(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】アキシャル3次元発光ダイオードを有する光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20231219BHJP
H01L 33/16 20100101ALI20231219BHJP
H01L 33/20 20100101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/16
H01L33/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537132
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086032
(87)【国際公開番号】W WO2022129252
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515113307
【氏名又は名称】アルディア
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ダーヌン,メディ
(72)【発明者】
【氏名】ヒリュク,オルガ
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA11
5F241AA14
5F241CA05
5F241CA12
5F241CA21
5F241CA33
5F241CA34
5F241CA40
5F241CA41
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA88
5F241CB11
5F241CB23
5F241FF01
(57)【要約】
本開示は、アキシャル発光ダイオード(LED)のマトリックスを備える光電子デバイス(5)に関する。各LEDは、電磁放射線を放出する活性層(36)を備える。マトリックスは、活性層を含む面において少なくとも第1と第2の共振ピークを有するフォトニック結晶を形成し、各第1および第2のピークは、それぞれ第1および第2の波長で放射線強度を増幅する。各発光ダイオード(LED)は細長い半導体素子(26)を備え、第1の平均直径(D
nw)の第1の部分(28)と、第1の部分を延長し、第1の部分から離れるにつれて減少する断面積を有する第2の部分(30)と、第2の部分を延長し、第1の平均直径よりも厳密に小さい第2の平均直径(D
top)を有する活性層(36)とを備え、活性層は第1のピークの位置にあり、第2のピークの位置にはない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャル発光ダイオード(LED)のマトリックスを備え、各発光ダイオードは、電磁放射線を放出するように構成された活性層(36)を備え、前記マトリックスは、前記活性層を含む平面において、少なくとも第1および第2の共振ピークを形成するように構成されたフォトニック結晶を形成し、各第1の共振ピークは、第1の波長で前記電磁放射線の強度を増幅し、各第2の共振ピークは、第2の波長で前記電磁放射線の強度を増幅し、各発光ダイオード(LED)は、軸(Δ)に沿って細長い半導体素子(26)を備え、第1の平均直径(D
nw)の第1の部分(28)と、第1の部分を延長し、前記第1の部分から離れるにつれて減少する断面積を有する第2の部分(30)と、前記第2の部分を延長し、前記第1の平均直径よりも厳密に小さい第2の平均直径(D
top)を有する前記活性層(36)とを備え、前記活性層は、前記第1の共振ピークの位置にあり、第2の共振ピークの位置にはない、
光電子デバイス(5)。
【請求項2】
前記第1の平均直径(D
nw)に対する前記第2の平均直径(D
top)の比の2倍は、0.5と1.8との間である
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の平均直径(D
nw)に対する前記第2の平均直径(D
top)の比の2倍は、0.6と1.4との間である
請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の平均直径(D
nw)は0.05μmと2μmとの間である
請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の平均直径(D
nw)は100nmと1μmとの間である
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記軸(Δ)に沿って測定された前記第2の部分(30)の高さ(H
top)は、前記軸に沿って測定された前記細長い半導体素子の高さの10%未満である
請求項1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項7】
前記細長い半導体素子(26)の前記第1の部分は、一定の断面を有する
請求項1~6のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
前記アキシャル発光ダイオード(LED)は、0.1μmと4μmとの間のピッチ(a)を有するアレイに配置されている
請求項1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
前記軸(Δ)に沿って測定された各細長い半導体素子(26)の高さは、100nmと50μmとの間である
請求項1~8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項10】
前記細長い半導体素子(26)が一定の断面を有することを考慮して、シミュレーションにより、前記フォトニック結晶のピッチ(a)および前記第1の平均直径(D
