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特表2023-554096ケラチン繊維を明色化するための組成物及びこの組成物を使用してケラチン繊維を明色化する方法
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  • 特表-ケラチン繊維を明色化するための組成物及びこの組成物を使用してケラチン繊維を明色化する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を明色化するための組成物及びこの組成物を使用してケラチン繊維を明色化する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20231219BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20231219BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/19
A61K8/22
A61Q5/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537138
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2021086223
(87)【国際公開番号】W WO2022129344
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013723
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ブレ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・サベル
(72)【発明者】
【氏名】ラーマ・ベニ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB411
4C083AB412
4C083CC35
4C083DD06
4C083DD27
4C083EE27
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種の化学的酸化剤と、炭酸アンモニウムと、少なくとも1種のシリケートとを含む、ケラチン繊維を明色化するための組成物及びまたこの組成物を使用してケラチン繊維を明色化する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種以上の化学的酸化剤;
ii)炭酸アンモニウム;
iii)1種以上のシリケート
を含み、前記シリケートは、前記組成物の総質量に対して1質量%~40質量%の範囲の総含有量で存在する、組成物。
【請求項2】
前記化学的酸化剤は、過酸化水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化学的酸化剤は、前記組成物の総質量に対して1質量%~12質量%の範囲、好ましくは3質量%~9質量%の範囲、より優先的には3.5質量%~8.5質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記炭酸アンモニウムは、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~20質量%の範囲、より優先的には1質量%~10質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリケートは、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類金属シリケート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物、好ましくはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物、より優先的にはケイ酸ナトリウムから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリケートは、前記組成物の総質量に対して2質量%~35質量%の範囲、好ましくは3質量%~35質量%の範囲、より優先的には4質量%~20質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
iv)1種以上のビカーボネート及び/又は1種以上のビカーボネート発生系も含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビカーボネートは、
- アルカリ金属ビカーボネート;
- アルカリ土類金属ビカーボネート;
- 式N,HCO (式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシル基で任意選択的に置換されている(C~C)アルキル基を表す)の化合物;
- 炭酸水素アミノグアニジン;
- それらの混合物、
好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素コリン、炭酸水素トリエチルアンモニウム、炭酸水素アミノグアニジン及びそれらの混合物、より優先的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物、より優先的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物、更により優先的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択され、最も優先的には、前記ビカーボネートは、炭酸水素アンモニウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ビカーボネート及び/又は前記ビカーボネート発生系は、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲、更により優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
炭酸アンモニウムii)の総量/シリケートiii)の総量の質量比は、0.00025~20、好ましくは0.028~10、より優先的には0.028~3.4である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
炭酸アンモニウムii)の総量/化学的酸化剤i)の総量の質量比は、0.0008~20、好ましくは0.1~6.6、より優先的には0.1~2.9である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
炭酸アンモニウムii)の総量/ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系iv)の総量の質量比は、0.005~2000、好ましくは0.06~20、より優先的には0.06~5である、請求項7~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
5質量%未満、好ましくは1質量%未満、より優先的には0.1質量%未満、更により優先的には0.01質量%未満、最も優先的には0.001質量%未満の総含有量の炭酸マグネシウムを含み、更により良好には炭酸マグネシウムを含まない、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より優先的には1質量%未満、更により優先的には0.1質量%未満、最も優先的には0.01質量%未満、更により良好には0.001質量%未満の総含有量のペルスルフェートを含み、なおも更により良好にはペルスルフェートを含まない、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物のpHは、8~11、好ましくは8~10.5、より優先的には8~10、更により優先的には8.3~10の範囲である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物の総質量に対して0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より優先的には0.001質量%未満の総含有量の着色剤を含み、更により優先的には着色剤を含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ケラチン繊維を明色化する方法であって、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン繊維、好ましくは暗色ケラチン繊維に適用することを含む方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物は、少なくとも2つの組成物:
- 請求項1又は2に記載のi)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種以上の化学的酸化剤を含む組成物(A)と;
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のii)炭酸アンモニウム、及びiii)1種以上のシリケートと、任意選択的に、請求項7又は8に記載のiv)1種以上のビカーボネート及び/又は1種以上のビカーボネート発生系とを含む組成物(B)と
の混合から得られる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ケラチン繊維を明色化するための、好ましくはケラチン繊維を明色化しながら、同時に前記ケラチン繊維の黄色みを低減するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
多区画デバイスであって、
・請求項18に記載の組成物(A)を収容する第1の区画と;
・請求項18に記載の組成物(B)を収容する第2の区画と
を含む多区画デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の化学的酸化剤と、炭酸アンモニウムと、少なくとも1種のシリケートとを含む、ケラチン繊維を明色化するための組成物及びまたこの組成物を使用してケラチン繊維を明色化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人が毛髪の色を変化させることを望む場合、特に元の色よりも明るい色を得ることを望む場合、予め毛髪の明色化又は脱色を行う必要があることが多い。これを行うために、明色化又は脱色のための製品が使用される。
【0003】
毛髪の明色化は、明色化の度合い又は程度を特徴付ける「色調の階調」で評価される。「色調」という概念は、自然な濃淡を段階分けすることに基づいており、1つの色調によってその直前又は直後の濃淡を分けるものである。この自然な濃淡の定義及び段階分けは、整髪の専門家によく知られており、書籍(非特許文献1)に公開されている。色調の階調は、1(黒色)~10(非常に明るいブロンド)の範囲で表され、1つの単位が1つの色調に対応し、数字が大きくなるほど濃淡が薄くなる。
【0004】
ほとんどの場合にアルカリ性pH条件下において、少なくとも1種の化学的酸化剤を含有する明色化組成物又は脱色組成物を用いて毛髪を明色化又は脱色することが公知の慣行である。化学的酸化剤の役割は、毛髪のメラニンを分解することであり、これにより、存在する酸化剤の性質及びpH条件に依存して、多かれ少なかれ明らかな繊維の明色化がもたらされる。したがって、比較的穏やかな明色化を行う場合、酸化剤として過酸化水素を用いることが一般的である。より明色化が望まれる場合、特に処理される毛髪が暗い場合、通常、過酸化水素の存在下でペルスルフェートが使用される。しかし、そのような組み合わせの作用によって得られる明色化は、髪を自然な色合いと大きく異なるかなり魅力的ではないオレンジがかった黄色の色合いにし、それにより、その後のカラーリングが暖色系の色調を得ることに限定されることによって複雑になるため、必ずしも満足できるものではない。更に、ペルスルフェートに基づく明色化組成物は、繊維の品質の劣化を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sciences des traitements capillaires[Hair treatment sciences]by Charles Zviak,1988,published by Masson,pp.215 and 278
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、ケラチン繊維、特に暗色ケラチン繊維を効果的に明色化し、黄色みが少なく、より自然な結果を得ることができる組成物を開発することが実際に求められている。そのような組成物は、繊維の品質により注意を払い、特にそれらの劣化を最小限に抑える必要もあるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、本出願人は、本発明による組成物を用いることによってこれらの目的が全て達成され得ることを見出した。
