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特表2023-554200抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途
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  • 特表-抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途 図1
  • 特表-抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途 図2
  • 特表-抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途 図3
  • 特表-抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途 図4
  • 特表-抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途 図5
  • 特表-抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】抗OX40L抗体、抗OX40L及び抗TNFαの二重特異性抗体、並びにこれらの用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20231219BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20231219BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231219BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20231219BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20231219BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231219BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231219BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20231219BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231219BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231219BHJP
   G01N 33/564 20060101ALI20231219BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231219BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/46
C07K16/24
A61K39/395 N
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P37/06
G01N33/564
G01N33/53 D
G01N33/531 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559175
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 IB2020061683
(87)【国際公開番号】W WO2022123293
(87)【国際公開日】2022-06-16
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日:2019年12月9日 Antibody Engineering & Therapeutics 2019 公開日:2020年5月18日 BIO KOREA 2020
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514311689
【氏名又は名称】エイチケー イノ.エヌ コーポレーション
【住所又は居所原語表記】239 Osongsaengmyeong 2-ro, Osong-eup, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, 28158, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519039227
【氏名又は名称】ワイ-バイオロジクス・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523217732
【氏名又は名称】アイエムバイオロジクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨンジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】チョ,キュウン
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ギョンシク
(72)【発明者】
【氏名】キム,スヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ボムチャン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チェウン
(72)【発明者】
【氏名】シム,ウニョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒュンミ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA03
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085DD33
4C085DD35
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG08
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、OX40Lに特異的に結合する新規な抗体、及びOX40LとTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体に関するものであって、具体的には、ヒトOX40Lに特異的に結合し、OX40とOX40受容体との結合を効果的に阻害する抗体又は二重特異性抗体、前記抗体をコードする核酸、前記核酸を含む発現ベクター、前記発現ベクターを含む形質転換体、前記抗体の作製方法、前記抗体を含む自己免疫疾患又は炎症性疾患の治療用薬学的組成物、前記抗体を含む自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断用組成物、前記抗体を用いた自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法、及び前記抗体を用いて自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報の提供方法及びこれを提供するキットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OX40L(OX40リガンド)に特異的に結合し、OX40LとOX40受容体との相互作用を阻害する、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3及び4からなる群から選択されるアミノ酸配列に記載の1つ以上のエピトープに結合するものである、請求項1に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、ヒトOX40Lに1×10-9M以下のKで結合し、ここで、前記Kは、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance;Biacore)分析によって測定されたものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号12、13及び14からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR1;配列番号:15、16、17及び18からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR2;及び配列番号:19、20、21及び22からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号23及び24からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR1;配列番号25及び26からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27、28、29及び30からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(i)配列番号12に記載の重鎖CDR1;配列番号15に記載の重鎖CDR2及び配列番号19に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号23に記載の重鎖CDR1;配列番号25に記載の重鎖CDR2;及び配列番号27に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(ii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号16に記載の重鎖CDR2;及び配列番号20に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号28に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(iii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号17に記載の重鎖CDR2;及び配列番号21に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号29に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;又は
(iv)配列番号14に記載の重鎖CDR1;配列番号18に記載の重鎖CDR2;及び配列番号22に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号30に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片である、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号37、41、45、49及び53からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域;及び
配列番号38、42、46、50及び54からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含むものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;
(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;
(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;
(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;又は
(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域;
を含むものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号5、6、7及び8からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖定常領域;及び
配列番号10のアミノ酸配列に記載の軽鎖定常領域を含むものである、請求項7に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;及びTNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を含む、二重特異性(bispecific)抗体。
【請求項10】
前記二重特異性抗体は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片と抗TNFα抗体又はその抗原結合断片とが連結されているものである、請求項9に記載の二重特異性抗体。
【請求項11】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3及び4からなる群から選択されるアミノ酸配列に記載の1つ以上のエピトープに結合するものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号12、13及び14からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR1;配列番号15、16、17及び18からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR2;及び配列番号19、20、21及び22からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号23及び24からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR1;配列番号25及び26からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27、28、29及び30からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項13】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(i)配列番号12に記載の重鎖CDR1;配列番号15に記載の重鎖CDR2及び配列番号19に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号23に記載の重鎖CDR1;配列番号25に記載の重鎖CDR2;及び配列番号27に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(ii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号16に記載の重鎖CDR2;及び配列番号20に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号28に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(iii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号17に記載の重鎖CDR2;及び配列番号21に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号29に記載の軽鎖CD
R3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;又は
(iv)配列番号14に記載の重鎖CDR1;配列番号18に記載の重鎖CDR2;及び配列番号22に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号30に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片である、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項14】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号33、37、41、45、49及び53からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域;及び
配列番号34、38、42、46、50及び54からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域;を含むものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;
(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;
(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;
(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;
(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域;又は
(f)配列番号33に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;
を含むものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項16】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号89に記載の重鎖CDR1;配列番号90に記載の重鎖CDR2;及び配列番号91に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号92に記載の軽鎖CDR1;配列番号93に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号94に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項10~15の何れかの項に記載の二重特異性抗体。
【請求項17】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、配列番号35に記載の重鎖可変領域及び配列番号36に記載の軽鎖可変領域を含むものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項18】
前記二重特異性抗体は、ヒトOX40Lに1.5×10-9M以下のKで結合し、ヒトTNFαに対しては1×10-9M以下のKで結合し、ここで、前記Kは、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance;Biacore)分析によって測定されたものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項19】
前記二重特異性抗体は、抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方の末端に、TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項20】
前記二重特異性抗体は、前記抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項19に記載の二重特異性抗体。
【請求項21】
前記二重特異性抗体は、抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方の末端に、O
X40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項22】
前記抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項21に記載の二重特異性抗体。
【請求項23】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、リンカーで連結されているものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項24】
前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32の配列に記載のものである、請求項23に記載の二重特異性抗体。
【請求項25】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体をコードする核酸。
【請求項26】
請求項25に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項27】
請求項26に記載の発現ベクターが導入された形質転換体。
【請求項28】
請求項27に記載の形質転換体を用いた抗体又はその抗原断片、又は二重特異性抗体を産生する方法。
【請求項29】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患を予防又は治療するための薬学的組成物。
【請求項30】
前記薬学的組成物は、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis)を予防又は治療するものである、請求項29に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報を提供する方法。
【請求項32】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体を含む、
自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報を提供するキット。
【請求項33】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体の薬学的に有効な量を投与することを含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療方法。
【請求項34】
自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬剤の製造における、請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体の用途。
【請求項35】
自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療のための、請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OX40Lに特異的に結合する新規な抗体、及びOX40LとTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体に関するものであって、具体的には、ヒトOX40Lに特異的に結合し、OX40とOX40受容体との結合を効果的に阻害する抗体又は二重特異性抗体、前記抗体をコードする核酸、前記核酸を含む発現ベクター、前記発現ベクターを含む形質転換体、前記抗体の作製方法、前記抗体を含む自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬学的組成物、前記抗体を含む自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断用組成物、前記抗体を用いた自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法、前記抗体を用いて自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報の提供方法及びそのためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患又は炎症性疾患は、ヒトの免疫が異常に活性化することで起こる。自己免疫疾患の代表的なものである関節リウマチは、その治療薬としてTNFα阻害剤が治療薬市場の68%を占めている。
【0003】
腫瘍壊死因子α(TNFα)は、単球及びマクロファージを含む多様な細胞によって産生されるサイトカインであり、これは、本来特定のマウス腫瘍の壊死を誘導する能力により同定された[参照文献:Old,L.(1985)Science230:630-632]。その後、悪液質に関連するカケクチン(cachectin)と名付けられた因子がTNFαと同一の分子であることが明らかになった。TNFαは、ショックの媒介に関与する[参照文献:Beutler,B.and Cerami,A.(1988)Annu.Rev.Biochem.57:505-518;Beutler,B.and
Cerami,A.(1989)Annu.Rev.Immunol.7:625-655]。さらに、TNFαは、敗血症、感染症、自己免疫疾患、移植拒絶反応、及び移植片対宿主病を含む様々なヒト疾患及び障害の病理生理学に関連している[参照文献:Vasili,P.(1992)Annu.Rev.Immunol.10:411-452;Tracey,K.J.and Cerami,A.(1994)Annu.Rev.Med.45:491-503]。
【0004】
様々な疾患におけるヒトTNFα(hTNFα)の有害な役割のために、治療戦略は、hTNFα活性を阻害又は相殺するように計画されている。特に、hTNFαに結合してそれを中和する抗体は、hTNFα活性を阻害する手段として用いられた。hTNFα中和抗体には、hTNFαで免疫したマウスのリンパ球から得られたハイブリドーマによって分泌されたマウスモノクローナル抗体(mAb)[参照文献:Hahn T;et a
l.,(1985)Proc Natl Acad Sci USA 82:3814-3818;Liang,C-M.,et al.(1986)Biochem.Biophys.Res.Commun.137:847-854;Hirai,M.,etal.(1987)J.Immunol.Methods 96:57-62;Fendly,B.M.,et al.(1987)Hybridoma6:359-370;Muller,A.,et alL.(1990)Cytokine2:162-169;米国特許第5,231,024号(Moeller et al);欧州特許公報第186833B1号(Wallach,D.);欧州特許出願第218868Al号(Old et al.);欧州特許公報第260 610B1号(Moeller,A.,et.)]又はキメラ抗体[参照文献:Knight,D.M,et al.(1993)Mol.Immunol.30:1443-1453;PCT公開公報WO92/16553(Daddona,P.E.,et al.)]又はヒト化モノクローナル抗体[参考文献
:PCT公開公報WO92/11383(Adair,J.R.,et al.)]又はヒトモノクローナル抗体[参考文献:米国10-1142825]などがある。これらの抗hTNFα抗体は、hTNFαに対して高親和性(例:Kd≦10-9M)を示し、hTNFα活性を中和することができる。このような抗hTNFα抗体は、様々な自己免疫疾患、感染症、移植拒絶反応、及び移植片対宿主病などにおいて治療薬として用いられている。
【0005】
しかしながら、これら抗hTNFα抗体のTNFα阻害剤に対して不応の患者群が約50%に達している(Nature Reviews Rheumatology vol.11,276-289(2015)。しかも、近年開発されている自己免疫疾患の標的は、CTLA-4、IL-6、JAK1、JAK2、及びCD20などであり、これより派生した医薬品は、TNFα阻害剤ほどの効能を発揮できていない(Nature Reviews Rheumatology vol.11,276-289(2015))。
【0006】
特に、関節リウマチなどの自己免疫疾患は、単に一種類の免疫細胞の異常ではなく、免疫系全般の問題によって起こるため、一つの標的のみを阻害する従来の治療薬開発方法では治療薬の有効性を向上させるのに限界がある。したがって、この有効性の限界を克服するために、異なる作用機序を有する2つ以上の標的を一度に制御する二重又は多重特異性抗体が開発されている。しかし、従来の二重特異性抗体は、先天性(innate)免疫系又は後天性(adaptive)免疫系のうち特定の細胞にのみ限定して作用するため、免疫系全般の恒常性を改善することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、OX40L(OX40リガンド)に特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、配列番号1(SEQ ID NO:1)で示されるOX40Lタンパク質のアミノ酸配列において、配列番号3(SEQ ID NO:3)で示される93番~100番、及び配列番号4(SEQ ID NO:4)で示される141番~151番のアミノ酸配列を含むOX40Lの立体構造的エピトープ(conformational epitope)を認識する、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、OX40L(OX40リガンド)に特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;及び腫瘍壊死因子α(TNFα)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片;を含む、二重特異性抗体(bispecific antibody)を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その結合断片又は前記二重特異性抗体をコードする核酸、前記核酸が導入された発現ベクター又は前記発現ベクターが導入された宿主細胞を提供することである。
【0011】
本発明の目的は、前記宿主細胞を用いた抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は二重特異性抗体を産生する方法を提供することである。
