(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】体腔内を閉塞する装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20231219BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20231219BHJP
A61F 2/01 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B18/14
A61F2/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559169
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021086039
(87)【国際公開番号】W WO2022129257
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523224822
【氏名又は名称】オーリゲン メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オハローラン,トニー
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モラン,マット
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD52
4C160DD54
4C160DD65
4C160KK12
4C160MM33
4C160MM36
4C160MM37
(57)【要約】
【解決手段】 対象の心臓の左心耳などの体腔を閉塞する装置が記載される。この装置は、近位接続ハブと、収縮した構成から、半径方向に拡張した構成への展開時に、半径方向に拡張して左心耳を流体的に閉塞するように構成される、半径方向に拡張可能な本体とを含んでなる移植可能な閉塞器具と、中心内腔を有する細長い展開カテーテルと、前記細長い展開カテーテルの中心管腔内に配置される、そして前記移植可能な塞栓器具の近位接続ハブに脱着可能に取り付けられた遠位接続ハブを随意に有する、移植可能な塞栓器具を血管に経管腔的に送達する細長い送達カテーテルであって、細長い展開カテーテルが、細長い送達カテーテルに対して相対的に近位に軸方向に移動可能であることで、移植可能な塞栓器具を展開させる、細長い送達カテーテルと、を含んでなる。この装置は、係留アームの円周方向配列であって、(a)前記係留アームの配列を軸方向に配列する送達構成と、(b)前記係留アームを半径方向外側に広げて閉塞器具の側壁の開口区画を通って左心耳の壁と係合させる展開した構成とから調整されるように構成される、係留アームの円周方向配列を含んでなる、係留モジュールを含んでなる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位接続ハブ(2)と、収縮した構成から、半径方向に拡張した構成への展開時に、半径方向に拡張して被験体の体腔を流体的に閉塞するように構成される、半径方向に拡張可能な本体(3)と、を含んでなる移植可能な閉塞器具(1)と;
中心管腔を有する細長い展開カテーテル(25)と;
前記細長い展開カテーテルの中心管腔内に配置され、前記移植可能な閉塞器具の近位接続ハブに脱着可能に取り付けられた遠位接続ハブを有して、前記移植可能な閉塞器具を前記体腔に経管腔的に送達する細長い送達カテーテル(26)であって、前記細長い展開カテーテルが、前記細長い送達カテーテルに対して相対的に近位に軸方向に移動可能であることで、前記移植可能な閉塞器具を展開する、細長い送達カテーテルと;
係留アームの円周方向配列(4)であって、(a)前記係留アームの配列を軸方向に配列する送達構成と、(b)前記係留アームを半径方向外方に広げて前記閉塞器具の開口区画を通って前記体腔の壁と係合させる展開した構成とから調整されるように構成される係留アームの円周方向配列を含んでなる係留モジュールと、
を含んでなる、対象の体腔を閉塞する装置(1,40,50)であって、
前記係留アーム(4)が、前記近位接続ハブ(2)に取り付けられ、そこから遠位に延在し、半径方向に拡張可能な本体(3)とは別個であり、前記係留アームが、互いに独立に送達構成から、展開した構成に半径方向に自己調整可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
対象の心臓の左心耳(27)を流体的に閉塞する、請求項1に記載の装置であって、前記半径方向に拡張可能な本体(3)が、半径方向に拡張した構成に半径方向に拡張して心臓の左心耳を流体的に閉塞するように構成される装置。
【請求項3】
前記半径方向に拡張可能な本体(3)が、メッシュケージを含んでなる、請求項1から2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記閉塞器具の側壁を体腔の壁に係合させて、前記係留アームを前記体腔の壁に係合させていない部分的に展開した構成と、前記係留アームを前記体腔の壁に係合させて、前記閉塞器具を前記体腔に係留する完全に展開した構成とから調整されるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
各係留アーム(4)が近位区画(4A)と遠位区画(4B)とを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置であって、前記近位区画が屈曲領域(22)を有し、この屈曲領域が、半径方向に拡張可能な本体の近位端(6)と、展開中に協働するように構成されて、前記装置を展開させて部分的に展開した構成に、そしてさらなる展開時には完全に展開した構成にする、装置。
【請求項6】
前記アームの屈曲領域が、近位の内方に湾曲した部分と、遠位の外方に湾曲した部分とを有するS字形状の区画(22A)を含んでなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記半径方向に拡張可能な構成要素(3)および係留モジュールが、前記展開カテーテル(25)の後退時に自己展開するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
展開した構成における各係留アーム(4)が、前記移植可能な閉塞器具の中心軸に対して60~80°の角度で半径方向外方に広がる、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記半径方向に拡張可能な本体(3)が、近位部分(8)と、遠位部分(9)と、前記遠位または近位部分のメッシュサイズよりも大きいメッシュサイズを有する中間部分(10)と、を含んでなる側壁を含んでなるメッシュケージを含んでなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記メッシュケージの中間部分(10)が、前記メッシュケージの側壁の半径方向外方に突出する一つまたは複数の支柱を含んでなり、組織処置構成要素を含んでなる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記閉塞器具の近位端(6)が陥凹基部(6A)を有し、前記近位接続ハブ(2)が前記陥凹基部内に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記一つまたは複数の係留アームの遠位端が、組織に係合するように構成される係留返し部(15A,15B)を含んでなり、前記一つまたは複数の係留返し部が、半径方向外方に、そして随意に少なくとも部分的に近位に湾曲している、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記係留返し部が二股(15C,15D)になっている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記係留返し部が、前記係留返し部の組織上での移動を防止するように構成される滑り止め材料で被覆される、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記係留アームの少なくとも一つが、前記係留アームの先端部に隣接する出口を有する流体送達管腔を含んでなり、前記送達カテーテルが、前記係留アームの管腔と流体的に接続するように構成される管腔を含んでなる、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
血管内の塞栓を捕捉する装置(60)であって:
収縮した構成から、半径方向に拡張した構成への展開時に、半径方向に拡張するように構成される、そして展開した構成において血管内の塞栓を捕捉しつつ前記器具内の血流を可能にするように構成される、移植可能な塞栓捕捉器具と;
中心管腔を有する細長い展開カテーテルと;
前記細長い展開カテーテルの中心管腔に配置される、そして前記移植可能な塞栓捕捉器具の近位接続ハブに脱着可能に取り付けられた遠位接続ハブを随意に有する、移植可能な塞栓捕捉器具を血管に経管腔的に送達する細長い送達カテーテルであって、前記細長い展開カテーテルが、前記細長い送達カテーテルに対して相対的に近位に軸方向に移動可能であることで、移植可能な塞栓捕捉器具を展開させる、細長い送達カテーテルと;
係留アームの円周方向配列であって、(a)前記係留アームの配列を軸方向に配列する送達構成と、(b)前記係留アームを半径方向外方に広げて塞栓捕捉器具の開口区画を通って血管の壁と係合させる展開した構成とから調整されるように構成される係留アームの円周方向配列を含んでなる、係留モジュールと、
を含んでなり、
前記係留アームが前記近位接続ハブに取り付けられ、そこから遠位に延在し、半径方向に拡張可能な本体と別個であることを特徴とし、前記係留アームが、送達構成から、展開した構成まで、互いに独立に半径方向に自己調整可能である、装置。
【請求項17】
