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特表2023-554152コネクタ、機能基板、および基板レベルアーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】コネクタ、機能基板、および基板レベルアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/658 20110101AFI20231219BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20231219BHJP
   H01R 13/6461 20110101ALN20231219BHJP
【FI】
H01R13/658
H01R12/71
H01R13/6461
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537950
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2021139888
(87)【国際公開番号】W WO2022135362
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202011527768.6
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チィウ,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シオン,ワン
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FB02
5E021FC20
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA15
5E223AB58
5E223AB59
5E223BA07
5E223CD01
5E223EA03
5E223EB03
5E223EB14
(57)【要約】
コネクタ(6)、機能基板および基板レベルアーキテクチャが提供される。コネクタ(6)は、エンドプロテクタ(30)とリードフレーム(20)とを含む。各リードフレーム(20)は、複数の接続端子群(22)とシールド層(21または23)とを含む。各接続端子群(22)は、信号を伝送するように構成された2つの接続端子(221および222)を含む。各接続端子(221または222)は、回路基板(5)の挿入と協働する第1の接続端を有する。シールド層(21または23)は、隣接するリードフレーム(20)における接続端子群(22)を電磁的に分離するように構成される。エンドプロテクタ(30)は、各接続端子群(22)における2つの接続端子(221および222)の第1の接続端間に配置される導電性構造(32)を含む。導電性構造(32)は、接続端子群(22)の対応するシールド層(21または23)に電気的に接続され、差動信号に対応するループ信号を伝送するように構成される。前述の技術的解決策では、エンドプロテクタ30上の導電性構造(32)を用いて、各接続端子群(22)によって伝送される差動信号に対応するループ信号の伝送路を改良され、異なる接続端子群(22)に対応するループ信号間のクロストークが低減され、コネクタの通信効果が向上させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドプロテクタと、複数のリードフレームとを含む、
コネクタであって、
前記複数のリードフレームは、第1の方向において積み重ねられ、
各リードフレームは、複数の接続端子群と、シールド層とを含み、各接続端子群は、信号を伝送するように構成される2つの接続端子を含み、各接続端子は、回路板の挿入を助ける第1の接続端を有し、前記シールド層は、隣接するリードフレームにおける接続端子群を電磁的に分離するように構成され、
前記エンドプロテクタは、各接続端子群における前記2つの接続端子の前記第1の接続端の間に位置する導電性構造を含み、前記導電性構造は、前記接続端子群の前記対応するシールド層に電気的に接続され、前記信号に対応するループ信号を伝送するように構成される、
コネクタ。
【請求項2】
前記エンドプロテクタは、各リードフレームにおける2つの隣接する接続端子群を電磁的に分離するように構成されるシールド構造をさらに含み、前記シールド構造は、前記端子群の前記対応するシールド層に電気的に接続される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シールド構造は、第1の突起と、第2の突起とを含み、前記第1の突起と前記第2の突起との間にはギャップがあり、前記第1の突起および前記第2の突起は、前記対応するシールド層に別個に電気的に接続される、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
各シールド層は、対応するシールド構造と1対1の対応のために使用される突出構造を備え、前記突出構造は、前記対応するシールド構造の第1の突起と第2の突起との間のギャップに挿入され、前記第1の突起および第2の突起の両方に電気的に接続される、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
各シールド層は、対応するシールド構造の第1の突起および前記第2の突起に対応するノッチを備え、前記第1の突起および前記第2の突起は、前記対応するノッチにそれぞれ挿入され、前記対応するシールド層に電気的に接続される、請求項3または4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シールド構造の高さが、前記導電性構造の高さよりも大きい、請求項2~5のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
各接続端子群における任意の接続端子と前記接続端子群に対応する導電性構造との間の最小距離が、第1の距離であり、各接続端子群における任意の接続端子と前記接続端子群に対応するシールド構造との間の距離が、第2の距離であり、
前記第1の距離は、前記第2の距離よりも少ない、
請求項2~6のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
各接続端子群は、絶縁層をさらに含み、前記絶縁層は、前記複数の接続端子群を包み、各接続端子の前記第1の接続端は、前記絶縁層の外側に露出され、
前記絶縁層は、空洞化構造を備え、各接続端子群は、前記空洞化構造内に部分的に露出される、
請求項1~7のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
各接続端子群における1つの接続端子が、第1の端子層に位置し、前記接続端子群における他の接続端子が、第2の端子層に位置し、前記第1の端子層および前記第2の端子層は、前記第1の方向において積み重ねられ、
前記絶縁層は、第1の副絶縁層と、第2の副絶縁層とを含み、前記第1の副絶縁層は、前記第1の端子層を包み、前記第2の副絶縁層は、前記第2の端子層を包む、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1の副絶縁層および前記第2の副絶縁層は、各々、前記空洞化構造を有する、請求項8または9に記載のコネクタ。
【請求項11】
当該コネクタは、絶縁ハウジングをさらに含み、
各接続端子は、ピア端でコネクタと適合するように構成される第2の接続端を有し、前記絶縁ハウジングは、前記第2の接続端を包む、
請求項1~10のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
回路基板と、前記回路基板に配置される請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の前記コネクタとを含み、各接続端子の接続端が、前記回路基板の回路層に電気的に接続される、機能基板。
【請求項13】
バックプレーンと、プラグイン基板とを含み、前記バックプレーンおよび前記プラグイン基板のうちの少なくとも1つが、請求項12に記載の機能基板であり、前記バックプレーンおよび前記プラグイン基板は、コネクタによって接続される、基板レベルアーキテクチャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2020年12月22日に中国国家知識産権局に出願された「CONNECTOR, FUNCTIONAL BOARD, AND BOARD-LEVEL ARCHITECTURE」という名称の中国特許出願第202011527768.6号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本出願は、通信技術の分野に関し、特に、コネクタ(connector)、機能基板(functional board)、および基板レベルアーキテクチャ(board-level architecture)に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の通信デバイスシステムでは、PCBベースのバックプレーンとPCBベースの副基板とを組み合わせた相互接続システムが、最も一般的な相互接続アーキテクチャである。様々な副基板が、バックプレーンコネクタによってバックプレーンに接続される。バックプレーンと副基板との間の接続ブリッジとして、コネクタは、主要なアーキテクチャレベルのコンポーネントとして提示される。
【0004】
バックプレーンコネクタは、通常、ライフサイクルを通じて製品の発展アップグレードをサポートできることが要求される。特に高速電気性能のために、バックプレーンコネクタは、典型的には、少なくとも2世代のレートアップグレードをサポートする必要がある。速度がアップグレードされるにつれて、システムは、コネクタの高速電気性能についてのより厳しい要求を有する。最も重要な電気性能指標は、主に、クロストーク、損失、および反射である。クロストークは、通常,遠端クロストークおよび近端クロストークに分類される。クロストークは、犠牲ネットワークへのノイズの注入として提示され、信号の信号対雑音比を直接低下させ、信号伝送品質の劣化を引き起こす。
【0005】
現在の主要な通信製品の速度が56Gbps、さらには112Gbpsまで進化するにつれて、クロストークノイズが、バックプレーンコネクタにとって大きな課題になりつつある。しかしながら、従来技術のバックプレーンコネクタは、過剰なクロストークノイズを有し、要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、コネクタにおけるクロストークを低減するためのコネクタ、機能基板、および基板レベルアーキテクチャを提供する。
【0007】
第1の態様によれば、コネクタが提供される。コネクタは、バックプレーンとプラグイン基板とを接続するために基板レベルアーキテクチャで使用される。コネクタは、エンドプロテクタと、複数の積み重ねられたリードフレームとを含む。複数のリードフレームは、第1の方向に積み重ねられる。各リードフレームは、複数の接続端子群と、シールド層とを含む。各接続端子群は、信号を伝送するように構成された2つの接続端子を含む。各接続端子は、回路基板の挿入を助ける第1の接続端を有する。シールド層は、隣接するリードフレームにおける接続端子群を電磁的に分離するように構成される。エンドプロテクタは、各接続端子群における2つの接続端子の第1の接続端間に配置される導電性構造を有する。導電性構造は、接続端子群の対応するシールド層に電気的に接続され、信号に対応したループ信号を伝送するように構成される。上記技術的解決策では、エンドプロテクタ上の導電性構造により、各接続端子群によって伝送される差動信号に対応するループ信号の伝送路が向上し、異なる接続端子群に対応するループ信号間のクロストークが低減し、コネクタの通信効果が向上する。
【0008】
