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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】受粉のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A01H 1/02 20060101AFI20231220BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A01H1/02 A
A01G7/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530952
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 SG2021050714
(87)【国際公開番号】W WO2022108533
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10202011643V
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523189288
【氏名又は名称】ポリービー ピーティーイー. エルティディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】ジャドハブ シッダルタ スニール,シッダルタ スニール
【テーマコード(参考)】
2B030
【Fターム(参考)】
2B030AA00
2B030AB04
2B030AD20
2B030CA28
2B030HA07
(57)【要約】
植物の花の受粉を行う方法及び受粉を行うシステム。当該方法は、空気流を生成するデバイスを提供することと、花が空気流にさらされるように植物に対してデバイスを配置することと、花における空気流誘発不安定性に起因する振動の結果として、花から花粉を移動させることと、を含む。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の花の受粉を行う方法であって、
空気流を生成するデバイスを提供することと、
前記花が前記空気流にさらされるように、前記植物に対して前記デバイスを配置することと、
前記花における空気流誘発不安定性に起因する振動の結果として、前記花から花粉を移動させることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記空気流が、約1×10から1×10、好ましくは約1×10から5×10、最も好ましくは約1×10から5×10の範囲のレイノルズ数を示す
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記花は、所定期間前記空気流にさらされる
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定期間は、約5秒から60秒、好ましくは約10秒から30秒、最も好ましくは約10秒から15秒の範囲である
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記花は前記空気流に複数回さらされ、
各回において、前記花は前記所定期間前記空気流にさらされる
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数回は、約1から20、好ましくは約2から10、最も好ましくは約3から5の範囲である
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記空気流を生成する前記デバイスは、ドローンを含む
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記花が前記空気流にさらされるように前記植物に対して前記ドローンを配置することは、前記花が前記ドローンのプロペラのダウンウォッシュ内に配置されるように前記ドローンを配置することを含む
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドローンは、前記ドローンに揚力を与えるプロペラに対立するものとして、前記空気流を生成する1以上の専用のプロペラを有する
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記花が前記空気流にさらされるように前記植物に対して前記ドローンを配置することは、前記空気流を前記花に向けるために、前記1以上の専用のプロペラを操作することを含む
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記空気流を生成するデバイスは、地上デバイスを含む
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記地上デバイスは、車両を含む
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記地上デバイスは、前記空気流を生成する1以上の専用のプロペラを有する
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記花が前記空気流にさらされるように前記植物に対して前記地上デバイスを配置することは、前記空気流を前記花に向けるために、前記1以上の専用のプロペラを操作することを含む
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
農業施設内で複数の装置を使用することを含む
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記デバイスは、受粉を自律的に行うように構成されている
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
残存充電閾値の検出時に前記デバイスを再充電することを含む
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記デバイスを再充電することは、前記デバイスのバッテリを交換することを含む
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
受粉を行うシステムであって、
制御ステーションと、
前記制御ステーションに結合され、空気流を生成する1以上のデバイスと、
を備え、
前記制御ステーションは、前記空気流に1以上の花がさらされるように、前記1以上の花に対して前記1以上のデバイスを配置し、前記1以上の花における空気流誘発不安定性に起因する振動の結果として、前記1以上の花から花粉を移動させるように構成されている
システム。
【請求項20】
前記空気流が、約1×10から1×10、好ましくは約1×10から5×10、最も好ましくは約1×10から5×10の範囲のレイノルズ数を示す
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御ステーションは、前記1以上の花が、所定期間前記空気流にさらされるように構成されている
請求項19又は20に記載のシステム。
【請求項22】
前記所定期間は、約5秒から60秒、好ましくは約10秒から30秒、最も好ましくは約10秒から15秒の範囲である
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御ステーションは、前記1以上の花が前記空気流に複数回さらされるように構成され、
各回において、前記1以上の花は前記所定期間前記空気流にさらされる
請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記複数回は、約1から20、好ましくは約2から10、最も好ましくは約3から5の範囲である
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記空気流を生成する前記1以上のデバイスは、1以上のドローンを含む
請求項19乃至24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記制御ステーションは、前記1以上の花に対して前記1以上のドローンを配置することが、前記1以上の花が前記1以上のドローンのプロペラのダウンウォッシュ内に配置されるように前記1以上のドローンを配置することを含むように構成されている
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
各ドローンは、前記ドローンに揚力を与えるプロペラに対立するものとして、前記空気流を生成する1以上の専用のプロペラを有する
請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御ステーションは、前記1以上の花に対して前記1以上のドローンを配置することは、前記空気流を前記1以上の花に向けるために、前記1以上のドローンの前記1以上の専用のプロペラを操作することを含むように構成されている。