前記移植可能な塞栓捕捉器具が下大静脈フィルタを含んでなる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記係留モジュールが、半径方向外方に枢動するように付勢される少なくとも四つの係留アームを含んでなる、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記係留モジュールが、前記閉塞器具(1)に対して相対的に軸方向に移動可能であり、前記係留モジュールが、前記閉塞器具の近位ハブ(2)に脱着可能に取り付けられるように構成される係留モジュールハブ(61)を含んでなる、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記係留モジュールハブ(61)が前記閉塞器具(1)または塞栓捕捉器具の前記近位ハブ(2)に取り付けられる場合に、半径方向に拡張可能な本体(3)の近位面(6)に当接するように構成される近位カバー構成要素(62)を、前記係留モジュールが含んでなる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記係留アーム(4)の一つまたは複数が組織焼灼電極を含んでなる、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔、詳細には心臓の左心耳(LAA)を閉塞する装置に関する。本発明はまた、心臓の左心耳などの体腔を閉塞する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)は、米国だけで推定600万人の患者に影響を与える一般的な心調律異常である。AFは、米国における脳卒中の第2の主要原因であり、高齢者における脳卒中のほぼ三分の一を占める可能性がある。高齢化が進むにつれ、この問題はさらに深刻になる可能性がある。AF患者に血餅(血栓)が発見される場合、その90%より多くで、左心耳(LAA)に血餅が発生する。AFにおける不規則な拍動が原因となって、左心耳における血液の滞留が生じ、血液が停滞すると血餅形成が起こるので、血餅すなわち血栓がLAA内に形成される場合がある。これらの血餅が左心耳から外れる場合があって、これが脳循環に入り脳卒中を、冠動脈循環に入り心筋梗塞を、末梢循環に入り四肢虚血を引き起こしたりする場合があるだけでなく、他の血管床に入る場合がある。LAAは、左心房に付着する筋肉質の心臓の袋である。LAAを機械的に閉塞させることにより、AF患者における脳卒中の発生率が低減する場合があり、LAAを除去分離する外科的方法と血管内の方法の両方に対する関心が高まってきている。
【0003】
AFと診断された患者の脳卒中を予防するために、抗血液凝固薬が使用される場合がある。しかし、多くの人は、潜在的な副作用のせいで、そのような薬物を服用することができない。また、薬物治療は出血を引き起こす場合があり、投与量の決定が困難であるため、制御が困難である場合がある。最近の研究では、閉塞または閉鎖を通じたLAAの除去によって、LAAにおける血栓の形成が防止される可能性、よって、AFと診断された患者における脳卒中の発生率を低減させる可能性のあることが示されている。このように、LAAの閉塞または閉鎖は、心房細動の患者において、薬物治療の合併症を伴わずに脳卒中の発生率を著しく低減させる可能性がある。
【0004】
心臓の左心耳(LAA)を閉塞する装置は、例えば欧州特許第3606448号明細書、同第3606447号明細書、米国特許出願公開第2015/0196300号明細書、および国際公開第2013/067118号に記載されている。これらの装置は、送達カテーテルと、閉塞器具に脱着可能に取り付けられた展開可能で半径方向に拡張可能な閉塞器具とを含む。これらの装置は、血管系を通して経管腔的に前進して閉塞器具をLAA内に位置決めし、そこで閉塞器具が展開しLAAの壁に円周方向に係合されて、LAAを流体的に閉塞する。ついでLAAの壁は、組織マッピングと、展開した閉塞器具に取り付けられてLAAを電気的に分離し、それによって心房細動を処置する焼灼電極とを使用して、処置される場合がある。
【0005】
LAA閉塞装置は概して、閉塞器具とともに展開する、半径方向に拡張可能な閉塞器具の一部分としての係留構成要素を含む。米国特許公開第2015/0196300号明細書および国際公開第2013/067118号の装置では、係留構成要素は、拡張可能なケージにそのケージの遠位端のところで取り付けられた返し部を含んでなる。ケージが展開してLAAの壁と係合する場合には、ケージが壁に係合すると同時に返し部がLAAの壁に係合して、ケージを壁に固定する。加えて、返し部は、ケージから遠位でLAAの壁に、したがって、処置中に焼灼される壁のLAAの部分から遠位に係合する。
【0006】
米国特許第2018/0250014号明細書には、管状発泡体本体と、管状発泡体本体内に配置された従動ケージとを含んでなる、体腔を閉塞する装置が記載されている。一実施形態では、従動ケージは、展開時に管状発泡体を貫いて突出する係留返し部を含んでなる。返し部はケージフレームの一部分を形成するので、返し部はともに接続されており、ケージフレームが展開するとともに展開する。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題の少なくとも一つを克服することである。
【発明の概要】
【0008】
本出願人は、半径方向に展開可能なケージ構造の一部分として係留構成要素をともに接続する先行技術の装置が、左心耳(LAA)のような不均一な構造内での係留には理想的でないことに気付いた。これは、係留構成要素がケージとともに展開し、展開時にケージの円周に沿って所定の(概ね均一な)形状に配列されるからである。本出願人は、閉塞器具の近位ハブに接続される、そしてそこから遠位に延在する係留アームの円周方向配列を提供することによって、この問題に対処しており、この場合、アームは、係留アームの配列を概ね軸方向に配列する送達構成と、係留アームを半径方向外方に広げて閉塞器具の側壁の開口区画を通じて左心耳の壁と係合させる展開した構成とから、枢動可能に自己調整するように構成される。アームは互いに独立に展開させることができる(そして、半径方向に拡張可能な本体には概ね接続されていない)ので、この設計により、アームは、不均一な形状を有するLAAに係合することが可能になり、この場合、互いに独立に半径方向外方に広がって、LAAの不均一な解剖学的構造に適合する(例えば、自己調整する)。これは、壁の陥入部を含むLAAの解剖学的構造に好適であり、この場合、半径方向に拡張可能な本体は、壁の陥入区画には係合しないが、アームの配列は自己調整して、陥入区画を含むLAAの壁に円周方向に係合することができる。
【0009】
加えて本出願人は、係留返し部がまだ完全には展開しておらず組織と係合していない状態にある間、閉塞器具を展開させてLAAの壁と部分的に係合した状態にすることができるという利点があることに気付いた。これにより、使用者は、閉塞器具を部分的に展開させてLAAの壁と係合した状態にし、位置決めを確認し、必要に応じて装置を位置決めし直し(または最初の処置ステップを実行し)、その後、係留返し部が組織と係合するように装置を完全に展開させることが可能になる。これは、半径方向に拡張可能な閉塞体から係留モジュールが分離していることでそれぞれの展開を別個に制御可能にする装置を提供することによって、達成される。一実施形態では、装置は、少なくとも二つのステップ、すなわち、閉塞器具を半径方向に拡張させて組織に係合させ、係留アームを完全には展開させていない第1の部分的展開ステップと、係留アームを完全に展開させて組織に係合させて閉塞器具を係留する第2の展開ステップとで係留するように構成される。本明細書に記載の装置の一実施形態では、閉塞器具は、近位ハブ部分と、半径方向に拡張可能な部分とを有し、係留アームは、近位ハブに取り付けられ、そこから遠位に延在し、半径方向に拡張可能な部分から独立に移動可能であることから、係留返し部が完全に展開する前に、半径方向に拡張可能な部分(例えばメッシュケージ)を展開させて組織と係合した状態にすることを可能にするという柔軟性が得られる。係留アームの完全な展開を遅延させることは、アーム、特にアームの近位端を、展開中に閉塞器具と協働するように成形して、閉塞器具がほぼ完全に、または完全に展開した場合にのみ完全に展開するようにすることによって、達成することができる。半径方向に拡張可能な部分の展開に対して相対的に係留アームの展開を遅延させる他の方法が、本明細書に記載される。
【0010】
第1の態様では、本発明は:
収縮した構成から、半径方向に拡張した構成への展開時に、半径方向に拡張して左心耳を流体的に閉塞するように構成される移植可能な閉塞器具と;
移植可能な閉塞器具に取り付け可能な遠位接続ハブを有し、移植可能な閉塞器具を左心耳に経管腔的に送達する細長い送達カテーテルと;
を含んでなる、対象の左心耳などの体腔を閉塞する装置であって、係留アームの円周方向配列を含んでなる係留モジュールを含んでなることを特徴とし、係留アームの円周方向配列が、
(a)係留アームの配列を概ね軸方向に配列する送達構成と、
(b)係留アームを半径方向外方に広げて、閉塞器具の側壁の開口区画を通じて左心耳の壁に係合させる展開した構成と、
から調整されるように構成される、装置に関する。
【0011】
本発明のこの装置を、血流中の塞栓を捕捉するために採用してもよい。そのような実施形態では、閉塞器具を、血液をろ過するように、そして塞栓捕捉器具を通過する血液中の塞栓を捕捉して保持するように設計された塞栓捕捉器具に置き換えてもよい。塞栓捕捉器具は、血液を通過させるように、しかし定められた最小サイズの塞栓を保持するように構成されるメッシュサイズを有するケージであってもよく、塞栓捕捉器具は、血管を流体的に閉塞するように構成されてもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は:
収縮した構成から、半径方向に拡張した構成への展開時に、半径方向に拡張するように構成される移植可能な塞栓捕捉器具と;