nw)を決定するステップaと、
前記第1の平均直径を変更せずに前記第2の平均直径(D
top)を減少させるステップbと、
減少された第2の平均直径を有する前記活性層を有する前記光電子デバイス(5)の動作をシミュレートするステップcと、
前記活性層が前記第1の共振ピークの位置にあり、前記第2の共振ピークの位置にはなくなるまで、ステップb及びステップcを繰り返すステップdと
を含む請求項1~9のいずれか1つに記載の光電子デバイス(5)を設計するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電子デバイス、特に、半導体材料をベースとした発光ダイオード(LED)を備える表示スクリーンまたは画像投影デバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の用途では、理想的に実質的に単色である狭スペクトルを有する電磁放射線を放出する発光ダイオード、および/または、その発光が可能な限り指向性である発光ダイオードを得ることが望まれている。
【0003】
アキシャル型の光電子3次元発光ダイオード[LED]デバイスは、このような特性を有し得る。アキシャル型3次元発光ダイオードとは、好ましい方向に沿って延びる細長い3次元半導体素子、例えばマイクロメートルまたはナノメートル単位の直径のワイヤを備えるLEDであり、3次元半導体素子の軸方向端部に活性層を備え、活性層は、LEDによって提供される電磁放射線の大部分が放出されるLED領域である。
【0004】
しかし、非常に狭いスペクトルおよび/または高指向性放射線を放出する光電子デバイスが望まれるいくつかの用途では、既知の3次元アキシャル型LEDでは不十分な可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、一実施形態の目的は、上述したLED光電子デバイスの欠点の全部または一部に対処することである。
【0006】
一実施形態の他の目的は、3次元アキシャル型LEDが狭い発光スペクトルを有することである。
【0007】
一実施形態のさらなる目的は、アキシャル型3次元LEDが指向性放射線を放出することである。
【0008】
一実施形態は、アキシャルLEDのマトリックスを備える光電子デバイスを提供する。各LEDは、電磁放射線を放出するように構成された活性層を備え、マトリックスは、活性層を含む平面において、少なくとも第1および第2の共振ピークを形成するように構成されたフォトニック結晶を形成する。各第1の共振ピークは、第1の波長で前記電磁放射線の強度を増幅し、各第2の共振ピークは、第2の波長で前記電磁放射線の強度を増幅し、各発光ダイオード(LED)は、軸に沿って細長い半導体素子を備え、細長い半導体素子は、第1の平均直径を有する第1の部分と、第1の部分を延長し、第1の部分から離れるにつれて減少する断面積を有する第2の部分と、第2の部分を延長し、第1の平均直径よりも厳密に小さい第2の平均直径を有する活性層とを有し、活性層は、第1の共振ピークの位置にあり、第2の共振ピークの位置にはない。
【0009】
一実施形態によれば、第2の平均直径と第1の平均直径との比の2倍は、0.5と1.8との間である。
【0010】
一実施形態によれば、第2の平均直径と第1の平均直径との比の2倍は、0.6と1.4との間である。
【0011】
一実施形態によれば、第1の平均直径は0.05μmと2μmとの間である。
【0012】
一実施形態によれば、第1の平均直径は100nmと1μmとの間である。
【0013】
一実施形態によれば、前記軸に沿って測定された第2の部分の高さは、前記軸に沿って測定された細長い半導体素子の高さの10%未満である。
【0014】
一実施形態によれば、細長い半導体素子の第1の部分は、一定の断面を有する。
【0015】
一実施形態によれば、アキシャルLEDは、0.1μmと4μmとの間のピッチを有するアレイに配置されている。
【0016】
一実施形態によれば、前記軸に沿って測定された各細長い半導体素子の高さは、100nmと50μmとの間である。
【0017】
また、一実施形態は、上記で定義された光電子デバイスを設計するための方法を提供する。方法は、下記のステップを含む:
ステップa:細長い半導体素子が一定の断面を有することを考慮して、シミュレーションにより、フォトニック結晶のピッチおよび第1の平均直径を決定する;
ステップb:第1の平均直径を変更せずに第2の平均直径を減少させる;
ステップc:活性層が減少された第2の平均直径を有する光電子デバイスの動作をシミュレートする;ならびに
ステップd:活性層が第1の共振ピークの位置にあり、第2の共振ピークの位置になくなるまで、ステップbおよびcを繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0019】
【
図1】LEDを備える光電子デバイスの一実施形態の概略部分断面図である。
【
図2】
図1に示す光電子デバイスの概略部分透視図である。
【
図3】
図1に示す光電子デバイスの一部の詳細図に対応する概略部分断面図である。
【
図4】第1のシミュレーションに使用された比較用光電子デバイスの概略部分断面図である。
【
図5】比較用光電子デバイスによって放出される光強度の、放出される放射線の波長および2つの発光モードの存在を示す放出角度に応じたグレースケール・マップである。
【
図6】比較用光電子デバイスによって放出される放射線と、ランバート放射線とのそれぞれの累積フラックスの進化曲線を示す図である。
【
図7】比較用光電子デバイスによって放出される放射線と、ランバート放射線とのダイアグラムを示す図である。
【
図8】LEDの活性層を含む平面における比較用光電子デバイスの第1のモード増幅係数のグレースケール・マップである。
【
