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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】高揚力翼
(51)【国際特許分類】
   B64C 21/02 20060101AFI20231219BHJP
   B64C 9/14 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B64C21/02
B64C9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537628
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 DK2021050369
(87)【国際公開番号】W WO2022128035
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】PA202070836
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523228772
【氏名又は名称】アモニクス アンパーツセルスケープ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】モルベック アラン
(57)【要約】
【課題】航空機に安全性及び信頼性を提供しながら、複雑さ及びコストを低減する方法を提供する。
【解決手段】前縁及び後縁並びに負圧側及び正圧側を有する翼が開示される。負圧側は、前縁の近くで噴射スロットを備える。後縁の近くで少なくとも1つの追加のスロットがあってもよい。翼は、航空機用に構成することができる。また、このような翼を使用した航空機の運航方法も開示されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(100)用に構成され、前縁(12)及び後縁(14)並びに負圧側(16)及び正圧側(18)を有する翼(10)であって、前記負圧側(16)は、前記前縁(12)の近くで噴射スロット(20)を備えると共に、前記後縁(14)の近くで少なくとも1つの追加スロット(30)を備える、翼(10)。
【請求項2】
前記負圧側(16)で動作し、前記噴射スロット(20)の開口を開放、閉鎖、又は調節するよう動作するように構成された噴射フラップ(22)をさらに含む、請求項1に記載の翼(10)。
【請求項3】
少なくとも1つの追加スロット(30)の開口を開放、閉鎖、又は調節するよう動作するように構成された少なくとも1つの追加フラップ(32)をさらに備える、請求項1又は2に記載の翼(10)。
【請求項4】
前記噴射スロット(20)及び前記少なくとも1つの追加スロット(30)は、前記噴射スロット(20)及び前記少なくとも1つの追加スロット(30)のそれぞれに流れを供給する流れ発生手段(50)と連通している、請求項1から3のいずれか1項に記載の翼(10)。
【請求項5】
前記噴射スロット(20)は、噴射流速(25)で噴射流(24)を供給する噴射スロット流発生手段(52)を用いて構成されており、前記少なくとも1つの追加スロット(30)は、前記噴射流速(24)とは異なる又は独立した追加流速(35)で追加流(34)を供給する追加スロット流発生手段(54)を用いて構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の翼(10)。
【請求項6】
前記噴射フラップ(22)は、噴射フラップ(22)の後縁(14)の近くでヒンジ構成(60)によってヒンジ連結されている、請求項2から5のいずれか1項に記載の翼(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの追加スロット(30)は、前縁部(70)と後縁部(72)との間に形成されており、前記少なくとも1つの追加スロット(30)は、前記前縁部(70)の前縁部翼弦(73)ラインに対して後縁部(72)の後縁部翼弦(73)ラインを変化させることによって、前記少なくとも1つの追加スロット(30)の開口を開放、閉鎖、又は調節するよう動作するように構成されている、請求項6に記載の翼(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの翼(10)を備える航空機(100)を運航する方法(1000)であって、
開放された噴射スロット(20)及び少なくとも1つの開放された追加スロット(30)を提供する行為(1100)と、
前記後縁部(72)の前記後縁部翼弦(73)ラインと前記前縁部(70)の前記前縁部翼弦(71)ラインとの間の翼弦ライン角(75)を設定する行為(1200)と、
前記噴射スロット(20)及び前記少なくとも1つの追加スロット(30)のそれぞれにスロット流を発生させる行為(1300)と、
を含む方法(1000)。
【請求項9】
前記翼(10)の周りで自由空気流を得る行為(1500)と、
前記翼(10)の迎角(AoA)を調整する行為(1600)と、
前記噴射スロット(20)から前記後縁(14)に向かう実質的に層流の負圧側流れを維持する行為(1700)と、
をさらに含む、請求項8に記載の方法(1000)。
【請求項10】
前記噴射スロット(20)及び前記少なくとも1つの追加スロット(30)を閉鎖する行為(1800)と、
飛行中に前記後縁部(72)の前記翼弦ライン及び前記前縁部(70)の前記翼弦ラインが整列した状態で前記航空機(100)を動作させる行為(1900)と、
