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特表2023-554156X線源、及びX線源のための動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】X線源、及びX線源のための動作方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/14 20060101AFI20231219BHJP
   H01J 35/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01J35/14
H01J35/08 C
H01J35/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537958
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2021077955
(87)【国際公開番号】W WO2022135762
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020134488.0
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523127187
【氏名又は名称】ヘルムート フィッシャー ゲーエムベーハー インスティトゥート フューア エレクトロニック ウント メステクニック
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】レイブフリッツ,マーティン
(57)【要約】
本発明は、電子を提供するための電子源と、電子を受けることができる標的要素とを含む、X線源に関し、X線源は、少なくとも一時的に、電子、例えば電子ビームを偏向させるための少なくとも1つの偏向デバイス(140)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子(e)を提供するための電子源(110)と、前記電子(e)が衝突することが可能である標的要素(120)とを有するX線源(100;100a;100b;100c)であって、前記X線源(100;100a;100b;100c)は、前記電子(e)の少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイス(140)を有する、X線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項2】
前記標的要素(120)は、第1の標的材料(TM-1)を伴う第1の領域(122a)と、前記第1の標的材料(TM-1)と異なる第2の標的材料(TM-2)を伴う第2の領域(122b)とを有する、請求項1に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項3】
前記標的材料(TM-1,TM-2)は、以下の要素、すなわち、a)タングステン、b)モリブデン、c)ロジウム、d)クロムのうちの少なくとも1つを有する、請求項1~2の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項4】
アノード本体(130)を有し、前記アノード本体(130)は例えば銅を含み、または銅から作られている、請求項1~3の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項5】
前記標的要素(120)は前記アノード本体(130)に配置され、例えば前記アノード本体(130)の少なくとも1つの表面(130a)に配置される、請求項4に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項6】
前記対応する第1の標的材料(TM-1)及び/または第2の標的材料(TM-2)は、層(124a,124b)の形態で、前記第1の領域(122a)及び/または前記第2の領域(122b)に配置される、請求項1~5の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項7】
前記第1の標的材料(TM-1)から作られた層(124a)及び/または前記第2の標的材料(TM-2)から作られた層(124b)は、前記アノード本体(130)に配置され、例えば前記アノード本体の前記少なくとも1つの表面(130a)に配置される、請求項5を再度参照する、請求項6に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項8】
前記第1の領域(122a)及び/または前記第2の領域(122b)は、例えば、少なくとも大体、以下の形状、すなわち、a)半円形、b)円形、c)円環形、d)扇形のうちの少なくとも1つである、請求項2~7の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項9】
前記第1の領域(122a)及び前記第2の領域(122b)は、それぞれ、例えば、少なくとも大体、半円形である、請求項2~8の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項10】
前記第1の領域(122a)は円形または円環形であり、前記第2の領域(122b)は円形または円環形であり、例えば、前記第2の領域(122b)は前記第1の領域(122a)に対して同軸に配置される、請求項2~9の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項11】
第3の標的材料(TM-3)を伴う少なくとも1つのさらなる領域(122c)が提供され、前記第3の標的材料(TM-3)は前記第1の標的材料(TM-1)及び/または第2の標的材料(TM-2)と異なる、請求項2~10の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項12】
前記電子源(110)は、例えば、随意に、例えば電子ビームの形態で前記電子(e)が、前記標的要素(120)の前記第1の領域(122a)及び/または前記第2の領域(122b)に衝突するように構成される、請求項2~11の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項13】
前記電子源(110)は、時間的に連続して、例えば前記電子ビームの形態で前記電子(e)が、前記標的要素(120)の異なる領域(122a,122b,122c)に衝突するように構成される、請求項1~12の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)が少なくとも断続的に前記電子(e)を偏向するように構成されることにより、前記電子(e)は、例えば、前記第1の領域(122a)または前記第2の領域(122a)の前記標的要素(120)だけに入射する、請求項2~13の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)は偏向台(141)または複数の偏向台(141,142)を有する、請求項1~14の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)は、漂遊磁界、例えば外部の漂遊磁界(SF)を補償するように構成される、請求項1~15の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項17】
少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)は、例えば互いに直角に配置され異なって構成される少なくとも2つの偏向台(141’,142’)を有する、請求項1~16の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項18】
前記偏向デバイス(140)は、例えば前記様々な領域(122a,122b,122c)で前記標的要素(120)の平均局所的熱負荷を減らすために、例えば1次元及び/または2次元(x,y)で前記標的要素(120)の異なる領域(122a,122b,122c)に前記電子(e)を連続的に偏向させ、例えば前記標的要素(120)の前記異なる領域(122a,122b,122c)の全体にわたって前記電子ビーム(es)を照射するように構成される、請求項1~17の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項19】
