(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/72 20230101AFI20231219BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20231219BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20231219BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20231219BHJP
G01N 33/18 20060101ALI20231219BHJP
G01N 31/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C02F1/72 101
C02F1/44 H
B01D61/58
C02F1/32
G01N33/18 B
G01N31/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557481
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022108485
(87)【国際公開番号】W WO2023060986
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111184917.8
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523212221
【氏名又は名称】江蘇中電創新環境科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA ELECTRONICS INNOVATION ENVIRONMENTAL TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.88,Juqu Road,Xinwu District,Wuxi,Jiangsu 214000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊 江▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ウェイ▼▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】蒋 士龍
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】袁 潤博
(72)【発明者】
【氏名】田 宇鳴
(72)【発明者】
【氏名】蔡 宏展
【テーマコード(参考)】
2G042
4D006
4D037
4D050
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA03
2G042CA02
4D006GA03
4D006GA06
4D006KA01
4D006KA33
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
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4D006PB08
4D006PC02
4D037AA11
4D037AB12
4D037BA18
4D037CA03
4D050AA12
4D050AB17
4D050BB07
4D050BB09
4D050BB13
4D050BC09
4D050CA09
(57)【要約】
本発明は、再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法を開示し、この方法は、酸化剤を添加した逆浸透再生水を紫外線酸化装置に通し、紫外線の照射下で酸化剤と再生水中の痕跡量低分子有機物とを酸化還元反応させることであり、酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%~7.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩40.0質量%~42.0質量%、クロラミン2.0質量%~3.0質量%、及び水48.0質量%~50.0質量%を含む。本発明の除去方法は、プロセスが簡単で、再生水中の痕跡量尿素を効果的に除去することができ、尿素の初期濃度が60ppb~125ppbの再生水に対して、生成水中の尿素の濃度を5ppbまで低下させることができ、再生水を電子用超純水の製造に再利用することを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法であって、
酸化剤を添加した逆浸透再生水を紫外線酸化装置に通し、紫外線の照射下で酸化剤と再生水中の痕跡量低分子有機物とを30~300s酸化還元反応させ、酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%~7.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩40.0質量%~42.0質量%、クロラミン2.0質量%~3.0質量%、及び水48.0質量%~50.0質量%を含み、逆浸透再生水中の尿素の初期濃度は60ppb~125ppbであり、処理後の生成水中の尿素の濃度は5ppbまで低下する、ことを特徴とする再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【請求項2】
酸化剤中の有効成分の濃度と再生水中の尿素の濃度との関係式が、Y=5.11n(X)+2.9であり、
式中、Xは再生水中の尿素の濃度であり、単位がppbであり、Yは酸化剤中の有効成分の濃度であり、単位がppmである、ことを特徴とする請求項1に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【請求項3】
紫外線照射量と再生水中の尿素の濃度との関係式がZ=3.4×0.8であり、
式中、Xは再生水中の尿素の濃度であり、単位がppbであり、Zは紫外線照射量であり、単位がmJ/cm
2である、ことを特徴とする請求項1に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【請求項4】