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は前記二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は前記二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断用組成物を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は二重特異性抗体を含み、前記OXO40L及びTNFαのうち少なくとも一方を検出するための組成物を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は二重特異性抗体を用いて自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報の提供方法を提供することである。
【0015】
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報を提供するキットを提供することである。
【0016】
本発明の目的は、前記抗OX40L抗体、その抗原結合断片又は二重特異性抗体の薬学的に有効な量を投与することを含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療方法を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬剤の製造における、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は二重特異性抗体の用途を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療のための前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は二重特異性抗体の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に開示される各説明及び実施形態は、それぞれ他の説明及び実施形態にも適用することができる。すなわち、本発明に開示される様々な要素の全ての組み合わせが本発明の範囲に属する。
【0020】
また、下記具体的な説明によって本発明の範囲が限定されるとは言えない。
【0021】
本発明は、OX40Lに特異的に結合しながらOX40LとOX40受容体との相互作用を阻害する抗OX40L抗体又は結合断片を提供する。
【0022】
本明細書において、用語「抗体」は、免疫学的に特定の抗原と反応性を有する免疫グロブリン分子を含む、抗原を特異的に認識する受容体として働くタンパク質分子を意味し、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、全(Whole)抗体、及び結合断片を全て含む。また、前記用語は、キメラ抗体(例えば、ヒト化ミュリン抗体)、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び二価(bivalent)又は二重特異性分子(例えば、二重特異性抗体)、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディを含んでもよい。
【0023】
典型的には、免疫グロブリンは、重鎖及び軽鎖を有し、それぞれの重鎖及び軽鎖は、定常領域及び可変領域(前記部位は、ドメインとしても知られている)を含むことができる。軽鎖及び重鎖の可変領域は、相補性決定領域(complementarity-determining region、以下「CDR」という)と呼ばれる3つの超可変領域及び4つのフレームワーク領域(framework region)を含むことがで
きる。前記CDRは、主に抗原のエピトープ(epitope)に結合する役割をする。それぞれの鎖のCDRは、典型的には、N末端から順にCDR1、CDR2、CDR3と名付けられ、さらに特定のCDRが位置する鎖によって識別されることができる。
【0024】
全抗体は、2つの全長軽鎖及び2つの全長重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は、重鎖とジスルフィド結合で連結されている。前記全抗体は、IgA、IgD、IgE、IgM、及びIgGを含むことができ、IgGは、亜型(subtype)として、IgG、IgG、IgG、及びIgGを含むことができる。重鎖定常領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)、及びエプシロン(ε)タイプを有することができ、サブクラスとしてガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)、及びアルファ2(α2)を有することができる。軽鎖の定常領域は、カッパ(κ)及びラムダ(λ)タイプを有することができる。
【0025】
本明細書において、用語「断片」、「抗体断片」、「抗原結合断片」、及び「結合断片」は、抗原結合機能を有する本発明の抗体の任意の断片を意味するものとして互換的に用いられ、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvなどを含んでもよい。
【0026】
前記Fabは、軽鎖及び重鎖の可変領域と、「軽鎖の定常領域及び重鎖の最初の定常領域(CH1ドメイン)」とを有する構造であって、1つの抗原結合部位を有する。Fab’は、重鎖CH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabとは異なる。F(ab’)抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合を形成することで産生され得る。Fv(variable fragment)は、重鎖可変部位及び軽鎖可変部位のみを有する最小の抗体断片を意味する。二本鎖Fv(dsFv)は、ジスルフィド結合で重鎖可変部位と軽鎖可変部位が連結されており、単鎖Fv(scFv)は、一般にペプチドリンカーを介して重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域が共有結合で連結されている。これらの結合断片は、タンパク質加水分解酵素を用いて得ることができ(例えば、全抗体をパパインで制限切断すればFabを得ることができ、ペプシンで切断すればF(ab’)2断片を得ることができる)、例えば、遺伝子組換え技術によって作製することができる。
【0027】
本明細書において、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同一な抗体集団から得られた単分子組成の抗体分子を指し、このようなモノクローナル抗体は、特定のエピトープに対して単結合特異性及び親和性を示す。本発明の一実施形態において、本発明のOX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体、又はOX40LとTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体は、単分子抗体であってもよい。具体的には、前記抗OX40L抗体は、OX40Lの特定のエピトープに特異的に結合する単分子組成の抗体を意味し、前記二重特異性抗体は、OX40L及びTNFαの特定のエピトープに同時に特異的に結合する単分子組成の二重特異性抗体を意味し得る。
【0028】
本発明の実施形態において、本発明の抗OX40L抗体、及びOX40LとTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体であってもよいが、特にこれに限定されない。
【0029】
本発明において、用語「キメラ抗体」は、マウス抗体の可変領域及びヒト抗体の定常領域を組換えた抗体であって、マウス抗体に比べて免疫反応が大きく改善された抗体である。
【0030】
本発明において、用語「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体のタンパク質配列を、ヒトにおいて自然に産生される抗体変異体に類似するように修飾した抗体を意味する。例えば、前記ヒト化抗体は、マウス由来のCDRをヒト抗体由来のFRと組換えてヒト化可変領域を作製し、これを所望のヒト抗体の定常領域と組換えてヒト化抗体を作製することができる。ただし、単にCDRグラフトのみを行う場合、ヒト化抗体の親和性が低下するため、CD
Rの3次元構造に影響を与えることと思われるいくつかの重要なFRアミノ酸残基をマウス抗体のものに親和させることにより、元のマウス抗体の親和性と同じレベルまで上げることができる。
【0031】
本明細書において、用語「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンに由来する分子であって、相補性結晶領域、フレームワーク領域を含む、抗体を構成する全てのアミノ酸配列がヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列から構成されているものを意味する。ヒト抗体は、通常ヒトの疾患を治療するのに用いられ、これは、3つ以上の潜在的な利点を有し得る。まず、これは、ヒト免疫系とより良好に相互作用し、例えば、補体依存性細胞傷害(complement-dependent cytotoxicity、CDC)又は抗体依存性細胞傷害(Antibody-dependent cell mediated cytotoxicity、ADCC)により標的細胞をより効率的に破壊することができる。第二に、ヒト免疫系が前記抗体を外来のものとして認識しないという利点がある。第三に、より少ない量、より低い頻度で薬物を投与しても、ヒト循環系における半減期が天然の抗体と類似しているという利点がある。本発明の実施形態において、本発明のOX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体、及びOX40LとTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体は、ヒト抗体であってもよい。したがって、本発明のヒト抗OX40L抗体、及び本発明のヒト二重特異性抗体は、OX40Lに対して強い親和性を示し、OX40Lを発現している細胞(例:単核球)がOX40受容体に結合することを効果的に阻害するだけでなく、重鎖及び軽鎖ドメインの何れもヒト由来であるため、低い免疫原性を示し、自己免疫疾患や炎症性疾患などの治療に有用に用いられる。
【0032】
本明細書において、用語「OX40L」は、OX40タンパク質を受容体とするリガンドであり、具体的には、OX40受容体に結合するタンパク質を意味する。OX40Lに関する情報は、米国国立衛生研究所のGenBankなど、公知のデータベースから得ることができ、その例として、Accession NumberがGene ID:54567、NCBI Reference Sequence:NM_003326.5(
TNFSF4 ver1)、NM_001297562.2(TNFSF4 ver2)
である配列番号1(SEQ ID NO:1)のアミノ酸配列を含むOX40Lの情報が挙げられる。
【0033】
OX40Lは、抗原提示細胞(Antigen Presenting Cell、APC)に過剰発現しており、いくつかの免疫細胞を活性化させることが知られている。具体的には、OX40Lは、TNFαやINFγと同様に、自己免疫疾患患者において過剰産生されることが観察されている(Eur.J.Immunol.2000.30:2815-2823)。全身に分布するTNFαとは異なり、OX40Lは、活性化された免疫細胞でのみ産生され、主に病変位置に分布する。OX40Lは、先天性免疫系の抗原提示細胞(Antigen Presenting Cell、APC)と後天性免疫系のヘルパーT細胞(T helper cell)に同時に関与して免疫系の恒常性を取り戻すことができる多重免疫調節タンパク質である(Nature Reviews Rheumatology vol.12,74-76(2016),(Clinic Rev Allerg Immunol,2016)。
【0034】
本発明において、用語「OX40」は、OX40/OX40Lシグナル伝達を媒介するタンパク質を意味する。前記OX40は、OX40/OX40Lシグナル伝達を媒介するタンパク質であれば制限なく含まれてもよい。
【0035】
本発明において、用語「OX40LとOX40との相互作用を阻害する」又は「OX40LとOX40受容体との相互作用を阻害する」は、本発明のOX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその結合断片がOX40Lに結合し、OX40LとOX40と
の相互作用を抑制又は阻害することを意味する。抗OX40L抗体又はその結合断片がOX40Lに結合すると、OX40Lの生物学的機能を抑制又は阻害することにより、OX40LとOX40の結合が抑制又は阻害され、OX40のシグナル伝達をもたらすことができなくなる。すなわち、抗OX40L抗体又はその結合断片のOX40Lへの結合により、OX40LとOX40との相互作用が抑制又は阻害され、結果としてOX40のシグナル伝達が抑制又は阻害される。
【0036】
本発明において、「OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体」は、OX40Lに特異的に結合してOX40Lの生物学的活性を抑制又は阻害する抗体を意味する。前記抗体は、OX40Lの生物学的活性を抑制又は阻害し、OX40LとOX40受容体との相互作用を抑制又は阻害することができる。本明細書において、「OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体」は、「OX40Lに特異的に結合する抗体」又は「抗OX40L抗体」と互換的に用いることができる。
【0037】
前記抗OX40L抗体の形態は、前述したように全抗体と結合断片を何れも含むことができる。本発明の抗OX40L抗体は、ヒトOX40Lに特異的に結合しながらOX40LとOX40受容体との相互作用を阻害し、自己免疫疾患や炎症疾患などを治療するのに有用に用いられ、自己免疫疾患又は炎症疾患で過剰発現するヒトOX40Lに特異的に結合することで、副作用を最小限に抑えながら治療効果を最大化することができる。
【0038】
本発明の実施形態において、前記OX40Lに特異的に結合し、OX40LとOX40受容体との相互作用を阻害する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、ヒトOX40Lに3×10-9M以下で結合することができる。具体的には、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、1.5×10-9M、1.3×10-9M、特に、1×10-9M以下のKで結合することができる。
【0039】
本発明において、用語「結合定数(Kon)」は、特定の抗体抗原相互作用の結合比率を意味し、用語「解離定数(Koff)」は、特定の抗体抗原相互作用の解離比率を意味する。また、本発明において、用語「抗原に対する親和性(K)」は、Koff:Konの割合(すなわち、Koff/Kon)をモル濃度(M)で表したものである。抗体に対するK値は、当業界で広く確立された方法を用いて測定することができる。例えば、抗体のK値を測定する方法として、バイオコアTMシステムを用いた表面プラズモン共鳴分析が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、OX40Lに対して高い結合力を示し、低濃度でもOX40Lに対する活性を抑制又は阻害でき、自己免疫疾患又は炎症疾患に対して優れた治療効果を示すことができる。
【0041】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、ヒトOX40Lの立体構造的エピトープ(conformational epitope)を認識することができる。例えば、本発明の前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1で示されるヒトOX40Lタンパク質のアミノ酸配列において、93番~100番及び141番~151番のアミノ酸配列に3×10-9M以下で結合することができる。具体的には、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1で示されるヒトOX40Lタンパク質のアミノ酸配列において、93番~100番及び141番~151番のアミノ酸配列に1.5×10-9M、1.3×10-9M、特に、1×10-9M以下のKで結合することができる。
【0042】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3又は配列番号4で示されるヒトOX40Lタンパク質のアミノ酸配列に高い結合力で結
合することができ、具体的には、3×10-9M以下で結合することができる。具体的には、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、1.5×10-9M、1.3×10-9M、特に、1×10-9M以下のKで結合することができる。
【0043】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片のヒトOX40Lに対するKは、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance;Biacore)分析によって測定されたものであってもよい。
【0044】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、具体的には、以下に挙げる配列を含んでもよいが、これに限定されない。
【0045】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号12、13及び14からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR1;配列番号15、16、17及び18からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR2;及び配列番号19、20、21及び22からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号23及び24からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR1;配列番号25及び26からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27、28、29及び30からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含んでいてもよい。
【0046】
本発明において、用語「重鎖」は、抗原に特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVH及び3つの定常領域ドメインCH1、CH2及びCH3を含む全長重鎖及びその断片を全て含んでいてもよい。
【0047】
また、本発明において、用語「軽鎖」は、抗原に特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVL及び定常領域ドメインCLを含む全長軽鎖及びその断片を全て含んでいてもよい。
【0048】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号12で示される重鎖CDR1;配列番号15で示される重鎖CDR2;及び配列番号19で示される重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び
配列番号23で示される軽鎖CDR1;配列番号25で示される軽鎖CDR2;及び配列番号27で示される軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体であってもよいが、これに限定されない。本発明の実施形態では、前記抗体を02C09と名付けた。
【0049】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号13で示される重鎖CDR1;配列番号16で示される重鎖CDR2;及び配列番号20で示される重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び
配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;及び配列番号28で示される軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体であってもよいが、これに限定されない。本発明の実施形態では、前記抗体をhu3F07、I3F07と名付けた。
【0050】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号13で示される重鎖CDR1;配列番号17で示される重鎖CDR2;及び配列番号21で示される重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び
配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;及び配列番号29で示される軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体であってもよいが、これに限定されない。本発明の実施形態では、前記抗体を10H07と名付けた。
【0051】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号14で示される重鎖CDR1;配列番号18で示される重鎖CDR2;及び配列番号22で示される重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び
配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;及び配列番号30で示される軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体であってもよいが、これに限定されない。本発明の実施形態では、前記抗体を21G07と名付けた。
【0052】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号37、41、45、49及び53からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び
配列番号38、42、46、50及び54からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含んでいてもよい。
【0053】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;
(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;
(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;
(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;又は
(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号5、6、7、及び8からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖定常領域;及び
配列番号10のアミノ酸配列に記載の軽鎖定常領域を含んでいてもよい。
【0055】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその結合断片は、
前記(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;又は(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域、及び
前記配列番号5、6、7、及び8からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖定常領域及び配列番号10のアミノ酸配列に記載の軽鎖定常領域
を含む抗体又はその結合断片であってもよい。
【0056】
ここで、前記(a)及び(b)の可変領域を含む抗体は、ヒト化抗体であり、前記(c)~(d)の可変領域を含む抗体は、キメラ抗体である。
【0057】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、人体において十分な効果を示す物理化学的特性を有し、優れた熱安定性を有する。例えば、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、50℃を超える温度、具体的には、59℃以上の温度で溶融し、人体内で約2週間以上の半減期を有することができる。
【0058】
本発明の実施形態において、本発明の抗OX40L抗体が定常領域を含む場合、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来又はこれらの組み合わせ(combination)又はこれらのハイブリッド(hybrid)による定常領域を含むことができる。
【0059】
本明細書において、用語「組み合わせ(combination)」は、二量体又は多量体を形成するときに、同種由来の単鎖免疫グロブリン定常領域をコードするポリペプチドが異なる種由来の単鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。その例として、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMの定常領域からなる群から選択される2つ以上の定常領域から二量体又は多量体を形成することができる。
【0060】
本明細書において、用語「ハイブリッド(hybrid)」は、単鎖免疫グロブリン重鎖定常領域内に、2つ以上の異なる種由来の免疫グロブリン重鎖定常領域に該当する配列が存在することを意味し、その例として、IgG、IgA、IgD、IgE、並びにIgMのCH1、CH2、CH3及びCH4からなる群から選択される1つ~4つのドメインからなるドメインのハイブリッドが可能である。
【0061】
一方、IgGの亜型であるIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4重鎖定常領域の組み合わせ又はハイブリダイゼーションも可能である。前記組み合わせ及びハイブリダイゼーションについては、前述の説明と同様である。
【0062】
本発明の実施形態において、前記IgG1重鎖定常領域は、配列番号5に記載のIgG1重鎖定常領域、IgG1 N297A重鎖定常領域は、配列番号6に記載の重鎖定常領域、IgG4重鎖定常領域は、配列番号7に記載のIgG4重鎖定常領域、IgG4 S228P重鎖定常領域は、配列番号8に記載のIgG4重鎖定常領域であってもよいが、これに限定されない。
【0063】
また、本発明の前記OX40Lに特異的な抗OX40L抗体が軽鎖定常領域を含む場合、前記軽鎖定常領域は、ラムダ(λ)又はカッパ(κ)軽鎖由来であってもよい。前記抗体の軽鎖定常領域がカッパ軽鎖由来である場合、配列番号10に記載のカッパ軽鎖定常領域であってもよいが、これに限定されない。
【0064】
本発明において、前記抗体は、マウスから産生されたマウス抗体及びこれより抗体の親和性、免疫性などを改善するために、親抗体のアミノ酸配列の一部を置換、付加及び/又は欠失させた変異体を全て含んでもよい。前記変異体は、これに限定されないが、その例として、キメラ抗体、ヒト化抗体、親和性最適化抗体などを含んでもよい。本発明において、「親和性最適化抗体」とは、特定の抗体のCDR配列の一部が置換、付加、欠失した変異体であって、前記特定の抗体と同一の抗原エピトープに結合しつつも抗原に対する結合親和性が向上した抗体のことをいう。
【0065】
本発明において、前記変異体は、親抗体と同一のCDRを含むか、又は同一のエピトープを標的とすることを条件に、親抗体CDRアミノ酸配列の一部が変異(置換、付加又は欠失)した抗体を包括的に指す。このような変異体は、同一のエピトープに対する結合能が保持される範囲内で、抗体の親和性及び免疫性などを改善するために当業者によって適宜調節されてもよい。
【0066】
本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、OX40Lを特異的に認識できる範囲内で、本明細書に記載の抗OX40L抗体の配列だけでなく、その生物学的均等物も含んでいてもよい。例えば、抗体の結合親和性及び/又はその他の生物学的特性をさらに改善するために、抗体のアミノ酸配列にさらなる変化を与えてもよい。これらの修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列残基の欠失、挿入及び/又は置換を含む。これらのアミノ酸変異は、アミノ酸側鎖置換体の相対的類似性、例えば、疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基づいて行われる。アミノ酸側鎖置換体の大きさ、形状及び種類を分析することにより、アルギニン、リジン、及びヒスチジンは、何れも正電荷を帯びる残基であり;アラニン、グリシン、及びセリンは、同様の大きさを有し;フェニルアラニン、トリプトファン
、及びチロシンは、同様の形状を有するということが分かる。したがって、これらを踏まえると、アルギニン、リジン、及びヒスチジン;アラニン、グリシン、及びセリン;そしてフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは、生物学的に機能的均等物といえる。例えば、本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、本明細書の配列番号に記載のアミノ酸配列の1つ以上の残基に保存的アミノ酸変化を含んでいてもよく、保存的アミノ酸の変化は、下記表1の置換を含んでいてもよい。
【0067】
【表1】

