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特表2023-554098ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための組成物並びにこの組成物を用いる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための組成物並びにこの組成物を用いる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20231219BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20231219BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20231219BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/22
A61K8/25
A61Q5/10
A61Q5/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537141
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021086226
(87)【国際公開番号】W WO2022129346
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013726
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ブレ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・サベル
(72)【発明者】
【氏名】ラーマ・ベニ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AB311
4C083AB321
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC741
4C083AC852
4C083BB21
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD31
4C083EE26
4C083EE27
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための組成物であって、少なくとも1種の化学的酸化剤、少なくとも1種の(ビ)カーボネート、少なくとも1種のシリケート及び少なくとも1種の直接染料を含む組成物並びにまたこの組成物を用いてケラチン繊維を同時に脱色及び染色する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤;
ii)カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;
iii)1種又は複数のシリケート;
iv)1種又は複数の直接染料
を含み、10質量%未満の含有量のペルスルフェートを含む組成物。
【請求項2】
前記化学的酸化剤は、過酸化水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化学的酸化剤は、前記組成物の総質量に対して1質量%~12質量%の範囲、好ましくは3質量%~9質量%の範囲、より優先的には3.5質量%~8.5質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物ii)は、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物ii)は、カーボネート、カーボネート発生系及びそれらの混合物、好ましくはカーボネートから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記カーボネート及び/又は前記カーボネート発生系は、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%、さらにより優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カーボネートは、
- アルカリ金属カーボネート;
- アルカリ土類金属カーボネート;
- 炭酸ランタニド;
- 遷移金属カーボネート;
- 炭酸ビスマス;
- 炭酸カドミウム;
- 炭酸タリウム;
- 炭酸亜鉛;
- 式(NCO 2-(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表す)の化合物;
- 炭酸グアニジン;
- それらの混合物
から選択され、好ましくは、前記カーボネートは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸セリウム、炭酸ランタン、炭酸イットリウム、炭酸銅(II)、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸銀、炭酸ジルコニウム、炭酸ビスマス、炭酸カドミウム、炭酸タリウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン、炭酸テトラエチルアンモニウム及びそれらの混合物、より優先的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸セリウム、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン及びそれらの混合物、さらにより優先的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム及びそれらの混合物から選択され、最も優先的には、前記カーボネートは、炭酸アンモニウムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物ii)は、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物、好ましくはビカーボネートから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ビカーボネート及び/又は前記ビカーボネート発生系は、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ビカーボネートは、
- アルカリ金属ビカーボネート;
- アルカリ土類金属ビカーボネート;
- 式NHCO (式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表す)の化合物;
- 炭酸水素アミノグアニジン;
- それらの混合物、
好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素コリン、炭酸水素トリエチルアンモニウム、炭酸水素アミノグアニジン及びそれらの混合物、より優先的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物、より優先的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物、さらにより優先的には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択され、最も優先的には、前記ビカーボネートは、炭酸水素アンモニウムである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記シリケートは、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類金属シリケート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物、好ましくはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物、より優先的にはケイ酸ナトリウムから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリケートは、前記組成物の総質量に対して1質量%~40質量%、好ましくは2質量%~35質量%、より優先的には3質量%~35質量%の範囲、さらにより優先的には4質量%~20質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(ビ)カーボネート及び/又は(ビ)カーボネート発生系ii)の総量/シリケートiii)の総量の質量比は、0.00025~2000、好ましくは0.06~15、より優先的には1~7.5である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(ビ)カーボネート及び/又は(ビ)カーボネート発生系ii)の総量/化学的酸化剤i)の総量の質量比は、0.0008~20、好ましくは0.1~5、より優先的には0.2~4.3である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
カーボネート及び/又はカーボネート発生系の総量/ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系の総量の質量比は、0.01~100、好ましくは0.01~1、より優先的には0.01~0.75である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
5質量%未満、好ましくは1質量%未満、より優先的には0.1質量%未満、さらにより優先的には0.01質量%未満、最も優先的には0.001質量%未満の総含有量の炭酸マグネシウムを含み、さらにより良好には炭酸マグネシウムを含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
5質量%未満、好ましくは1質量%未満、より優先的には0.1質量%未満、さらにより優先的には0.01質量%未満、最も優先的には0.001質量%未満の総含有量のペルスルフェートを含み、さらにより良好にはペルスルフェートを含まない、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物のpHは、8~11、好ましくは8~10.5、より優先的には8~10、さらにより優先的には8.3~10で変動する、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記直接染料iv)は、中性、カチオン性又はアニオン性直接染料及びそれらの混合物、好ましくは中性又はカチオン性直接染料及びそれらの混合物、より優先的にはBasic Red 51、HC Blue 15及びそれらの混合物から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記直接染料iv)は、前記組成物の総質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~3質量%、より優先的には0.1質量%~1質量%、さらにより優先的には0.1質量%~0.5質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する方法であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン繊維、好ましくは暗色ケラチン繊維に適用することを含む方法。
【請求項22】
請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物は、2つの組成物(A)及び(B1):
- i)請求項1又は2に記載の、過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む組成物(A)と;
- 組成物(B1)であって、
ii)請求項1、5、7、8又は10のいずれか一項に記載の、カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)請求項1又は11に記載の1種又は複数のシリケート;及び
iv)請求項1又は19に記載の1種又は複数の直接染料
を含む組成物(B1)と
の混合又は3つの組成物(A)、(B2)及び(C):
- i)請求項1又は2に記載の、過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む組成物(A)と;
- 組成物(B2)であって、
ii)請求項1、5、7、8又は10のいずれか一項に記載の、カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)請求項1又は11に記載の1種又は複数のシリケート
を含む組成物(B2)と;
- iv)請求項1又は19に記載の1種又は複数の直接染料を含む組成物(C)と
の混合から得られる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項24】
多区画デバイスであって、
・請求項22に記載の組成物(A)を含む第1の区画と;
・請求項22に記載の組成物(B1)を含む第2の区画と
を含むか;又は
・請求項22に記載の組成物(A)を含む第1の区画と;
・請求項22に記載の組成物(B2)を含む第2の区画と;
・請求項22に記載の組成物(C)を含む第3の区画と
を含む多区画デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための組成物であって、少なくとも1種の化学的酸化剤、少なくとも1種の(ビ)カーボネート、少なくとも1種のシリケート及び少なくとも1種の直接染料を含む組成物並びにまたこの組成物を用いてケラチン繊維を同時に脱色及び染色する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の色を根本的に変えることを望む場合、特に元の色よりも明るい色にすることを望む場合、毛髪の脱色及びその後染色を行うことが必要になる場合が多い。これを実施するためにいくつかの方法が存在する。