移植可能な塞栓捕捉器具に取り付け可能な遠位接続ハブを有し、移植可能な塞栓捕捉器具を標的血管に経管腔的に送達する細長い送達カテーテルと、
を含んでなる、血管内の塞栓を捕捉する装置であって、係留アームの円周方向配列を含んでなる係留モジュールを含んでなることを特徴とし、係留アームの円周方向配列が、
(a)係留アームの配列を概ね軸方向に配列する送達構成と、
係留アームを半径方向外方に広げて、移植可能な塞栓捕捉器具の側壁を通じて血管の壁に係合させる展開した構成と、
から調整されるように構成される、装置に関する。
【0013】
いずれの実施形態でも、装置は、中心管腔を有する細長い展開カテーテルを含んでなり、細長い展開カテーテルの中心管腔内に細長い送達カテーテルが配置され、細長い展開カテーテルは、細長い送達カテーテルに対して相対的に近位に軸方向に移動可能であることで、移植可能な閉塞器具または移植可能な塞栓捕捉器具を展開する。
【0014】
いずれの実施形態でも、移植可能な閉塞器具または移植可能な塞栓捕捉器具は、近位接続ハブと、収縮した構成から、半径方向に拡張した構成への展開時に、半径方向に拡張するように構成される半径方向に拡張可能な本体と、を含んでなる。
【0015】
いずれの実施形態でも、係留アームは、半径方向に拡張可能な本体とは独立に移動可能である(例えば、これに取り付けられていない)。
【0016】
いずれの実施形態でも、係留アームは、近位接続ハブに取り付けられ、そこから遠位に延在する。
【0017】
いずれの実施形態でも、係留アームは互いに独立に、送達構成から、展開した構成に調整可能である。
【0018】
いずれの実施形態でも、係留アームは、展開時にそれらの近位端を中心にして半径方向外方に枢動するように構成される。
【0019】
いずれの実施形態でも、係留アームは、送達構成から、展開した構成に自己調整可能である。
【0020】
各係留アームは概して、接続ハブに接続された近位端を有する。この接続によって概して、アームを概ね軸方向の構成から、半径方向外方に角度の付いた構成まで、関節接合させることが可能になる。係留アームは概して、互いに独立に移動可能であることで、いくつかのアームに、他のアームよりも外方に角度を付けることが可能になる。これにより、係留モジュールのアームは、装置を内部に配置させる体腔の解剖学的構造に自己調整することができる。
【0021】
いずれの実施形態でも、係留アームは、閉塞器具または塞栓捕捉器具の近位ハブに直接接続される。
【0022】
別の実施形態では、係留アームは、近位ハブに間接的に接続される。係留モジュールは、閉塞体の近位ハブに脱着可能に取り付けられるように構成される係留モジュールハブを含んでなる場合がある。係留モジュールは、閉塞器具または捕捉器具に対して相対的に軸方向に移動可能である場合がある。この実施形態によって、閉塞器具/捕捉器具を係留モジュールとは別個に目標場所に送達することが可能になり、そして、閉塞器具/捕捉器具の引き抜きに先だって係留モジュールを捕捉し直して引き抜くことが可能になる。
【0023】
いずれの実施形態でも、係留モジュールハブは、係留モジュールハブが閉塞器具または捕捉器具の近位ハブに取り付けられる場合に、半径方向に拡張可能な本体の近位面に当接するように構成される、近位カバー構成要素を含んでなる。いずれの実施形態でも、半径方向に拡張可能な本体の近位面は凹状であり、近位ハブは、近位面の遠位に陥凹した部分内に配置される。いずれの実施形態でも、近位カバー構成要素は、半径方向に拡張可能な本体の近位面に対して流体的に封止するように構成されてもよい。いずれの実施形態でも、近位カバー構成要素は、係留モジュールハブと近位ハブがいっしょに取り付けられる場合に、近位ハブを流体的に閉塞するように構成されてもよい。近位カバーは概ね、平面的な構成要素である。近位カバーは、液体不透過性材料で形成されてもよい。近位カバーは、係留モジュールハブの遠位周縁部に取り付けられて、係留モジュールハブの半径方向外方に延在してもよい。係留モジュールハブと近位カバー構成要素とを含んでなる係留モジュールを、
図9に例示する。
【0024】
いずれの実施形態でも、装置は、閉塞器具または捕捉器具の側壁を体腔の壁に係合させて係留アームを体腔の壁に係合させていない部分的に展開した構成と、係留アームを体腔の壁に係合させて閉塞器具または捕捉器具を体腔に係留する完全に展開した構成とから調整されるように構成される。
【0025】
いずれの実施形態でも、係留アームの一つまたは複数および概ねすべては、近位区画および遠位区画を有し、この場合、近位区画は、屈曲領域(例えば、肩)を有しており、この屈曲領域は、展開中に半径方向に拡張可能な本体の近位端と協働するように構成されて、装置を展開して部分的に展開した構成にし、さらなる展開時には完全に展開した構成にする。これにより、係留アームが壁に係合する前に、半径方向に拡張可能な構成要素を展開させて、体腔の壁と係合した状態にすることが可能になる。
【0026】
いずれの実施形態でも、アームの屈曲領域は、近位の内方に湾曲した部分と遠位の外方に湾曲した部分とを有するS字形状の区画を含んでなる。
【0027】
いずれの実施形態でも、係留モジュールは、移植可能な閉塞器具または捕捉器具の展開時に自己展開するように構成される。
【0028】
いずれの実施形態でも、展開した構成における各係留アームは、移植可能な閉塞器具または捕捉器具の中心軸に対して30~80°の角度で半径方向外方に広がっている。
【0029】
いずれの実施形態でも、係留アームは、ケージの軸方向長さの70%未満である軸方向長さを有する。
【0030】
いずれの実施形態でも、係留アームは、ケージの軸方向の長さの70%から130%である軸方向長さを有する。
【0031】
いずれの実施形態でも、半径方向に拡張可能な本体は、メッシュケージを含んでなる。
【0032】
いずれの実施形態でも、メッシュケージの側壁は、近位部分と、遠位部分と、遠位または近位部分のメッシュサイズよりも大きいメッシュサイズを有する中間部分とを有する。
【0033】
いずれの実施形態でも、メッシュケージの中間部分は、メッシュケージの側壁の半径方向外方に突出する一つまたは複数の支柱を含んでなる。
【0034】
いずれの実施形態でも、メッシュケージの側壁の半径方向外方に突出する一つまたは複数の支柱は、組織処置電極を含んでなる。
【0035】
いずれの実施形態でも、閉塞器具または捕捉器具の近位端は、凹状基部を有し、近位接続ハブは、陥凹基部内に配置される。
【0036】
いずれの実施形態でも、一つまたは複数の係留アームの遠位端は、組織に係合するように構成される係留返し部を含んでなる。
【0037】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、半径方向外方に湾曲している。
【0038】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、半径方向外方に、そして近位に湾曲している。
【0039】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、閉塞装置の長手方向軸に平行に近位に延在する遠位区画を有する。
【0040】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、二つ以上の分岐部を含んでなり、一実施形態では、二つに分岐している。
【0041】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、二つに分岐して遠位返し部分と近位返し部分とを設ける。
【0042】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、横方向に分岐する。
【0043】
いずれの実施形態でも、係留返し部の分岐には、体腔の壁(例えばLAA心門壁)の陥入部に係合する返し部の能力を強化するように軸方向に角度を付けられている。
【0044】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、滑り止め材料またはコーティングを含んでなる。これは、滑り止めのマイクロまたはナノ構造材料である場合があって、組織損傷を最小限に抑えつつ移動防止を強化する。
【0045】
いずれの実施形態でも、係留返し部は、撮像、例えば透視診断撮像を行っている間に可視化を強化する造影剤を含んでなる。
【0046】
いずれの実施形態でも、係留返し部の一つまたは複数は、薬剤活性のある薬剤でコーティングされる。
【0047】
いずれの実施形態でも、係留返し部の一つまたは複数は、組織パラメータセンサを含んでなる。このセンサは、いずれかの組織パラメータ、例えば温度、血流、pH、電気的活動を検出する場合がある。
【0048】
いずれの実施形態でも、係留アームの一つまたは複数は、LAAの壁に流体を送達する管腔を含んでなる場合がある。送達カテーテルは、係留アームに流体を送達する管腔を含む場合があり、そして管腔を用いて一つまたは複数の係留アームに流体的に接続されるように構成される場合がある。流体は、治療上活性な薬剤、または診断試薬であってもよく、例には、薬剤、造影剤、または組織焼灼用のアルコールなどが挙げられる。
【0049】
いずれの実施形態でも、係留アームのうちの少なくとも一つの遠位区画は、係留アームが展開した場合に、内側区画が半径方向外方に角度を付けられ、外側区画が閉塞器具の長手方向軸に並行に延在するようにして、その遠位区画の両端の中間でクランク状になっている。
【0050】
いずれの実施形態でも、係留モジュールは、閉塞器具から遠位の位置から、閉塞器具内の位置まで、閉塞器具に対して相対的に軸方向に移動するように構成される。
【0051】
いずれの実施形態でも、閉塞器具は、中空管腔を有する中心の近位ハブと、中心の近位ハブに接続された半径方向に拡張可能な本体とを含んでなり、軸方向に移動可能な係留モジュールは、中心の近位ハブの中心管腔を通って軸方向に移動するように構成される。
【0052】