請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記空気流を生成する前記1以上のデバイスは、1以上の地上デバイスを含む
請求項19乃至28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記1以上の地上デバイスは、1以上の車両を含む
請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
各地上デバイスは、前記空気流を生成する1以上の専用のプロペラを有する
請求項29又は30に記載のシステム。
【請求項32】
前記制御ステーションは、植物に対して前記1以上の地上デバイスを配置することが、前記空気流を前記花に向けるために、前記1以上の地上デバイスの前記1以上の専用のプロペラを操作することを含むように構成されている
請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記1以上のデバイスは、受粉を自律的に行うように構成されている
請求項19乃至32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記デバイスの残存充電閾値を検出する検出部と、
前記1以上のデバイスのための再充電部と、
を備える請求項19乃至33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記再充電部は、前記デバイスのバッテリを交換するように構成されている
請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、受粉のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書全体にわたる先行技術のいかなる言及及び/又は議論も、この先行技術が周知であるか、又は当分野における共通の一般的知識の一部を形成することを認めるものとして、決して考慮されるべきではない。
【0003】
自家受精作物は、雌雄同体型の花を有し、すなわち、雄(葯)及び雌型(柱頭)の両方が同じ花の上にある。「自家受粉」という名称は、そのような花がいかなる助けもなしに独立して受粉されることを示唆するが、ニュアンスがある。花粉粒を葯から移動させるためには、外部機関が発芽の柱頭に落ち着く必要がある。ミツバチ又はマルハナバチが利用可能な場合は、この機能を実行できる。しかし、気候変動、生態学的不均衡、商業生産のためのミツバチの近親交配の蔓延に伴い、ミツバチ個体群に対する脅威は複数存在する。加えて、温室及び垂直農場などの制御された環境における園芸の着実な成長があった。ミツバチは、保護された作物で操業するためには、照明条件だけでなく、極めて特定の大気を必要とする。照明と気候が採餌に最適ではない場合、ハチは保護作物に向かうのに苦労することを指摘する多くの研究がある[1、2]。そのようなシナリオでは、受粉は、偶然に放置されるか、又は手動で実行される。
【0004】
WIPO出願番号WO2020/095290A1(Arugga agtech)は、受粉のための専用処理チャネルを含む地上ベースの植物処理システムを記載している。処理チャネルは、接触を介して、又は脈動空気流を使用する非接触方法で、植物の花又は部分に、100Hz以上の特定の周波数で振動を誘発するように構成される。
【0005】
WO2020/095290A1における受粉の非接触方法は、花に必須の振動を誘発するために所定の周波数で十分に指向された空気パルスシーケンスを放射することができる、地上の植物処理システム上の流体流路を伴う。そのような機構は、空気パルス送達のための短い立ち上がり時間、具体的には、100Hz以上の所定の周波数を有する依然として空気中の脈動ジェット流を可能にする、洗練された流体流システムの提供を必要とする。
【0006】
日本特許出願JP2019191854Aには、花粉の離脱に至るその共振振動数で対象花を励起する地上設置型超音波集束装置を用いた非接触受粉方法が記載されている。超音波放射は、あらかじめ定義されたうなり周波数の圧力波を介して花粉を外すために必要な力とその周波数を誘発することができるが、このような設定は、移動プラットホーム上に搭載されたかなりの大きさの超音波アクチュエータの格子ならびに対象に波を向けるための集束装置を必要とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、上記の問題の少なくとも1つに対処しようとするものである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、植物の花の受粉を行う方法であって、空気流を生成するデバイスを提供することと、前記花が前記空気流にさらされるように、前記植物に対して前記デバイスを配置することと、前記花における空気流誘発不安定性に起因する振動の結果として、前記花から花粉を移動させることと、を含む方法。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、
受粉を実行するためのシステムが提供され、システムは、制御ステーションと、前記制御ステーションに結合され、空気流を生成する1以上のデバイスと、を備え、前記制御ステーションは、前記空気流に1以上の花がさらされるように、前記1以上の花に対して前記1以上のデバイスを配置し、前記1以上の花における空気流誘発不安定性に起因する振動の結果として、前記1以上の花から花粉を移動させるように構成されている。
【0010】
本発明の実施形態は、単なる例として、図面と併せて、以下の記載から、より良く理解され、当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、雌雄同体の花の生殖部分の一般的な表現を示している。空気力学的に制御された受粉は、成熟に達した後、葯の袋(右下)が開くと、花粉粒の放出を可能にする。柱頭に付着した後、生存花粉粒が発芽し、花粉管が受精のために子房に向かって花柱を介して(花粉粒ごとに)成長し始める(C.C.B.Y.4.0免許のもと、ウィキメディア・コモンズから適応した画像)。
図2図2は、例示的な実施形態による、イチゴの花の空力的に制御された受粉(ACP)を行うマイクロドローンを示す写真を示す。ドローンは、自律的に花の上をナビゲートし、その伴流を通して振動を受けさせる。結果として、後流によって花に及ぼされる力は、花粉粒を、他のものから柱頭に移動させる。
図3図3は、暗くなった柱頭が受粉成功のマーカとしてどのように使用できるかの検証を示す写真である。花の中心の右半分を手動で受粉させた。受粉は花粉粒の存在で柱頭を数えて確認した。24時間で、右半分の受粉柱頭は暗くなった。
図4図4(a)は、自律的なマイクロドローンによってイチゴの花に行われたACPを説明するための「前」の写真を示し、具体的には、裂開された葯に囲まれた柱頭を示す。花粉粒は、葯の袋から飛び出す小さなビーズのように見える。この画像はACPの前に撮影されたものである。そのため、柱頭は未受粉、すなわち一般に透明で、花粉粒が付着していない。図4(b)は、自律的なマイクロドローンによってイチゴの花に対して行われたACPを説明するための「後」の写真を示し、具体的には、この画像は、ACPで花を処理した後に撮影された。さらに詳しい観察では、花粉粒が葯から外れることが指摘されている。花粉粒がはっきりと見える柱頭がいくつかある。
図5図5(a)は、ネガティブコントロール(無作為受粉)の受粉結果を示す図である。図5(b)は、例示的な実施形態によるACPの受粉結果を示すチャートを示す。
図6図6は、例示的な実施形態による、室内環境におけるトマトの花に対して自律的マイクロドローンによって実行されるACPを示す写真を示す。
図7図7は、例示的な実施形態によるACPのためのプラットホームを示す概略図を示す。
図8図8は、例示的な実施形態による、ACPのためのプラットホーム内の農業施設を横切るそれぞれの作業ベイ内のドローンのフリートを示す概略図を示す。
図9図9は、例示的な実施形態による、受粉システムを構成するための動作手順を図示するフローチャートを示す。
図10図10は、例示的な実施形態による運動計画アルゴリズム/システムを示すプロセスチャートを示す。
図11図11は、図10の運動計画アルゴリズム/システムの態様を示すプロセスチャートを示す。
図12図12は、図10の運動計画アルゴリズム/システムの態様を示すプロセスチャートを示す。
図13図13は、図10の運動計画アルゴリズム/システムの態様を示すプロセスチャートを示す。
図14図14は、別の例示的な実施形態による運動計画アルゴリズム/システムを示すプロセスチャートを示す。
図15図15は、図14の運動計画アルゴリズム/システムの態様を示すプロセスチャートを示す。
