(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】冷却器を備えた熱印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 31/16 20060101AFI20231219BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J31/16
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559163
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021085543
(87)【国際公開番号】W WO2022128946
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523224763
【氏名又は名称】アルモア
【氏名又は名称原語表記】ARMOR
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルディク ディック
(72)【発明者】
【氏名】シャリエ マキシム
【テーマコード(参考)】
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB04
2C068CD01
2C068CD08
2C068CD22
2C068CD24
2C068CD30
2C068CD40
(57)【要約】
冷却器を備えた熱印刷装置(1)は、フレームと、インクを外面(51)に搬送するためのエンドレスのリボン(5)と、エンドレスのリボン(5)をインク(4)でコーティングするためのコーティング装置(3)と 、エンドレスのリボン(5)にコーティングされたインク(4)の一部を基板(20)に熱転写して印刷するためのプリントヘッド(6)と 、コーティング装置(3)からプリントヘッド(6)へ、およびプリントヘッド(6)からコーティング装置(3)への経路に沿って、エンドレスのリボン(5)を内面(52)で支持して搬送する複数の第1のローラー (9)と、コーティング装置(3)からプリントヘッド(6)への経路に沿って、隣接する2つの第1のローラー (9)の間で、エンドレスのリボン(5)の内面(52)を支持するように配置され、平行移動および回転においてフレーム(75)に固定されるプレート(75)を含み、リボン(5)の内面(52)を支持する第1の凸面を有する、少なくとも1つの第1の搬送器(7)と、プレート(75)の第1の表面を第1の所定温度で冷却するように設計された熱交換器(72)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム (12)と 、
インクを外面(51)に搬送するためのエンドレスのリボン(5)と 、
インク(4)でエンドレスのリボン(5)をコーティングするためのコーティング装置(3)と 、
前記エンドレスのリボン(5)にコーティングされた前記インク(4)の一部を基板(20)に熱転写することで印刷を行うプリントヘッド(6)と、
前記コーティング装置(3)から前記プリントヘッド(6)へ、および前記プリントヘッド(6)から前記コーティング装置(3)への経路に沿って、前記エンドレスのリボン(5)を内面(52)によって支持し搬送する複数の第1のローラー(9)と、
前記コーティング装置(3)から前記プリントヘッド(6)への経路に沿って、隣接する2つの第1のローラー(9)の間で、前記エンドレスのリボン(5)の内面(52)を支持するプレート(75)であって、平行移動及び回転においてフレーム(12)に固定され、前記リボン(5)の内面(52)を支持する第1の凸面を有する前記プレート(75)と、
前記プレート(75)の第1の凸面を第1の所定温度(T1)で冷却するように設計された熱交換器(72)と、
を備える、熱転写印刷装置(1)。
【請求項2】
前記プレート(75)の第1の凸面が前記エンドレスのリボンに直接接触して配置されている、請求項1に記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項3】
少なくとも2つの第2のローラー(11)と、
前記少なくとも2つの第2のローラー(11)と前記プレート(75)の第1の表面によって支持され、内面(51)によってエンドレスのリボン(5)を支持し搬送するように配置された搬送ベルト(71)と、
を更に備え、
前記第2のローラー(11)とプレート(75)は、前記プレート(75)の第1の表面が前記搬送ベルト(71)を介して前記エンドレスのリボン(5)を支持するように配置されている、請求項1に記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項4】
潤滑剤を吸収するように設計され、前記コーティング装置(3)と前記プレート(75)との間の前記リボン(5)の内面(52)に接触するように配置された吸収材(63)と、
潤滑剤を貯蔵する潤滑剤リザーバー(61)と、
前記潤滑剤リザーバー(61)から前記吸収材(63)へ潤滑剤を搬送する手段と、
をさらに備える、請求項2に記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの加熱器(82)をさらに備え、
前記加熱器(82)は、平行移動において前記フレーム(12)に固定され、前記エンドレスのリボン(5)の第1の部分を加熱するように配置され、
前記エンドレスのリボン(5)の第1の部分は、前記リボン(5)のコーティングゾーンを含み、前記リボン(5)は、前記コーティング装置(3)によってコーティングされるか、または前記コーティング装置と接触している、請求項1から3のいずれかに記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項6】
前記プレート(75)は、コアの外面を冷却するための冷却剤が循環している空洞を有する前記コアを含み、
該コアの外面は、前記リボン(5)を支持するように配置されている、請求項5に記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項7】
前記加熱器(82)は、前記リボンの内面(52)を円周面上で支持するように配置されたローラーと、前記ローラーの円周面を加熱する手段と、を含む、請求項5または請求項6に記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項8】
前記ローラーの円周面を加熱する手段は、ジュール加熱により第2の案内要素(85)を加熱する電気抵抗を含む、請求項7に記載の熱転写印刷装置(1) 。
【請求項9】
前記エンドレスのリボン(5)の長さが150 cmより短い、請求項1から8のいずれかに記載の熱転写印刷装置(1)。
【請求項10】
基板(20)を熱印刷する方法であって、
請求項1から9のいずれかに記載の熱転写印刷装置を提供し、
インク(4)を保持する前記エンドレスのリボン(5)を、前記コーティング装置(3)から前記プリントヘッド(6)へ、及び、前記プリントヘッド(6)から前記コーティング装置(3)へ循環的に搬送し、
前記コーティング装置(3)で前記エンドレスのリボン(5)の外面(51)をインクでコーティングし、
前記エンドレスのリボン(5)の内面(52)を支持するプレート(75)を冷却して、前記コーティングされたインクを固化させ、
前記プリントヘッド(6)で、前記エンドレスのリボン(5)の外面にコーティングされたインクの一部を前記基板(20)に熱転写して印刷する、方法。
【請求項11】
加熱器(82)を作動させて、前記リボン上のインク(4)を融点以上またはコーティング装置(3)の両側のガラス転移温度以上に加熱することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置システム、特にインクを保持できるリボンを備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱転写印刷装置を含む現在のソリューションでは、使い捨ての既にコーティングされたリボンが使用さている。これらのソリューションの1つの制限は、リボンの端に達したときにリボンを定期的に交換する必要があることである。このような交換では、一定期間プリンターを停止する必要があり、一部のアプリケーションでは非常に不便になる可能性がある(例えば、プリンターが生産ラインのラベリングマシンである場合)。
このような使用済みリボンと残りの転写されないインクの廃棄に対処するために、使い捨てのリボンのスプールの代わりにエンドレスのリボンを使用する、代替冷却器の熱転写印刷装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP3055135B1
【特許文献2】US4764776
【特許文献3】EP0412179
【特許文献4】CH553662
【特許文献5】US2004/135870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EP3055135B1は、エンドレスのリボンがローラー上で搬送されるこのような印刷装置を示唆している。そこに記載されている印刷装置は、熱溶融インクでリボンをコーティングするコーティング装置を備えている。
【0005】
