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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】プラスチック物品の分離方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20231219BHJP
   D06M 10/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
D06M10/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559170
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 FR2021052241
(87)【国際公開番号】W WO2022123176
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2013090
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(71)【出願人】
【識別番号】523220400
【氏名又は名称】イクスクラッシャー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ, ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】ベンタジ, アブデルアジズ
(72)【発明者】
【氏名】クーショ, ニコラス
【テーマコード(参考)】
4F401
4L031
【Fターム(参考)】
4F401AA11
4F401AA13
4F401AA17
4F401AA28
4F401AB05
4F401AB06
4F401AD08
4F401BA06
4F401BA13
4F401CA04
4F401CA14
4F401CA24
4F401CA25
4F401CA26
4F401CA27
4F401CA30
4F401CA43
4F401CA48
4F401CA49
4F401CA50
4F401CA91
4F401EA46
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4F401FA10Z
4F401FA20Z
4L031AA16
4L031AA26
4L031AB00
4L031CB00
4L031DA00
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)と少なくとも1つの他の構成要素(P2)とを含むポリマー物品(10)の分離方法(1)に関し、当該分離方法(1)は、-ポリマー物品(10)を、衝撃波を伝播させるのに適した液体媒体(11)と接触させる工程(130)と、-熱可塑性樹脂ポリマー(P1)と他の構成要素(P2)との間の接触面(13)でポリマー物品(10)を分裂することができる衝撃波を発生させるように、パルス磁場(12)を液体媒体(11)に適用する工程(140)とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)と少なくとも1つの他の構成要素(P2)とを含むポリマー物品(10)を分離するための方法(1)であって、
-ポリマー物品(10)を、衝撃波の伝播に適した液体媒体(11)と接触させる工程(130)と、
-熱可塑性樹脂ポリマー(P1)と少なくとも1つの他の構成要素(P2)との間の接触面(13)でポリマー物品(10)を分裂することができる衝撃波を発生させるように、パルス磁場(12)を液体媒体(11)に適用する工程(140)と、
を含むことを特徴とする分離方法(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの他の構成要素(P2)が、強化材、好ましくは繊維強化材(R)に対応することを特徴とする、請求項1に記載の分離方法(1)。
【請求項3】
パルス磁場(12)を適用する工程(140)が、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)を液体媒体(11)に溶解する工程(150)と同時に行われることを特徴とする、請求項2に記載の分離方法(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)を溶解する工程(150)の間に、液体媒体(11)が、ポリマー物品(10)の少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)の少なくとも1つのベースモノマー(M)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の分離方法(1)。
【請求項5】
衝撃波が、電極の端子における電界の生成によって生成され、衝撃波を生成することができる電気アークの生成を可能にすることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項6】
電極間の電界が、液体媒体(11)の絶縁破壊電圧を超えるのに十分高いことを特徴とする、請求項5に記載の分離方法(1)。
【請求項7】
電極が液体媒体(11)に浸漬されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の分離方法(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの他の構成要素(P2)が、少なくとも1つの第2のポリマー、好ましくは少なくとも1つの第2の熱可塑性樹脂ポリマー(P3)に対応することを特徴とする、請求項1に記載の分離方法(1)。
【請求項9】
ポリマー物品(10)が、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)と少なくとも1つの他の構成要素(P2)との間に好ましくは連続的である1つ又は複数の接触面を含み、パルス磁場(12)が、この接触面又はこれらの接触面を標的とするように構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)が、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン又はこれらのポリマーの混合物に基づくポリマーであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)が、1000000g/mol未満の平均モル質量を有するポリ(メチルメタクリレート)に基づくポリマーであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項12】
液体媒体(11)が、水、有機溶媒、及び/又は少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)の少なくとも1つのベースモノマー(M)を含む誘電性液体に対応することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項13】
パルス磁場(12)を適用する工程(140)が、200kV未満の電圧の使用を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項14】
パルス磁場(12)を適用する工程(140)が、70MJ/kg未満のエネルギーの使用を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項15】
パルス磁場(12)を適用する工程(140)が、60℃以下の温度で実行されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項16】
ポリマー物品(10)を前処理する前工程(120)を含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項17】
ポリマー物品(10)の構成要素を選別する工程(145)を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項18】
液体媒体(11)を除去する工程(160)を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項19】
他の構成要素(P2)の厚さに対する少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)の衝撃強度の比が15.7未満、好ましくは15以下、好ましくは12.5以下であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項20】
他の構成要素が、ポリマー物品(10)の少なくとも5重量%の含有量で存在することを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の分離方法(1)。
【請求項21】
少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)と少なくとも1つの他の構成要素(P2)とを含むポリマー物品(10)を処理するための方法(2)であって、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリマー物品(10)の分離を含み、
-液体媒体(11)を除去する工程(160)と、
-少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)及び少なくとも1つの他の構成要素(P2)を選別する工程(170)と、
-少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー(P1)の熱解重合の工程(180)と
を含む、処理方法(2)。
【請求項22】
ポリマー物品(10)の他の構成要素(P2)を処理する工程(190)を更に含むことを特徴とする、請求項21に記載の処理方法(2)。
【請求項23】
選別工程(170)が、密度の差、溶解度の差、濾過若しくは精密濾過、粒径分析、重量の差、摩擦電気特性の差、接着の差、粘度、凝固、沈降、紡糸、乾燥、凍結乾燥、蒸留、凝縮、分光検出(赤外、ラマン分光、X線分析等)、又はこれらの技術の任意の組み合わせによる分離を含むことを特徴とする、請求項21に記載の処理方法(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの分野に関し、より詳細には、特にポリマーをリサイクルするために使用することができる1つ又は複数のプラスチック物品の分離の分野に関する。本発明は、特に、熱可塑性樹脂ポリマーを含むプラスチック物品の分離方法に関する。
