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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】フィルタ回路および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20231220BHJP
   H03H 9/64 20060101ALI20231220BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20231220BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20231220BHJP
   H01P 1/20 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H03H9/64 Z
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
H01P1/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510477
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2022086074
(87)【国際公開番号】W WO2023087606
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111360685.7
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】518385648
【氏名又は名称】安徽安努奇科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI ANUKI TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2800 Chuangxin Ave, Rm 602 Flr 6 Block C Bldg J1, Hefei Innovation Industrial Park Phase II, High-Tech Industrial Development Zone, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】石 麒麟
(72)【発明者】
【氏名】左 成傑
(72)【発明者】
【氏名】何 軍
【テーマコード(参考)】
5J006
5J024
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J006JA11
5J006LA03
5J006PB00
5J024AA01
5J024DA25
5J024EA01
5J024EA02
5J024EA03
5J024KA03
5J097AA16
5J097BB11
5J097JJ07
5J097KK04
5J097LL01
5J108AA07
5J108HH01
5J108HH06
(57)【要約】
本開示は、フィルタ回路および電子機器を提供し、フィルタの分野に属する。該フィルタ回路は、フィルタと抑圧リングとを備え、抑圧リングは、フィルタの外周に周設され、フィルタは、いくつかのグランドポートを含み、各グランドポートがいずれも抑圧リングと電気的に接続され、各グランドポートが接地する。フィルタの外周に抑圧リングを設置するとともに、各グランドポートを抑圧リングに接続してから接地させることにより、フィルタの帯域外抑圧能力を大幅に改善することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタと抑圧リングとを備え、
前記抑圧リングは、前記フィルタの外周に周設され、
前記フィルタは、いくつかのグランドポートを含み、各前記グランドポートがいずれも前記抑圧リングと電気的に接続され、各前記グランドポートが接地する
ことを特徴とするフィルタ回路。
【請求項2】
前記フィルタ回路は、いくつかのインダクタをさらに備え、各前記インダクタが前記抑圧リングの外側に設置され、各前記グランドポートが前記インダクタを介して接地する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
前記フィルタは、弾性波フィルタである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記弾性波フィルタは、弾性表面波(SAW)フィルタである
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記弾性波フィルタは、BAWフィルタである
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
前記弾性波フィルタは、FBARフィルタである
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ回路。
【請求項7】
前記フィルタは、マルチバンドフィルタである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項8】
前記フィルタは、シングルバンドフィルタである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項9】
前記抑圧リングは、金属製リングである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項10】
前記抑圧リングは、アルミニウム製リングである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項11】
前記抑圧リングの幅は10μmである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項12】
前記抑圧リングの厚さは、前記フィルタの厚さと同じである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ回路。
【請求項13】
請求項1または2に記載のフィルタ回路を備える
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタの分野に属し、具体的に、フィルタ回路および電子機器に関する。
