(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】人工装具もしくは整形器具のためのデータ転送方法、およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/68 20060101AFI20231219BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20231219BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20231219BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20231219BHJP
A61F 2/60 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61F2/68
B25J13/08 Z
A61B5/00 102C
A61B5/11 200
A61F2/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557824
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021084425
(87)【国際公開番号】W WO2022117892
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523211497
【氏名又は名称】アクシレス・バイオニクス・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・フィリップ・シュレル
(72)【発明者】
【氏名】クレア・イヴェット・シュレル
(72)【発明者】
【氏名】フェリペ・ゴメス・マルランダ
【テーマコード(参考)】
3C707
4C038
4C097
4C117
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707KS10
3C707KX05
3C707LV14
3C707XK03
3C707XK06
3C707XK12
4C038VA04
4C038VB01
4C038VC09
4C038VC20
4C097AA02
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4C117XE27
4C117XE75
4C117XL01
(57)【要約】
人工装具もしくは整形器具のためのデータ転送方法であって、前記人工装具もしくは整形器具は、データ記憶手段および処理手段を含み、方法は、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを取得するステップと、取得されたデータ、および/または取得されたデータに基づく処理されたデータを、データ記憶手段に記憶するステップと、人工装具もしくは整形器具に接続された通信モジュールを用いて、記憶されたデータおよび/または記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバに転送するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工装具もしくは整形器具(100)のためのデータ転送方法であって、前記人工装具もしくは整形器具(100)は、データ記憶手段(120)および処理手段(110)を含み、前記方法は、
前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを取得するステップ(S11)と、
前記取得されたデータ、および/または前記取得されたデータに基づく処理されたデータを、前記データ記憶手段(120)に記憶するステップ(S12)と、
前記人工装具もしくは整形器具(100)に接続された通信モジュール(230)を用いて、前記記憶されたデータおよび/または前記記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバ(300)に転送するステップ(S13)と
を含むデータ転送方法。
【請求項2】
前記通信モジュール(230)を用いて、前記遠隔サーバ(300)から、構成および/または挙動データを受信するステップ(S21)をさらに含み、前記構成および/または挙動データは、前記転送されたデータに基づいて、前記遠隔サーバにより取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記整形器具もしくは人工装具(100)が、前記整形器具もしくは人工装具の構成要素(170)の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための、作動器または制動器のような力、抵抗、または動き生成デバイス(150)と、制御モデルに従って、前記力、抵抗、または動き生成デバイス(150)を制御するように構成された制御モジュール(140)とを備え、前記方法が、前記制御モデルを適合させるために、前記遠隔サーバ(300)から受信された前記構成および/または挙動データを用いるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記人工装具もしくは整形器具が、少なくとも1つのセンサ手段(130)をさらに備え、前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを取得するステップ(S11)が、前記少なくとも1つのセンサ手段(130)からセンサデータを取得するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記制御モジュール(140)が、前記制御モデルに従って、前記少なくとも1つのセンサ手段(130)のセンサデータに基づいて、前記力、抵抗、または動き調整デバイス(150)を制御する、請求項3を引用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ手段(130)が、複数のセンサを備え、前記複数のセンサ(130)の1つまたは複数のセンサが、前記遠隔サーバから受信された前記構成および/または挙動データに基づいて前記制御モデルの入力を提供するように選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサ手段(130)が、第1の組のセンサ手段、および第2の組のセンサ手段を備え、使用時における前記人工装具もしくは整形器具(100)の活動モードに、および/または環境データに、および/または位置データに応じて、第1の処理されたデータが、前記第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、かつ/または第2の処理されたデータが、前記第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、前記第1および/または第2の処理されたデータが、前記遠隔サーバ(300)に転送される、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサ手段が、第1の組のセンサ手段および第2の組のセンサ手段を備え、第1の処理されたデータが、前記第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、第1の優先順位に関連付けられ、第2の処理されたデータが、前記第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、第2の優先順位に関連付けられ、前記第1および/または第2の処理されたデータを前記遠隔サーバに前記転送するタイミングが、前記関連付けられた優先順位のレベルに基づく、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記人工装具もしくは整形器具の前記処理手段(110)により、前記データ記憶手段(120)に記憶された、前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを処理し、前記処理されたデータを前記データ記憶手段(120)に記憶するステップをさらに含み、
データを前記遠隔サーバ(300)に転送する前記ステップ(S13)が、前記通信モジュール(230)を用いて、前記処理されたデータの少なくとも一部を前記遠隔サーバ(300)に転送するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記通信モジュール(230)が、有線接続を介して前記人工装具もしくは整形器具(100)に接続される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記通信モジュール(230)が、別個のデバイス(200)に含まれる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記別個のデバイス(200)が、エネルギー充電デバイスであり、前記人工装具もしくは整形器具(100)が、エネルギー蓄積手段(160)を備え、前記方法が、前記エネルギー充電デバイスにより前記エネルギー蓄積手段(160)を充電するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記別個のデバイス(200)が、前記通信モジュール(230)に接続された第2のデータ記憶手段(220)を備え、データを前記遠隔サーバ(300)に転送する前記ステップ(S13)が、前記記憶されたデータおよび/または前記記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を前記第2のデータ記憶手段(220)に転送する第1のステップ、続いて、前記第2のデータ記憶手段(220)に記憶されたデータ、および/またはそれに基づく処理されたデータを、前記遠隔サーバ(300)に転送する第2のステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記別個のデバイス(200)が、前記第2のデータ記憶手段(220)に記憶された前記データを処理するように構成され、かつ前記処理されたデータを、前記第2のデータ記憶手段(220)に記憶するように構成された第2の処理手段(210)を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のデータ記憶手段(220)に転送する前記第1のステップが、前記遠隔サーバ(300)に転送する前記第2のステップよりも頻繁な時間間隔で実行される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のデータ記憶手段(220)に転送する前記第1のステップが、前記人工装具もしくは整形器具が実質的に不活動状態にある間に実行される、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記通信モジュールが、前記人工装具もしくは整形器具(100)に含まれる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するさらなるデータを取得するステップ(S11)と、前記取得されたさらなるデータ(S12)を、前記データ記憶手段(120)における前記記憶されたデータに基づいて記憶すべきかどうかを判定するステップをさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記人工装具もしくは整形器具の、または前記通信モジュールの識別情報が、前記遠隔サーバに転送されるデータに追加される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記人工装具もしくは整形器具(100)が、第1の人工装具もしくは整形器具に対応し、前記方法が、第2の人工装具もしくは整形器具(100')により実行される以下のステップ、すなわち、
前記第2の人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記第2の人工装具もしくは整形器具の環境に関する第2のデータを取得するステップと、
前記取得された第2のデータおよび/または前記取得された第2のデータに基づく処理されたデータを記憶するステップと、
前記第2の人工装具もしくは整形器具に接続された通信モジュールを用いて、前記記憶された第2のデータおよび/または前記記憶された第2のデータに基づく処理された第2のデータの少なくとも一部を、前記遠隔サーバに転送するステップと
をさらに含み、前記遠隔サーバにより実行される以下のステップ、すなわち、
前記第1および第2の人工装具もしくは整形器具から受信された前記転送されたデータに基づいて、前記第1および第2の人工装具もしくは整形器具のための第1および第2の構成ならびに/または挙動データをそれぞれ決定するステップと、
