(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ノダケニンまたはノダケネチンを含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20231219BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20231219BHJP
A61K 36/237 20060101ALI20231219BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20231219BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20231219BHJP
C12P 7/22 20060101ALI20231219BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20231219BHJP
C12N 1/16 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/23
A61K36/237
A61P31/16
A23L33/135
C12P7/22
C12N1/20 E
C12N1/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537198
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 KR2021018177
(87)【国際公開番号】W WO2022131639
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178742
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ミン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】サ・ド・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ラク・キム
【テーマコード(参考)】
4B018
4B064
4B065
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
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4B065BD43
4B065CA05
4B065CA41
4B065CA44
4C088AB40
4C088BA08
4C088CA25
4C088MA07
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZB33
(57)【要約】
本発明は、羌活(Ostericum koreanum)抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物、予防または治療用薬学的組成物に関する。また、ノダケネチンを含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物、予防または治療用薬学的組成物に関する。より詳細には、本発明による羌活抽出物の発酵物またはその分画物は、ノイラミニダーゼ活性を抑制してインフルエンザウイルス感染の増殖を抑制するので、インフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物、インフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物などとして有用に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物及び中国羌活属(Notopterygium sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項2】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項1に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項3】
前記発酵物は、微生物による発酵物である、請求項1に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項4】
前記微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項3に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項5】
前記微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項4に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項6】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項1に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項7】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項6に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項8】
ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物及び中国羌活属(Notopterygium sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項9】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項8に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項10】
前記発酵物は、微生物による発酵物である、請求項8に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項11】
前記微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項10に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項12】
前記微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項11に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項8に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項14】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項13に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項15】
ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物及び中国羌活属(Notopterygium sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む、インフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項16】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項15に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項17】
前記発酵物は、微生物による発酵物である、請求項15に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項18】
前記微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項17に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項19】
前記微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項18に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項20】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項15に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項21】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項20に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項22】