具体的な実現可能な解決策において、エンドプロテクタは、各リードフレームにおける2つの隣接する接続端子群を電磁的に分離するように構成されるシールド構造をさらに含み、シールド構造は、端子群の対応するシールド層に電気的に接続される。エンドプロテクタ上に配置されるシールド構造により、電磁分離がリードフレームにおける異なる接続端子群間で実現される。
【0009】
具体的な実現可能な解決策では、シールド構造は、第1の突起と、第2の突起とを含み、第1の突起と第2の突起との間にはギャップが存在し、第1の突起および第2の突起は、対応するシールド層に別々に電気的に接続される。第1の突起および第2の突起により、シールド構造とシールド層との間の接触面積が増大し、シールド構造とシールド層との間の電気的接続効果がさらに向上し、異なる接続端子群間の電磁分離効果が向上する。
【0010】
具体的な実現可能な解決策では、各シールド層は、対応するシールド構造との1対1の対応のために使用される突出構造を備え、突出構造は、対応するシールド構造の第1の突起と第2の突起との間のギャップ内に挿入され、第1の突起および第2の突起の両方に電気的に接続される。突出構造が第1突起および第2突起に電気的に接続されることにより、シールド構造とシールド層との間の接触面積が増大し、シールド構造とシールド層との間の電気的接続効果がさらに向上し、異なる接続端子群間の電磁的分離効果が向上する。
【0011】
具体的な実現可能な解決策において、突出構造は、三角形または長方形のような異なる形状である。異なる突出構造により、第1の突起および第2の突起への電気的接続が実現される。
【0012】
具体的な実現可能な解決策において、各シールド層は、対応するシールド構造の第1の突起および第2の突起に対応するノッチを備え、第1の突起および第2の突起は、それぞれ、対応するノッチに挿入され、対応するシールド層に電気的に接続される。ノッチが第1の突起および第2の突起と嵌合することにより、シールド構造体とシールド層との間の接触面積が増大し、シールド構造とシールド層との間の電気的接続効果がさらに向上し、異なる接続端子群間の電磁分離効果が向上する。
【0013】
具体的な実現可能な解決策において、シールド構造の高さは、導電性構造の高さよりも大きい。このようにして、異なる接続端子群間の電磁的分離効果が向上する。
【0014】
具体的な実現可能な解決策では、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応する導電性構造との間の最小距離が第1の距離であり、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応するシールド構造との間の最小距離が第2の距離であり、第1の距離は、第2の距離よりも少ない。このようにして、ループ信号のリターンパスが向上する。
【0015】
具体的な実現可能な解決策において、各接続端子群は、絶縁層をさらに含み、絶縁層は、複数の接続端子群を包み、各接続端子の第1の接続端は、絶縁層の外側に露出され、絶縁層は、空洞化構造を備え、各接続端子群は、空洞化構造内に部分的に露出される。絶縁層を空洞化することにより、異なる接続端子群間および異なる接続端子間の分離効果を確保するときに絶縁層の使用が低減され、絶縁層の特性によって引き起こされる誘電損失がさらに低減される。
【0016】
具体的な実現可能な解決策では、各接続端子群における1つの接続端子が、第1の端子層に位置し、接続端子群における他の接続端子が、第2の端子層に位置し、第1の端子層および第2の端子層は、第1の方向に積み重ねられ、絶縁層は、第1の副絶縁層と、第2の副絶縁層とを含み、第1の副絶縁層は、第1の端子層を包み、第2の副絶縁層は、第2の端子層を包む。異なる副絶縁層が異なる接続端子層を包むことにより、製造および組立が容易である。
【0017】
具体的な実現可能な解決策において、第1の副絶縁層および第2の副絶縁層は、各々、空洞化構造を有する。このようにして、絶縁層の特性によって引き起こされる誘電損失が低減される。
【0018】
具体的な実現可能な解決策において、コネクタは、絶縁ハウジングをさらに含み、各接続端子は、ピア端でコネクタと嵌合するように構成される第2の接続端を有し、絶縁ハウジングは、第2の接続端を包む。
【0019】
具体的な実現可能な解決策において、導電性構造およびエンドプロテクタは、一体構造体であり、あるいは、導電性構造およびエンドプロテクタは、分割構造であり、導電性構造は、エンドプロテクタに電気的に接続される。このようにして、導電性構造は、異なる方法で配置される。
【0020】
第2の態様によれば、機能基板が提供される。機能基板は、回路基板と、回路基板に配置される前述の品目のいずれか1つに従ったコネクタとを含む。各接続端子の接続端は、回路基板の回路層に電気的に接続される。前述の技術的解決策では、エンドプロテクタ上に配置されたシールド構造により、リードフレームにおける異なる接続端子群間での電磁的分離が実現される。エンドプロテクタ上の導電性構造により、各接続端子群によって伝送される信号に対応するループ信号の伝送路が向上し、異なる接続端子群に対応するループ信号間のクロストークが低減し、コネクタの通信効果が向上する。
【0021】
第3の態様によれば、基板レベルアーキテクチャが提供される。基板レベルアーキテクチャは、バックプレーンと、プラグイン基板とを含む。バックプレーンおよびプラグイン基板の少なくとも一方は、前述の機能基板である。バックプレーンおよびプラグイン基板は、コネクタによって接続される。前述の技術的解決策では、エンドプロテクタ上に配置されたシールド構造により、電磁的分離が、リードフレームにおける異なる接続端子群間で実現される。エンドプロテクタ上の導電性構造により、各接続端子群によって伝送される信号に対応するループ信号の伝送路が向上し、異なる接続端子群に対応するループ信号間のクロストークが低減し、コネクタの通信効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来技術における基板レベルアーキテクチャの構造の概略図である。
【0023】
図2】本出願の一実施形態によるコネクタの適用シナリオの概略図である。
【0024】
図3】本発明の一実施形態に係るコネクタの構造の概略図である。
【0025】
図4】本発明の一実施形態によるリードフレームの構造の概略図である。
【0026】
図5】本出願の一実施形態によるリードフレームの概略分解図である。
【0027】
図6】本出願の一実施形態によるコンポーネントAの概略分解図である。
【0028】
図7】従来技術におけるコネクタと本出願の一実施形態において提供されるコネクタの信号挿入損失のシミュレーション効果の概略図である。
【0029】
図8】本出願の一実施形態によるエンドプロテクタの構造を示す概略図である。
【0030】
図9】本出願の一実施形態によるリードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する概略分解図である。
【0031】
図10】本出願の一実施形態によるリードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する構造の概略図である。
【0032】
図11】従来技術におけるコネクタにおける信号伝送プロセスの概略図である。
【0033】
図12】本出願の実施形態によるコネクタにおける信号クロストークおよび従来技術におけるコネクタにおける信号クロストークのシミュレーション効果の概略図である。
【0034】
図13】本出願の一実施形態によるエンドプロテクタがリードフレームに嵌合する場合に対応する概略分解図である。
【0035】
図14】本出願の一実施形態によるエンドプロテクタがリードフレームに嵌合する場合に対応する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願の実施形態において提供されるコネクタを理解するのを容易にするために、以下は、先ず、コネクタに関連する幾つかの用語を説明する。
【0037】
シールド層:シールド層は、金属シート全体であり、接地信号(グランド信号)を必要とし、電磁シールド効果を有する。
【0038】
接続端子:接続端子は、信号を伝送したりあるいは信号のためのリターンパスを提供したりするために使用される、金属リードである。
【0039】
クロストーク:クロストークは、有害な電気信号によって引き起こされる干渉であり、有害な信号が1つのネットワークから別のネットワークに転送されるときに生成される、結合効果である。この用途におけるクロストークは、異なる接続端子群間のクロストークである。
【0040】
挿入損失:挿入損失は、端子の一端から端子の他端へ信号を伝送する間のエネルギの損失である。
【0041】
リードフレーム:リードフレームは、コネクタの信号端子、シールド導体、および絶縁体を含む、主要な構造である。
【0042】
以下は、先ず、本出願の実施形態で提供されるコネクタの応用シナリオを記載する。本出願の実施形態で提供されるコネクタは、バックプレーンおよびサービス基板のような機能基板(機能ボード)上で使用され、基板レベルアーキテクチャ(ボードレベルアーキテクチャ)における異なる機能基板用の接続デバイスとして使用される。図1を参照のこと。本出願の本実施形態で提供されるコネクタは、基板レベルアーキテクチャで使用される。バックプレーン1および副基板2(サブボード)は、コネクタによって接続される。図1に示すように、バックプレーン1は、第1のコネクタ4を備え、副基板2は、第2コネクタ3を備える。バックプレーン1および副基板2が接続されると、第1のコネクタ4および第2のコネクタ3は、互いに嵌合して、バックプレーン1と副基板2との間の接続を実施する。
【0043】
図2を参照のこと。副基板が一例として使用される。各副基板は、回路基板5と、回路基板5上に配置されたコネクタ6とを含む。コネクタ6の両端は、それぞれ、第1の接続ポート601および第2の接続ポート602を有する。第1の接続ポート601は、ピア端(peer end)でコネクタと適合するように構成される。第2の接続ポート602は、回路基板5に電気的に接続されるように構成される。信号伝送プロセスにおいて、信号が、接続端子を通じて回路基板の回路層に流入し、ループ信号が、回路基板の接地層(グランド層)を通じてコネクタのシールド層に流入し、よって、信号ループを形成する。
【0044】
図3は、コネクタの構造の概略図である。コネクタは、主に3つのコンポーネント(構成要素)から組み立てられ、3つのコンポーネントは、リードフレーム20、絶縁ハウジング10、およびエンドプロテクタ30(end protector)である
【0045】
リードフレーム20は、コネクタの主要構造である。本出願の本実施形態におけるコネクタは、複数のリードフレーム20を含む。複数のリードフレーム20は、第1の方向に積み重ねられ、コネクタの主要構造を構成する。第1の方向は、図3に矢印で示す方向である。
【0046】
図4は、リードフレーム20の構造の概略図である。リードフレーム20は、コンポーネントAと、2つのシールド層とを含む。第1のシールド層21、コンポーネントA、および第2のシールド層23は、第1の方向に積み重ねられている。第1のシールド層21および第2のシールド層23は、それぞれ、接続端子群22の両側に配置されている。コンポーネントAは、複数の接続端子群と、接続端子群を包む絶縁層とを含む。各接続端子群は、信号を伝送するように構成された2つの接続端子を含む。例えば、2つの接続端子は、差動信号または別のタイプの信号を伝送するように構成される。本出願の本実施形態において、差動信号は、説明のために一例として用いられる。
【0047】
各接続端子は、互いに対向する第1の接続端および第2の接続端を有する。第1の接続端は、コネクタと回路基板の回路層との間の電気的接続を実現するために、回路基板に差し込まれるように構成される。第2の接続端は、2つのコネクタ間の電気的接続を実現するために、ピア端(peer end)でコネクタのスロットに嵌合するように構成される。