少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)が少なくとも断続的に前記電子(e)を偏向するように構成されることにより、前記電子(e)は、例えば前記標的要素(120)に入射しなくなり、例えば前記標的要素(120)の外側で放射状に通過する、請求項1~18の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項20】
少なくとも断続的に、前記偏向デバイス(140)の2つの電極(141a,141b)の間に印加された電圧を特徴付ける第1の変数(G1)を設定するように構成される、請求項1~19の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)。
【請求項21】
請求項1~20の少なくとも1項に記載の少なくとも1つのX線源(100;100a;100b;100c)を用いる、例えばX線蛍光分析用の、X線管(10)。
【請求項22】
電子(e)を提供するための電子源(110)と、前記電子(e)が衝突することが可能である標的要素(120)とを有するX線源(100;100a;100b;100c)を動作させるための方法であって、前記X線源(100;100a;100b;100c)は、前記電子(e)の少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイス(140)を有し、前記方法は前記偏向デバイス(140)の少なくとも断続的な使用(200)を含む、方法。
【請求項23】
前記標的要素(120)は、第1の標的材料(TM-1)を伴う第1の領域(122a)と、前記第1の標的材料(TM-1)と異なる第2の標的材料(TM-2)を伴う第2の領域(122b)とを有し、前記使用(200)は、例えば、随意に、例えば電子ビーム(es)の形態で前記電子(e)が、前記標的要素(120)の前記第1の領域(122a)及び/または前記第2の領域(122b)に衝突すること(200’)を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記衝突すること(200’)は、時間的に連続して、例えば前記電子ビーム(es)の形態で前記電子(e)が、前記標的要素(120)の異なる領域(122a,122b,122c)に衝突すること(200a)を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は以下の要素、すなわち、a)例えば前記電子(e)が主に例えば前記第1の領域(122a)だけに入射するように、前記標的要素(120)の前記第1の領域(122a)に対して少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)を用いる、前記電子(e)の少なくとも断続的な偏向(210a)、b)例えば前記電子(e)が主に例えば前記第2の領域(122b)だけに入射するように、前記標的要素(120)の前記第2の領域(122b)に対して少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)を用いる、前記電子(e)の少なくとも断続的な偏向(210b)、c)例えば前記電子(e)が主に例えば前記少なくとも1つのさらなる領域(122c)だけに入射するように、前記第1の領域(122a)及び前記第2の領域(122b)と異なる前記標的要素(120)の少なくとも1つのさらなる領域(122c)に対して少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)を用いる、前記電子(e)の少なくとも断続的な偏向(210c)、d)前記電子(e)、例えばかなり多くの前記電子(e)が前記標的要素(120)に入射しなく、例えば前記標的要素(120)の外側で放射状に通過するように、少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)を用いる、前記電子(e)の少なくとも断続的な偏向(210d)、e)例えば1次元または2次元(x,y)で、前記標的要素(120)の異なる領域(122a,122b,122c)に対する連続的な前記電子(e)の偏向(212)、のうちの少なくとも1つを含む、請求項22~24の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項26】
随意に、例えば磁界の強度及び/または方向を有する例えば外部の漂遊磁界(SF)と関連付けられた情報(SFI)を設定すること(220)と、少なくとも1つの前記偏向デバイス(140)を用いて、前記漂遊磁界(SF)を少なくとも断続的及び/または局部的に補償すること(222)と、をさらに含む、請求項22~25の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項27】
前記偏向デバイス(140)の2つの電極(141a,141b)の間に印加された電圧を特徴付ける第1の変数(G1)を設定すること(230)と、随意に、前記第1の変数(G1)に基づいて、前記X線源(100;100a;100b;100c)、例えば前記偏向デバイス(140)を動作させること(232)と、をさらに含む、請求項22~26の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項28】
前記2つの電極(141a,141b)は、前記電子(e)を偏向させるために、制御電圧により、少なくとも断続的に、例えば第1の時間領域(ZB1)で衝突し、前記第1の変数(G1)は、少なくとも断続的に、例えば前記第1の時間領域(ZB1)の外側に存在する第2の時間領域(ZB2)で設定される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
具体的には請求項1~20の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)を制御するための装置(300)であって、前記装置(300)は、請求項22~28の少なくとも1項に記載の方法を実行するように構成される、装置(300)。
【請求項30】
コンピューター(302)によって実行されるとき、前記コンピューター(302)に、請求項22~28の少なくとも1項に記載の方法を実行させるコマンド(PRG)を含む、コンピューター可読記憶媒体(SM)。
【請求項31】
プログラム(PRG)がコンピューター(302)によって実行されるとき、前記コンピューター(302)に、請求項22~28の少なくとも1項に記載の方法を実行させるコマンドを含む、コンピュータープログラム(PRG)。
【請求項32】
請求項31に記載のコンピュータープログラム(PRG)を伝送及び/または特徴付けるデータ伝送信号(DCS)。
【請求項33】
請求項1~20の少なくとも1項に記載のX線源(100;100a;100b;100c)、及び/または請求項21に記載のX線管(10)、及び/または請求項22~28の少なくとも1項に記載の方法、及び/または請求項29に記載の装置(300)、及び/または請求項30に記載のコンピューター可読記憶媒体(SM)、及び/または請求項31に記載のコンピュータープログラム(PRG)、及び/または請求項32に記載のデータ伝送信号(DCS)の使用法(400)であって、前記使用法(400)は、以下の要素、すなわち、a)例えば時間的に連続して及び/または交互にX線放射の少なくとも2つの異なるタイプ(RS1,RS2)を提供するために、例えば前記X線放射の強度及び/またはスペクトルに関して互いに異なるX線放射の異なるタイプ(RS1,RS2)を提供すること(402)、b)例えばX線蛍光分析のエリアで指定可能な用途のために、前記X線源(100;100a;100b;100c)及び/または前記X線管(10)を最適化すること(404)、c)X線蛍光分析を実行すること(406)、d)例えば軸領域(122-AB)にある前記標的要素(120)の熱負荷を制御すること(408)、例えば減らすこと、e)例えば精密な用途のために、前記標的要素(120)の耐用年数または耐久性を長くすること(410)、f)X線放射の発生を減らすこと(412)、例えば中断すること、g)前記標的要素(120)の少なくとも1つの領域(122a,122b)の個々の使用を行うこと(414)、h)漂遊磁界(SF)または干渉場、例えば外部の漂遊磁界(SF)または干渉場を補償すること(416)、i)前記標的要素(120)で前記電子(e)または前記電子ビーム(es)を照射すること(417)、j)前記電子ビーム(es)のビーム位置を評価すること(418)、例えば診断を実行すること(418a)、のうちの少なくとも1つに関する、使用法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はX線源に関する。
