(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】金属部品の検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/90 20210101AFI20231220BHJP
G01N 21/952 20060101ALI20231220BHJP
G01N 21/954 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01N27/90
G01N21/952
G01N21/954
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023532414
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 BR2021050519
(87)【国際公開番号】W WO2022109704
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】BR102020024201-6
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517297717
【氏名又は名称】ヴァルレック・ソルソィンス・トゥーブラレス・ド・ブラジル・ソシエダージ・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】VALLOUREC SOLUCOES TUBULARES DO BRASIL S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100107180
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵
(72)【発明者】
【氏名】メデイロス フォンセカ,アントニオ セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】エウフラージオ,エジソン ジョゼ
(72)【発明者】
【氏名】クリング エ シウヴァ,ルカス
(72)【発明者】
【氏名】ジロン カメリニ,セザル
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ ペレイラ,ガブリエラ
【テーマコード(参考)】
2G051
2G053
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AA82
2G051AB02
2G051AB03
2G051BA10
2G051CA01
2G051CB01
2G051EA12
2G053AA11
2G053AB21
2G053BA03
2G053BA12
2G053BA13
2G053BA15
2G053BC14
2G053CA03
2G053CA05
2G053CA06
2G053CA10
2G053DA01
2G053DB07
(57)【要約】
本発明は、金属部品表面の検査装置であって、間隔をあけてフレーム(1)に取り付けられた複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)、間隔をあけてフレーム(1)に取り付けられ、検査される金属部品表面に向けられた複数の渦電流センサ(20)を含み;装置の動作中、フレーム(1)と金属部品との間で相対的な長手方向の移動および適宜の相対的な回転運動があり;幾何学的プロファイルセンサ(10)と渦電流センサ(20)が取得した信号をリアルタイムで受信・処理する電磁信号電子多重化回路;および同回路が処理した信号を受信し、金属部品表面の欠陥を特定する解釈/評価ユニットを含む装置に関する。本発明は、金属部品表面の少なくとも一のセグメントの一定の幾何学的形状を検査する方法であって、前記装置で実施され、幾何学的プロファイルセンサ(10)が取得したデータを用いて幾何学的欠陥を、過電流センサ(20)が取得したデータを用いて表面欠陥を特定する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部品表面の検査装置であって、
-フレーム(1);
-間隔をあけてフレーム(1)に取り付けられた、複数の幾何学的プロファイルセンサ(10);
-間隔をあけてフレーム(1)に取り付けられ、検査される金属部品表面に向かい合っている、複数の渦電流センサ(20);
を含み、それらにより、装置が作動している間、フレーム(1)と検査される金属部品との間で相対的な変位があり、
-複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)および渦電流センサ(20)により取得された信号を受信し且つリアルタイムで処理する電磁信号電子多重化回路;および
-電磁信号電子多重化回路から処理された信号を受信し、金属部品表面における欠陥を特定する解釈/評価ユニット
を含むことを特徴とする、検査装置。
【請求項2】
幾何学的プロファイルセンサ(10)が結合された少なくとも一つの幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)を含み、
幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)が検査中の金属部品セグメントの断面と適合する断面を有していることを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
少なくとも幾つかの幾何学的プロファイルセンサ(10)がフレーム(1)に関節状に取り付けられ、
-第1の側が、フレーム(1)または幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)のいずれか一つに関節状に連結され、第2の側がコンタクトチップ(12)に結合された、ロッド(11);
-フレーム(1)に結合されたロッド(11)の第1の側に取り付けられた磁石
を含み、
-金属部品とフレーム(1)との間の相対的な変位の間、各幾何学的プロファイルセンサ(10)のコンタクトチップ(12)が、検査中の金属部品表面上を移動する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
ベアリングが回転可能に幾何学的プロファイルセンサ(10)のコンタクトチップ(12)に結合され、ベアリングが検査中の金属部品表面セグメントの全長上を回転することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
少なくとも幾つかの幾何学的プロファイルセンサ(10)が、ポイント・レーザセンサまたはライン・レーザセンサのいずれか一つであり、これらのレーザセンサがフレーム(1)または幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)のいずれか一つに結合されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
幾何学的プロファイルセンサ(10)がベアリングに結合されたエンコーダをさらに含み、検査される部品表面でのベアリングの移動に基づいて、検査される部品で取得した測定結果の長手方向の位置を、エンコーダが決定し、測定結果の対応する長手方向の位置データを電磁信号電子多重化回路に送ることを特徴とする、請求項4または5に記載の検査装置。
【請求項7】
少なくとも一つのばねが、各ロッド(11)の第1の側と、フレーム(1)または幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)のいずれか一つと、に結合していることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項8】
各渦電流センサ(20)が、シュー(21)およびシューに結合した少なくとも二つのコイル(22)を含み、
各シュー(21)が、フレーム(1)および幾何学的形状センサ支持体(13)のいずれか一つに取り付けられ、金属部品とフレーム(1)との相対的な変位の間、金属部品表面に近接して配置され、
各渦電流センサ(20)が、コイルにより発生させられる磁界と、検査中の金属部品セグメントにおいて誘導渦電流により発生させられる磁界との干渉を測定することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項9】
フレーム(1)が、渦電流センサ(20)が結合された、少なくとも一つの渦電流センサ支持体(23)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項10】
用いられる渦電流センサ(20)および幾何学的プロファイルセンサ(10)の位置決めおよび数が、所定の分解能および冗長性に基づいて決定され、渦電流センサ(20)および幾何学的プロファイルセンサ(10)の各々が関着されたアームに独立して取り付けられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項11】
