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特表2023-554201プロセスグラフ用の視覚的複雑さスライダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】プロセスグラフ用の視覚的複雑さスライダ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20231220BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572650
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 US2021072036
(87)【国際公開番号】W WO2022140710
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】17/129,856
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520262319
【氏名又は名称】ユーアイパス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UiPath,Inc.
【住所又は居所原語表記】1 Vanderbilt Avenue, 60th Floor, New York, NY 10017, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】スチープンス,ローランド ヨハナス
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
プロセスグラフをフィルタリングするためのシステム及び方法が提供される。プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスが識別される。識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標が計算される。識別されたパスは、計算された重要度の指標に基づいてソートされる。プロセスグラフは、ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがってフィルタリングされる。フィルタリングされたプロセスグラフが出力される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスを識別するステップと、
前記識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標を計算するステップと、
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスをソートするステップと、
前記ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがって前記プロセスグラフをフィルタリングするステップと、
前記フィルタリングされたプロセスグラフを出力するステップと、
を含むコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記複雑さのレベルは、スライダを介して受信されるユーザー入力に基づいて定義される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記ソートされた識別されたパスの上位から始めて、エッジの所定の最小数を超える組み合わせ数のエッジを有する前記ソートされた識別されたパスの最小セットを識別することによって、及び、
1)次のそれぞれのパスの前記重要度の指標が、前記ソートされた識別されたパスの第1のパスの前記重要度の指標に所定の重要度係数を乗じたものよりも小さくなるまで、又は、2)次のそれぞれのパスが加えられる場合にエッジの組み合わせ数がエッジの所定の最大数を超えるまで、前記識別されたセットに対して各次のそれぞれのパスを加えることによって、
前記複雑さのレベルを自動的に決定するステップを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがって前記プロセスグラフをフィルタリングする前記ステップは、
前記ソートされた識別されたパスの上位パスを示すように前記プロセスグラフをフィルタリングするステップであって、前記上位パスが前記複雑さのレベルに基づいて決定される、ステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスを識別する前記ステップは、
プロセスグラフの終了ノードに到達するまで又はプロセスグラフの既にトラバースされたノードに到達するまで、遂行頻度が最も高いプロセスグラフ内の各非トラバースエッジを反復的にトラバースするステップと、
それぞれの反復ごとに、それぞれの反復中にトラバースされた非トラバースエッジをパスとして識別するステップと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標を計算する前記ステップは、
前記識別されたパスのそれぞれのエッジの遂行頻度に基づいて前記識別されたパスのそれぞれに関して前記重要度の指標を計算するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記識別されたパスのそれぞれのエッジの遂行頻度に基づいて前記識別されたパスのそれぞれに関して前記重要度の指標を計算する前記ステップは、
前記識別されたパスのそれぞれの前記エッジの遂行頻度の和として前記識別されたパスのそれぞれに関して前記重要度の指標を計算するステップを含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスをソートする前記ステップは、