図16図16は、一実施形態による、電池交換機構を備えたドローンドケティングステーションを示す概略図を示す。
図17図17は、例示的な実施形態による、ACPのための陸上ベースのシステムを図示する概略図を示す。
図18図18は、例示的な実施形態による、植物の花の受粉を実施する方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の例示的な実施形態は、自家受粉作物又は自家受粉作物のための、本明細書において空力的に制御された受粉(Aerodynamically Controlled Pollination:ACP)とも呼ばれる受粉の方法を提供する。これらの作物には、イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、トマト、ナス、コショウ、チリ、オクラが含まれるが、これらに限定されない。これらは、世界の農業生産物のかなりの割合を表している。
【0013】
例示的な実施形態によるACPは、有利には、培養のための3つの主要な要件、すなわち、高精度、高スループット、及び高受粉成功率を満たすことができる。例示的な実施形態では、気流誘発振動は、静止空気中の脈動ジェット流の代わりに、花粉の分散、したがって受粉の成功率を最大にするエネルギーを花に伝達するために利用される。様々な例示的な実施形態によれば、気流のパラメータ、主にレイノルズ数は、依然として空気中の脈動ジェット流とは対照的に、利用され、自己繁殖性の花について可能な限り最短の時間で最適な花粉分散を誘導するために特定され、適用される。一実施形態では、花の適切な振動を誘発する気流は、自律空中オンボード、好ましくはマイクロドローンのプロペラによって生成される。花は、上部にホバリングするにつれて、ドローンのダウンウォッシュからの空気流にさらされるにつれて振動する。これらの振動は、受粉をもたらす。
【0014】
例示的な実施形態では、静止空気中の脈動噴流とは対照的に、空気流の高周波数速度摂動が利用される。振動は、気流(すなわち、流体)と花(すなわち、構造)との間の流体-構造相互作用のために、気流誘起不安定性によって対象花に誘起される。これらの不安定性は、乱流と渦誘起の2つの主なタイプのものである。一実施形態では、ドローンのサイズは、好ましくは、異なる形態の花を横切る振動誘発性の自家受粉に適した、後流におけるレイノルズ数によって特徴付けられる特定のプロファイルを達成するように選択される。
【0015】
例示的な一実施形態では、本明細書ではACPとも呼ばれる、自家受粉作物の非接触受粉のための方法。
【0016】
例示的な一実施形態では、屋内環境で飛行することができる自律ドローン、好ましくはマイクロドローンが提供される。
【0017】
例示的な実施形態による空力的に制御された受粉(ACP)
図1に示されているように、自家受粉又は雌雄同体型の花100は、花100の雄(葯102)及び雌(柱頭104)部分の両方の存在を特徴とする。葯102は花粉粒106を放出するが、粘着柱頭104は、生存可能な花粉粒106を受け取り、花粉管の花柱108を通って子房110への成長を促進し、これは受精をもたらす。全ての花は、受精される多数の子房110(トマト及びイチゴについては100~300)を有することに留意されたい。柱頭104に付着した花粉粒106の数が多いほど、発芽、つまり子房110の受精、の可能性が高くなる。受精子房110の数が多いほど、結果として得られる果実が良好な形状及び均一である可能性が高くなる。受粉の程度、すなわちそれらに生育可能な花粉粒106を持つ柱頭104個の数と果実の品質との間には直接的な因果関係がある。
【0018】
自家受粉する花の中では、他の花102と柱頭104が同じ花の上にあるにもかかわらず、外部機関は、花粉粒106を機械的に移動させるために不可欠である。そのような機関が存在しない場合、花粉粒106の、風による植物の移動などのランダムな環境要因のために、他の102から柱頭104への移動が起こり得る。しかしながら、そのような要因は、高品質の生産物の商業的に実現可能な生産を保証するには不十分である。有効であるためには、受粉のためのメカニズムは、それらに花粉粒106を有する柱頭104の数を最大にすべきである。
【0019】
トマト、ナス、コショウ、イチゴ、ラズベリー、及びブルーベリーを含むが、これらに限定されない、広く消費される多数の果物及び野菜は、自家受粉性である。ミツバチが商業的に入手可能な一部の地域では、露地であろうと保護作物であろうと、これらの作物の受粉を促進するために巣箱がレンタルされる。ミツバチが入手できない地域では、受粉は偶然に任されるか、又は労働者によって手動で行われる。特に保護作物では、ミツバチは、その採餌活動の程度、ひいては受粉に影響を及ぼし得る様々な要因に対して脆弱である。これらの因子のいくつかは
1.大気条件(温度と相対湿度)
2.自然光:強度とスペクトル
3.入手しやすい環境における細菌叢の多様性
4.水へのアクセス
ハチが入手可能であっても、これらの要因のために、保護作物における準最適受粉のための十分な証拠が存在する。ハチが全く入手できない地理的な場所では、手作業による受粉に代わる方法はない。しかしながら、手動の受粉方法は、高価であり、天然の受粉者ほど効果的ではないことが証明されている[3]。
【0020】
有効な受粉に関する不確実性及び商業的生存能力との因果関係の前提に基づいて、花の異なる形態にわたって適応可能な人工受粉のためのスケーラブルな方法が望ましい。受粉に関して、中心的な目的は、花粉粒106を、開花後すぐに、葯102から柱頭104に機械的に移動させることである。高比率の生存可能な花粉粒106を、花102から移動するために、花粉100は、花粉粒106を散乱させるのに充分な運動量を、花粉102に提供する、あるピーク速度に供されてもよい。花100の構造も保存する、そうするための適切な手段は、花100を振動にさらすことである。そのような方法は、ミツバチのような昆虫を採餌するのに容易にアクセスできない、有胞子虫のある花のためだけでなく、開花花のためにも機能する。花粉放出は、振動の持続時間、ならびに速度及び加速の大きさの機能であることに留意されたい[5、6]。振動の振動数自体は、葯の適切な加速を誘発するための手段としてのみ機能する。加速度と速度の特定の振幅は、振動数の複数の値によって実現できる。周波数の大きさは花粉放出に影響を及ぼすが、花とミツバチの特定の組み合わせには最適な値はない[7、8]。
【0021】
本発明の例示的な実施形態は、ミツバチが一般に使用され得ない屋内農業環境における自家受粉花の形態に特徴的でない、低コストの非接触受粉方法を提供する。図2に関して、例示的な実施形態による方法では、ドローン200のダウンウォッシュからの空気流は、受粉の準備ができている対象の花202に向けられる。この空気の流れは、単にドローン200の飛行の副産物であるが、受粉のための追加のアクチュエータを展開する必要をなくす。この気流は、時間平均速度、花202の向きに対する方向、及び花の特徴的な長さ、典型的にはその高さに対するレイノルズ数によって特徴付けられる。これらのパラメータは、対象花202が配置されることが予想されるドローン200から離れたところで研究される。実験的研究では、様々なサイズのプロペラ、したがって気流特性を有するドローンを、様々な例示的実施形態によるイチゴ及びトマトの受粉について試験した。数回の繰り返しの後、イチゴ、トマト及びコショウなどの多種多様な作物を受粉させるための気流の適切な仕様を有する例示的な実施形態が提供された。一実施形態では、空気の流れは、直径4.4cmのドローン・プロペラが15,000RPMを超える速度で回転することによって生成される。例示的な実施形態の試験において、開花後3日間にわたって約30秒間、花を気流で処理した。
【0022】
イチゴの花における受粉の程度を評価するための非破壊的な方法が、例示的な実施形態による試験のために考案された。上述のように、柱頭の総数の高いパーセンテージが、高品質の農産物を成長させるために、柱頭の上に堆積した花粉粒を有することが好ましい。例示的な実施形態による受粉した柱頭の程度を測定するために、マクロレンズを有するデジタルカメラを使用して、花の中心を高解像度で画像した。これにより、花粉粒を有する柱頭の数を計数することができた。花粉粒を持つ柱頭は受粉治療直後に明瞭に見えるが、受粉に成功した柱頭のもう一つのマーカが観察された。花粉粒の発芽が成功した後、およそ24時間で柱頭は暗くなると推測される。イチゴ花の半分を手作業で受粉することにより、受粉成功の指標として暗くした柱頭を使用することの妥当性を試験した。24時間後、図3に示されるように、受粉した半分の柱頭、例えば300が暗くなることが観察された。図4は、実施例によるACPによる受粉がマクロ写真を用いて非破壊的に評価された方法を示す。図4(a)は、自律的なマイクロドローンによってイチゴの花に対して行われたACPを説明するための「前」写真を示し、具体的には、裂開した葯、例えば402、に囲まれた柱頭、例えば400、を示す。花粉粒、例えば404、は、葯402の袋から飛び出す小さなビーズとして見られる。この画像はACPの前に撮影されたものである。したがって、柱頭、例えば400、は未受粉、すなわち、一般的に透明で、花粉粒が付着していない。図4(b)は、自律的なマイクロドローンによってイチゴの花に対して行われたACPを説明するための「後」の写真を示し、具体的には、この画像は、ACPで花を処理した後に撮影された。さらに詳しい観察では、花粉粒が葯から外れることが指摘されている。花粉粒、例えば406、がはっきり見える柱頭がいくつかある。