渦電流センサ(20)および表面幾何学的プロファイルセンサ(10)が、少なくとも二つの領域にて規則的に分布させられて、少なくとも二つの列を規定し、二つの連続した列の隣り合うセンサの間でずれがあることを特徴とする、請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
ずれが、単一の渦電流センサの幅よりも小さいことを特徴とする、請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
電磁信号電子多重化回路が、複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)および渦電流センサ(20)から取得した信号を、デジタル信号に変換し、それらを解釈/評価ユニットに送信し、解釈/評価ユニットが、信号を分析および標準化し、欠陥を再構築し、欠陥パラメータを分析し、特定された欠陥を分類することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項14】
幾何学的プロファイルセンサ(10)が検査中の金属部品表面の幾何学的形状の欠陥を特定し、
渦電流センサ(20)がクラック、マイクロクラックおよび小さい寸法の質量減少欠陥のような欠陥を特定する
ことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項15】
渦電流センサ(20)が、絶対構造、差動構造、ピックアップ構造、およびパルス渦電流(PEC)構造のうちのいずれか一つで動作することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項16】
表面幾何学的センサの磁気センサが、ホールセンサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、および超伝導量子干渉素子(SQUID)センサのうちの一つであることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項17】
フレーム(1)に結合した複数のロッドを含み、各ロッドが、幾何学的プロファイルセンサ(10)および渦電流センサ(20)に結合され、渦電流センサ(20)が幾何学的プロファイルセンサのコンタクト(12)の端部に配置されていることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項18】
フレーム(1)が、センサ支持体(12、23)とともに、検査される金属部品の周りで回転可能であることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項19】
モータがフレーム(1)に結合され、前記フレーム(1)の回転運動を駆動することを特徴とする、請求項18に記載の検査装置。
【請求項20】
検査される部品の内側表面を検査するのに適合させられ、
-装置は、装置の外側表面に結合された、検査される部品の内側表面を摺動するための複数の車輪をさらに含み、
-前記モータにより駆動されるフレーム(1)の回転運動が、検査される部品の内側表面上で検査装置の長手方向の移動を生じさせる
ことを特徴とする、請求項19に記載の検査装置。
【請求項21】
フレーム(1)が、フレームを検査される金属部品の内部で移動させる牽引機構に結合されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項22】
金属部品表面にて一定の幾何学的形状の少なくとも一つのセグメントを検査する方法であり、請求項1~21のいずれか一項にて規定された装置により実施される方法であって、
装置のフレーム(1)と検査される金属部品との間の相対的な変位を実施すること、およびその変位の間に;
幾何学的プロファイルセンサ(10)が取得したデータに基づいて、検査される部品表面の幾何学的形状の欠陥を特定すること;ならびに
渦電流センサ(20)が取得したデータに基づいて表面欠陥を特定すること
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
装置のフレーム(1)と検査される金属部品との間の相対的な変位の間、
a.1)幾何学的プロファイルセンサ(10)が、検査中の金属部品表面の幾何学的形状に対する測定結果を取得し、
a.2) 渦電流が検査中の金属部品セグメントに誘導され、
a.3) 渦電流センサ(20)が、コイルによって発生させられる磁界と、検査されるセグメントにおいて誘導渦電流によって発生させられる磁界との間の干渉を測定し
a.4) 幾何学的プロファイルセンサ(10)と渦電流センサ(20)は、これらのアナログ測定結果を電磁信号電子多重化回路に送信し、
b) 電磁信号電子多重化回路は、ステップa.4)で取り込んだアナログデータをデジタルデータに変換して、それらを解釈/評価ユニットに送信し、
c) 解釈/評価ユニットは、幾何学的プロファイルセンサ(10)と渦電流センサ(20)とから取得した信号に基づいて、金属部品表面の欠陥を特定する
ことを特徴とする、請求項22に記載の方法
【請求項24】
-ステップa.1)において、少なくとも幾つかの幾何学的プロファイルセンサ(10)のコンタクトチップ(12)が、検査中の金属部品表面上を移動し、この変位の間、磁気センサが、それぞれの幾何学的プロファイルセンサ(10)とフレーム(1)との接合部が移動している間に磁石によって発生させられる磁束を検出することを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
-ステップa.1)において、レーザセンサが、検査中の金属部品表面の幾何学的形状の変化を特定し、取得した測定結果を解釈/評価ユニットに直接的に送ることを特徴とする、請求項23または請求項24に記載の金属部品を検査する方法。
【請求項26】
解釈/評価ユニットが、電磁信号電子多重化回路から受信した信号を分析および標準化し、欠陥を再構築し、欠陥パラメータを分析し、特定された欠陥を分類することを特徴とする、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
表面欠陥が、クラック、マイクロクラック、引っ掻き、曲げ、および隆起を含み、幾何学的形状の欠陥が、楕円化、偏心、へこみ、潰れ、反り、スケーリング、および座屈を含むことを特徴とする、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
装置のフレーム(1)と検査される金属部品との間の相対的な変位を実施するステップが、
-金属部品の外側表面を検査するために、金属部品を装置のフレームの内側で移動させること;
-金属部品の外側表面を検査するために、装置のフレームを金属部品の外側で移動させること;
-金属部品の内側表面を検査するために、金属部品を装置のフレームの外側で移動させること;および
-金属部品の内側表面を検査するために、装置のフレームを金属部品の内側で移送させること
のうちのいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ、パイプ、ダクト、マンドレル、シャフト、種々の幾何学的な輪郭(またはプロファイル)、プレート、および金属部品一般、特に管状部品の製造に用いられる工具のような、円筒、中実、または中空であってよい規則的なセグメントに沿って、金属部品の内側または外側表面を検査する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の現状の説明
チューブ、パイプ、ダクト、マンドレル、シャフト、輪郭(またはプロファイル)、およびこれらの部品の製造に使用される工具などの金属部品の外側または内側表面の評価は、これらの製品の製造プロセスにおいて、およびこれらの工具の完全性および幾何学的適合性の監視において重要なステップである。これらの部品の状態を監視することは、その適切な機能を確保するために不可欠である。したがって、さまざまな種類の非破壊検査が、これらの部品を評価するために使用されている。
【0003】
これらの評価は、現在、種々の状況に対して種々の装置を用いて実施されている。技術の現状を構成するAU2015200693文献は、金属構造の非破壊検査のために、複数の異なるタイプのセンサからデータを取得し処理する方法および装置を開示している。これらの方法および装置は、完成品からデータを取得するために使用され、その製造プロセス中には使用されない。電磁音響変換器(EMAT)からの信号、渦電流(EC)信号、漏洩磁束(MFL)信号、および偏向信号が、金属構造物の複数の局所領域の各々から取得され、特性の少なくとも一部が配置されている共通の局所領域からのEMAT、EC、MFLからの取得信号、および偏向信号のうちの少なくとも二つに基づいて、金属構造物の1または複数の特性を特徴付けるように処理される。統合型マルチセンサ非破壊検査装置を、金属構造物の複数の局所的領域の各々について、EC、EMAT、MFL、および偏向信号を提供するために使用し得る。これらの統合型マルチセンサデバイスは、パイプラインの完全性検査に使用されるスマートピグなどのインライン検査ツールを提供するように構成され得る。