【0048】
2つのシールド層は、複数の接続端子群をシールドするように構成される。説明を容易にするために、2つのシールド層を、それぞれ、第1のシールド層21および第2のシールド層23と呼ぶ。第1のシールド層21および第2のシールド層23は、第1の方向において複数の接続端子群の両側に配置される。
【0049】
絶縁ハウジング10は、複数のリードフレーム20を締め付けるように構成され、ピア端でのコネクタの挿入および除去を助ける構造として用いられる。絶縁ハウジング10は、リードフレーム20と嵌合すると、リードフレーム20に締め付けられ、接続端子の第2の接続端を包む。第2の接続端は、ピア端でのコネクタのスロットとの嵌合のために、絶縁ハウジング10によって包まれ、露出されることが理解されるべきである。
【0050】
図5は、リードフレームの概略分解図である。リードフレームは、3つの構造、すなわち、接続端子群22、シールド層、および絶縁層24を有する。
【0051】
複数の接続端子群22がある。複数の接続端子群22は、第2の方向に単一の列に配置される。第2の方向は、第1の方向に対して垂直である。第2の方向は、コネクタがピア側でコネクタに挿入されるかあるいはコネクタから取り外される方向を指す。
【0052】
シールド層は、第1のシールド層21と、第2のシールド層23とを含む。第1のシールド層21および第2のシールド層23は、リードフレームの両側に配置される。複数の接続端子群22は、第1のシールド層21と第2のシールド層23との間に挟まれる。絶縁層24は、第1のシールド層21と第2のシールド層23との間に配置され、接続端子群22を包んで、隣接する接続端子群22を隔離し、各接続端子群22内の2つの接続端子も隔離する。絶縁層24および接続端子群22は、コンポーネントAを構成する。接続端子群22の接続端は、対応するデバイスへの接続を確保するように、絶縁層24の外側に露出されることが理解されるべきである。
【0053】
第1のシールド層21および第2のシールド層23は、導電性の高い金属材料、例えば、銅またはアルミニウムのような導電性の高い一般的な材料で作られる。加えて、第1のシールド層21および第2のシールド層23の形状は、リードフレームのために電磁的分離(electromagnetic isolation)を実現できるならば、本出願の本実施形態において特に限定されない。
【0054】
任意の解決策において、複数のリードフレームが並んで配置されるとき、隣接するリードフレームは、シールド層によって電磁的に絶縁される。この場合、各リードフレームは、1つのシールド層のみを含むことで、コネクタ全体で使用されるシールド層の量を削減し、コネクタのコストを削減する。
【0055】
前述の説明から、本出願の本実施形態において設けられるシールド層は、2つの接続端子においてより大きい表面積を持つ表面の両側に位置する第1のシールド層21および第2のシールド層23のみを含むことが分かる。金属シールド構造は、リードフレームにおいて2つの隣接する接続端子群間に配置されない。代わりに、空気が絶縁の誘電体として使用される。従って、より大きな表面積を持つ第1の接続端子221および第2の接続端子222を形成するために、第1の接続端子221および第2の接続端子222のサイズがさらに増大されることがある。
【0056】
図6は、コンポーネントAの概略分解図である。接続端子群に含まれる2つの接続端子を、それぞれ、第1の接続端子221および第2の接続端子222と呼ぶ。第1の接続端子221および第2の接続端子222は、第1の方向に積み重ねられる。第1の方向は、複数のリードフレームが積み重ねられる方向である。積層中、第1の接続端子221および第2の接続端子222におけるより大きな面積を持つ2つの表面が、互いに対向して配置される。複数の接続端子群における第1の接続端子221は、第1の端子層を形成するように、同じ層で配置される。複数の接続端子群における第2の接続端子222は、第2の端子層を形成するように、同じ層に配置される。
【0057】
絶縁層24が、第1の副絶縁層21と、第2の副絶縁層242とを含む。第1の副絶縁層241は、接続端子の1つの層を包み、第2の副絶縁層242は、接続端子の他の層を包む。例えば、第1の副絶縁層241は、第1の端子層を包み、第2の副絶縁層242は、第2の端子層を包む。第1の端子層および第2の端子層を分離する構造として使用されることに加えて、第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242は、各接続端子層における接続端子のための支持構造として使用されることがある。例えば、第1の副絶縁層241は、第1の端子層において複数の第1の接続端子221を包むことで、複数の第1の接続端子221を締め付ける。同様に、第2の副絶縁層242も、複数の第2の接続端子222を締め付ける。接続端子群は、第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242を整列させて締め付けることだけによって形成されることができる。このようにして、各接続端子群における第1の接続端子221および第2の接続端子222は、それらが第1の方向において積み重ねられるように、整列させられることができる。
【0058】
任意の解決策において、絶縁層24は、一体構造を用いることによって代替的に作られてよい。製造中、先ず、2つの接続端子層が締め付けられてよく、次に、絶縁層24の一体構造が、射出成形プロセスを用いて形成されてよい。
【0059】
任意の解決策では、絶縁層に空洞化構造(hollow-out structure)を設けた後に第1の接続端子221および第2の接続端子222が安定することを確保するために、第1の副絶縁層241は、第1の接続端子221の部分であって、第1の接続端および第2の接続端に近い部分を覆い、第2の副絶縁層242は、第2の接続端子222の部分であって、第1の接続端および第2の接続端に近い部分を覆って、接続端子の安定性を確保する。
【0060】
本出願の実施形態における絶縁層およびシールド層の効果の理解を容易にするために、以下は、先ず、転送プロセスにおける信号のエネルギ損失(すなわち、信号の挿入損失)を説明する。信号の挿入損失は、主に2つの部分を含む。
【0061】
1.接続端子およびシールド層のような金属構造によって引き起こされる導体損失であり、導体損失は、導電性構造のものである導電性、粗さ、および接続端子幅に主に関係する。
【0062】
2.接続端子とシールド層との間に充填された絶縁層24によって引き起こされる誘電損失であり、誘電損失は、誘電損失角によって主に決定される。
【0063】
コネクタの挿入損失を低減するために、絶縁層24は、空洞化構造を備える。空洞化構造によれば、絶縁材料の使用量は低減されるので、接続端子とシールド層との間の誘電体として空気を用いて電気絶縁を実現する。加えて、空洞化構造が提供されるとき、配置された絶縁層24は、各接続端子である対応する部分であって、第1の接続端に近い対応する部分を覆い、第1の接続端は、絶縁層24の外側に露出されるので、空洞化構造を設けた後でも接続端子を位置決めして締め付けて、接続端子が回路基板に接続されるときの信頼性を確保することができる。
【0064】
図6を参照すると、絶縁層24での空洞化構造の提供のために、第1の副絶縁層241には、第1の空洞化構造2411が設けられるので、空隙が、第1の接続端子221と第1の副絶縁層241との間に形成される。複数の第1の空洞化構造2411が図4に図示されるが、第1の空洞化構造2411の具体的な提供位置、具体的なサイズ、および具体的な量は、本出願の本実施形態において限定されないことが理解されるべきである。しかしながら、製造中、第1の空洞化構造2411のサイズおよび位置は、実際の要件に基づいて決定されてよい。これは、ここでは特に限定されない。同様に、第2の副絶縁層242にも、第2の空洞化構造2421が設けられる。詳細は、ここでは再度説明されない。第1の副絶縁層241に第1の空洞化構造2411を設けられ、第2の副絶縁層242に第2の空洞化構造2421が設けられた後に、絶縁材料の使用量を大幅に削減することができるので、第1の接続端子221および第2の接続端子222は、2つの空洞化構造(第1の空洞化構造2411および第2の空洞化構造2421)内の空気によって電気的に絶縁されて、絶縁層24の特性によって引き起こされる誘電損失を低減することが、図6に示す構造から分かる。
【0065】
前述の説明から、本出願の本実施形態において提供されるコネクタには、接続端子とシールド層との間には空隙が大部分ある、すなわち、空気が接続端子とシールド層との間の誘電体として用いられることが分かる。空気は、既知の材料の中で最小の誘電定数および最小の誘電損失角を有する。従って、コネクタのインピーダンスが変化しないままであるとき、誘電率の小さい空気の使用は、接続端子の設計幅の増大を可能にすることができ、導体損失のさらなる低減を可能にすることができ、損失角の小さい空気の使用は、誘電損失の低減を可能にすることができる。よって、本出願の本実施形態において提供されるコネクタでは、2つの観点、すなわち、導体損失および誘電体損失から、信号の挿入損失を低減することができる。
【0066】
本出願の実施形態において提供されるリードフレームの理解を容易にするために、以下は、リードフレームを製造するプロセスを説明する。先ず、銅シートを切断して、接続端子を形成する。第1の接続端子221を1つの層にタイル張りして、第1の端子層を形成する。次に、射出成形プロセスを用いることによって、接続端子の周囲に絶縁体を付加して、第1の副絶縁層241を形成して、第1の接続端子221を締め付ける。加えて、射出成形中に第1の空洞化構造2411を形成する。第2の端子層および第2の副絶縁層242も同様に形成する。第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242を並置する。次に、並置した第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242の外側に第1のシールド層21および第2のシールド層22を追加して、完全なリードフレームを形成する。
【0067】
本出願の実施形態において設けられるコネクタによって達成される損失削減効果の理解を容易にするために、本出願の実施形態において提供されるコネクタおよび従来技術におけるコネクタに対するシミュレーションを行った。図7は、従来技術におけるコネクタおよび本出願の実施形態において提供されるコネクタに対してシミュレーションを行った後に得られた信号挿入損失を示している。破線は、従来技術におけるコネクタの挿入損失を示しており、実線は、本出願の実施形態において提供されるコネクタの挿入損失を示している。図7から、29GHzでの従来技術におけるコネクタの挿入損失は、約1.51dBであり、29GHzでの本出願の実施形態において提供されるコネクタの挿入損失は、約0.95dBであることが分かる。本出願の実施形態において提供されるコネクタは、挿入損失における0.56dBの削減、すなわち、約37%の改良を実現する。改良により、損失は、112G用途の要求を満たす。
【0068】
図8は、エンドプロテクタ(端プロテクタ)の構造の概略図である。エンドプロテクタ30は、複数のリードフレーム20を締め付けるように、複数のリードフレーム20のシールド層(第1のシールド層および第2のシールド層)に締め付けられる。加えて、エンドプロテクタ30は、回路基板のための接続構造および導電性構造としても作用する。エンドプロテクタ30がリードフレーム20と嵌合すると、リードフレーム20における(第1の接続端子221および第2の接続端子222を含む)接続端子の第1の接続端が、エンドプロテクタ30を通じて収入されて露出されるので、第1の接続端は、回路層にあるビア(vias)に挿入されることができ、回路層に電気的に接続されることができる。エンドプロテクタ30が回路基板と嵌合すると、エンドプロテクタ30は、回路層の接地層に電気的に接続されるので、エンドプロテクタ30およびシールド層は接地されて、接続端子についてのシールド効果が実現される。
