(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】半導体超接合パワーデバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/78 652H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501873
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022098644
(87)【国際公開番号】W WO2023087685
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111359635.7
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519152663
【氏名又は名称】蘇州東微半導体股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼磊
(72)【発明者】
【氏名】袁▲願▼林
(72)【発明者】
【氏名】王睿
(57)【要約】
本出願の実施例は、n型ドレイン領域(20)と、n型ドリフト領域(21)と、複数のp型カラム(22)であって、前記複数のp型カラム(22)における頂部に、前記p型カラム(22)とは一対一に対応し、幅がいずれも等しく、且つそれぞれの内部にn型ソース領域(24)が設けられた複数のp型ボディ領域(23a、23b、23c)がそれぞれ設けられる、複数のp型カラム(22)と、前記n型ソース領域(24)と前記n型ドリフト領域(21)との間の電流チャネルのオン・オフを制御するゲート構造と、前記n型ドリフト領域(21)の上に位置し、且つ隣接する前記p型ボディ領域(23a、23b、23c)の間に介在するJFET領域(25a、25b、25c、25d)と、を含み、ここで、前記複数のp型カラム(22)における各p型カラム(22)の幅は等しく、且つ隣接する2つの前記p型カラム(22)間の間隔は等しく、前記JFET領域(25a、25b、25c、25d)は、少なくとも2つ以上の異なる幅に設定されている、半導体超接合パワーデバイスを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型ドレイン領域(20)と、
n型ドリフト領域(21)と、
複数のp型カラム(22)であって、前記複数のp型カラム(22)の頂部に、前記複数のp型カラム(22)とは一対一に対応し、幅がいずれも等しく、且つそれぞれの内部にn型ソース領域(24)が設けられた複数のp型ボディ領域(23a、23b、23c)がそれぞれ設けられる、複数のp型カラム(22)と、
前記n型ソース領域(24)と前記n型ドリフト領域(21)との間の電流チャネルのオン・オフを制御するゲート構造と、
前記n型ドリフト領域(21)の上に位置し、且つ隣接する前記p型ボディ領域(23a、23b、23c)の間に介在する複数のJFET領域(25a、25b、25c、25d)と、を含み、
前記複数のp型カラム(22)における各p型カラム(22)の幅は等しく、且つ隣接する2つの前記p型カラム(22)間の間隔は等しく、前記JFET領域(25a、25b、25c、25d)は、少なくとも2つ以上の異なる幅に設定される、半導体超接合パワーデバイス。
【請求項2】
前記複数のJFET領域(25a、25b、25c、25d)の幅は、C、C+1D、C、C+1D、C、・・・と順次に設定され、又はC、C+1D、・・・、C+nD、C+(n-1)D、・・・、C、C+1D、・・・、C+nD、C+(n-1)D、・・・、C、・・・と順次に設定され、或いはC、C、・・・、C+1D、C+1D、・・・、C+nD、C+nD、・・・、C+(n-1)D、C+(n-1)D、・・・、C、C、・・・と順次に設定され、ここで、n≧2且つnは整数であり、CはJFET領域(25a、25b、25c、25d)の基本的な幅であり且つC>0であり、DはJFET領域(25a、25b、25c、25d)の変化する幅であり且つD>0である、請求項1に記載の半導体超接合パワーデバイス。
【請求項3】
前記ゲート構造は、電流チャネル領域と前記JFET領域(25a、25b、25c、25d)とを覆うゲート誘電体層(26)と、前記ゲート誘電体層(26)の上に位置するゲート(27)とを含む、請求項1に記載の半導体超接合パワーデバイス。
【請求項4】