【0004】
一般的にピグタイプのプローブは、特定のタイプのセンサとともに金属部品を通過させて、使用される。しかし、それらの使用は、円筒構造におけるより深刻な欠陥の検出と関連している。さらに、上述の文献は、結果を得るために異なるタイプのセンサの組み合わせに取り組んでいる。しかし、当該文献に記載されているような工具(またはツール)は、非常にコストがかかり、高度に複雑であり、そのことはこの解決策が管状プロファイルの小さな欠陥を検出するのには実行可能でないことを意味する。この先行技術に開示されたピグは、円筒形部品の表面を評価するためにのみ機能し、プレートおよび別の形状および断面を有する中空部品の表面を評価するのに適していない。
【0005】
US4818935文献は、金属材料の欠陥の非破壊検査のための方法及び装置を開示しており、検査される材料の長手方向の円筒形又は柱状の軸を中心とし、検査材料の周囲に配列される励磁コイルを含む。比較的低い周波数の多周波交流電流を使用して、励起コイルが検査材料の長手方向軸の周りに回転磁界を発生させるようにする。この多周波電流は、被検査材の表面欠陥を検出するのに必要とされる感度に基づいて選択された検査周波数を有する高周波交流電流と重畳される。この複合的な多周波電流を励磁コイルに印加することにより、高周波交流電流によって被検査材料の表面に誘起された電磁気効果が、回転磁界とともに被検査材料の円周方向で回転させられる。被検査材料の表面近傍に配置された検出素子群は、被検査材料の表面欠陥の有無に応じて、電磁気効果の変化を検出する。
【0006】
US6404189文献は、パイプライン構造の非破壊評価のために磁歪センサ技術を実施する方法及び装置を開示する。この装置は、磁歪センサ機器ユニットと、データ記憶ユニットと、インライン検査車両に配置された複数の磁歪センサ・プローブとから構成されている。機器ユニットは、送信側磁歪センサ・プローブに励磁パルスを送信する電子機器と、磁歪センサ・プローブ受信機で検出された信号を増幅し調整する電子機器を含む。磁歪センサ・プローブは、板状の磁歪センサと、磁歪センサの動作に必要な直流分極磁界を提供する永久磁石の両方を含み;送信および受信プローブは、インライン検査車両の反対側にある機械アームを介してインライン検査車両に取り付けられる。機械式アームはバネ式で、プローブをパイプ壁の内径からほぼ一定の距離に保つためのローラを備える。この方法は、200kHz未満の周波数で水平せん断波パルスを発生させることを伴う。送信磁歪センサ・プローブは、送信プローブに隣接する点から、パイプ壁の周囲にて両方向に広がる波を発生させる。そして、両方の波は、送信プローブから180度離れた受信プローブで受信される。調査された外周内にあるパイプ壁の何らかの欠陥は、受信信号に反映される。
【0007】
US6924640文献は、油およびガス井の掘削に使用される強磁性体パイプの欠陥を検出するための検査装置を開示する。この検査装置は、最初にパイプの壁を磁束で飽和させることにより、パイプの内部で動作する。パイプ壁に沿った欠陥は磁束の漏れを引き起こし、それは検査装置内に配列されたホール効果センサによって測定される。漏洩磁束の大きさは、材料の損失量に関係する。壁において誘導される渦電流もまた測定され、ホール効果センサの測定値と組み合わされて、欠陥の位置と幾何学的形状を決定する。
【0008】
種々の非破壊パイプ検査装置が既に知られているものの、リアルタイムデータの取り込みを処理し組み合わせ、種々の形状(または形態もしくはジオメトリ)の金属部品で検出される種々のタイプの欠陥の分析と再構築を提供するために、一方が渦電流センサであり、他方が磁気測定センサである二つの異なるタイプのセンサを組み合わせ得る装置は、現在の技術水準では存在しない。これには、特に、クラック、マイクロクラック、曲げ(またはベンド(bend))、隆起、引っ掻きなどの長手方向の欠陥や、楕円化、へこみ、潰れ、反り、スケーリング(scaling)、座屈などのパイプ表面における幾何学的形状の欠陥等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の目的
本発明の第一の目的は、管状金属部品、その製造工具、および概して種々の形状および断面を有する金属部品のリアルタイムでインラインの検査を実施するための装置および方法を提供することである。これは、より広範な結果を提供する異なるタイプのセンサを組み合わせることにより達成され、当該組み合わせはクラック、マイクロクラック、引っ掻きなどの長手方向(または縦)の欠陥、および楕円化、へこみ、潰れ、反り、スケーリング、座屈などの金属部品表面の幾何学的形状(または輪郭もしくはプロファイル)の欠陥を含む、種々のタイプの欠陥を特定する。
【0010】
本発明の別の目的は、検査される金属部品で発見された種々のタイプの欠陥についての詳細なデータを取得し、処理し、分析し、このデータに基づいてそれらを種々のタイプに自動的に特性化し、分類する、装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の簡単な説明
本発明の目的は、金属部品表面検査装置であって、
フレーム;
フレームに取り付けられ、十分な間隔をあけた、複数の幾何学的プロファイルセンサ;
フレームに取り付けられ、検査される金属部品の表面に面する複数の渦電流センサ;
を含み、それらにより、装置が作動している間、フレームと検査される金属部品との間に相対的な変位があり、
複数の幾何学的プロファイルセンサおよび渦電流センサが取得する信号を受信し、それらをリアルタイムで処理する電磁信号電子多重化回路;
処理された信号を電子多重化回路から受信して金属部品表面の欠陥を特定する解釈/評価ユニット
を含む。
【0012】
フレームは、幾何学的プロファイルセンサが取り付けられる少なくとも一つの幾何学的プロファイルセンサ支持体を含むことができ、幾何学的プロファイルセンサ支持体は、検査中の金属部品セグメントの断面と適合する断面を有する。
【0013】
少なくとも幾つかの幾何学的プロファイルセンサは、好ましくフレームに関節状に取り付けられており(または関着されており)、また、第1の側がフレームまたは幾何学的プロファイルセンサ支持体のいずれか一方に結合され、第2の側がコンタクトチップに結合された、ロッドを含んでよい。フレームに取り付けられたロッドの第1の側には磁石が取り付けられており、各幾何学的プロファイルセンサのコンタクトチップは、金属部品とフレームとの間の相対変位中に、検査中の金属部品表面上を移動する。
【0014】
幾何学的プロファイルセンサのコンタクトチップにベアリングを回転可能に結合することができ、ベアリングは、検査中の金属部品表面セグメントの全長に沿って転動する。
【0015】
少なくとも幾つかの幾何学的プロファイルセンサは、レーザポイント・センサまたはレーザライン・センサのいずれか一つであってよく、これらのレーザセンサはフレームまたは幾何学的プロファイルセンサ支持体のいずれか一つに取り付けられている。
【0016】
幾何学的プロファイルセンサは、ベアリングに結合されたエンコーダをさらに含んでよく、ここでエンコーダは、検査される部品表面でのベアリングの移動に基づいて、検査される部品にて取得した測定結果の長手方向(または縦方向)の位置を決定し、測定結果の対応する長手方向(または縦方向)の位置データを電磁信号電子多重化回路に送信する。
【0017】
別法として、少なくとも一つのばねが、各ロッドの第1の側と、フレームと幾何学的プロファイルセンサのいずれか一つと、に結合される。
【0018】
各渦電流センサは、シュー(shoe)と、シューに結合された少なくとも二つのコイルとを含んでよく、各シューは、フレーム又は幾何学的形状センサ支持体のいずれか一つに取り付けられ、金属部品とフレームとの間の相対変位中に金属部品表面に近接したままとなる。各渦電流センサは、コイルにより発生させられる磁界と、検査中の金属部品セグメントにおいて誘導渦電流により発生させられる磁界との間の干渉を測定する。
【0019】
フレームは、過電流センサが取り付けられる、少なくとも一つの過電流センサ支持体を含んでよい。
【0020】
使用される渦電流センサ及び幾何学的プロファイルセンサの位置決め及び数量は、好ましくは、所定の分解能及び冗長基準に基づいて定められる。渦電流センサ及び幾何学的プロファイルセンサの各々は、関着された(または関節状に連結された)アームに独立して取り付けられる。
【0021】
渦電流センサ及び表面幾何学的プロファイルセンサは、好ましくは、少なくとも二つの定義された列にて少なくとも二つの領域で均一に分布し、二つの連続した列の隣り合うセンサの間でずれがある。当該ずれは、単一の渦電流センサの幅よりも小さい。
