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特表2023-554173改良された付着性、突き刺し耐性、順応性、及び柔軟性を持つ付着防止ベルト
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  • 特表-改良された付着性、突き刺し耐性、順応性、及び柔軟性を持つ付着防止ベルト 図1
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  • 特表-改良された付着性、突き刺し耐性、順応性、及び柔軟性を持つ付着防止ベルト 図12B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】改良された付着性、突き刺し耐性、順応性、及び柔軟性を持つ付着防止ベルト
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/12 20060101AFI20231219BHJP
   B65G 15/30 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B32B27/12
B65G15/30 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558302
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021061825
(87)【国際公開番号】W WO2022120180
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/121,092
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523209379
【氏名又は名称】エーエフシー スペシャリティ コーティングス グループ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム クリストファー ルイス
(72)【発明者】
【氏名】バートン アール.ルイス
(72)【発明者】
【氏名】マルコム スウィフト
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェイムズ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】イスマエル サロモン
【テーマコード(参考)】
3F024
4F100
【Fターム(参考)】
3F024AA10
3F024CB04
4F100AG00B
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK17C
4F100AK18C
4F100AK47B
4F100AK49B
4F100AK52C
4F100AK54B
4F100AK55B
4F100AK56B
4F100AK57B
4F100AL09C
4F100AN02C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DG01B
4F100DG12B
4F100EH46
4F100EJ20
4F100GB90
4F100JB16C
4F100JL06A
4F100YY00B
(57)【要約】
ベルト及び/又はプレス作業で用いるための、例えば、生地のプレス又はプラスチックシートの溶着又は切断のための、フレキシブル付着防止材料。上記材料は、付着防止ポリマーがコーティングされており、かつ厚み15ミル又はそれ未満である、フレキシブル基材を備えており、上記フレキシブル基材は、斜子織り又は朱子織りの織物を備える。織物は、ガラス繊維の糸及び/又は高耐熱ポリマー材料の糸を備える。付着防止コーティングは、フッ素系ポリマー、シリコーンゴム、及び/又は高耐熱性を有するプラスチックである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着防止ポリマーがコーティングされており、かつ厚さ15ミル又はそれ未満である、フレキシブル基材を備える、プレス作業用のフレキシブル付着防止材料であって、前記フレキシブル基材は、斜子織り又は朱子織りの織物を備えている、プレス作業用のフレキシブル付着防止材料。
【請求項2】
前記織物は、ガラス繊維の糸、及び/又はアラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、若しくはそれらの混合物から選択されたポリマー材料の糸を備えている、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項3】
前記織物は、2又はそれよりも多くの横糸と交互に織り合わされた2又はそれよりも多くの縦糸を含む、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項4】
前記織物は、第1方向に延びている繊維であって、第2方向に延びている複数の繊維のうちの1つの下を通過する前に、第2方向に伸びている複数の繊維のうちの少なくとも3つの上に延びている繊維を含む、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項5】