【0003】
第1の方法は、アンモニア水及び過酸化水素をベースとする明色化製品を使用することを含む。この製品は、任意選択的に染料を含有し得、それにより毛髪の明色化及び染色を同時に行うことができる。しかしながら、特に天然の色及び/又は暗く染めた毛髪では、この製品を適用しても、得られる明色化の成果が依然として限られている。
【0004】
第2の方法は、明色化を高めるために、使用時に組成物に過酸化水素を添加して、ペルスルフェートなどの過酸化塩及びアルカリ剤をベースとする毛髪明色化組成物を適用することを含む。しかしながら、これらの脱色処理は、一般に、魅力的でないオレンジ-黄色の光沢の出現を伴う。この問題を克服するために、これらの組成物は、より美的な色の結果を得ることを目的として、毛髪の脱色及び染色を同時に行うことを可能にする直接染料を含み得る。
【0005】
しかしながら、このような条件下で色を良好に蓄積させて濃い有彩色の色を得るために、安定な直接染料のみを使用することができるため、この組成物に使用できる直接染料の範囲は、依然として限られている。この安定性の問題を解決するために、2段階に分けて方法を実行することが想定されている:第1の段階において、明色化組成物を使用して毛髪を脱色し、次いで第2の段階において、直接染料を含む組成物を使用して毛髪を染色する。しかしながら、2段階方法は、取り扱い手順が多くなることに加えて、比較的時間がかかり、繊維の品質劣化が大きくなるという不利益を示すため、満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための組成物であって、直接染料を含み、特に暗色の毛髪に適用した場合に良好な明色化特性及び良好な染色特性の両方を示し、特に色を良好に蓄積させることに加えて、濃い有彩色を得ることを可能にする組成物を開発することが実際に求められている。さらに、この種の組成物は、使用者が求める色合いを得ることを可能にする幅広い種類の直接染料を含み得る。最後に、この種の組成物は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する一段階方法に使用することができる。そのような組成物は、繊維の品質をより尊重するものでもあるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、本出願人は、本発明による組成物を用いることにより、これらの目的が全て達成されることを見出した。
【0008】
第1の態様によれば、本発明の主題は、組成物であって、
i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤;
ii)カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;
iii)1種又は複数のシリケート;
iv)1種又は複数の直接染料
を含み、10質量%未満の含有量のペルスルフェートを含む組成物である。
【0009】
第2の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する方法であって、上記で定義された組成物をケラチン繊維に適用することを含む方法である。
【0010】
第3の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための、上記で定義された組成物の使用である。
【0011】
第4の態様によれば、本発明の主題は、
・i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む組成物(A)を含む第1の区画と;
・組成物(B1)であって、
ii)カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)1種又は複数のシリケート;及び
iv)1種又は複数の直接染料
を含む組成物(B1)を含む第2の区画と
を含むか;又は
・i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む組成物(A)を収容する第1の区画と;
・組成物(B2)であって、
ii)カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)1種又は複数のシリケート
を含む組成物(B2)を含む第2の区画と;
・iv)1種又は複数の直接染料を含む組成物(C)を含む第3の区画と
を含む多区画デバイス(キット)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の意味の範囲内において、別段の指定がない限り、以下の通りである。
・「ケラチン繊維」という用語は、頭髪、体毛、睫毛、眉毛、羊毛、アンゴラヤギの毛、カシミヤ又は毛皮などのヒト又は動物由来の繊維を意味するものとして理解される。本発明によれば、ケラチン繊維は、好ましくは、ヒトのケラチン繊維であり、より優先的には毛髪、さらにより優先的には頭髪である。
・「アルキル基」という用語は、飽和の直鎖又は分岐状炭化水素系基を意味するものとして理解される;
・「(C~C)アルキル基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を意味するものとして理解される;
・「シリケート」という用語は、ケイ酸塩を意味するものとして理解される;
・「酸化染料」という用語は、酸化性塩基及びカプラーから選択される酸化染料前駆体を意味するものとして理解される;酸化性塩基及びカプラーは、無色又は色の薄い化合物であり、酸化剤の存在下における縮合反応を介して有色の実体を与えるものである;
・「直接染料」という用語は、酸化染料以外の、抽出物の形態を含む天然及び/又は合成染料を意味するものとして理解される。それらは、繊維上に表面的に広がる着色化合物である。それらは、イオン性、非イオン性、すなわちアニオン性、カチオン性、中性又は非イオン性であり得る;
・「化学的酸化剤」という用語は、大気中の酸素以外の酸化剤を意味するものとして理解される;
・「(ビ)カーボネート」という用語は、カーボネート又はビカーボネートを意味するものとして理解される。
【0013】
特記されない限り、本特許出願で化合物が言及される場合、これは、それらの光学異性体、それらの幾何異性体、それらの互変異性体、それらの塩、水和物などのそれらの溶媒和物及びそれらの混合物も意味するものとして理解される。
【0014】
「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」という表現は、同義であり、互換的に使用することができる。
【0015】
「明色化」及び「脱色」という表現は、同義であり、互換的に使用することができる。
【0016】
組成物
第1の態様によれば、本発明の主題は、上記で定義された組成物である。
【0017】
本出願人は、驚くべきことに、本発明による組成物が直接染料を安定化させ、満足できるレベルの明色化、さらに着色及び濃い有彩色のより良好な蓄積を得ることを可能にすることを認めた。
【0018】
さらに、本発明による組成物は、繊維の品質をより尊重し、特にその劣化を最小化するものである。
【0019】
最後に、本発明による組成物は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する単一段階方法で使用することができる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、
i)過酸化水素;
ii)カーボネート、ビカーボネート及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;
iii)1種又は複数のシリケート;
iv)1種又は複数の直接染料
を含み、組成物は、10質量%未満の含有量のペルスルフェートを含む。
【0021】
化学的酸化剤
本発明による組成物は、i)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む。
【0022】
過酸化塩以外の過酸化水素発生系は、過酸化尿素水素、過酸化水素を放出することができる高分子複合体、酸化酵素及びそれらの混合物から選択することができる。
【0023】
過酸化水素を放出することができる高分子複合体の例として、特に粉末形態のポリビニルピロリドン/H並びに米国特許第5008093号明細書、米国特許第3376110号明細書及び米国特許第5183901号明細書に記載されている他の高分子複合体が挙げられ得る。
【0024】
酸化酵素は、適切な物質(例えば、グルコースオキシダーゼの場合のグルコース又はウリカーゼの場合の尿酸など)の存在下で過酸化水素を発生させることができる。
【0025】
特定の実施形態によれば、過酸化水素及び/又は過酸化塩以外の過酸化水素発生系は、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する直前に添加することができる。過酸化水素及び/又は過酸化塩以外の過酸化水素発生系を含む中間組成物は、酸化性組成物と称することができ、ケラチン繊維の染色のための組成物に従来使用されている様々な追加の化合物又は様々な補助剤も含み得る。
【0026】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、化学的酸化剤として過酸化水素を含む。
【0027】
化学的酸化剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して1質量%~12質量%の範囲、より優先的には3質量%~9質量%の範囲、さらにより優先的には3.5質量%~8.5質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0028】
好ましい実施形態によれば、過酸化水素は、組成物の総質量に対して1質量%~12質量%の範囲、好ましくは3質量%~9質量%の範囲、より優先的には3.5質量%~8.5質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0029】
(ビ)カーボネート及び/又は(ビ)カーボネート発生系
本発明による組成物は、ii)カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物を追加的に含む。
【0030】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、ii)カーボネート、ビカーボネート及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物を追加的に含む。
【0031】
より好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、ii)炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物を追加的に含む。
【0032】
化合物ii)は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、より優先的には1質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には2質量%~15質量%の範囲、最も優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0033】
カーボネート及び/又はカーボネート発生系
「カーボネート発生系」という用語は、例えば、水中で二酸化炭素又は水中でペルカーボネートなどのカーボネートをその場で発生させる系を意味するものと理解される。
【0034】
好ましくは、カーボネートは、
- アルカリ金属カーボネート;
- アルカリ土類金属カーボネート;
- 炭酸ランタニド;
- 遷移金属カーボネート;
- 炭酸ビスマス;
- 炭酸カドミウム;
- 炭酸タリウム;
- 炭酸亜鉛;
- 式(NCO 2-(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表す)の化合物;
- 炭酸グアニジン;
- それらの混合物
から選択される。
【0035】
より優先的には、カーボネートは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸セリウム、炭酸ランタン、炭酸イットリウム、炭酸銅(II)、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸銀、炭酸ジルコニウム、炭酸ビスマス、炭酸カドミウム、炭酸タリウム、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン、炭酸テトラエチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0036】
さらにより優先的には、カーボネートは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸セリウム、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン及びそれらの混合物から選択される。
【0037】
最も優先的には、カーボネートは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0038】
特に好ましい実施形態によれば、組成物に含まれるカーボネートは、炭酸アンモニウムである。
【0039】
カーボネート及び/又はカーボネート発生系は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、より優先的には1質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には2質量%~15質量%の範囲、最も優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0040】