a)酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを含む培地を製造する段階、
b)前記製造された培地に微生物を接種して培養後、菌体を分離して確保する段階、及び
c)植物抽出物が溶解した水に段階b)で確保した菌体を接種して培養する段階を含む、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項23】
前記a)段階において培地は、酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを1:1:3~1:1:4の重量比で含む、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項24】
前記b)段階において微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項25】
前記b)段階において微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項24に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項26】
前記b)段階において培養は、5日~9日間行われる、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項27】
前記c)段階において培養は、3日~7日間行われる、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項28】
シシウド属(Angelica sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含み、
前記微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、インフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項29】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項28に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項30】
前記微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及びロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項28に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項31】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項28に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項32】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項31に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項33】
シシウド属(Angelica sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含み、
前記微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)及びリューコノストック属(Leuconostoc sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、インフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項34】
シシウド属(Angelica sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含み、
前記微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)及びリューコノストック属(Leuconostoc sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、インフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項35】
個体に治療的有効量の組成物を投与することを含み、
前記組成物は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む、インフルエンザウイルス感染の改善の予防及び/又は治療方法。
【請求項36】
インフルエンザウイルス治療剤を製造するためのノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む組成物の用途。
【請求項37】
インフルエンザウイルス感染の改善、予防及び/又は治療に使用するためのノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む組成物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイラミニダーゼ(NA)活性を抑制してインフルエンザウイルスの感染を予防、改善または治療することができ、インフルエンザウイルスを抑制することができるノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物抽出物、その発酵物またはそれらの分画物を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルスに属し、季節ごとに数千から数万人の命を奪う代表的な病原性ウイルスである。20世紀以降、インフルエンザは、種を行き来しながら変種を起こし、流行性風邪を主導し、すでに明らかになった薬剤を無意味にするほど突然変異率が高いウイルスである。流行性インフルエンザとよく言われるこの疾患は、一般的に悪寒、発熱、咽頭炎、筋肉痛、咳、無力感と不快感を誘発するが、このような非特異的な症状は、一般的な風邪に比べてその程度がひどいだけで、生命に脅威を与えるほど致命的ではないが、肺炎やライ症候群を伴う場合、致命的な合併症を誘発しうる。通常、感染者の咳や痰、くしゃみを介して呼吸器の感染が主に起こるが、他の動物(特に鳥類)からヒトに感染されると、変種が多く発生する。インフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスCの3種類がある。このうち、動物種間の伝染を通じて大流行を引き起こした、2009年に流行した流行性インフルエンザ、別名新型インフルは、インフルエンザAH1N1タイプでメキシコで初めて発病し、様々な変種が発生することにより、多くの国に広がり、国際保健機関(WHO)は、これを「世界的流行」と規定したことがある。通常のインフルエンザの場合、精製された不活性化菌株を風邪の流行時期以前に注入する方式で予防による防御的治療が一般的であるが、インフルエンザの流行時期に既に症状が発生した患者の場合、予防が不可能であるため、治療の方式で症状を緩和させなければならない。このようにお手上げ状態で広がっていた新型インフルの拡散を止めた「タミフル」の場合、効果的な面では優れているが、摂取後、幻覚症状の発生などの副作用の事例がメディアを通じてたびたび報道されている。また、治療用薬剤ではなく、予防的な側面で長期的に摂取可能な成分は、存在しないのが実状である。
【0003】
インフルエンザウイルスは、表面に糖タンパク質である赤血球凝集素、すなわち、ヘマグルチニン(hemaglutinine,HA)とノイラミニダーゼ(neuraminades,NA)など2つの表面抗原を有しており、内部には分節された8つのRNAが存在する。HAは、宿主細胞の表面にあるシアル酸残基と結合してウイルスを宿主細胞に付着させて浸透できるようにする。NAは、感染した宿主細胞で増殖を終えたウイルスが細胞表面の二糖類部分とノイラミン酸(neuraminic acid)残基との間のα-ケトシド結合(α-ketosidic bond)を切断し、ウイルスがさらに他の宿主細胞に増殖するように誘導する役割を果たす。体内ウイルス防御メカニズムは、HAを認識して宿主細胞の結合を妨害するか、またはNAに結合して感染した宿主細胞属ウイルスが近接細胞への増殖を抑制する方式として作用する。しかし、HA16種とNA9種の様々な組み合わせにより、ウイルスは、数多くの場合の突然変異を発生させ、防御メカニズムに対する耐性を持つ。インフルエンザウイルス抑制剤は、様々な機序を狙った様々な薬が開発されているが、現在、使用されている薬は、ウイルス遺伝子の転写及び複製の抑制剤であるリバビリン(ribavirin)、M2チャンネル(M2 channel)抑制剤であるアマンタジン(amantadine)とリマンチジン(rimantidine)、NA活性抑制剤であるザナミビル(Zanamivir)とオセルタミビル(oseltamivir)がある。このうち、リバビリンは、インフルエンザだけでなく様々なウイルスによる感染症を治療するのに使用するが、インフルエンザ様症状、うつ病、不眠症など報告された副作用が多く、M2チャンネル抑制剤であるアマンタジン、リマンチジンは、インフルエンザウイルスAのみに効果があり、すでに耐性を持つウイルスが多数報告されており、神経系及び胃腸に深刻な副作用を引き起こすという事例があった。
