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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】高圧ボックス、電池および電気設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/667 20140101AFI20231220BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231220BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231220BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231220BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231220BHJP
【FI】
H01M10/667
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551052
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 CN2022093966
(87)【国際公開番号】W WO2023087643
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202122866340.0
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】呂 娟霞
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031EE01
5H031EE04
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AY05
5H040AY10
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
本出願の実施形態は、高圧ボックス、電池および電気設備を提供する。高圧ボックスは、上ケースと下ケースとを備え、上ケースと下ケースとが接続されて収容空間を形成するケースと、収容空間内に配置され、下ケースと接触する導電片を備えるリレーとを有する。高圧ボックスの動作過程において、リレーの動作により生成された熱がリレーの導電片に伝達される。導電片が下ケースの内側と直接接触するので、導電片の熱が直接下ケースに伝達され、下ケースから速やかに高圧ボックスの外側に放出される。これによって、熱の高圧ボックスの内部での伝達および蓄積の確率を低減することができる。リレーにより生成された熱が導電片および下ケースを介して速やかに放出され、高圧ボックスの放熱効率を向上するので、高圧ボックスの過熱現象の発生を低減でき、電池の安全性能を高めることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ケースと下ケースとを備え、前記上ケースと前記下ケースとが接続されて収容空間を形成するケースと、
前記収容空間内に配置され、前記下ケースと接触する導電片を備えるリレーと、
を有することを特徴とする高圧ボックス。
【請求項2】
前記高圧ボックスは、さらに、前記下ケースの前記リレーから離れる側と接触する水冷板を備え、
前記水冷板が、少なくとも1つの水冷通路と、前記少なくとも1つの水冷通路と連通する水入口および水出口と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の高圧ボックス。
【請求項3】
前記下ケースは、射出成型で一体に形成された金属部と樹脂部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の高圧ボックス。
【請求項4】
前記金属部の前記リレーから離れる側が、前記下ケースの表面から露出し、前記水冷板と接触することを特徴とする請求項3に記載の高圧ボックス。
【請求項5】
前記高圧ボックスは、前記収容空間内に配置され、前記導電片と接続されかつ前記下ケースと接触する少なくとも1つの熱伝導金属ブロックをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の高圧ボックス。
【請求項6】
前記高圧ボックスは、さらに、熱伝導パッドと熱伝導絶縁膜とを備え、前記熱伝導パッドが、前記下ケースと前記水冷板との間に設置され、前記熱伝導絶縁膜が、前記熱伝導パッドと前記水冷板との間に設置されることを特徴とする請求項3に記載の高圧ボックス。
【請求項7】
前記金属部の前記リレーに近い側に、前記下ケースの表面から露出する少なくとも1つの電気接続部分を含むことを特徴とする請求項3に記載の高圧ボックス。
【請求項8】
前記電気接続部分は、突起構造により構成されることを特徴とする請求項7に記載の高圧ボックス。
【請求項9】