前記再生水は、回収した下水処理場の放水を、マルチメディアフィルタ、カートリッジフィルタ(Cartridge filter)、限外ろ過装置、及び逆浸透装置に順次通して、再生水を得る方法によって得られる、ことを特徴とする請求項1に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【請求項5】
酸化還元反応後の生成水を樹脂カラムに通し、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度を検出することにより、酸化還元反応後の生成水中の尿素の濃度を換算する、ことを特徴とする請求項1に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【請求項6】
樹脂カラムからの流出水のTOC濃度と酸化還元反応後の生成水中の尿素の濃度との関係式が、W=0.2X+1.3であり、
式中、Xは酸化還元反応後の生成水中の尿素の濃度であり、単位がppbであり、Wは樹脂カラムからの流出水のTOC濃度であり、単位がppbである、ことを特徴とする請求項5に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【請求項7】
前記樹脂カラム内に強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂とが充填されている、ことを特徴とする請求項5に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業廃水/下水処理場の放水の従来の再生処理プロセスは、主に、限外ろ過(UF)と逆浸透(RO)を組み合わせた方式であり、この方式は、廃水中の大部分の総有機炭素(TOC)、総溶解固体(TDS)などの汚染物を効果的に除去し、それによって、比較的に高い品質の再生水を生産することができる。UF+ROで処理した再生水のTOC濃度は極めて低い(一般的にTOC<1mg/L)。再生水は一般工業生産、農業灌漑、都市景観及び地下水の補充などに用いることができるが、集積回路、フラットディスプレイ、新エネルギーなど、生産の原水に対する要件が高い電子/新エネルギーなどの業界にとって、再生水は電子用超純水の製造に直接用いることができず、ROによる生成水では、TOCのほとんどが低分子有機物であり、従来の超純水製造システムでは有効に除去することが困難であることがその要因である。活性炭、イオン交換樹脂、逆浸透、TOC-UVなどのプロセスユニットは低分子有機物に対する処理作用が限られており、除去率が10%~20%でしかなく、そのため、再生水中の低分子有機物は超純水システムの生成水のTOCが基準値を超え、最終的に電子製品の収率に大きな影響をもたらす。
【0003】
UF+ROで処理した再生水中の低分子有機物は、主に尿素、トリハロメタンなどの分子量が小さく、電荷を持たない中性有機物であり、その中で尿素の占める割合が最も大きい。典型的な市政下水処理場の放水は、逆浸透を経ると、水中の尿素の濃度が一般的に80ppb~120ppbであり、市政水道水中の尿素の濃度(10ppb~30ppb)よりはるかに高い。そのため、再生水を電子用超純水の製造に再利用する前に、再生水中の痕跡量低分子有機物、特に尿素を効果的に除去する必要がある。水中の有機物を分解する方法の多くは、有機物濃度に対する処理下限値が有機物濃度1ppm程度であるのに対し、再生水中の低分子有機物濃度は80ppb~120ppbであり、従来の処理水中の高濃度有機物の処理下限値よりもはるかに低い。再生水中の痕跡量低分子有機物の既存の処理方法は、プロセスが複雑で、他の問題を引き起こしやすく、除去率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、プロセスが簡単で、除去率が高い再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術的解決手段
本発明に記載の再生水中の痕跡量低分子有機物の除去方法は、酸化剤を添加した逆浸透再生水を紫外線酸化装置に通し、紫外線の照射下で酸化剤と再生水中の痕跡量低分子有機物を酸化還元反応させ、酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%~7.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩40.0質量%~42.0質量%、クロラミン2.0質量%~3.0質量%、及び水48.0質量%~50.0質量%を含む。
【0006】
反応時間は30~300sである。反応時間が十分であればあるほど、除去効果が高い。
【0007】
酸化剤の有効成分濃度と再生水中の尿素の濃度との関係式が、Y=5.1ln(X)+2.9であり、Xは再生水中の尿素の濃度であり、単位がppbであり、Yは酸化剤中の有効成分の総濃度であり、単位がppmである。有効成分の総濃度は除去効果と正の相関があり、一定範囲内では有効成分の総濃度が高いほど、除去効果が高い。
【0008】
紫外線照射量と再生水中の尿素の濃度との関係式が、Z=3.4X0.8であり、式中、Xは再生水中の尿素の濃度であり、単位がppbであり、Zは紫外線照射量であり、単位がmJ/cm2である。紫外線は反応において触媒として作用し、短時間で酸化剤を十分に分解してラジカルを生成し、より優れた触媒効果を得ることを確保するには、十分な照射量の紫外線を照射する必要がある。
【0009】
前記再生水は、回収した下水処理場の放水を、マルチメディアフィルタ、カートリッジフィルタ、限外ろ過装置、及び逆浸透装置に順次通して、再生水を得る方法によって得られる。
【0010】
酸化還元反応後の生成水を樹脂カラムに通し、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度を検出することにより酸化還元反応後の生成水中の尿素の濃度を換算する。樹脂カラムからの流出水のTOC濃度と酸化還元反応後の生成水中の尿素の濃度との関係式が、W=0.2X+1.3であり、式中、Xは酸化還元反応後の生成水中の尿素の濃度であり、単位がppbであり、Wは樹脂カラムからの流出水のTOC濃度であり、単位がppbである。
【0011】
前記樹脂カラム内に強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂が充填されている。
