(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置、その製造方法、及びディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231219BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231219BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20231219BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20231219BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20231219BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20231219BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20231219BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20231219BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
G09F9/00 338
H10K59/12
H10K59/131
H10K71/60
H10K71/16
H10K59/124
H10K50/84
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537951
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021073926
(87)【国際公開番号】W WO2022160115
(87)【国際公開日】2022-08-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】加納 正隆
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
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3K107DD44Z
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5C094AA22
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5G435AA16
5G435AA17
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5G435KK05
(57)【要約】
本出願の実施形態は、製造プロセスをあまり複雑にすることなくポリシリコンTFT及び酸化物TFTの双方を実装するための半導体装置、及びその製造方法を提供する。当該半導体装置は、基板上に形成された第1及び第2のTFT構造を含む。第1のTFT構造は、第1のトランジスタと、該第1のトランジスタ上のキャパシタとを含み、第2のTFT構造は、ボトムメタル層と、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層と、該第2の絶縁層上の第2のトランジスタとを含む。キャパシタの下部電極が、ボトムメタル層と同じメタル材料を有し、キャパシタの誘電膜が、第2の絶縁層と同じ絶縁体材料を有し、キャパシタの上部電極が、第2のトランジスタの半導体活性層と同じ酸化物半導体材料を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された第1の薄膜トランジスタ(TFT)構造であり、
第1のトランジスタと、該第1のトランジスタ上のキャパシタと、
を含む第1のTFT構造と、
前記基板上に形成された第2のTFT構造であり、
ボトムメタル層と、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層と、該第2の絶縁層上の第2のトランジスタと、
を含む第2のTFT構造と、
を有し、
前記キャパシタの下部電極が、前記ボトムメタル層と同じメタル材料を有し、
前記キャパシタの誘電膜が、前記第2の絶縁層と同じ絶縁体材料を有し、
前記キャパシタの上部電極が、前記第2のトランジスタの半導体活性層と同じ酸化物半導体材料を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記キャパシタの前記上部電極と前記第2のトランジスタの前記半導体活性層とが有する前記酸化物半導体材料は、少なくとも部分的に導電体へと変質されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のトランジスタは、ポリシリコン活性層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を有し、前記第1のトランジスタの前記ゲート電極が、前記キャパシタの前記下部電極を兼ねる、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のTFT構造は更に、前記ボトムメタル層の下に第1の絶縁層を含み、
前記第1のトランジスタの前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜が互いにアライメントされた側壁を持ち、且つ前記第2のTFT構造の前記ボトムメタル層及び前記第1の絶縁層が互いにアライメントされた側壁を持つ、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記キャパシタの前記誘電膜及び前記第2のTFT構造の前記第2の絶縁層は各々、前記第1のトランジスタ及び前記ボトムメタル層を覆う連続した層の一部である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記キャパシタの前記誘電膜及び前記第2のTFT構造の前記第2の絶縁層は各々、
酸化シリコン層、又は
窒化シリコン層及び該窒化シリコン層を覆う酸化シリコン層、
を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2のトランジスタは更に、前記半導体活性層の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を有し、前記第2のトランジスタの前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体層を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体装置を製造する方法であって、前記半導体装置は、基板上に形成され、第1のトランジスタ、及び該第1のトランジスタ上のキャパシタ、を含む第1の薄膜トランジスタ(TFT)構造と、前記基板上に形成され、ボトムメタル層、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層、及び該第2の絶縁層上の第2のトランジスタ、を含む第2のTFT構造とを含み、当該方法は、
前記キャパシタの下部電極及び前記ボトムメタル層を形成するものである第1のメタル層を堆積させる工程と、
前記キャパシタの誘電膜及び前記第2の絶縁層を形成するものである第2の絶縁体層を堆積させる工程と、
前記キャパシタの上部電極及び前記第2のトランジスタの半導体活性層を形成するものである酸化物半導体層を堆積させる工程と、
を有する、方法。
【請求項9】
第1のフォトマスクを用いて、前記第1のメタル層を前記キャパシタの前記下部電極及び前記ボトムメタル層へとパターニングする工程と、
第2のフォトマスクを用いて、前記酸化物半導体層を前記キャパシタの前記上部電極及び前記第2のトランジスタの前記半導体活性層へとパターニングする工程と、
を更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、前記第1のメタル層を堆積させる工程の前に、
前記第1のトランジスタのポリシリコン活性層を形成する工程と、