前記電気接続部分の少なくとも1つの側縁に、絶縁層を有する面取り部が設けられることを特徴とする請求項8に記載の高圧ボックス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の高圧ボックスを備えることを特徴とする電池。
【請求項11】
電気設備であって、
請求項10に記載の電池を備え、前記電池が前記電気設備に給電するためのものである
ことを特徴とする電気設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電気化学装置の技術分野に属し、特に、高圧ボックス、電池および電気設備に関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2021年11月22日に提出された、名称が「高圧ボックス、電池および電気設備」であり、出願番号が202122866340.0である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本開示に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気やハイブリッド電力で駆動される車両などの電気設備では、高圧ボックスは、動力電池のエネルギーを割り当てる制御ユニットであり、動力電池の高電圧の割り当てに用いられる。従来、高圧ボックスは、通常、集積式のものを採用し、その構成が比較的にコンパクトである。車両の正常な走行を保証するために、高圧ボックスは、振動、高温、低温、高温高湿、および高出力などの環境に耐える必要がある。しかしながら、現在の高圧ボックスの放熱効果が悪く、高圧ボックスの過熱などの問題が発生し、電池や電気機器の安全性能に影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施形態は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、高圧ボックスの放熱効果を向上させ、さらに電池の安全性能を高める高圧ボックス、電池および電気設備を提供することを目的とする。その具体的な技術案は、以下になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1局面の実施形態は、高圧ボックスを提供する。高圧ボックスは、上ケースと下ケースとを備え、上ケースと下ケースとが接続されて収容空間を形成するケースと、収容空間内に配置され、下ケースと接触する導電片を備えるリレーと、を有する。
【0006】
本出願の実施形態の技術案において、高圧ボックスが電池筐体内に配置され、高圧ボックスの下ケースが電池筐体と固定接続されている。リレーは、高圧ボックス内に設置され、リレーの導電片が高圧ボックスの下ケースの内側と直接接触する。高圧ボックスの動作過程において、リレーの動作により生成された熱がリレーの導電片に伝達される。導電片が下ケースの内側と直接接触するので、導電片の熱が直接下ケースに伝達され、下ケースから速やかに高圧ボックスの外側に伝達される。これによって、熱の高圧ボックスの内部での伝達および蓄積の確率を低減することができる。リレーにより生成された熱が導電片および下ケースを介して速やかに放出され、高圧ボックスの放熱効率が向上するので、高圧ボックスの過熱現象の発生を低減でき、電池の安全性能を高めることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、高圧ボックスは、さらに、下ケースのリレーから離れる側と接触する水冷板を備え、水冷板が、少なくとも1つの水冷通路と、少なくとも1つの水冷通路と連通する水入口および水出口とを備える。これによって、水冷板で、リレーなどの電子部品から下ケースに伝達される熱を吸収でき、高圧ボックスの放熱効果をより向上させ、電池の安全性能をより高めることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、下ケースは、射出成型で一体に形成された金属部と樹脂部とを備える。これによって、下ケース内の金属部で、リレーなどの電子部品により生成された熱をより速やかに吸収および放出することができ、高圧ボックスの放熱効果をより向上させる。
【0009】
いくつかの実施形態では、金属部のリレーから離れる側が、下ケースの表面から露出し、水冷板と接触する。これによって、高圧ボックス内に生成された熱が金属部で速やかに放出され、かつ金属部と接触する水冷板で吸収されるので、熱伝達の速度を高め、高圧ボックスの放熱効果をさらに向上させる。
【0010】
いくつかの実施形態では、高圧ボックスは、収容空間内に配置され、導電片と接続されかつ下ケースと接触する少なくとも1つの熱伝導金属ブロックをさらに備える。高圧ボックス内に導電片と接続される少なくとも1つの熱伝導金属ブロックを備えるので、リレーから放出した熱エネルギーの一部を蓄積できる。また、少なくとも1つの熱伝導金属ブロックがさらに下ケースと接触するので、少なくとも1つの熱伝導金属ブロックに蓄積された熱エネルギーとリレーからの熱エネルギーとがよりよく下ケースに伝達され、放熱効率を向上させる。