【0012】
本発明の酸化剤は、従来の単一酸化剤で尿素を除去する方法が異なり、ラジカルの発生量が低く、反応時間が長いという従来の単一酸化剤の欠点を克服し、紫外線の触媒作用により、3つの酸化剤は互いに励起して大量のラジカルを発生させ、しかも、これらのラジカルは、すべて強い酸化能力を有するラジカルであり、硫酸ラジカル、ヒドロキシラジカル、塩素ラジカルとの3つのラジカルがその場で協同して尿素を酸化還元する。
【発明の効果】
【0013】
有益な効果は以下のとおりである。従来技術に比べ、本発明では、本発明の除去方法は、プロセスが簡単で、再生水中の痕跡量尿素を効果的に除去することができ、尿素の初期濃度が60ppb~125ppbの再生水に対して、生成水中の尿素の濃度を5ppbまで低下させることができ、再生水を電子用超純水の製造に再利用することを可能にするという顕著な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】水中の尿素の濃度と水のTOC濃度との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例1
UF+RO処理により得られた再生水に酸化剤を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、酸化剤を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩42.0質量%、クロラミン2.0質量%、及び水50.0質量%を含む。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
酸化剤の添加量はY=5.1ln(123)+2.9=27.4ppmで、30ppm(30ppmは酸化剤中の3つの有効成分であるオキシドール、ペルオキソ二硫酸塩、及びクロラミンの合計濃度を指す)とし、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量はZ=3.4(123)0.8=159.7mJ/cm2であり、160mJ/cm2とし、
検出した結果、生成水のTOC濃度は16.8ppbであった。
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度は6.9ppb、尿素濃度は27ppb、尿素除去率は78.05%であった。換算すると、生成水の尿素含量はX=(6.9-1.3)/0.2=28ppbであり、極差は1であり、相対偏差は3.7%であり、この式は指導的な意義を持っている。
【0016】
実施例2
UF+RO処理により得られた再生水に酸化剤を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、酸化剤を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩42.0質量%、クロラミン2.0質量%、及び水50.0質量%を含む。
再生水中の尿素の濃度は83ppbであり、
酸化剤の添加量はY=5.1ln(83)+2.9=25.4ppmで、25ppmとし、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量はZ=3.4(83)0.8=116.6mJ/cm2であり、119mJ/cm2とし、
検出した結果、生成水のTOC濃度は10.9ppbであった。
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度は3.7ppb、尿素濃度は13ppb、尿素除去率は84.34%であった。換算すると、生成水の尿素含有量はX=(3.7-1.3)/0.2=12ppbであり、極差は1であり、相対偏差は8.3%であり、この式は指導的な意義を持っている。
【0017】
実施例3
UF+RO処理により得られた再生水に酸化剤を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、酸化剤を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩42.0質量%、クロラミン2.0質量%、及び水50.0質量%を含む。
再生水中の尿素の濃度は68ppbであり、
酸化剤の添加量はY=5.1ln(68)+2.9=24.4ppmで、25ppmとし、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量はZ=3.4(68)0.8=99.4mJ/cm2であり、100mJ/cm2とし、
検出した結果、生成水のTOC濃度は9.7ppbであった。
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度は2.9ppb、尿素濃度は8ppb、尿素除去率は88.24%であった。換算すると、生成水の尿素含有量はX=(2.9-1.3)/0.2=8ppbであり、極差は0であり、相対偏差は0%であり、この式は指導的な意義を持っている。
【0018】
実施例4-酸化剤の組成比の調整
UF+RO処理により得られた再生水に酸化剤を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、酸化剤を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。酸化剤は、成分として、オキシドール7.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩40.0質量%、クロラミン3.0質量%、及び水50.0質量%を含む。
再生水中の尿素の濃度は68ppbであり、
酸化剤の添加量はY=5.1ln(68)+2.9=24.4ppmで、25ppmとし、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量はZ=3.4(68)0.8=99.4mJ/cm2であり、100mJ/cm2とした。
検出した結果、生成水のTOC濃度は10.1ppbであった。
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度は3.0pb、尿素濃度は9ppb、尿素除去率は86.76%であった。換算すると、生成水の尿素含有量はX=(3.0-1.3)/0.2=8.5ppbであり、極差は0.5であり、相対偏差は5.9%であり、この式は指導的な意義を持っている。