前記ポリシリコン活性層を覆って第1の絶縁体層を堆積させる工程と、
を更に有し、
前記第1のフォトマスクを用いる工程は更に、前記第1の絶縁体層を、前記第1のトランジスタのゲート絶縁膜、及び前記ボトムメタル層の下の第1の絶縁層へとパターニングすることを含み、
前記キャパシタの前記下部電極が、前記第1のトランジスタのゲート電極を兼ねる、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、前記第2のフォトマスクを用いて前記酸化物半導体層をパターニングする工程の後に、
第3の絶縁体層を堆積させる工程と、
前記第3の絶縁体層上に第2のメタル層を堆積させる工程と、
第3のフォトマスクを用いて、前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層を、それぞれ、前記第2のトランジスタのゲート電極及びゲート絶縁膜へとパターニングする工程と、
を更に有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3のフォトマスクを用いて前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層をパターニングする工程は、プラズマを用いて前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層をエッチングすることを有し、前記プラズマが、前記キャパシタの前記上部電極及び前記第2のトランジスタの前記半導体活性層の露出部分の酸化物半導体材料を少なくとも部分的に導電体へと変質させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は、前記第3のフォトマスクを用いて前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層をパターニングする工程の後に、
プラズマCVD(PECVD)プロセスを用いて、前記第1のTFT構造及び前記第2のTFT構造を覆う層間誘電体層を堆積させる工程、
を更に有し、
前記層間誘電体層を堆積させる際に使用されるプラズマも、前記キャパシタの前記上部電極及び前記第2のトランジスタの前記半導体活性層の前記露出部分の前記酸化物半導体材料を導電体へと変質させるように作用する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、前記層間誘電体層を堆積させる工程の後に、
第4のフォトマスクを用いて、ドライエッチングにより、前記第1のトランジスタのソース/ドレイン領域へのコンタクトホール、並びに前記第2のトランジスタのソース/ドレイン領域へのコンタクトホールを、同時に形成する工程、
を更に有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記層間誘電体層は、前記キャパシタの前記誘電膜及び前記第2の絶縁層を形成するものである前記第2の絶縁体層と接しており、
前記第2の絶縁体層は、
酸化シリコン層、又は
窒化シリコン層及び該窒化シリコン層を覆う酸化シリコン層、
を有する、
請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
当該方法は、前記第3の絶縁体層を堆積させる工程の後、且つ前記第2のメタル層を堆積させる工程の前に、
更なる酸化物半導体層を堆積させる工程であり、当該工程における酸素分圧が、前記酸化物半導体層を堆積させる工程におけるそれよりも高い、工程、
を更に有する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
当該方法は、
熱処理を用いて、前記更なる酸化物半導体層に含有される過剰な酸素を、前記第2のトランジスタの前記ゲート絶縁膜と前記半導体活性層との界面に到達させて、該界面における欠陥の少なくとも一部を治癒させる工程、
を更に有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置を含むバックプレーンと、
発光構造を含むフロントプレーンと、
を有するディスプレイパネル。
【請求項19】
前記発光構造は、有機発光ダイオード(OLED)構造を有する、請求項18に記載のディスプレイパネル。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のディスプレイパネルを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して半導体技術の分野に関し、より具体的には、ディスプレイバックプレーンで使用される半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクスディスプレイは、一般に、ピクセルからの発光を制御する薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを組み入れている。そのようなアクティブマトリクスディスプレイは、以下に限られないが、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ(有機エレクトロルミネセンス(有機EL)ディスプレイとも称される)、及びマイクロ発光ダイオードディスプレイ(μLED)ディスプレイを含み得る。
【0003】
最近、ポリシリコンTFTと酸化物TFTとを組み合わせて使用するTFTバックプレーン技術が開発されている。ポリシリコンTFTは、例えば、高いキャリア移動度及び高度な安定性といった利点を持ち、一方、酸化物TFTは、例えば、極めて低いリーク電流といった他の利点を持ち、双方のタイプのTFTを組み合わせることで、それぞれの利点を活用することができる。一例として、ピクセルの駆動TFTにポリシリコンを使用するとともにスイッチング回路に酸化物を使用することで、全てのTFTにポリシリコンを使用するのと比較して消費電力の有意な低減につながり得る。
【0004】
しかしながら、そのような技術は、ポリシリコンTFTバックプレーンの中に酸化物TFTを埋め込むことを伴うものであり、それにより、その製造プロセスを複雑にする。ポリシリコンTFTの形成後に酸化物TFTを形成するとき、少なくとも、酸化物TFTの酸化物パターニング及びゲートパターニングのために2つの追加のフォトマスクを必要とする。加えて、ポリシリコン層と酸化物半導体層との間の大きい高低差に起因して、一般に、これらの層の各々へのコンタクトを別々の工程で行う必要があり、それが更なる追加フォトマスクにつながる。このような追加の製造工程は、製造コストの増大及び製造歩留まりの低下をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施形態の1つの目的は、プロセスをあまり複雑にすることなくポリシリコンTFT及び酸化物TFTの双方を実装するための半導体装置、及びその製造方法を提供することである。本出願の実施形態は更に、そのような半導体装置を含むディスプレイパネル及びディスプレイ装置を提供する。
【0006】
一態様によれば、半導体装置が提供され、当該半導体装置は、基板上に形成された第1及び第2の薄膜トランジスタ(TFT)構造を含む。第1のTFT構造は、第1のトランジスタと、該第1のトランジスタ上のキャパシタとを含み、第2のTFT構造は、ボトムメタル層と、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層と、該第2の絶縁層上の第2のトランジスタとを含む。キャパシタの下部電極が、ボトムメタル層と同じメタル材料を有し、キャパシタの誘電膜が、第2の絶縁層と同じ絶縁体材料を有し、キャパシタの上部電極が、第2のトランジスタの半導体活性層と同じ酸化物半導体材料を有する。
【0007】