前記決定された第1および第2の構成および/または挙動データを、前記第1および第2の人工装具もしくは整形器具にそれぞれ関連付けられた前記通信モジュールに送信するステップと
をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
人工装具もしくは整形器具のためのデータ処理方法であって、遠隔サーバにおいて実行され、前記方法が、
通信モジュール(230)からデータを受信するステップ(S21)であって、前記データは、前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータ、ならびに/あるいは前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関する前記データに基づく処理されたデータを含む、ステップ(S21)と、
前記受信されたデータに基づいて、前記人工装具もしくは整形器具(100)を動作させるための構成および/または挙動データを決定するステップ(S22)と、
前記構成および/または挙動データを前記通信モジュール(230)に送信するステップ(S23)と
を含むデータ処理方法。
【請求項22】
前記人工装具もしくは整形器具(100)が、第1の人工装具もしくは整形器具に対応し、前記方法が、
第2の人工装具もしくは整形器具に関連付けられた通信モジュールから第2のデータを受信するステップであって、前記第2のデータが、前記第2の人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータ、ならびに/あるいは前記データに基づく処理されたデータを含む、ステップと、
前記受信された第2のデータに基づき、かつ前記第1の人工装具もしくは整形器具から受信された前記データにさらに基づき、前記第2の人工装具もしくは整形器具のための第2の構成および/または挙動データを決定するステップと、
前記第2の構成および/または挙動データを、前記第2の人工装具もしくは整形器具に関連付けられた前記通信モジュールに送信するステップと
をさらに含む、請求項21に記載のデータ処理方法。
【請求項23】
好ましくは、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法における使用のための、人工装具もしくは整形器具(100)および通信モジュール(230)を備えるシステムであって、前記人工装具もしくは整形器具(100)は、データ記憶手段(120)および処理手段(110)を備え、
前記データ記憶手段(120)は、前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを記憶するように構成され、
前記通信モジュール(230)は、前記記憶されたデータ、および/またはそれに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバ(300)に転送するように構成された通信インターフェースを備える、システム。
【請求項24】
前記通信モジュール(230)が、前記遠隔サーバ(300)から、構成および/または挙動データを受信するように構成され、前記遠隔サーバが、前記転送されたデータに基づいて、前記構成および/または挙動データを決定するように構成された、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記整形器具もしくは人工装具(100)が、前記整形器具もしくは人工装具の構成要素(170)の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための、作動器または制動器のような力、抵抗、または動き生成デバイス(150)と、制御モデルに従って、前記力、抵抗、または動き生成デバイス(150)を制御するように構成された制御モジュール(140)とを備え、前記遠隔サーバ(300)から受信された前記構成および/または挙動データが、前記制御モデルを適合させるために使用される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記人工装具もしくは整形器具(100)が、前記人工装具もしくは整形器具の動作および/または前記人工装具もしくは整形器具の環境に関するセンサデータを取得するための少なくとも1つのセンサ手段(130)をさらに備え、前記データ記憶手段が、前記センサデータを記憶するように構成された、請求項23から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御モジュール(140)が、前記制御モデルに従って、前記少なくとも1つのセンサ手段(130)のセンサデータに基づき、前記力、抵抗、または動き調整デバイス(150)を制御するように構成され、任意選択で、前記少なくとも1つのセンサ手段(130)が、複数のセンサを備え、任意選択で、前記制御モジュール(140)が、前記構成および/または挙動データに基づいて、前記制御モデルの入力として、前記複数のセンサ(130)のうちの1つまたは複数のセンサを選択するように構成された、請求項25を引用する請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つのセンサ手段(130)が、第1の組のセンサ手段および第2の組のセンサ手段を備え、前記処理手段が、使用時における前記人工装具もしくは整形器具(100)の活動モード、および/または環境データ、および/または位置データに応じて、前記第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づく第1の処理されたデータ、および/または前記第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づく第2の処理されたデータを決定するように構成された、請求項26または27に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが、前記少なくとも1つのセンサ手段から第1の組のセンサ手段、および第2の組のセンサ手段を選択するように構成され、第1の処理されたデータが、前記第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、第1の優先順位に関連付けられ、第2の処理されたデータが、前記第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、第2の優先順位に関連付けられ、前記第1および/または第2の処理されたデータの、前記遠隔サーバへの転送のタイミングが、前記関連付けられた優先順位のレベルに基づく、請求項26から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記通信モジュール(230)が、前記人工装具もしくは整形器具(100)への有線接続により接続される、請求項23から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記通信モジュール(230)が、別個のデバイス(200)に含まれる、請求項23から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記別個のデバイス(200)が、エネルギー充電デバイスであり、前記人工装具もしくは整形器具が、エネルギー蓄積手段(160)を備え、前記エネルギー充電デバイスが、前記エネルギー蓄積手段(160)を充電するように構成された、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記別個のデバイス(200)が、前記通信モジュール(230)に接続された第2のデータ記憶手段(220)と、任意選択で、前記第2のデータ記憶手段(220)に記憶されたデータを処理するように構成され、かつ前記処理されたデータを前記第2のデータ記憶手段(220)に記憶するように構成された第2の処理手段(210)とを備える、請求項31または32に記載のシステム。
【請求項34】
前記通信モジュールが、前記人工装具もしくは整形器具(100)に含まれる、請求項23から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記システムが、前記人工装具もしくは整形器具の、または前記通信モジュールの、識別情報を、前記遠隔サーバに転送されるデータに加えるように構成された、請求項23から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記人工装具もしくは整形器具(100)が、第1の人工装具もしくは整形器具に対応し、前記システムが、第2の人工装具もしくは整形器具(100')の動作および/または前記第2の人工装具もしくは整形器具の環境に関する第2のデータを記憶するためのデータ記憶手段を備える前記第2の人工装具もしくは整形器具をさらに備え、前記第2の人工装具もしくは整形器具(100')が、前記記憶された第2のデータ、および/またはそれに基づく処理されたデータの少なくとも一部を前記遠隔サーバ(300)に転送するように構成された通信インターフェースを備える別の通信モジュールに関連付けられ、前記遠隔サーバが、
前記第1および第2の人工装具もしくは整形器具から受信された前記転送されたデータに基づいて、前記第1および第2の人工装具もしくは整形器具のそれぞれについての第1および第2の構成ならびに/または挙動データを決定し、
前記決定された第1および第2の構成ならびに/または挙動データを、前記第1および第2の人工装具もしくは整形器具にそれぞれ関連付けられた前記通信モジュールに送信するように構成された、請求項23から35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
エネルギー蓄積手段を備える人工装具もしくは整形器具のためのエネルギー充電デバイスであって、
前記整形器具もしくは人工装具の前記エネルギー蓄積手段が充電されるように、前記人工装具もしくは整形器具の対応する電気的インターフェースと協働するように構成された電気的インターフェースと、
前記人工装具もしくは整形器具のデータ記憶手段に記憶されたデータを受信するように、かつ遠隔サーバと通信するように構成された通信モジュールと
を備えるエネルギー充電デバイス。
【請求項38】
前記人工装具もしくは整形器具から受信された前記データを処理するように構成された処理手段をさらに備える、請求項37に記載のエネルギー充電デバイス。
【請求項39】
前記エネルギー充電デバイスが、配電網に接続されるように構成された第2の電気的なインターフェースを備える、請求項37または38に記載のエネルギー充電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、人工装具もしくは整形器具のためのデータ転送方法、人工装具もしくは整形器具のためのデータ処理方法、人工装具もしくは整形器具を備えるシステム、人工装具もしくは整形器具のためのエネルギー充電デバイスに関する。具体的な実施形態は、対象であるヒトまたは動物の体肢を機能的に支援する、高める、かつ/もしくは置き換えるための、または対象であるヒトまたは動物の体もしくはその一部を強化するための人工装具もしくは整形器具に関係する事柄に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の人工装具もしくは整形器具においては、使用中にフィードバックを取得できるように、人工装具もしくは整形器具の動作に関するセンサを用いてデータを収集することが知られている。人工装具もしくは整形器具の動作をより正確に制御できるように、収集されたデータを考慮に入れることができる。これは、モータなどの作動器、または制動器を含む人工装具もしくは整形器具の場合に、特にそうである。実際に、身体運動は、異なる身体部分の様々な、相互に関係する複雑な平行移動および回転の協調を含む。使用中に、自然な体の動きにより近い、より快適な体験を有しようとするユーザの場合は、データをモニタし、収集することが必要である。データを収集した後、人工装具もしくは整形器具の様々な構成要素を、能動的に、または受動的に制御するように前記データを処理することにより、対応する体の部分の動きを模倣することが可能になる。しかし、人工装具もしくは整形器具の能動的もしくは受動的な制御は、人工装具もしくは整形器具の構成要素に関連する所定の組の構成および/または挙動データになお依存しており、限定されたロバスト性および安定性を有する。
【0003】
従来技術の解決策においては、前述の問題に対処するために、保守管理または整備を、操作者により個人的に実施することができる。しかし、このような保守管理または整備を行うことは、費用および時間がかかるおそれがあり、高い頻度で容易に実施することはできない。
【0004】