いずれの実施形態でも、装置は、組織処置モジュールまたは診断モジュールを含んでなる。組織処置モジュールは、組織を電気的に、低温処置によって、マイクロ波処置によって、またはRFエネルギー処置によって、処置するように構成される場合がある。組織診断モジュールは、体腔または隣接する構造の電気的活動をマッピングするように構成される場合がある。
【0053】
いずれの実施形態でも、処置モジュールは、電極を含んでなる。この電極は、炭素系の材料、グラファイト、グラフェン、または構造的および動作的な機能性を強化する炭素ナノ構造から構成される場合がある。
【0054】
いずれの実施形態でも、処置モジュールは、電極の配列を含んでなる。
【0055】
いずれの実施形態でも、処置モジュールは、電極の円周方向配列を含んでなる。
【0056】
いずれの実施形態でも、処置モジュールは、閉塞器具に取り付けられてそれとともに展開可能である電極の円周方向配列を含んでなる。
【0057】
いずれの実施形態でも、装置は、閉塞器具および係留モジュールを展開させるための作動手段を含むハンドルを含んでなる。
【0058】
いずれの実施形態でも、ハンドルの作動手段は、閉塞器具の展開とは独立に係留モジュールの展開を制御するように構成される。
【0059】
いずれの実施形態でも、ハンドルの作動手段は、閉塞器具(例えば、半径方向に拡張可能な本体)が完全にまたはほぼ完全に展開する間、係留モジュールの展開を一時停止して、部分的に展開した構成にするように構成される。
【0060】
別の態様では、本発明は:
展開カテーテル内に配置された閉塞器具および送達カテーテルを有する本発明による装置を提供するステップと;
装置の遠位端が体腔内に配置されるまで、本発明の装置を経管腔的に前進させるステップと;
送達カテーテルに対して相対的に展開カテーテルを後退させて閉塞器具および係留アームを展開させることによって、装置を展開させるステップと;
送達カテーテルを閉塞器具から取り外すステップと;
送達カテーテルと展開カテーテルを後退させ、閉塞器具を体腔内に残して移植するステップと、
を含んでなる、体腔を流体的に閉塞する方法を提供する。
【0061】
いずれの実施形態でも、展開ステップは:
閉塞器具を体腔内に部分的に展開させて、閉塞器具の側壁が体腔に係合するが完全には展開していないように、そして係留アームが部分的に展開しているが体腔と係合しないようにすることを含んでなる第1の展開ステップと;
閉塞器具を完全に展開させ、体腔と係合した状態にし、係留アームを完全に展開させ、体腔と係合した状態にして、それらが体腔と係合した状態にあるようにすることを含んでなる第2の展開ステップと、
を含んでなる。
【0062】
いずれの実施形態でも、方法は、第1の展開ステップの後、そして第2の展開ステップの前に閉塞器具を用いて組織を処置するステップを含む。
【0063】
いずれの実施形態でも、処置ステップは、閉塞器具に取り付けられた組織焼灼構成要素を用いて体腔の組織を焼灼することを含んでなる。
【0064】
いずれの実施形態でも、本方法は、第1の展開ステップと第2の展開ステップとの間に体腔内の閉塞器具を位置決めし直すステップを含んでなる。
【0065】
いずれの実施形態でも、体腔内で閉塞器具を位置決めし直すステップは、閉塞器具を捕捉し直すことと、捕捉し直される閉塞器具が捕捉し直されている間にその位置を調整することと、を含んでなる。
【0066】
いずれの実施形態でも、展開ステップは、体腔内の閉塞器具を撮像することを含んでなる。
【0067】
いずれの実施形態でも、閉塞器具は、部分的展開の間には少なくとも80%展開している一方で、係留アームは体腔の組織と係合していない。
【0068】
別の態様では、本発明は:
展開カテーテル内に配置された塞栓捕捉器具および送達カテーテルを有する本発明による装置を提供するステップと;
装置が血管内に配置されるまで、本発明による装置を経管腔的に前進させるステップと;
送達カテーテルに対して展開カテーテルを後退させて塞栓捕捉器具および係留アームを展開させることによって、装置を展開させるステップと;
送達カテーテルを塞栓捕捉器具から取り外すステップと;
送達カテーテルと展開カテーテルを後退させて、塞栓捕捉器具を体腔内に残して移植するステップと、
を含んでなる、血管内の塞栓を捕捉する方法を提供する。
【0069】
いずれの実施形態でも、展開ステップは:
塞栓捕捉器具を血管内で部分的に展開させて、塞栓捕捉器具の側壁が血管に係合するが完全には展開していないように、そして係留アームが部分的に展開しているが血管と係合しないようにすることを含んでなる第1の展開ステップと;
塞栓捕捉器具を完全に展開させて、血管と係合した状態にするように、そして係留アームを完全に展開させて、血管と係合した状態にするようにすることを含んでなる第2の展開ステップと、
を含んでなる。
【0070】
いずれの実施形態でも、方法は、第1の展開ステップと第2の展開ステップとの間に、血管内で塞栓捕捉器具を位置決めし直すステップを含んでなる。
【0071】
いずれの実施形態でも、血管内で塞栓捕捉器具を位置決めし直すステップは、塞栓捕捉器具を捕捉し直すことと、捕捉し直される塞栓捕捉器具が捕捉し直されている間にその位置を調整することと、を含んでなる。
【0072】
いずれの実施形態でも、展開ステップは、血管内の塞栓捕捉器具を撮像することを含んでなる。
【0073】
いずれの実施形態でも、塞栓捕捉器具は、部分的展開の間に少なくとも80%展開される一方で、係留アームは血管の組織と係合していない。
【0074】
いずれの実施形態でも、本方法は、係留モジュールおよび塞栓捕捉器具を捕捉し直すことと、捕捉し直された装置を後退させて、塞栓捕捉器具内に捕捉された塞栓を除去することと、を含んでなる。
【0075】
本発明の他の態様および好ましい実施形態は、添付される他の特許の請求範囲に定められ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1A】
図1Aは、本発明による装置の一部を形成する閉塞器具の斜視図であり、閉塞器具の側壁の開口部を通って係留アームの端部を突出させた完全に展開した構成で示されている。明確にするために、閉塞器具は、送達カテーテルまたは展開カテーテルのない状態で示されている。
【
図1B】
図1Bは、
図1の閉塞器具の断面図であり、閉塞器具の近位の、そして半径方向に拡張可能な(例えば、メッシュケージ)ハブと、近位ハブに取り付けられ、装置の長手方向軸に対して約45の角度で完全に展開した構成での外方に広がった係留アームとを示す。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、
図1Bの装置の詳細図であり、閉塞器具の近位接続ハブと、接続ハブに接続された半径方向に拡張可能なケージの近位端と、完全に展開した構成での係留アームのうちの二つとを示す。この図は、係留アームの近位端のところの屈曲領域(例えば肩)が、半径方向に拡張可能なケージの近位端と協働して、ケージの近位端が展開するまで係留アームの完全な展開を遅延させるようにして、係留アームが完全に展開する前に、半径方向に拡張可能なケージを完全にまたはほぼ完全に展開させることができるよう保証する様子を示す。
【
図3】
図3Aから
図3Cは、心臓の左心耳内に展開している本発明の装置を例示しており、閉塞器具と、閉塞器具に取り付けられた送達カテーテル(破線)と、閉塞器具および係留アームの展開のために閉塞器具および係留アームに対して相対的に後退させた外側の展開カテーテルとを示している。
図2Aは、展開の初期段階を示しており、この場合、係留アームと閉塞器具は部分的に展開しており、アームは閉塞器具内にあり、閉塞器具はLAAの壁と接触していない。
図2Bは、装置の部分的展開を示しており、この場合、閉塞器具はさらに展開してLAAの側壁に係合し、係留アームはさらに展開しているが完全ではなく、いまだ閉塞器具内にある。
図2Cは、装置の完全な展開を示しており、この場合、閉塞器具と係留アームは完全に展開しており、閉塞器具の側壁の開口部を通ってLAAの壁と接触している。
図3では、装置はLAAに係留されている。
【
図4-1】
図4Aから
図3Cは、展開された本発明による装置のさらなる例示であり、詳細には、展開カテーテルの段階的な後退による閉塞器具および係留モジュールの自己展開を示している。
図4Aは、展開カテーテル内に収容されて送達構成にある閉塞器具および係留モジュールを有する装置を示しており、係留モジュールの係留アームは軸方向の束ねられた構成にある。
図4Bは、部分的展開の第1の段階にある装置を示しており、この場合、外側の展開カテーテルが部分的に後退することで、半径方向に拡張可能な本体の遠位区画および中心区画を露出させている。この図から、展開のこの段階では、半径方向に拡張可能な本体はその全幅までは拡張しておらず、係留アームは拘束されて、軸方向の束ねられた構成にあることがわかる。
図4Cは、部分的展開の第2の段階における装置を示しており、この場合、展開カテーテルはさらに後退(約90%後退)して、半径方向に拡張可能な本体の大部分を露出させている。この段階での展開カテーテルの口は、各係留アーム上の屈曲領域に接触しており、アームを軸方向の束ねられた構成に保っている。この段階で展開カテーテルをさらに後退させると、アームを半径方向外方に展開することが可能になる。
【
図4-2】
図4Aから
図3Cは、展開された本発明による装置のさらなる例示であり、詳細には、展開カテーテルの段階的な後退による閉塞器具および係留モジュールの自己展開を示している。
図4Aは、展開カテーテル内に収容されて送達構成にある閉塞器具および係留モジュールを有する装置を示しており、係留モジュールの係留アームは軸方向の束ねられた構成にある。
図4Bは、部分的展開の第1の段階にある装置を示しており、この場合、外側の展開カテーテルが部分的に後退することで、半径方向に拡張可能な本体の遠位区画および中心区画を露出させている。この図から、展開のこの段階では、半径方向に拡張可能な本体はその全幅までは拡張しておらず、係留アームは拘束されて、軸方向の束ねられた構成にあることがわかる。