好ましい実施形態によれば、カーボネートは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0041】
好ましい実施形態によれば、化合物ii)は、カーボネート、カーボネート発生系及びそれらの混合物、好ましくはカーボネートから選択される。
【0042】
ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系
「ビカーボネート発生系」という用語は、例えば、水中の二酸化炭素又は無機酸若しくは有機酸によってカーボネートを緩衝することにより、ビカーボネートをその場で発生させる系を意味するものとして理解される。
【0043】
好ましくは、ビカーボネートは、
- アルカリ金属ビカーボネート;
- アルカリ土類金属ビカーボネート;
- 式NHCO (式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表す)の化合物;
- 炭酸水素アミノグアニジン;
- それらの混合物
から選択される。
【0044】
より優先的には、ビカーボネートは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素コリン、炭酸水素トリエチルアンモニウム、炭酸水素アミノグアニジン及びそれらの混合物から選択される。
【0045】
さらにより優先的には、ビカーボネートは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0046】
最も優先的には、ビカーボネートは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0047】
特に好ましい実施形態によれば、組成物に含まれるビカーボネートは、炭酸水素アンモニウムである。
【0048】
ビカーボネートは、天然水、例えばVichy盆地若しくはLa Roche Posayからの湧水又はBadoitの水に由来するものであり得る。
【0049】
ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、より優先的には1質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には2質量%~15質量%の範囲、最も優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0050】
好ましい実施形態によれば、ビカーボネートは、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%の範囲、好ましくは1質量%~15質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲、さらにより優先的には4質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0051】
好ましい実施形態によれば、化合物ii)は、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物、好ましくはビカーボネートから選択される。
【0052】
シリケート
本発明による組成物は、iii)1種又は複数のシリケートを追加的に含む。
【0053】
シリケートは、好ましくは、水溶性である。
【0054】
「水溶性シリケート」という用語は、通常の周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)において、0.5質量%より高い、好ましくは1質量%より高い水中での溶解度を示すシリケートを意味するものとして理解される。
【0055】
好ましくは、シリケートは、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類金属シリケート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0056】
より優先的には、シリケートは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸トリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0057】
より優先的には、シリケートは、ケイ酸ナトリウムから選択される。ケイ酸ナトリウムの例として、CAS番号:[1344-09-8]及び[6834-92-0]を有する化合物が挙げられ得る。
【0058】
シリケートは、好ましくは、組成物の総質量に対して1質量%~40質量%の範囲、より優先的には2質量%~35質量%の範囲、さらにより優先的には3質量%~35質量%の範囲、最も優先的には4質量%~20質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0059】
(ビ)カーボネート及び/又は(ビ)カーボネート発生系ii)の総量/シリケートiii)の総量の質量比は、好ましくは、0.00025~2000、より優先的には0.06~15、さらにより優先的には1~7.5である。
【0060】
好ましい実施形態によれば、(ビ)カーボネートii)の総量/シリケートiii)の総量の質量比は、0.00025~2000、好ましくは0.06~15、より優先的には1~7.5である。
【0061】
(ビ)カーボネート及び/又は(ビ)カーボネート発生系ii)の総量/化学的酸化剤i)の総量の質量比は、好ましくは、0.0008~20、より優先的には0.1~5、さらにより優先的には0.2~4.3である。
【0062】
好ましい実施形態によれば、(ビ)カーボネートii)の総量/化学的酸化剤i)の総量の質量比は、0.0008~20、好ましくは0.1~5、より優先的には0.2~4.3である。
【0063】
より好ましい実施形態によれば、(ビ)カーボネートii)の総量/過酸化水素の総量の質量比は、0.0008~20、好ましくは0.1~5、より好ましくは0.2~4.3である。
【0064】
カーボネート及び/又はカーボネート発生系の総量/ビカーボネート及び/又はビカーボネート発生系の総量の質量比は、好ましくは、0.01~100、より優先的には0.01~1、さらにより優先的には0.01~0.75である。
【0065】
好ましい実施形態によれば、カーボネートの総量/ビカーボネートの総量の質量比は、0.01~100、好ましくは0.01~1、より優先的には0.01~0.75である。
【0066】
組成物は、好ましくは、5質量%未満、より優先的には1質量%未満、さらにより優先的には0.1質量%未満、最も優先的には0.01質量%未満、さらにより良好には0.001質量%未満の総含有量の炭酸マグネシウムを含む。
【0067】
特に好ましい実施形態によれば、組成物は、炭酸マグネシウムを含まない。
【0068】
組成物は、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より優先的には1質量%未満、さらにより優先的には0.1質量%未満、最も優先的には0.01質量%未満、さらにより良好には0.001質量%未満の総含有量のペルスルフェートを含む。
【0069】
特に好ましい実施形態によれば、組成物は、ペルスルフェートを含まない。
【0070】
直接染料
本発明による組成物は、iv)1種又は複数の直接染料を含む。
【0071】
直接染料は、中性、カチオン性又はアニオン性直接染料及びそれらの混合物から選択することができる。
【0072】
直接染料は、アクリジン;アクリドン;アンスラントロン(anthranthrone);アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ又はアゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;(ジ)アザカルボシアニン、(ジ)アザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;(ジ)アジン;ビス-アジン;(ジ)オキサジン;(ジ)チアジン;(ジ)フェニルアミン;(ジ)フェニルメタン;(ジ)ケトピロロピロール;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド、チオインジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリン;チアジン;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテン;及び天然直接染料から選択される中性、カチオン性又はアニオン性直接染料であり得る。好ましくは、直接染料は、アントラキノン、(ポリ)アゾ、アゾメチン及びスチルベン、より優先的にはアントラキノンから選択される。
【0073】
直接染料は、特に、中性、カチオン性又はアニオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性アゾ直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性テトラアザペンタメチン染料、カチオン性又はアニオン性キノン染料、特に中性、カチオン性又はアニオン性アントラキノン染料、中性、カチオン性又はアニオン性アジン直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性トリアリールメタン直接染料、中性、カチオン性又はアニオン性アゾメチン直接染料及び天然直接染料から選択することができる。好ましくは、直接染料は、中性又はアニオン性アントラキノン染料及びスチルベンから選択される。
【0074】
本発明に使用することができる中性、アニオン性又はカチオン性直接染料として、以下の染料:アクリジン;アクリドン;アンスラントロン;アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ;ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスアジン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;ジアジン;ジケトピロロピロール;ジオキサジン;ジフェニルアミン;ジフェニルメタン;ジチアアジン;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン、ペリロン;ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾール;チアジン;チオインジゴ;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテンが挙げられ得る。
【0075】
中性直接染料
直接染料は、好ましくは、以下の式(IIIa)及び(III’a)のヒドラゾノ染料、アゾ及びスチリル染料(IVa)、ジアゾ及びジスチリル染料(IV’a)及び(IV’’a)、アントラキノン染料(Va)並びにアゾメチン染料(VIa)及び(VI’a)並びにそれらの混合物から選択される中性直接染料であり得る。
【化1】
式(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)及び(VI’a)中、
・Arは、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノなどの少なくとも1つの電子供与性基によって置換されたアリール基、例えばフェニル若しくはナフチルを表すか、又はArは、ジュロリジン基を表し;
・Ar’は、任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基、例えば好ましくは1つ又は複数の(C~C)アルキル基、ヒドロキシル基又は(C~C)アルコキシ基によって任意選択的に置換されたフェニレン、特にパラフェニレン又はナフタレンを表し;
・Ar’’は、好ましくは、少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’などの電子吸引性基、又はii)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル基、若しくはiv)(C~C)アルコキシ基によって任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;特に、(ヘテロ)アリールは、イミダゾリル、トリアゾリル、インドリル若しくはピリジル又は好ましくはフェニル基のパラ位で置換されたニトロ、ニトロソ及びアミノから選択される少なくとも1つの基によって任意選択的に置換されたフェニルから選択され;
・X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNR’’基、好ましくは酸素原子を表し;
・R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシル、チオール、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロ及びニトロソから選択される基を表し;
・R’及びR’’は、(C~C)アルキル基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は好ましくはヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか;又は
代替形態において、置換基RがAr’’の置換基と、且つ/又はRがArの置換基と、且つ/又はRがRと、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R及びRは、水素原子又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・T及びT’は、同一であるか又は異なり、C(R)基又はN、好ましくはNを表し;
・Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-又は-C(X)-ALK-C(X’)-(式中、ALKは、メチレンなどの直鎖又は分岐の(C~C)アルキレン基を表し、X及びX’は、上記で定義された通りである)を表し;
・R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、同一であるか又は異なり、水素又はハロゲン原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- アリールオキシ又はアリールチオ;
- アリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ
から選択される基を表し;
・Z’は、水素原子又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ又は複数の基、特にi)(C~C)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、(C~C)アルキル基を表し、X、X’及びX’’は、上記で定義された通りである);iv)スルホネートによって任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル
から選択される基を表し;
・Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であるか又は異なり、上記で定義されたR28及びR29と同じ原子又は基を表す)
から選択される基を表す。
【0076】
式(IV’’a)の直接染料は、好ましくは、式(IV’’’a):
【化2】
(式(IV’’’a)中、
・R及びRは、同一であるか又は異なり、好ましくは同一であり、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基又はグルコシルなどの糖基を表し、好ましくは水素原子を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、好ましくは同一であり、水素原子、(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基又は-O-グルコシルなどの-O-糖基を表し、好ましくはメトキシなどの(C~C)アルコキシを表し;
・Xは、同一であるか又は異なり、好ましくは同一であり、酸素若しくは硫黄原子又はN-R(式中、Rは、水素原子又は基を表す)、好ましくは酸素原子を表し;
・ALKは、メチレン又はエチレンなどの(C~C)アルキレン基、好ましくはメチレンを表す)
のものである。
【0077】
式(IV’’a)の直接染料は、クルクミン、デメトキシクルクミン及びビスデメトキシクルクミンから得ることができる。
【0078】
好ましくは、直接染料は、上記で定義された式(IV’’a)及び(IV’’’a)の直接染料並びにそれらの混合物から選択される。
【0079】
特に好ましい実施形態によれば、直接染料は、以下の化合物(A)~(G)及びそれらの混合物:
【化3】
、好ましくは化合物(E)、(F)及び(G)並びにそれらの混合物、より優先的には化合物(E)及び(G)並びにそれらの混合物から選択される中性直接染料である。
【0080】
カチオン性直接染料
直接染料は、カチオン性であるか又は酸性物質と親和性があることから一般に「塩基性染料」と称される、特にその構造内に少なくとも1つの環内又は環外のカチオン性基又はカチオン化可能な基を含む直接染料から選択することができる。
【0081】
特に、本発明で使用可能なカチオン性アゾ染料として、19/04/2010改版のKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,“Dyes,Azo”,J.Wiley&Sonsに記載のカチオン性染料が挙げられ得る。
【0082】
特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料も挙げることができる。
【0083】
Colour Index International,3rd Editionに記載されているカチオン性アゾ染料、特に以下の化合物:Basic Red 22、Basic Red 76、Basic Yellow 57、Basic Brown 16及びBasic Brown 17が挙げられ得る。
【0084】
カチオン性キノン染料の中で、Colour Index International,3rd Editionに記載されているものが適切であり、これらのうち、特に以下の染料:Basic Blue 22及びBasic Blue 99が挙げられ得る。
【0085】
適切なアジン系染料として、Colour Index International,3rd Editionに記載されているもの、例えば以下の染料:Basic Blue 17及びBasic Red 2が挙げられ得る。
【0086】
本発明に従って使用可能なカチオン性トリアリールメタン染料として、Colour Index International,3rd Editionに記載されているものの他に、以下の染料:Basic Green 1、Basic Violet 3、Basic Violet 14、Basic Blue 7及びBasic Blue 26が挙げられ得る。
【0087】
文献米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている直接染料も挙げることができる。
【0088】
K.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,Vol.1~7、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”、章“Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley&Sons及び“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley&Sonsの様々な章に列挙されているものも言及され得る。
【0089】
好ましくは、カチオン性直接染料は、アゾ及びヒドラゾノ型の染料から得られるものから選択される。
【0090】
カチオン性直接染料は、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許出願公開第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許出願公開第1560664号明細書、仏国特許出願公開第1540423号明細書、仏国特許出願公開第1567219号明細書、仏国特許出願公開第1516943号明細書、仏国特許出願公開第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許出願公開第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許出願公開第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許出願公開第1974-27645号明細書、Acta Histochem,(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.,(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載されているカチオン性アゾ染料でもあり得る。
【0091】
好ましくは、カチオン性直接染料は、4級アンモニウム基を含み;より優先的には、カチオン性電荷は、環内にある。これらのカチオン性基は、例えば、
- 環外(ジ/トリ)(C~C)アルキルアンモニウム電荷を有するか、又は
- アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム又はキサンチリウムから選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含む環内電荷を有するカチオン性基である。
【0092】
以下の式(IIb)及び(IIIb)のカチオン性ヒドラゾノ直接染料並びに式(IVb)及び(Vb)のカチオン性アゾ直接染料も挙げることができる。
Het-C(R)=N-N(R)-Ar,Q (IIb);
Het-N(R)-N=C(R)-Ar,Q (IIIb);
Het-N=N-Ar,Q (IVb);
Ar-N=N-Ar’’,Q (Vb);
式(IIb)~(Vb)中、
・Hetは、優先的には環内にカチオン性電荷を有し、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたイミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
・Arは、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
・Arは、優先的には、i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノなどの1つ又は複数の電子供与性基によって任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表すか、又は代わりに、Arは、ジュロリジン基を表し;
・Ar’’は、任意選択的に置換されたフェニル又はピラゾリルなどの(ヘテロ)アリール基であって、優先的には1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ又はフェニル基によって任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は優先的にはヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか;又は
・さもなければ、置換基RがHetの置換基と、且つ/又はRがArの置換基と、且つ/又はRがRと、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、R及びRは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・Qは、ハライド、アルキルスルフェート又はアルキルスルホネートなどのアニオン性対イオンを表す。
【0093】
特に、上記で定義された環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のアゾ及びヒドラゾノ直接染料を挙げることができる。より具体的には、特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている、環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のカチオン性直接染料を挙げることができる。
【0094】
好ましくは、以下の直接染料を挙げることができる。
【化4】
式(II-1)及び(IV-1)中、
・Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
・Rは、水素原子を表すか、又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C~C)アルキル、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノを表し;特に、Rは、水素原子であり;
・Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し;
・Qは、上記で定義されたアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである。
【0095】
特に、式(II-1)及び(IV-1)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87及びBasic Orange 31又はそれらの誘導体から選択される。
【化5】
式中、Q’は、上記で定義されたアニオン性対イオン、特にハライド、例えばクロリド又はアルキルスルフェート、例えばメチルスルフェート又はメシチルである。
【0096】
蛍光染料
直接染料は、蛍光直接染料から選択することができる。
【0097】
本発明に使用することができる蛍光染料の例として、以下の染料から選択される中性、アニオン性又はカチオン性染料を挙げることができる:アクリジン、アクリドン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ホウ素(BODIPY(登録商標)、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(特にシアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクアラン、スチルベン及びキサンテン。
【0098】
文献欧州特許第1 133 975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860 636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714 954号明細書に記載されている蛍光染料、並びにK.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,Vol.1~7、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”、章“Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley&Sons及び“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley&Sonsの様々な章並びにハンドブック - “A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005に列挙されている、インターネット上又は先行する印刷版で閲覧されるものも挙げられ得る。