例えば、本明細書に参照により含まれるWO2016009308は、運動制御機構(MCM)を備える人工装具または整形器具を述べており、その運動制御機構(MCM)は、第1のMCM部分、第2のMCM部分、ならびに1つまたは複数の中間要素および付勢手段を備え、その付勢手段は、MCMの接触動作モードにおいて、MCM部分に対する中間要素を付勢するが、一方で、ブロックする意味で、相対的なトルクまたは力が加えられたときにトルクの伝達が可能になるが、他方で、反対の意味で、トルクまたは力が加えられたときにブロックしない相対運動が可能になる。より具体的には、力の測定を可能にする荷重計を備えた生体工学的な足が述べられ、POばねの伸びが、線形の電位差計を用いて測定される。レバーアームの位置、および足に対する脚の位置を測定するために、2つの絶対的な磁気エンコーダが使用される。この結果、足首において得られるトルクを計算することができる。立脚期(IC、FF、HO、TO)中の重要なトリガを検出するために、2つの力感知抵抗器(FSR)が、足底に配置される、1つは、かかとに、1つは、つま先に配置される。これらのトリガは、モータを制御して、ロック機構1のロックを解除するために使用されることになる。現在のセンサはまた、モータに送られる電流を測定するためにも使用される。この情報は、本質的に、デバイスの低レベル制御において働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、ユーザに対する人工装具もしくは整形器具の快適さを向上させるが、複雑かつ時間のかかる保守管理または整備に対する必要性を軽減できるようにする人工装具もしくは整形器具のためのデータ転送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、人工装具もしくは整形器具のためのデータ転送方法が提供される。人工装具もしくは整形器具は、データ記憶手段および処理手段を含む。方法は、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを取得するステップと、取得されたデータ、および/または取得されたデータに基づく処理されたデータを、データ記憶手段に記憶するステップと、人工装具もしくは整形器具に接続された通信モジュールを用いて、記憶されたデータおよび/または記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバに転送するステップとを含む。
【0007】
人工装具もしくは整形器具の動作に、および/または環境に関するデータを収集し、かつ記憶することにより、関連するデータを集めることができ、また人工装具もしくは整形器具の使用を向上させるために使用することができる。記憶されたデータは、例えば、センサにより直接取得された生データとすることができる、または直接取得されたデータに基づく処理されたデータとすることができる。人工装具もしくは整形器具の動作に関するデータは、人工装具もしくは整形器具の使用中に使用された制御データの記録、人工装具もしくは整形器具のプロセッサへの入力、人工装具もしくは整形器具を構成する様々な構成要素の物理特性、人工装具もしくは整形器具の動作に対して使用されるアルゴリズム、プロセッサに対するソフトウェアデータ、または人工装具もしくは整形器具に含まれ得るセンサ手段のセンサデータなどのデータとすることができ、前記センサ手段は、人工装具もしくは整形器具の内部作業に関係する。人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータは、人工装具もしくは整形器具に含まれ得るセンサ手段のセンサデータとすることができ、前記センサ手段は、人工装具もしくは整形器具の周囲に関係する。環境に関するデータは、整形器具もしくは人工装具の装着者が存在する周囲の部分に関係することができる、または装着者の体の一部に関するデータなど、装着者の部分に関することができる。実施形態では、環境に関するデータは、人工装具もしくは整形器具のユーザに植え込まれたニューラルセンサからの信号に関係することができる。このような信号は、人工装具もしくは整形器具のための動きコマンドを含むことができる。
【0008】
記憶されたデータの少なくとも一部は、次いで、遠隔サーバに転送することができる。代替的に、または加えて、記憶されたデータに基づく処理されたデータも、遠隔サーバに転送することができる。データは、人工装具もしくは整形器具の処理手段により、かつ/または通信モジュールの処理手段により処理することができる。データを遠隔サーバに転送することにより、データは、操作者が介入する必要なく、遠隔サーバのレベルにおいて、自動的に蓄積され得る。遠隔サーバで受信されたこのデータは、ユーザに対する人工装具もしくは整形器具の快適さを向上させるために使用することができる。実際に、データは、遠隔サーバにおいて受信され、かつこのような人工装具もしくは整形器具を装着している各個人に対して調節を行うことが可能になる。したがって、保守管理または整備の少なくとも一部を、比較的容易に、かつ時間効率よく実施することができる。
【0009】
データは、通信モジュールを用いて遠隔サーバに転送される。通信モジュールは、人工装具もしくは整形器具の一部とすることができ、独立したユニットとすることができ、かつ/または人工装具もしくは整形器具とは別個の別のデバイスの一部とすることができる。通信モジュールは、人工装具もしくは整形器具のデータ記憶手段とインターフェースすることができる。インターフェースすることは、無線で、または有線で達成することができる。通信モジュールおよび遠隔サーバは、無線で、または有線で通信することができる。
【0010】
データ記憶手段に記憶されたデータの処理は、データが記憶された後に、またはその後の時間に、直接実施され得ることに留意されたい。さらに、遠隔サーバへのデータの転送は、データが記憶された直後に、記憶されたデータが処理された後に、またはその後の時間に実施することができる。
【0011】
本発明の文脈において、整形器具という用語は、体肢の病変を有する人を支援するために使用されるデバイスと、身体的に健常な装着者の遂行能力を強化するデバイスとの両方を指すために使用される。後者はまた、外骨格とも呼ばれる。したがって、本出願の文脈において、整形器具といえば、これは、体肢の病変を有する人ならびに外骨格を支援するために使用される整形器具であり得る。
【0012】
本発明の文脈において、「遠隔サーバ」という用語は、単一のサーバ、または一群のサーバ、例えば、エッジクラウドなどの分散されたサーバの組などを指すことができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、方法は、通信モジュールを用いて、遠隔サーバから構成および/または挙動データを受信するステップをさらに含む。構成および/または挙動データは、転送されたデータに基づいて取得することができる。
【0014】
この方法では、構成および/または挙動データは、操作者による人的介入の必要なしに、人工装具もしくは整形器具に転送され得る。構成および/または挙動データは、人工装具もしくは整形器具がどのように動作および/または挙動するかに影響を与える。したがって、構成および/または挙動データは、遠隔サーバに転送されたデータに基づいて、各個人に対して最適化することができる。こうすることは、保守管理または整備の時間効率をさらに向上させる。構成データは、人工装具もしくは整形器具の動作のための制御データを含むことができる。通常、構成データは、人工装具もしくは整形器具の内部動作を制御することができ、また構成データは、人工装具もしくは整形器具から受信されたエラー、記録などの内部情報に基づいて遠隔サーバにより更新することができる。挙動データは、人工装具もしくは整形器具の動作中に、プロセッサにより使用されるパラメータを含むことができる。通常、挙動データは、人工装具もしくは整形器具の外部動作を決定することになる、すなわち、人工装具もしくは整形器具が、ユーザの実施しているアクションまたは活動に対して、または環境特性(例えば、地面、階段、スロープのタイプ、人工装具もしくは整形器具を装着している人またはその人の身体部分に関する情報など)に応じて、どのように挙動するかを決定する。挙動データは、整形器具もしくは人工装具の構成要素の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための力、抵抗、または動き生成デバイスの動作を制御するための制御モデルなど、ソフトウェアコードを含むことができる。構成および/または挙動データを遠隔的に改変できることにより、構成および/または挙動データを、向上させた方法で更新することができる。収集されたデータの一部の処理は、人工装具もしくは整形器具の処理手段により、かつ/または通信モジュールの処理手段により行うことができるが、遠隔サーバはさらなる処理を実施することができ、遠隔サーバは、さらに、複数の人工装具もしくは整形器具から受信されたデータを考慮に入れることができる。したがって、更新される構成および/または挙動データは、複数の人工装具もしくは整形器具から遠隔サーバにより受信された(任意選択で処理された)データを用いて決定され得る。一部の構成および/または挙動データは、複数の人工装具もしくは整形器具に対して同様に適合させることができるが、他の構成および/または挙動データは、特定の個人に対して特に適合され得ることに留意されたい。別の言い方をすると、本発明の実施形態は、クラウド処理と、エッジ処理とを(人工装具もしくは整形器具の処理手段により、かつ/または通信モジュールの処理手段により)組み合わせることができる。したがって、構成および/または挙動データの改変は、各個人の必要性に合わせてより正確に、より高い頻度で実施することができる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、整形器具もしくは人工装具は、整形器具もしくは人工装具の構成要素の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための、作動器または制動器など、力、抵抗、または動き生成デバイスと、制御モデルに従って、力、抵抗、または動き生成デバイスを制御するように構成された制御モジュールとを備える。遠隔サーバから受信された構成および/または挙動データは、制御モデルを修正するために使用することができる。
【0016】
このように、人工装具もしくは整形器具の動作は、データ転送を用いて遠隔的に改変することができる。作動器は、空気式、圧電式、電気的、液圧式、磁気的、機械的なものとすることができる。いくつかの実施形態では、改変は、例えば、データが利用可能になると直ちになど、「オンライン」で行うことができるが、他の実施形態では、改変は、例えば、データがまず記憶されて、後で使用できるなど、「オフライン」で行うことができる。さらに、例えば、いくつかの改変は、「オンライン」で行うことができるが、他は「オフライン」で実施できるなど、組み合わせることも可能である。制動器は、能動的または受動的なものとすることができる。制御モジュールと、人工装具または整形器具の構成要素の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるように構成された力、抵抗、または動き生成デバイスとを備える人工装具もしくは整形器具では、前記機械的な影響を定量化するように働く様々なパラメータを考慮することができる。
【0017】
制御モデルは、1つまたは複数の入力を受け取ることができ、また1つまたは複数の入力に基づき、1つまたは複数の重み付けパラメータを使用して、1つまたは複数の出力を生成することができる。制御モデルは、例えば、人工知能の技術的分野で知られているように、制御ポリシーを定義することができる。例えば、1つまたは複数の入力は、1つまたは複数のセンサの出力、および/または1つまたは複数のセンサの出力に基づく処理されたデータ、および/または他のデータ入力を含むことができる。例えば、センサデータは、例えば、活動モードなど、人工装具もしくは整形器具の1つまたは複数の動作カテゴリを決定するために、検出アルゴリズムによりさらに処理することができる。これらの1つまたは複数の動作カテゴリは、次いで、制御モデルに入力され得る。制御モデルは、様々な入力に関連付けられた1つまたは複数の重み付けパラメータを使用することができる。制御モデルの1つまたは複数の出力は、制御モジュールが、人工装具もしくは整形器具の作動器または制動器の機械的な影響を能動的に制御できるようにする。これらの重み付けパラメータを、適応性のある制御を行うために使用することができ、また人工装具もしくは整形器具の活動モードに基づいて、かつ人工装具もしくは整形器具により達成される動作に基づいて、様々な組の重み付けを規定することができる。
【0018】
前述の重み付けパラメータなどのパラメータは、アルゴリズムに基づいて制御モデルに統合され得る。実際に、制御モジュールのセンサデータ値、および他の入力の解釈は、制御モデルを介して行うことができる。制御モデルは、人工装具もしくは整形器具の実際の状態を推定するために、物理学およびデータ入力を使用する物理モデルとすることができる、または入力の同化されたパターンに基づいて、人工装具もしくは整形器具の実際の状態を推定する自己学習モデルとすることができる。