【0008】
第1の態様によれば、本発明の主題は、組成物であって、
i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種以上の化学的酸化剤;
ii)炭酸アンモニウム;
iii)1種以上のシリケート
を含み、シリケートは、組成物の総質量に対して1質量%~40質量%の範囲の総含有量で存在する、組成物である。
【0009】
第2の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を明色化する方法であって、上で定義した組成物をケラチン繊維に適用することを含む方法である。
【0010】
第3の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を明色化するための、好ましくはケラチン繊維を明色化しながら、同時にケラチン繊維の黄色みを低減するための、上で定義した組成物の使用である。
【0011】
第4の態様によれば、本発明の主題は、多区画デバイス(キット)であって、
・i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種以上の化学的酸化剤を含む組成物(A)を収容する第1の区画と;
・ii)炭酸アンモニウム、及びiii)1種以上のシリケートと、任意選択的に、iv)1種以上のビカーボネート及び/又は1種以上のビカーボネート発生系とを含む組成物(B)を収容する第2の区画と
を含む多区画デバイス(キット)である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による組成物(実施例2)及びペルスルフェートに基づく比較組成物(実施例1)についての、パラメータb*の関数としての強度L*の変化を表すグラフであり、L*及びb*の値は、CIE L*a*b*系で測定されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的に関して、別段の指定がない限り、以下の通りである:
・「ケラチン繊維」という用語は、頭髪、体毛、睫毛、眉毛、羊毛、アンゴラヤギの毛、カシミヤ又は毛皮などのヒト又は動物由来の繊維を意味する。本発明によれば、ケラチン繊維は、好ましくは、ヒトのケラチン繊維、より優先的には毛髪、更により優先的には頭髪である;
・「アルキル基」という用語は、直鎖又は分岐の飽和炭化水素系基を意味する;
・「(C~C)アルキル基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を意味する;
・用語「シリケート」は、ケイ酸塩を意味する;
・「着色剤」という用語は、酸化染料、直接染料又は顔料を意味する;
・「酸化染料」という用語は、酸化性塩基及びカプラーから選択される酸化染料前駆体を意味する。酸化性塩基及びカプラーは、無色又は色の薄い化合物であり、酸化剤の存在下における縮合反応を介して有色の種を与えるものである;
・「直接染料」という用語は、酸化染料以外の、抽出物の形態を含む天然及び/又は合成染料を意味し;これらは、繊維の表面上に広がることになる有色の化合物である。これらは、イオン性又は非イオン性、すなわちアニオン性、カチオン性、中性又は非イオン性であり得る;
・「化学的酸化剤」という用語は、大気酸素以外の酸化剤を意味する。
【0014】
別段の指定がない限り、本出願において化合物に言及する場合、これは、その光学異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その塩又はその溶媒和物(水和物等)及びそれらの混合物も含む。
【0015】
「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という表現は、同義であり、互換的に使用することができる。
【0016】
表現「明色化」及び「脱色」は、同義であり、互換的に使用することができる。
【0017】
組成物
第1の態様によれば、本発明の主題は、上で定義した組成物である。
【0018】
本出願人は、驚くべきことに、本発明による組成物により、黄色みが少なく、より自然な結果でケラチン繊維を効果的に明色化できることを認めた。本発明による組成物で処理されたケラチン繊維の色を、従来技術で公知の明色化組成物で処理されたケラチン繊維の色と比較すると、CIE L*a*b*系で測定されるb*の値が、同等の強度レベルL*において、従来技術で公知の明色化組成物よりも本発明による組成物で低いことが観察される。
【0019】
更に、本発明による組成物は、繊維の品質により注意を払っており、特にその劣化を最小限に抑える。
【0020】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、
i)過酸化水素;
ii)炭酸アンモニウム;
iii)1種以上のシリケート
を含み、シリケートは、組成物の総質量に対して1質量%~40質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0021】
化学的酸化剤
本発明による組成物は、i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種以上の化学的酸化剤を含む。
【0022】
過酸化塩以外の過酸化水素発生系は、過酸化尿素、過酸化水素を放出することができる高分子複合体、酸化酵素及びそれらの混合物から選択することができる。
【0023】
過酸化水素を放出することができる高分子複合体の例として、特に粉末形態のポリビニルピロリドン/H並びに米国特許第5008093号明細書、米国特許第3376110号明細書及び米国特許第5183901号明細書に記載されている他の高分子複合体を挙げることができる。
【0024】
酸化酵素は、適切な物質(例えば、グルコースオキシダーゼの場合のグルコース又はウリカーゼの場合の尿酸など)の存在下で過酸化水素を発生することができる。
【0025】
特定の一実施形態によれば、過酸化水素及び/又は過酸化塩以外の過酸化水素発生系は、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する直前に添加することができる。過酸化水素及び/又は過酸化塩以外の過酸化水素発生系を含む中間組成物は、酸化性組成物と称することができ、ケラチン繊維を明色化するための組成物に従来使用されている様々な追加の化合物又は様々な補助剤も含有し得る。
【0026】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、化学的酸化剤として過酸化水素を含む。
【0027】
化学的酸化剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して1質量%~12質量%の範囲、より優先的には3質量%~9質量%の範囲、更により優先的には3.5質量%~8.5質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0028】
好ましい一実施形態によれば、過酸化水素は、組成物の総質量に対して1質量%~12質量%、好ましくは3質量%~9質量%、より優先的には3.5質量%~8.5質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0029】
ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系
本発明による組成物は、iv)1種以上のビカーボネート及び/又は1種以上のビカーボネート発生系、好ましくはiv)1種以上のビカーボネートも含み得る。
【0030】
「ビカーボネート発生系」という用語は、ビカーボネートを、例えば水中の二酸化炭素をインサイチューで又はカーボネートを鉱酸若しくは有機酸で緩衝することによって生成する系を意味する。
【0031】
好ましくは、ビカーボネートは、以下から選択される:
- アルカリ金属ビカーボネート;
- アルカリ土類金属ビカーボネート;
- 式N,HCO (式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシル基で任意選択的に置換されている(C~C)アルキル基を表す)の化合物;
- 炭酸水素アミノグアニジン;
- それらの混合物。
【0032】
より優先的には、ビカーボネートは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素コリン、炭酸水素トリエチルアンモニウム、炭酸水素アミノグアニジン及びそれらの混合物から選択される。
【0033】
更により優先的には、ビカーボネートは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0034】
最も優先的には、ビカーボネートは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0035】
特に好ましい一実施形態によれば、組成物に含まれるビカーボネートは炭酸水素アンモニウムである。
【0036】
ビカーボネートは、天然水由来、例えばビシー盆地(Vichy basin)からの湧き水若しくはラ・ロシェ・ポセイ(La Roche Posay)からの湧き水又はバドア水(Badoit water)であり得る(例えば、特許文献仏国特許第2814943号明細書を参照されたい)。
【0037】
ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、より優先的には1質量%~15質量%の範囲、更により優先的には2質量%~15質量%、最も優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0038】
好ましい一実施形態によれば、ビカーボネートは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲、更により優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0039】
シリケート
本発明による組成物は、iii)1種以上のシリケートも含む。シリケートは、好ましくは、水溶性である。「水溶性シリケート」という用語は、通常の周囲温度(25℃)且つ大気圧(760mmHg)において0.5質量%を超える、好ましくは1質量%を超える水への溶解性を有するシリケートを意味する。好ましくは、シリケートは、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類金属シリケート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択される。より優先的には、シリケートは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択される。更により優先的には、シリケートは、ケイ酸ナトリウムから選択される。ケイ酸ナトリウムの例として、CAS番号:[1344-09-8]及び[6834-92-0]の化合物を挙げることができる。
【0040】
シリケートは、組成物の総質量に対して1質量%~40質量%の範囲、好ましくは2質量%~35質量%の範囲、より優先的には3質量%~35質量%の範囲、更により優先的には4質量%~20質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0041】
炭酸アンモニウム
本発明による組成物は、ii)炭酸アンモニウムを含む。
【0042】
炭酸アンモニウムは、好ましくは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、より優先的には1質量%~20質量%の範囲、更により優先的には1質量%~10質量%の範囲の含有量で存在する。
【0043】
炭酸アンモニウムii)の総量/シリケートiii)の総量の質量比は、好ましくは、0.00025~20、より優先的には0.028~10、更により優先的には0.028~3.4である。
【0044】
炭酸アンモニウムii)の総量/化学的酸化剤i)の総量の質量比は、好ましくは、0.0008~20、より優先的には0.1~6.6、更により優先的には0.1~2.9である。
【0045】
好ましい一実施形態によれば、炭酸アンモニウムii)の総量/過酸化水素の総量の質量比は、0.0008~20、好ましくは0.1~6.6、より優先的には0.1~2.9である。
【0046】
炭酸アンモニウムii)の総量/ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系iv)の総量の質量比は、好ましくは、0.005~2000、より優先的には0.06~20、更により優先的には0.06~5である。