このようなエンドレスなリボンに適用されるインク層は、複数の印刷を確実にするために、回復させなければならない。結果として1つのリボンのみが継続的に使用され、残りのインクは再び利用され、材料の無駄を減らすことができる。
【0006】
エンドレスなリボンはローラーで搬送され、その間にリボンの一部が熱プリントヘッドと再インクユニットに順次さらされる。したがって、多数のサイクルに耐えることができる。例えば、システムを100万回繰り返している。再インクユニットと熱プリントヘッドの間で、インクは固体状態を回復するものとし、これは冷却フェーズ中に可能となる。冷却フェーズは、適切なインク層を提供し、基板上の印刷データの品質に影響を与えるために不可欠である。
【0007】
US4764776またはEP0412179は、リボン上のコーティングされたインクがコーティング後に凝固することを開示している。しかし、冷却は熱制御が行われていない状態で発生しているため、湿気や室温などの使用中の環境条件にさらされる。
【0008】
CH553662は、インクの凝固を促進するためにリボンの近くに配置されたファンを使用する冷却ユニットを備えた印刷システムを開示している。
【0009】
これらのシステムの第1の制限は、印刷速度が制限される可能性があることである。実際、制限された速度を超えると、コーティングされた熱い溶融インクは固化できないか、プリントヘッドに到達する前に固化が不十分になり、印刷品質に悪影響を及ぼす可能性がある。また、コータとプリントヘッドの間のリボンの経路を増加させながら、時間と共に冷却することができ、印刷装置の体積を増加させる。したがって、このような印刷装置は、インクの凝固を確実にし、したがって適切な印刷性能を確保するために、再インクステーションとプリントヘッドの間を長距離移動するための大容量を持つ。
【0010】
第2の制限は、印刷プロセスが標準化されていないことである。周囲の温度、湿度、およびインクの熱特性に応じて、プリントヘッドを校正して、高品質の印刷を保証する。実際のところ、インクは一般に湿気と温度に敏感であるため、冷却フェーズを制御できなかったそのようなシステムで使用できるインクの範囲が制限される可能性がある。
【0011】
第3の制限は、リボンの幅にわたって不均等な張力を誘発する搬送ローラー間の潜在的または必然的なミスアライメントである。この不均等な張力は、フィルムの一部の潜在的な横方向の動きと潜在的なしわ、しわ又は折り目を作成する。
【0012】
US2004/135870には、熱転写フィルムの裏側に接触するように回転するように横方向に取り付けられた冷却ローラーが記載されている。同様に、EP0029313には、インク層を凝固させるペルチェ効果を採用した冷却ローラーまたは電気冷凍素子が記載されている。
【0013】
ただし、この解決策は前述の欠点を回避するものではない。特に、この溶液は、インクとコリングローラーの間の最適な熱伝達を提供しない。この溶液は、リボンとローラーの間の接触面に依存して冷却されるため、必然的に印刷装置の体積を増加させる。すなわち、インクの凝固はコリングローラーの直径に依存する。
【0014】
本発明は、前述の制限を克服するコンパクトな熱転写印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の側面によれば、本発明は、
エンドレスなリボンをインクでコーティングするためのコータと、
エンドレスなリボンにコーティングしたインクの一部を基板に熱転写して印刷するためのプリントヘッドと、
コータからプリントヘッドへの第1の経路に沿って、およびプリントヘッドからコータへの第2の経路に沿って、インクを含むエンドレスなリボンを循環的に支持し、搬送する搬送システムと、
エンドレスの第1の経路の第1の部分に沿って、第1の所定温度でエンドレスなリボン上のコーティングされたインクを冷却するように構成された少なくとも1つの冷却器と、
を含む熱転写印刷装置に関する。
【0016】
この冷却器は、リボン上にコーティングされた熱溶融インクの凝固を有利に改善する。もう一つの利点は、印刷装置をコンパクトに保ちながら、より短いリボンの使用および/またはより高速な印刷を可能にすることである。もう1つの利点は、周囲の温度と湿度の速度に関係なく、インクの急速な凝固を保証することである。
【0017】
一実施形態では、印刷装置は、第2の経路の第2の部分に沿って第2の所定温度でエンドレスのリボン上のインクを加熱するために、少なくとも1つの加熱器をさらに備えている。加熱器は、印刷後に残ったインクを溶融させたり、リボン上のインクの融点に近づけたりするのに有利である。加熱器は、コーティングを改善し、コータによるリボン上のインクの交換を有利にする。
【0018】
一実施形態では、印刷装置は、少なくとも1つの加熱器をさらに備え、コータと第1の経路の第1の部分の間に位置する第3の部分に沿って、第3の所定温度でエンドレスのリボン上のインクを加熱する。利点の1つは、当該インクが冷却される前に、バンド上のインクの厚さの均一性を向上させることである。利点の1つは、コーティングの前、中、および後にリボン上のインクを加熱して、コーティングと、リボンの幅と長さに沿った厚さの均一性を向上させることである。
【0019】
一実施形態では、搬送システムは、リボンを支持するための第1の案内要素を含み、第1の案内要素は、第1の案内要素によって支持されたリボン上にコーティングされたインクを冷却するために冷却器と結合されている。第1の案内要素の利点の1つは、第1の案内要素とリボンの間の接触面を利用して、リボン上のインクを冷却することである。インクは、リボンを介して第1の案内要素によって冷却される。
【0020】
一実施形態では、第1の案内要素は、コアの外面を冷却するための冷却剤が循環している空洞を有するコアを含み、コアの外面はリボンを支持するように配置されている。
【0021】
一実施形態では、搬送システムは、エンドレスのリボンを第1の部分の少なくとも一部で保持して搬送する第1の搬送ベルトを含む第1の搬送器を含む。リボンを搬送する間に熱伝導体として機能する第1の搬送ベルトは、第1の案内要素の面が搬送ベルトに面するように、第1の案内要素によって案内される。
【0022】
一実施形態では、印刷装置はさらに、第1の搬送ベルトを保持して支持するための少なくとも2つのローラーを含む。一実施形態では、少なくとも2つのローラーが冷却器に結合され、ローラー、リボン、および第1の搬送ベルトを介してインクを冷却する。
【0023】
一実施形態では、搬送システムは、リボンを支持するための第2の案内要素を含む。第2の案内要素は、第2の部分で第2の案内要素によって支持されているリボン上にコーティングされたインクを加熱するために加熱器と結合される。一実施形態では、加熱器は、ジュール加熱によって第2の案内要素を加熱するための電気抵抗を含む。
【0024】
一実施形態では、搬送システムは、第2の搬送器を含む。第2の搬送器は、第2の部分および/または第3の部分上にエンドレスのリボンを保持して搬送する第2の搬送ベルトを含む。第2の搬送ベルトは、第2の案内要素の外面が第2の搬送ベルトに面するように第2の案内要素によって案内される。第2の搬送ベルトは、リボンを搬送する間、熱伝導体として機能する。
【0025】
一実施形態では、印刷装置は、第2の搬送ベルトを保持して支持するための少なくとも2つのローラーを含む。このローラーは、リボン及び第2の搬送ベルトを介してインクを加熱するために加熱器に結合されている。
【0026】
一実施形態では、冷却器は熱交換器を含む。一実施形態では、冷却器はペルチェ式ヒートポンプを含む。一実施形態では、熱交換器はヒートパイプを含む。
【0027】
一実施形態では、第1の所定温度は25℃から50℃の範囲である。一実施形態では、第2の所定温度は50℃から130℃の範囲である。
【0028】
一実施形態では、印刷装置は、その経路上に配置されたリボンと、リボンによって運ばれるインクとからなり、第1の所定温度はインクの融点未満である。一実施形態では、第2の所定温度はインクの融点以上である。一実施形態では、第1の案内要素および/または第2の案内要素は曲線状に案内する。
【0029】
一実施形態では、印刷装置はさらに、リボンの経路の第4の部分でリボン内のインクの温度を制御する熱制御装置を含む。経路の第4の部分は第1の部分とプリントヘッドの間に位置する。一実施形態では、熱制御装置は第3の所定温度でインクを加熱および/または冷却する。
【0030】
第2の側面によれば、本発明は、
コータからプリントヘッドへの第1の経路に沿って、およびプリントヘッドからコータへの第2の経路に沿って循環的にインクを保持するエンドレスのリボンを搬送すること、
コータでエンドレスのリボンをインクでコーティングすること、
プリントヘッドで、エンドレスのリボンにコーティングしたインクの一部を基板に熱転写して印刷すること、
冷却器を作動させて、エンドレスのリボンの第1の経路の第1の部分に沿って第1の所定温度で、エンドレスのリボンにコーティングされたインクを冷却すること、
を含む基板を熱印刷する方法に関する。
【0031】
一実施形態では、この方法は、加熱器を作動させてリボンを加熱し、バンド上のインクをエンドレスのリボンの経路の一部で溶融させることを含む。
【0032】