【0068】
本発明の実施形態によれば、OX40Lを標的とする新規な抗体を作製した。ヒトOX40L(hOX40L)で免疫したマウスで作製したライブラリー、そしてヒトライブラリーからOX40Lに特異的な抗体02C09、hu3F07、10H07、21G07を作製した。前記抗体は、OX40Lに対する親和性が0.2~0.7nMレベルであり、高い親和性でOX40Lに特異的に結合し(表32、図4)、in vitro OX40L阻害能は0.2~0.9nMで、対照抗体より著しく優れていることを確認した(図5)。また、T細胞において、OX40Lによる免疫活性を遮断する結果を示した(図6)。これらの結果は、本発明のOX40Lに特異的な抗OX40L抗体が、OX40受容体との結合を効率的に遮断し、OX40/OX40Lシグナル伝達を抑制し、自己免疫疾患及び炎症性疾患の治療に著しく優れた効果を示すことができ、副作用を最小限に抑えることができ、免疫系の恒常性を保持しつつも自己免疫疾患及び炎症性疾患を選択的に治療できることを意味する。
【0069】
本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、前記OX40Lの機能を阻害し、自己免疫疾患又は炎症性疾患の治療に有効に用いられる。
【0070】
ヒトの免疫系は、先天性(innate)免疫系と後天性(adaptive)免疫系の2つからなっており、自己免疫疾患は、先天性(innate)免疫系と後天性(adaptive)免疫系が異常に活性化されたときに起こり得る。
【0071】
OX40LとOX40受容体が結合すると、先天性免疫系及び後天性免疫系に関わる免疫細胞が過剰に活性化して様々な疾患を引き起こすことが知られている。
【0072】
前記OX40Lは、先天性免疫系の抗原提示細胞(Antigen Presenting Cell、APC)と後天性免疫系のヘルパーT細胞(T helper cell)に同時に関与し、免疫系の恒常性に関与することができる(Nature Reviews Rheumatology vol.12,74~76(2016)、(Clinic Rev Allerg Immunol、2016)。また、前記OX40Lは、全身に分布するサイトカインとは異なり、病変位置に集中的に分布するため、本発明の抗OX40L抗体又はその結合断片は、病変周辺のOX40Lに結合する可能性が高い。
【0073】
したがって、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、病変周辺に集中的に分布するOX40Lに結合し、自己免疫疾患及び炎症性疾患に対する治療効果を最大化することができ、副作用を減少して安全性を向上することができる。
【0074】
また、後天性免疫系は、先天性免疫系より反応速度は遅いが持続性が高く、免疫系の過剰な活性により起こる自己免疫疾患の主な要因であり得る。本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片のOX40Lの抑制又は阻害は、先天性免疫細胞だけでなく、従来の自己免疫疾患治療薬が影響を及ぼさなかった後天性免疫細胞を調節できるという点で大きな利点がある。
【0075】
すなわち、OX40LとOX40との相互作用を効果的に抑制及び阻害する本発明は、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片を自己免疫疾患及び炎症性疾患の治療に有効に用いることができる。
【0076】
本発明は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)、前記核酸を含む発現ベクター、及び前記発現ベクターが導入された形質転換体を提供する。
【0077】
本明細書で使用される用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、DNA及びRNA分子を包括的に含み、前記核酸分子の基本構成単位であるヌクレオチドは、天然のヌクレオチドだけでなく、糖又は塩基部位が修飾されたアナログ(analogue)も含む(Scheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,NewYork(1980);Uhlman及びPeyman,Chemical Reviews,(1990)90:543-584)。
【0078】
本発明の重鎖及び軽鎖可変領域をコードする核酸分子の配列は、修飾されてもよく、前記修飾は、ヌクレオチドの追加、欠失、又は非保存的置換もしくは保存的置換を含む。
【0079】
本発明の核酸は、前記ヌクレオチド配列に対して実質的な同一性を示すヌクレオチド配列も含むものと解釈される。本発明において、実質的な同一性は、前記本発明のヌクレオチド配列と、任意の他の配列とを最大限対応するようにアラインし、当業界で通常用いられるアルゴリズムを用いてアラインされた配列を分析したときに、少なくとも80%の相同性、具体的には、少なくとも90%の相同性、より具体的には、少なくとも95%の相同性を示すヌクレオチド配列を意味し得る。
【0080】
本明細書で使用される用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、宿主細胞において目的の遺伝子を発現させるための手段であり、プラスミドベクター;コスミドベクター;そしてバクテリオファージベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクターを含み、具体的には、プラスミ
ドベクターであってもよいが、これに限定されない。
【0081】
本発明のベクターにおいて、軽鎖可変領域をコードする核酸分子及び重鎖可変領域をコードする核酸分子は、プロモーターに作動可能に連結(operativelylinked)されたものであってもよい。
【0082】
本発明において、用語「作動可能に連結された」は、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、又は転写調節因子の結合位置のアレイ)と他の核酸配列との機能的結合を意味し、これによって前記調節配列は、前記他の核酸配列の転写及び/又は翻訳を調節する。
【0083】
本発明の組換えベクターシステムは、当業界で公知の様々な方法によって構築することができる。例えば、その具体的な方法は、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Sp
ring Harbor Laboratory Press(2001)に開示されており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
本発明において、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む発現ベクターは、特に限定されないが、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、サル、ウサギ、ラット、ハムスター、マウス細胞など)、植物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、又は細菌細胞(例えば、大腸菌など)を含む真核細胞又は原核細胞において、前記核酸を複製及び/又は発現することのできるベクターであってもよい。具体的には、宿主細胞において前記核酸が発現するように適切なプロモーターに作動可能に結合され、少なくとも1つの選択マーカーを含むベクターであってもよく、より具体的には、ファージ、プラスミド、コスミド、ミニ染色体、ウイルス、レトロウイルスベクターなどに前記核酸が導入された形態であってもよい。
【0085】
前記抗OX40L抗体をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む発現ベクターは、前記抗OX40L抗体の重鎖又は軽鎖をコードする核酸をそれぞれ含む発現ベクター、又は重鎖もしくは軽鎖をコードする核酸を何れも含む発現ベクターてあってもよい。
【0086】
本発明において、前記発現ベクターが導入された形質転換体は、特に限定されないが、前記発現ベクターが導入されて形質転換された大腸菌、ストレプトミセス、サルモネラチフィムリウムなどの細菌細胞;酵母細胞;ピキアパストリスなどの菌類細胞;ドロゾフィラ、スポドプテラSf9細胞などの昆虫細胞;CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞、chinese hamster ovary cells)、SP2/0(マウス骨髄腫)、ヒトリンパ芽球(human lymphoblastoid)、COS、NSO(マウス骨髄腫)、293T、ボウメラノマ細胞、HT-1080、BHK(ベビーハムスター腎細胞、baby hamster kidney cells)、HEK(ヒト胎児腎細胞、human embryonic kidney cells)、PERC.6(ヒト網膜細胞)などの動物細胞;又は植物細胞であってもよい。本発明の実施形態では、HEK細胞などを宿主細胞として用いた。
【0087】
本明細書において、用語「導入」は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含むベクターを宿主細胞に送達する方法を意味する。この導入は、リン酸カルシウム共沈殿法、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション法、ポリブレン媒介トランスフェクション法、電気衝撃法、微細注射法、リポソーム融合法、リポフェクタミン及び原形質体融合法などの当技術分野で公知の様々な方法によって行うことができる。また、形質導入は、感染(infection)を手段とし、ウイルス粒子を用いて目的物を細胞内に送達することを意味する。ちなみに、遺伝子ボンバード
メントなどによりベクターを宿主細胞内に導入することができる。本発明において、導入は、形質転換と混用されることがある。
【0088】
本発明は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片を作製する方法を提供する。
【0089】
本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、公知のモノクローナル抗体作製技術によって容易に作製することができる。例えば、モノクローナル抗体の作製は、免疫した動物から得られたBリンパ球を用いてハイブリドーマを作製することによって行うか(Koeher and Milstein,1976,Nature,256:495)、又はファージディスプレイ(phage display)技術を用いて行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0090】
ファージディスプレイ技術を用いた抗体ライブラリーは、ハイブリドーマを作製せずに、Bリンパ球から直接抗体遺伝子を得てファージ(phage)表面に抗体を発現させる方法である。ファージディスプレイ技術を用いれば、B細胞不死化(immortalization)によってモノクローナル抗体の産生に関連する従来の多くの困難を克服することができる。一般に、ファージディスプレイ技術は、1)ファージの外被タンパク質(coat protein)pIII(又はpIV)N末端に該当する遺伝子部位にランダム配列オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)を挿入するステップ;2)天然型の外被タンパク質の一部と前記ランダム配列オリゴヌクレオチドとによってコードされるポリペプチドの融合タンパク質を発現させるステップ;3)前記オリゴヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと結合できる受容体物質を処理するステップ;4)受容体に結合したペプチドファージ粒子を低pH分子又は結合競争力のある分子を用いて溶出させるステップ;5)パンニング(panning)によって溶出されたファージを宿主細胞内で増幅させるステップ;6)所望の量を得るために前記方法を繰り返すステップ;及び7)パンニングによって選別されたファージクローンのDNA配列から活性のあるペプチド配列を決定するステップからなる。
【0091】
本発明の実施形態において、本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片の作製方法は、ファージディスプレイ技術を用いて行うことができる。当業者は、公知のファージディスプレイ技術、例えば、Barbasら(METHODS:A Companion
to Methods in Enzymology2:119,1991及びJ.Virol.2001 Jul;75(14):6692-9)及びWinterら(Ann.Rev.Immunol.12:433,1994)の論文に公知の方法を参考して、前記本発明の作製方法における各ステップを容易に行うことができる。抗体ライブラリーを構築するために用いられるファージは、例えば、繊維状ファージ(filamentous phage)として、fd、M13、f1、If1、Ike、Zj/Z、Ff、Xf、Pf1又はPf3ファージが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記繊維状ファージの表面上で異種遺伝子を発現させるために用いられるベクターとしては、例えば、fUSE5、fAFF1、fd-CAT1又はfdtetDOGなどのファージベクター、又はpHEN1、pComb3、pComb8又はpSEXなどのファージミドベクターが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、増幅のための組換えファージの再感染に必要な野生型の外被タンパク質を提供するために用いられるヘルパーファージとしては、例えば、M13K07又はVSCM13などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0092】
本発明のファージディスプレイクローンをコードするポリヌクレオチドは、通常の方法によって容易に単離及び配列分析することができる。その例として、ハイブリドーマ又はファージ鋳型DNAから当該重鎖及び軽鎖コード領域を特異的に増幅するように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いることができる。一旦前記ポリヌクレオチドが単
離されると、これを発現ベクター内に取り入れることができ、その後前記発現ベクターを適切な宿主細胞に導入して、形質転換された宿主細胞(すなわち、形質転換体)から所望のモノクローナル抗体を産生することができる。したがって、本発明の前記ヒトモノクローナル抗体の作製方法は、ヒトモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを増幅させるステップを含む、ヒトモノクローナル抗体の作製方法であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0093】
本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、前記公知の組換え手段又は生化学的方法により作製することができ、抗体は、適切な宿主細胞に抗体をコードする核酸を含む発現ベクターを導入した形質転換体の培養液から回収することができる。
【0094】
本発明の実施形態において、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片の作製(産生)方法は、
(a)前記形質転換体を培養し、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片を産生するステップ;及び
(b)前記ステップ(a)で産生された抗OX40L抗体又はその抗原結合断片を回収するステップを含む、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片の作製方法であってもよい。
【0095】
本発明の実施形態において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、公知の単離方法により単離することができ、その例として、プロテインAセファロース、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーなど、通常の免疫グロブリン精製方法によって培養培地から適切に単離することができるが、これに限定されるものではない。
【0096】
本発明は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;及び腫瘍壊死因子α(TNFα)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、二重特異性(bispecific)抗体を提供する。
【0097】
本明細書において、用語「二重特異性抗体」は、2つの異なる種類の抗原(標的タンパク質)に結合できる抗体を意味する。具体的には、天然には存在せず、遺伝子工学又は任意の方法によって作製された形態であってもよい。
【0098】
本発明の前記二重特異性抗体は、2つの異なる標的に結合できる抗体であり、前記二重特異性抗体は、OX40L及びTNFαに結合することができる。
【0099】
本発明の「二重特異性抗体」は、「二重標的タンパク質」、「二重抗体」又は「二重抗体タンパク質」と混用されることがある。
【0100】
本発明の二重特異性抗体の構成要素であるOX40Lに特異的に結合する抗体又はその結合断片は、OX40Lに特異的に結合してOX40L/OX40Lシグナル経路を遮断することのできる抗体又はその結合断片を含む。本発明の実施形態において、本発明の二重特異性抗体の構成要素であるOX40Lに特異的に結合する抗体又はその結合断片は、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその結合断片について前述した内容と互いに矛盾しない限り、実質的に同様の本発明の抗OX40L抗体又はその結合断片であってもよい。また、本発明の実施形態において、本発明の二重特異性抗体の構成要素であるOX40Lに特異的に結合する抗体又はその結合断片は、OX40Lに特異的に結合してOX40L/OX40Lシグナル経路を遮断できる抗体であって、WO2018083248、WO2009141239、US2017260279、WO2006029879、又はWO2011073180に記載の抗体又はその結合断片であってもよい。
【0101】
本発明の二重特異性抗体の構成要素であるOX40Lに特異的に結合する抗体又はその結合断片は、免疫細胞で過剰発現されるOX40Lに特異的に結合し、本発明の二重特異性抗体を、TNFαを発現する免疫細胞に集中させることができるだけでなく、TNFαと結合してそれ自体でも免疫細胞活性を減らす能力を有し得る。
【0102】
また、OX40Lは、APCで過剰発現し、T細胞に発現するOX40受容体と相互作用して免疫細胞の増殖/分化/活性化を誘導し、様々な炎症性サイトカインを分泌するように誘導する、先天性免疫と後天性免疫を同時に活性化させる上流シグナルの一つである。抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、OX40/OX40Lシグナルを阻害し、自己免疫疾患及び炎症性疾患患者において過度に活性化されている免疫反応を減少させることができる。
【0103】
さらに、抗TNFα抗体又はその結合断片は、炎症反応の下流シグナルであるTNFαに対する治療に抵抗性を示す自己免疫疾患及び炎症性疾患患者に対しても効果を示すことができる。
【0104】
本明細書において、用語「OX40Lに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、及びTNFαに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む、二重特異性抗体」は、OX40L及びTNFαによる2つのシグナル伝達経路を同時に阻害できる二重特異性タンパク質であれば、制限なく含んでもよい。前記二重特異性抗体を構成するTNFαに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、及びOX40Lに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、前記抗OX40L抗体又はその結合断片で説明した全長抗体及び抗体断片の形態を何れも含んでいてもよい。
【0105】
本発明において、用語「OX40LとOX40との相互作用を阻害する」とは、本発明のOX40Lに特異的に結合する二重特異性抗体がOX40Lに結合し、OX40LとOX40との相互作用を阻害することを意味し、二重特異性抗体の結合によってOX40LとOX40との相互作用が阻害され、OX40LのOX40結合によるOX40の構造的変化をもたらさないため、加水分解できず、OX40のシグナル伝達を不可能とする。
【0106】
本明細書において、用語「TNFαに特異的に結合する抗体」は、体内で広範囲にTNFαを抗原として特異的に結合する抗体であれば、その全てが含まれる。本発明の一実施形態において、前記TNFαに特異的に結合する抗体は、TNFαを標的とする治療用抗体であって、WO1997029131、WO2003045400、WO2004050683、WO1998011917、EP1097945、WO2001037874、US2006024310、WO2006125229、WO2007056540、WO1994006476、WO2000059530、又はWO2001000229に記載の抗体又はその結合断片であってもよいが、これに限定されるものではない。本発明の一実施形態において、前記TNFαに特異的に結合する抗体は、米国FDA及び欧州EMAなどから承認され、安定して使用することのできる治療用抗体であるadalimumab(商品名Humira、abbvie)であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。このようなTNFαに特異的に結合する抗体は、前述した全長抗体又は抗体断片の形態を何れも含み、IgG抗体の形態であってもよいが、これに限定されない。
【0107】
TNFαは、免疫細胞を調節するサイトカインであり、体内の発熱源として作用して熱を出させて細胞の死滅を誘導し、炎症性サイトカインを産生して自己免疫疾患及び炎症性疾患を引き起こす。TNFαは、主に活性化したマクロファージから分泌されるが、その他の様々な免疫細胞である神経細胞からも分泌される。TNFαの最も重要な役割は、免疫細胞の調節である。過剰発現したTNFαを阻害すれば、自己免疫疾患及び炎症性疾患
を抑制することができる。
【0108】
前記二重特異性抗体は、TNFαと結合し、ヒトTNFαとTNFα受容体(TNFα
Receptor、TNFα Rc)との相互作用を抑制又は阻害し、具体的には、前記二重特異性抗体の構成要素であるTNFαに特異的な二重特異性抗体がTNFαに結合して、TNFαとTNFα受容体との相互作用を抑制又は阻害することを意味し得るが、これに限定されない。
【0109】
本発明の目的上、前記TNFα受容体は、哺乳動物のTNFαに結合するタンパク質であれば、制限なく含まれてもよいが、具体的には、ヒトTNFαに結合するタンパク質を意味し得る。
【0110】
本発明のTNFαに特異的な二重特異性抗体又はその結合断片によるTNFαとTNFα受容体との相互作用の阻害により、TNFαとTNFα受容体の結合によるTNFα/TNFα受容体シグナル伝達を抑制することになる。免疫系でTNFαとTNFα受容体が結合すると、免疫細胞でTNFα/TNFα受容体シグナル伝達が活性化され、これは、OX40L/OX40シグナル伝達経路の作用機序とは異なる機序で免疫細胞分化などを調節し、様々な自己免疫疾患の治療薬として用いられている。
【0111】
したがって、本発明の前記OX40LとTNFαに特異的な二重特異性抗体は、互いに異なる機序で過剰に活性化された免疫細胞に対して抑制能を示し、より優れた自己免疫疾患及び炎症性疾患の治療効果を有する治療薬として用いられる。
【0112】
したがって、OX40L/OX40シグナル伝達及びTNFα/TNFα受容体シグナル伝達を効果的に阻害する本発明の前記OX40及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合断片は、自己免疫疾患及び炎症性疾患を効果的に治療することができ、副作用を最小限に抑えながら治療効果を最大化することができる。
【0113】
本発明の実施形態において、前記TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号89に記載の重鎖CDR1;配列番号90に記載の重鎖CDR2;及び配列番号91に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び
配列番号92に記載の軽鎖CDR1;配列番号93に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号94に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含んでいてもよい。
【0114】
本発明の実施形態において、前記TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、配列番号35のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域及び配列番号36のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含んでいてもよく、具体的には、前記Humiraの可変領域を含んでいてもよい。
【0115】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体の形態は、特に限定されないが、IgG形態の抗体に結合断片がリンカーで連結されている二重特異性抗体を提供する。具体的には、本発明の前記二重特異性抗体は、OX40Lに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、及びTNFαに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片がリンカーで連結されているものであってもよい。
【0116】
本発明の実施形態において、前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32の配列に記載のペプチド又は非ペプチドであってもよい。
【0117】
本明細書において、用語「リンカー(linker)」は、基本的に2つの異なる融合
パートナー(例えば、生体高分子など)を水素結合、静電相互作用、ファンデルワールス力、ジスルフィド結合、塩橋、疎水性相互作用、共有結合などを用いて連結することのできる連結体を意味し、具体的には、生理学的条件又は他の標準ペプチド条件(例えば、ペプチド精製条件、ペプチド保存条件)下で少なくとも1つのジスルフィド結合に関与できる少なくとも1つのシステインを有していてもよく、単にそれぞれの融合パートナーを連結する役割に加えて、融合パートナー間に一定の間隔を付与する役割、又は融合体に柔軟性や剛直性を提供するヒンジ(hinge)としての役割を果たすことができる。前記リンカーは、非ペプチドリンカー又はペプチドリンカーであってもよく、ペプチド結合、ジスルフィド結合などによって直接連結されるものを何れも含んでいてもよい。
【0118】
本発明において、前記リンカーは、特に限定されないが、具体的には、OX40Lに特異的に結合する抗体とTNFαに特異的に結合する抗体とを連結できるポリペプチドであってもよく、より具体的には、前記OX40Lに特異的に結合する抗体のFc領域のC末端又は軽鎖領域のC末端とTNFαに特異的に結合する抗体とを連結できるペプチドリンカーであってもよく、さらに具体的には、GGGGSモチーフが繰り返される形態のアミノ酸配列からなるペプチドリンカーであってもよい。前記GGGGSモチーフは、1~10回繰り返されてもよく、最も具体的には、前記GGGGSモチーフが3回繰り返される配列番号31のアミノ酸配列又は前記GGGGSモチーフが4回繰り返される配列番号32のアミノ酸配列からなってもよいが、これに限定されるものではなく、当業界で通常の知識を有する者が容易に導き出すことのできる範囲内で様々なリンカーが用いられてもよい。
【0119】
本発明において、用語「非ペプチドリンカー」は、繰り返し単位が2つ以上結合された生体適合性リンカーを意味し、前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合によって互いに連結されてもよい。
【0120】
本発明の非ペプチドリンカーは、ポリエチレングリコール(polyethylene
glycol;PEG)単独重合体、ポリプロピレングリコール単独重合体、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエチルエーテルなどの生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン類、ヒアルロン酸又はこれらの組み合わせであってもよい。具体的には、ポリエチレングリコール単独重合体であってもよく、当技術分野で既知のこれらの誘導体及び当該技術分野で容易に作製できる誘導体も本発明の範囲に含まれてもよい。
【0121】
より具体的には、分子量1~5kDaのポリエチレングリコール単独重合体であってもよく、最も具体的には、3.4kDa程度の両末端に二機能性アルデヒド(bifunctional aldehyde)の形態でOX40Lに特異的に結合する抗体とTNFαに特異的に結合する抗体とを連結できるリンカーであってもよい。特に、両末端にアルデヒド反応性基を有する場合、非特異的反応を最小化するのに有効である。
【0122】
前記リンカーを介して直接又は間接的に連結される部位は、特に限定されないが、Fc部分、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fvなどであってもよい。前記二重特異性抗体は、特に限定されないが、前記OX40Lに特異的に結合する抗体の全部又は一部(断片)、及びTNFαに特異的に結合する抗体の全部又は一部(断片)が連結されている形態であってもよい。
【0123】
また、OX40Lに特異的に結合するタンパク質の全部又は一部、及びTNFαに特異的に結合する抗体の重鎖の全部又は一部がペプチドリンカーで連結されている形態;OX40Lに特異的に結合するタンパク質の全部又は一部、及びTNFαに特異的に結合する抗体の軽鎖の全部又は一部がペプチドリンカーで連結されている形態;又はこれらの組み
合わせであってもよい。
【0124】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、免疫グロブリン(ImmunoglobulinG、IgG)形態のOX40Lに特異的に結合する抗体、及びTNFαに特異的に結合する全長抗体、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rIgG又はscFv型の抗体がリンカーで連結されている形態であってもよい。
【0125】
本発明の実施形態において、免疫グロブリン(ImmunoglobulinG、IgG)形態のTNFαに特異的に結合する抗体、及びOX40Lに特異的に結合する全長抗体、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rIgG又はscFv型の抗体がリンカーで連結されている形態であってもよいが、これに限定されない。
【0126】
本発明において、用語「結合断片」は、抗原結合能力を有する断片、例えば、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rIgG及びscFvを含む、抗体の抗原結合形態を含む。特に、前記用語は、scFv(single-chain variavle fragment)を含み、二価(bivalent)又はダイアボディ(Diabody)、トリアボディ(Triabody)、及びテトラボディ(Tetrabody)を含む。
【0127】
本発明において、用語「scFv(single-chain variavle fragment)」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を有する最小抗体断片を意味し、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、前記ドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在してもよい。
【0128】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方の末端に、TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が連結されているものであってもよい。
【0129】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、前記抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が連結されているものであってもよい。具体的には、前記二重特異性抗体は、前記抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片がリンカーを介して連結されていてもよい。例えば、前記二重特異性抗体は、前記抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が配列番号31又は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するリンカーを介して連結されていてもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0130】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方の末端に、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が連結されているものであってもよい。
【0131】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、前記抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が連結されているものであってもよい。具体的には、前記二重特異性抗体は、前記抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片がリンカーで連結されているものであってもよい。例えば、前記抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が配列番号31に記載のアミノ酸配列を有するリンカーを介して連結されていてもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0132】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体の結合断片と抗TNFα抗体の結合断片とがリンカーを介して連結されているものであってもよい。前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するリンカーであってもよい。
【0133】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、