【0047】
好ましい一実施形態によれば、炭酸アンモニウムii)の総量/ビカーボネート(iv)の総量の質量比は、好ましくは、0.005~2000、より優先的には0.06~20、更により優先的には0.06~5である。
【0048】
組成物は、好ましくは、5質量%未満、より優先的には1質量%未満、更により優先的には0.1質量%未満、最も優先的には0.01質量%未満、更により良好には0.001質量%未満の総含有量の炭酸マグネシウムを含む。
【0049】
特に好ましい一実施形態によれば、組成物は、炭酸マグネシウムを含まない。
【0050】
組成物は、好ましくは、10質量%未満、より優先的には5質量%未満、更により優先的には1質量%未満、最も優先的には0.1質量%未満、より良好には0.01質量%未満、なおも更により良好には0.001質量%未満の総含有量のペルスルフェートを含む。特に好ましい一実施形態によれば、組成物は、ペルスルフェートを含まない。
【0051】
組成物は、直接染料、酸化染料及びそれらの混合物から選択される1種以上の着色剤を含み得る。
【0052】
それらが存在する場合、着色剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~4質量%、より優先的には0.1質量%~1質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0053】
酸化染料
酸化染料は、一般に、1種以上のカップリング剤(カプラーとしても知られる)を任意選択的に組み合わせた1種以上の酸化性塩基から選択される。
【0054】
酸化性塩基
組成物は、任意選択的に、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択される1種以上の酸化性塩基を含む。
【0055】
例として、酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環式塩基並びに対応する付加塩から選択される。
【0056】
パラ-フェニレンジアミンの中でも、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン及び3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0057】
上述したパラ-フェニレンジアミンの中でも、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン及び酸との対応する付加塩が特に好ましい。
【0058】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中でも、例えば、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン並びに対応する付加塩を挙げることができる。
【0059】
言及されるパラ-アミノフェノールの中でも、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0060】
オルト-アミノフェノールの中でも、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール並びに対応する付加塩を挙げることができる。
【0061】
複素環式塩基の中でも、例えば、ピリジン、ピリミジン及びピラゾール誘導体を挙げることができる。
【0062】
ピリジン誘導体の中でも、例えば、特許英国特許出願公開第1026978号明細書及び英国特許出願公開第1153196号明細書に記載される化合物、例えば、2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン及び3,4-ジアミノピリジン並びに対応する付加塩を挙げることができる。
【0063】
本発明に有用な他のピリジン系酸化性塩基は、例えば、特許出願仏国特許第2801308号明細書に記載されている酸化性塩基である3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン又は対応する付加塩である。列挙され得る例として、下記が挙げられる:ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン及び2-(4-ジメチルピペラジニウム-1-イル)-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン並びに対応する付加塩。
【0064】
より詳細には、本発明で有用な酸化性塩基は、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジンから選択され、好ましくは炭素原子2上において、
a)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基であって、少なくとも1個のヒドロキシル基、アミノ基又はイミダゾリウム基で置換されている可能性がある(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基;
b)1つ以上の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されている、1~3個のヘテロ原子を含む、任意選択的にカチオン性の5~7員のヘテロシクロアルキル基、例えばジ(C~C)アルキルピペラジニウム基;又は
c)1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換されている(C~C)アルコキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルコキシ基
で置換されているもの及び対応する付加塩である。
【0065】
ピリミジン誘導体の中でも、例えば、特許独国特許第2359399号明細書;日本特許第88-169571号公報;特開平05-63124号公報;欧州特許第0770375号明細書又は特許出願国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリジミン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリジミン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリジミン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリジミン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びその付加塩並びに互変異性平衡が存在する場合にはその互変異性体を挙げることができる。
【0066】
ピラゾール誘導体の中でも、特許独国特許第3843892号明細書及び独国特許第4133957号明細書並びに特許出願国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、仏国特許出願公開第A-2733749号明細書及び独国特許第19543988号明細書に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール並びに対応する付加塩を挙げることができる。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用することができる。
【0067】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾールが使用され、更により優先的には4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0068】
更に、ピラゾール誘導体として、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に特許出願仏国特許出願公開第A-2886136号明細書に記載されているもの、例えば以下の化合物及び対応する付加塩:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン及び2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンも挙げることができる。
【0069】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0070】
好ましく使用される複素環式塩基は、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/若しくは2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン並びに/又は対応する塩である。
【0071】
カップリング剤
組成物は、任意選択的に、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択される1種以上のカップリング剤を含むことができる。
【0072】
これらのカップリング剤の中でも、特にメタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤及び複素環式カップリング剤に加えて、対応する付加塩を挙げることができる。
【0073】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール及び3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、酸との対応する付加塩並びに対応する混合物を挙げることができる。
【0074】
一般に、本発明に関連して使用することができる酸化性塩基及びカップリング剤の付加塩は、特に酸との付加塩、例えばヒドロクロリド、ヒドロブロミド、スルフェート、シトレート、サクシネート、タルトレート、ラクテート、トシレート、ベンゼンスルホネート、ホスフェート及びアセテートから選択される。
【0075】
酸化性塩基は、それぞれ、組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%までを占めると有利であり、組成物の総質量に対して0.005質量%~5質量%の範囲であるのが好ましい。
【0076】
カップリング剤が存在する場合、これらは、有利には、それぞれ組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.005質量%~5質量%を占める。
【0077】
直接染料
組成物は、1種以上の直接染料も含み得る。
【0078】
直接染料は、中性、カチオン性又はアニオン性の直接染料であり得、好ましくは中性又はカチオン性の直接染料であり得る。
【0079】
直接染料は、アクリジン;アクリドン;アンスラントロン(anthranthrone);アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ又はアゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンゾイミダゾール;ベンゾイミダゾロン;ベンゾインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;(ジ)アザカルボシアニン、(ジ)アザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;(ジ)アジン;ビス-アジン;(ジ)オキサジン;(ジ)チアジン;(ジ)フェニルアミン;(ジ)フェニルメタン;(ジ)ケトピロロピロール;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド、チオインジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリン;チアジン;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテン;及び天然直接染料から選択される中性、カチオン性又はアニオン性の直接染料であり得る。好ましくは、直接染料は、アントラキノン、(ポリ)アゾ、アゾメチン及びスチルベン、より優先的にはアントラキノンから選択される。
【0080】
直接染料は、特に、中性、カチオン性又はアニオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性アゾ直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性テトラアザペンタメチン染料、カチオン性又はアニオン性キノン染料、特に、中性、カチオン性又はアニオン性アントラキノン染料、中性、カチオン性又はアニオン性アジン直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性トリアリールメタン直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性アゾメチン直接染料及び天然直接染料から選択することができる。好ましくは、直接染料は、中性又はアニオン性アントラキノン染料及びスチルベンから選択される。