図9】LEDの活性層を含む平面における比較用光電子デバイスの第2のモード増幅係数のグレースケール・マップである。
【
図10】
図8および
図9に示す高増幅領域を有する
図1の光電子デバイスのLEDの一部の概略断面図である。
【
図11】
図8および
図9に示す高ゲイン領域を有する
図1の光電子デバイスのLEDの一部を上から見た概略図である。
【
図12】シミュレーションによって得られた、LEDの第1の減径係数の場合の
図1の光電子デバイスによって放出される光強度の、放出される放射線の波長および放出角度に応じたグレースケール・マップである。
【
図13】LEDの第2の減径係数の場合の、
図12と類似する図である。
【
図14】第2の減径係数を有する
図1による光電子デバイスの場合の、
図6と類似する図である。
【
図15】第2の減径係数を有する
図1による光電子デバイスの場合の、
図7と類似する図である。
【
図16】第1の試験の期間中に得られた、比較用光電子デバイスによって放出される光強度の、放出される放射線の波長および放出角度に応じたグレースケール・マップである。
【
図17】第1の試験の期間中に得られた、比較用光電子デバイスによって発光面に直交して放出される光強度の、放出される放射線の波長に応じた進化曲線を示す図である。
【
図18】第2の試験の期間中に得られた、
図1の光電子デバイスによって発光面に直交して放出される光強度の、放出される放射線の波長および放出角度に応じたグレースケール・マップである。
【
図19】第3の試験の期間中に得られた、
図1の光電子デバイスによって発光面に直交して放出される光強度の、放出される放射線の波長に応じた進化曲線を示す図である。
【
図20】シミュレートされた、
図1の光電子デバイスによって放出される光強度の、放出される放射線の波長および減径率に応じたグレースケール・マップである。
【
図21】
図1による光電子デバイスを設計するための方法の一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同様の特徴は、様々な図面で同様の参照符号によって指定されている。特に、様々な実施形態の間で共通である構造的および/または機能的特徴は、同じ参照符号を有し得、同一の構造的、寸法的および材料的特性を有し得る。明確にするために、本明細書に記載された実施形態の理解に有用な動作及び要素のみが図示され、詳細に説明されている。特に、考慮される光電子デバイスは、詳述しない他の構成要素を含み得る。
【0021】
以下の開示では、特に指定しない限り、「前」、「後」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置を修飾する用語、「の上」、「の下」、「上側」、「下側」などの相対位置を修飾する用語、または「水平」、「垂直」などの向きを修飾する用語に言及する場合、通常の使用時に方向づけられた図に示された向きを参照する。
【0022】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」および「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。さらに、「絶縁体」および「導体」という用語は、本明細書では、それぞれ「電気絶縁性」および「導電性」を意味すると理解される。
【0023】
以下の説明では、層の内部透過率は、層から出る放射線強度と層に入る放射線強度との比である。層の吸収率は、1と内部透過率との差に等しい。本明細書の残りの部分では、層を通る放射線の吸収率が60%よりも小さい場合、層は放射線に対して透明であるという。本明細書の残りの部分では、層における放射線の吸収率が60%よりも大きい場合、層は放射線に対して吸収性を有するという。放射線が、最大値を有するガウス型スペクトルなどの一般的に「ベル型」のスペクトルを有する場合、放射線の波長、または放射線の中心波長もしくは主波長は、スペクトルの最大値に達する波長と呼ばれる。本明細書の残りの部分では、材料の屈折率は、光電子デバイスによって放出される放射線の波長範囲に対する材料の屈折率を指す。特に指定しない限り、屈折率は、有用な放射線の波長範囲にわたって実質的に一定であると考えられ、例えば、光電子デバイスによって放出される放射線の波長範囲にわたる屈折率の平均に等しい。
【0024】
アキシャルLEDとは、円筒形など、好ましい方向に沿って細長い形状の3次元構造を意味し、該3次元構造は、5nmと2.5μmとの間、好ましくは50nmと2.5μmとの間の、マイナーディメンジョンと呼ばれる少なくとも2つの寸法を有する。メジャーディメンションと称される第3の寸法は、最大のマイナーディメンションの1倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上である。いくつかの実施形態では、マイナーディメンションは、約1μm以下、好ましくは100nmと1μmとの間、より好ましくは100nmと800nmとの間であってよい。いくつかの実施形態では、各LEDの高さは、500nm以上、好ましくは1μmと50μmとの間であってもよい。
【0025】
図1は、半導体素子がナノワイヤまたはマイクロワイヤに対応する光電子LEDデバイス5の一実施形態の概略部分断面側面図であり、これにより、狭いスペクトルおよび/または指向性放射線の放出を得ることが可能となる。
【0026】
デバイス5は、下記の要素を備える:
-支持体10:第1電極12と、平行な面16および18を有する半導体などの基板14と、面18を覆う核形成層20と、核形成層20を覆い、所望のワイヤ位置に開口部24を含む絶縁層22とを備え、面16は電極12と接触しており、
図1に開口部24が1つ示されている;
-発光ダイオードLEDのマトリックス:支持体10上に載置され、