一実施形態では、この方法は、本発明の第1の側面に従って印刷装置によって実装される。一実施形態では、この方法は、基板に転写されたインクの一部を交換する際に、過剰なインクの一部を回収することを含む。
【0033】
一側面によれば、本発明は、
フレームと、
インクをその外面に運ぶための、エンドレスのリボンと、
エンドレスのリボンをインクでコーティングするコーティング装置と、
エンドレスのリボンにコーティングしたインクの一部を基板に熱転写して印刷するプリントヘッドと、
好ましくは周期的に、コーティング装置からプリントヘッドへ、およびプリントヘッドからコーティング装置への経路に沿って、内面でエンドレスのリボンを支持し、搬送する複数の第1のローラーと、
コーティング装置からプリントヘッドへの経路に沿って、隣接する2つの第1のローラー間でエンドレスのリボンの内面を支持するプレートであって、平行移動および回転においてフレームに固定され、任意でリボンの内面を支持する第1の凸面を有する当該プレートと、
プレートの第1の表面を第1の所定温度で冷却するように設計された熱交換器と、
を含む熱転写印刷装置に関する。
【0034】
一実施形態では、プレートの第1の凸表面は、エンドレスのリボンと直接接触して配置される。
【0035】
一実施形態では、熱転写印刷装置は、さらに少なくとも2つの第2のローラーを含む。搬送ベルトは、少なくとも2つの第2のローラーとプレートの第1の表面によって支持され、その内面によってエンドレスのリボンを支持して搬送するように配置されている。第2のローラーとプレートは、プレートの第1の表面が搬送ベルトを通してエンドレスのリボンを支持するように配置されている。
【0036】
一実施形態では、熱転写印刷装置はさらに少なくとも1つの加熱器を含み、加熱器は平行移動においてフレームに固定され、第2の所定温度でエンドレスのリボンの第1の部分を加熱するように配置されている。
【0037】
一実施形態では、エンドレスのリボンの第1の部分はリボンのコーティングゾーンを含む。リボンはコーティング装置によってコーティングされるか、またはコーティング装置と接触している。
【0038】
一実施形態では、プレートは、フレームの外面を冷却するための冷却剤が循環している空洞を有するフレームを含む。フレームの外面はリボンを支持するように配置されている。
【0039】
一実施形態では、加熱器は、リボンの内面をその円周面で支持するように配置されたローラーと、ローラーの当該円周面を加熱する手段と、を含む。
【0040】
一実施形態では、ローラーの当該円周面を加熱する手段は、ジュール加熱によって第2の案内要素を加熱する電気抵抗または熱抵抗を含む。
【0041】
一側面によれば、本発明は、
フレームと、
インクをその外面に運ぶためのエンドレスのリボンと、
エンドレスのリボンをインクでコーティングするためのコーティング装置と、
エンドレスのリボンにコーティングしたインクの一部を基板に熱転写して印刷するためのプリントヘッドと、
コーティング装置からプリントヘッドまでの経路に沿って、およびプリントヘッドからコーティング装置までの経路に沿って、エンドレスのリボンをその内面で支持し、搬送する複数の第1のローラーと、
コーティング装置からプリントヘッドまでの経路に沿って、隣接する2つの第1のローラーの間で、エンドレスのリボンの内面を支持するように配置された少なくとも1つの冷却ローラーであって、シャフトの体積を貫通し、冷却剤によって満たされるパイプを含むシャフトを含む、上記の冷却ローラーと、
冷却ローラーのパイプ内の冷媒を第1の所定温度で冷却するように設計された熱交換器と、
を含む熱転写印刷装置に関する。
【0042】
別の側面によれば、本発明は、基板を熱印刷する方法に関するものであり、以下のステップ、
本発明による熱転写印刷装置を提供すること、
コーティング装置からプリントヘッドへ、及び、プリントヘッドからコーティング装置へ、好ましくは循環的に、インクを保持するエンドレスのリボンを搬送すること、
コーティング装置でエンドレスのリボンの外面をインクでコーティングすること、
エンドレスのリボンの内面を支持するプレートを冷却して、コーティングされたインクを固化させること、
プリントヘッドで、エンドレスのリボンの外面にコーティングしたインクの一部を基板に熱転写して印刷すること、
を含む。
【0043】
一実施形態では、この方法はさらに、加熱器を作動させて、コーティング装置の両側のリボン上のインクを融点以上またはガラス転移温度以上に加熱することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】冷却器と加熱器を含む本発明の一実施形態による印刷装置の概略図である。
【0045】
【
図2】本発明の一実施形態による印刷装置の概略図である。ここでは、搬送ベルトを構成する搬送器に冷却器と加熱器が一体化されている。
【0046】
【
図3】本発明の一実施形態による印刷装置の透視図である。ここでは、印刷装置のフレームが除去されている。
【0047】
【
図4】
図3の印刷装置の切断平面図である。ここでは、印刷装置は、加熱器とコータを冷却器から隔離するための隔離壁を備えている。
【0048】
【
図5】
図3の印刷装置の別の透視図である。ここでは、冷却器は、コイル、凝縮器、および凝縮器を冷却するラジエーターから成る熱交換器を備えている。
【0049】
【
図6】本発明の一実施形態による印刷装置の一部の概略図である。ここでは、冷却器は、リボンの内面と接触するように配置された湾曲した静的プレートを備え、さらに、リボンがプレートに沿ってスライドする前に、リボンの内面を潤滑剤でコーティングする手段を備えている。
【0050】
【
図7】冷却ローラーを備える本発明の別の実施形態による印刷装置の概略図である。
【0051】
【
図8】本発明の一実施形態による冷却ローラーの断面図である。
【0052】
【
図9】本発明の一実施形態による冷却ローラーの概略図である。本発明は、この冷却ローラーを回転駆動するモーターに結合されている。
【0053】
【
図10】本発明の一実施形態による熱印刷装置における、リボン上のインクの搬送に沿った熱サイクルの図である。
【0054】
【
図11】本発明の一実施形態による印刷装置の透視図である。印刷装置は、フレームが除去され、リボンに直接接触する冷却プレートを含む。
【発明を実施するための形態】
【0055】
装置は、搬送システム、プリントヘッド6、及びコータ3を備える。装置はまた、エンドレスのリボン5を備えるか、エンドレスのリボン5を受け取るように設計されている。
図1は、本発明の一実施形態による熱転写印刷装置の概略図を示す。
【0056】
コータ
印刷装置1は、コータ3を備える。コータ3は、リボン5の外面51にインク4をコーティングするように設計及び配置されている。
【0057】
図1に示すように、コータ3はリザーバー2に接続されている。リザーバーは、コータ3に供給する固体インクを含むように設計されている。別の一実施形態では、リザーバーは液体インクを含み、その液体インクは、インクを例えば温度や粘度などの事前に定義された物理的条件に保つために混合要素と結合さてもよい。
【0058】
コータ3は、リボン5の外面51のコーティングを容易にするために、リボン5と接触するか、またはその付近に配置されてもよい。
【0059】
コータ3は、リボン5の外面に液体インク4の層をコーティングするように設計されている。液体インク4の層は、リボン5の表面に均質に分布していることが望ましい。インク制御部品(表示されていない)は、リボン5の回転/変位の速度および/または印刷モードの機能で、リボン5の表面に十分な量のインクの分布を確保するようにしてもよい。
【0060】
インク制御部品の1つの目的は、リボン5の変位速度にかかわらず、リボン5上の略一定のコーティング厚さを確保することである。一実施形態では、インク制御部品は、リボン5の変位速度を読み取るための電気入力部を含む。このようにして、インク制御部品は、可変速度での時間のラップにおける、一定のコーティングと均一な分布を確保することができる。このような構成では、印刷とコーティングのシーケンスが同期される。
【0061】
図に示されていない第1の例では、コータ3は、スロットダイコーティング装置のような液体インクを含む管路を含む。管路の第1の端部は、リザーバー2に接続されている。管路の第2の端はコータヘッドを形成する。コータヘッドの出口はリボン5の外面に隣接しており、最も好ましくはリボン5の外面に垂直である。上記管路はテーパーまたは平行のスリットを含むこともできる。重力と毛細管現象により、液体インクは管路の第2の端まで運ばれ、リボン5の外面にコーティングされる。この例では、コーティングヘッドの軸は、コータ3からインクが投影される軸と平行であってもよい。この軸は、リボン5の隣接部分の主軸又はリボン5の表面に対して垂直であることが望ましい。
【0062】
図に示されていない第2の例では、コータ3は、リザーバー2からリボン5に液体インクを搬送する装置を含む。当該装置は、リザーバー2内に少なくとも部分的に存在し、リボン5の外面に隣接または接触するインクローラーを含むことができる。インクローラーは、回転によって、液体インクをリザーバー2からリボン5の外面に搬送する。当該装置は、少なくとも部分的にリザーバー2内に位置し、リボン5に隣接または接触し、毛細管現象によってインクをリボン5に搬送することができる材料を含んでもよい。上記の材料は、発泡体、スポンジ材料、またはこのような毛細管現象を改善することができる材料を含んでいてもよい。