【0081】
本発明に使用することができる中性、アニオン性又はカチオン性直接染料として、以下の染料を挙げることができる:アクリジン;アクリドン;アンスラントロン;アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ;ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンゾイミダゾール;ベンゾイミダゾロン;ベンゾインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスアジン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;ジアジン;ジケトピロロピロール;ジオキサジン;ジフェニルアミン;ジフェニルメタン;ジチアアジン;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン、ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾール;チアジン;チオインジゴ;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテン。
【0082】
中性直接染料
直接染料は、好ましくは、以下の式(IIIa)及び(III’a)のヒドラゾノ染料、アゾ及びスチリル染料(IVa)、ジアゾ及びジスチリル染料(IV’a)及び(IV’’a)、アントラキノン染料(Va)並びにアゾメチン染料(VIa)及び(VI’a)並びにそれらの混合物から選択される中性直接染料であり得る。
【化1】
式(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)及び(VI’a)において、
・Arは、アリール基であって、少なくとも1つの電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノ、で置換されたアリール基、例えばフェニル若しくはナフチルを表すか、又はArは、ジュロリジン基を表し;
・Ar’は、任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基、例えば、好ましくは1つ以上の(C~C)アルキル基、ヒドロキシル基又は(C~C)アルコキシ基で任意選択的に置換された、フェニレン、特にパラフェニレン又はナフタレンを表し;
・Ar’’は、(ヘテロ)アリール基であって、好ましくは少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’などの電子吸引性基、又はii)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル、iv)(C~C)アルコキシ、で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;特に(ヘテロ)アリールは、イミダゾリル、トリアゾリル、インドリル若しくはピリジル又は好ましくはフェニル基のパラ位を置換しているニトロ、ニトロソ及びアミノから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されたフェニルから選択され;
・X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNR’’基、好ましくは酸素原子を表し;
・R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロ及びニトロソから選択される基を表し;
・R’及びR’’は、(C~C)アルキル基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか;又は
変形形態として、置換基RがAr’’の置換基と、及び/若しくはRがArの置換基と、及び/若しくはRがRと、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R及びRは、水素原子又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・T及びT’は、同一であるか又は異なり得、C(R)基又はN、好ましくはNを表し;
・Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-又は-C(X)-ALK-C(X’)-(式中、ALKは、メチレンなどの直鎖又は分岐の(C~C)アルキレン基を表し、X及びX’は、先に定義した通りである)を表し、
・R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- アリールオキシ又はアリールチオ;
- アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ
から選択される基を表し;
・Z’は、水素原子又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であるか又は異なり得、水素原子、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ以上の基、特にi)(C~C)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、(C~C)アルキル基を表し、X、X’及びX’’は、先に定義した通りである);iv)スルホネート、で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル
から選択される基を表し;
・Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であるか又は異なり得、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)
から選択される基を表す。
【0083】
式(IV’’a)の直接染料は、好ましくは、式(IV’’’a):
【化2】
(式(IV’’’a)中、
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基又はグルコシルなどの糖、好ましくは水素原子を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、水素原子、(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基又は-O-グルコシルなどの-O-糖基、好ましくはメトキシなどの(C~C)アルコキシを表し;
・Xは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、酸素若しくは硫黄原子又はN-R(式中、Rは、水素原子又は任意の基、好ましくは酸素原子を表す)を表し;
・ALKは、メチレン又はエチレンなどの(C~C)アルキレン基、好ましくはメチレンを表す)
のものである。
【0084】
式(IV’’a)の直接染料は、クルクミン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミンから誘導することができる。
【0085】
好ましくは、直接染料は、先に定義した式(IV’’a)及び(IV’’’a)の直接染料並びにそれらの混合物から選択される。
【0086】
特に好ましい一実施形態によれば、直接染料は、以下の化合物(A)~(G):
【化3】
及びそれらの混合物、好ましくは化合物(E)、(F)及び(G)並びにそれらの混合物、より優先的には化合物(E)及び(G)並びにそれらの混合物から選択される中性直接染料である。
【0087】
カチオン性直接染料
直接染料は、カチオン性であるか又は酸性物質と親和性があることから一般に「塩基性染料」と称される、特にその構造内に少なくとも1つの環内又は環外のカチオン性基又はカチオン化可能な基を含む、直接染料から選択することができる。
【0088】
本発明に使用することができるカチオン性アゾ染料として、特に、2010年4月19日に改訂されたKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,“Dyes,Azo”,J.Wiley&Sonsに記載されているカチオン性染料を挙げることができる。
【0089】
特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料も挙げることができる。
【0090】
Color Index International,3rd editionに記載されているカチオン性アゾ染料、特に以下の化合物:Basic Red 22;Basic Red 76;Basic Yellow 57;Basic Brown 16;Basic Brown 17も挙げることができる。
【0091】
カチオン性キノン染料の中でも、Color Index International,3rd editionに記載されているものが適しており、その中でも特に、以下の染料:Basic Blue 22;Basic Blue 99を挙げることができる。
【0092】
好適なアジン染料の中でも、Color Index International,3rd editionに列挙されているもの、例えば以下の染料:Basic Blue 17、Basic Red 2を挙げることができる。
【0093】
本発明に従って使用することができるカチオン性トリアリールメタン染料の中でも、Color Index International, 3rd editionに列挙されているものに加えて、以下の染料:Basic Green 1、Basic Violet 3、Basic Violet 14、Basic Blue 7、Basic Blue 26を挙げることができる。
【0094】
文献米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書の文書に記載されている直接染料も挙げることができる。
【0095】
K.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1-7;“Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology”の“Dyes and Dye Intermediates”章、1993,Wiley and Sons;及び“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章に列挙されているものも挙げることができる。
【0096】
好ましくは、カチオン性直接染料は、アゾ及びヒドラゾノ型の染料から得られるものから選択される。
【0097】
カチオン性直接染料は、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許第918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許出願公開第1560664号明細書、仏国特許出願公開第1540423号明細書、仏国特許出願公開第1567219号明細書、仏国特許出願公開第1516943号明細書、仏国特許出願公開第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許出願公開第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許出願公開第1974-27645号明細書、Acta Histochem,(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.,(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.,(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載されているカチオン性アゾ染料でもあり得る。
【0098】
好ましくは、カチオン性直接染料は、四級アンモニウム基を含み;より優先的には、カチオン性電荷は、環内にある。このカチオン性基は、例えば、
- 環外に(ジ/トリ)(C~C)アルキルアンモニウム電荷を有するカチオン性基;又は
- 環内電荷を有するカチオン性基、例えば、アクリジニウム、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム又はキサンチリウムから選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含む環内電荷を有するカチオン性基
である。
【0099】
以下の式(IIb)及び(IIIb)のヒドラゾノカチオン性直接染料並びに式(IVb)及び(Vb)のアゾ染料も挙げることができる:
Het-C(R)=N-N(R)-Ar,Q(IIb)
Het+-N(R)-N=C(R)-Ar,Q(IIIb);
Het+-N=N-Ar,Q(IVb);
Ar-N=N-Ar’’,Q(Vb)。
式(IIb)~(Vb)において、
・Hetは、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、優先的には環内にカチオン性電荷を有する、イミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
・Arは、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
・Arは、アリール基であって、優先的には1つ以上の電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノ、で任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表すか、又は代わりに、Arは、ジュロリジン基を表し;
・Ar’’は、任意選択的に置換されたフェニル又はピラゾリルなどの(ヘテロ)アリール基であって、優先的には1つ以上の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ又はフェニル基で任意選択的に置換された、(ヘテロ)アリール基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は任意選択的に優先的にはヒドロキシル基で置換された(C~C)アルキル基を表すか;又は
・さもなければ、置換基RがHetの置換基と、及び/又はRがArの置換基と、及び/又はRがRと、これらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、R及びRは、水素原子又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・Qは、ハライド、アルキルスルフェート又はアルキルスルホネートなどのアニオン性対イオンを表す。
【0100】
特に、先に定義した環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のアゾ及びヒドラゾノ直接染料を挙げることができる。より具体的には、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている、環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のカチオン性直接染料を挙げることができる。
【0101】
好ましくは、以下の直接染料を挙げることができる。
【化4】
式(II-1)及び(IV-1)において、
・Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
・Rは、水素原子又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C~C)アルキル、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノを表し;特に、Rは、水素原子であり;
・Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し;
・Qは、先に定義したアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである。
【0102】
特に、式(II-1)及び(IV-1)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87及びBasic Orange 31又はこれらの誘導体から選択される。
【化5】
ここで、Q’は、上記に定義したアニオン性対イオン、特にハライド、例えばクロリド又はアルキルスルフェート、例えばメチルスルフェート又はメシチルである。
【0103】
蛍光染料
直接染料は、蛍光直接染料から選択することができる。
【0104】
本発明に使用することができる蛍光染料の例として、以下の染料から選択される中性、アニオン性又はカチオン性染料を挙げることができる:アクリジン、アクリドン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾロン、ベンゾインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ホウ素(BODIPY(登録商標))、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(特に、シアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクアラン、スチルベン、キサンテン。
【0105】
欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている蛍光染料並びにK.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1-7、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”の“Dyes and Dye Intermediates”章,1993,Wiley and Sons、“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章及びインターネット上で回覧されるか又は先行印刷版でのハンドブック“A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005に記載されているものも挙げることができる。
【0106】
好ましい変形形態によれば、蛍光染料は、以下の式(Vb)のものなど、少なくとも1つの四級アンモニウム基を含むカチオン性ポリメチンである。
-[C(R)=C(R)]m’-Ar,Q
式(Vb)において、
・Wは、特に四級アンモニウムを含み、この四級アンモニウムが、特に1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された1つ以上の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されている、カチオン性複素環式基又はヘテロアリール基を表し;
・Arは、フェニル又はナフチルなどのアリール基であって、任意選択的に、優先的にはi)1個又は複数個の塩素又はフッ素などのハロゲン原子;ii)1つ以上のメチルなどの(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基;iii)1つ以上のヒドロキシル基;iv)1つ以上のメトキシなどの(C~C)アルコキシ基;v)1つ以上のヒドロキシエチルなどのヒドロキシ(C~C)アルキル基;vi)1つ以上のアミノ基又はそのC~Cアルキル部分が好ましくは1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)アルキルアミノ基、例えば(ジ)ヒドロキシエチルアミノ;vii)1つ以上のアシルアミノ基;viii)1つ以上のヘテロシクロアルキル基、例えば、ピペラジニル、ピペリジル又は5若しくは6員のヘテロアリール、例えばピロリジニル、ピリジル及びイミダゾリニルで置換されたアリール基を表し;
・m’は、1~4の範囲の整数を表し、好ましくは、m’は、1又は2であり;より優先的にはm’=1であり;
・R及びRは、同一であるか若しくは異なり得、水素原子若しくは任意選択的に置換された(C~C)アルキル基、優先的には任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか、又はWと隣接するR及び/又はArと隣接するRは、これらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、Rは、Wと隣接し、これらは、シクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
・Qは、先に定義したアニオン性対イオンである。
【0107】
アニオン性染料
直接染料は、アニオン性直接染料又はアルカリ性物質と親和性があることから一般に「酸性」直接染料と称される染料から選択することができる。
【0108】
「アニオン性直接染料」という用語は、その構造内に少なくとも1つのCOR又はSOR置換基(式中、Rは、水素原子又は金属若しくはアミンに由来するカチオン若しくはアンモニウムイオンを表す)を含む任意の直接染料を意味することを意図している。アニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、インジゴイド及び酸性天然染料から選択することができる。
【0109】
好ましくは、アニオン性直接染料は、酸性アントラキノンである。
【0110】
直接染料は、好ましくは、以下に示す式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)及び(X)の染料並びにそれらの混合物から選択されるアニオン性直接染料であり得る。
【0111】
a)式(III)又は(III’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化6】
式(III)及び(III’)において、
・R、R、R、R10、R’、R’、R’及びR’10は、同一であるか又は異なり得、水素原子、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又は(C~C)アルキル基又はフェニルなどのアリール基を表し;X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- R’’-S(O)-(式中、R’’は、水素原子、アルキル基又はアリール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ又はアリール(C~C)(アルキル)アミノ基;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R’’’-S(O)-X’-(式中、R’’’は、任意選択的に置換された(C~C)アルキル基又はアリール基を表し、X’は、先に定義した通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)、及びiv)(C~C)アルコキシから選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基;優先的には1つ以上のアルキル、(O)S(O)-,M又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表すか;又は
- さもなければ、2個の隣接している基R及びR、又はR及びR、又はR及びR10は、一緒になって縮合ベンゾ基A’を形成し;R’及びR’、又はR’及びR’、又はR’及びR’10は、一緒になって縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ(式中、M+、R°、X、X’、X’’及びArは、先に定義した通りである)から選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;
・Wは、シグマ結合σ、酸素若しくは硫黄原子又は二価の基i)-NR-(式中、Rは、先に定義した通りである)若しくはii)メチレン-C(R)(R)-(式中、R及びRは、同一であるか若しくは異なり得、水素原子若しくはアリール基を表すか、又はR及びRは、これらを担持する炭素原子と一緒になってスピロシクロアルキルを形成する)を表し;優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はR及びRが一緒になってシクロヘキシルを形成し;
式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’又はCの1つにおいて、
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0112】
式(III)の染料の例として、Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 28、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Pigment red 57、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Yellow 6、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3、Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Food Yellow 3又はSunset Yellowを挙げることができ、式(III’)の染料の例として、Acid Red 111、Acid Red 134、Acid Yellow 38を挙げることができる。