【0022】
多重化電磁信号電子回路は、複数の幾何学的プロファイルセンサおよび渦電流センサが取得した信号をデジタル信号に変換し、それらを解釈/評価ユニットに送信する。解釈/評価ユニットは、信号を解析し標準化し、欠陥を再構成し、欠陥パラメータを解析し、特定された欠陥を分類する。
【0023】
幾何学的プロファイルセンサは、検査される金属部品表面の幾何学的プロファイルにおける欠陥を特定し、一方、渦電流センサはクラック、マイクロクラック、引っ掻き、および小さい寸法の質量減少(または点食もしくはピッティング)のような欠陥を特定する。
【0024】
渦電流センサは、絶対構造(または絶対配置)、差動構造、ピックアップ構造、およびパルス渦電流(PEC)構造のうちの一つで動作する。表面幾何学的プロファイルセンサに使用される磁気センサは、ホールセンサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、および超伝導量子干渉素子(SQUID)センサのうちの一つである。
【0025】
検査装置は、フレームに取り付けられたロッドであって、各ロッドが幾何学的プロファイルセンサおよび渦電流センサを有する、複数のロッドを含んでよく、その場合、渦電流センサは幾何学的プロファイルセンサのコンタクトチップに配置される。
【0026】
検査装置において、フレーム及びセンサ支持体は、検査される金属部品の周りで回転可能であってよい。その回転運動を駆動するために、フレームにモータを取り付けてよい。検査装置が部品の内側表面を検査するように構成されている場合、検査装置は、検査される部品の内面上を滑動するために装置の外側表面に取り付けられた複数の車輪を含んでよい。モータによって駆動されるフレームの回転運動は、部品の内側表面上で検査装置の長手方向の移動を引き起こす。別法として、フレームは、検査される金属部品の内部でフレームを移動させる牽引機構に接続してよい。
【0027】
本発明の目的はまた、金属部品表面において一定の幾何学的形状を有する少なくとも一つのセグメントにつき検査する方法であって、上記装置により実施され、
-装置フレームと検査される金属部品との間の相対的な変位を実施すること、および当該変位中に;
-検査中の金属部品表面における幾何学的形状の欠陥を、幾何学的プロファイルセンサから取得したデータに基づいて特定すること;
-渦電流センサから取得したデータに基づいて表面欠陥を特定すること
を含む方法により達成される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、装置フレームと検査される金属部品との間の相対変位中に
a.1)幾何学的プロファイルセンサが、検査中の金属部品表面の幾何学的形状に関する測定結果を取得する。
a.2) 渦電流が検査中の金属部品セグメントに誘導される。
a.3) 渦電流センサは、コイルによって発生させられる磁界と、検査されるセグメントにおいて誘導渦電流によって発生させられる磁界との間の干渉を測定する。
a.4) 幾何学的プロファイルセンサと渦電流センサは、これらのアナログ測定結果を電磁信号電子多重化回路に送信する。
b) 電磁信号電子多重化回路は、ステップa.4)から取り込んだアナログデータをデジタルデータに変換して、それを解釈/評価ユニットに送信する。
c) 解釈/評価ユニットは、幾何学的プロファイルセンサと渦電流センサとから取得した信号に基づいて、金属部品表面の欠陥を特定する。
【0029】
好ましくは、ステップa.1)において、少なくとも幾つかの幾何学的プロファイルセンサのコンタクトチップは、検査中の金属部品表面上を移動し、磁気センサは、幾何学的プロファイルセンサのフレームとのジョイントがそれぞれ移動している間に、磁石によって発生させられる磁束を検出する。
【0030】
ステップa.1)において、レーザセンサが、好ましくは、検査中の金属部品表面の幾何学的形状の変動を特定し、取得した測定値を解釈/評価ユニットに直接送信してよい。
【0031】
好ましくは、解釈/評価ユニットは、電磁信号電子多重化回路から受信した信号を分析および標準化し、欠陥を再構築し、欠陥パラメータを分析し、特定した欠陥を分類する。表面の欠陥として、クラック、マイクロクラック、引っ掻き、曲げ、および隆起が挙げられ、幾何学的形状の欠陥として、楕円化、偏心、へこみ、潰れ、反り、物質の堆積、座屈が挙げられる。
【0032】
装置フレームと検査される金属部品との間で相対的な変位を実施するステップは、以下の一つを含んでよい:
- 金属部品の外側表面を検査するために、金属部品を装置フレームの内側で移動させること。
- 金属部品の外側表面を検査するために、装置フレームを金属部品の外側で移動させること。
- 金属部品の内側表面を検査するために、金属部品を装置フレームの外側で移動させること。
- 金属部品の内側表面を検査するために、装置フレームを金属部品の内側で移動させること。
【0033】
より良い理解のために、本発明の特徴および利点を、本発明の幾つかの好ましい形態を説明する代表的な図面とともに、示し、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による検査装置の斜視図を示す。
【
図7】
図7は、
図1~
図4の検査装置で用いられる幾何学的プロファイルの欠陥センサの側面図を示す。
【
図8】
図8は、検査される金属部品試料の例である。
【
図9】
図9は、本発明の装置で特定される、検査中の金属部品表面における欠陥を示す信号を図示している。
【
図10】
図10は、本発明の装置により、種々の処理ステップにて特定された表面欠陥を図示している。
【
図11】
図11は、円形断面の部品の外側表面の検査を実施している、本発明の装置の模式正面図である。
【
図12】
図12は、円形断面の部品の内側表面の検査を実施している、本発明の装置の模式正面図である。
【
図13】
図13は、プレートの形態の金属部品の内側表面の検査を実施している、本発明の装置の模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
図1は、本発明が取り組んでいる、金属部品検査装置の好ましい実施形態を示す。金属部品は、円筒形、中実、または中空であってよく、例えば、チューブ、パイプ、マンドレル、シャフト、種々の幾何学的形状の輪郭、シート、金属部品一般、特に管状部品の製造のための工具であってよい、
【0036】
装置は、フレーム1を含み、これに複数の幾何学的プロファイルセンサ10が関節状に取り付けられている。幾何学的プロファイルセンサ10は、半径方向及び軸方向において検査されるべき金属部品表面全体をカバーするように、規則的に分布し、互いに間隔をあけて配置される。幾何学的プロファイルセンサ10は、特に、楕円化、偏心、へこみ、潰れ、反り、スケーリング、および座屈などの幾何学的形状欠陥を特定する。装置の動作中、フレーム1と検査される金属部品との間では相対的な変位がある。
【0037】
図1および
図4に示す本発明の実施形態において、フレーム1は、それに取り付けられた幾何学的プロファイルセンサ支持体13を含む。幾何学的プロファイルセンサは、フレーム1に直接取り付けられてもよいし、支持体13に取り付けられてもよい。この幾何学的プロファイルセンサ支持体13は、検査される金属部品セグメントの断面形状に適合した断面形状を有する。例えば、検査中の金属部品が円形の内部断面または外部断面を有する場合、幾何学的プロファイルセンサ支持体13は、円盤形状であってよい。
【0038】
図11は、金属部品が円形の横断面輪郭を有する管状形状を有し、本発明の装置がこの部品の外側表面を検査する、本発明の実施形態を示す。
【0039】
図11の左側には、幾何学的プロファイルセンサ10が図示され、当該センサは、フレームに取り付けられた円盤状の幾何学的プロファイルセンサ支持体13の全周の周囲で、周方向に間隔をあけて配置されている。本発明のこの実施形態では、円盤状の支持体13が検査される金属部品によって横断されるように、金属部品をが、取り付けられたフレームに対して相対的に移動させ得る。本発明の装置においては、より高い分解能とより信頼性の高い測定値を達成するために、一つ以上の幾何学的プロファイルセンサ支持体13が、幾何学的プロファイルセンサ10と結合して、フレーム上に直列に配列されてよい。
【0040】
本発明の装置は、フレームに取り付けられた複数の渦電流センサ20をさらに含み、これも互いに間隔をあけて配置されている。
図1および
図3に示す本発明の実施形態では、フレームは、渦電流センサ20を取り付けることができる少なくとも一つの渦電流センサ支持体23を含む。
【0041】
したがって、フレームと検査される金属部品との間で相対変位がある場合、渦電流センサ20はまた、軸方向および半径方向において、検査される金属部品表面の全体をカバーする。渦電流センサ20は、一般に、クラック、マイクロクラック、曲がり、引っ掻き、隆起、および点食のような欠陥の特定に関連するデータを取得する。
【0042】