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスを降順にソートするステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記プロセスがRPA(ロボティックプロセスオートメーション)プロセスである、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
コンピュータ命令を記憶するメモリと、
前記コンピュータ命令を遂行するように構成される少なくとも1つのプロセッサであって、前記コンピュータ命令が、前記少なくとも1つのプロセッサに、
プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスを識別する操作と、
前記識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標を計算する操作と、
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスをソートする操作と、
前記ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがって前記プロセスグラフをフィルタリングする操作と、
前記フィルタリングされたプロセスグラフを出力する操作と、
を実行させるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、
を備える装置。
【請求項11】
前記複雑さのレベルは、スライダを介して受信されるユーザー入力に基づいて定義される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記操作は、
前記ソートされた識別されたパスの上位から始めて、エッジの所定の最小数を超える組み合わせ数のエッジを有する前記ソートされた識別されたパスの最小セットを識別することによって、及び、
1)次のそれぞれのパスの前記重要度の指標が、前記ソートされた識別されたパスの第1のパスの前記重要度の指標に所定の重要度係数を乗じたものよりも小さくなるまで、又は、2)次のそれぞれのパスが加えられる場合にエッジの組み合わせ数がエッジの所定の最大数を超えるまで、前記識別されたセットに対して各次のそれぞれのパスを加えることによって、
前記複雑さのレベルを自動的に決定する操作を更に含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがって前記プロセスグラフをフィルタリングする前記操作は、
前記ソートされた識別されたパスの上位パスを示すように前記プロセスグラフをフィルタリングする操作であって、前記上位パスが前記複雑さのレベルに基づいて決定される、操作を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスを識別する前記操作は、
プロセスグラフの終了ノードに到達するまで又はプロセスグラフの既にトラバースされたノードに到達するまで、遂行頻度が最も高いプロセスグラフ内の各非トラバースエッジを反復的にトラバースする操作と、
それぞれの反復ごとに、それぞれの反復中にトラバースされた非トラバースエッジをパスとして識別する操作と、
を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読媒体で具現化されるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、少なくとも1つのプロセッサに、
プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスを識別する操作と、
前記識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標を計算する操作と、
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスをソートする操作と、
前記ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがって前記プロセスグラフをフィルタリングする操作と、
前記フィルタリングされたプロセスグラフを出力する操作と、
を含む操作を実行させるように構成される、コンピュータプログラム。
【請求項16】
前記複雑さのレベルは、スライダを介して受信されるユーザー入力に基づいて定義される、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標を計算する前記操作は、
前記識別されたパスのそれぞれのエッジの遂行頻度に基づいて前記識別されたパスのそれぞれに関して前記重要度の指標を計算する操作を含む、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記識別されたパスのそれぞれのエッジの遂行頻度に基づいて前記識別されたパスのそれぞれに関して前記重要度の指標を計算する前記操作は、
前記識別されたパスのそれぞれの前記エッジの遂行頻度の和として前記識別されたパスのそれぞれに関して前記重要度の指標を計算する操作を含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスをソートする前記操作は、