【0011】
いくつかの実施形態では、高圧ボックスは、さらに、熱伝導パッドと熱伝導絶縁膜とを備え、熱伝導パッドが、下ケースと水冷板との間に設置され、熱伝導絶縁膜が、熱伝導パッドと水冷板との間に設置される。これによって、熱伝導パッドで、高圧ボックス内の熱を速やかに吸収し、さらに熱を速やかに水冷板に伝達できるので、高圧ボックスの放熱効率をさらに向上させる。熱伝導絶縁膜で、高圧ボックス内の電気の水冷板への伝達確率を低減でき、高圧ボックスの安全性を高めることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、金属部のリレーに近い側に、下ケースの表面から露出する少なくとも1つの電気接続部分を含む。電気接続部分が露出するので、高圧ボックス内の電子部品との接続に寄与でき、高圧ボックスの下ケースと電子部品との間の組立効率を向上させることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、電気接続部分は、突起構造により構成される。突起構造により、下ケースの電気接続部分と高圧ボックス内の電子部品との接続に寄与でき、高圧ボックスの下ケースと電子部品との間の組立効率を向上させることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、電気接続部分の少なくとも1つの側縁に、絶縁層を有する面取り部が設けられる。面取り部を設けることにより、電気接続面の表面にゴムが残される確率を下げることができ、電気接続の表面にゴムが残され、下ケースと電子部品との接続に影響する確率を低減することができる。また、面取り部の設定により、下ケースの製造金型と下ケースの製造精度に対する要求が緩くなり、下ケースの生産プロセスを簡単化することができる。面取り部上が絶縁層を有するので、下ケースの製造金型の閉型過程の電気接続の表面への影響を低減することができ、閉型過程における金型の損傷率を下げることができる。
【0015】
本出願の第2局面の実施形態は、上記の任意1つの高圧ボックスを備える電池を提供する。
【0016】
本出願の第3局面の実施形態は、上記の電池を備える電気設備を提供する。電池が電気設備に給電するためのものである。
【0017】
無論、本出願の任意1つの製品または方法により、同時に上記記載のすべての効果を奏する必要がない。上記の説明は、本出願の技術案の概要である。本出願の技術手段は、明細書の内容を考察することによって明らかになる。本出願のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、以下の本出願の具体的な実施形態を考慮してより理解される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
閲読しながら以下の好ましい実施形態を詳しく説明し、当業者であれば、その他のメリットが明瞭になる。図面は、好ましい実施形態を示すものに過ぎず、本出願を制限するものではない。すべての図面において、同じ符号で同一の部材を示す。
図1図1は、本出願のいくつかの実施形態の車両の構成模式図である。
図2図2は、本出願のいくつかの実施形態の電池の分解構成模式図である。
図3図3は、本出願のいくつかの実施形態の電池の内部構成模式図である。
図4図4は、本出願のいくつかの実施形態の電池筐体の部分平面図である。
図5図5は、本出願のいくつかの実施形態の高圧ボックスの断面図である。
図6図6は、本出願のいくつかの実施形態の電池筐体の部分平面図である。
図7図7は、本出願のいくつかの実施形態の高圧ボックスの下ケースの構成模式図である。
図8図8は、図7のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、例示的なものであり、本出願の技術案をより明瞭に説明するためのものにすぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0020】
特に断りがない限り、本出願で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本出願が属する分野の一般技術者の通常の理解と同様の意味を有する。本出願において、本願明細書に使用される用語は、具体的実施例を説明するためのものにすぎず、本出願を限定するものではない。また、本出願の明細書、特許請求の範囲および図面の説明に記載の用語「含む」、「有する」及びその類義語は、非排他的包含をカバーすることが意図される。
【0021】
本出願の実施形態に記載の「第1」、「第2」等の用語は、類似の対象を区別するためのものすぎず、相対重要性を明示又は暗示したり、技術的特徴の数を暗示したりするものではなく、特定の順序又は順位を限定するものでもない。本出願の実施形態の説明において、別途の具体的な限定がない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0022】