【0019】
通信モジュールに送られた構成および/または挙動データは、整形器具もしくは人工装具の構成要素の機械的な挙動および/または動作に関連する前述のパラメータを含むことができる。しかし、当業者であれば、構成および/または挙動データは、これらのパラメータに限定されることはなく、電池管理、熱管理、データ記憶管理、クロックなどの人工装具もしくは整形器具の動作に含まれる電子構成要素、または構成要素に含まれる電子要素に関係するデータを含み得ることが理解されよう。実施形態では、構成および/または挙動データは、制御モデルに対する入力の1つまたは複数の新しいソースを規定することができる、または構成および/または挙動データは、新しい制御モデルそれ自体を含むことができる。
【0020】
例示的な実施形態によれば、人工装具もしくは整形器具は、少なくとも1つのセンサ手段をさらに備える。人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを取得するステップは、少なくとも1つのセンサ手段からセンサデータを取得するステップを含む。
【0021】
この方法では、人工装具もしくは整形器具の動作の、かつ/または人工装具もしくは整形器具の環境の実際の使用データを収集することができる。感知したデータに基づいて、構成および/または挙動データを決定することは、ユーザに対する人工装具もしくは整形器具の快適さのより正確な調節を可能にする。それは、構成および/または挙動データを、各個々のユーザに適合させるようにすることができる。
【0022】
収集されたセンサデータの一部の処理は、人工装具もしくは整形器具の処理手段により、かつ/または通信モジュールの処理手段により行うことができるが、遠隔サーバは、さらなる処理を実施することができ、ここにおいて、遠隔サーバは、複数の人工装具もしくは整形器具から受信されたセンサデータをさらに考慮に入れることができる。したがって、更新された構成および/または挙動データを、複数の人工装具もしくは整形器具から受信された(任意選択で処理された)センサデータを用いて決定することができる。一部の構成および/または挙動データは、複数の人工装具もしくは整形器具に対して同様に適合させることができるが、他の構成および/または挙動データを、特に特定の個人に対して適合させ得ることに留意されたい。
【0023】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ手段は、ニューラルセンサ、角度感知手段、加速度計、ホールセンサ、力センサ、磁力計、圧力センサ、トルクセンサ、温度センサ、エネルギー計測手段、電流センサ、電圧センサ、湿度センサ、ソナーセンサ、EMGセンサ、気圧センサ、圧力センサのグリッド、EEGセンサ、RFIDセンサ、地理的位置特定センサのうちのいずれか1つ、または任意の組合せを備える。
【0024】
この方法では、人工装具もしくは整形器具の動作および/または環境に対して、様々なタイプのデータを収集することができる。選択されたセンサ手段に応じて、人工装具もしくは整形器具の状態を推定するために、センサデータを用いて、様々なアルゴリズムモデルを開発することができる。
【0025】
取得されるデータはまた、装着者の体内のインプラントから受信されたデータ、または人工装具もしくは整形器具の装着者により装着された別のデバイスから受信されたデータなど、センサデータ以外の他のデータを含むこともできることに留意されたい。
【0026】
例示的な実施形態によれば、制御モジュールは、少なくとも1つのセンサ手段のセンサデータに基づいて、力、抵抗、または動き生成デバイスを制御する。より具体的には、制御モデルは、少なくとも1つのセンサ手段の1つまたは複数のセンサから1つまたは複数の入力を受信することができ、また前記1つまたは複数のセンサ入力に基づいて、任意選択で他の入力と組み合わせて、出力を生成することができる。
【0027】
このように、人工装具もしくは整形器具の実際の使用を、力、抵抗、または動き生成デバイスにより、人工装具もしくは整形器具の動作を正確に適合させるために、直接考慮に入れることができる。加えて、制御モデルそれ自体、および/またはそこで使用される1つまたは複数のパラメータは、構成および/または挙動データの一部とすることができ、それは、1つまたは複数の整形器具もしくは人工装具から受信されたデータのクラウド処理に基づいて更新され、かつ個々のユーザに適合され得る。
【0028】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ手段は、複数のセンサを備える。前記複数のセンサの1つまたは複数のセンサは、構成および/または挙動データに基づいて制御モデルの入力を提供するように選択される。
【0029】
この方法では、力、抵抗、または動き生成デバイスを介して、人工装具もしくは整形器具の機械的な挙動および/または動作を、向上させた方法で調整するために、元も適切なセンサ、または1組のセンサを選択することができる。したがって、構成および/または挙動データに応じて、制御モデルの入力として、1つまたは複数のセンサの様々な組を使用することができる。加えて、または代替的に、環境データに応じて、制御モデルの入力として、1つまたは複数のセンサの様々な組を使用することもできる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ手段は、第1の組のセンサ手段と第2の組のセンサ手段とを備える。使用時における人工装具もしくは整形器具の活動モードに応じて、第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて第1の処理されたデータが決定され、かつ/または第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて第2の処理されたデータが決定され、前記第1および/または第2の処理されたデータは、遠隔サーバへと転送される。第1の組のセンサ手段は、第2の組のセンサ手段とは異なることができるが、第1および第2の組のセンサ手段は、共通の1つまたは複数のセンサ手段を有し得ることに留意されたい。さらに、第1の処理されたデータを得るための第1の処理方法は、第2の処理されたデータを得るための第2の処理方法とは異なることができる。
【0031】
この方法では、どの種類のセンサデータにどの種類の処理を行うべきかを決定するために、人工装具もしくは整形器具の活動モードが考慮される。その方法において、エッジにおける感知および処理する量は、活動モードの機能において、制限されかつ最適化され得る。
【0032】
活動モードとは、人工装具もしくは整形器具により、またはそれを介して、ユーザにより実施される動きのタイプを意味する。活動モードは、歩行パターンなどの動きの軌跡、動きの持続期間に基づいて、かつ/または動きの実行中に感知された様々なデータに基づいて規定することができる。活動モードはまた、活動レベルに、すなわち、ユーザがどれだけ活動的であるかに関連することができる。活動レベルは、例えば、感知された動きに基づいて決定することができる。例えば、活動モードは、立っている、一定の速度未満で歩いている、一定の速度超で歩いている、走っている、ジャンプしている、座っているなどと定義することもできる。
【0033】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ手段は、第1の組のセンサ手段と第2の組のセンサ手段とを備える。人工装具もしくは整形器具の現在の活動モード、および/または現在の環境データ、および/または現在の位置データに応じて、第1の処理されたデータは、第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、かつ/または第2の処理されたデータは、第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、また前記第1および/または第2の処理されたデータは、遠隔サーバに転送される。第1の組のセンサ手段は、第2の組のセンサ手段とは異なっているが、第1および第2の組のセンサ手段は、共通の1つまたは複数のセンサ手段を有し得ることに留意されたい。さらに、第1の処理されたデータを得るための第1の処理方法は、第2の処理されたデータを得るための第2の処理方法とは異なることができる。この方法では、ユーザの活動および/または環境および/または位置は、1つまたは複数の適切な組のセンサ手段を決定するために考慮に入れることができ、それは、通常、すべての利用可能なセンサ手段のサブセットになる。この方法では、処理電力を節約することができ、またその処理は、人工装具もしくは整形器具により、または通信モジュールによりローカルに、または遠隔サーバにより遠隔で、より効率的に行うことができる。
【0034】
位置データを決定するために、任意選択で、整形器具もしくは人工装具は、GPSモジュールを備えることができる。代替的に、位置データは、遠隔デバイスから受信することができる。
【0035】
別の実施形態では、少なくとも1つのセンサ手段は、第1の組のセンサ手段と第2の組のセンサ手段とを備え、また第1の処理されたデータは、第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、第1の優先順位に関連付けられ、また第2の処理されたデータは、第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づいて決定され、第2の優先順位に関連付けられ、ここにおいて、第1および/または第2の処理されたデータを遠隔サーバに転送するタイミングは、関連付けられた優先順位レベルに基づく。
【0036】
その方法において、高い優先順位レベルを有する処理されたデータは、例えばさらに、利用可能な帯域幅が限られているときにも、遠隔サーバに送ることができるが、優先順位の低いレベルを有する他の処理されたデータは、十分な帯域幅が利用可能であるときに限って送ることができる。
【0037】
好ましい実施形態によれば、方法は、人工装具もしくは整形器具の処理手段により、データ記憶手段に記憶された人工装具もしくは整形器具の動作に、および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを処理し、前記処理されたデータをデータ記憶手段に記憶するステップをさらに含む。データを遠隔サーバに転送するステップは、通信モジュールを用いて、処理されたデータの少なくとも一部を遠隔サーバに転送するステップを含む。
【0038】
この方法では、遠隔サーバに対する処理負担を軽減することができ、また遠隔サーバに転送されるデータの量は、例えば、生データに代えて、処理されたデータを送ることにより、減少され得る、処理手段によるデータの処理は、人工装具もしくは整形器具から取得されたデータを記憶したとき、または遅延させた後に実施することができる。処理手段によるデータの処理は、遠隔サーバへのデータ転送の直前に、または遠隔サーバへのデータ転送の前のかなりの時間に実施することができる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、通信モジュールは、有線接続を介して、人工装具もしくは整形器具に接続される。
【0040】
この方法では、通信モジュールによるデータ転送のための接続は、より信頼性があり、安全であり得る。
【0041】
好ましい実施形態によれば、通信モジュールは、別個のデバイスに、すなわち、人工装具もしくは整形器具と一体化されないデバイスに含まれる。
【0042】
この方法では、遠隔サーバへのデータ転送は、選択された時間に、すなわち、別個のデバイスの通信モジュールが人工装具もしくは整形器具に接続されたときに、実施することができ、人工装具もしくは整形器具のデータ転送の安全性を向上させることができる。実施形態では、通信モジュールは、複数の機能を有するデバイスの一部とすることもできる。別の実施形態では、通信モジュールは、遠隔サーバと通信するように構成された、例えば、アンテナユニットなど、独立したユニットのみとすることができる。実施形態に応じて、別個のデバイスは、可搬型の電池ユニット、モバイル通信デバイス、または家庭用に意図されたデバイスとすることができる。
【0043】
実施形態では、別個のデバイスに対するデータ転送方法がまた提供され、方法は、別個のデバイスの動作および/または別個のデバイスの環境に関するデータを取得するステップと、通信モジュールを用いて、取得されたデータ、および/または取得されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバに転送するステップとを含む。
【0044】