【0099】
好ましい代替形態によれば、蛍光染料は、以下の式(Vb)のものなど、少なくとも1つの4級アンモニウム基を含むカチオン性ポリメチンである。
-[C(R)=C(R)]m’-ArQ
式(Vb)中、
・Wは、特に4級アンモニウムを含み、この4級アンモニウムが、特に1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された1つ又は複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたカチオン性複素環式基又はヘテロアリール基を表し;
・Arは、フェニル又はナフチルなどのアリール基であって、任意選択的に、優先的にはi)1つ又は複数の塩素又はフッ素などのハロゲン原子;ii)1つ又は複数のメチルなどの(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基;iii)1つ又は複数のヒドロキシル基;iv)1つ又は複数のメトキシなどの(C~C)アルコキシ基;v)1つ又は複数のヒドロキシエチルなどのヒドロキシ(C~C)アルキル基;vi)1つ又は複数のアミノ基又はそのC~Cアルキル部分が好ましくは1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)アルキルアミノ基、例えば(ジ)ヒドロキシエチルアミノ;vii)1つ又は複数のアシルアミノ基;viii)1つ又は複数のヘテロシクロアルキル基、例えばピペラジニル、ピペリジル又は5若しくは6員のヘテロアリール、例えばピロリジニル、ピリジル及びイミダゾリニルで置換されたアリール基を表し;
・m’は、1~4の範囲の整数を表し、好ましくは、m’は、1又は2であり;より優先的にはm’=1であり;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は任意選択的に置換された(C~C)アルキル基、好ましくは任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか、又は代わりに、Wと隣接するR及び/又はArと隣接するRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、Rは、Wと隣接しており、これらがシクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
・Qは、上記で定義されたアニオン性対イオンである。
【0100】
アニオン性染料
直接染料は、アニオン性直接染料又はアルカリ性物質と親和性があることから一般に「酸性」直接染料と称される染料から選択することができる。
【0101】
「アニオン性直接染料」という用語は、その構造内に少なくとも1つのCOR又はSOR置換基(式中、Rは、水素原子を表すか、又は金属若しくはアミンに由来するカチオン若しくはアンモニウムイオンを表す)を含む任意の直接染料を意味するものとして理解される。アニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、インジゴイド及び酸性天然染料から選択することができる。
【0102】
好ましくは、アニオン性直接染料は、酸性アントラキノンである。
【0103】
直接染料は、好ましくは、以下の式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)及び(X)並びにそれらの混合物から選択されるアニオン性直接染料であり得る。
【0104】
a)式(III)又は(III’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化6】
式(III)及び(III’)中、
・R、R、R、R10、R’、R’、R’及びR’10は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又は(C~C)アルキル基又はフェニルなどのアリール基を表し;X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)を表す);
- M(O)S(O)-(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M(O)CO-(式中、Mは、上記で定義された通りである);
- R’’-S(O)-(式中、R’’は、水素原子又はアルキル、アリール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ若しくはアリール(C~C)(アルキル)アミノ基を表し;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R’’’-S(O)-X’-(式中、R’’’は、任意選択的に置換された(C~C)アルキル基又はアリール基を表し、X’は、上記で定義された通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)M(O)S(O)-,(式中、Mは、上記で定義された通りである)、及びiv)(C~C)アルコキシから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し;優先的には1つ又は複数のアルキル、M(O)S(O)-又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されたフェニルを表す)
から選択される基を表すか;又は
- さもなければ、2個の隣接している基R及びR、又はR及びR、又はR及びR10が一緒になって縮合ベンゾ基A’を形成し;R’及びR’、又はR’及びR’、又はR’及びR’10が一緒になって縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)M(O)S(O)-;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されているアリール(C~C)(アルキル)アミノから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されており、M、R°、X、X’、X’’及びArは、上記で定義された通りであり;
・Wは、シグマσ結合、酸素若しくは硫黄原子又は二価の基i)-NR-(式中、Rは、上記で定義された通りである)若しくはii)メチレン-C(R)(R)-(式中、R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子又はアリール基を表すか、又はさもなければ、R及びRは、それらを担持する炭素原子と一緒になってスピロシクロアルキルを形成する)を表し;優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はR及びRが一緒になってシクロヘキシルを形成し;
式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’又はCの1つにおいて、
- 少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つのM’(O)CO-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0105】
式(III)の染料の例として、Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 28、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Pigment Red 57、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Yellow 6、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3、Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Food Yellow 3又はSunset Yellowを挙げることができ、式(III’)の染料の例として、Acid Red 111、Acid Red 134又はYellow 38を挙げることができる。
【0106】
b)式(IV)又は(IV’)のアニオン性ピラゾロンアゾ染料:
【化7】
式(IV)及び(IV’)中、
・R11、R12及びR13は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、(C~C)アルキル基又はM(O)S(O)-基(式中、Mは、上記で定義された通りである)を表し;
・R14は、水素原子、(C~C)アルキル基又はMC(O)O-基(式中、Mは、上記で定義された通りである)を表し;
・R15は、水素原子を表し;
・R16は、オキソ基を表し、その場合、R’16は、存在しないか、又はさもなければ、R15は、R16と一緒になって二重結合を形成し;
・R17及びR18は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は
- M(O)S(O)-(式中、Mは、上記で定義された通りである);
- Ar-O-S(O)-(式中、Arは、任意選択的に置換されているアリール基を表し、優先的には1つ又は複数のアルキル基で任意選択的に置換されているフェニルを表す)
から選択される基を表し;
・R19及びR20は、一緒になって、二重結合又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
・R’16、R’19及びR’20は、同一であるか又は異なり、水素原子又は(C~C)アルキル基又はヒドロキシル基を表し;
・R21は、水素原子、(C~C)アルキル基又は(C~C)アルコキシ基を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、上記で定義された通りであり;優先的には、Rは、水素原子を表し、Rは、フェニルなどのアリール基を表し;
・Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;

【化8】
は、Yがオキソ基である場合には単結合を表し;Yがヒドロキシル基を表す場合には二重結合を表し;
式(IV)及び(IV’)は、環D又はEの1つにおいて、
- 少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つのM’(O)CO-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0107】
式(IV)の染料の例として、Acid Red 195、Acid Yellow 23、Acid Yellow 27又はAcid Yellow 76を挙げることができ;式(IV’)の染料の例として、Acid Yellow 17を挙げることができる。
【0108】
c)式(V)又は(V’)のアントラキノン染料:
【化9】
式(V)及び(V’)中、
・R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- 優先的にはアルキル及びM(O)S(O)-(式中、Mは、上記で定義された通りである)から選択される1つ又は複数の基で置換された、任意選択的に置換されたアリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及びM(O)S(O)-(式中、Mは、上記で定義された通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- M(O)S(O)-(式中、Mは、上記で定義された通りである)
から選択される基を表し;
・Z’は、水素原子又はNR2829基(式中、R28及びR29は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C~C)アルキル;
- 1つ又は複数の基、特にi)メチル、n-ドデシル又はn-ブチルなどの(C~C)アルキル;ii)M(O)S(O)-(式中、Mは、上記で定義された通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、上記で定義された通りであり、優先的には、R°は、(C~C)アルキル基を表す)で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル
を表し;
・Zは、ヒドロキシル及びNR’28R’29(式中、R’28及びR’29は、同一であるか又は異なり、上記で定義されたR28及びR29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表し;
式(V)及び(V’)は、
- 少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つのM’(O)CO-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0109】
式(V)の染料の例として、Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3又はExt.Violet No. 2を挙げることができ;式(V’)の染料の例として、Acid Black 48を挙げることができる。
【0110】
d)式(VI)又は(VI’)のニトロ染料:
【化10】
式(VI)及び(VI’)中、
・R30、R31及びR32は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロ(C~C)アルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、上記で定義された通りである);