【0113】
b)式(IV)又は(IV’)のアニオン性ピラゾロンアゾ染料:
【化7】
式(IV)及び(IV’)において、
・R11、R12及びR13は、同一であるか又は異なり得、水素又はハロゲン原子、(C~C)アルキル若しくは-(O)S(O),M基(式中、Mは、先に定義した通りである)を表し;
・R14は、水素原子、(C~C)アルキル基又は-C(O)O,M基(式中、Mは、先に定義した通りである)を表し;
・R15は、水素原子を表し;
・R16は、オキソ基を表し、その場合、R’16は、存在しないか、又はR15は、R16と一緒になって二重結合を形成し;
・R17及びR18は、同一であるか又は異なり得、水素原子、又は
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- Ar-O-S(O)-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基、優先的には1つ以上のアルキル基で任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表し;
・R19及びR20は、一緒になって、二重結合又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
・R’16、R’19及びR’20は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル基若しくはヒドロキシル基を表し;
・R21は、水素原子又は(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、先に定義した通りであり;優先的には、Rは、水素原子を表し、Rは、フェニルなどのアリール基を表し;
・Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;

【化8】
は、Yがオキソ基である場合、単結合を表し;且つYがヒドロキシル基を表す場合、二重結合を表し;
式(IV)及び(IV’)は、環D又はEの1つにおいて、
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0114】
式(IV)の染料の例として、Acid Red 195、Acid Yellow 23、Acid Yellow 27、Acid Yellow 76を挙げることができ、式(IV’)の染料の例として、Acid Yellow 17を挙げることができる。
【0115】
c)式(V)又は(V’)のアントラキノン染料:
【化9】
式(V)及び(V’)において、
・R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- 任意選択的に置換されたアリールオキシ又はアリールチオであって、優先的にはアルキル及び(O)S(O)-,M+(式中、M+は、先に定義した通りである)から選択される1つ以上の基で置換されたアリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及び(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)から選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
・Z’は、水素原子又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であるか又は異なり得、水素原子、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ以上の基、特に、i)メチル、n-ドデシル、n-ブチルなどの(C~C)アルキル;ii)(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、先に定義した通りであり、優先的には、R°は、(C~C)アルキル基を表す)で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル;
・Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であるか又は異なり得、先に定義したR28及びR29と同じ原子又は基を表す)
から選択される基を表し;
式(V)及び(V’)は、
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0116】
式(V)の染料の例として、Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3;EXT violet No.2を挙げることができ;式(V’)の染料の例として、Acid Black 48を挙げることができる。
【0117】
d)式(VI)又は(VI’)のニトロ染料:
【化10】
式(VI)及び(VI’)において、
・R30、R31及びR32は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子、又は
- (C~C)アルキル;
- 1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ又は1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロ(C~C)アルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、先に定義した通りである);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- (O)CO-,M(式中、Mは、先に定義した通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノなどのヘテロシクロアルキル
から選択される基を表し;
特に、R30、R31及びR32は、水素原子を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・Wは、先に定義した通りであり;特に、Wは、N(H)-基を表し;
・ALKは、直鎖又は分岐の二価のC~Cアルキレン基を表し;特に、ALKは-CH-CH-基を表し;
・nは、1又は2であり;
・pは、1~5の範囲の整数を表し;
・qは、1~4の範囲の整数を表し;
・uは、0又は1であり;
・nが1である場合、Jは、ニトロ又はニトロソ基;特にニトロを表し;
・nが2である場合、Jは、酸素若しくは硫黄原子又は二価の基-S(O)-(式中、mは、1又は2の整数を表す)を表し;優先的には、Jは、-SO-基を表し;
・M’’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;

【化11】
は、存在しても又はしなくてもよく、先に定義した1つ以上のR30基で任意選択的に置換されたベンゾ基を表し;
式(VI)及び(VI’)は、
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0118】
式(VI)の染料の例として、Acid Brown 13及びAcid Orange 3を挙げることができ;式(VI’)の染料の例として、Acid Yellow 1、2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-2’’-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;EXT D&C Yellow 7を挙げることができる。
【0119】
e)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化12】
式(VII)において、
・R33、R34、R35及びR36は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキルから選択される基;特に(C~C)アルキル基及び任意選択的に(O)S(O)-,M基(式中、M及びmは、先に定義した通りである)で置換されたベンジルから選択される基を表し;
・R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43及びR44は、同一であるか又は異なり得、水素原子、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)
から選択される基を表すか;又は
- さもなければ、隣接する2つの基R41及びR42、又はR42及びR43、又はR43及びR44は、一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)S(O)-,M;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M、R°、X、X’及びX’’は、先に定義した通りである)から選択される1つ以上の基で任意選択的に置換された縮合ベンゾ基を形成し;
特に、R37~R40は、水素原子を表し、R41~R44は、同一であるか又は異なり得、ヒドロキシル基又は(O)S(O)-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)を表し;43及びR44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは、優先的には、(O)S(O)-基で置換されており;
環G、H又はIの少なくとも1つは、
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0120】
式(VII)の染料の例として、Acid Blue 1;Acid Blue 3;Acid Blue 7;Acid Blue 9;Acid Violet 49;Acid Green 3;Acid Green 5;及びAcid Green 50を挙げることができる。
【0121】
f)式(VIII)のキサンテン系染料:
【化13】
式(VIII)において、
・R45、R46、R47及びR48は同一であるか又は異なり得、水素原子又はハロゲン原子を表し;
・R49、R50、R51及びR52は、同一であるか又は異なり得、水素若しくはハロゲン原子、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)
から選択される基を表し、
特に、R53、R54、R55及びR48は、水素又はハロゲン原子を表し;
・Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは、先に定義した通りである)を表し;特に、Gは、酸素原子を表し;
・Lは、アルコキシドO,M;チオアルコキシドS,M;又はNR基(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、Mは、先に定義した通りであり;Mは、特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
・L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N(式中、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子、(C~C)アルキル基又は任意選択的に置換されたアリール基を表す)を表し;特に、L’は、酸素原子又は1つ以上のアルキル若しくは(O)S(O)-,M基(式中、m及びMは、先に定義した通りである)で任意選択的に置換されたフェニルアミノ基を表し;
・Q及びQ’は、同一であるか又は異なり得、酸素又は硫黄原子を表し;特に、Q及びQ’は、酸素原子を表し;
・Mは、先に定義した通りである。
【0122】
式(VIII)の染料の例として、Acid Yellow 73;Acid Red 51;Acid Red 52;Acid Red 87;Acid Red 92;Acid Red 95;Acid Violet 9を挙げることができる。
【0123】
g)式(IX)のインドール系染料:
【化14】
式(IX)において、
・R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59及びR60は、同一であるか又は異なり得、水素原子、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり得、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- (O)S(O)-,M(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO-,M(式中、Mは、先に定義した通りである)
から選択される基を表し;
・Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは、先に定義した通りである)を表し;特に、Gは、酸素原子を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
式(IX)は、
- 少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0124】
式(IX)の染料の例として、Acid Blue74を挙げることができる。
【0125】
h)式(X)のキノリン系染料:
【化15】
式(X)において、
・R61は、水素若しくはハロゲン原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・R62、R63及びR64は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(O)S(O)-,M基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;又はさもなければ、R61及びR62又はR61及びR64は、一緒になって、1種以上の(O)S(O)-,M基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し;
式(X)は、少なくとも1つの(O)S(O)-,M’基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す)、好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基を含むことが理解される。
【0126】
式(X)の染料の例として、Acid Yellow 2、Acid Yellow 3及びAcid Yellow 5を挙げることができる。
【0127】
より具体的には、本発明において有用な式(III)~(VIII)の染料は、以下から選択される:Acid Red 87(VIII)(C.I.45380);2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩(VI’)(C.I.10316);Acid Orange 3(VI)(C.I.10383);Acid Yellow 9/Food Yellow 2(III)(C.I.13015);Direct Red 45/Food Red 13(III)(C.I.14780);Acid Black 52(III)(C.I.13711);Acid Yellow 36(III)(C.I.13065);1-ヒドロキシ-2-(2’,4’-キシリル-5-スルホナトアゾ)ナフタレン-4-スルホン酸のナトリウム塩/Food Red 1(III)(C.I.14700);Acid Red 14/Food Red 3/Mordant Blue 79(III)(C.I.14720);4-ヒドロキシ-3-[(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ジアザ]-6-(フェニルアミノ)ナフタレン-2-スルホン酸のナトリウム塩/Acid Brown 4(III)(C.I.14805);Acid Orange 7/Pigment Orange 17/Solvent Orange 49(III)(C.I.15510);Food Yellow 3/Pigment Yellow 104(III)(C.I.15985);Acid Red 27/Food Red 9(III)(C.I.16185);Acid Orange 10/Food Orange 4(III)(C.I.16230);Acid Red 44(III)(C.I.16250);Acid Red 33/Food Red 12(III)(C.I.17200);Acid Red 184(III)(C.I.15685);Acid Violet 3(III)(C.I.19125);1-ヒドロキシ-2-(4’-アセトアミドフェニルアゾ)-8-アセトアミドナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/Acid Violet 7/Food Red 11(III)(C.I.18055);Acid Red 135(III)(C.I.18130);Acid Yellow 27(IV)(C.I.19130);Acid Yellow 23/Food Yellow 4(IV)(C.I.19140);4’-(スルホナト-2’’,4’’-ジメチル)-ビス-(2,6-フェニルアゾ)-1,3-ジヒドロキシベンゼン/Acid Orange 24(III)(C.I.20170);1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/Acid Black 1(III)(C.I.20470);(4-((4-メチルフェニル)スルホニルオキシ)フェニルアゾ)-2,2’-ジメチル-4-((2-ヒドロキシ-5,8-ジスルホナト)ナフチルアゾ)ビフェニル/Acid Red 111(III’)(C.I.23266);Food Black 2(III)(C.I.27755);1-(4’-スルホナトフェニルアゾ)-4-((2’’-ヒドロキシ-3’’-アセチルアミノ-6’’,8’’-ジスルホナト)ナフチルアゾ)-6-スルホナトナフタレン(四ナトリウム塩)/Food Black 1(III)(C.I.25440);Acid Blue 9(VII)(C.I.42090);Acid Violet 43(V)(C.I.60730);Acid Green 25(V)(C.I.61570);1-アミノ-4-シクロヘキシルアミノ-9,10-アントラキノン-2-スルホン酸のナトリウム塩/Acid Blue 62(V)(C.I.62045);Acid Blue 78(V)(C.I.62105);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Red 4(III)(C.I.14710);2-ピペリジノ5-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);2(4’-N,N(2’’-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸(VI’);4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);Acid Violet 49(VII)(C.I.42640);Acid Blue 7(VII)(C.I.42080);1,2-ジヒドロキシ-3-スルホアントラキノンのナトリウム塩/Mordant Red 3(V)(C.I.58005);1-アミノ-9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-4-(フェニルアミノ)2-アントラセンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Blue 25(V)(C.I.62055);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Red 4(III)(C.I.14710)。
【0128】
これらの染料のほとんどは、特にThe Society of Dyers and Colourists, P.O.Box 244,Perkin House,82 Grattan Road,Bradford,Yorkshire,BD12 JBN Englandにより発行されているColor Indexに記載されている。
【0129】
最も特に好ましいこれらのアニオン性染料は、Colour Indexにおいて、コードC.I.58005(1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.60730(2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチルベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15510(4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15985(6-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)アゾ]-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.17200(5-アミノ-4-ヒドロキシ3-(フェニルアゾ)-2,7-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.20470(1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシ-3,6-ナフタレンジスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.42090(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホベンゼンメタンアミニウムヒドロキシドの二ナトリウム塩、分子内塩)、C.I.61570(2,2’-[(9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-1,4-アントラセンジイル)ジイミノ]ビス[5-メチル]ベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩)で表示される染料である。
【0130】
構造(III)~(X)のメソメリー又は互変異性形態に対応する化合物を使用することもできる。
【0131】
天然染料
直接染料は、天然直接染料から選択することができる。本発明に従って使用することができる天然直接染料の中でも、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセイン、ブラジリン、ブラジレイン、ヘマチン及びヘマトキシリンを挙げることができる。これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出液、特にヘンナベースの湿布又は抽出物も使用することができる。
【0132】
好ましい一実施形態によれば、直接染料は、以下の式(IIa)及び(IIa)のトリアリールメタン直接染料並びにそれらの混合物から選択される。
【化16】
式中、
・R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル;フェニルなどのアリール;ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル;ヘテロアリール;ヘテロアリール(C~C)アルキルの1つを表すか、又は同じ窒素原子によって担持されている2つの基R及びR並びに/又はR及びRは、これらを担持する窒素原子と一緒になって、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル基、例えばモルホリノ、ピペラジノ又はピペリジノを形成し、好ましくは、R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、同一であるか又は異なり得、水素原子若しくはハロゲン原子、又はi)ヒドロキシル;ii)チオール;iii)アミノ;iv)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;v)(ジ)アリールアミノ、例えば(ジ)フェニルアミノ;vi)ニトロ;vii)アシルアミノ(-NR-C(O)R’)(式中、R基は、水素原子、任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基であり、R’基は、C~Cアルキル基である);viii)カルバモイル((R)N-C(O)-)(式中、R基は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基を表す);ix)カルボン酸又はエステル、(-O-C(O)R’)又は(-C(O)OR’)(式中、R’基は、水素原子又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基であり、R’基は、C~Cアルキル基である);x)任意選択的に特にヒドロキシル基で置換されたアルキル;xi)アルキルスルホニルアミノ(R’SO-NR-)(式中、R基は、水素原子又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基を表し、R’基は、C~Cアルキル基、フェニル基を表す);xii)アミノスルホニル((R)N-SO-)(式中、R基は、同一であるか又は異なり得、水素原子又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基を表す);xiii)(C~C)アルコキシ;及びxiv)(C~C)アルキルチオから選択される基を表すか;又は