【0004】
このような背景の下で、インフルエンザウイルスに対する抑制活性を示し、人体に安全かつ予防次元で持続的に摂取可能な成分及び製剤の開発が依然として要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、薬用植物として使用されてきたノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物がインフルエンザウイルスの増殖に対する抑制効果に優れていることを確認することにより、本発明を完成した。
【0006】
したがって、本発明は、インフルエンザウイルスの増殖抑制に関する効能及び長期的に摂取しても安全性において大きな問題のないノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物、その発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス抑制、感染予防、治療または改善組成物を提供する。
【0007】
本発明における組成物は薬学組成物、健康機能食品組成物または医薬部外品組成物であってもよい。
【0008】
具体的な態様として、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0009】
他の態様として、本発明は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0010】
さらに他の態様として、本発明は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス抑制用組成物を提供する。
【0011】
さらに他の態様として、本発明は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0012】
さらに他の態様として、本発明は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含むインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0013】
さらに他の態様として、本発明は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含むインフルエンザウイルス抑制用組成物を提供する。
【0014】
さらに他の態様として、本発明は、個体に治療的有効量の組成物を投与することを含み、
前記組成物は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む、インフルエンザウイルス感染改善の予防及び/又は治療方法を提供する。
【0015】
さらに他の態様として、本発明は、インフルエンザウイルス治療剤を製造するためのノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む組成物の用途を提供する。
【0016】
さらに他の態様として、本発明は、インフルエンザウイルス感染の改善、予防及び/又は治療に使用するためのノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む組成物の用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の抽出物の発酵物またはそれらの分画物、またはノダケネチンを含む組成物は、インフルエンザウイルスの感染を抑制し、感染の予防または改善、治療効果を提供する。
【0018】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0019】
一態様として、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含む組成物を提供する。
【0020】
前記インフルエンザウイルスの抑制、感染の予防、改善、または治療用組成物であってもよい。具体的には、前記組成物は、インフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物、インフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物であってもよい。
【0021】
前記ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物は、羌活(Ostericum koreanum)、オニノダケ(Angelica gigas)、中国羌活(Notopterygium incisum)、川羌活(Notopterygium franchetii)、寛葉羌活(Notopterygium forbesii)、ノダケ(Angelica decursiva)、藁本(Angelica tenuissima)、ボタンボウフウ(Peucedanum japonicum)、カワラボウフウ(Peucedanum terebinthaceum)、イワミツバ(Aegopodium podagraria)、シャク(Anthriscus sylvestrie)、及びチャービル(Anthriscus cerefolium)などを含むが、これに限定されるものではなく、ノダケネチンまたはノダケニンを含むものはすべて含まれてもよい。本発明の一実施例において、羌活抽出物の発酵物を分画して得た化合物がインフルエンザウイルスの増殖を抑制する効果があることを確認し、このような化合物がノダケネチンであることを実験的に確認したところ、ノダケネチンまたはノダケニンが含まれた植物の抽出物は、本発明で制限なく使用されてもよい。
【0022】
一態様として、本発明は、羌活抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0023】
一態様として、本発明は、中国羌活抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0024】
一態様として、本発明は、川羌活抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0025】
一態様として、本発明は、寛葉羌活抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0026】
本発明の用語の「羌活(Ostericum coreniaum)」は、セリ科に属する多年草で、東アジアなどに分布する。羌活は、川羌、中国羌活、川羌活、寛葉羌活、独搖草、羌骨、長生草、羌青、蠶羌、胡王使者、護羌使者、ウド、九眼独活、シシウド、独活といい、これに制限されるものではない。草丈は2m程度に成長し、花を除いた植物全体に短い毛がある。8~9月に枝の先に花が咲き、10月に黒い実がなる。香りがあって、幼い芽をナムルとして食べることもある。漢方で使用する羌活は、根部分である。薬性は穏やかで味は苦くて辛い。発散作用が強く、熱がひどく、頭と全身の痛みがあるときに使用する。薬理作用として抗炎症作用、抗糖尿効能、抗がん活性などがある。羌活の成分としては、クマリン系のkoreanin,imperatorin,oxypeucedanin,xanthotoxol,osthol,oxypeucedanin hydrate,marmesininなどが報告されている。また精油成分としてα-pinene、β-pinene、limonene、terpinolene、m-cresolなどが分離報告されている。
【0027】
一態様として、本発明は、オニノダケ抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0028】