別個のデバイスの動作および/または環境に関するデータを収集することにより、別個のデバイスの、より具体的には、通信モジュールの使用を向上させるために、関係するデータを収集し、かつ使用することができる。記憶されるデータは直接取得された生データ、または直接取得されたデータに基づく処理されたデータとすることができる。別個のデバイスの動作に関するデータは、別個のデバイスの使用中に使用される制御データの記録、別個のデバイスのプロセッサへの、より具体的には通信モジュールへの入力、別個のデバイスを構成する様々な構成要素の物理特性、別個のデバイスの動作に使用されるアルゴリズム、別個のデバイスに対するソフトウェアデータ、または別個のデバイスに備えることのできるセンサ手段のセンサデータなどのデータとすることができ、前記センサ手段は、別個のデバイスの内部作業に関係する。別個のデバイスの環境に関するデータは、別個のデバイスに備えることのできるセンサ手段のセンサデータとすることができ、前記センサ手段は、別個のデバイスの周囲に関係する。
【0045】
取得されたデータおよび/または処理されたデータの少なくとも一部は、次いで、遠隔サーバへと転送され得る。データを遠隔サーバに転送することにより、データは、操作者が介入する必要なく、遠隔サーバのレベルにおいて、自動的に蓄積され得る。遠隔サーバで受信されたこのデータは、別個のデバイスの、より具体的には通信モジュールの能力を向上させるために使用することができる。実際に、データは、遠隔サーバで受信されるようになり、前記別個のデバイスに対する調節を行うことが可能になる。調節は、例えば、データを最適に送り、より早く、人工装具もしくは整形器具を充電することに関し、人工装具もしくは整形器具による、または別個のデバイスによるデータの処理時間を最適化することができる。
【0046】
例示的な実施形態によれば、別個のデバイスは、エネルギー充電デバイスであり、また人工装具もしくは整形器具は、エネルギー蓄積手段を備える。方法は、エネルギー充電デバイスによりエネルギー蓄積手段を充電するステップをさらに含む。
【0047】
この方法では、遠隔サーバとの通信は、人工装具もしくは整形器具の電気的な充電と同時に行うことができ、それは、さらに時間効率がよい。エネルギー充電デバイスは、固定充電デバイス、または可搬型のエネルギーデバイスとすることができる。さらに、エネルギー充電デバイスは、有線または無線で、例えば、電磁誘導で、人工装具もしくは整形器具を充電することができる。
【0048】
実施形態では、エネルギー充電デバイスは、配電網にプラグが差し込まれる固定充電デバイスとすることができ、また通信モジュールは、遠隔サーバと通信するためにWiFi接続またはイーサネット接続を使用し、人工装具もしくは整形器具は、例えば、充電し、同時に遠隔サーバにデータを転送するために夜間になど、使用されない時間中に、固定充電デバイスにプラグを差し込むことができる。別の実施形態では、エネルギー充電デバイスは、有線で人工装具もしくは整形器具に電気的に接続された、可搬型の電池デバイスなど、可搬型の充電デバイスとすることができ、また通信モジュールは、例えば、Bluetoothを用いるなど、人工装具もしくは整形器具に無線で接続することができ、また、例えば、WiFi、4G、5Gなど、遠隔サーバと無線で通信する。さらに別の実施形態では、エネルギー充電デバイスは、人工装具もしくは整形器具を、電磁誘導で充電するように構成することができ、ユーザは、自分に関連付けられた人工装具もしくは整形器具を、それを装着している間に、電磁誘導で充電することができる。当業者であれば、現在利用可能な技術を用いて、充電と通信の両方に対して構成されたエネルギー充電デバイスの様々な実施形態を実施できることが理解されよう。
【0049】
好ましい実施形態によれば、別個のデバイスは、通信モジュールに接続される第2のデータ記憶手段を備える。データを遠隔サーバに転送するステップは、記憶されたデータおよび/または記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を第2のデータ記憶手段に転送する第1のステップと、その後に、第2のデータ記憶手段に記憶されたデータ、および/またはそれに基づく処理されたデータの少なくとも一部を遠隔サーバに転送する第2のステップとを含む。
【0050】
この方法において、データ記憶手段に記憶されたデータ量は、定期的に転送することができ、したがって、データ記憶手段に蓄積されるデータ量を調整することができ、それは、人工装具もしくは整形器具の余分な構成要素部分を有することによる重量およびエネルギーの影響を減少させることができる。例えば、データ記憶手段にローカルに記憶され得るデータ量は、1日または2日分のデータなど、数日分のデータに相当し、また第2のデータ記憶手段に記憶され得るデータ量は、例えば、1、2週間など、より多い日数分のデータに相当する。実施形態では、データ記憶手段から第2のデータ記憶へとデータを転送することは、遠隔サーバにデータを転送する前に、遅延が行われる。例えば、転送することは、別個のデバイスが、配電網に接続されたとき行うことができる。遠隔サーバにデータを転送するとき、遠隔サーバに転送されるデータは、データ記憶手段および/または第2のデータ記憶手段から生ずることができる。
【0051】
例示的な実施形態によれば、別個のデバイスは、第2のデータ記憶手段に記憶されたデータを処理するように構成された第2の処理手段を備える。別個のデバイスの第2の処理手段は、処理されたデータを第2のデータ記憶手段に記憶するように構成される。
【0052】
この方法では、遠隔サーバ上の、かつ/または人工装具もしくは整形器具の処理手段における処理の負担を低減することができ、また遠隔サーバに転送されるデータ量は、例えば、生データに代えて、処理されたデータを送ることにより減少させることができる。第2の処理手段によるデータの処理は、人工装具もしくは整形器具から取得されたデータを記憶したとき、または遅延の後に実施することができる。第2の処理手段によるデータの処理は、遠隔サーバにデータを転送する直前に、または遠隔サーバへのデータ転送の前のかなりの時間に実施することができる。
【0053】
したがって、前処理および/またはさらなる処理は、別個のデバイスにおいて行うことができ、前処理、またはさらなる処理をされたものは、例えば、利用可能な帯域幅が十分高いとき、適切な時間に遠隔サーバへと送ることができる。別の言い方をすると、一定量のエッジコンピューティングを、別個のデバイス上で行うことができる。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、複数の別個のデバイスを、人工装具もしくは整形器具に関連付けることができる。例えば、実装された充電機能を有するが処理パワーがない、または限られた処理パワーを備える第1の別個のデバイス、および充電機能はないが、第1の別個のデバイスよりも多くの処理パワーを備える第2の別個のデバイスである。このような実施形態では、このタイプの処理には、通常、多くの計算能力を必要とするので、第2の別個のデバイスは、例えば、人工装具もしくは整形器具から受信されたデータに基づいて、自動学習を実施するように構成され得る。
【0055】
好ましい実施形態によれば、第2のデータ記憶手段に転送する第1のステップは、遠隔サーバに転送する第2のステップよりも高い頻度の時間間隔で実施される。
【0056】
この方法では、第2のデータ記憶手段は、データ記憶手段に記憶されたデータ量を管理するように働くことができる。通常、第2のデータ記憶手段は、データ記憶手段よりも大きくすることができ、したがって、データ記憶手段に記憶されるデータ量は、人工装具もしくは整形器具の使用に対するデータ記憶手段の影響を最小にするために、一定値より低く保つことができる。
【0057】
例示的な実施形態によれば、第2のデータ記憶手段に転送する第1のステップは、人工装具もしくは整形器具の実質的に不活動状態中に行われる。
【0058】
この方法において、データの転送は、人工装具もしくは整形器具の安定状態において達成され得る。実質的に不活動状態であることにより、それは、例えば、少なくとも3~5分など、所定の時間量の間、何も動きが行われないときの、人工装具もしくは整形器具の状態を意味する。実施形態では、実質的な不活動状態は、人工装具もしくは整形器具のエネルギー休止状態に対応することができる。別の実施形態では、実質的な不活動状態は、ユーザに取り付けられた人工装具もしくは整形器具が、その間は不動であった時間期間後の状態に相当することができる。
【0059】
例示的な実施形態によれば、通信モジュールが、人工装具もしくは整形器具に含まれる。
【0060】
この方法では、遠隔サーバへのデータ転送は、時間に対して、より柔軟に実施することができる。実施形態では、通信モジュールは、データを無線で転送することができ、また通信モジュールの利用可能な転送データレートが事前設定された閾値を超えていることを検出すると、データを転送することができる。別の実施形態では、通信モジュールは、データ記憶手段に記憶されたデータ量が事前設定された閾値を超えていることを検出すると、データを転送することができる。
【0061】
人工装具もしくは整形器具における通信モジュールに加えて、上記で述べた通信モジュールを備える別個のデバイスがあり得ることにさらに留意されたい。
【0062】
例示的な実施形態によれば、データを取得するステップは、人工装具もしくは整形器具の使用中に生成されたデータを収集することを含む。
【0063】
この方法では、使用中に生成されたデータは、データ記憶手段に直接記憶することができる。
【0064】
好ましい実施形態によれば、方法は、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するさらなるデータを取得するステップと、データ記憶手段において前に記憶されたデータに基づいて、さらに取得されたデータを記憶すべきかどうかを判定するステップとをさらに含む。
【0065】
この方法では、取得されたデータに対するフィルタリングを実施することができ、また記憶されたデータは、記憶されたデータの高い関連性を用いてより良好に管理され得る。実施形態では、判定するステップは、データ記憶手段に、同様のデータがすでに存在するかどうかに基づくことができる。例えば、人工装具もしくは整形器具の装着者が、例えば、歩行など、一定の時間量の間、同じ活動を行っていた場合、活動が変更されない限り、これ以上、さらなる取得されたデータを記憶しないことが決定され得る。その場合、活動モードごとに記憶されたデータ量は、事前設定された閾値より低く維持することができる。別の実施形態では、取得されたデータは、優先順位レベルに関連付けることができ、一定の優先順位レベルを超えるさらに取得されたデータだけが、記憶されるように選択される。
【0066】
例示的な実施形態によれば、データを遠隔サーバに転送することは、定期的に、好ましくは、毎日実施される。
【0067】
この方法では、記憶された取得されたデータは、高い信頼性で管理され、かつ転送することができる。
【0068】
例示的な実施形態によれば、人工装具もしくは整形器具または通信モジュールの識別情報が、遠隔サーバに転送されるデータに加えられる。
【0069】
その方法において、複数の人工装具もしくは整形器具が、遠隔サーバと通信するとき、異なる人工装具もしくは整形器具の間で区別を行うことができる。さらに、特定の人工装具もしくは整形器具のための構成および/または挙動データを判定することは、その人工装具もしくは整形器具から受信されたデータに基づいて行うことができるが、任意選択で、他の人工装具もしくは整形器具から受信されたデータも考慮に入れることができる。
【0070】
例示的な実施形態によれば、上記で参照された人工装具もしくは整形器具は、第1の人工装具もしくは整形器具に対応し、方法は、第2の人工装具もしくは整形器具により実施される以下のステップをさらに含む、すなわち、第2の人工装具もしくは整形器具の動作および/または第2の人工装具もしくは整形器具の環境に関する第2のデータを取得するステップと、取得された第2のデータおよび/または取得された第2のデータに基づく処理されたデータを記憶するステップと、第2の人工装具もしくは整形器具に接続された通信モジュールを用いて、記憶された第2のデータおよび/または記憶された第2のデータに基づく第2の処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバに転送するステップとをさらに含む。さらに、方法は、遠隔サーバにより実施される以下のステップを含むことができる、すなわち、
- 第1および第2の人工装具もしくは整形器具から受信された転送されたデータに基づいて、第1および第2の人工装具もしくは整形器具のそれぞれに対する第1および第2の構成ならびに/または挙動データを決定するステップと、
- 決定された第1および第2の構成ならびに/または挙動データを、第1および第2の人工装具もしくは整形器具にそれぞれ関連付けられた通信モジュールに送信するステップとを含むことができる。
【0071】