【0002】
本開示は、さらに、X線源を動作させるための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
X線源、及びX線源のための動作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実施形態は、電子を提供するための電子源と、電子が衝突することが可能である標的要素とを有するX線源に関し、X線源は、電子、例えば電子ビームの少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイスを有する。例示的な実施形態では、これにより、例えば、偏向デバイスの動作に基づいて、いくつかのタイプの動作により、柔軟な動作を可能にする。
【0005】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素は、第1の標的材料を伴う第1の領域と、第1の標的材料と異なる第2の標的材料を伴う第2の領域とを有することが提供される。これにより、例えば各々の標的材料に基づいて、異なるタイプのX線放射、すなわち異なる特性の発生を可能にする柔軟な動作を可能にする。
【0006】
さらなる例示的な実施形態では、標的材料は、以下の要素、すなわち、a)タングステン、b)モリブデン、c)ロジウム、d)クロムのうちの少なくとも1つを含むことが提供される。例えば電子ビームの形態の電子と衝突する場合にX線放射を発生させ得る他の要素または材料は、また、さらなる例示的な実施形態では、標的要素の少なくとも1つの領域にも使用できる。
【0007】
さらなる例示的な実施形態では、電子源は、熱イオン放出及び/または電界放出の原理に基づいて電子を提供するように構成される。
【0008】
さらなる例示的な実施形態では、X線源はアノード本体を有し、アノード本体は例えば銅を含み、または銅から作られている。
【0009】
さらなる例示的な実施形態では、例えばアノード本体または標的要素の方向に、例えば電子源によって提供された電子を加速させるための加速電圧は、電子源の構成要素、例えばコイル状フィラメントと、アノード本体との間に印加され得る。さらなる例示的な実施形態では、加速電子、または加速電子によって形成された電子ビームが標的要素に入射するとき、電子が標的材料によって減速し、その結果として、X線放射を発生させることができる。標的要素の領域に応じて、または標的要素の領域で見られる標的材料に基づいて、X線放射は例えば強度及び/またはスペクトル等の異なる特性を有する。
【0010】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素はアノード本体に配置され、例えばアノード本体の少なくとも1つの表面上に配置されることが提供される。
【0011】
さらなる例示的な実施形態では、対応する第1の標的材料及び/または第2の標的材料は、層の形態で、第1の領域及び/または第2の領域に配置されることが提供される。言い換えれば、さらなる例示的な実施形態では、第1の標的材料は層の形態で標的要素の第1の領域に配置される、及び/または、さらなる例示的な実施形態では、第2の標的材料は層の形態で標的要素の第2の領域に配置される。
【0012】
さらなる例示的な実施形態では、第1の標的材料から作られた層及び/または第2の標的材料から作られた層は、アノード本体2に配置され、例えばアノード本体の少なくとも1つの表面上に配置されることが提供される。
【0013】
さらなる例示的な実施形態では、第1の領域及び/または第2の領域は、例えば、少なくとも大体、以下の形状、すなわち、a)半円形、b)円形、c)円環形、d)扇形のうちの少なくとも1つであることが提供される。
【0014】
さらなる例示的な実施形態では、第1の領域及び/または第2の領域は、それぞれ、例えば半円形であることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、少なくとも大体が2つの半円領域は、互いに対面する、その底側(例えば半円形の直径に対応する例えば本質的に直線形である)が向かい合って配置され、その結果、2つの領域は一緒に、例えば少なくとも大体が円形領域を形成することが提供される。
【0015】
さらなる例示的な実施形態では、第1の領域は円形または円環形であることが提供され、第2の領域は円形または円環形であり、例えば、第2の領域は第1の領域に対して同軸に配置される。例として、さらなる例示的な実施形態では、第1の領域は円環形であり得、第2の領域は同様に円環形または円形であり、例えば第1の領域内で放射状に配置され、例えば第1の領域の内部輪郭に直接隣接する。
【0016】
さらなる例示的な実施形態では、さらなる標的材料、例えば第3の標的材料を伴う少なくとも1つのさらなる領域が提供され、第3の標的材料は第1の標的材料及び/または第2の標的材料と異なる。
【0017】
さらなる例示的な実施形態では、3つよりも多い領域には、該当する場合、さらなる標的材料、例えば互いに異なる標的材料が提供され得る。
【0018】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素は電子源に対して静的に配置される。
【0019】
さらなる例示的な実施形態では、電子源は、例えば、随意に、例えば電子ビームの形態で、電子が標的要素の第1の領域及び/または第2の領域に衝突するように構成されることが提供される。
【0020】
さらなる例示的な実施形態では、電子源は、例えば電子ビームの形態で、電子が時間的に連続して、標的要素の異なる領域に衝突するように構成されることが提供される。言い換えれば、さらなる例示的な実施形態では、異なる標的材料を伴う標的要素の異なる領域は、例えば時分割多重方式で、電子または電子ビームと衝突し得る。
【0021】
既に上記に説明したように、さらなる例示的な実施形態では、X線源は、電子、例えば電子ビームの少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイスを有することが提供される。さらなる例示的な実施形態では、偏向デバイスは、例えば、電子を偏向させるために、少なくとも1つの電場及び/または磁場を少なくとも断続的に生成するように構成され得る。
【0022】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイスが少なくとも断続的に電子を偏向するように構成されることにより、電子は、例えば、第1の領域または第2の領域の標的要素だけに入射することが提供される。結果として、選択領域の各々の標的材料に対応するタイプのX線放射は例えば随意に発生し得る。
【0023】
さらなる例示的な実施形態では、偏向デバイスは、例えば、少なくとも断続的に少なくとも1つの電場を生成するように提供され、少なくとも1つの電場は、少なくとも局部的に電子の伝搬方向に直角な場成分、例えばX線源の縦軸に一致する場成分またはX線源の縦軸に平行な場成分を含む。さらなる例示的な実施形態では、これは、第1の次元もしくは空間方向に沿って偏向させるために、及び/または第2の次元もしくは空間方向に沿って偏向させるために実行され得る。
【0024】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイスが1つの偏向台または複数の偏向台を有することが提供される。
【0025】