前記計算された重要度の指標に基づいて前記識別されたパスを降順にソートする操作を含む、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記プロセスがRPA(ロボティックプロセスオートメーション)プロセスである、請求項15に記載のコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プロセスマイニングに関し、より詳細には、複雑さのレベルにしたがってプロセスグラフをフィルタリングするための視覚的複雑さスライダに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスは、様々なサービスを提供するために1つ以上のコンピュータによって遂行されるアクティビティのシーケンスである。プロセスの遂行はプロセスグラフとして表わすことができ、この場合、各アクティビティはノードとして表わされ、アクティビティ間の各遂行はノードをリンクするエッジとして表わされる。時には、プロセスグラフは多数のノード及びエッジを含むことがある。従来、そのようなプロセスグラフは、全てのエッジ及びノードと共にユーザーに対して表示され、その結果、ユーザーに視覚的な過負荷をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【0003】
1つ以上の実施形態によれば、ユーザーへのプロセスグラフの提示を容易にするために、複雑さのレベルにしたがってプロセスグラフをフィルタリングするための視覚的複雑さスライダが提供される。好適には、複雑さのレベルにしたがったプロセスグラフのフィルタリングは、ユーザーを視覚的に過負荷にすることなく、プロセスグラフの最も重要なノード及びエッジの提示を可能にする。
【0004】
一実施形態では、プロセスグラフをフィルタリングするためのシステム及び方法が提供される。プロセスの遂行を表わすプロセスグラフ内のパスが識別される。識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標が計算される。識別されたパスは、計算された重要度の指標に基づいてソートされる。プロセスグラフは、ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがってフィルタリングされる。フィルタリングされたプロセスグラフが出力される。プロセスは、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)プロセスであってもよい。
【0005】
一実施形態において、複雑さのレベルは、スライダを介して受信されるユーザー入力に基づいて定義される。他の実施形態において、複雑さのレベルは、ソートされた識別されたパスの上位から始めて、エッジの所定の最小数を超える組み合わせ数のエッジを有するソートされた識別されたパスの最小セットを識別することによって、及び、1)次のそれぞれのパスの重要度の指標が、ソートされた識別されたパスの第1のパスの重要度の指標に所定の重要度係数を乗じたものよりも小さくなるまで、又は、2)次のそれぞれのパスが加えられる場合にエッジの組み合わせ数がエッジの所定の最大数を超えるまで、識別されたセットに対して各次のそれぞれのパスを加えることによって自動的に決定される。
【0006】
一実施形態では、プロセスグラフの終了ノードに到達するまで又はプロセスグラフの既にトラバースされたノードに到達するまで、遂行頻度が最も高いプロセスグラフ内の各非トラバースエッジを反復的にトラバースすることによって、及び、それぞれの反復ごとに、それぞれの反復中にトラバースされた非トラバースエッジをパスとして識別することによって、プロセスグラフ内のパスが識別される。
【0007】
一実施形態において、識別されたパスのそれぞれに関する重要度の指標は、識別されたパスのそれぞれのエッジの遂行頻度に基づいて計算される。例えば、識別されたパスのそれぞれに関する重要度の指標は、識別されたパスのそれぞれのエッジの実行頻度の和として計算され得る。
【0008】
一実施形態において、識別されたパスは、計算された重要度の指標に基づいて降順にソートされる。
【0009】
本発明のこれら及び他の利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の1つ以上の実施形態に係る、例示的なプロセスグラフを示す。
【0011】
図2】1つ以上の実施形態に係る、複雑さのレベルにしたがってプロセスグラフをフィルタリングするための方法を示す。
【0012】
図3】1つ以上の実施形態に係る、スライダを介して受信されるユーザー入力に基づいて定義される複雑さのレベルに基づいてフィルタリングされたプロセスグラフの例示的なユーザーインターフェースを示す。
【0013】
図4】1つ以上の実施形態に係る、自動的に決定された複雑さのレベルに基づいてフィルタリングされたプロセスグラフの例示的なユーザーインターフェースを示す。
【0014】
図5】本発明の一実施形態に係るコンピューティングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
プロセスは、例えば、管理アプリケーション(例えば、新しい従業員の新人研修)、支払い手続アプリケーション(例えば、購入、請求書管理、及び、支払いの円滑化)、及び、情報技術アプリケーション(例えば、発券システム)などの幾つかの異なるアプリケーションにサービスを提供するために、1つ以上のコンピュータによって遂行されてもよい。一実施形態において、プロセスは、1つ以上のRPAロボットによって自動的に遂行されるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)プロセスであってもよい。プロセスの遂行は、イベントログの形式で記録されてもよい。また、プロセスの遂行に対するユーザーの理解を容易にするために、イベントログに基づいてプロセスのプロセスグラフが生成されてもよい。プロセスグラフは、プロセスの遂行の視覚的表示である。
【0016】