図4Cは、部分的展開の第2の段階における装置を示しており、この場合、展開カテーテルはさらに後退(約90%後退)して、半径方向に拡張可能な本体の大部分を露出させている。この段階での展開カテーテルの口は、各係留アーム上の屈曲領域に接触しており、アームを軸方向の束ねられた構成に保っている。この段階で展開カテーテルをさらに後退させると、アームを半径方向外方に展開することが可能になる。
【
図5-1】
図5Aから
図5Cは、
図4の装置のさらなる展開を例示しており、この場合、半径方向に拡張可能な本体は取り除かれて、
図4Cに示された位置からの展開カテーテルの後退に応答して係留アームが展開する様子をさらに明確に例示するようにしてある。
図5A(
図4Cに示されたのと同一の展開段階にある)では、アーム上の屈曲領域は展開カテーテルの口と接触しており、アームを軸方向に束ねられた構成に保っている。
図5Bは、展開カテーテルのさらなる後退によって、アームが半径方向外方に展開し始めることが可能になり、その展開が、アームの屈曲領域と展開カテーテルの口との間の協働により制御される様子を示している。
図5Cでは、展開カテーテルのさらなる後退によって、展開カテーテルの口から突き出たアームの屈曲領域が完全に露出することで、アームが完全に自己展開して組織と係合した状態となることが可能になる。
【
図5-2】
図5Aから
図5Cは、
図4の装置のさらなる展開を例示しており、この場合、半径方向に拡張可能な本体は取り除かれて、
図4Cに示された位置からの展開カテーテルの後退に応答して係留アームが展開する様子をさらに明確に例示するようにしてある。
図5A(
図4Cに示されたのと同一の展開段階にある)では、アーム上の屈曲領域は展開カテーテルの口と接触しており、アームを軸方向に束ねられた構成に保っている。
図5Bは、展開カテーテルのさらなる後退によって、アームが半径方向外方に展開し始めることが可能になり、その展開が、アームの屈曲領域と展開カテーテルの口との間の協働により制御される様子を示している。
図5Cでは、展開カテーテルのさらなる後退によって、展開カテーテルの口から突き出たアームの屈曲領域が完全に露出することで、アームが完全に自己展開して組織と係合した状態となることが可能になる。
【
図6】
図6は、本発明の代替実施形態による装置の立面図であり、係留アームの遠位端のところでの係留返し部の代替設計を示している。
【
図7】
図7は、本発明の代替実施形態による装置の立面図であり、係留アームの遠位端のところでの係留返し部の代替設計を示している。
【
図8】
図8は、本発明の代替実施形態による装置の立面図であり、係留アームの遠位端のところでの係留返し部の代替設計を示している。
【
図9】
図9は、係留アームを展開された状態で閉塞器具と係合させた軸方向に移動可能な係留モジュールの側立面図であり、閉塞器具の近位ハブと係合する係留モジュールハブと、半径方向に拡張可能な本体の近位面に当接する近位カバー構成要素とを示している。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本明細書に記載されるすべての公開文献、特許、特許出願、およびその他の参考文献は、あらゆる目的のために参照によってその全体が組み込まれるが、これは、個々の公開文献、特許、または特許出願が、参照およびその内容によって細大漏らさず具体的かつ個別に組み込まれているとあたかも示されているかの如くになされる。
【0078】
定義および一般的な優先順位
本明細書で使用される場合、別途具体的に指示があるのでない限り、以下の用語は、そうした用語が当技術分野において享受し得るよりも広義(または狭義)のあらゆる意味に加えて、以下の意味を有することが意図される:
【0079】
文脈によって別途要求されない限り、本明細書における単数の使用は、複数を含むとして解釈されるものとし、逆もまた然りである。ある実体に関して使用される用語「a」または「an」は、その実体の一つまたは複数を指すとして解釈されるものとする。このように、用語「a」(または「an」)、「一つまたは複数」、および「少なくとも一つ」は、本明細書では交換可能に使用される。
【0080】
本明細書で使用されるとおり、用語「含んでなる(comprise)」、または「含んでなる(comprises)」もしくは「含んでなる(comprising)」などその変形形態は、いずれかの列挙された完全体(例えば、特徴、構成要素、特徴、特性、方法/工程ステップ、または制限)または完全体(例えば、特徴、構成要素、特徴、特性、方法/工程ステップ、または制限)の群を含むが、他のいかなる完全体または完全体の群をも除外しないことを示していると解釈されるものとする。よって、本明細書で使用されるとおり、用語「含んでなる(comprising)」は、包括的または非限定的であり、追加の、そして列挙されていない完全体または方法/工程ステップを除外するものではない。
【0081】
本明細書で使用されるとおり、用語「疾患」は、生理学的機能を損なう異常な状態であって特定の症状を伴ういずれをも定義するのに使用される。この用語は、病因の性質に関係なく(または実際に疾患の病因的基礎が確立されているかどうかに関係なく)、生理学的機能が損なわれるいずれの障害、病気、異常、病理、体調不良、病状、または症候群をも包含するよう広範に使用される。したがって、感染症、外傷、傷害、手術、放射線焼灼、加齢、中毒、または栄養失調から生じる状態を包含する。
【0082】
本明細書で使用されるとおり、用語「処置」または「処置すること」は、疾患の症状を治癒、改善、または軽減する、またはその原因(例えば、密着結合タンパク質のレベルの増加)を除去(またはその影響を軽減)する介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は、用語「治療」と同義に使用される。
【0083】
加えて、用語「処置」または「処置すること」は、疾患の発症もしくは進行を防止もしくは遅延させる、または処置された集団内のその発生率を低減(または根絶)させる介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、処置という用語は、用語「予防」と同義に使用される。
【0084】
本明細書で使用されるとおり、有効量または治療有効量の薬剤は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、妥当な便益/リスク比に相応して対象に投与することができる量であるが、しかし所望の効果、例えば対象の状態における永久的または一時的な改善によって明示される処置または予防を提供するには充分である量を定義するものである。その量は、個体の年齢や一般的な状態、投与様式、および他の要因に依存して、対象ごとに異なるであろう。よって、正確な有効量を特定することはできないものの、当業者であれば、日常的な実験や背景となる一般知識を用いて、いずれの個々の場合においても適切な「有効」量を決定することができるであろう。この文脈における治療結果は、症状の根絶または軽減、痛みまたは不快感の低減、生存期間の延長、モビリティの改善、および臨床的改善の他のマーカーを含む。治療結果は、完全な治癒である必要はない。改善は、生物学的/分子マーカー、臨床的または観察的改善において観察される場合がある。好ましい実施形態では、本発明の方法は、ヒト、大型の競争用動物(ウマ、ラクダ、犬)、および家庭での伴侶動物(ネコおよびイヌ)に適用可能である。
【0085】
上に定義された処置および有効量の文脈では、対象という用語(文脈から許される場合、「個体」、「動物」、「患者」、または「哺乳類」を含むと解釈される)は、指示された治療の対象となるいずれの被験体、特に哺乳類の対象をも定義するものである。哺乳類の対象には、ヒト、飼育動物、家畜、動物園の動物、スポーツ用動物、犬、猫、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ラクダ、バイソン、畜牛、乳牛などのペット動物;無尾猿、有尾猿、オランウータン、チンパンジーなどであるがこれらには限定されない霊長類;イヌ、オオカミなどのイヌ科、ネコ、ライオン、トラなどのネコ科、ウマ、ロバ、シマウマなどのウマ科、乳牛、ブタ、ヒツジなどの食用動物;シカ、キリンなどの有蹄類;そしてマウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類などが挙げられるがこれらには限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。本明細書で使用されるとおり、用語「ウマ科」は、ウマ、ロバ、ペルシアノロバ、チベットノロバ、およびシマウマを含む、ウマ科の哺乳類を指す。
【0086】