さらなる例示的な実施形態では、複数の偏向台の場合、これらの偏向台は、例えば電子の伝搬方向に沿って、例えば標的要素に向かって、またはX線源の縦軸に沿って配置されることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、複数の偏向台の場合、これらの偏向台は、電子ビームの円周方向に沿って配置されることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、同様に、前述の2つの配置の変形の組み合わせが可能になる。
【0026】
さらなる例示的な実施形態では、複数の偏向台の場合、これらの偏向台を使用して、例えば電子源によって規定されたその偏向台の初期配向に少なくとも大体平行に、例えば電子ビームをシフトすることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、例えば、これは、その偏向台の初期配向に対して指定可能な第1の度(例えば第1の角度で特徴付けできる度)だけ、第1の偏向台によって偏向されている電子ビームによって、また、例えば反対方向に、指定可能な第2の度(例えば第2の角度で特徴付けできる度)だけ、例えば第1の偏向台の下流に配置された第2の偏向台によって偏向されている、このように偏向されている電子ビームによってもたらされる可能性があり、その結果、第2の偏向後、電子ビームは、例えば、少なくとも大体、初期配向に平行である(初期配向に対して10°~-10°の角度偏差は許容できる)。
【0027】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイスは、漂遊磁界、例えば外部の漂遊磁界を補償するように構成されることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、例えば、そのような漂遊磁界を特徴付ける少なくとも1つの変数が設定され得、そして、少なくとも1つの変数に基づいて、さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイスは制御され得る、または少なくとも1つの偏向デバイスの制御は、漂遊磁界が少なくとも部分的に補償されるように影響され得る。結果として、さらなる例示的な実施形態では、例えば、また、局部的または全体的に異なる使用場所における環境の影響も減り得る、または補償し得る。
【0028】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイスは、例えば、互いに直角に配置され異なって構成された少なくとも2つの偏向台を有することが提供される。
【0029】
さらなる例示的な実施形態では、偏向デバイスは、例えば様々な領域で標的要素の平均局所的熱負荷を減らすために、例えば1次元及び/または2次元で標的要素の異なる領域に電子を時間的に連続して偏向させ、例えば標的要素の異なる領域の全体にわたって電子ビームを照射するように構成される。
【0030】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイスが少なくとも断続的に電子を偏向するように構成されることにより、電子は標的要素に入射しなくなり、例えば標的要素の外側で放射状に通過する。結果として、X線放射の発生は少なくとも断続的に中断または最小化され得、これは、さらなる例示的な実施形態では、例えば標的要素の温度を制御するのに有用である。
【0031】
さらなる例示的な実施形態では、X線源は、少なくとも断続的に、偏向デバイスの2つの電極の間に印加された電圧を特徴付ける第1の変数を設定するように構成されることが提供される。例として、第1の変数は、例えば偏向デバイスに対するその電子ビームの位置に応じて、電子ビームによって生成される。この第1の変数に基づいて、さらなる例示的な実施形態では、例えば初期配向に対する電子ビームの位置(「ビーム位置」)に関して、例えば結論を導き得る。例として、第1の変数に基づいて、また、例えば外部の漂遊磁界または干渉場の存在も設定され得る。
【0032】
さらなる例示的な実施形態は、複数の実施形態に従った少なくとも1つのX線源を用いる、X線管、例えばX線蛍光分析またはX線蛍光分光法に関する。
【0033】
X線蛍光分析は、定性的及び/または定量的な材料分析の非破壊方式である。多波長X線放射で材料サンプルを照射させることによって、電子は、材料サンプルの原子の内殻から放出される原理に基づいている。結果として、原子のより高いエネルギーレベルからの電子は、内殻に対応する低エネルギーレベルまで下がり得、材料サンプルまたはその原子に特有の蛍光放射線が発生し、これは、例えば検出器によって記録でき、材料サンプルの元素組成に関する情報を提供する。
【0034】
さらなる例示的な実施形態では、本発明の実施形態に従ったX線管を使用して、材料サンプルのX線蛍光分析を実行する。
【0035】
さらなる例示的な実施形態では、本発明の実施形態に従ったX線管を使用するX線蛍光分析を使用して、例えば薄い層及び層システムの層厚を測定する。
【0036】
さらなる例示的な実施形態は、電子を提供するための電子源と、電子が衝突することが可能である標的要素とを有するX線源を動作させるための方法に関し、X線源は、電子の少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイスを有し、本方法は、例えば電子の少なくとも断続的な偏向のために、及び/またはここでは例として説明される少なくとも1つの他の態様のために、偏向デバイスの少なくとも断続的な使用を含む。
【0037】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素は、第1の標的材料を伴う第1の領域と、第1の標的材料と異なる第2の標的材料を伴う第2の領域とを有し、その使用は、例えば、随意に、例えば電子ビームの形態で、電子が標的要素の第1の領域及び/または第2の領域に衝突することを含む。
【0038】
さらなる例示的な実施形態では、衝突することは、例えば電子ビームの形態で、電子が時間的に連続して、標的要素の異なる領域に衝突することを含むことが提供される。
【0039】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は以下の要素、すなわち、a)例えば電子が主に例えば第1の領域だけに入射するように、標的要素の第1の領域に対して少なくとも1つの偏向デバイスを用いる、電子の少なくとも断続的な偏向、b)例えば電子が主に例えば第2の領域だけに入射するように、標的要素の第2の領域に対して少なくとも1つの偏向デバイスを用いる、電子の少なくとも断続的な偏向、c)例えば電子が主に例えば少なくとも1つのさらなる領域だけに入射するように、第1の領域及び第2の領域と異なる標的要素の少なくとも1つのさらなる領域に対して少なくとも1つの偏向デバイスを用いる、電子の少なくとも断続的な偏向、d)電子、例えばかなり多くの電子が標的要素に入射しなく、例えば標的要素の外側で放射状に通過するように、少なくとも1つの偏向デバイスを用いる、電子の少なくとも断続的な偏向、e)例えば1次元または2次元で、標的要素の異なる領域に対する連続的な電子の偏向、のうちの少なくとも1つを含むことが提供される。
【0040】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、さらに、随意に、例えば磁界の強度及び/または方向を有する例えば外部の漂遊磁界と関連付けられた情報を設定することと、少なくとも1つの偏向デバイスを用いて、漂遊磁界を少なくとも断続的及び/または局部的に補償することと、を含むことが提供される。
【0041】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、さらに、偏向デバイスの2つの電極の間に印加された電圧を特徴付ける第1の変数を設定することと、随意に、第1の変数に基づいて、X線源、例えば少なくとも1つの偏向デバイスを動作させることと、を含むことが提供される。
【0042】
さらなる例示的な実施形態では、2つの電極は、電子を偏向させるために、制御電圧により、少なくとも断続的に、例えば第1の時間領域で衝突し、第1の変数は、少なくとも断続的に、例えば第1の時間領域の外側に存在する第2の時間領域で設定されることが提供される。
【0043】