前記織物は、少なくとも2×2の斜子織りを備えている、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項6】
前記織物は、4~8ハーネスの朱子織りを備えている、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項7】
4~8ハーネスの朱子織りの粗い面の上に、滑らかな面の上のポリマーコーティングより厚いポリマーコーティングを更に備えている、請求項6に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項8】
フッ素系ポリマー、例えばフッ素系プラスチック、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、若しくは350°F(177℃)以上の耐熱性を有する熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物の付着防止ポリマーコーティングを更に備えている、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項9】
前記材料が、連続コンベアベルト又は張力をかけたプレスプラテンである、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項10】
前記プレス作業は、食品のプレス又はプラスチックの溶着から選択され、かつ前記フレキシブル付着防止材料は、プレスされる物体、好ましくは、ボール状の生地又は2つの重ね合わされたプラスチックシートを支持する、請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項11】
プレス作業における請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料の使用。
【請求項12】
前記プレス作業が、生地のプレス又はプラスチックの溶着プレスである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1に記載のフレキシブル付着防止材料の使用方法であって、
プレスプラテンの下に前記フレキシブル付着防止材料を供給すること;
前記フレキシブル付着防止材料の上であってプレスプラテンの下に、プレスされる物体を供給すること;及び
前記フレキシブル付着防止材料の上の前記物体を、前記プレスプラテンでプレスすること、
を含む、フレキシブル付着防止材料の使用方法。
【請求項14】
付着防止ポリマーがコーティングされており、かつ厚さ15ミル又はそれ未満である、フレキシブル基材を備える、フレキシブルベルトであって、前記フレキシブル基材は、2×2の斜子織り又は4~8ハーネスの朱子織りの織物を少なくとも備えている、フレキシブルベルト。
【請求項15】
前記織物は、ガラス繊維の糸、及び/又はアラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、若しくはそれらの混合物、から選択されたポリマー材料の糸を備えている、請求項14に記載のフレキシブルベルト。
【請求項16】
前記織物は、2又はそれよりも多くの横糸と交互に織り合わされた2又はそれよりも多くの縦糸を含む、請求項15に記載のフレキシブルベルト。
【請求項17】
前記織物は、第1方向に延びている繊維であって、第2方向に延びている複数の繊維のうち1つの下を通過する前に、前記第2方向に伸びている複数の繊維のうち少なくとも3つの上に延びている繊維を含む、請求項15に記載のフレキシブル付着防止ベルト。
【請求項18】
前記織物は、2×2の斜子織りを少なくとも備えている、請求項15に記載のフレキシブルベルト。
【請求項19】
前記織物は、4~8ハーネスの朱子織りを備えている、請求項15に記載のフレキシブルベルト。
【請求項20】
4~8ハーネスの朱子織りの粗い面の上に、滑らかな面の上のポリマーコーティングより厚いポリマーコーティングを更に備えている、請求項19に記載のフレキシブルベルト。
【請求項21】
フッ素系ポリマー、例えばフッ素系プラスチック、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、若しくは350°F(177℃)以上の耐熱性を有する熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物の付着防止ポリマーコーティングを更に備えている、請求項14~20のいずれか1項に記載のフレキシブルベルト。
【請求項22】
前記材料が、連続コンベアベルト又は張力をかけたプレスプラテンである、請求項14~21のいずれか1項に記載のフレキシブルベルト。
【請求項23】
前記プレス作業は、食品のプレス又はプラスチックの溶着から選択され、かつ前記フレキシブル付着防止材料は、プレスされる物体、好ましくは、ボール状の生地又は2つ重ね合わされたプラスチックシート、を支持する、請求項14~22のいずれか1項に記載のフレキシブルベルト。