図1に発光ダイオードLEDが1つ示されており、各発光ダイオードLEDは、開口部24のうちの1つにおいて核形成層20と接触したワイヤ26を備え、ワイヤ26は、少なくとも部分的に第1の導電型でドープされており(例えば、N型ドーピング)、実質的に円筒状の下部28を備え、下部28は、核形成層20と接触しており、基板14から離れるにつれて断面が減少する上部30まで延びており、上部30は上面32を有し、各発光ダイオードLEDはワイヤ26の上面32を覆うシェル34をさらに備え、シェル34は、活性層36と、第2の導電型でドープされた(例えば、P型ドーピング)半導体層38とを備える;
-絶縁層40:各ワイヤ26および各シェル34の外周を覆い、活性層36によって放出される放射線に対して透明である;
-導電層42:活性層36によって放出される放射線に対して透明であり、絶縁層40および各シェル34を覆い、各シェル34と接触しており、導電層42は第2の電極を形成する;ならびに
-電気絶縁封止層44:活性層36によって放出される放射線に対して透明であり、構造全体を覆い、封止層44は、発光面と称される上面46を備える。
【0027】
活性層36は、発光ダイオードLEDによって提供される電磁放射線の大部分が放出される層である。発光ダイオードLEDは並列に接続されてLEDアレイを形成してもよい。アレイは、数個から1000個の発光ダイオードLEDを備えてもよい。
【0028】
各発光ダイオードLEDは、活性層36がワイヤ26の延長線上にあり、半導体層38が活性層36の延長線上にあるという点で、アキシャルであると言われ、ワイヤ26、活性層36および半導体層38を備える集合体は、ワイヤ26の軸またはアキシャルLEDの軸と呼ばれる軸Δに沿って延びている。好ましくは、発光ダイオードLEDの軸は、平行し、面18に直交する。
【0029】
ワイヤ26の底面は、例えば楕円形、円形または多角形(例えば、三角形、長方形、正方形、または六角形を含む)の形状を有する。ワイヤの断面積は、ワイヤ軸Δに沿って一定であってもよく、またはワイヤ軸に沿って変化してもよい。ワイヤ26の下部28の平均直径は、Dnwと称される。下部28が円形の断面形状を有するワイヤ26の場合、平均直径は円の直径である。下部28が円形以外の断面を有するワイヤ26の場合、平均直径は、下部28の断面積と同じ面積を囲む円の直径に対応する。上面32の平均直径は、Dtopとも称される。好ましくは、上面32は平らである。好ましくは、上面32は、ワイヤ26を含む結晶の成長方向cに垂直な結晶面に対応する。上面32が円形に対応する場合、平均直径Dtopは円の直径に対応する。上面32が円形以外である場合、平均直径Dtopは、上面32の断面積と同じ面積を囲む円の直径に対応する。直径Dnwに対する直径Dtopの比は、減径率SFと称され、直径Dnwに対する直径Dtopの比の2倍である。さらに、軸Δに沿って測定されたワイヤ26の下部28の高さはHnwと称され、軸に沿って測定されたワイヤ26の上部30の高さはHtopと称される。
【0030】
直径Dnwは、0.05μmと2μmとの間、好ましくは100nmと1μmとの間、より好ましくは100nmと800nmとの間であってもよい。一実施形態によれば、減径率SFは、1.8未満、好ましくは1.6未満、より好ましくは1.4未満、さらに好ましくは1.2未満である。一実施形態によれば、減径率SFは、0.5よりも大きく、好ましくは0.7よりも大きく、より好ましくは0.8よりも大きい。
【0031】
一実施形態によれば、高さHnwとHtopとの合計に対応するワイヤ26の高さは、100nm以上、好ましくは500nmと50μmとの間、より好ましくは1μmと50μmとの範囲であってもよい。高さHtopは、ワイヤ26の高さの10%未満、好ましくは8%、より好ましくは5%である。
【0032】
一実施形態によれば、ワイヤ26の下部28の断面積が軸Δに沿って一定でない場合、下部28は、断面積の平均直径の変動が10%未満に留まる、ワイヤ26の底面から支持体10の接触部までの部分として定義される。また、ワイヤ26の下部28の平均直径Dnwは、下部28と上部30との接合部における下部28の直線部分の平均直径に対応してもよく、または、軸Δに沿ったワイヤ26の下部28の直線部分の平均直径の平均に対応してもよい。
【0033】
図1に示す実施形態では、上部30は錐台形状を有する。変形例では、上部30は、フレア、凹状、または凸状の形状を有してもよい。
【0034】
図2は、光電子デバイス5の概略部分透視図である。
図2では、各発光ダイオードLEDは、円筒形で概略的に示されている。また、層42および44は示されていない。
【0035】
一実施形態によれば、発光ダイオードLEDは、フォトニック結晶を形成するように配置されている。
図2には、例として、12個の発光ダイオードLEDが示されている。実際には、発光ダイオードLEDマトリックスは、7~100,000の発光ダイオードLEDを備えてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、発光ダイオードLEDは、行および列に配置されている(
図2には、3行および4列が例として示されている)。マトリクスのピッチ「a」は、発光ダイオードLEDの軸と、同じ行または隣接する行にある近くの発光ダイオードLEDの軸Δとの間の距離である。ピッチaは実質的に一定である。一実施形態によれば、ピッチaは、0.1μmと4μmとの間であってもよい。
【0037】
より具体的には、マトリクスのピッチaは、マトリクスがフォトニック結晶を形成するように選択される。形成されるフォトニック結晶は、例えば、2次元フォトニック結晶である。正方形配置と称される
図2に示す配置例では、発光ダイオードLEDは、行と列との各交差点に位置し、行は列に垂直である。六角形配置と呼ばれる他の配置例によれば、1行におけるLEDは、前の行および次の行におけるLEDからピッチaの半分だけオフセットされている。