さらなる例示的な実施形態では、第1の変数は、第1の偏向デバイスの電極を用いて設定され得、少なくとも1つのさらなる偏向デバイスを使用して、例えば、第1の変数を同時に設定し、または第1の変数を設定することを少なくとも一時的に重複させ、例えば漂遊磁界を補償する目的のために、例えば第1の変数に基づいて電子ビームを偏向し得る。
【0044】
さらなる例示的な実施形態では、したがって、X線源の動作は、例えばクローズドループの調整の目的のために例えば調整もでき、例えば、第1の変数が設定され、電子ビームを偏向するために使用できる少なくとも1つの偏向台を制御することは、例えばとりわけ第1の変数に基づいて制御または操作される。
【0045】
さらなる例示的な実施形態は、具体的には複数の実施形態に従ったX線源を制御するための装置に関し、本装置は複数の実施形態に従った方法を実行するように構成される。
【0046】
さらなる例示的な実施形態は、コンピューターによって実行されるとき、コンピューターに、複数の実施形態に従った方法を実行させるコマンドを含むコンピューター可読記憶媒体に関する。
【0047】
さらなる例示的な実施形態は、プログラムがコンピューターによって実行されるとき、コンピューターに、複数の実施形態に従った方法を実行させるコマンドを含むコンピュータープログラムに関する。
【0048】
さらなる例示的な実施形態は、複数の実施形態に従ったコンピュータープログラムを伝送及び/または特徴付けるデータ伝送信号に関する。
【0049】
さらなる例示的な実施形態は、複数の実施形態に従ったX線源、及び/または複数の実施形態に従ったX線管、及び/または複数の実施形態に従った方法、及び/また複数の実施形態に従った装置、及び/または複数の実施形態に従ったコンピューター可読記憶媒体、及び/または複数の実施形態に従ったコンピュータープログラム、及び/または複数の実施形態に従ったデータ伝送信号の使用法に関し、使用法は、以下の要素、すなわち、a)例えば時間的に連続して及び/または交互にX線放射の少なくとも2つの異なるタイプを提供するために、例えばX線放射の強度及び/またはスペクトルに関して互いに異なるX線放射の異なるタイプを提供すること、b)例えばX線蛍光分析のエリアで指定可能な用途のために、X線源及び/またはX線管を最適化すること、c)X線蛍光分析を実行すること、d)例えば軸領域にある標的要素の熱負荷を制御すること、例えば減らすこと、e)例えば精密な用途のために、標的要素の耐用年数または耐久性を長くすること、f)X線放射の発生を減らすこと、例えば中断すること、g)標的要素の少なくとも1つの領域の個々の使用を行うこと、h)漂遊磁界または干渉場、例えば外部の漂遊磁界または干渉場を補償すること、i)標的要素で電子または電子ビームを照射すること、j)電子ビームのビーム位置を評価すること、例えば診断を実行すること、のうちの少なくとも1つに関する。
【0050】
例示的な実施形態のさらなる特徴、適用可能性、及び利点は、図面の図に示される例示的な実施形態の以下の説明で提供される。単独で、または任意の所望の組み合わせで説明されるまたは示される特徴の全ては、特許請求の範囲のその概要またはその後方参照に関係なく、また、各々、説明及び図面のその説明及び描写に関係なく、例示的な実施形態の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】例示的な実施形態による、簡略化されたブロック図を概略的に示す。
図2】さらなる例示的な実施形態による、簡略化されたブロック図を概略的に示す。
図3A】さらなる例示的な実施形態による、標的要素の平面図を概略的に示す。
図3B】さらなる例示的な実施形態による、標的要素の平面図を概略的に示す。
図3C】さらなる例示的な実施形態による、標的要素の平面図を概略的に示す。
図4】さらなる例示的な実施形態による、標的要素の平面図を概略的に示す。
図5】さらなる例示的な実施形態による、X線源の側面図を概略的に示す。
図6】さらなる例示的な実施形態による、X線源の側面図を概略的に示す。
図7】さらなる例示的な実施形態による、偏向デバイスの態様を概略的に示す。
図8】さらなる例示的な実施形態による、偏向デバイスの態様を概略的に示す。
図9】さらなる例示的な実施形態による、簡略化されたブロック図を概略的に示す。
図10】さらなる例示的な実施形態に従った方法の簡略化されたフロー図を概略的に示す。
図11】さらなる例示的な実施形態に従った方法の簡略化されたフロー図を概略的に示す。
図12】さらなる例示的な実施形態に従った方法の簡略化されたフロー図を概略的に示す。
図13】さらなる例示的な実施形態に従った方法の簡略化されたフロー図を概略的に示す。
図14】さらなる例示的な実施形態による、時間図を概略的に示す。
図15】さらなる例示的な実施形態による、簡略化されたブロック図を概略的に示す。
図16】さらなる例示的な実施形態による、使用の態様を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
例示的な実施形態は、図1を参照すると、例えば電子ビームesの形態の電子eを提供するための電子源110と、電子eと衝突できる標的要素120とを有する、X線源100に関する。
【0053】
電子eまたは電子ビームの例示的な伝搬方向は、Z軸zに対応する空間方向(またはZ軸のzに平行な方向)を通り、これは、図1に記号で提供される。例示的な伝搬方向zに直角な空間方向は、図1に例として垂直に構成されたy軸のyによって示される。
【0054】
さらなる例示的な実施形態では、X線源100は、例えば電子eの少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイス140を含むことが提供される。
【0055】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素120は、随意に、第1の標的材料TM-1を伴う第1の領域122aと、第1の標的材料TM-1と異なる第2の標的材料TM-2を伴う第2の領域122bとを有する。これにより、例えば各々の標的材料TM-1,TM-2に基づいて、異なるタイプのX線放射RS、すなわち異なる特性の発生を可能にする柔軟な動作を可能にする。
【0056】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素120は、随意に、異なる標的材料を伴う領域を含まないが、むしろ、例として(例えば単一の)標的材料TM-1を含む。
【0057】
さらなる例示的な実施形態では、標的材料TM-1,TM-2は、以下の要素、すなわち、a)タングステン、b)モリブデン、c)ロジウム、d)クロムのうちの少なくとも1つを含むことが提供される。例えば電子ビームesの形態の電子eと衝突する場合にX線放射RSを発生させ得る他の要素または材料は、また、さらなる例示的な実施形態では、標的要素120の少なくとも1つの領域122a,122bにも使用できる。
【0058】
さらなる例示的な実施形態では、電子源110は、熱イオン放出及び/または電界放出の原理に基づいて電子eを提供するように構成される。例として、この目的のために、電子源110はコイル状フィラメント111(図1に示されない)を有し得、これは、例えば図5も参照されたい。
【0059】
さらなる例示的な実施形態では、図2で、X線源100aはアノード本体130を有し、アノード本体130は例えば銅を含み、または銅から作られている。
【0060】
さらなる例示的な実施形態では、加速電圧(分かり易くする理由のために示されない)は、例えばアノード本体130または標的要素120の方向に、すなわち、電子源110の構成要素、例えばコイル状フィラメント111(図5)と、アノード本体130(図2)との間で、例えば図1及び図2のz軸に少なくとも大体平行に、例えば電子源110によって提供された電子eを加速させるために印加され得る。加速電子e、または加速電子eによって形成された電子ビームesが標的要素120に入射するとき、電子eが標的材料TM-1,TM-2によって減速し、その結果として、X線放射RS(図1)を発生させることができる。標的要素120の領域122a,122bに応じて、または標的要素120の領域122a,122bで見られる標的材料TM-1,TM-2に基づいて、X線放射RSは例えば強度及び/またはスペクトル等の異なる特性を有する。