(関係出願の相互参照)
【0002】
本開示は、2021年11月17日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202111360685.7であり、名称が「フィルタ回路および電子機器」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本開示に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
フィルタは、RF(Radio Frequency)システムにとって不可欠な部品の1つであり、主に周波数の選択に用いられ、必要な周波数信号を通し、不要な妨害周波数信号を反射させる。
【0004】
帯域外抑圧は、フィルタの、通過帯域外の信号への抑圧度を表すものである。フィルタの帯域外抑圧性能は、重要な指標であり、通信システム全体の性能を直接左右するものである。しかしながら、多くの場合、従来のフィルタが帯域外抑圧性能を効果的に向上させることができなかった。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、フィルタの帯域外抑圧の能力を効果的に改善できるフィルタ回路および電子機器を提供する。
【0006】
上記の目的を実現するため、本開示のいくつかの選択可能な実施例は、下記の技術案を採用する。
【0007】
本開示の実施例は、フィルタ回路を提供し、前記フィルタ回路は、フィルタと抑圧リングとを備え、前記抑圧リングは、前記フィルタの外周に周設され、前記フィルタは、いくつかのグランドポートを含み、各前記グランドポートがいずれも前記抑圧リングと電気的に接続され、各前記グランドポートが接地する。
【0008】
任意で、前記フィルタ回路は、いくつかのインダクタをさらに備え、各前記インダクタが前記抑圧リングの外側に設置され、各前記グランドポートが前記インダクタを介して接地する。
【0009】
任意で、前記フィルタは、弾性波フィルタである。
【0010】
任意で、前記弾性波フィルタは、弾性表面波(SAW)フィルタである。
【0011】
任意で、前記弾性波フィルタは、BAWフィルタである。
【0012】
任意で、前記弾性波フィルタは、FBARフィルタである。
【0013】
任意で、前記フィルタは、マルチバンドフィルタである。
【0014】
任意で、前記フィルタは、シングルバンドフィルタである。
【0015】
任意で、前記抑圧リングは、金属製リングである。
【0016】
任意で、前記抑圧リングは、アルミニウム製リングである。
【0017】
任意で、前記抑圧リングの幅は、10μmである。
【0018】
任意で、前記抑圧リングの厚さは、前記フィルタの厚さと同じである。
【0019】
本開示の実施例は、上記のフィルタ回路を備える電子機器をさらに提供する。
【0020】
従来関連技術に比べて、本開示は、以下の有益な効果を有する。
【0021】
本開示は、フィルタ回路および電子機器を提供し、該フィルタ回路は、フィルタと抑圧リングとを備え、抑圧リングがフィルタの外周に周設され、フィルタがいくつかのグランドポートを含み、各グランドポートが抑圧リングと電気的に接続され、各グランドポートが接地する。フィルタの外周に抑圧リングを設置するとともに、各グランドポートを抑圧リングに接続してから接地させることにより、フィルタの帯域外抑圧能力を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の実施例の技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本開示のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに他の関連図面を得ることが可能である。
【0023】
図1】本開示の実施例によるフィルタ回路の回路図の一である。
図2】本開示の実施例によるフィルタ回路の回路図の二である。
図3】本開示の実施例による性能パラメータの比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
背景技術に記載されたように、フィルタは、RFシステムにとって不可欠な部品の1つであり、主に周波数の選択に用いられ、必要な周波数信号を通過させ、不要な妨害周波数信号を反射させる。
【0025】
帯域外抑圧は、フィルタの、通過帯域外の信号への抑圧度を表すものである。フィルタの帯域外抑圧性能は、重要な指標であり、通信システム全体の性能を直接左右するものである。しかしながら、多くの場合、従来のフィルタが帯域外抑圧性能を効果的に向上させることができなかった。
【0026】
従来の技術に存在する問題は、発明者らが実践および綿密な研究を通じて得たものであり、したがって、上記の問題の発見および下記の本開示の実施例における上記の問題に対して提出した解決案は、本願の発明者らによる貢献とみなされるべきである。
【0027】
本開示の実施例の目的、技術案および利点をより明瞭に説明するため、以下、本開示のいくつかの実施例に用いられる図面を参照しながら、本開示の実施例における技術案を明瞭かつ完全に説明する。なお、説明される実施例が本開示の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは無論である。ここで図面を用いて示した本開示の実施例における部品は、様々配置方法で配置、設計することが可能である。
【0028】
このため、以下の、図面に示された本開示の実施例に対する詳細な説明は、本開示の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本開示の範囲を限定するものではない。本開示の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本開示の保護範囲に属する。
【0029】
なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0030】