を含む、請求項8又は9に記載の方法(1000)。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の行為を実行するように構成されたフライトコンピュータ(200)。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの翼(10)と、請求項11に記載のフライトコンピュータ(200)とを用いて構成された航空機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、前縁及び後縁、並びに負圧側及び正圧側を有する翼に関し、負圧側は、前縁の近くで噴射スロットを備える。後縁の近くで少なくとも1つの追加のスロットがあってもよい。翼は、航空機用に設定することができる。また、そのような翼を使用する航空機の運航方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
航空機による離陸及び着陸は、本質的には、人間が20世紀初頭に飛行して以来変わっていない。推力はエンジンによって与えられ、航空機は空中を飛行する。翼は、航空機を飛行させる揚力を発生する。そのため、航空機は離着陸のためにまっすぐで長く平らな滑走路を必要とする。
【0003】
離着陸の段階は、継続的に注目されているポイントであり、離着陸に関する基本的な空気力学の再検討を必要とする場合がある。ベルヌーイの原理と空気力学的翼から得られる揚力の成分をより詳しく調べると、揚力は、翼の2つの側面の間の圧力差の結果であることが明らかである。
【0004】
翼の両側面上の空気圧は、空気の速度と翼の形状に直結している。翼の一方の側面は、空気の流れが強制的に加速されるような幾何学的形状であるが(ベルヌーイの原理/エネルギー保存の法則)、他方の側面では、空気はほとんど加速されずに通過する。それにより、「加速側」の空気圧は反対側よりも大幅に低下し、加速側では相対的な真空状態、つまり負圧状態が実現される。このため、加速側は「負圧側(SS)」、反対側は「正圧側(PS)」と呼ばれる。
【0005】
超短距離離着陸(Super-STOL)航空機は、一般に、航空機がホバリングしている間に又は垂直飛行モードにある間に揚力を提供し、その後、前方飛行に移行する間に揚力と推力の組み合わせを提供し、その後、前方飛行モードで推力を提供するために、非常に複雑なシステムを有する。
【0006】
例えば、ロッキードマーチン社製のF-35ライトニングII「F-35B」は、ロールスロイス社製のシャフト駆動式「リフトファン(LiftFan)」推進システムと、短距離離陸/垂直着陸モード時に90度旋回可能なエンジンを採用した技術の粋である。航空機が垂直飛行から前方飛行に移行する際、ノズルは下向き構成から後方構成に旋回し、エンジンからの推力を前方飛行に移行させ、その逆の場合も同じで前方飛行から垂直飛行に移行させる。
【0007】
垂直飛行と従来の前方飛行の両方が可能な別の興味深い航空機は、ベルボーイング社製V-22「オスプレイ」航空機であり、一般に「ティルトローター」航空機と呼ばれている。V-22は、垂直飛行及び従来の前方飛行の両方で離陸し、ホバリングし、従来の前方飛行及び垂直飛行の両方で着陸することができる。V-22は翼端にプロップローターを有し、これはプロペラ及びローターとして機能する。プロップローター、エンジン、及びギアボックスは、前方飛行位置から垂直ホバリング/離陸/着陸位置まで回転する。ホバリングモードでは、プロップローターが全ての揚力及び制御を提供し、所要エンジン出力は、ホバリング時に最も高くなる。航空機が前方飛行モードに移行すると、翼がより多くの揚力を発生させるため、エンジンの出力と推力は減少する。このティルトローターシステムで垂直飛行及び前方飛行の両方を実現したことは、工学的に重要な成果であると考えられる。
【0008】
Super-STOLが可能な別の航空機は、ジャストエアクラフト社製の「SuperSTOL」である。これはアマチュアが作った実験航空機であり、2人まで搭乗できる。シンプルかつ効率的な設計は、スラット及びワイドフラップを備えるよく知られた空力原理に基づいており、これは大型の型式認定された航空機でも有利に使用されている。「SuperSTOL」のような軽飛行機上のこれらのシステムの利点は、この種の航空機がSTOL又はSuper-STOL性能を有すると認識される理由である。
【0009】
これらの航空機は驚くほど多用途で、その性能には目を見張るものがあるが、これは、主に非常に複雑なシステムを含み、垂直飛行と通常飛行の両方の特性に対応するためには、コストがかかり、メンテナンス集約型である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
航空業界は、STOL及びSuper-STOL航空機に安全性及び信頼性を提供しながら、複雑さ及びコストを低減する方法を絶えず模索している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
目的は、前縁及び後縁、並びに負圧側及び正圧側を有する翼によって達成され、負圧側は、前縁の近くで噴射スロットを備える。後縁の近くで少なくとも1つの追加のスロットがあってもよい。翼は、航空機用に構成することができる。
【0012】
それにより、層流が負圧側のみで誘導及び制御され、大きな揚力が発生し、超短距離離着陸(Super-STOL)が達成される。
【0013】
噴射スロットは、流体流れを提供し、実質的に前縁から後縁に向かって流れを噴射又は導入するように構成されている。
噴射スロットは、翼の実質的に全翼幅、一部のみ、又は複数の部分に沿って延びることができる。
【0014】