【0023】
例示的な実施形態によるACPの有効性を、有意な数のサンプルにわたって評価し、いかなる外部処理も受けず、自然換気に供されたネガティブコントロール花と比較した。図5(a)に示されるように、ネガティブコントロールセットは、受粉された平均23%の柱頭を有したが、実施例によるACPで処理された花は、図5(b)に示されるように、受粉された柱頭の平均73%を有した。実験データのANOVA検定を行い、統計的有意性をチェックした。例示的な実施形態によるACPは、イチゴの受粉の質に有意な効果を有することが見出され(p<0.0001)、ここで、pは、帰無仮説(方法が無効である)が真である確率であり、したがって、pの値が低いほど、例示的な実施形態によるACPの有効性の証拠が強くなる。
【0024】
上記の受粉の評価方法は、イチゴ及び非有胞子虫駆除性の葯を有するナス科作物のために機能することに留意されたい。有胞子虫駆除のあるナス科作物では、受粉の非破壊的な早期評価は不可能である。トマトでは、図6に示されるように、自律的マイクロドローン600による例示的な実施形態によるACPの処理後に、花が果実を発達させるために放置された。80%を超える果実固化率が、例示的な実施形態によるACPで達成された。
【0025】
例示的な実施形態による自律マイクロドローンの制御及び動作計画
自律的な受粉を実行するために、例示的な実施形態によるマイクロドローン700プラットホーム701は、高忠実度状態推定を有する。図7を参照すると、これは、例えば702のセンサフュージョン、例えば、番号2で示されたジンバルを備えた3Dカメラ(ステレオビジョン)、番号1で示されたグラフィックスインターフェースを備えたオンボードコンピュータグラフィックス、番号3で示されたオンボードサーマルカメラ、番号4で示されたオンボードマイクロ空調センサ、例えば、番号5で示されたWiFi(登録商標)、オンボード衝突回避センサ、例えば、番号6で示されたレンジファインダ及び単眼カメラ、番号7で示されたドローンドッキングステーション、例えば、番号8で示されたローカルサーバ/PC/スマートフォン等の地上制御ステーションを用いる実施形態によって達成される。例えば702のような多数の外部カメラは姿勢推定を提供するが、オンボードカメラ3、6は対象検知のために使用され、また、非限定的例としての実施形態に従って、衝突を回避するために環境をマッピングする。
【0026】
例示的な実施形態によるシステム構成及びミッション起動
図8を参照すると、例示的な実施形態によるACPプラットホーム又はシステム800は、2つの主要なサブシステム、すなわち、それぞれの作業ベイ、例えば806に示されている自律的なマイクロドローンのフリート、例えば804、と、各々がマイクロドローン、例えば804、及び再充電のためのドッキングステーション(図示せず)を装備しているドッキングステーション)と、地上制御ステーション808とを有する。2つのサブシステム(すなわち、ドローンのフリート、例えば804、及び地上制御ステーション808)間の通信は、ワークステーション810上のwebapp又は無線ローカルネットワーク814を介した電話アプリによって管理される。次に、webapp又は電話アプリは、ウェブ上のクラウドサーバ815に接続される。クラウドサーバ815の主な機能は、全ての操作のデータベースを維持し、電話/webapp用の様々なウェブサービスをホストし、ドローン、例えば804にファームウェア更新をプッシュし、ドローン、例えば804、から収集された全てのデータを同期することである。
【0027】
例示的な実施形態による第1のステップは、マイクロドローンフリート802が動作する環境の座標系、及びドローン、例えば804、の状態推定システムの較正を構成することである。例示的な実施形態によるプラットホーム800のユーザは、動作手順のセットに従い、それを行う。この手順では、環境、例えば農業施設は、より小さいベイ、例えば806に分割される。座標システムが構成され、ドローン、例えば804は、地上制御ステーション、例えば、ワークステーション810上で走るダッシュボード上のユーザによって較正される。ダッシュボードはまた、受粉のためのマイクロドローンフリート802を開始し、管理し、監視するために使用される。
【0028】
図9のフローチャート900は、例示的な実施形態による受粉システムを構成するための操作手順に含まれる工程を詳述する。ステップ902において、農業施設は、より小さいベイ(例えば、各々~500m)に分割される。ステップ904において、ドローンの再充電のためのドッキングステーションが各ベイに設置される。ステップ906において、地上局は、農業施設内の各ドローンと通信するように設置される。ステップ908では、地上制御ステーション上で実行されるダッシュボードを使用して、マイクロドローンフリートが初期化される。ステップ910において、慣性計測手段及びオンボードカメラが較正される。一実施形態では、既製のセンサである他のオンボード成分は、毎回の再起動時に較正を必要としない。ステップ912では、地上制御ステーション上で走るダッシュボードを使用して、ベイを横切って受粉ミッションが開始される

例示的な実施形態による離陸及び運動計画
受粉任務が地上制御ステーション上のユーザによって開始された後、ドローンは、そのドッキングステーションから離脱し、その対象(受粉の準備ができた花)への道を見つけるために運動計画アルゴリズムを実行する。動作計画アルゴリズムは、様々な実施形態例において様々な形態をとることができる。一般に、地上制御ステーションを通じた例示的な実施形態による受粉システムの初期化時に、運動計画アルゴリズムは、ドローンが対象のすぐ近くで飛行することを確実にするために、環境の基準フレーム内のウェイポイントを設定する。例えば、例示的な実施形態による運動計画アルゴリズムは、中間地点が、農業施設内の植物の列のごく近傍に設定されることを確実にする。
【0029】
例示的な一実施形態では、特定の植物のACPを実行するためにホバリングするためのドローンの位置についてもウェイポイントが設定される。これらのウェイポイントは、植物の部分との衝突を回避するように、安全な高さで選択することができる。
【0030】
別の例示的な実施形態では、運動計画アルゴリズムは、衝突回避のための機能性と、対象の花に向かう局所的な経路計画とを含む。このような例示的実施形態では、搭載センサ(例えば、レンジファインダ、単眼及び/又は3Dカメラ)は、植物及びそのパーツ(樹冠、茎等)のような潜在的な衝突オブジェクト、農業施設内の構造及びオブジェクトを検出し、ドローンの経路をその搭載埋め込みコンピュータ上でリアルタイムで計算する。局所経路計画のために、対象検知アルゴリズムは、このような例示的な実施形態においてドローンに搭載してリアルタイムで実行され、搭載センサカメラによって供給されて、受粉の準備ができた花のクラスターを識別する。その後、ドローンはその位置を安定させ、花房の頂上にホバリングしていることを確認する。運動計画法によって計画された上位経路よりも、対象花に対する衝突回避と局所経路計画によって設定されたウェイポイントが優先される。
【0031】
次に、例示的な実施形態による1つの非限定的な例示的な運動計画アルゴリズムを、図10図13を参照して説明する。
【0032】
例示的な一の実施形態では、比較的「より単純である」動作計画アルゴリズム/システムが提供され、自動化される可能性を有するアルゴリズムの部分(中間地点の設定、障害物回避など)は、ユーザによって手動で実行されると想定される。これは、次に、ドローンに搭載された組み込みシステムに対する計算負荷を低減し、同時に、コア運動計画ロジックを実装及び実行することをより容易にする。制限として、これは、変化する環境条件に自動的に反応しない、より動的でないシステムをもたらし、そのような例示的な実施形態を、多かれ少なかれ静的である環境、又は経時的にゆっくりと変化する環境に適したものにする。
【0033】