【0063】
コータ3は、従来のコーティング技術のリストの中から選択することもできる。他のいくつかの図示されていない例では、コータ3は、ナイフコーティング、カーテンコーティング、押し出しコーティング、スロットダイ、転写コーティング、フレキソコーティング、スクリーン印刷、またはそのような技術の組み合わせなど、熟練者が利用可能な任意の技術を使用して、エンドレスのリボンにインクをコーティングするように設計されている。
【0064】
コータ3は、ロールからロール、シートからシート、またはロールからシートへの印刷技術の伝統的なリストの中から選択することができる。印刷技術には、ヘリオグラニュア、セリグラフィー、フレキソ印刷、インクジェット、またはオフセットを使用する方法が含まれ、その結果、薄く、均一で、制御された厚さのインクをエンドレスのリボンに適用される。リボンに適用されるインクの量は、使用される技術、コーティング中のインクの温度、およびその特徴によって異なる。
【0065】
どちらの例でも、リザーバー2および/またはコータ3は、それぞれリザーバー2および/またはコータ3のインクを溶かすための加熱装置を備えている。リザーバー2は固体インクで充填することができる。固体インクがリザーバー2またはコータ3に接触すると、容易にインクが溶ける。
【0066】
一実施形態では、印刷装置1は、リザーバー2に新しい固体インクを定期的に追加する装置を含む。
【0067】
インク
使用されるインクは、熱可塑性組成物であり、融点以上の温度で溶融するのが好ましい。熱可塑性とは、溶融性または熱融性を意味し、融点または融点によって特徴づけられるあらゆる材料を含むと理解されている。ここでは、ホットメルトインクまたはインクという用語は、熱印刷装置で使用される熱可塑性インクの任意の組成物を指し、その融点によって特徴づけられる。ここで説明するプロセスの間に、インクは適切な濃度または粘度に溶融され、エンドレスのリボンに適用される。インクは、室温で非常に粘度が高く、冷却時に粘着しない材料を使用することもできる。
【0068】
コーティング装置は、直接的または間接的に限定されず、対流加熱、誘導加熱、または伝導加熱などの、熟練者が利用できる任意の技術を使用してインクを溶かす手段を含むことができる。一例では、コーティング装置はインクを溶かすための熱抵抗を含む。
【0069】
好ましい実施形態では、インク組成物は少なくとも着色剤または顔料を含み、任意で天然ワックス、合成樹脂またはこれら2つの組み合わせを含む。インク組成物は任意で界面活性剤を含み、任意で、有機および/または無機充填剤、及び溶媒を含む。他の様々な界面活性剤や他の流動補助剤を使用することもできる。
【0070】
インクの特徴は、常温では固体、常温以上では液体であることである。印刷中、インクは通常、液体になるまで加熱される。そのため、リボンからプリント基板へのインクの移動は、印刷中、プリントヘッド付近で、インクが基板にコーティングされると、インクが固体から液体へと急速に相を変化させ、画像を形作ることができる能力のおかげで保証される。インクは室温で固まり始めることがある。
【0071】
インクの融点は50℃から100℃が望ましい。
【0072】
プリントヘッド
印刷装置1は、プリントヘッド6を備える。好ましい一実施形態では、プリントヘッド6は熱転写プリントヘッド6である。
【0073】
一実施形態では、プリントヘッドは2つの構成を有する。
【0074】
第1の構成では、リボン5の外面51にあるインクの熱伝達を可能にするために、プリントヘッド6がリボン5の内面に接触している。この印刷処理の間、基板の印刷を目的としたインクの一部を伝達するために、リボン5の外面51は基板20に接触している。
【0075】
第2の構成では、プリントヘッド6はリボン5に接触していない。このモードは、印刷装置のスイッチがオフになったとき、または2つの連続した印刷シーケンス中に作動することがある。第1のモードと第2のモードの切替えは、印刷モードによって構成されてもよい。
【0076】
プリントローラー21を使用して、リボン5の近くに基板20を搬送することができる。熱転写プリントヘッド6は、基板20の近くにあることが望ましく、ホットメルトインク4をリボン5から基板20に転写するために使用される。プリントヘッド6、リボン5および基板20の間の配置は、所望の印刷精度に応じて正確に設定された機械部品によって確保される。少なくともプリントヘッド6とリボン5の間の所定の配置を確保するために、いくつかの案内および位置制御部品が実装されてもよい。
【0077】
プリントローラー21は、印刷プロセスが行われるときに、基板20をリボン5に接触させ続けるために、基板20に十分な圧力を確保する。この構成では、リボン5は、印刷プロセス中に、基板20とプリントヘッド6の間の移動サンドイッチ層に維持される。基板の移動は、プリントヘッド付近のリボン5の変位方向と同じ方向である。このプリントヘッド付近の移動は、直線運動であることが望ましい。
【0078】
別の実施形態では、プリントヘッドは、リボン5の外面51に位置するインクの熱伝達を可能にするために、リボン5の厚さを通してインクを加熱するレーザーを含む。レーザーの波長は、950 nmから1450 nmの間であることが望ましい。
【0079】
リボン
印刷装置1のリボン5は、インク4をコータ3から外面51のプリントヘッド6まで搬送することができる。リボン5はループを形成することが望ましい。このような構成では、印刷プロセス中に使用されなかった残留インクは、プリントヘッドを通過してインク回収装置 (非図) に搬送される。その結果、印刷用インクの搬送と印刷後の残留インクの搬送には、できれば循環的に同じリボン5が継続的に使用される。印刷プロセスは、残インクが自動的に取り出される連続ループプロセスを形成するように実装されている。この構成により、印刷されていないインクを取り出せるようになる。このインクは、リボン5の次のターンで有利に再利用できる。
【0080】
つまり、リボン5は、コータ3からプリントヘッド6への第1の経路と、プリントヘッド6からコータ3への第2の経路からなる経路に沿って、連続的なループプロセス、すなわち循環的に搬送される。リボン5は、その第1の経路上で、新しくコーティングされたインクを支持する。リボン5は、第2の経路上で、プリントヘッド6によって印刷されていないインクの一部を支持し、搬送する。
【0081】
本発明の1つの利点は、インクの少なくとも一部、できれば100%または実質的に100%が使用される、すなわちインク損失のない、自律的な印刷装置を提供することである。
【0082】
リボン5は様々な材料で作ることができる。リボン5は、300℃までの耐熱性のような高い耐熱性と、アルコールやインク、溶剤などに対する耐薬品性のような高い耐薬品性を持つ材料で作られることが望ましく、リボン5はポリイミドで作られることが望ましい。ポリイミドは、リボンを変形させることなく、温度の範囲[340°- 380°]までの温度での使用を可能にする。好ましい実施形態では、リボン5は金属または金属合金でできていてもよい。リボンは、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金、銅合金、ベリリウム合金などの金属合金でできていてもよい。一実施形態では、リボンは、ニッケル、スズおよび銅を含む合金で構成されていてもよく、ニッケルが14.5% mから15.5% mの間、スズが7.5% mから8.5% mの間、銅が75% mから79% mの間であることが望ましい。
【0083】
リボン5は、熱伝達率が0.120ワット/メートルケルビンを超える材料でできていることが望ましい。
【0084】
リボン材料の厚さと組成は、印刷を可能にするリボンを介した熱伝達を作成するように設計されている。
【0085】
リボンの厚さは、50μmまたは20μmよりも薄いことが望ましい。この厚さは、内面と外面の間の熱伝達抵抗が低く、印刷の品質を向上させるのに有利である。リボン5の厚さは、実質的に0.5μmから50μmの間、最も好ましくは0.5μmから20μmの間で構成することができる。一例では、リボン5の厚さは[3-25μm]または[5-10μm]の範囲で選択される。
【0086】
プリントヘッド6がレーザーを含む一実施形態では、リボン5は当該レーザーの波長で透明である。この実施形態では、リボン5の厚さは [3-200μm] の範囲で選択される。
【0087】
冷却器
本発明によれば、印刷装置1は、少なくとも1つの冷却器72を備える。冷却器72は、エンドレスのリボン5上のコーティングインク4を、当該リボン5の経路の第1の部分で冷却するように構成されている。当該第1の部分は、好ましくは、コータ3からプリントヘッド6まで、リボン5の第1の経路の一部に沿って配置される。冷却器72は、コーティング後の溶融インク4の凝固を有利に改善する。プリントヘッド6付近のインク4は、冷却器72のおかげで固体状態を有利に回復し、熱転写による印刷品質を向上させる。実際、プリントヘッド6はインク4の一部を溶かして基板20上に印刷するので、プリントヘッドの近くに到着する前に所定温度でインク4を冷却すると、印刷の精度が向上する。
【0088】