図11の右側には、渦電流センサ20が図示され、当該センサは、フレームに取り付けられた円盤状の渦電流センサ支持体23の全周で周方向に間隔をあけて配置されている。取り付けられたフレームに対して金属部品が相対的に移動させられるとき、円盤状の支持体23は、検査される金属部品によって横断される。本発明の装置においては、測定結果のより高い分解能と信頼性を達成するために、一つ以上の幾何学的プロファイルセンサ支持体23が、渦電流センサ20と結合して、フレーム上に直列に配列されてよい。
【0043】
図1~
図4に示す本発明の実施形態では、装置は、一つの幾何学的プロファイルセンサ支持体13と直列に配列された三つの渦電流センサ支持体23を含む。しかしながら、装置は、所望の検査分解能と、検査を通じて求められる測定結果の冗長性または信頼性とに応じて、異なる数の幾何学的プロファイルセンサ支持体13および渦電流センサ支持体23を含んでよい。幾何学的プロファイルセンサ支持体13および渦電流センサ支持体23は、検査実施のために装置のフレーム1と金属部品との間での相対変位がある間、検査される金属部品が幾何学的プロファイルセンサ10及び渦電流センサ20の測定に順次、付され得るように、整列させられることが好ましい。
【0044】
図7は、本発明の実施形態の幾何学的プロファイルセンサ10をより詳細に示す。各幾何学的プロファイルセンサ10は、フレーム1または幾何形状センサ支持体13に直接関節状に結合された第1の側と、フレームと金属部品との間で相対変位が生じると検査中の金属部品表面上を滑動するコンタクトチップ12を備えた第2の側と、を有するロッド11からなる。
【0045】
磁石14と、磁界を測定できる磁気測定センサとが、フレーム1との結合領域においてロッド11の第1の側の領域に配列される。好ましくは、磁石14はロッドに取り付けられ、磁気センサは、フレーム1に、またはロッドとの結合が生じる幾何学的プロファイルセンサ支持体13に取り付けられる。
【0046】
これらの幾何学的プロファイルセンサ10は、金属部品表面の幾何学的形状、およびそのそれぞれの欠陥(例えば、特に楕円化、へこみ、曲がり、反り、スケーリング、座屈)に関連するデータを取得する役割を果たす。
【0047】
図7にも示すように、幾何学的プロファイルセンサのロッド11は、結合領域にて、フレーム1または幾何学的プロファイルセンサ支持体13と関着し、少なくとも一つのばね(図示せず)又は一組のばねが、ロッド11の第1の側とフレーム1とに結合し、又はロッド11の第1の側と幾何学的プロファイルセンサ支持体13とに結合して、検査する部品の表面に対してコンタクトチップ12を配置するのを助ける。コンタクトチップ12は、ロッド11の自由端である。
【0048】
図7に示す本発明のこの実施形態では、幾何学的プロファイルセンサの表面との摩擦を低減する目的で、コンタクトチップ12は、ロッドの他方の側に回転可能に結合されたベアリングを含む。その結果、金属部品と検査装置との間に相対的な変位があるとき、ベアリングは、検査される円筒部品の表面上を低い摩擦で連続的に回転し、その表面で検査さするセグメント全体をカバーする。また、ベアリングと同様に、検査される表面でより良い摺動をもたらす他の要素もまた、コンタクトチップ12において使用してよい。
【0049】
幾何学的プロファイルセンサ支持体13上で規則的に間隔をあけた一連の幾何学的プロファイルセンサ10の配列は、これらのセンサ10が検査中の金属部品表面で複数の点を横切ることを可能にし、したがって、
図8に示すように、表面全体についてより多くの情報を得る。センサの数が多いほど、評価される表面の部分が大きくなり、検査結果の解像度、冗長性、および信頼性がより高くなる
【0050】
このように、バネの助けを借りてフレーム1に結合されたロッド11と、ベアリングの形態のコンタクトチップ12との組み合わせにより、金属部品の表面の形状の変化に追従して、コンタクトチップ12を金属部品の表面上で容易に摺動させることができる。フレーム1と金属部品との間で相対的な変位がある場合において、センサ10のコンタクトチップ12が変形に対応したくぼみのような部品上の幾何学的変化に遭遇すると、同チップ12はフレーム1または幾何学的プロファイルセンサ支持体13に対して相対的に移動し、フレーム1または支持部13との関着領域でロッド11を回転させ、この移動によって、磁石により発生させられ且つ磁気センサにより検出される磁束の変動が生じる。ロッドに結合されたバネは、ロッドを移動させるのに役立ち、部品の検査面の形状の変動に関係なく、金属部品表面と接触したままとする。磁気測定センサ、特に、ホールセンサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、及び超伝導量子干渉素子(SQUID)センサのような磁気測定センサを使用することができる。好ましくは、磁気センサは、5ボルトの直流電流により電力が供給されるホールセンサである。応答信号の極性は、磁束の変化の方向を示し、言い換えれば、例えば表面のへこみによるロッド11の下方への移動は、負の応答信号を生成し、例えば局所的な突出による上方への移動は、正の応答信号を生成する。信号の極性は、磁気センサの校正および位置決めに従って反転させることができる。
【0051】
本発明の図示しない実施形態において、幾何学的プロファイルセンサ10として、レーザポイント・センサまたはライン・センサを使用することができる。レーザセンサは、フレーム1又は幾何学的プロファイルセンサ支持体13に直接取り付けられ、検査される表面の幾何学的形状の変動を特定する。本発明の装置はまた、レーザポイント・センサまたはライン・センサと、磁石および磁気センサと組み合わされるロッド11からなるセンサとを同時に使用する組合せを、幾何的プロファイルセンサ10として含んでよい。
【0052】
幾何学的プロファイルセンサ10は、コンタクトチップ12の近くに位置するエンコーダ(図示せず)を含むこともでき、このエンコーダは、検査される部品に関して取り込まれた測定結果の具体的な長手方向位置を決定する役割を担う。このエンコーダは、走行距離計と同様に機能し、ベアリングの直線変位の対応する動きを電気信号に変換する。このようにして、ベアリングがパイプの端部に対してどれだけ移動したかを(例えば、ベアリングが何回転したかを計算することにより)判断することができ、これにより、幾何学的形状センサ10が検出したパイプの表面形状における変化につき、その長手方向の位置を特定することができる。エンコーダは電気信号を解釈・評価ユニットに送る。解釈・評価ユニットは後でさらに説明する。
【0053】
エンコーダは、装置で使用される幾何学的プロファイルセンサ10のうちの一つだけに配置してもよく、その場合、エンコーダは、渦電流センサ20を含む装置で使用される他のすべてのセンサの相対的な長手方向変位の基準として機能する。別法として、検出された形状変化の位置を特定する精度を高めることを目的として、エンコーダを複数の幾何学的プロファイルセンサ10に配置し、冗長性を提供してもよい。
【0054】
本発明の別の側面において、本発明の好ましい実施形態の渦電流センサ20は、
図5および
図6に最もよく示されている。渦電流センサ20は、センサが検査面に対して常に平坦かつ平行であることを確保する関着された機械的なシステムを有する。各センサ20は、シュー21を含み、当該シューには少なくとも二つのコイル22が取り付けられている。好ましくは、各センサ20に対して2組のコイルが使用される。各シュー21は、それがフレーム1の内部を通過するときに金属部品表面に近い位置となるように、フレーム1またはフレームの渦電流センサ支持体23に取り付けられる。
【0055】
さらに、渦電流センサ20は、金属部品のコイルへの直接的な衝撃を防ぐために、すなわち、障害物に対する衝撃がコイルから離れて起こることを保証するために、支持体およびばねを含むことができる。検査される金属部品は、まず、衝撃を緩和するために配列されたゴムベースのレベルで渦電流センサ20に接触する。コイルの支持体の材料はポリカーボネートから成ってよく、ゴムベースはポリウレタンから成ってよい。ポリカーボネートは、衝撃および温度の両方に対して高い耐性を有するプラスチック材料である。ポリウレタンは、耐摩耗性に優れ、高温でも動作する。センサは、センサ間のずれが二つの連続した列に近い状態となるよう、配列されている。好ましくは、この変位は、単一の渦電流センサ20の幅よりも小さい。
【0056】
金属部品と装置のフレーム1との間で相対変位が生じると、各渦電流センサ20は、センサが配置された位置に対応する金属部品の全長にわたって、コイルにより発生させられる一次および二次磁界と金属部品に誘導される渦電流により発生させられる磁界との間の干渉を検出する。渦電流センサ支持体23にて周方向に間隔をあけて、一連の渦電流センサ20を設けることは、
図8に示すように、これらのセンサ20が、金属部品にて検査する表面のいたるところで様々なポイント(または点)を評価し、したがって表面全体についてより多くの情報を取得することを可能にする。センサの数が多いほど、評価される表面の検査される面積が大きくなり、その結果、検査結果の分解能および信頼性がより高くなる。