図1は、例示的なプロセスグラフ100を示す。プロセスグラフ100は、請求書を処理するためのプロセスの遂行を表わす。図1に示されるように、プロセスグラフ100は有向グラフとしてモデル化され、この場合、プロセスの各アクティビティがノードとして表わされ、ソースアクティビティから宛先アクティビティまでのプロセスの遂行が、ソースアクティビティ及び宛先アクティビティを表わすノードを接続するエッジとして表わされる。プロセスグラフ100内の各エッジは、そのエッジの遂行頻度を表わす番号と関連付けられる。プロセスグラフ100は、プロセスの遂行の理解を容易にするためにユーザーに提示され、それによって、ユーザーは、プロセスにおけるボトルネックの識別などの様々なプロセスマイニングタスクを実行することができる。
【0017】
多くの場合、プロセスグラフは、多数のノード及びエッジを含むことができる。プロセスグラフ内のそのような多数のノード及びエッジは、ユーザーに提示されたときに視覚的過負荷をもたらす場合があり、それにより、ユーザーがプロセスグラフ、したがって基礎となるプロセスの遂行を理解するのを妨げる。
【0018】
本明細書中に記載の実施形態によれば、プロセスグラフ(例えば、プロセスグラフ100)をフィルタリングするための視覚的複雑さスライダが提供される。視覚的複雑さスライダは、プロセスグラフ100がフィルタリングされるべき複雑さのレベルを定義する。視覚的複雑さスライダにしたがってプロセスグラフ100をフィルタリングすることによって、プロセス100の最も重要なノード及びエッジは、ユーザーに視覚的に過負荷にならないようにユーザーに提示される。
【0019】
図2は、1つ以上の実施形態に係る、複雑さのレベルにしたがってプロセスグラフをフィルタリングするための方法200を示す。方法200は、引き続き図1のプロセスグラフ100を参照して説明される。方法200のステップは、例えば図5のコンピューティングシステム500などの、任意の適切なコンピューティングデバイスによって実行することができる。
【0020】
ステップ202では、プロセスの遂行を表わすプロセスグラフが受信される。一例では、プロセスグラフが図1のプロセスグラフ100である。一実施形態において、プロセスグラフは、1つ以上のRPAロボットによって自動的に遂行されるRPAプロセスの遂行を表わす。プロセスグラフは、コンピュータシステムの記憶装置又はメモリからプロセスグラフをロードすることによって又はリモートコンピュータシステムから送信されたプロセスグラフを受信することによって受信されてもよい。
【0021】
ステップ204では、プロセスグラフ内のパスが識別される。各パスは、プロセスグラフ内のエッジの一意的なシーケンスを表わす。パスは、貪欲深さ優先探索手法を使用して識別され得る。一実施形態において、パスは、プロセスグラフを反復的にトラバースすることによって識別される。プロセスグラフのトラバースの各それぞれの反復について、開始ノードで開始し、終了ノードに向かってプロセスグラフをトラバースすると、遂行頻度が最も高い各非トラバースエッジは、プロセスグラフの終了ノードに到達する又はプロセスグラフの既にトラバースされたノードに到達するまでトラバースされる。パスは、それぞれの反復中にトラバースされた非トラバースエッジのシーケンスとして識別される。プロセスグラフは、プロセスグラフの全てのエッジ及びノードがトラバースされてしまうまで、パスを識別するために反復的にトラバースされる。プロセスグラフ内のパスを識別するための他の手法も考えられる。
【0022】
一例において、パスは、図1のプロセスグラフ100において以下のノードを接続するエッジのシーケンスとして識別される。
・ パス1:<開始、請求書の受領、受領済み請求書の確認、請求書の最終確認、請求書の承認、請求書の支払い、終了>;
・ パス2:<受領した請求書の確認、データの要求、契約条件の確認、請求書の最終確認>;及び
・ パス3:<受領済み請求書の確認、確認及び承認、請求書の支払い>。
【0023】
ステップ206では、識別されたパスのそれぞれに関して重要度の指標が計算される。一実施形態において、それぞれのパスの重要度の指標は、それぞれのパス内の各エッジの遂行頻度に基づいて計算される。一例において、重要度の指標は、それぞれのパスにおける各エッジの遂行頻度の和として計算することができる。例えば、図1のプロセスグラフ100のパス1の重要度の指標は、1,366+1,366+871+1,255+1,255+1,366=7,479であり、パス2の重要度の指標は、384+384+384=1,152であり、及び、パス3の重要度の指標は、111+111=222である。重要度の指標は、例えば、それぞれのパスにおける各エッジの遂行頻度の平均、それぞれのパスにおける各エッジの遂行頻度の中央値、それぞれのパスにおける各エッジの遂行頻度のモードなどの任意の他の適切な指標であってもよい。
【0024】
ステップ208において、識別されたパスは、計算された重要度の指標に基づいてソートされる。一実施形態において、パスは、最も高い計算された重要度の指標を有するパスから始まって最も低い計算された重要度の指標を有するパスまで降順にソートされる。例えば、図1のプロセスグラフ100のパスは、以下のように、すなわち、パス1、パス2、及び、パス3のように降順にソートされる。殆どの場合、ソートされた識別されたパスの第1のパスは、開始ノードで開始して終了ノードで終了するパスである。識別されたパスをソートするための他の手法も使用され得る。
【0025】
ステップ210において、プロセスグラフは、ソートされた識別されたパスに基づき複雑さのレベルにしたがってフィルタリングされる。一実施形態において、複雑さのレベルは、0~(識別されたパスの数-1)の範囲の間で定義され得る。したがって、値nを有する複雑さのレベルは、ソートされた識別されたパスの最初のn+1個のパスのみを示すようにプロセスグラフをフィルタリングする。例えば、図1のプロセスグラフ100の場合、n=0の複雑さのレベルは、パス1のみ(パス2又はパス3ではない)を示すようにプロセスグラフ100をフィルタリングし、n=1の複雑さのレベルは、パス1及びパス2のみ(パス3ではない)を示すようにプロセスグラフ100をフィルタリングし、n=2の複雑さのレベルは、パス1、パス2、及び、パス3の全てを示すようにプロセス100をフィルタリングする。複雑さのレベルは、例えば0%~100%のパーセンテージなど、任意の他の適切な形態で定義されてもよい。