「実施形態」への本出願での言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が本出願の少なくとも一実施形態に含まれ得ることを意味する。明細書における様々な部分でのこのフレーズの出現は、全てが同じ実施形態を参照しているのではないし、他の実施形態を互いに除いた別個的または代替的な実施形態でもない。本明細書に記載された実施形態は、他の実施形態と組み合わせてもよいことが、当業者によって明示的または暗示的に理解される。
【0023】
本出願の実施形態の説明において、用語「及び/又は」は、関連する対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在できることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本明細書の文字「/」は一般的にその前後の関連する対象が「又は」の関係であることを示す。
【0024】
本出願の実施形態の説明において、用語「複数」は、2つ以上(2つを含む)のことを意味し、同様に、「複数群」は、2群以上(2群を含む)のことを意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)のことを意味する。
【0025】
本出願の実施形態の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、本出願の実施形態を便宜的に及び簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたりすることを明示又は暗示するものではないため、本出願の実施形態を限定するものではないと理解すべきである。
【0026】
本出願の実施形態の説明において、明確な定義や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語を、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通し又は2つの素子が相互に作用してもよい。当業者は、本出願の実施形態における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0027】
高圧ボックスは、ヒューズと、リレー、電流センサ、プリチャージ抵抗などの電子部品を含み、いずれも高圧ボックス内の収容空間に収容されている。電気自動車などの電動装置を正常に動作させるため、高圧ボックスは、振動、高温、低温、高温高湿、および高出力などの環境に耐える必要がある。また、最大限に車両全体の空間を小さくし、ハーネスを削減し、高圧ボックスまたは電池の熱による故障の発生確率を低減するために、高圧ボックス内の電子部品のレイアウトを考慮しなければならず、高圧ボックスに対して良好な放熱システムを用意する必要がある。
【0028】
従来、高圧ボックス内の銅バーの断面面積を増加することで、高圧ボックスの放熱性能を向上させることができるが、銅バーの断面面積を増加すると、より広い高圧ボックスの内部空間が必要となる。また、上記の問題を解決するために、高圧ボックスのケースに放熱孔を開口し、高圧ボックスの内部空間に影響を与えずに高圧ボックスの放熱性能を向上させることが考えられる。しかしながら、放熱孔の設置による高圧ボックスの放熱性能の向上効果が小さく、高圧ボックスを備える電池の安全性能にも影響を及ぼす。
【0029】
本発明者らは、上記の問題を考慮し、高圧ボックスの放熱効果を向上させ、電池の安全性能を高める高圧ボックスを設計した。具体的に、本出願の高圧ボックスは、高圧ボックス内のリレーを反転して、リレーの導電片を高圧ボックスの下ケースと接触させることで、リレーの動作中に生成された熱を導電片を介して直接に高圧ボックスの下ケースに伝達させ、高圧ボックスの放熱能力を向上させ、電池の安全性能を高める。
【0030】
本出願の実施形態は、上記高圧ボックスを備える電池を電源として使用する電気設備を提供する。電気設備とは、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、電動車、電気自動車、船、航空機、電動玩具および電動工具などが挙げられる。航空機には、飛行機、ロケット、スペースシャトルおよび宇宙船などが含まれる。電動玩具には、固定式または移動式のものが含まれ、例えば、ゲーム機、電動車玩具、電動船玩具および電動飛行機玩具などが挙げられる。電動工具には、金属切削電動工具、研磨電動工具、組立用電動工具および鉄道用電動工具が含まれ、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバー、電動ハンマー、インパクト電動ドリル、コンクリートバイブレーターおよび電動カンナなどが挙げられる。
【0031】
本出願の実施形態の電池は、上記の電気設備だけではなく、すべての電池を使用する装置に適用できる。なお、説明の便宜のため、以下の実施形態は、電気自動車を例として説明する。
【0032】