「移植可能な閉塞器具」は、体腔内に移植、特に左心耳の範囲内で少なくとも部分的または完全に心臓内に移植されるように、そして作動/展開時には体腔を少なくとも部分的または完全に流体的に閉塞するように構成される器具を意味する。閉塞器具は典型的には、閉塞器具を標的部位に送達する送達カテーテルに脱着可能に接続され、典型的には、閉塞、感知、およびエネルギー送達処置の間、取り付けられたままの状態にあり、一実施形態では、エネルギー送達処置後に概して取り外されて、体腔内に移植された閉塞器具を残して身体から除去される。閉塞器具は概して、送達カテーテルに取り付けるための中心の近位接続用ハブと、半径方向に拡張可能な本体とを含む。閉塞は、体腔の完全な閉塞(閉鎖)または部分的な閉塞(体腔の狭窄または完全に近い閉塞)であってもよい。閉塞器具は典型的には、収縮した送達構成から、拡張して展開した構成に拡張可能な本体を含んでなる。本体は、多くの形態、例えば、編み込まれたまたはメッシュ状の材料(例えば、メッシュケージ)から形成されたワイヤフレーム構造をとってもよい。経管腔的送達に好適な拡張可能なワイヤフレーム構造の例は、文献において公知であり、例えば、国際公開第01/87168号、米国特許第6652548号明細書、米国特許出願公開第2004/219028号明細書、米国特許第6454775号明細書、同第4909789号明細書、同第5573530号明細書、国際公開第2013/109756号に記載されている。本発明と共に使用するのに好適な本体の他の形態には、プレートもしくは受け皿形状の足場、またはステントなどが挙げられる。一実施形態では、本体は、金属、例えばニチノールなどの形状記憶金属から形成される。本体は、本発明の目的に好適ないずれの形状、例えば、円筒形、円盤形、または回転楕円形を有していてもよい。好ましい一実施形態では、器具は、円筒形の本体、例えば円筒形のケージ本体を含んでなる。一実施形態では、本体は、組織通電モジュールを含んでなる。一実施形態では、焼灼装置は、電極の配列、典型的には円周方向配列を含んでなる。一実施形態では、電極の配列は、組織にパルス場焼灼を送達するように構成される。一実施形態では、半径方向に拡張可能な本体の遠位面は、上皮細胞の増殖を促進するように構成されるカバーリングを含んでなる。一実施形態では、本体は、遠位から近位への段階的な半径方向の力の剛性プロファイルの装置を含んでなる。一実施形態では、本体は、金属メッシュケージの足場を含んでなる。一実施形態では、本体とカテーテル部材との間の結合部(例えば、接続ハブ)は、左心房に面した本体の側から遠位に位置する。一実施形態では、展開した構成での本体は、展開の場所での左心耳の半径方向の径よりも少なくとも10%大きい半径方向の径を有する。一実施形態では、最遠位部分は、心臓組織に対して非外傷性であるように構成される。一実施形態では、本体は、一実施形態では熱エネルギー送達時にコラーゲン浸潤を助長して抗移動抵抗性の増加を促進する、編み込みメッシュ足場を含んでなる。体腔、特にLAA内で使用するための移植可能な閉塞器具の例は、国際公開第2018/185256号、同第2018/185255号、および同第2020/074738号に記載されている。
【0087】
「体腔」は、体内の空洞を意味し、血管(すなわち、動脈、静脈、リンパ管、尿道、尿管、洞、聴道、鼻腔、気管支)などの細長い空洞、または心臓内の環状空間、例えば左心耳、左心室流出路、大動脈弁、僧帽弁、僧帽弁連続性、または心臓弁もしくは弁口であってもよい。
【0088】
塞栓捕捉器具(または「捕捉器具」)は、収縮した送達構成から、血管内への移植に好適な展開し半径方向に拡張した構成に、半径方向に拡張するように構成される本体を意味する。器具は、血液をろ過し血液中の塞栓を捕捉するように構成される。器具は概して、血管内に展開されて血液をろ過するように構成される半径方向に拡張可能な本体を含んでなり、通常、近位ハブを含んでなる。半径方向に拡張可能な本体は、多くの形態、例えば、編み込まれたまたはメッシュ状の材料(例えばメッシュケージ)から形成されたワイヤフレーム構造をとる場合がある。器具は、下大静脈内に展開されるように構成される場合がある。本発明とともに使用するのに好適な本体の他の形態には、プレートもしくは受け皿形状の足場、またはステントなどが挙げられる。一実施形態では、本体は、金属、例えばニチノールなどの形状記憶金属から形成される。本体は、本発明の目的に好適ないずれの形状、例えば、円筒形、円盤形、または回転楕円形を有していてもよい。好ましい一実施形態では、器具は、円筒形の本体、例えば円筒形のケージ本体を含んでなる。ケージは、開口した遠位端、開口した近位端、または閉じた遠位端および近位端を有していてもよい。塞栓捕捉器具の例には、ボストン・サイエンティフィック社(Boston Scientific)のSENTRYバイオコンバーチブル・インフェリア・バナ・カバ(IVC)フィルタ(Bioconvertible Inferior Vana Cava(IVC) filter)、クック・メディカル社(Cook Medical)のCELECTプラチナム・ベナ・カバ・フィルタ(Platinum Vena Cava Filter)、ベクトン・ディッキンソン社(Beckton Dickinson)のDENALIベナ・カバ・フィルタ(Vena Cava Filter)などが挙げられる。塞栓捕捉器具の使用は、https://www.drugwatch.com/ivc-filters/に記載されている。
【0089】
「脱着可能に取り付けられた」は、閉塞器具または捕捉器具を、送達中には細長い送達カテーテルに取り付け、展開および処置の後に解放できるようにすることによって、器具を心臓内に移植し、その器具をその場に残して細長い送達カテーテルを引き抜くことができるようにして、装置が構成されていることを意味する。典型的には、装置は、器具または半径方向に拡張可能な構成要素を、細長いカテーテル部材から遠隔操作で取り外す制御機構を含む。典型的には、制御機構用の作動スイッチが、制御ハンドル上に配置される。
【0090】
「経管腔的送達」は、閉塞器具または捕捉物を標的部位(例えば心臓)心臓に、体腔を通して送達すること、例えば動脈または静脈を通して送達することを意味する。一実施形態では、本発明の装置は、動脈または静脈を通して前進させられて、心臓の左心房および少なくとも部分的にLAA内に閉塞器具を送達する。一実施形態では、装置は、遠位部分がLAA内に配置されるようにして、そして近位部分がLAAのすぐ外側の左心房に配置されるようにして送達される。一実施形態では、装置は、遠位部分がLAA内に配置されるようにして、そして近位部分がLAAの口に当接する左心房内に配置されるようにして送達される。一実施形態では、装置は、遠位部分および近位部分の両方がLAA内に配置されるようにして送達される。
【0091】
「係留モジュール」は、展開して閉塞器具または捕捉器具を体腔内に係留することができる係留アーム、および好ましくは係留アームの配列を意味する。係留アームは、形状記憶材料、例えばニチノールから作られる場合がある。係留アームは概して、展開前の軸方向位置(そこでは係留アームが概ね装置の長手方向軸に沿ってまたはその近くにともに束ねられている)から、外方に広がった構成に調整可能(例えば、それらの近位端を中心にして枢動可能に調整可能)である。完全に展開すると、係留アームのうちの少なくともいくつかの遠位端は概して、半径方向に拡張可能な本体の開口部を通って延びて、組織に係合する。係留アームは概して、外方に広がった構成に付勢され、拘束部材、例えば展開カテーテルを解放することによって展開する。これをまた、本明細書では自己展開と称する。本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、係留アームは、閉塞または捕捉器具の近位ハブに取り付けられる。係留モジュールは概して、半径方向に拡張可能な本体に対して相対的に半径方向に移動不能である。別の実施形態では、係留モジュールは、閉塞または捕捉器具に対して相対的に移動可能である。例えば、係留モジュールは、係留カテーテルに取り付けられて、(例えば送達カテーテル)および近位接続ハブの管腔を通って軸方向に移動可能である場合があり、これにより半径方向に拡張可能な本体内に係留モジュールを送達する。係留モジュールは、係留モジュールハブを含んでなる場合がある。近位接続ハブおよび係留モジュールのハブは、脱着可能に取り付けられるように構成される場合があって、半径方向に拡張可能な本体の内部に、これとともに展開するための係留アームを設ける。係留モジュールは、少なくとも二、三、四、五、または六つの係留アームを含む場合がある。いずれの実施形態でも、係留アームの一つまたは複数は、組織焼灼電極などの組織処置構成要素を含んでなる。
【0092】
「屈曲領域」は、係留アームの近位区画の一部分であって、展開中に、半径方向に拡張可能な本体の近位端と協働して、半径方向に拡張可能な本体の近位端が展開カテーテルから外に展開するまで係留アームの完全な展開を遅延させるように成形されている部分を指す。それは概して、半径方向外方の肩を含む。それは、半径方向外方に湾曲する近位屈曲領域と、半径方向内方に湾曲する遠位屈曲領域(例えば、S字形状の区画)とを含む場合がある。あるいは、アームの近位部分は、その両端の中間でクランク状であってもよい。
【0093】
「カバー」:典型的には、移植可能な閉塞器具は、血液に対して不透過性である、そして再閉鎖可能な開口部、例えば材料の重なり合った弁状体を含む場合のある、近位カバーを有する。再閉鎖可能な開口部は、開口部を通る血流を防止しつつ、カテーテルの遠位端を開口部に通すように構成される場合がある。閉塞器具は、カバーの遠位にある、そしてカテーテルの遠位端と結合するように構成される、接続ハブを含む場合がある。カバーは、インビボ内皮化のための足場として作用するように構成される場合がある。カバーは、織られたメッシュ材料から形成される場合がある。
【0094】
「インビボ内皮化のための足場として作用するように構成されるカバーリング/カバー」は、遠位または近位の本体の上皮化を促進するのに使用される材料を意味する。一実施形態では、カバーリングは、上皮細胞の増殖を促進する薬剤を含んでなる膜である。例には、線維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子などの増殖因子、内皮細胞または内皮前駆細胞などの細胞、および組織または組織成分などの生物学的材料などが挙げられる。組織成分の例には、内皮組織、細胞外マトリクス、粘膜下、硬膜、心膜、心内膜、漿膜、腹膜、および基底膜組織などが挙げられる。一実施形態では、カバーリングは多孔性である。一実施形態では、カバーリングは、生物学的材料から形成された生体適合性の足場である。一実施形態では、カバーリングは、コラーゲンなどの生物学的材料から形成された多孔性の足場である。一実施形態では、カバーリングは、凍結乾燥された足場である。
【0095】