【0038】
マトリクスによって形成されるフォトニック結晶の特性は、有利には、LEDマトリクスが、軸Δに垂直な面内の共振空洞と軸Δに沿った共振空洞とを形成するように、特に結合を達成し選択効果を高めるために選択される。これにより、フォトニック結晶を形成しない発光ダイオードLEDのアレイと比較して、マトリクスの発光ダイオードLEDのアレイによって発光面46を通って放出される放射線の強度を、特定の波長において増幅することが可能となる。フォトニック結晶の共振ピークは、孤立して得られた活性層36の発光スペクトルが最大となる波長とは異なってもよいことに留意されたい。有利には、フォトニック結晶の共振ピークの1つは、孤立して得られた活性層36の発光スペクトルが最大となる波長と同じ、または該波長に近い波長である。
【0039】
フォトニック結晶の特性は、光電子デバイス5を構成する素子の幾何学的寸法およびこれらの素子を構成する材料によって決定される。第1の近似として、フォトニック結晶の特性はワイヤ26によって設定されてもよい。
【0040】
一実施形態によれば、ワイヤ26およびシェル34は、少なくとも一部が半導体材料で作られている。半導体材料は、III-V族化合物、II-VI族化合物、およびIV族半導体もしくは化合物からなる群から選択される。III族元素の例としては、ガリウム(Ga)、インジウム(In)またはアルミニウム(Al)が挙げられる。V族元素の例としては、窒素(N)、リン(P)または砒素(As)が挙げられる。III-N化合物の例は、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaNまたはAlInGaNである。II族元素の例としては、ベリリウム(Be)およびマグネシウム(Mg)を含むIIA族元素、ならびに亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、および水銀(Hg)を含むIIB族元素が挙げられる。VI族元素の例としては、酸素(O)およびテルル(Te)を含むVIA族元素が挙げられる。II-VI族化合物の例は、ZnO、ZnMgO、CdZnO、CdZnMgO、CdHgTe、CdTeまたはHgTeである。一般に、III-VまたはII-VI化合物の元素は、異なるモル分率で組み合わせることができる。IV族半導体材料の例は、ケイ素(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、炭化ケイ素(SiC)合金、シリコンゲルマニウム(SiGe)合金、または炭化ゲルマニウム(GeC)合金である。ワイヤ26および半導体層38はドーパントを備えてもよい。一例として、III-V化合物の場合、ドーパントは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)もしくは水銀(Hg)などのII族P型ドーパント、炭素(C)などのIV族P型ドーパント、またはケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、硫黄(S)、テルビウム(Tb)もしくは錫(Sn)などのIV族N型ドーパントからなる群から選択されてもよい。好ましくは、少なくとも部分的に、半導体層38はPドープGaNであり、ワイヤ26はNドープGaNである。
【0041】
第2の電極層42は、導電性で透明である。一実施形態によれば、電極層42は、インジウムスズ酸化物(またはITO)、アルミニウムもしくはガリウムでドープされたかもしくはドープされない酸化亜鉛、またはグラフェンなどの透明導電性酸化物(TCO)層である。一例として、電極層42は、5nmと200nmとの間、好ましくは20nmと50nmとの間の厚さを有する。絶縁層22もしくは40、またはコーティング44は、酸化ケイ素または窒化ケイ素などの無機材料で作られてもよい。絶縁層40および/またはコーティング44は、絶縁性ポリマーをベースとしたベンゾシクロブテン(BCB)などの有機材料であってもよい。コーティング44は、後で詳しく説明されるように、1つの光学フィルタ、または互いに隣接して配置された複数の光学フィルタを備えてもよい。
【0042】
シード層すなわち核形成層20は、ワイヤ26の成長を促進する材料で作られている。一例として、シード層20を構成する材料は、元素周期表のIV、V、またはVI列の遷移金属の窒化物、炭化物、もしくはホウ化物、またはこれらの化合物の組み合わせであってもよい。シード層20は、複数の別個のシードパッドで置き換えてもよく、その場合、各ワイヤ26が1つのシードパッド上に載置される。
【0043】
支持体10は、前述した構造とは異なる構造を有してもよい。一実施形態によれば、支持体10は、発光ダイオードが載置された表面電極層を有する電子回路に対応してもよい。電極層12は、LEDマトリクスのLEDグループの別個の制御を可能にするように、別々の部分に分割されてもよい。
【0044】
図3はシェル34の拡大図である。シェル34は、以下を含むがそれらに限定されない複数の半導体層の積層体を備えてもよい:
-ワイヤ26の上部30の上面32を覆う、GaNなどの中間層50;
-中間層50を覆い、好ましくは中間層50と接触している活性層36;
-任意で、活性層36を覆うバリア層52;
-バリア層52を覆うワイヤ26の下部28とは反対の導電型の半導体層38;ならびに
-半導体層38を覆い、電極層42によって覆われ、電極層42と接触している結合層54。
【0045】
中間層50は、ワイヤ26の上部28と同じ半導体材料の層、またはGaInN、AlGaN、もしくはAlGaInNタイプの合金の層が好ましい。中間層50は、活性層36の成長に適した特性を有する表面を提供することを目的としている。中間層50の厚さは、5nm~5μmの範囲、好ましくは10nm~2000nmの範囲であってもよい。