本発明の用語のオニノダケ「Angelica gigas」は、セリ科に属する多年草で、東アジアなどに分布する。オニノダケは、オニノダケ、朝鮮オニノダケ、Korea angelica、中国オニノダケ、Dang gui、Dan gui、Dang quai、倭オニノダケ、シラネセンキュウ、日本オニノダケ、日オニノダケ、西洋オニノダケ、angelicaといい、これに制限されるものではない。多年草で草丈1-2mで全体において毛がなく、紫色を帯びて根は大きく、香りが強く、茎はまっすぐに立っている。8~9月に花が咲き、9~10月に実がなるが、幼い芽はナムルとして食べることもある。性質は暖かく、毒がなく、味は辛くて甘くて苦い。血行不良、身体虚弱、関節痛、頭痛、腹痛、めまい、便秘、消化機能の衰弱によってやつれたとき、打撲傷、関節炎、血管疾患によって生じた内出血、血流停滞、腫脹、頭痛に使用し、婦人病の主な薬剤として月経調節、鎮静作用がある。オニノダケを使用するときに部位を区別して使用するが、上部は血を補い、中央部は血を調節し、尾部はお血を除去して血を流す作用を、全体は血液循環を活発にする作用をする。オニノダケの成分としては、精油が根に0.31%、果実には0.69%を含有し、クマリンが全草に1.38%、根に2~3%含有されている。根の主成分は、ピラノクマリン(pyranocoumarin)系の物質であるデカシン(decursin)であり、その他のデクルシノール(decursinol)、ウンベリフェロン(umbelliferon)、β-シトステロール(β-sitosterol)があると報告されている。その他のノダケネチン、ノダケニン、インペラトリンなどが分離報告されている。オニノダケの根や葉は食品として食用が可能で、生薬薬剤として長時間摂取してきたため、毒性及び副作用に関する問題はない。
【0029】
一態様として、本発明は、ノダケ抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0030】
本発明の用語の「ノダケ(Angelica decursiva)」は、セリ科に属する多年草で、韓国、日本、中国などに分布する。主成分は、ノダケニン(nodakenin)、スポンゲステロール(spongesterol)、マンニトール(mannitol)、エストラゴール(estragole)、リモネン(liminene)などを含む。
【0031】
一態様として、本発明は、シャク抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0032】
本発明の用語の「シャク(Anthriscus sylvestris)」は、セリ科に属する多年草で、ユーラシア全域とアフリカなどに分布する。シャクは、シャク、岩風、蘿鬼菜、信前胡、野芹菜、白花前胡、ノダケといい、これに制限されるものではない。主成分は、ポドフィロトキシン(podophylotoxin)、デオキシポドフィロトキシン(deoxypodophylotoxin)、モレレンシン(morelensin)、プラエルプトリンA及びB(praeruptorinA,B)、プラロシドVI及びVII(praerosidesVI,VII)、プセダーノサイドA及びB(peucedanosideA,B)などであるとして知られている。
【0033】
一態様として、本発明は、藁本抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0034】
本発明の用語の「藁本(Angelica tenuissima)」は、セリ科に属する多年草で、韓国、中国、日本で使用する藁本はそれぞれ異なる。主成分は、ステロイド、脂肪酸、スクロースなどが含有されている。
【0035】
一態様として、本発明は、ボタンボウフウ抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0036】
本発明の用語の「ボタンボウフウ(Peucedanum japonicum)」は、セリ科に属する多年草で、韓国、日本、台湾、中国、フィリピンなどに分布する。主成分は、ベルカプテン(bergapten)、ハマウドール(hamaudol)、プセダノール(peucedanol)、ポリアセチレン(polyacetylene)であるとして知られている。
【0037】
一態様として、本発明は、カワラボウフウ抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0038】
本発明の用語の「カワラボウフウ(Peucedanum terebinthaceum)」は、セリ科に属する多年草で、韓国、日本、中国、東シベリアに分布する。主成分は、クマリン系の物質として知られており、l-マルメシア(l-marmesia)、ノダケネチン(nodakenetin)が含有されている。
【0039】
一態様として、本発明は、イワミツバ抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0040】
本発明の用語の「イワミツバ(Aegopodium podagraria)」は、セリ科に属する多年草で、韓国、モンゴル、ロシア、日本、中国東北部などに分布する。主成分は、クマリン系、クロモン系の成分が含まれていることが知られている。
【0041】
一態様として、本発明は、チャービル抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルスの抑制用組成物、感染の予防または改善用健康機能食品組成物及び予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0042】
本発明の用語の「チャービル(Anthriscus cerefolium)」は、セリ科に属する一年草で、ヨーロッパと西アジアなどに分布する。ビタミンなどが豊富で抗酸化効果があることが知られている。
【0043】
本発明の用語の「インフルエンザ(influenza)」は、しばしば「流感」として知られており、インフルエンザウイルス(influenza virus)によって発症する急性呼吸器疾患である。インフルエンザは、毎年、全世界的に大小の流行を起こし、流行が始まると2~3週間以内に通常人口の10~20%が感染するほど伝染性が非常に大きい疾患である。
【0044】
インフルエンザウイルスは、1931年にShopeによってブタから最初に分離され、ヒトからは1933年にSmith,Andrews,及びLaidlowによって最初に分離された。以後、数回の変異を通じて全世界的に人類の有病率及び死亡率を高める原因となっている。
【0045】
インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)及びインフルエンザウイルス属(Influenzavirus)に属し、ヌクレオカプシド(nucleocapsid,NP)とマトリックス(matrix,M)タンパク質の抗原性の差により大きくA、B及びC型に区別される。このうちA型は、HAタンパク質の抗原特性によってH1型からH15型まで、NAタンパク質抗原特性によってN1型からN9型の亜型に分類される。インフルエンザウイルス粒子は、直径が平均80~120nm程度であり、外部に突起のある球形や、有精卵及び感受性細胞などから分離された直後のウイルスは、長さが400nmのフィラメント形態である場合もある。ビリオンは皮膜(envelope)を有し、エーテル、熱及びpHなどに敏感である。
【0046】
最も明確な症状は、感染24時間内に38~40℃の突然の高熱であり、頭痛、筋肉痛及び疲労感などの全身症状と咽喉痛、咳、喀痰及び鼻炎などの呼吸器症状が現れる。また、腹痛、嘔吐、及び痙攣などがまれに発生することがある。健康な人は、数日間症状を示した後に回復するが、慢性肺疾患者、心臓疾患者及び免疫低下者などは肺炎などの合併症が発生して死亡することがあり、そのほかに脳症、脊髄炎(transverse myelitis)、Reye症候群、筋炎、心筋炎および心嚢炎などの合併症を伴うことがある。小児の場合、成人と類似した症状を示すが、熱がさらに高く、熱性痙攣が起こることがあり、中耳炎、胃膜性喉頭炎(croup)及び筋肉痛もよく発生する。
【0047】
本発明の用語の「感染」とは、寄生種による宿主生物の増殖を指す。簡単に病原体が体内に入って増殖することをいう。
【0048】
本発明の用語の「予防」とは、本発明によるノダケネチンまたはノダケニンを含む組成物の摂取または投与によってインフルエンザウイルスの感染または増殖を抑制または遅延させるすべての行為をいう。
【0049】
本発明では、ノダケネチンとノダケニンのノイラミニダーゼ活性抑制によるインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、本発明の組成物が抗ウイルス剤として活用できることを実験的に確認した。
【0050】