【請求項24】
プレス作業における請求項14~23のいずれか1項に記載のフレキシブルベルトの使用。
【請求項25】
前記プレス作業が、生地のプレス又はプラスチックの溶着プレスである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
請求項14~25のいずれか1項に記載のフレキシブルベルトの使用方法であって、
プレスプラテンの下に、前記フレキシブルベルトを供給すること;
前記フレキシブルベルトの上であって前記プレスプラテンの下に、プレスされる物体を供給すること;及び
前記フレキシブルベルトの上の前記物体を前記プレスプラテンでプレスすること、
を含む、フレキシブルベルトの使用方法。
【請求項27】
付着防止ポリマーがコーティングされており、かつ厚さ15ミル又はそれ未満である、フレキシブル基材を備える、プレス作業用フレキシブル付着防止材料であって、前記フレキシブル基材は、適合した織り方の織物を備えている、プレス作業用フレキシブル付着防止材料。
【請求項28】
前記織物は、斜子織り又は朱子織りを備えている、請求項27に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項29】
前記織物は、ガラス繊維の糸、及び/又はアラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、若しくはそれらの混合物から選択されたポリマー材料の糸を備えている、請求項27又は28に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項30】
前記織物は、2又はそれよりも多くの横糸と交互に織り合わされた2又はそれよりも多くの縦糸を含む、請求項27~29のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項31】
前記織物は、2×2の斜子織りを少なくとも備えている、請求項27~30のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項32】
前記織物は、第1方向に延びている繊維であって、第2方向に延びている複数の繊維のうちの1つの下を通過する前に、前記第2方向に伸びている複数の繊維のうちの少なくとも3つの上に延びている繊維を含む、請求項27~29のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項33】
前記織物は、4~8ハーネスの朱子織りを備えている、請求項27~29にいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項34】
4~8ハーネスの朱子織りの粗い面の上に、滑らかな面の上のポリマーコーティングより厚いポリマーコーティングを更に備えている、請求項33に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項35】
フッ素系ポリマー、例えばフッ素系プラスチック、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、若しくは350°F(177℃)以上の耐熱性を有する熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物の付着防止ポリマーコーティングを更に備えている、請求項27~34のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項36】
前記材料が、連続コンベアベルト又は張力をかけられたプレスプラテンである、請求項27~35のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項37】
前記プレス作業は、食品のプレス又はプラスチックの溶着から選択され、前記フレキシブル付着防止材料は、プレスされる物体、好ましくは、ボール状の生地又は2つの重ね合わされたプラスチックシートを支持する、請求項27~36のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料。
【請求項38】
プレス作業における請求項27~37のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料の使用。
【請求項39】
前記プレス作業が、生地のプレス又はプレスチックの溶着プレスである、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
請求項27~39のいずれか1項に記載のフレキシブル付着防止材料の使用方法であって、
プレスプラテンの下に、前記フレキシブル付着防止材料を供給すること;
前記フレキシブル付着防止材料の上であって前記プレスプラテンの下に、プレスされる物体を供給すること;及び
前記フレキシブル付着防止材料の上の前記物体を、前記プレスプラテンとともにでプレスすること、
を含む、フレキシブル付着防止材料の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願の相互参照)