他の一態様によれば、半導体装置を製造する方法が提供され、該半導体装置は、基板上に形成され、第1のトランジスタ、及び該第1のトランジスタ上のキャパシタ、を含む第1の薄膜トランジスタ(TFT)構造と、上記基板上に形成され、ボトムメタル層、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層、及び該第2の絶縁層上の第2のトランジスタ、を含む第2のTFT構造とを含む。当該方法は、キャパシタの下部電極及びボトムメタル層を形成するものである第1のメタル層を堆積させる工程と、キャパシタの誘電膜及び第2の絶縁層を形成するものである第2の絶縁体層を堆積させる工程と、キャパシタの上部電極及び第2のトランジスタの半導体活性層を形成するものである酸化物半導体層を堆積させる工程とを含む。第2の態様の取り得る一実装において、当該方法は更に、第1のフォトマスクを用いて、第1のメタル層をキャパシタの下部電極及びボトムメタル層へとパターニングする工程と、第2のフォトマスクを用いて、酸化物半導体層をキャパシタの上部電極及び第2のトランジスタの半導体活性層へとパターニングする工程とを含み得る。
【0008】
更なる他の一態様によれば、ディスプレイパネルが提供され、当該ディスプレイパネルは、第1の態様又はその取り得る実装に従った半導体装置を含むバックプレーンと、発光構造を含むフロントプレーンとを含む。
【0009】
より更なる一態様によれば第1の態様又はその取り得る実装に従ったディスプレイパネルを含むディスプレイ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本出願の第1の実施形態に従った半導体装置を含むディスプレイパネルの一部の概略断面図である。
【
図2】比較例に従った半導体装置を含むディスプレイパネルの一部を示す概略断面図である。
【
図4A】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4B】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4C】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4D】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4E】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4F】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4G】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4H】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図4I】
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【
図5】本出願の第2の実施形態に従った半導体装置を含むディスプレイパネルの一部の概略断面図である。
【
図6】
図5に示した半導体装置を製造する方法を説明するための概略断面図である。
【
図7】本出願の一実施形態に従ったディスプレイ装置の概略図である。
【0011】
これらの図を通して、同じ又は同様の要素は、同じ又は似通った参照符号で指し示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願の実施形態の目的、特徴、及び利点を当業者がいっそう十分に理解することを可能にするため、以下にて更に、添付図面を参照して、本出願の好適実施形態における技術的ソリューションを詳細に記述する。
【0013】
本出願において、用語“第1”、“第2”、及び“第3”などは、例えば層又は構造物などの同様の物を区別することを意図しており、必ずしも特定の順序又はシーケンスを指し示すわけではない。理解されるべきことには、これらの用語は、適切な状況において相互に交換可能である。用語“含む”、“有する”、“持つ”及び他の変形は、非排他的な包含に及ぶことを意味し、例えば、ステップ又は要素のリストを含むプロセス、方法、装置、又はシステムは、必ずしもそれらのステップ又は要素に限られるわけではなく、明示的に列記されていない他のステップ又は要素や、そのようなプロセス、方法、装置又はシステムに本来備わる他のステップ又は要素を含み得る。また、冠詞“a”及び“an”は、本出願で使用されるとき、1つ又は複数のアイテムを含むことを意図しており、“1つ以上の”と交換可能に使用されることがある。
【0014】
図1は、本出願の第1の実施形態に従った半導体装置を含むディスプレイパネル100の一部の概略断面図である。ディスプレイパネル100は、マトリクス状の複数のピクセルを含むアクティブマトリクス型のパネルであり、
図1には、単一のピクセル105に対応する部分が概略的に示されている。
【0015】
ディスプレイパネル100は、この例において、基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を形成した半導体装置又は半導体構造110を有するバックプレーンと、半導体構造110上に設けられた発光構造190を有するフロントプレーンとを含んでいる。
【0016】
図1は、発光構造190の一例として、OLED構造を示している。該OLED構造190は、例えば感光性ポリイミドなどの絶縁体からなるピクセル定義層(PDL)192によってピクセル化され得るとともに、アノード層194、OLED層196、及びカソード層198を含み得る。アノード層194は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電性酸化物と、銀(Ag)などの反射メタルとのスタックを有し得る。カソード層198は、例えば、薄いマグネシウム(Mg)層又はMgAg共蒸着膜などの透明なメタル層を有し得る。発光構造190は、OLED構造に限定されず、例えば液晶構造、μLED構造、又はこれらに類するものなど、他のタイプの発光構造であってもよい。なお、ここでは説明を容易にするために、ピクセル定義層192からカソード層198までを発光構造190又はフロントプレーンとして参照し、その下に位置する構造を半導体構造110又はバックプレーンとして参照している。しかしながら、本出願の実施形態はそれに限定されるものではない。例えば、アノード層194及びピクセル定義層192を半導体構造110の部分としてみなしてもよい。
【0017】
半導体構造110は、基板115と、基板115上のバッファ層120と、その上に形成された第1のTFT構造130及び第2のTFT構造150とを含み得る。半導体構造110はまた、TFT構造130、150を覆う層間誘電体(ILD)層170と、ILD層170上に形成されて発光構造190に平坦な表面を提供する平坦化層175とを含み得る。さらに、半導体構造110は、少なくともILD170層を貫いてTFT構造130、150の複数の異なる部分に接触する複数のコンタクト180と、ILD層170上に形成され且つコンタクト180に接続された複数のトレース185とを含み得る。理解され得ることには、
図1の断面図においては、それらコンタクト180及びトレース185のうちの一部のみが視認可能であるとし得る。
【0018】
基板115は、例えば、ガラス基板とし得る。他の一例として、基板115は、その上の樹脂(例えば、ポリイミド)の膜が設けられたガラス基板を有する積層基板であってもよい。そのような一例において、最終的にガラス基板が積層基板から除去されて、残存する樹脂膜が基板115を構成してもよい。バッファ層120は、酸化シリコン(SiOx)又は酸窒化シリコン(SiON)を有することができ、例えば、基板115からの不純物の拡散に対する障壁の提供及び/又はより平滑な表面の提供など、当業者に知られた種々の機能を果たし得る。
【0019】
第1のTFT構造130及び第2のTFT構造150は各々、バッファ層120上に形成された積層体を有し得る。図示した例において、第1のTFT構造130は、ポリシリコンの活性層を有する第1のトランジスタと、該トランジスタ上に一体化されたキャパシタとを含んでいる。第2のTFT構造150は、酸化物半導体の活性層を有する第2のトランジスタを含んでいる。
【0020】
より具体的には、第1のTFT構造130が含む第1のトランジスタは、ポリシリコン活性層132と、その上に順に積層されたゲート絶縁膜134及びゲート電極136を有し得る。ゲート絶縁膜134及びゲート電極136は、互いにアライメントされた側壁を持ち得る。ポリシリコン活性層132のうちゲート電極136(及びゲート絶縁膜134)によって覆われていない領域は、不純物注入されて第1のトランジスタのソース/ドレイン(S/D)領域として作用し、覆われた領域は、チャネル領域として作用し得る。