翼は、前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びる負圧側表面と、前縁部と後縁部との間に延びる正圧側表面とを定める揚力構造を備える、Super-STOL航空機用の空気力学的揚力システムを提供する。
【0015】
追加スロットは、流体流れを提供し、後縁に向かって流れを追加する又は追加的に導入するように構成されているが、噴射スロットから後縁に近い位置からである。すなわち、追加スロットは、噴射スロットからの流れに独自の流れを追加する。
【0016】
スロット又は開口は、流体流れ、例えば空気流をスロット又は開口を通って負圧側に向かって供給する又は送るように構成することができる。
スロットは、翼又は翼の一部に沿うことができる。噴射スロット及び追加スロットの各々は、単一のスロットとすること、又は翼の翼幅に沿った複数の個別のスロットとすることができる。
【0017】
一態様では、負圧側で動作し、噴射スロットの開口を開放、閉鎖又は調節するように構成された噴射フラップがある。
それにより、負圧側に供給される流れを変更、制御、又は調節することができる。
【0018】
一態様では、少なくとも1つの追加スロットの開口を開放、閉鎖、又は調節するよう動作するように構成された少なくとも1つの追加フラップがある。
それにより、負圧側に供給される流れを変更、制御、又は調節することができる。
【0019】
負圧側の噴射フラップ又は前縁可動フラップは、翼の前縁部に沿って配置することができる。この可動フラップは、揚力構造体及び/又は翼の前縁部の方にヒンジ連結されている。閉鎖構成では、可動フラップは翼の空気力学的輪郭に合致する。開放構成では、可動フラップは、可動フラップと負圧側との間に開口スロットを露出させる。翼の前縁部における揚力構造体の内部には、揚力構造体の前縁部に沿って配置されたチャンバがある。チャンバは、可動フラップスロットから後縁部に向かって分散する空気流のための空気を供給している。Super-STOL段階の間、気流速度は、噴射フラップ又は前縁可動フラップスロットから後縁部に向かって分散される。
【0020】
噴射フラップ、従って噴射スロットは、いくつかの実施形態ではアクチュエータアームを有する回転可能要素を備えたアクチュエータ構成によって制御すること、すなわち作動、開放、閉鎖、調節することができる。このアクチュエータアームは、ピンを有し、ピンは、回転可能要素が作動され、それにより回転される場合にスロット内で摺動し、結果として、噴射フラップを所望の位置に押し上げる/引き寄せる。
【0021】
一態様では、噴射スロットは、噴射スロットに流れを供給する流れ発生手段と連通している。この連通は、噴射連通路、チャネル、チャンバ又は流路とみなすことができる。
一態様では、追加スロットは、追加スロットに流れを供給する流れ発生手段と連通している。
【0022】
流れ発生手段は、ファン、タービン、又は航空機のエンジンからの抽気空気とすることができる。流れ発生手段からの流れは、流体流れ、例えば空気流を所望のスロットに供給するように導くこと及び配列することができる。それぞれのスロットに個々の流れ発生手段が存在すること、又は単一のスロット又は複数のスロットに流れを供給又は送る複数の発生手段が存在することができる。幾何形状は、意図した流速(方向及び/又は速度)を正確に又は望ましく達成するために様々とすることができる。
【0023】
一態様では、噴射スロット及び少なくとも1つの追加スロットは、噴射スロット及び少なくとも1つの追加スロットのそれぞれに流れを供給する流れ発生手段と連通している。
【0024】
一態様では、噴射スロットは、噴射流速で噴射流を供給する噴射スロット流発生手段を用いて構成され、少なくとも1つの追加スロットは、噴射流速とは独立した追加流速で追加流を供給する追加スロット流発生手段を用いて構成される。
それにより、付加スロットの位置から後縁に向かって流速を上昇させること又は低下させることが達成される。
【0025】
一態様では、噴射フラップは、噴射フラップの後縁の近くでフラップヒンジ構成によってヒンジ連結される。
フラップヒンジ構成は、好ましくは翼の内側に配置された連続したシートヒンジである。シートヒンジは、気密フラップヒンジ構成を提供し、望ましくない箇所での空気流の漏れを防ぐことで有利とすることができる。
それにより、噴射スロット又は開口を、可能な限り前縁の近くに配置することができる。
【0026】
一態様では、少なくとも1つの追加スロットが前縁部と後縁部の間に形成される。すなわち、翼は、前縁部及び後縁部を備え、これらの部分は、協働してそれらの相対位置に応じて翼を形成する。前縁部及び後縁部は、付加スロットを形成するように構成され、互いに対して配置することができる。さらに、この部分は、少なくとも1つの追加スロットの開口を開放、閉鎖、又は調節するよう動作するように構成することができる。このような変更は、前縁部の翼弦ラインに対する後縁部の翼弦ラインを変更することによって行うことができる。
それにより、追加スロット又は開口を容易に操作又は適合させることができるが、同時に翼の空力特性を操作又は適合させることができる。
【0027】
従って、実施形態では、追加スロット又は中間スロットは、前縁部と後縁部との間の揚力構造体の負圧側に沿って配置することができる。追加スロット又は中間スロットは、翼を意図されたスロット位置で分割して、後縁セクションを揚力構造体及び/又は正圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結することによって開放及び閉鎖され、後縁セクションが正圧側に向かって下方に移動すると、負圧側のスロットが露出する。
【0028】