【0002】
本発明は、使用済み製品等のリサイクルの問題に直面している全ての産業分野、又はプラスチック処理作業から生じる不良品又はスクラップ等の産業廃棄物において有用である。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは、輸送(自動車、鉄道)、健康、風力、海上又は航空部門等の様々な産業分野で広く使用されている。したがって、長年にわたり、世界中で数十万トンのプラスチック物品が生産されており、プラスチック生産量は2050年までに287億トン増加すると予想されている。このように、プラスチック物品の製造及びリサイクルは、環境及び経済の観点から大きな課題として明確に認識されている。
【0004】
これらのプラスチック物品は、高いレベルの多様性を特徴とし、いくつかの物品は、いくつかのポリマーの組み合わせを含み、他の物品は、少なくとも2つの不混和性材料の巨視的な組み合わせを表す複合材料(「複合材」とも呼ばれる)の形態である。したがって、各タイプのプラスチック物品のリサイクルは、異なる課題及び問題を提示する。
【0005】
熱熱分解、選択的溶解、加溶媒分解、ガス化及び機械的リサイクル等の様々なリサイクル方法がある。しかしながら、熱的、化学的又は機械的処理後に得られる製品は、一般に、材料性能がそれほど厳密でない用途に向けられる。実際、熱処理は一般にポリマーの分解を伴い、すなわち、ポリマーの温度の上昇は、特に不純物の存在下で熱処理が行われる場合、望ましくない副生成物の形成をもたらし得る。選択的化学溶解処理は、プラスチック物品の全ての構成要素及びそれらの溶解度パラメータを考慮する必要があるため、実施が複雑である。最後に、従来の機械的処理は、リサイクルされる熱可塑性樹脂ポリマーを汚染し得る多数の小さな不純物の生成、ポリマーの鎖長の分解をもたらし得、全てのポリマーが機械的リサイクルに適しているわけではない。
【0006】
特に、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、その光学特性で知られている確立された熱可塑性樹脂ポリマーである。例えば、Altuglas(登録商標)という名称で販売されており、毎年約300000トンのPMMAが欧州で製造されている。PMMAは熱解重合によってモノマーに戻すことができるが、ヨーロッパでは毎年約30000トンのPMMA廃棄物のみがリサイクルのために回収される。更に、欧州におけるPMMAのリサイクルは、現在、鉛ベースのプロセス(溶融鉛床)に大きく依存しており、これは、これらの下位のグレードは、鉛で汚染された大量の固体残留物の形成及びモノマーのより低い収率をもたらすので、これらの下位のグレードのPMMA(例えば、PVCで汚染された又は高度に添加された複合材の形態で)を再処理することを可能にしない。
【0007】
熱可塑性樹脂ポリマーを含む物品をリサイクルするための既知の方法は、特に繊維状複合材又はポリマーの組み合わせの存在下で、高収率の高品質モノマー(すなわち、夾雑物がほとんど又は全くなく、高い回収率、すなわち60%超である)を形成することを可能にしない様々な加熱工程を含むようである。
【0008】
実際、一例として、PMMAからキャストされたプレートの製造中、重合されるマトリックスは、2枚のガラスプレートの間に配置され、可撓性PVC(ポリ塩化ビニル)シールで囲まれる。PVCシールは、製造されるプレートの種類に応じて異なる色、形状及び厚さで存在する。また、製造後に、表面の損傷を防止するために保護フィルムでプレートを覆ってもよい。最後に、プレートをPVCシールから数センチメートル又は数ミリメートルに切断し、それによってPVCフィルム及び保護フィルムで汚染されたPMMA廃棄物を生成する。解重合操作中のPVCの存在は、PVCが分解するにつれてHCl(塩酸)の生成による腐食を引き起こすが、PMMAのメチルメタクリレート(MMA)モノマーから分離することが困難な多数の副生成物、例えばイソ酪酸メチル及び他の不純物も生成する。PVCシールは、通常、PVCシールに可能な限り近い生産スクラップを再切断することによってPMMAから分離される。これは、長く、面倒で、高価であり、また、PMMAを製造現場に可能な限り近くでリサイクルすることを可能にしない手動操作である。したがって、PVCシールをPMMAから効果的に分離するための解決策を見出すことが望ましい。実際、PMMAは優れた品質であり、PVCによって汚染されていなければ、熱解重合によってリサイクルされ得る。
【0009】
同様に、バスタブ等の特定のPVC物体を製造するための操作中に、PMMAプレートが熱成形され、次いでガラス繊維及び接着剤、例えばエポキシで作られた強化材が背面に噴霧され、最後に最終形状が所望の寸法に切断される。したがって、この作業は、生産現場だけでなく、寿命末期においても廃棄物を発生させる。この場合、先行技術の解決策は、一般に、PMMAに富む画分を回収するために、ガラス繊維及び接着剤(例えばエポキシ)で覆われた表面をスクラップすることである。しかしながら、この解決策は、操作が長く面倒であり、常にPMMAの表面にいくらかの汚染を残すため、完全に満足できるものではない。更に、PMMAは熱可塑性樹脂であるため、摩擦による加熱によって局所的な溶融が起こる可能性があり、したがって除染作業を著しく加速することは不可能である。したがって、この場合、PMMAを夾雑物(接着剤及びガラス繊維)から分離することを可能にする技術を見出すことも望ましい。
【0010】
したがって、エネルギー及び環境の観点から、熱可塑性樹脂ポリマーが複合形態であるか又は他のポリマーと組み合わされるかにかかわらず、当該熱可塑性樹脂ポリマーの改善されたリサイクル(すなわち、より高い収率及び品質)を可能にする分離方法を有することが望ましい。
【0011】
[技術的課題]
したがって、本発明は、先行技術の欠点を克服することを目的とする。特に、本発明は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーを再利用するために、当該少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーを含むポリマー物品を分離する方法を提案することを目的とする。本発明による方法は、ポリマー物品の残りの部分からの熱可塑性樹脂ポリマーの分離の改善を可能にする。本発明による方法は、特に、ポリマーの著しい加熱をもたらさない、異物による汚染を最小限に抑えながら、熱可塑性樹脂ポリマーを分離することを可能にする。次いで、分離された熱可塑性樹脂は、例えば熱解重合によってリサイクルされ得、それによって良質のモノマー組成物をもたらす。
【0012】
本発明による方法はまた、より環境に優しくエネルギー効率の良い手法に寄与する。したがって、本発明は、ポリマー物品とも呼ばれる持続可能な開発及びプラスチック廃棄物の再利用の文脈に含まれる。
【発明の概要】
【0013】
この目的のために、本発明は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーと少なくとも1つの他の構成要素とを含むポリマー物品を分離するための方法に関し、当該分離方法は、
-ポリマー物品を、衝撃波の伝播に適した液体媒体と接触させる工程と、
-熱可塑性樹脂ポリマーと少なくとも1つの他の構成要素との間の接触面でポリマー物品を分裂することができる衝撃波を発生させるように、パルス磁場を液体媒体に適用する工程と
を含む。
【0014】
分離方法は、プラスチック物品をその様々な成分に分裂することを可能にする。特に、本発明による方法は、一方では熱可塑性樹脂ポリマーと他方では他の構成要素との間に接触面が存在する場合、熱可塑性樹脂ポリマーを別の構成要素から効果的に分離することができる。例えば、そのような接触面は、少なくとも1cm、好ましくは少なくとも2cmの連続面の形態をとることができる。これらの条件下で、本発明による方法は、選択的な非接触粉砕によってこの接触面での分離をもたらすことができる。以下で詳細に説明するように、選択的粉砕は、プラスチック物品の構成要素間の差動粉砕を可能にする。特に、構成要素の1つは、他の構成要素よりも小さい断片に粉砕される。
【0015】
次いで、これらの成分は、汚染に関連する問題なしに再利用又はリサイクルすることができる。実際、本発明は、特に有利には、ポリマー物品をその成分間のその接触面で分離することを可能にする。これにより、明確かつ正確な分離が可能となる。更に、本発明は、2つの構成要素(例えば液体/固体)の少なくとも1つの状態を変化させることによって、又は熱可塑性樹脂ポリマーが従来の分離技術によって別の構成要素から容易に分離され得るような寸法を有する断片にそれらを分裂することによって、熱可塑性樹脂ポリマーを別の構成要素から区別することができるという顕著な特徴を有する。
【0016】
したがって、本発明は、ポリマー物品又はプラスチック物品をその様々な成分に高純度レベルで分離することを可能にする。更に、本発明は、ポリマー物品の成分の選択的な非接触粉砕を可能にする。本発明はまた、手作業の介入なしに、ポリマー物品の自動分離を可能にする。
【0017】
本方法の他の任意選択の特徴によれば、当該方法は、任意選択的に、以下の特徴の1つ又は複数を単独で又は組み合わせて含んでもよく、
-少なくとも1つの他の構成要素は、強化材、好ましくは繊維強化材に対応する。実際、本発明は、熱可塑性樹脂ポリマーと強化材とを含む複合物品の分離、次いでリサイクルに特によく適しており、
-パルス磁場を適用する工程は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーを液体媒体に溶解する工程と同時に行われる。したがって、衝撃波は、ポリマー物品に到達し、それを分解するまで液体媒体中を伝播し、これにより、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー、更により好ましくはPMMAを液体媒体と接触させることが容易になり、