【0069】
エンドプロテクタ30は、導電性材料、例えば、金属材料または非金属導電性材料から作られるフレーム構造である。例えば、エンドプロテクタ30は、銅またはアルミニウムのような導電性の高い材料から作られるフレーム構造であってよい。
【0070】
エンドプロテクタ30は、複数の窓31を備える。複数の窓31は、第2の方向に単一の列において配置され、第1の方向に複数の列において配置される。各列の複数の窓31は、各リードフレーム20における複数の接続端子群に対応する。エンドプロテクタ30がリードフレーム20と嵌合すると、対応するリードフレーム20における各接続端子群内の2つの接続端子の第1の接続端が、窓31に挿入される。窓31は、導電性構造32を備える。導電性構造32は、窓31と交差し、窓31の側壁に電気的に接続される。導電性構造32は、窓31を第1の副窓311と第2の副窓312とに分割する。第1の副窓311および第2の副窓312は、それぞれ、接続端子群における2つの接続端子の第1の接続端に対応する。
【0071】
エンドプロテクタ30は、シールド構造33をさらに備える。シールド構造33は、第2の方向に一列に配置される。1つのシールド構造33が、シールド構造を用いて2つの隣接する窓31を電磁的に分離するために、第2の方向において各窓31の両側に配置される。加えて、シールド構造33は、同じリードフレーム20内の2つの隣接する接続端子群を電磁的に分離してよい。
【0072】
図9は、リードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する概略分解図である。図10は、リードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する構造の概略図である。リードフレーム20がエンドプロテクタ30と嵌合する方法を図示するのを容易にするために、リードフレーム20の第1のシールド層21が、図9および図10における記述のための一例として使用される。第2のシールド層23がエンドプロテクタ30と嵌合する方法については、第1のシールド層21がエンドプロテクタ30と嵌合する方法を参照のこと。
【0073】
エンドプロテクタ30におけるシールド構造33は、リードフレームにおいて隣接する接続端子群22の間の電磁的分離を実現するために、隣接する接続端子群22を電磁的に分離するように構成される。シールド構造33が配置されると、シールド構造33および窓31は、隔離のために窓31の両側にシールド構造33があることを確保するように、交互に配置される。
【0074】
任意の解決策において、シールド構造33は、第1の突起331と、第2の突起332とを含み、第1の突起331および第2の突起332は、バー構造であり、長さ方向が、第1の方向である。第1の突起331と第2の突起332との間にはギャップ(間隙)が存在する。第1の突起331および第2の突起332は、配置されるときに、第2の方向に配置される。第1のシールド層21と嵌合するときに、第1の突起331および第2の突起332は、対応する第1のシールド層21に個別に電気的に接続されて、第1の突起331および第2の突起332を用いることによってシールド構造33と第1のシールド層21との間の接触面積を増加させ、さらに、シールド構造33と第1のシールド層21との間の電気的接続効果を向上させ、異なる接続端子群間の電磁的分離効果を向上させる。
【0075】
任意の解決策において、第1のシールド層21は、シールド構造33に電気的に接続されるように構成される突出構造211を備える。図7に示すように、突出構造211は、第1の突起331と第2の突起332との間のギャップ内に挿入され、第1の突起331および第2の突起332の両方に電気的に接続される。例えば、突出構造211は、三角形または長方形のような異なる形状にあることがある。突出構造211の2つの対向する側面は、それぞれ、第1の突起331および第2の突起332に接触して、突出構造211と2つの突出部との間の電気的接続を実現する。加えて、突出構造211は、リードフレーム20をエンドプロテクタ30に締め付けるように、第1の突起331および第2の突起332にスナップ嵌めされることがある。
【0076】
任意の解決策において、第1のシールド層21は、第1の突起331および第2の突起332にそれぞれ対応する、第1のノッチ212および第2のノッチ213を備え、締め付けのために、第1の突起331は、対応する第1のノッチ212に挿入され、第2の突起332は、対応する第2の切りノッチ213に挿入される。挿入された後に、第1の突起331および第2の突起332は、対応する第1のシールド層21に電気的に接続される。第1のノッチ212および第2のノッチ213がそれぞれ第1の突起331および第2の突起332とそれぞれ嵌合した状態で、第1のシールド層21とエンドプロテクタ30との間の接触面積をさらに増加させることができる。本出願の本実施形態において、エンドプロテクタ30および第1のシールド層21は、突出構造211を第1の突起331および第2の突起332上にスナップ嵌めする方法のみにおいて、第1の突起331および第2の突起332を第1のノッチ212および第2のノッチ213内にスナップ嵌めする方法のみにおいて、あるいは両方の締め付け方法において、互いに締め付けられてよいことが理解されるべきである。
【0077】
任意の解決策において、シールド構造33は、代替的に、突起を使用してよい、すなわち、1つの突起が、窓31の両側の各々に配置されてよい。突起は、電気的接続を実現するように、第1のシールド層21のノッチ212(切欠き)内にスナップ嵌めされる。
【0078】
導電性構造32は、バー構造であり、長さ方向が、第1の方向である。導電性構造32は、窓31を交差し、窓31を第1の副窓311と第2の副窓312とに分割する。第1の接続端子221の第1の接続端および第2の接続端子222の第2の接続端が、それぞれ、窓31の第1の副窓311および第2の副窓312に挿入される。
【0079】
本出願の本実施形態における導電性構造32は、差動信号のためのループ信号を提供するように構成される。理解を容易にするために、先ず、以下は、コネクタと回路基板との間の信号伝送プロセスを説明する。差動信号が、接続端子を通じて回路基板の回路層に流入し、ループ信号が、回路基板の接地層を通じてコネクタのシールド層に流入し、よって、信号ループを形成する。回路層からシールド層に伝送されると、ループ信号は、ループインダクタンスが最小のパス(経路)を選択する。
【0080】
図10に実線矢印および破線矢印で示すように、差動信号が、第1の接続端子221および第2の接続端子222を通じて回路基板に伝送され、ループ信号が、導電性構造32を通じて第1のシールド層21に伝送され、よって、信号ループを形成する。導電性構造32は、第1の接続端子221と第2の接続端子222との間に位置するのに対し、シールド構造32は、接続端子群22の側に位置する。シールド構造33と導電性構造32との間の比較から、導電性構造32によって形成される信号ループとシールド構造33によって形成される信号ループとの間で、導電性構造32によって形成される信号ループは、より小さなエリアを取り囲み、従って、より小さなループインダクタンスを有することが分かる。従って、第1のシールド層21に流入するために、ループ信号は、第1のシールド層32に流入するための導電性構造32を選択し、第1のシールド層32内にありかつ接続端子に近い部分に転送される。このようにして、各接続端子群に対応するループ信号が、接続端子群の近傍に拘束されて、異なる接続端子群に対応するループ信号間に生成されるクロストークを回避する。
【0081】
図11に示す従来技術におけるコネクタにおける信号伝送プロセスでは、(実線矢印で示す)差動信号が、接続端子群100を通じて回路基板に転送され、(破線矢印で示す)ループ信号が、シールド構造200を通じてシールド層に転送される。シールド構造200は、2つの接続端子群100の間に位置する。従って、クロストークが、2つの信号端子群100に対応するループ信号間で必然的に発生する。本出願の本実施形態では、導電性構造32によってループ信号を接続端子群の近傍に拘束して、2つの接続端子群に対応するループ信号間のクロストークを低減させる。
【0082】
本出願の本実施形態において提供されるエンドプロテクタによって達成される信号クロストーク低減効果の理解を容易にするために、本出願の本実施形態で提供されるコネクタおよび従来技術におけるコネクタに対してシミュレーションを行った。従来技術のコネクタでは、ループ信号が、シールド構造を通じて転送されるのに対し、本出願の実施形態で提供されるコネクタでは、ループ信号が、導電性構造を通じて転送される。比較結果を図12に示す。実線が、本出願の実施形態において提供されるコネクタのシミュレーション結果を示し、破線は、従来技術におけるコネクタのシミュレーション結果を示す。図12から、従来技術のコネクタにおける最大クロストークは、40GHzで20dBに達し、より高い周波数帯において、112G用途の要求を満たさないことが分かる。本出願の実施形態で提供されるコネクタは、20GHzおよびより高い周波数帯においてクロストーク性能を有意に向上させる。例えば、30GHz~40GHzの周波数帯では、少なくとも10dBの改良があり、40GHz~50GHzの周波数帯では、少なくとも20dBの改良がある。この改良により、クロストーク性能は、112G用途の要求を満たすことができる。
【0083】
図13は、エンドプロテクタがリードフレームと嵌合する場合に対応する概略分解図である。図14は、リードフレームがエンドプロテクタと嵌合する場合に対応する概略図である。図13および図14に示すように、エンドプロテクタの窓の2つの対向する2つの側壁は、スロット34を備える。導電性構造32の両端は、それぞれ、スロット34に1対1で対応して挿入され、窓の2つの側壁に締め付けられる。
【0084】
任意の解決策では、シールド構造33の高さが、導電性構造32の高さよりも大きい。すなわち、導電性構造32は、導電性構造32と第1の接続端子221との間および導電性構造32と第2の接続端子222との間の電気的接続を回避するように、導電性構造32と第1の接続端子221との間および導電性構造32と第2の接続端子222との間の十分な分離距離を確保するために、低く配置される。
【0085】
任意の解決策において、導電性構造32の高さは、窓31の高さよりも大きいので、導電性構造32は、窓31の外側に露出され、第1のシールド層21内にスナップ嵌めされる。
【0086】
任意の解決策では、1つ以上の導電性構造32が存在することがある。複数の導電性構造32が使用されるとき、複数の導電性構造32は、第2の方向に配置されることがある。
【0087】
任意の解決策において、導電性構造32およびエンドプロテクタ30は、一体構造であってよく、あるいは分割構造であってよい。分割構造が使用されるとき、導電性構造32は、エンドプロテクタ30にある窓31内にスナップ嵌めされ、エンドプロテクタ30に電気的に接続される。
【0088】
任意の解決策では、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応する導電性構造32との間の最小距離が、第1の距離であり、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応するシールド構造33との間の最小距離が、第2の距離であり、第1の距離は、第2の距離よりも少ない。
【0089】