a)配列番号12、13及び14からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR1;配列番号15、16、17及び18からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR2;及び配列番号19、20、21及び22からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び配列番号23及び24からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR1;配列番号25及び26からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27、28、29及び30からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含む、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその結合断片と、
b)配列番号89に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR1;配列番号90に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR2;及び配列番号91に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び配列番号92に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR1;配列番号93に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR2;及び配列番号94に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含む、TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその結合断片とが、
リンカーを介して連結されているものであってもよい。
【0134】
前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するリンカーであってもよい。
【0135】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は:
a)(i)配列番号12に記載の重鎖CDR1;配列番号15に記載の重鎖CDR2及び配列番号19に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号23に記載の重鎖CDR1;配列番号25に記載の重鎖CDR2;及び配列番号27に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその結合断片;
(ii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号16に記載の重鎖CDR2;及び配列番号20に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号28に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;
(iii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号17に記載の重鎖CDR2;及び配列番号21に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号29に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;又は
(iv)配列番号14に記載の重鎖CDR1;配列番号18に記載の重鎖CDR2;及び配列番号22に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号30に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその抗原結合断片と、
b)配列番号89に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR1;配列番号90に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR2;及び配列番号91に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び配列番号92に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR1;配列番号93に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR2;及び配列番号94に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含む、TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその結合断片とが、
リンカーを介して連結されているものであってもよい。
【0136】
前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するリンカーであってもよい。
【0137】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は:
a)配列番号33、37、41、45、49及び53からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域;及び配列番号34、38、42、46、50及び54からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域;を含む抗OX40L抗体又はその結合断片と、
b)配列番号35に記載の重鎖可変領域及び配列番号36に記載の軽鎖可変領域を含む抗TNFα抗体又はその抗原結合断片とが、
リンカーを介して連結されているものであってもよい。
【0138】
前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するリンカーであってもよい。
【0139】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は:
a)(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域;又は(f)配列番号33に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;を含む抗OX40L抗体又はその結合断片と、
b)配列番号35に記載の重鎖可変領域及び配列番号36に記載の軽鎖可変領域を含む抗TNFα抗体又はその抗原結合断片とが、
リンカーを介して連結されているものであってもよい。
【0140】
前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するリンカーであってもよい。
【0141】
例えば、前記二重特異性抗体の構造は、図1に示すような形態の構造を有していてもよい。
【0142】
他の例として、前記二重特異性抗体は、抗OX40L抗体の抗原結合断片と抗TNFα抗体の抗原結合断片とが連結されている構造を有していてもよい。
【0143】
本発明の二重特異性抗体が定常領域を含む場合、前記二重特異性抗体は、具体的には、配列番号5、6、7及び8からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖定常領域;及び配列番号10のアミノ酸配列に記載の軽鎖定常領域の全部又はその一部を含むものであってもよいが、これに限定されない。前記二重特異性抗体が定常領域を含む場合は、前記二重特異性抗体を構成するOX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその結合断片、又はTNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその結合断片が定常領域の全部又は一部を含む場合を意味する。
【0144】
本発明の二重特異性抗体は、人体において十分な効果を示すことのできる物理化学的特性を有し、優れた熱安定性を有する。例えば、前記二重特異性抗体は、50℃を超える温度、具体的には、59℃以上の温度で溶融し、その結合を長期間保持することができ、人体内で約2週間以上の半減期を有することができる。
【0145】
すなわち、本発明によるTNFαに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、及びOX40Lに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む二重特異性抗体は、ヒト由来TNFαとOX40Lに対して強い親和性を示し、OX40Lを発現している細胞(例:免疫細胞)がOX40に結合することを効果的に阻害するだけでなく、TNFαがTNF受容体に結合して炎症性反応を抑制し、自己免疫疾患などの治療においてより著しい治療効果を示すことができる。
【0146】
本発明の二重特異性抗体において、TNFαに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、及びOX40Lに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、それぞれの特異的結合を保持し、特に、それぞれの標的に対する親和性を低下させることなく2つの標的(抗原)を同時に阻害することができるため、同時に2つのシグナルを阻害するが、これは、1つの標的と結合して阻害することよりもさらに効果的であり得る。
【0147】
本発明の実施例では、本発明の二重特異性抗体をコードする核酸(ポリヌクレオチド)をベクターに挿入し、これを動物細胞に導入してOX40L-TNFα結合二重特異性抗体を発現及び単離し、OX40LとTNFαに特異的に結合するOX40L-TNFα二重特異性抗体を作製した。
【0148】
前記二重特異性抗体分子は、OX40L IgG抗体分子とTNFα結合scFvとをリンカーで連結した構造、又はTNFα IgG抗体分子とOX40L結合scFvとをリンカーで連結した構造を有している(図1)。前記動物細胞に導入及び発現したOX40L-TNFα結合二重特異性抗体を単離し、SDS-PAGE法により発現及び純度を確認した(図2)。
【0149】
また、OX40LとTNFαに対する二重特異性抗体のOX40LとTNFαに対する結合能アッセイ(Binding assay)をELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)により分析した結果、OX40L-TNFα結合二重特異性抗体が二重特異性抗体の標的であるOX40L及びTNFαに特異的に結合することを確認した(表32)。
【0150】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は、ヒトOX40Lに3×10-9M以下で結合することができる。具体的には、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、1.5×10-9M、1.3×10-9M、又は1×10-9M以下のKで結合し、ヒトTNFαに対しては、1×10-9M以下のKで結合することができる。具体的には、二重特異性抗体の抗原であるOX40LとTNFαに対する平衡解離定数(equilibrium dissociation constant、K)値をビアコア(Biacore)分析法により測定した結果、前記二重特異性抗体は、ヒトOX40Lに対しては0.4~0.5nMのK値を、ヒトTNFαに対しては0.2~0.5nMのK値を示すことを確認した(表32、図4)。また、in vitro OX40L阻害能が0.2~1.3nMで、対照抗体より著しく優れており、in vitro TNFα阻害能も0.05~0.07nMで、優れていることを確認した(表35、図5)。また、T細胞において免疫活性を遮断する結果を示した(図6)。
【0151】
したがって、本発明の二重特異性抗体は、各抗原に対する結合力を保持しつつもOX40LとTNFαに同時に結合し、前記標的に関連する疾患を効果的に治療することができる。
【0152】
また、本発明の二重特異性抗体は、OX40LとTNFαに同時に結合できるin vitro blockade assay実験により、免疫細胞のOX40LとヒトOX40との結合及びTNFαとTNFα受容体との結合によるそれぞれのシグナル伝達経路
が、二重特異性抗体処理によって効果的に阻害されることを確認した(表35及び図5)。これらの結果より、本発明のOX40LとTNFαに特異的な二重特異性抗体が、それぞれの受容体であるOX40とTNFα受容体との結合を効率的に遮断し、過剰に活性化した免疫系を鎮める効果を示し、OX40LとTNFαに同時に結合して前記標的に関連する疾患を効果的に治療できることが分かる。
【0153】
本発明は、前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体をコードする核酸(ポリヌクレオチド)、前記核酸(ポリヌクレオチド)を含む発現ベクター、及び前記発現ベクターが導入された形質転換体を提供する。
【0154】
本発明において、前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体に関連する核酸(ポリヌクレオチド)、発現ベクター、形質転換体、導入については矛盾しない限り、前述の説明と同様である。
【0155】
本発明は、OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を作製する方法を提供する。
【0156】
具体的には、前記作製方法は、(a)前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む発現ベクターが導入された形質転換体を培養して二重特異性抗体を産生するステップ;及び(b)前記ステップ(a)で産生された二重特異性抗体を回収するステップを含む、OX40LとTNFαに二重特異的に結合する抗体を含んでいてもよい。
【0157】
本発明の前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体の作製方法は、矛盾しない限り、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片に記載の作製方法を実質的に同様に適用してもよい。
【0158】
本発明は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0159】
前記薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでいてもよい。
【0160】
本発明において、用語「薬学的に許容可能な担体」とは、生体を刺激せずに投与化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤をいう。液状溶液として製剤化される組成物において許容される薬学的担体としては、滅菌及び生体に適したものであり、生理食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分のうち1成分以上を混合して用いてもよく、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など、他の通常の添加剤を添加してもよい。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤をさらに添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用製剤、丸薬、カプセル、顆粒、又は錠剤に製剤化してもよい。
【0161】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体は、OX40Lに結合してOX40受容体との結合を阻害することにより過剰に活性化された免疫細胞の阻害に関与することができる。前記OX40L/OX40受容体については、前述の説明と同様である。
【0162】
さらに、前記二重特異性抗体は、OX40Lに加えてTNFαに結合し、TNFαとTNFα受容体との相互作用を阻害するが、これにより、OX40L/OX40シグナル伝
達経路の作用機序とは異なる機序で免疫細胞の分化などを調節し、様々な自己免疫疾患の抑制に関与することができる。
【0163】
したがって、本発明の前記薬学的組成物は、自己免疫疾患又は炎症性疾患を著しく効果的に予防又は治療でき、副作用を最小限に抑え、安全性を高めることができる。
【0164】
本発明において、自己免疫疾患又は炎症性疾患は、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis)を含んでもよい。関節リウマチは、炎症性疾患であるとともに自己免疫疾患として分類される疾患であって、本発明において、用語「自己免疫疾患」、「炎症性疾患」又は「自己免疫疾患及び炎症性疾患」は、関節リウマチを含む。
【0165】
本明細書において、用語「予防」は、疾患の発病を抑制又は遅延させることを意味し、疾患が治療された対象において前記疾患が再発することを抑制又は遅延させることを意味する。
【0166】
本発明において、用語「治療」は、組成物の投与によって自己免疫疾患の症状を改善又は良好に変化させるあらゆる行為を意味し得る。
【0167】
本発明は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【0168】
本発明は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含む薬学的組成物を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【0169】
前記自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療方法は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を個体に投与するステップを含む。
【0170】
前記自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療方法は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又はOX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含む薬学的組成物を個体に投与するステップを含む。
【0171】
前記個体は、自己免疫疾患又は炎症性疾患が発病している、もしくは発病が疑われる個体であってもよく、具体的には、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、イヌ、ヒトなどを含む哺乳動物や鳥類などを含んでもよいが、特にこれに限定されない。
【0172】
前記薬学的組成物は、経口又は非経口の様々な剤形であってもよい。製剤化する場合には、通常用いられる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、一つ以上の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製する。さらに、単なる賦形剤に加えて、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も用いられる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが挙げられるが、よく用いられる単純希釈剤の水、リキッドパラフィン以外にも様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレ
ングリコール、オリーブ油などの植物油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが用いられる。坐剤の基剤としては、ウィテプソール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられる。
【0173】
前記薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択される何れかの剤形を有していてもよい。
【0174】
前記本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体又は前記薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与される。本発明において、用語「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、個体の種類及び重症度、年齢、性別、癌の種類、薬物の活性、薬物に対する感受性、投与時間、投与経路及び排出率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素、及びその他の医学分野で周知の要素に応じて決めることができる。本発明の組成物は、個別の治療薬として投与するか、又は他の治療薬と併用して投与してもよく、従来の治療薬と順次又は同時に投与してもよい。そして、単回又は複数回投与してもよい。前記要素を全て考慮し、副作用なく最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは、当業者によって決められてもよい。
【0175】
ここで、前記組成物は、薬学的に有効な量で単回又は複数回投与してもよい。この場合、組成物は、液剤、散剤、エアロゾル、カプセル剤、腸溶皮錠剤もしくはカプセル剤、又は坐剤の形態で投与してもよい。投与経路には、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、内皮投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与などが含まれるが、これに限定されるものではない。しかし、経口投与の場合、ペプチドが消化されるため、経口組成物は、活性薬剤をコーティングするか、又は胃での分解から保護されるように製剤化されるべきである。さらに、薬学的組成物は、活性物質が標的細胞へ移動可能な任意の装置によって投与されてもよい。
【0176】
また、本発明は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬剤の製造における前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は二重特異性抗体の用途を提供する。
【0177】
本発明は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬剤の製造における前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は二重特異性抗体を含む薬学的組成物の用途を提供する。
【0178】
本発明は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療のための前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は二重特異性抗体の用途を提供する。
【0179】
本発明は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療のための前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は二重特異性抗体を含む薬学的組成物の用途を提供する。
【0180】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体、薬学的組成物、自己免疫疾患、炎症性疾患、予防、又は治療については、矛盾しない限り、前述の説明と同様である。
【0181】
本発明は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含み、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された生物学的試料のOX40Lタンパク質を抗原抗体反応によって検出する、
診断用組成物を提供する。
【0182】
本発明の実施形態において、前記診断用組成物は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の発病有無を診断することができる。
【0183】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体、自己免疫疾患及び炎症性疾患は、矛盾しない限り、前述の説明と同様である。
【0184】
本発明において、用語「診断」は、病理状態の存在又は特徴を確認することを意味する。本発明の目的上、診断は、自己免疫疾患又は炎症性疾患の発病有無を確認することである。
【0185】
本発明の前記自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療方法において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は前記診断用組成物は、本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された試料のOX40Lタンパク質のレベルを測定し、測定されたOX40Lタンパク質のレベルを健常人及び/又は患者対照群の試料と比較して自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するのに用いてもよい。
【0186】
そのためのタンパク質のレベルを測定する方法としては、ウェスタンブロット(Western blot)、ELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay)、放射免疫測定(otA:badioimmunoassay)、放射免疫拡散法(badioimmunodiffusion)、オクタロニー(Ouchterlony)法、ロケット(rocket)免疫電気泳動、組織免疫染色、免疫沈降アッセイ(Immunoprecipitation Assay)、補体固定アッセイ(Complement Fixation Assay)、FACS及びタンパク質チップ(protein Chip)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。前記のような分析方法を用いて、健常人対照群と自己免疫疾患の疑いのある個体におけるOX40Lタンパク質のレベルを比較することができ、これにより、疾患が疑われる患者における自己免疫疾患の発病有無を診断できるようになる。
【0187】
本発明の自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断用組成物は、本発明の抗体に加えて、前記タンパク質のレベルを測定する方法を実施するために必要なものとして当業界で公知のものを制限なくさらに含んでもよい。
【0188】
本発明の診断用組成物が、前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含む場合、前記診断用組成物は、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された生物学的試料のTNFαタンパク質を抗原抗体反応によって検出する組成物であってもよい。具体的には、前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含む場合、前記診断用組成物は、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された生物学的試料のOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つを抗原抗体反応によって検出する組成物であってもよい。
【0189】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体又は前記診断用組成物は、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された試料のOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つのレベルを測定して、自己免疫疾患又は炎症性疾患と判断するために用いてもよい。
【0190】
前記タンパク質のレベルを測定する方法は、矛盾しない限り、前述の説明と同様である。
【0191】
本発明は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体又はこれを診断用組成物として用いた自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法又は診断のための情報の提供方法を提供する。具体的には、本発明は、(a)前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された試料のOX40Lタンパク質のレベルを測定するステップ;及び(b)前記ステップ(a)で測定されたOX40Lタンパク質のレベルを用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するステップを含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法、又は自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報の提供方法を提供する。
【0192】
例えば、測定されたOX40Lタンパク質のレベルを用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するステップは、前記測定されたOX40Lタンパク質のレベルを一般的な健常人及び/又は患者のタンパク質のレベルと比較することによって実施してもよい。
【0193】
本発明は、(a)前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患が疑われる個体の単離された試料のOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つのレベルを測定するステップ;及び(b)前記ステップ(a)で測定されたOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つのタンパク質のレベルを用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するステップを含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法、又は自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報の提供方法を提供する。
【0194】
例えば、測定されたOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つのタンパク質のレベルを用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するステップは、前記測定されたOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つのタンパク質のレベルを一般的な健常人及び/又は患者のOX40Lタンパク質及びTNFαタンパク質のうち少なくとも1つのタンパク質のレベルと比較することによって実施してもよい。
【0195】
本発明は、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報を提供するキットを提供する。
【0196】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体、自己免疫疾患、炎症性疾患、個体、診断及びタンパク質のレベルを測定するステップ(方法)については、矛盾しない限り、前述の説明と同様である。
【0197】
本発明において、用語「試料」は、自己免疫疾患患者においてOX40Lの発現レベルが異なる全血、血清、血液、血漿、唾液、尿、喀痰、リンパ液、脳脊髄液及び細胞間液などの試料を含むが、これに限定されない。
【発明の効果】
【0198】
本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、OX40Lに特異的に結合して受容体間の結合を効果的に阻害するだけでなく、免疫抑制能に優れており、自己免疫疾患、炎症性疾患の治療及び診断分野において著しく優れた効果を示すことができる。
【0199】
さらに、前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体は、OX40LだけでなくTNFαにも強い親和性を示し、人体で長期間結合を保持するため免疫抑制能に優れており、自己免疫疾患、炎症性疾患の治療及び診断分野において著しく優れた効果を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0200】
図1図1は、抗OX40L抗体及びOX40LとTNFαに同時に結合できる二重特異性抗体の構造を例示的に示したものである。図1において、CH1、CH2、CH3は、重鎖の定常領域、CLは、軽鎖の定常領域を意味し、縞模様(又は斜線)で示される部分は、各鎖の可変領域(CDR領域(白)及びフレームワーク領域(有色))を示す。
図2図2は、抗OX40L抗体及びOX40LとTNFαに同時に結合できる二重特異性抗体を産生した後、SDS-PAGEで確認した結果を示したものである。
図3図3は、抗OX40L抗体に対するOX40L抗原のepitope mapping結果をHDX-MSにより分析して示したものである。
図4図4は、二重特異性抗体が、抗原であるOX40LとTNFαに同時に結合できるかをビアコア(Biacore)分析法により測定した結果を示したものである。図4のグラフの横軸は、Time(0=capture_level)であり、縦軸は、Response(0=capture_level)である。
図5図5は、抗OX40L抗体及びOX40LとTNFαに同時に結合できる二重特異性抗体のin vitro blockade assay結果を示したものである。
図6図6は、抗OX40L抗体及びOX40LとTNFαに同時に結合できる二重特異性抗体のT cellのIL-2分泌に関する影響を確認した結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0201】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明が下記実施例により限定されるものではない。
【0202】
実施例1:OX40L特異的抗体クローンの選別
【0203】
実施例1-1:OX40L抗原の準備
【0204】
ヒトOX40Lの抗原は、細胞外ドメインを活用してAccession No.NP_003317のヒトOX40Lアミノ酸配列(配列番号1)の51番目~183番目の
アミノ酸配列(Q51~L183)のN末端にヒスチジンタグを融合させて作製された、アクロバイオシステムズ社から提供されたヒトOX40Lタンパク質(Cat# OXL-H52Q8)を入手して用いた。
【0205】
前記アクロバイオシステムズ社のヒトOX04Lタンパク質(抗原)のアミノ酸配列は、配列番号2に明示した。前記提供された抗原は、HEK293細胞で産生され、16.9kDaの大きさを有する。
【0206】
【表2】