【0021】
第1のTFT構造が含むキャパシタは、第1のトランジスタのゲート電極136を下部電極として含み得る。キャパシタは更に、第1のトランジスタを覆う誘電膜138、及び誘電膜138上のパターニングされた上部電極140を含み得る。
【0022】
第2のTFT構造150は、バッファ層120上に順に積層された、第1の絶縁層152、ボトムメタル層(Bottom Metal Layer;BML)154、及び第2の絶縁層156と、これらの層152-156上に一体化された第2のトランジスタとを有し得る。第1の絶縁層152及びボトムメタル層154は、互いにアライメントされた側壁を持つことができ、これらの側壁は、第2の絶縁層156で取り囲まれ得る。第2のトランジスタは、第2の絶縁層156上にパターニングされた酸化物活性層158を含み得る。第2のトランジスタは更に、酸化物活性層158上に順に積層された、ゲート絶縁膜160及びゲート電極162を含むことができ、ゲート絶縁膜160及びゲート電極162は、互いにアライメントされた側壁を持ち得る。酸化物活性層158は、以下に限られないが、In-Ga-Zn-O、In-Sn-Ga-Zn-O、又はIn-Sn-Zn-Oを有し得る。酸化物活性層158のうちゲート電極162(及びゲート絶縁膜160)によって覆われていない部分は各々、少なくとも部分的に導電体へと変質されており、第2のトランジスタのソース/ドレイン(S/D)領域として作用し得る。酸化物活性層158のうち覆われた領域は、チャネル領域として作用し得る。
【0023】
一例において、第2のTFT構造150のボトムメタル層154は、
図1に示すように酸化物活性層158のソース領域に、コンタクト180のうちの1つを介して電気的に接続されて、第2のトランジスタのチャネル領域の電位、ひいては、第2のトランジスタの電気特性を安定化させ得る。それに代えて、ボトムメタル層154は、ゲート電極162に接続されて、同様の機能を果たしてもよい。ボトムメタル層154は更に、例えば基板115の裏面側からの光を遮るなど、その他の機能を果たしてもよい。
【0024】
本出願の実施形態によれば、第2のTFT構造150の第1の絶縁層152及びボトムメタル層154が、それぞれ、第1のTFT構造130のゲート絶縁膜134及びゲート電極/キャパシタ下部電極136と、互いに同じ材料から形成されることができる。さらに、第2のTFT構造150の第2の絶縁層156及び酸化物活性層158が、それぞれ、第1のTFT構造130のキャパシタ誘電膜138及びキャパシタ上部電極140と、互いに同じ材料から形成されることができる。
【0025】
第2のTFT構造150の第1の絶縁層152及び第1のTFT構造130のゲート絶縁膜134は、以下に限られないが、酸化シリコン(SiOx)で形成され得る。第2のTFT構造150のボトムメタル層154及び第1のTFT構造130のゲート電極/キャパシタ下部電極136は、以下に限られないが、モリブデン(Mo)で形成され得る。
【0026】
第2のTFT構造150の第2の絶縁層156及び第1のTFT構造130のキャパシタ誘電膜138は、例えば酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、又はこれらの組み合わせ(SiNx/SiOx)で形成され得る。しかしながら、この層は好ましくは、SiNx(これは、従来技術において、所望のキャパシタンスを達成するために一般に使用されてきた)ではなく、SiOx、又はSiNxとそれを覆うSiOxとのスタックで形成され得る。一般的に水素を含むものであるSiNxが使用されると、水素が、ILD層170中を拡散し、それにより酸化物トランジスタ(すなわち、第2のトランジスタ)の閾値電圧Vthに悪影響を及ぼし得るからである。SiOx層又は上述のSiNx/SiOx層のスタックの使用は、より安定した酸化物TFTを実現することの助けとなり得る。
【0027】
第2のTFT構造150の酸化物活性層158は、上述のように、例えばIn-Ga-Zn-O、In-Sn-Ga-Zn-O、又はIn-Sn-Zn-Oで形成され得る。本出願の実施形態によれば、第1のTFT構造130のキャパシタ上部電極140も同じ酸化物半導体から形成されることができる。加えて、酸化物活性層158のうちゲート電極162によって覆われていない部分(S/D領域)は各々、上述のように、少なくとも部分的に導電体へと変質されることができ、そして、キャパシタ上部電極140も、同じように、少なくとも部分的に導電体へと変質されることができる。
【0028】
このように、第1のTFT構造130及び第2のTFT構造150は、各々の積層体のうち4つの層について、互いに同じ材料から形成され、これは、
図4A-4Iを参照して更に詳細に後述するように、これらそれぞれの層を形成するための製造工程を共有し得ることを意味する。さらに、第1のTFT構造130のゲート電極136及びゲート絶縁膜134と、第2のTFT構造150のボトムメタル層154及び第1の絶縁層152とを、単一のフォトマスクを用いて同時にパターニングすることができる。同様に、キャパシタ上部電極140と、酸化物活性層158とを、別の単一のフォトマスクを用いて同時にパターニングすることができる。従って、本出願の実施形態に従った半導体装置ひいてはディスプレイパネルは、ポリシリコンTFT及び酸化物TFTの双方を有するものでありながら、フォトマスク及び製造工程を共有することで、プロセスをあまり複雑にすることなく製造されることができる。
【0029】
さらに、上述した製造工程の共有は、第1のTFT構造130のポリシリコン活性層132の上面と第2のTFT構造150の酸化物活性層158の上面との間の高低差を小さくし、それによりこれら2つの層132及び158上へのS/Dコンタクト180の同時形成を容易にすることができる。これは、コンタクト形成のためのドライエッチングによる、より上に位置する酸化物活性層158へのダメージを低減させ、それにより酸化物トランジスタのいっそう安定したデバイス特性をもたらし得る。これについて、
図1とともに
図2を参照して、更に詳細に説明する。
【0030】
図2は、比較例としての半導体装置又は半導体構造210を含むディスプレイパネル200の一部を示しており、これは、第1のTFT構造230内のキャパシタ上部電極240と第2のTFT構造250内のボトムメタル層254とを同一工程で形成しようとするものである。ディスプレイパネル200は、
図1に示したディスプレイパネル100におけるものと同様の層及び要素を有しており、そのような層及び要素の各々についての説明をここで繰り返すことはしないこととする。半導体構造210では、一般的に、第1のTFT構造230を覆うILD層が、下側サブILD層272及び上側サブILD層274で構成され、下側サブILD層272が酸化物活性層258の下方を延在するようにされる。しかしながら、そのような下側サブILD層は概して200nm程度の厚さを必要とし、ポリシリコン活性層232の上面と酸化物活性層258の上面との間の高低差を大きくすることになる。一方、
図1の半導体構造110では、酸化物活性層158の下に位置する層152-156はいずれも、下側サブILD層272よりも遥かに薄く形成されることができ、それにより、上述の効果を実現し得る。
【0031】
なお、
図2においてのように大きい高低差が存在する場合にも、ポリシリコン活性層232及び酸化物活性層258に対して別々にS/Dコンタクト285を形成すれば、酸化物活性層258へのダメージの問題を解消し得るであろう。しかしながら、それは,
追加フォトマスクをもう1つ必要とし、製造コストを更に増大させることになる。これまた理解され得ることには、
図2の比較例は、酸化物活性層258を(第1のTFT構造230内のいずれの層とも独立に)パターニングすることのためにも、
図1に対して追加のフォトマスクを必要とする。
【0032】
次に
図3を参照するに、
図1のディスプレイパネル100のピクセル105に対応し得るピクセル305の一例の概略回路図が示されている。