【0046】
活性層36は、多重量子井戸などの閉じ込め手段を含んでもよい。活性層36は、GaN層56とInGaN層58とが交互に積層されており、例えば、
図3に例として2つのGaN層56と2つのInGaN層58とが示されている。GaN層56は、N型またはP型などでドープされてもよく、またはドープされなくてもよい。他の例によれば、活性層36は、例えば2つのGaN層の間に厚さが10nmよりも大きい単一のInGaN層を備える単一量子井戸を備えてもよい。
【0047】
発光ダイオードLEDを成長させるための方法は、化学気相成長法(CVD)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)(有機金属気相エピタキシー(MOVPE)としても知られている)、またはリモートプラズマ有機金属気相成長法(RP-MOCVD)などのタイプの方法または方法の組み合わせであってもよい。しかし、分子線エピタキシー(MBE)、ガスソースMBE(GSMBE)、有機金属MBE(MOMBE)、プラズマアシストMBE(PAMBE)、原子層エピタキシー(ALE)またはハイドライド気相成長(HVPE)などの方法を使用することもできる。しかし、電気化学的な方法、例えば、化学浴堆積法(CBD)、水熱プロセス、液体エアロゾル熱分解、または電着を使用することもできる。
【0048】
ワイヤ26の上部30の形成は、ワイヤ26の成長条件を変えることにより達成されてもよく、例えば、直径Dnwのワイヤを得る初期成長条件と、直径Dtopのワイヤを得る最終成長条件との間で、V/III比を徐々に増加させ、温度を低下させることにより、直径の減少を達成する。
【0049】
一実施形態によれば、ワイヤ26の下部28はMOCVDによって形成され、ワイヤ26の上部30はMBEによって形成される。
【0050】
シミュレーションおよび試験が行われた。これらのシミュレーションおよび試験では、下部28および上部30はNドープGaNで作られており、各発光ダイオードLEDでは、下部28および上部30の屈折率は2.4と2.5との間である。活性層36は、InGaNの層である。半導体層38はP型ドープGaNで作られている。電極層42は、TCOで作られている。絶縁層40および封止層44はBCBベースのポリマーで作られている。絶縁層40の屈折率は、1.45と1.56との間である。六角形網目に分布された発光ダイオードLEDのアレイは考慮された。ワイヤ26の高さは300nmと1μmとの間である。上部30の高さは20nmと300nmとの間である。シェル34の厚さは100nmと500nmとの間である。電極層42の厚さは100nmと500nmとの間である。封止層44の厚さは1μmと1mmとの間である。
【0051】
第1のシミュレーションでは、光電子デバイス5の減径率SFは2に等しい。
【0052】
図4は、減径率SFが2に等しいときの光電子デバイス5の概略部分断面図である。上部30の断面積は実質的に一定であり、ワイヤ26の下部28の断面積と同一である。この構成による光電子デバイス5は、比較用光電子デバイスと称される。
【0053】
図5は、比較用光電子デバイスの発光面46から放出される放射線の光強度IL(任意単位)の、放出される放射線の波長λおよび発光面46に直交した方向における放出角度に応じたグレースケール・マップである。グレースケール・マップの明るい領域は、共振ピークに対応する。小さな放出角度では、第1の発光モードM1は約550nmの波長で観測され、第2の発光モードM2はより長い波長で観測される。光学ギャップOGは、所定放出角度におけるモードM1とモードM2との波長の差に対応する。
【0054】
図6は、発光面46に垂直な軸を有する錐体において、比較用光電子デバイスによって放出される放射線の累積フラックスF(パーセントで表された)の、錐体の頂点における半角に応じた進化曲線CAを示す。曲線CBは、ランバート放射の累積フラックスの進化に対応する。
【0055】
図7は、比較用光電子デバイスの放射パターン(曲線DA)およびランバート放射の放射パターン(DB)を示す。DA放射パターンには、実質的に0°を中心にした主ローブL1と、実質的に+/-45°を中心にした副ローブL2とがある。
【0056】
第1のモードM1は、主周波数を中心とする放射強度ピークに対応し、本質的に放射パターンにおけるL1ローブの形成に関与する。モードM2は、発光ダイオードLEDの発光スペクトルを広げるだけでなく、副ローブL2の形成にも関与する。
図6および
図7で分かるように、比較用光電子デバイスの放射エネルギーのかなりの部分は、副ローブL2で失われている。特に、頂点の半角が20°に等しい錐体において、20%未満のフラックスが放出される。
【0057】
図8および
図9は、発光面46に平行し活性層36を含む平面における、第1のモードおよび第2のモードそれぞれのフォトニック結晶による増幅係数のグレースケール・マップである。明るい領域は、増幅係数が大きい領域に対応する。LEDのワイヤ26の輪郭は、白い破線で示されている。第1の近似として、
図8および
図9は、活性層36の横方向寸法とは実質的に無関係である。
【0058】
本発明者らは、モードM1増幅係数が大きく、モードM2増幅係数が小さい位置に活性層36が配置されるように、ワイヤ26の下部28の平均直径Dnwを変更せずに、活性層36の横方向寸法を変更させることにより、光電子デバイス5によって放出される放射線におけるモードM1に対する第2のモードM2の寄与を低減することが可能であることを実証した。その結果、フォトニック結晶は、本質的には、第1のモードM1によって光子生成のみを増幅する。
【0059】
図10および