また、本発明の組成物のようなノイラミニダーゼ抑制剤(タミフル、リレンザ)は、インフルエンザ予防効果が70%~90%であり、予防目的でのノイラミニダーゼ抑制剤の使用は、家族内でインフルエンザの発生時、地域社会でインフルエンザの流行時、老人ホームでインフルエンザの流行発生時に効果が立証されたことがある。ノイラミニダーゼ抑制剤は、ワクチン接種を受けていない人、ワクチン株が現在流行しているウイルス株と一致しない場合、追加の予防措置が必要な高危険群でインフルエンザの発生を予防する効果的な手段である。ノイラミニダーゼ抑制剤は、インフルエンザワクチン接種後、抗体生成反応にあまり影響を及ぼさないため、インフルエンザ流行の節気中に遅れてワクチン接種をした場合に抗体ができるまで予防のために使用できる(疾病管理本部国家健康情報ポータルKCDC,http://health.cdc.go.kr/health/HealthInfoArea/HealthInfo/View.do?idx=3980)。
【0051】
したがって、本発明のノダケネチンまたはノダケニンを含む組成物は、インフルエンザウイルス感染の改善または治療効果に加えて予防効果も有する。
【0052】
本発明の用語の「治療」とは、本発明によるノダケネチンまたはノダケニンを含む組成物の摂取または投与によってインフルエンザの症状が好転するか、または有益となるすべての行為をいう。
【0053】
本発明の用語の「改善」とは、本発明によるノダケネチンまたはノダケニンを含む組成物の摂取または投与によってインフルエンザの症状を緩和させるか、またはインフルエンザウイルスの生存を阻害し、成長及び分裂増殖を抑制または減少させることにより、インフルエンザの症状を緩和させる効果を意味する。
【0054】
本発明の用語の「抽出物」は、前記植物素材の抽出処理により得られる抽出液、前記抽出液の希釈液や濃縮液、前記抽出液を乾燥して得られる乾燥物、前記抽出液の粗精製物や精製物、またはそれらの混合物など、抽出液そのもの及び抽出液を用いて形成可能なすべての剤形の抽出物を含む。具体的には、本発明の前記抽出物は、抽出後に乾燥粉末の形態で製造して使用されてもよい。
【0055】
本発明の植物抽出物は、以下の段階を含む製造方法によって製造されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0056】
1)植物を洗浄及び乾燥した後、粉砕して粉末化する段階、
2)段階1)で得られた植物粉末に溶媒を加えて抽出する段階、
3)段階2)の抽出物を濾過する段階、
4)段階3)の濾過された抽出物を濃縮する段階、
5)段階4)の濃縮された抽出物を乾燥して植物抽出物の乾燥粉末を得る段階。
【0057】
前記方法において、段階1)の植物は、栽培したものまたは市販のものなどを制限なく使用できる。また、段階1)においてこれに制限されるものではないが、オニノダケは茎、枝、葉または根をすべて含んで抽出するものであってもよい。
【0058】
前記方法において、前記段階2)の抽出溶媒は、水、C1~C4低級アルコール、1,3-ブチレングリコール、及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1種以上の溶媒であってもよく、好ましくは、水または発酵酒精であってもよいが、これに限定されるものではない。抽出方法としては、熱水抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出または超音波抽出などの抽出方法を使用してもよく、好ましくは、熱水抽出であってもよいが、これに限定されるものではない。前記抽出溶媒を乾燥した植物分量に1倍~10倍添加して抽出してもよく、具体的には、2倍~3倍添加して抽出してもよい。抽出温度は20℃~100℃であってもよく、具体的には、60℃~80℃であってもよく、より具体的には、70℃であってもよいが、これに限定されるものではない。また、抽出時間は2時間~48時間であってもよく、具体的には、15時間~30時間であってもよく、より具体的には、24時間であってもよいが、これに限定されるものではない。また、抽出回数は1回~5回であってもよく、具体的には、3回~4回であってもよく、より具体的には、3回であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0059】
前記方法において、段階4)では抽出物を減圧濃縮する過程がさらに含まれてもよく、前記減圧濃縮は、真空減圧濃縮機または真空回転蒸発器を使用してもよいが、これに限定されるものではない。
【0060】
前記方法において、段階5)では、前記減圧濃縮過程を経た抽出物を乾燥する段階をさらに含んでもよく、前記乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0061】
本発明の植物抽出物は、インフルエンザウイルスの増殖抑制活性を向上させるため、加水分解、発酵、加熱、加圧など様々な方法で処理されてもよく、好ましくは、発酵であってもよい。
【0062】
本発明の用語の「発酵」または「発酵物」は、微生物(例えば、乳酸菌)が有する効能を用いて有機物を分解させる過程またはそれによる生成物を意味する。発酵と腐敗は類似した過程によって行われるが、分解の結果、私たちの生活に有用に使用される物質が作られれば発酵といい、悪臭がしたり有害な物質が作られれば腐敗という。したがって、生薬材を微生物を用いて発酵させると、抽出物の毒性が減少するか、または低分子化されて消化が容易になるか、または皮膚への塗布時の経皮吸収などが容易になり、生体利用率が向上する。また、天然成分はそれ自体でも薬理作用を示すことができるが、発酵を通じて薬理効果がさらに強化されるか、または微生物の代謝によって既存の発酵前の抽出物になかった薬理作用を発揮しうる。
【0063】
発酵には微生物を使用してもよく、微生物の種類はバチルス、酵母、及び乳酸菌からなる群から選ばれてもよい。具体的には、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、またはラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)微生物であってもよく、より具体的には、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上の微生物で発酵しうる。
【0064】
実験例4の高濃度のノダケニンを含有する植物抽出物の発酵において、バチルス・サブチルス菌株で発酵したとき、16.1%と最も高い転換率を示した。したがって、本発明では、好ましくは、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)またはバチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)を発酵微生物として使用してもよい。
【0065】
本発明の用語の「分画物」とは、様々な構成成分を含む混合物から特定の成分または特定の成分グループを分離するために分画を行って得られた結果物を意味する。本発明の分画物は、溶媒分画物、多糖類分画物を含んでもよいが、これに制限されるものではない。前記分画物を得る分画方法は、当該技術分野で通常使用する方法によって行われてもよい。
【0066】
前記分画方法の例としては、本発明の抽出物または発酵物に所定の溶媒を処理して前記抽出物から分画物を得る方法、前記抽出物または発酵物を冷沈法と遠心分離法を使用して多糖類を浸漬して回収する方法などがあるが、これに制限されるものではない。
【0067】
本発明において前記分画物を得るのに使用される分画溶媒の種類は特に制限されず、当該技術分野で公知の任意の溶媒を使用してもよい。前記分画溶媒の非制限的な例としては、水、アルコールなどの極性溶媒、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム、ジクロロメタンなどの非極性溶媒などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。すなわち、本発明の植物から抽出した物質を用いて分画する以上、その抽出または分画方法に制限なく、本発明の範疇に含まれることは当業者に自明である。
【0068】
一態様としてノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0069】
他の一態様として、本発明は、ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物、シシウド属(Angelica sp.)植物、中国羌活属(Notopterygium sp.)植物、カワラボウフウ属植物(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus sp.)植物からなる群から選ばれる植物抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0070】
本発明の用語の「健康機能食品組成物」は、植物抽出物の発酵物またはこれらの分画物を飲料、お茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加するか、またはカプセル化、粉末化、懸濁液などに製造した食品で、これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらすことを意味するが、一般薬品とは異なり、食品を原料として薬品の長期服用時に発生することがある副作用などがないという長所がある。