-少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーを溶解する工程の間、液体媒体は、ポリマー物品の少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーの少なくとも1つのベースモノマーを含む。これにより、他のポリマーによる汚染レベルが低い(例えば、1重量%未満)少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーのベースモノマーの組成物を迅速に得ることができる。例えば、液体媒体は、好ましくは水及び/又はMMAを含み得、
-少なくとも1つの他の構成要素は、少なくとも1つの第2のポリマー、好ましくは少なくとも1つの第2の熱可塑性樹脂ポリマーに相当する。これは、例えば、第2の熱可塑性樹脂ポリマーとしてポリ塩化ビニル、第1の熱可塑性樹脂ポリマーとしてPMMAに対応し得、
-ポリマー物品は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーと少なくとも1つの他の構成要素との間に好ましくは連続的である1つ又は複数の接触面を含み、パルス磁場は、この接触面又はこれらの接触面を標的とするように構成される。これは、当該接触面でのポリマー物品の明確かつ正確な分裂を増加させる。パルス磁場は、例えば電極の所定の位置及び/又はポリマー物品を配置するための手段を介して、この接触面を標的とするように構成され得、
-少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン又はこれらのポリマーの混合物に基づくポリマーである。これらのポリマーは、本発明による本方法の文脈において、分離、次いでリサイクルに関して最良の性能を有し、
-少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーは、1000000g/mol未満、好ましくは600000g/mol未満、好ましくは400000g/mol未満、好ましくは200000g/mol未満の平均モル質量を有するポリ(メチルメタクリレート)に基づくポリマーである。これは、本発明者らが、強化材の存在下では、モル質量がより低いことにより、特に溶解工程が実行される場合に、より良好な品質のMMA(すなわち、他のポリマーによる汚染が1重量%未満である)をより良好な収率で回収することが可能になると判断したためである。したがって、複合物品は、本発明による分離方法によって特に効果的にリサイクルすることができ、
-液体媒体は、水、有機溶媒、及び/又は少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーの少なくとも1つのベースモノマーを含む誘電性液体に対応し、
-パルス磁場を適用する工程は、200kV未満の電圧を使用することを含み、
-パルス磁場を適用する工程は、70MJ/kg未満のエネルギーの使用を含み、
-パルス磁場を適用する工程は、80℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下の温度で実行される。パルス磁場を適用する工程の前に、重合阻害剤を液体媒体に添加する工程を更に行うことができる。
【0018】
本発明は更に、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー及び少なくとも1つの他の構成要素を含むポリマー物品を処理するための方法に関し、当該処理方法が本発明によるポリマー物品の分離を含むことを特徴とし、
-液体媒体を除去する工程と、
-少なくとも1種類の熱可塑性樹脂ポリマーと少なくとも1種類の他の構成要素とを選別する工程と
を含む。
【0019】
ポリマーがそのモノマーに溶解される場合、処理方法は、ポリマーとモノマーとの混合物を含むシロップ剤を直接得ることを可能にすることができ、これをポリマー物品を製造するために使用することができる。
【0020】
方法の他の任意選択の特徴によれば、当該方法は、任意選択的に、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーの熱解重合の工程を含んでもよい。
【0021】
更に、方法は、ポリマー物品の他の構成要素を処理する工程を含んでもよい。
【0022】
本発明の他の利点及び特徴は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による分離方法のフローチャートである。破線で形成されたボックス内の工程は任意選択である。
図2】本発明の一実施形態による分離方法を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による処理方法のフローチャートである。破線で形成されたボックス内の工程は任意選択である。
図4】本発明による分離及び処理方法の後に得られた試料のいくつかの結果を示す図である。
【0024】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。
【0025】
図面において、フローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム及び方法の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性及び機能を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された機能を実行するためのシステム又はデバイスを表し得る。特定の実施態様では、ブロックに関連付けられた機能は、図に示された順序とは異なる順序で現れる場合がある。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又は含まれる機能性に応じて、ブロックは時々逆の順序で実行されてもよい。図及び/又はフローチャートの各ブロック、並びに図及び/又はフローチャートのブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行するか、又は特別な材料の組み合わせを実行する特別な物理システムによって実装することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書の残りの部分において、用語「モノマー」は、重合を受けることができる分子を意味する。
【0027】
使用される「ポリマー物品」という用語は、好ましくは添加剤及び/又は充填剤と組み合わされた、少なくとも1つのポリマーを含む物体に関する。
【0028】
使用される「解重合」という用語は、ポリマーを、初期ポリマーの平均モル質量よりも小さい平均モル質量を有する1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーに変換するプロセスに関する。
【0029】
「ベースモノマー」という用語は、ポリマーを構成する最も優勢なモノマー単位を意味する。したがって、PMMAにおいて、ベースモノマーはMMAであり、ポリスチレンにおいて、ベースモノマーはスチレンである。
【0030】
「熱可塑性樹脂ポリマー」又は「熱可塑性樹脂」という用語は、熱の作用下で繰り返し軟化又は溶融することができ、熱及び圧力の適用によって新しい形状をとるポリマーを意味する。熱可塑性樹脂の例は、例えば、特にビニール袋の製造又は自動車コンストラクトに使用される高密度ポリエチレン(HDPE);プラスチック瓶の製造に特に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリ塩化ビニル(PVC);包装及び建築分野で使用されるポリスチレン(PS);ポリメチルメタクリレート(PMMA)である。したがって、熱可塑性樹脂の使用は、包装から自動車産業に及ぶ多種多様な分野に影響を及ぼし、プラスチックの需要は依然として高い。
【0031】
「(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂ポリマー」又は「(メタ)アクリル系ポリマー」という用語は、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリロニトリル、メタクリルアミド及びそれらの混合物から選択される、(メタ)アクリル系モノマーに基づくホモポリマー又は共重合体を意味する。ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、メチルメタクリレートモノマーの重合によって得られる(メタクリル)ポリマーの特定の例である。
【0032】
本発明の目的のために、用語「PMMA」は、メチルメタクリレート(MMA)のホモポリマー及び共重合体を意味し、PMMA中のMMAの重量比は、好ましくはMMA共重合体について少なくとも70重量%である。「メチルメタクリレートに基づく共重合体」という用語は、少なくとも1つのメチルメタクリレートモノマーを有する共重合体を意味する。例えば、メチルメタクリレートに基づく共重合体は、PMMA中に少なくとも70%、好ましくは80%、有利には90%のMMAを含む共重合体であり得る。
【0033】
本発明の目的のために、「複合材」という用語は、少なくとも2つの非混和性成分を含む多成分材料を意味し、少なくとも1つの成分はポリマーであり、他の成分は、例えば、繊維強化材等の強化材又は充填剤であってもよい。
【0034】
「強化材」という用語は、一般にリサイクルの終わりに残る「繊維強化材」又は「鉱物充填剤」等の非解重合性又はガス化可能な固体材料を意味する。「繊維強化材」という用語は、ストリップ、ウェブ、編組、ストランド又は部品の形態であり得る、繊維、一方向ロービング又は連続フィラメントマット、織物、フェルト又は不織布の集合体を意味する。本発明の文脈において、繊維強化材は、好ましくは、長さが10mmを超える、より好ましくは20mmを超える、更により好ましくは3cmを超える繊維を含む強化材に対応する。
【0035】
「鉱物充填剤」という用語は、全ての粉末充填剤、例えば石英、大理石、シリカ、水酸化アルミニウム又は二酸化チタンを意味する。
【0036】
本発明の目的のために、「実質的に等しい」という用語は、比較値に対して30%未満、好ましくは20%未満、更により好ましくは10%未満だけ変動する値を意味する。
【0037】