前記ゲート構造は、電流チャネル領域を覆うゲート誘電体層(26)と、前記ゲート誘電体層(26)の上に位置するゲート(27)とを含み、ゲート(27)は前記JFET領域(25a、25b、25c、25d)の上で切断されている、請求項1に記載の半導体超接合パワーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月17日に中国特許局に提出された出願番号が202111359635.7号の中国特許出願の優先権を主張するものであり、当該出願の全部の内容を引用により本出願に援用する。
【0002】
本出願は、半導体パワーデバイス技術の分野に属し、例えば、半導体超接合パワーデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体超接合パワーデバイスは、電荷バランス技術に基づいて、オン抵抗及び寄生容量を低減することができ、半導体超接合パワーデバイスは、極めて速いスイッチング特性を有し、スイッチング損失を低減して、より高いパワー変換効率を実現することができる。半導体超接合パワーデバイスをオン・オフにする時に、ゲート-ドレイン間容量(Cgd)が急変し、これにより半導体超接合パワーデバイスにおいてゲート電圧の振動が激しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、関連技術における半導体超接合パワーデバイスのゲート-ドレイン間容量の急変を解決するために、半導体超接合パワーデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例は、
n型ドレイン領域と、
n型ドリフト領域と、
複数のp型カラムであって、前記複数のp型カラムにおける各前記p型カラムの頂部に、前記p型カラムとは一対一に対応し、幅がいずれも等しく、且つそれぞれの内部にn型ソース領域が設けられた複数のp型ボディ領域がそれぞれ設けられる、複数のp型カラムと、
前記n型ソース領域と前記n型ドリフト領域との間の電流チャネルのオン・オフを制御するゲート構造と、
前記n型ドリフト領域の上に位置し、且つ隣接する前記p型ボディ領域の間に介在するJFET領域と、を含み、
ここで、前記複数のp型カラムにおける各p型カラムの幅は等しく、且つ隣接する2つの前記p型カラム間の間隔は等しく、前記JFET領域は、少なくとも2つの異なる幅に設定される、半導体超接合パワーデバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本出願に係る半導体超接合パワーデバイスの第1の実施例の断面構造模式図である。
【
図2】本出願に係る半導体超接合パワーデバイスの第2の実施例の断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本出願の実施例における図面を参照し、具体的な形態によって、完全に本出願の技術案を説明する。
【0008】
図1は、本出願に係る半導体超接合パワーデバイスの第1の実施例の断面構造模式図である。
図1に示すように、本出願の実施例に係る半導体超接合パワーデバイスは、以下のことを含む。n型ドレイン領域20であって、n型ドレイン領域20は、金属層を介してドレイン電圧に外付けされることができる。n型ドリフト領域21であって、n型ドレイン領域20の上に位置する。
【0009】
複数のp型カラム22であって、これを容易に示して説明するために、
図1には3つのp型カラム22のみを例示している。複数のp型カラム22における各p型カラム22の幅は等しく、且つ隣接する2つのp型カラム22間の間隔は等しく、p型カラム22と隣接するn型ドリフト領域21との間には電荷バランスとなるpn接合の構造が形成される。
【0010】
複数のp型カラム22における各p型カラム22の頂部に、p型カラム22とは一対一に対応するp型ボディ領域がそれぞれ設けられ、
図1には、p型ボディ領域23a、p型ボディ領域23b及びp型ボディ領域23cという3つのp型ボディ領域が例示され、p型ボディ領域の幅はいずれも等しい。p型ボディ領域の幅をいずれも等しいに設定することで、各p型ボディ領域のレイアウトの設計寸法を同じにするとともに、各n型ソース領域24のレイアウトの設計寸法も同じにして、半導体超接合パワーデバイスの設計を簡略化することができ、好ましくは、各p型ボディ領域における電流チャネル長をいずれも等しくすることができ、これは半導体超接合パワーデバイスの一致性に影響を与えない。
【0011】
n型ドリフト領域21上方に位置し、且つ隣接するp型ボディ領域の間に介在する接合型電界効果トランジスタ(Junction Field-Effect Transistor,JFET)領域であって、JFET領域は、超接合パワーデバイスにおいて寄生される接合型電界効果トランジスタ領域である。