本開示の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語で表された方向または位置関係は、図面に基づくものであり、あるいは該発明製品の通常の配置方向または位置関係であり、本開示を簡単および簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置または素子が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示または暗示するものではないため、本開示を限定するものではないと理解すべきである。
【0031】
また、「第1」、「第2」などの用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対的な重要性を明示または暗示するものではない。
【0032】
「有する」といった用語またはその任意の変化形は、非排他的な包含を網羅するように意図される。よって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの要素に限定されず、明記されない、またはこのプロセス、方法、物品または装置に対して固有の他の要素を含んでもよい。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本開示のいくつかの実施形態を詳細に説明する。なお、矛盾がない限り、本開示の実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0034】
本開示の実施例による技術案をよりよく理解するため、以下、本開示におけるいくつかの専門用語を詳細に説明する。
【0035】
フィルタ:フィルタは、RFシステムにとって不可欠な部品の1つであり、主に周波数の選択に用いられ、必要な周波数信号を通過させ、不要な妨害周波数信号を反射させるように構成される。
【0036】
フィルタの代表的な応用例は、受信機または送信機のフロントエンドが挙げられる。
【0037】
フィルタは、受信機におけるRF部分、IF部分およびベースバンド部分に広く応用されている。デジタル技術の発展に伴って、ベースバンド部分ひいてはIF部分のアナログフィルタの代わりとしてデジタルフィルタを採用することができるが、RF部分のフィルタは今でもかけがえがない。このため、フィルタは、RFシステムにとって不可欠な部品の1つである。
【0038】
現在、フィルタは、以下のように多くの分類方で分類されている。
【0039】
周波数選択の特性によって、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、帯域阻止フィルタなどに分類できる。
【0040】
実現方式によって、LCフィルタ、弾性表面波またはバルク波フィルタ、ヘリカルフィルタ、誘電体フィルタ、キャビティフィルタ、高温超伝導フィルタおよびプレーナ形フィルタなどに分類できる。
【0041】
周波数応答関数によって、チェビシェフフィルタ、一般化チェビシェフフィルタ、バターワースフィルタ、ガウシアンフィルタ、ベッセルフィルタ、楕円関数フィルタなどに分類できる。
【0042】
フィルタは、多くの分類方法でフィルタの異なる特徴を表しており、これは、実際の応用において、フィルタに対する要求を総合的に考慮する必要があるということであり、つまり、ユーザーのニーズを総合的に考慮する必要がある。
【0043】
フィルタを選択するとき、まず低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタまたは帯域阻止フィルタのどちらを使用するかを確定する必要がある。
【0044】
最もよく使用されるフィルタは、低域通過フィルタおよび帯域通過フィルタである。低域通過フィルタは、ミキサ部分でのイメージ抑圧、周波数源部分での高調波抑圧などに広く使用されている。帯域通過フィルタは、受信機フロントエンドでの信号選択、送信機での電力増幅の後のスプリアス抑圧、周波数源でのスプリアス抑圧などの面で広く使用されている。
【0045】
フィルタは、マイクロ波RFシステムに広く応用されている。フィルタは、機能部品として、システムの、該部品に対する性能要求を表すための相応の電気的性能指標が定められている。
【0046】
応用場面によっては、フィルタのいくつかの電気的性能特性に対する要求が異なる。
【0047】
以下、フィルタの電気的性能技術指標の一部を詳細に説明する。
【0048】
次数(段数):高域通過フィルタおよび低域通過フィルタの場合、次数は、フィルタにおけるコンデンサ、インダクタの数の合計である。帯域通過フィルタの場合、次数は、並列共振器の数の合計である。帯域阻止フィルタの場合、次数は、直列共振器と並列共振器の数の合計である。一般的に、フィルタは、多次フィルタが多く、そのグランドポートも複数有する。
【0049】
帯域外抑圧:フィルタの通過帯域周波数範囲外の「減衰量」であり、フィルタの、不要な周波数信号に対する選択能力を評価するものである。
【0050】
図1を参照すると、本開示の実施例は、フィルタ10の帯域外抑圧能力を効果的に改善できるフィルタ回路100を提供する。
【0051】
該フィルタ回路100は、フィルタ10と抑圧リング20とを備える。
【0052】
抑圧リング20は、フィルタ10の外周に周設される。
【0053】
フィルタ10は、いくつかのグランドポートを含み、各グランドポートがいずれも抑圧リング20と電気的に接続され、各グランドポートが接地する。
【0054】
本実施例によるフィルタ回路100は、フィルタ10の外周に抑圧リング20を設置するとともに、各グランドポートを抑圧リング20に接続してから接地させることにより、フィルタ10の帯域外抑圧能力を大幅に改善することができる。
【0055】
なお、本実施例によるいくつかのグランドポートは、1つであってもよく、複数であってもよい。実際の応用において、フィルタ10は、多次フィルタが多いので、グランドポートも複数有する。図1では、3つのグランドポートで例示しているが、3つのグランドポートしか有しないとは限らない。
【0056】
また、本開示の実施例によるフィルタ回路100は他の集中定数素子をさらに備えてもよく、集中定数素子は、実際のニーズに応じて選択することができ、本実施例では説明を省略する。
【0057】
本実施例において抑圧リング20がフィルタ10の外周に周設される。周設とは、抑圧リング20がフィルタ10の外周に対して平行をなす周設であってもよく、他の方式の周設であってもよい。
【0058】