あるいは、可動フラップは、フラップ前縁において、翼及び/又は負圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結することができ、その閉鎖構成において、可動フラップは、翼の空気力学的輪郭と合致する。
【0029】
当業者であれば、組み合わせを理解することができる。従って、追加スロット又は中間スロットは、空気の流れを後縁部に向かって分散させるように構成された開口を定める。
【0030】
翼の中間スロット部における揚力構造体の内部には、揚力構造体の中間スロット部に沿って配置されたチャンバがある。チャンバは、中間スロットから後縁部に向かって分散する空気流のために空気を供給している。Super-STOL段階の間、気流速度は、中間スロットから後縁部に向かって分散される。
【0031】
さらに、飛行/揚力状態に応じて空気の流れを方向付けるのを助けるために、前縁部と後縁部との間の負圧側に沿って追加スロットを採用することもできる。
【0032】
さらに、別の可動フラップである後縁可動フラップは、飛行/揚力状態が指示する場合に空気の流れを方向付けるのを助けるために、後縁部に採用することができる。
【0033】
当業者であれば、開示された原理は、個々に容易に実施できること又は多少の実験を伴って適用できることを理解するであろう。同様に、当業者であれば、特定の用途への組み合わせ及び適応を理解するであろう。
【0034】
従って、翼のデザインに一体化されたエアダクトを介して空気の流れを提供するためには、修正及び適合が必要となる場合がある。一実施形態では、電動ファンが空気の流れを提供するように構成されている。一実施形態では、空気の流れは、航空機のエンジンからの抽気空気によって提供される。
【0035】
前縁のスロット、すなわち噴射スロットは、揚力構造体の長さに沿って延びる連続的な開口とすることができる。中間スロットは、揚力構造体の長さに沿って延びる連続的な開口とすることができる。
【0036】
前縁スロット又は噴射スロットは、揚力構造体の長さに沿って延びる複数の開口を用いて構成することができる。中間スロット又は追加スロットは、揚力構造体の長さに沿って延びる複数の開口を用いて構成することができる。
【0037】
除氷用の空気流路に配置された1又は2以上のヒータが存在する場合がある。
開示された空気力学的揚力システムを有する航空機は、有人又は無人であるように構成することができる。
フラップ、設定、流れは、手動的に、半自動的に、又はフライトコンピュータによる自動的に制御することができる。
【0038】
負圧側の前縁可動フラップは、翼の前縁部に沿って配置される。この可動フラップは、翼の前縁部及び/又は揚力構造体の方にヒンジ連結されている。閉鎖構成では、可動フラップは翼の空気力学的輪郭に合致する。開放構成では、可動フラップは、可動フラップと負圧側との間に開口スロットを露出させる。翼型の前縁部における揚力構造体の内部には、揚力構造体の前縁部に沿って配置されたチャンバがある。チャンバは、可動フラップスロットから後縁部に向かって分散する流体の流れを供給している。Super-STOL段階の間、流体の流れは前縁可動フラップスロットから後縁部に向かって分散される。
【0039】
中間スロットは、前縁部と後縁部との間で揚力構造体の負圧側に沿って配置される。中間スロットは、1)スロット位置で翼を分割し、後縁セクションを揚力構造体及び/又は正圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結することによって開放及び閉鎖され、後縁セクションが正圧側に向かって下方に移動したときに、負圧側のスロットが露出するもの、又は、2)フラップ前縁で翼及び/又は負圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結された可動フラップであって、閉鎖構成では可動フラップが翼の空気力学的輪郭と合致するもの、又は、3)「1」と「2」の組み合わせである。中間スロットは、後縁部に向かう流体の流れを分散させるように構成された開口スロットを定める。翼の中間スロット部における揚力構造体の内部には、揚力構造体の中間スロット部に沿って配置されたチャンバがある。チャンバは、中間スロットから後縁部に向かって分散する流体の流れを供給している。Super-STOL段階の間、流体の流れは中間スロットから後縁部に向かって分散される。
【0040】
さらに、別の可動フラップである後縁可動フラップは、以下にさらに詳細に記載されるように、飛行/揚力状態が指示する場合に空気の流れを方向付けるのを助けるために、後縁部に採用することができる。
【0041】
目的は、開示されるような翼を備える装置、例えば航空機を運航する方法によって達成される。
【0042】
例えば離陸又は着陸のために翼を準備する態様、離陸又は着陸する態様、及び/又は巡航又は通常の飛行中の態様において、例えば航空機を運航するために実行することができる行為又は最適なステップがある。
【0043】
翼を準備することに関する行為は、以下を含むことができる。
開放された噴射スロットを提供する行為がある。少なくとも1つの開放された追加スロットを提供する行為がある。
後縁部の翼弦ラインと前縁部の翼弦ラインとの間の翼弦ライン角を設定する行為がある。
【0044】
翼弦ライン角は、不整列、すなわち非平行(例えば鋭角)とすることができる。当業者であれば、使用される翼の輪郭に応じた角度を使用することを理解するであろう。例えば、角度の始点は約20-60度、例えば40度である。このように、翼の前縁部の翼弦ラインと後縁部の翼弦ラインは、例えば20度を超える、約40度の角度を成すことができる。実験により、適切な範囲又は好ましい範囲を規定することができる。