本発明の目的のために、「同等の寸法の断片」は、実質的に同一の体積、すなわち、ポリマー物品の同じ構成要素に由来する断片内で30%未満、好ましくは20%未満、更により好ましくは10%未満変化する体積を有する断片を意味する。「同等の寸法の断片」はまた、少なくとも2つの実質的に同一の寸法、すなわち、ポリマー物品の同じ構成要素に由来する断片内で30%未満、好ましくは20%未満、更により好ましくは10%未満変化する少なくとも2つの寸法を有する断片を意味することができる。
【0038】
本発明の目的のために、「接触面」という用語は、常温で固体である異なる組成物の材料間の接合領域を意味する。「連続接触面」は、例えば、1cmを超える、好ましくは2cmを超える、より好ましくは5cmを超える、更により好ましくは10cmを超える表面積にわたって延在する接合領域を指す。
【0039】
本発明の目的のために、「衝撃波」は、液体媒体内で様々な形態で伝播する当該媒体内で発生する外乱を意味する。波の形態の圧力の伝播は迅速であるため、この波は、固体(すなわち、ポリマー物品)と相互作用するまで、この外乱に関する情報を液体媒体に運ぶ。したがって、衝撃波は、通過する際に、伝播する媒体に圧力をかけ、それによってポリマー物品を亀裂又は破砕によって損傷させることを可能にする機械的波であり得る。
【0040】
本発明の目的のために、「メトリック」は、メータスケールでの大きさの程度を意味する。したがって、メトリックサイズの物体は、0.1m~10mの少なくとも1つの寸法を含む物体に対応することができる。
【0041】
本発明の目的のために、「センチメートル」は、センチメートルスケールでの大きさの程度を意味する。したがって、センチメートルサイズの物体は、0.1cm~10cmの少なくとも1つの寸法を含む物体に対応することができる。
【0042】
本発明の目的のために、「ミリメートル」は、ミリメートルスケールでの大きさの程度を意味する。したがって、ミリメートル寸法は、0.1mm~10mmの少なくとも1つの寸法を含む物体に対応することができる。
【0043】
以下の実施形態の説明及び添付の図面において、同じ参照符号は、同じ要素又は同様の要素を指定するために使用される。更に、提示及び/又は特許請求される様々な特徴は、有利に組み合わされてもよい。明細書又は様々な従属請求項におけるそれらの存在は、この可能性を排除しない。
【0044】
ポリマー物品の再利用、より正確にはポリマー物品の分離は、同様に注目に値する品質のモノマー、好ましくはMMAの組成物を得るために、再利用のための、特に熱解重合による、良好な品質の熱可塑性樹脂ポリマー、好ましくはPMMAの回収を可能にするために、ポリマー物品のこの分離のための、多数のパラメータを考慮に入れる必要がある。
【0045】
特に、ポリマー物品のこのような分離のために、解決されるべき技術的課題は、自動化されており、熱可塑性樹脂ポリマーを著しく加熱することなく、異物(すなわち、繊維、充填剤、添加剤、他のポリマー)による汚染を最小限に抑えることである。分離は、ポリマー物品の他の成分も回収して再利用することができる場合に特に有利であろう。
【0046】
これは、従来使用されている解決策が、例えば、分離するのが困難な多数の副生成物、ダスト及び他の不純物を生じさせる機械的粉砕を実行することからなるか、又は長時間、骨の折れ、高価であり、更に夾雑物を残す、手動及び/又は機械的切断操作又は熱処理からなり、更に、生産現場に可能な限り近いリサイクル又は再利用を可能にしない。更に、これらの解決策はエネルギー集約的であり、環境に優しくない。粉砕作業はまた、ダストを発生させ、及び/又は作業者に刺激を引き起こす可能性がある繊維を放出する可能性がある。
【0047】
驚くべきことに、本発明者らは、選択的な非接触粉砕が行われる場合、ポリマー物品の分離がそれによって大幅に改善されることを発見した。これは、品質(すなわち、夾雑物が存在しないこと)が、解重合、粉砕、又はポリマー物品の手動/機械的分離を行うことによって得られたものよりも優れていることを意味する。
【0048】
したがって、本発明者らは、改善された品質(低レベルの汚染及び高純度レベル)を有するポリマー物品を高収率及び低エネルギー消費で分離する方法を開発した。更に、開発された溶液は、製造場所又は廃棄物処理場所で実施することができる。実施例に提示されるように、分離の品質は、いくつかのタイプのポリマー、特に熱可塑性樹脂ポリマーについてはなおさら注目に値する。
【0049】
本発明は、特に少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー及び少なくとも1つの他の構成要素を含むポリマー物品から出発して、ポリマー物品の満足のいく分離を得ることを可能にする。
【0050】
したがって、本発明は、特に、ポリマー物品10を分離するための方法1に関する。
【0051】
本発明の目的のために、ポリマー物品10は、異なる化学組成物のポリマーを含む物品に対応し得、したがって、プラスチック物品と呼ばれることもある。
【0052】
好ましくは、ポリマー物品10は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1を含む。これらは、ポリマーが熱分解されることなく、熱可塑性樹脂が冷却後にそれらの初期剛性を回復するので、特定の可鍛性を有する直鎖又は分岐ポリマーであり得る。
【0053】
より詳細には、ポリマー物品10は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン又はこれらのポリマーの混合物に基づく熱可塑性樹脂ポリマーP1を含んでもよい。好ましくは、熱可塑性樹脂ポリマーP1は、そのモノマーMに可溶型な熱可塑性樹脂ポリマーである。例えば、PMMAに基づく熱可塑性樹脂ポリマーP1は、そのモノマーMであるMMA(メチルメタクリレート)に、2トンのMMAに対する少なくとも100kgのPMMAの比で可溶型である。それにもかかわらず、溶解度は、ポリマーのモル質量、温度及び溶解持続時間に依存する。
【0054】
好ましくは、ポリマー物品10は、ポリアクリレート等のアクリル系のポリマー及び共重合体から選択され得る(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂ポリマーP1を含む。熱可塑性樹脂ポリマーP1は、より具体的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)若しくはその誘導体、又はメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、又はその混合物から選択される。したがって、ポリマー物品は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマー、好ましくは(メタ)アクリルポリマーを含む。特に、そのようなPMMAは、ArkemaからAltuglas(登録商標)の名称で販売されており、モノマーとして少なくともメチルメタクリレートを含む製品であり得る。
【0055】
ポリマー物品10はまた、少なくとも1つの他の構成要素P2を含むことができる。1つの他の構成要素P2は、異なる化学構成要素に対応し得る。
【0056】
したがって、1つの他の構成要素P2は、好ましくはPMMA以外の熱可塑性樹脂ポリマーP3等のポリマーに対応し得る。例として、それはクロロポリマーファミリーからのポリマー、好ましくはポリ塩化ビニル(PVC)であり得る。したがって、それは、酸無水物、フェノール又はアミン、ポリアミドに基づくエポキシポリマーであり得る。それはまた、PMMA部分に溶接され、リサイクルを可能にするために分離されなければならないABS又はポリカーボネート等の他のポリマーであってもよい。これは、PMMA部品上に配置された、又はPMMA部品に接着結合されたポリマー(又は紙)フィルムであってもよい。したがって、ポリマーは、例えば、ポリエチレンであり得る。
【0057】
実施例に示されるように、好ましくは、ポリマー物品10は、他の構成要素の厚さに対する少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーの衝撃強度の比が15.7未満、好ましくは15以下、好ましくは12.5以下であるような構成要素を含む。これにより、パルス磁場処理の選択性に関してより良好な結果を得ることができ、構成要素ファミリーで容易に分離できる断片を得ることができるからである。したがって、方法は、有利には、他の構成要素の厚さに対する少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーの衝撃強度の比が15以下であるように、構成要素を含むポリマー物品10を選択する工程を含み得る。
【0058】
更に、試料E、F、G及びIについて得られた結果を試料Jについて得られた結果と比較すると、処理されるポリマー物品の物理的特性が本方法の性能に影響を及ぼすことが示される。
【0059】
本発明による1つの他の構成要素P2はまた、強化材、好ましくは繊維強化材Rに対応し得る。繊維強化材Rは、一般に、ストリップ、ウェブ、編組、ストランド又は部品の形態であり得る複数の繊維、一方向ロービング又は連続フィラメントマット、織物、フェルト又は不織布を指すことができる。
【0060】
繊維強化材Rは、1つ又は複数の繊維、一般に複数の繊維の集合体を含み、当該集合体は、異なる形態及び寸法;一次元、二次元又は三次元を有し得る。繊維は、連続フィラメントの形態で、互いにランダム又は平行に配置されてもよい。繊維は不連続であっても連続的であってもよい。繊維が連続している場合、その集合体は布地を形成する。好ましくは、繊維強化材Rは連続繊維に基づく。繊維は、繊維の長さと直径との比であるアスペクト比によって定義される。本発明で用いられる繊維は、連続繊維から得られる長繊維、又は連続繊維である。繊維は、少なくとも1000、好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000、有利には少なくとも3000、より有利には少なくとも5000、更により有利には少なくとも6000、更により有利には少なくとも7500、最も有利には少なくとも10000のアスペクト比を有する。連続繊維は、少なくとも1000のアスペクト比を有する。繊維の寸法は、当業者に周知の方法によって測定することができる。好ましくは、これらの寸法は、規格ISO137に従って顕微鏡法によって測定される。
【0061】