【0207】
実施例1-2:ヒトライブラリーファージの作製
【0208】
多様性を有するヒト由来scFvライブラリー細胞7.5×1010個を、2×YT-glucose-Mgcl2-chloramphenicol(CM)培地に37℃で培養液の吸光度がOD600=0.5~0.7になるまで培養した。
【0209】
前記細胞にヘルパーファージ(helper phage)を感染させ、37℃で約1時間培養した。培養した細胞を遠心分離(5000rpm、4℃、10分)した後、2×YT-IPTG-Mgcl-kanamycine(KM)-CM培地を入れて細胞を再混合し、30℃の振盪培養器で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(5000rpm、4℃、10分)し、上清液に4%PEG(Sigma、81253)、3%NaCl(Junsei、1905-0350)を加えてよく溶かした後、氷で約1時間反応させた。再び遠心分離(7500rpm、4℃、30分)し、ペレットにDPBS(Wellgene、LB001-02)を加えて溶かした後、遠心分離(10000rpm、4℃、10分)してライブラリーファージを含む上清液を得、新しいチューブに入れて5±3℃で保管した。
【0210】
実施例1-3:免疫ライブラリーファージの作製
【0211】
実施例1-1のヒトOX40L抗原(配列番号2)で、Balb/C mouseとSD RATを用いて免疫ライブラリーファージを作製した。
【0212】
7週齢のBalb/Cマウス10匹と8週齢の雄SD RAT4匹を純化した後、0日目、21日目、42日目、63日目にヒトOX40L抗原で免疫を行い、84日目に脾臓を摘出してRNAを溶出した。溶出したRNAを用いてcDNAを合成し、重鎖可変部と軽鎖可変部を増幅した。重鎖可変部と軽鎖可変部を混合し、scFv型に増幅されたDNAをファージベクター(pYG100)に挿入して、RAT由来の免疫scFvライブラ
リー細胞を作製した。作製した細胞を2×YT-glucose-Mgcl2-chloramphenicol(CM)培地に37℃で培養液の吸光度がOD600=0.5~0.7になるまで培養した。
【0213】
前記培養した細胞にヘルパーファージ(helper phage)を感染させ、37℃で約1時間培養した。培養した細胞を遠心分離(5000rpm、4℃、10分)した後、2×YT-IPTG-Mgcl-kanamycine(KM)-CM培地を入れて細胞を再混合し、30℃の振盪培養器で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(5000rpm、4℃、10分)し、上清液に4%PEG(Sigma、81253)、3%NaCl(Junsei、1905-0350)を加えてよく溶かした後、氷で約1時間反応させた。再び遠心分離(7500rpm、4℃、30分)し、ペレットにDPBS(Wellgene、LB001-02)を加えて溶かした後、遠心分離(10000rpm、4℃、10分)してライブラリーファージを含む上清液を得、新しいチューブに入れて5±3℃で保管した。
【0214】
実施例1-4:ファージディスプレイ(phage display)のパンニング(panning)
【0215】
ヒトOX40Lに結合するOX40L抗体を選別するために、免疫試験管(immunotube)に実施例1-1のヒトOX40Lタンパク質を含む溶液を1~10μg/mLの濃度で添加し、5±3℃で一晩免疫試験管の表面にOX40Lタンパク質を吸着させた後、ウシ血清アルブミン1%溶液を試験管に添加して、OX40Lが吸着していない表面を保護した。試験管を空にした後、1%ウシ血清アルブミン溶液に分散した1012CFUのヒト抗体ファージライブラリー(実施例1-2)又は免疫ファージライブラリー(実施例1-3)を試験管に入れて抗原と結合させた。非特異的に結合したファージをPBS-T(Phosphate buffered saline-0.05%Tween20)溶液で5~20回洗浄し、DPBSで1~5回さらに洗浄した後、残っている抗原特異的ファージ抗体を0.1M TAE溶液を用いて回収した。
【0216】
前記回収されたファージを1Mトリスバッファー(pH7.5)で中和した後、XL1Blue大腸菌に37℃で1時間感染させ、感染した大腸菌をSOBCGプレートにガラスビーズを用いて塗抹し、37℃の培養器で約16時間培養した。翌日、培養した大腸菌を4mlのSB(superbroth)カルベニシリン培養液に懸濁し、15%グリセロールを添加して一部は-80℃に保管し、残りのうち50μlを20mlのSBカルベニシリン培養液に2%ブドウ糖溶液(glucose)を添加して37℃で培養した。培養液の吸光度が600nmで0.6になったら遠心分離して培養液を除去し、これを再び20mlのSBカルベニシリン培養液に懸濁した後、1012PFUのM13ヘルパーファージを入れてゆっくり撹拌しながら37℃で培養した。翌日、培養液を遠心分離して培養液のみを取り、ポリエチレングリコールと塩化ナトリウム(NaCl)を加えて4℃で30分間沈殿させた後、遠心分離した。上清液を除去し、沈殿したファージをPBS 1mlに懸濁させ、これをライブラリーとして用いて前記パンニング工程を3~5回繰り返すことによって、抗原特異的クローンを増幅/濃縮した。
【0217】
実施例1-5:ファージパンニング後の特異的クローンの選別
【0218】
ヒトOX40Lタンパク質と結合する抗体(scFv)を選別するために、以下の2つの方法のうち1つを用いて抗原特異的クローンを選別した。
【0219】
第1に、パンニングを行った後、寒天培地に塗抹培養して単一コロニーを得、これを1~1.5mLの培養液に接種、培養した後、IPTGに誘導し、scFv型のタンパク質
を大腸菌で発現した。大腸菌培養物を遠心分離して上清液を得、これをELISA法によって組換えヒトOX40L抗原とscFvとの結合を確認するために用いた(Steinberger.Rader and BarbasIII.2000.Phage display vectors.In:Phage Display Laboratory Manual.1sted.ColdSpringHarborLaboratoryPress.NY.USA.pp.11.9-11.12)。結合したscFvは、HRP(Horseradish peroxidase)-anti-His抗体とテトラメチルベンジジン(TMB)基質を用いて検出した。
【0220】
第2に、パンニングを行った後、SOBCGプレートから単一のファージを得、これを1mLずつ培地を分注したdeep well plateに接種し、16時間37℃で振盪培養した。増幅された細胞を10倍希釈してdeep well plateに再び接種し、OD600で0.5になるまで37℃の振盪培養器で培養した。OD600で0.5に達したら、M13 helper phageを10CFUレベルで入れ、37℃の静置培養器で30分間、37℃の振盪培養器で30分間感染させた。感染が終わったら遠心分離して細胞を沈殿させて上清液を得、ELISA法によってヒトOX40L抗原と結合するscFvを確認した。結合したscFvは、HRP(Horseradish
peroxidase)-anti-M13抗体とテトラメチルベンジジン(TMB)基質を用いて検出した。
これらより確認された抗原特異的抗体(scFv)クローンは、塩基配列分析法により分析した。
【0221】
実施例2:抗OX40L抗体の作製
【0222】
前記実施例1-5で得られた抗体可変領域(scFv)に対する配列に基づいて、重鎖可変領域を重鎖定常領域(配列番号8)と連結し、軽鎖可変領域は軽鎖定常領域(配列番号10)と連結して作製した。前記抗体を02C09、Hu3F07、10H07、21G07、I3F07と名付けた。
【0223】
【表3-1】