- M(O)S(O)-(式中、Mは、上記で定義された通りである);
- M(O)CO-(式中、Mは、上記で定義された通りである);
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C~C)アルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノなどのヘテロシクロアルキル
から選択される基を表し;
特に、R30、R31及びR32は、水素原子を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・Wは、上記で定義された通りであり;Wは、特に-N(H)-基を表し;
・ALKは、直鎖又は分枝の二価のC~Cアルキレン基を表し;特に、ALKは、-CH-CH-基を表し;
・nは、1又は2の値を有し;
・pは、1~5の範囲の整数を表し;
・qは、1~4の範囲の整数を表し;
・uは、0又は1の値を有し;
・nが1の値を有する場合、Jは、ニトロ基又はニトロソ基;特にニトロ基を表し;
・nが2の値を有する場合、Jは、酸素若しくは硫黄原子又は2価の-S(O)-基(式中、mは、1又は2の整数を表す)を表し;優先的には、Jは、-SO-基を表し;
・M’’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;

【化11】
は、存在するか又は存在せず、上記で定義された1つ又は複数のR30基によって任意選択的に置換されているベンゾ基を表し;
式(VI)及び(VI’)は、
- 少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つのM’(O)CO-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0111】
式(VI)の染料の例として、Acid Brown 13及びAcid Orange 3を挙げることができ;式(VI’)の染料の例として、Acid Yellow 1、2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-2”-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;及びExt.D&C Yellow 7を挙げることができる。
【0112】
e)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化12】
式(VII)中、
・R33、R34、R35及びR36は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は(C~C)アルキル、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキルから選択される基;特に(C~C)アルキル基及び任意選択的にM(O)S(O)-基(式中、M及びmは、上記で定義された通りである)で置換されたベンジル基から選択される基を表し;
・R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43及びR44は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- (ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す);
- M(O)S(O)-(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M(O)CO-(式中、Mは、上記で定義された通りである)
から選択される基を表すか;又は
- さもなければ、隣接する2つの基R41及びR42、又はR42及びR43、又はR43及びR44が一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)M(O)S(O)-;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M、R°、X、X’及びX’’は、上記で定義された通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された縮合ベンゾ基を形成し;
特に、R37~R40は、水素原子を表し、R41~R44は、同一であるか又は異なり、ヒドロキシル基又はM(O)S(O)-基(式中、Mは、上記で定義された通りである)を表し;R43及びR44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは、優先的には、(O)S(O)-基で置換されており;
環G、H又はIの少なくとも1つは、
- 少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つのM’(O)CO-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0113】
式(VII)の染料の例として、Acid Blue 1、Acid Blue 3、Acid Blue 7、Acid Blue 9、Acid Violet 49、Acid Green 3、Acid Green 5及びAcid Green 50を挙げることができる。
【0114】
f)式(VIII)のキサンテン系染料:
【化13】
式(VIII)中、
・R45、R46、R47及びR48は、同一であるか又は異なり、水素原子又はハロゲン原子を表し;
・R49、R50、R51及びR52は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- M(O)S(O)-(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M(O)CO-(式中、Mは、上記で定義された通りである)
から選択される基を表し;
特に、R53、R54、R55及びR48は、水素原子又はハロゲン原子を表し;
・Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは、上記で定義された通りである)を表し;特に、Gは、酸素原子を表し;
・Lは、アルコキシドM;チオアルコキシドM又はNR基(式中、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、Mは、上記で定義された通りであり;Mは、特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
・L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N(式中、R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子、(C~C)アルキル基又は任意選択的に置換されているアリール基を表す)を表し;L’は、特に酸素原子又は1つ若しくは複数のアルキル若しくはM(O)S(O)-基(式中、m及びMは、上記で定義された通りである)によって任意選択的に置換されているフェニルアミノ基を表し;
・Q及びQ’は、同一であるか又は異なり、酸素又は硫黄原子を表し;特に、Q及びQ’は、酸素原子を表し;
・Mは、上記で定義された通りである。
【0115】
式(VIII)の染料の例として、Acid Yellow 73、Acid Red 51、Acid Red 52;Acid Red 87、Acid Red 92、Acid Red 95及びAcid Violet 9を挙げることができる。
【0116】
g)式(IX)のインドール系染料:
【化14】
式(IX)中、
・R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59及びR60は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は
- (C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す);
- M(O)S(O)-(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M(O)CO-(式中、Mは、上記で定義された通りである)
から選択される基を表し;
・Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR基(式中、Rは、上記で定義された通りである)を表し;特に、Gは、酸素原子を表し;
・R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
式(IX)は、
- 少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つのM’(O)CO-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基
を含むことが理解される。
【0117】
式(IX)の染料の例として、Acid Blue 74を挙げることができる。
【0118】
h)式(X)のキノリン系染料:
【化15】
式(X)中、
・R61は、水素若しくはハロゲン原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・R62、R63及びR64は、同一であるか又は異なり、水素原子又はM(O)S(O)-基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;又はさもなければR61及びR62又はR61及びR64が一緒になって、1つ又は複数のM(O)S(O)-基(式中、Mは、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し;
式(X)は、少なくとも1つのM’(O)S(O)-基(式中、M’は、カチオン性対イオンを表す)、好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基を含むことが理解される。
【0119】
式(X)の染料の例として、Acid Yellow 2、Acid Yellow 3及びAcid Yellow 5を挙げることができる。
【0120】
より具体的には、本発明において有用な式(III)~(VIII)の染料は、以下から選択される:Acid Red 87(VIII)(C.I.45380);2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩(VI’)(C.I.10316);Acid Orange 3(VI)(C.I.10383);Acid Yellow 9/Food Yellow 2(III)(C.I.13015);Direct Red 45/Food Red 13(III)(C.I.14780);Acid Black 52(III)(C.I.13711);Acid Yellow 36(III)(C.I.13065);1-ヒドロキシ-2-(2’,4’-キシリル-5-スルホナトアゾ)ナフタレン-4-スルホン酸のナトリウム塩/Food Red 1(III)(C.I.14700);Acid Red 14/Food Red 3/Mordant Blue 79(III)(C.I.14720);4-ヒドロキシ-3-[(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ジアザ]-6-(フェニルアミノ)ナフタレン-2-スルホン酸のナトリウム塩/Acid Brown 4(III)(C.I.14805);Acid Orange 7/Pigment Orange 17/Solvent Orange 49(III)(C.I.15510);Food Yellow 3/Pigment Yellow 104(III)(C.I.15985);Acid Red 27/Food Red 9(III)(C.I.16185);Acid Orange 10/Food Orange 4(III)(C.I.16230);Acid Red 44(III)(C.I.16250);Acid Red 33/Food Red 12(III)(C.I.17200);Acid Red 184(III)(C.I.15685);Acid Violet 3(III)(C.I.19125);1-ヒドロキシ-2-(4’-アセトアミドフェニルアゾ)-8-アセトアミドナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/Acid Violet 7/Food Red 11(III)(C.I.18055);Acid Red 135(III)(C.I.18130);Acid Yellow 27(IV)(C.I.19130);Acid Yellow 23/Food Yellow 4(IV)(C.I.19140);4’-(スルホナト-2’’,4’’-ジメチル)-ビス-(2,6-フェニルアゾ)-1,3-ジヒドロキシベンゼン/Acid Orange 24(III)(C.I.20170);1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/Acid Black 1(III)(C.I.20470);(4-((4-メチルフェニル)スルホニルオキシ)フェニルアゾ)-2,2’-ジメチル-4-((2-ヒドロキシ-5,8-ジスルホナト)ナフチルアゾ)ビフェニル/Acid Red 111(III’)(C.I.23266);Food Black 2(III)(C.I.27755);1-(4’-スルホナトフェニルアゾ)-4-((2’’-ヒドロキシ-3’’-アセチルアミノ-6’’,8’’-ジスルホナト)ナフチルアゾ)-6-スルホナトナフタレン(四ナトリウム塩)/Food Black 1(III)(C.I.25440);Acid Blue 9(VII)(C.I.42090);Acid Violet 43(V)(C.I.60730);Acid Green 25(V)(C.I.61570);1-アミノ-4-シクロヘキシルアミノ-9,10-アントラキノン-2-スルホン酸のナトリウム塩/Acid Blue 62(V)(C.I.62045);Acid Blue 78(V)(C.I.62105);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Red 4(III)(C.I.14710);2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);2(4’-N,N(2’’-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸(VI’);4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);Acid Violet 49(VII)(C.I.42640);Acid Blue 7(VII)(C.I.42080);1,2-ジヒドロキシ-3-スルホアントラキノンのナトリウム塩/Mordant Red 3(V)(C.I.58005);1-アミノ-9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-4-(フェニルアミノ)-2-アントラセンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Blue 25(V)(C.I.62055);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/Acid Red 4(III)(C.I.14710)。