【0071】
植物抽出物の発酵物またはそれらの分画物を食品添加物として使用する場合、羌活抽出物の発酵物またはそれらの分画物をそのまま添加するか、または他の食品または食品成分とともに使用されてもよく、通常の方法によって適切に使用されてもよい。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適切に決定されてもよい。一般的に食品または飲料の製造時に本発明の組成物は、原料に対して15重量部以下、好ましくは、10重量部以下の量で添加されてもよいが、これに限定されるものではない。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は前記範囲以下であってもよく、安全性の面で何の問題もないため、有効成分は、前記範囲以上の量で使用されてもよい。
【0072】
前記食品の種類には特に制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康食品をすべて含む。
【0073】
一態様としてノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0074】
他の一態様として、本発明は、ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物、シシウド属(Angelica sp.)植物、中国羌活属(Notopterygium sp.)植物、カワラボウフウ属植物(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus sp.)植物からなる群から選ばれる植物抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0075】
本発明の用語の「薬学的組成物」は、経口または非経口で投与してもよく、一般医薬品製剤の形態、例えば、臨床投与時に経口及び非経口の様々な剤形で投与されてもよいが、製剤化する場合には通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0076】
経口投与用固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の薬学的組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(Calcium carbonate)、スクロース(Sucrose)またはラクトース(Lactose)、ゼラチンなどを混合して調製されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0077】
単純な賦形剤に加えて、マグネシウムスチレートタルクなどの潤滑剤も使用される。経口用液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0078】
非経口投与用製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としてはプロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用されてもよい。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0079】
一態様として、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス抑制用組成物を提供する。
【0080】
他の一態様として、本発明は、ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物、シシウド属(Angelica sp.)植物、中国羌活属(Notopterygium sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus)植物からなる群から選ばれる植物抽出物の発酵物またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス抑制用組成物を提供する。
【0081】
本発明の用語の「ウイルス抑制用組成物」は、ウイルスの複製を妨げるか、またはウイルス感染に対する免疫系を強化させる。脊椎動物、好ましくは、ヒトを含む哺乳類に投与される医薬組成物の形態であるか、または食品組成物、食器、厨房用品、生活用品、その他の各種物の洗浄剤、消毒剤、通常の抗ウイルス剤などとして使用されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0082】
前記方法で製造された植物抽出物の発酵物またはそれらの分画物のインフルエンザウイルスの増殖抑制能を確認するため、現在、最も汎用的に使用されているインフルエンザウイルスの増殖抑制評価法であるノイラミニダーゼ抑制試験(neuraminidase inhibition assay)を使用した。
【0083】
ノイラミニダーゼ(Neuraminidase,以下、NA)は、感染した宿主細胞内で増殖したウイルスが宿主細胞の表面の二糖体部分とノイラミン酸(シアル酸)残基との間のα-ケトシド結合を切断することにより、ウイルスが宿主細胞に感染して個体数を増殖できるようにするタンパク質で、その阻害剤は、ノイラミニダーゼの作用部位に結合して機能を抑制することにより、インフルエンザウイルスの増殖を抑制しうる。
【0084】
本発明における羌活抽出物のノダケニンの含量を測定するために実験例2の実験を行った。羌活抽出物は、抽出溶媒に関係なく、試料内の20%程度のノダケニンが含有されていることを確認した。
【0085】
次に、ノダケニンをノダケネチンに転換するのに効率的な菌株を選別するために実験例3の実験を行った。ノダケニン100ppmがノダケネチン60ppmに転換された時を100%の転換率として評価した。86%の転換率を示したラクトバチルス・プランタルムが最も良い結果を示した。
【0086】
実験例4の高濃度のノダケニンを含有する植物抽出物の発酵では、バチルス・サブチルス菌株で発酵したとき、16.1%と最も高い転換率を示した。
【0087】
ノダケニチンの分離精製及び精製された化合物の確認は、同出願人が出願した大韓民国特許出願第10-2019-0172655号に記載されており、前記特許出願に記載された事項は、本願明細書に統合されてもよい。
【0088】
前記「ノダケネチン」(Molecular formula:C14H14O4,Molecluar weight:246.262)は、下記化1で表されるクマリン系非配糖体成分で、化2で表される配糖体であるノダケニン(nodakenin,Molecular formula:C20H24O9,Molecular weight:408.403)の発酵または加水分解によって転換される。
【0089】
【0090】
【0091】
ノダケネチンは、必ずしも発酵過程を経て形成されるものではなく、配糖体であるノダケニンに比べて少量であるが、自然的に植物体の様々な部位に存在する。ノダケネチン、ノダケニンは、主にヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物に主に含有されているが、その他にシシウド属(Angelica sp.)植物(オニノダケ、朝鮮オニノダケ、中国オニノダケ、倭オニノダケ、ノダケ、藁本)、羌活属(Notopterygium sp.)植物(中国羌活、川羌活、寛葉羌活)、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物(ボタンボウフウ、カワラボウフウ、イワミツバなど)、シャク属(Anthriscus sp.)植物(シャク、チャービルなど)にもあることが知られている。
【0092】
前記ノダケニンまたはノダケネチンは、植物抽出物の発酵物から分離されたものであってもよく、合成または半合成を通じて得られたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0093】
前記「植物」は、ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物、シシウド属(Angelica sp.)植物、羌活属(Notopterygium sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及びシャク属(Anthriscus sp.)植物からなる群から選ばれる1つ以上であってもよく、具体的には、羌活(Ostericum koreanum)、オニノダケ(Angelica gigas)、中国羌活(Notopterygium incisum)、ボタンボウフウ(Peucedanum japonicum)、カワラボウフウ(Peucedanum terebinthaceum)、イワミツバ(Aegopodium podagraria)、シャク(Anthriscus sylvestris)、チャービル(Anthriscus cerefolium)及びノダケ(Angelica decursiva)であってもよく、より具体的には、オニノダケまたは羌活であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0094】