図1~
図4に見られ得るように、渦電流センサ20は、二つの連続する列の「環状に隣接する」渦電流センサの間でズレがある状態で、円形の複数の列に分布する。各渦電流センサは、関着されたアームにそれぞれ独立して取り付けられている。理想的には、
図9および
図10にて結果のグラフに示すように、より高い分解能を達成し、検査される表面を最大とするために、ずれはセンサの幅よりも小さくするべきである。
【0057】
渦電流センサ20として、特に、絶対構造、差動構造、ピックアップ構造、およびPEC(パルス渦電流)構造で動作するセンサを使用することができる。好ましくは、渦電流センサは、応答がセンサを構成するコイル間の信号差分であるように、差動モードで接続された二つのフェライトコアコイルを含む。同じ巻き数を有するが極性が反対であるセンサのコイル22によれば、両方のコイルによって生成される磁界は、同じ大きさであるが、反対の方向である。この配列により、センサが均質な領域に位置する場合、一方のコイルが他方のコイルの効果を打ち消すため、その応答は「ゼロ」である。欠陥領域に近づくと、最初に欠陥に接触したコイル22は、均質領域のコイルとは異なるインピーダンスを有し、その結果、非ゼロの信号が生成される。このセンサ配列(またはセンサアレイ)は、その高い感度に起因して、点食、クラック、マイクロクラック、引っ掻きの検出に広く使用されている。差動構造を用いることで、信号対ノイズ比がより高くなって欠陥の検出が向上することが分かっている。さらに、差動モードは、検査中のリフトオフや微細構造の変動の影響を低減する。リフトオフとは、渦電流プローブが被検査材料に近接または離間することによる応答信号である。検査中、振動などの外的要因に起因する、渦電流プローブの脱落が、欠陥同定の妨げとなり得る応答信号を発生させる。
【0058】
本発明の装置は、閉じた断面を有する中空金属部品の内側または外側表面を検査するために使用することができ、あるいは、中空もしくは開放金属部品の任意の表面、または中実金属部品の外側表面、または小型金属部品(例えば、シート)の上面および下面を検査するためにさえ使用することができる。本発明の装置のこれらの複数の用途を可能とするために、幾何学的プロファイルセンサ10が検査表面上を滑動すること、および渦電流センサ23が、誘導渦電流によって表面に発生させられる磁界と当該磁界の変動とを測定するために検査表面に十分に接近することを許容するべく、フレーム1および/または渦電流センサ支持体23および幾何学的プロファイル支持体13のデザインを、金属部品にて検査されるセグメントの断面と適合する断面、例えば円形、三角形、正方形、長方形、六角形等を有するものとすることだけが必要である。
【0059】
図11に示す本発明の実施形態において、装置は、円筒形の断面を有する部品の外側表面を検査するように構成されており、フレーム1およびセンサ13、23は、金属部品の外側に配置される。しかし、
図12においては、装置は、円筒形の断面を有する部品の内側表面を検査するように構成されており、フレームと金属部品との間で相対変位があるとき、フレームおよびそれぞれのセンサは、金属部品の内部を通過する。
図13の本発明の図示された実施形態において、装置は、シート金属部品の表面を検査するように構成されており、フレームと金属部品との間で相対的な変位があるとき、フレームおよびそれぞれのセンサは金属部品の上および下を通過する。金属部品が変化する断面または形状構成を有する場合、部品の全表面を検査するために、種々の形状配置のフレームおよび/または支持体が必要とされる場合がある。
【0060】
さらに、本発明の装置は、金属部品がフレーム1に対して相対的に移動するように、取付位置フレームで作動させてよく、あるいはフレーム1およびセンサが検査される部品に対して移動している間、金属部品を取付位置に保持する。
【0061】
この装置はまた、幾何学的プロファイルセンサ10と渦電流センサ20により取得された信号をリアルタイムで受信し処理する、電磁信号電子多重化回路を含む。センサによって取り込まれた信号は、この多重化回路に送られ、この多重化回路は、その後の評価のために、取得した信号をリアルタイムでデジタル化する。解釈/評価ユニットは、電子多重化回路からデジタル化され且つ処理された信号を受信し、欠陥の再構築、評価、自動分類に特化した信号処理アルゴリズムを用いて、金属部品表面の欠陥を特定する。この電子評価ユニットは、コンピュータ;データ処理センター;または取得したデータの評価、欠陥を含む評価された金属部品表面およびすべてのセンサにより特定された欠陥を示す画像の再構築、ならびに検出された欠陥の評価および分類を実行可能な任意の電子ユニットであってよい。
【0062】
幾何学的プロファイルセンサの磁気センサ、およびエンコーダは、解釈/評価ユニットに接続され、当該ユニットは各幾何学的プロファイルセンサ10およびエンコーダの測定結果を関連付けるように配列されている。幾何学的プロファイルセンサ10は、空間座標基底によって互いに関連付けられる。各幾何学的プロファイルセンサは、寄与度を有する動作方向(working direction)を有する。その結果、解釈/評価ユニットは、各幾何学的プロファイルセンサのコンタクトチップ12の相対的な空間位置を算出することができる。好ましくは、解釈/評価ユニットは、検査された金属部品の外側表面の形状を表す二次元または三次元モデルを生成するように構成される。
【0063】
各渦電流センサ20は解釈/評価ユニットに接続されている。各渦電流センサ20は、解釈/評価ユニットにおいて、それぞれの登録された横方向基準位置と関連付けられている。解釈/評価ユニットは、各渦電流センサ20の測定出力を、そのそれぞれの横方向基準位置、およびエンコーダによって生成される長手方向位置の出力と関連付けるように構成されている。解釈/評価ユニットは、渦電流センサ20のそれぞれの基準位置から得られる横方向位置を用いて、長手方向位置及び横方向位置の関数として渦電流センサ20によって生成される出力を表すグラフィカルな結果をユーザに提供するように構成される。そのような結果を、
図9に示す。
【0064】
本発明の装置において、フレーム1は、検査される部品の表面に対して、内側および外側の両方で回転する回転体であってよい。この回転運動を提供するために、モータがフレーム1に結合され、このモータもまた本発明の装置によって制御される。
【0065】
この回転構成の技術的利点は、センサを有するフレームを回転させることにより、渦電流センサ支持体23および幾何学的プロファイルセンサ支持体13の数を減らすことが可能であり、その結果、検査装置の長さも減少することである。これはまた、使用するセンサの数を減らし、装置の対応するコストを削減する。この回転式の構成の別の技術的な利点は、センサの回転運動が欠陥の検出の向上および検出におけるより高い信号対ノイズ非を促進することである。
【0066】
さらに、フレームが検査される部品の内部に配列されている場合、それは、金属部品内部でフレームを移動させる役割を担う、ロボットに類する、それ自身の牽引機構に結合されてよい。このロボットは、遠隔操作可能なモータを有する、それ自身の推進システムを有し、金属部品内部にてセンサを有するフレーム1の長手方向の変位を与える。ロボットにより実行される金属部品の長手方向における運動は、上述のフレームの回転運動と組み合わせてよく、それにより本発明の装置のセンサによって金属部品の内側表面全体が本発明の装置のセンサによって検査され得る。このようにして、金属部品表面からより多くのデータが本発明の装置によって得られ、部品中の欠陥の特定を有意に向上させる。フレームの回転構成を用いる本発明の別の実施形態では、フレームの回転機構自体が、検査される部品に対して内部での検査装置の長手方向の変位を担う。本発明のこの実施形態では、検査装置は、その端部の一方に回転ヘッドを含み、そこにセンサ支持体を有するフレームが配置される。この回転ヘッドは、このヘッドに回転運動を与えるモータに結合されている。さらにまた、小型の車輪またはベアリングが装置の周囲に取り付けられて、装置の外側表面にて、検査される部品の内部と接触している。このようにして、回転ヘッドが一方または他方に回転すると、本発明の装置は、車輪またはベアリングの助けを借りて、検査される部品の内部を前方または後方に滑動する。
【0067】
本発明はまた、本明細書に記載の検査装置によって実施される、金属部品を検査する方法にも言及する。この方法は、最初に、検査される金属部品と金属部品検査装置のフレームとの間で相対変位を生じさせるステップを含んでいる。この相対変位の間、幾何学的プロファイルセンサ10のコンタクトチップ12は、検査中の金属部品表面上で摺動または転動して移動し、それぞれの幾何学的プロファイルセンサ10のフレーム1との関着(または関節状接合)の移動に起因して、磁石が発生させる磁束を、磁気センサが検出するようにする。この移動の間、金属部品の検査されるセグメントに渦電流が誘導されて、渦電流センサ20は、それらのコイルが発生させる磁界と、検査されるセグメントにおいて誘導された渦電流が発生させる磁界との間の干渉を測定する。幾何学的プロファイルセンサ10と渦電流センサ20は、これらのアナログの測定結果を電磁信号電子多重化回路に送信する。