【0121】
これらの染料のほとんどは、特にThe Society of Dyers and Colourists, P.O.Box 244,Perkin House,82 Grattan Road,Bradford,Yorkshire,BD12 JBN Englandにより発行されているColor Indexに記載されている。
【0122】
最も特に好ましいこれらのアニオン性染料は、Colour Indexにおいて、コードC.I.58005(1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.60730(2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチルベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15510(4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15985(6-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)アゾ]-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.17200(5-アミノ-4-ヒドロキシ3-(フェニルアゾ)-2,7-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.20470(1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシ-3,6-ナフタレンジスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.42090(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル[3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホベンゼンメタンアミニウム水酸化物の二ナトリウム塩、内部塩)、C.I.61570(2,2’-[(9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-1,4-アントラセンジイル)ジイミノ]ビス[5-メチル]ベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩)で指定される染料である。
【0123】
構造(III)~(X)のメソメリー又は互変異性形態に対応する化合物を使用することもできる。
【0124】
天然染料
直接染料は、天然直接染料から選択することができる。
【0125】
本発明に従って使用することができる天然の直接染料の中でも、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセイン、ブラジリン、ブラジレイン、ヘマテイン又はヘマトキシリンを挙げることができる。これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出物、特にヘンナ染料をベースとする湿布又は抽出物を使用することも可能である。
【0126】
好ましい一実施形態によれば、直接染料は、以下の式(IIa)及び(IIa)のトリアリールメタン直接染料並びにそれらの混合物から選択される。
【化16】
式中、
・R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子又は好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル;フェニルなどのアリール;ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル;ヘテロアリール若しくはヘテロアリール(C~C)アルキルからの基を表すか、又はさもなければ、同じ窒素原子によって担持されている2つのR及びR並びに/又はR及びR基は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル基、例えばモルホリノ、ピペラジノ又はピペリジノを形成し、好ましくは、R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
・R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、同一であるか又は異なり、水素原子若しくはハロゲン原子又は以下から選択される基:i)ヒドロキシル;ii)チオール;iii)アミノ;iv)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ;v)(ジ)アリールアミノ、例えば(ジ)フェニルアミノ;vi)ニトロ;vii)アシルアミノ(-NR-C(O)R’)(式中、R基は、水素原子、任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基であり、R’基は、C~Cアルキル基である);viii)カルバモイル((R)N-C(O)-)(式中、R基は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基を表す);ix)カルボン酸又はエステル、(-O-C(O)R’)又は(-C(O)OR’)(式中、R’基は、水素原子又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基であり、R’基は、C~Cアルキル基である);x)任意選択的に特にヒドロキシル基で置換されたアルキル;xi)アルキルスルホニルアミノ(R’SO-NR-)(式中、R基は、水素原子を表すか、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基を表し、R’基は、C~Cアルキル基、フェニル基を表す);xii)アミノスルホニル((R)N-SO-)(式中、R基は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持するC~Cアルキル基を表す);xiii)(C~C)アルコキシ;及びxiv)(C~C)アルキルチオを表すか;又は
・さもなければ、隣接している2個の炭素原子によって担持されている2つの基R及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びR10、並びに/又はR11及びR12、並びに/又はR13及びR14、並びに/又はR15及びR16は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、縮合6員アリール又はヘテロアリール、好ましくはベンゾ環を形成し、加えて、前記環は、任意選択的に置換された、好ましくは無置換のベンゾ環でもあり得;
・Qは、電気的中性を達成するための、好ましくはクロリド又はブロミドなどのハライド及びホスフェートから選択されるアニオン性対イオンを表す。
【0127】
好ましくは、直接染料は、中性直接染料、カチオン性直接染料及びそれらの混合物から選択される。
【0128】
より優先的には、直接染料は、好ましくは、Basic Red 51、HC Blue 15及びそれらの混合物から選択される。
【0129】
直接染料は、組成物の総質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~3質量%、より優先的には0.1質量%~1質量%、さらにより優先的には0.1質量%~0.5質量%の範囲の総含有量で組成物中に存在し得る。
【0130】
組成物は、1種又は複数の酸化染料を追加的に含み得る。
【0131】
酸化染料
酸化染料は、一般に、1種又は複数のカップリング剤(カプラーとしても知られる)を任意選択的に組み合わせた1種又は複数の酸化性塩基から選択される。
【0132】
酸化性塩基
組成物は、任意選択的に、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択される1種又は複数の酸化性塩基を含み得る。
【0133】
例として、酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環式塩基並びに対応する付加塩から選択される。
【0134】
挙げられ得るパラ-フェニレンジアミンには、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン及び3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン並びに酸との対応する付加塩が含まれる。
【0135】
上に挙げたパラ-フェニレンジアミンの中でも特に、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン及び酸とのこれらの付加塩が好ましい。
【0136】
挙げられ得るビス(フェニル)アルキレンジアミンには、例えば、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン並びに対応する付加塩が含まれる。
【0137】
挙げられるパラ-アミノフェノールには、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール並びに酸との対応する付加塩が含まれる。
【0138】
挙げられ得るオルト-アミノフェノールには、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール並びに対応する付加塩が含まれる。
【0139】
挙げられ得る複素環式塩基には、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール誘導体が含まれる。
【0140】
挙げられ得るピリジン誘導体には、例えば、特許英国特許出願公開第1026978号明細書及び英国特許出願公開第1153196号明細書に記載される化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン及び3,4-ジアミノピリジン並びに対応する付加塩が含まれる。
【0141】
本発明に有用な他のピリジン酸化性塩基は、例えば、特許出願仏国特許第2801308号明細書に記載されている酸化性塩基である3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン又は対応する付加塩である。挙げられ得る例には、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン及び2-(4-ジメチルピペラジニウム-1-イル)-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン並びに対応する付加塩が含まれる。
【0142】
より特に、本発明に有用な酸化性塩基は、好ましくは、2炭素原子において、
a)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基(前記アルキル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、アミノ又はイミダゾリウム基で置換されていることが可能である);
b)1つ又は複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、1~3つのヘテロ原子を含む、任意選択的にカチオン性の5~7員のヘテロシクロアルキル基、例えばジ(C~C)アルキルピペラジニウム基;又は
c)1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルコキシ基
によって置換された3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン及び対応する付加塩から選択される。
【0143】
挙げられ得るピリミジン誘導体には、例えば、特許独国特許第2359399号明細書、日本特許第88169571号公報、日本特許第0563124号公報及び欧州特許第0770375号明細書又は特許出願国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びその付加塩並びにその互変異性体形態(互変異性平衡が存在する場合)が含まれる。