【0045】
噴射スロット及び少なくとも1つの付加スロットのそれぞれに流れを発生させる行為がある。
噴射スロットから後縁に向かって負圧側流れを導く行為がある。このような行為は、概説される態様の結果とすることができる。
【0046】
離陸又は着陸に関する行為は、以下を含むことができる。
翼の周りに自由空気流を発生させる行為がある。このような行為は、航空機を前進させることによって行うことができる。
自由空気流に対して翼の迎角(AoA)を調整する行為がある。
【0047】
このような行為は、噴射スロットから後縁に向かう負圧側の流れが維持されている間に行われる。負圧側の流れは、実質的に層流に維持することができる。このように、実質的に層流を維持する行為がある。
【0048】
当業者であれば、流れ方向及び/又は速度を含む流れ特性は、特定の状況に応じて生成する必要があり、作動範囲が機能することになり、最適な設定を見出すことができることを理解するであろう。従って、経験及び調査が必要である。
【0049】
修正された又は前縁の近くに配置された噴射スロットを備えるNACA2412のような翼型では、所望の空気力学的特性、例えば揚力を得るためには、約95-125m/sの流速が必要となる。追加スロット(ブースタースロット)でもたらされる流速は、約55-75m/sである。迎角の調節は、全ての条件が同じとすると、設計通りでなければより大きくなる。この範囲は、実験の出発点として役立ち、最適な組み合わせは、そのような実験を通して見出すことができる。
【0050】
航空機の巡航又は飛行に関する行為は、以下を含むことができる。
噴射スロットを閉鎖する行為及び少なくとも1つの追加スロットを閉鎖する行為がある。閉鎖は、2又は3以上のスロットに対して独立して行うことができ、閉鎖は完全とすること又は部分的とすることができる。
【0051】
後縁部の翼弦ラインと前縁部の翼弦ラインとを合致させることによって、航空機を飛行中に動作又は飛行させる行為がある。つまり、翼を本来の意図又は設計通りに動作させる。
目的は、概要のような行為を実行するように構成されたフライトコンピュータによって達成される。
目的は、概要のような少なくとも1つの翼及び概要のようなフライトコンピュータを用いて構成された航空機によって達成される。
【0052】
実例
例えば、前縁部及び後縁部、前縁部と後縁部との間に延在する上面、及び前縁部と後縁部との間に延在する下面を画定する揚力構造体を備えるSuper-STOL航空機用の空気力学的揚力システムとすることができる。揚力構造体の負圧側の前縁部に沿って配置された前縁可動フラップが存在することができ、可動フラップは、前縁部の近くで翼及び/又は揚力構造体に連結される。完全な閉鎖構成では、可動フラップの幾何形状は、翼の本来の空気力学的輪郭と合致する。開放構成では、可動フラップは、可動フラップと負圧側との間に開口スロットを露出させ、このスロットは、後縁部に向かって空気の流れを分散させるように構成された開口を画定し、可動フラップは、フラップ前縁又は後縁において翼及び/又は揚力構造体に連結される。
【0053】
前縁部と後縁部との間に、揚力構造体の負圧側に沿って配置された中間スロットが存在することができ、スロットの開閉は、スロット位置で翼を分割し、後縁セクションを揚力構造体及び/又は正圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結することによって行われ、後縁セクションが正圧側に向かって下方に移動すると、負圧側のスロットが露出し、スロットは、後縁部に向かって空気の流れを分散させるように構成された開口を画定する。
【0054】
前縁部と後縁部との間に、揚力構造体の負圧側に沿って配置された中間スロットが存在することができる。スロットの開閉は、フラップ前縁又は後縁において、翼及び/又は負圧側の揚力構造体にヒンジ連結された可動フラップによって行われ、閉鎖構成では、可動フラップは、翼の空気力学的輪郭と合致し、スロットは、後縁部に向かって流体の流れを分散させるように構成された開口を画定する。
【0055】
後縁フラップが存在することができ、後縁フラップは、揚力構造体の上面に対して所定の角度で配向され、中間スロットからの空気の流れを下向きの方向に向け、それによって揚力構造体に追加の揚力を提供することができ、フラップ角は、大気条件を補正するために及び/又は結果として生じる揚力ベクトルを制御するために動的に変化させることができる。
【0056】
例示されるような空気力学的揚力システムの内部には、翼の前縁可動フラップ部において、揚力構造体の前縁可動フラップ部に沿って配置されるチャンバがあり、チャンバは、前縁可動フラップスロットから後縁部に向かって分散する空気流のための空気を運ぶ。
【0057】
空気力学的揚力システムの内部には、翼の中間スロット部において、揚力構造体の中間スロット部に沿って配置されるチャンバがさらにあり、チャンバは、中間スロットから後縁部に向かって分散する空気流のための空気を運ぶ。
【0058】
空気力学的揚力システムは、空気の流れを供給するように構成された電動ファンをさらに備えることができる、又は、空気の流れは、航空機のエンジンからの抽気空気によって供給される。
空気力学的揚力システムは、主翼、エレベータ、エレボン、スタビレータ、カナード、及び胴体からなる群から選択される揚力構造体を備えることができる。
【0059】
前縁可動フラップスロットは、揚力構造体の長さに延びる複数の開口を備えることができる。
中間スロットは、揚力構造体の長さに沿って延びる複数の開口を備えることができる。
【0060】