【0061】
さらなる例示的な実施形態では、図2で、標的要素120はアノード本体130に配置され、例えばアノード本体130の少なくとも1つの表面130aに配置されることが提供される。
【0062】
さらなる例示的な実施形態では、対応する第1の標的材料TM-1及び/または第2の標的材料TM-2は、図2によると例えば第1のy座標範囲のy1に対応する第1の領域122a(図1)で、及び/または図2によると例えば第2のy座標範囲のy2に対応する第2の領域122b(図1)で、層124a,124bの形態で配置されることが提供される。言い換えれば、さらなる例示的な実施形態では、第1の標的材料TM-1は層124aの形態で標的要素120の第1の領域122aに配置される、及び/または、さらなる例示的な実施形態では、第2の標的材料TM-2は第2の層124bの形態で標的要素120の第2の領域122bに配置される。
【0063】
さらなる例示的な実施形態では、例えば、異なる標的材料TM-1,TM-2を伴う異なる領域122a,122bまたは層124a,124bは、例えば表面130aの図1及び図2の異なる垂直座標範囲y1,y2にあると見なされ得、その結果、例えば電子ビームesの対応する偏向によって、第1の領域122a及び/または第2の領域122bのどちらか一方に衝突できる。
【0064】
さらなる例示的な実施形態では、電子ビームesは、また、例えば2つの領域122a,122bの境界領域GB(例えば図2の図面の平面に垂直に伸びる)まで、例えば少なくとも断続的に偏向または指向もされ得、その結果、領域122a,122bの両方は電子ビームesと同時に衝突する。
【0065】
さらなる例示的な実施形態では、第1の標的材料TM-1から作られた層124a及び/または第2の標的材料TM-2から作られた層124bは、アノード本体130に配置され、例えばアノード本体130の少なくとも1つの表面130aに配置されることが提供される。
【0066】
さらなる例示的な実施形態では、、図3A図3B図3Cを参照すると、第1の領域122a及び/または第2の領域122bは、例えば、少なくとも大体、以下の形状、すなわち、a)半円形、b)円形、c)円環形、d)扇形のうちの少なくとも1つであることが提供される。
【0067】
例として、図3Aは、標的要素120aの概略平面図を示し、2つの半円領域122a,122bがそれぞれ異なる標的材料TM-1,TM-2を伴い、図3Aのx軸に沿って互いに隣に配置される。
【0068】
例として、図3Bは、標的要素120bの概略平面図を示し、2つの半円領域122a,122bがそれぞれ異なる標的材料TM-1,TM-2を伴い、図3Bのy軸に沿って互いに隣に配置される。
【0069】
さらなる例示的な実施形態では、図3A及び図3Bを参照すると、少なくとも大体が2つの半円領域122a,122bは、互いに対面する、その底側(例えば半円形の直径に対応する例えば本質的に直線形である)が向かい合って配置され、その結果、2つの領域122a,122bは一緒に、例えば少なくとも大体が円形領域を形成することが提供され、さらなる例示的な実施形態では、円形領域は、例えば、表面130a(図2)の全体を覆い得る。
【0070】
さらなる例示的な実施形態では、図3Cの120cに関して、第1の領域122aは円形または円環形であることが提供され、第2の領域122bは円形または円環形であり、例えば、第2の領域は第1の領域に対して同軸に配置される。例として、さらなる例示的な実施形態では、第1の領域122aは円環形であり得、第2の領域122bは同様に円環形または円形であり、例えば第1の領域122aの内部で放射状に配置され、例えば第1の領域122aの内部輪郭に直接隣接する。
【0071】
さらなる例示的な実施形態では、図4の標的要素120dを参照すると、さらなる標的材料、例えば第3の標的材料TM-3を伴う少なくとも1つのさらなる領域122cが提供され、第3の標的材料TM-3は第1の標的材料及び/または第2の標的材料と異なる。
【0072】
さらなる例示的な実施形態(示されない)では、3つの領域122a,122b,122cよりも多い領域には、該当する場合、さらなる標的材料、例えば互いに異なる標的材料が提供され得る。
【0073】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素120,120a,120b,120c,120dは電子源に対して静的に配置される。
【0074】
さらなる例示的な実施形態では、図2で、電子源110は、例えば、随意に、例えば電子ビームesの形態で、電子eが標的要素120の第1の領域122a及び/または第2の領域122bに衝突するように構成されることが提供される。
【0075】
さらなる例示的な実施形態では、電子源110は、例えば電子ビームesの形態で、電子eが時間的に連続して標的要素120の異なる領域122a,122b,122cに衝突するように構成されることが提供される。言い換えれば、さらなる例示的な実施形態では、異なる標的材料TM-1,TM-2等を伴う標的要素120の異なる領域122a,122b,122cは、例えば時分割多重方式で、電子eまたは電子ビームesと衝突し得る。
【0076】
さらなる例示的な実施形態では、図5を参照すると、例として図1を参照することによって、例えば電子e、例えば電子ビームesの少なくとも断続的な偏向のために、X線源100bが既に言及した少なくとも1つの偏向デバイス140を有することが提供される。さらなる例示的な実施形態では、偏向デバイス140は、例えば電子eを偏向させるために、少なくとも1つの電場及び/または磁場を少なくとも断続的に生成するように構成され得る。
【0077】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイス140が少なくとも断続的に電子eを偏向するように構成されることにより、電子eは、例えば、第1の領域122a(図1)または第2の領域122bの標的要素120だけに入射することが提供される。結果として、選択領域122a、122bの各々の標的材料TM-1、TM-2に対応するタイプのX線放射RSは例えば随意に発生し得る。
【0078】
さらなる例示的な実施形態では、偏向デバイス140は、例えば、少なくとも断続的に少なくとも1つの電場を生成するように提供され、少なくとも1つの電場は、少なくとも局部的に電子eの伝搬方向z(図5)に直角な場成分、例えばX線源100bの縦軸に一致する場成分またはX線源100bの縦軸に平行な場成分を含む。さらなる例示的な実施形態では、これは、例えば図5の図面の平面に垂直に、第1の次元もしくは空間方向yに沿って偏向させるために、及び/または第2の次元もしくは空間方向に沿って偏向させるために実行され得る。
【0079】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイス140は、1つの偏向台141(図5)を有すること、または図6による偏向デバイス140aを参照すると、複数の偏向台141,142を有することが提供される。
【0080】
例として、さらなる例示的な実施形態では、第1の電圧Uは、y軸に沿って場成分を伴う該電場を生成するために、図5の偏向台141の電極141a,141bに少なくとも断続的に印加され得る。
【0081】
さらなる例示的な実施形態では、図6によるX線源100cを参照すると、複数の偏向台141,142の場合、これらの偏向台は、例えば電子eの伝搬方向zに沿って、例えば標的要素120に向かって配置されることが提供される。
【0082】
さらなる例示的な実施形態では、図7の偏向ユニット140bを参照すると、複数の偏向台141’,142’の場合、これらの偏向台は、電子ビームの円周方向に沿って配置されることが提供される。
【0083】
さらなる例示的な実施形態では、同様に、前述の2つの配置の変形の組み合わせが可能になる。
【0084】