図10を参照すると、一実施形態による運動計画システム1000は、2つの主要構成要素、すなわち、状態推定及び運動計画を担当する自律ナビゲーションモジュール1002と、ナビゲーションモジュール1002から飛行コマンドを受信し、これらのコマンドをファームウェア・レベルで低レベルのモータPWM値に変換することを担当するパイロット1004とを備える。パイロット1004は、ナビゲーションモジュール1002と、ドローン1006に搭載されたフライトコントローラ上で動作するファームウェアとの間のインターフェースとして働く。パイロット1004からの低レベルコマンドは、例えば、CRTP (Crazy RealTime Protocol)、I2C (Inter-Integrated Circuit)、MAVLink (Micro Air Vehicle Link)などの、高スループット低遅延リアルタイム通信プロトコルを使用してファームウェアに送信される。
【0034】
例示的な動作計画システム1000では、ウェブ(例えば、コンピュータダッシュボード1008を介して)又は電話アプリをユーザ1001が使用して、実行されるべき「ミッション」のセットからなる「動作」を作成することができる。各ミッションは、「ホバリングポイント」又は「パススルーポイント」のいずれかを表すウェイポイント(ドローンが動作しているベイのどこかの起点を基準とする3次元空間内のポイント、比較図8)のリストを含む。ホバリング点は、ドローンが所定の秒数、一般にACPを使用して受粉される花の上の適切な高さの点の間ホバリングすると予想される空間内の点として定義される。通過点は、ドローン1006が1つのホバリング点から別のホバリング点に移動しながら移動する必要があるチェックポイントとして機能する。ウェイポイントのユーザ定義の一覧は、無衝突であり、受粉される必要があるドローンの動作領域において利用可能なすべての花をカバーすると仮定される。
【0035】
例示的な運動計画システム1000内のローカライゼーションモジュール1009は、ドローン1006が動作している環境に対するドローン1006の位置を決定し、公開する役割を果たす。ローカライゼーションモジュール1009は、例示的な実施形態によれば、プラグインベースの構造を使用して極めてモジュール化されるように作られている。複数のローカリゼーションプラグインが提供されており、ユーザの要件や展開時の環境ダイナミクスに従ってシステム構成を変更することで、実行時にロードできる。例示的な実施形態によるローカライゼーションモジュール1009内に提供されるプラグインは、以下を含むことができる:
基準マーカベースの位置特定:基準マーカは、高周波数位置特定を提供するために、高価なモーションキャプチャシステムの安価な代替手段を提供する。例示的な一の実施形態では、ArUcoマーカは、位置特定のための基準マーカの選択として使用される。ArUcoマーカは、白い正方形パターンを含む黒い背景を持つ二進正方形であり、それらを一意に識別する。適切なサイズのマーカが、環境内に戦略的に配置された下向きのカメラと共にドローン1006の上部に配置される。カメラ(複数可)からの画像の流れに画像処理算法を用いてマーカを特定し、画像内のマーカの大きさ及び向きを使用してカメラに対するその旋回及び並進、従ってドローン1006の姿勢を推定することができる。別の例示的な実施形態では、基準マーカが環境内に戦略的に配置され、軽量ワイヤレスカメラがドローン1006の上に配置される。カメラに関するマーカの推定ポーズは、カメラ及びマーカの位置が予め分かっていると仮定する環境に関するドローン1006のポーズを計算するために使用される。
【0036】
灯台システムベースの位置特定:灯台システムは、バーチャルリアリティアプリケーションにおけるモーショントラッキングのためにSteamVRによって最初に開発された基地局と共にドローン1006上に搭載される灯台デッキを使用する。灯台基地局は回転ドラムを備えており、回転ドラムは赤外線(IR)光を放射し、これを灯台デッキ上で利用可能な4つのIR受信機が受信する。IR光が、各受信機が信号を捕捉する角度とともに、4つのすべての受信機に当たるのにかかった相対時間は、戦略的に環境に配置された基地局に対するドローン1006の姿勢を推定するために使用される。
【0037】
視覚慣性オドメトリ(Visual Inertial Odometry:VIO)ベースの位置特定:VIOは、エージェントに取り付けられた慣性計測手段(IMU)とともに1以上のカメラの組合せを使用して剤の姿勢推定の処理として定義される。例示的な実施形態では、ドローンが一般に装備されるIMUに加えて、単眼カメラがドローン1006上に配置される。画像処理アルゴリズムは、関連する地物(例えば、端、曲線部など)を、カメラの画像の流れから順次画像で識別、追跡するために使用される。搭載電動機によって生成される高周波数慣性データと結合された、1つの画像から別のものへの追跡された特徴の相対的動きは、環境に関するドローン1006の回転及び並進を推定するために使用される。
【0038】
この例のアルゴリズムにおけるナビゲーションモジュール1002は、3つのコンポーネントから構成される:
オペレーションサーバ1010:図10及び図11を参照すると、オペレーションサーバ1010は、ナビゲーションモジュール1002への入口点であり、番号1101で示される、進行中のオペレーションの完了の状態を追跡する役割を果たす。運用サーバ1010は、現在の動作(数字1102で入力)を構成するミッションのリストを追跡し、リスト内の次のミッション(数字1103で示される)を取得し、前のミッションが正常に完了したときにミッションサーバ1012に次のミッションを送信する責任を負う。ミッションサーバ1012へのインターフェースは、数字1104で示されている。オペレーションサーバ1010はまた、2つのミッションの間の任意の中間タスク、例えば、カメラ較正を実行すること、灯台モードを変更すること、サーバにデータをアップロードすること、ミッションが失敗した場合にクラッシュレポートをダッシュボードに送信することなどを実行し、符号1105で示す。
【0039】
ミッションサーバ1012:図10及び図12を参照すると、ミッションサーバ1012は、進行中のミッションの完了の状態を追跡する役割を果たす。それは、決定/アクションシーケンス1201~1208に従い、現在のミッションを構成する、数字1104のインターフェースからオペレーションサーバ1010へのウェイポイントのリストを追跡し、数字1204で示される、前のウェイポイントが成功裏に達成されると、ナビゲータ1014への次のウェイポイントを取得し、ナビゲータ1014に次のウェイポイントを送信する責任を負う。ナビゲータ1014へのインターフェースは、数字1205で示される。ミッションサーバ1012はまた、数字1209で示される、ドローン1006のバッテリレベルを定期的にチェックすることを担う。ミッションサーバ1012は、進行中のミッションを一時停止し、バッテリレベルが、数字1209~1212、1207、1208で決定/アクションシーケンスとして示される所定の閾値を下回った場合、ドローン1006をその割り当てられた充電ドックに強制的に戻す。ドローン1006のバッテリが適切な電圧レベルに再充電されると、ミッションサーバ1012は、ドローン1006に、前のミッションを継続するように命令する。
【0040】
ナビゲータ1014:図10及び図13を参照すると、ナビゲータ1014は、番号1301で示されるミッションサーバ1012へのインターフェース1205から受信されるように、1つのウェイポイントから別のウェイポイントへドローン1006をナビゲートすることを担う。ナビゲータ1014は、ドローン1006の状態推定値を追跡し続け、ドローン1006が、番号1302で示される所望のウェイポイントの周囲の所定のゴール半径内に成功裏に到達することを保証する。現在のウェイポイントが偶然ホバリングポイントである場合、ナビゲータ1014は、ドローン1006に、数字1303で示される所要の秒数のゴールでホバリングするように命令する。
【0041】
受粉及び障害物回避のようなより高いレベルの目的は、ユーザによって手動で記録されたウェイポイントの品質に依存するので、例示的な実施形態によるこの運動計画システム/アルゴリズムは、より自律的である例示的な実施形態によるシステムよりもはるかに効率的にするリアルタイムマッピングモジュールを必要としない。
【0042】
例示的な実施形態による別の非限定的な例示的な運動計画システム/アルゴリズム1400について、図14図15を参照して説明する。
【0043】
この例示的な実施形態では、数字1402で一緒に示される、ドローン1401に搭載され、周囲環境内の異なる戦略的位置に配置された、いくつかのセンサが使用される。このセンサ群1402からの情報は、動作計画システム1400によって使用され、どこをナビゲートするかについての通知された決定を行い、したがって、コンピュータビジョンモジュール1403におけるウェイポイント選択のプロセスを自動化し、自律ナビゲーション機能をシステム1400に導入する。センサ群1402は、例えば1404のような3Dカメラを含み、これは、RGB画像をストリーミングしながら、立体視を使用して環境の深度マップを生成する。加えて、レーザスキャナ、例えば、1406又は他のタイプの距離計センサ、例えば、ソナー、レーダ、高度計なども、環境の詳細な点群を生成するために使用することができる。利用可能なセンサからの点群データは、マッピングサーバ/アルゴリズム1408によって使用され、3D占有グリッドを生成し、これは、衝突のない経路計画を追加するためにナビゲーションモジュール1410によって使用される。