この出願は、2020年12月3日に出願された米国出願番号63/121,092の利益と優先権を主張する。この出願は、これによって、その全体が参照により本明細書に包含され、以下具体的に表示される部分を含むが、これらに限定されない、本明細書の一部となる。
【0002】
本発明は、一般に、コンベアベルト及び他の付着防止の用途に関し、特に付着防止ベルト及び他の用途のため改良された材料に関する。
【背景技術】
【0003】
コンベアベルトは、用途の多様さが知られており、例えば食品の調理又は料理への用途があり、ここでは、上記コンベアベルトは、高温の処理ユニット及び/又は調理若しくは加熱区域を通過する物体を連続的に搬送するために用いられる。シリコーンゴムで被覆されたガラス繊維の織物、並びに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆及び/若しくは積層されたガラス繊維の織物は、さまざまな調理機器の用途と並んで、多様な応用のためコンベアベルトに通常用いられる。
【0004】
様々な織り方は、織物及びベルト類の産業で知られている。歴史的な使用及び低い価格のため、平織りは、軽量なベルト類(例えば、20ミルより小さい)に用いられる標準である。平織りにおいて、それぞれの縦糸繊維は、それぞれの横糸繊維の下及び上を交互に通過する。上記織物は、良好な安定性及び合理的な特性を備え、対称である。大きな繊維において、平織り様式は、過度のひだをもたらすため、重い織物には用いられない傾向である。
【0005】
朱子織りは、重量が大きいベルト類、例えばそれらの厚みが20ミル以上であるベルト類で知られており、かつ用いられている。朱子織りは、繊維が、近接して織られることができ、かつ「強く張った」織り方の織物を作り出すことができる。上記織り方は低い安定性であることが知られ、かつその非対称性は、上記織物の一つの面では、主に縦糸方向に繊維が走り、もう一方の面では、主に横糸方向に繊維が走ることを引き起こす。これらの懸念事項は、重い織物において、減少される。
【0006】
斜子織りは、重い織物において知られたもう一つの織り方である。斜子織りは、少ないひだに起因して、平織りよりも平坦かつ強いが、安定性が低い。斜子織りは、過度のひだを避けるため、厚い繊維(高いテックス)から作られた重量な織物に用いられる。
【0007】
改良された付着防止ベルト類、及び他のプロセス/製造の用途に関する継続的な要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一般的な目的は、改良された材料を特に提供することであり、特に限定されないが、軽量なベルト類、プレス、及びプラスチックの溶着の分野で用いられる。ここで用いられる「ベルト」は、連続的な若しくは輪になったベルトだけでなく、平面の及び/若しくは非搬送材料、例えば2つの硬い点の間で支えられた長い材料、又は巻き付けられた材料、例えばローラー若しくは同等の材料の周りに巻き付けられた材料についても言及する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一般的な目的は、少なくとも部分的に、付着防止ポリマーがコーティングされており、かつ厚さ15ミル又はそれ未満である、フレキシブル基材を含んでいるフレキシブル付着防止材料又はベルト、例えばプレス作業に用いられるフレキシブル付着防止材料又はベルトにより達成されることができる。フレキシブル基材は、斜子織り又は朱子織りの織物から形成される。
【0010】
本発明は、付着防止材料がコーティングされており、かつ厚さ15ミル又はそれ未満であるフレキシブル基材を備えるフレキシブル付着防止材料又はベルトを更に含む。フレキシブル基材は、少なくとも2×2の斜子織り又は4~8ハーネスの朱子織りの織物から形成される。
【0011】
本発明は、付着防止材料がコーティングされており、かつ厚さ15ミル又はそれ未満であるフレキシブル基材を備えるフレキシブル付着防止材料又はベルト、例えばプレス作業に用いられるフレキシブル付着防止材料又はベルトを更に含む。フレキシブル基材は、平織り又は斜文織りではない適合した織り方の織物、特に限定されないが例えば、適合した均衡の取れた織り方(例えば、斜子織り)の織物、又は適合した均衡の取れない織り方(例えば、朱子織り)の織物から形成される。
【0012】
本発明の上記織物は、ガラス繊維の糸、並びに/又はポリマー材料、例えばアラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、及びポリエーテルエーテルケトン、若しくはそれらの混合物、の糸から形成される。
【0013】
本発明の実施態様において、上記織物は、2又はそれより多くの横糸と交互に織り合わされた2又はそれより多くの縦糸を含む。
【0014】
本発明の実施態様において、上記織物は、第1方向に延びている繊維であって、第2方向に延びている複数の繊維のうちの1つ下を通過する前に、第2(例えば、垂直な)方向に延びている複数の繊維のうち少なくとも3つの上に延びている繊維を含む。
【0015】
本発明の実施態様において、上記織物は、少なくとも2×2、より好ましくは3×3、4×4等、の斜子織り、又は非対称な斜子織りの模様を含む。