図3の例は、単純なピクセル回路として、スイッチングトランジスタT1及び駆動トランジスタT2という2つのトランジスタと1つのストレージキャパシタC
stとを用いてOLEDの発光を制御する2T1C回路を示している。
【0033】
スイッチングトランジスタT1は、スキャン(scan)ライン上で供給される走査信号に応答して、データ(data)ライン上で供給されるデータ信号を駆動トランジスタT2のゲート電極に渡すように構成され得る。駆動トランジスタT2は、データ信号に基づく電流をOLEDに供給するように構成され得る。ストレージキャパシタCstは、駆動トランジスタT2に与えられたデータ信号の電圧を次のリフレッシュまで保持するように構成され得る。
【0034】
図示した例において、
図3の駆動トランジスタT2、スイッチングトランジスタT1、及びストレージキャパシタC
stが、それぞれ、
図1に関して説明した第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及びキャパシタに対応し得る。これは、例えば、高いキャリア移動度及び高度な安定性といったポリシリコンTFTの利点を駆動トランジスタT2に活用しながら、極めて低いリーク電流といった酸化物TFTの利点をスイッチングトランジスタT1に活用することを可能にし得る。従って、これはまた、双方のトランジスタT1及びT2にポリシリコンTFTを使用する場合と比較して、半導体装置の消費電力を低減させ得る。
【0035】
しかしながら、理解され得ることには、
図1の半導体装置の構成及び
図3の回路図は、単なる例であり、半導体装置は、任意の好適な構成で任意の好適な数のTFTを含み得る。例えば、各ピクセル回路が、3つ以上のTFTを含むようにすることができ、例えば6T1C回路などのいっそう複雑な回路を構成してもよい。また、本出願の実施形態は、ポリシリコントランジスタ及び酸化物トランジスタが、それぞれ、駆動トランジスタ及びスイッチングトランジスタであることに限定されるものでもない。さらに、本出願の実施形態は、必ずしも、ピクセル回路がポリシリコントランジスタ及び酸化物トランジスタの双方を含むというケースに限定されるわけでもない。例えば、ピクセルのマトリクスに接続される周辺回路も含めたバックプレーン全体の中で、ポリシリコントランジスタ及び酸化物トランジスタが適宜に使用されてもよい。換言すれば、本出願の実施形態は、少なくとも1つのポリシリコンTFTと、少なくとも1つの酸化物TFTと、を含むバックプレーンに等しく適用可能である。半導体装置の具体的な構成は、例えば、可変周波数駆動(又は可変リフレッシュレート駆動)、高周波駆動若しくは低周波駆動、及び/又は低消費電力など、所望の用途及び/又は機能に応じて決定され得る。
【0036】
換言すれば、一実施形態において、半導体装置及び/又はディスプレイパネルは、所望の用途及び/又は機能に従ったポリシリコントランジスタと酸化物トランジスタとの組み合わせを有しながら、より少ない数のフォトマスク及びより低い複雑さのプロセスで製造されることができる。これは、より高い製造歩留まり、より高い製造スループット、より高い材料/エネルギー消費効率、ひいては、より低い製造コストをもたらし得る。
【0037】
次に
図4A-4Iを参照して、本出願の一実施形態に従った半導体装置を製造する方法を説明する。
図4A-4Iは、
図1に示した半導体装置(半導体構造としても参照)110及びディスプレイパネル100を製造する方法を説明するための一連の概略断面図である。
【0038】
図4Aを参照するに、第1のフォトマスクの使用により得られる構造が例示されている。先ず、基板115上にバッファ層120が堆積され得る。基板115は、例えば、ガラス基板、又はガラス基板とその上のポリイミド膜との積層基板とし得る。バッファ層120は、概して、プラズマCVD(PECVD)によって堆積されたSiOx及び/又はSiONを有し得る。
【0039】
次いで、ポリシリコン層が堆積され、第1のフォトマスクを用いてポリシリコン活性層132へとパターニングされ得る。ポリシリコン層の形成は、450℃以下での低温プロセスによって行われることができ、PECVDによるアモルファスシリコン層の堆積及びエキシマレーザを用いた結晶化を含み得る。ポリシリコン層は、例えば約50nmの厚さを持つことができ、従来からのフォトリソグラフィ及びドライエッチングプロセスによってパターニングされ得る。
【0040】
次いで
図4Bを参照するに、第2のフォトマスクを使用して、第1のTFT構造のゲート絶縁膜134及びゲート電極/キャパシタ下部電極136と、第2のTFT構造の第1の絶縁層152及びボトムメタル層154を形成し得る。具体的には、
図4Aの構造上を覆って第1の絶縁体層及び第1のメタル層が堆積され、これらの層がともに第2のフォトマスクを用いてパターニングされ得る。第1の絶縁体層が、第1のTFT構造のゲート絶縁膜134及び第2のTFT構造の第1の絶縁層152を形成し、第1のメタル層が、第1のTFT構造のゲート電極/キャパシタ下部電極136及び第2のTFT構造のボトムメタル層154を形成し得る。
【0041】
第1の絶縁体層は、概してPECVDによるSiOxを有し得る。第1のメタル層は、スパッタリングによって堆積させたMoを有し得る。第1のメタル層は、例えばアルミニウム(Al)合金又はタングステン(W)などの他のメタルを有してもよい。第1の絶縁体層及び第1のメタル層は各々、例えば約100nm又はそれより小さい厚さに堆積され得る。例えば従来からのフォトリソグラフィ及びドライエッチングプロセスによって、同じ第2のフォトマスクを用いて、第1のメタル層及び第1の絶縁体層が順にパターニングされ得る。そして、第1のTFT構造のポリシリコン活性層132のS/D領域へのドーピングが行われ得る。
【0042】
次いで
図4Cを参照するに、第3のフォトマスクの使用により得られる構造が例示されている。具体的には、
図4Bの構造を覆って第2の絶縁体層及び酸化物半導体層が堆積され、該酸化物半導体層が、第3のフォトマスクを用いて、第1のTFT構造130のキャパシタ上部電極140及び第2のTFT構造の酸化物活性層158へとパターニングされ得る。第2の絶縁体層は、パターニングされないとし得る。換言すれば、第2の絶縁体層は、第1のTFT構造のキャパシタ誘電膜138及び第2のTFT構造の第2の絶縁層156を含む連続した層を形成し得る。
【0043】
第2の絶縁体層は好ましくは、PECVDによるSiOxを有し得る。
図1に関連して上述したように、SiNxではなくSiOxを使用することにより、水素の拡散が酸化物トランジスタの閾値電圧Vthに悪影響を及ぼす問題を回避することができる。これは、より安定した酸化物TFTを実現する助けとなり得る。第2の絶縁体層は、オプションで、SiNx層とそれを覆うSiOx層とを有してもよい。
【0044】
酸化物半導体層は、例えば、In-Ga-Zn-O、In-Sn-Ga-Zn-O、又はIn-Sn-Zn-Oを有し、スパッタリングによって、例えば約50nmの厚さに堆積され得る。酸化物半導体層は、典型的にウェットエッチングプロセスによってパターニングされ得る。
【0045】
次いで
図4Dを参照するに、第4のフォトマスクを用いて、酸化物活性層158の上に第2のTFT構造150のゲート絶縁膜160及びゲート電極162が形成され得る。これは、限定されるものではないが、
図4Bに関連して説明したプロセスと同様にして実行され得る。具体的には、これは、
図4Cの構造を覆って第3の絶縁体層及び第2のメタル層を順に堆積させることを含み得る。第3の絶縁体層は、PECVDによるSiOxを有し得る。第2のメタル層は、スパッタリングによって堆積させたMoを有し得る。第2のメタル層は、例えばAl合金又はWなどの他のメタルを有してもよい。第3の絶縁体層及び第2のメタル層は各々、例えば約100nm又はそれより小さい厚さに堆積され得る。例えば従来からのフォトリソグラフィ及びドライエッチングプロセスによって、同じ第4のフォトマスクを用いて、第2のメタル層及び第3の絶縁体層が順にパターニングされ得る。
【0046】