【0068】
電磁信号電子多重化回路は、センサによって取り込まれたアナログデータをデジタルデータに変換し、それを解釈/評価ユニットに送る。この解釈/評価ユニットは、幾何学的プロファイルセンサ10および渦電流センサ20から取得した信号に基づいて、金属部品表面の欠陥を特定する。
【0069】
幾何学的プロファイルセンサのようなレーザセンサが使用される場合、そのようなセンサは、検査されるセグメントの表面の幾何学的形状の変動を検出し、それらを解釈/評価ユニットに送信する。
【0070】
検査される表面の幾何学的形状の変動を示す信号は、レーザセンサを含む幾何学的プロファイルセンサ10、および磁気センサと磁石とを含む幾何学的プロファイルセンサ10によって同時に得てもよい。
【0071】
解釈/評価ユニットはまた、電磁信号電子多重化回路から受信した信号を分析し標準化するステップ、画像によって欠陥を視覚的に再構築するステップ、欠陥パラメータを分析するステップ、および特定した欠陥を分類するステップを実行する。
【0072】
金属部品表面における欠陥の特定は、幾何学的プロファイルセンサ10から取得したデータに基づいて、検査中の金属部品表面の幾何学的形状(または幾何学的輪郭)欠陥、特に楕円化、偏心、へこみ、潰れ、反り、スケーリング、および座屈のような欠陥を特定すること、および渦電流センサ20から得られるデータに基づいて、クラック、マイクロクラック、引っ掻き、曲げ、隆起、小さい寸法の質量減少(または点食または小塊欠損)のような表面的な欠陥を特定することを含む。
【0073】
当該方法は、両タイプのセンサにより取り込まれるデータを組み合わせることにより、詳細な検査結果が生成されることを可能にする。したがって、検査される金属部分の表面を、検出されたすべての欠陥およびそれらの寸法とともに、再構築することが可能である。
【0074】
得られたデータの解析に基づいて特定された欠陥を含む、検査された金属部品の表面の構造の視覚的再構築の例を、
図9および
図10に示す。これらの図に示す例では、「サンプル0」と呼ばれるチューブ形状の部品の外側表面が評価される。この部品は、以下の表にて特定された寸法を有する、加工欠陥を示している。
【0075】
上記の表によれば、欠陥のタイプは、それらの形状に基づいて、また、管状形状の部分の軸方向に関連して分類された。
【0076】
図9の左のグラフは、上記の表から前記5つの欠陥について得られた代表的な信号であり、解釈/評価ユニットにおける処理の後に再構築されており、ここでz軸は信号の応答振幅を表し、xy平面(x位置領域)は部品の検査領域を表す。
図9の右のグラフは、左のグラフの上から見下ろした図であり、部品検査の結果に対応し、検出された5つの欠陥を示している。右のxy面のグラフは、部品の検査された表面を表している。
【0077】
図10は、
図9に示す5つの欠陥について、本発明の実施形態にしたがって、これらの欠陥を評価、再構築、および分類する間、データを種々処理するステップの結果を示すグラフである。
図10の最初の行は、
図9で特定された欠陥の選択を、これらの欠陥の縁に沿って白い輪郭線を引くことによって示している。欠陥の選択と輪郭線のトレースの後、特性曲線が定義され、
図10の第2行にて、欠陥の上に黒い線として表される。次に、
図10の第3行に示すように、輪郭線と特性曲線のみを用いて欠陥を表す。
図9のグラフに示された欠陥の完全な表現は、大量のデータと情報を含んでいるため、非常にデータ量が多い。しかし、このデータのかなりの量は、欠陥の特定に必要ない。本発明の装置および方法は、各欠陥の輪郭線および特性曲線の情報のみに基づいて、欠陥を抽出することができる。それに基づいて抽出された欠陥は、
図10の第3行に示されている。これらの欠陥の次の特性は、輪郭線と特性曲線から抽出される:長さ、幅、深さ、周囲長および面積。
【0078】
このように、本発明が取り組む装置及び方法は、フレーム及び/又は支持体上のセンサの利用可能性及び位置決めに起因して、種々のサイズおよび直径の金属部品一般につき詳細でリアルタイムの検査を可能にし、フレームと金属部品との間で相対的な変位が生じるときに検査される金属部品の表面全体をカバーする。また、スプリングと関連付けられたロッド11は、種々の直径の金属部品に装置を調整することを可能にする。フレームおよび/または支持体を、種々の形状および断面の検査される部品に適合させ得ることは、本発明が扱う装置および方法に大きな柔軟性を付与する。
【0079】
本発明の装置および方法は、二つの異なるタイプの相補的なセンサの結果を関連付けることによって、金属部品表面の任意の位置において、種々のタイプの金属部品表面における欠陥であって、金属部品の表面の形状および構成についての欠陥から生じるもの、ならびにクラック、亀裂および質量減少(または塊欠損)から生じるものの両方を、金属部品表面の任意の位置にて特定することを可能にする。
【0080】
非常に小さな欠陥を検出できる渦電流センサ20の使用は、金属部品表面の検査の精度をより高くすることを可能にする。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部品の内側および/または外側表面の検査装置であって、
-フレーム(1);
-間隔をあけてフレーム(1)に少なくとも一つの幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)を介して取り付けられた、複数の幾何学的プロファイルセンサ(10);
-間隔をあけてフレーム(1)に少なくとも一つの渦電流センサ支持体(23)を介して取り付けられ、検査される金属部品表面に向かい合っている、複数の渦電流センサ(20);
を含み、それらにより、装置が作動している間、フレーム(1)と検査される金属部品との間で相対的な変位があり、
-複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)および渦電流センサ(20)により取得された信号を受信し且つリアルタイムで処理する電磁信号電子多重化回路;および
-電磁信号電子多重化回路から処理された信号を受信し、金属部品表面における欠陥を特定する解釈/評価ユニット
を含むことを特徴とする、検査装置。
【請求項2】
少なくとも一つの幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)が検査中の金属部品セグメントの断面と適合する断面を有していることを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)のうち少なくとも幾つかのセンサ(10)がフレーム(1)に関節状に取り付けられ、
-第1の側が、フレーム(1)または幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)のいずれか一つに関節状に連結され、第2の側がコンタクトチップ(12)に結合された、ロッド(11);
-フレーム(1)に結合されたロッド(11)の第1の側に取り付けられた磁石
を含み、
-金属部品とフレーム(1)との間の相対的な変位の間、各幾何学的プロファイルセンサ(10)のコンタクトチップ(12)が、検査中の金属部品表面上を移動する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
ベアリングが回転可能に幾何学的プロファイルセンサ(10)のコンタクトチップ(12)に結合され、ベアリングが検査中の金属部品表面セグメントの全長に沿って回転することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)のうち少なくとも幾つかのセンサ(10)が、ポイント・レーザセンサまたはライン・レーザセンサのいずれかであり、これらのレーザセンサがフレーム(1)または幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)のいずれか一つに結合されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)の各々がベアリングに結合されたエンコーダをさらに含み、検査される金属部品表面でのベアリングの移動に基づいて、検査される金属部品で取得した測定結果の長手方向の位置を、エンコーダが決定し、測定結果の対応する長手方向の位置データを電磁信号電子多重化回路に送ることを特徴とする、請求項4または5に記載の検査装置。
【請求項7】
少なくとも一つのばねが、各ロッド(11)の第1の側と、フレーム(1)または幾何学的プロファイルセンサ支持体(13)のいずれか一つと、に結合していることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項8】