【0016】
本発明の実施態様において、上記織物は、4~8ハーネスの朱子織りを含む。本発明の実施態様において、朱子織りの粗い面の上に、滑らかな面の上のポリマーコーティングより厚いポリマーコーティングが使われる。
【0017】
本発明の実施態様において、上記付着防止ポリマーは、フッ素系ポリマー、例えばフッ素系プラスチック、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、若しくは350°F(177℃)以上の耐熱性を有するプラスチック、又はそれらの混合物、のコーティングである。
【0018】
本発明の他の実施態様において、上記材料は、上記材料/ベルトの接着性の1つの面(例えば、付着防止面の反対)に使われる加工表面、例えば溶着、に貼られることができる。適切な接着性材料は使われることができる。
【0019】
本発明の実施態様において、上記材料/ベルトは、連続コンベアベルト又は張力をかけたプレスプラテンである。
【0020】
本発明の実施態様において、上記プレス作業は、食品のプレス又はプラスチックの溶着から選択され、かつ前記フレキシブル付着防止材料又はベルトは、プレスされる物体、例えばボール状の生地又は2若しくはそれより多くの重ね合わされたプラスチックシート、を支持する。
【0021】
本発明は、プレス作業において、フレキシブル付着防止材料又はベルトのいずれかの実施態様の使用を含む。例となるプレス作業は、生地のプレス又はプラスチックの溶着プレスを含む。
【0022】
本発明は、本発明のフレキシブル付着防止材料又はベルトの使用方法を更に含む。本発明の実施態様において、上記方法は、プレスプラテンの下に上記フレキシブル付着防止材料/ベルトを供給すること、フレキシブル付着防止材料の上に、かつプレスプラテンの下にプレスされる物体を供給すること、フレキシブル付着防止材料の上の物体をプレスプラテンとともにプレスすること、を含む。
【0023】
本発明の実施態様において、上記材料は、正規化された突き刺し耐性(突き刺し/厚み)が5000以上、好ましくは5100以上、より好ましくは5300以上である。
【0024】
他の目的や利点は、当業者にとって、添付の特許請求の範囲及び図面を併用して、下記の詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施態様によるベルトを示す。
図2図2は、本発明の一実施態様によるベルトを示す。
図3図3は、本発明の一実施態様による斜子織りを示す。
図4図4は、本発明の一実施態様による朱子織りを示す。
図5図5は、本発明の一実施態様によるクロウズフット織り(crowsfoot fabric weave)を示す。
図6図6は、本発明の一実施態様によるプレス作業を代表的に説明する。
図7図7は、本発明の一実施態様によるプレス作業を代表的に説明する。
図8図8は、説明された例によるベルト材料を示す。
図9図9は、説明された例によるベルト材料を示す。
図10図10は、説明された例によるベルト材料を示す。
図11図11は、説明された例によるベルト材料を示す。
図12A図12Aは、本発明の材料と他の商業用のベルト材料を比較している試験結果を示す表を含む。
図12B図12Bは、本発明の材料と他の商業用のベルト材料を比較している試験結果を示す表を含む。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、例えば食品加工及びプラスチックの溶着の分野において軽量なベルト類(例えば、厚さが15ミル又はそれ未満)に用いるための、改良された材料を対象にする。本発明の実施態様は、好ましい又は改良された適合性及び柔軟性だけでなく、予期せぬ寿命の改良、例えば改良された接着耐性、突き刺し耐性、寸法安定性(バギング耐性)、引き裂き耐性、及び引っ張り耐性、をもたらす付着防止材料を使用した標準でない織り方を包含する。
【0027】
本発明の実施態様は、連続コンベアベルト又は他の付着防止の応用のためのフレキシブル材料であって、第1の面及び第1の面の反対側にある第2の面を有するフレキシブル基材を含むフレキシブル材料、及びフレキシブル基材の少なくとも第1の面の上のコーティング、を含む。図1及び図2は、代表的な輪になったベルト20を示し、コーティングされた第1の表面22を有するフレキシブル基材、及びコーティングされていない、若しくはコーティングされた第2の表面24がある。連続ベルトを形成されたとき、本発明の材料は、適切なつなぎ30により、必要な場合は付加的な支持材料バンドとともに、反対側の端26及び28に付着されることができる。つなぎの例は、特に限定されないが、非金属性ソフトシールのひも類(例えば、金属の又は非金属のピンがついた)、輪状のひも類、指幅のひも類、上覆いのひも類、又は金属の接合部(例えば、わに革)のひも類、を含む。
【0028】