繊維強化材Rを構成する繊維の由来は、天然であっても合成であってもよい。言及され得る天然材料としては、植物繊維、木繊維、動物繊維又は鉱物繊維が挙げられる。植物繊維は、例えばサイザル麻、ジュート麻、麻、リネン、綿、ヤシ、及びバナナ繊維である。動物繊維は、例えば、ウール又はファーである。鉱物繊維はまた、ガラス繊維、特にタイプE、R又はS2のガラス繊維、玄武岩繊維、炭素繊維、ホウ素繊維又はシリカ繊維から選択されてもよい。
【0062】
言及され得る合成材料としては、熱硬化性ポリマー繊維、熱可塑性樹脂ポリマー又はそれらの混合物から選択されるポリマー繊維が挙げられる。ポリマー繊維は、ポリアミド(脂肪族又は芳香族)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂及びビニルエステルからなり得る。
【0063】
好ましくは、本発明の繊維強化材Rは、植物繊維、木部繊維、動物繊維、鉱物繊維、合成ポリマー繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維及び炭素繊維を単独で又は混合して含む。より好ましくは、本発明の繊維強化材Rは、炭素繊維又はガラス繊維を含む。より好ましくは、本発明の繊維強化材Rは、実質的に炭素繊維又はガラス繊維(実質的に50%超を意味する)からなる。
【0064】
繊維強化材Rの繊維は、例えば、0.005μm~100μm、好ましくは1μm~50μm、より好ましくは5μm~30μm、有利には10μm~25μmの直径を有する。
【0065】
好ましくは、本発明の繊維強化材Rの繊維は、一次元形態の連続繊維、又は繊維強化材の二次元若しくは三次元形態の長繊維若しくは連続繊維から選択される。
【0066】
他の1つの構成要素P2は、添加剤等の他の構成要素を含むこともできる。例えば、他の1つの構成要素P2は、炭素系充填剤に対応し得る。炭素系充填剤は、特に、活性炭、天然無煙炭、合成無煙炭、カーボンブラック、天然黒鉛、合成黒鉛、炭素系ナノ充填剤又はそれらの混合物であり得る。それらは、好ましくは炭素系ナノ充填剤、特にグラフェン及び/又はカーボンナノチューブ及び/又はカーボンナノフィブリル又はそれらの混合物から選択される。
【0067】
1つの他の構成要素P2はまた、鉱物充填剤に対応し得る。鉱物充填剤は、特に金属水酸化物を含むことができ、金属水酸化物は、より具体的にはアルミナ三水和物(Al(OH))又は水酸化マグネシウム(Mg(OH))又は酸化マグネシウム(MgO)、水酸化カルシウム及び鉱物充填剤、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、石英、粉砕鉱物又はシリカ又は鉱物ナノ充填剤、例えばナノ二酸化チタン又はナノシリカの形態である。
【0068】
したがって、本発明の一実施形態によるポリマー物品10は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1、好ましくはPMMAと、好ましくは例えばガラス繊維をベースとする繊維強化材Rに対応する少なくとも1つの他の構成要素P2とを含む複合材料に相当し得る。
【0069】
あるいは、本発明によるポリマー物品10はまた、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1、好ましくはPMMA、及び第2のポリマーP3に対応する少なくとも1つの他の構成要素P2に対応してもよく、好ましくは、第2のポリマーはPMMA以外である。第2のポリマーは、例えば、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ(エポキシ-アミン等)、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミド、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル(PVC)又はそれらの混合物に対応し得る。例えば、他の構成要素P2は、複数のポリマー、好ましくは少なくとも2つのポリマー、より好ましくは少なくとも3つのポリマーを含んでもよい。
【0070】
例えば、それは、PMMA及びPVC、又はPMMA、PVC及びガラス繊維をベースとする繊維強化材R、又はPMMA、PVC、ガラス繊維をベースとする繊維強化材R及びエポキシタイプの接着剤を含むポリマー物品10であってもよい。
【0071】
好ましくは、本発明の利点から可能な限り利益を得るために、他の構成要素は、ポリマー物品10の少なくとも5重量%、好ましくはポリマー物品10の少なくとも10重量%の含有量で存在してもよい。以下に提示されるように、そしてこれらの高い含有量にもかかわらず、本発明による方法は、ポリマー物品10の1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の他の構成要素の含有量を含む熱可塑性樹脂ポリマーP1の組成物を生成することを可能にする。
【0072】
図1に示されるように、本発明によるポリマー物品10を分離するための方法1は、ポリマー物品10を前処理する前工程120を含み得る。
【0073】
この前処理工程120は、ポリマー物品10を予備切断すること、粉砕すること、造粒すること、フィルム除去すること、掻き取ること、洗浄すること、乾燥すること、ポリマー物品10を打ち抜くことを含んでもよい。好ましくは、ポリマー物品10のサイズを小さくすることを含む、ポリマー物品10の予備切断であってもよい。
【0074】
例えば、ポリマー物品10の予備切断は、メートル寸法又はセンチメートル寸法の切断切片を含むことができる。
【0075】
予備切断工程は、例えば、バンドソー、加圧水ジェット、細断、丸鋸、ギロチン、破砕又は粉砕によって実施することができる。
【0076】
それにもかかわらず、事前の予備切断工程120は、ポリマー物品10自体の寸法に基づいてもよく、そうでなければ、本発明による方法が実施される場所の制約に基づいてもよい。したがって、それは、ポリマー物品10のメートル又はセンチメートルサイズを得るために予備切断することができる。
【0077】
次いで、前処理されたポリマー物品10を液体媒体に導入することができる。
【0078】
したがって、本発明によるポリマー物品10を分離するための方法1は、ポリマー物品10を液体媒体11と接触させる工程130を含むことができる。
【0079】
液体媒体11は、有利には、衝撃波を伝播するのに適している。好ましくは、ポリマー物品10を液体媒体11と接触させる工程130は、ポリマー物品10と液体媒体11との間の直接接触である。直接接触させることは、液体媒体11とポリマー物品10との間に中間物が存在しないことを意味する。したがって、液体媒体11は、ポリマー物品10に接触する。言い換えると、ポリマー物品10は、液体媒体11に浸漬される130。有利には、これは、液体媒体中のポリマー物品10の全部又は部分的浸漬130、好ましくは全部の浸漬である。
【0080】
本発明の目的のために、液体媒体11は、水又は有機溶媒等の誘電性液体に対応し得る。単相液体であってもよく、好ましくは水とMMAとの混合物等の二相液体であってもよい。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、液体媒体11はまた、有利には、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1の少なくとも1つのモノマーMを含んでもよい。したがって、それは、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、アクリル酸のモノマー、メタクリル酸のモノマー、アルキルアクリルエステルモノマー、アルキルメタクリルエステルモノマー、ヒドロキシアルキルアクリルエステルモノマー若しくはヒドロキシアルキルメタクリルエステルモノマー又はそれらの混合物であり得る。より詳細には、この(メタ)アクリル系ベースモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、メタクリルアミド及びそれらの混合物であり得る。
【0082】
したがって、液体媒体11は、水及びMMAを含むことができ、MMAは水に難溶性であり、その後、熱可塑性樹脂ポリマーP1及び/又はそのベースモノマーMの回収を容易にする。他の溶媒も想定され得る。それにもかかわらず、MMAの引火点及びMMAの自己着火温度が考慮されるべきである。したがって、熱可塑性樹脂ポリマー又は他の構成要素は、選択的な非接触粉砕が行われるときに溶媒に溶解することができる。
【0083】
液体媒体11は、有利には、重合阻害剤を含んでもよい。好ましくは、液体媒体11は、酸素の存在下で作動する重合阻害剤を含む。有利には、方法が熱解重合と、それに続くモノマー及び重合阻害剤を分離する工程とを更に含む場合、酸素の非存在下で作用する重合阻害剤を使用することが可能である。例えば、酸素の存在下で作用する重合阻害剤を以下から選択することが可能であろう:ヒドロキニン(HQ);メチルエーテルヒドロキノン若しくは4-メトキシフェノール(MEHQ)、又はトパノール(2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール)。酸素の非存在下で作用する重合阻害剤はフェノチアジンであり得る。
【0084】
溶媒は、熱可塑性樹脂ポリマーP1の溶解度パラメータが溶媒の溶解度パラメータに可能な限り近くなるように選択されてもよい。更に、熱可塑性樹脂ポリマーP1の溶解度パラメータに近づけるために、純粋体又は複数の溶媒の組み合わせを用いることができる。
【0085】
好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ギ酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、乳酸ブチル、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びそれらの組み合わせから溶媒を選択することが可能である。
【0086】
より好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン及びそれらの組み合わせから溶媒を選択することが可能であろう。
【0087】