各渦電流センサ(20)が、シュー(21)およびシュー(21)に結合した少なくとも二つのコイル(22)を含み、
各シュー(21)が、フレーム(1)または幾何学的形状センサ支持体(13)のいずれか一つに取り付けられ、金属部品とフレーム(1)との相対的な変位の間、金属部品表面に近接して配置され、
各渦電流センサ(20)が、コイル(22)により発生させられる磁界と、検査中の金属部品セグメントにおいて誘導渦電流により発生させられる磁界との干渉を測定することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項9】
用いられる複数の渦電流センサ(20)および複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)の位置決めおよび数が、所定の分解能および冗長性に基づいて決定され、複数の渦電流センサ(20)および複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)の各々が関着されたアームに独立して取り付けられていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項10】
渦電流センサ(20)および表面幾何学的プロファイルセンサ(10)が、少なくとも二つの領域にて規則的に分布させられて、少なくとも二つの列を規定し、二つの連続した列の隣り合うセンサの間でずれがあることを特徴とする、請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
ずれが、単一の渦電流センサ(20)の幅よりも小さいことを特徴とする、請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
電磁信号電子多重化回路が、複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)および複数の渦電流センサ(20)から取得した信号を、デジタル信号に変換し、それらを解釈/評価ユニットに送信し、解釈/評価ユニットが、信号を分析および標準化し、欠陥を再構築し、欠陥パラメータを分析し、特定された欠陥を分類することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項13】
複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)が検査中の金属部品表面の幾何学的形状の欠陥を特定し、
渦電流センサ(20)がクラック、マイクロクラックおよび小さい寸法の質量減少欠陥のような欠陥を特定する
ことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項14】
複数の渦電流センサ(20)が、絶対構造、差動構造、ピックアップ構造、およびパルス渦電流(PEC)構造のうちのいずれか一つで動作することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項15】
表面幾何学的センサの磁気センサが、ホールセンサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、および超伝導量子干渉素子(SQUID)センサのうちの一つであることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項16】
フレーム(1)に結合した複数のロッドを含み、各ロッドが、幾何学的プロファイルセンサ(10)および渦電流センサ(20)に結合され、渦電流センサ(20)が幾何学的プロファイルセンサのコンタクト(12)の端部に配置されていることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項17】
フレーム(1)が、センサ支持体(12、23)とともに、検査される金属部品の周りで回転可能であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項18】
モータがフレーム(1)に結合され、前記フレーム(1)の回転運動を駆動することを特徴とする、請求項17に記載の検査装置。
【請求項19】
検査装置が検査される部品の内側表面を検査するのに適合させられている場合において、
-装置は、装置の外側表面に結合された、検査される部品の内側表面を摺動するための複数の車輪をさらに含み、
-前記モータにより駆動されるフレーム(1)の回転運動が、検査される部品の内側表面上で検査装置の長手方向の移動を生じさせる
ことを特徴とする、請求項18に記載の検査装置。
【請求項20】
フレーム(1)が、フレームを検査される金属部品の内部で移動させる牽引機構に結合されていることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項21】
金属部品表面を検査する方法であり、請求項1~20のいずれか一項にて規定された装置により実施される方法であって、
装置のフレーム(1)と検査される金属部品との間の相対的な変位を実施すること、およびその変位の間に;
複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)が取得したデータに基づいて、検査される部品表面の幾何学的形状の欠陥を、特定すること;ならびに
複数の渦電流センサ(20)が取得したデータに基づいて表面欠陥を特定すること
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
装置のフレーム(1)と検査される金属部品との間の相対的な変位の間、
a.1)複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)が、検査中の金属部品セグメントの幾何学的形状に対する測定結果を取得し、
a.2) 渦電流が検査中の金属部品セグメントに誘導され、
a.3) 複数の渦電流センサ(20)が、コイルによって発生させられる磁界と、検査されるセグメントにおいて誘導渦電流によって発生させられる磁界との間の干渉を測定し
a.4) 複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)と複数の渦電流センサ(20)は、これらのアナログ測定結果を電磁信号電子多重化回路に送信し、
b) 電磁信号電子多重化回路は、ステップa.4)で取り込んだアナログデータをデジタルデータに変換して、それらを解釈/評価ユニットに送信し、
c) 解釈/評価ユニットは、複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)と複数の渦電流センサ(20)とから取得した信号に基づいて、金属部品表面の欠陥を特定する
ことを特徴とする、請求項21に記載の方法
【請求項23】
-ステップa.1)において、複数の幾何学的プロファイルセンサ(10)のうち幾つかのもののコンタクトチップ(12)が、検査中の金属部品表面上を移動し、この変位の間、磁気センサが、それぞれの幾何学的プロファイルセンサ(10)とフレーム(1)との接合部が移動している間に磁石によって発生させられる磁束を検出することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
-ステップa.1)において、レーザセンサが、検査中の金属部品セグメントの幾何学的形状の変化を特定し、取得した測定結果を解釈/評価ユニットに直接的に送ることを特徴とする、請求項22または請求項23に記載の金属部品を検査する方法。
【請求項25】
解釈/評価ユニットが、電磁信号電子多重化回路から受信した信号を分析および標準化し、欠陥を再構築し、欠陥パラメータを分析し、特定された欠陥を分類することを特徴とする、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
表面欠陥が、クラック、マイクロクラック、引っ掻き、曲げ、および隆起を含み、幾何学的形状の欠陥が、楕円化、偏心、へこみ、潰れ、反り、スケーリング、および座屈を含むことを特徴とする、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
装置のフレーム(1)と検査される金属部品との間の相対的な変位を実施するステップが、
-金属部品の外側表面を検査するために、金属部品を装置のフレーム(1)の内側で移動させること;
-金属部品の外側表面を検査するために、装置のフレーム(1)を金属部品の外側で移動させること;
-金属部品の内側表面を検査するために、金属部品を装置のフレーム(1)の外側で移動させること;および
-金属部品の内側表面を検査するために、装置のフレーム(1)を金属部品の内側で移動させること
のうちのいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】