フレキシブル基材は、例えば、ガラス繊維、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はそれらの混合物、から形成することができる。本発明の実施態様において、上記フレキシブル基材は、Eガラス、Sガラス、Cガラス、石英、ECRガラス、玄武岩、又はそれらの組合せ若しくは混合、の糸から形成され、又は含んでいる。上記フレキシブル基材は、これら材料の織物を好ましくは含み、上記基材の織物は(コーティングされていない)厚さ13ミルより小さく、例えば11若しくは12ミルより小さく、又は例えば3ミルから約8~10ミル、好ましくは5ミルから8ミルである。
【0029】
本発明の実施態様のフレキシブル基材は、斜子織り、クロウズフット織り、若しくは朱子織り、又は他の適合した織り方を含む。代表的な斜子織りは、図3に示され、2又はそれより多くの横糸と交互に織り合わされた2又はそれより多くの縦糸を含む。2つの横糸と交差する2つの縦糸の配置は、2×2の斜子織りを指定されるが、3×3若しくは4×4、又はそれより多い、斜子織りを使うことができ、糸の配置は対象であることを必要としない(例えば、4×2、5×4等)。
【0030】
代表的な朱子織りは、図4に示され、4又はそれよりも多くの他の縦糸又は横糸の上に「浮いている」縦糸又は横糸を含む。一連の過程が再び繰り返される前に、浮いている糸は、他の糸のうちの1つの下を通過する。朱子織りは、縦糸及び横糸のより少ない交差を作り出す。指定に使われた上記「ハーネス」数は、上記繊維が一連のパターンを繰り返す前に、交差した繊維、及びその下を通過した繊維の数の合計である。本発明の実施態様は、4~8ハーネスの朱子織りを含み、好ましくは4又は8ハーネスの朱子織りである。本発明の好ましい実施態様は、一連の繰り返しパターンにおいて、ずらした配置の朱子織りから形成されたクロウズフット織りのフレキシブル基材、例えば図5に示されたもの、を更に含む。
【0031】
朱子織りの織り方は、ある面のハーネスの交差に起因して、お互いに著しく異なるように見える表面及び裏面を有する。横糸は、布の面で主要であり、浮いている横糸を固定する縦糸は、可能な限り広くばらまかれるべきである。朱子織りの織物は、より少ない織り重なりが柔軟性と耐性を与えるけれども、使われた糸の数の多さに起因して強い。朱子織りは、滑らかな横糸の面、及び「粗い」縦糸の面を有する傾向がある。本発明の実施態様の粗い面は、反対の面より厚いポリマーコーティングを受ける。
【0032】
上記フレキシブルコーティングは、少なくとも第1面に、好ましくは基材の両面に、1又はそれより多くの付着防止表面を与えるコーティング材料がコーティングされる。上記コーティングは、フッ素系ポリマー、例えばフッ素系プラスチック(例えばPTFE)、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、若しくは意図された使用に値する適切な温度を有するプラスチック(例えば耐熱性350°F以上)、又はそれらの混合物である又は含むことができる。コーティングは、この産業で知られる様々な方法、例えばスプレーコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、ディップコーティング、を適用できる。一度コーティングされたら、本発明の材料は、全厚みが20ミルより小さく、好ましくは15ミルより小さく、例えば約5ミルから約15ミル、好ましくは5ミルから10ミルである。
【0033】
好ましい軽量なベルト類の応用における製品寿命の測定可能な改良の結果、本発明による特定の織り方が与えるコーティングは、耐久性(突き刺し、引き裂き、寸法安定(バギング(bagging)耐性)、及びグリース/オイル耐性)を著しく改良したこと、を開示した。本発明の付着防止コーティングされた織物材料は、多数の付着防止応用、例えば食品加工(例えばグリルのコンタクトベルト、トルティーヤ、パン、及びピザの皮のプレス、並びにクッキング/ベーキングベルト)、高速プラスチック溶着(例えばマイラー風船の製造、プラスチック袋の製造、側面の密封、製袋充填、上包、高速密封、(プラスチック袋の)袋を閉じる応用)、パンのトースト、ゴム、泡、若しくはプラスチックのプロセス(例えば、カレンダー仕上げ、プレス、押し出し)、布地(例えば、織物でない製造)、並びにビニル窓、マイヤー風船、及びプラチック袋等の製造、又は他のプラスチックプロセスに、使われることができる。
【0034】
図6は、代表的なプレス作業であって、ベルト20が2つのプレスプラテン50、52を通過するプレス作業を説明する。この例において、ボール状の生地は、プラテン50の上部の下まで、ベルト20の上で動かされる。上記プラテン50は、次いで、ボール状の生地を所望の平らな形状、例えばトルティーヤ、にプレスするため下降する。本発明の上記ベルト材料は、このようなプレス作業では、より多くの糸の交差がある織り方(例えば、平織り)より、適切であることが開示された。本発明の上記ベルトは、より突き刺し耐性があるため、生地の中の硬い粒子(例えば、種、炭化物等)をより許容する。加えて、本発明の上記ベルトは、突き刺しの領域のたるみであって、もし締め付けられないならば、上記ベルトを滑らせ、かつ滑りを減らすため更に締め付けられたとき、上記ベルトを破れさせ/引き裂かれるたるみ、を経験しそうではない。
【0035】