本出願の一実施形態が、機能基板(functional board)をさらに提供する。機能基板は、バックプレーンおよびサービス基板のような異なる機能基板であってよい。機能基板は、回路基板と、回路基板に配置される前述の品目のうちのいずれか1つに従ったコネクタとを含む。各接続端子の接続端が、回路基板の回路層に電気的に接続される。前述の技術的解決手段では、シールド層を用いて、電磁的分離がリードフレーム間で実現され、エンドプロテクタ上に配置されるシールド構造を用いて、電磁的分離がリードフレーム内の同じ層にある異なる接続端子群間で実現され、エンドプロテクタ上にある導電性構造を用いて、電磁的分離が同じ接続端子群における異なる接続端子間で実現される。このようにして、コネクタにおけるクロストークが低減され、異なるリードフレーム間、異なる接続端子群間、および異なる接続端子間の信号クロストークが低減され、コネクタの通信効果が向上させられる。
【0090】
本出願の実施形態は、基板レベルアーキテクチャ(board-level architecture)をさらに提供する。基板レベルアーキテクチャは、バックプレーンと、プラグイン基板(プラグインボード)とを含む。バックプレーンおよびプラグイン基板のうちの少なくとも1つは、前寿の機能基板である。バックプレーンおよびプラグイン基板は、コネクタによって接続される。前述の技術的解決策では、シールド層を用いて、電磁的分離がリードフレーム間で実現され、エンドプロテクタ上に配置されるシールド構造を用いて、電磁的分離がリードフレーム内の同じ層にある異なる接続端子群間で実現され、エンドプロテクタ上にある導電性構造を用いて、電磁的分離が同じ接続端子群における異なる接続端子間で実現される。このようにして、コネクタにおけるクロストークが低減され、異なるリードフレーム間、異なる接続端子群間、および異なる接続端子間の信号クロストークが低減され、コネクタの通信効果が向上させられる。
【0091】
当業者は、本出願の精神および範囲から逸脱することなく本出願に対して様々な修正および変形を行うことができることが、明らかである。このようにして、本出願は、本出願のこれらの修正および変形が本出願の特許請求の範囲およびそれらの均等技術によって定義される範囲内にある限り、本出願のこれらの修正および変形をカバーすることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドプロテクタと、複数のリードフレームとを含む、
コネクタであって、
前記複数のリードフレームは、第1の方向において積み重ねられ、
各リードフレームは、複数の接続端子群と、シールド層とを含み、各接続端子群は、信号を伝送するように構成される2つの接続端子を含み、各接続端子は、回路板の挿入と協働する第1の接続端を有し、前記シールド層は、隣接するリードフレームにおける接続端子群を電磁的に分離するように構成され、
前記エンドプロテクタは、各接続端子群における前記2つの接続端子の前記第1の接続端の間に位置する導電性構造を含み、前記導電性構造は、前記接続端子群の対応するシールド層に電気的に接続され、前記信号に対応するループ信号を伝送するように構成される、
コネクタ。
【請求項2】
前記エンドプロテクタは、各リードフレームにおける2つの隣接する接続端子群を電磁的に分離するように構成されるシールド構造をさらに含み、前記シールド構造は、前記接続端子群の前記対応するシールド層に電気的に接続される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シールド構造は、第1の突起と、第2の突起とを含み、前記第1の突起と前記第2の突起との間にはギャップがあり、前記第1の突起および前記第2の突起は、前記対応するシールド層に別個に電気的に接続される、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
各シールド層は、対応するシールド構造と1対1の対応のために使用される突出構造を備え、前記突出構造は、前記対応するシールド構造の第1の突起と第2の突起との間のギャップに挿入され、前記第1の突起および第2の突起の両方に電気的に接続される、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
各シールド層は、対応するシールド構造の第1の突起および第2の突起に対応するノッチを備え、前記第1の突起および前記第2の突起は、前記対応するノッチにそれぞれ挿入され、前記対応するシールド層に電気的に接続される、請求項3または4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シールド構造の高さが、前記導電性構造の高さよりも大きい、請求項2~5のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
各接続端子群における任意の接続端子と前記接続端子群に対応する導電性構造との間の最小距離が、第1の距離であり、各接続端子群における任意の接続端子と前記接続端子群に対応するシールド構造との間の距離が、第2の距離であり、
前記第1の距離は、前記第2の距離よりも少ない、
請求項2~6のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
各接続端子群は、絶縁層をさらに含み、前記絶縁層は、前記複数の接続端子群を包み、各接続端子の前記第1の接続端は、前記絶縁層の外側に露出され、
前記絶縁層は、空洞化構造を備え、各接続端子群は、前記空洞化構造内に部分的に露出される、
請求項1~7のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
各接続端子群における1つの接続端子が、第1の端子層に位置し、前記接続端子群における他の接続端子が、第2の端子層に位置し、前記第1の端子層および前記第2の端子層は、前記第1の方向において積み重ねられ、
前記絶縁層は、第1の副絶縁層と、第2の副絶縁層とを含み、前記第1の副絶縁層は、前記第1の端子層を包み、前記第2の副絶縁層は、前記第2の端子層を包む、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1の副絶縁層および前記第2の副絶縁層は、各々、前記空洞化構造を有する、請求項に記載のコネクタ。
【請求項11】
当該コネクタは、絶縁ハウジングをさらに含み、
各接続端子は、ピア端でコネクタと適合するように構成される第2の接続端を有し、前記絶縁ハウジングは、前記第2の接続端を包む、
請求項1~10のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
回路基板と、前記回路基板に配置される請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の前記コネクタとを含み、各接続端子の接続端が、前記回路基板の回路層に電気的に接続される、機能基板。
【請求項13】
バックプレーンと、プラグイン基板とを含み、前記バックプレーンおよび前記プラグイン基板のうちの少なくとも1つが、請求項12に記載の機能基板であり、前記バックプレーンおよび前記プラグイン基板は、コネクタを通じて接続される、基板レベルアーキテクチャ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信技術の分野に関し、特に、コネクタ(connector)、機能基板(functional board)、および基板レベルアーキテクチャ(board-level architecture)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の通信デバイスシステムでは、PCBベースのバックプレーンとPCBベースの副基板とを組み合わせた相互接続システムが、最も一般的な相互接続アーキテクチャである。様々な副基板が、バックプレーンコネクタを通じてバックプレーンに接続される。バックプレーンと副基板との間の接続ブリッジとして、コネクタは、主要なアーキテクチャレベルのコンポーネントである
【0003】
バックプレーンコネクタは、通常、ライフサイクルを通じて製品の発展アップグレードをサポートできることが要求される。特に高速電気性能のために、バックプレーンコネクタは、典型的には、少なくとも2世代のレートアップグレードをサポートする必要がある。速度がアップグレードされるにつれて、システムは、コネクタの高速電気性能についてのより厳しい要求を有する。最も重要な電気性能指標は、主に、クロストーク、損失、および反射である。クロストークは、通常,遠端クロストークおよび近端クロストークに分類される。クロストークは、犠牲ネットワークへのノイズの注入として提示され、信号の信号対雑音比を直接低下させ、信号伝送品質に対する劣化を引き起こす。
【0004】
現在の主要な通信製品の速度が56Gbps、さらには112Gbpsまで進化するにつれて、クロストークノイズが、バックプレーンコネクタにとって大きな課題になりつつある。しかしながら、従来技術のバックプレーンコネクタは、過剰なクロストークノイズを有し、要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、コネクタにおけるクロストークを低減するためのコネクタ、機能基板、および基板レベルアーキテクチャを提供する。
【0006】
第1の態様によれば、コネクタが提供される。コネクタは、バックプレーンとプラグイン基板とを接続するために基板レベルアーキテクチャで使用される。コネクタは、エンドプロテクタと、複数の積み重ねられたリードフレームとを含む。複数のリードフレームは、第1の方向に積み重ねられる。各リードフレームは、複数の接続端子群と、シールド層とを含む。各接続端子群は、信号を伝送するように構成された2つの接続端子を含む。各接続端子は、回路基板の挿入と協働する第1の接続端を有する。シールド層は、隣接するリードフレームにおける接続端子群を電磁的に分離するように構成される。エンドプロテクタは、各接続端子群における2つの接続端子の第1の接続端間に配置される導電性構造を有する。導電性構造は、接続端子群の対応するシールド層に電気的に接続され、信号に対応したループ信号を伝送するように構成される。上記技術的解決策では、エンドプロテクタ上の導電性構造により、各接続端子群によって伝送される差動信号に対応するループ信号の伝送路が向上し、異なる接続端子群に対応するループ信号間のクロストークが低減し、コネクタの通信効果が向上する。
【0007】
具体的な実現可能な解決策において、エンドプロテクタは、各リードフレームにおける2つの隣接する接続端子群を電磁的に分離するように構成されるシールド構造をさらに含み、シールド構造は、端子群の対応するシールド層に電気的に接続される。エンドプロテクタ上に配置されるシールド構造により、電磁分離がリードフレームにおける異なる接続端子群間で実現される。
【0008】
具体的な実現可能な解決策では、シールド構造は、第1の突起と、第2の突起とを含み、第1の突起と第2の突起との間にはギャップが存在し、第1の突起および第2の突起は、対応するシールド層に別々に電気的に接続される。第1の突起および第2の突起により、シールド構造とシールド層との間の接触面積が増大し、シールド構造とシールド層との間の電気的接続効果がさらに向上し、異なる接続端子群間の電磁分離効果が向上する。
【0009】
具体的な実現可能な解決策では、各シールド層は、対応するシールド構造との1対1の対応のために使用される突出構造を備え、突出構造は、対応するシールド構造の第1の突起と第2の突起との間のギャップ内に挿入され、第1の突起および第2の突起の両方に電気的に接続される。突出構造が第1突起および第2突起に電気的に接続されることにより、シールド構造とシールド層との間の接触面積が増大し、シールド構造とシールド層との間の電気的接続効果がさらに向上し、異なる接続端子群間の電磁的分離効果が向上する。
【0010】
具体的な実現可能な解決策において、突出構造は、三角形または長方形のような異なる形状である。異なる突出構造により、第1の突起および第2の突起への電気的接続が実現される。
【0011】