より具体的には、第1の人工装具もしくは整形器具のための第1の構成および/または挙動データを決定するステップは、第1の人工装具もしくは整形器具から受信された転送されたデータに基づくことができるが、任意選択で、第2の人工装具もしくは整形器具から受信されたデータに基づくこともできる。同様に、第2の人工装具もしくは整形器具のための第2の構成および/または挙動データを決定するステップは、第2の人工装具もしくは整形器具から受信された転送されたデータに基づくことができるが、任意選択で、第1の人工装具もしくは整形器具から受信されたデータに基づくこともできる。その方法において、構成および/または挙動データは、特定のユーザに合ったものにすることができるが、同時に、別のユーザが遭遇する問題を考慮に入れることもできる。
【0072】
例示的な実施形態は、本明細書で、2つの整形器具もしくは人工装具に対して述べられているが、当業者であれば、同様の方法は、2つを超える整形器具もしくは人工装具からのデータを用いて使用できることが理解される。さらに、ユーザを、例えば、活動モードおよび/または環境データおよび/または位置データに基づいて、遠隔サーバ上でグループに分類することができ、また遠隔サーバによるさらなる処理を、同じクラスに分類された一群のユーザから受信されたデータを用いて行うことができる。
【0073】
例示的な実施形態によれば、通信モジュールは、遠隔サーバと安全に通信するように構成される。例えば、通信モジュールは、データの安全性を保障するために何らかのデータが交換される前に、遠隔サーバとハンドシェークを実施するように構成することができる。任意選択で、暗号化キーなどの暗号化法を使用することができる。同様に、別個のデバイスが、上記のように使用される場合、整形器具もしくは人工装具のデータ記憶手段と、別個のデバイスの第2のデータ記憶手段との間、および/または第2のデータ記憶手段と遠隔サーバとの間で交換されるどのデータも安全に実行されることが好ましい。
【0074】
当業者であれば、上記で述べられた、データ転送方法の実施形態に対する技術的な考慮事項ならびに利点はまた、必要な変更を加えて、以下で述べられる対応するデータ処理方法の実施形態にも適用されることが理解されよう。
【0075】
本発明の第2の態様によれば、人工装具もしくは整形器具のためのデータ処理方法が提供される。遠隔サーバにおいて実施される方法は、通信モジュールからデータを受信するステップであって、前記データは、人工装具もしくは整形器具の動作に、および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータ、ならびに/または人工装具もしくは整形器具の動作に、および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関する前記データに基づく処理されたデータを含む、ステップと、受信されたデータに基づいて、人工装具もしくは整形器具を動作させるための構成および/または挙動データを決定するステップと、構成および/または挙動データを通信モジュールに送信するステップとを含む。
【0076】
構成および挙動データを人工装具もしくは整形器具に送り返すことにより、人工装具もしくは整形器具の現在の動作挙動を向上させるために、人工装具もしくは整形器具の前記現在の動作挙動を改変することができる。向上させることは、人工装具もしくは整形器具を用いるユーザの快適さ、エネルギー管理、温度管理、エラー管理などに関するものとすることができる。
【0077】
例示的な実施形態によれば、人工装具もしくは整形器具は、第1の人工装具もしくは整形器具に対応し、方法は、第2の人工装具もしくは整形器具に関連付けられた通信モジュールから第2のデータを受信するステップであって、前記第2のデータは、第2の人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータ、ならびに/または前記データに基づく処理されたデータを含む、ステップと、受信された第2のデータに基づき、かつ第1の人工装具もしくは整形器具から受信されたデータにさらに基づいて、第2の人工装具もしくは整形器具のための第2の構成および/または挙動データを決定するステップと、第2の構成および/または挙動データを、第2の人工装具もしくは整形器具に関連付けられた通信モジュールに送信するステップとをさらに含む。
【0078】
その方法では、構成および/または挙動データは、特定のユーザに合ったものにすることができるが、同時に、別のユーザが遭遇する問題を考慮に入れることもできる。
【0079】
例示的な実施形態は、本明細書では、2つの整形器具もしくは人工装具に対して述べられているが、当業者であれば、2つを超える整形器具もしくは人工装具からのデータを用いて同様の方法を使用できることが理解されよう。さらに、ユーザを、例えば、活動モード、および/または環境データ、および/または位置データなどに基づいて、遠隔サーバ上でグループに分類することができ、また遠隔サーバによるさらなる処理は、同じクラスにおいて分類された一群のユーザから受信されたデータを用いて行うことができる。
【0080】
当業者であれば、上記で述べられた、データ転送方法の実施形態およびデータ処理方法の実施形態に対する技術的な考慮事項ならびに利点もまた、必要な変更を加えて、以下で述べられる対応するシステムの実施形態にも適用されることが理解されよう。
【0081】
本発明の第3の態様によれば、人工装具もしくは整形器具、および通信モジュールを備えるシステムが提供される。システムは、上記で述べられたデータ転送方法で使用するためのものとすることができる。人工装具もしくは整形器具は、データ記憶手段、および処理手段を備える。データ記憶手段は、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを記憶するように構成される。通信モジュールは、記憶されたデータおよび/またはそれに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバに転送するように構成された通信インターフェースを備える。
【0082】
システムの好ましい実施形態は、請求項23から36で述べられている。
【0083】
当業者であれば、上記で述べられた、データ転送方法の実施形態、データ処理方法の実施形態、およびシステムの実施形態に対する技術的な考慮事項ならびに利点はまた、必要な変更を加えて、以下で述べられる対応するエネルギー充電デバイスの実施形態にも適用されることが理解されよう。
【0084】
本発明の第4の態様によれば、エネルギー蓄積手段を備える人工装具もしくは整形器具のためのエネルギー充電デバイスが提供される。エネルギー充電デバイスは、整形器具もしくは人工装具のエネルギー蓄積手段が充電されるように、人工装具もしくは整形器具の対応する電気的なインターフェースと協働するように構成された電気的なインターフェースと、人工装具もしくは整形器具のデータ記憶手段に記憶されたデータを受信し、かつ遠隔サーバと通信するように構成された通信モジュールとを備える。
【0085】
例示的な実施形態によれば、エネルギー充電デバイスは、人工装具もしくは整形器具から受信されたデータを処理するように構成された処理手段を備える。
【0086】
この処理手段は、上記で述べられた第2の処理手段の実施形態のいずれか1つに対応することができる。
【0087】
例示的な実施形態によれば、エネルギー充電デバイスは、配電網に接続されるように構成された第2の電気的インターフェースを備える。
【0088】
この第2の電気的なインターフェースは、人工装具もしくは整形器具に配電網から電力を直接提供するために、任意選択で、人工装具もしくは整形器具に供給するために配電網の電力を適切な電力レベルへと変換するための変換器手段を介して、使用することができる。代替的に、または加えて、エネルギー充電デバイスは、電池を備えることができ、また第2の電気的なインターフェースは、電池を充電するために使用することができる。電池は、次いで、人工装具もしくは整形器具に電力を提供するために使用することができる。
【0089】
当業者であれば、上記で述べられた、データ転送方法の実施形態、データ処理方法の実施形態、システムの実施形態、およびエネルギー充電デバイスの実施形態に対する技術的な考慮事項ならびに利点はまた、必要な変更を加えて、以下で述べられる医療用デバイスの実施形態に対する対応するデータ転送方法にも適用されることが理解されよう。
【0090】
本発明の第5の態様によれば、人体に取り付けられるように構成された医療用デバイスに対するデータ転送方法が提供される。医療用デバイスは、データ記憶手段および処理手段を備える。処理手段により実施される方法は、医療用デバイスの動作に、および/または医療用デバイスの環境に関するデータを取得するステップと、取得されたデータをデータ記憶手段に記憶するステップと、医療用デバイスに接続された通信モジュールを用いて、記憶されたデータおよび/または記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を遠隔サーバに転送するステップとを含む。好ましくは、通信モジュールは、別個のデバイスに含まれ、また別個のデバイスは、上記で述べられた特徴のいずれか1つを有することができる。例えば、別個のデバイスは、上記で述べられたエネルギー充電デバイスとすることができる。
【0091】
本発明のさらなる態様によれば、プログラムがコンピュータで実行されたとき、または上記で開示された諸実施形態のいずれか1つにおけるステップのいずれか1つに従って、方法を実行するコンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0092】
本発明のさらなる態様によれば、上記で開示された方法の実施形態のいずれか1つにおける1つまたは複数のステップを実行するようにプログラムされたコンピュータデバイスなどのハードウェアデバイスが提供される。別の態様によれば、上記で開示された方法の実施形態のいずれか1つにおける1つまたは複数のステップを実行するために、プログラムを、機械可読な、かつ機械で実行可能な形態に符号化するデータ記憶デバイスが提供される。
【0093】
本発明のこの、および他の態様が、次に、現在の好ましい実施形態を示す添付された図面を参照して、より詳細に述べられる。図面の全体を通して同様の番号は、同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】人工装具もしくは整形器具のためのデータ転送方法およびデータ処理方法の例示的な実施形態の流れ図である。
【
図2】遠隔サーバと通信する人工装具もしくは整形器具を備えるシステムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図3】複数の人工装具もしくは整形器具を備えるネットワークシステムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図4】エネルギー充電デバイス、および人工装具もしくは整形器具の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図5】人工装具もしくは整形器具において実現される制御モジュールの別の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本発明によるデータ転送方法の例示的な実施形態と、データ処理方法の例示的な実施形態との流れ図を示す。データ転送方法およびデータ処理方法は、人工装具もしくは整形器具のためのものである。人工装具もしくは整形器具は、データ記憶手段および処理手段を含む。人工装具もしくは整形器具のデータ記憶手段に接続された通信モジュールは、遠隔サーバと通信する。人工装具もしくは整形器具は、対象であるヒトまたは動物の体肢を機能的に支援する、高める、かつ/または置き換えるように、または対象であるヒトまたは動物の体もしくは体の一部を強化するように構成され得る。したがって、整形器具という用語は、体肢の病変を有する人を支援するために使用されるデバイスと、身体的に健常な装着者の遂行能力を強化するデバイスとの両方を指すために使用される。したがって、整形器具といえば、これは、体肢の病変を有する人ならびに外骨格を支援するために使用される整形器具であり得る。
【0096】
人工装具もしくは整形器具は、整形器具もしくは人工装具の構成要素の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための作動器および/または制動器など、力、抵抗、または動き生成デバイスを備えることができる。このような力、抵抗、または動き生成デバイスを制御するように構成された制御モジュールを備える人工装具もしくは整形器具においては、様々なパラメータが検討され得る。例えば、パラメータは、センサデータなど、様々に考慮される入力に対する重み付けとして、フィードバックループにおいて使用することができる。作動器および/または制動器などの力、抵抗、または動き生成デバイスは、その場合、フィードバックループに基づいて、能動的に、または受動的に制御される。