冷却器72は、インク4を所定温度で冷却するように構成することが望ましい。冷却器は、リボン上のインクを当該インクの融解温度よりも低い温度で冷却するように設計することが望ましい。
【0089】
冷却器72はアクティブ冷却器であってもよい。アクティブ冷却器は、冷却を生成するために栄養を供給する手段を含む。アクティブ冷却器は、システム外の熱を取り出すために使用される通常のファンを含まない。このようなファンは単に対流によって熱を搬送するだけで、低温を発生させず、所定温度でインクを冷却するという目的の効果を発生させない。冷却器72は、リボン5を通してインク4を冷却するように配置することができる。
【0090】
第1の実施形態では、冷却器72は、少なくとも一つの熱電材料、できればペルチェ効果を示す熱電材料を含む。ペルチェ効果を示す熱電材料は、電流から熱流を生成する。2つの導体間の接合部に電流を流すと、一方の接合部で熱が除去される。冷却器72はペルチェヒートポンプを含むことができる。ペルチェヒートポンプは直列の複数の接合部からなり、電流が駆動される。ペルチェ効果によって熱を失う接合もあれば、熱を得る接合もある。ペルチェ式ヒートポンプは、熱を失う接合部がリボン内のインクを冷却するように、できればリボンを通して配置されるように設計されている。
【0091】
第2の実施形態では、冷却器72は、リボン内のインクを冷却するように、できればリボンを通して配置された熱交換器を備えている。熱交換器は、ラジエーターコイルを通る循環流体(冷却剤とも呼ばれる)と、冷却剤を冷却し、流入する空気を加熱するコイルを通る空気の流れと、から構成される。ラジエーターによって冷却された冷却剤は、できればリボンを通してインクを冷却するために駆動される。熱交換器は、冷却剤を冷却するためにラジエーターに接触する気流を改善するためのファンを含むことができる。
【0092】
第1の実施形態と第2の実施形態は、リボン5上のインク4を、できればリボン5を通して冷却するために組み合わせることができる。
【0093】
加熱器
一実施形態によれば、印刷装置は少なくとも一つの第1の加熱器82を備える。第1加熱器82は、リボン5の経路の第2部分に沿ってリボン上のインクを加熱するように構成されている。第2の部分は、リボンの経路の第2の部分の少なくとも一部に延長される。加熱器82は、印刷後に残ったインク4が溶けたり、リボン5の融点に近づいたりするのに有利である。第1の加熱器82は、コーティングを改善し、コータ3によってリボン上のインク4を交換するのに有利である。第1の加熱器82は、第2の部分のリボン上のインクを第2の所定温度以上で加熱するように構成されているのが望ましい。
【0094】
一実施形態では、第1の加熱器82は、リボン5の経路の第3の部分に沿ってリボン上のインクを加熱するようにも構成されている。別の実施形態では、印刷装置は、リボン5の経路の第3の部分に沿ってリボン上のインクを加熱するように構成された第2の加熱器84を備えている。第3の部分は、好ましくは、コータ3によってリボン5がインクでコーティングされるコーティングゾーンを含んでいる。
【0095】
一実施形態では、第3の部分は、コーティングゾーンの各部分に少なくとも2 cmに沿って延びている。好ましくは、第3の部分は、10 cmより短い長さに沿って延びている。
【0096】
第1の加熱器82および/または第2の加熱器84は、第3の部分のリボン上のインクを第3の所定温度以上に加熱するように構成されているのが好ましい。一実施形態では、第2および第3の所定温度は等しい。好ましくは、第3の所定温度は第2の所定温度よりも高い。好ましくは、第3の所定温度はインクの融点よりも高い。
【0097】
この実施形態では、この第3の部分の加熱は、インク4を有利に流し、当該インクが冷却される前に、バンド上のインクの厚さの均一性を改善する。
図1および
図2に示されている一実施形態では、第1または第2の加熱器は、コータの両側から延びる部分のリボン上のインクを加熱するように配置されている。利点の1つは、コーティング前、コーティング中、およびコーティング後にリボン上のインク4を加熱して、コーティングと、リボン5の幅および長さに沿った厚さの均一性を改善することである。加熱器82はいくつかの手段を含むことができ、それぞれが第2または第3の部分のインクを加熱するように構成されている。
【0098】
加熱器82、84は、ジュール加熱によってリボン5を介してインク4を加熱する抵抗を含むことができる。別の実施形態では、加熱器は、リボン5上のインクを加熱する放射線による加熱手段を含む。
【0099】
この実施形態では、リボン5上のインクは、まずコータに到着する前に(任意でコータの後に) 加熱され、次に印刷の段階の前に冷却器によって冷却され、固体インクを提供し、印刷の品質を向上させる。
【0100】
一実施形態では、第2の部分と第3の部分は隣接している。
【0101】
搬送システム
リボン5は、搬送システムを使用して保持および搬送される。搬送システムは、コータからプリントヘッドまでの経路に沿って、リボン5を循環的に支持および搬送する。搬送システムは、コータからプリントヘッドまでの第1の経路に沿って、およびプリントヘッドからコータまでの第2の経路に沿って、エンドレスのリボンを支持および搬送する。
【0102】
図1に示すように、搬送システムは、エンドレスのリボン5を保持して搬送するために、少なくとも1つのローラー9を含むことができる。搬送システムは、その経路に沿ってエンドレスのリボン5を保持して搬送する複数のローラー9を含むことができる。
【0103】
当該ローラー9は円筒形をしている。当該ローラーは、フレーム12に、当該ローラーのシリンダーの縦軸である軸に沿って少なくとも1回転自由度で接合されている。好ましくは、ローラー9は、当該ローラーの縦軸が、当該ローラー9と接触するフレームの表面に対して、鋭敏に垂直になるように、機械的にフレームに接続されている。一実施形態では、少なくとも1つのローラー9が、少なくとも1つの平行移動自由度でフレームに結合されている。好ましくは、少なくとも1つのローラー9は、当該ローラーのシリンダーの縦軸に対して鋭敏に垂直な平面に沿ったフレームに関して平行移動自由である。
【0104】
ローラー9の少なくとも1つは駆動ローラーであってもよい。駆動ローラーはモーターに接続され、当該駆動ローラーを回転させる。モーターに電源を供給するために、少なくとも1つのバッテリーまたは電気回路を印刷装置に実装することができる。駆動ローラーの回転は、他のローラーの回転も発生させる、その経路に沿ったエンドレスのリボン5の変位を生成する。
【0105】
第1の実施形態:冷却ローラー
図7、8および9に示す第1の実施形態では、冷却器82は、少なくとも1つのローラー100、好ましくは第1の部分に配置されたローラー100を冷却するように配置されている。例えば、熱電材料は、リボン5の第1の経路でリボン5を支持する1つのローラー100に、または接触して一体化することができる。その後、ローラー100は冷却され、インク4はその経路の第1の部分でリボン5を通って冷却される。別の例では、冷却剤がローラー100を冷却するように誘導されるように、熱交換器は設計されている。ローラー100は、高い熱伝導率を含む材料でできていることが望ましい。ローラー100は、アルミニウムや銅などの金属、またはそのような金属の合金でできていてもよい。利点の一つは、冷却剤からローラーへの熱伝達とローラーからリボンへの熱伝達を改善することである。
【0106】
冷却ローラー100は、リボン5の内面52に接触し支持するように配置されている。一実施形態では、冷却ローラーは、リボン5をその内面52によって、100°よりも上、できれば120°よりも上の角度Aに沿って支持するように設計され、配置される。この角度は、冷却ローラーの両側にある2つの隣接するローラー9の位置および/または直径を変更することによって調整することができる。一実施形態では、冷却ローラーのセクションの直径は50 mmよりも大きく、できれば70 mmよりも大きい。
【0107】
冷却ローラー100の直径と組み合わせたこの角度Aは、冷却ローラー100とリボン5の間のより長い接触面積を可能にし、リボン上のインク4のコーティング層の冷却と凝固を改善するのに有利である。
【0108】
前述のように静的プレート75ではなく冷却ローラー100を使用する利点の一つは、リボンがローラーに沿ってスライドしないことである。ローラーは、モーターによって回転駆動される場合と、冷却ローラーとリボンの円周面をつかむことによってリボン自体によって回転駆動される場合がある。
【0109】
冷却ローラー100は、案内要素について後述するように熱交換器を含む冷却器72に接続されることが望ましい。
【0110】
次に、このような冷却ローラーの一実施形態を
図8および
図9を参照して説明する。
【0111】
冷却ローラー100はシャフト101からなる。シャフトは金属(例えばアルミニウム合金)などの高熱伝導体材料で作られている。
【0112】
シャフト101は少なくとも一つのパイプ103を含む。パイプ103はシャフトの体積に沿って伸びており、熱交換器のコイル73に流体的に接続されている。その後、冷却剤はラジエーター76によって冷却され、シャフト101のパイプ103に再注入されてシャフト101を冷却する。一実施形態では、パイプ103の直径は5から20 mmの範囲である。一実施形態では、パイプ103の長さは150から400 mmの範囲である。