具体的な実現可能な解決策において、各シールド層は、対応するシールド構造の第1の突起および第2の突起に対応するノッチを備え、第1の突起および第2の突起は、それぞれ、対応するノッチに挿入され、対応するシールド層に電気的に接続される。ノッチが第1の突起および第2の突起と嵌合することにより、シールド構造体とシールド層との間の接触面積が増大し、シールド構造とシールド層との間の電気的接続効果がさらに向上し、異なる接続端子群間の電磁分離効果が向上する。
【0012】
具体的な実現可能な解決策において、シールド構造の高さは、導電性構造の高さよりも大きい。このようにして、異なる接続端子群間の電磁的分離効果が向上する。
【0013】
具体的な実現可能な解決策では、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応する導電性構造との間の最小距離が第1の距離であり、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応するシールド構造との間の最小距離が第2の距離であり、第1の距離は、第2の距離よりも少ない。このようにして、ループ信号のリターンパスが向上する。
【0014】
具体的な実現可能な解決策において、各接続端子群は、絶縁層をさらに含み、絶縁層は、複数の接続端子群を包み、各接続端子の第1の接続端は、絶縁層の外側に露出され、絶縁層は、空洞化構造を備え、各接続端子群は、空洞化構造内に部分的に露出される。絶縁層を空洞化することにより、異なる接続端子群間および異なる接続端子間の分離効果を確保するときに絶縁層の使用が低減され、絶縁層の特性によって引き起こされる誘電損失がさらに低減される。
【0015】
具体的な実現可能な解決策では、各接続端子群における1つの接続端子が、第1の端子層に位置し、接続端子群における他の接続端子が、第2の端子層に位置し、第1の端子層および第2の端子層は、第1の方向に積み重ねられ、絶縁層は、第1の副絶縁層と、第2の副絶縁層とを含み、第1の副絶縁層は、第1の端子層を包み、第2の副絶縁層は、第2の端子層を包む。異なる副絶縁層が異なる接続端子層を包むことにより、製造および組立が容易である。
【0016】
具体的な実現可能な解決策において、第1の副絶縁層および第2の副絶縁層は、各々、空洞化構造を有する。このようにして、絶縁層の特性によって引き起こされる誘電損失が低減される。
【0017】
具体的な実現可能な解決策において、コネクタは、絶縁ハウジングをさらに含み、各接続端子は、ピア端でコネクタと嵌合するように構成される第2の接続端を有し、絶縁ハウジングは、第2の接続端を包む。
【0018】
具体的な実現可能な解決策において、導電性構造およびエンドプロテクタは、一体構造体であり、あるいは、導電性構造およびエンドプロテクタは、分割構造であり、導電性構造は、エンドプロテクタに電気的に接続される。このようにして、導電性構造は、異なる方法で配置される。
【0019】
第2の態様によれば、機能基板が提供される。機能基板は、回路基板と、回路基板に配置される前述の品目のいずれか1つに従ったコネクタとを含む。各接続端子の接続端は、回路基板の回路層に電気的に接続される。前述の技術的解決策では、エンドプロテクタ上に配置されたシールド構造により、リードフレームにおける異なる接続端子群間での電磁的分離が実現される。エンドプロテクタ上の導電性構造により、各接続端子群によって伝送される信号に対応するループ信号の伝送路が向上し、異なる接続端子群に対応するループ信号間のクロストークが低減し、コネクタの通信効果が向上する。
【0020】
第3の態様によれば、基板レベルアーキテクチャが提供される。基板レベルアーキテクチャは、バックプレーンと、プラグイン基板とを含む。バックプレーンおよびプラグイン基板の少なくとも一方は、前述の機能基板である。バックプレーンおよびプラグイン基板は、コネクタを通じて接続される。前述の技術的解決策では、エンドプロテクタ上に配置されたシールド構造により、電磁的分離が、リードフレームにおける異なる接続端子群間で実現される。エンドプロテクタ上の導電性構造により、各接続端子群によって伝送される信号に対応するループ信号の伝送路が向上し、異なる接続端子群に対応するループ信号間のクロストークが低減し、コネクタの通信効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術における基板レベルアーキテクチャの構造の概略図である。
【0022】
図2】本出願の一実施形態によるコネクタの適用シナリオの概略図である。
【0023】
図3】本発明の一実施形態に係るコネクタの構造の概略図である。
【0024】
図4】本発明の一実施形態によるリードフレームの構造の概略図である。
【0025】
図5】本出願の一実施形態によるリードフレームの概略分解図である。
【0026】
図6】本出願の一実施形態によるコンポーネントAの概略分解図である。
【0027】
図7】従来技術におけるコネクタと本出願の一実施形態において提供されるコネクタの信号挿入損失のシミュレーション効果の概略図である。
【0028】
図8】本出願の一実施形態によるエンドプロテクタの構造を示す概略図である。
【0029】
図9】本出願の一実施形態によるリードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する概略分解図である。
【0030】
図10】本出願の一実施形態によるリードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する概略図である。
【0031】
図11】従来技術におけるコネクタにおける信号伝送プロセスの概略図である。
【0032】
図12】本出願の実施形態によるコネクタにおける信号クロストークおよび従来技術におけるコネクタにおける信号クロストークのシミュレーション効果の概略図である。
【0033】
図13】本出願の一実施形態によるエンドプロテクタがリードフレームに嵌合する場合に対応する概略分解図である。
【0034】
図14】本出願の一実施形態によるエンドプロテクタがリードフレームに嵌合する場合に対応する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本出願の実施形態において提供されるコネクタを理解するのを容易にするために、以下は、先ず、コネクタに関連する幾つかの用語を説明する。
【0036】
シールド層:シールド層は、金属シート全体であり、接地信号(グランド信号)を必要とし、電磁シールド効果を有する。
【0037】
接続端子:接続端子は、信号を伝送したりあるいは信号のためのリターンパスを提供したりするために使用される、金属リードである。
【0038】
クロストーク:クロストークは、有害な信号が1つのネットワークから別のネットワークに転送されるときに有害な電気信号によって引き起こされる干渉の結合効果である。この用途におけるクロストークは、異なる接続端子群間のクロストークである。
【0039】
挿入損失:挿入損失は、端子の一端から端子の他端へ信号を伝送する間のエネルギの損失である。
【0040】
リードフレーム:リードフレームは、コネクタの信号端子、シールド導体、および絶縁体を含む、主要な構造である。
【0041】
以下は、先ず、本出願の実施形態で提供されるコネクタの応用シナリオを記載する。本出願の実施形態で提供されるコネクタは、バックプレーンおよびサービス基板のような機能基板(機能ボード)上で使用され、基板レベルアーキテクチャ(ボードレベルアーキテクチャ)における異なる機能基板用の接続デバイスとして使用される。図1を参照のこと。本出願の本実施形態で提供されるコネクタは、基板レベルアーキテクチャで使用される。バックプレーン1および副基板2(サブボード)は、コネクタを通じて接続される。図1に示すように、バックプレーン1は、第1のコネクタ4を備え、副基板2は、第2コネクタ3を備える。バックプレーン1および副基板2が接続されると、第1のコネクタ4および第2のコネクタ3は、互いに嵌合して、バックプレーン1と副基板2との間の接続を実施する。
【0042】
図2を参照のこと。副基板が一例として使用される。各副基板は、回路基板5と、回路基板5上に配置されたコネクタ6とを含む。コネクタ6の両端は、それぞれ、第1の接続ポート601および第2の接続ポート602を有する。第1の接続ポート601は、ピア端(peer end)でコネクタと適合するように構成される。第2の接続ポート602は、回路基板5に電気的に接続されるように構成される。信号伝送プロセスにおいて、信号が、接続端子を通じて回路基板の回路層に流入し、ループ信号が、回路基板の接地層(グランド層)を通じてコネクタのシールド層に流入し、よって、信号ループを形成する。
【0043】
図3は、コネクタの構造の概略図である。コネクタは、主に3つのコンポーネント(構成要素)を含み、3つのコンポーネントは、リードフレーム20、絶縁ハウジング10、およびエンドプロテクタ30(end protector)である
【0044】
リードフレーム20は、コネクタの主要構造である。本出願の本実施形態におけるコネクタは、複数のリードフレーム20を含む。複数のリードフレーム20は、第1の方向に積み重ねられ、コネクタの主要構造を構成する。第1の方向は、図3に矢印で示す方向である。
【0045】
図4は、リードフレーム20の構造の概略図である。リードフレーム20は、コンポーネントAと、2つのシールド層とを含む。第1のシールド層21、コンポーネントA、および第2のシールド層23は、第1の方向に積み重ねられている。第1のシールド層21および第2のシールド層23は、それぞれ、接続端子群22の両側に配置されている。コンポーネントAは、複数の接続端子群と、接続端子群を包む絶縁層とを含む。各接続端子群は、信号を伝送するように構成された2つの接続端子を含む。例えば、2つの接続端子は、差動信号または別のタイプの信号を伝送するように構成される。本出願の本実施形態において、差動信号は、説明のために一例として用いられる。
【0046】
各接続端子は、1の接続端および第2の接続端を有する。第1の接続端は、コネクタと回路基板の回路層との間の電気的接続を実現するために、回路基板に差し込まれるように構成される。第2の接続端は、2つのコネクタ間の電気的接続を実現するために、ピア端(peer end)でコネクタのスロットに嵌合するように構成される。
【0047】
2つのシールド層は、複数の接続端子群をシールドするように構成される。説明を容易にするために、2つのシールド層を、それぞれ、第1のシールド層21および第2のシールド層23と呼ぶ。第1のシールド層21および第2のシールド層23は、第1の方向において複数の接続端子群の両側に配置される。
【0048】
絶縁ハウジング10は、複数のリードフレーム20を締め付けるように構成され、ピア端でのコネクタの挿入および除去と協働する構造として用いられる。絶縁ハウジング10は、リードフレーム20と嵌合すると、リードフレーム20に締め付けられ、接続端子の第2の接続端を包む。第2の接続端は、ピア端でのコネクタのスロットとの嵌合のために、絶縁ハウジング10によって包まれ、露出されることが理解されるべきである。
【0049】
図5は、リードフレームの概略分解図である。リードフレームは、3つの構造、すなわち、接続端子群22、シールド層、および絶縁層24を有する。
【0050】
複数の接続端子群22がある。複数の接続端子群22は、第2の方向に単一の列に配置される。第2の方向は、第1の方向に対して垂直である。第2の方向は、コネクタがピア側でコネクタに挿入されるかあるいはコネクタから取り外される方向を指す。
【0051】
シールド層は、第1のシールド層21と、第2のシールド層23とを含む。第1のシールド層21および第2のシールド層23は、リードフレームの両側に配置される。複数の接続端子群22は、第1のシールド層21と第2のシールド層23との間に挟まれる。絶縁層24は、第1のシールド層21と第2のシールド層23との間に配置され、接続端子群22を包んで、隣接する接続端子群22を隔離し、各接続端子群22内の2つの接続端子も隔離する。絶縁層24および接続端子群22は、コンポーネントAを構成する。接続端子群22の接続端は、対応するデバイスへの接続を確保するように、絶縁層24の外側に露出されることが理解されるべきである。