一態様として、本発明は、微生物を培養して微生物のバイオマスを増加させる段階、前記培養された微生物を本発明の植物抽出物100ml当たり0.1~2.0CFUで接種して発酵する段階を含むウイルス抑制用組成物を製造する方法を提供する。
【0095】
さらに他の態様として、本発明は、微生物を培養して微生物のバイオマスを増加させる段階、前記培養された微生物を本発明の植物抽出物100ml当たり0.1~2.0CFUで接種して発酵する段階を含むノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法を提供する。
【0096】
ノダケニンが属するクマリン系物質は、植物が病原菌をはじめとした外部有害因子を防御するために作られ(Plant Cell Physiol.60(7):1405-1419(2019))、ノダケネチンと同じ骨格を持つベルカプテン(bergapten)がバチルス(bacillus)の生長を抑制するという研究も報告されている(Journal of Applied Microbiology.103:2056-2064(2007))。また、発酵工程において基質と生産物の濃度が増加するほど収率が減少(Biotechnology and Bioengineering.40:289-297(1992))するので、高濃度のノダケネチンを含む発酵物を製造するためには、発酵微生物を選択及び接種、発酵条件が重要である。
【0097】
本発明は、前記発酵の問題を解決するために微生物を培養してバイオマスを増加させる段階を含む。確保された微生物は、植物抽出物100ml当たり0.1~2.0CFUで接種して発酵しうる。この場合、ノダケニンの濃度に影響を受けることなく、微生物が効果的に行うことができ、高濃度のノダケネチンを含む組成物を製造しうる。
【0098】
前記組成物は、ノダケネチンを300ppm以上含むものであってもよい。これは実験例4の場合であり、発酵条件、発酵後の追加工程を通じてノダケネチン含量は増加しうる。
【0099】
前記微生物を培養してバイオマスを増加させる段階は、以下の段階a)~段階c)を含んでもよい。a)酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを含む培地を製造する段階、b)前記製造された培地に微生物を接種して培養後の菌体を分離して確保する段階、及びc)植物抽出物が溶解した水に段階b)で確保した菌体を接種して培養する段階。
【0100】
前記a)段階において培地は、酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを1:1:3~1:1:4の重量比で含んでもよい。より好ましくは、1:1:3.3~1:1:3.7の割合で含んでもよい。本発明の実施例では、酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを3g、3g及び10gを1Lの水に入れて液体培地を製造した。
【0101】
前記b)段階において微生物は、バチルス属(Bacillus sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、またはラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)であってもよく、より具体的には、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0102】
本発明において、b)段階で微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)であってもよい。
【0103】
前記b)段階において、培養は5日~9日間行われてもよい。より好ましくは、6日~8日間行われてもよいが、これに限定されるものではない。
【0104】
前記c)段階において、培養は3日~7日間行われてもよい。より好ましくは、4日~6日間行われてもよいが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0105】
本発明による羌活抽出物の発酵物またはそれらの分画物は、ノイラミニダーゼ活性を抑制してインフルエンザウイルス感染の増殖を抑制するので、インフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物、インフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物などとして有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】
図1は、植物抽出物中のノダケニンの含量を測定するための標準品傾向線である。
【
図2】
図2は、ノダケニン(Nodakenin)、ノダケネチン(nodakenetin)のインフルエンザウイルス増殖抑制能(%)の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
以下、本発明を下記実験例及び製造例により詳細に説明する。ただし、下記実験例及び製造例は、本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実験例及び製造例によって限定されるものではない。また、これらの実験例及び製造例は、本発明に対する理解を助けるための目的に過ぎず、いかなる意味においても本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0108】
[実験例1]ノダケニンが含有された植物抽出物の製造
羌活(Ostericum koreanum)原物を洗浄及び乾燥した。
【0109】
羌活(Ostericum koreanum)原物1kgに10kgのエタノールを加えて65℃で3時間抽出した。
【0110】
前記エタノール抽出物をフィルターペーパーを用いて減圧濾過し、回転蒸発濃縮機を用いて完全に濃縮して試料として使用した。
【0111】
[実験例2]植物抽出物のノダケニン含量の測定
前記実験例1で製造した羌活植物抽出物の試料5mgを水、DMSO1gにそれぞれ溶解して製造後、10分の1に希釈して計4つのサンプルに対してノダケニンの含量を液体クロマトグラフィー(High Pressure Liquid Chromatography,HPLC)で測定した。測定結果、溶媒に関係なく試料内に20.6~21.7%程度のノダケニンが含有されたことを確認した。
【0112】
【0113】
【0114】
[実験例3]ノダケニン転換発酵菌株の選別
ノダケニン標準品(chemface,china)100ppmを培地に溶解させた後、菌株を接種して1週間培養した。HPLCで分析した結果、ノダケニンが完全に消失し、化合物Aが生成された。生成された化合物Aの化学構造をNMRスペクトル(NMR spectrum)を通じて確認した。典型的なフロクマリン(Furocoumarines)構造の特徴的なピークから化合物Aがノダケネチンであることが分かった。このようなスペクトルデータ(spectral data)を総合し、従来知られている文献と比較し、ノダケニンから転換された化合物Aをノダケネチンとして同定し、Biopurify社から購入したノダケネチンを用いて、TLC及びHPLCを通じて直接的に比較して確認した。
【0115】
NMR data
Compound A(Nodakenetin)-White amorphous powder,ESI-MS m/z:247[M+H]+;1H-NMR(600MHz,CD3OD)δ_H:7.83(1H,d,J=9.6Hz,H-4),7.38(1H,S,H-5),6.70(1H,S,H-8),6.18(1H,d,J=9.6Hz,H-3),4.75(1H,t,J=9.0Hz,H-2’),3.24(2H,m,H-3’),1.29(3H,s,CH3),1.23(3H,s,CH3);13C-NMR(150MHz,CD3OD)δ_C:165.4(C-2),163.9(C-7),157.1(C-10),146.4(C-4),127.4(C-6),125.1(C-5),114.2(C-9),112.3(C-3),98.3(C-8),92.7(C-2’),72.4(C-4’),30.4(C-3’),25.5(CH3),25.5(CH3).