【0044】
この例示的な実施形態は、コンピュータビジョンモジュール1403を使用することによって、ミッションを作成し、中間地点を選択するプロセスを自動化し、このプロセスは、深部ニューラルネットワークを利用して、ドローン1401が動作している湾内の花を検出し、位置特定する。
ユーザ1416が、コンピュータ1418上のダッシュボードを使用して(又は電話アプリを介して)受粉動作を開始すると、3DカメラからのRGB画像ストリーミング、例えば、近傍に配置された1404が、コンピュータビジョンモジュール1403に送信され、そこで、深部畳み込みニューラルネットワークが、花を検出するために使用される。RGB画像と3Dカメラ、例えば1404によって生成された深度マップとの間の1対1の対応は、カメラの基準フレーム内の検出された花それぞれの3次元座標を見つけるために使用される。検出された全ての花の3D座標のこのリストは、無人飛行体1401がACPを実行するのに適切な高さになるように調整され、オペレーションサーバ1010に操作として送信される。
【0045】
この例示的な実施形態は、ナビゲーションモジュール1410に2つの追加の構成要素、すなわち、修正ナビゲータ1424に結合されたグローバルプランナ1420及びローカルプランナ1422を追加することによって、図10図13を参照して上述した例示的な実施形態に基づいている。オペレーションサーバ1010からナビゲータ1424までのナビゲーションモジュール1410内のデータの流れは、図10図13を参照して上述した実施形態と同じである。2つの例示的な実施形態の間の差は、ナビゲータ1424が、それが受信する各新しいウェイポイントをどのように処理するかにあり、ナビゲータ1424は、グローバルプランナ1420及びローカルプランナ1422を組み込むより複雑な挙動ツリー論理を使用する。
【0046】
図14及び図15に関連して、ナビゲータ1424は、決定/アクションシーケンス1501~1506として示される、ドローンが従うべきウェイポイントに到達するための衝突のないグローバル経路を計画する責任を負うグローバルプランナに最新のウェイポイントを送信する。より具体的には、グローバルプランナ1420は、利用可能なセンサによって生成された点群を使用して、マップサーバによって生成された3D占有グリッドを使用する。グローバルプランナ1420は、空間充填ツリーをランダムに構築することによって、3D占有格子を通して衝突のない経路を効率的に探索する、高速探索ランダムツリー(Rapidly-exploring Random Tree:RRT)アルゴリズムの多数のフレーバーをサポートする。
【0047】
地球規模の経路は、次に、地球規模の経路をより小さな区画に変換する責任を負うローカルプランナ1422に送られるが、これは、ドローン1401の運動学的制約及び環境中に存在する動的障害物を考慮に入れる。ローカルプランナ1422は、ドローン1401の周りの3D占有格子のはるかに小さい領域で動作し、これにより、計算負荷を増大させることなく経路区分を効率的に再計算し、したがって、できるだけ地球経路に近いままにすることを試みながら、ダイナミックな障害物を回避するための短い方策を生成する。ローカルプランナ1422は、より低いレベルの並進コマンドを計算し、パイロット1004に発行するので、ナビゲーションモジュール1410において効果的に最も重要な構成要素である。ローカルプランナ1422が、ドローン1401を、数字1506で示される所望のウェイポイントに首尾よく誘導すると、ナビゲータは、アップストリームミッションサーバ1012に通知し、アップストリームミッションサーバは、今度は、現在のミッションの成功した完了をチェックし、そのアップストリームノード、図10及び図13を参照して上述した例示的な実施形態におけるデータのアップストリームフローと同様に、動作サーバ1010に通知する。
【0048】
例示的な実施形態による受粉のための条件の評価
花粉粒の発芽が成功する可能性は、局所的な微小気候条件に大きく依存する。条件の適合性を評価するための測定基準は、花の表面温度、周囲空気温度、及び植物の近傍の相対湿度である。受粉が適宜微気候条件下で試みられることが好ましいので、例示的な実施形態は、フィードバックループ内のセンサスイートを介した微気候条件の測定を組み込んでいる。ミクロ気候条件が最適なウインドウ内にない場合、ミクロドローンは、特定の花クラスター上の受粉訪問を中止する。条件が適切であれば、ドローンは、その伴流を介して振動を誘発するために、クラスターの頂上でホバリングするようにそれ自体を位置する。
【0049】
受粉処理:例示的な実施形態による空力的に制御された受粉
受粉条件の評価後、ドローンは、受粉処理を誘導するために、花のクラスター上にホバリングする。花に適切な振動を誘発するために、主たる気流パラメータは、一実施形態による、特定の花の特徴的な長さに対する気流のレイノルズ数である。花の特徴的な長さの範囲は、典型的には、農業設備において固定されるので、効果的なレイノルズ数は、ドローンのダウンウォッシュにおける気流の速度に依存する。一実施形態では、速度の方向は固定(下方向)であるが、その大きさは以下の要因によって決定される:
1.プロペラの直径
2.プロペラの回転速度
3.ドローンと花の房との間の距離
プロペラの径及びそれらの回転速度の範囲は、典型的には、マイクロドローンの特定のデザインのために固定されているが、実効レイノルズ数は、例示的な実施形態に従って、花のドローンとクラスターとの間の間隔を調整することによって、変化させることができる。プロペラの直径に関して、非限定的な例示的実施形態による2つのドローン設計は、プロペラの直径がそれぞれ9cm及び15cmである。
【0050】
実施された経験的研究に基づいて、およそ1×10から1×10まで、好ましくはおよそ1×10から5×10まで、最も好ましくはおよそ1×10から5×10までの範囲で適当な運動を引き起こすことが見出され、これは、次に、イチゴ、ブラックベリー、ラップベリー、トマト、ペッパー、チリ、及びエグググラントのような、草の受入が成功する可能性を最大化する。
【0051】
具体的には、これは、非限定的な例示的実施形態における以下の設定に翻訳される:
ドローン実施例1:
1.プロペラの直径:9cm
2.プロペラの回転速度:15000~20000RPM
3.ドローンと花房との距離:15cm~1m
ドローン実施例1:
1.プロペラの直径:15cm
2.プロペラの回転速度:5000~10000RPM
3.ドローンと花房との距離:15cm~1m
この気流を花にかける持続時間は、例示的な実施形態によれば、種に応じて、約5秒~60秒、好ましくは約10秒~30秒、最も好ましくは約10秒~15秒の範囲であることが見出された。受粉のための訪問回数は、例示的な実施形態によれば、種に応じて約1~20回、好ましくは約2~10回、最も好ましくは約3~5回の範囲である。
【0052】
上述のように、花から花粉粒を移動するために、例示的な実施形態によるACPにおいて利用される機構は、気流(すなわち、流体)と花(すなわち、構造)との間の流体-構造相互作用の結果としての気流誘発不安定性によって引き起こされる花の振動である。これらの不安定性は、乱流と渦誘起の2つの主なタイプのものである。気流誘起不安定性によって引き起こされる振動の性質を支配するのは、花の特徴的な長さに対するこの気流のレイノルズ数である。対照的に、静止空気中の脈動噴流に基づく機構は、静止空気中の脈動噴流の運動量インパルスを利用して、花の振動を引き起こし、気流に誘発される不安定性ではない。そのように、レイノルズ数は脈動噴流流れ機構に対して非因子/無関係である。静止空気中でこのような脈動噴流を作り出すための必要な装置は、実施例によれば、代わりに振動を引き起こす気流誘発の不安定性を利用するマイクロドローンのような装置のための商品のコストよりも著しく高価であることに留意されたい。
【0053】
一実施形態による自律的ドッキング及び充電
例示的な実施形態によるマイクロドローンフリートは、好ましくは、完全に自律的かつ永続的に機能するように設計される。実施形態の例では、マイクロドローンのバッテリが約25%の充電になると、グローバルプランナは、マイクロドローンがコンタクト又はワイヤレス方法を介して再充電できるドッキングステーションに経路を自律的に戻すよう計画する。ドッキングステーションはまた、ターンアラウンド時間を短縮し、受粉に対する最適な時間窓の利用を最大化するために、例示的な実施形態による電池交換機構を装備してもよい。