図2を参照すると、他の実現可能な方式において、フィルタ回路100は、いくつかのインダクタをさらに備え、各インダクタがいずれも抑圧リング20の外側に設置され、各グランドポートが各インダクタを介して接地する。
【0059】
なお、本実施例において、インダクタの数とグランドポートの数が対応するように設けられ、各インダクタがいずれも接地インダクタとして機能できる。
【0060】
他の選択可能な実施形態において、フィルタ10は、弾性波フィルタであり得る。
【0061】
弾性波フィルタは、弾性表面波(SAW)フィルタであり得る。
【0062】
弾性表面波(SAW)フィルタは、圧電セラミックス、ニオブ酸リチウム、石英などの圧電水晶振動子材料の圧電効果および弾性表面波伝搬の物理的性質を利用して製造されたエネルギー変換型パッシブバンドパスフィルタであり、石英の結晶、圧電セラミックスなどの圧電材料を採用し、それらの圧電効果および弾性表面波伝搬の物理的性質を利用して製造されたフィルタリング専用デバイスである。
【0063】
弾性表面波(SAW)フィルタは、カラーテレビ、携帯電話、GPS測位、衛星通信およびケーブルテレビなどの電気設備に広く応用されている。
【0064】
任意で、フィルタ10は、BAWフィルタであってもよい。
【0065】
弾性表面波(SAW)フィルタに対して、BAWフィルタは、高周波数により適する。SAW/TC-SAW filterと同様に、周波数が高くなるほどBAWフィルタのサイズが小さくなる。また、BAWフィルタは、温度変化の影響を受けにくく、挿入損失が小さく、帯域外減衰が大きいなどのメリットを有する。
【0066】
SAWおよびTC-SAWフィルタは、約1.5GHz以内のアプリケーションにとても適し、1.5GHz超の場合、BAWフィルタは、性能上のメリットが明らかであり、周波数が高くなるほどBAWフィルタのサイズが小さくなるため、要求の非常に厳しい3Gアプリケーションおよび4Gアプリケーションにとても適する。また、高帯域幅の設計であっても、BAWは、温度変化による影響を受けにくいとともに、非常に低い損失と非常に急峻なフィルタスカートを持つ。
【0067】
任意で、フィルタ10は、FBARフィルタであり得る。
【0068】
FBARフィルタは、film bulk acoustic resonatorフィルタの略称であり、圧電薄膜共振器フィルタと訳す場合もあり、従来のフィルタと異なり、シリコン基板を使用してmems技術および薄膜技術で製造されるものである。現在のFBARフィルタは、一般的なsawフィルタより略高い特性を有している。
【0069】
FBARフィルタの次世代無線通信および無線アクセス製品での応用について、現在、無線移動体製品は、体積、省電力化に対する要求がますます高まっているだけでなく、多機能、マルチバンド、マルチシステム、マルチプロトコルの統合および集積へ進んでいる。例えば、gsm、cdma、wcdmaとgps、bluetooth、wifi、wimaxなどの異なる機能を1つの製品に統合する。これは、設計および量産に課題をもたらしており、設計者は案を選択するときに技術の成熟度および持続可能性を考慮すべきである。
【0070】
なお、本実施例において、フィルタ10は、上記のSAWフィルタ、BAWフィルタおよびFBARフィルタを含むが、これらに限定されなく、任意の他の形式の弾性波フィルタであってもよい。
【0071】
図3を参照すると、図3は、実験により得た、本開示の実施例によるフィルタ回路100と従来回路との性能パラメータの比較グラフであり、図面において、実線がフィルタ回路100の性能パラメータ曲線であり、点線が従来回路の性能パラメータ曲線である。実験によって、本開示の性能パラメータが従来回路の性能パラメータよりも明らかに優れており、本開示の実施例によるフィルタ回路100がフィルタの帯域外抑圧能力を大幅に向上させることができることが証明されている。
【0072】
任意で、フィルタ10は、マルチバンドフィルタである。
【0073】
任意で、フィルタ10は、シングルバンドフィルタである。
【0074】
他の可能な実現方式において、抑圧リング20は、金属製リングである。
【0075】
好ましい一実施形態において、抑圧リング20は、アルミニウム製リングである。
【0076】
他の選択可能な一実施形態において、抑圧リング20の幅は10μmである。
【0077】
なお、本実施例において抑圧リング20の幅が10μmであることが好ましい一実施形態にすぎない。具体的な応用において、抑圧リング20の幅は、プロセスの精度およびフィルタ10の帯域外抑圧の仕様に応じて設計することができる。
【0078】
任意で、抑圧リング20の厚さは、フィルタ10の厚さと同じである。
【0079】
本開示は、上記のフィルタ回路100を備える電子機器をさらに提供する。
【0080】
なお、本実施例においてフィルタ10はチップ構造のものであり、抑圧リング20とフィルタ10を同じ厚さにすることにより、帯域外抑圧の効果を効果的に向上させることができる。
【0081】
上記記載は、本開示の具体的な実施形態にすぎず、本開示の保護範囲がこれらに限定されない。当業者は、本開示に開示された技術範囲内で行った如何なる変更または置換も本開示の保護範囲内に属する。このため、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。
産業上の利用可能性
【0082】
本開示は、フィルタ回路および電子機器を提供し、該フィルタ回路は、フィルタと抑圧リングとを備え、抑圧リングがフィルタの外周に周設され、フィルタがいくつかのグランドポートを含み、各グランドポートが抑圧リングと電気的に接続され、各グランドポートが接地する。フィルタの外周に抑圧リングを設置するとともに、各グランドポートを抑圧リングに接続してから接地させることにより、フィルタの帯域外抑圧能力を大幅に改善することができる。
【0083】
なお、本開示に係るフィルタ回路および電子機器は、実施可能なものであり、さまざまな産業用途に適用することができる。例えば、本開示に係るフィルタ回路および電子機器は、フィルタ分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
100 フィルタ回路
10 フィルタ
20 抑圧リング
図1
図2
図3
【国際調査報告】