【0052】
第1のシールド層21および第2のシールド層23は、導電性の高い金属材料、例えば、銅またはアルミニウムのような導電性の高い一般的な材料で作られる。加えて、第1のシールド層21および第2のシールド層23の形状は、リードフレームのために電磁的分離(electromagnetic isolation)を実現できるならば、本出願の本実施形態において特に限定されない。
【0053】
任意の解決策において、複数のリードフレームが並んで配置されるとき、隣接するリードフレームは、シールド層によって電磁的に絶縁される。この場合、各リードフレームは、1つのシールド層のみを含むことで、コネクタ全体で使用されるシールド層の量を削減し、コネクタのコストを削減する。
【0054】
前述の説明から、本出願の本実施形態において設けられるシールド層は、2つの接続端子においてより大きい表面積を持つ表面の両側に位置する第1のシールド層21および第2のシールド層23のみを含むことが分かる。金属シールド構造は、リードフレームにおいて2つの隣接する接続端子群間に配置されない。代わりに、空気が絶縁の誘電体として使用される。従って、より大きな表面積を持つ第1の接続端子221および第2の接続端子222を形成するために、第1の接続端子221および第2の接続端子222のサイズがさらに増大されることがある。
【0055】
図6は、コンポーネントAの概略分解図である。接続端子群に含まれる2つの接続端子を、それぞれ、第1の接続端子221および第2の接続端子222と呼ぶ。第1の接続端子221および第2の接続端子222は、第1の方向に積み重ねられる。第1の方向は、複数のリードフレームが積み重ねられる方向である。積層中、第1の接続端子221および第2の接続端子222におけるより大きな面積を持つ2つの表面が、互いに対向して配置される。複数の接続端子群における第1の接続端子221は、第1の端子層を形成するように、同じ層で配置される。複数の接続端子群における第2の接続端子222は、第2の端子層を形成するように、同じ層に配置される。
【0056】
絶縁層24が、第1の副絶縁層21と、第2の副絶縁層242とを含む。第1の副絶縁層241は、接続端子の1つの層を包み、第2の副絶縁層242は、接続端子の他の層を包む。例えば、第1の副絶縁層241は、第1の端子層を包み、第2の副絶縁層242は、第2の端子層を包む。第1の端子層および第2の端子層を分離する構造として使用されることに加えて、第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242は、各接続端子層における接続端子のための支持構造として使用されることがある。例えば、第1の副絶縁層241は、第1の端子層において複数の第1の接続端子221を包むことで、複数の第1の接続端子221を締め付ける。同様に、第2の副絶縁層242も、複数の第2の接続端子222を締め付ける。接続端子群は、第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242を整列させて締め付けることだけによって形成されることができる。このようにして、各接続端子群における第1の接続端子221および第2の接続端子222は、それらが第1の方向において積み重ねられるように、整列させられることができる。
【0057】
任意の解決策において、絶縁層24は、一体構造を用いることによって代替的に作られてよい。製造中、先ず、2つの接続端子層が締め付けられてよく、次に、絶縁層24の一体構造が、射出成形プロセスを用いて形成されてよい。
【0058】
任意の解決策では、絶縁層24に空洞化構造(hollow-out structure)を設けた後に第1の接続端子221および第2の接続端子222が安定することを確保するために、第1の副絶縁層241は、第1の接続端子221の部分であって、第1の接続端および第2の接続端に近い部分を覆い、第2の副絶縁層242は、第2の接続端子222の部分であって、第1の接続端および第2の接続端に近い部分を覆って、接続端子の安定性を確保する。
【0059】
本出願の実施形態における絶縁層およびシールド層の効果の理解を容易にするために、以下は、先ず、転送プロセスにおける信号のエネルギ損失(すなわち、信号の挿入損失)を説明する。信号の挿入損失は、主に2つの部分を含む。
【0060】
1.接続端子およびシールド層のような金属構造によって引き起こされる導体損失であり、導体損失は、導電性構造のものである導電性、粗さ、および接続端子幅に主に関係する。
【0061】
2.接続端子とシールド層との間に充填された絶縁層24によって引き起こされる誘電損失であり、誘電損失は、誘電損失角によって主に決定される。
【0062】
コネクタの挿入損失を低減するために、絶縁層24は、空洞化構造を備える。空洞化構造によれば、絶縁材料の使用量は低減されるので、接続端子とシールド層との間の誘電体として空気を用いて電気絶縁を実現する。加えて、空洞化構造が提供されるとき、配置された絶縁層24は、各接続端子である対応する部分であって、第1の接続端に近い対応する部分を覆い、第1の接続端は、絶縁層24の外側に露出されるので、空洞化構造を設けた後でも接続端子を位置決めして締め付けて、接続端子が回路基板に接続されるときの信頼性を確保することができる。
【0063】
図6を参照すると、絶縁層24での空洞化構造の提供のために、第1の副絶縁層241には、第1の空洞化構造2411が設けられるので、空隙が、第1の接続端子221と第1の副絶縁層241との間に形成される。複数の第1の空洞化構造2411が図4に図示されるが、第1の空洞化構造2411の具体的な提供位置、具体的なサイズ、および具体的な量は、本出願の本実施形態において限定されないことが理解されるべきである。しかしながら、製造中、第1の空洞化構造2411のサイズおよび位置は、実際の要件に基づいて決定されてよい。これは、ここでは特に限定されない。同様に、第2の副絶縁層242にも、第2の空洞化構造2421が設けられる。詳細は、ここでは再度説明されない。第1の副絶縁層241に第1の空洞化構造2411を設けられ、第2の副絶縁層242に第2の空洞化構造2421が設けられた後に、絶縁材料の使用量を大幅に削減することができるので、第1の接続端子221および第2の接続端子222は、2つの空洞化構造(第1の空洞化構造2411および第2の空洞化構造2421)内の空気によって電気的に絶縁されて、絶縁層24の特性によって引き起こされる誘電損失を低減することが、図6に示す構造から分かる。
【0064】
前述の説明から、本出願の本実施形態において提供されるコネクタには、接続端子とシールド層との間には空隙が大部分ある、すなわち、空気が接続端子とシールド層との間の誘電体として用いられることが分かる。空気は、既知の材料の中で最小の誘電定数および最小の誘電損失角を有する。従って、コネクタのインピーダンスが変化しないままであるとき、誘電率の小さい空気の使用は、接続端子の設計幅の増大を可能にすることができ、導体損失のさらなる低減を可能にすることができ、損失角の小さい空気の使用は、誘電損失の低減を可能にすることができる。よって、本出願の本実施形態において提供されるコネクタでは、2つの観点、すなわち、導体損失および誘電体損失から、信号の挿入損失を低減することができる。
【0065】
本出願の実施形態において提供されるリードフレームの理解を容易にするために、以下は、リードフレームを製造するプロセスを説明する。先ず、銅シートを切断して、接続端子を形成する。第1の接続端子221を1つの層にタイル張りして、第1の端子層を形成する。次に、射出成形プロセスを用いることによって、接続端子の周囲に絶縁体を付加して、第1の副絶縁層241を形成して、第1の接続端子221を締め付ける。加えて、射出成形中に第1の空洞化構造2411を形成する。第2の端子層および第2の副絶縁層242も同様に形成する。第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242を並置する。次に、並置した第1の副絶縁層241および第2の副絶縁層242の外側に第1のシールド層21および第2のシールド層22を追加して、完全なリードフレームを形成する。
【0066】
本出願の実施形態において設けられるコネクタによって達成される損失削減効果の理解を容易にするために、本出願の実施形態において提供されるコネクタおよび従来技術におけるコネクタに対するシミュレーションを行った。図7は、従来技術におけるコネクタおよび本出願の実施形態において提供されるコネクタに対してシミュレーションを行った後に得られた信号挿入損失を示している。破線は、従来技術におけるコネクタの挿入損失を示しており、実線は、本出願の実施形態において提供されるコネクタの挿入損失を示している。図7から、29GHzでの従来技術におけるコネクタの挿入損失は、約1.51dBであり、29GHzでの本出願の実施形態において提供されるコネクタの挿入損失は、約0.95dBであることが分かる。本出願の実施形態において提供されるコネクタは、挿入損失における0.56dBの削減、すなわち、約37%の改良を実現する。改良により、損失は、112G用途の要求を満たす。
【0067】
図8は、エンドプロテクタ(端プロテクタ)の構造の概略図である。エンドプロテクタ30は、複数のリードフレーム20を締め付けるように、複数のリードフレーム20のシールド層(第1のシールド層および第2のシールド層)に締め付けられる。加えて、エンドプロテクタ30は、回路基板のための接続構造および導電性構造としても作用する。エンドプロテクタ30がリードフレーム20と嵌合すると、リードフレーム20における(第1の接続端子221および第2の接続端子222を含む)接続端子の第1の接続端が、エンドプロテクタ30を通じて収入されて露出されるので、第1の接続端は、回路層にあるビア(vias)に挿入されることができ、回路層に電気的に接続されることができる。エンドプロテクタ30が回路基板と嵌合すると、エンドプロテクタ30は、回路層の接地層に電気的に接続されるので、エンドプロテクタ30およびシールド層は接地されて、接続端子についてのシールド効果が実現される。
【0068】
エンドプロテクタ30は、導電性材料、例えば、金属材料または非金属導電性材料から作られるフレーム構造である。例えば、エンドプロテクタ30は、銅またはアルミニウムのような導電性の高い材料から作られるフレーム構造であってよい。
【0069】
エンドプロテクタ30は、複数の窓31を備える。複数の窓31は、第2の方向に単一の列において配置され、第1の方向に複数の列において配置される。各列の複数の窓31は、各リードフレーム20における複数の接続端子群に対応する。エンドプロテクタ30がリードフレーム20と嵌合すると、対応するリードフレーム20における各接続端子群内の2つの接続端子の第1の接続端が、窓31に挿入される。窓31は、導電性構造32を備える。導電性構造32は、窓31と交差し、窓31の側壁に電気的に接続される。導電性構造32は、窓31を第1の副窓311と第2の副窓312とに分割する。第1の副窓311および第2の副窓312は、それぞれ、接続端子群における2つの接続端子の第1の接続端に対応する。
【0070】
エンドプロテクタ30は、シールド構造33をさらに備える。シールド構造33は、第2の方向に単一の列に配置される。1つのシールド構造33が、シールド構造33を用いて2つの隣接する窓31を電磁的に分離するために、第2の方向において各窓31の両側に配置される。加えて、シールド構造33は、同じリードフレーム20内の2つの隣接する接続端子群を電磁的に分離してよい。
【0071】