図1には、JFET領域25a、JFET領域25b、JFET領域25c及びJFET領域25dという4つのJFET領域が例示され、JFET領域は少なくとも2つの異なる幅に設定され、例示的には、
図1におけるJFET領域25bの幅はa1に設定され、JFET領域25cの幅はa2に設定されている。
【0012】
複数のp型カラム22における各p型カラム22の幅は等しく、且つ隣接するp型カラム22間の間隔は等しいとともに、p型ボディ領域の幅はいずれも等しいので、JFET領域が少なくとも2つの異なる幅を有することを実現するためには、一部のp型ボディ領域を、それに対応するp型カラム22に対してオフセットさせる必要があり、例示的には、
図1には、p型ボディ領域23aの対称軸線及びp型ボディ領域23cの対称軸線を、それらに対応するp型カラム22の対称軸線と重ね合わせ、p型ボディ領域23bの対称軸線を、それに対応するp型カラム22の対称軸線に対して距離bとなるように右へオフセットさせ、これにより、JFET領域25bの幅a1とJFET領域25cの幅a2との差は2bとなる。
【0013】
少なくとも1つのp型ボディ領域のオフセットを設定することにより、JFET領域は2つ又は2つ以上の異なる幅を有することができ、好ましくは、JFET領域の幅は、C、C+1D、C、C+1D、C、・・・と順次に設定され、即ち、少なくとも一部のJFET領域の幅は2つの異なる幅の値を有し、且つ順次に間隔且つ循環的に設定され、又はC、C+1D、・・・、C+nD、C+(n-1)D、・・・、C、C+1D、・・・、C+nD、C+(n-1)D、・・・、C、・・・と順次に設定され、即ち、少なくとも一部のJFET領域の幅は順次に大きくして、更に順次に小さくして、更に順次に大きくして、更に順次に小さくして、このように循環して、又はC、C、・・・、C+1D、C+1D、・・・、C+nD、C+nD、・・・、C+(n-1)D、C+(n-1)D、・・・、C、C、・・・と順次に設定され、即ち、JFET領域は、複数のJFET領域のグループを含み、同じJFET領域のグループにおけるJFET領域の幅は同じで、異なるJFET領域のグループにおけるJFET領域の幅はまず順次に大きくして、更に順次に小さくして、このように循環し、ここで、n≧2且つnは整数であり、CはJFET領域の基本的な幅であり且つC>0であり、DはJFET領域の変化する幅であり且つD>0であり、n、C、Dの具体的な数値は、設計の要求に応じて決定される。異なる幅となるJFET領域の構造を設定することにより、半導体超接合パワーデバイスをオン・オフにする際に、ソース-ドレイン電圧の上昇に伴い、JFET領域は徐々に損失されなくなり、且つ幅が小さいJFET領域は先に損失されなくなり、ゲート-ドレイン間容量はこのソース-ドレイン電圧ポイントで急降下し、そして、ソース-ドレイン電圧の上昇に伴い、幅がやや広いJFET領域は順次に損失されなくなり、ゲート-ドレイン間容量はこれらのソース-ドレイン電圧ポイントで順次に急降下することで、半導体超接合パワーデバイスのゲート-ドレイン間容量の急変ポイントはいくつかの異なるソース-ドレイン電圧ポイントに分散し、これにより、半導体超接合パワーデバイスをオン・オフにする際の、ゲート-ドレイン間容量の急変速度は低下され、半導体超接合パワーデバイスのゲート電圧の振動を低減する。
【0014】
各p型ボディ領域において、いずれもn型ソース領域24が設けられている。n型ソース領域24とn型ドリフト領域21との間の電流チャネルのオン・オフを制御するゲート構造であって、
図1には、ゲート構造は、デバイスの電流チャネル領域とJFET領域とを覆うゲート誘電体層26と、ゲート誘電体層26の上に位置するゲート27とを含み、この構造は全周ゲート構造であるゲートと呼ぶことができる。
【0015】
図2は、本出願に係る半導体超接合パワーデバイスの第2の実施例の断面構成概略図であり、
図1に示す半導体超接合パワーデバイスと比較すると、
図2における半導体超接合パワーデバイスのゲート構造は、電流チャネル領域を覆うゲート誘電体層26と、前記ゲート誘電体層26の上に位置するゲート27とを含み、ゲート27はJFET領域の上で切断され、この構造はスプリットゲート構造であるゲートと呼ぶことができる。
【0016】
本出願の半導体超接合パワーデバイスのセル領域において、少なくとも2つの異なる幅を有するJFET領域を採用することにより、半導体超接合パワーデバイスをオン・オフにする際の、ゲート-ドレイン間容量の急変速度を低下させ、半導体超接合パワーデバイスのゲート電圧の振動を低減させることができる。
【国際調査報告】