図11それぞれは、領域Mx1および領域Mx2が追加された
図1の光電子デバイス5のワイヤ26および活性層36の部分の概略部分側面図および上面図であり、各領域Mx1は、フォトニック結晶による第1のモードM1増幅係数が高い領域を象徴し、各領域Mx2は、フォトニック結晶による第2のモードM2増幅係数が高い領域を象徴している。
図10および
図11に示すように、減径率SFを選択することにより、活性層36はMx2領域に存在しないように配置できる。
【0060】
第2のシミュレーションが行われた。第2のシミュレーションでは、減径率SFは1.6に等しい。
【0061】
図12は、第2のシミュレーションの光電子デバイス5の発光面46から放出される光強度ILの、放出される放射線の波長λおよび発光面46に直交した方向における放出角度に応じたグレースケール・マップである。第1のシミュレーションと比較して、第1のモードM1は短波長側へシフトしている(青シフト)。これにより、光学ギャップOGが増加した。第2のモードM2の減衰も観測された。
【0062】
第3のシミュレーションが行われた。第3のシミュレーションでは、減径率は1.2に等しい。
【0063】
図13は、第3のシミュレーションの光電子デバイス5の発光面46から放出される放射線の光強度ILの、放出される放射線の波長λおよび発光面46に直交した方向における放出角度に応じたグレースケール・マップである。第2のシミュレーションと比較して、第1のモードM1が短波長側へさらにシフトしている(青シフト)。これにより、光ギャップOGが増加した。第1のモードM1の品質係数の増加、すなわち第1のモードの広がりの減少も観察された。さらに、第2のモードM2のさらなる減衰が観測された。
【0064】
図14は、発光面46に垂直な軸の錐体において、第3のシミュレーションの光電子デバイス5によって放出される放射線の累積フラックス(パーセントで表された)の、錐体の頂点における半角に応じた進化曲線CA′を示す。曲線CBはランバート放射の累積フラックスの進化に対応する。
【0065】
図15は、第3のシミュレーションの光電子デバイス5の放射パターン(曲線DA′)と、ランバート放射の放射パターン(DB)を示す。放射パターンDA′は実質的には0°を中心とする単一のローブを有する。本質的には副ローブはない。
【0066】
図14および
図15から分かるように、光電子デバイス5の放射エネルギーの大部分は、単一のローブDA′に存在する。特に、半角が20°に等しい錐体において、80%を超えた放射線フラックスが放出される。
【0067】
試験が行われた。第1の試験では、第1のシミュレーションの特徴を有する光電子デバイスを製造した。
【0068】
図16は、第1の試験の光電子デバイス5の発光面46から放出される放射線の正規化された光強度ILの、放出される放射線の波長λ及び発光面46に直交した方向における放出角度に応じたグレースケール・マップである。
【0069】
図17は、第1の試験の光電子デバイス5の発光面46から発光面に直交した方向に沿って放出される放射線の光強度ILの波長λに応じた進化曲線である。
【0070】
第1のシミュレーションの結果と比較して、低角度では、第1のモードと第2のモードとの間に実質的に光学的な差がないことが観察された。これは、完全に円筒形のワイヤ26を形成することが困難である可能性があるという事実、および成長条件により円筒形のワイヤ26が得られるはずであるが、ワイヤ26の上部にわずかな広がりが観察される可能性があるという事実によると考えられる。
【0071】
第2および第3の試験では、第3のシミュレーションの特徴を有する光電子デバイス5を製造した。第2および第3の試験では、光電子デバイスの製造に使用されるリアクタが異なる。
【0072】
図18は、第2の試験の光電子デバイス5の発光面46から放出される放射線の光強度ILの、放出される放射線の波長λおよび発光面46に直交した方向における放出角度に応じたグレースケール・マップである。第1の試験と比較して、シミュレーションから予想されるように、第1のモードと第2のモードとの間の光学ギャップOGの増加が観測された。
【0073】
図19は、第3の試験の光電子デバイス5の発光面46によって発光面に直交した方向に沿って放出される放射線の光強度ILの、波長λに応じた進化曲線である。
図17と比較して、第1のモードの発光ピークは狭くなり、第2のモードは存在しない。
【0074】
図20は、シミュレーションによって得られた、発光面46に直交した方向における放出角度が0°に実質的に等しい場合、
図1の光電子デバイス5によって放出される光強度の、放出される放射線の波長λおよび減径率SFに応じたグレースケール・マップである。減径率SFが減少するにつれて、第2のモードM2が消失する傾向があり、第1のモードM1が短波長側にシフトし、光学ギャップ(OG)が増加することがはっきりとわかる。SFが1.2以下である場合、第2のモードM2は無視できるほど小さくなる。
図20は、減径率SFが減少するにつれて第1のモードM1が消失する印象を与える。実際には、減径率SFが減少するにつれて第1のモードM1がより微細化し、これは、減径率SFが減少するにつれて第1のモードM1の品質係数が増加することを意味する。
【0075】
図21は、光電子デバイスを設計するための方法の一実施形態のブロック図である。
【0076】
ステップ60では、発光スペクトルの所望の第1の特性を達成するように、フォトニック結晶の特徴を決定する。フォトニック結晶の特徴は、LEDマトリックスのピッチaとワイヤ26の直径Dnwとを含んでもよい。発光スペクトルの所望の第1の特性は、発光ピークの所望の主波長を含んでもよい。一実施形態によれば、フォトニック結晶の特徴を決定することは、連続したコンピュータシミュレーションを行うことを含んでもよく、各シミュレーションは、減径率SFが2に等しいLEDを考慮して行われる。たとえば、ピッチaおよび平均直径Dnwの初期値を使用してシミュレーションを行い、これらの値は、所望の主波長とシミュレーションの共振ピークの主波長との差などの所定の基準に従って修正される。この操作は所望の特性を有する発光スペクトルが得られるまで繰り返される。方法はステップ62に進む。
