
【0004】
揮発性物質の蒸発品質とその強度の点でこれらの拡散器には限界があるため、はるかに複雑な構造を持つ多数の代替品が登場してきた。すなわち、マイクロポーラス層、又は不織布を用いた多層膜であり、特別な注意を払わなければシーリングが毛細管である可能性がある。
【0005】
実際、標準的なモノリシックシステムでは、交差する長さが高すぎるために揮発性物質をシールを介して輸送することができないが、多孔質構造ではこの長さはもはや障害ではない。
【0006】
したがって、シールは、熱成形容器上の膜の接着を保証するだけでなく、その領域での膜の多孔質微細構造の除去を保証することも重要である。
【0007】
標準的なディフューザー(拡散器)では、容器と膜の結合は基本的に、より複雑な構造を持つ2つの材料間の良好な接着を達成することである。しかし、これだけでは十分ではなく、上部バリア層を除去する前に、失われた揮発性物質が残らないようにすべての毛細管を除去する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
そこで、本発明の一目的は、揮発性物質を拡散させる容器であって、容器の封止が適正であることが一目でわかるように改良された或いは高性能の膜を有する容器を提供することにある。
【0009】
本発明の揮発性物質を拡散させる容器によれば、前記欠点が解消され、以下に述べる他の利点がある。
【0010】
本発明に従った揮発性物質を拡散させる容器は、
-揮発性物質を含浸させた材料のための透明容器本体であって、開口部を設けた透明容器本体;
-容器本体の開口部を閉鎖する熱可塑性透過性膜;及び
-透過性膜に着脱可能に接続されたバリア層;を有する。
ここで、透過性膜は封止ゾーン内で容器本体に封止され、透過性膜は封止ゾーン内で透明であり、封止ゾーン外では不透明である。
【0011】
透過性膜とは、単層膜又は多層膜であって、層又は層の1つが一定の多孔性を有する材料で構成されているものをいう。これには、微孔性膜自体も含まれるが、繊維性不織材料も含まれる。
【0012】
封止ゾーンにおいて透過性膜と容器本体との間に孔がないため、封止ゾーンでは透過性膜が透明であり、封止の品質が高いことに留意すべきである。また、当該透過性膜は、封止されていないか、或いは揮発性物質を含む材料で含浸されていない場合には不透明である。
【0013】
透過性膜は、熱可塑性材料から作られており、熱を加えると溶ける。
【0014】
したがって、透過性膜は細孔(pores)を含み、熱を加えないと不透明であり、その不透明さは光を回折する細孔の存在によるものである。封止中に熱可塑性材料が溶融し、封止ゾーンにおいて熱を加えると、細孔は破壊され、細孔がないと透過性膜は透明である。
【0015】
このようにして、封止状態が良好であれば、封止ゾーンの透過性膜を通してバリア層が完全に見え、封止状態が不良であれば、封止ゾーンの透過性膜を通してバリア層が良好に或いは明確には見えないため、容器が良好に封止されているかどうかを容易に確認できる。
【0016】
好ましくは、封止ゾーンにおいて、透過性膜は、光透過率が70%を越え、理想的には90%を越え、回折角が30°未満である。
【0017】
好ましくは、封止ゾーンは、透過性膜及び容器の周囲のゾーンである。
【0018】
好ましい実施形態によれば、透過性膜及び/又はバリア層は、封止ゾーンにおいてエンボス模様(embossed pattern)を含み、これにより、封止が正しいかどうかを容易に見ることができる。
【0019】
一実施形態によれば、バリア層は、封止ゾーン内において印刷された模様を含み、これにより、封止が正しいかどうかを容易に見ることができる。
【0020】
有利には、透過性膜は、例えばポリオレフィン製の微孔性膜であり、バリア層はアルミニウム製である。
【0021】
開示されている内容をよりよく理解するために、いくつかの図面において、限定的ではない実施例により、概略的に、実施形態の実際的な事例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】第1実施形態に従った、本発明による容器の平面図である。
【
図3】第2実施形態に従った、本発明による容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、揮発性物質を拡散させる容器は、揮発性物質を含浸させた材料(図示せず)を収容するための透明容器本体1を備える。
【0024】
容器本体1は、透過性膜3とバリア層4とによって閉じられた開口部2を備える。
【0025】
この透過性膜3は、そこを通した揮発性物質の拡散を許容するが、容器本体1内の液体の流出を防止する。
【0026】
一方、バリア層4は、揮発性物質の環境中への拡散を防止し、そのため最初の使用前に除去する必要がある。この目的のため、バリア層4は、透過性膜3に着脱可能に接続されている。
【0027】
非限定的な実施形態によれば、透過性膜3は微孔性ポリオレフィン(microporous polyolefin)などの微孔性膜(microporous membrane)からなり、バリア層4はアルミニウムから作ることができる。
【0028】
図1に示すように、容器本体1は開口部2を囲む外周縁(perimeter rim)5を有し、外周縁5において透過性膜3及びバリア層4が容器本体1に取り付けられている。
【0029】
一方、透過性膜3及び容器本体1は封止ゾーン(sealing zone)6内で密封されており、封止ゾーン6は、好ましくは、透過性膜3と容器本体1との間の外周接触ゾーンである。
【0030】
透過性膜3と容器本体1との間の封止は、封止ゾーン6内においてそれらの間に孔が残存することなく行われ、透過性膜3は、この封止ゾーン6内では透明であり、当該封止ゾーン6以外では不透明である。かくして、封止ゾーン6内の透過性膜3を通してバリア層4を視認することができる。
【0031】
好ましくは、封止ゾーン6内の透過性膜3の光透過率は70%を越え、かつ/或いは透過性膜3の回折角は30度未満である。
【0032】
封止が正しく行われていれば、封止ゾーン6において透過性膜3は透明であり、そうでなければ、この封止ゾーン6においてバリア層4が良く見えないため、この封止の正しさを容易に確認することができる。
【0033】
封止が正しいことの確認を容易にするために、
図2に示すように、透過性膜3及び/又はバリア層4は、封止ゾーン6においてレリーフパターン(relief pattern)又はエンボスパターン(embossed pattern)7を含むことができる。
【0034】
さらに、バリア層4は、封止ゾーン6において印刷されたパターン8を有することができる。この印刷されたパターン8は、例えば、互いに平行な線を含むことができ、これによって、封止が正しいかどうかを容易に見ることができる。
【0035】
このようにして、製造者又は使用者は、最初の使用前に、本発明に係る揮発性物質の拡散用容器が適切に封止されているかどうかを確認することができ、使用のためには、バリア層4を除去するだけでよい。製造者にとっては、工程が正しく行われているかどうかを確認することが特に重要であり、消費者に半分空の状態で届くような欠陥容器は送られない。
【0036】
本発明の特定の実施形態について言及してきたが、揮発性物質を拡散させるための開示された容器は、多数の変形及び変更の影響を受けやすく、記載されたすべての詳細は、添付の特許請求の範囲によって定義された保護の範囲から逸脱することなく、他の技術的同等物によって置き換えることができることは、当業者には明らかである。
【国際調査報告】