【0113】
冷却ローラー100はまた、シャフト101の周りで回転自由なローター102を含む。ローターの外面はリボン5を支えている。
【0114】
シャフト101とローター102の間の空洞には、シリコンオイルなどの潤滑剤が充填されているのが望ましい。利点の一つは、シャフト101とローター102の間の摩擦を減らすことである。もう一つの利点は、シャフト101とローター102の間の熱伝導を改善することである。
【0115】
一実施形態では、冷却ローラー100は、ローター102の回転中にキャビティ内の潤滑油の漏れを避けるために、シャフト101とローター102の間にシールリング104を備える。
【0116】
一実施形態では、印刷装置は、さらにモーター110を備える。モーター110は、冷却ローラー100のローター102の回転を駆動するように配置および設計されている。
【0117】
モーターは、制御部に接続されている場合がある。一実施形態では、制御部は、前述の駆動ローラーの回転速度に応じて、モーター110の回転速度を制御するように構成される。
【0118】
図9に示す一実施形態では、モーター110は駆動プーリー114を含み、冷却器100のローター102は駆動プーリー112を含む。印刷装置はさらに、駆動プーリー114の回転を駆動プーリー112に伝達するためのベルト111を含み、したがって、その回転を冷却器のローター102にも伝達する。一実施形態では、システムはさらに、ベルトの張力を確保し、ベルト111と駆動プーリー114および/または駆動プーリー112との接触角を増加させるように配置されたテンショナー113を含む。
【0119】
第2の実施形態:冷却プレート
図1および
図11に示す第2の実施形態では、搬送器は第1の案内要素を含む。第1の案内要素は、できれば2つの隣接するローラー9の間に配置された静的支持要素を含むことができる。当該静的支持要素は、金属板や金属シートなどのプレートであることが望ましい。リボン5は、その長さに沿って第1案内要素75 (例えば、金属板)上をスライドしている。以下の説明では、「プレート」という用語を使用して第1の案内要素75を設計する。プレートは、第3の寸法が第2または第1の寸法より少なくとも5倍低い体積を含む要素を含むことが望ましい。
【0120】
プレートの一部は、リボン5の内側に接触するように配置され、リボンを通してインクを冷却する。金属プレートは、熱伝導を改善するために、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることが望ましい。
【0121】
プレートは、フレーム12に関して静的支持要素であることが望ましい。プレートは、自由度0でフレームに機械的に接続されていることが望ましい。プレートとフレームは完全に結合されている。この接続は連動接続と呼ばれることもある。つまり、フレーム12とプレートは互いに相対的に動く可能性がない。フレーム12とプレート75の間のこの接続は、直接(例えば直接接触による)または間接(例えば、プレート75とフレームの両方が中間要素または補助要素に完全に結合されている)にすることができる。
【0122】
一実施形態では、第1の案内要素は、プレート75とリボン5の間に潤滑剤を含み、プレート上のリボンの滑りを改善する。一実施形態では、当該潤滑油は液体油を含むことができる。液体油は、潤滑と、接地用のリボンまたはプレートからフレームに向かっての静電放電を有利に可能にする。
【0123】
図6に示されている一実施形態では、冷却器は吸収材63を含む。吸収材63は、その上に油または他の潤滑剤を保持または吸収するように設計されている。吸収材63は、リボン5の内面52、できればコータとプレート75の間に接触するように配置されている。吸収材63は潤滑剤で浸漬されるようになっている。この目的のために、印刷装置はさらに、潤滑剤(液体油など)を充填するためのリザーバー61と、当該潤滑剤をリザーバー61から吸収材63に搬送する手段を備えている。当該手段は、リザーバー61を吸収材63に流体的に接続するパイプ62を備えていてもよい。吸収材63は、平行移動においてフレームに固定されることが望ましい。一例では、吸収材はスポンジ状の材料、布地、または綿から成る。したがって、当該吸収材は、プレート上を滑る前に、リボンの内面に潤滑剤を供給することができる。1つの利点は、リボンとプレートの間の摩擦のために、滑り中にリボンに生じる損傷を減らすことである。そのため、リボンの寿命が向上する。
【0124】
第1の案内要素75は、移動するリボン5を所定の経路、例えば曲線経路に沿って案内するために配置される。第1の案内要素75は、リボン5を支持する丸みを帯びた形状の案内である。
【0125】
プレート75が丸みを帯びた形状または湾曲した形状である第1の利点は、リボン5とプレート75との接触点65でリボンに生じる摩擦力を低減することである。実際、この形状はリボンがプレートの端にこすらないことを保証する。第2の利点は、曲線形状がリボンとプレートの接触をさらに保証し、リボンとプレートの間に気泡が挿入されるリスクを低減することである。そのため、リボンと板の間の熱伝導が有利に改善される。
【0126】
この目的のために、プレート75には外面があり、凸状であるリボンの内面を支持することを意図している。
【0127】
一実施形態では、凸面の曲率半径は2cmより大きい。
【0128】
一実施形態では、プレート75の第1の表面の長さは2 cmから20 cmの範囲である。
【0129】
一実施形態では、第1の案内要素75に支持されたリボン5上のコーティングインク4を冷却するために、第1の案内要素75(例えば、プレート)が冷却器72に結合されている。前述のように、第1の案内要素75は熱電材料によって冷却されてもよい。熱電材料の熱を失う接合部は、案内の一方の面、できればリボン5と接触する面と反対の面と接触してもよい。別の実施形態では、熱交換器の冷却剤が第1の案内要素75を通って駆動され、冷却される。一実施形態では、第1の案内要素は、コアの外面を冷却するために冷却剤が循環している空洞を有するコアを含み、その外面はリボン5を支持するように配置されている。第1の案内要素75は、好ましくはリボン5の経路の第1の部分に沿って、リボン5の当該第1の案内要素75によって支持されている部分を冷却するように配置される。冷却器72はペルチェ素子を含むことができる。
【0130】
第1の案内素子75の利点の一つは、第1の案内素子75とリボン5との接触面を利用してリボン上のインクを冷却することである。インク4はリボンを通して第1の導電体75によって冷却される。
【0131】
図1に示す一実施形態では、搬送システムは、第1の導電体75について説明したのと同じ方法で移動するリボンを所定の経路に沿って案内するために配置された第2の導電体85を含むことができる。第2の導電体85は、第2の導電体85によって支持されたリボン5上のインク4を加熱するために、第1の加熱器82および/または第2の加熱器84と結合することができる。第2の導電体85は、リボン5の経路の第2の部分および/またはリボンの経路の第3の部分に沿ってリボンを保持および支持するように配置される。好ましくは、
図1に示すように、第2の導電体85は、コータ3の両側から延びる部分でリボン5と接触するように配置される。電気抵抗を当該第2の導電体の内部に組み込んで、リボン5を通って第2の導電体85の壁を通ってインク4を加熱することができる。
【0132】
リボンに直接接触する冷却プレートの利点の一つは、このような構成により、冷却ローラーと比較して印刷装置の体積を減らすことができることである。実際、冷却ローラーは、プレートと同じインクを冷却するために、印刷装置全体の体積の増加につながる重要な直径を必要とする。冷却プレートではなく冷却ローラーを使用してリボンの経路の長さを短くしても、ローラーの邪魔はプレートのそれよりも大きくなる。
【0133】
一実施形態では、プレート75はフレーム12から取り外し可能である。プレート75は、例えば、その経路に沿ったリボンの配置を容易にするために、フレーム12から部分的に分解することもできる。
第3の実施形態:冷却搬送ベルト
図2に示す代替の実施形態では、搬送システムは、搬送ベルト71を含む少なくとも1つの第1の搬送器7を含む。
【0134】
搬送ベルト71は、リボン5を保持し、リボンの経路の少なくとも第1の部分に沿ってリボン5の内面によって搬送するように設計および配置されている。第1の搬送ベルト71は、リボン5を一方向に回転させる連続軌道と同じ機能を果たす。一実施形態では、搬送ベルト71は、リボン支持体を形成するためにループされる平行四辺形で構成される。
【0135】
リボン5の内面は、搬送ベルト71の外面に保持される。
図2の例では、搬送ベルト71は少なくとも2つのローラー11によって支持されている。別の例では、搬送ベルト71は、例えば三角形またはプリズムを形成するために、3つのローラー11によって支持されている。
【0136】
搬送ベルト71は、その移動中にリボン5の一部を支持し、リボン5に沿った張力を減少させる。この搬送ベルト71の支持機能は、リボン5にかかる張力をよりよく分散させることを目的としている。
【0137】
「リボンの一部」とは、リボンの経路の一部にあるリボンの一部と理解されるべきである。
【0138】
搬送ベルト71の利点の一つは、リボン5が機械的な変形を受けることなく、2つのローラー11の間の距離に沿って運ばれることである。