留意されたいことには、このドライエッチング中に使用されるプラズマが、酸化物半導体の露出された部分を少なくとも部分的に導電体へと変質させることができる。従って、第1のTFT構造130のキャパシタ上部電極140と、第2のTFT構造150の酸化物活性層158のうちゲート電極162によって覆われていない部分(すなわち、S/D領域)が、自動的に導電体になり得る。
【0047】
次いで
図4Eを参照するに、第5のフォトマスクの使用により得られる構造が例示されている。具体的には、
図4Dの構造を覆ってILD層170が堆積され、次いで、第5のフォトマスクを用いて、ポリシリコン活性層132のS/D領域、酸化物活性層158のS/D領域、及びボトムメタル層154の部分を露出させるように複数のコンタクトホール402が形成され得る。なお、図示されていない断面において、例えば第1のTFT構造のゲート電極/キャパシタ下部電極136及びキャパシタ上部電極140、並びに第2のTFT構造のゲート電極162などの、バックプレーン上の他の電極へのコンタクトホールも同時に形成され得る。
【0048】
ILD層170は、概して、PECVDによるSiOx、SiNx、SiON、又はこれらの組み合わせを有し得る。ILD層170の厚さは、例えば、約500nmとし得る。ILD層170は、図示したものとは異なり、下地構造に部分的に従った非平坦な上面を持ち得る。留意されたいことには、この堆積中に使用されるプラズマ及び/又はILD層材料に含まれる水素も、酸化物半導体の露出された部分(すなわち、キャパシタ上部電極140、及び酸化物活性層158のS/D領域)を導電体へと変質させることに寄与し得る。
【0049】
コンタクトホール402は、従来からのフォトリソグラフィ及びドライエッチングプロセスによって、ILD層170を貫いて、又はILD層170と第2の絶縁体層138、156とを貫いて形成され得る。留意されたいことには、
図1及び2を参照して上述したように、第1のTFT構造のポリシリコン活性層132の上面と第2のTFT構造の酸化物活性層158の上面との間の比較的小さい高低差が、コンタクトホール402の同時形成を容易にすることができる。すなわち、この比較的小さい高低差は、コンタクト形成のためのドライエッチングによる、より上に位置する酸化物活性層158へのダメージを低減させ、それにより酸化物トランジスタのいっそう安定したデバイス特性をもたらし得る。
【0050】
次いで
図4Fを参照するに、コンタクトホール402内のコンタクト180及びILD層上のトレース185(第1及び第2のトランジスタのS/D電極を含む)が形成され得る。これは、コンタクトホール402内に及びILD層170上にコンタクト電極層を堆積させ、第6のフォトマスクを用いて、ILD層170の上面上に堆積されたコンタクト電極層をパターニングすることを含み得る。例えば、コンタクト電極層は、Ti/Al/Ti層を有することができ、シーケンシャルスパッタリング法によって堆積され、従来からのフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによってパターニングされ得る。
【0051】
次いで
図4Gを参照するに、第7のフォトマスクの使用により得られる構造が例示されている。具体的には、
図4Fの構造を覆って平坦化層175が堆積され、第7のフォトマスクを用いて、第1のトランジスタのS/D電極185の一方を露出させるビアホール404が形成され得る。平坦化層175は、例えば、感光性ポリイミド層をコーティングすることによって形成され、発光構造(例えば、
図1のOLED構造190)の形成のための平坦な表面を提供し得る。
【0052】
次いで
図4Hを参照するに、
図4Gの構造を覆ってピクセル電極層が堆積され、第8のフォトマスクを用いて、ピクセル電極194へとパターニングされ得る。この例において、ピクセル電極194は、OLEDのアノード層194とすることができる。一例において、ピクセル電極層は、ITO/Ag/ITO層を有することができ、シーケンシャルスパッタリング法によって堆積させ、従来からのフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによってパターニングされ得る。
【0053】
次いで
図4Iを参照するに、第9のフォトマスクを用いて、ピクセル電極194を露出させる開口406を持つピクセル定義層192が形成され得る。これは、例えば、
図4Hの構造を覆って感光性ポリイミド層をコーティングし、第9のフォトマスクを用いて、従来からのフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによって該感光性ポリイミド層をパターニングすることを含み得る。
【0054】
その後、この例ではOLED層196及びカソード層198を形成することによって、
図1に示した発光構造190、ひいては、ディスプレイパネル100が完成され得る。上述のように、発光構造190は、OLED構造に限定されず、例えば液晶構造、μLED構造、又はこれらに類するものなど、他のタイプの発光構造であってもよい。理解され得ることには、特定のディスプレイパネルに応じて、上述のプロセスは適宜に変更され得る。例えば、透過型液晶ディスプレイパネルの場合には、ピクセル電極は、上述のITO/Ag/ITO層に代えて、例えばITO層などの透明電極を有し得る。
【0055】
次に、
図5を参照して、本出願の第2の実施形態に従った半導体装置を説明する。
図5は、第2の実施形態に従った半導体装置を含むディスプレイパネル500の一部の概略断面図である。
図5を
図1と比較することでわかるように、ディスプレイパネル500は、
図1に示したディスプレイパネル100と同じ又は同様のコンポーネントを多く含んでいる。そのような同じ又は同様のコンポーネントには同じ又は似た参照符号を付し、ここで再び説明することはしない。
【0056】
ディスプレイパネル500においては、半導体構造510の第2のTFT構造550が、ゲート絶縁膜160とゲート電極162との間に配置された更なる酸化物半導体層564を含んでいる。第2のTFT構造550のゲート電極が酸化物半導体層564とゲート電極162とを有すると見なしてもよい。ここでは、この酸化物半導体層564を酸化物バリア層564とも称することとする。
【0057】
酸化物バリア層564は、例えば、In-Ga-Zn-O、In-Sn-Ga-Zn-O、又はIn-Sn-Zn-Oを有し得る。酸化物バリア層564に使用される酸化物半導体材料は、下方に位置する酸化物活性層158’(及び第1のTFT構造130のキャパシタ上部電極140)に使用されるものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。酸化物バリア層564は、酸化物活性層158’(上述のように、約50nmの厚さを持ち得る)よりも薄くすることができ、例えば10nmから20nmの厚さを持ち得る。
【0058】
好ましくは、堆積される酸化物バリア層564内に過剰な酸素が残るように、酸化物バリア層564の堆積プロセスにおける酸素分圧が、酸化物活性層158’及びキャパシタ上部電極140の堆積プロセスにおけるそれよりも高くされ得る。この過剰な酸素は、その下に位置するゲート絶縁膜160(第3の絶縁体層)を通って拡散して、ゲート絶縁膜160と酸化物活性層158’との界面に到達することができる。この界面は、第3の絶縁体層の堆積時にダメージを受け、例えば酸素欠損などの欠陥を持ち得るものである。この界面に到達した酸素は、そのような欠陥の少なくとも一部を治癒し得る。
【0059】
斯くして、この実施形態は、酸素リッチな酸化物バリア層564を挿入することによって、酸化物活性層158’のチャネル領域がより少ない欠陥を持つことを可能にし、酸化物トランジスタのデバイス特性をよりいっそう安定にし得る。
【0060】
理解され得ることには、第2の実施形態に従った半導体装置及びディスプレイパネル500は、上述した第1の実施形態に従った半導体装置及びディスプレイパネル100のものと同じ利点を有し得る。従って、この半導体装置及びディスプレイパネル500は、所望の用途及び/又は機能に従ったポリシリコントランジスタと酸化物トランジスタとの組み合わせを有しながら、より少ない数のフォトマスク及びより低い複雑さのプロセスで製造されることができる。これは、より高い製造歩留まり、より高い製造スループット、より高い材料/エネルギー消費効率、ひいては、より低い製造コストをもたらし得る。