【0097】
第1のステップS11において、方法は、人工装具もしくは整形器具の動作に、および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを取得するステップを含む。人工装具もしくは整形器具の動作に関するデータは、人工装具もしくは整形器具の使用中に使用された制御データの記録、人工装具もしくは整形器具の処理手段への入力、人工装具もしくは整形器具を構成する様々な部分の物理特性、人工装具もしくは整形器具の動作に対して使用されるアルゴリズム、または人工装具もしくは整形器具に備えることのできるセンサ手段が感知したデータなどのデータとすることができ、前記センサ手段は、人工装具もしくは整形器具の動作に関係する。人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータは、人工装具もしくは整形器具に備えることのできるセンサ手段のセンサデータとすることができ、前記センサ手段は、人工装具もしくは整形器具の周囲に関係する。実施形態では、環境に関するデータは、人工装具もしくは整形器具のユーザに植え込まれたニューラルセンサからの信号に関係することができ、前記信号は、例えば、人工装具もしくは整形器具のための動きのコマンドを含む。さらに、人工装具もしくは整形器具はまた、信号をニューラルセンサに送ることもできる。
【0098】
実施形態では、人工装具もしくは整形器具は、少なくとも1つのセンサ手段を備えることができ、またデータを取得するステップは、少なくとも1つのセンサ手段からのセンサデータを取得することを含むことができる。実施形態に応じて、少なくとも1つのセンサ手段は、角度感知手段、加速度計、ホールセンサ、力センサ、磁力計、圧力センサ、トルクセンサ、温度センサ、エネルギー計測手段、電流センサ、電圧センサ、湿度センサ、ソナーセンサ、EMGセンサ、気圧センサ、圧力センサのグリッド、EEGセンサ、RFIDセンサ、ニューラルセンサ、地理的位置特定センサのうちのいずれか1つ、または任意の組合せを備えることができる。
【0099】
好ましくは、データを取得する第1のステップS11は、人工装具もしくは整形器具の使用中に実施することができる。しかし、一部のデータはまた、その後の時間に取得することもできる。
【0100】
第2のステップS12では、方法は、取得されたデータをデータ記憶手段に記憶するステップを含む。取得されたデータは、データ記憶手段に記憶された、人工装具もしくは整形器具の動作に、および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関する生データまたは処理されたデータとすることができる。任意選択で、記憶されたデータは、ステップS12の後に、かつステップS13の前にさらに処理することができる。ステップS11で取得されたデータのすべては、さらに処理され得る、またはその一部だけが処理され得る。処理は、人工装具もしくは整形器具の処理手段により、かつ/または通信モジュールを備える別個のデバイスに含まれる第2の処理手段により実施され得るが、それは、以下でさらに説明する。
【0101】
取得されたデータを記憶するステップS12は、データ記憶手段に記憶されたデータに基づき、記憶される取得されたデータの一部を選択することを含むことができる。実施形態では、取得されたデータの一部を選択することは、人工装具もしくは整形器具の活動モードに対応する収集されたデータ量に基づくことができ、事前設定された閾値未満のデータ量を有する活動モードに対応するデータだけが、記憶され得る。活動モードとは、人工装具もしくは整形器具により、またはそれを介して、ユーザにより実施される動きのタイプが意味される。活動モードは、動きの軌跡、動きの持続時間、および/または動きの実行中に感知されたセンサデータ値に基づいて定義することができる。別の実施形態では、取得されたデータは、優先順位レベルに関連付けることができ、一定の優先順位レベルを超えるデータだけが、選択されて記憶され得る。例えば、人工装具もしくは整形器具の動作中における出来事に関して取得されたデータは、高い優先順位レベルに関連付けられ、記憶されるように選択することができる。
【0102】
通信モジュールは、通信モジュールに接続された第2のデータ記憶手段を備える別個のデバイスに含まれ得る。ステップS12は、記憶されたデータおよび/または記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を第2のデータ記憶手段に転送するステップを含むことができる。通常、人工装具もしくは整形器具のデータ記憶手段に記憶され得るデータ量は、数日分のデータに相当し、また通信モジュールに接続された第2のデータ記憶手段に記憶され得るデータ量は、より多数の日数分のデータに相当する。データ記憶手段から第2のデータ記憶手段へと転送することは、ステップS11を実施すると実施される、またはその後の時間に実施され得る。実施形態では、データ記憶手段からのデータは、第2のデータ記憶手段に転送される前に処理手段により処理することができ、かつ/または第2の処理手段により処理することができる。
【0103】
通常、第2のデータ記憶手段は、データ記憶手段よりも大きくすることができ、したがって、データ記憶手段は、人工装具もしくは整形器具へのデータ記憶手段の影響を最小化するために、一定サイズ未満に保持され得る。
【0104】
加えて、少なくとも1つのセンサ手段は、第1の組のセンサ手段と、第2の組のセンサ手段とを備えることができる。第1の組のセンサ手段および第2の組のセンサ手段は、部分的に同じセンサ手段から構成することができる、または全く異なるセンサ手段から構成することができる。第1の組のセンサ手段および/または第2の組のセンサ手段から取得され、記憶されたデータが処理され得る。処理されたデータは、第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づく第1の処理されたデータと、第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づく第2の処理されたデータとを含むことができる。第1の処理されたデータまたは第2の処理されたデータのいずれが考慮されるかに応じて、処理されたデータの用途は異なり得る。実施形態では、第1の組のセンサ手段からのデータは、第2の組のセンサ手段からのデータとは異なって処理することができる。別の実施形態では、第1の処理されたデータおよび第2の処理されたデータは、例えば、環境センサ手段、動作センサ手段など、異なるタイプのセンサ手段から、生ずることができる。さらに別の実施形態では、第1の処理されたデータは、人工装具もしくは整形器具の処理手段により処理されており、また第2の処理されたデータは、第2の処理手段により処理されたものとすることができる。
【0105】
第3のステップS13では、方法は、人工装具もしくは整形器具に接続された通信モジュールを用いて、記憶されたデータおよび/または記憶されたデータに基づく処理されたデータの少なくとも一部を遠隔サーバに転送するステップを含む。ステップS13は、S12を実施した直後に実施することができる、またはその後の時間に実施することができる。遠隔サーバへの転送は、定期的に、好ましくは毎日、行うことができる。
【0106】
遠隔サーバに転送するステップS13は、第2のデータ記憶手段へと転送する第1のステップを含むことができ、前記第1のステップは、人工装具もしくは整形器具の実質的に不活動状態中に実施することができる。実質的に不活動状態であるとは、所定の時間量の間に実施される動きがない場合の人工装具もしくは整形器具の状態を意味する。実施形態では、実質的に不活動状態とは、人工装具もしくは整形器具のスリープ状態に相当し得る。別の実施形態では、実質的に不活動状態は、ユーザに取り付けられた人工装具もしくは整形器具が、その間は不動であった時間期間後の状態に相当し得る。
【0107】
実施形態では、記憶された取得されたデータは、処理することができ、記憶された取得されたデータが処理されると、ステップS13の転送が実施され得る。別の実施形態では、記憶された取得されたデータを処理することができ、記憶された取得されたデータを処理した後に遅延させた後、ステップS13の転送を実施することができる。
【0108】
取得され、かつ/または処理され、記憶されたデータは、データの関連性および/または緊急性に応じて、異なる優先順位に関連付けることができ、高い優先順位レベルを有するデータは、低い優先順位レベルを有するデータの前に遠隔サーバに転送することができる。例えば、第1の処理されたデータおよび第2の処理されたデータは、異なる優先順位レベルに関連付けることができる。
【0109】
人工装具もしくは整形器具は、データ記憶手段を備え、通信モジュールはまた第2のデータ記憶手段に接続することができる。データを遠隔サーバに転送するとき、ステップS13において遠隔サーバに転送されるデータは、データ記憶手段から、かつ/または第2のデータ記憶手段から生じたものとすることができる。実施形態では、データ記憶手段に記憶されたデータは、第2のデータ記憶手段に転送することができ、第2のデータ記憶手段に転送するステップは、第2のデータ記憶手段からデータを遠隔サーバに転送するステップよりも頻繁な時間間隔で実行することができる。
【0110】
人工装具もしくは整形器具および通信モジュールを備える人工装具もしくは整形器具システムで実施されるステップS13の後、転送されたデータは、遠隔サーバにおいて処理することができる。遠隔サーバで実施される方法は、通信モジュールからデータを受信するステップS21を備え、前記データは、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータ、ならびに/あるいは人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関する前記データに基づく処理されたデータを含む。
【0111】
方法は、受信されたデータに基づいて、人工装具もしくは整形器具を動作させるための構成および/または挙動データを決定するステップS22をさらに含む。構成および/または挙動データは、様々な方法で前記受信データを処理することにより決定することができる。構成および/または挙動データは、様々な電子構成要素の動作に、または人工装具もしくは整形器具に含まれる電子要素を含む構成要素の動作に関連することができる。
【0112】
実施形態では、構成および/または挙動データは、人工装具もしくは整形器具の、作動器または制動器のような力、抵抗、または動き生成デバイスの動作に関連する。作動器または制動器は、人工装具もしくは整形器具の構成要素の動作に影響することができる。使用中に、作動器または制動器のアクションを、作動器または制動器の制御を行うためのフィードバックループに影響する1組のパラメータに基づいて規定することができる。構成および/または挙動データは、人工装具もしくは整形器具のより自然な動きを取得するために、1組のパラメータの少なくとも一部に対する新しい値を含むことができる。通常、挙動データは、人工装具もしくは整形器具の外部動作を決定する、すなわち、ユーザが実施しているアクションまたは活動に対して、または環境的特性(例えば、地面、階段、スロープのタイプ、人工装具もしくは整形器具を装着している人に関する情報など)に応じて、人工装具もしくは整形器具がどのように挙動するかを決定する。挙動データは、整形器具もしくは人工装具の構成要素の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための、力、抵抗、または動き生成デバイスの動作を制御するための制御モデルなど、ソフトウェアコードを含むことができる。
【0113】
ステップS21の受信されたデータを用いずに、構成および/または挙動データを取得できることに留意されたい。別の実施形態では、構成および/または挙動データは、ステップS21の前の時間に受信された履歴データにさらに基づいて取得することができる。さらに別の実施形態では、構成および/または挙動データは、受信されたデータに依存することなく、取得することができる。
【0114】
方法は、構成および/または挙動データを通信モジュールに送るステップS23をさらに含む。
【0115】
遠隔サーバで実施されるステップS23の後、人工装具もしくは整形器具システムで実施される方法は、通信モジュールを用いて、遠隔サーバから構成および/または挙動データを受信するステップS14をさらに含むことができる。
【0116】
図2は、人工装具もしくは整形器具100を備えるシステムと、通信モジュール230を備える別個のデバイス200の例示的な実施形態を示す。しかし、他の実施形態では、通信モジュール230を、人工装具もしくは整形器具100に含めることもできる。
【0117】