【表3-2】

【0224】
(1)抗OX40L抗体02C09
【0225】
02C09抗体は、配列番号12で示される重鎖CDR1;配列番号15で示される重鎖CDR2;配列番号19で示される重鎖CDR3;配列番号23で示される軽鎖CDR1;配列番号25で示される軽鎖CDR2;配列番号27で示される軽鎖CDR3を含む。
【0226】
抗OX40L抗体02C09は、pcDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株を用いて作製した。
【0227】
遺伝子の細胞内送達効率を高めるポリマーであるPEIを用いて、抗OX40L抗体02C09をコードする遺伝子を含む発現ベクターを形質導入した浮遊FreeStyle(商標) 293-F動物細胞を500mL培養用三角フラスコ(Corning)で瓶1本当たり200mLで培養し、必要に応じて大量培養した。
【0228】
形質導入されたFreeStyle(商標) 293-F細胞は、37℃、8%CO条件下で浮遊培養し、培地は、FreeStyle(商標) 293 Expression Medium AGT(商標)(Invitrogen、AG1000D9P1)を用いて培養した。過剰発現させる場合は、培養培地5mL中にPEI(Polysciences、23966-2)500μgと過剰発現させようとするDNAを125μg混合して行った。DNA-PEIを入れてから約24時間後に10%soytone(BD、212488)を10mL入れ、約5日間さらに培養した後、上清液のみを得て抗体の精製に用いた。
【0229】
抗体を精製するために、一次的に組換えプロテイン-Aセファロースカラムを用いて抗体を培養液から精製した。純度の向上が必要なときは、一次精製生成物を用いて二次精製を行った。その際には、Superdex200 gel filtration chromatography又はヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを用いて精製し
た。
【0230】
【表4】

【0231】
【表5】

【0232】
(2)抗OX40L抗体Hu3F07
【0233】
Hu3F07抗体は、配列番号13で示される重鎖CDR1;配列番号16で示される重鎖CDR2;配列番号20で示される重鎖CDR3;配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;配列番号28で示される軽鎖CDR3を含
む。
【0234】
抗OX40L抗体Hu3F07は、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0235】
【表6】

【0236】
【表7】

【0237】
(3)抗OX40L抗体10H07
【0238】
10H07抗体は、配列番号13で示される重鎖CDR1;配列番号17で示される重鎖CDR2;配列番号21で示される重鎖CDR3;配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;配列番号29で示される軽鎖CDR3を含む。
【0239】
抗OX40L抗体10H07は、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株
を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0240】
【表8】

【0241】
【表9】

【0242】
(4)抗OX40L抗体21G07
【0243】
21G07抗体は、配列番号14で示される重鎖CDR1;配列番号18で示される重鎖CDR2;配列番号22で示される重鎖CDR3;配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;配列番号30で示される軽鎖CDR3を含む
【0244】
抗OX40L抗体21G07は、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0245】
【表10】

【0246】
【表11】

【0247】
(5)抗OX40L抗体I3F07
【0248】
I3F07抗体は、配列番号13で示される重鎖CDR1;配列番号16で示される重鎖CDR2;配列番号20で示される重鎖CDR3;配列番号24で示される軽鎖CDR1;配列番号26で示される軽鎖CDR2;配列番号28で示される軽鎖CDR3を含む。
【0249】
抗OX40L抗体I3F07は、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株
を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0250】
【表12】

【0251】
【表13】

【0252】
実施例3:OX40LとTNFαを標的とする二重特異性抗体の作製
【0253】
前記実施例2で作製されたヒトOX40Lと結合する抗体(02C09、Hu3F07、I3FO7)又はその断片(scFv)を、リンカーを用いて抗TNFα抗体(TNFαi抗体(Humira))又はその断片(scFv)と連結し、ヒトTNFαにも結合できる二重特異性抗体を作製した(図1参照)。
【0254】
具体的には、前記二重特異性抗体は、(i)抗OX40L抗体の重鎖定常領域C末端に抗TNFα抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをリンカーで連結した形態と;(ii)
抗OX40L抗体の軽鎖定常領域C末端に抗TNFα抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをリンカーで連結した形態と;(iii)抗TNFα抗体の重鎖定常領域C末端に抗OX40L抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをリンカーで連結した形態と;(iv)抗TNFα抗体の軽鎖定常領域C末端に抗OX40L抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをリンカーで連結した形態で作製し、それぞれIgG-scFv-結合位置の順に02C09-TNFαi HC、02C09-TNFαi LC、hu3F07-TNFαi HC、hu3F07-TNFαi LC、TNFαi-02C09 HC、TNFαi-02C09 LC、TNFαi-hu3F07 HC、TNFαi-hu3F07 LC、I3F07-TNFαi HC、I3F07-TNFαi LC、TNFαi-I3F07 HC、TNFαi-I3F07 LCと名付けた。
【0255】
前記リンカーは、配列番号31で示されるGGGGSGGGGSGGGGSを用いた。
【0256】
【表14】

【0257】
【表15】

【0258】
前記TNFαi抗体は、前記実施例2の抗OX40L抗体の産生(作製)方法と実質的に同様の方法であり、前記TNFα抗体の重鎖可変領域を重鎖定常領域(配列番号8)と連結し、軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域(配列番号10)と連結して作製した。
【0259】
(1)二重特異性抗体02C09-TNFαi HC
【0260】
前記二重特異性抗体02C09-TNFαi HCは、抗OX40L抗体02C09の重鎖定常領域C末端に、TNFαi抗体(Humira)の重鎖可変領域(配列番号35)とTNFαi抗体(Humira)の軽鎖可変領域(配列番号36)とがリンカー(配列番号32)で連結されているTNFαi抗体の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0261】
二重特異性抗体02C09-TNFαi HCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitorgen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0262】
【表16-1】