・さもなければ、隣接する2個の炭素原子によって担持されている2つの基R及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びR10、並びに/又はR11及びR12、並びに/又はR13及びR14、並びに/又はR15及びR16は、これらを担持する炭素原子と一緒になって、アリール又はヘテロアリール、好ましくはベンゾである6員の縮合環を形成し、前記環は、任意選択的に置換された、好ましくは無置換のベンゾ環であり得;
・Qは、電気的中性を達成するための、好ましくはクロリド又はブロミドなどのハライド及びホスフェートから選択されるアニオン性対イオンを表す。
【0133】
直接染料は、好ましくは、Basic Red 51、HC Blue 15及びそれらの混合物から選択される。
【0134】
直接染料は、組成物の総質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~3質量%、より優先的には0.1質量%~1質量%、更により優先的には0.1質量%~0.5質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0135】
好ましい一実施形態によれば、組成物は、組成物の総質量に対して0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より優先的には0.001質量%未満の総含有量の着色剤を含む。より好ましい一実施形態によれば、組成物は、着色剤を含まない。
【0136】
追加の塩基性化剤
組成物は、上で定義したカーボネート、ビカーボネート及びシリケート以外の1種以上の追加の塩基性化剤も含み得る。
【0137】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、アンモニア水及び/又はアルカノールアミンから選択される追加の塩基性化剤を含まない。
【0138】
酸性化剤
組成物は、1種以上の酸性化剤も含み得る。
【0139】
組成物のpH
本発明による組成物は、好ましくは、11以下、好ましくは10.5以下、好ましくは10以下のpHを有する。
【0140】
本発明による組成物のpHは、8~11、好ましくは8~10.5、より優先的には8~10の範囲であり得る。特に好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物のpHは、8.3~10の範囲である。
【0141】
組成物の他の特徴
組成物は、好ましくは、水を組成物の総質量に対して0.01質量%~99質量%、より優先的には0.01質量%~80質量%の範囲の含有量で含む。
【0142】
本組成物は、少なくとも1種の有機溶媒も含むことができる。「有機溶媒」という用語は、他の物質を化学的に修飾することなく溶解することができる有機物質を意味することを意図している。
【0143】
本発明による組成物は、液体形態、美容液形態、増粘された形態、特にゲル、クリーム、ワックス若しくはペースト又はフォーム形態であり得る。
【0144】
本発明による組成物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性若しくは両性界面活性剤;天然若しくは合成由来の、カチオン性、アニオン性、非イオン性若しくは両イオン性の、会合性若しくは非会合性増粘ポリマー;油、ガム、樹脂の形態のシリコーン;又は植物性、鉱物性若しくは合成の非シリコーン系油;UV遮蔽剤;真珠光沢剤及び金属酸化物(二酸化チタンなど)などの充填剤;粘土;香料;解膠剤;ビタミン剤;並びに防腐剤から選択される1種以上の追加の化合物も含み得る。
【0145】
ケラチン繊維を明色化する方法
第2の態様によれば、本発明の主題は、上で定義した組成物をケラチン繊維に適用することを含む、ケラチン繊維を明色化する方法である。
【0146】
特に、組成物は、湿ったケラチン繊維又は乾燥したケラチン繊維に適用される。
【0147】
好ましくは、ケラチン繊維は、暗色ケラチン繊維である。
【0148】
用語「暗色ケラチン繊維」は、色調の階調が6以下(暗めのブロンド)、好ましくは4以下(栗色)のケラチン繊維を意味することが意図されている。
【0149】
「色調の階調」は、ヘアスタイリングの専門家に知られている単位であり、書籍Science des traitements capillaires[Hair treatment sciences]by Charles Zviak,1988,published by Masson,pages 215 and 278に掲載されており;色調の階調は、欧州のスケールに従って1(黒色)から10(非常に明るいブロンド)の範囲であり、1単位が1つの色調に対応し、数値が高いほど明るい色合いになる。
【0150】
組成物は、有利には、ケラチン繊維1グラム当たり組成物が0.1g~20gの範囲となる量でケラチン繊維に適用することができる。
【0151】
組成物は、通常、1分間~1時間、好ましくは5分間~60分間、繊維上に放置される。例として、組成物は繊維上で50分間放置することができる。
【0152】
組成物は、密閉系下で繊維上に放置することができる。言及され得る密閉系の非限定的な例は、アルミニウム若しくはプラスチックフィルムから作製された包み型の密閉系又は穴が開いている若しくは開いていないヘアキャップである。
【0153】
明色化方法の際の温度は、通常、周囲温度(15℃~25℃)~80℃、好ましくは室温~60℃である。例として、明色化方法中の温度は、33℃である。処理後、ケラチン繊維は、任意選択的に水で濯がれ、任意選択的にシャンプーで洗浄され、次いで水で濯がれ、その後、乾燥又は自然乾燥される。
【0154】
乾燥ステップは、吸収紙、ヘアドライヤー又はスタイリングフードを使用して実施することができる。
【0155】
本発明における組成物は、好ましくは、少なくとも2つの組成物を混合することによって調製される。好ましくは、前記少なくとも2つの組成物の混合は、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する直前に調合することによって実施される。
【0156】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも2つの組成物、好ましくは、
- i)上で定義した過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種以上の化学的酸化剤を含む組成物(A)と;
- ii)炭酸アンモニウム、及びiii)上で定義した1種以上のシリケートと、任意選択的に、iv)上で定義した1種以上のビカーボネート及び/又は1種以上のビカーボネート発生系とを含む組成物(B)と
の2つの組成物の混合から得られる。好ましくは、組成物(A)又は(B)の少なくとも一方は、水性である。好ましい一実施形態によれば、組成物(A)は、水性である。特定の一実施形態によれば、組成物(B)は、無水である。特定の一実施形態によれば、組成物(A)は、水性であり、組成物(B)は、無水である。
【0157】
「水性組成物」という用語は、少なくとも5質量%の水を含む組成物を意味する。水性組成物には、好ましくは10質量%を超える水、更により有利には20質量%を超える水が含まれる。
【0158】
より好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも2つの組成物、好ましくは、
- i)過酸化水素を含む組成物(A1)と;
- ii)炭酸アンモニウム、及びiii)上で定義した1種以上のシリケートと、任意選択的に、iv)上で定義した1種以上のビカーボネートとを含む組成物(B1)と
の2つの組成物の混合から得られる。好ましくは、組成物(A1)又は(B1)の少なくとも一方は、水性である。特定の実施形態によれば、組成物(B1)は、無水である。特定の一実施形態によれば、組成物(A1)は、水性であり、組成物(B1)は、無水である。
【0159】
本発明による方法で使用される組成物は、1種以上のペルスルフェートを含む組成物を使用して明色化されたケラチン繊維上で同じ強度L*で測定されたb*の値よりも低い、好ましくは10%低い、より優先的には15%低いb*の値によって特徴付けられるケラチン繊維の明色化を得ることができ、b*及びL*の値はCIE L*a*b*系で測定される。
【0160】
好ましくは、b*及びL*の値は、実施例に記載の色評価方法に従って測定される。
【0161】
使用
第3の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を明色化するための、好ましくはケラチン繊維を明色化しながら、同時にケラチン繊維の黄色みを低減するための、上で定義した組成物の使用である。
【0162】
多区画デバイス(キット)
第4の態様によれば、本発明の主題は、多区画デバイス(キット)であって、
・上で定義された組成物(A)を収容する第1の区画と;
・上で定義された組成物(B)を収容する含む第2の区画と
を含む多区画デバイス(キット)である。
【0163】
好ましくは、多区画デバイスは、
・上で定義された組成物(A1)を収容する第1の区画と;
・上で定義された組成物(B1)を収容する第2の区画と
を含む。
【実施例
【0164】
以下に示す実施例によって本発明をより明確に理解することが可能になるが、これらは、本発明の性質を限定するものではない。以下に示す実施例において、別段の指定がない限り、全ての量は、組成物の総質量に対する質量百分率で表されている。
【0165】
色の評価方法
これらの実施例において、毛髪の房の色は、Minolta CM3610A分光光度計(光源D65)である比色計を使用し、CIE L*a*b*系で評価した。このL*a*b*系では、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸方向の色合いを表し、b*は青/黄色軸方向の色合いを表す。L*の値が高くなるほど、色が明るくなる。a*の値が高くなるほど、色の赤味が強くなり、b*の値が高くなるほど色の黄味が強くなる。
【0166】
実施例1(比較)
以下の組成物C1~C12を調製し、次いで以下に記載する適用手順に従って適用した。
【0167】
【表1】
【0168】
【表2】
【0169】
適用手順
10gの各組成物C1~C12を、33℃の温度に維持したホットプレート上で1gの白人のHT4毛髪12束に適用する。全体をセロハンフィルムで50分間覆う。その後、毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗い、再度濯いでから乾燥する。
【0170】
比色測定
比色測定の結果は、以下の表にまとめられている。
【0171】
【表3】
【0172】
結果は、ペルスルフェートを含む比較組成物は、比較的高いL*値を特徴とする良好なレベルの明色を得ることができるものの、得られる色合いは、高いb*値を特徴とする顕著な黄色成分を有することを示している。
【0173】
実施例2
以下の組成物C13~C15を調製し、次いで以下に記載する適用手順に従って適用した。
【0174】
【表4】
【0175】
適用手順:
10gの各組成物C13~C15を、33℃の温度に維持したホットプレート上で1gの白人のHT4毛髪3束に適用する。全体をセロハンフィルムで50分間覆う。その後、毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗い、再度濯いでから乾燥する。
【0176】
比色測定
比色測定の結果は、以下の表にまとめられている。
【0177】
【表5】
【0178】
結果は、本発明による組成物が、比較的高いL*値を特徴とする良好なレベルの明色化を得ることができることを示している。更に、得られた色合いは、図1に示されているように、本発明による組成物が、実施例1のペルスルフェートに基づく比較組成物よりも、強度L*と同等のレベルで低いb*値によって特徴付けられる。
【0179】
実施例3
以下の組成物A~Cを調製し、次いで以下に記載する適用手順に従って適用した。
【0180】
【表6】
【0181】
適用手順:
10gの各組成物A~Cを、33℃の温度に維持したホットプレート上で1gの白人のHT4毛髪3束に適用する。全体をセロハンフィルムで50分間覆う。その後、毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗い、再度濯いでから乾燥する。
【0182】
比色測定
比色測定の結果は、以下の表にまとめられている。
【0183】
【表7】
【0184】
結果は、本発明による組成物を用いると、比較的高いL*値によって特徴付けられるより優れたレベルの明色化が得られることを示している。
図1
【国際調査報告】