【0077】
ステップ62では、減径率SFを減少させる。方法はステップ64に進む。
【0078】
ステップ64では、新しい減径率SFを有する光電子デバイスの動作のシミュレーションを行う。方法はステップ66に進む。
【0079】
ステップ66では、方法が終了できるか否かを判断する。一実施形態によれば、放出される放射線の所望の副特性が達成されるか否かを判断する。所望の副特性は、例えば、放射パターンに副ローブが存在しないことによる、発光スペクトル帯域幅および/または放出される放射指向性を含んでもよい。放出される放射線の副特性が達成されれば、方法は完了する。そうでない場合、方法は、ステップ62に進んで、減径率SFをさらに減少させることを実行する。
【0080】
様々な実施形態および変形例について説明してきた。当業者は、これらの実施形態及び変形例の特定の特徴を組み合わせてもよく、他の変形例も当業者により容易に想起されることを理解するであろう。最後に、本明細書で説明した実施形態及び変形例の実用的実現は、本明細書で提供した機能説明に基づいて、当業者の能力の範囲内である。
【0081】
本特許出願は、本明細書の一部とみなされる仏国特許出願第20/13518号明細書の優先権を主張している。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
図4は、減径率SFが2に等しいときの光電子デバイス5
′の概略部分断面図である。上部30の断面積は実質的に一定であり、ワイヤ26の下部28の断面積と同一である。この構成による光電子デバイス5
′は、比較用光電子デバイスと称される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャル発光ダイオード(LED)のマトリックスを備え、各発光ダイオードは、電磁放射線を放出するように構成された活性層(36)を備え、前記マトリックスは、前記活性層を含む平面において、少なくとも第1および第2の共振ピークを形成するように構成されたフォトニック結晶を形成し、各第1の共振ピークは、第1の波長で前記電磁放射線の強度を増幅し、各第2の共振ピークは、第2の波長で前記電磁放射線の強度を増幅し、各発光ダイオード(LED)は、軸(Δ)に沿って細長い半導体素子(26)を備え、第1の平均直径(D
nw)の第1の部分(28)と、第1の部分を延長し、前記第1の部分から離れるにつれて減少する断面積を有する第2の部分(30)と、前記第2の部分を延長し、前記第1の平均直径よりも厳密に小さい第2の平均直径(D
top)を有する前記活性層(36)とを備え、前記活性層は、前記第1の共振ピークの位置にあり、第2の共振ピークの位置にはない、
光電子デバイス(5)。
【請求項2】
前記第1の平均直径(D
nw)に対する前記第2の平均直径(D
top)の比の2倍は、0.5と1.8との間である
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の平均直径(D
nw)に対する前記第2の平均直径(D
top)の比の2倍は、0.6と1.4との間である
請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の平均直径(D
nw)は0.05μmと2μmとの間である
請求項
1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の平均直径(D
nw)は100nmと1μmとの間である
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記軸(Δ)に沿って測定された前記第2の部分(30)の高さ(H
top)は、前記軸に沿って測定された前記細長い半導体素子の高さの10%未満である
請求項
1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記細長い半導体素子(26)の前記第1の部分
(28)は、一定の断面を有する
請求項
1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記アキシャル発光ダイオード(LED)は、0.1μmと4μmとの間のピッチ(a)を有するアレイに配置されている
請求項
1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記軸(Δ)に沿って測定された各細長い半導体素子(26)の高さは、100nmと50μmとの間である
請求項
1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記細長い半導体素子(26)が一定の断面を有することを考慮して、シミュレーションにより、前記フォトニック結晶のピッチ(a)および前記第1の平均直径(D
nw)を決定するステップa
(60)と、
前記第1の平均直径を変更せずに前記第2の平均直径(D
top)を減少させるステップb
(62)と、
減少された第2の平均直径を有する前記活性層を有する前記光電子デバイス(5)の動作をシミュレートするステップc
(64)と、
前記活性層が前記第1の共振ピークの位置にあり、前記第2の共振ピークの位置にはなくなるまで、ステップb及びステップcを繰り返すステップdと
を含む請求項
1に記載の光電子デバイス(5)を設計するための方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】