【0139】
好ましい実施形態では、リボン5は搬送ベルト71の丸みを帯びた表面上で、その距離に沿って運ばれる。実際、最大曲率半径を含む丸みを帯びた表面は、ベルトとリボンの間の摩擦を減少させ、さらにリボンに加えられる垂直力を減少させることができる。このような構成では、搬送器の丸みを帯びた表面は、リボン5の曲率半径を最大にするように設計することができる。
【0140】
搬送器7は、リボン5への応力を有利に最小化し、リボン5の寿命を改善する。さらに、リボン5への応力を最小化することにより、リボン5に波紋のプロファイルが作成されるのを避けることができる。さらに、搬送ベルト71を使用することで、リボン5のしわやずれのリスクが低減される。
【0141】
搬送ベルト71は、少なくとも2つのローラー11の周りに配置されたプラスチックバンドで構成することができる。他の実施形態では、搬送ベルト71は、エラストマー、熱硬化性樹脂またはポリイミドのような熱硬化性プラスチック、コルクバンドまたはステンレス鋼のような金属板のような任意の柔軟な材料で作ることができる。
【0142】
これらのローラー11は、搬送ベルト71がリボン5の経路の一部に沿ってリボン5を運ぶ部分を含む経路の周りに搬送ベルト71を運ぶ。
【0143】
一実施形態では、第1の搬送ベルト71を含む第1の搬送器7が冷却器72と連結される。第1の搬送ベルト71は、リボンの経路の第1の部分でリボンを保持し、支持する。一実施形態では、第1の搬送器7のローラー11は冷却器72と連結される。
【0144】
別の実施形態では、第1の搬送器7は第1の誘導素子75を含む。第1の誘導素子75は、
図1の第1の誘導素子がリボン5を誘導するのと同様に、所定の経路に沿って移動する搬送ベルトを誘導する。特に、リボン5を運ぶ第1の搬送ベルト71の部分は、第1の誘導素子75によって支持される。第1の誘導素子75は、部分的に丸みを帯びた形状の誘導素子であってもよい。
【0145】
第1の誘導素子は、第1の実施形態で説明したように、プレートを構成してもよく、そのプレートの凸面は、搬送ベルト71によって引きずられるリボン5を間接的に支持する。
【0146】
第1の案内要素75は、第1の搬送ベルト71及びリボン5を通ってコーティングされたインク4を冷却するために、冷却器72と結合することが好ましい。この実施形態では、第1の搬送ベルト1は、金属、できればアルミニウムや銅、またはそのような金属の合金のような熱伝導率の高い材料で作られることが好ましい。第1の案内要素75は、
図1の第1の案内要素の説明で前述したのと同様の方法で冷却器に結合することができる。
【0147】
同様に、搬送システムは、第2の搬送ベルト81を含む第2の搬送器8を構成することができる。第2の搬送ベルト81は、リボン5の経路の少なくとも第2の部分および/またはリボン5の経路の第3の部分でリボン5を保持し、搬送する。第2の搬送ベルト81は、加熱器82と結合された第2の案内要素85を含むことができる。第2の案内要素85は、リボン5の経路の第2の部分のリボン5上のインク4を加熱するように配置することができる。第1の搬送器7のローラー11が冷却器72と連結されているのと同じように、第2の搬送器8のローラーも加熱器82と連結することができる。加熱器82は、搬送ベルト81をジュール加熱することによって加熱するように配置された少なくとも一つの抵抗を含むことができる。少なくとも一つの抵抗は、第2の搬送器8または第2の案内要素85のローラーの内部または接触に配置することができる。
【0148】
一実施形態では、第2の部分と第3の部分は隣接しており、加熱器82, 84は、リボンがコータ3によってコーティングされる点を含む部分に沿ってリボン上のインクを加熱するように構成されている。
【0149】
一実施形態では、第1の加熱器82および/または第2の加熱器84は、搬送システムのローラー9および/または搬送ベルト71を支持するローラー11と連結されている。
【0150】
ここで、印刷装置の好ましい実施形態を参考
図3から5に示す。
【0151】
印刷装置1は、コータ3とプリントヘッド6からなる。コータ3は、エンドレスのリボン5をコーティングし、リボン5の片面にインクの層を作る。
【0152】
コータ3は、厚さが1から8マイクロメートルのインクの層をリボン5にコーティングするように設計されている。好ましくは、コータは、リボン5の幅と長さに沿って、コーティングされたインクの層の厚さが感覚的に均一になるように設計されている。
【0153】
プリントヘッド6は、基板20上に、リボン5上のインク4の少なくとも一部を熱転写によって転写するように配置されている。
【0154】
搬送システムは、インク4を、第1の経路でコータ3からプリントヘッド6へ、第2の経路でプリントヘッド6からコータ3へ、と循環的に運ぶ経路に沿ったリボン5の変位を保証する。搬送システムは、リボン5を保持して搬送するための複数のローラー9で構成される。搬送システムは、ばね仕掛けのテンションローラー10を備えることもできる。ばね仕掛けのテンションローラー10は、リニアスライドに取り付けることができる。ばね仕掛けのテンションローラー10は、リボンへの機械的な張力を維持するために、リニアスライドに沿ってローラー10を押したり引いたりするように負荷され配置されたばね要素から成る。一実施形態では、ばね仕掛けのテンションローラー10は駆動ローラーである。
【0155】
搬送システムは、搬送ベルト71を含む第1の搬送器7を含むこともできる。第1の搬送器7の搬送ベルト71は、リボン5を保持し、少なくともその経路の第1の部分に沿って搬送するように配置されている。リボンの経路の第1の部分は、コータ3からプリントヘッド6までのリボン5の第1の経路に位置している。リボンの経路の第1の部分では、リボンは新しいインクをプリントヘッド6に運ぶ。第1の搬送7は、搬送ベルト71を保持して搬送するための3つのローラーで構成されている。
【0156】
第1の搬送器7は、リボン5を保持して搬送する搬送ベルト71の部分を保持して搬送するための第1の案内要素75で構成されている。第1の案内要素75は、少なくともリボン5の経路の第1の部分に沿って、搬送ベルト71を介してリボン5を間接的に保持し、搬送する。
【0157】
冷却器の例
図に示すように、第1の案内要素75は冷却器72に結合されている。この例では、冷却器72は第1の案内要素75を冷却するように配置された熱交換器を備えている。冷却器72は、熱交換器の冷却剤を冷却するための放熱器76を備えている。熱交換器は、凝縮器74を備えていてもよい。放熱器76は、凝縮器74を冷却するように配置されている。
【0158】
一実施形態では、冷却剤はアルコール溶媒である。このような冷却剤の利点は低沸点である。この実施形態では、第1の案内要素75の接触において冷却剤が沸騰しており、第1の案内要素75の熱損失が大きい。凝縮器では、冷媒は液体の状態に戻る。
【0159】
図5に示す例では、熱交換器は第1の案内要素75と凝縮器74の間に冷媒を案内するコイル73で構成されている。一実施形態では、インク4の冷却を改善するために、第1の搬送システムのローラー11も冷却器72に結合されている。
【0160】
一実施形態では、コイル73はヒートパイプである。
【0161】
ヒートパイプは、蒸発器部と凝縮器部からなる。蒸発器部は、第1の案内要素75に含まれる。凝縮器部は、凝縮器74に含まれる。
【0162】
蒸発器部に外部から加えられた熱は、ヒートパイプ壁とウィック構造を介して伝導され、これにより冷媒が気化される。結果として生じる蒸気圧は、断熱部を介してパイプを介して蒸気を駆動し、所定のヒートシンクへの潜熱気化と比較して、蒸気が凝縮する凝縮器74に至る。ヒートパイプ内のメニスカスによって生成された毛細管圧は、凝縮冷媒をポンプで蒸発器部に送り返す。このため、ヒートパイプは、機械的なポンプ手段を用いることなく、第1の案内要素75から凝縮器74までの蒸発潜熱を連続的に搬送することができる。このプロセスは、凝縮した冷媒を蒸発器に戻すのに十分な毛細管圧力がある限り継続される。このように作動するヒートパイプの向きと構造の条件は、熟練者によってよく知られている。
【0163】
ヒートパイプは、熱交換器の体積を減らすのに有利である。冷却器74は、冷却剤の凝縮をラジエーター76および/またはペルチェ式ヒートポンプで継続するために冷却することができる。ヒートパイプによって、冷却剤の搬送のための機械的なポンプ手段を避けることができる。
【0164】
説明した冷却器72は、本発明の第2の実施形態で説明したプレート75または本発明の第1の実施形態で説明した冷却ローラー100を冷却するためにも使用することができる。
【0165】
冷却器72は、搬送ベルト71およびリボン5を介して、所定温度でインク4を冷却するように構成されている。利点は、少なくともインク4をその融解温度以下に冷却することである。このようにして、プリントヘッド6の下に到着したリボン5上のインク4は、印刷装置が使用される周囲温度に関係なく、固体状態となる。
【0166】
好ましくは、搬送ベルト71は、インク4と第1の案内要素75との間の熱伝導率を有利に改善するために金属シートで構成される。好ましくは、リボン5の厚さは、インク4と第1の案内要素75との間の熱伝導率を有利に改善するために、30μmまたは25μm未満である。