【0019】
比較実施例1-酸化剤の添加濃度の調整
UF+RO処理により得られた再生水に酸化剤を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、酸化剤を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。酸化剤は、成分として、オキシドール6.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩42.0質量%、クロラミン2.0質量%、及び水50.0質量%を含む。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
酸化剤の理論添加量はY=5.1ln(123)+2.9=27.4ppmで、実際の添加量は20ppmであり、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量はZ=3.4(123)0.8=159.7mJ/cm2であり、160mJ/cm2とし、
検出した結果、生成水のTOC濃度は18.9ppbであった。
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水のTOC濃度は11.2pb、尿素濃度は48ppb、尿素除去率60.98%であり、実施例1より17.07%減少した。実施例1と比較実施例1から、酸化剤の添加量が十分でないと、良好な尿素除去効果が得られないことが分かった。
【0020】
比較実施例2-単一酸化剤への調整
UF+RO処理により得られた再生水にオキシドールを添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、オキシドールを添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
オキシドールの添加量は30ppm(30ppmは混合液中のオキシドールの濃度)であり、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量は160mJ/cm2であり、
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水の尿素濃度は98ppb、尿素除去率は20.3%であった。
【0021】
比較実施例3-単一酸化剤への調整
UF+RO処理により得られた再生水にペルオキソ二硫酸塩を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、ペルオキソ二硫酸塩を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
ペルオキソ二硫酸塩の添加量は30ppmであり、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量は160mJ/cm2であり、
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水の尿素濃度は69ppb、尿素除去率は43.9%であった。
【0022】
比較実施例4-単一酸化剤への調整
UF+RO処理により得られた再生水にペルオキシ一硫酸塩を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、ペルオキシ一硫酸塩を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
ペルオキシ一硫酸塩の添加量は30ppmであり、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量は160mJ/cm2であった。
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水の尿素濃度は108ppb、尿素除去率は12.2%であった。
【0023】
比較実施例5-単一酸化剤への調整
UF+RO処理により得られた再生水にクロラミンを添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、クロラミンを添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射した。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
クロラミンの添加量は30ppmであり、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量は160mJ/cm2であり、
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水の尿素濃度は110ppb、尿素除去率は10.6%であった。
【0024】
比較実施例6-2種類の酸化剤の組み合わせへの調整
UF+RO処理により得られた再生水にオキシドールとペルオキソ二硫酸塩の混合液を添加して、紫外線ランプチューブが設けられた紫外線酸化装置に通し、混合液を添加した再生水に紫外線ランプチューブで照射し、混合液にはオキシドール6.0質量%、ペルオキソ二硫酸塩42.0質量%、及び水52.0質量%が含まれている。
再生水中の尿素の濃度は123ppbであり、
オキシドールとペルオキソ二硫酸塩の合計添加量は30ppmであり、
紫外線酸化装置における水理学的滞留時間は120sであり、
照射量は160mJ/cm2であり、
生成水を樹脂カラムに通し、検出した結果、樹脂カラムからの流出水の尿素濃度は37ppb、尿素除去率は69.9%であった。
【0025】
実施例1と比較実施例2~6から、再生水中の痕跡量尿素の除去に対して、単一の酸化剤又は2種類の酸化剤の組み合わせはいずれも本発明の酸化剤の除去効果を達成できず、具体的な原因としては、尿素自体の分子構造(アミノ基)と関係がある一方で、単一の酸化剤自体およびこれにより生成されるラジカルの量や酸化能力と関係があり、複数の酸化剤が互いに相乗的に協力して尿素と反応するラジカルをより多く生成できることが分かった。本発明の酸化剤は、尿素自体の分子構造に対して強い酸化能を有する親電子性ラジカルを生成することで、再生水中の尿素の効率的な除去を実現することができる。
【国際調査報告】