図1は、本出願の一実施形態の車両1の構成模式図を示す。図1に示すように、例えば、車両1には、ガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車が含まれ、新エネルギー自動車には、電気自動車、ハイブリッド車またはレンジエクステンダー式電気自動車などが含まれる。車両1の内部には、電池2、制御器3およびモータ4が配置され、制御器3は電池2のモータ4への給電を制御するためのものである。例えば、電池2は、車両1の底部、前部または後部に設置されることが可能である。電池2は、車両1に給電するためのものであり、例えば、動作電源として車両1の電気回路システムに適用することができる。例えば、車両1の始動、ナビゲートおよび走行時の動作の電源として使用することができる。本出願の他の実施形態では、電池2は、車両1の動作電源として使用可能だけでなく、ガソリンや天然ガスの代わりに車両1に駆動電力を提供するための車両1の駆動電源としても使用することができる。
【0033】
本出願の実施形態の電池2は、より高い電圧および容量を提供するために1つまたは複数の電池セル6を含む単一の物理モジュールである。図2に示すように、電池2は、複数の電池セル6を含み得る。電池セル6の数および電池セル6の接続は、異なる電力の要求に応じて設定すればよい。具体的に、複数の電池セル6は、直列、並列または直並列されることが可能である。直並列とは、直列と並列との組み合わせである。これによって、電池2は、比較的大きい容量またはパワーを有するようになる。任意選択で、複数の電池セル6を先に直列、並列または直並列して電池モジュールを組み立て、さらに、複数の電池モジュールを直列、並列または直並列して、電池2とすることが可能である。つまり、複数の電池セル6を直接に組み合わせて電池2とすることができるし、先に電池モジュールを形成し、電池モジュールを組み合わせて電池2とすることもできる。
【0034】
電池2は、さらに、電池筐体5(カバー体とも称する)を含む。電池筐体5内には、複数の電池セル6を収容する収容空間を備える。図2に示すように、電池筐体5は、第1部分51と第2部分52と称される2つの部分を備える。図2図3に示すように、図3は、電池筐体5の第1部分51を示す。第1部分51と第2部分52とは、収容空間を形成するように、係合、接着などで接続される。複数の電池セル6は、直列、並列または直並列されてから、第1部分51と第2部分52とが接続されてなる筐体5内に配置される。なお、第1部分51と第2部分52の形状は、複数の電池セル6を組み合わせてなる形状によって定められる。
【0035】
また、電池筐体5は、少なくとも1つの電池セル6を保護するためのものであり、電池2の外部の液体や他の異物による少なくとも1つの電池セル6の充放電への影響を防止することができる。また、電池セル6は、円柱状、偏平体状、長方体状またはその他の形状などを呈し、本出願の実施形態において、これらに限定されない。電池セル6は、パッケージング方式により、一般的に、柱状電池セル、角型電池セル、パウチ電池セルを含み、本出願の実施形態において、これらに限定されない。
【0036】
なお、電池2は、その他の構成を含み得るが、ここでは省略する。例えば、該電池2は、さらに集電部材を含んでもよい。集電部材は、複数の電池セル6の間の電気接続を実現し、例えば、複数の電池セル6の間の並列、直列または直並列を実現するためのものである。具体的に、集電部材は、電池セル6の電極端子を接続することで電池セル6の間の電気接続を実現する。また、集電部材は、溶接で電池セル6の電極端子と固定接続することが可能である。好ましくは、集電部材は、複数の電池セル6により生成された電気エネルギーを電池筐体5から流し出すための導電機構を備える。
【0037】
本出願のいくつかの実施形態において、図3図5に示すように、本出願の第1局面の実施形態は、高圧ボックス7を提供する。高圧ボックス7は、ケースと、リレー72とを備える。ケースは、接続されて収容空間を形成する上ケース711と下ケース712とを含む。リレー72は、収容空間内に設置される。リレー72は、下ケース712と接触する導電片721を備える。
【0038】
本出願の実施形態において、上ケース711と下ケース712によって、高圧ボックス7の各電子部品を収容するための収容空間を形成する。上ケース711および下ケース712は、リレー72などの電子部品を保護するためのものである。これによって、外部の物体による高圧ボックス7内のリレー72などの電子部品への影響、および高圧ボックス7内の高圧電子部品の電池2の内部のその他の構成への影響を減らすことができる。また、図3および図4に示すように、下ケース712が電池筐体5と固定接続され、これによって、高圧ボックス7を電池筐体5内に固定することができる。上ケース711および下ケース712は、プラスチック、金属などで作製してもよく、本出願には、これに限定されない。
【0039】
リレー72は、高圧ボックス7のケースに設置される。リレー72の導電片721は、リレー72の内部回路を外部と接続するための素子である。