【0167】
一実施形態では、リボン上のインク層の厚さが2から7μmの範囲にある場合、およびポリイミドで構成されるリボンの厚さが5から25μmの範囲にある場合に、1m/sのリボン速度で、インクを冷却するために適用する電力は、リボンの1500から6000ワット/mの間で構成することができる。インクを冷却するために適用する電力は、リボン速度、インク層の厚さ、またはポリイミドのリボンの厚さに比例する場合がある。
【0168】
インクを加熱するための追加の搬送システム
一実施形態では、搬送システムは、第2の搬送ベルト81を含む第2の搬送器8をさらに含む。第2の搬送ベルト81は、リボン5の経路の第2の部分でリボン5を保持し、搬送する。リボンの経路の第2の部分は、リボンの第2の経路の少なくとも一部を構成することが望ましい。つまり、第2の搬送ベルト81は、少なくともプリントヘッド6からコータ3までの経路の一部でリボン5を保持して搬送する。第2の搬送ベルト81は、リボン5の経路の第3の部分でリボン5を保持して搬送することもできる。リボンの経路の第3の部分は、リボンの第2の経路の少なくとも一部を含むことが望ましい。つまり、第2の搬送ベルト81は、コータ3から冷却器で冷却された第1の部分までの経路の少なくとも一部でリボン5を保持して搬送する。
【0169】
第2の搬送ベルト8は、加熱器82に結合された第2の搬送ベルト81を保持して搬送する少なくとも1つの第2の案内要素85および/またはローラーを含む。加熱器82は、第2の所定温度でインク4を加熱するように構成されている。第2の所定温度は、インク4の融点以上であることが望ましい。コータ3に到着する前にインクを流動させる溶融は、リボン5上のインクを溶融して流動させ、コーティング後のリボン上のインク層の均一性を向上させるのに有利である。このような加熱は、コーティング前の残りのインクの回復をさらに向上させる (図示せず) 。
【0170】
加熱器は、リボンの経路の第2の部分および/または第3の部分のリボンを加熱するように構成されている。第2の部分は、コータがリボン5をコーティングする部分を含むこともできる。これは、コーティングプロセス中にリボン5上のインク4を加熱して、リボン5上のインク層の均一性を改善するのに有利である。実際、加熱することにより、リボン5に接触しているインク4の急速な凝固を回避し、当該インク4の粘度を低下させ、リボンの表面にインクを均一に広げることができる。一実施形態では、第3の部分は、コータから延びるリボンの第1の経路の一部を構成する。これは、コーティングプロセスの直後にインクを加熱して、リボン上のインクの厚さの均一性をさらに向上させるのに有利である。つまり、
図3に示すように、加熱装置は、コータ3の前後、および冷却器72によって冷却される部分の前に位置する経路の一部で、リボン上のインクを加熱するように配置することができる。
【0171】
一実施形態では、印刷装置1はフレーム12を含むことができる。フレーム12は、コータ3、プリントヘッド6、およびリボン5の経路を含む。フレーム12は、印刷された基板20の出口のための少なくとも一つの開口部15を含む。一実施形態では、印刷装置1はさらに隔離壁14を含む。隔離壁14は、冷却されたリボンの経路の第1の部分と、加熱されたリボンの経路の第2の部分および/または第3の部分を分離するように配置される。隔離壁14は、リボン5の通過のための開口部を含むことができる。
図4に示すように、隔離壁14は印刷装置1のフレーム12から延びていてもよい。隔離壁14は、冷却器72によってインクが冷却されるリボンの経路の第1の部分から、コータ3と加熱器82を隔離する。一つの利点は、加熱器82とコータ3によって提供される熱を封じ込めることである。このようにして、インク4を第1の所定温度に冷却するために冷却器72に加える電力を減らすことができる。隔離壁14は隔離材料で作ることができる。一実施形態では、隔離壁14は、鉱物ウールを有している。
【0172】
一実施形態では、印刷装置1は、基板20をプリントヘッド6に導くための2つの印刷ローラー21を含む。図に示すように、印刷装置1は、基板20とリボン6を所定の長さに沿って保持し、プリントヘッド6に搬送するための第3の案内要素22をさらに含む。
【0173】
一実施形態では、印刷ローラー21および/または第3の案内要素22を加熱器および/または冷却器に結合して、第1の経路の第4の部分でインク4の温度を制御する。第4の部分は、リボンの第1の経路 (できれば第1の部分とプリントヘッドの間) に配置される。一実施形態では、第4の経路は、リボン5の第1の経路上の定義済みの長さに沿ってプリントヘッドから延びている。これにより、インクを最適化された温度にし、熱転写による高品質な印刷を保証できる。好ましい実施形態では、温度を制御するための冷却器および/または加熱器は、第3の所定温度を目標としてインク4の温度を制御することを目的としている。第3の所定温度は、インクの融点の数度下に決定される。これは、伝達されるエネルギーを減少させて熱伝達を確実にし、印刷品質を損なうことなく印刷速度を向上させることができる。
【0174】
冷却パラメータ
一実施形態では、冷却板75、搬送ベルト71、または冷却ローラー100とリボン5の間の接触長は、コーティング装置3からプリントヘッド6までのリボン5の第1の経路の15%よりも大きい。一実施形態では、リボン5と冷却板75、搬送ベルト71、または冷却ローラー100の間の接触長は、5から30 cmの範囲である。冷却ローラーの周囲または搬送ベルトの長さは、10から60 cmの範囲であることが望ましい。
【0175】
図10に示す図は、リボンの搬送に沿ったリボン上のコーティングされたインクの温度レベルを示している (図は拡大縮小されていない) 。
【0176】
最初のステップEでは、リボン上のインクは、リボンの経路の第3の部分に対応する距離に沿って、コーティング装置Bの両側で加熱される。この部分では、インクの融点TFよりも高い第2の所定温度T2でインクが加熱される。一実施形態では、第2の所定温度T2はインクのガラス転移温度よりも高い。
【0177】
一実施形態では、印刷装置は支持ローラーを含む。支持ローラ-は、コーティングゾーンを構成する経路の一部に沿ってリボンを支持するように配置および設計されている。好ましくは、このローラーは、リボンを接触させて加熱する加熱手段を備えている。
【0178】
第2の段階では、リボン上のインクは、インクが冷却されるリボンの経路の一部に到着する。Cの部分は、プレート75、搬送ベルト71、または冷却ローラー100に接触するリボンの部分に対応している。このCの部分の最後で、インクの温度は第1の所定温度T1まで低下する。第1の所定温度T1はインクの融点TFよりも低く、好ましくはインクの融点TFよりも20℃低い。
【0179】
第3の段階では、プリントヘッド付近のD領域でインクを局所的に加熱し、リボン5から基板20へのインクの熱転写を行う。そのため、このD領域のインクを融点TF以上に加熱して、当該熱転写を行う。このD領域では、インクを第2の所定温度T2以上または以下に加熱することができる。
【0180】
その後、リボン上の残りのインクは、最初のステップで説明したように、プリントヘッドからコーティング装置Bに搬送されて再コーティングされる。
【0181】
リボンに直接接触する冷却プレートの利点の1つは、インクの温度を制御しやすいことである。
【0182】
本発明のさらなる利点の1つは、コーティングされたインクの凝固をより良く制御できることである。本発明は、コーティング装置とプリントヘッドとの間のリボンの長さを短縮できるという利点がある。したがって、本発明は、印刷装置の体積を減少させることができる。好ましくは、エンドレスのリボン5の長さは150 cmより短く、より好ましくは40 cmから110 cmの間で構成される。
【0183】
リボンの第1の経路の長さ(すなわち、コーティングされたリボンの長さ)は、20 cmから80 cmの範囲が望ましく、30 cmから50 cmの範囲が望ましい。
【0184】
本発明はさらに、より制御されたインクの冷却を提供し、コーティングされたインクを十分に冷却してインクが基板に付着するのを防ぐという利点がある。したがって、インクの完全な凝固が得られ、印刷中にインク層がタックフリーのままになる。
【0185】
一実施形態では、印刷装置は、基板に接触して到達するインクの温度が融点以下の60℃または20℃未満になるように、リボン上のコーティングされたインクを冷却するように設計および構成される。
【0186】
本発明は、有利には、コーティングされたリボンの長さ(すなわち、第1の経路の長さ)が80 cm未満で、リボンの速度が1 m/sより大きい場合に、インクがそのような温度に達することを可能にするリボンのインクの冷却プロセスを提供する。
【0187】
さらに、本発明は、広範囲の環境または気候条件で印刷装置を使用することを可能にする。実際、第1の凸表面の温度は冷却器72によって制御される。冷却器が使用する電力は、環境条件(温度、湿度、圧力)に依存する場合がある。したがって、本発明は、世界的に標準化された印刷プロセスを可能にする。
【0188】
実際、本発明は、プリントヘッドがリボンと接触している印刷ゾーンに到着するインクの温度が、最初に定義された温度と等しいか、またはそれより低いことを保証する。
【国際調査報告】