【0026】
一実施形態において、複雑さのレベルは、ユーザー入力に基づいてユーザー定義されてもよい。ユーザー入力は、任意の適切な態様で受信することができる。一実施形態において、ユーザー入力は、ユーザーに表示される視覚的複雑さスライダを介して受信されてもよい。視覚的複雑さスライダは、0%~100%の範囲のパーセンテージを表わすことができる。或いは、視覚的複雑さスライダは、0~(識別されたパスの数-1)の範囲の複雑さのレベルの値を表わすことができる。ユーザーは、視覚的複雑さスライダを所望の複雑さのレベルに応じた値まで移動又はスライドさせることによって視覚的複雑さスライダと対話することができる。他の実施形態において、ユーザー入力は、複雑さのレベルの値を直接入力するユーザーによって受信されてもよい。
【0027】
【0028】
ステップ212では、フィルタリングされたプロセスグラフが出力される。フィルタリングされたプロセスグラフは、例えば、フィルタリングされたプロセスグラフをコンピュータシステムの表示デバイスに表示することによって、フィルタリングされたプロセスグラフをコンピュータシステムのメモリ又はストレージに記憶することによって、又は、フィルタリングされたプロセスグラフをリモートコンピュータシステムに送信することによって出力することができる。
【0029】
図3は、1つ以上の実施形態に係る、プロセスグラフ302の例示的なユーザーインターフェース300を示す。ユーザーインターフェース300は、ユーザーがプロセスグラフ302をフィルタリングするための複雑さのレベルを定義できるようにする視覚的複雑さスライダ304を備える。視覚的複雑さスライダ304は、プロセスグラフ302の全てのノード及びエッジを示すべくユーザーインターフェース300においてユーザーにより100%に設定される(すなわち、フィルタリングなし)。ユーザーインターフェース300に示されるように、プロセスグラフ302の多数のノード及びエッジは、視覚的過負荷に起因してプロセスグラフを解釈及び理解することを困難にする。
【0030】
図4は、1つ以上の実施形態に係る、プロセスグラフ402の例示的なユーザーインターフェース400を示す。プロセスグラフ402は、自動的に決定された複雑さのレベルにしたがってフィルタリングされた図3のプロセスグラフ302である。ユーザーインターフェース400は、複雑さのレベルを自動的に決定するように設定された視覚的複雑さスライダ404を備える。図4に示されるように、プロセスグラフ402は、最も重要なノード及びエッジを依然として含みながら、図3のプロセスグラフ302よりも分かり易く且つ理解可能である。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係る、図2を含む、本明細書中に記載の方法、ワークフロー、及び、プロセスを遂行するように構成されるコンピューティングシステム500を示すブロック図である。幾つかの実施形態において、コンピューティングシステム500は、図示された及び/又は本明細書中に記載されたコンピューティングシステムのうちの1つ以上であってもよい。コンピューティングシステム500は、情報を通信するためのバス502又は他の通信機構と、情報を処理するためにバス502に結合されたプロセッサ504とを含む。プロセッサ504は、中央処理装置(CPU)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、それらの複数のインスタンス、及び/又は、それらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの汎用又は専用プロセッサであってもよい。また、プロセッサ504は、複数の処理コアを有してもよく、また、コアの少なくとも幾つかは、特定の機能を実行するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、複数並列処理を使用することができる。
【0032】
コンピューティングシステム500は、プロセッサ504によって遂行される情報及び命令を記憶するためのメモリ506を更に含む。メモリ506は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、キャッシュ、磁気もしくは光ディスクなどの静的ストレージ、又は、任意の他のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体、又は、それらの組み合わせの任意の組み合わせから構成することができる。非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサ504によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、揮発性媒体、不揮発性媒体、又はその両方を含んでもよい。また、媒体は、取り外し可能、取り外し不能、又は、その両方であってもよい。
【0033】
更に、コンピューティングシステム500は、任意の現在存在する又は将来実施される通信規格及び/又はプロトコルにしたがって、無線及び/又は有線接続を介して通信ネットワークへのアクセスを提供するためのトランシーバなどの通信デバイス508を含む。
【0034】