【0040】
本出願の実施形態の技術案において、図4および図5に示すように、高圧ボックス7が電池筐体5内に設置され、高圧ボックス7の下ケース712が電池筐体5と固定接続されている。リレー72が、高圧ボックス7内に設置され、リレー72の導電片721が高圧ボックス7の下ケース712の内側と直接接触する。高圧ボックス7の作動過程において、リレー72の動作により生成された熱はリレー72の導電片721に伝達される。導電片721が下ケース712の内側と直接接触するので、導電片721の熱が直接下ケース712に伝達され、下ケース712から速やかに高圧ボックス7の外側に伝達される。これによって、熱の高圧ボックス7の内部での伝達および蓄積の確率を低減することができる。リレー72により生成された熱が導電片721および下ケース712を介して速やかに放出され、高圧ボックス7の放熱効率が向上するので、高圧ボックス7の過熱現象の発生を低減でき、電池2の安全性能を高めることができる。
【0041】
本出願のいくつかの実施形態において、図5に示すように、高圧ボックス7は、水冷板73を備え、水冷板73が、下ケース712のリレー72から離れる側と接触する。水冷板73は、少なくとも1つの水冷通路を含む。また、水冷板73は、少なくとも1つの水冷通路と連通する水入口および水出口を備える。
【0042】
本出願の実施形態において、図5に示すように、水冷板73は、高圧ボックス7の下ケース712と接触して接続される。水冷板73は、下ケース712内の熱を吸収し、下ケース712および高圧ボックス7を降温させるアッセンブリである。水冷板73は、少なくとも1つの水冷通路を含み、冷却水が水冷板73の水入口から少なくとも1つの水冷通路に入る。高圧ボックス7から水冷板73に伝達された熱を吸収し、熱を吸収した冷却水が水出口から排出することで、高圧ボックス7を降温させる。また、電池2は、さらに、電池モジュールまたは電池セル6を降温させるための電池水冷板を備える。本出願の実施形態の水冷板73は、電池水冷板と一体成型されたものであってもよい。これによって、高圧ボックス7およびそれが備える水冷板73の占有スペースが小さくなり、電池2の構成の複雑性を軽減することができる。
【0043】
本出願の実施形態において、高圧ボックス7内のリレー72などの電子部品により生成された熱が下ケース712に伝達され、そして下ケース712を介してそれと接続する水冷板73に伝達され、最後に、水冷板73内に流れる冷却水で吸収される。つまり、水冷板73がリレー72などの電子部品により下ケース712に伝達された熱を吸収できるので、高圧ボックス7の降温を実現でき、高圧ボックス7の放熱効果をさらに向上させ、電池2の安全性能をさらに高めることができる。
【0044】
本出願のいくつかの実施形態において、図7に示すように、下ケース712は、射出成型で一体に形成された金属部7121および樹脂部7122を備える。
【0045】
本出願の実施形態において、金属部7121と樹脂部7122は、いずれも下ケース712の要部である。金属部7121は、銅、アルミニウムなどの大きい熱伝導率を有し、熱伝導性がよい金属または合金からなる。樹脂部7122は、ゴム、プラスチックなどの絶縁材料からなる。
【0046】
本出願の実施形態において、下ケース712が金属部7121を備え、金属部7121が大きい熱伝導率を有し、熱伝導性がよいので、高圧ボックス7内に生成された熱が金属部7121を介して速やかに放出され、そして金属部7121と接触する水冷板73で吸収される。これによって、熱伝達速度を上げ、さらに高圧ボックス7の放熱効果を向上させる。射出成型で一体に形成されたものであるので、高圧ボックス7の空間を節約できるとともに、高圧ボックス7の組立効率も向上させる。
【0047】
本出願のいくつかの実施形態において、図7に示すように、金属部7121のリレー72から離れる側は、下ケース712の表面から露出し、水冷板73と接触するようになる。
【0048】
本出願の実施形態において、金属部7121の表面が露出し直接水冷板73と接触し、つまり、金属部7121と水冷板73との間に樹脂部7122を有しないので、高圧ボックス7内に生成された熱が金属部7121を介して速やかに放出され、金属部7121と接触する水冷板73で吸収される。これによって、高圧ボックスの下ケース712から放出された熱がよりよく水冷板73に伝達され、熱伝達速度を上げ、さらに高圧ボックス7の放熱効果を向上させる。
【0049】
本出願のいくつかの実施形態において、図5に示すように、高圧ボックス7は、収容空間内に設置され、導電片721と接続されかつ下ケース712と接触する少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74をさらに備える。
【0050】