【0061】
次いで
図6を参照して、本出願の第2の実施形態に従った半導体装置を製造する方法を説明する。この方法は、
図4A-4Iを参照して詳細に説明した第1の実施形態に従った半導体装置を製造する方法と、
図4Dで説明した工程を除いて同じとし得る。故に、
図6は、
図4Dに示した工程に代わる工程を示している。それ以外の工程について、ここで再び説明することはしない。
【0062】
図6に示すように、
図4Cに示した構造の酸化物活性層158上に、第2のTFT構造のゲート絶縁膜160及びゲート電極162が、酸化物バリア層564を介在させて形成され得る。この構造は、例えば、以下のようにして形成され得る。
【0063】
先ず、
図4Cに示した構造を覆って、第3の絶縁体層(ゲート絶縁膜160を形成する)、第2の酸化物半導体層(酸化物バリア層564を形成する)、及び第2のメタル層(ゲート電極162を形成する)が順に堆積され得る。第3の絶縁体層は、概してPECVDによるSiOxを有し得る。第2のメタル層は、例えば、スパッタリングによってMoを堆積させることによって形成され得る。第2のメタル層は、例えばAl合金又はWなどの他のメタルを有してもよい。第3の絶縁体層及び第2のメタル層は各々、例えば約100nm又はそれより小さい厚さに堆積され得る。第2の酸化物半導体層は、下方に位置する酸化物活性層158’に使用されるものと同じ材料を有してもよいし、異なる材料を有してもよい。この酸化物半導体層は、酸化物活性層158’(約50nmの厚さを持ち得る)よりも薄くすることができ、例えば10nmから20nmの厚さを持ち得る。
【0064】
次に、これらの3つの層がパターニングされ得る。第2の酸化物半導体層は、第2のメタル層と同時にパターニングされることができる。従って、第2のメタル層、第2の酸化物半導体層、及び第3の絶縁体層は、従来からのフォトリソグラフィ及びドライエッチングプロセスによって、
図4Dにおけるフォトマスクと同じとし得る第4のフォトマスクを用いてパターニングされ得る。また、このドライエッチング中に使用されるプラズマが、第1のTFT構造130のキャパシタ上部電極140と、第2のTFT構造550の酸化物活性層158’のS/D領域とを、少なくとも部分的に導電体へと変質させ得る。
【0065】
好ましくは、上述のように、堆積される第2の酸化物半導体層内に過剰な酸素が残るように、その堆積プロセスにおける酸素分圧が、酸化物活性層の堆積プロセスにおけるそれよりも高くされ得る。加えて、この方法は、第2の酸化物半導体層の堆積後のいずれかの時点(例えば、第2のメタル層及び第2の酸化物半導体層のエッチング後、又は第3の絶縁体層のエッチング後など)で熱処理を加えることを含み得る。この熱処理は、この酸素リッチな酸化物半導体層内の過剰な酸素が、その下に位置する第3の絶縁体層を通って拡散して、第3の絶縁体層と酸化物活性層158’との界面に到達することを可能にし、それにより第3の絶縁体層の堆積時のダメージによる該界面における欠陥を少なくとも部分的に治癒し得る。斯くして、酸化物バリア層564を設けることは、酸化物活性層158’のチャネル領域がより少ない欠陥を持つことを可能にし、酸化物TFTのデバイス特性をよりいっそう安定にし得る。
【0066】
図6に示した工程の後、
図4E-4Iに関して説明した工程が実行されて、
図5に示したディスプレイパネル500が完成され得る。
【0067】
次に、
図7を参照するに、本出願の一実施形態に従ったディスプレイ装置700の概略図が示されている。一部の実施形態において、ディスプレイ装置700は、例えばスマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、又はこれらに類するものなどの、バッテリ駆動式のモバイル装置とし得る。他の実施形態において、ディスプレイ装置700は、例えばテレビジョン若しくはモニタなどの概して幹線電力に接続される装置、又は例えば車載ディスプレイなどの概して外付けのバッテリに接続される装置であってもよい。さらに、ディスプレイ装置700は、電源のタイプによらずに例えばデジタルサイネージ装置などの任意のその他の装置であってもよい。
【0068】
図7に示す例において、ディスプレイ装置700は、プロセッサ710、メモリ720、バッテリ730、及びディスプレイパネル740を含んでいる。プロセッサ710、メモリ720、及びバッテリ730は、
図7に破線によって指し示すように、ディスプレイ装置700の筐体の内部に収容され得る。ディスプレイパネル740は、
図7に実線によって指し示すように、ディスプレイパネル740の前面がディスプレイ装置700のユーザから視認可能であるようにして、筐体と組み立てられ得る。プロセッサ710、メモリ720、オプションのバッテリ730、及びディスプレイパネル740は、相互に電気的に接続され得る。
【0069】
図示しないが、ディスプレイ装置700は、オプションで、無線周波数(Radio Frequency、RF)回路、スピーカ、マイクロフォン、入力装置、センサ、カメラ、アンテナ、近距離無線通信モジュール、及び/又はこれらに類するものを含み得る。
【0070】
プロセッサ710は、メモリ720に格納されたソフトウェアプログラム及びデータを呼び出し、ソフトウェアプログラムを実行して、ディスプレイ装置700の様々な機能及び/又はデータ処理を実行するように構成され得る。プロセッサ710は、任意の好適な専用又は汎用のプロセッシングデバイス又はユニットを含み得る。また、プロセッサ710は、任意の好適数のプロセッサを含み得る。例えば、プロセッサ710は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、アプリケーションプロセッサ、中央演算処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びこれらに類するもの、のうちの1つ以上を含み得る。
【0071】
メモリ720は、ソフトウェアプログラム及びデータを格納するように構成され、プロセッサ710によってアクセスされ得る任意の好適な媒体を含み得る。また、メモリ720は、任意の好適数のメモリを含み得る。メモリ720は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含むことができ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、及び/又はフラッシュメモリを含み得る。なお、用語“メモリ”は、ここで使用されるとき、大量のデータを保管することができる大容量ストレージを指してもよい。従って、メモリ720はまた、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスクドライブ、又はこれらに類するものを含んでもよい。
【0072】
バッテリ730は、例えばプロセッサ710、メモリ720、及びディスプレイパネル740などの、ディスプレイ装置700のコンポーネントの各々に電力を供給するように構成され得る。プロセッサ710が、メモリ720に格納された電力マネジメントプログラム又はモジュールを走らせて、各コンポーネントの消費電力、並びにバッテリ830の充電及び放電を制御し得る。ディスプレイ装置700は、バッテリ730に加えて、あるいは代えて、幹線電力などの外部電源に接続されるものである電源コネクタ又はアダプタなどを有していてもよい。
【0073】
ディスプレイパネル740は、ユーザによって入力された情報及びユーザに提供される情報を含め、様々な情報及びコンテンツを表示するように構成され得る。ディスプレイパネル740は、ハウジングから露出される表面の少なくとも一部上に、例えばタッチスクリーンなどのユーザ入力装置を備えていてもよい。
【0074】
ディスプレイパネル740は、例えば、
図1に示したディスプレイパネル100又は
図5に示したディスプレイパネル500のいずれかとし得る。従って、ディスプレイパネル740は、ポリシリコンTFTと酸化物TFTとを組み合わせて含む半導体装置を有したバックプレーンを含み得る。ポリシリコンTFTと酸化物TFTとの組み合わせは、例えば、ディスプレイパネル740の可変周波数(又は可変リフレッシュレート)駆動、高周波駆動若しくは低周波駆動、及び/又は低消費電力駆動など、所望の機能を達成することを可能にし得る。低消費電力特性はまた、ディスプレイ装置700のバッテリ730の見掛け上の容量を増大させために使用されてもよい。