図7は、上流の端面図、例えばプラスチックの溶着作業、から第2のプレス作業を説明する。ここで、上記プラスチックの材料は、固定された本発明の材料/ベルト70であって、2つの支持体72、74の間に張力をかけた本発明の材料/ベルト70の上を動く。プラスチックのロールは、上記材料/ベルト70の上で展開され、そして、切断及び/又は溶着ヘッド76は、上記材料/ベルト70の上にあるプラスチックの層に対して下げられる。さらに、本発明の軽量な材料は、たるみ及び/又は引き裂きに対してより良好な耐久性、並びにより長い寿命、を供給することで、プレスヘッド76に対してより許容/回復可能である。
【0036】
本発明は、本発明の原理を含むさまざまな側面の説明又はシミュレーションする下記の実施例に関連して、更に詳しく記載された。本発明の要旨を変えない全ての変化は、保護されることを望まれると理解され、だから、本発明はこれらの例により限定すると理解されない。
【実施例
【0037】
本発明の実施態様によるベルトは、トルティーヤの加工への応用において試験され、かつこのプロセスに使用される現在の商業用ベルトと比較された。一般的に、市場は、様々な食料製品に使うことができ、かつグリース/オイルの侵入、引き裂き、又は穴空き、に耐久性があるベルト類を期待する。トルティーヤ産業は、この市場で加工されている新しい製品(例えば、低脂肪、高水分量)であって、プラテンの低い温度により得ることができる質の高い新しい製品のため、良好な熱伝達を更に求める。これは、「蒸気発生(vaporization)」(生地をプレスするとき、水分の過度の損失)も対象とする。柔軟性は、突き刺し及び引き裂き、特に全粒、種、又は他の摩耗性のフィラー/添加剤から作られるトルティーヤによる突き刺し及び引き裂きに耐えるため、重要である。
【0038】
最初の例において、本発明による8ミルのコーティングされたベルトであって、4ハーネスのガラス繊維基材の朱子織りであり、かつPTFEコーティングしているベルトは、現在7ミル(全厚み)の、商業的に使用される2-層の積層されたベルトに対して試験された。上記新しいコーティングされたベルトは、Lawrence42プレスにおいて、現在のベルトと熱的に等価であることを示した。上記試験ベルトは、商業用の積層されたベルトが1日以内に穴ができたのに対し、2週間後も穴がなかった。
【0039】
別の試験において、上記新しいベルトは、消耗を減らした結果として、3週間動作し、かつ対照ベルトの93~95%に対して、平均すると97~98%の効率だった。上記ベルトはプロセスメンテナンスを除去され、そして、上記試験は結論づけられた、一方で、同じ試験において小さな修理を施すことにより、上記試験ベルトは、より長く動作できた。上記ベルトは、プラテンの上部が290°Fで、プラテンの下部が310°Fで、動作された。上記ベルトは、少しの小さな穴ができただけであり、動作時間の間に継ぎ当て用の布を適用する必要はなかった。オイルの侵入又は剥離の兆しは見られなかった。
【0040】
トルティーヤ試験は、本発明のベルトが、現在の商業用のベルト類と比較して、突き刺し耐性を著しく改良したこと、及び伝熱を著しく改良したこと、並びに寸法安定性の大きく改良したことを明らかにした。上記試験ベルトは、バギング及びしわ(ベルトの変形)の傾向がなく、下層への固定及び密着力が改良され、滑る傾向がなかった。本発明による上記試験ベルトは、プロセス設備に追加しやすく、比較的大きい柔軟性は、機械にベルトを導入する間のしわを防ぐ。使用後の試験例のベルトは、図8~11に示す。
【0041】
図12A~12Bは、本発明の材料、すなわち8ミルのPTFEがコーティングされた4ハーネスのガラス繊維の朱子織りの基材(サンプル1)と、出願人による平織り材料(AFC)、及び他の製造業者からの産業界で認められている高品質の商業的に提供されるものと、を比較しているそれぞれの試験の結果を示す。対照のAFC材料は、出願人のトルティーヤ産業に現在提供しているものを示す。表に示すように、本発明のサンプル材料は、多くの利点を提供し、他の材料に対し著しい突き刺し耐性の改良を特に示す。使用における試験は、図12A~12Bの固定された実験室の結果より、突き刺し耐性の一層すぐれた実績を示す。
【0042】
したがって、付着防止ベルト応用において、本発明は、改良されたベルト及び軽量用途のベルト材料を提供する。
【0043】
理解を助けるためここに開示された本発明は、ここで明確に開示されていない要素、部分、工程、構成要素、又は原料を欠く場合でも、適切に実行されるであろう。
【0044】
前述の詳細な記載はあるものの、本発明はある好ましい前述の実施態様に関連して説明され、多くの詳細は説明の目的のため設けられ、本発明は追加の実施態様を受け入れる余地があること、及びここに記載された詳細は本発明の基本原理から離れずに相当に変化させることができることは、当業者にとって明白であるだろう。
【符号の説明】
【0045】
20 ベルト
22 第1の表面
24 第2の表面
26 端
28 端
30 つなぎ
50 プレスプラテン
52 プレスプラテン
70 本発明の材料/ベルト
72 支持体
74 支持体
76 切断及び/又は溶着ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
【国際調査報告】