空気力学的揚力システムは、空気流路及びチャンバに配置された少なくとも1つのヒータをさらに備えることができる。
航空機は、開示されるような空気力学的揚力システムを有するSuper-STOL航空機とすることができる。航空機は、無人又は有人とすることができる。
【0061】
空気力学的揚力システムは、フライトコンピュータによって制御される可動フラップ及びセクションを備えることができる。
コンピュータは、1又は2以上のフラップを制御し、スロットを通る空気の流速及びスロットの大きさのうちの少なくとも一方を制御して、揚力及び揚力ベクトルの大きさを調整することができる。
【0062】
例えば、前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延在する上面と、前縁部と後縁部との間に延在する下面とを画定する揚力構造体を備える空気力学的揚力システムが存在することができる。
【0063】
揚力構造体の負圧側の前縁部に沿って配置された前縁可動フラップが存在することができ、可動フラップは、翼及び/又は揚力構造体に対して前縁部の方に連結され、その完全な閉鎖構成では、可動フラップの幾何形状は、翼の本来の空気力学的輪郭と合致し、可動フラップは、その開放構成では、可動フラップと負圧側との間に開口スロットを露出させ、このスロットは、後縁部に向かって流体の流れを分散させるように構成された開口を画定し、可動フラップは、フラップ前縁又は後縁において翼及び/又は揚力構造に連結される。
【0064】
前縁部と後縁部との間に、揚力構造体の負圧側に沿って配置される中間スロットが存在することができ、スロットの開閉は、スロット位置で翼を分割し、後縁セクションを翼及び/又は正圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結することによって行われ、後縁セクションが正圧側に向かって下方に移動すると、負圧側のスロットが露出し、スロットは、後縁部に向かって流体の流れを分散させるように構成された開口を画定する。
【0065】
前縁部と後縁部との間に、揚力構造体の負圧側に沿って配置された中間スロットが存在することができ、スロットの開閉は、フラップ前縁又は後縁において翼及び/又は負圧側の揚力構造体の方にヒンジ連結された可動フラップによって行われ、閉鎖構成では、可動フラップは、翼の空気力学的輪郭と合致し、スロットは、後縁部に向かって流体の流れを分散させるように構成された開口を画定する。
【0066】
後縁フラップが存在することができ、後縁フラップは、揚力構造体の上面に対して所定の角度で配向され、中間スロットからの流体の流れを下向きの方向に向け、それによって揚力構造体に追加の揚力を提供することができ、フラップ角は、結果として生じる揚力ベクトルを制御するために動的に変化させることができる。
【0067】
例示された空気力学的揚力システムは、流体中で動作するように構成することができ、流体は、特に、流体流れ/液体、気体、プラズマであり、揚力構造体は、翼、エレベータ、エレボン、スタビレータ、カナード、及び胴体からなる群から選択される。
【0068】
翼の前縁可動フラップ部はさらに、揚力構造体の前縁可動フラップ部に沿って配置されるチャンバであり、チャンバは、前縁可動フラップスロットから後縁部に向かって分散する流体の流れのための流体を運ぶ。翼の中間スロット部はさらに、揚力構造体の中間スロット部に沿って配置されるチャンバであり、チャンバは、中間スロットから後縁部に向かって分散する流体の流れのための流体を運ぶ。
【0069】
従って、本開示は、航空機用の空気流に限定されず、その教示は、特に、流体流れ/液体、気体、プラズマを伴う何らか揚力体/表面に適用することができる。従って、別の態様では、前縁部、後縁部、前縁部と後縁部との間に延在する上面、及び前縁部と後縁部との間に延在する下面を画定する揚力構造体を備える空気力学的揚力システムが提供される。
【0070】
さらなる適用可能な分野は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本明細書及び具体例は、説明のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
本発明の実施形態は図において説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本開示の教示に従って構成された空気力学的揚力システムとしての翼を有する航空機の斜視図である。
図2】翼の一実施形態の断面図及び斜視図である。
図3図2の実施形態の断面図及び斜視図であるが、準備された設定にある図である。
図4】代替の又はさらなる態様としての翼の一実施形態の断面図及び斜視図である。
図5】代替の又はさらなる態様としての翼の一実施形態の断面図及び斜視図である。
図6】航空機の準備、離陸及び着陸中の方法に関する行為を示す図である。
図7】航空機の巡航及び動作方法に関する行為を示すである。
図8】航空機の準備中、離陸及び着陸中、及び巡航時の翼の周りの流れを示す図である。
図9】翼の前縁部の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、少なくとも1つの翼10で構成される航空機100を示し、翼10は、例示的に第1の翼10A及び第2の翼10Bとすることができる。
翼10は、以下の図に例示されるように、航空機100用に構成することができる。一般に、翼は、前縁12及び後縁14を有する。翼10は、負圧側16及び正圧側18を有する。
航空機100は、以下に説明するような1又は2以上のアクションを実行するように構成されたフライトコンピュータ200を有する。
【0073】