リサイクルされるポリマー物品10がPMMA及びPEを含む場合、溶媒は、好ましくは、ペンタン、トリメチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、オレイン酸メチル、リモネン、イソプロピルエーテル、エチルベンゼン、ジメチルシクロヘキサン、ジイソブチルケトン、ベンゼン、酢酸アミル、クロロホルム、及びそれらの混合物等の芳香族及び非芳香族炭化水素から選択される。好ましくは、溶媒は、ペンタン、トリメチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、トルエン、オレイン酸メチル、リモネン、イソプロピルエーテル、エチルベンゼン、ジメチルシクロヘキサン、ジイソブチルケトン、ベンゼン、酢酸アミル、クロロホルムから選択される少なくとも2つの芳香族及び非芳香族炭化水素の混合物に対応する。このような溶媒であれば、PMMAではなくポリエチレンを溶解できるからである。したがって、浸漬工程130及びパルス磁場適用工程140の後、選別工程は、液相中に存在するポリエチレンを、固体のままであろうPMMAから容易に分離することを可能にする。
【0088】
リサイクルされるポリマー物品10がPMMA及びポリアミドを含む場合、溶媒は、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、塩化メチレン、シクロヘキサノン、クロロホルム、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0089】
あるいは、リサイクルされるポリマー物品10がPMMA及びポリアミドを含む場合、溶媒は、好ましくは、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,3-ジオキソラン、2-ブトキシエタノール、イソペンチルアルコール、2-フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びそれらの組み合わせから選択される。この場合、ポリアミドが溶解される。
【0090】
あるいは、液体媒体11は、好ましくは水を含む。
【0091】
これは、水が、衝撃波を伝播させることを可能にし、有利にはパルス磁場の反復適用中のポリマー物品10の爆発のリスクを低減することを可能にする誘電性液体であるからである。更に、水は特に有利な粘度を有する。水の粘度が非常に低いことにより、衝撃波が水中で容易に伝播することが可能になる。したがって、低粘度流体(1バール下、20℃で1×10-2Pa s未満の動粘度)、この場合は水は、低粘度のために、非常に少ないエネルギー散逸で衝撃波を容易に伝播することを可能にする。したがって、波は、散逸したエネルギーがほとんどない状態でポリマー物品10に到達することができる。
【0092】
実際、水に溶解した塩の存在は、その化学的/物理的特性(導電率、粘度等)を変化させる可能性があり、繰り返し適用されるパルス磁場の効果を変化させる可能性がある。したがって、液体媒体を脱塩する任意の工程を設けることができる。これはまた、前処理工程中にポリマー物品を洗浄することによって軽減することができる。好ましくは、液体媒体11は、2mS/cm未満の導電率を有する。
【0093】
前述のように、本発明による分離方法1は、パルス磁場12を液体媒体11に適用する工程140を含み得る。パルス磁場12の適用140は、好ましくは電極によって実行される。これらの電極は、液体媒体11と直接又は間接的に接触してもよい。好ましくは、電極は液体媒体11と直接接触している。
【0094】
液体媒体11へのパルス磁場12の適用140は、衝撃波を発生させることを可能にする。これらの衝撃波は、特に、電極の端子での静電場の生成によって生成され、衝撃波を生成することができる電気アークの生成を可能にする。一実施形態では、2つの電極がある。電極間の電界は、液体媒体11の絶縁破壊電圧を超えるほど高い。絶縁破壊は電気アークを発生させる。電極は、液体媒体11に浸漬される。電極間にプラズマチャネルが形成される。このプラズマチャネルは導電性であるため、強い電流を循環させることができる。これの効果は、局所的な温度を非常に急速に上昇させ、それによって音響パルス又は言い換えれば衝撃波を発生させることである。これらの衝撃波は、ポリマー物品の接触面13の直近に亀裂を形成することを可能にする。接触面13は、ポリマー物品10の少なくとも1つの他の構成要素P2から少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1を分離する線(複数可)を意味する。パルス磁場の位置決め、及び結果としてポリマー物品に対する衝撃波の入射角は、これらの接触面13を標的とすることを可能にすることができる。例えば、繊維布帛との複合体の場合、物体又は物品は、樹脂含浸布帛を積層することによって得られる。これは3D物体を与えるが、それはラメラ構造で作られる。したがって、物品の層間剥離によって分離を引き起こすことが有利である。次いで、繊維布帛の各シートを単離し、別々に処理することができる。これを達成するために、製品(物品)の優先配向があるため、衝撃波が所望の方向に伝播するために、電極に対して優先配向でそれを提示することが望ましい。これは、ポリマー物品10の当該接触面13でのポリマー物品10の明確かつ正確な分裂を増加させる。したがって、パルス磁場12の適用140及び衝撃波の伝播は、これらの接触面13を標的とすることを可能にする。衝撃波は、その接触面13でポリマー物品10に到達し、ポリマー物品10を分裂することができる力を加える。
【0095】
これは、これらの膨張する亀裂によって加えられる圧力がポリマー物品10の引張強度を超え、間隙の形成をもたらすためである。衝撃波との接触時にギャップが形成されている場合、液体媒体11もその中に浸透し、当該ギャップの壁に追加の力を加えることができる。有利には、間隙の形成の性質、動力学及び強度は、亀裂内のエネルギーレベル及びポリマー物品10の特性によって決定される。ギャップの拡張及び数は、放出されるエネルギーのレベルと相関する。しかしながら、表面に到達するギャップの数は、亀裂内に放出される総エネルギーに更に依存する。その結果、ポリマー物品10を分裂するためには、高いパルス電力が必要であるという結論に達することが可能であるが、特に有利には、本発明による分離方法1は、不均一性(すなわち、ポリマー物品の画分の異なる構造及び組成物)によって、特にポリマー物品内の間隙の伝播に影響を及ぼす音響不均一性によって最適化される選択性、ひいては分裂を有する。したがって、本発明による分離方法1は、多くのエネルギーを消費せず、それを分裂するためにポリマー物品10の接触面13を標的とすることを可能にする。
【0096】
本発明による分離方法1、より詳細には液体媒体11へのパルス磁場12の適用140は、選択的な非接触粉砕を作り出すことを可能にする。実際、追加の手段は必要ない。本発明による分離方法1は、ポリマー物品10の分離のための機械的粉砕にも手動技術にも依存しない。
【0097】
本発明による分離方法1は、異なる寸法に従ってポリマー物品の成分を粉砕することを可能にする。特に、同じ種類の構成要素(例えば同じポリマー)は、同様の寸法の断片を形成し、当該同様の寸法は、別の種類の構成要素(別のポリマー、強化材等)の寸法とは異なる寸法である。換言すれば、選択的粉砕は、別の異なる構成要素のものと同等の寸法及び異なる寸法の断片を形成するためのポリマー物品10の少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1の粉砕に対応する。特に、選択的粉砕は、別の異なる構成要素の同等の寸法の、及び別の異なる構成要素のものとは異なる寸法の断片を形成するためのポリマー物品10の構成要素間の差動粉砕に対応する。選択的粉砕は、プラスチック又はポリマー物品を形成する異なる成分の機械的特性に依存する。衝撃波に関して最も脆弱な機械的特性を有する部品成分は、粉砕されやすい成分である。例えば、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1を粉砕して同等の寸法の断片を形成すると、繊維強化材Rの繊維は互いに同等の寸法に粉砕され、一方、ポリマーP3も互いに同等の寸法に粉砕されるが、一旦粉砕すると、それらの寸法は粉砕された繊維又は熱可塑性樹脂ポリマーP1の断片の寸法とは異なる。
【0098】
更に、パルスを繰り返すことにより、各パルスによって新たに形成された衝撃波が成長する亀裂と相互作用することが可能になり、亀裂が既に形成されていた他の亀裂又は隙間に向かって分岐するため、本発明による分離方法1の速度及び効率を更に高める。この分岐は、衝撃波の入射角にも依存し得る。
【0099】
また、本発明で発生する波は衝撃波であることが好ましい。実際、衝撃波は、急速な遷移によって特徴付けられ、この場合、これは圧力の急激な変化である。パルス、したがって衝撃波は、ポリマー物品10内に拡散し、亀裂を形成することを可能にする。この衝撃波は、液体媒体11内を伝播し、ポリマー物品10に応力を発生させる。これにより、ポリマー物品10の接触面13に間隙を形成することが可能になる。これにより、ポリマー物品10がその異なる成分P1、P2及びP3に分裂され、成分が粉砕される。
【0100】
したがって、本発明の重要な利点の1つは、ポリマー物品の分裂による選択的で最適化された分離である粉砕を含み、これはまた、衝撃波がポリマー物品に作用することを可能にするので、非接触である。
【0101】
衝撃波は、物理媒体内で、それを引き起こす外乱の強度に依存する速度で移動し、徐々に減衰する外乱の伝播であることが知られている。この外乱は、媒体内の圧力の急激な変化を特徴とする。衝撃波を発生させ、処理対象のポリマー物品10を構成する要素を粉砕し、分離するために必要な外乱は、パルス電力による放電によって発生する。実際、周囲液体を受けている反応器内の少なくとも2つの電極と処理される材料との間で放電が発生すると、プラズマアークが発生する。プラズマアークは、非常に低値の抵抗として作用し、短絡を引き起こす。約100アンペアから数十キロアンペアまでの電流がプラズマアーク内を循環し得る。これらの非常に高い強度の電流は、比較的短い時間空間で温度の突然の上昇を引き起こす。これにより、圧力が急激に上昇する。これは、衝撃波の根底にある外乱である。
【0102】
この機械的衝撃波は、物理的媒体として機能する周囲液体によって反応器内を伝播する。反応器の形状及び寸法は、処理される材料及び/又は生成物に基づいて選択される。この衝撃波によって周囲液体に伝達される機械的エネルギーは、次式によって与えられる。
【0103】