【0116】
ノダケネチン生成量に基づいてノダケネチン転換率を計算した。
【0117】
分子量:ノダケニン(408.4)、ノダケネチン(246.262)
【0118】
ノダケニン100ppm→ノダケネチン60.3ppmに転換したときのノダケネチン転換率100%と仮定
【0119】
【0120】
[実験例4]高含量のノダケネチン含有植物発酵物の製造
酵母抽出物(Yeast extract)3g、麦芽抽出物(Malt extract)3g、デキストロース(Dextrose)10g、植物抽出物1wt%を1Lの水に入れて液体培地を製造した後、菌株を接種して1週間培養した。HPLCで分析した結果、ノダケネチンが生成された菌株はなかった(data not shown)。
【0121】
ノダケニンの抗菌効果については知られておらず、200ppmではバチルス(bacillus)の生長を抑制できないという報告がある(Arch Pharm Res 26,449-452(2003))。しかし、ノダケニンが属するクマリン系物質は、植物が病原菌をはじめとした外部の有害因子を防御するために作り出され(Plant Cell Physiol.60(7):1405-1419(2019))、ノダケネチンと同じ骨格を持つベルカプテン(bergapten)がバチルス(bacillus)の生長を抑制するという研究も報告された(Journal of Applied Microbiology.103:2056-2064(2007))。また、発酵工程において基質と生産物の濃度が増加するほど収率が減少することはすでに知られている(Biotechnology and Bioengineering.40:289-297(1992))。したがって、高濃度のノダケネチンを転換するために植物抽出物を投入する前に、菌株を予め培養してBiomassを増加させる過程を追加した。
【0122】
酵母抽出物(Yeast extract)3g、麦芽抽出物(Malt extract)3g、デキストロース(Dextrose)10gを1Lの水に入れて液体培地を製造した後、菌株を接種して7日間培養後、菌体を分離して確保した。
【0123】
植物抽出物は、1wt%の濃度で水に溶解した。事前培養で確保した菌体を抽出物1%溶液に1wt%の割合で接種し、5日間培養後、HPLCで分析した。
【0124】
転換率は、以下のように評価した。
【0125】
ノダケネチン転換率:消耗されたノダケニンと生成されたノダケネチン数値に基づいて、表3の転換率公式により計算した。
【0126】
ノダケネチン生産率:投入されたノダケチン量に対して生成されたノダケネチン量の割合で計算した。
【0127】
【0128】
前記実験例3とは異なり、高濃度のノダケニンを含む植物抽出物を発酵させるためには、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)が最も有利であった。
【0129】
[実験例5]ノダケニン及びノダケネチンのインフルエンザウイルス抑制能の確認
下記実験例は、以下のインフルエンザウイルス抑制能評価方法を用いた。
【0130】
インフルエンザウイルス抑制能評価は、ノイラミニダーゼ(NA)に候補物質を処理した後、NA活性分析キット(NA activity assay kit、Sigma、#cat:MAK121-1KT)を用いて実験を行った。陽性対照群は、新型インフルの薬剤の成分であるザナミビル(zanamivir)10nMに設定し、実験群別に濃度に合うように試料5μlを取った後、野生型NA(R&D systems)と混合した。その後、NA活性分析キット(NA activity assay kit)で提供する試薬をマニュアルに従って混合した後、40μlを添加、30℃インキュベーターで20分間反応させた後、570nmで吸光度を測定(A20)し、再びホイルで包んで37℃インキュベーターで30分間反応させた後、570nmで吸光度を測定(A50)した。各処理群の野生型NA活性は、A50からA20を引いた値で計算し、前記実験を3回繰り返した。
【0131】
まず、ノダケネチン(CHEMFACES/中国,CFN98788)とノダケニン(CHEMFACES/中国、CFN90232)のインフルエンザ増殖抑制能を評価した。ノダケニンの糖分離を通じて形成されたノダケネチンは、濃度依存的(10、50、250ppm)で効能が増加したが、ノダケニンの場合、濃度依存的な効果が不十分であった(
図2)。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物及び中国羌活属(Notopterygium sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項2】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項1に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項3】
前記発酵物は、微生物による発酵物である、請求項1に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項4】
前記微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、
バチルス属(Bacillus sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項3に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項5】
前記微生物は、
ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、
バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項4に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項6】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項1に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項7】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項6に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項8】
ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物及び中国羌活属(Notopterygium sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含むインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項9】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項8に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項10】
前記発酵物は、微生物による発酵物である、請求項8に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項11】
前記微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、
バチルス属(Bacillus sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項10に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項12】
前記微生物は、
ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、
バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項11に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項8に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項14】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項13に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項15】
ヤマゼリ属(Ostericum sp.)植物及び中国羌活属(Notopterygium sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む、インフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項16】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項15に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項17】
前記発酵物は、微生物による発酵物である、請求項15に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項18】
前記微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、
バチルス属(Bacillus sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項17に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項19】
前記微生物は
、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項18に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項20】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項15に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項21】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項20に記載のインフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項22】
a)酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを含む培地を製造する段階、
b)前記製造された培地に微生物を接種して培養後、菌体を分離して確保する段階、及び
c)植物抽出物が溶解した水に段階b)で確保した菌体を接種して培養する段階を含む、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項23】
前記a)段階において培地は、酵母抽出物、麦芽抽出物及びデキストロースを1:1:3~1:1:4の重量比で含む、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項24】
前記b)段階において微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)、
バチルス属(Bacillus sp.)及びラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項25】
前記b)段階において微生物は、
ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、
バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項24に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項26】
前記b)段階において培養は、5日~9日間行われる、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項27】
前記c)段階において培養は、3日~7日間行われる、請求項22に記載のノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物の製造方法。
【請求項28】
シャク属(Anthriscus sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及び
シシウド属(Angelica sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含み、
前記微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)及び
バチルス属(Bacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、インフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項29】
前記抽出物は、水、C
1~C
4アルコール、1,3-ブチレングリコール及びエチルアセテートからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の抽出物である、請求項28に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項30】
前記微生物は
、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及びバチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項28に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項31】
前記分画物は、発酵物に対する水、アルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルム及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1つ以上の溶媒の分画物である、請求項28に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項32】
前記分画物は、発酵物に対するnヘキサン及びエチルアセテート溶媒の分画物である、請求項31に記載のインフルエンザウイルス感染の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項33】
シャク属(Anthriscus sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及び
シシウド属(Angelica sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含み、
前記微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)及び
バチルス属(Bacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、インフルエンザウイルス感染の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項34】
シャク属(Anthriscus sp.)植物、カワラボウフウ属(Peucedanum sp.)植物及び
シシウド属(Angelica sp.)植物からなる群から選ばれる植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含み、
前記微生物は、
リューコノストック属(Leuconostoc sp.)、サッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)及び
バチルス属(Bacillus sp.)からなる群から選ばれる1つ以上である、インフルエンザウイルス抑制用組成物。
【請求項35】
個体に治療的有効量の組成物を投与することを含み、
前記組成物は、ノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む、インフルエンザウイルス感染の改善の予防及び/又は治療方法。
【請求項36】
インフルエンザウイルス治療剤を製造するためのノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む組成物の用途。
【請求項37】
インフルエンザウイルス感染の改善、予防及び/又は治療に使用するためのノダケニン(nodakenin)またはノダケネチン(nodakenetin)を含む植物の抽出物の発酵物、またはそれらの分画物を含む組成物の用途。
【国際調査報告】