図2Aは、翼10の断面、例えば断面2を示し、図2Bは、同じ翼10の斜視図を示す。
翼10は、前縁12及び後縁14を有する。翼10は、負圧側16及び正圧側18を有する。負圧側16は、前縁12の近くに噴射スロット20を有し、さらに噴射スロット20から後縁14の近くに少なくとも1つの追加スロット30を有する。
【0074】
翼10は、図2Aに示されるように翼弦15を有する。
翼10は、例えば図8で例示されるように、流れ連通路として機能するチャンバを有する。
噴射スロット20及び少なくとも1つの追加スロット30は、この噴射スロット20及び少なくとも1つの追加スロット30のそれぞれに流れを供給する流れ発生手段50(図示せず)と連通路55で連通する。
【0075】
図3Aは、翼10の断面図、図3Bは、同じ翼10の斜視図である。
図3は、図2の翼10を示すが、前縁部70及び後縁部72によって形成される翼10の2部品形態を詳述する。それぞれの部品は、それぞれの前縁翼弦71及び後縁翼弦73を有する。
【0076】
噴射フラップ22の作動に応じて噴射スロット20から外への噴射流24をもたらす流れを連通路55に供給する流れ発生手段50(図示せず)がある。同様に、連通路55からの流れは、追加スロット30から出て、ここから後縁に向かう追加流34をもたらす。
【0077】
この実施形態では、噴射フラップ22は、フラップヒンジ構成21によって、噴射フラップ22の後縁の近くでヒンジ連結されている。
追加スロット30は、前縁部70と後縁部72との間に形成されている。追加スロット30は、追加スロット30の開口を開放する、閉鎖する、又は調節するように動作するように構成されている。この動作は、前縁部70の前縁翼弦73のラインに対して後縁部72の後縁翼弦73のラインを変化させる。
【0078】
この実施形態及び他の実施形態では、追加スロット30は、例えば電気的に作動させることができる1又は2以上の作動装置によって開放、閉鎖及び/又は操作することができる。
【0079】
図4は、図2及び図3に示したものと同様の構成を有する翼10の実施形態を示す。
この実施形態は、翼10の前縁部70及び後縁部72を動作的に制御するヒンジ構成60を有する。これとは別に、この実施形態は、噴射スロット20に供給するための第1の連通路55A及び追加スロット30に供給するための第2の連通路55Bを示している。
【0080】
随意的に、噴射スロット20は、噴射流速25で噴射流24を供給する噴射スロット流発生手段52を用いて構成され、少なくとも1つの追加スロット30は、噴射流速24とは異なるか又は独立した追加流速35で追加流34を供給する追加スロット流発生手段54を用いて構成される。
【0081】
図5は、図4の続きであり、図5は、噴射スロット内の複数のゲート、流路26、出口の配列又はアレイを用いてさらに構成された、開示された翼の一実施形態を示す。負圧側16は、前縁-後縁方向に流れライナーを用いてさらに構成されている。
随意的に、追加スロットは、同様のゲート、流路、又は出口を用いて構成することができる。
【0082】
図6及び図7は、概説された少なくとも1つの翼又は他の適切な翼を含む航空機を作動させる方法又は行為(act)を示す。図8は、達成された例示的な流れを示す。
【0083】
図6Aは、翼を有する航空機の離陸準備方法1010を示す。
開放された噴射スロットと少なくとも1つの開放された追加スロットを提供する行為1100がある。
【0084】
後縁部の後縁部翼弦ラインと前縁部の前縁部翼弦ラインとの間の翼弦ライン角を設定する行為1200がある。例えば図3を参照すると、翼は、前縁部翼弦72を有する前縁部70と、後縁部翼弦73を有する後縁部72とを有する。
噴射スロット及び少なくとも1つの追加スロットのそれぞれにスロット流を発生させる行為1300がある。
【0085】
図6Bは、離陸又は着陸方法1020を示す。方法1020は、離陸準備方法1010の後、又は巡航後又は飛行中に実行することができる。
方法1020は以下の行為を含む。
【0086】
翼の周りの自由空気流を得る行為1500がある。自由空気流は、航空機を推進する推力又は推進手段によって又は補助空気流手段によって確立することができる。風の状態も自由空気流に寄与することになる。
翼10の迎角(AoA)を調整する行為1600がある。
同時に、噴射スロットから後縁に向かう負圧側流れを実質的に層流に維持する行為1700がある。この維持する行為は、開示されているような翼を使用することによって、及び/又は、AoA、自由空気流速度のようなパラメータを調整することによって、又は、翼のスロットの開口を変更又は調整することによって、スロット流を変更又は調整することによって行うことができる。
【0087】
図7Aは、開示されたような翼を有する航空機の巡航方法1030を示す。
噴射スロット20及び少なくとも1つの追加スロットを閉鎖する行為1800がある。
飛行中に後縁部72及び前縁部70の翼弦ラインが整列した状態で航空機100を動作させる行為1900がある。
【0088】
図7Bは、航空機の運航方法1000を示す。方法1000は、図6A図6B及び図7Aに概略的に示された方法1010、1020、1030を含むことができる。
運航する方法1000は、図8にさらに例示され、図8Aは、図6Aに概略的に示される離陸準備方法1010中に確立される例示的な流れを示し、図8Bは、図6Bに概略的に示される離陸又は着陸方法1020中に確立される例示的な流れを示し、図8Cは、巡航方法1030中又は飛行中に確立される例示的な流れを示す。
【0089】