本発明の装置は、組織通電モジュールを含む場合がある。本明細書で使用される「組織通電モジュール」は、例えば熱、冷却、音、光、マイクロ波エネルギー、またはRFエネルギーの印加によって組織を処置するように構成される組織処置構成要素の配列を指す。この構成要素は、電極である場合がある。電極は、電気制御装置と電気的に結合するように構成される移植可能な閉塞器具上に配置される。電極は概して、コントローラと個々に結合されて、電極の特定の通電を可能にする。電極の配列は概して、移植可能な器具上で円周方向に配列されており、器具が展開する場合に円周方向のパターン状に体腔の壁と接触するように構成される。電極は、エネルギー、概してPFAを、体腔の壁の周囲に円周方向に供給するように構成される。電極はまた、体腔の壁の組織の電気的パラメータ、例えば電気インピーダンスもしくは電気的活動(電圧)、またはLAAもしくは心臓の電気的マッピングを検出するセンサとして機能する場合もある。電極は、体腔の壁を半径方向に横断して、または体腔の壁の円周の一区画に沿って円周方向に、電気パラメータを測定するように構成される場合がある。概して、体腔の壁を半径方向に横断して、電気インピーダンスなどの電気的パラメータを測定するには、電極配列の電極と、患者の身体、しばしば脚に付けられたアースまたは接地パッドとを採用する。体腔の一区画に沿って円周方向に、電気インピーダンスなどの電気的パラメータを測定するには、二つの電極を採用し、この場合、一方の電極は通電用電極として機能し、もう一方の電極は検出用電極として機能する。電気インピーダンスなどの電気的パラメータは、一つの周波数で測定してもよいし、またはある範囲の周波数で測定してもよい。
【0096】
本発明の装置は、心房細動などの心臓の状態を予防または処置または診断するのに使用してもよい。また本発明は、心房細動を予防または処置または診断する方法に関する場合がある。「心房細動」すなわち「AF」は、米国だけで推定600万人の患者に影響を与える一般的な心調律異常である。AFは、米国における脳卒中の第2の主要原因であり、高齢者における脳卒中のほぼ三分の一を占める可能性がある。AF患者に血餅(血栓)が発見される場合、その90%より多くで、左心耳(LAA)に血餅が発生する。AFにおける不規則な拍動が原因となって、左心耳における血液の滞留が生じ、血液が停滞すると血餅形成が起こるので、血餅すなわち血栓がLAA内に形成される場合がある。これらの血餅が左心耳から外れる場合があって、これが脳循環に入り脳卒中を、冠動脈循環に入り心筋梗塞を、末梢循環に入り四肢虚血を引き起こしたりするだけでなく、他の血管床に入る場合がある。この用語は、発作性(間欠性)AF、持続性および長期持続性AF(PLPAF)を含む、あらゆる形態の心房細動を含む。
【0097】
本発明の装置は、虚血事象などの心臓の状態を予防または治療または診断するのに使用してもよい。また、本発明は、虚血事象を予防または処置または診断する方法に関する場合がある。「虚血事象」は、身体の器官または組織への血液供給が制限される結果、影響を受ける器官または組織への酸素およびグルコースの供給が不足することを指す。この用語は、脳卒中、つまり脳への血液供給を遮断する血餅による、脳の一部への血液供給の遮断、およびその結果生じる、影響を受けた脳の部分への損傷と、「ミニ脳卒中」としても知られ、脳卒中に似ているがしかし本質的に一過性であって、概して脳に持続的な損傷を生じさせない一過性虚血事象(TIA)とを含む。血液供給の制限が冠動脈で起こる場合には、この虚血事象は心筋梗塞(MI)または心臓発作として知られている。
【0098】
閉塞器具または捕捉器具は、自己展開可能である場合がある。半径方向に拡張可能な本体は、自己展開可能である場合がある。係留アームの少なくとも一つは、自己展開可能である場合がある。閉塞体は、形状記憶材料から作られる場合がある。半径方向に拡張可能な本体は、形状記憶材料から作られる場合がある。係留アームの少なくとも一つは、自己展開可能である場合がある。係留モジュールは、器具に対して相対的に軸方向に移動可能である場合がある。係留モジュールは、装置の長手方向軸を中心にして器具に対して相対的に回転可能である場合がある。器具は、装置の長手方向軸を中心にして回転可能である場合がある。係留モジュールは、器具に固定されている場合がある。器具は展開すると、処置されることになる体腔の幅よりも少なくとも10%、15%、20%、または25%大きい横方向の寸法(幅)を有する場合がある。半径方向に拡張可能な本体は、係留アームを完全に展開させることなく、体腔の幅まで半径方向に拡張可能である場合がある。半径方向に拡張可能な本体の近位端は、装置の展開中に少なくとも一つの係留アームの近位端と協働して、半径方向に拡張可能な本体が完全に展開するまで、係留アームを、半径方向に拡張可能な本体内に保持するように構成される場合がある。
【実施例】
【0099】
以下、特定の実施例を参照しつつ、本発明を説明する。これらは単に例示目的のものであり、説明のためのものであって、これらが、いかなる形であっても、請求された独占権の範囲にまたは記載の発明に限定されることを意図するものではない。これらの実施例は、本発明を実施するために現在勘案されている最良の態様を構成するものである。
【0100】
諸図面を参照し、そして最初に
図1Aおよび
図1Bを参照すると、参照符号1によって全体として示される本発明による装置の一部分を形成する閉塞器具の第1の実施形態が例示されている。閉塞器具は、完全に展開した構成の状態で示されており、展開カテーテルおよび送達カテーテルは示されていない。閉塞器具は、内腔2Bを有する近位接続用ハブ2と、半径方向に拡張可能な本体(この場合ではメッシュケージ3)と、近位接続用ハブに取り付けられた係留アーム4の円周方向配列を含んでなる係留モジュールとを含んでなる。この実施形態では、係留モジュールは、10本のアームを有する。
【0101】
メッシュケージ3は、展開時には円筒形であり、開口した遠位端5と、凹状の陥凹部6Aを有する閉じた近位端6とを有する。近位接続ハブ2の近位部分2Aは、メッシュケージ3の近位端5の陥凹部6A内に配置される。図示されていないが、近位接続ハブに血液が達するのを防止するために、ケージの近位端に被さるように流体不透過性のカバー部材が装着され、このカバー部材は、送達カテーテルが陥凹部6Aに達して近位接続用ハブ2と接続できるようにする閉鎖可能な開口部を含む。
【0102】
メッシュケージ3は、三つの区画、つまり、例えば約2.5mmの小さいメッシュサイズを有する近位区画8と、約2.5mmのメッシュサイズを有する遠位区画9と、展開中に係留アームを受ける開口部11を有する中心区画10とを有する。開口部11は、展開中に係留アームの端部がメッシュに引っ掛からないよう充分に大きく、示されている実施形態では、開口部は、約5mmの軸方向長さと約8mmの幅とを有する。メッシュケージは、形状記憶材料であるニチノールから作られており、展開した場合には、半径方向に拡張して、示されている構成になるように構成される。概して、展開は、拘束している展開カテーテルを後退させてメッシュケージを解放することを含んでなり、この場合、メッシュケージが拡張して、これを中に配置させている体腔の壁と接触する。概して、半径方向に拡張可能な本体(例えばメッシュケージ)は、これを中に展開させることになる体腔に対して相対的に展開される場合に過大なサイズになるように、例えば約5~30%、より具体的には約15~20%過大なサイズになるように構成される。
【0103】
半径方向に拡張可能な構成要素はまた、展開カテーテルから完全には解放されていない間、横方向に完全に、またはほぼ完全に展開するように設計される。これは、
図3Bに例示されており、この図は、部分的に展開したケージ(その約80%が展開カテーテルから解放されている)がほぼ完全に横方向に展開して体腔の壁に接触している一方で、アームは展開しておらず、組織に接触していないことを示している。このように配列する利点は、第1の展開段階を含む、装置の段階的な展開が可能であることであり、この展開段階では、ケージは展開して体腔の壁に接触しており、係留アームは完全には展開しておらず、したがって装置は係留されていない。これにより、装置の位置決めを、(例えば、撮像によって)評価すること可能になる。装置の位置決めが最適とは言えないと判断される場合には、装置を捕捉し直して位置決めし直し、ついで再び部分的に展開させてその位置決めをチェックし、次いで、位置決めが正しいと判断される場合には完全に展開させ、ここで、係留アームが完全に展開して組織と接触することで、装置を体腔内に固定する。
【0104】
係留アーム4はニチノールから形成され、
図1のBに示される外方に広がった位置に付勢されて、拘束している展開カテーテルが後退すると展開が可能になる。アームは、閉塞器具のハブ2に接続されており、半径方向に拡張可能な本体(メッシュケージ)には接続されていないので、アームがメッシュケージから独立に移動するための柔軟性が得られる。各アーム4は、近位端4Aと、遠位端4Bとを有する。この遠位端4Bは外方に湾曲して、フック状の返し部15を近位に形成しており、この返し部は、近位に面する、そして装置の長手方向軸に実質的に平行である先端部16を有する。これは、LAA内の装置が近位に(左心房に向かって)引っ張られる傾向があって、後方を向いた返し部がこれを防止するのに役立つので、有利である。
【0105】
図2Aおよび2Bは、閉塞器具1の近位端を例示しており、近位接続ハブ2と、メッシュケージの近位陥凹端6と、係留アーム4の近位端4Aとを示している。ケージの近位端の支柱20は、接続ハブ2の半径方向外方の部分Aに取り付けられ、係留アーム4は、ハブ2の半径方向内方の部分Bに取り付けられる。
図2Bに例示されるとおり、係留アームの近位端4Aは、肩22Aを形成する屈曲領域22を有する。肩22Aは、ケージの近位端の支柱20と協働して、アームの展開を制御する。よって、ケージの近位端が展開カテーテルから解放されてケージが完全に展開するまで、アームの完全な展開が遅延する。これにより、ケージが展開カテーテルから完全に解放されるまで、係留アームをケージ内に維持しつつ、上述および後述のとおり装置の段階的な展開が可能となる。
【0106】
図3Aから
図3Cは、本発明の装置の一実施形態とその使用、詳細には、体腔、この場合は心臓の左心耳(LAA)における装置の段階的な展開と係留をさらに記載している。