【0054】
例示的な実施形態による無線充電:
ワイヤレス充電のための既存の規格を採用して、ドローンがドッキングステーションに着陸するときにドローンを充電することができる。例えば、スマートフォンのような低電力消費者電子機器に広く使用されている無線充電のQi標準は、15Wまでの充電速度/電力をサポートすることができる。このような速度は、重量が50g未満のドローンでは実現可能であるが、重量が250gまでのドローンを再充電するには数時間かかることがある。現在開発中のキコードレスキッチン標準は、より高い電力定格を有する電池を必要とするドローンを充電するためにドッキングステーションに採用することができる。
【0055】
例示的な実施形態による電池交換:
高速無線充電標準は、商業的に入手可能な製品にまだ配置されていないので、電池交換機構は、再充電のためのダウンタイムを緩和し、時間的に重要な受粉窓内でドローンの利用可能性を最大化するように、一実施形態に従って設計される。図16を参照すると、例示的な実施形態によるスワップ機構は、2つの主要構成要素を有する:
1.充電されたバッテリ、例えば1602、を収容する回転バレル1600
2.ドローン1608から放電バッテリ1606を回収するための横断アーム1604
スワッピング機構は、ドローン1608がドッキングステーション1610上に上手く着地した後にトリガされる。ドッキングステーション1610は、個々の区画に電池を収容する回転バレル1600を備えている。任意の所与の時間において、少なくとも1つの区画、例えば1612は、横断アーム1604を使用してドローンから放電バッテリ1606を収集するために空である。アーム1604は、空きコンパートメント1612内に放電された電池1606を配置する。回転バレル1600は、例えば回転バレルの主電源コンセントへの電力ケーブル接続によって実現される、電源に結合された集積電気接続を介して放電された電池1606を再充電するように構成される。放電された電池1606を区画内に成功裏に配置した後、バレル1600は、完全に充電された電池、例えば1602をトラバースアーム1604によって回収し、ドローン1608に結合されて運搬できるように、一定の角度だけ回転する。
【0056】
例示的な実施形態による還元剤の花の剪定
衝突からの回復における高いロバスト性、例えば、好ましい実施形態によるニューラルネットワークベースの制御ポリシーは、有利には、非常に価値のある能力、すなわち、プロペラを使用する冗長な花の刈り込みをドローンに提供する。制御された環境栽培では、多くの場合、栽培における慣行は、高品質の果実に合わせて調整される。これは、規定された数の果実のみが全ての植物上で生育されることを意味する。例えば、規定された数は、トラストマト当たり5個の果実であり得、グリーンハウスにおける植物当たりおよそ12~14個のサクランボトマトであり得る。この精度を保証するために、任意の追加の花を受粉から除外するか、又は特定の花に植物の資源を集中させるために剪定さえしなければならない。ロバストなフィードバック制御により、ドローンのプロペラは、それらに物理的に接触することによって、余分な花を刈り取るために活用することができる。そのような動作は、従来のフィードバック制御方法では逆効果であると見なすことができるが、好ましい実施形態によるニューラルネットワークベースの制御ポリシーは、そのような刺激からの回復のために訓練することができる。
【0057】
ドローンベースのACPの例示的な実施形態における修正
ドローンが、植物の部分又は成長空間内の外部物体からの閉塞のために、対象の花の上にホバリングすることができない状況があり得る。これは、実施形態の例に従って、ドローンに搭載されたアクチュエータ、すなわち、ドローンのプロペラが植物に対して所望の位置でホバリングするために使用されている間に受粉のための必要な振動を誘発するための、例えば少なくとも1自由度を有する回転羽根のような専用気流アクチュエータを有することによって軽減することができる。そのような例示的な実施形態では、無人飛行体が花の頂部上でホバリングする代わりに、無人飛行体は、花に面する任意の他の位置でホバリングすることができ、専用の気流アクチュエータは、花の方を向いている。
【0058】
例示的な実施形態による接地ベースのACP
ドローンのプロペラからのダウンウォッシュは、上述の例示的な実施形態では受粉のための振動を誘発するために使用されるが、他の例示的な実施形態によれば、気流を誘発するように特注設計された回転羽根を他のプラットホームに装備することもできる。図17を参照すると、一実施形態において、ロボットプラットホーム1700は、1以上の自律的又は遠隔駆動される地上車両1702に基づく。このような実施形態の回転羽根1704は、最大6自由度のマニピュレータ1706に連結される。プラットホーム1700は、例えば、作物1708、及び花の分布がドローンベースのACPにとって好ましくない環境に採用することができる。
【0059】
例示的な実施形態では、ドローンと地上ベースのデバイスとの混合物がACPのために使用され得ることに留意されたい。
【0060】
図18は、植物の花の受粉を行う方法を示すフローチャート1800を示す。ステップ1802では、気流を生成するための装置が提供される。ステップ1804において、装置は、花が気流にさらされるように、植物に対して位置決めされる。ステップ1806において、花の気流誘発不安定性によって引き起こされる振動の結果として、花から花粉が移動される。
【0061】
気流は、約1×10から1×10、好ましくは約1×10から5×10、最も好ましくは約1×10から5×10までの範囲のレイノルズ数を示してよい。
【0062】
花は、所定期間、気流にさらされてもよい。該時間は、約5秒~60秒、好ましくは約10秒~30秒、最も好ましくは約10秒~15秒の範囲であってよい。
【0063】
花は、所定期間、花が気流にさらされるたびに、何度も気流にさらされてもよい。回数は、約1~20回、好ましくは約2~10回、最も好ましくは約3~5回の範囲であってよい。
【0064】
気流を生成するためのデバイスは、ドローンを備えてよい。花が空気流にさらされるようにドローンを植物に対して配置することは、花がドローンのプロペラのダウンウォッシュ内に配置されるようにドローンを配置することを含んでよい。ドローンは、空気流を生成するために、ドローンに揚力を提供するプロペラに対立するものとして、1以上の専用プロペラを備えてよい。花が気流にさらされるようにドローンを植物に対して配置することは、気流を花に向けるために1以上の専用プロペラを操作することを含んでよい。
【0065】
気流を発生させるためのデバイスは、地上デバイスを備えてよい。地上デバイスは、車両を備えてよい。
【0066】
地上デバイスは、空気流を生成するための1以上の専用プロペラを備えてもよい。花が気流にさらされるように植物に対して地上ベースのデバイスを配置することは、気流を花に向けるために1以上の専用プロペラを操作することを含んでよい。
【0067】
この方法は、農業施設内で複数の装置を使用することを含むことができる。
【0068】
デバイスは、受粉の自律的な性能のために構成されてもよい。
【0069】
この方法は、残存充電閾値を検出したときにデバイスを再充電することを含んでよい。デバイスを再充電することは、デバイスのバッテリを交換することを含んでよい。
【0070】
一実施形態では、受粉を実行するためのシステムが提供され、システムは、制御ステーションと、制御ステーションに結合され、気流を生成するための1以上のデバイスとを備え、制御ステーションは、1以上の花が気流にさらされるように、1以上の花に対して1以上のデバイスを配置し、1以上の花における気流誘発不安定性によって引き起こされる振動の結果として、1以上の花から花粉を移動するように構成される。
【0071】
制御ステーションは、約1×10~1×10、好ましくは約1×10~5×10、最も好ましくは約1×10~5×10の範囲のレイノルズ数を示すように気流を制御するように構成されてもよい。
【0072】
制御ステーションは、1以上の花を所定の時間にわたって気流にさらすように構成されてもよい。該時間は、約5秒~60秒、好ましくは約10秒~30秒、最も好ましくは約10秒~15秒の範囲であってよい。
【0073】
制御ステーションは、1以上の花が所定の期間の間気流にさらされる度に、1以上の花を気流に何度もさらすように構成されてもよい。回数は、約1~20回、好ましくは約2~10回、最も好ましくは約3~5回の範囲であってよい。
【0074】
空気流を生成するための1以上のデバイスは、1以上のドローンを備えてよい。制御ステーションは、1以上のドローンを1以上の花に対して配置することが、1以上の花が1以上のドローンのプロペラのダウンウォッシュ内に配置されるように1以上のドローンを配置することを含むように構成されてもよい。