さらなる例示的な実施形態では、図6を参照すると、複数の偏向台141,142の場合、これらの偏向台を使用して、例えば、電子源110によって規定されたその偏向台の初期配向に対して少なくとも大体平行に(例えば図6の右側に対して水平に)、例えば電子ビームesをシフトすることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、例えば、これは、その偏向台の初期配向に対して指定可能な第1の度(例えば第1の角度α1で特徴付けできる度)だけ、第1の偏向台141によって偏向されている電子ビームesによって、また、例えば反対方向に、指定可能な第2の度(例えば第2の角度α2で特徴付けできる度)だけ、例えば第1の偏向台141の下流に配置された第2の偏向台142によって偏向されている、このように偏向されている電子ビームによってもたらされる可能性があり、その結果、第2の偏向後、電子ビームは、例えば、少なくとも大体、初期配向に平行である(初期配向に対して10°~-10°の角度偏差は許容できる)。さらなる例示的な実施形態では、例えば、α2=-α1である。
【0085】
さらなる例示的な実施形態では、図5を参照すると、少なくとも1つの偏向デバイス140は、漂遊磁界、例えば外部の漂遊磁界SFを補償するように構成されることが提供される。さらなる例示的な実施形態では、例えば、そのような漂遊磁界SFを特徴付ける少なくとも1つの変数が設定され得、そして、少なくとも1つの変数に基づいて、さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイス140は制御され得る、または少なくとも1つの偏向デバイス140の制御は、漂遊磁界SFが少なくとも部分的に補償されるように影響され得る。結果として、さらなる例示的な実施形態では、例えば、また、局部的または全体的に異なる使用場所における環境の影響も減り得る、または補償し得る。
【0086】
さらなる例示的な実施形態では、図7で、少なくとも1つの偏向デバイス140bは、例えば、互いに直角に配置され異なって構成された少なくとも2つの偏向台141’,142’を有することが提供される。結果として、さらなる例示的な実施形態では、標的要素120にある例えば任意の所望のデカルト座標点は指定できる、すなわち、例えば、ここではxy平面の点に対応する電子ビームesと衝突できる。この目的のために、さらなる例示的な実施形態では、偏向台141’,142’の電極は、対応する制御電圧または偏向電圧Ux,Uyで制御される。
【0087】
さらなる例示的な実施形態では、偏向デバイス140,140a,140bは、例えば様々な領域122a,122bで標的要素120の平均局所的熱負荷を減らすために、例えば1次元及び/または2次元x,y(図7)で標的要素120の異なる領域122a,122bに電子eを時間的に連続して偏向させ、(例えば、偏向電圧Ux,Uyを揺らすことによって)例えば標的要素120の異なる領域122a,122bの全体にわたって電子ビームesを照射するように構成される。さらなる例示的な実施形態では、そのような照射は、例えば、X線放射が測定には使用されないが標的要素120を節約することが想定されるスタンバイモードのために実行され得る。
【0088】
さらなる例示的な実施形態では、電子ビームesのビーム電流は変化し得、例えば、オプションのスタンバイモードではビーム電流は減り得、測定モード、例えばスタンバイモードに関して、ビーム電流は増加し得る。
【0089】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つの偏向デバイス140,140a,140bが少なくとも断続的に電子を偏向するように構成されることにより、電子は標的要素120(図7)に入射しなくなり、例えば標的要素120の外側で放射状に通過し、例えば、電子は標的要素120の周辺エリアU(図3A)に到達する。結果として、X線放射の発生は少なくとも断続的に中断または最小化され得、これは、さらなる例示的な実施形態では、例えば標的要素120の温度を制御するのに有用である。
【0090】
さらなる例示的な実施形態では、図8で、X線源は、少なくとも断続的に、偏向デバイス140cの2つの電極141a,141bの間に印加された電圧を特徴付ける第1の変数G1を設定するように構成されることが提供される。例として、第1の変数G1は、例えば偏向デバイス140cに対するその電子ビームの位置に応じて、電子ビームによって生成される。この第1の変数G1に基づいて、さらなる例示的な実施形態では、例えば初期配向に対する電子ビームesの位置(「ビーム位置」)に関して、例えば結論を導き得る。例として、第1の変数G1に基づいて、また、例えば外部の漂遊磁界または干渉場SFの存在も設定され得る(図5)。
【0091】
さらなる例示的な実施形態では、例えば差動アンプもしくはオペアンプDVまたはいくつかの他の増幅デバイスは、第1の変数G1を設定するために提供され得る。随意に、また、第1の変数G1を度量衡学的に検出し、例えば、第1の変数G1を、制御デバイスのアナログ入力に供給する測定デバイスMEも提供され得る。
【0092】
さらなる例示的な実施形態は、図9では、複数の実施形態に従った少なくとも1つのX線源100を用いる、X線管10、例えばX線蛍光分析またはX線蛍光分光法に関する。
【0093】
図9から、さらなる例示的な実施形態では、第1のタイプのX線放射RS1または第2のタイプのX線放射RS2は、随意に、例えば電子ビームes(図1)と衝突する標的要素120の随意に提供された複数の領域122a,122b(図1)の各々の1つによって、X線管10またはX線源100を用いて生成され得ることが確認できる。
【0094】
図9によるブロック矢印es1は、電子ビームesが例として第1の標的材料TM-1を伴う標的要素120の第1の領域122aに指向される動作状態を記号で表し、第1のタイプのX線放射RS1が生成され、点ブロック矢印es2は、電子ビームが例として第2の標的材料TM-2を伴う標的要素120の第2の領域122bに指向される動作状態を記号で表し、そして、第2のタイプのX線放射RS2が生成される。
【0095】
図9によるブロック矢印es3は、電子ビームesが標的要素120に入射しないように偏向し、その結果として、X線放射の発生が非アクティブになるまたは最小化する、さらなる動作状態を記号で表す。
【0096】
さらなる例示的な実施形態では、本発明の実施形態に従ったX線管10を使用して、材料サンプル(示されない)のX線蛍光分析を実行する。
【0097】
さらなる例示的な実施形態では、本発明の実施形態に従ったX線管10を使用するX線蛍光分析を使用して、例えば薄い層及び層システムの層厚を測定する。
【0098】
さらなる例示的な実施形態では、X線管10は、また、例えば異なる標的材料を伴う異なる領域がない標的要素120も有し得る。これらの実施形態では、例えば、偏向デバイス140の少なくとも断続的な使用により、上記に例として説明した態様の少なくとも1つを実行し得、例えば、漂遊磁界SF、及び/または標的要素120から離れる電子ビームesの少なくとも断続的な偏向(例えば、標的要素120の外側で放射状に通過する)等を設定及び/または補償する。
【0099】
さらなる例示的な実施形態は、図10では、電子eを提供するための電子源110と、電子eが衝突することが可能である標的要素120とを有するX線源100(図1)を動作させるための方法に関し、X線源100は、電子eの少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイス140を有し、本方法は偏向デバイス140の少なくとも断続的な使用200を含む。
【0100】
さらなる例示的な実施形態では、標的要素120は、第1の標的材料TM-1を伴う第1の領域122aと、第1の標的材料TM-1と異なる第2の標的材料TM-2を伴う第2の領域122bとを有し、使用200は、例えば、随意に、例えば電子ビームesの形態で、電子eが標的要素120の第1の領域122a及び/または第2の領域122bに衝突すること200’(図10)を含むことが提供される。
【0101】
さらなる例示的な実施形態では、衝突すること200’は、例えば電子ビームの形態で、電子が時間的に連続して、標的要素120の異なる領域122a,122bに衝突すること200aを含むことが提供される。
【0102】
さらなる例示的な実施形態では、ステップ200では、該当する場合、生成されるX線放射RS1,RS2の使用に関するオプションのステップ202が提供される。
【0103】