本出願の実施形態において、少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74は、アルミニウムブロック、銅ブロックなどのような熱伝導率が大きく、熱伝導性が強い金属ブロックを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74は、熱エネルギーを伝達および蓄積するためのものである。少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74は、長方体状、立方体状などに形成されるが、これらに限定されない。少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74は、リレー72の導電片721と締結接続されてもよい。
【0051】
本出願の実施形態において、高圧ボックス7内に、導電片721と接続され、リレー72からの熱エネルギーの一部を蓄積する少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74が設置されるので、リレー72の放熱速度をさらに上げることができる。また、少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74がリレー72の導電片721および下ケース712のそれぞれと接触するので、リレー72により生成された熱が少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74を介して下ケース712に伝達されることが可能である。少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74と高圧ボックスの下ケース712との接触面積がより大きいので、リレー72の放熱面積を増加することができる。これによって、リレー72の熱を高圧ボックスの下ケース712へ伝達するための新たな経路を提供し、少なくとも1つの熱伝導金属ブロック74で蓄積した熱エネルギーとリレー72からの熱エネルギーをより確実に下ケース712に伝達できるので、高圧ボックス7の放熱効率を向上させる。
【0052】
本出願のいくつかの実施形態において、図5図6に示すように、高圧ボックス7は、熱伝導パッド75と熱伝導絶縁膜76を備える。熱伝導パッド75が下ケース712と水冷板73との間に設置され、熱伝導絶縁膜76が熱伝導パッド75と水冷板73との間に設置される。
【0053】
本出願の実施形態において、熱伝導パッド75は、高性能の熱伝導材料からなり、下ケース712と水冷板73との間の熱伝達界面として形成されることが可能であり、高圧ボックスの下ケース712と水冷板73との間の間隙に充填されるものである。これによって、高圧ボックスの下ケース712と水冷板73との間の熱伝達を実現する。熱伝導絶縁膜76は、水冷板73の表面を覆い、熱を速やかに水冷板73に伝達するための絶縁部材である。熱伝導パッド75と熱伝導絶縁膜76は、同じ材料で形成されることが可能であり、例えばシリコーンゴムのような、良好な熱伝導性と絶縁性を有する材料により作製されてもよい。シリコーンゴムは、良好な熱伝導性と絶縁性を有するので、多くの熱伝導、絶縁の要求を満たすことができる。なお、必要に応じて、熱伝導パッド75と熱伝導絶縁膜76の材料を選択可能であり、本出願の実施形態は、これに限定されない。
【0054】
本出願の実施形態において、熱伝導パッド75が下ケース712と水冷板73との間の間隙に充填されるので、下ケース712と水冷板73との間の空気を排出でき、水冷板73と下ケース712との間の接触がより緊密になる。これによって、高圧ボックス7の放熱効果を向上させる。熱伝導パッド75が下ケース712と水冷板73との間に設置されたので、熱伝導パッド75により高圧ボックス7内の熱を速やかに吸収し、水冷板73に伝達することできる。これによって、高圧ボックス7の放熱効率をさらに向上させる。熱伝導絶縁膜76により、放熱効率を保証しながら、高圧ボックス7内の電気の水冷板73への放出確率を低減できるので、高圧ボックス7の安全性を向上させる。
【0055】
本出願のいくつかの実施形態において、図7図8に示すように、金属部7121のリレー72に近い側に、少なくとも1つの電気接続部分713を含み、少なくとも1つの電気接続部分713が下ケース712の表面から露出する。
【0056】
本出願の実施形態において、電気接続部分713は、下ケース712の電気接続面であり、電気接続部分713は、複数の締結部714を備える。締結部714は、高圧ボックス7をその他の電子部品と固定するためのものであり、下ケース712の表面から露出する。
【0057】
本出願の実施形態において、電気接続部分713が下ケース712の表面から露出し、つまり電気接続部分713が樹脂部品で遮られていないので、下ケース712と高圧ボックス7内の電子部品との接続に寄与でき、高圧ボックスの下ケース712と電子部品との組立効率を向上させる。
【0058】
本出願のいくつかの実施形態において、図7図8に示すように、電気接続部分713は、突起構造により構成される。
【0059】