【表16-2】

【0263】
(2)二重特異性抗体02C09-TNFαi LC
【0264】
02C09-TNFαi LCは、抗OX40L抗体02C09の軽鎖定常領域C末端に、Humira重鎖可変領域(配列番号35)とHumira軽鎖可変領域(配列番号36)とがリンカー(配列番号32)で連結されているTNFαi抗体の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0265】
二重特異性抗体02C09-TNFαi LCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0266】
【表17-1】


【表17-2】

【0267】
(3)二重特異性抗体Hu3F07-TNFαi HC
Hu3F07-TNFαi HCは、抗OX40L抗体hu3F07の重鎖定常領域C末端に、TNFαi抗体の重鎖可変領域(配列番号35)とTNFαi抗体の軽鎖可変領域(配列番号36)とがリンカー(配列番号32)で連結されているTNFαi抗体の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0268】
二重特異性抗体Hu3F07-TNFαi HCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0269】
【表18-1】


【表18-2】

【0270】
(4)二重特異性抗体Hu3F07-TNFαi LC
【0271】
Hu3F07-TNFαi LCは、抗OX40L抗体hu3F07の軽鎖定常領域C末端に、TNFαi抗体の重鎖可変領域(配列番号35)とTNFαi抗体の軽鎖可変領域(配列番号36)とがリンカー(配列番号32)で連結されているTNFαi抗体の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0272】
二重特異性抗体Hu3F07-TNFαi LCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0273】
【表19-1】

【表19-2】

【0274】
(5)二重特異性抗体TNFαi-02C09 HC
【0275】
TNFαi-02C09 HCは、TNFαi抗体(Humira)の重鎖定常領域C末端に、抗OX40L抗体02C09の重鎖可変領域(配列番号37)と抗OX40L抗体02C09の軽鎖可変領域(配列番号38)とがリンカー(配列番号32)で連結されている抗OX40L抗体02C09の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0276】
二重特異性抗体TNFαi-02C09 HCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0277】
【表20-1】


【表20-2】

【0278】
(6)二重特異性抗体TNFαi-02C09 LC
【0279】
TNFαi-02C09 LCは、TNFαi抗体の軽鎖定常領域C末端に、抗OX40L抗体02C09の重鎖可変領域(配列番号37)と抗OX40L抗体02C09の軽鎖可変領域(配列番号38)とがリンカー(配列番号32)で連結されている抗OX40L抗体02C09の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0280】
二重特異性抗体TNFαi-02C09 LCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0281】
【表21-1】


【表21-2】

【0282】
(7)二重特異性抗体TNFαi-hu3F07 HC
【0283】
TNFαi-hu3F07 HCは、TNFαi抗体の重鎖定常領域C末端に、抗OX40L抗体hu3F07の重鎖可変領域(配列番号41)と抗OX40L抗体hu3F07の軽鎖可変領域(配列番号42)とがリンカー(配列番号32)で連結されている抗OX40L抗体hu3F07の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0284】
二重特異性抗体TNFαi-hu3F07 HCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0285】
【表22-1】


【表22-2】

【0286】
(8)二重特異性抗体TNFαi-hu3F07 LC
【0287】
TNFαi-hu3F07 LCは、TNFαi抗体の軽鎖定常領域C末端に、抗OX40L抗体hu3F07の重鎖可変領域(配列番号41)と抗OX40L抗体hu3F07の軽鎖可変領域(配列番号42)とがリンカー(配列番号32)で連結されている抗OX40L抗体hu3F07の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0288】
二重特異性抗体TNFαi-02C09 LCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0289】
【表23-1】


【表23-2】

【0290】
(9)二重特異性抗体I3F07-TNFαi HC
【0291】
前記二重特異性抗体I3F07-TNFαi HCは、抗OX40L抗体I3F07の重鎖定常領域C末端に、TNFαi抗体(Humira)の重鎖可変領域(配列番号35)とTNFαi抗体(Humira)の軽鎖可変領域(配列番号36)とがリンカー(配列番号32)で連結されているTNFαi抗体の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0292】
二重特異性抗体I3F07-TNFαi HCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitorgen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0293】
【表24-1】


【表24-2】

【0294】
(10)二重特異性抗体I3F07-TNFαi LC
【0295】
I3F07-TNFαi LCは、抗OX40L抗体I3F07の軽鎖定常領域C末端に、Humiraの重鎖可変領域(配列番号35)とHumiraの軽鎖可変領域(配列番号36)とがリンカー(配列番号32)で連結されているTNFαi抗体の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0296】
二重特異性抗体I3F07-TNFαi LCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-F(Invitrogen)の動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0297】
【表25-1】

【表25-2】

【0298】
(11)二重特異性抗体TNFαi-I3F07 HC
【0299】
TNFαi-I3F07 HCは、TNFαi抗体の重鎖定常領域C末端に、抗OX40L抗体I3F07の重鎖可変領域(配列番号53)と抗OX40L抗体I3F07の軽鎖可変領域(配列番号54)とがリンカー(配列番号32)で連結されている抗OX40L抗体I3F07の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0300】
二重特異性抗体TNFαi-I3F07 HCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0301】
【表26-1】


【表26-2】

【0302】
(12)二重特異性抗体TNFαi-I3F07 LC
【0303】
TNFαi-I3F07 LCは、TNFαi抗体の軽鎖定常領域C末端に、抗OX40L抗体I3F07の重鎖可変領域(配列番号53)と抗OX40L抗体I3F07の軽鎖可変領域(配列番号54)とがリンカー(配列番号32)で連結されている抗OX40L抗体I3F07の結合断片(ScFv)が、リンカー(配列番号31)で連結されている。
【0304】
二重特異性抗体TNFαi-I3F07 LCは、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)とFreeStyle(商標) 293-Fの動物細胞株を用いて作製した。具体的な培養条件、培養方法、及び精製方法は、前記(1)抗OX40L抗体02C09で説明したものと実質的に同様にして行った。
【0305】
【表27-1】


【表27-2】

【0306】
また、前記実施例2の抗OX40L抗体の産生(作製)方法と実質的に同様の方法で、抗OX40L抗体であるoxelumabのVHとVLのsequence(配列番号33及び34)を用いてreference抗体である抗OX40L抗体(以下、Ref.Ab又はO4L)を作製し、抗TNFα抗体であるHumiraのVHとVL sequence(配列番号35及び36)を用いてreference抗体である抗TNFα抗体(以下、Ref.TNFαi又はHumira)を作製した。
【0307】
【表28】

【0308】
【表29】

【0309】
前記作製した抗体O4L及び前記Ref.TNFαiを用いて、前記実施例3の二重特異性抗体の産生(製造)方法と実質的に同様の方法で、抗OX40L-TNFαi HC及びLC抗体(以下、それぞれO4L-TNFαi HC及びO4L-TNFαi LC)を作製した。
【0310】
【表30-1】


【表30-2】

【0311】
【表31-1】


【表31-2】

【0312】
実験例1:抗体の分析
【0313】
実施例2で得られた抗OX40L抗体及び実施例3で得られた二重特異性抗体をSDS-PAGE分析し、その結果を図2に示した。
【0314】
実験例2:抗OX40L抗体に対するOX40L抗原のepitope
【0315】
抗OX40L抗体に対するOX40L抗原のepitopeを、HDX-MSにより分析を行った。0.12~2.00M Urea、0.12~1.00M TCEP(pH2.6)quench bufferとpepsin columnを用い、5つのtime pointsに対してDOベースの緩衝溶液でlabelingして分析した。データは、PLGSとDynamXを用いて処理し、図3のような結果を得た。
【0316】
実験例3:抗体の特性
【0317】
実験例3-1.抗OX40L抗体及び二重特異性抗体の抗原に対する平衡解離定数(K)分析
【0318】
前記実施例2及び3で単離、精製された抗OX40L抗体及びOX40LとTNFαを同時に制御する二重特異性抗体の抗原に対する親和性を以下のように分析した。
【0319】
前記抗体のうち抗OX40L抗体は、ヒトOX40L(配列番号2)との結合力を確認し、OX40L、TNFα二重特異性抗体は、ヒトOX40L(配列番号2)とヒトTNFα(アクロバイオシステムズ社のTNF-H5228)に対してそれぞれ結合力を確認した(表32)。
【0320】
SPR(Surface Plasmon Resonance)分析は、Bicore T200を用い、running bufferは、HBS-EP(10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.15%surfactant P20)を用いた。Human antibody capture ki
t(anti-hFc antibody)を用いてamine coupling法によりCM5チップの表面に固定した。ヒトOX40L又はヒトTNFαをrunning
bufferで10nMに希釈した後、1/2連続希釈して5濃度区間で分析した。抗体の濃度は、抗体を0.2μmフィルターで滅菌濾過し、吸光度(A280)を測定して確認した。分析試料は、最小希釈倍数100以上となるように高純度/高濃度で用意し、緩衝液の変化による影響(Buffer effect)を最小化した。全ての分析の間には再活性化ステップ(regeneration step)を設けて実験のベースラインが一定に保てるようにした。Biacore分析結果は、表32及び図4の通りである。
【0321】
図4において、Ag1は、ヒトOX40Lを示し、Ag2は、ヒトTNFαを示す。
【0322】
【表32】

【0323】
前記表32から確認できるように、実施例2の抗OX40L抗体は、OX40Lに、実施例3の二重特異性抗体は、OX40L及びTNFαの両方に強く結合することが確認できた。具体的には、抗OX40L抗体及び二重特異性抗体の何れもOX40Lとの結合力はnMレベルであり、特に、二重特異性抗体は、TNFαとの結合力もnMレベルであることを確認した。前記結果は、二重特異性抗体がそれぞれの抗原に対して結合能を妨げられることなく高いレベルを保持することを示唆している。
【0324】
実験例3-2.抗OX40L抗体及び二重特異性抗体の熱安定性試験
【0325】
実施例3の二重特異性抗体及び実施例2の抗OX40L抗体の熱安定性に関する特性を確認するために試験を行った(表33)。
【0326】
抗体をDPBSに希釈して3μM/45μLを作製した後、200×sypro orange dye(#S6650、Thermo)5μLと混合し、qPCR Tube(#B77009、B57651、bioplastics)に50μLずつ分注した。
Biorad CFX96 real time PCR機器を用いてqPCRを行った。qPCRの条件は、25℃で30秒間反応させた後、99℃まで1℃ずつ昇温しながら各温度で1分間反応させ、最後に25℃で10秒間反応させた後終了した。抗体の構造が解ける速度定数としては、Tm(Melting temperature、溶融温度)を用い、その結果は、下記表33の通りである。
【0327】
【表33】

【0328】
前記表から確認できるように、抗OX40L抗体と二重特異性抗体の融解温度は、59~65℃の間であり、前記結果は、二重特異性抗体も抗OX40L抗体と同様の熱安定性を有することを示す。
【0329】
実験例3-3.抗OX40L抗体及び二重特異性抗体のPK(Pharmacokinetics analysis)
【0330】
実施例3の二重特異性抗体及び実施例2の抗OX40L抗体を投与したときの薬物動態を確認するために分析を行った(表34)。
【0331】
薬物反応が一定していて安定した供給システムを備えているため、薬物動態試験に広く用いられるSprague-Dawley系の雄Ratを用いた。試験は、絶食せずに行い、7週齢の雄Sprague-Dawley(SD)ratを3匹ずつ用い、5mpk(2.5~2.4mg/ml)で単回静脈投与(IV bolus)した。投与後、3min、3、8、24、48、72、96、120、144、168-hrで合計10回頸静脈で約150ul/time point採血し、抗凝固剤としてSodium heparinを用いて単離し、試料は、遠心分離(12,000rpm、3min)により約70μの血漿を得、その直後に超低温冷凍庫に保管した。実験中は1日1回以上一般症状を観察した。最後の採血後、実験動物は、CO吸入により安楽死させた。
【0332】
PK試験により得られたPlasmaは、分析装置のGyrolab xPlore(登録商標)(Cat.#P0020300、GYROS PROTEIN)とGyrolab PK kit(Cat.#P0020499、GYROS PROTEIN)により分析した。Gyrolabからの結果値をBA Calc 2007 1.0.0又はPK Solver 2.0プログラムを用いてAUC(last)、AUC(inf)、Cmax、Tmax、Half lifeなどのparameter値を得た。その結
果は、表34の通りである。
【0333】
【表34】

【0334】
実施例2の抗OX40L抗体の半減期は、それぞれ3.6day、4.0dayであり、実施例3の二重特異性抗体は、3.6~6.0dayで観察された。
したがって、ヒトにおいても約2週間以上の半減期を示すことができると推測できる。
【0335】
実験例4:抗体の効能
【0336】
実験例4-1.抗体のシグナル抑制能の評価(1)
【0337】
実施例2の抗OX40L抗体と実施例3の二重特異性抗体(Hu3F07-TNFαi
HC、02C09-TNFαi HC、O4L-TNFαi HC)の活性評価実験は、OX40L/OX40遮断バイオアッセイキット(blockade bioassay kit:Promega CS197706)とTNFα/TNFα Rc遮断バイオアッセイキット(blockade bioassay kit:Promega CS177503)を用いて行った(表35、図5)。
【0338】
(1)OX40L/OX40遮断バイオアッセイキットを用いて、実施例2の抗OX40L抗体及び実施例3の二重特異性抗体の活性を評価した。
【0339】
NFκB-luc2/OX40 Jurkat cellをRPMI1640(10%FBS)培養液に浸し、37℃、5%COincubatorで一晩静置培養した。
翌日、細胞に反応させる抗原と抗体を準備した。RPMI1640(10%FBS)培養液においてOX40L抗原を細胞に取り入れたときの最終濃度が15ng/mLとなるように準備した。抗OX40L抗体と二重特異性抗体及び対照抗体は、細胞に取り入れたときに開始濃度の最終濃度が33μg/mLとなるように希釈した後、1/3ずつ階段希釈して9段階で準備した。10番目の濃度は0で培養液に置き換えて合計10段階の濃度勾配となるように準備した。準備した抗原希釈液と抗体希釈液をそれぞれ25μLずつ細胞に分注した。各試料が3反復となるように分注した。分注後、細胞と抗原希釈液、抗体希
釈液が合計100μLとなるようにした。COincubatorで約5時間反応さ
せた。
【0340】
Bio-Gloを75μLずつ分注して約10分間反応させ、microplatereaderによりluminescenceで試料を分析した後、4-parameter(X軸log(concentration))で分析した。
【0341】
抗体の濃度単位であるμg/mLでIC50分析結果をnMに換算して最終IC50を求めた。これは、抗OX40L抗体は150kDaであり、二重特異性抗体は200kDaであるため、同一条件で見るためであった。
【0342】
(2)TNFα/TNFα Rc遮断バイオアッセイキットを用いて二重特異性抗体の活性を評価した。
【0343】
NFκB-RE HEK293 cell DMEM(10%FBS)培養液に入れ、37℃、5%COincubatorで静置培養した。細胞に反応させる抗原と抗体
を準備した。DMEM(10%FBS)培養液にTNFα抗原を希釈して細胞に反応させるとき、最終濃度は3ng/mLとなるようにした。二重特異性抗体と対照抗体であるHumira(Ref.TNFαi)の開始濃度を10nMの濃度でDMEM(10%FBS)培養液に希釈した後、1/2ずつ階段希釈して8段階で準備した。細胞に反応させるとき、最終濃度は、開始濃度が0.8nMとなるようにした。
【0344】
準備した抗原希釈液と抗体希釈液を3:2で混合し、20μLずつ細胞に分注した。各試料が2反復となるように分注した。分注後、COincubatorで約4時間反
応させた。
【0345】
Bio-Gloを100μLずつ分注して反応させ、microplatereaderによりluminescenceで試料を分析した後、4-parameter(X軸log(concentration))で分析してIC50を求めた。
【0346】
前記IC50値は、下記表35及び図5の通りである。
【0347】
【表35】