ここで、ρは媒体の密度であり、uは波面の速度である。衝撃波の強度は、リアクタ内に供給される電力と放電電流の変動との間に関係があるため、放電電流の変動に比例する。
【0104】
ここで、i(t)は回路内の放電電流であり、電気アーク及び衝撃波を発生させる2つの電極間の距離である。
【0105】
衝撃波のエネルギーは、以下のように書くことができる。
【0106】
ここで、ρは媒体の密度であり、cは媒体内の波の周期であり、sは生成された円弧チャネルの長さであり、ρは媒体内の過圧であり、これは次式で与えられる。
【0107】
ここで、ρは衝撃波によって生じる過圧の最大値であり、τは電気弾性率に依存する時間定数である。
【0108】
したがって、周囲液体中での衝撃波の伝播中の任意の瞬間における衝撃波の圧力を決定することが可能である。
【0109】
本発明は、分離される材料を所定の距離及び位置に配置することによって、この衝撃波を利用する。この距離及び位置は、ポリマー物品の異なる成分の機械的特性、及び厚さ等の物理的特異性に依存する。任意の瞬間の衝撃波の圧力、並びに異なる材料の強度が既知であることにより、選択的な粉砕を得ることが可能になる。
【0110】
有利には、パルスは、10kV~200kV、好ましくは200kV未満、より好ましくは150kV未満、更により好ましくは100kV未満の出力を有する。動作周波数、すなわち衝撃波の発生の再発は、1Hz~20Hzで変化する。2つの連続する放電間のアイドル時間は、1ms~1sの間で変化する。衝撃波を形成する放電の周波数は、1kHz~300kHzであり得る。
【0111】
発生した衝撃波は、ポリマー物品10に伝達することができ、次いで、ポリマー物品10の接触面13に沿って分離を引き起こすことができる。各新しいパルス間のアイドル時間は、1ミリ秒~1秒であり得る。パルスはまた、90MJ/kg未満、好ましくは60MJ/kg未満、より好ましくは35MJ/kg未満、更により好ましくは20MJ/kg未満のエネルギーを有し得る。実際、本発明による選択的な非接触粉砕は、機械的粉砕と同じ量のエネルギーを消費することを可能にする。
【0112】
好ましくは、パルスは、90℃まで、好ましくは80℃まで、より好ましくは70℃まで、更により好ましくは60℃までの範囲の温度でポリマー物品10を通って案内され得る。動圧は、0.1MPa~50MPaで変化し得る。
【0113】
有利には、パルス磁場12を適用する工程中に温度を徐々に上昇させることができる。例えば、30℃~100℃、好ましくは30℃~80℃で、5分ごとに10℃ずつ増加させる。これは、本方法が制御された低温(すなわち、100℃未満)で実施されるため、ポリマー物品10の構成要素の物理的及び化学的特性を保存することを可能にするため、特に有利である。例えば、本発明による方法は、物品が300℃を超える温度に直接曝される先行技術の方法とは異なり、ガラス繊維の特性を保持することを可能にする。実際、繊維、特にガラス繊維は温度感受性であり、したがって、低温(100℃未満)での処理は、それらの特性を保持することを可能にする。
【0114】
したがって、衝撃波を発生させるようにパルス磁場12の液体媒体11への適用140は、熱可塑性樹脂ポリマーP1と他の構成要素P2との間の少なくとも1つの接触面13でポリマー物品10を分裂することを可能にし、他の構成要素P2はその特性を保持する。
【0115】
図1に示されるように、本発明による方法は、ポリマー物品10の構成要素を選別する工程145を含んでもよい。
【0116】
この工程は、固体/固体選別を可能にする任意の手段の使用を含み得、沈降、スクリーニング、摩擦電気分離、又はこれらの方法の組み合わせを含み得る。
【0117】
本発明の好ましいが非限定的な実施形態によれば、本発明による方法は、図1及び図2に示されるように、パルス磁場12を適用する工程140と、ポリマー物品の少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1の少なくとも1つのベースモノマーMを含む液体媒体11中に少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1を溶解する工程150とを含む。特に、パルス磁場12を適用する工程140は、ポリマー物品10の少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1の少なくとも1つのベースモノマーMを含む液体媒体11中に少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1を溶解する工程150と少なくとも部分的に同時に行われる。
【0118】
実際、特に有利には、衝撃波は、ポリマー物品10に到達し、それを破壊するまで液体媒体11内を伝播する。これにより、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1、更に好ましくはPMMAを液体媒体11と接触させることが容易になる。次いで、液体媒体11は、好ましくは水及びMMAを含む。
【0119】
したがって、液体媒体11がポリマー物品10の熱可塑性樹脂ポリマーP1のベースモノマーM、例えばMMAを含む一実施形態では、これは液体媒体11中の熱可塑性樹脂ポリマーP1の溶解を促進する。したがって、この溶解は、パルス磁場12を適用する工程140と同時に行うことができる。これにより、ポリマー物品を分離する方法1の間のエネルギー及び時間も節約することが可能になる。また、熱可塑性樹脂ポリマーP1及びそのベースモノマーMの再利用に非常に有利である。ポリスチレンを含むポリマー物品のリサイクルに関連して、熱可塑性樹脂ポリマーP1はポリスチレンであり得、そのベースモノマーMはスチレンであり得る。
【0120】
溶解は、繊維強化材等の強化材を含む製品をリサイクルする状況で特に有利である。実際に、複合材料、特にPMMA-炭素繊維又はガラス繊維の状況では、溶解の存在は収率を増加させることを可能にする。
【0121】
ポリマー物品の様々な成分を回収する目的で、本発明は、例えば図3に示されるように、ポリマー物品10を処理するための方法2を含む。
【0122】
ポリマー物品10を処理するための方法2は、液体媒体11を除去する工程160を含み得る。
【0123】
液体媒体11を除去する工程160は、エバポレーション、濾過、熱乾燥、マイクロ波乾燥、排水、又は多かれ少なかれ粘性のある液体媒体を除去することを可能にする任意の他の手段を含み得る。液体媒体の排除は、好ましくは液体がなくなるまで、透過液体が占める体積を減少させることを意味する。
【0124】
液体媒体11を除去する工程160は、好ましくは水の除去を含む。
【0125】
液体媒体11、好ましくは水を除去する工程160は、特に本発明による分離方法1から生じる1つ又は複数の相を得ることを可能にする。
【0126】
したがって、液体媒体11を除去する工程160は、ベースモノマーMが豊富であり、溶解した熱可塑性樹脂ポリマーP1、好ましくはMMA及びPMMAを含む液相、熱可塑性樹脂ポリマーP2又はP3が豊富な相、1つ又は複数の固体P2又はP3を含む相、熱可塑性樹脂ポリマーP2又はP3のベースモノマーと混和しない液相、並びに/あるいは気相P1、P2又はP3を得ることを含んでもよい。
【0127】
あるいは、方法は、MMAを加水分解してメタクリル酸を得ることを含んでもよく、これを再利用することができる。
【0128】
ポリマー物品を処理するための方法2は、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1及び少なくとも1つの他の構成要素P2を選別する工程170を含み得る。より具体的には、ポリマー物品10を処理するための方法2は、液体媒体11を除去する工程160の後に得られた異なる相を選別する工程170を含んでもよい。
【0129】
したがって、異なる段階に応じて、異なる選別工程170を実行することができる。
【0130】
例えば、選別工程170は、密度の差、溶解度の差、濾過若しくは精密濾過、粒径分析、重量の差、摩擦電気特性の差、接着の差、粘度、凝固、沈降、紡糸、乾燥、凍結乾燥、蒸留、凝縮、分光検出(赤外、ラマン分光、X線分析等)、又はこれらの技術の任意の組み合わせによる分離を含み得る。
【0131】
したがって、この選別工程170に続いて、熱可塑性樹脂ポリマーP1、熱可塑性樹脂ポリマーP1のベースモノマーM、又はそれらの組み合わせを回収することが可能である。
【0132】
ポリマー物品10を処理するための方法2はまた、ポリマー物品10の他の構成要素P2を処理する工程190を含むことができる。ポリマー物品10の他の構成要素P2を処理する工程190は、固体/液体選別を可能にする任意の手段、例えばスクリーニングを含み得る。この工程はまた、遠心分離機を用いた遠心分離によって、又は沈降、濾過、ドレイン、スピニング、プレス、スクリーニング又は摩擦電気分離によって行うことができる。好ましくは、ポリマー物品10の他の構成要素P2を処理する工程190は、事前の濾過、遠心分離、又は任意の他の液体/固体分離技術を含む。
【0133】
ポリマー物品10を処理するための方法2はまた、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1の熱解重合の工程180を含み得る。
【0134】
そのような工程は、熱可塑性樹脂ポリマーP1を、初期熱可塑性樹脂ポリマーの平均モル質量よりも小さい平均モル質量を有する1つ又は複数のモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーに変換することを可能にする。
【0135】
有利には、解重合から生じる生成物は、改善された品質を有し、不純物の含有量はより低く、例えば、ポリマー物品10の他の構成要素P2の含有量は1重量%未満である。特に、構成要素P2がPVCである場合、本発明による方法は、熱可塑性樹脂ポリマーP1を含む混合物が1重量%未満のPVC、好ましくは0.2重量%未満のPVCを含むように分離を可能にし得る。
【0136】
特に、熱可塑性樹脂ポリマーP1がPMMAである場合、重合から生じる生成物は、0.3重量%未満のイソ酪酸メチル含有量を有し得る。
【0137】