図9は、リードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する概略分解図である。図10は、リードフレームがエンドプロテクタに嵌合する場合に対応する概略図である。リードフレーム20がエンドプロテクタ30と嵌合する方法を図示するのを容易にするために、リードフレーム20の第1のシールド層21が、図9および図10における記述のための一例として使用される。第2のシールド層23がエンドプロテクタ30と嵌合する方法については、第1のシールド層21がエンドプロテクタ30と嵌合する方法を参照のこと。
【0072】
エンドプロテクタ30におけるシールド構造33は、リードフレームにおいて隣接する接続端子群22の間の電磁的分離を実現するために、隣接する接続端子群22を電磁的に分離するように構成される。シールド構造33が配置されると、シールド構造33および窓31は、隔離のために窓31の両側にシールド構造33があることを確保するように、交互に配置される。
【0073】
任意の解決策において、シールド構造33は、第1の突起331と、第2の突起332とを含み、第1の突起331および第2の突起332は、バー構造であり、長さ方向が、第1の方向である。第1の突起331と第2の突起332との間にはギャップ(間隙)が存在する。第1の突起331および第2の突起332は、配置されるときに、第2の方向に配置される。第1のシールド層21と嵌合するときに、第1の突起331および第2の突起332は、対応する第1のシールド層21に個別に電気的に接続されて、第1の突起331および第2の突起332を用いることによってシールド構造33と第1のシールド層21との間の接触面積を増加させ、さらに、シールド構造33と第1のシールド層21との間の電気的接続効果を向上させ、異なる接続端子群間の電磁的分離効果を向上させる。
【0074】
任意の解決策において、第1のシールド層21は、シールド構造33に電気的に接続されるように構成される突出構造211を備える。図7に示すように、突出構造211は、第1の突起331と第2の突起332との間のギャップ内に挿入され、第1の突起331および第2の突起332の両方に電気的に接続される。例えば、突出構造211は、三角形または長方形のような異なる形状にあることがある。突出構造211の2つの対向する側面は、それぞれ、第1の突起331および第2の突起332に接触して、突出構造211と2つの突出部との間の電気的接続を実現する。加えて、突出構造211は、リードフレーム20をエンドプロテクタ30に締め付けるように、第1の突起331および第2の突起332にスナップ嵌めされることがある。
【0075】
任意の解決策において、第1のシールド層21は、第1の突起331および第2の突起332にそれぞれ対応する、第1のノッチ212および第2のノッチ213を備え、締め付けのために、第1の突起331は、対応する第1のノッチ212に挿入され、第2の突起332は、対応する第2の切りノッチ213に挿入される。挿入された後に、第1の突起331および第2の突起332は、対応する第1のシールド層21に電気的に接続される。第1のノッチ212および第2のノッチ213がそれぞれ第1の突起331および第2の突起332とそれぞれ嵌合した状態で、第1のシールド層21とエンドプロテクタ30との間の接触面積をさらに増加させることができる。本出願の本実施形態において、エンドプロテクタ30および第1のシールド層21は、突出構造211を第1の突起331および第2の突起332上にスナップ嵌めする方法のみにおいて、第1の突起331および第2の突起332を第1のノッチ212および第2のノッチ213内にスナップ嵌めする方法のみにおいて、あるいは両方の締め付け方法において、互いに締め付けられてよいことが理解されるべきである。
【0076】
任意の解決策において、シールド構造33は、代替的に、突起を使用してよい、すなわち、1つの突起が、窓31の両側の各々に配置されてよい。突起は、電気的接続を実現するように、第1のシールド層21のノッチ212(切欠き)内にスナップ嵌めされる。
【0077】
導電性構造32は、バー構造であり、長さ方向が、第1の方向である。導電性構造32は、窓31を交差し、窓31を第1の副窓311と第2の副窓312とに分割する。第1の接続端子221の第1の接続端および第2の接続端子222の第の接続端が、それぞれ、窓31の第1の副窓311および第2の副窓312に挿入される。
【0078】
本出願の本実施形態における導電性構造32は、差動信号のための信号ループを提供するように構成される。理解を容易にするために、先ず、以下は、コネクタと回路基板との間の信号伝送プロセスを説明する。差動信号が、接続端子を通じて回路基板の回路層に流入し、ループ信号が、回路基板の接地層を通じてコネクタのシールド層に流入し、よって、信号ループを形成する。接地層からシールド層に伝送されると、ループ信号は、ループインダクタンスが最小のパス(経路)を選択する。
【0079】
図10に実線矢印および破線矢印で示すように、差動信号が、第1の接続端子221および第2の接続端子222を通じて回路基板に伝送され、ループ信号が、導電性構造32を通じて第1のシールド層21に伝送され、よって、信号ループを形成する。導電性構造32は、第1の接続端子221と第2の接続端子222との間に位置するのに対し、シールド構造33は、接続端子群22の側に位置する。シールド構造33と導電性構造32との間の比較から、導電性構造32によって形成される信号ループとシールド構造33によって形成される信号ループとの間で、導電性構造32によって形成される信号ループは、より小さなエリアを取り囲み、従って、より小さなループインダクタンスを有することが分かる。従って、第1のシールド層21に流入するために、ループ信号は、第1のシールド層32に流入するための導電性構造32を選択し、第1のシールド層32内にありかつ接続端子に近い部分に転送される。このようにして、各接続端子群に対応するループ信号が、接続端子群の近傍に拘束されて、異なる接続端子群に対応するループ信号間に生成されるクロストークを回避する。
【0080】
図11に示す従来技術におけるコネクタにおける信号伝送プロセスでは、(実線矢印で示す)差動信号が、接続端子群100を通じて回路基板に転送され、(破線矢印で示す)ループ信号が、シールド構造200を通じてシールド層に転送される。シールド構造200は、2つの接続端子群100の間に位置する。従って、クロストークが、2つの接続端子群100に対応するループ信号間で必然的に発生する。本出願の本実施形態では、導電性構造32によってループ信号を接続端子群の近傍に拘束して、2つの接続端子群に対応するループ信号間のクロストークを低減させる。
【0081】
本出願の本実施形態において提供されるエンドプロテクタによって達成される信号クロストーク低減効果の理解を容易にするために、本出願の本実施形態で提供されるコネクタおよび従来技術におけるコネクタに対してシミュレーションを行った。従来技術のコネクタでは、ループ信号が、シールド構造を通じて転送されるのに対し、本出願の実施形態で提供されるコネクタでは、ループ信号が、導電性構造を通じて転送される。比較結果を図12に示す。実線が、本出願の実施形態において提供されるコネクタのシミュレーション結果を示し、破線は、従来技術におけるコネクタのシミュレーション結果を示す。図12から、従来技術のコネクタにおける最大クロストークは、40GHzで20dBに達し、より高い周波数帯において、112G用途の要求を満たさないことが分かる。本出願の実施形態で提供されるコネクタは、20GHzおよびより高い周波数帯においてクロストーク性能を有意に向上させる。例えば、30GHz~40GHzの周波数帯では、少なくとも10dBの改良があり、40GHz~50GHzの周波数帯では、少なくとも20dBの改良がある。この改良により、クロストーク性能は、112G用途の要求を満たすことができる。
【0082】
図13は、エンドプロテクタがリードフレームと嵌合する場合に対応する概略分解図である。図14は、エンドプロテクタがリードフレームと嵌合する場合に対応する概略図である。図13および図14に示すように、エンドプロテクタの窓31の2つの対向する2つの側壁は、スロット34を備える。導電性構造32の両端は、それぞれ、スロット34に1対1で対応して挿入され、窓の2つの側壁に締め付けられる。
【0083】
任意の解決策では、シールド構造33の高さが、導電性構造32の高さよりも大きい。すなわち、導電性構造32は、導電性構造32と第1の接続端子221との間および導電性構造32と第2の接続端子222との間の電気的接続を回避するように、導電性構造32と第1の接続端子221との間および導電性構造32と第2の接続端子222との間の十分な分離距離を確保するために、低く配置される。
【0084】
任意の解決策において、導電性構造32の高さは、窓31の高さよりも大きいので、導電性構造32は、窓31の外側に露出され、第1のシールド層21内にスナップ嵌めされる。
【0085】
任意の解決策では、1つ以上の導電性構造32が存在することがある。複数の導電性構造32が使用されるとき、複数の導電性構造32は、第2の方向に配置されることがある。
【0086】
任意の解決策において、導電性構造32およびエンドプロテクタ30は、一体構造であってよく、あるいは分割構造であってよい。分割構造が使用されるとき、導電性構造32は、エンドプロテクタ30にある窓31内にスナップ嵌めされ、エンドプロテクタ30に電気的に接続される。
【0087】
任意の解決策では、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応する導電性構造32との間の最小距離が、第1の距離であり、各接続端子群における任意の接続端子と接続端子群に対応するシールド構造33との間の最小距離が、第2の距離であり、第1の距離は、第2の距離よりも少ない。
【0088】
本出願の一実施形態が、機能基板(functional board)をさらに提供する。機能基板は、バックプレーンおよびサービス基板のような異なる機能基板であってよい。機能基板は、回路基板と、回路基板に配置される前述の品目のうちのいずれか1つに従ったコネクタとを含む。各接続端子の接続端が、回路基板の回路層に電気的に接続される。前述の技術的解決手段では、シールド層を用いて、電磁的分離がリードフレーム間で実現され、エンドプロテクタ上に配置されるシールド構造を用いて、電磁的分離がリードフレームにおける異なる接続端子群間で実現され、エンドプロテクタ上にある導電性構造を用いて、電磁的分離が同じ接続端子群における異なる接続端子間で実現される。このようにして、コネクタにおけるクロストークが低減され、異なるリードフレーム間、異なる接続端子群間、および異なる接続端子間の信号クロストークが低減され、コネクタの通信効果が向上させられる。
【0089】
本出願の実施形態は、基板レベルアーキテクチャ(board-level architecture)をさらに提供する。基板レベルアーキテクチャは、バックプレーンと、プラグイン基板(プラグインボード)とを含む。バックプレーンおよびプラグイン基板のうちの少なくとも1つは、前寿の機能基板である。バックプレーンおよびプラグイン基板は、コネクタを通じて接続される。前述の技術的解決策では、シールド層を用いて、電磁的分離がリードフレーム間で実現され、エンドプロテクタ上に配置されるシールド構造を用いて、電磁的分離がリードフレームにおける異なる接続端子群間で実現され、エンドプロテクタ上にある導電性構造を用いて、電磁的分離が同じ接続端子群における異なる接続端子間で実現される。このようにして、コネクタにおけるクロストークが低減され、異なるリードフレーム間、異なる接続端子群間、および異なる接続端子間の信号クロストークが低減され、コネクタの通信効果が向上させられる。
【0090】
当業者は、本出願の範囲から逸脱することなく本出願に対して様々な修正および変形を行うことができることが、明らかである。このようにして、本出願は、本出願のこれらの修正および変形が本出願の特許請求の範囲およびそれらの均等技術によって定義される範囲内にある限り、本出願のこれらの修正および変形をカバーすることが意図されている。
【国際調査報告】