本出願の実施形態において、図6図8に示すように、電気接続部分713は、プレス加工などで金属部7121が高圧ボックス7の内部へ突き出る電気接続面である。電気接続部分713が突起構造により構成されるので、電気接続部分713の表面の平坦度の要求が低減され、電気接続部分713が高圧ボックス7内の電子部品と接触したあとの電気接続部分713と電子部品の接触面との間の間隙を小さくすることができ、高圧ボックス7内の無駄な接合面積を低減することができる。突起構造により、電気接続部分713と高圧ボックス7内の電子部品との接続に寄与でき、高圧ボックスの下ケース712と電子部品との組立効率をさらに向上させる。
【0060】
本出願のいくつかの実施形態において、図8に示すように、電気接続部分713の少なくとも1つの側縁に面取り部715が設けられ、面取り部715に絶縁層が設置される。
【0061】
本出願の実施形態において、電気接続部分713の側縁に面取り部715を有するので、下ケース712の金属部7121と樹脂部7122とを一体に射出成型する過程において、面取り部715により、電気接続部分713の表面にゴムが残される確率を下げることができ、電気接続部分713の表面にゴムが残され、下ケース712と電子部品との接続を影響する確率を低減することができる。また、面取り部715の寸法は、実際の要求およびプロセスに応じて設定可能であり、本出願にはこれに限定されない。例えば、面取り部715の寸法はC0.6であってもよい。本出願の発明者らの検討のより、C0.6の面取り部715が生産プロセスの要求を満たし、本出願の実施形態が求める使用効果を奏することができる。
【0062】
また、面取り部715の設定により、下ケース712の製造金型と下ケース712の製造精度に対する要求が緩くなり、下ケース712の生産プロセスを簡単化することができる。面取り部715に被覆ゴムである絶縁層が設置されるので、下ケース712の製造金型の閉型過程の電気接続部分713の表面への影響を低減することができ、閉型過程における金型の損傷率を下げることができる。さらに、図8に示すように、面取り部715が、電気接続部分713の側縁の全周にわたって設けられてもよい。
【0063】
本出願の第2局面の実施形態は、上記の任意1つの高圧ボックス7を備える電池2を提供する。
【0064】
本出願の実施形態の技術案による電池2の高圧ボックス7は、電池筐体5内に収容され、その下ケース712が電池筐体5と固定接続される。リレー72は、高圧ボックス7内に設置され、その導電片721が高圧ボックス7の下ケース712の内側と直接接触する。高圧ボックス7の動作過程において、リレー72の動作により生成された熱がリレー72の導電片721に伝達される。導電片721が下ケース712の内側と直接接触するので、導電片721の熱が直接下ケース712に伝達され、下ケース712から速やかに高圧ボックス7の外側に放出される。これによって、熱の高圧ボックス7の内部での伝達および蓄積の確率を低減することができる。リレー72により生成された熱が導電片721および下ケース712を介して速やかに放出され、高圧ボックス7の放熱効率を向上するので、高圧ボックス7の過熱現象の発生を低減でき、電池2の安全性能を高めることができる。
【0065】
本出願の第3局面の実施形態は、上記電池2を備える電気設備を提供する。電池2は、電気設備に給電するためのものである。
【0066】
本出願の実施形態の技術案による電気設備は、上記電池2を備えるので、上記電池2のすべてのメリットを有する。電気設備は、上記の任意1つの電池2を使う設備またはシステムである。
【0067】
最後に注意すべきことは、上記の各実施形態が、本出願の技術案を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではないことである。上記の各実施形態を参照しながら本出願を詳細に説明したにもかかわらず、当業者は、上記の各実施形態に記載された技術案を変更してもよく、その内の一部または全ての技術的特徴を均等に置き換えてもよい。これらの変更または置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施形態の技術案の範囲から逸脱させていなく、いずれも、本出願の特許請求の範囲および明細書の範囲内に含まれる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施形態で言及される各技術的特徴は、任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0068】
1…車両
2…電池
3…制御器
4…モータ
5…電池筐体
6…電池セル
7…高圧ボックス
51…第1部分
52…第2部分
72…リレー
73…水冷板
74…熱伝導金属ブロック
75…熱伝導パッド
76…熱伝導絶縁膜
711…上ケース
712…下ケース
713…電気接続部分
714…締結部
715…面取り部
721…導電片
7121…金属部
7122…樹脂部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】