プロセッサ504は、バス502を介して、ユーザーに情報を表示するのに適したディスプレイ510に更に結合される。また、ディスプレイ510は、タッチディスプレイ及び/又は任意の適切な触覚I/Oデバイスとして構成されてもよい。
【0035】
キーボード512及びコンピュータマウス、タッチパッドなどのカーソル制御デバイス514は、ユーザーがコンピューティングシステムとインターフェースすることを可能にするためにバス502に更に結合される。しかしながら、特定の実施形態では、物理的なキーボード及びマウスが存在しなくてもよく、ユーザーは、ディスプレイ510及び/又はタッチパッド(図示せず)のみを介してデバイスと対話することができる。入力デバイスの任意のタイプ及び組み合わせを、設計上の選択事項として使用することができる。特定の実施形態では、物理的入力デバイス及び/又はディスプレイは存在しない。例えば、ユーザーは、それと通信する別のコンピューティングシステムを介してコンピューティングシステム500と遠隔的に対話することができ、又はコンピューティングシステム500は自律的に動作することができる。
【0036】
メモリ506は、プロセッサ504によって遂行されると機能を与えるソフトウェアモジュールを記憶する。モジュールは、コンピューティングシステム500のためのオペレーティングシステム516と、本明細書に記載のプロセス又はその派生物の全部又は一部を実行するように構成された1つ以上の更なる機能モジュール518とを含む。
【0037】
当業者であれば分かるように、「システム」は、本発明の範囲から逸脱することなく、サーバ、組込みコンピューティングシステム、パーソナルコンピュータ、コンソール、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、タブレットコンピューティングデバイス、量子コンピューティングシステム、もしくは、任意の他の適切なコンピューティングデバイス、又は、デバイスの組み合わせとして具現化され得る。上記の機能を 「システム」 によって実行されるものとして提示することは、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではなく、本発明の多くの実施形態の一例を提供することを意図している。実際に、本明細書中に開示される方法、システム、及び、装置は、クラウドコンピューティングシステムを含むコンピューティング技術と一致する局所化された形態及び分散された形態で実装され得る。
【0038】
本明細書中に記載されたシステム特徴の幾つかは、それらの実装の独立性をより具体的に強調するために、モジュールとして提示されていることに留意すべきである。例えば、モジュールは、カスタムの超大規模集積(VLSI)回路又はゲートアレイ、ロジックチップ、トランジスタ、又は、他のディスクリートコンポーネントなどの既製の半コンダクタを含むハードウェア回路として実装されてもよい。また、モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、グラフィックスプロセッシングユニットなどのプログラマブルハードウェアデバイスに実装されてもよい。また、モジュールは、様々なタイプのプロセッサによって遂行するためのソフトウェアに少なくとも部分的に実装されてもよい。遂行可能コードの識別されたユニットは、例えば、オブジェクト、手順、又は、機能として編成することができるコンピュータ命令の1つ以上の物理ブロック又は論理ブロックを含むことができる。それにもかかわらず、識別されたモジュールの遂行可能ファイルは、物理的に一緒に配置される必要はないが、論理的に一緒に結合されたときにモジュールを含み、モジュールの記載された目的を達成する異なる場所に記憶された異なる命令を含むことができる。更に、モジュールは、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュデバイス、RAM、テープ、及び/又は、本発明の範囲から逸脱することなくデータを記憶するために使用される任意の他のそのような非一時的コンピュータ可読媒体であってもよいコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。実際に、遂行可能コードのモジュールは、単一の命令、又は、多くの命令であってもよく、幾つかの異なるコードセグメント、異なるプログラム、及び、幾つかのメモリデバイスに分散されてもよい。同様に、操作データは、モジュール内で識別され及び本明細書中に例示されてもよく、任意の適切な形態で具体化され、任意の適切なタイプのデータ構造内に編成されてもよい。操作データは、単一のデータセットとして収集されてもよく、又は、異なるストレージデバイスを含む異なる場所に分散されてもよく、少なくとも部分的に、システム又はネットワーク上の電子信号としてのみ存在してもよい。
【0039】
以上は本開示の原理を単に例示するにすぎない。したがって、本明細書中に明示的に記載され又は示されないが、本開示の原理を具現化するとともに本開示の思想及び範囲内に含まれる様々な構成を当業者が考え出すことができるのが分かる。更に、本明細書中に列挙される全ての例及び条件付き言語は、主に、本開示の原理と本技術を進展させるために本発明者によって寄与される概念とを読者が理解するのを助けるための教育目的のためのものにすぎず、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定しないように解釈されるべきである。更に、本開示の原理、態様、及び、実施形態、並びに、その特定の例を列挙する本明細書中の全ての記述は、その構造的及び機能的な均等物の両方を包含しようとするものである。更に、そのような均等物が現在知られている均等物及び将来開発される均等物の両方を含むことが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】