さらなる例示的な実施形態では、図11で、X線源は、電子eの少なくとも断続的な偏向のための少なくとも1つの偏向デバイス140を有することが提供され、本方法は以下の要素、すなわち、a)例えば電子eが主に例えば第1の領域122aだけに入射するように、標的要素120の第1の領域122a(図1)に対して少なくとも1つの偏向デバイス140を用いる、電子eの少なくとも断続的な偏向210a、b)例えば電子eが主に例えば第2の領域122bだけに入射するように、標的要素120の第2の領域122bに対して少なくとも1つの偏向デバイス140を用いる、電子eの少なくとも断続的な偏向210b(図11)、c)例えば電子eが主に例えば少なくとも1つのさらなる領域122cだけに入射するように、第1の領域122a及び第2の領域122bと異なる標的要素120dの少なくとも1つのさらなる領域122c(図4)に対して少なくとも1つの偏向デバイス140を用いる、電子eの少なくとも断続的な偏向210c、d)電子e、例えばかなり多くの電子eが標的要素120に入射しなく、例えば標的要素120の外側で放射状に通過するように、少なくとも1つの偏向デバイス140を用いる、電子eの少なくとも断続的な偏向210d、図9による参照符号e3参照、e)例えば1次元または2次元x,y(図7)で、標的要素120の異なる領域122a,122bに対する連続的な電子eの偏向212、のうちの少なくとも1つを含む。
【0104】
さらなる例示的な実施形態では、図12で、本方法は、さらに、随意に、例えば磁界の強度及び/または方向を有する例えば外部の漂遊磁界SFと関連付けられた情報SFIを設定すること220と、少なくとも1つの偏向デバイス140を用いて、漂遊磁界SFを少なくとも断続的及び/または局部的に補償すること222と、を含むことが提供される。
【0105】
さらなる例示的な実施形態では、図13で、本方法は、さらに、偏向デバイス140cの2つの電極141a,141b(図8)の間に印加された電圧を特徴付ける第1の変数G1を設定すること230と、随意に、第1の変数G1に基づいて、X線源、例えば少なくとも1つの偏向デバイス140を動作させること232(図13)と、を含むことが提供される。
【0106】
さらなる例示的な実施形態では、図14で、2つの電極141a,141b(図8)は、電子eを偏向させるために、制御電圧により、少なくとも断続的に、例えば第1の時間領域ZB1(図14)で衝突し、第1の変数G1は、少なくとも断続的に、例えば第1の時間領域ZB1の外側に存在する第2の時間領域ZB2で設定されることが提供される。
【0107】
さらなる例示的な実施形態では、第1の変数G1は、第1の偏向デバイス141(図6)の電極を用いて設定され得、少なくとも1つのさらなる偏向デバイス142を使用して、例えば、第1の変数G1を同時に設定し、または第1の変数G1を設定することを少なくとも一時的に重複させ、例えば漂遊磁界SFを補償する目的のために、例えば第1の変数G1に基づいて電子ビームesを偏向し得る。
【0108】
さらなる例示的な実施形態では、したがって、X線源の動作は、例えばクローズドループの調整の目的のために例えば調整もでき、例えば、第1の変数G1(図13)が設定され(ブロック230参照)、電子ビームesを偏向するために使用できる少なくとも1つの偏向台142(図6)を制御することは、例えばとりわけ第1の変数G1に基づいて制御または操作される(図13によるオプションのブロック232参照)。
【0109】
さらなる例示的な実施形態は、図15では、具体的には複数の実施形態に従ったX線源を制御するための装置300に関し、装置300は複数の実施形態に従った方法を実行するように構成される。
【0110】
装置300は、例えば少なくとも1つのコア302aを有するコンピューター302、コンピューター302に割り当てられたメモリデバイス304を有し、メモリデバイス304は、以下の要素、すなわち、a)データDAT、b)具体的には複数の実施形態に従った方法を実行するためのコンピュータープログラムPRG、の少なくとも1つの少なくとも断続的な保存のためのものである。
【0111】
さらなる好ましい実施形態では、ストレージデバイス304は、揮発性メモリ(例えばワーキングメモリ(RAM))304a、及び/または不揮発性メモリ(例えばフラッシュEEPROM)304bを有する。
【0112】
さらなる例示的な実施形態では、コンピューター302は、以下の要素、すなわち、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラー(μC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブル論理モジュール(例えば、FPGA、フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ハードウェア回路、グラフィックス処理ユニット(GPU)のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせを有する、またはこれらの要素のうちの少なくとも1つとして構成される。
【0113】
さらなる例示的な実施形態は、コンピューター302によって実行されるとき、コンピューター302に、複数の実施形態に従った方法を実行させるコマンドPRGを含むコンピューター可読記憶媒体SMに関する。
【0114】
さらなる例示的な実施形態は、プログラムがコンピューター302によって実行されるとき、コンピューター302に、複数の実施形態に従った方法を実行させるコマンドを含むコンピュータープログラムPRGに関する。
【0115】
さらなる例示的な実施形態は、複数の実施形態に従ったコンピュータープログラムPRGを特徴付ける及び/または伝送するデータ伝送信号DCSに関する。データ伝送信号DCSは、例えば、装置300のオプションのデータインターフェース306を介して伝送できる。
【0116】
さらなる例示的な実施形態では、データインターフェース306を使用して、例えば第1の変数(図8)もしくはそれから導出された変数を受信し得る、及び/または例えば少なくとも1つの偏向デバイス140,140a,140b,140cに対して、制御信号SSを発信し得る。随意に、対応する高偏向電圧に制御信号SSを変換する少なくとも1つの増幅レベル(示されない)が提供され得る。
【0117】
対応する制御信号SSの発信によって、装置300は、さらなる例示的な実施形態では、例えば、X線放射RS1,RS2のタイプのどれを発生させるかを制御できる、またはX線放射の発生を少なくとも断続的に非アクティブにできる、または存在し得る任意の漂遊磁界SDを補償できる。
【0118】
さらなる例示的な実施形態は、図16では、複数の実施形態に従ったX線源100,100a,100b,100c、及び/または複数の実施形態に従ったX線管10、及び/または複数の実施形態に従った方法、及び/または複数の実施形態に従った装置300、及び/または複数の実施形態に従ったコンピューター可読記憶媒体SM、及び/または複数の実施形態に従ったコンピュータープログラムPRG、及び/または複数の実施形態に従ったデータ伝送信号DCSの使用法400に関し、使用法400は、以下の要素、すなわち、a)例えば時間的に連続して及び/または交互にX線放射の少なくとも2つの異なるタイプを提供するために、例えばX線放射の強度及び/またはスペクトルに関して互いに異なるX線放射の異なるタイプRS1,RS2を提供すること402、b)例えばX線蛍光分析のエリアで指定可能な用途のために、X線源及び/またはX線管を最適化すること404と、c)X線蛍光分析を実行すること406、d)例えば軸領域122-AB(図4)にある標的要素120の熱負荷を制御すること408、例えば減らすこと、e)例えば精密な用途のために、標的要素120の耐用年数または耐久性を長くすること410(図16)、f)X線放射の発生を減らすこと412、例えば中断すること、g)標的要素120の少なくとも1つの領域122aの個々の使用を行うこと414、h)漂遊磁界SFまたは干渉場、例えば外部の漂遊磁界SFまたは干渉場を補償すること416、i)標的要素120で電子eまたは電子ビームesを照射すること417、j)電子ビームesのビーム位置を評価すること418、例えば診断を実行すること418a、のうちの少なくとも1つに関する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】