【0075】
本出願の一部の好適実施形態を説明してきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態への変形及び変更を行い得る。従って、以下の請求項は、本開示の範囲に入る全ての変形及び変更に及ぶように解釈されるものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された第1の薄膜トランジスタ(TFT)構造であり、
第1のトランジスタと、該第1のトランジスタ上のキャパシタと、
を含む第1のTFT構造と、
前記基板上に形成された第2のTFT構造であり、
ボトムメタル層と、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層と、該第2の絶縁層上の第2のトランジスタと、
を含む第2のTFT構造と、
を有し、
前記キャパシタの下部電極が、前記ボトムメタル層と同じメタル材料を有し、
前記キャパシタの誘電膜が、前記第2の絶縁層と同じ絶縁体材料を有し、
前記キャパシタの上部電極が、前記第2のトランジスタの半導体活性層と同じ酸化物半導体材料を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記キャパシタの前記上部電極と前記第2のトランジスタの前記半導体活性層とが有する前記酸化物半導体材料は、少なくとも部分的に導電体へと変質されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のトランジスタは、ポリシリコン活性層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極を有し、前記第1のトランジスタの前記ゲート電極が、前記キャパシタの前記下部電極を兼ねる、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のTFT構造は更に、前記ボトムメタル層の下に第1の絶縁層を含み、
前記第1のトランジスタの前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜が互いにアライメントされた側壁を持ち、且つ前記第2のTFT構造の前記ボトムメタル層及び前記第1の絶縁層が互いにアライメントされた側壁を持つ、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記キャパシタの前記誘電膜及び前記第2のTFT構造の前記第2の絶縁層は各々、前記第1のトランジスタ及び前記ボトムメタル層を覆う連続した層の一部である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記キャパシタの前記誘電膜及び前記第2のTFT構造の前記第2の絶縁層は各々、
酸化シリコン層、又は
窒化シリコン層及び該窒化シリコン層を覆う酸化シリコン層、
を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2のトランジスタは更に、前記半導体活性層の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を有し、前記第2のトランジスタの前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体層を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体装置を製造する方法であって、前記半導体装置は、基板上に形成され、第1のトランジスタ、及び該第1のトランジスタ上のキャパシタ、を含む第1の薄膜トランジスタ(TFT)構造と、前記基板上に形成され、ボトムメタル層、該ボトムメタル層上の第2の絶縁層、及び該第2の絶縁層上の第2のトランジスタ、を含む第2のTFT構造とを含み、当該方法は、
前記キャパシタの下部電極及び前記ボトムメタル層を形成するものである第1のメタル層を堆積させる工程と、
前記キャパシタの誘電膜及び前記第2の絶縁層を形成するものである第2の絶縁体層を堆積させる工程と、
前記キャパシタの上部電極及び前記第2のトランジスタの半導体活性層を形成するものである酸化物半導体層を堆積させる工程と、
を有する、方法。
【請求項9】
第1のフォトマスクを用いて、前記第1のメタル層を前記キャパシタの前記下部電極及び前記ボトムメタル層へとパターニングする工程と、
第2のフォトマスクを用いて、前記酸化物半導体層を前記キャパシタの前記上部電極及び前記第2のトランジスタの前記半導体活性層へとパターニングする工程と、
を更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、前記第1のメタル層を堆積させる工程の前に、
前記第1のトランジスタのポリシリコン活性層を形成する工程と、
前記ポリシリコン活性層を覆って第1の絶縁体層を堆積させる工程と、
を更に有し、
前記第1のフォトマスクを用いる工程は更に、前記第1の絶縁体層を、前記第1のトランジスタのゲート絶縁膜、及び前記ボトムメタル層の下の第1の絶縁層へとパターニングすることを含み、
前記キャパシタの前記下部電極が、前記第1のトランジスタのゲート電極を兼ねる、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、前記第2のフォトマスクを用いて前記酸化物半導体層をパターニングする工程の後に、
第3の絶縁体層を堆積させる工程と、
前記第3の絶縁体層上に第2のメタル層を堆積させる工程と、
第3のフォトマスクを用いて、前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層を、それぞれ、前記第2のトランジスタのゲート電極及びゲート絶縁膜へとパターニングする工程と、
を更に有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3のフォトマスクを用いて前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層をパターニングする工程は、プラズマを用いて前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層をエッチングすることを有し、前記プラズマが、前記キャパシタの前記上部電極及び前記第2のトランジスタの前記半導体活性層の露出部分の酸化物半導体材料を少なくとも部分的に導電体へと変質させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は、前記第3のフォトマスクを用いて前記第2のメタル層及び前記第3の絶縁体層をパターニングする工程の後に、
プラズマCVD(PECVD)プロセスを用いて、前記第1のTFT構造及び前記第2のTFT構造を覆う層間誘電体層を堆積させる工程、
を更に有し、
前記層間誘電体層を堆積させる際に使用されるプラズマも、前記キャパシタの前記上部電極及び前記第2のトランジスタの前記半導体活性層の前記露出部分の前記酸化物半導体材料を導電体へと変質させるように作用する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、前記層間誘電体層を堆積させる工程の後に、
第4のフォトマスクを用いて、ドライエッチングにより、前記第1のトランジスタのソース/ドレイン領域へのコンタクトホール、並びに前記第2のトランジスタのソース/ドレイン領域へのコンタクトホールを、同時に形成する工程、
を更に有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ディスプレイパネルを含むディスプレイ装置であって、前記ディスプレイパネルは、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置を含むバックプレーンと、
発光構造を含むフロントプレーンと、
を有する
、ディスプレイ
装置。
【国際調査報告】