【0144】
挙げられ得るピラゾール誘導体には、特許独国特許第3843892号明細書、同第4133957号明細書並びに特許出願国際公開第94/08969号パンフレット、同第94/08970号パンフレット、仏国特許出願公開第A-2733749号明細書及び独国特許第19543988号明細書で説明されている化合物であり、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール及び対応する付加塩が含まれる。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用し得る。
【0145】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾールが使用され、さらにより優先的には4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0146】
挙げられ得るピラゾール誘導体には、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に特許出願仏国特許出願公開第A-2886136号明細書に記載されているもの、例えば以下の化合物及び対応する付加塩:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン及び2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンも含まれる。
【0147】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0148】
複素環式塩基として、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその対応する塩の1つを用いるのが好ましい。
【0149】
カップリング剤
組成物は、任意選択的に、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択することができる1種又は複数のカップリング剤を含み得る。
【0150】
特に、カップリング剤の中でも、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤及び複素環式カップリング剤並びにさらに対応する付加塩が挙げられ得る。
【0151】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール及び3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、酸との対応する付加塩及び対応する混合物を挙げることができる。
【0152】
一般に、本発明に関連して使用することができる酸化性塩基及びカップリング剤の付加塩は、特に酸との付加塩、例えばヒドロクロリド、ヒドロブロミド、スルフェート、シトレート、サクシネート、タルトレート、ラクテート、トシレート、ベンゼンスルホネート、ホスフェート及びアセテートから選択される。
【0153】
酸化性塩基は、それぞれ組成物の全質量に対して0.001質量%~10質量%を占めると有利であり、組成物の全質量に対して0.005質量%~5質量%の範囲であることが好ましい。
【0154】
カップリング剤は、存在する場合、有利にはそれぞれ組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.005質量%~5質量%を占める。
【0155】
追加の塩基性化剤
組成物は、上記で定義されたカーボネート、ビカーボネート及びシリケート以外の1種又は複数の追加の塩基性化剤も含み得る。
【0156】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、水性アンモニア及び/又はアルカノールアミンから選択される追加のアルカリ剤を含まない。
【0157】
酸性化剤
組成物は、1種又は複数の酸性化剤を追加的に含み得る。
【0158】
組成物のpH
本発明による組成物は、好ましくは、11以下、好ましくは10.5以下、好ましくは10以下のpHを示す。
【0159】
本発明による組成物のpHは、8~11、好ましくは8~10.5、より優先的には8~10で変動し得る。
【0160】
特定の好ましい実施形態によると、本発明による組成物のpHは、8.3~10で変動する。
【0161】
組成物の他の特徴
組成物は、好ましくは、組成物の総質量に対して5質量%~99質量%、より優先的には5質量%~80質量%の範囲の含有量で水を含む。
【0162】
この組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を追加的に含み得る。
【0163】
「有機溶媒」という用語は、他の物質を化学的に修飾することなく溶解することができる有機物質を意味するものとして理解される。
【0164】
本発明による組成物は、液体形態、美容液形態、増粘された形態、特にゲル、クリーム、ワックス若しくはペースト又はフォーム形態で提供され得る。
【0165】
本発明による組成物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性若しくは両性界面活性剤;天然若しくは合成由来の、カチオン性、アニオン性、非イオン性若しくは両イオン性の、会合性若しくは非会合性増粘ポリマー;油、ガム、樹脂の形態のシリコーン;又は植物性、鉱物性若しくは合成の非シリコーン系油;UV遮蔽剤;真珠光沢剤及び二酸化チタンなどの金属酸化物、粘土などの充填剤;香料;解膠剤;ビタミン剤;並びに防腐剤から選択される1種又は複数の追加の化合物も含み得る。
【0166】
ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する方法
第2の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する方法であって、上記で定義された組成物をケラチン繊維に適用することを含む方法である。
【0167】
特に、組成物は、湿潤又は乾燥ケラチン繊維に適用される。
【0168】
好ましくは、ケラチン繊維は、暗色ケラチン繊維である。
【0169】
「暗色ケラチン繊維」という用語は、そのトーンの高さが6以下(ダークブロンド)、好ましくは4以下(チェスナット)であるケラチン繊維を意味するものとして理解される。
【0170】
「トーンの高さ」は、ヘアスタイルの専門家に知られている単位であり、1988年、Massonによって発行されたCharles Zviakによる著作Science des traitements capillaires[The Science of Hair Care]、215ページ及び278ページに掲載されており;トーンの高さは、ヨーロッパの尺度に従って1(黒)~10(明るいブロンド)の範囲であり、1単位は、1トーンに対応し、数値が高いほどトーンが明るい。
【0171】
組成物は、有利には、ケラチン繊維1グラムあたり組成物が0.1g~20gの範囲となる量でケラチン繊維に適用することができる。
【0172】
組成物は、一定期間、一般に1分間~1時間、好ましくは5分間~60分間にわたって繊維上に静置される。
【0173】
例として、組成物は、50分間にわたって繊維上に静置され得る。
【0174】
組成物は、閉塞系下で繊維上に静置され得る。閉塞系の非限定的な例として、穴の有無にかかわらず、アルミニウム若しくはプラスチックフィルムで作成されたラッパー型又はヘアキャップ型の閉塞系が挙げられ得る。
【0175】
同時に脱色及び染色する方法中の温度は、通常、周囲温度(15℃~25℃)~80℃、好ましくは周囲温度~60℃である。
【0176】
例として、同時に脱色及び染色する方法中の温度は、33℃である。
【0177】
処理が完了したら、任意選択的にケラチン繊維を水ですすぎ、シャンプーにより任意選択的に洗浄し、次いで水ですすぎ、その後、乾燥させるか又は放置して自然乾燥させる。
【0178】
乾燥段階は、吸収紙、ヘアードライヤー又はスタイリングフードを用いて実施することができる。
【0179】
本発明における組成物は、好ましくは、少なくとも2つの組成物を混合することにより調製する。好ましくは、前記少なくとも2つの組成物の混合は、本発明における組成物をケラチン繊維に適用する直前に調合することによって実施される。
【0180】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、2つの組成物(A)及び(B1):
- i)上記で定義された、過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む組成物(A)と;
- 組成物(B1)であって、
ii)上記で定義された、カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)上記で定義された1種又は複数のシリケート;及び
iv)上記で定義された1種又は複数の直接染料
を含む組成物(B1)と
の混合又は3つの組成物(A)、(B2)及び(C):
- i)上記で定義された、過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化学的酸化剤を含む組成物(A)と;
- 組成物(B2)であって、
ii)上記で定義された、カーボネート、カーボネート発生系、ビカーボネート、ビカーボネート発生系及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)上記で定義された1種又は複数のシリケート
を含む組成物(B2)と;
- iv)上記で定義された1種又は複数の直接染料を含む組成物(C)と
の混合から得られる。
【0181】
好ましくは、組成物(A)若しくは(B1)の少なくとも1つ又は3つの組成物(A)、若しくは(B2)、若しくは(C)の少なくとも1つは、水性である。より優先的には、組成物(A)は、水性である。
【0182】
特定の実施形態によれば、組成物(B1)又は(B2)は、無水である。
【0183】
「水性組成物」という用語は、少なくとも5質量%の水を含む組成物を意味するものとして理解される。水性組成物は、好ましくは、10質量%を超える水、さらにより有利には20質量%を超える水を含む。
【0184】
より好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、2つの組成物(A’)及び(B1’):
- i)過酸化水素を含む組成物(A’)と;
- 組成物(B1’)であって、
ii)上記で定義された、カーボネート、ビカーボネート及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)上記で定義された1種又は複数のシリケート;及び
iv)上記で定義された1種又は複数の直接染料
を含む組成物(B1’)と
の混合又は3つの組成物(A’)、(B2’)及び(C’):
- i)過酸化水素を含む組成物(A’)と;
- 組成物(B2’)であって、
ii)上記で定義された、カーボネート、ビカーボネート及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の化合物;及び
iii)上記で定義された1種又は複数のシリケート
を含む組成物(B2’)と;
- iv)上記で定義された1種又は複数の直接染料を含む組成物(C’)と
の混合から得られる。
【0185】
好ましくは、組成物(A’)若しくは(B1’)の少なくとも1つ又は3つの組成物(A’)、若しくは(B2’)、若しくは(C’)の少なくとも1つは、水性である。より優先的には、組成物(A’)は、水性である。
【0186】
特定の実施形態によれば、組成物(B1’)又は(B2’)は、無水である。
【0187】
使用
第3の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための、上記で定義された組成物の使用である。
【0188】
多区画デバイス(キット)
第4の態様によれば、本発明の主題は、
・上記で定義された組成物(A)を含む第1の区画と;
・上記で定義された組成物(B1)を含む第2の区画と
を含むか;又は
・上記で定義された組成物(A)を含む第1の区画と;
・上記で定義された組成物(B2)を含む第2の区画と;
・上記で定義された組成物(C)を含む第3の区画と
を含む多区画デバイス(キット)である。
【0189】
好ましくは、多区画デバイスは、
・上記で定義された組成物(A’)を含む第1の区画と;
・上記で定義された組成物(B1’)を含む第2の区画と
を含むか;又は
・上記で定義された組成物(A’)を含む第1の区画と;
・上記で定義された組成物(B2’)を含む第2の区画と;
・上記で定義された組成物(C’)を含む第3の区画と
を含む。
【実施例
【0190】
以下に続く実施例は、限定的な性質を示すことなく、本発明のより良好な理解を可能にする。以下の実施例において、別段の指定がない限り、量は、全て組成物の総質量に対する質量百分率で表す。
【0191】
実施例1
以下の組成物C1及びC2を調製し、次いで以下に記載する適用手順に従って適用した。
【0192】
【表1】
【0193】
適用プロトコル:
組成物C1及びC2の各10gを、33℃の温度に維持されたホットプレート上でHT4コーカサス人型の1gの暗色毛髪2房に適用する。全てをセロハンフィルムで50分間覆う。
【0194】
その後、房をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再びすすぎ、その後、乾燥させる。
【0195】
結果
【0196】
【表2】
【0197】
本発明による組成物は、単一段階で暗色毛髪の脱色及び染色を同時に行うことを可能にし、鮮やかな色を得ることを可能にする。
【国際調査報告】