図3Aは、閉塞器具1と、外側の展開カテーテル25と、内側の送達カテーテル26(破線で示される)とを含んでなる本発明の装置を示している。この装置は、遠位端が左心耳27内に配置され、半径方向に拡張可能な本体3の約50%が展開カテーテルの遠位端から外に展開し、その全幅の約60%まで部分的に展開した状態で示されている。
図3Bでは、展開カテーテルは閉塞装置に対して相対的にさらに後退しており、半径方向に拡張可能な本体は、展開カテーテルの遠位端から外に約80%展開してほぼ完全に拡張して、半径方向に拡張可能な本体の壁がLAAの壁に係合するようになっている。この段階では、係留アーム4は外方に完全には広がっておらず、この組織と係合していないことが分かる。造影剤を患者に注入して、LAA内の装置の位置を画像化してもよい。装置の位置決めの適切さを判断するさらなる試験を実行することもできる。心臓医が位置決めに満足していない場合には、装置を捕捉し直して位置決めし直すことができる。あるいは、この装置を使用して組織を電気的に焼灼することができる。半径方向に拡張可能な本体が正しく位置決めされたことに心臓医が満足すると、
図3Bに例示されるとおり、送達カテーテル26に対して相対的に展開カテーテル25をさらに後退させるように装置を作動させて、半径方向に拡張可能な本体3と、LAAの壁に係合して装置を正しい位置に係留する係留アームとを完全に展開させる。ついでさらなる焼灼処置を実行することができる。処置が終了すると、送達カテーテル26を作動させて閉塞器具のハブ2から取り外し、展開カテーテル25とともに引き抜いて、閉塞器具を心臓のLAA内に残してその場に係留してもよい。
【0107】
装置は、送達カテーテルに対して相対的に展開カテーテルを移動させるように、および/または送達カテーテルと閉塞体とを着脱させるように構成される制御ハンドルを含む場合がある。制御ハンドルは、半径方向に拡張可能な本体の展開を、係留アームとは独立に作動させるように構成される場合がある。装置はまた、概して半径方向に拡張可能な本体の一部分として形成されるか、またはそれに取り付けられる、組織焼灼電極を含む場合がある。電極を、送達カテーテル内に設けられた対応する電線と電気的に接続するための電線が設けられる場合がある。閉塞器具のおよび送達カテーテルの接続ハブは、半径方向に拡張可能な本体の電極を送達カテーテルの電線と電気的に結合するように構成される場合がある。
【0108】
図4Aから
図4Cは、展開している本発明による装置のさらなる例示であり、詳細には、展開カテーテルの段階的な後退による閉塞器具および係留モジュールの自己展開を示している。
図4Aは、展開カテーテル25内に収容されて送達構成にある閉塞器具1と係留モジュールとを有する装置を示しており、係留モジュールの係留アーム4は、軸方向の束ねられた構成である。
図4Bは、部分的展開の第1の段階にある装置を示しており、この場合、展開カテーテル25が部分的に後退して、半径方向に拡張可能な本体3の遠位区画9と中心区画10とを露出させている。この図から、展開のこの段階では、半径方向に拡張可能な本体3はその全幅まで拡張しておらず、係留アーム4は拘束されて、軸方向の束ねられた構成になっていることがわかる。
図4Cは、部分的展開の第2の段階にある装置を例示しており、この場合、展開カテーテル25はさらに後退(約90%後退)して、半径方向に拡張可能な本体3の大部分を露出させている。この段階での展開カテーテル25の口/唇29は、各係留アーム4の屈曲領域22に接触して、アームを軸方向の束ねられた構成に保っている。この段階で展開カテーテルをさらに後退させると、アームが半径方向外方に展開可能になる可能性がある。
【0109】
図5Aから
図5Cは、
図4の装置のさらなる展開の例示であり、半径方向に拡張可能な本体は除去されていて、
図4Cに示される位置からの展開カテーテルの後退に応答して係留アームが展開する様子がさらに明確に例示されるようにしてある。
図5A(これは
図4Cに例示されているのと同一の展開段階である)では、アーム4上の屈曲領域22は展開カテーテルの口/唇29に接触しており、軸方向に束ねられた構成にアームを維持している。
図5Bは、展開カテーテル25がさらに後退することで、アーム4が半径方向外方に展開し始め、この展開が、アーム4の屈曲領域22と展開カテーテルの口/唇22との間の協働によって制御されている様子を示している。
図5Cでは、展開カテーテル25がさらに後退して、展開カテーテルの口29から突き出たアームの屈曲領域22を完全に露出させることで、アームが完全に自己展開し組織と係合することが可能になる。
【0110】
図6を参照すると、本発明の代替実施形態による装置の一部を形成する閉塞器具が示されており、これは、全体として参照符号30によって指示され、先の実施形態を参照しつつ記載されたその部分には、同一参照符号が割り当てられている。この実施形態では、係留アームの遠位端4Bは、長手方向に二股になって、U字形の遠位返し部15Aと、湾曲した近位返し部15Bとを設けている。一つは遠位一つは近位の二つの返し部を設けることで、アームあたり少なくとも一つの返し部が組織に係合する機会が増加し、それによって、装置移動の危険性が低減することが示されている。
【0111】
図7を参照すると、本発明の代替実施形態による装置の一部を形成する閉塞器具が示されており、これは、全体として参照符号40によって指示され、先の実施形態を参照しつつ記載されたその部分には、同一参照符号が割り当てられている。この実施形態では、係留アームの遠位端4Bは、横方向に二股になって、第1および第2の返し部分15Cおよび15Dを有するV字型の返し部分を設けている。二つの横並びの返し部を設けることで、アームあたり少なくとも一つの返し部が組織に係合する機会が増加し、それによって、装置移動の危険性が低減することが示されている。
【0112】
図8を参照すると、本発明の代替実施形態による装置の一部を形成する閉塞器具が示されており、これは、全体として参照符号50によって指示され、先の実施形態を参照しつつ記載されたその部分には、同一参照符号が割り当てられている。この実施形態では、各係留アームの遠位端4Bは、その端部との間でクランク状になっていて、完全に展開した場合には、半径方向外方に角度を付けられた第1の部分41と、装置の長手方向軸に平行な、展開された半径方向に拡張可能な本体3の内部に配置された第2の部分42と、外側のU字形フック15Eとを有するようになっている。返し部の支柱は、返し部のフックが戻る前に足場と平行になる。これにより、組織または足場に押し付けられる平坦な区画が得られて、組織への穿孔の量が限定的になる。
【0113】
図9を参照すると、本発明の代替実施形態による装置の一部を形成する塞栓捕捉器具が示されており、全体として参照符号60によって指示され、先の実施形態を参照しつつ記載されたその部分には、同一参照符号が割り当てられている。この実施形態では、係留モジュールは、塞栓捕捉器具60に対して軸方向に相対的に移動可能であり、中心の係留ハブ61に取り付けられた係留アーム4を含んでなる。中心の係留ハブ61は、塞栓捕捉器具1の接続ハブ2内で受容されるように、そしてそれと脱着可能に係合するように構成される。加えて係留モジュールは、環状のカバー構成要素62を含み、この構成要素は、ハブから半径方向外方に延在し、わずかに凸状の形状を有しており、この形状は、ケージ3の凹状の近位面6と流体的に係合することによって接続ハブ2内の塞栓の通過を防止するように構成される。環状のカバー構成要素62は、収縮した送達構成から、
図9に示される展開し半径方向に拡張した構成に自己調整可能である。カバー構成要素は、送達カテーテルなどの拘束構成要素が係留モジュールに対して相対的に近位に後退した場合に自己展開するように設計されたメッシュ、例えばニチノールメッシュから形成されてもよく、血液を通過させるが塞栓を捕捉することが可能な寸法のメッシュサイズを有する。他の実施形態では、カバー構成要素は、中心の係留ハブ61に接続された複数の構成要素について形成されてもよく、これらの複数の構成要素は、これらの構成要素がともに束ねられた軸方向位置と、これらの構成要素が半径方向外方に延在してカバー構成要素を形成するように重なり合った展開した位置とから調節可能なものである。他の実施形態では、係留モジュールは、カバー構成要素を含まない。そのような実施形態では、係留モジュールハブと閉塞器具ハブとの間の係合は、閉塞器具のハブを効果的に閉鎖する、流体の漏れない係合である場合がある。使用時、塞栓捕捉器具は最初に展開され、そして送達カテーテルがまだ塞栓捕捉器具の近位ハブに取り付けられている間に、係留モジュールを、軸方向に束ねられた送達構成にある係留アームとともに送達カテーテルを通って前進させてもよい。アームは、係留モジュールハブが塞栓捕捉器具のハブに係合するまで、展開された塞栓捕捉器具のハブを通って前進する。この位置では、アームは、塞栓捕捉ケージ内に向かって自己展開することになり、周囲組織と接触して塞栓捕捉器具を血管内に係留する。ついで、送達カテーテル(
図9には示されず)を塞栓捕捉器具のハブから切り離して後退させることで、
図9に示される半径方向に拡張した構成に係留モジュールのカバー構成要素を自己展開させて、閉塞器具のハブを覆い、塞栓捕捉器具を通って近位に移動する塞栓を防止することが可能になる。本実施形態は、塞栓捕捉器具を参照しつつ説明されているが、軸方向に移動可能な係留モジュール(環状のカバー構成要素の有無にかかわらず)は、体腔閉塞器具とともに使用してもよく、その場合には、カバーは、採用されるのであれば、閉塞器具のハブを流体的に閉塞して、ハブを通って遠位に流れる血液を防止するように構成されることになると理解されよう。
【0114】
均等物
先の記載は、本発明の現状で好ましい実施形態を詳細に記載したものである。これらの説明を考慮すると、当業者には、その実施における多数の修正形態および変形形態が想起されることが予想される。それらの修正形態および変形形態は、本明細書に添付された特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【国際調査報告】