人工装具もしくは整形器具100は、データ記憶手段120と、処理手段110とを備える。データ記憶手段120は、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するデータを記憶するように構成される。通信モジュール230は、記憶されたデータおよび/またはそれに基づく処理されたデータの少なくとも一部を、遠隔サーバ300に転送するように構成された通信インターフェースを備える。遠隔サーバ300は、転送されたデータに基づいて、構成および/または挙動データを決定するように構成され、また通信モジュール230は、構成および/または挙動データを、遠隔サーバ300から受信するように構成される。
【0118】
整形器具もしくは人工装具100は、整形器具もしくは人工装具の構成要素170の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための、作動器または制動器のような力、抵抗、または動き生成デバイス150と、制御モデルに従って、力、抵抗、または動き生成デバイス150を制御するように構成された制御モジュール140とを備えることができる。制御モジュール140は、分離されたモジュールである必要はなく、それは、処理手段110と一体化され得ることに留意されたい。遠隔サーバ300から受信された構成および/または挙動データは、制御モジュール140により使用される制御モデルを適合させるために使用することができる。
【0119】
人工装具もしくは整形器具100は、人工装具もしくは整形器具の動作および/または人工装具もしくは整形器具の環境に関するセンサデータを取得するための少なくとも1つのセンサ手段130をさらに備え、またデータ記憶手段120は、センサデータおよび/またはセンサデータに基づく処理されたデータを記憶することができる。
【0120】
制御モジュール140は、制御モデルに従って、少なくとも1つのセンサ手段130のセンサデータに基づき、力、抵抗、または動き調整デバイス150を制御するように構成される。通常、少なくとも1つのセンサ手段130は、複数のセンサを備え、ここにおいて、制御モジュール140は、構成および/または挙動データに基づいて、制御モデルの入力として、前記複数のセンサ130のうちの1つまたは複数のセンサを選択するように構成される。
【0121】
少なくとも1つのセンサ手段130は、第1の組のセンサ手段、および第2の組のセンサ手段を備えることができ、また処理手段110は、使用時の人工装具もしくは整形器具100の活動モードに応じて、第1の組のセンサ手段からのセンサデータに基づく第1の処理されたデータ、および/または第2の組のセンサ手段からのセンサデータに基づく第2の処理されたデータを決定するように構成することができる。この方法では、データ記憶手段120に記憶され、かつ任意選択で、遠隔サーバ300に転送されるデータは、現在の活動モードに適するように適合され得る。例えば、個人が、立っている、歩いている、それとも走っているかどうかに応じて、異なるデータを感知し、かつ/または感知されたデータを異なる方法で処理することが望ましい場合がある。
【0122】
好ましくは、通信モジュール230は、有線接続により、人工装具もしくは整形器具100に接続される。
【0123】
示された実施形態において、別個のデバイス200は、エネルギー充電デバイスであり、人工装具もしくは整形器具100は、エネルギー蓄積手段160を備える。エネルギー充電デバイス200は、例えば、エネルギー変換手段および/または電池などの充電手段240を備え、それは、エネルギー蓄積手段160を充電するように構成される。
【0124】
別個のデバイス200は、通信モジュール230に接続された第2のデータ記憶手段220と、第2のデータ記憶手段220に記憶されたデータを処理するように構成され、かつ処理されたデータを第2のデータ記憶手段220に記憶するように構成された第2の処理手段210とを備える。示された実施形態では、通信モジュールは、別個のデバイス200に含まれるが、他の実施形態では、通信モジュールは、人工装具もしくは整形器具100に含まれる。その場合、第2の処理手段210は、処理手段110に統合することができ、第2のデータ記憶手段220も、データ記憶手段120に統合され得る。
【0125】
処理手段110および/または第2の処理手段210は、人工装具もしくは整形器具100の、または通信モジュール230/別個のデバイス200の識別情報を、遠隔サーバ300に転送されるデータに加えるように構成されることが好ましい。
【0126】
図3は、複数の人工装具もしくは整形器具100、100'、100"を備える例示的な実施形態を示す。各人工装具もしくは整形器具100、100'、100"は、各人工装具もしくは整形器具100、100'、100"の動作および/または各人工装具もしくは整形器具100、100'、100"の環境に関するデータを記憶するための各データ記憶手段を備える。各人工装具もしくは整形器具100、100'、100"は、記憶されたデータおよび/またはそれに基づく処理されたデータの少なくとも一部を遠隔サーバ300に転送するように構成された通信インターフェースを備える各通信モジュール230、230'、230"に関連付けられる。遠隔サーバ300は、複数の人工装具もしくは整形器具100、100'、100"から受信された転送されたデータに基づいて、各人工装具もしくは整形器具100、100'、100"に対する各構成および/または挙動データを決定するように、かつ各構成および/または挙動データを、各人工装具もしくは整形器具100、100'、100"に関連付けられた各通信モジュール230、230'、230"に送信するように構成される。
【0127】
より具体的には、第1の人工装具もしくは整形器具100に対する構成および/または挙動データを決定することは、第1の人工装具もしくは整形器具100から受信された転送されたデータに基づくことができるが、任意選択でさらに、1つまたは複数の他の人工装具もしくは整形器具100'、100"から受信されたデータに基づくこともできる。同様に、第2の人工装具もしくは整形器具100'に対する構成および/または挙動データを決定することは、第2の人工装具もしくは整形器具100'から受信された転送されたデータに基づくことができるが、任意選択でさらに、1つまたは複数の他の人工装具もしくは整形器具100、100"から受信されたデータに基づくこともできる。その方法において、構成および/または挙動データは、特定のユーザに合ったものにすることができるが、同時に、別のユーザが遭遇する問題を考慮に入れることもできる。
【0128】
人工装具もしくは整形器具100、100'、100"は、上記の実施形態のいずれか1つで述べられたように実現することができる。通信モジュール230、230'、230"は、別個のデバイスに含めることができる、または上記の実施形態のいずれか1つに記載のように、人工装具もしくは整形器具100、100'、100"に含めることができる。
【0129】
図4は、装着者から外された状態にある人工装具100と、配電網400に接続された別個のデバイス200とを備えるシステムの例示的な実施形態を示す。
【0130】
人工装具100は、ヒンジ継手システムを備え、対象であるヒトの蝶番関節と機能的に置き換えるように意図される。この特定の場合では、人工装具100は、経脛骨(transtibial)または経大腿骨(transfemoral)的に、人の足と置き換えるための足から足首にかけての人工装具である。ヒンジ継手システムは、第1の部材3および第2の部材4を備え、それらは、互いに回転運動するように相互接続される。第2の部材4は、当事者の喪失した足と置き換える人工的な足を形成する。2つのレバーアーム35および36は、足首軸BB'の回りで枢動する。足4は、クランクスライダ機構を介してレバーアーム35に接続される。足部分4において、またより正確には、クランクスライダ機構のスライダ66において、ばね67があり、それは、人工装具100が、受動モード(作動器55が作動されないとき。以下を参照のこと)で、効率的なESR足として機能できるようにする。
【0131】
人工装具100は、例えば、モータなど、弾性要素56と直列に挿入された作動器55として実現される力、抵抗、または動き生成デバイスを備える。人工装具100は、クラッチ組立体22を備える運動制御機構をさらに備える。作動器55(
図2の力、抵抗、または動き生成デバイス150の例に相当する)は、運動制御機構の1つまたは複数の中間要素(それは、
図2の構成要素170の例に相当する)を動作させるための機械的なエネルギーを提供する。作動器55は、1つの手段として働くことができ、それにより、一方で、動作の接触モードと動作の解放モードの間で運動制御機構を切り替えるべく十分に高いエネルギーレベルに達することができるようにエネルギーを蓄積することができ、他方では、この切替えのタイミングを制御することができる。
【0132】
人工装具100は、参照により本明細書に含まれるWO2016009308に開示される特徴の任意の1つまたは複数のものを有することができる。
【0133】
別個のデバイス200は、例えば、
図2に関して上記で述べられたように実現することができる。別個のデバイス200の様々な構成要素は、別個のデバイス200を配電網400に接続するための接続インターフェース251、人工装具100に電力を提供するための接続インターフェース252、および人工装具100とデータを交換するための接続インターフェース253など、いくつかの接続インターフェースを備えるハウジングに含まれ得る。接続インターフェース251は、
図2に関して上記で述べられた充電手段240を介して接続インターフェース252に接続することができる。
【0134】
図5は、整形器具もしくは人工装具が、整形器具もしくは人工装具の構成要素(図示せず)の機械的な挙動および/または動作に影響を与えるための、作動器または制動器など、力、抵抗、または動き生成デバイス150と、制御モデルに従ってデバイス150を制御するように構成された制御モジュール140とを備える例を示す。遠隔サーバから受信された構成および/または挙動データは、制御モデルを修正するために使用することができる。
【0135】
制御モデル140は、1つまたは複数の入力を受信し、かつ1つまたは複数の入力に基づいて、1つまたは複数の重み付けパラメータを使用して1つまたは複数の出力を生成することができる。制御モデルは、例えば、人工知能の技術的領域において知られるように、制御ポリシーを定義することができる。例えば、1つまたは複数の入力は、1つまたは複数のセンサ130の出力を、かつ/または1つまたは複数のセンサ130の出力に基づく処理されたデータを、かつ/または他のデータ入力を含むことができる。例えば、センサデータは、例えば、人が平坦な地面を歩いているのか、それともスロープ上を歩いているのか、人が立っているのか、歩いているのか、それとも走っているのかなどの活動モードなど、人工装具の1つまたは複数の動作カテゴリを決定するために、検出アルゴリズムに従ってさらに処理することができる。これらの1つまたは複数の動作カテゴリは、その場合、制御モデルに入力することができる。制御モデルは、様々な入力に関連付けられた1つまたは複数の重み付けパラメータを使用することができる。制御モデルの1つまたは複数の出力は、制御モデル140に、デバイス150の機械的な影響を制御できるようにする。重み付けパラメータは、適応型制御に使用することができ、また異なる組の重み付けは、人工装具もしくは整形器具の活動モードに基づいて、かつ人工装具もしくは整形器具により達成された動作に基づいて規定することができる。
【0136】
任意選択で、制御モジュール140はまた、遠隔デバイスに転送されるように、データ記憶手段に記憶されるデータを出力することもできる。
【0137】
実施形態では、構成および/または挙動データは、制御モデルに対する1つまたは複数の新しい入力源、および/または新しい制御モデルそれ自体、および/または制御モデルにより使用される1つまたは複数のパラメータを規定することができる。
【0138】
本発明の原理が、特定の実施形態に関して上記に記載されてきたが、この記述は、単に例として行われたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0139】
3 第1の部材
4 第2の部材、足
22 クラッチ組立体
35 レバーアーム
36 レバーアーム
55 作動器
56 弾性要素
66 スライダ
67 ばね
100、100'、100" 人工装具もしくは整形器具
110 処理手段
120 データ記憶手段
130 センサ手段
140 制御モジュール(制御モデル)
150 力、抵抗、または動き生成デバイス
160 エネルギー蓄積手段
170 構成要素
200 別個のデバイス
210 第2の処理手段
220 第2のデータ記憶手段
230、230'、230" 通信モジュール
240 充電手段
251 接続インターフェース
252 接続インターフェース
253 接続インターフェース
300 遠隔サーバ
400 配電網
BB' 足首軸
【国際調査報告】