【0075】
各ドローンは、空気流を生成するために、ドローンに揚力を提供するプロペラに対立するものとして、1以上の専用プロペラを備えてよい。制御ステーションは、1以上のドローンを1以上の花に対して配置することが、1以上の花に向かって空気流を導くために1以上のドローンの1以上の専用プロペラを操作することを含むように構成されてもよい。
【0076】
気流を生成するための1以上のデバイスは、1以上の地上ベースのデバイスを備えてよい。1以上の地上ベースのデバイスは、1以上の車両を備えてよい。
【0077】
各地上デバイスは、気流を生成するための1以上の専用プロペラを備えてよい。制御ステーションは、植物に対して1以上の地上ベースのデバイスを配置することが、気流を花に向けるために1以上の地上ベースのデバイスの1以上の専用プロペラを操作することを含むように構成されてよい。
【0078】
1以上のデバイスは、受粉の自律的な性能のために構成され得る。
【0079】
システムは、1以上の装置のための残存充電閾値を検出するための検出部と、1以上のデバイスのための再充電部とを備えてよい。再充電部は、1以上のデバイスのバッテリを交換するように構成されてもよい。
【0080】
例示的な実施形態は、以下の特徴及び関連する利益/利点のうちの1以上を有することができる:
【0081】
【表1】
【0082】


例示的な実施形態の産業上の利用
本発明の実施形態は、トマト、ナス、コショウ、イチゴ、ラズベリー、及びブルーベリーを含むがこれらに限定されない、自家受精性園芸作物の受粉のための完全に自律的なソリューションを提供することができる。これらのソリューションのための適用環境は、商業的栽培者から植物育種者まで、限定されるものではないが:
1.温室栽培者:ポリトンネル、ガラスハウス、ネット
2.屋内縦型農場
3.種子会社等の植物育種活動を行う農業会社
本明細書に開示される様々な機能又はプロセスは、それらの挙動、レジスタ転送、論理構成要素、トランジスタ、レイアウトジオメトリ、及び/又は他の特性に関して、様々なコンピュータ可読媒体において具現化されるデータ及び/又は命令として説明され得る。そのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令が具現化され得るコンピュータ可読媒体は、様々な形態の不揮発性記憶媒体(たとえば、光、磁性、又は半導体記憶媒体)、及びそのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令をワイヤレス、光、又はワイヤードシグナリング媒体、又はそれらの任意の組合せを通して転送するために使用され得る搬送波を含むが、それらに限定されない。搬送波によるそのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令の転送の例は、1以上のデータ転送プロトコル(たとえば、HTTP、FTP、SMTPなど)を介したインターネット及び/又は他のコンピュータネットワークを介した転送(アップロード、ダウンロード、電子メールなど)を含むが、これらに限定されない。1以上のコンピュータ可読媒体を介してコンピュータシステム内で受信された場合、システムの下に記述された構成要素及び/又はプロセスのそのようなデータ及び/又は命令ベースの表現は、1以上の他のコンピュータプログラムの実行に関連して、コンピュータシステム内の処理の実体(例えば、1以上のプロセッサ)によって処理され得る。
【0083】
本明細書に記載するシステム及び方法の態様は、特定用途向け集積回路(ASIC)と同様に、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルアレイロジック(PAL)装置、電気的プログラマブルロジック及びメモリ装置及び標準セルベースの装置などのプログラマブルロジック装置(PLD)を含む様々な回路のいずれかにプログラムされた機能性として実施することができる。システムの態様を実現するための他のいくつかの可能性としては、メモリを備えたマイクロコントローラ(電子的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)など)、組み込みマイクロプロセッサ、ファームウェア、ソフトウェアなどがある。さらに、システムの態様は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、ディスクリートロジック(シーケンシャル及びコンビナトリアル)、カスタムデバイス、ファジー(ニューラル)ロジック、量子デバイス、及び上記のデバイスタイプのいずれかのハイブリッドを有するマイクロプロセッサにおいて具現化され得る。もちろん、基礎となるデバイス技術は、種々の構成要素タイプ、例えば、相補型金属-酸化物半導体(CMOS)のような金属-酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン-共役ポリマー及び金属-共役ポリマー-金属構造)、混合アナログ及びデジタル等において提供され得る。
【0084】
本明細書に開示される様々な機能又はプロセスは、それらの挙動、レジスタ転送、論理構成要素、トランジスタ、レイアウトジオメトリ、及び/又は他の特性に関して、様々なコンピュータ可読媒体において具現化されるデータ及び/又は命令として説明され得る。
そのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令が具現化され得るコンピュータ可読媒体は、様々な形態の不揮発性記憶媒体(たとえば、光、磁性、又は半導体記憶媒体)、及びそのようなフォーマットされたデータ及び/又は命令をワイヤレス、光、又はワイヤードシグナリング媒体、又はそれらの任意の組合せを通して転送するために使用され得る搬送波を含むが、それらに限定されない。様々な回路(例えば、コンピュータ)のいずれかに受信されると、そのようなデータ及び/又は命令は、処理実体(例えば、1以上のプロセッサ)によって処理され得る。
【0085】
システム及び方法の例示された実施形態の上記の説明は、網羅的であること、又はシステム及び方法を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。システム構成要素及び方法の特定の実施形態及び例が、例示目的のために本明細書で説明されるが、当業者が認識するように、システム、構成要素及び方法の範囲内で、様々な同等の修正が可能である。本明細書で提供されるシステム及び方法の教示は、上記のシステム及び方法だけでなく、他の処理システム及び方法にも適用することができる。
【0086】
当業者であれば、広く記載される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されるように、本発明に多数の変形及び/又は修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。また、本発明は、特徴又は特徴の組み合わせが特許請求の範囲又は本実施形態の詳細な説明において明示的に指定されていない場合であっても、概要セクションを含む、異なる実施形態について記載された特徴の任意の組み合わせを含む。
【0087】
概して、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態にシステム及び方法を限定するように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲で動作するすべての処理システムを含むように解釈されるべきである。したがって、システム及び方法は、本開示によって限定されず、代わりに、システム及び方法の範囲は、特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。
【0088】
文脈上明らかに他の意味を必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味で、単数又は複数の数を使用する単語は、それぞれ、複数又は単数も含む。さらに、用語「本明細書において」、「以下」、「上」、「下」、及び同様の意味の用語は、全体として本出願を指し、本出願の特定の部位を指すものではない。単語「又は」が、2つ以上の項目のリストに関して使用される場合、その単語は、単語の以下の解釈のすべてを包含する:リスト中の項目のいずれか、リスト中の項目のすべて、及びリスト中の項目の任意の組合せ。
【0089】
参考文献
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2. https://www.koppert.com/news/pollination-under-artificial-lights/
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【国際調査報告】