したがって、本発明は、多くのエネルギーを消費せず、より環境に優しい一方で、少なくとも1つの熱可塑性樹脂ポリマーP1の単純かつ迅速な再利用を可能にする。本発明はまた、ポリマー物品10の残りの部分からの熱可塑性樹脂ポリマーP1の改善された分離を可能にし、それにより、熱可塑性組成物P1は良質であり、例えば熱解重合によってリサイクルすることができ、それにより良質のモノマー組成物をもたらす。
【0138】
特に有利には、本発明は、非常に低い汚染含有量でポリマー物品10の成分を特に高い含有量で回収することを可能にする。例えば、熱可塑性樹脂ポリマーP1又はそのベースモノマーを含む組成物は、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満のPVCで回収され得る。熱可塑性樹脂ポリマーP1又はそのベースモノマーを含む組成物はまた、10重量%未満の繊維、好ましくは5重量%未満の繊維、好ましくは2重量%未満の繊維で回収され得る。熱可塑性樹脂ポリマーP1又はそのベースモノマーを含む組成物は、特に、5重量%未満の接着剤、好ましくは2重量%未満の接着剤、好ましくは1重量%未満の接着剤で回収され得る。
【実施例
【0139】
ここで、本発明を、本発明の2つの具体的であるが非限定的な例に照らして説明する。
【0140】
実施例1:PMMAマトリックスとガラス繊維をベースとする繊維強化材とを含む複合材料
PMMA及びPMMA複合材をリサイクルする場合、ポリマー画分を再利用できるようにするために、充填剤及び繊維強化材の分離が重要である。また、ガラス繊維の特性を低下させないように、低温でガラス繊維繊維強化材を分離できることが望ましい。
【0141】
本発明の一実施形態では、複合材料は、単相又は好ましくは二相の液体媒体の存在下でチャンバ内に配置され、パルス磁場技術を使用した放電は、特に複合材料の接触面で複合材料に到達するまで液体媒体内を伝播する衝撃波を引き起こす。好ましくは、これらの衝撃波は、PMMAをそのモノマーMMAと接触させるのを容易にしながらPMMAを破壊する。
【0142】
次に、密度差及び溶解度差による分離を使用して、そのモノマーMMA中のPMMAの溶液を繊維強化材から、有利には鉱物充填剤から分離することができる。
【0143】
この目的のために、複合材料は、好ましくは、移動ベルト又はコンベヤベルト上で1つずつ分離チャンバに導入される。
【0144】
次いで、複合材料は、特に材料の厚さが当該複合材料を通る波の伝播を妨げないように、前処理、例えばサイズの縮小を受けることができる。
【0145】
続いて、複合材料を、MMAモノマー及び溶媒(この場合は水)を含む液体媒体に浸漬する。これにより、材料を、衝撃波(MMAの水への溶解度が低いため、例えば、水及びMMA)を輸送することができる液体媒体と接触させることが可能になる。
【0146】
次いで、高電圧下でパルス磁場が適用され、衝撃波が発生する。複合材料が粉砕されると、液体媒体が排出され、乾燥されて、
-溶解したPMMAポリマーを含有するMMAリッチ液体
-濾過によって回収される固体;及び任意選択的に、
-MMAと混和しない液相
を回収する。
【0147】
次いで、ポリマー物品の構成要素を処理する工程を実施することができる。
【0148】
PMMAは、得られたポリマーシロップ剤(MMA中のPMMA)の熱解重合によってリサイクルされ得る。
【0149】
ポリマーマトリックスの鉱物充填剤及び繊維強化材は、好ましくは低温で処理される。次いで、350℃を超える温度で複合材を直接熱解重合することからなる方法とは異なり、機械的特性を失うことなくガラス繊維を回収することが可能である。樹脂を除去する目的で、繊維を、好ましくは水性媒体中で、より好ましくは水で洗浄し、次いで40℃のオーブン中で加熱することができる。したがって、繊維から樹脂が除去され、再利用することができる。
【0150】
実施例2:PVC型ポリマーを更に含む材料
PMMAからキャストされたプレートの製造中、重合されるマトリックスは、2枚のガラスプレートの間に配置され、可撓性PVCシールによって囲まれる。PVCシールは、製造することが望ましいプレートの種類に応じて異なる色、形状及び厚さで存在する。更に、それらは、例えば70~90のショアA硬度を有する。
【0151】
最後に、これらのPMMAプレートはまた、例えば10~50kJ/mの間の様々な衝撃強度、例えば23℃で2000~3500MPaの間の様々な曲げ弾性率又は曲げ強度、23℃で30~80MPaの間の引張強度、又はM80~M100の間のロックウェル硬度(ISO179、ISO178、ISO527、ISO2039規格に従って測定)を有し得る。
【0152】
これらの特性は全て、従来の機械的及び/又は手動の分離及びリサイクル技術をより複雑にする。これは、使用される手段がプレート及びシールの各特性に依存し、したがって様々な種類のスクラップを同じ方法で処理することができないためである。
【0153】
更に、重合の終わりに、プレートは、表面への損傷を防止するために保護フィルムで覆われ、プレートは、シールから数センチメートル又はミリメートルに切断される。これにより、PVCシール及び保護フィルムで汚染されたPMMA廃棄物が発生する。したがって、PMMAは、異物による汚染を最小限に抑えながら分離されなければならない。
【0154】
本発明の技術的解決策の一態様は、プレート及びシールの特性にかかわらず、パルス磁場の適用による選択的な非接触粉砕にあり、粉砕化合物のサイズに基づく選択性、並びにPMMA及びPVCの分離の改善を可能にする。また、PVC汚染が重量比で1%未満のPMMA又はMMA組成物を得ることができる。
【0155】
本発明の実施において、最初に、PVCシール及び保護フィルムを有するPMMAプレートを、反応器に搬送されるコンベヤベルト上に配置する。次いで、それらが反応器の寸法を超える場合、それらは切断される。
【0156】
プレートは、ニュートン流体で満たされた反応器に導入される。それらは、衝撃波を生成する電極から0.1mm~1mの特定の距離に配置される。この距離は、プレートの機械的特性及びその厚さに基づいて決定される。
【0157】
保護フィルムで覆われたPMMA物品(切断鋳造プレートからのスクラップ)は、液体媒体の存在下でチャンバ内に配置され、ここで放電(パルス磁場技術)は衝撃波を引き起こし、衝撃波は、PMMA-PVC接触面に到達するまで液体媒体内を伝播し、PVCに大きな影響を与えることなくPMMAを破壊する。プレートスクラップは、好ましくは、移動ベルト又はコンベヤベルト上で1つずつ分離チャンバに導入される。スクラップは、前処理、例えばそのサイズの縮小を受けることができる。
【0158】
次に、粒径分離を使用して、PVCを粒径選別によってPMMAから分離することができ、これは、PVCが本発明による衝撃波によって損傷されにくく、より詳細には着色されている場合、検出が容易であるためである。
【0159】
例えば、ポリマーの摩擦電気特性の差を使用して、又はポリマーの熱接着特性の差を使用して、又は分光法(赤外、ラマン又はX線蛍光)と組み合わせた選別技術を使用して、PVCを分離するための他の技術が想定され得る。
【0160】
保護膜はまた、PMMAから分離され、重量差又は密度差による分離を使用して、例えばブロワ(選択的粉砕後の生成物の混合物を掃気する空気の流れ)によって除去することができる。
【0161】
液体媒体は、好ましくは、乾燥及び/又は排水によって除去され、次いで、分離されたポリマー物品を処理する工程が実施され得る。
【0162】
次いで、PMMAは、例えば熱解重合によって、又はMMA中のPMMAのシロップ剤を直接使用することによって、又は他には機械的リサイクルによってリサイクルすることができる。
【0163】
非接触粉砕は、PVCシールが衝撃波の影響をほとんど受けずに、PMMA-PVC接触面及び/又はPMMA中に焦点を合わせるために調整することができる衝撃波(微小爆発)の伝達によって得られる。衝撃波を発生させるために使用される電気エネルギーは20~20000ジュールの間であり、動作周波数(衝撃波の発生の繰返し)は1Hz~20Hzで変化する。2つの連続する放電間のアイドル時間は、1ms~1sの間で変化する。1~5000回の回数を実施することにより、保護膜及びPMMAを、これらからPMMAを分離することを可能にする粒径に粉砕することが可能である。反応器内での標的化スクリーニングは、処理の最後に分離を容易にすることを可能にする。ラウンド数は、廃棄物の厚さに関して較正され得るが、同じ材料(可塑化又は非可塑化PVC)の間に存在し得る差に関しても較正され得る。
【0164】
異なる要素を分離することを可能にする多数のラウンドを行った後、周囲液体を排出する。次いで、異なる要素を選別し、乾燥させる。PVC及び保護フィルムが除去されたPMMAは、HCl又はフィルム又はPVCに由来する他の副生成物を生成することなく、熱解重合によってリサイクルされ得る。
【0165】
分離は自動化されていてもよい。PVCによるPMMAの汚染は1重量%未満であり、粉砕後に得られたスクラップをPMMAの熱解重合のための単位で使用することを可能にする。
【0166】
選択的非接触粉砕の結果を図4に示す。この図は、特に、分離方法が、熱可塑性樹脂ポリマー及びこれらの断片の起源に応じて寸法が一般に異なる他の構成要素の断片を生成することを可能にすることを示す。したがって、本発明による方法を実施することにより、同一の構成要素について同様の寸法であり、他の構成要素と区別することができる断片を生成することが可能になる。
【0167】
以下の表1は、図4の画像が基づくポリマー物品の特性を示す。
表1
【0168】
一連のポリマー物品にわたって得られた結果の分析は、本発明による方法が実際に、構成要素間の固体-固体接触面で構成要素を非接触で分離することを可能にすることを示す。
【0169】
これらの結果は、本発明による方法が、ポリマー物品の他の構成要素からPMMAポリマーを単離することを可能にし、それにより、処理後に、1重量%未満の汚染を有する良質のPMMA又はMMA組成物を得ることを可能にすることを示す。
【0170】
更に、試料E、F、G及びIについて得られた結果を試料Jについて得られた結果と比較すると、処理されるポリマー物品の物理的特性が本方法の性能に影響を及ぼすことが示される。したがって、処理される試料が、他の構成要素の厚さに対する熱可塑性樹脂ポリマーの衝撃強度の比が15.7未満であるような構成要素を含む場合、より良好な結果(すなわち、選択性)が得られる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】