【0348】
前記表35及び図5から分かるように、実施例2及び3による二重特異性抗体及び抗OX40L抗体のOX40L blocking能力は、1.3×10-9M(nM)以下のレベルであり、特に、抗OX40L抗体のOX40L blocking能力は、0.9×10-9M(nM)以下のレベルであり、二重特異性抗体は、TNFαのblocking能力も1×10-9M(nM)以下のレベルで、著しく優れたblocking能力を示すことが分かった。すなわち、本発明の抗OX40L抗体は、優れたOX40L blocking能力を示し、前記抗体を用いて作製した二重特異性抗体は、OX40LだけでなくTNFαに対しても優れたblocking能力を示すことが分かる。
【0349】
実験例4-2.抗体のシグナル抑制能の評価(2)
【0350】
実施例3の二重特異性抗体(02C09-TNFαi LC、TNFαi-02C09
HC、TNFαi 02C09 LC)の活性をTNFα/TNFα Rc遮断バイオアッセイキット(blockade bioassay kit:Promega CS1775036)を用いて評価した(表36)。具体的な評価条件及び方法は、前記実験例4-1.抗体のシグナル抑制能の評価(1)で説明したものと実質的に同様である。
【0351】
【表36】

【0352】
前記表36から分かるように、実施例3の二重特異性抗体02C09-TNFαi LC、TNFαi-02C09 HC、TNFαi 02C09 LCのTNFα blocking能力は、1×10-9M(nM)以下のレベルであり、優れたblocking能力を示すことが分かった。
【0353】
実験例4-3.抗体のシグナル抑制能の評価(3)
【0354】
実施例3の二重特異性抗体(I3F07-TNFαi HC、I3F07-TNFαi
LC、TNFαi-I3F07 HC、TNFαi-I3F07 LC)の活性をOX40L/OX40遮断バイオアッセイキット(blockade bioassay kit:Promega CS197706)とTNFα/TNFα Rc遮断バイオアッセイキット(blockade bioassay kit:Promega CS177503)を用いて評価した(表37)。具体的な評価条件及び方法は、前記実験例4-1.抗体のシグナル抑制能の評価(1)で説明したものと実質的に同様である。
【0355】
【表37】

【0356】
前記表37から分かるように、実施例3の二重特異性抗体のOX40L blocking能力は、1×10-9M(nM)以下のレベルであり、TNFαのblocking能力も1×10-9M(nM)以下のレベルで、優れたblocking能力を示すことが分かった。
【0357】
実験例4-4.抗体の免疫細胞活性阻害能の評価
【0358】
実施例2の抗OX40L抗体及び実施例3の二重特異性抗体の効能を評価するために、健常人のPBMC(peripheral blood mononuclear ce
ll)及び関節リウマチ(RA)患者のPBMCを用いて免疫細胞の活性阻害能を確認した(図6)。
【0359】
前記方法により健常人のPBMC及びRA患者のPBMCからそれぞれT細胞を単離し、T細胞が活性化したときに分泌されるサイトカインであるIL-2の分泌減少レベルを分析した。
【0360】
健常人及び患者のPBMCからそれぞれT細胞を分画するために、anti CD3(R&D systems、MAB100)を100ng/wellに希釈し、96wellに約16時間5±3で付着させた。付着液を除去した後、PBSで洗浄した。LGM-3(10%FBS、1%P/S)にDNase Iを20U/mLとなるように希釈した後、健常人のPBMCを入れて混合液を製造し、遠心分離(200g、15分)して上清液を除去し、LGM-3(10%FBS、1%P/S)を用いて健常人のPBMCが1×10cell/mLとなるように希釈した後分注した。ヒトOX40L(ACROBIOSYSTEMS社、OXL-H52Q8)とヒトTNFα(SINO BIOLOGICAL、10602-HNA)をLGM-3(10%FBS、1%P/S)に希釈して分注した健常人のPBMCに50μLずつ添加した。抗OX40L抗体及び二重特異性抗体をLGM-3(10%FBS、1%P/S)に800ng/mLで作製した後、1nMとなるように希釈した。PBMCから単離したT細胞とヒトOX40L、ヒトTNFαを入れたplateに50μLずつ分注して混ぜた。約24~72時間後に上清液のみを回収してIL-2を測定し、その結果を図6に示した。
【0361】
図6において、Aは、健常人のPBMC由来のT cell assay結果を示し、
Bは、患者のPBMC由来のT cell assay結果を示す。
【0362】
図6から確認できるように、本発明の二重特異性抗体を投与するとIL-2が減少する傾向を示すことが確認できる。特に、RA患者のPBMC由来のT cell結果を見ると、本発明の二重特異性抗体は、Humira(Ref.TNFαi)に対し、RA患者のPBMC由来のT cellにおいてIL-2発現を著しく減少させたことが確認できる。これは、本発明の二重特異性抗体がRAに有効な治療用抗体として作用可能であって、特に、Humiraに不応性のRA患者においても有効に作用できることを意味する。
【0363】
したがって、本発明の抗OX40L抗体と二重特異性抗体は、過剰に活性化された免疫系を鎮めることができ、自己免疫疾患に優れた治療効果を示すことが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2023554200000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OX40L(OX40リガンド)に特異的に結合し、OX40LとOX40受容体との相互作用を阻害する、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3及び4からなる群から選択されるアミノ酸配列に記載の1つ以上のエピトープに結合するものである、請求項1に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、ヒトOX40Lに1×10-9M以下のKで結合し、ここで、前記Kは、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance;Biacore)分析によって測定されたものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号12、13及び14からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR1;配列番号:15、16、17及び18からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR2;及び配列番号:19、20、21及び22からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号23及び24からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR1;配列番号25及び26からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27、28、29及び30からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(i)配列番号12に記載の重鎖CDR1;配列番号15に記載の重鎖CDR2及び配列番号19に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号23に記載の軽鎖CDR1;配列番号25に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(ii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号16に記載の重鎖CDR2;及び配列番号20に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号28に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(iii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号17に記載の重鎖CDR2;及び配列番号21に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号29に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;又は
(iv)配列番号14に記載の重鎖CDR1;配列番号18に記載の重鎖CDR2;及び配列番号22に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号30に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片である、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号37、41、45、49及び53からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域;及び
配列番号38、42、46、50及び54からなる群から選択される1つのアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含むものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;
(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;
(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;
(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;又は
(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域;
を含むものである、請求項1又は2に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号5、6、7及び8からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖定常領域;及び
配列番号10のアミノ酸配列に記載の軽鎖定常領域を含むものである、請求項7に記載の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;及びTNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を含む、二重特異性(bispecific)抗体。
【請求項10】
前記二重特異性抗体は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片と抗TNFα抗体又はその抗原結合断片とが連結されているものである、請求項9に記載の二重特異性抗体。
【請求項11】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3及び4からなる群から選択されるアミノ酸配列に記載の1つ以上のエピトープに結合するものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号12、13及び14からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR1;配列番号15、16、17及び18からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR2;及び配列番号19、20、21及び22からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号23及び24からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR1;配列番号25及び26からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27、28、29及び30からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項13】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(i)配列番号12に記載の重鎖CDR1;配列番号15に記載の重鎖CDR2及び配列番号19に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号23に記載の軽鎖CDR1;配列番号25に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(ii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号16に記載の重鎖CDR2;及び配列番号20に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号28に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;
(iii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号17に記載の重鎖CDR2;及び配列番号21に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号29に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片;又は
(iv)配列番号14に記載の重鎖CDR1;配列番号18に記載の重鎖CDR2;及び配列番号22に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号30に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片である、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項14】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号33、37、41、45、49及び53からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域;及び
配列番号34、38、42、46、50及び54からなる群から選択される一つのアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域;を含むものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片は:
(a)配列番号37に記載の重鎖可変領域及び配列番号38に記載の軽鎖可変領域;
(b)配列番号41に記載の重鎖可変領域及び配列番号42に記載の軽鎖可変領域;
(c)配列番号45に記載の重鎖可変領域及び配列番号46に記載の軽鎖可変領域;
(d)配列番号49に記載の重鎖可変領域及び配列番号50に記載の軽鎖可変領域;
(e)配列番号53に記載の重鎖可変領域及び配列番号54に記載の軽鎖可変領域;又は
(f)配列番号33に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;
を含むものである、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項16】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は:
配列番号89に記載の重鎖CDR1;配列番号90に記載の重鎖CDR2;及び配列番号91に記載の重鎖CDR3;を含む重鎖可変領域、及び
配列番号92に記載の軽鎖CDR1;配列番号93に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号94に記載の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項10~15の何れかの項に記載の二重特異性抗体。
【請求項17】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、配列番号35に記載の重鎖可変領域及び配列番号36に記載の軽鎖可変領域を含むものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項18】
前記二重特異性抗体は、ヒトOX40Lに1.5×10-9M以下のKで結合し、ヒトTNFαに対しては1×10-9M以下のKで結合し、ここで、前記Kは、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance;Biacore)分析によって測定されたものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項19】
前記二重特異性抗体は、抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方の末端に、TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項20】
前記二重特異性抗体は、前記抗OX40L抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項19に記載の二重特異性抗体。
【請求項21】
前記二重特異性抗体は、抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方の末端に、OX40Lに特異的に結合する抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項22】
前記抗TNFα抗体の軽鎖及び重鎖の少なくとも一方のC末端に、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片が連結されているものである、請求項21に記載の二重特異性抗体。
【請求項23】
前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、リンカーで連結されているものである、請求項16に記載の二重特異性抗体。
【請求項24】
前記リンカーは、配列番号31又は配列番号32の配列に記載のものである、請求項23に記載の二重特異性抗体。
【請求項25】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体をコードする核酸。
【請求項26】
請求項25に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項27】
請求項26に記載の発現ベクターが導入された形質転換体。
【請求項28】
請求項27に記載の形質転換体を用いた抗体又はその抗原断片、又は二重特異性抗体を産生する方法。
【請求項29】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体を含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患を予防又は治療するための薬学的組成物。
【請求項30】
前記薬学的組成物は、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis)を予防又は治療するものである、請求項29に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報を提供する方法。
【請求項32】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体を含む、
自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報を提供するキット。
【請求項33】
請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体の薬学的に有効な量を投与することを含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療方法。
【請求項34】
自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療用薬剤の製造における、請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体の用途。
【請求項35】
自己免疫疾患又は炎症性疾患の予防又は治療のための、請求項1~8の何れかの項に記載の抗体又はその抗原結合断片、又は請求項9~24の何れかの項に記載の二重特異性抗体の用途。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
本発明の実施形態において、前記二重特異性抗体は:
a)(i)配列番号12に記載の重鎖CDR1;配列番号15に記載の重鎖CDR2及び配列番号19に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号23に記載の軽鎖CDR1;配列番号25に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号27に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその結合断片;
(ii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号16に記載の重鎖CDR2;及び配列番号20に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号28に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;
(iii)配列番号13に記載の重鎖CDR1;配列番号17に記載の重鎖CDR2;及び配列番号21に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号29に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその抗原結合断片;又は
(iv)配列番号14に記載の重鎖CDR1;配列番号18に記載の重鎖CDR2;及び配列番号22に記載の重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に記載の軽鎖CDR1;配列番号26に記載の軽鎖CDR2;及び配列番号30に記載の軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗OX40L抗体又はその抗原結合断片と、
b)配列番号89に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR1;配列番号90に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR2;及び配列番号91に記載のアミノ酸配列の重鎖CDR3;を含む
重鎖可変領域、及び配列番号92に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR1;配列番号93に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR2;及び配列番号94に記載のアミノ酸配列の軽鎖CDR3;を含む軽鎖可変領域を含む、TNFαに特異的に結合する抗TNFα抗体又はその結合断片とが、
リンカーを介して連結されているものであってもよい。

【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0185】
本発明において、前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片又は前記診断用組成物は、本発明の抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された試料のOX40Lタンパク質のレベルを測定し、測定されたOX40Lタンパク質のレベルを健常人及び/又は患者対照群の試料と比較して自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するのに用いてもよい。

【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0191
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0191】
本発明は、抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体又はそれらを含む診断用組成物用いることによる自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法又は診断のための情報の提供方法を提供する。具体的には、本発明は、(a)前記抗OX40L抗体又はその抗原結合断片、又は前記OX40L及びTNFαに特異的に結合する二重特異性抗体を用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患が疑われる個体の単離された試料のOX40Lタンパク質のレベルを測定するステップ;及び(b)前記ステップ(a)で測定されたOX40Lタンパク質のレベルを用いて、自己免疫疾患又は炎症性疾患を判断するステップを含む、自己免疫疾患又は炎症性疾患の診断方法、又は自己免疫疾患又は炎症性疾患を診断するための情報の提供方法を提供する。

【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0331
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0331】
薬物反応が一定していて安定した供給システムを備えているため、薬物動態試験に広く用いられるSprague-Dawley系の雄Ratを用いた。試験は、絶食せずに行い、7週齢の雄Sprague-Dawley(SD)ratを3匹ずつ用い、5mpk(2.5~2.4mg/ml)で単回静脈投与(IV bolus)した。投与後、3min、3、8、24、48、72、96、120、144、168-hrで合計10回頸
静脈で約150ul/time point採血し、抗凝固剤としてSodium heparinを用いて単離し、試料は、遠心分離(12,000rpm、3min)により約70μの血漿を得、その直後に超低温冷凍庫に保管した。実験中は1日1回以上一般症状を観察した。最後の採血後、実験動物は、CO吸入により安楽死させた。
【国際調査報告】