図8Aは、開示されたような翼を備える航空機の離陸を準備する場合である。準備には、噴射スロット及び追加スロット(ブースタースロット)を開放することが含まれる。流れは、確立されて図示されるようにスロットに供給され、高速空気流は、図示される内部チャンバを通って関与する(engage)ようになっている。空気は上記のスロットから分散され、翼によって規定される輪郭を辿る。これには毛細管効果が寄与する。
【0090】
図8Bは、航空機が揚力又は最適揚力に必要な水平速度に達した時点である。
航空機の姿勢は、自由空気流に対して通常よりも大きな迎角(AoA)に回転する。この手順によって、よどみ点は、後縁に非常に近いところに位置する。
【0091】
層流は、説明されるように能動的な空気流によって維持される。大きなAoAは、並外れた高揚力をもたらし、その結果、航空機は、例えばSuper-STOLのように、非常に低い水平速度で離陸する。
【0092】
航空機の水平速度は、通常の上昇速度又は巡航速度に向かって増加し、AoAは、空気噴出速度の減少とともに、噴射スロット及び追加スロット(ブースタースロット)の調整又は格納と同期して減少する。
降下及び着陸の際には、同じ手順が逆の順序で行われる。
【0093】
図8は、前縁12、後縁14、及び負圧側16を有する翼10を備えた航空機1000を運航する態様を示す。負圧側16は、噴射スロット20及び追加スロット30を有する。
【0094】
図8Aは、開示されるように航空機の離陸を準備する1010場合である。準備には、噴射スロット20及び追加スロット30(ブースタースロット)を開放することが含まれる。流れは、確立されて図示されるようにスロットに供給され、高速空気流は、図示される内部チャンバを通って関与するようになっている。噴射流発生手段52は、噴射流速25で噴射スロット流24を供給する。追加流発生手段54は、追加流速度35で追加流34を供給する。空気は上述のようにスロットから分散され、翼によって規定される輪郭を辿る。これには毛細管効果が寄与する。
【0095】
図8Aに続き、図8Bは、航空機が揚力又は最適揚力に必要な水平速度に到達した時点である。
航空機の姿勢は、自由空気流15に対して通常よりも大きな翼弦15の迎角(AoA)に回転する。この手順によって、よどみ点は、後縁14に非常に近いところに位置する。
【0096】
層流は、説明されるように能動的な空気流によって維持される。大きなAoAは、並外れた高揚力をもたらし、その結果、航空機は、例えばSuper-STOLのように、非常に低い水平速度で離陸する。
【0097】
航空機の水平速度は、通常の上昇速度又は巡航速度に向かって増加し、AoAは、空気噴出速度の減少とともに、噴射とスロット及び追加スロット(ブースタースロット)の調整又は格納と同期して減少する。
降下及び着陸の際には、同じ手順が逆の順序で行われる。
【0098】
図8Cは、巡航中又は飛行中1030の流れ及び設定を示す。噴射スロット20及び追加(ブースター)スロット30は完全に閉鎖され、格納され、能動的な空気流は中断される。自由空気流40中の翼は、航空機に必要な揚力を提供し、その結果、通常の飛行特性が保証される。
【0099】
図9は、上記の図に示した何らかの実施形態における、前縁に最も近い翼断面の詳細である。
フラップヒンジ構成21のヒンジは、翼の内側に配置されたシートヒンジとすることができ、それにより気密フラップヒンジ構成が達成できることが分かる。
【0100】
噴射フラップ22、従って噴射スロット20は、アクチュエータアーム78を有する回転可能な要素77を備えたフラップアクチュエータ構成76によって制御すること、すなわち作動、開放、閉鎖、調節することができる。このアクチュエータアーム78はピン(図示せず)を有し、このピンは、回転可能要素77が作動され、それによって回転される場合にスロット79内で摺動する。
【0101】
上述した管路は、本実施形態では図示されていないが、上記の図に示された何らかの実施形態に存在するように、本実施形態にも存在することができる。
内部構造体80、81は、翼の安定性を保証するために設けられている。内部構造体80、81は、翼内の空気流を保証するために、様々な空気流開口82を備えることができる。
さらに、内部構造体80、81、好ましくは、翼の長さ方向に配列された内部構造体80は、噴射スロットが完全に開放されている場合に噴射フラップ22を支持するための凹部又は類似のものを有することができ、それにより、噴射フラップ22が非意図的に過度に開くのを防止する。
【符号の説明】
【0102】
10 翼
12 前縁
14 後縁
15 翼弦
16 負圧側
18 正圧側
20 噴射スロット
21 フラップヒンジ
22 噴射フラップ
24 噴射流
25 噴射流速
26 流路
30 追加スロット
32 追加フラップ
34 追加流
35 追加流速
40 自由空気流
50 流れ発生手段
52 噴射流発生手段
54 追加流発生手段
55 連通路
60 ヒンジ構成
70 翼前縁部
71 翼前縁部翼弦
72 翼後縁部
73 翼後縁部翼弦
75 翼弦ライン角
76 フラップアクチュエータ構成
77 回転可能要素
78 アクチュエータアーム
79 スロット
80 内部構造体
81 内部構造体
82 空気流開口
100 航空機
200 フライトコンピュータ
1000 航空機の運航方法
1010 離陸準備方法
1020 離陸又は着陸方法
1030 巡航方法
1100 提供する行為
1200 設定する行為
1300 スロッ流を発生させる行為
1500 自由空気流を得る行為
1600 調整する行為
1700 維持する行為
1800 閉じる行為
1900 動作させる行為
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
【国際調査報告】